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(仮称)神奈川大学 横浜キャンパス 国際センター

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(仮称)神奈川大学 横浜キャンパス 国際センター
採択事例
37
プロジェクト名
(平成 26 年度)
補助種別
提案の
概要
木 造 化
(仮称)神奈川大学 横浜キャンパス
国際センター
提案者(事業者)
学校法人 神奈川大学
設計者
有限会社鈴木アトリエ
施工者
岡山建設株式会社
建設地
神奈川県横浜市神奈川区六角橋 3 丁目 27-1
A. プロジェクト全体の概要
近年増加傾向にある留学生のための日本語講座とセミナー、教室。
そして学生同士の交流の場として行われるパーティなどに使われる国際センター。
B. 提案する木造化・木質化の取り組み内容の概要
準防火地域内の準耐火建築物で梁・桁の木造現しに取り組むということ。
壁柱構造のフレームによる大空間の実現。乾式工法による組立。
ほぼ全面の仕上げ面に単層積層材(LVL)の積層面をあらわす意匠が特徴的である。
C. 提案のアピールポイント
構造面・意匠面で LVL 材を大規模に用いつつ、繊細で日本的なる意匠を想起させる建築。
密集住宅地にある大学キャンパスという立地特性を踏まえ、工期短縮の点から木造で準耐火建築をつ
くるという選択。
外観パース
評価の
ポイント
留学生に対する日本語講座、セミナー、日本の学生との交流の場となる大学の国際センターの
建築。主要構造となる壁柱及び梁に国産カラマツを使用したLVL壁柱構造としている。構造の
壁柱は、LVLのストライプ状の積層面を積極的に見せるデザインとし、また、非耐力壁は、LV
L材を縦格子状に分割使用することで、それぞれ異なる表情を演出する計画となっている。高耐
力が必要となるLVL壁柱の柱脚部にはラグスクリューボルトと補強用ビスを併用している。今
後普及が期待される壁版構造の参考事例となることが見込まれる。
神奈川大学 横浜キャンパス 国際センター —1
200
全体概要
神奈川大学では留学生の増加とそれに伴う、留学生との交流、研修、会合などに使用され
るスペースが必要となり、キャンパスに隣接する住宅地を一部買い取り、国際センターを建
設することにした。傾斜地ゆえに、地下に埋設する RC 部分を基壇と見なして地上に現れる
構造体を考えるとともに、国際センターとしての建築がどうあるべきかの検討をした。繊細
で「日本的な意匠を想起させる」という観点から、L V L(単層積層材)を仕上げとして使用
した壁柱構造による大断面木質構造を検討した。素材としての木をあらわしつつ、木造技術
の高さを表現でき、大空間を国産材にて実現し、カーボンオフセットと周辺環境への影響に
配慮したスケールと工法であることを考えた結果である。
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プロジェクトの
内観パース
南側立面図 耐力壁(LVL 壁柱)
⋯ 非耐力壁(吸音壁)
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平面図
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神奈川大学 横浜キャンパス 国際センター—2
201
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⋯ ⋯ ⋯ 木造化・木質化の
取り組み
内容
先端性・先進性
● L V L の特性を活かした構造形式の提案。
●従来の軸組構法以外の準耐火構造としての都市型木造建築の可能性の提案。
●積層面をデザインとして取り入れた木質材料の使用方法の提案。
●大断面木造において、高強度・高剛性が求められる柱脚部の提案。
波及性・普及性
● L V L ならではの木質材料としての有効性をアピールできる。
●壁版構造の事例としての役割を期待できる。
●今後高強度・高剛性が求められる壁版造の柱脚部に対しても利用できる。
●大断面木造においても、既製品を適切に使用することで、経済的かつ汎用性の高い接合方
法が可能となる。
。
使用する木材、木質建材の特徴
●主要構造となる壁柱・梁は L V L(国産カラマツ)とする。
●構造用 L V L は高剛性、高強度の木質材料であり、長尺の製品を製作できる。
●単板の積層面はそれ自体がストライプ状の繊細なテクスチャーを有する。
●燃焼時に製材・集成材に比べて炭化速度が遅く耐火性能が優れている。
● LVL の特徴を活かした構造・デザイン・防耐火
L V L は剛性・強度の高い材料であるため、集成材と同様の構造部材として使用されてきた。L V L
は単板を積層接着するという製造方法のため、均一な長尺製品の製作が可能であり、このような
L V L 独自の特徴を活かした使用方法を提案する。本提案では壁柱と梁に国産カラマツの L V L を使
用する。
LVL による壁柱構造
鉛直荷重を支持する軸組と、耐震要素を負担する面材によって構成される耐力壁に対し、L V L の
単一材によって両方を兼ねた構造を提案する。これは壁式鉄筋コンクリートのように剛性と強度を一
体の材料によって実現するものである。主要構造部となる鉛直構面を断面 150 × 900 の L V L 壁柱と
し、この壁柱は鉛直荷重及び水平力を片持ち柱として負担する。
さらに C L T(直交集成版)等も含めて今後普及が期待される壁版構造の参考事例としての役割を
期待できる。
軸組図
LVL の積層面を表現したデザイン
L V L を構成する単板積層面のストライプ状のテクスチャーは繊細で日本的なイメージを想起させ
るものであり、この積層面を積極的に見せるデザインを提案する。積層面をそのまま見せる壁柱に対
し、非耐力壁は L V L 材を縦格子状に分割してみせることで異なる表情を演出し、
吸音効果を期待する。
さらに L V L 梁下端も積層面とし、空間デザインの統一を図る。
燃えしろ設計による壁柱の設計
L V L は耐火試験の耐火性を持つ接着剤で貼り合わされた単板が1枚ずつ燃えるため、炭化速度が製
材・集成材に比べても遅く、燃え方が均一であるという特徴がある。L V L 壁の燃えしろ実験におい
ても耐火性能は実証されている。さらに、
燃えしろを考慮した設計を行うことにより安全性を確保し、
木造準耐火建築の新しい可能性を示す。
神奈川大学 横浜キャンパス 国際センター—3
202
●大断面木質構造の接合部の提案
2 +.-0, ラグスクリューボルト接合を用いた
壁柱の曲げおよび剪断抵抗機構
高 さ 4.5m の 壁 柱 が 片 持 ち 柱 と
+ して負担する曲げ応力に対しては、
LV L 壁の端部には大きな引き抜き力
が生ずる。高耐力の引き抜き性能が
期待できる接合方法は限られている
が、ここではラグスクリューボルト
(L S B)を挿入した接合方法を用い
ることで、高耐力・高剛性の壁柱を
実現する。ラグスクリューボルトは、
金物とアンカーボルトにより緊結す
ることで、直接応力をコンクリート
に伝えることが可能である。
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.-
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3 LVL壁柱の接合部
ラグスクリューボルト試験の様子
既製品の金物を使用した接合部
大断面木造における梁端部の接合
においては、製作金物が使用される
ことが一般的であるが、その接合方
法は既往の規基準によって設計する
必要があり、一般化されているわけ
ではない。また、特注品となるため、
製作コストも高い。
主に住宅用に使用されている既製
金物は、許容耐力の範囲内であれば
大断面木造の接合部に使用すること
は十分可能である。既製金物は製作
金物に比べて経済的であり、一般の
プレカット工場でも対応可能となる
ため、大断面木造の設計をより一般
化できる可能性がある。
LVL壁柱接合部の防耐火仕様
LVL 壁柱の燃えしろ試験の様子
積層面 LVL の耐火試験体
神奈川大学 横浜キャンパス 国際センター—4
203
$ $ LVL小割材:25×27@50 オスモ塗り
■外壁詳細図 S=1:5
25
25
合板(3)オスモ塗り
またはニードルパンチカーペット(黒)
25
石膏ボード(15)
間柱@450
合板(3)オスモ塗り
またはニードルパンチカーペット(黒)
27
25
3
5
25
15
15
75
石膏ボード(15)
断熱材
ネオマフォーム(40)
LVL150角
150
間柱@450
105
35
14
150
70
90
91
105
35
105
70
75
14
15
20
40
20
70
90
91
20
70
17 30 15 20
20 15 30 17
65
65
窯業系サイディング(14)外張り(防水)
金属板カットパネル(4)
取り付けクリアランス確認
LVL小割材:25×27@50 オスモ塗り
25
25
合板(3)オスモ塗り
またはニードルパンチカーペット(黒)
25
石膏ボード(15)
LVL小割材:25×27@50 オスモ塗り
25
25
断熱材
ネオマフォーム(40)
合板(3)オスモ塗り
間柱@450
またはニードルパンチカーペット(黒)
25
石膏ボード(15)
プロジェクト
データ
一級建築士 大臣 第226407号 鈴木 信弘
は扉頁参照
15
105
27
35
105
75
〒221-0825
横浜市神奈川区反町3-23-14
明歩谷(みょうぶだに)ビル2-B
14
150
70
20 15 30 17
90
91
防水層(透湿防水シート)
20
14
15
90
91
70
105
LVL150角
65
20
20
窯業系サイディング(14)外張り(防水)
17 30 15 20
20 15 30 17
金属板カットパネル(4)
防水層(透湿防水シート)
取り付けクリアランス確認
65
65
窯業系サイディング(14)外張り(防水)
金属板カットパネル(4)
取り付けクリアランス確認
プロジェクト名
Tel 045-317-2627
Fax 045-324-2656
Tel 045-317-2627
Fax 045-324-2656
15
15
40
15
30
40
明歩谷(みょうぶだに)ビル2-B
提案者(事業者・建築主)
、設計者・施工者、建設地
(有)鈴木アトリエ
一級建築士事務所
神奈川県知事登録 第13710号
35
105
20
70
70
20
スチールアングル
壁柱
一級建築士 大臣 第226407号 鈴木 信弘
75
70
70
20
20
15
70
20
90
シリコンシール
シリコンシール
スチールアングル
スチールアングル
アルミ型材(パネル固定部材)
金属板カットパネル(4)
シリコンシール
〒221-0825
(有)鈴木アトリエ
一級建築士事務所金属板カットパネル(4)
横浜市神奈川区反町3-23-14
65
シリコンシール
65
【外壁LVL現し壁詳細図】
105
17 30 15 20
65
スチールアングル
20 15 30 アルミ型材(パネル固定部材)
17
【外壁LVL現し壁詳細図】
LVL150角
105
150
15
70
90
アルミサッシ
20 15 30 17
神奈川県知事登録 第13710号
150
150
75
75
75
150
75
防水層
(透湿防水シート)
断熱材
ネオマフォーム(40)
間柱@450
30
リブ:LVL合板
40×150@600程度
オスモ塗り
アルミサッシ
防水層
(透湿防水シート)
3
150
構造壁:木層ウォール(150)
燃え代設計35mm(1時間準耐火構造)
15
75
75
3
リブ:LVL合板
40×150@600程度
オスモ塗り
27
構造壁:木層ウォール(150)
燃え代設計35mm(1時間準耐火構造)
65
窯業系サイディング(14)外張り(防水)
金属板カットパネル(4)
取り付けクリアランス確認
防水層(透湿防水シート)
内観パース
スチールアングル
金属板カットパネル(4)
20 15 30 17
防水層(透湿防水シート)
65
20
70
20
20
15
17 30 15 20
変性シリコンシール
【外壁LVL現し壁詳細図】
LVL150角
105
シリコンシール
65
スチールアングル
アルミ型材(パネル固定部材)
20 15 30変性シリコンシール
17
シリコンシール
65
スチールアングル
スチールアングル
金属板カットパネル(4)
アルミ型材(パネル固定部材)
【外壁LVL現し壁詳細図】
15
15
30
150
70
20
15
20 15 30 17
70
90
14
91
躯体面
105
27
105
75
15
75
15
アルミサッシ
20
91
90
70
150
105
75
15
165
40
3
5
75
胴縁
25
75
20
105
リブ:LVL合板
40×150@600程度
アルミサッシ
オスモ塗り
14
165
150
150
30
75
25
胴縁
25
20
リブ:LVL合板
40×150@600程度
オスモ塗り
ロッカー室等
躯体面
断熱材
ネオマフォーム(40)
LVL小割材:25×27@50 オスモ塗り
ロッカー室等
■外壁詳細図 S=1:5
非耐力壁
図面名
図面名
図面番号
縮尺
神奈川大学横浜キャンパス(仮称)国際センター新築工事
プロジェクト名
(A3)
図面番号
縮尺
神奈川大学横浜キャンパス(仮称)国際センター新築工事
(A3)
事業の実施体制
建物名称:
(仮称)神奈川大学横浜キャンパス国際セ
ンター
主要用途:学校
主要構造:■木造(□軸組構法 □枠組壁工法 □丸
太組構法 □その他(LVL 壁柱工法)) □鉄骨造 □鉄筋コンクリート造 □鉄骨
鉄筋コンクリート造□その他
防火地域等の区分:□防火地域 ■準防火地域 □法
22 条区域 □その他の地域
耐火建築物等の要件:□耐火建築物 □準耐火建築物
(60 分耐火) ■準耐火建築物(45 分耐火)
□その他の建築物
敷地面積:606.51㎡
建築面積:421.61㎡
延べ面積:779.82㎡
軒 高:8.100m
最高の高さ:8.733m
階 数:地上 1 階、地下1階
事業期間:平成 26 年度∼ 27 年度
補助対象事業費:172,060 千円
補助金額:25,809 千円
(うち平成 26 年度分 2,581 千円)
37. 神奈川大
事業スケジュール
平成26年
平成27年
3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9
●
建築設計
施工期間
204
竣工
着工
神奈川大学 横浜キャンパス 国際センター—5
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