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市営住宅制度の変遷
市営住宅制度の変遷 平成24年度草津市営住宅家賃改定審議会 第1回会議資料④ 草津市都市建設部住宅課 2012/9/18 市営住宅制度の変遷について記載しています。 【資料④】市営住宅制度の変遷 1 公営住宅の根拠法令と目的 ⑴ 根拠法令 公営住宅法 公営住宅法施行令(政令) (戦後の住宅難を背景に)昭和26年に制定 公営住宅法施行規則(省令) ⑵ 目的 公営住宅法第1条(この法律の目的) 第1条 この法律は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活 を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して 低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福 祉の増進に寄与することを目的とする。 参考:日本国憲法第25条 第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有す る。 2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の 向上及び増進に努めなければならない。 参考:他の住宅施策の目的との比較 ・住宅金融公庫法(昭和25年) ⇒ 「国民が住宅建設・購入に必要な資金 を融通すること」 ・日本住宅公団法(昭和30年)(昭和56年廃止) ⇒ 「住宅に困窮する 勤労者のために集団住宅及び宅地の大規模な供給」 ・特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成5年) ⇒ 「中堅所得 者層等に対する良好な賃貸住宅の供給」 ⑶ 草津市営住宅条例および同条例施行規則 →草津市営住宅条例 昭和36年制定 草津市営住宅条例施行規則 昭和51年制定 → 条例規則ともに、平成9年に全部改正(公営住宅法の抜本改正に伴って) 2 これまでの公営住宅法の主な改正 ⑴ 昭和34年 ・収入超過者制度の導入、割増賃料および明渡し努力義務の規定 ⑵ 昭和44年 ・高額所得者制度の導入、明渡し請求の規定 ・用地費補助の廃止⇒ 家賃収入補助制度の規定 ⑶ 昭和55年 草津市営住宅家賃改定審議会第1回会議資料 1 【資料④】市営住宅制度の変遷 ・高齢者、障害者等の単身入居制度の導入 ⑷ 平成8年 公営住宅法制定以来の抜本改正 公営住宅法改正の背景 改正内容 ①所得水準や民間賃貸住宅市場の ①入居対象階層の引き下げ(収入 変化などにより、入居者間・非 分 位 33 % 以下 →2 5% 以 下 入居者との間の家賃負担に不均 へ) 衡が生じていた。 ②高齢者や障害者などの住宅需要 ②入居者の収入や住宅の便益に応 じた応能応益家賃制度の導入 に対して十分に対応できていな ③高齢者・障害者等に対する入居 い(民間賃貸住宅市場での入居 収入基準の緩和(裁量階層の導 が困難) 入) ③地価の高騰により用地の取得が 困難となり、直接建設方式(地 方公共団体が公営住宅を建設、 ④民間住宅の借上げ・買取方式の 導入 など または供給して、住宅困窮者の 解消を図る方式)のみでは、的 確な供給が難しくなった。 3 公営住宅を取り巻く国の住宅政策の変遷 ⑴ 大量供給期(昭和25年~) 公営住宅の建設は、都道府県住宅建 設五箇年計画に基づいて行わなけ 戦後復興期 昭和25年 住宅金融公庫設立 昭和26年 公営住宅法制定 昭和30年 日本住宅公団設立 ればならない。 (旧)公営住宅法第6条 高度成長期 昭和41年 公的資金による住宅政策の「三本柱」 の確立 住宅建設計画法制定 第1期(昭和41~45年) ➠1世帯1住宅 第2期(昭和46~50年) 昭和35年 住宅地区改良法制定 昭和44年 小集落地区改良事業開 昭和48年にすべての都道府県で 始 住宅数が世帯数を上回った。 ➠1人1室 ⑵ 量から質への転換期(昭和50年~) ① 都道府県住宅建設五箇年計画・第3期(昭和51~55年) 最低居住水準・平均居住水準の設定 「昭和60年を目処にすべての世帯で最低居住水準を、半数の世帯で平均居住 草津市営住宅家賃改定審議会第1回会議資料 2 【資料④】市営住宅制度の変遷 水準を確保」 ② 都道府県住宅建設五箇年計画・第4期(昭和56~60年) 住環境水準(安全性・日照・通風等)の設定 「半数の世帯で平均居住水準を確保」 ③ 都道府県住宅建設五箇年計画・第5期(昭和61~平成2年) 誘導居住水準の設定 「平成12までに半数の世帯で誘導居住水準を確保」 ④ 都道府県住宅建設五箇年計画・第6期(平成3~7年) 高齢化社会への対応 「平成7に平均床面積を95㎡に」 ⑶ さらなる質の向上へ(平成8年~現在) ① 都道府県住宅建設五箇年計画・第7期(平成8~12年)、第8期(平成13 ~17年) 住宅性能水準の設定(耐震性、省エネルギー性、バリアフリー化)、尐子・高 齢社会への対応 ② 平成18年 住生活基本法制定(住宅建設計画法は廃止) 安全・安心で良質なストック・居住環境の形成 住宅取引の適正化・住宅市場の環境整備 住宅セーフティネットの構築 ③ 平成19年 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律 (住宅セーフティーネット法)制定 4 平成19年度の政令改正(平成21年4月施行) ⑴ 改正の背景 ① 公営住宅の入居収入基準は、平成8年に収入分位25%に相当する政令月収2 0万円に設定されて以降、10年以上見直されていなかった。 ② その間の世帯所得の変化や高齢者世帯の増加に伴い、この金額は収入分位3 6%に相当することとなった。 ③ この結果、応募倍率が上昇し、住宅に困窮する多数の入居希望者が入居できな い状況となった。 ⑵ 改正の概要 ① 入居収入基準の見直し ・政令月収を、現在の収入分位25%に相当する額である15万8千円に改定 ② 家賃制度の見直し ・家賃算定基礎額⇒ 収入区分の見直しを踏まえた見直しを行った。 例えば、収入分位0~10%の場合 《現行》37,100円→《改正後》34,400円 草津市営住宅家賃改定審議会第1回会議資料 3 【資料④】市営住宅制度の変遷 ・規模係数⇒ 最近の公営住宅の床面積の変化を踏まえた見直しを行った。 《現行》 : 床面積の合計÷70㎡ → 《改正後》 : 床面積の合計÷65㎡ ・利便性係数⇒ 地方公共団体の裁量を拡大した。 5 平成23年度の政令改正 ⑴ 改正の概要 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整 備に関する法律(平成23年5月2日公布) いわゆる「地域自主性1次一括法」 ・公営住宅法の一部改正 ・同施行令(政令)および同施行規則(省令)の一部改正 ⑵ 改正の概要 ① 同居親族要件の廃止(平成24年4月1日施行) 入居者資格のうち同居親族要件については、法律事項としての規定が廃止され、 条例事項に変更されました。 同居親族要件とは… 公営住宅法の入居者資格 「現に同居し、又は同居しようとする親族があること」 ただし、政令で定める以下の者は単身での入居が可能 ・60歳以上の者 ・身体障害者手帳(1~4級)の交付を受けている者 ・戦傷病者 ・原子爆弾による被爆者など8項目の該当者 ・施行日をもって廃止されるため、引き続き単身入居について一定の制限が必要 である場合には、事業主体が条例で規定しなければならないこととなります。 ・草津市は、引き続き単身入居について一定の制限を設けました。 ② 入居収入基準を条例委任 入居者資格のうち、入居収入基準の金額については、政令で定めていましたが、 事業主体が条例で定めることとなりました。 ・入居収入基準の上限として、収入分位50%(改良住宅は25%)相当の金額 を政令で規定 ・本来階層の入居収入基準として参酌すべき基準(収入分位25%、改良住宅は 草津市営住宅家賃改定審議会第1回会議資料 4 【資料④】市営住宅制度の変遷 12.5%)を政令で規定 平成24年4月1日より施行され、当該施行日から1年の間に条例が制 定されるまで効力を有する経過措置があります。 ③ 公営住宅等整備基準について 公営住宅および共同施設の整備基準は、平成24年4月1日に国土交通省令で 定めていましたが、事業主体が条例で定めることとなりました。また、参酌すべ き基準を国土交通省令で規定されました。 平成24年4月1日より施行され、当該施行日から1年の間において、 条例が制定されるまでの間は、国土交通省令で定めてきた公営住宅等整備 基準を条例とみなすこととなっています。 草津市営住宅家賃改定審議会第1回会議資料 5 【資料④】市営住宅制度の変遷 6 草津市の市営住宅政策 平成24年3月に策定された「草津市住宅マスタープラン」により、総合的な住宅 政策を展開し、その中で市営住宅の今後のあり方について方向性を示しています。 「草津市住宅マスタープラン」は、草津市の最上位計画である「第5次草津市総合 計画」の部門別計画として位置付け、都市計画や福祉、産業等の関連する他分野の計 画と整合・連携が図られるよう策定し、また住生活基本法に基づき「住生活基本計画 (全国計画) 」および「滋賀県住生活基本計画」に即して策定しています。 なお、草津市の市営住宅の修繕、建替えなどのハード面について計画化した「草津 市市営住宅長寿命化計画」は、「草津市住宅マスタープラン」を基本に策定されてい ます。 住生活基本法 住生活基本計画(全国計画) 第5次草津市総合計画 出会いが織りなすふるさと“元気” 滋賀県住生活基本計画 と“うるおい”のあるまち草津 部門別計画 草津市住宅マスタープラン ・都市計画部門 ・福祉部門 ・産業部門 整合・連携 (住生活基本計画) など 草津市市営住宅長寿命化計画 「草津市住宅マスタープラン」の計画期間は平成24年度から平成33年度までの 10年間とします。 なお、中間年度(平成28年度)において、社会経済情勢や施策の進捗状況を検証 し、必要に応じて計画の見直しを行います。 年度 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 住生活基本計画(全国計画) 滋賀県住生活基本計画 第5次草津市総合計画 草津市住宅マスタープラン 草津市市営住宅長寿命化計画 草津市営住宅家賃改定審議会第1回会議資料 6 【資料④】市営住宅制度の変遷 7 草津市住宅マスタープラン(市営住宅にかかわる部分を抜粋) 基本目標1 安全・安心に暮らせる住宅・住環境を形成します 基本方針1-3 セーフティネットとしての公的賃貸住宅の的確な供給と管理 ①低額所得者等に対する公平かつ的確な公営住宅の供給 ○低額所得者に対して公営住宅を供給するとともに、適正な維持管理や運 用に努めます。 ○セーフティネットの確保に向け、生活保護や児童福祉援護などと住宅政 策の連携を図ります。 ○公営住宅の管理戸数は現状程度にとどめながら、低所得者に加え、高齢、 障害のある市民や母子家庭などの住宅確保の優先度が高い方に重点を置 いた公営住宅の供給に努めます。 ②多様な方式による公的賃貸住宅の供給方策検討と支援の充実 ○中堅所得者に対しては、特定優良賃貸住宅についての情報を提供し、居住 の安定を図ります。 ○高齢者が安心して暮らせるサービス付き高齢者向け住宅の円滑な供給促 進に向け、相談や啓発を行います。 ○民間からの借り上げ公営住宅や民間賃貸住宅居住者に対する家賃補助な ど、多様な手法による公的賃貸住宅の供給を検討します。 ③市営住宅におけるハード・ソフト両面の福祉施策の取組促進 ○市営住宅の整備・改修にあわせ、手すり設置や段差解消、エレベーター 設置などのバリアフリー化を実現します。 ○風呂やエレベーターがないなどの現代的な仕様を満たさない市営住宅に ついて、改善への投資による長寿命化を含めた今後の活用方針を検討し ます。 ○市営住宅の建替えにおいては、生活支援施設の併設を検討します。 ○住宅施策と福祉施策とが効率よく連動した公的賃貸住宅の整備を目指し ます。 ④公営住宅の公平・公正な供給 ○公営住宅における丌正入居や使用、家賃滞納などの防止、入居承継や収 入超過などの状況把握に努め、入居の適正化を図ります。 ○年齢、職業、所得水準などが異なる人々が同じ地域で交流して暮らせる よう、コミュニティバランスに配慮した公営住宅の供給を図ります 草津市営住宅家賃改定審議会第1回会議資料 7 【資料④】市営住宅制度の変遷 基本方針2-1 多様なニーズに応じた住宅確保の推進 ①高齢者向けや子育て世帯などニーズに応じた良質な賃貸住宅の供給促進 ○ファミリー世帯の居住の安定と持家住宅などへの移行を促進するため、 良質な市営住宅を提供します。 ○中堅所得者に対しては、特定優良賃貸住宅についての情報を提供し、居 住の安定を図ります。 ○高齢者が安心して暮らせるサービス付き高齢者向け住宅の円滑な供給促 進に向け、相談や啓発を行います。 ③住み替え支援や空き家の有効活用などによる需給の不適合の解消 ○滋賀あんしん賃貸支援事業などを活用し、高齢者等への居住に関する情 報提供や居住支援サービスの提供を促すことで入居をサポートします。 ○空き家対策として、民間からの借り上げ公営住宅や民間賃貸住宅居住者 に対する家賃補助など、多様な手法による公的賃貸住宅の供給を検討し ます。 基本方針2-3 ユニバーサルデザインと緑豊かな街なみ形成 ②中心市街地活性化や面整備事業の活用などによる良好な市街地環境の形成 ○「まちなか居住の推進」や「商店街の賑わい」、草津宿本陣を中心とした 歴史的な街並み形成などの中心市街地活性化事業と住宅政策との連携を 図ります。 ○良好な都市環境の確保と調和のとれたまちづくりを誘導するため、都市計 画法等に基づく開発行為等の指導を行います。 ○老朽化の進む市営住宅団地が混在する地区等において、居住区の再編やス トックの更新を推進するため、市営住宅団地の統廃合・面整備・公共施設 の再配置等を一体的に行う総合的なまちづくりのあり方について検討し ます。 基本方針3-2 住宅ストックの適正な維持管理と活用 ④適正な市営住宅ストックの形成と長寿命化・効率化の推進 ○民間からの借り上げ公営住宅や民間賃貸住宅居住者に対する家賃補助 など、多様な手法による公的賃貸住宅の供給を検討します。 ○現代的な仕様を満たさない既存の市営住宅の改善や長寿命化など、今後 の市営住宅の活用方針を定める市営住宅長寿命化計画を策定します。 ○公営住宅の更新や管理・運営にあたっては、PFIや指定管理者制度な どの民間活力の導入による効率化の可能性を検討します。 草津市営住宅家賃改定審議会第1回会議資料 8