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普及する技術・指導参考資料

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普及する技術・指導参考資料
平 成 25 年 度
普及する技術・指導参考資料
(平成25年3月)
青森県産業技術研究推進会議
~
ご 利 用 の 皆 さ ん へ
~
普及する技術及び指導参考資料は、地方独立行政法人青森県産業技術センター農林部門
及び食品部門の各研究所の試験成果、各研究所と各地域県民局地域農林水産部農業普及振
興室等が連携した現地試験結果、青森県病害虫防除所の調査した結果等から、生産現場に
おいて役立つとみなされる有益な技術を選定し、迅速な普及に資することをねらいに提供
するものです。
その該当技術等の選定区分は、以下のとおりです。
なお、指導参考資料には、まだ残された課題等があり、普及技術としては十分でないも
のもありますので、各技術の利用上の注意事項等に留意してください。
1
普及する技術
普及に移す技術で、下記の基準のいずれかを満たしているもの。
(1) 体系化された完成度の高い技術
(2) 慣行より改善効果が著しく認められる技術
(3) 奨励、第1種認定品種及び地方独立行政法人青森県産業技術センターが育成した新
しい品種
(4) その他、普及する技術として適当と認められる技術等
2
指導参考資料
普及する技術以外で、農林業・食品加工指導上の参考となる技術で、下記の基準のい
ずれかを満たしているもの。
(1) 現場におけるニーズが高く、その成果の利活用が期待される技術
(2) 今後、普及する技術として選定される可能性が高い技術
(3) その他、指導参考資料として適当と認められる技術等
3
県内で参考にできる技術
平成24年度東北農業試験研究推進会議(東北農業研究センター主催)に提出された
東北各県と東北農業研究センターの研究成果情報のうち、地方独立行政法人青森県産業
技術センターが本県に適用できるものとして選定した技術。
(注)農薬関係の内容については、平成25年3月1日現在の登録に基づいて作成したも
のであり、今後変更となる可能性があるので、必ず最新の「農薬登録情報」を確認の
上、使用されるようお願いします。
目
次
Ⅰ 普及する技術(5事項)
《水 稲》
1
水稲早生品種「ほっかりん」の良食味・高品質米生産のための栽培法
《野
1
・・・・・・・・・・・・・・・
菜》
ごぼう貯蔵施設における酸素欠乏症発生の危険性と作業員に対する事故防止対策
《畜
・・・・
5
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7
産》
1
黒毛和種種雄牛「光茂」の現場後代検定成績
2
サイレージ用トウモロコシの奨励品種「サイレージコーンNS127(系統名KE7750)」の
特性
3
1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アカクローバーの奨励品種「ナツユウ」の特性
9
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
Ⅱ 指導参考資料(36事項)
《水 稲》
1
水稲疎植栽培における「つがるロマン」、「まっしぐら」の生育診断基準に基づく追肥
対応
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
2
中苗を用いた水稲疎植栽培の1株植付本数は4~6本を目安にする
3
飼料米用品種「みなゆたか」における浸種籾または催芽籾を用いた乾田直播栽培の
播種晩限
4
・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
浸漬籾及び催芽籾を用いた水稲乾田直播栽培における飼料米用品種「みなゆたか」
の生育予測
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
5
リモートセンシングを利用して、広範囲で圃場ごとの刈取適期が推定できる
6
イネばか苗病発生圃場からの胞子飛散が周辺圃場の種子保菌に及ぼす影響
7
水稲の湛水直播栽培で種籾を水酸化カルシウム剤(カルパー粉粒剤16)でコーティング
する際に、殺虫剤を同時粉衣するとイネミズゾウムシを省力的に防除できる
・・・・・・・・ 23
・・・・・・・・・・ 25
・・・・・・・・・・ 27
8
観賞用橙色葉水稲品種「青系観177号」の特性
9
観賞用赤穂水稲品種「青系観178号」の特性
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31
10
観賞用紫穂水稲品種「青系観179号」の特性
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33
《畑
1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
作》
小麦品種「ネバリゴシ」の開花期尿素用面散布は子実タンパク質含有率の適正化と
収量及び容積重の向上に効果がある
2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
ディスク駆動式汎用型不耕起播種機(MA社NSV600B)を用いた大豆「おおすず」の
不耕起狭畦播種栽培の特徴
《野
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37
菜》
1
にんにくを「シート乾燥」方式でテンパリング乾燥する場合は吸引式が優れる
2
にんにくの低温貯蔵後の日持ち性向上のための高温処理方法(萌芽発根抑制技術
・・・・・ 39
の一部改訂)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41
3
ながいもむかごの植付け深さ、施肥時期及び栽植様式が1年子の形質に及ぼす影響
4
土壌くん蒸剤の畦内処理によるにんにくのイモグサレセンチュウの防除
5
にんにくの新病害ニンニク白斑葉枯病と発生とその防除
6
レタス根腐病菌レース1に対して耐病性を有する品種
7
近年多発しているスイートコーンのオオタバコガの加害生態と防除法
《花
・・・・・・・・・・・・ 47
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51
・・・・・・・・・・・・・・ 53
き》
1
アルストロメリアの有望品種(改訂)
2
トルコギキョウにおける褐色根腐病の特徴
《果
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57
樹》
1
新たな需要を期待できるりんご新品種「あおり24」の特性
2
黒星病真性抵抗性りんご新品種「あおり25」の特性
3
もも試作品種「まどか」の特性
4
ノーザンハイブッシュ系ブルーベリーの特性(追加)
5
りんご「あおり27」(千雪)の品質はCA貯蔵で5か月間(3月下旬まで)保持
できる
6
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 71
りんごの剪定枝チップの地表面(全面及び樹冠下)施用は白紋羽病及び紫紋羽病
の発生を助長しない
7
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 73
平成24年度のりんご園における性フェロモントラップを利用したナシヒメシンクイ
の誘殺状況
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 75
8
ぶどう「サニールージュ」専用カラーチャートを利用した収穫方法
9
ぶどう「サニールージュ」の強勢樹に対する良品生産のための新梢管理法
10
「芽たたき」により、西洋なしの摘果作業時間は低減できる
11
モモせん孔細菌病は総合的な防除により被害を著しく軽減できる
《畜
土壌水分に基づくサイレージ用トウモロコシへのりん酸施肥量
2
暑熱期におけるTMRの適切な水分含量
3
サイレージ用トウモロコシに対する鶏糞堆肥の基肥代替効果
《加
・・・・・・・・・・・・・・・・ 77
・・・・・・・・・・ 79
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 81
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 83
産》
1
1
・・ 45
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 85
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 87
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 89
工》
もち性小麦「もち姫」は成型・蒸煮のみの簡易な方法で煎餅生地を製造できる
Ⅲ
県内で参考にできる技術一覧
Ⅳ
廃止事項
・・・・・ 91
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 93
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 95
1
Ⅰ
普
及
す
る
技
術
事
ね
項 水稲早生品種「ほっかりん」の良食味・高品質米生産のための栽培法
ら
普
い
低アミロース米の水稲早生品種「ほっかりん」の良食味・高品質米生産のための施肥管
理及び刈取適期を明らかにしたので、普及に移す。
1 育苗管理
基本技術を励行し、適正な温度管理や水管理に留意して、健苗育成に努める。
2
病害虫防除
いもち病抵抗性は葉いもち、穂いもちとも「やや強」であるが、基本防除を遵守する。
及
す
る
3 施肥
(1)窒素総量(基肥+追肥)は、地帯別施肥基準量とする。
(2)追肥は、穂肥1回体系とし、窒素総量の20~30%を幼穂形成期に行う。
(3)玄米タンパク質含有率が高くなると食味が低下するので、多肥栽培及び減数分裂期
以降の追肥は避ける。
内
容
4 幼穂形成期における生育指標
(1)目標収量を55kg/a程度とし、そのときの最適籾数は29,000粒程度である。
(2)最適籾数を確保するための幼穂形成期の生育量(草丈×㎡当たり茎数)は27,000~
32,000程度、葉色値は37程度である。
5
6
刈取適期
刈取りは、出穂後積算気温850~1050℃程度を目安とし、刈取始期は籾が90%以上黄化
した時期を目安とする。刈取適期を過ぎると茶米の発生により外観品質が低下すること
から、刈り遅れないように注意する。
選別
玄米の選別は、高品質米生産のために1.9mmの篩い目で行う。
7
白米アミロース含有率と玄米の白濁
登熟温度が高くなるにつれて白米アミロース含有率が低下する。玄米が白濁し始める
目安は出穂後30日間の日平均気温が23℃以上、白米アミロース含有率約14%以下である。
期 待 さ れ る 効 果 「ほっかりん」の良質・良食味米の安定生産技術の指針となる。
普 及 上 の 注 意 事 項 1 農林総合研究所藤坂ほ場(黒色・黄褐色土)で得られたデータを根拠にしている。
2 刈取適期の出穂後積算気温は、登熟期間が高温であった平成23、24年のデータを基
に算出したものである。
問 い 合 わ せ 先 農林総合研究所 藤坂稲作部(0176-23-2165)
対 象 地 域 県南北東・津軽
(電話番号)
半島北部地域
平成23~24年度 試験成績概要集(農林総合研究所)
発表文献等
- 1 -
【根拠となった主要な試験結果】
表1 移植時の苗の生育(平成23、24年
品種名
草丈
(cm)
15.7
17.8
ほっかりん
まっしぐら
茎数
(本)
1.0
1.0
苗調査
葉齢
風乾重
(葉)
(g/100本)
3.3
2.68
3.0
2.79
青森農林総研藤坂)
充実度
(mg/cm)
1.71
1.57
・移植時の苗の生育は、「まっしぐら」と比べ、草丈は低く、葉齢は進み、充実度は高い。
65
玄
米
タ
ン
パ
ク
質
含
有
率
(%)
60
精
玄
米
重
55
50
(kg/a)
H23
45
H24
40
0.4
8.6
H23
H24
8.4
8.2
8.0
7.8
7.6
7.4
7.2
0.7(標)
0.4
1.3
1.0
基肥窒素量(kg/a)
図1 基肥窒素量と精玄米重(幼形期追肥)
(平成23、24年 青森農林総研藤坂)
0.7(標)
1.0
1.3
基肥窒素量(kg/a)
図2 基肥窒素量と玄米タンパク質含有率(幼形期追肥)
(平成23、24年 青森農林総研藤坂)
・基肥窒素量が多いほど増収するが、玄米蛋白含有率が高まる。
玄
米
タ
ン
パ
ク
質
含
有
率
(%)
9.0
食
味
官
能
試
験
総
合
評
価
8.8
8.6
8.4
8.2
8.0
穂分期
幼形期
減分期
0.60
0.50
0.40
0.30
0.20
0.10
0.00
‐0.10 7.6
‐0.20
‐0.30
‐0.40
追肥時期
図3
追肥時期と玄米タンパク質含有率
(平成24年 青森農林総研藤坂)
(注)基肥窒素量0.7kg/a、追肥窒素量0.3kg/a
7.9
8.2
8.5
8.8
r=0.90**(n=7)
玄米タンパク質含有率(%)
図4 玄米タンパク質含有率と食味総合評価
(平成24年 青森農林総研藤坂)
(注)「まっしぐら」を基準米として評価
・減数分裂期に追肥をすると玄米タンパク質含有率が高まる。
・玄米タンパク質含有率が高いと食味が低下する。
- 2 -
表2 現地圃場における収量と検査等級
(平成21~23年 むつ市)
収量
年次
(kg/a)
平成21年
57.4
平成22年
51.3
平成23年
56.1
3か年平均 54.9
70
65
精
玄 60
米
重 55
検査等級
2上
1中
1下
1下
(kg/a) 50
29,000
45
(注)あおもり米優良品種選定現地適応性
注)あおもり米優良品種選定現地適応
検定試験
性検定試験
40
210
240
270 300 330 360
籾数(×100粒/㎡)
390
図5 籾数と精玄米重
(平成22~24年 青森農林総研藤坂及びむつ市)
H23
(×100/㎡)
H24
400
380
360
籾 340
数 320
29,000
300
(粒) 280
260
27,000~32,000
240
220
200
200
250
300
350
400
生育量(×100cm・本/㎡)
(×100/㎡)
400
380
360
籾 340
29,000
数 320
(粒) 300
280
260
240
220
200
34 35 36
H23
H24
37
37
38
39
40
41
葉色値(SPAD502)
図6 幼穂形成期の生育量と籾数
(平成23、24年 青森農林総研藤坂)
図7 幼穂形成期の葉色値と籾数
(平成23、24年 青森農林総研藤坂)
・あおもり米優良品種選定現地適応性検定試験むつ市現地圃場の3か年の平均収量は約55kg/a、検査等
級は1等である。この収量から見た最適籾数は約29,000粒であり、その場合の幼穂形成期の適正生育
量(cm・本/㎡)は27,000~32,000程度、葉色値は37である。
100
90
80
青 70
米 60
歩 50
合
40
(%)
30
H23青米(十和田)
H23青米(七戸)
H24青米(十和田)
H24青米(むつ)
H23茶米(十和田)
H24茶米(十和田)
刈取適期
850~1050℃
20
100
3.0
90
2.5
90
80
80
青 70
米 60
歩 50
合
40
(%) 30
2.0 茶
米
1.5 歩
合
1.0 (%)
20
0.5
10
10
0
青米歩合
籾摺歩合
0
0.0
500 600 700 800 900 1000 1100 1200 1300
出穂後積算気温(℃)
70
60 籾
摺
50 歩
40 合
籾黄化率90%、
30 (%)
籾黄化率95%
20
10
0
500 600 700 800 900 1000 1100 1200
出穂後積算気温(℃・日)
図8 出穂後積算気温と青米歩合及び茶米歩合
図9 出穂後積算気温と青米歩合及び籾摺歩合
(平成23、24年 青森農林総研藤坂、七戸町、むつ市)
(平成24年 青森農林総研藤坂)
(注)出穂後40日間の日平均気温
平成23年:十和田22.7℃、七戸22.1℃
平成24年:十和田23.5℃、むつ23.7℃
・青米歩合が10%以下となるのは出穂後積算気温約850℃であり、そのときの籾黄化率は90~95%であ
る。また、出穂後積算気温が1050℃を越えると茶米の増加により玄米品質が低下する。
- 3 -
60
50
ほっかりん
まっしぐら
重 40
量
割 30
合
(%) 20
・玄米の粒厚は、「まっしぐら」よりやや薄いが、
選別は1.9mmの篩い目で行う。
10
0
1.7
1.7以下
1.8
1.9
2.0
2.1
2.2
粒厚分布(mm)
図10 粒厚分布(平成24年 青森農林総研藤坂)
3.0
白
米
ア
ミ
ロ
H23
H24
2.5
ー
玄
米 2.0
白 1.5
濁
程 1.0
度
0.5
ス
含
有
率
0.0
10
11
12 13 14 15 16
白米アミロース含有率(%)
17
16
15
14
13
12
11
10
14%
23℃
21
(%)
17
H23
H24
22
23
24
25
26
出穂後30日間の日平均気温(℃)
図11 白米アミロース含有率と玄米白濁程度
(平成23、24年 現地実証試験)
(注)玄米白濁程度は粳を0、糯を5として判定。
図12
出穂後30日間の日平均気温と
白米アミロース含有率
(平成23、24年 現地実証試験)
・白米のアミロース含有率が約14%以下になると玄米が白濁し始める。そのときの出穂後30日間の日
平均気温は約23℃である。
<参考1>
追肥の栄養診断
幼穂形成期の生育量
(草丈×㎡当たり茎数,
cm・本/㎡)
27,000未満
(生育量不足)
27,000~32,000
(適正生育量)
幼穂形成期の
葉色値
(SPAD-502)
-
追肥の対応
幼穂形成期に追肥
39未満
幼穂形成期に追肥
(淡い~適正)
39以上
葉色の低下が見られたら減分期ま
(濃い)
でに追肥(必要に応じて減肥)
35未満
(淡い)
年 次
幼穂形成期に追肥
32,000以上
(生育過剰)
35~39
幼穂形成期に追肥(必要に応じて
(適正)
減肥)
39以上
中止
(濃い)
(注)減数分裂期は、幼穂形成期後7~10日後を目安とする。
<参考2>
平成20年産
平成24年産
図13 「ほっかりん」の玄米
(注)白米アミロース含有率
平成20年産
平成24年産
白米アミロー 出穂後30日間の
ス含有率
日平均気温
16.8%
11.8%
・平成24年産米で玄米がやや白濁
生育・収量目標
収量
(kg/10a)
Ⅴ 県南北東・津軽半島北部地帯
550
地帯区分
㎡穂数
(本)
400
- 4 -
1穂籾数
(粒)
70~75
19.9℃
24.3℃
㎡籾数
(粒)
29,000
登熟歩合
(%)
80以上
千粒重
(g)
23.0
事
ね
項
ら
普
及
す
る
ごぼう貯蔵施設における酸素欠乏症発生の危険性と作業員に対する事故防止対策
ごぼう貯蔵施設で、作業員が息苦しさを訴えるなど酸素欠乏症様の事例が報告されたた
め、関連する施設のガス環境を調査したところ、施設内の酸素欠乏(低酸素及び高二酸化
い 炭素)とその発生要因がごぼうの呼吸によることを明らかにしたので、作業者の事故防止
対策を普及に移す。
1 ごぼう貯蔵施設の酸素欠乏症発生事故の防止対策
(1)ごぼうの長期貯蔵施設では、低酸素、高二酸化炭素となりやすいため、作業者が酸
素欠乏症を発生しないよう、事故防止に努める。
(2)ごぼう貯蔵施設では、酸素欠乏症発症の危険があることを、施設の見やすい場所に
表示し、危険性を関係者に周知する。
(3)貯蔵施設では、酸素濃度及び二酸化炭素濃度測定装置を用意し、入室前に室内の酸
素濃度及び二酸化炭素濃度を測定する。
(4)酸素欠乏症発生の危険性がある場合(酸素濃度18%未満、二酸化炭素濃度1.5%以上)
は入室前に換気を行って安全を確認するか、酸素マスクを装着するなど欠乏症防止対
策をとって作業する。換気する場合は、室内から排出される酸素欠乏空気を直接吸い
込まないよう注意する。
内
容
2 県内産地のごぼう貯蔵施設におけるガス環境
(1)ごぼうは1~5℃以下の低温で貯蔵されているが、低酸素、高二酸化炭素環境となっ
ている例が確認され、省令で対策を求められる酸素欠乏症発生環境(酸素濃度18%未
満、二酸化炭素濃度1.5%以上)にまで達する施設もあった。
(2)換気のない貯蔵施設で密閉時間が長くなると、酸素濃度の低下、二酸化炭素濃度の
上昇は進行し、酸素欠乏症発生の危険性がさらに高まる。
3 ごぼうの密閉環境での呼吸特性
(1)ごぼう収穫物の呼吸量は、ながいもに比べて高い。
(2)呼吸量は温度が高いほど多く、低温では少なくなるものの、密閉容器で貯蔵すると、
1℃~4℃の低温でも、速やかに酸素を消費し、二酸化炭素を蓄積する。
(3)ごぼうは酸素濃度が1%以下と極めて低酸素状態になっても二酸化炭素濃度の上昇は
進行する。
(参考)携帯型 警報付き酸素濃度計
40,000円~
携帯型 二酸化炭素濃度計
53,000円~
施設に取り付けるものもある。
期 待 さ れ る 効 果 ごぼう貯蔵施設での作業者の安全につながる。
普及上の注意事項
酸素欠乏環境で労働者に作業させる場合、事業者は労働安全衛生法 酸素欠乏症等防止
規則を遵守し、作業主任者を置き、作業者に必要な教育を施す。
問 い 合 わ せ 先 野菜研究所 栽培部(0176-53-7175)
対 象 地 域 県下全域
(電話番号)
発表文献等 平成24年度 試験成績概要書(野菜研究所)
平成24年度 農業環境工学関連学会合同大会発表
- 5 -
【根拠となった主要な試験結果】
危険
酸素濃度18%
6 二
酸
化
炭
素
4 危険
( )
2 二酸化炭素1.5%
%
0 15 16 17 18 19 20 21 22 23 実験室大気
A:JA冷蔵庫 ごぼう換気なし(11月17日)
A:JA冷蔵庫 ごぼう換気なし(12月1日)
A:JA冷蔵庫 ごぼう換気なし(12月14日)
A:JA冷蔵庫 ごぼう換気なし(12月26日)
A:JA冷蔵庫 ごぼう換気なし(1月4日)
A:JA冷蔵庫 ごぼう換気なし(1月17日)
A:JA冷蔵庫 ごぼう換気なし(2月1日)
B:JA冷蔵庫 ごぼう換気あり(12月1日)
B:JA冷蔵庫 ごぼう換気あり(11月17日)
B:JA冷蔵庫 ごぼう換気あり(12月14日)
C:JA冷蔵庫 ながいも換気なし(11月17日)
C:JA冷蔵庫 ながいも換気なし(12月1日)
C:JA冷蔵庫 ながいも換気なし(12月14日)
D:生産者 ごぼう、ながいもむかご少量(12月14日)
E:生産者団体 ごぼう・ながいも混在換気なし(12月14日)
F:生産者 ごぼう換気なし(12月14日)
G:青果会社 ごぼう換気なし(5月27日)
G:青果会社 ごぼう換気なし(1月16日)
各施設の貯蔵設定温度
A:1~2℃
B:0~2℃
C:3~5℃
D:2~4℃
E:2~4℃
F:3~5℃
G:2~4℃
酸素(%)
図1
ごぼう、ながいも貯蔵施設の酸素、二酸化炭素濃度 (平成 24 年
(注)1
2
4℃
25
酸素
二酸化炭素
( )
酸 15 素
% 10 5 0 20
酸 15
素
% 10
5
5
( )
20 20
酸 15
素
% 10
二
酸
化
炭
素
濃
度
0
0
0
200
%
25
25
%
( )
%
( )
1月26日
1月12日
12月29日
12月15日
12月1日
11月17日
二 20
酸
化 15
炭
素 10
5
0
200
10 30 20 20 10 0 40 10 0 0 200 400 時間(h)
図4
600 0 0 200 400 600 200
400
600
時間(h)
1℃
CO2 (mg/kg/h)
20 30 0
600
50 4℃
CO2 (mg/kg/h)
CO2 (mg/kg/h)
CO2 (mg/kg/h)
30 400
◆:ごぼう、□:ながいも
11月25日収穫後1℃で冷蔵後、12月13日試験開始
50 40 5
図3 ごぼう密閉容器内の呼吸特性
(平成24年 青森野菜研、工業総研)
(注)1
2
10℃
600
1℃
時間(h)
図の網掛け期間:秋期入庫完了後の密閉期間
50 400
0
0
(注)1 調 査 期 間:平成 23 年 11 月 17 日~平成 24 年2月1日
40 200
時間(h)
4℃
(平成 24 年 青森野菜研、工業総研)
室温
0
600
二 20
酸
化 15
炭
素 10
図2 ごぼう貯蔵施設Aにおける酸素濃度変化
50 400
時間(h)
( )
10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 1℃
25
( )
25 2
青森野菜研、工業総研)
調査期間:平成 23 年 5 月~平成 24 年 2 月
( )内はガス採取月日、分析は採取翌日に実施
40 30 20 10 0 0 200 400 600 時間(h)
時間(h)
ごぼう密閉容器内の呼吸量変化
(平成24年
(注)1 ◆:ごぼう、□:ながいも
2 11月25日収穫後1℃で冷蔵後、12月13日試験開始
- 6 -
0 200 400 600 800 時間(h)
青森野菜研、工業総研)
事
ね
項
ら
黒毛和種種雄牛「光茂」の現場後代検定成績
黒毛和種種雄牛「光茂」は、平成24年度終了産肉能力現場後代検定において、肉質、肉
い 量ともに良好な成績を示し、特に、枝肉重量、ロース芯面積、バラ厚の3形質において歴
代1位の好成績を収めたので、質量兼備の優良種雄牛として、その供用について普及に移
す。
1「光茂」の概略
(1)登録番号:黒原5163(83.6)
(2)生年月日:平成19年8月15日
(3)産
地:青森県十和田市
(4)現場後代検定成績(n=17)
枝肉重量 ロース芯
2
(kg)
面積(cm )
484
59.0
項 目
光茂の平均値
普
及
現場後代検定実施済種雄牛45
頭の平均値(平成14~23年度)
る
内
容
脂肪交雑
(BMSNo.)
上物率
(%)
8.3
6.0
59
(1位)
(1位)
(1位)
(6位)
(10位)
424
52.1
7.3
5.2
44
(注) ( )内は、平成14~23年度に現場後代検定を実施した種雄牛45頭と比較した時の本牛の順位
(5) 血
す
バラ厚
(cm)
統
祖父:第 2 0 平 茂
気
高
父:平茂勝
(鳥取・八頭)
(鳥取・鳥取)
(鹿児島・薩摩)
祖母:ふ く み
宝
勝
光 茂
(鹿児島・曽於)
(鹿児島・鹿屋)
祖父:北 国 7 の 8
第 7 糸 桜
母:か ず ふ く
(島根・太田)
(島根・仁多)
(青森・十和田)
祖母:ふくこ2
安福165の9
(青森・十和田)
(岐阜・高山)
2 産肉形質の育種価評価結果(平成25年1月評価)
「光茂」は枝肉6形質のうち5形質で1.5σ(シグマ)を上回り、肉質、肉量ともに優れ
た産肉能力を示し、県基幹種雄牛の指定基準に適合した。
名号
光茂
枝肉重量
(kg)
97.2
(2.4σ)
ロース芯
面積(cm2)
13.96
(2.3σ)
バラ厚
(cm)
1.76
(3.4σ)
皮下脂肪厚
(cm)
-0.18
(0.4σ)
歩留り
(%)
2.07
(1.5σ)
脂肪交雑
(基準値)
2.02
(1.6σ)
(注)県基幹種雄牛の指定基準:脂肪交雑の育種価が1.5σ以上で、かつ、枝肉重量又
はロース芯面積が平均以上であること。
1 本牛の交配により、肉量の改善が期待される。
期 待 さ れ る 効 果 2 本牛は血統的に気高系、糸桜系、兵庫系の三系統交配により作出された種雄牛である
ことから、各系統の雌牛にも供用が可能であり、広範囲に活用できる。
利 用 上 の 注 意 事 項 1 近交係数が急激に高まるような交配は避けること。
2 初産牛への交配は、難産の可能性があるので注意すること。
問 い 合 わ せ 先 畜産研究所 和牛改良技術部(0173-26-3153)
対 象 地 域 県下全域
(電話番号)
発表文献等 あおもり農業平成25年6月号(掲載予定)
- 7 -
【根拠となった主要な試験結果】
表1 「光茂」産子の現場後代検定成績(n=17)
(平成22~24年度 青森畜産研)
血
統
皮下脂 脂肪交雑
格付等級
肪厚(㎝) BMS№
と殺月齢
枝肉重量
(㎏)
ロース芯
面積(cm2)
バラ厚
(㎝)
H24.8.20
28.8
498.0
61.0
8.7
1.7
9
A5
東京食肉市場
照神12 第1花国
H24.8.8
27.7
524.0
68.0
8.6
2.0
8
A5
東京食肉市場
去勢
松福美 第1花国
H24.7.2
27.4
435.0
57.0
7.5
2.0
4
A3
東京食肉市場
4 H22.4.4
去勢
糸北国
安平
H24.8.28
28.8
461.0
62.0
8.5
2.9
9
A5
三戸食肉センター
5 H22.5.6
去勢
谷水
丸優
H24.10.26
29.7
504.0
47.0
9.3
3.1
8
A5
東京食肉市場
6 H22.3.27
去勢
第1花国
紋次郎
H24.8.20
28.8
556.0
69.0
9.1
2.3
7
A4
東京食肉市場
7 H22.3.6
去勢
第1花国
福栄
H24.7.18
28.4
546.0
63.0
8.0
1.8
7
A4
東京食肉市場
8 H22.4.5
去勢
第1花国 美津福
H24.8.8
28.1
503.0
64.0
8.6
1.7
7
A4
東京食肉市場
9 H22.3.18
去勢
第1花国
雪国
H24.7.18
28.0
551.0
73.0
8.6
2.5
6
A4
東京食肉市場
10 H22.4.13
去勢
第1花国
谷茂
H24.9.4
28.8
458.0
47.0
7.5
2.4
5
A3
三戸食肉センター
11 H22.5.25
去勢
第1花国
紋次郎
H24.9.19
27.9
521.0
51.0
6.8
2.1
4
A3
東京食肉市場
12 H22.5.24
去勢
茂勝栄
第1花国
H24.5.28
24.2
499.5
60.0
9.8
2.1
10
A5
十和田食肉センター
28.1
504.7
60.2
8.4
2.2
7.0
番
生年月日
号
性
1 H22.3.27
去勢
菊谷
2 H22.4.17
去勢
3 H22.3.23
と殺月日
母の父
祖母の父
糸晴波
去勢の平均
と
場
13 H22.4.15
めす
第6金高
金山
H24.6.12
25.9
485.5
68.0
10.1
2.0
5
A3
十和田食肉センター
14 H22.3.13
めす
照神12
北国7の8
H24.11.7
31.9
405.0
44.0
6.8
1.4
3
A3
高松市食肉センター
15 H22.4.30
めす
菊安
寿高
H24.5.15
24.5
397.0
54.0
6.7
2.0
2
A2
東京食肉市場
16 H22.2.28
めす
北国7の8
安福165の H24.10.11
31.4
411.0
61.0
7.8
2.1
2
A2
十和田食肉センター
17 H22.4.15
めす
安茂勝
丸優
26.2
468.0
54.0
8.4
4.0
6
A4
東京食肉市場
28.0
433.3
56.2
8.0
2.3
3.6
484
59.0
8.3
2.2
6.0
4等級以上率
58.8%
17
5等級率
29.4%
H24.6.21
めすの平均
平均
17
n=
17
17
枝肉重量
3.0
1.5
脂肪交雑
ロ-ス芯
0.0
-1.5
-3.0
歩留まり
バラ厚
皮下脂肪厚
図1
「光茂」の育種価レーダーチャート
- 8 -
17
事
項
サイレージ用トウモロコシの奨励品種「サイレージコーンNS127(系統名KE7750)」の特
性
ね
ら
本県に適するサイレージ用トウモロコシの品種を選定するため、流通品種の生育特性及
い び収量性を検討した結果、「サイレージコーンNS127(系統名KE7750)」が既存の奨励品種に
比較して収量性に優れることを明らかとしたので、奨励品種として普及に移す。
1
普
及
す
る
来 歴
国内で育成されたややフリント×フリントの単交配F1品種であり、平成21年からカネ
コ種苗株式会社が販売している。
2 主な特性(標準品種「ゴールドデントKD670(系統名KD670)」との対比)
(1)初期生育は同程度で良好である。
(2)生育日数は4日程度遅い晩生品種である。
(3)倒伏折損の発生は同程度で、耐倒伏性に優れる。
(4)すす紋病の発生は同程度で、紋枯病の発生はやや高い。
(5)乾物収量は3か年平均で104%の多収を示す。茎葉収量が雌穂収量を上回る茎葉タイ
プの品種であり、TDN含有率は2%程度下回ると推定される。
内
容
期待される効果
サイレージ用トウモロコシの安定生産に資する。
普及上の注意事項
茎葉収量の割合が高いため、肉用繁殖雌牛への給与に適する。
問 い 合 わ せ 先 畜産研究所 酪農飼料環境部(0175-64-2791)
(電話番号)
発表文献等 平成24年度東北農業試験成績・計画概要集
- 9 -
対 象 地 域 下北・上北北部
を除く県下全域
【根拠となった主要な試験結果】
表1 「サイレージコーンNS127(KE7750)」の生育特性及び収量
(平成22~24年
品種
(系統名)
サイレージコーンNS127
(KE7750)
病害
生育
着雌
初期 絹 糸
黄熟期
稈長
倒伏 折損
すす 紋枯病
年次 生育 抽出期
日数
穂高
(年)
(月/日) (月/日) (日) (cm) (cm) (%) (%) 紋病 (%)
22
7.7
8/11
10/5 148
272
132
0.0
2.0
2.0
0.0
23
24
5.7
4.7
8/13 10/11 154
8/20 10/12 154
287
294
153
145
0.0 10.7
0.0 0.0
1.0
1.0
2.6
9.0
平均 6.0
22 7.0
8/15 10/10 152
8/8 10/5 148
284
280
143
141
0.0
1.3
1.3
2.7
3.9
2.6
4.2
5.1
青森畜産研)
乾物収量 雌穂 TDN
総重 標準比 割合 含有率
(%)
(%)
96 43.6
2,145 114 40.0
2,090 102 46.6
2,048 104 43.4
1,995 100 52.8
1,883 100 49.2
67.3
(kg/10a)
1,907
66.4
68.1
67.3
69.7
23 6.0
8/10 10/3 146
304 170 0.0 6.5 1.0
0.0
68.8
(KD670)
24 5.7
8/14 10/9 151
291 149 0.0 0.0 1.0
0.0
2,045 100 52.5 69.6
標準品種
平均 6.2
8/11 10/6 148
292 153 0.4 3.9 1.6
0.9
1,975 100 51.5 69.4
(注)1 初期生育は9(極良)~1(極不良)とする評点法による。
2 すす紋病は被害程度と被害面積に応じて1(無)~9(甚)とする評点法による。
3 紋枯病は罹病個体の全個体に対する割合。
4 TDN推定式:56.0+0.26×雌穂割合
ゴールドデントKD670
耕種条件
項 目
内 容
試験場所
畜産研究所内圃場(平成24年で連作5年目の圃場)
播 種 期
平成22年5月10日、平成23年5月10日、平成24年5月11日
栽植密度
施 肥 量
6,061本/10a(畝間75cm、株間22cm)
N-P2O5=10-10kg/10a、牛糞堆肥4,000kg/10a
除 草 法
播種直後に土壌処理剤、トウモロコシの2~4葉期に茎葉処理剤を散布
- 10 -
事
ね
項
ら
アカクローバの奨励品種「ナツユウ」の特性
アカクローバの奨励品種である「ホクセキ」が増殖中止となることから、これに代わる
い 品種を選定するため、流通品種について生育特性を調査した結果、「ナツユウ」が混播適性
及び永続性に優れることを明らかにとしたので、奨励品種として普及に移す。
1
普
及
す
る
内
来 歴
北海道農業試験場(現、(独)農業・食品産業技術総合研究機構北海道農業研究センタ
ー)及び北海道立根釧農業試験場((地独)北海道立総合研究機構農業研究本部根釧農
業試験場)で育成された4母系の多交配による品種である。
2 特性の概要(標準品種「ホクセキ」との対比)
(1)発芽の良否はやや劣る。
(2)越冬性は同程度である。
(3)開花程度は着花出現程度が低いことから小さい。
(4)混播草との競合力は、冠部被度がホクセキと同程度か下回って推移し、草丈も低い
ことから弱い。
(5)永続性は利用3年目晩秋における個体密度が高いことから優れる。
(6)混播草の乾物収量は3か年平均で1,043kg/10aと8%下回る。
(7)マメ科率は同程度である。
容
期待される効果
普及上の注意事項
粗飼料の安定生産に資する。
混播草のイネ科牧草はオーチャードグラスは晩生品種、チモシーは極早生及び早生品種
とし、播種量は0.3kg/10aとする。
問 い 合 わ せ 先 畜産研究所 酪農飼料環境部(0175-64-2791)
(電話番号)
発表文献等
- 11 -
対 象 地 域 県下全域
【根拠となった主要な試験結果】
表1 生育特性
(平成17~20年
発芽の
越冬性
良否
平成17年 3か年平均
5.8
5.2
品種名
ナツユウ
青森畜産研)
着花茎出現程度
3か年平均
1番草
2番草
3番草
1.0
3.3
2.5
個体密度
(株数/㎡)
平成20年
20.0
ホクセキ(標)
6.8
5.2
1.0
3.9
4.0
14.2
(注)1 発芽の良否及び越冬性は極不良1~極良9、着花茎出現程度は極少1~極多9とする評点法
冠部被度(%)
60
ナツユウ
ホクセキ
50
40
30
20
10
0
1番草
2番草
3番草
平成19年
1番草
2番草
3番草
平成20年
図1 刈取時におけるアカクローバの冠部被度
表2 草丈(cm)
(平成18~20年
平成18年
平成19年
平成20年
品種名
RC
OG
RC
OG
RC
OG
ナツユウ
46
76
60
86
54
84
ホクセキ(標)
52
79
67
88
55
88
(注)1 RC:アカクローバ、OG:オーチャードグラス
2 1~3番草の平均値
表3 総乾物収量及びマメ科率(kg/10a、%)
青森畜産研)
平均
RC
OG
53
82
58
85
(平成18~20年
青森畜産研)
品種名
ナツユウ
平成18年 平成19年 平成20年 平均 平成18年 平成19年 平成20年
1,004
1,084
1,042
1,043
15
35
8
(90)
(88)
(98)
(92)
ホクセキ(標)
1,114
1,228
1,061
1,134
16
34
6
(注)1 ()内は標準品種を100としたときの指数
2 平成18年のマメ科率は生草における値
耕種概要
1 試験場所 畜産研究所内圃場
2 播種期、播種様式、播種量
平成17年9月9日、散・混播、アカクローバ 0.3kg/10a、オーチャードグラス 2.0kg/10a
3 刈取期
1番草 オーチャードグラスの出穂期
再生草 オーチャードグラスの草丈が70~80cmに達した時点
4 施肥量
造成時 土壌改良資材 炭カル:pH6.5矯正量(改良深度15cm)、ようりん:P2O5で25kg/10a
基 肥 N-P2O5-K2O=各5kg/10a
利用年
(N-P2O5-K2O、kg/10a)
年次 早春 1番草後 2番草後
利用1年目 6.0-4.0-4.0 4.5-3.0-3.0
3.0-2.0-2.0
利用2年目以降 9.0-6.0-6.0 6.0-4.0-4.0
3.0-2.0-2.0
- 12 -
1
Ⅱ
指
導
参
考
資
料
事
項
水稲疎植栽培における「つがるロマン」、「まっしぐら」の生育診断基準に基づく追肥対
応
ね
ら
指
坪当たり37~50株の水稲疎植栽培は、従来の生育診断基準を適用できない。そこで、水
い 稲疎植栽培において「つがるロマン」、「まっしぐら」を追肥体系で栽培する場合の生育診
断基準を策定し、それに基づく追肥対応を明らかにしたので参考に供する。
1 「つがるロマン」の幼穂形成期における生育診断基準と追肥対応
(1) 目標とする㎡当たり籾数は、従来と同じ33,000~35,000粒とする。
(2) 目標籾数を確保するための生育診断基準と追肥対応
幼穂形成期の生育量
導
参
(草丈×㎡当たり茎数,
cm・本/㎡)
42,000 未満
考
42,000~50,000
内
幼穂形成期
の葉色値
追肥の対応
(SPAD502値)
-
40未満
幼穂形成期に
窒素成分で2kg/10a追肥
幼穂形成期から減数分裂期までに
窒素成分で2kg/10a追肥
40以上
50,000 超
-
追肥中止
容
2 「まっしぐら」の幼穂形成期における生育診断基準と追肥対応
(1) 目標とする㎡当たり籾数は、従来の最適籾数の37,000粒とする。
(2) 目標籾数を確保するための生育診断基準と追肥対応
幼穂形成期の生育量
追肥の対応
(草丈×㎡当たり茎数,
cm・本/㎡)
42,000 未満
幼穂形成期に
窒素成分で3kg/10a追肥
42,000~52,000
幼穂形成期から減数分裂期までに
窒素成分で3kg/10a追肥
52,000 超
追肥中止
期 待 さ れ る 効 果 水稲の高品位安定生産技術の指針となる。
1 全層穂肥1回体系で利用する。
利 用 上 の 注 意 事 項 2 「まっしぐら」では幼穂形成期の葉色値を生育診断基準にしない。
3 農林総合研究所田中圃場(灰褐色土壌)で得られた試験データを根拠にしている。
問 い 合 わ せ 先 農林総合研究所 作物部(0172-52-4396)
対 象 地 域 津軽地域
(電話番号)
発表文献等 平成23~24年度 試験成績概要集(農林総合研究所)
- 13 -
【根拠となった主要な試験結果】
つがるロマン
80
凡例
37株
精
玄 70
米
重 60
50株
30
10,000
㎏ 50
/
a 40
)
)
㎏ 50
/
a 40
(
(
精
玄 70
米
重 60
まっしぐら
80
33,000
20,000
30,000
40,000
㎡当たり籾数(粒)
30
10,000
50,000
100
90
80
70
20,000
30,000
40,000
㎡当たり籾数(粒)
50
10,000
50,000
4
3
20,000
30,000
40,000
㎡当たり籾数(粒)
50,000
20,000
30,000
40,000
㎡当たり籾数(粒)
50,000
4
5
甚
2
~
~
1
0
10,000
0
無
20,000
30,000
40,000
㎡当たり籾数(粒)
50,000
3
2
1
)
)
50,000
5
倒
伏
程
度
(
(
20,000
30,000
40,000
㎡当たり籾数(粒)
60
5
検
査
等
級
50,000
70
%
50
10,000
0
無
20,000
30,000
40,000
㎡当たり籾数(粒)
80
60
5
甚
50,000
90
登
熟
歩
合
%
倒
伏
程
度
20,000
30,000
40,000
㎡当たり籾数(粒)
100
( )
( )
登
熟
歩
合
37,000
0
10,000
5
1上
1上5
4
1中
1中
4
1中
検
査 1下
1下
3
等
級 2上
2上
2
1下
3
2上
2
2中
2中
2中
1
10,000
50,000
1
10,000
50,000
9
玄
米
タ
8
ン
パ
%
ク
7
質
含
有
6
率
10,000
( )
( )
9
玄
米
タ
8
ン
パ
%
ク
7
質
含
有
率 6
10,000
20,000
30,000
40,000
㎡当たり籾数(粒)
20,000
30,000
40,000
㎡当たり籾数(粒)
図1 37株と50株植えの㎡当たり籾数と収量・品質等の関係
(平成23、24年 青森農林総研)
(注)1 垂直破線は「つがるロマン」では慣行栽培における目標籾数、「まっしぐら」では最適籾数
2 水平破線は慣行栽培における収量・品質等の目標値又は許容値
・37株と50株ではほぼ同様の傾向。籾数の目標値を慣行栽培と同程度としても大きな問題はない。
- 14 -
つがるロマン
まっしぐら
45,000 45,000 40,000 40,000 35,000 ㎡
当 30,000 た
25,000 り
籾 20,000 数
15,000 粒
10,000 33,000
( )
( )
35,000 ㎡
当 30,000 た
25,000 り
籾 20,000 数
15,000 粒
10,000 37,000
凡例
幼形期
減分期
5,000 5,000 中止
42,000
50,000
42,000
0 20000
30000
40000
50000
幼穂形成期の生育量(草丈×㎡茎数)
52,000
0 20000
30000
40000
50000
幼穂形成期の生育量(草丈×㎡茎数)
図2 追肥対応別の幼穂形成期の生育量と㎡当たり籾数の関係(平成23、24年
(注) グラフは37株と50株植えの調査値から求めた近似直線。
青森農林総研)
・「つがるロマン」で目標籾数を得るために必要な幼穂形成期の生育量は、追肥をする場合では42,000
程度、追肥を中止する場合では50,000程度と推定される。
・「まっしぐら」で目標籾数を得るために必要な幼穂形成期の生育量は、追肥をする場合では42,000程
度、追肥を中止する場合では52,000程度と推定される。
・両品種とも、目標籾数を得るための幼穂形成期の生育量を確保している場合、追肥時期を幼穂形成期
から減数分裂期に変更しても籾数はほとんど変化しない。
つがるロマン
まっしぐら
70
80
65
75
70
収 65
量
㎏ 60
/
a 55
(
(
60
収 55
量
㎏ 50
/
a 45
35
)
)
40
凡例
幼形期
減分期
50
45
中止
30
20000
30000
40000
50000
幼穂形成期の生育量(草丈×㎡茎数)
40
20000
30000
40000
50000
幼穂形成期の生育量(草丈cm×㎡茎数)
図3 追肥対応別の幼穂形成期の生育量と収量の関係(平成23、24年 青森農林総研)
(注) グラフは37株と50株植えの調査値から求めた近似曲線。
・幼穂形成期の生育量が「つがるロマン」では42,000~50,000の間、
「まっしぐら」では42,000~
52,000の間の場合、追肥を中止すれば5kg/a程度減収する場合があると推定される。
- 15 -
つがるロマン
まっしぐら
5 4 倒
伏
程
度 3 (
4 倒
伏
程
度 3 5
甚 2 5
甚 2 0
無
0
無
(
5 ~
~
)
)
1 0 1 0 32
34
36
38
40
幼穂形成期の葉色値(SPAD502値)
42
32
34
36
38
40
幼穂形成期の葉色値(SPAD502値)
42
図4 幼穂形成期の葉色値と倒伏程度の関係
(平成24年 青森農林総研)
(注) 37株と50株植えで幼穂形成期又は減数分裂期に追肥した試験区のうち、幼穂形成期
の生育量が42,000以上の試験区。
・倒伏程度2以下に抑えるための幼穂形成期の葉色値は、「つがるロマン」では40未満と推定される。
「まっしぐら」では倒伏程度が0~1で、幼穂形成期の葉色値の上限は特定できない。
図5 幼穂形成期の生育量と草丈、葉色値、㎡当たり茎数の関係(平成23~24年 青森農林総研)
・両品種とも、生育量は㎡当たり茎数との関係が強い。
・幼穂形成期の葉色値は、生育量不足でも高い場合がある。
- 16 -
事
項
ね
坪当たりの栽植株数が37株から50株の水稲疎植栽培について、中苗を用いたときの移植
い 時における植付本数が収量、品質等に与える影響を明らかにしたので、参考に供する。
ら
中苗を用いた水稲疎植栽培の1株植付本数は4~6本を目安にする
1 栽植株数が坪当たり37株から50株の疎植栽培における1株植付本数は、4~6本を目
安にする。
指
導
参
考
(1)1株植付本数を4本としたときの幼穂形成期の㎡当たり茎数は、6本と比較してや
や少なく、葉色値は高くなる傾向である。
(2)1株植付本数を4本としたときの成熟期の㎡当たり穂数は、6本と比較してやや少
なく、1穂籾数がやや多くなる傾向であり、㎡当たり籾数は同等となる。また、登熟
歩合、千粒重は同等となる。
(3)収量、玄米品質及び食味は、1株植付本数が4本と6本でほぼ同等となる。
内
容
期待される効果
坪当たりの栽植株数が37株から50株の水稲疎植栽培の1株植付本数の参考になる。
1 移植時のかき取り本数を安定させるため、種子予措や播種作業、育苗管理を適正に行
利 用 上 の 注 意 事 項 い、苗立ちを揃える。
2 適正な水管理を行い、分げつの発生を促す。
問い合わせ先 農林総合研究所 作物部(0172-52-4396)
(電話番号)
発表文献等 平成23~24年度 試験成績概要集(農林総合研究所)
- 17 -
対 象 地 域 県内全域
【根拠となった主要な試験結果】
表1 幼穂形成期の生育量(平成23~24年
品種
つがるロマン
まっしぐら
青森農林総研)
茎数
株数
植付本数
草丈
生育量
葉色値
(株/坪)
(本/株)
(cm)
(本/株)
(本/㎡)
37
4
62.0
42.2
473
28,771
41.8
37
6
61.9
44.6
500
30,490
39.7
50
4
60.3
34.6
524
31,144
38.8
50
6
60.4
38.0
576
34,267
38.2
70
4
58.7
28.8
611
35,424
35.9
37
4
62.1
44.1
494
30,398
39.9
37
6
60.9
48.5
544
32,839
37.5
50
4
60.4
36.4
551
33,293
37.2
50
6
60.7
40.7
617
37,410
34.8
70
4
59.5
28.9
612
36,337
34.6
SPAD-502
(注)生育量は草丈×㎡当たり茎数から算出される指数
表2 収量及び収量構成要素(平成23~24年
品種
つがるロマン
まっしぐら
青森農林総研)
株数
植付本数
穂数
1穂籾数
籾数
登熟歩合
千粒重
収量
(株/坪)
(本/株)
(本/㎡)
(粒/穂)
(粒/㎡)
(%)
(g)
(kg/a)
37
4
363
92.9
33,564
87.5
22.7
61.0±6.9
37
6
371
90.3
33,256
87.3
22.8
61.5±5.5
50
4
368
87.0
32,001
88.1
22.8
60.2±4.4
50
6
404
84.9
34,336
86.3
22.8
62.9±5.1
70
4
414
83.1
34,455
85.5
22.9
62.9±4.5
37
4
376
83.7
31,424
92.0
22.7
60.3±3.1
37
6
394
79.1
31,078
91.3
22.7
60.0±3.1
50
4
409
78.8
32,178
91.1
22.8
62.5±4.2
50
6
440
75.1
33,082
91.1
22.8
64.4±3.4
70
4
434
74.4
32,314
90.0
22.8
63.1±2.7
(注)収量の数値は平均値±標準偏差
表3 玄米品質及び食味値(平成23~24年
品種
つがるロマン
まっしぐら
青森農林総研)
整粒歩合
玄米蛋白
含有率
(%)
(%)
3.3
80.8
7.4
74
6
4.0
80.1
7.3
74
50
4
3.1
80.9
7.2
75
50
6
3.8
80.7
7.2
75
70
4
3.4
80.2
7.2
75
株数
植付本数
(株/坪)
(本/株)
37
4
37
検査等級
食味値
37
4
2.0
83.0
7.1
74
37
6
1.8
82.5
7.0
75
50
4
2.0
83.9
6.9
75
50
6
2.0
81.5
7.0
74
70
4
1.8
83.1
7.0
74
(注)整粒歩合は穀粒判別器(RGQI20:サタケ社製)による測定値。検査等級は1上を1、規格外を10として数値化した(1
:1上、2:1中、3:1下など)
。玄米蛋白含有率及び食味値は米粒食味計(CTA10C:サタケ社製)による測定値
- 18 -
事
項
ね
飼料米用品種「みなゆたか」を浸種籾または催芽籾を用いて乾田直播栽培で生産する場
い 合について、各地域別に出穂後有効積算気温が高位で安定する播種晩限を検討したので、
その内容を参考に供する。
ら
飼料米用品種「みなゆたか」における浸種籾または催芽籾を用いた乾田直播栽培の播種
晩限
1
「みなゆたか」における乾田直播栽培の播種作業は、中南、三八地域では5月10日、
東青、西北、上北地域では5月15日までに終えることを目標にして、圃場条件が整い次
第早めに行う。
指
導
地域名
中南地域
三八地域
東青地域
西北地域
上北地域
播種晩限
5月10日
5月10日
5月15日
5月15日
5月15日
参
考
2
播種晩限までに播種した場合、試算される収量は㎡当たり籾数が多いほど多収になる。
内
容
期待される効果
利用上の注意事項
飼料米用品種「みなゆたか」の乾田直播栽培について、収量の高位安定化を図るための
播種晩限が示される。
1 「みなゆたか」を飼料米として生産する場合の指標であるため、他品種や食用米の生
産には適用できない。
2 乾籾播種には適用できない。出穂後有効積算気温は、浸種籾及び催芽籾を使用した場
合の数値である。
3 浸種籾は、積算水温で100℃を目安にする。
4 日平均気温から水稲の生育到達日を推定する簡便な予測式から算出した指標であり、
出穂後有効積算気温や試算される粗玄米重などの数値は、栽培条件等により変動する。
問い合わせ先 農林総合研究所 作物部(0172-52-4396)
(電話番号)
発表文献等 平成22~24年度 試験成績概要集(農林総合研究所)
- 19 -
対 象 地 域 県内全域(下北
地域を除く)
【根拠となった主要な試験結果】
100
350
出
穂
後
有 300
効
積
算
気
温 250
4
月
25 95
日
播
種
対
比 90
青東
中南
西北
青東
中南
三八
上北
三八
西北
上北
200
85
4/25
4/30
5/5
5/10
5/15
5/20
4/25
4/30
播種日(月日)
5/5
5/10
5/15
5/20
播種日(月日)
図1 各播種日の出穂後有効積算気温(℃・日)と4月25日播種に対する出穂後有効積算気温の比(%)
(平成23~24年 青森農林総研)
(注) 各播種日に対する出穂期は、1km四方メッシュ化した日平均気温のアメダス平年値を用いて「みなゆたか」の生育予測式から算出
した。また、出穂後有効積算気温は登熟の下限温度を13℃として、これを下回るまで登熟させる条件で算出した。
表1 出穂後有効積算気温から試算される㎡当たり籾数別の粗玄米重
(平成23~24年
粗玄米重(kg/a)
青森農林総研)
シンク容量(kg/a)
シンク充填率(%)
出穂後有効積算気温
(℃・日)
3.0万粒
3.5万粒
4.0万粒
3.0万粒
3.5万粒
4.0万粒
250
48.7
53.6
57.8
71
68
66
300
52.8
58.3
63.0
77
74
72
350
56.9
63.0
68.3
82
80
78
400
61.0
67.7
73.5
88
86
84
3.0万粒
3.5万粒
4.0万粒
69.0
78.8
88.0
(注)1 シンク容量=㎡当たり籾数×千粒重
2 シンク充填率は次式(y=0.1194x1-0.00049x2+55.4、y:シンク充填率、x1:出穂後有効積算気温、x2:㎡当たり籾数)から算
出した。
3 粗玄米重は次式(粗玄米重(kg/a)=シンク充填率(%)×シンク容量(㎡当たり籾数×精玄米の千粒重/1000(g)、kg/a)
から算出した。千粒重は、㎡当たり籾数が3.0万粒のとき23.5g、3.5万粒のとき23.0g、4.0万粒のとき22.5gとした。
4 各地点の出穂後有効積算気温は図2を参考にする。
播種日:4/25
播種日:4/30
播種日:5/5
播種日:5/10
播種日:5/15
播種日:5/20
出穂後有効積算気温
400
375
350
325
300
275
250
225
200
-
399
374
349
324
299
274
249
224
199
図2
播種日と出穂後有効積算気温(℃・日)
(平成23~24年
青森農林総研)
(注) 各播種日に対する出穂期は、1km四方メッシュ化した日平均気温のアメダス平年値を用いて「みなゆたか」の生育予測式から算出
した。また、出穂後有効積算気温は登熟の下限温度を13℃として、これを下回るまで登熟させる条件で算出した。
- 20 -
事
項
ね
浸種籾及び催芽籾を用いた水稲乾田直播栽培における「みなゆたか」の生育予測につい
い て検討したところ、実用可能な予測方法を明らかとしたので、その内容を参考に供する。
ら
浸種籾及び催芽籾を用いた水稲乾田直播栽培における飼料米用品種「みなゆたか」の生
育予測
1 播種日から出芽揃期は、有効積算気温法から予測を行う。また、出芽揃期から幼穂形
成期及び幼穂形成期から出穂期は、それぞれのDVRから予測を行う。
播種日
指
→ 出芽揃期 → 幼穂形成期 →
有効積算気温法
DVR
出穂期
DVR
導
2
出芽揃期の予測方法
出芽揃期は、下限温度を11.5℃とする播種日以降の有効積算気温が50℃・日に到達し
た日から予測する。
参
考
内
容
E=ΣTn=50
(注)1 E:出芽揃期までの有効積算気温(℃)
Tn=tn-11.5≧0
2 Tn:有効積算気温(℃)
3 tn:日平均気温
3
幼穂形成期及び出穂期の予測方法
幼穂形成期及び出穂期は、それぞれ出芽揃期及び幼穂形成期を起点としたDVRの積
算値(起点=0、到達日=1)から予測する。
4
生育ステージ到達予想日は、表計算ソフト「EXCEL」(マイクロソフト社:EXC
EL2007)で作成した「乾田直播栽培_生育予測」ファイルに、日平均気温及び播種日
を入力することで参照することができる。
5
期待される効果
「乾田直播栽培_生育予測」ファイルは、農林総合研究所作物部に問い合わせること
で入手できる。
日平均気温の推移から、乾田直播栽培における出芽揃期及び出穂期などの生育ステージ
到達予想日が参照でき、栽培管理上の一助となる。
1 乾籾播種には適用できない。
利 用 上 の 注 意 事 項 2 浸種籾は、積算水温で100℃を目安にする。
3 生育ステージ到達予想日は、日平均気温から水稲の生育到達日を推定する、簡便な予
測式から算出したものであり、各生育ステージ到達日は栽培条件等による変動すること
がある。特に、出芽揃期は、播種条件や播種後の天候による変動が大きい。
問い合わせ先 農林総合研究所 作物部(0172-52-4396)
(電話番号)
発表文献等 平成22~24年 試験成績概要集(農林総合研究所)
- 21 -
対 象 地 域 県内全域(下北
地域を除く)
【根拠となった主要な試験結果】
表1 播種日から出芽揃期までの有効積算気温(下限温度=11.5℃)
有効積算気温(標準偏差)
49.4 ℃・日 (15.1)
(注)平成20~22年の現地試験(26地点)から算出
0.035
0.07 みなゆたか
出芽揃期~幼穂形成期
0.030
みなゆたか
幼穂形成期~出穂期
0.06 DVR
DVR
0.025
0.020
0.05 0.04 0.015
0.03 0.010
0.02 0.005
0.01 0.00 0.000
10
15
20
平均気温(℃)
25
30
10
15
20
25
30
平均気温(℃)
図1 各生育ステージのDVR(平成22~24年 青森農林総研)
図2 「乾田直播栽培_生育予測」ファイルの画面と使用方法(平成24年
- 22 -
青森農林総研)
事
ね
項
リモートセンシングを利用して、広範囲で圃場ごとの刈取適期が推定できる
高品質米の生産には適期刈取りが重要である。近年問題となっている胴割米についても、
ら い 刈取りが遅れると発生が急増する。そこで、適期刈取りを支援する技術として、圃場ごと
の適期(成熟期)を広範囲で推定する方法を明らかとしたので、参考に供する。
1 収穫適期マップの作成手順
【実施:航測会社等】
指
(1) 速報版
収穫適期
マップ
撮影
導
参
収穫後~翌年
収穫時期
出穂後20日以降
マップ作成
(撮影後7日程度で完成)
・正規分布から推定
・GIS(地理情報システム)
と田区データを利用
しマップ化 (図1参照)
※作成するマップ
(1) (2)共通
① ほ場単位のマップ
圃場単位のマップ
② 生産組合単位のマップ
圃場+生産組合単位のマップ
③ ほ場+生産組合単位のマップ
マップ活用
(衛星
または
航空機)
現地調査
(2) 収穫適期
マップ
(30地点程度で
成熟期を調査)
マップ作成
(調査後3日程度で完成)
・関係式から推定
・GISと田区データを
利用しマップ化
(図2参照)
マップ活用
考
2 収穫適期マップの活用方法
活用時期
内
容
(1) 速報版
収穫適期
マップ
(2) 収穫適期
マップ
収穫時期
収穫後
~
翌年
【実施:JA・県等】
マップ種類
対象者
内容
マップ①
農家
マップ②
集荷施設 (JA)
各組合の刈取適期を参考に、地域全体
カントリー荷受け調整会議等
の荷受け計画を策定
マップ③
生産組合
各ほ場の刈取適期を参考に、集荷範囲
組合での刈取り調整会議等
の刈取り計画を策定
各圃場の刈取り適期の周知・刈取り指導 刈取り研修会・JA広報等
各ほ場の刈取適期の周知・刈取り指導
マップ①・③ 農家・生産組合 次年度に向けた適期刈取り指導
マップ②
活用場面
集荷施設 (JA) 次年度に向けた荷受け計画の調整
冬季農業講座、研修会等
カントリー荷受け調整会議等
3 タンパクマップとの併用メリット
画像が共用できる。タンパクマップ実施地域では、新たな撮影費用が生じない。
期待される効果
産米の品質の安定に寄与する
1 撮影は天候に左右される。撮影時に雲があった地域は推定できない。
利 用 上 の 注 意 事 項 2 稲が倒伏した圃場では、精度が低下する。
3 品種が異なる場合は同じ推定式が適用できないので、単一品種が広く栽培されている
地域での実施が望ましい。
問 い 合 わ せ 先 農林総合研究所 生産環境部
対 象 地 域 県下全域
(電話番号)(0172-52-4391)
発表文献等 平成21~24年度 試験成績概要集(農林総合研究所)
平成24年5月 日本リモートセンシング学会 第52回学術講演会論文集
- 23 -
【根拠となった主要な試験結果】
① ほ場単位
【 速報版 収穫適期マップの作成方法 】
画像データAの分布を、以下BとCを利用し、成熟期の正規分布に変換
A 画像データ (赤波長 660nm前後の反射率、
GISと田区データを用いて水田部分のデータだけを抽出)
B 平均日
(現行法 地域の平均出穂日+積算気温960℃到達日)
C 標準偏差 (前年までの「収穫適期マップ」 における成熟期分布の平年値)
ピ
ク
セ
ル
数
相対値
(A 画像データ)
絶対値
(成熟期正規分布)
ピ
ク
セ
ル
数
B 平均日
C 標準偏差
反射率 (%)
成熟期 (月日)
表1 速報版 収穫適期マップの精度
RMSE (日)
方法 (内容)
速報マップ (平均日:現行法の値、 SD:平年値)
(参考)
WorldView-2衛星(660nm)
平成23年
(n=27)
2.4
(平均日:現行法の値、 SD:最小値)
現 行 法 (地域の平均出穂日+960℃)
(参考)
平成24年
(n=33)
2.6
2.7
2.7
4.2
3.5
3.9
3.0
(ほ場ごとの出穂日+960℃)
(注) 1 RMSE = √∑(予測値-実測値) 2 /個数 ← 精度の指標(値が小さいほど精度高い)
2 SD (標準偏差) 平年値 2.8、最小値 2.3 (平成19~23年の5年間)
3 品種 つがるロマン
図1 速報版 収穫適期マップ(①圃場単位 平成24年)
① ほ場単位
(平成23~24年
青森農林総研)
【 収穫適期マップの作成方法 】
AとBから推定式を作成し、画像データAを成熟期に変換
A 画像データ (赤波長 660nm前後の反射率、調査地点のデータを抽出)
B 現地調査データ (調査地点の成熟期、30地点程度)
9月18日
B
成
熟
期
平成24年
9月14日
y = -9.266x + 41205
r = - 0.79 ***
9月12日
9月10日
(
実
測
値
9月16日
9月8日
9月6日
(n=33)
)
9月4日
3.5
4.0
4.5
5.0
5.5
A 画像データ (660nm反射率% )
表2 収穫適期マップの精度
平成19年
航空機
(n=48)
WorldView-2衛星(660nm)
相関係数 (r)
-0.81
***
20年
航空機
(n=32)
-0.81
***
21年
衛星
(n=35)
-0.82
***
22年
衛星
(n=25)
-0.61
***
23年
衛星
(n=27)
-0.81
***
24年
衛星
(n=33)
-0.79
***
平均
(H19~24)
-0.78
(注) 1 平成22年の相関係数の低下は倒伏の影響。 2 品種 つがるロマン
図2 収穫適期マップ( ①圃場単位 平成24年)
② 生産組合単位
(平成19~24年
③ ほ場+生産組合単位
青森農林総研)
←図3
収穫適期マップ
左:②生産組合単位
右:③圃場+生産組合単位
(平成24年 青森農林総研)
(参考)
撮影料金(新規) 100k㎡当たり
①衛星(高解像度)
72万円
②航空機(高解像度) 300万円
WorldView-2衛星(660nm)
WorldView-2衛星(660nm)
- 24 -
※マップの作製を業者に依頼する
場合は、画像解析料が別途必要
となる(30万円程度/100k㎡)
事
項
イネばか苗病発生圃場からの胞子飛散が周辺圃場の種子保菌に及ぼす影響
近年、減農薬栽培の増加に伴い、イネばか苗病が県内各地で散見されている。本病は種
ね
ら
い 子伝染性病害であり、発病・枯死した株(写真)からの胞子飛散による種子感染が主要伝
染経路である。そのため、採種圃への胞子飛散による汚染が懸念されている。
そこで、イネばか苗病発生圃場の周辺圃場からサンプリングした種子の保菌状況を調査
した結果、周辺圃場の種子の保菌に与える影響について明らかにしたので、参考に供する。
1
距離との関係
種子の保菌状況は、発生圃場に近いほど多く、
距離が遠くなるにしたがい、指数関数的に減少
指
する。
導
2
伝染源の規模による違い
種子の保菌状況にみられる連続的な減少は、
参
伝染源の発生規模(発生面積と枯死株率)によ
り異なり、発生規模の大きい場合は伝染源から
考
200m程度離れても見られることある。
内
容
写真
白色粉状の胞子が大量に形成さ
れた枯死株
期待される効果
採種圃場周辺でイネばか苗病が発生した場合、採種圃への影響の目安として活用できる。
1
利用上の注意事項
種子の保菌状況は、育苗試験による発病で評価しているため、浸種中の二次感染や未
発病の保菌籾などにより、「真の保菌状況」とは異なる可能性がある。
2
イネばか苗病は空気伝搬するので、微気象風向などにより、伝染源から離れた地点で
も種子が感染する可能性がある。
問 い 合 わ せ 先 農林総合研究所
病虫部(0172-52-4314)
対 象 地 域 県下全域
(電話番号)
平成23年度東北農業試験研究成果情報(宮城古川農試、青森農林総研)
発表文献等 平成20年北日本病害虫研究会報第59号
平成21年北日本病害虫研究会報第60号
- 25 -
【根拠となった主要な試験結果】
発病苗率(%)
事例1:甚発生圃場の周辺圃
場から採種
伝染源の枯死株率:10.7%
(徒長株含む)
伝染源の発生面積:190a
採種年:平成18年
採種地:一般圃場
30 南西(550mまでサンプリング)
25 北東(820mまでサンプリング)
20 西(180mまでサンプリング)
15 白抜きマーカーは無発病を示す
10 5 0 0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
伝染源圃場からの距離(m)
事例2:多発生圃場の周辺圃
場から採種
伝染源の枯死株率:16.4%
伝染源の発生面積:7.2a
採種年:平成23年
採種地:境松圃場
発病苗率(%)
16 14 南東A(78mまでサンプリング)
南東B(78mまでサンプリング)
東トラップ(210mまでサンプリング)
北トラップ(100mまでサンプリング)
12 10 8 白抜きマーカーは無発病を示す
6 4 2 0 0
50
100
150
200
伝染源圃場からの距離(m)
伝染源圃場からの距離(m)
5
発病苗率(%)
事例3:中発生圃場の周辺圃
場から採種
伝染源の枯死株率:16.2%
伝染源の発生面積:5.9a
採種年:平成21年
採種地:境松圃場
北西(100mまでサンプリング)
4
白抜きマーカーは無発病を示す
3
2
1
伝染源圃場からの距離(m)
0
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
伝染源圃場からの距離(m)
発病苗率(%)
事例4:少発生圃場の周辺圃
場から採種
伝染源の枯死株率6.5%
伝染源の発生面積:1.6a
採種年:平成19年
採種地:境松圃場
1m地点は発病苗率17.1%
のため省略。
5
北(30mまでサンプリング)
4
西(30mまでサンプリング)
北西(100mまでサンプリング)
3
白抜きマーカーは無発病を示す
2
1
0
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
伝染源圃場からの距離(m)
図
イネばか苗病発生圃場の周辺圃場から採種した種子の発病状況
(注)1 事例1から4は発生規模(発生面積と枯死株率)の大きさ順とした。
2 品種は「つがるロマン」ほか、供試籾は採種後、水選、無消毒で翌年に播種
- 26 -
事
項
水稲の湛水直播栽培で種籾を過酸化カルシウム剤(カルパー粉粒剤16)でコーティング
する際に、殺虫剤を同時湿粉衣するとイネミズゾウムシを省力的に防除できる
水稲の湛水直播栽培では、移植栽培で用いられる育苗箱施用剤のような簡便な防除方法
ね ら い がなかったが、種籾を過酸化カルシウム剤でコーティングする際、殺虫剤の水和剤粉末を
同時に湿粉衣することで、省力的にイネミズゾウムシを防除できることを確認したので、
防除対策上の参考に供する。
1 使用方法
(1)高精度自動コーティングマシンを使用する場合
全工程の1/3が経過した頃(等倍でのコーティングの場合、コーティング処理開始5
指
分後頃)に、回転中のドラム内に所定量の水和剤を少しずつ速やかに投入する。なお、
処理時間はコーティングマシンに規定された時間どおりとし、薬剤の追加投入による
導
時間変更は必要ない。
(2)コーティングマシンを使用する場合
参
ア コーティング処理に必要な過酸化カルシウム剤を3つに小分けし、内1つに所定
量の水和剤を入れ攪拌、混合したものを作成する。
考
イ 最初に過酸化カルシウム剤を粉衣し、次に前述の混合剤を粉衣、最後に再び過酸
化カルシウム剤を粉衣する。
内
2 処理後のコーティング種子
いずれの場合も処理後は右図のように、水和剤の混和層が籾側と最外側層の間になる。
容
3 使用薬剤および使用量
現在、この方法で使用できる薬剤はアドマイヤー水和剤の登録があり、その使用量は
種もみ3kg当り200gである。
過酸化カルシウム剤のみの層
籾
薬剤を混和した層
図 コーティング種子の模式図
期待される効果
イネミズゾウムシ常発地での湛水直播栽培において、安定生産が期待される。
利用上の注意事項 1
2
3
4
本剤を直接籾に処理すると薬害を生じる恐れがある。
薬剤投入時に薬剤が飛散するので、吸引を防ぐため防塵マスクやゴーグルを着用する。
本資料は平成25年3月1日現在の農薬登録内容に基づいて作成した。
農薬を使用する場合は、必ず最新の「農薬登録情報検索システム」(http://
www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm)を確認すること。
問 い 合 わ せ 先 農林総合研究所 病虫部(0172-52-4314)
対 象 地 域 県下全域
(電話番号)
発表文献等 平成24年度 試験成績概要集(農林総合研究所)
- 27 -
【根拠となった主要な試験結果】
表1 イネミズゾウムシの茎葉被害に対するアドマイヤー水和剤の防除効果(平成24年 青森農林総研)
6月8日
区名
成虫数
(頭/㎡)
処理区
被害葉率
(%)
6月14日
成虫数
(頭/㎡)
対無処理比
被害葉率
(%)
対無処理比
0.4
0.5
12
4.4
3.0
21
0
4.0
100
2.2
14.2
100
無処理区
(続き)
6月22日
区名
成虫数
(頭/㎡)
被害葉率
(%)
6月29日
成虫数
(頭/㎡)
対無処理比
被害葉率
(%)
対無処理比
処理区
1.5
6.1
38
0
5.0
49
無処理区
1.9
16.2
100
1.5
10.2
100
(注)1 処理日、処理方法:平成24年5月8日に乾燥種籾重と同量の過酸化カルシウム剤とアドマイヤー水和剤を高精度自動
コーティングマシン(初田工業社HCT200)を用いて同時湿粉衣
2 試験場所:農林総研D5①~⑥圃場 1区115㎡(5×23m) 3 播種日:平成24年5月11日 条播機で10aあたり5kg播種 水管理:平成24年5月25日に湛水
4 発生状況:少発生(6月12日に各調査地点あたり20頭放虫)
5 調査区:両区とも1ほ場あたり1か所、それぞれ計3か所調査地点を設置し、1か所あたり3m(0.9㎡)を調査
6 成虫、被害葉率調査:6月8日、14日、22日、29日に、成虫数及び被害葉数を調査、数値はいずれも3反復の平均値
表2 イネミズゾウムシの根部被害に対するアドマイヤー水和剤の防除効果(平成24年 青森農林総研)
根部寄生虫数(5か所の合計)
区名
若齢
老齢
幼虫計
土まゆ
(蛹)
対無処理比
薬害
なし
幼虫と蛹の合計
0
0
0.3
0.3
0.3
0.6
2
3.7
6.0
19.3
29.0
2.3
31.3
100
処理区
無処理区
中齢
(注)1 調査区:表1と同様
2 根部寄生幼虫・蛹数調査:7月17日に直径14cmの株抜き機で1調査地点あたり5か所を掘り取り、根部に寄生している
幼虫及び土まゆ(蛹)数を調査、数値はいずれも3調査区の平均値
(参考)
アドマイヤー水和剤
100g入り1袋 約890円、10a当たり5kg播種で約2,966円
- 28 -
事
ね
ら
項
観賞用橙色葉水稲品種「青系観177号」の特性
い
新たな葉色の観賞用水稲として、葉が橙色の品種を育成したので、その特性を指導上の
参考に供する。
1
主要特性の概要(
「つがるロマン」対比)
(1)形態的特性
ア
移植時の苗丈は短く、葉色は緑色が極淡く、葉身の端が赤紫色又は赤銅色を呈す
る。
イ
生育の初期は草丈が短く、茎数は極少なく、葉色は新葉は黄緑色で次第に葉先か
ら紫色がかすり状に入り赤紫色が広がる。
ウ
生育中期以降になると、葉身基部は黄緑色で葉身は赤紫色又は赤銅色で葉先ほど
色が濃い。
指
エ
出穂期頃から成熟期にかけては、葉先から葉身基部にかけて赤紫色から淡緑色の
グラデーションで全体に橙色に見える。
導
参
オ
稈長は極短く、穂長も短く、穂数は少なく、極短稈中間型の粳種である。
カ
稈は硬く、耐倒伏性は「強」である。
キ
籾及び玄米千粒重は軽い。
(2)生態的特性
考
内
ア
出穂期、成熟期は20日程度遅い「晩生」に属する。
イ
障害型耐冷性は「極弱」である。
ウ
いもち病真性抵抗性遺伝子型は「+」と推定され、圃場抵抗性は葉いもちは「や
や弱」、穂いもちは不明である 。
容
エ
2
穂発芽性は「やや難」である。
観賞用・景観用としての特性
(1)葉色が赤紫色から淡緑色のグラデーションで全体的には橙色に見えることから、観
賞用・景観用に向き、田んぼアート等では橙色として利用することが出来る。
(2)葉の橙色の見頃は、最高分げつ期から成熟期頃である。
3
栽培上の留意事項
(1)播種量は、千粒重が軽いため、中苗の場合55g/箱程度とする。
(2)いもち病抵抗性は弱いので、基本防除を徹底する。
期待される効果
田んぼアート等の図柄の配色が拡大される。
利用上の注意事項
種子の配付は、青森県産業技術センターホームページ上で、価格、配付条件等を公開
し行う。
問い合わせ先 農林総合研究所 水稲品種開発部(0172-52-4312) 対 象 地 域 県下全域
(電話番号)
発表文献等 平成21年度 水稲新配付系統成績書
平成21年度 試験成績概要集(農林総合研究所)
- 29 -
【根拠となった主要な試験結果】
表1「青系観177号」の特性一覧表
(平成21~24年
組合せ
黄色稲/短稈紫稲
調査地
水稲品種開発部(黒石市)
品種名
青系観177号
つがるロマン
(基準)
べにあそび
(比較)
晩生
極短稈
中間型
中生中
中短稈
偏穂重型
晩生
極短稈
中間型
8.25
10.9
61.0
13.0
286
8. 5
9.18
85.8
18.6
381
8.10
9.30
60.7
18.9
352
橙色
緑
鮮やかな濃いピンク色
中
短
やや疎
紫
紫
難
強
やや難
極弱
形質
早晩性
草型
出穂期(月.日)
成熟期(月.日)
稈長(cm)
穂長(cm)
穂数(本/㎡)
葉色
青森農林総研)
(淡緑~赤紫のグラデーション)
芒の多少
長短
粒着密度
穎色
ふ先色
脱粒性
耐倒伏性
穂発芽性
障害型耐冷性
いもち病抵抗性
推定遺伝子型
葉いもち
穂いもち
無
-
極密
黄金
紫
難
強
やや難
極弱
中
短
やや密
黄白
白
難
中
やや難
やや強
+
やや弱
不明
Pia,Pii
Pia
やや強
中(やや強)
やや弱
やや弱
千粒重 籾(g)
玄米(g)
13.6
12.4
26.4
22.3
25.1
20.7
(注)1 いずれも標肥区(N成分、0.6+0.2 kg/a)の結果である。
2 いもち病圃場抵抗性は、東北新基準(平成14年3月制定)による判定。(
よる判定。
写真1
生育初期
写真2
生育中期
写真3
成熟期
)内は従来基準に
写真4 平成24年度田舎館村田んぼアート
(帯の部分などが「青系観177号」
)
- 30 -
事
ね
ら
項
観賞用赤穂水稲品種「青系観178号」の特性
い
新たな観賞用水稲として、穂が赤茶色の品種を育成したので、その特性を指導上の参考
に供する。
1
主要特性の概要(
「つがるロマン」対比)
(1)形態的特性
ア
移植時の苗丈はやや短く、葉色はやや淡い。
イ
生育の初期は草丈が並みかやや長く、茎数及び葉色は並みである。
ウ
出穂直後の穂は緑色であるが、徐々に発色し、穂揃い期には芒と穎花は黄金色で、
登熟が進むにつれて赤みを帯び、成熟期には赤茶色に変化する。
指
導
エ
稈長はやや短く、穂長はやや長く、穂数は並みの中短稈偏穂重型の糯種である。
オ
稈はやや太く、稈質は並みで、耐倒伏性は「やや強」である。
カ
籾及び玄米千粒重は並みである。
(2)生態的特性
参
考
ア
出穂期はやや早く、成熟期は1日程度遅い「中生の早」に属する。
イ
障害型耐冷性は「やや強」である。
ウ
いもち病真性抵抗性遺伝子は「Pia,Pii」を持つと推定され、圃場抵抗性は葉いも
ち、穂いもちともに「極強」である 。
エ
穂発芽性は「中」である。
内
2
容
観賞用・景観用としての特性
(1)穂揃い期に芒と穎花が黄金色で、登熟が進むにつれて赤みを帯び、成熟期には赤茶
色に変化する。
(2)穎色の見頃は、穂揃い期から成熟期頃である。
3
栽培上の留意事項
育苗期から出穂期にかけては、一般品種との識別性がないので、苗の取り違えや混植
等に注意する。
期待される効果
田んぼアート等では、出穂期以降新たな図柄を出現させることが出来るため、表現・演
出方法等の拡大が期待される。
利用上の注意事項
種子の配付は、青森県産業技術センターホームページ上で、価格、配付条件等を公開
し行う。
問い合わせ先 農林総合研究所 水稲品種開発部(0172-52-4312) 対 象 地 域 県下全域
(電話番号)
発表文献等 平成21年度 水稲新配付系統成績書
平成21年度 試験成績概要集(農林総合研究所)
- 31 -
【根拠となった主要な試験結果】
表1「青系観178号」の特性一覧表
(平成18年、21年~24年
組合せ
黒紫糯1876/黒1900
調査地
水稲品種開発部(黒石市)
品種名
青森農林総研)
青系観178号
つがるロマン
(基準)
まっしぐら
(比較)
中生早
中短稈
偏穂重型
中生中
中短稈
偏穂重型
中生中
短稈
偏穂重型
出穂期(月.日)
成熟期(月.日)
稈長(cm)
穂長(cm)
穂数(本/㎡)
8. 5
9.21
80.1
19.5
404
8. 6
9.20
85.9
18.4
408
8. 5
9.19
79.6
18.0
415
葉色
芒の多少
長短
粒着密度
穎色 穂揃期
成熟期
ふ先色
脱粒性
耐倒伏性
穂発芽性
障害型耐冷性
いもち病抵抗性
推定遺伝子型
葉いもち
穂いもち
緑
極多
やや短
中
黄金
赤茶
褐
難
やや強
中
やや強
緑
中
短
やや密
緑
黄白
白
難
中
やや難
やや強
緑
少
極短~短
やや密
緑
黄白
白
難
強
難
やや強
Pia,Pii
Pia,Pii
Pia,Pii
極強
極強
やや強
中(やや強)
強
やや強(強)
27.6
23.0
26.4
22.2
27.4
22.4
形質
早晩性
草型
千粒重 籾(g)
玄米(g)
(注)1 いずれも標肥区(N成分、0.6+0.2 kg/a)の結果である。
2 いもち病圃場抵抗性は、東北新基準(平成14年3月制定)による判定。(
よる判定。
写真1
出穂直後
写真2
穂揃い期
- 32 -
写真3
)内は従来基準に
成熟期
事
ね
ら
項
観賞用紫穂水稲品種「青系観179号」の特性
い
新たな観賞用水稲として、穂が紫色の品種を育成したので、その特性を指導上の参考に
供する。
1
主要特性の概要(「つがるロマン」対比)
(1)形態的特性
ア
移植時の苗丈は並みで、葉色は淡い
イ
生育の初期は草丈が並みかやや長く、茎数は並みで葉色はやや淡い。
ウ
出穂直後は穎花の上部が紫色で、徐々に穎花全体が紫色となり、穂揃期から傾穂
期にかけて芒と穎花が鮮やかな濃い紫色となって全体的に葉の緑色と穂の濃紫色が
鮮やかなコントラストを呈し、成熟期には紫色となる。
指
エ
稈長は短く、穂長は並みかやや長く、穂数は多い短稈中間型の糯種である。
オ
稈はやや太く、稈質は並みで、耐倒伏性は「やや強」である。
カ
籾及び玄米千粒重はやや軽い。
導
(2)生態的特性
参
考
ア
出穂期は3日程度遅く、成熟期は4日程度遅い「中生の晩」に属する。
イ
障害型耐冷性は「やや強」である。
ウ
いもち病真性抵抗性遺伝子は「Pia」を持つと推定され、圃場抵抗性は葉いもち、
穂いもちともに「極強」である。
エ
内
容
2
穂発芽性は「やや易」である。
観賞用・景観用としての特性
(1)穂揃い期から傾穂期にかけて芒と穎花が鮮やかな濃い紫色となり、全体的に葉の緑
色と穂の濃紫色が鮮やかなコントラストを呈する。
(2)穎色の見頃は、穂揃い期から成熟期頃である。
3
栽培上の留意事項
育苗期から出穂期までは、一般品種との識別性がないので、苗の取り違えや混植等に
注意する。
期待される効果
田んぼアート等では、出穂期以降新たな図柄を出現させることが出来るため、表現・演
出方法等の拡大が期待される。
種子の配付は、青森県産業技術センターホームページ上で、価格、配付条件等を公開
し行う。
問い合わせ先 農林総合研究所 水稲品種開発部(0172-52-4312) 対 象 地 域 県下全域
(電話番号)
発表文献等 平成21年度 水稲新配付系統成績書
平成21年度 試験成績概要集(農林総合研究所)
利用上の注意事項
- 33 -
【根拠となった主要な試験結果】
表1「青系観179号」の特性一覧表
(平成18年、21年~24年
組合せ
黒紫糯1876/黒1900
調査地
水稲品種開発部(黒石市)
品種名
青森農林総研)
青系観179号
つがるロマン
(基準)
まっしぐら
(比較)
中生晩
短稈
中間型
中生中
中短稈
偏穂重型
中生中
短稈
偏穂重型
出穂期(月.日)
成熟期(月.日)
稈長(cm)
穂長(cm)
穂数(本/㎡)
8. 9
9.24
76.5
18.9
445
8. 6
9.20
85.9
18.4
408
8. 5
9.19
79.6
18.0
415
葉色
芒の多少
長短
粒着密度
穎色 穂揃~傾穂期
成熟期
ふ先色
脱粒性
耐倒伏性
穂発芽性
障害型耐冷性
いもち病抵抗性
推定遺伝子型
葉いもち
穂いもち
緑
極多
短
中
濃紫
紫
紫
難
やや強
やや易
やや強
緑
中
短
やや密
緑
黄白
白
難
中
やや難
やや強
緑
少
極短~短
やや密
緑
黄白
白
難
強
難
やや強
Pia
Pia,Pii
Pia,Pii
極強
極強
やや強
中(やや強)
強
やや強(強)
千粒重 籾(g)
玄米(g)
24.6
20.8
26.4
22.2
27.4
22.4
形質
早晩性
草型
(注)1 いずれも標肥区(N成分、0.6+0.2 kg/a)の結果である。
2 いもち病圃場抵抗性は、東北新基準(平成14年3月制定)による判定。(
よる判定。
写真1
出穂期
写真2
穂揃い期
- 34 -
写真3
)内は従来基準に
成熟中期
事
項
小麦品種「ネバリゴシ」の開花期尿素葉面散布は子実タンパク質含有率の適正化と収量及
び容積重の向上に効果がある
「ネバリゴシ」のような日本めん用小麦では実需者が求める子実タンパク質含有率9.7~
ね
ら
い 11.3%、容積重840g/L以上等の品質基準が策定されている。
小麦品種「ネバリゴシ」について穂揃期の生育診断に基づく開花期尿素葉面散布技術は、
子実タンパク質含有率の適正化に加え、収量(精子実重)と容積重の向上効果があることを
明らかにしたので参考に供する。
1
尿素葉面散布法
(1)生育診断時期:穂揃期
(2)調査項目と診断法
生育診断値=
穂揃期の草丈(cm)×穂揃期の葉色値(上位2葉目をSPAD-502で測定)
指
穂数(本/㎡)
(3)生育診断結果と追肥対応
導
ア
診断値が5.5~7.5未満の場合、追肥窒素総量は4kg/10aとする。
[追肥方法]尿素4%液(110L/10a)を開花期と開花期7日後頃に葉面散布。
参
(約2ポイントの子実タンパク質含有率の向上が期待できる。)
イ
考
診断値が7.5~9.5未満の場合、追肥窒素総量は2kg/10aとする。
[追肥方法]尿素2%液を(110L/10a)を開花期と開花期7日後頃に葉面散布。
(約1ポイントの子実タンパク質含有率の向上が期待できる。)
内
ウ 診断値が9.5以上の場合。
穂揃期以降の窒素追肥は行わない。
容
2
尿素葉面散布が収量と容積重に及ぼす影響
精子実重は追肥により向上するが、追肥窒素総量が4kg/10aの場合は穂数約400本以
上で向上する。また、容積重も追肥により向上する。
期待される効果
「ネバリゴシ」の子実タンパク質含有率の適正化による品質安定化。
利用上の注意事項
2~6%の尿素葉面散布により、葉の褐点や葉先枯れが発生する場合があるが、収量及
び品質への影響はみられていない。
問い合わせ先 農林総合研究所
生産環境部(0172-52-4391)
(電話番号)
発表文献等 平成20~24年度
試験成績概要集(農林総合研究所)
- 35 -
対 象 地 域 県下全域
【根拠となった主要な試験結果】
図1 穂揃期の生育診断値と追肥対応(平成21、22、24年、青森農林総研)
(注)1 図中の回帰式、相関係数は無追肥の場合。有意性水準は5%。
2 子実タンパク質含有率はケルダール法により得られた数値に5.70を乗じた。
3 生育診断値(穂揃期):草丈×葉色値/穂数 (cm*SPAD/本(/㎡))
900
70
無追肥
無追肥
2kg追肥
2kg追肥
60
4kg追肥
880
線形 (無追肥)
精
子 50
実
重
40
線形 (2kg追肥)
容
積 860
重
線形 (4kg追肥)
4kg追肥
(
(
品質
基準
840g
/L
以上
線形 (無追肥)
線形 (2kg追肥)
線形 (4kg追肥)
g
/ 840
L
kg
)
)
/ 30
a
820
20
800
10
100
200
300
400
500
600
100
300
500
穂数(本/㎡)
穂数(本/㎡)
図2 穂数と精子実重
(平成22~24年、青森農林総研)
(注)篩目は2.2mm。
- 36 -
図3 穂数と容積重
(平成22~24年、青森農林総研)
事
ね
項 ディスク駆動式汎用型不耕起播種機(MA社
狭畦播種栽培の特徴
ら
指
導
い
県内で普及しつつある水稲乾田直播栽培に使用できるディスク駆動式汎用型不耕起播種
機の大豆栽培に利用したときの作業性、収量性等を確認したので参考に供する。
1 作業性
(1)播種作業
慣行のロータリシーダに比べ1.6倍速い。
(2)10a当たり作業労働時間
慣行栽培の52%と省力的である。
2
参
考
内
容
NSV600B)を用いた大豆「おおすず」の不耕起
苗立ち本数
播種期別の目標苗立ち本数を確保するよう設定する。
播種期
目標苗立ち本数
条間
株間
5月下旬
20本/㎡程度
30㎝
16~17㎝
6月中旬
24~30本/㎡程度
30㎝
11~14㎝
3 茎疫病対策
(1)不耕起の土壌は硬く、播種溝に滞水し、土壌水分が高く保たれるため、茎疫病が発
生しやすくなる。
(2)明きょ等の排水対策を行い、地表面排水を促すために前年秋耕起することで、土壌
水分を低下させることができ、茎疫病の発生を低減できる。
4
収量性
コンバインによる全刈り収量は慣行栽培対比105%程度である。
5
生産費
10a当たり生産費は慣行栽培対比95%である。
期待される効果 1
2
利用上の注意事項 1
水稲乾田直播と汎用利用することで機械コストを低減できる。
播種作業が速く、中耕培土作業を省略するため、大豆作付規模の拡大が期待できる。
過去に大豆栽培において茎疫病の発生前歴のある圃場、排水不良圃場ではこの播種法
を避ける。
2 茎疫病対象のチアメトキサム・フルジオキソニル・メタラキシルM水和剤(クルー
ザーMAXX)の種子処理を行い、6月中旬以降に播種することで梅雨時期の茎疫病
罹病リスク低減を期待できる。
3 播種作業速度が高速になると、播種量が少なくなる傾向があるので、試運転などで事
前に播種量を確認する。
4 本試験は転換初年目の圃場で実施したものである。
5 本資料は平成25年3月1日現在の農薬登録内容に基づいて作成した。農薬を使用する
場合は、必ず最新の「農薬情報」(http://www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm)を
確認すること。
問 い 合 わ せ 先 農林総合研究所 作物部(0172-52-4397)
対 象 地 域 津軽地域
(電話番号)
発表文献等 平成22~24年度 試験成績概要集(農林総合研究所)
- 37 -
【根拠となった主要な試験結果】
表1 労働時間(時間/10a)
(平成24年 青森農林総研)
作 業 不耕起 慣行
)
慣行
H23
不耕起
H22
慣行
不耕起
慣行
不耕起
0.0 H24
図1 播種及び収穫作業の作業速度
(平成22~24年 青森農林総研)
0.5
0.4
0.3
0.8
0.2
0.9
5.7
0.1
0.7
9.6
(100)
㎏
/ 30
a 25
)
m
0.4 /
s 0.2 0.5
-
0.3
0.6
0.2
-
2.6
0.1
0.8
5.0
52
45
子
実 40
重 35
(
(
前年秋耕起
事 前 耕起
種 子 塗沫
播種・ 施肥
除草剤散布
中 耕 培土
手 取 り 除草
殺虫剤散布
収
穫
合 計
慣行比(%)
50
20
15本/㎡
20本
15本
20本
15本
19本
24本
25本
30本
20本
25本
30本
24本
30本
33本
3か年平均 不耕起:0.88m/s
慣 行:0.55m/s
慣行比:160%
1.2 作 1.0 業
速 0.8 度 0.6 H22 H23
H24
H22
5月下旬播種
H23
H24
6月中旬播種
図2 苗立ち本数と子実重
(平成22~24年 青森農林総研)
(注)不耕起:ディスク駆動式汎用型不耕起播種
慣 行:ロータリシーダ播種(以下、同じ)
40
坪刈り収量
コンバイン収量
コンバイン収量慣行対比:93~135%
3か年平均:105%
35
(
収 30
量
25
)
㎏
/ 20
a 15
コンバイン収量慣行比135
コンバイン収量慣行比102
10
5
茎疫程度:無
茎疫:無
茎疫:少
茎疫:無
①②
①②③
不耕起
23本/㎡
不耕起
27本/㎡
茎疫:無
コンバイン収量慣行比93
茎疫:中
茎疫:少
茎疫:少
茎疫:少
0
排水対策
①②③
播種法
苗立本数
不耕起
16本/㎡
播種日
年
次
慣行
28本/㎡
①②③④
慣行
25本/㎡
6月15日
6月17日
平成22年(土壌pH5.4)
平成23年(土壌pH5.7)
不耕起
17本/㎡
慣行
17本/㎡
5月30~31日
不耕起
22本/㎡
慣行
27本/㎡
6月19日
平成24年(土壌pH5.5)
図3 播種法と排水対策の違いによる収量、茎疫病発生程度及び倒伏程度
(注)1
2
3
4
①②③④
(平成22~24年 青森農林総研)
耕種概要 基肥窒素量:3kg/10a、追肥:なし、土壌改良資材:なし
不耕起播種除草体系 播種前:ラウンドアップマックスロード+土壌処理:ラクサー乳剤+茎葉処理:ポルトフロアブル+大豆バサグラン液剤混用
茎疫程度:無、少、中、多、甚の5段階評価
排水対策(茎疫病対策):①ほ場暗きょ、②額縁明きょ、③前年秋耕起、④クルーザーMAXXの種子処理
表2 10a当たり生産費
50
土壌水分
土壌硬度
40
1.5 (
9月14日
9月5日
9月14日
9月5日
前年不耕起 前年秋耕起
不耕起播種 不耕起播種
物
財
費
)
9月14日
0
9月5日
)
土
壌
1.0 硬
度
0.5 M
P
0.0 a
(
土 30
壌
水 20
分 10
%
2.0 慣行
図4 播種法による土壌水分と土壌硬度
(平成23年 青森農林総研)
種苗費
肥料費
農業薬剤費
光熱動力費
土改・水利費
賃借料
その他(諸材料等)
農機具費
自動車費
建物費
計
労働費
生産費
慣行比(%)
(平成24年 青森農林総研)
不耕起
慣 行
3,465
3,623
3,035
3,035
8,555
6,988
881
1,633
7,133
7,133
6,750
7,225
885
885
18,842
17,754
1,151
1,151
1,163
1,163
51,859
50,589
3,591
7,497
55,450
58,086
95
(100)
(注)1 種苗費、肥料費、農業薬剤費、光熱動力費、農機具費は試験での結果を基に算出し、その
他の費用は「主要作物の技術・経営指標」,「平成22年産大豆生産費(東北)を参考にした。
2 労働費は10a当たりの延べ作業時間に平成22年産米生産費から1,260円/時間を乗じた。
3 収量は未熟を除いたコンバイン収量を用いた(不耕起:270kg/10a、慣行:289kg/10a)。
4 農機具費は20ha規模(水稲12ha、大豆8ha)と想定して按分した。
- 38 -
事
ね
項
にんにくを「シート乾燥」方式でテンパリング乾燥する場合は吸引式が優れる
にんにくシート乾燥の通風方式には吸引式と押し込み式がある。昼温を35℃で通風-夜
ら い 温を下げて通風乾燥するテンパリング乾燥の場合、いずれの通風方式でも乾燥の仕上がり
に問題はないが、低温貯蔵後の品質は吸引式が優れることを明らかにしたので、参考に供
する。
1 低温貯蔵した場合の通風方式別の品質
(1)乾燥したりん茎を-2℃で低温貯蔵した場合の障害発生(乾燥期間:28日)
吸引式の乾燥では、2月出庫時、5月出庫時において、入気側、排気側とも低く、
障害程度も軽く、シートの前後で大きな差は認められない。
押し込み式では、2月出庫時、5月出庫時において、入気側が高く、排気側は低い
指
傾向が見られ、同一シート内での場所による品質の差が大きい。
導
参
考
内
(2)乾燥を1週間程度延長した場合の障害発生(乾燥期間:35日)
吸引式では入気側、排気側とも若干増加する。
押し込み式では入気側の傷害発生率がさらに増加し、重症化する。
(3)貯蔵温度が-3℃になった場合の障害発生
吸引式では、入気側、排気側とも障害の発生は少ない。
押し込み式での障害発生率は、入気側が高く、排気側は入気側より低いが、-2℃
貯蔵時の排気側、吸引式の入気側及び排気側に比べて高い。
容
2
常温貯蔵する場合の通風方式別の品質
吸引式及び押し込み式のいずれにおいても通風方式を要因とする傷害は発生しない。
期待される効果
長期間貯蔵して2月~5月に出庫するにんにくの高品質化が図られる。
利用上の注意事項
障害発生は、低温貯蔵後の結果である。
問 い 合 わ せ 先 野菜研究所 栽培部(0176-53-7171)
対象地域 県下全域
(電話番号)
平成22年度東北農業研究成果情報
平成23年度 試験成績概要集(野菜研究所)
平成23年度指導参考資料
発表文献等 東北農研・青森野菜研合同セミナー「高品質な国産ニンニク周年供給のための収穫後処理
技術」資料
ニンニクの周年出荷のための収穫後処理マニュアル(平成25年2月)
- 39 -
【根拠となった主要な試験結果】
図1 低温貯蔵した場合の貯蔵温度と障害発生りん球率(平成23年 青森野菜研)
(注)1 調査:各月出庫後4週目調査
2 障害発生程度:
同一のりん球において
軽:軽度のくぼみ症の発生が認められるが50%未満である
中:軽度なくぼみ症が50%以上か明らかなくぼみ症の発生が50%未満である
重:明らかなくぼみ症がりん球の50%以上のりん片に認められる
透明:同一りん球中の1個以上のりん片に透明化が認められる
- 40 -
事
ね
項
ら
にんにくの低温貯蔵後の日持ち性向上のための高温処理条件(萌芽発根抑制技術の一部
改訂)
にんにくの萌芽抑制剤が平成14年登録失効後、-2℃での低温貯蔵及び高温乾熱処理の
組合せによる萌芽抑制技術について、平成14年度に第1報を発表後、平成15、17年に改訂
い して現在に至っている。これまで出庫後に発根・萌芽を抑制するための高温処理温度は48
℃~46℃としていたが、43~39℃の方が発根抑制効果を発揮する期間が長く、高温障害を
発生させる危険性が低いことを明らかにしたので参考に供する。
1 出庫後の萌芽発根抑制のための高温感受性と時期別高温処理条件
(1)低温貯蔵したにんにくの根・芽の伸長は、出庫後43~39℃の高温処理により抑制さ
れ、 処理温度がこれより高くなると、伸長抑制効果は一旦弱まり、さらに高温にな
ると再び高まる。
(2)9月下旬から11月までの発根抑制効果は43~41℃処理が従来の48℃処理より優れる。
(3)障害は高温になるほど発生しやすくなる。
指
導
参
(4)出庫時期により抑制効果を発揮する処理の温度と時間が異なるため、下表を目安に
処理する。
出庫時期
庫内温度と処理条件
りん片温度処理時間
Ⅰ 9月下旬~10月上旬
43℃ 12~18時間
41℃以上 12~15時間
10月中旬~12月上旬
43℃ 9~12時間
41℃以上 8~10時間
Ⅱ 12月中旬~1月上旬
41℃ 6~12時間
39℃以上 8~10時間
1月中旬~2月上旬
41℃ 6~9時間
39℃以上 5~7時間
Ⅲ 2月中旬以降
39~41℃ 6~9時間
39℃以上 4~7時間
考
内
容
2 高温処理方法
(1)にんにくを処理施設に収納する時に気温が低い場合は、予め処理庫内を温めて置く
とよい。
(2)りん片の温度上昇速度にばらつきがあるため、高温処理の温度センサーは複数のり
ん片に取り付ける。
(3)庫内温度を3時間ほどかけて設定温度まで上昇させた後、りん片が一定温度に達し
たら、処理終了時間を調整する。
3 留意事項
(1)冷蔵庫から出庫後、速やかに処理を開始する。
(2)処理庫内温度が処理温度に到達後、りん片の温度が処理温度に達するまで1.5~2.5
時間かかる。
1
期待される効果 2
にんにく冷蔵後の発根抑制期間が長期化し、高品質化が図られる。
処理温度が低いため、処理時間がこれまでと変わらないか短時間である1月以降の処
理では処理コストが削減できる。
利用上の注意事項
問 い 合わ せ 先
(電話番号)
常温貯蔵のりん茎での萌芽発根抑制効果は認められない。
野菜研究所
栽培部(0176-53-7171)
対象地域
県下全域
にんにく萌芽抑制技術の研究成果報告書(平成17年2月)
平成22~24年度 試験成績概要集(野菜研究所)
発表文献等 東北農研・青森野菜研合同セミナー「高品質な国産ニンニク周年供給のための収穫後処理
技術」資料
「ニンニク周年供給のための収穫後処理マニュアル」(平成25年2月発行)
- 41 -
【根拠となった主要な試験結果】
高
4
発根程度
9/7
0
0
無処理 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49
処理温度(℃)
11/2
41℃24時間区
10/24
1
18時間処理
10/5
1
2
9/21
発根程度
12時間処理
2
無処理区
3
1/24
低
12/20
高
3
11/13
抑制効果 低
高温処理日
図1 高温処理温度と根の伸長抑制効果との関係
図2 高温処理時期が根の伸長抑制効果に及ぼ
(平成18年 東北農研)
す影響
(平成17年 東北農研)
(注)1 平成18年2月に高温処理→4週間後に根の伸長を調査 (注)1 平成17年9月から18年1月に高温処理→
2 発根程度 0:発根が認められない、
4週間後に調査
1:痕跡程度、2:1.0mm以下、
2 発根程度は図1を参照
3:1.~2.5mm、4:2.5mm以上でりん茎
3 図中の縦線は標準誤差
からの発根が見られる、
39
40 41
42
43
44
45
46 47
48
図3 高温処理温度別の4週後の芽の伸長の様子(平成18年
(注) 処理時間:12時間
49℃
東北農研)
(約 35℃)・・・・・・・・・・(処理温度)・・・・・・・・・・・(約 50℃)
高温障害の
危険性
低
伸長抑制効果
低
高
高
低
高
高温処理に適する温度
(障害発生の危険性が低く、抑制効果 が高い)
図4
伸長抑制効果と障害発生に及ぼす処理温度の影響(平成24年 東北農研)
- 42 -
根の伸長に及ぼす影響
4
発根程度
3
5℃
25℃
15℃
× ×
×:保管なし区より効果の劣る区
××
×
2
×
1
0
3 6 12 24
高温処理 保管
なし
なし
3
6 12 24 48
3
6 12 24
出庫から処理開始までの時間
5℃で24時間後の処理
15℃で24時間後の処理
15℃で12時間後の処理
25℃で3時間後の処理
出庫直後の処理と同等の効果
直後処理より効果劣る
25℃で12時間後の処理
抑制効果なし
(12月上旬処理)
高温処理までの保管条件の影響(平成22年
(℃)
東北農研))
太線:庫内温度
50
3時間かけて設定温度まで上昇
細線:りん片温度
40
温度上昇速度に1.5~
2.5時間程度のばらつき
がある
30
20
10
0
2011/5…
2011/5…
2011/5…
2011/5…
2011/5…
2011/5…
2011/5…
2011/5…
2011/5…
2011/5…
2011/5…
2011/5…
2011/5…
2011/5…
2011/5…
2011/5…
2011/5…
2011/5…
2011/5…
2011/5…
2011/5…
図5
-3
0
3
6
9
12
15
18
時間の経過(h)
図6
高温処理における庫内温度とりん片温度(平成23年
青森野菜研)
(注)1 処理時間は0時間から計測
2 りん片温度は、温度センサーを1cm程度挿入して測定。
3 高温処理方法:35℃のインキュベータに入れて2.5時間かけて設定温度に上昇させ、30分後(昇
温開始から3時間後)から一定時間を処理後、15℃に冷やす。
- 43 -
表1
青森県産にんにくの高温処理後4週目の根の伸長程度から見た日持ち性
(平成22~24年度 青森野菜研)
根の伸長程度からみた日持ち性*
冷蔵からの
高温処理の温度、(発根程度毎のサンプル数で示す)
備考
出庫時期
庫内維持時間
平成22年産
平成23年産
○
△
×
○
△
×
時期 9月 下旬 無処理
3
1
2
8
2
0
Ⅰ
48℃、6時間
1
5
0
2
7
1
41℃、12時間
4
2
0
10月 上旬 43℃、9時間
7
3
0
12時間
4
1
1
10
0
0
18時間
4
1
1
9
1
0
時期
中旬 無処理
1
3
2
7
3
0
Ⅱ
48℃、6時間
1
4
1
1
7
2
41℃、12時間
3
2
1
43℃、9時間
3
3
0
7
3
0
12時間
6
0
0
7
3
0
11月 中旬 無処理
2
4
0
0
2
8
48℃、6時間
6
0
0
0
7
3
39℃、9時間
4
4
2
12時間
5
1
0
3
7
0
41℃、9時間
6
4
0
12時間
6
0
0
10
0
0
43℃、9時間
6
0
0
3
5
2
12時間
8
2
0
時期 3月
(過湿条件 )
(乾燥条件 )
Ⅲ
無処理
6
0
0
3
7
0
処理庫内の相対湿
48℃、6時間
6
0
0
5
3
2
度が、平成22年産
37℃、9時間
5
1
0
は50%以下、平成
39℃、4時間
5
2
1
23年産は80~90%
6時間
6
0
0
7
2
1
で推移した。
9時間
6
0
0
7
2
1
41℃、4時間
5
1
2
6時間
6
0
0
3
4
3
9時間
6
0
0
8
1
1
5月
無処理
2
4
1
1
3
1
48℃、6時間
7
0
0
4
1
0
37℃、9時間
7
0
0
39℃、4時間
2
2
1
6時間
5
1
1
2
1
1
9時間
7
0
0
2
3
1
41℃、4時間
3
1
1
6時間
6
1
0
2
3
1
9時間
6
1
0
3
1
1
(注)1
根の伸長程度からみた日持ち性*
供試りん球の全りん片の根長を計測し、平均値と標準偏差から以下のように分類した。
○:実測値の平均+標準偏差≦2の場合。りん球の発根の可能性が16%以下と推定。
△:実測値の平均値<2未満で、平均値+標準偏差≧2の場合。
りん球の発根の可能性が16%以上50%未満と推定。
×:実測値の平均値≧2の場合。50%以上のりん球に発根の可能性がある。
2 供試サンプル(栽培地と品種)
22年産と23年産の5月処理は野菜研産及び藤崎町産の黒石A系統及び白玉王を、23年のその他の処理は野菜研産
及び藤崎町産及び十和田市産の黒石A系統及び白玉王を、小屋でテンパリング乾燥後-2℃冷蔵したものを順次出
庫して使用。野菜研産の黒石A系統はマルチの種類別に供試。
- 44 -
事
項
ながいもむかごの植付け深さ、施肥時期及び栽植様式が1年子の形質に及ぼす影響
ながいもの種いも生産においては、目標とする子いもの重量が多様であり、首長が短く
ね
ら
い 尻止まりの良い形状のものが望まれている。むかごからの1年子生産における植付け深さ、
施肥時期及び栽植様式について、現地で行われている方法を検証したところ、子いもの形
状や重量に及ぼす影響が明らかとなったので参考に供する。
1
形状良好な1年子生産のための栽培法
むかごからの1年子生産において、深植え、早目施肥、2条植えを組み合わせること
により、子いもの首長が短くなり、深植えや密植によるいも重の低下が軽減できる。
指
2
導
栽培条件と1年子の形質
(1)むかごの植付け深さ
むかごを深さ10㎝の深植えにすることにより、深さ3cmの浅植えに比べて萌芽が遅れ、
参
考
いも重が小さくなるが、子いもの首長及びいも長は顕著に短くなる。
(2)施肥時期
施肥の開始を萌芽始め、終了を8月上旬として時期を早めると、萌芽期開始・8月
内
容
中旬終了の体系に比べていも重がやや大きくなる。
(3)栽植様式
株間5cmの2条植え(3,333本/a)は、株間3cmの1条植え(2,778本/a)に比
べて密植となることから、いも重はやや小さくなる。
首の短い1年子を生産して種いもとして用いることにより、新いものできる位置が植え
期 待 さ れ る 効 果 溝の中心から外れて形状が悪化すること等が防止でき、成いもの品質改善につながる。
1
利用上の注意事項
深植え条件において首長やいも長が極端に長くなった1年子は、遺伝的な変異の可能
性があるので種いもとして用いないようにする。
2「園試系6」のウイルスフリーむかご(径9~15mm)を使用した結果である。
問 い 合 わ せ 先 野菜研究所 品種開発部(0176-53-7419)
(電話番号)
発表文献等 平成24年度 試験成績概要集(野菜研究所)
- 45 -
対 象 地 域 県下全域
【根拠となった主要な試験結果】
表1
むかごの栽培条件と1年子の形質
区
萌芽揃
首長
いも全長
最太部径
番
(月.日)
(cm)
(cm)
(mm)
1
7. 3
4.4 ±2.2 a
20.2 ±7.3 a
29 ±3 a
81 ±45 a
225
2
6.23
11.3 ±2.5 b
31.0 ±7.6 b
31 ±3 a
110 ±46 b
306
3
6.23
11.3 ±2.0 b
28.3 ±6.3 b
30 ±3 a
92 ±39 ab
307
4
6.30
6.5 ±5.9 a
25.1 ±7.8 ab
31 ±4 a
105 ±54 ab
350
対照
6.23
10.7 ±2.2 b
29.4 ±7.4 b
30 ±3 a
101 ±48 ab
281
(注)1
2
3
4
(平成24年
いも全重
(g)
青森野菜研)
収量
(kg/a)
植付材料:
「園試系6」ウイルスフリーむかご径9~15mm
定植月日:5月17日,うね幅:120cm,りん酸及び加里施肥量:各1.15,1.6kg/a
首長は径12mmの部分までの長さ
各形質の数字は平均値±標準偏差.同一英文字間にはTukey検定(5%)で有意差なし
(耕種概要)
区
植付け
番
深さ
1
10cm
2
3cm
3
3cm
4
10cm
対照
3cm
施肥時期と施肥N量 (kg/a)
6/8
6/15
7/13
8/2
0.3
0.3
0.5
0.6
0.5
0.3
0.3
0.6
0.3
0.5
8/15
0.5
0.5
0.5
0.5
0.3
8/10
株間 栽植様式
0.5
0.5
0.5
3cm
1条植
3cm
1条植
5cm
2条千鳥
5cm
2条千鳥
3cm
1条植
1
2
3
4
対 照
(首短,いも重小) (いも重大)
(いも重やや小)
(首短,いも重中) (いも重中)
図1 いもの外観(いも全重が平均値付近の4本)
(平成24年 青森野菜研)
(注) 左端のスケールは10cm
- 46 -
事
項
ね ら
い
指
導
参
考
土壌くん蒸剤の畦内処理によるにんにくのイモグサレセンチュウの防除
にんにくのイモグサレセンチュウの防除技術として、土壌くん蒸剤の全面処理法が普
及に移されているが、簡易な土壌くん蒸法として畦内処理の効果について検討したとこ
ろ、実用的な効果が確認されたので参考に供する。
1 畦内処理方法
(1)圃場をていねいに耕起し、施肥、整地する。消石灰等のアルカリ性肥料の施用直
後にクロルピクリンくん蒸剤を処理すると、薬害を生じるおそれがあるので、これ
らの肥料はクロルピクリンくん蒸剤処理の10日以上前に施用する。
(2)薬剤を処理する前に、再度圃場をていねいに耕起し、整地する。
(3)薬剤処理は土壌に適度の湿り気があるときに行う。土壌水分の目安は、湿り気が
あり土を握って放すと割れ目ができる程度である。土壌水分が高い状態で処理した
場合、効果が劣ることもあるので注意する。
(4)薬剤処理は植付け前の1回とする。下表のいずれかの薬剤を選択し、その処理方
法に従い、畦に所定量を処理した後、直ちにマルチャーで畦立てと同時にポリフィ
ルム等(無孔)で被覆する。
(5)薬剤処理・被覆後、20日以上経過してからポリフィルム等の被覆資材に直接孔を
開けて植付ける。
2 薬剤の種類
一般名
商品名
クロルピクリン
クロールピクリン
くん蒸剤(99.5%)
内
クロルピクリン
ドジョウピクリン
くん蒸剤(80.0%) ドロクロール
クロピク80
容
期待される効果
処理量・方法
専用のかん注機を使用して、畦内の30×30cmごとの深
さ約15cmに1穴当たり3mLを注入後、直ちに覆土・被
覆する。土壌消毒機使用の場合は、畦面積に対して10
a当たり30L相当を畦内に処理する。
クロルピクリン
クロルピクリン錠剤
くん蒸剤(70.0%)
畦1㎡当たり10錠を畦面に均一に散布後、ロータリー
で混和・覆土し、直ちに被覆する。
※土壌水分が高いとガス化しにくいので注意する。
カーバム
ナトリウム塩
専用の散布機を使用して、畦面積に対して10a当たり
60L相当を畦面に散布し、直ちに混和し被覆する。
キルパー
従来の全面処理と比較し、処理する薬量が削減でき、除覆やガス抜き作業が不要であ
ることに加え、被覆作業が畦立作業を兼ねるため、低コスト及び省力化が図られる。
利用上の注意事項 1
2
本資料は平成25年3月1日現在の農薬登録に基づいて作成した。
農薬を使用する場合は、必ず最新の「農薬登録情報提供システム」
(http://www.
acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm)を確認すること。
3
イモグサレセンチュウの被害は土壌くん蒸処理だけでは完全に防止できないので、
種子湿粉衣法や耕種的防除法等を組み合わせた総合的な防除対策を講ずる。
4 薬剤処理の際は、必ず専用の防護マスクや保護メガネ、不浸透性手袋等を着用する
とともに、ガスを吸い込まないよう風向き等を十分考慮する。
5 その他、各薬剤の使用上の注意事項を厳守する。
問 い 合 わ せ 先 野菜研究所 病虫部(0176-53-7085)
(電話番号)
発表文献等
平成7年度 試験成績概要集(畑作園芸試験場)
平成20、22、24年度 試験成績概要集(野菜研究所)
- 47 -
対 象 地 域
県下全域
【根拠となった主要な試験結果】
表1 にんにくのイモグサレセンチュウに対するクロルピクリンくん蒸剤(99.5%:クロールピクリン)の畦内処理の効果
(平成7年 青森野菜研)
線虫密度(頭/土壌25g)
被害球率(%)
供試薬剤
処理量・方法
ガス抜き
薬害
処理前
収穫時
強制乾燥 自然乾燥
H6/9/7
H7/6/27
3mL/穴畦内処理後、
クロールピクリン 孔あきマルチ、ポリフィ
無
0.0
0.0
1.7
無
ルム二重被覆
22.5
(対照)
3mL/穴
有
0.0
0.0
1.7
無
クロールピクリン 全面処理後被覆
無処理
-
-
14.3
11.3
48.3
無
(注)1 試験場所及び供試品種:上北郡六戸町犬落瀬(野菜研)、福地ホワイト
2 薬剤処理日:平成6年9月12日
3 被覆方法等:薬剤処理後10日間被覆。その後、畦内処理区はポリフィルムのみを除去、対照区は除覆後ガス抜きをした。
4 植付日:平成6年9月26日(薬剤処理14日後)、9月29日(薬剤処理17日後)
5 収穫日:平成7年6月27日
表2 にんにくのイモグサレセンチュウに対するクロルピクリンくん蒸剤(80.0%:クロピク80)の畦内処理の効果
(平成22年 青森野菜研)
線虫密度(頭/土壌20g) 強制乾燥後の被害状況
供試薬剤
処理量・方法 ガス抜き
薬害
処理前
収穫期
調査球数 被害球率
H21/9/25
H22/7/5
(球)
(%)
3mL/穴
クロピク80
無
0.7
1.3
59
18.6
無
畦内処理後被覆
(対照)
3mL/穴
有
9.3
1.3
20
40.0
無
クロピク80 全面処理後被覆
無処理
-
-
2.7
1.3
22
無
95.5
(注)1 試験場所及び供試品種:上北郡六戸町犬落瀬(野菜研)、福地ホワイト
2 薬剤処理日:平成21年9月25日
3 ガス抜き(全面処理区):平成21年10月7日に除覆し、ガス抜きをした。
4 植付日:平成21年10月15~16日(薬剤処理20~21日後)
5 収穫日:平成22年6月25日
表3 にんにくのイモグサレセンチュウに対するクロルピクリンくん蒸剤(70.0%:クロルピクリン錠剤)の畦内処理の効果
(平成24年 青森野菜研)
線虫密度(頭/土壌20g) 強制乾燥後の被害状況
供試薬剤
処理量・方法
ガス抜き
薬害
処理前
収穫期
調査球数 被害球率
H23/9/28 H24/6/28
(球)
(%)
クロルピクリン 10錠/㎡畦内処理
無
4.0
3.5
40
37.5
無
錠剤
土壌混和後被覆
(対照)
3mL/穴
無
3.9
1.2
40
17.5
無
クロピク80
畦内処理後被覆
無処理
-
-
2.8
24.8
40
90.0
無
(注)1 試験場所及び供試品種:上北郡六戸町犬落瀬(野菜研)、福地ホワイト
2 薬剤処理日:平成23年9月29日
3 植付日:平成23年10月18日(無処理区)、10月19日(薬剤処理区・薬剤処理20日後)
4 収穫日:平成24年6月27日
表4 にんにくのイモグサレセンチュウに対するカーバムナトリウム塩(キルパー)の畦内処理の効果
(平成20年 青森野菜研)
線虫密度(頭/土壌25g) 強制乾燥後の被害状況
供試薬剤
処理量・方法
ガス抜き 処理前日
収穫時
調査球数 被害球率 薬害
H19/9/19
H20/6/20
(球)
(%)
キルパー
(対照)
クロピク80
無処理
60L/10a相当量を
畦内処理後被覆
3mL/穴
畦内処理後被覆
-
無
0.7
0.0
60
10.0
無
無
0.0
0.0
60
30.0
無
-
0.0
13.2
60
60.0
無
(注)1 試験場所及び供試品種:上北郡六戸町犬落瀬(野菜研)、福地ホワイト
2 薬剤処理日:平成19年9月20日
3 植付日:平成19年10月17日(薬剤処理27日後)
4 収穫日:平成20年6月20日
- 48 -
事
項
ね ら
い
にんにくの新病害ニンニク白斑葉枯病の発生とその防除
近年、県南地域のにんにく栽培で5月下旬以降の降雨後に葉が枯れ上がる障害が発生
し問題となっていた。その障害は Botrytis squamosa によることが明らかとなり、ニ
ンニク白斑葉枯病と命名し、発生要因や防除対策を明らかにしたので参考に供する。
1
症状と被害
A
B
C
D
指
導
参
考
内
容
期待される効果
(1)病斑は直射日光が当たる葉の陽光面の部分に限られる。
(2)初期病斑は1mm程度の表皮が剥離した斑点(A)で、一見するとアザミウマ類
の吸汁痕に類似する。
(3)10mm以上の降雨後に好天が1~2日程度続くと、斑点が繋がるように拡大(B)
する。
(4)さらに数日で表皮に亀裂(C)が入り、やがて腐敗・枯死する。
(5)収穫期頃には乾枯した茎葉上に不整形の菌核(D)を形成する。
(6)Cのように発病した株は球肥大が劣り、収穫・乾燥後、球の着色や球割れが多く
みられる。
2 病原菌の同定
(1)分生胞子は野菜類灰色かび病菌より大型で、BLB ライト照射下でも PDA 培地
上には形成されないが、蒸気滅菌したにんにく葉上では形成される。
(2)Botrytis 属菌識別の RFLP-PCR 解析(Plant Disease Vol.86(6) p682-686)の
の結果と分生胞子の形態から、病原菌は Botrytis squamosa と同定した。
3 発生生態と防除
(1)平均気温が10℃以上、最高気温が20℃程度となる5月中旬以降に、10mm以上
の降雨があり、その後好天が続くと発病してくる。
(2)葉先枯れ症状株が多い圃場では発生しやすい。
(3)本病には、塩基性硫酸銅(Zボルドー、ICボルドー66D)およびビラクロスト
ロビン・ボスカリド水和剤(シグナムWDG)の降雨前の茎葉散布が効果的である。
ニンニク白斑葉枯病の早期発見が可能となり、適切な防除対策の実施により、にんに
くの高品質生産ができる。
利用上の注意事項 1
2
本資料は平成25年3月1日現在の農薬登録に基づいて作成した。
農薬を使用する場合は、必ず最新の「農薬登録情報提供システム」
(http://www.
acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm)を確認すること。
問 い 合 わ せ 先 野菜研究所 病虫部(0176-53-7085)
(電話番号)
発表文献等
平成22~24年度 試験成績概要集(野菜研究所)
平成23年日本植物病理学会報77巻
平成23年北日本病虫研報62巻
- 49 -
対 象 地 域
県下全域
【根拠となった主要な試験結果】
表1 ニンニク白斑葉枯病菌の分生胞子の形状 (平成22年 青森野菜研)
菌種
報告者
山下
Botrytis squamosa
B. cinerea
B. allii = B. aclada
堀内誠三ほか
(AⅡ)
B. byssoidea
作物/菌株
ニンニク/#B2
ニンニク/#B5
ニンニク/#B6
タマネギ/L-3
イチゴ/H-1
長径×短径(μm)
17-27×11-19
17-23×12-18
15-21×11-14
15-21×13-16
8-14×6-9
タマネギ/Mihara
7-11×5-6
タマネギ/3-1
10-14×6-9
300bp
200bp
平均(μm)
20.0×14.2
19.9×14.0
16.7×12.0
20.5×11.3
9.3×5.4
ニンニク白斑葉枯病菌
269+115+29bp
100bp
ネギ白かび腐敗病菌
250+115+48bp
図1 ニンニク白斑葉枯病菌のRFLP-PCR解析による同定
(平成22年 青森野菜研)
(注)左から、100bpラダーマーカー、次の10サンプルはニンニク白斑葉枯病菌、次の3サンプルはネギ白
かび腐敗病菌(Botrytis cinerea)
100
降雨後に発病
100.0 80.0 60.0 40.0 20.0 0.0 40
発病度
50
0
30
降雨後に発病
発病度
25
30
20
最高気温(℃)
15
平均気温(℃)
最高気温(℃)
20
平均気温(℃)
10
10
5
0
0
40
50
40
30
20
10
0
30
20
10
降水量(mm)
06月22日
06月20日
06月18日
06月16日
06月14日
06月12日
06月10日
06月08日
06月06日
06月04日
06月02日
05月31日
05月29日
05月27日
05月25日
05月23日
05月21日
05月19日
05月17日
05月15日
05月13日
05月11日
0
降水量
図3 5月~7月上旬までの気象データとニンニク白斑葉枯病の発生
経過
(平成23年 青森野菜研)
図2 5月~6月下旬までの気象データとニンニク白斑葉枯病の発生
経過
(平成22年 青森野菜研)
表2 ニンニク白斑葉枯病に対する数種薬剤の防除効果 (平成21~24年 青森野菜研)
調査
発病株率
薬剤名
発病度
防除価
倍数
株数
(%)
H21
H22
H23
H24
Zボルドー
無処理
Zボルドー
ICボルドー66D
シグナムWDG
無処理
Zボルドー
ICボルドー66D
シグナムWDG
無散布
シグナムWDG
無散布
500
500
50
1500
500
50
1500
1500
40
40
48
48
40
48
40
40
40
40
40
40
84.3
100.0
100.0
100.0
88.0
100.0
100.0
5.8
1.7
100.0
0.8
100.0
9.4
60.0
49.1
46.9
22.7
82.6
29.4
1.7
0.0
29.2
0.2
100.0
84.3
40.6
43.3
72.5
55.1
97.5
99.4
99.8
-
(注)1 薬剤散布月日(調査月日);平成21年度:6月5日の1回(6月10日)、平成22年度:5月23日、6月
4日、12日(6月24日)、平成23年度:5月9日、16日、23日、6月1日、9日の5回(6月20日)、平
成24年度:5月14日、21日、28日、6月5日の4回(6月21日)
2 発病度=∑(程度別発病葉数×指数)×100/(調査葉数×4)
指数 0:発病を認めない。 1:病斑が葉の10%未満。 2:葉の10~25%未満に病斑が
みられる。3:葉の25~50%未満に病斑がみられる。4:葉の50%以上に病斑がみら
れる。
- 50 -
事
ね
項
ら
い
レタス根腐病菌レース1に対して耐病性を有する品種
平成21年頃から県内の一部地域で見られはじめたレタス根腐病菌レース1に対しては、
耐病性品種の利用が効果的とされている。接種試験及び圃場試験によって、レタス根腐病
菌レース1に耐病性を有する品種を選定したので、参考に供する。
1
指
レタス根腐病菌レース1に対して耐病性を有する品種
耐 病 性
品
種
名
(圃場抵抗性)
あ り
「オアシス」、「極早生シスコ」、「サンバレー」、「バレイ」、「マリ
(◎)
ーナ」、「バラエティ(リーフレタス)」
あり~ややあり 「キングシスコ」、「サクラメント」、「ラプトル」
(◎~○)
ややあり
「アスレ」
、
「ウィザード」、
「SPSサリナス88」
、
「カーチス」、
「カ
(○)
イザー」、
「キングクラウン」、
「クリスタル」、
「サマーランド」、
「ス
ターレイ」、「ステディ」、「ステディclassic」、「デローサ」、「トッ
プマーク」、「ワトソン」
導
参
考
内
容
2
レタス根腐病菌レース1に対しては、ほとんどの品種が罹るが、耐病性(圃場抵抗性)
に差異がみられる。また、高温期の作型では、品種によっては発病程度が高くなる場合
がある。
期待される効果
レタス根腐病菌レース1に対する耐病性品種選定の際の目安が得られ、レタスの安定生
産に寄与することができる。
1
レタス根腐病菌の3つのレース(レース1、2、3)のうち、県内では現在のところ
レース1のみが確認されている。
利 用 上 の 注 意 事 項 2 品種の選定にあたっては、作型や地域で求められる品種特性(晩抽性、耐暑性、形状)
等を十分考慮する。
3 高温期に発生が多いため(菌の生育適温:28~30℃)、夏季の定植はできるだけ避け
る。高温期の作型では、マルチは地温上昇効果が低いもの(白、白黒ダブル、シルバー
等)を使用する。
4 レタス根腐病に対しては土壌消毒剤が農薬登録されているが、防除効果や薬害発生等
に関して県内では未検討であるため、当面は耕種的な防除対策を積極的に取り入れた総
合的な防除を行う。
問 い 合 わ せ 先 農林総合研究所 病虫部(0172-52-4314)
対 象 地 域 県下全域
(電話番号)
平成23~24年度 試験成績概要集(農林総合研究所)
発表文献等 (一部「平成24年度新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」の成果を含む)
平成24年度 第66回北日本病害虫研究会
- 51 -
【根拠となった主要な試験結果】
表1 レタス根腐病菌レース1接種試験による
各品種の発病比較(平成23年 青森農林総研)
供試品種
2.2
0
2.5
2.7
0
2.5
◎
試験1:6月13日培養胞子接種、7月5日調査
試験2:9月19日培養胞子接種、10月17、18日調査
試験3:9月14日培養病土接種、10月17、18日調査
耐病性≦1.0(発病指数)<感受性
◎耐病性あり(全試験で発病指数1.0以下)、
○耐病性ややあり(同1.5以下)(表2共通)
地
上
部
の
発
病
度
春作
秋作
80
60
40
20
未
0
未
未
未
未
未
対照サウザー
2.9
0
2.9
100
⑪マリーナ
0.9
2.6
2.0
1.6
2.4
2.5
2.3
1.6
2.3
2.0
◎
◎
◎
◎
○
○
○
○
○
⑩バレイ
0.6
3.0
1.8
2.2
2.7
2.1
2.2
2.9
2.0
1.7
2.3
0
2.4
◎
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
⑨サンバレー
0
3.0
2.9
2.3
3.0
2.4
2.9
2.9
2.9
1.6
2.8
0
2.9
⑧サマーランド
2.2
2.0
2.5
1.5
1.5
1.5
1.5
2.3
1.3
2.7
0.6
0.1
0.7
0.7
0.6
0.1
1.3
0.7
0.9
0.5
0.8
1.9
0.2
0.2
0.3
0.5
0.5
0.4
0.6
0.3
0.6
0.9
1.0
0.9
1.8
1.7
2.5
1.9
1.9
2.3
2.0
2.1
1.6
2.3
0.9
2.4
0.3
⑦オアシス
2.6
2.0
3.0
1.0
1.4
2.0
1.7
2.1
2.1
2.7
1.0
1.3
1.5
1.3
1.5
1.5
1.0
1.1
1.4
1.5
1.1
2.8
0.6
0.8
0.7
0.5
1.5
1.3
1.2
1.1
1.3
1.6
3.0
2.8
3.0
2.9
3.0
3.0
3.0
3.0
2.0
3.0
3.0
3.0
2.1
3.0
1.8
(注)1 試験1:6月22日培養胞子接種、7月14日調査
2 試験2:10月1日培養胞子接種、10月29日調査
3 調査基準(表1共通):A 枯死または腐敗、
B 株全体が萎凋、C やや萎凋、D 健全
発病指数=(3A+2B+C)/調査株数
4 耐病性≦1.0(発病指数)<感受性
⑥ウィザード
3.0
2.7
3.0
2.8
2.5
2.4
2.3
2.5
1.7
3.0
(結球レタス)
1 極早生シスコ
2 カーチス
3 カイザー
4 キングクラウン
5 キングシスコ
6 クリスタル
7 サクラメント
8 スターレイ
9 トップマーク
10 ラプトル
11 ワトソン
12 サウザー
13 オアシス
14 サンバレー
15 バレイ
16 マリーナ
17 アスレ
18 ウィザード
19 SPSサリナス88
20 サマーランド
21 デローサ
22 アストラル
23 SPSファルン
24 オーガスタ
25 オリンピア
26 カスケード
27 キャスパー
28 サルバトーレ
29 シーカー
30 スーパー102
31 スパーク
32 マイヤー
33 ユーレイクス
34 ララポート
35 レイヤード
36 ロジック
37 早生サリナス
(参考:レース判別品種)
晩抽レッドファイヤー
コスタリカ4号
パトリオット
◎
◎
◎
◎
○
○
○
○
○
○
○
○
○
⑤サクラメント
1.0
0.8
0.8
0.8
1.3
1.5
0.9
1.1
1.5
1.2
1.3
1.3
1.4
1.2
0.7
1.9
2.8
1.7
1.0
1.5
2.7
1.4
2.0
1.6
1.3
1.3
1.5
2.6
1.5
1.8
1.4
2.1
1.8
1.2
1.9
2.8
1.2
1.3
1.8
2.6
2.0
1.8
2.1
④キングクラウン
0.5
0.7
0.5
0.8
1.4
1.1
1.1
1.5
1.0
1.4
1.3
1.1
1.1
1.9
0.6
2.9
3.0
1.9
1.3
1.5
3.0
1.4
2.9
1.1
1.8
1.4
1.7
2.3
2.1
1.1
2.2
2.2
1.6
1.5
2.9
2.8
1.4
1.6
2.0
2.6
2.8
1.1
2.2
③キングシスコ
-
-
0.9
0.9
0.5
-
-
1.3
-
0.9
0.8
-
0.7
2.3
1.9
3.0
3.0
2.9
2.4
2.5
3.0
2.3
2.9
-
1.4
2.4
2.1
2.8
2.9
-
2.6
2.9
2.8
2.0
3.0
-
1.9
2.3
-
3.0
2.9
-
2.9
発病指数
耐病性
試験1 試験2 の判定
供試品種
②極早生シスコ
(注)1
2
3
4
5
発病指数
耐病性
試験1 試験2 試験3 の判定
①ラプトル
(結球レタス)
1 キングシスコ
2 極早生シスコ
3 サクラメント
4 ラプトル
5 カーチス
6 カイザー
7 キングクラウン
8 クリスタル
9 スターレイ
10 ステディ
11 ステディclassic
12 トップマーク
13 ワトソン
14 あさひな
15 ヴィレタス
16 エクシード
17 NL598
18 FRちくま
19 エムラップ231
20 かさま9251
21 からさわ
22 カルマーMR
23 菊川103号
24 グレートレークス366号
25 グロリア-10
26 ゴジラ
27 コロラド
28 サウザー
29 さくらまる
30 シスコ
31 スピーディ
32 にほんまる
33 バークレー
34 パパレタス
35 ひかわまる
36 冬シスコ
37 フレッシュワールド
38 ママレタス
39 マリア
40 みずさわ
41 ユニット
42 レガシー
43 レタスしずか
(リーフレタス緑色系)
1 クランチ
2 グリーンウェーブ
3 グリーンジャケット
4 グリーンリーフ2号
5 ダンシング
6 チャームグリーン
7 トロピグリーン
8 ハンサムグリーン
9 晩抽ムッター
10 マザーグリーン
(リーフレタス赤色系)
1 バラエティ
2 サニーレタス
3 サマーサージ
4 ニュースター
5 マーシーレッド
6 マザーレッド
7 みやがわレッド
8 ユニーク2号
9 レッドエンゼル
10 レッドファルダー
(参考:レース判別品種)
晩抽レッドファイヤー
コスタリカ4号
パトリオット
表2 レタス根腐病菌レース1接種試験による
各品種の発病比較(平成24年 青森農林総研)
図1
レタス根腐病菌レース1発生現地圃場試験における
各品種の地上部の発病比較(平成24年 青森農林総研)
(注)1 春作:5月17日定植、7月4、5日調査、未は未検討
2 秋作:8月27日定植、10月9、10日調査
3 本年秋作の夏秋季の猛暑下では、品種によっては耐病性が十分
に発揮されなかったと考えられる。
4 本年秋作では発病度30~40程度で約6割の収量が得られた。
- 52 -
事
ね
項
ら
い
近年多発しているスイートコーンのオオタバコガの加害生態と防除法
スイートコーンの雌穂害虫として、これまでアワノメイガの発生が認められていたが、
近年、オオタバコガが多発し被害が問題となっている。本種の加害生態、有効な農薬、防
除適期が明らかとなったので、参考に供する。
1
指
オオタバコガの加害生態
オオタバコガは、アワノメイガと同様に幼虫が雄穂に集まり、雄穂開花後は雌穂に移
動し、絹糸を食べながら雌穂内に食入する。アワノメイガが茎内に食入し、茎折れ被害
を起こすのに対し、オオタバコガは茎に食入しない。よって、オオタバコガの主加害部
は雌穂であり、雌穂に食入する前に防除することが重要である。
導
参
考
内
容
写真
スイートコーンを加害する幼虫(左:雄穂、中:絹糸、右:子実)
2 オオタバコガの防除法
(1)効果の高い農薬
アファーム乳剤
(2)防除時期
絹糸抽出始期~抽出期に本剤2,000倍を10a当たり200~300L散布する。ただし、発
生が多い場合は散布1週間後に2回目を散布する。
アファーム乳剤の農薬登録上の使用時期は収穫3日前まで、使用回数は2回以内で
ある。
期待される効果
スイートコーンのオオタバコガを効果的に防除することにより、安定生産に寄与する。
1
利用上の注意事項 2
3
雌穂や絹糸に十分農薬がかかるように散布する。
本資料は平成25年3月1日現在の農薬登録内容に基づいて作成した。
農薬を使用する場合は、必ず最新の「農薬登録情報提供システム」(http://www.acis.
famic.go.jp/index_kensaku.htm)を確認すること。
問 い 合 わ せ 先 農林総合研究所 病虫部(0172-52-4314)
(電話番号)
発表文献等 平成24年度 試験成績概要集(農林総合研究所)
- 53 -
対 象 地 域 県下全域
【根拠となった主要な試験結果】
100
カスケード乳剤 4,000倍
0
デルフィン顆粒水和剤 1,000倍
20
ゼンターリ顆粒水和剤 1,000倍
40
プリンスフロアブル 2,000倍
60
アファーム乳剤 2,000倍
補正死虫率(%)
80
供試農薬
図1
オオタバコガ登録農薬の効果(平成24年
青森農林総研)
(注)常用濃度の農薬にレタス、コマツナ葉を5秒間浸漬または人工飼料インセクタLFSを30秒間浸漬した餌を中老齢幼
虫15~40頭に与え、1~15日後の補正死虫率を示した。
補正死虫率=(無処理区の生存率-処理区の生存率)÷無処理区の生存率×100
表1
オオタバコガに対する各種農薬の効果(平成24年
青森農林総研)
散布時期
20雌穂当たり
希釈倍数 雄穂抽出期 絹糸抽出期 雌穂内幼虫数
食入 対無処
7月26日
7月31日 中齢 老齢 計 雌穂数 理比
供試農薬
アファーム乳剤
2,000倍
○
○
0
0
0
0
0
プリンスフロアブル
2,000倍
○
○
0.3
1.0
1.3
5.0
54
3.0
7.0
10.0
9.3
100
無処理
(注)品種:ゆめのコーン、播種:5月18日、露地マルチ栽培、1区7㎡(1.4m×5m)、3連制、バッテリ-式噴霧器で300L
/10a量散布、オオタバコガ放虫条件:7月13~29日にふ化幼虫各区300~440頭、7月29日に5齢幼虫各区40頭を茎頂部
の葉に接種。雌穂の被害調査:8月10日(絹糸抽出期散布の10日後)に各区20株の最上位節の雌穂を分解して、食入
雌穂数及び雌穂内幼虫数を調査。
表2
オオタバコガ多発(多放虫)条件でのアファーム乳剤2,000倍の散布時期・回数と効果
(平成24年 青森農林総研)
区
散布時期
20雌穂当たり
雌穂内幼虫数
雄穂抽出期 絹糸抽出期 絹糸散布5日後
食入 対無処
8月12日
8月17日
8月22日
中齢 老齢
計 雌穂数 理比
絹糸1回散布
○
絹糸2回散布
○
雄穂+絹糸散布
○
○
○
無処理
16.3
4.7
21.0
8.0
83
8.7
2.0
10.7
4.3
44
19.7
4.3
24.0
9.0
93
9.0
1.7
10.7
9.7
100
(注)品種:ゆめのコーン、播種:6月18日、露地マルチ栽培、1区7㎡(1.4m×5m)、3連制、バッテリ-式噴霧器で300L
/10a量散布、オオタバコガ放虫条件:7月31日、8月6日にふ化幼虫各区約200頭を茎頂部の葉に接種。8月18日(絹糸
抽出期散布1日後)に各区5株の雌穂包葉葉身にふ化幼虫約100頭、8月29日(絹糸抽出期散布7日後)に各区5株の雌
穂包葉葉身にふ化幼虫約100頭を接種。雌穂の被害調査:9月3-4日に各区20株の最上位節の雌穂を分解して、食入雌
穂数及び雌穂内幼虫数を調査。
(参考価格)アファーム乳剤 250mL瓶 4,800円
2,000倍の300L/10a散布で2,880円
- 54 -
事
ね
項
アルストロメリアの有望品種(改訂)
アルストロメリアの生産性は品種間差が大きく、かつ種苗の購入経費が非常に高いため、
ら い 品種選定が重要な課題となっている。このため、この有望品種については平成16、18、21
年度指導参考資料として公表してきたが、新たな品種が増加したことから、本県の気候、
栽培方法への適合性を検討し、有望な品種を明らかにしたので参考に供する
1 有望品種の特性
品 種 名
指
導
参
考
内
容
イレーネ
ピンクサプライズ
エベレスト
クリステル
フィネッセ
オルガ
ニモ
メイフェア
ディメンション
セナ
オレンジクィーン
イルサ
オニックス
花
色
桃斑
桃覆輪
白
白
白
白黄班
白縁緑
白紫班
黄
濃黄
橙
緋赤
紫
切り花長
(㎝)
小花数
(個)
年間採花本数
123
93
106
108
115
100
123
109
142
111
123
108
116
4.2
5.9
3.8
4.9
4.2
3.0
4.2
4.5
4.3
4.4
3.7
5.1
5.1
31
26
63
31
41
44
35
48
44
92
47
29
31
(本/株)
(注)1 有望度の判断基準:切り花長90㎝以上、小花概ね4個以上、
年間採花本数は株当たり概ね25本以上とした。
2 年間採花本数は定植から2年間の平均値をもとに算出した。
3 ゴシック体表記は新たに追加した品種。
1
期待される効果 2
アルストロメリアの適品種の作付け拡大が見込まれる。
時期別の収穫本数が把握され、計画生産が可能となる。
1
利用上の注意事項 2
年次や地域あるいは夏季の温度経過によっては収穫本数、品質に変動が出る。
過去に有望品種としたが、現在入手ができない品種
「アモール」
、
「コシナ」、
「サクラ」、
「ロレナ」、
「アマレラ」
、
「スイートフィネッセ」
、
「アンビアンス」
、「バレンタイン」、「マンゴ」、「コロナ」
、「キッス」
、「エステル」、
「フェニックス」
問 い 合 わ せ 先 農林総合研究所 花き部(0172-52-4341)
対 象 地 域 県下全域
(電話番号)
平成16、18年度指導奨励事項・指導参考資料
発表文献等 平成21年度普及する技術・指導参考資料
平成22~24年度農林総合研究所 試験成績概要集
- 55 -
【根拠となった主要な試験結果】
表1
切り花品質
品種名
花色
マニラ
イルサ
メリッサ
エリサ
ロザリン
ピンクサプライズ
オリッサ
ダンシングクィーン
パバロッチ
ソランジェ
クリス テル
カノン
ディオール
レベッカ
オルガ
赤
緋赤
濃桃
桃
桃
桃覆輪
紫
濃橙
橙
黄
白
白
白
桃赤斑
白
(平成23年度
青森農林総研)
切り花長
茎 長
葉 数
小花数
花蕾数
切り花重
茎 径
(㎝)
(㎝)
(枚)
(個)
(個)
(g)
(㎜)
91.8
108.1
121.5
114.7
101.5
92.6
85.3
76.1
91.8
129.9
108.4
130.3
97.5
112.1
133.0
80.0
96.9
107.7
101.6
91.0
81.9
74.3
64.6
81.8
115.2
94.6
117.2
85.9
96.8
121.3
20.8
28.9
20.7
21.7
23.9
22.9
23.3
28.8
35.1
24.8
24.6
24.6
34.7
20.2
19.4
4.8
5.1
4.7
3.7
5.0
5.9
5.3
7.0
5.5
6.6
4.9
4.3
5.9
4.4
4.3
4.8
5.0
4.7
3.6
4.9
5.7
5.3
6.8
4.9
6.2
4.8
4.2
5.7
4.4
4.3
49.8
70.6
83.3
65.5
86.5
78.5
84.9
57.8
64.4
91.9
66.8
78.1
87.9
67.6
67.4
6.0
6.6
7.0
6.5
7.5
7.2
7.8
7.0
6.8
8.3
6.9
6.9
7.7
6.6
6.4
(注)1 切り花調査期間:平成23年1月~12月(12か月間)
2 太字は有望品種(以下同様)
表2
月別採花本数
(平成23年度 青森農林総研)
(本/株)
品種名
マニラ
イルサ
メリッサ
エリサ
ロザリン
ピンクサプライズ
オリッサ
ダンシングクィーン
パバロッチ
ソランジェ
クリステル
カノン
ディオール
レベッカ
オルガ
1月
3.6
4.2
5.5
4.8
3.1
2.7
4.2
0.0
0.7
0.9
4.8
1.2
1.6
5.2
4.3
2月
1.3
4.8
4.2
2.7
4.2
3.2
3.6
0.0
0.5
1.6
4.2
4.0
2.9
5.4
5.4
3月
1.9
4.5
3.6
2.8
3.1
2.0
3.7
0.3
0.5
1.8
3.3
3.2
3.1
5.3
4.9
4月
1.2
3.8
2.2
2.4
1.7
1.6
1.4
1.5
3.1
1.2
3.7
2.3
5.0
4.6
2.9
5月
4.4
1.6
1.7
2.5
1.2
1.9
0.6
4.2
2.7
1.2
3.0
3.3
4.7
5.8
3.3
6月
0.9
1.8
0.4
3.0
0.7
3.4
1.2
0.9
2.2
0.6
4.7
2.1
2.6
3.6
3.8
7月
3.1
3.2
0.6
3.5
1.7
4.4
4.2
1.6
1.1
0.1
4.9
1.3
2.1
2.0
3.1
8月
0.4
0.5
0.0
2.1
2.9
1.4
2.1
0.8
2.7
0.0
3.3
0.0
2.1
1.2
1.5
9月
0.2
1.4
0.2
2.6
1.3
1.2
1.3
0.1
0.4
0.0
0.3
0.0
1.0
0.9
0.8
10月
0.3
1.2
0.3
2.6
0.8
1.6
0.4
0.0
0.7
0.0
0.0
0.0
0.2
0.5
0.1
11月
0.3
0.8
0.1
0.7
0.4
1.4
0.3
0.0
0.8
0.1
0.0
0.0
0.0
0.3
0.0
(注)規格外を除く
表3
定植から2年間の採花本数
(平成22~24年度
青森農林総研)
(本/株)
品種名
マニラ
イルサ
メリッサ
エリサ
ロザリン
ピンクサプライズ
オリッサ
ダンシングクィーン
パバロッチ
ソランジェ
クリステル
カノン
ディオール
レベッカ
オルガ
(注)規格外を除く
H22. 9~12月
16.4
17.2
12.1
10.2
5.4
8.9
4.1
0.1
2.8
3.9
5.8
3.0
2.5
4.8
12.0
H23. 1~12月
17.8
28.2
19.2
29.7
21.2
25.2
23.0
9.5
15.8
7.6
32.2
17.4
25.3
35.2
30.1
H24. 1~6月
7.5
11.7
15.8
13.1
9.3
18.1
12.1
10.9
11.2
7.3
24.2
15.1
12.8
20.0
11.8
合計
41.7
57.1
47.1
53.0
35.9
52.2
39.2
20.5
29.8
18.8
62.2
35.5
40.6
60.0
53.9
耕種概要
1 定 植 日:平成22年6月15日
2 施肥量(kg/a): 基肥 窒素:りん酸:加里=1.0:1.0:1.0
(初年目)
追肥 窒素:りん酸:加里=2.0:2.0:2.0
(2年目)
追肥 窒素:りん酸:加里=1.0:1.0:1.0
(3年目)
ベッド幅90㎝、通路70㎝、株間40㎝、条間40㎝、2条植え
3 栽 植 様 式:
定植時から平成23年3月31日 最低室温10℃
4 温 度 条 件:
平成23年4月1日以降 最低室温5℃
- 56 -
定植後2年間の平均
20.9
28.6
23.6
26.5
18.0
26.1
19.6
10.3
14.9
9.4
31.1
17.8
20.3
30.0
27.0
12月
0.2
0.4
0.4
0.0
0.1
0.4
0.0
0.1
0.4
0.1
0.0
0.0
0.0
0.4
0.0
合計
17.8
28.2
19.2
29.7
21.2
25.2
23.0
9.5
15.8
7.6
32.2
17.4
25.3
35.2
30.1
事
項
トルコギキョウにおける褐色根腐病の特徴
平成23年に県内のトルコギキョウで根腐症状を示す株が持ち込まれた。病原を調査した
ね ら い 結果、新病害である「トルコギキョウ褐色根腐病」によるものであることが明らかとなっ
たので、その特徴を示し、診断と防除対策上の参考に供する。
1 発生状況
発生地点:津軽地域6地点6農家圃場
作型:無加温ハウス栽培(10月下旬~11月中旬定植、4月上旬~5月中旬定植)
指
時期:4月中旬~7月下旬頃
品種:
「まほろばピンクフラッシュ」「雪ぼたん」「海ほのか」他5品種
導
発生割合:30~100%
参
2
病徴
地上部は草丈が低く全体的に小さくなり、下葉からの黄化や枯れ上がりがみられ、幼
植物では枯死する場合もある。地下部は根量が少なく、根に褐変が認められる。重症株
では細根がほとんど無くなり、主根の表面がコルク状になる。症状は青かび根腐病に類
似し、外観だけでの識別は困難であるが、越冬栽培のように低温期間が長くなる作型で
は、本病による被害の可能性が高い。
3
病原菌
病斑部から分離した菌について、培養菌糸による土壌接種、分生子殻等形態の観察、
考
内
容
遺伝子塩基配列の比較を行った結果、病原菌はSubplenodomus drobnjacensisと同定さ
れた。新病名として「トルコギキョウ褐色根腐病」を提案している。この菌は土壌伝染
性の病原菌であるため、被害植物残渣とともに土壌中に残り、寄主植物の栽培にともな
って胞子が発芽し、根部から感染する。
4 防除対策
(1)被害株は早急に抜き取り、作物を植えない場所に埋める等適正に処分する。
(2)連作を避ける。
(3)機械作業等による汚染土壌の移動を防ぐ。
(4)発病圃場で使用した資材は、廃棄するか丁寧に土を洗い落とす。
トルコギキョウにおける根腐症状の原因と特徴を明らかにすることにより、早期発見が
期 待 さ れ る 効 果 可能となり、被害拡大を防止することができる。
利用上の注意事項
問 い 合 わ せ 先 農林総合研究所 病虫部(0172-52-4314)
(電話番号)
平成23~24年度 試験成績概要集(農林総合研究所)
発表文献等 平成25年度 第66回北日本病害虫研究会
- 57 -
対 象 地 域 県下全域
【根拠となった主要な試験結果】
健 全 株
写真1
写真2
発 病 株
トルコギキョウ褐色根腐病発病株(平成24年4月19日撮影)
トルコギキョウ褐色根腐病
発病株(平成24年4月19日撮影)
主根のコルク化症状
根の褐変症状
写真3 トルコギキョウ地下部の症状(平成24年4月20日撮影)
生重量(4株当たり、g)
図1
分離菌を接種したトルコギキョウの生重量(培養菌糸
による土壌接種後60日目) (平成23年 青森農林総研)
- 58 -
事
ね
項
ら
指
導
参
考
内
容
新たな需要を期待できるりんご新品種「あおり24」の特性
りんご「あおり24」は、光沢のある緑色の外観と酸味の効いた濃厚な食味を持つ個性
い 的な品種で、生食・調理・加工に利用でき、新たな需要の掘り起こしが期待できる品種と
して参考に供する。
1 育成経過
「あおり24」は昭和59年に、
「グラニースミス」と「レイ8(東光×紅玉)
」を交配し、
育成した緑色品種で、平成16年に「青り24号」として二次選抜され、平成23年に品種登
録申請した(平成24年1月出願公表)。
2 果実特性
(1)収穫時期:10月中旬
(2)外
観:大きさ300g程度の円形で、玉揃いは良く、果皮は緑色~黄緑色で光沢が
ある。
(3)食
味:果肉は硬度18ポンド程度と硬く、果汁が多く、糖度は15%程度、酸度は
0.8g/100mL程度で、酸味は強いが甘味もあり、食味は濃厚である。
(4)貯 蔵 性:普通冷蔵で3か月程度、翌年の1月下旬頃から品質の低下が見られる。
(5)そ の 他:つるさび、つる割れ、心かび、蜜入り果の発生は少ない。
3 その他の特性
(1)生育ステージ:「ふじ」に比べて開花は1~2日程度早い。
(2)樹の性質
:樹姿はやや開張、樹勢は中程度である。
(3)交雑和合性 :S遺伝子型はS2S23で、一般的な栽培品種とは全て和合性である。
(4)耐病性と病害虫防除 :斑点落葉病に強い。
その他の病害虫については通常の防除で問題ない。
4 加工適性
(1)調理・加工適性:酸味や風味を生かした調理や加工用途への適性がある。果肉は加
熱調理すると崩れやすく、アップルパイやジャム、ソース、スープ
等に向く。
(2)市場性評価
:調理・加工用としての評価は高く、生食用としての評価は嗜好に
より大きく分かれるが、一定のニーズが見込まれる。
5
栽培上の留意事項
斑点性障害が、園地や樹、生産年によって発生し、特に若木に多いので注意する。
日当たりの良い樹では、陽向面着色や果皮の黄化が見られる。
1 着色管理が不要な中生種として、品種構成上の選択肢が増える。
期 待 さ れ る 効 果 2 多様な消費者ニーズに応え、りんごの楽しみ方の幅を広げる個性豊かな品種を提供す
ることで、長期的視野での需要の維持や底上げが図られる。
利 用 上 の 注 意 事 項 1 当面は「あおり24」生産・利用研究会を通じて、登録会員による生産と一元出荷に
よって普及する(連絡先:りんご研究所)。
2 摘果剤の散布は「ふじ」の満開後3週間頃に行うと効果が高い。なお、「ふじ」の満開
後2週間頃の散布では、過剰落果となるため、薬剤がかからないよう注意する。
問 い 合 わ せ 先 りんご研究所 品種開発部(0172-52-2331)
対 象 地 域 県下全域
(電話番号)
発表文献等 平成16~23年度 試験研究成績概要集(りんご)(りんご研究所)
青森農研フラッシュ第39号、 平成25年度園芸学会春季大会(発表予定)
- 59 -
【根拠となった主要な試験結果】
表1 「あおり24」の収穫時の果実品質
(平成17~22年
満開日
収穫日
ヨード
1果重
硬度
糖度
年
(月/日)
(月/日)
反 応
(g)
(ポンド)
(%)
平17
5/20
10/18
298
17.9
14.2
平18
5/20
10/16
2.0
330
19.6
15.3
平19
5/20
10/22
1.5
303
15.9
15.5
平20
5/ 4
10/21
1.6
350
17.8
15.5
平21
5/ 9
10/22
1.0
292
18.1
15.2
平22
5/18
10/19
2.1
255
21.6
15.1
平均
5/15
10/19
1.6
305
18.5
15.1
(注)1 調査樹は平成22年で9年生のM.26EMLA台樹、各5果について調査
ヨード反応:全面着色5(未熟)~染色なしを0とした指標
表2
「あおり24」の貯蔵後の果実品質
青森りんご研)
酸度
(g/100mL)
0.78
0.91
0.86
0.70
0.81
0.79
0.81
(平成19~22年
青森りんご研)
1果重
硬度
糖度
酸度
(g)
(ポンド)
(%)
(g/100mL)
1/30
291
15.9
16.0
0.58
○
10/25
1/22
321
14.0
15.6
0.60
△
平21
10/23
1/26
280
13.8
14.9
0.60
△
平22
10/19
1/26
257
18.5
14.8
0.58
○
年
収穫日
調査日
平19
10/23
平20
(注)1
2
表3
評 定
調査樹は平成22年で9年生のM.26EMLA台樹、各5果について調査
評定の○は品質良好、△は粉質化や油あがり等の品質低下がややみられた
現地試験地における「あおり24」の果実品質と斑点性障害の発生状況(平成23年
調査園地
樹齢/台木
苗木・高接の別
収穫日
ヨード反応
1果重
硬度
糖度
酸度
(0-5)
(g)
(ポンド)
(%)
(g/100mL)
2
0
1
14.7
0.78
14
0
1
13.5
0.78
3
12
0
14.0
0.80
62
0
0
13.2
0.71
3
10
4
-
1
1
0.78
0
10
3
13.6
0.77
32
9
4
14.0
0.59
90
0
0
0.74
-
2
0
0.71
50
11
3
0.82
9
9
3
0.74
0
4
0
0.66
18
5
1
0.90
0
5
277
19.2
13.7
0.79
りんご研2
10年生/M.26E
10/21
2.2
278
19.2
14.3
りんご研3
13年生/M.26E
10/21
2.2
270
20.4
りんご研4
高18年生/M.26
10/24
1.3
264
18.7
弘前市富栄
高7年生/M.26マ
10/25
1.8
303
17.8
弘前市鳥井野
高7年生/M.26マ
10/26
1.5
258
18.6
弘前市中畑
高7年生/マルバ
10/23
1.6
238
18.8
12.9
0.76
弘前市小友
高7年生/?
10/24
1.6
278
18.5
13.6
弘前市紙漉沢
高7年生/マルバ
10/26
1.1
262
17.8
黒石市三島
高7年生/M.26マ
10月下旬
1.4
329
16.7
平川市広船
8年生/わい性台
平川市金屋
高7年生/マルバ
藤崎町藤崎
8年生/M.26
つがる市森田
高7年生/マルバ
板柳町野中
高7年生/マルバ
10/26
10/21
10/21
10/24
1.8
2.0
1.5
1.5
251
293
227
305
18.5
19.7
18.8
17.7
H23
0.75
2.0
18.4
H22
0
10/21
313
H21
0
10年生/M.26E
1.5
斑点性障害発生果率(%)
1
りんご研1
10/24
青森りんご研)
13.4
13.4
15.2
13.9
12.4
鶴田町大巻
8年生/M.26
複数樹混合
10/13
10月中旬
2.0
弘前市松木平
1.8
274
18.6
11.6
0.79
-
-
11
十和田市米田
複数樹混合
11月上旬
1.0
295
16.5
13.6
0.71
-
-
-
(注)1
2
3
4
311
20.0
13.5
-
りんご研1~2は黒石圃場
台木のM.26EはM.26EMLA、マルバはマルバカイドウ、M.26マはM.26マルバカイドウ付き
果実品質は各5果について調査
斑点性障害発生果率は、斑点が5個以上発生していた果実(生食・調理用として不可)の割合
- 60 -
表4
「あおり24」の生育ステージ
(平成17~22年
発芽日
年
開花日
満開日
平17
あおり24
4/14
ふ じ
4/15
あおり24
5/16
ふ じ
5/17
あおり24
5/20
ふ じ
5/20
平18
4/14
4/14
5/16
5/15
5/20
5/18
平19
4/ 8
4/12
5/11
5/13
5/20
5/19
平20
4/ 2
4/ 3
4/30
5/ 1
5/ 4
5/ 4
平21
平22
4/ 7
4/ 9
5/ 4
5/ 6
5/ 9
5/ 9
4/10
4/10
5/11
5/15
5/18
5/18
平均
4/ 9
4/10
5/ 9
5/11
5/15
5/14
(注)
調査場所:りんご研究所黒石圃場
表5
「あおり24」の斑点落葉病抵抗性
品 種 名
あおり 24
発病葉率(%)
(平成18年
被害度
判定
0
0
強
スターキング
100
69
弱
ふ じ
53
13
やや弱
つ が る
0
0
強
(注)
表6
青森りんご研)
被害度=Σ(G×n)×100
6×N
G:病斑指数0、1、2、3、4、5、6=病斑数0、
1~5/葉、~10、~30、~50、50<、落葉
n:各病斑指数に該当する葉数
N:調査葉数
接種試験による調査
「あおり24」の交雑和合性
(青森りんご研、青森グリーンバイオ)
品 種 名
S遺伝子型
あおり24
ふ じ
王 林
つ が る
ジョナゴールド
紅 玉
S 2 S 23
S 1S 9
S 2S 7
S 3S 7
S 2S 3S 9
S 7S 9
(注)
青森りんご研)
あおり24と
の交雑和合性
-
○
○
○
○
○
DNAマーカーによる調査
写真1
「あおり24」の果実
写真2
- 61 -
「あおり24」の樹姿
表7 「あおり24」の調理・加工適性
(平成21~24年
試作例
青森りんご研)
評価・コメント等
ジュース
濃厚な酸味と甘味で風味があり、高評価。製菓素材としても利用できる。
シードル
甘味でフルーティ。良好。
ジャム
酸味、風味があり、良好。
真空調理りんご
果肉は柔らかめ。酸味があり良好。
乾燥りんご
酸味、甘味、風味があり、高評価。
高糖度りんご
酸味、風味があり、良好。
アップルパイ
果肉は柔らかめで生地に調和。酸味、風味があり、高評価。
タルトタタン
果肉が崩れるので不向き。
その他菓子類
特性を生かしたい場合はシンプルな菓子が向く。
バターや香味料を多く使う菓子では特徴なし。
料理
サラダやスープ等の試作品は、高評価。果皮色を活かせると面白い。
(注) 製菓店、加工業社、弘前地域研究所、農産物加工研究所等で平成21~24年に試作
質問:味について?
質問:緑色の外観について?
質問:一般に流通するようになったら?
質問:利用方法は?
図1 「あおり24」の市場性評価(平成22~23年 青森りんご研)
東京都及び青森県において、食味、外観、購買意欲、用途等に関するアンケート調査を実施した。JR東京
駅(11/29)、A-Factory(青森市12/3)、新宿高野(東京都11/17)、りんご生産技術研修会(黒石市12/15)
- 62 -
事
ね
項
ら
黒星病真性抵抗性りんご新品種「あおり25」の特性
りんご新品種「あおり25」は、黒星病抵抗性遺伝子Vfを有する真性抵抗性品種である。
い さっぱりとした酸味と肉質の良さを生かした、生食・調理・加工用として農薬を削減でき
る品種として参考に供する。
1 育成経過
「あおり25」は、昭和60年に、「メロー」と「リバティ」を交配し、育成した赤色品種
で、平成16年に「青り25号」として二次選抜され、平成23年に品種登録申請した(平成24
年1月出願公表)。
指
導
参
考
内
容
2 果実特性
(1)収穫時期:10月下旬である。
(2)外 観:大きさ250g程度とやや小玉で、果色は紅色で縞が不明瞭に入る。果形は扁
円形である。
(3)食 味:果肉硬度は16ポンド程度、歯切れの良いパリパリとした肉質で、果汁が多
く、酸味が強い。糖度は14%程度、酸度は0.6~0.7g/100mLである。
(4)貯蔵性:貯蔵期間は普通冷蔵で3か月程度で、翌年の2月上旬頃から品質の低下が
みられる。貯蔵障害はみられないが、油あがりがある。
(5)その他:つる割れ、心かび、蜜入り果の発生は少ない。つるさびがやや発生する。
果梗が短く、玉回しが容易ではない。葉摘みが遅れると着色が進みにくく
なる。果皮にスカーフスキンがみられる。
3 その他の特性
(1)生育ステージ:開花日から落花日まで「ふじ」より3日程度早い
(2)樹の性質
:樹の生育特性は開張性で、細かい枝が多い。樹勢はやや弱めであ
る。早期落果、後期落果はともにみられない。
(3)交雑和合性 :自家不和合性(S)遺伝子型はS5S7で、「ふじ」、「つがる」、「王林」
等主要品種と和合性であるが、「さんさ」、「もりのかがやき」とは不和
合性である。
(4)耐病性と病害虫防除 :黒星病真性抵抗性で、黒星病と斑点落葉病に強い。
その他の病害虫防除は通常の散布で問題ない。
(5)その他
:隔年結果はほとんどみられない。早期結実性が観察されている。
4
加工適性
酸味や風味を生かした調理や加工用途への適性がある。果肉は加熱調理しても崩れに
くく、タルトタタンなど果肉を生かした加工品やシードル等の醸造用としても適する。
調理・加工用としての評価は高く、農薬を削減して栽培した農産物として一定のニー
ズが見込まれる。
黒星病抵抗性の特性を活用し、農薬が削減可能な品種として期待される。
期待される効果
1
当面は、農薬削減栽培等を行っている生産者を対象とし、「あおり25」を育てる会等
利 用 上 の 注 意 事 項 を通じて、登録制によって普及する(連絡先:りんご研究所)。
2 摘果剤の利用については、効果がないので使用は控える。
問 い 合 わ せ 先 りんご研究所 品種開発部(0172-52-2331)
対象地域 県下全域
(電話番号)
平成20~24年度 試験研究成績概要集(りんご)(りんご研究所)
発表文献等 青森農研フラッシュ 第39号
平成25年度 園芸学会春季大会(発表予定)
- 63 -
【根拠となった主要な試験結果】
表1 「あおり25」の収穫時の果実品質 (平成20~24年 青森りんご研)
満開日 収穫日 ヨード反応 1果重
硬度
糖度
酸度
年
(月/日) (月/日) (0-5)
(g)
(ポンド) (%)
(g/100mL)
平20 5/2 10/23
1.0
267
15.4
13.9
0.63
平21 5/6 10/26
0.6
266
14.6
13.5
0.60
平22 5/16
11/1
0.6
263
16.8
14.1
0.66
平23 5/16
10/26
1.1
284
16.2
14.8
0.75
平24 5/11
10/26
1.4
267
17.6
14.1
0.59
平均 5/10 10/26
0.9
269
16.1
14.1
0.65
(注)1 調査樹は平成24年で11年生のM.26EMLA台樹、各5果について調査。慣行栽培。
2 ヨード反応:全面染色5(未熟)~染色なしを0とした指数
表2 「あおり25」の現地圃場における果実品質
(平成23年 青森りんご研)
樹齢/台木
収穫日 ヨード反応 1果重 硬度
糖度
酸度
調査園地
苗木・高接の別 (月/日) (0-5)
(g) (ポンド) (%)
(g/100mL)
弘前市下湯口 7年/M.26(苗)
10/27
0.3
311
16.6
14.3
0.74
弘前市鳥井野 7年/JM7(苗)
10/27
0.7
281
16.3
12.8
0.66
黒石市三島
7年/M.26/マルバ(高) 11/4
1.0
235
14.9
11.9
0.55
平川市尾崎
7年/マルバ(苗)
10/28
1.0
262
15.3
12.9
0.60
平川市金屋
7年/マルバ(高)
10/27
0.6
189
16.5
13.4
0.63
つがる市森田 7年/マルバ(高)
10/27
0.2
221
15.6
10.9
0.55
大鰐町居土
7年/M.26(苗)
10/27
0.5
273
16.5
14.0
0.70
(注)慣行栽培
表3 「あおり25」の冷蔵後の果実品質
(平成23年 青森りんご研)
収穫日 1果重 硬度
糖度
酸度
調査園地
評定
(月/日)
(g) (ポンド)
(%) (g/100mL)
弘前市鳥井野
10/27
248
13.6
13.2
0.50
○
黒石市三島
11/4
215
12.6
12.2
0.49
△
平川市尾崎
10/28
266
12.1
12.2
0.47
△
大鰐町居土
10/27
241
15.5
13.1
0.52
○
りんご研(黒石)
10/26
292
12.8
14.5
0.60
○
りんご研(藤崎)
11/4
259
13.4
13.2
0.58
○
(注)1 調査日:平成24年2月1日。普通冷蔵。
2 評定の○は品質良好、△は粉質化や油あがり等で品質低下がややみられた。
表4 「あおり25」の生育ステージ (平成20~24年 青森りんご研)
開花日(月/日)
満開日(月/日)
落花日(月/日)
年
あおり25
ふじ あおり25
ふじ あおり25
ふじ
平20
4/29
5/1
5/2
5/4
5/8
5/12
平21
5/2
5/6
5/6
5/9
5/12
5/13
平22
5/10
5/15
5/16
5/18
5/21
5/22
平23
5/11
5/15
5/16
5/19
5/19
5/23
平24
5/7
5/9
5/11
5/15
5/18
5/20
平均
5/6
5/9
5/10
5/13
5/15
5/18
(注)台木:M.26EMLA、平成24年で15年生
写真1
- 64 -
「あおり25」の果実
表5 「あおり25」の交雑和合性
(青森りんご研、青森グリーンバイオ)
あおり25との
品種名
S遺伝子型
和合性
あおり25
S5S7
-
ふじ
S1S9
○
S3S7
○
つがる
王林
S2S7
○
S2S3S9
○
ジョナゴールド
さんさ
S5S7
×
S5S7
×
もりのかがやき
(注)DNAマーカーによる調査
写真2
表6 「あおり25」の黒星病抵抗性
(平成17、18年 青森りんご研)
発病程度
品種名
判定
平成17年 平成18年
あおり25
1
1
強
国光
4
4
弱
つがる
-
4
弱
ふじ
3
-
弱
あかね
2
-
強
さんさ
-
1
強
プリシラ
0
-
強
プリマ
-
0
強
(注)接種検定による調査
0:無病徴、
1:クロロシス病斑で胞子形成なし、
2:クロロシス病斑で胞子形成あり、
3:胞子形成病斑で葉面積の50%未満、
4:胞子形成病斑で葉面積の50%以上
1
「あおり25」の樹姿
2
1
2
図1 黒星病抵抗性Vf遺伝子のDNAマーカー
による検定
(平成20年 青森グリーンバイオ)
(注)レーン1:青り4号(黒星病り病性)
レーン2:あおり25(黒星病抵抗性)
表7 「あおり25」の斑点落葉病抵抗性
(平成17、18年 青森りんご研)
発病葉率(%)
被害度
(注)接種試験による調査
品種名
判定
平成17年 平成18年 平成17年 平成18年
被害度=Σ(G×n)×100
6×N
あおり25
0
0
0
0
強
G:病斑指数0、1、2、3、4、5、
スターキング
100
100
51
69
弱
ふじ
33
53
10
13
やや弱
6=病斑数0、1~5/葉、~10、
つがる
0
0
0
0
強
~30、~50、51以上、落葉
n:各病斑指数に該当する葉数、
N:調査葉数
- 65 -
表8 「あおり25」の調理・加工適性
(平成22~24年 青森りんご研)
試作例
評価・コメント等
ジュース
さっぱりとした酸味で、風味があり、良好。
シードル
酸味が活かされ、香りがあり、すっきりとした味わい。高評価。
ジャム
酸味、風味がある。良好。果肉ジャムは食感があり、高評価。
乾燥りんご
酸味、甘味、風味がある。良好。
アップルパイ 果肉が煮崩れせずに残り、酸味があり、良好。
タルトタタン 果肉が煮崩れしないため最適。高評価
(注)製菓店、加工業者、弘前地域研究所、農産物加工研究所等で平成21~24年に試作。
東京駅
東京駅
とても美味
しい
美味しい
A-FACTORY
買いたい
A-FACTORY
普通
ソムリエ
買いたくない
ソムリエ
あまり美味
しくない
美味しくない
生産技術
研修会
0%
20%
40%
60%
80%
その他
生産技術
研修会
0%
100%
質問:味について?
20%
40%
60%
80%
100%
質問:一般に流通するようになったら?
東京駅
A-FACTORY
生で食べる
A-FACTORY
試食販売
ある
クッキング
ない
ソムリエ
トーク
ショー
加工品
ソムリエ
その他
その他
生産技術
研修会
生産技術
研修会
0%
0%
20%
40%
60%
80%
20%
40%
60%
80%
100%
100%
質問:利用方法は?
質問:減農薬農産物への関心は?
図2 「あおり25」の市場性評価(平成23年 青森りんご研)
(注)1 東京都及び青森県において、食味、購買意欲、用途、減農薬作物への関心等に関するアンケー
ト調査を実施
2 実施場所:JR東京駅(東京都 11/29)、A-Factory(青森市 12/3)、青森野菜ソムリエの会(青
森市 1/9)、りんご生産技術研修会(黒石市 12/15)
- 66 -
事
項
ね
「まどか」は8月下旬に収穫でき、着色が良く果肉が硬めで果実品質が優れていること
い が明らかしたので、試作上の参考に供する。
ら
もも試作品種「まどか」の特性
1
指
導
参
考
内
来歴
山形県の(株)イシドウが「大玉あかつき」の自然交雑実生より選抜育成した。
登録品種ではないが、品種名は平成13年11月2日付けで商標登録済である。
2 果実特性
(1)収 穫 期:8月下旬で「あかつき」より1週間程度遅い。
(2)1 果 重:250g~300g前後
(3)果
形:扁円形
(4)果 皮 色:着色は「あかつき」と同程度に良い。
(5)果 肉 色:白色であるが、収穫が遅れると果肉に赤色で着色が入る。
(6)果肉の硬さ:
「あかつき」及び「川中島白桃」より硬めである。
(7)果 実 品 質:糖度は約12%、酸度は約0.3%である。果汁は多くないが、果肉緻密で
食味良好である。
(8)その他:核割れは少ない。収穫が遅れるとみつ症が発生する。
容
3 その他の特性
(1)生育ステージ:開花は「あかつき」より1日早く、「川中島白桃」より2日早い。
(2)花
粉:有り。「あかつき」
、「川中島白桃」に対して和合性がある。
(3)樹 の 特 性:樹勢は強く、樹姿は直立性と開帳性の中間である。枝の発生は
多く、結果枝は中果枝、長果枝が多い。
4 栽培上の留意点
(1)結実良好で過着果になりやすいため適正着果に努める。
(2)着色が先行しやすいが、糖度や食味を確認して適期収穫を行う。
(3)樹上での軟化は遅いが、収穫が遅れるとみつ症が発生するので留意する。
(4)病害虫防除は、「青森県もも病害虫防除暦」に準じて行う。
基本品種である「あかつき」と「川中島白桃」の間に収穫できることから、リレー出荷
期 待 さ れ る 効 果 ができ、品種構成の多様化が図られる。
利用上の注意事項
問 い 合 わ せ 先 りんご研究所県南果樹部(0178-62-4111)
対 象 地 域 県下全域
(電話番号)
平成22~24年度 りんご研究所試験成績概要集(特産果樹)
発表文献等
- 67 -
【根拠となった主要な試験結果】
表1 「まどか」の生育ステージ(平成22~24年
青森りんご研県南果樹)
品種名
まどか
年度 開花日 満開日 落花日 収穫日 満開後日数
22年 5/ 6
5/ 8
5/19
9/ 1
116
23年 5/ 7
5/10
5/19
8/30
112
24年 5/ 5
5/ 7
5/16
8/28
113
平均 5/ 6
5/ 8
5/18
8/30
114
あかつき
22年 5/ 7
5/ 9
5/19
8/24
107
23年 5/ 9
5/12
5/19
8/22
102
24年 5/ 6
5/ 8
5/16
8/23
107
平均 5/ 7
5/10
5/18
8/23
105
川中島白桃 22年 5/ 9
5/13
5/21
9/13
123
23年 5/10
5/15
5/22
9/14
122
24年 5/ 6
5/13
5/24
9/14
124
平均 5/ 8
5/14
5/22
9/14
123
(注)満開後日数:満開日から収穫日までの日数
表2
「まどか」の果実
「まどか」の果実品質(平成22~24年 青森りんご研県南果樹)
品種名
果重
果形 果皮 果汁
硬度
(g)
着色
(kg)
まどか
22年
250
扁円 やや多 中
0.55
23年
271
扁円
中
中
0.40
24年
275
扁円 やや多 中
0.38
平均
265
扁円 中~やや多
中
0.44
あかつき
22年
258
扁円 やや多 やや多 0.55
23年
264
扁円
中
やや多 0.10
24年
281
扁円 やや多 やや多 0.29
平均
268
扁円 中~やや多 やや多 0.31
川中島白桃 22年
391
扁円 やや多 やや多 0.36
23年
355
扁円
中
やや多 0.10
24年
346
扁円
中
やや多 0.06
平均
364
扁円
中
やや多 0.17
(注)1 硬度はユニバーサル型硬度計を用い測定した
2 糖度は屈折計示度、酸度はリンゴ酸換算とした
表3
写真
年度
収穫時別「まどか」の果実品質
糖度
(%)
13.1
11.6
12.5
12.4
13.7
11.3
12.6
12.5
14.1
10.2
12.1
12.1
(平成24年
酸度
(g/100mL)
0.28
0.25
0.30
0.28
0.25
0.23
0.20
0.23
0.24
0.22
0,24
0.23
核割れ
(%)
5.4
0.0
0.2
27.8
0.1
0.2
10.3
0.0
0.1
青森りんご研県南果樹)
収穫 満開後 果重
日
日数
(g)
果皮 硬度 糖度
酸度
みつ症
備考
着色 (kg) (%) (g/100mL) 発生率 程度
(%)
8/23
108
246
中
0.60 12.5
0.30
0
酸味がやや多く未熟に感じる
8/28
113
275
やや多 0.38 12.5
0.30
0
収穫適期
9/ 3
118
292
多
0.42 12.7
0.25
35
軽 果肉内の着色が多い
(注)1 硬度、酸度は表2に準じる。
2 みつ症程度:軽(果肉繊維周辺に水浸状に発生)
やや不良
6%
普通
25%
不良
1%
無回答
0%
良好
49%
やや良好
19%
図1
「まどか」の食味アンケート結果(平成24年 青森りんご研県南果樹)
平成24年9月13日実施、回答者:一般消費者、72名
- 68 -
事
ね
項
ら
ノーザンハイブッシュ系ブルーベリーの特性(追加)
ブルーベリーは、健康機能性が高く、低樹高で栽培管理のしやすい果樹として、近年、
い 新規作付による栽培面積の増加が著しい。また既存産地においては、新品種への関心が高
く、本県に適応性の高い品種が要望されている。最近育成されたブルーベリー(ノーザン
ハイブッシュ系)について、9品種の特性を明らかとしたが(平成21年度指導参考資料)、
今回現地で要望の高い2品種について試作したところ、特性が明らかとしたので、品種選
択の際の参考に供する。
指
導
参
1
ブルーベリー各品種の特性の概要
品種名
収穫期間 果実の
(熟期) 大きさ
シエラ
7月中旬 大
(Sierra)
~
8月上旬
(早生)
チャンドラー
(Chandler)
8月上旬
~
9月上旬
(晩生)
極大
収穫
特性及び栽培上の留意点
量
中 果粉が密に着き、外観が美しい
果肉が硬くしっかりしている
甘味が多く食味良好
凍害の発生は少ない
少
考
内
果実が極大である。
酸味がやや多いが、 風味が豊かで食味
良い
熟期がばらつき、収穫期間が長い
生理的落果がみられる
凍害の発生は少ない
(注)熟 期:
「コリンズ」を早生、「ブルークロップ」を中生、「コビル」を晩生とし
た場合の比較
果実の大きさ:極大(4g以上)、大(3~4g)、中(2~3g)
収穫量:多(3kg/樹以上)、 中(1~3kg/樹) 、少(1kg/樹以下)
容
期待される効果
ブルーベリーの新規作付や品種更新に際し、品種選択の参考となる。
利用上の注意事項
供試品種の特性は若木(6~10年生)での内容である。
問 い 合 わ せ 先 りんご研究所県南果樹部(0178-62-4111)
対 象 地 域 県下全域
(電話番号)
発表文献等 平成22~24年度 りんご研究所試験成績概要集(特産果樹)
- 69 -
【根拠となった主要な試験結果】
表1 ブルーベリー各品種の開花期、収穫期、樹の生育及び収穫量
(平成22年~24年 青森りんご研県南果樹)
品種名
開花期
収穫期
樹勢
樹姿
樹高 樹幅 新梢本数
収穫量
(月/日)
(月/日)
(cm) (cm) (本/樹) (kg/樹)
シエラ
5/25~6/10
7/23~8/ 8
中
やや開帳 120
96
47
1.28
チャンドラー
5/27~6/11
8/ 6~9/ 7
強
開帳
113
92
33
0.59
参考)コリンズ 5/18~6/ 3
7/19~7/31
強
直立
参考)ブルークロップ 5/23~6/ 8
7/26~8/22
中
直立
参考)コビル
5/24~6/ 8
8/ 4~9/ 4
強
直立
(注)1 耕種概要:樹齢(平成24年):「シエラ」10年生、「チャンドラー」は7年生
2 栽植距離2m×4m、株仕立て、1品種3樹、
3 各調査項目は平成22年~24年の平均、但し、樹高、樹勢、新梢本数及び収穫量は平成24年
4 開花期:開花日(20%開花)~落花日(80%落花)
5 新梢本数:10cm以上の新梢をカウント
6 参考品種:平成24年時30年生、1品種2樹
表2 ブルーベリー各品種の果実品質及び凍害発生程度
(平成22年~24年 青森りんご研県南果樹)
果実重 横径
果皮色
果形
糖度
酸度
食味
凍害発生程度
(g) (cm)
(%) (g/100ã) (1~5)
(平成24年)
シエラ
3.0
1.9
明青
扁円
11.6
0.69
3.7
小
チャンドラー
4.8
2.2
青
扁円
10.9
0.72
3.5
小
参考)コリンズ 3.2
1.9
明青
扁円
12.4
0.59
3.7
参考)ブルークロップ
3.5
1.9
明青
扁円
10.8
0.60
3.3
参考)コビル
3.4
1.9
明青
扁円
11.3
0.72
3.7
(注)1 果実品質:平成22年~24年の平均
但し「チャンドラー」の平成22年は調査果数不十分のため除外
調査は各年の収穫始めまたは2回目の収穫時
2 果実重及び横径:10~30果の平均
3 糖度及び酸度:30~100果より搾汁し測定、なお、酸度はクエン酸換算
4 食味:1(不良)~5(良好)
5 凍害発生程度:
小(1年枝の先端がわずかに黒変し、樹全体の収量には影響しないとみられる程度)
品種名
写真1
「シエラ」果実
写真2「チャンドラー」果実
- 70 -
事
項
ね
りんご「あおり27」の品質保持期限は普通冷蔵で2か月間と比較的短く、果肉が褐変
い しない特性を活用したカットりんご等の新たな需要の拡大を制限する要因となっている。
今回、CA貯蔵により品質を5か月間保持できることが明らかとしたので、参考に供する。
ら
りんご「あおり27」(千雪)の品質はCA貯蔵で5か月間(3月下旬まで)保持できる
1 CA貯蔵による「あおり27」の果肉硬度及び果汁酸度の保持効果は、普通冷蔵より
も高い。
指
導
参
2 「あおり27」の果実硬度、果汁酸度等の品質はCA貯蔵で5か月間(3月下旬まで)
保持できる。
3 入庫前は、必ず軟性やけ発生防止対策(収穫後に10℃程度の環境で5~7日間保持す
る)を実施する。
考
内
4 CA貯蔵は一般的な条件(0℃、O2 濃度1.8~2.5%、CO2 濃度1.5~2.5%)とし、11
月上旬までに入庫する
容
期待される効果
CA貯蔵により、りんご「あおり27」の販売期間を延長することができる。
利用上の注意事項
問 い 合 わ せ 先 りんご研究所 品種開発部(0172-52-2331)
(電話番号)
発表文献等 平成22~24年度
対 象 地 域 県下全域
試験研究成績概要集(りんご)(りんご研究所)
- 71 -
【根拠となった主要な試験結果】
果肉硬度(ポンド)
**
**
**
**
0.5
0.4
15
n.s.
**
**
0.3
**
**
10
0.2
果肉硬度 CA貯蔵
5
果汁酸度(g/100mL)
n.s.
20
果肉硬度 普通冷蔵
0.1
果汁酸度 CA貯蔵
果汁酸度 普通冷蔵
0.0
0
収穫時
1か月後
H22/11/24
2か月後
H22/12/22
3か月後
H23/1/21
4か月後
H23/2/24
5か月後
H23/3/23
図1 CA貯蔵による「あおり27」の果肉硬度及び果汁酸度の保持効果(平成22年 青森りんご研)
(注)1 供試果実:平成22年10月22日に収穫後、10℃恒温下で7日間保持(軟性やけ対策)
2 CA貯蔵:0℃、O2 濃度 2.2%、CO2 濃度 2.0%、11月1日の入庫まで0℃普通冷蔵で保管
3 図中の記号:n.s.は有意差なし、** は1%水準で有意差あり(t 検定)
表1 CA貯蔵後の「あおり27」の果実品質評価
( 平 成 23年 青 森 り ん ご 研 )
貯蔵期間
貯蔵方法
果肉硬度
果汁酸度
品質
備 考
(ポ ン ド )
(g/100mL)
評価
収穫時
-
17.6
0.273
○
肉質・酸味良好
CA貯蔵
16.5
0.219
○
肉質・酸味良好
5か月
普通冷蔵
14.3
0.111
×
肉質軟化、酸味不足
(出庫時)
有意性
**
**
-
CA貯蔵
15.9
0.224
○
肉質・酸味まだ良好
5か月
普通冷蔵
13.8
0.093
×
肉質軟化、酸味不足
(棚持ち)
有意性
**
**
-
CA貯蔵
15.5
0.225
△
軟質果混入
6か月
普通冷蔵
14.1
0.117
×
肉質軟化、酸味不足
(出庫時)
有意性
**
**
-
CA貯蔵
16.1
0.205
△
軟質果混入
6か月
普通冷蔵
13.7
0.087
×
肉質軟化、酸味不足
(棚持ち)
有意性
**
**
-
(注)1 供試果実:平成23年10月20日に収穫後、倉庫内(10℃程度)に5日間保持(軟性やけ対策)
2 CA貯蔵:0℃、O2 濃度 2.2%、CO2 濃度 2.0%、11月8日の入庫まで0℃普通冷蔵で保管
3 出庫時:貯蔵5か月後の調査は平成23年3月22日、貯蔵6か月後の調査は4月19日に実施
4 棚持ち:出庫後、20℃恒温下で7日間静置後に調査
5 有意性:** は1%水準で有意差あり(t 検定)
6 品質評価:○(良好)、△(やや不良)、×(不良)
- 72 -
事
ね
項
ら
りんご剪定枝チップの地表面(全面及び樹冠下)施用は白紋羽病及び紫紋羽病の発生を
助長しない
未熟な有機物は紋羽病の栄養源となるといわれているが、長年剪定枝チップを施用して
い いる園地及び紋羽病多発圃場に剪定枝チップを施用した園地を調査したところ、剪定枝チ
ップの地表面施用は白紋羽病及び紫紋羽病の発生を助長しないことを明らかとしたので、
参考に供する。
1 剪定枝チップの地表面施用は、チップの大きさや施用年数にかかわらず、白紋羽病及
び紫紋羽病の発生を助長しない。
指
2
導
紫紋羽病多発圃場及び白紋羽病接種圃場に剪定枝チップを地表面施用した園地では、
紋羽病による枯死樹や感染樹はみられるが、施用量による違いはなく、発生を助長しな
い。
参
考
3 土壌中に生息する紋羽病菌は新鮮な剪定枝チップを好む傾向にあるので、紋羽病が多
発している園地では土壌にすき込まない。
内
容
1 剪定枝をチップ化して園内に地表面施用するので、焼却処分する必要がない。
期 待 さ れ る 効 果 2 園地内から排出された剪定枝を使用するため、園地循環型の剪定枝の有効利用が図ら
れる。
園地内から生産された剪定枝は、当該園地外へ持ち出さない。
利用上の注意事項
問 い 合 わ せ 先 りんご研究所 病虫部(0172-52-2331)
(電話番号)
対 象 地 域 県下全域
発表文献等 平成24年度 試験研究成績概要集(りんご)(りんご研究所)
- 73 -
【根拠となった主要な試験結果】
表1
剪定枝チップの大きさと施用年数が紋羽病発生に及ぼす影響
調査時期
調査園地
平成22年9月 黒石市高賀野
平成23年10月 黒石市高賀野
平成24年11月 黒石市高賀野
弘前市十面沢
チップ径
(mm)
10~20
10~20
10~20
7~15
(平成24年 青森りんご研)
施用
施用量 調査 枯死
発生状況
チ ッ プ
年数 (/10a) 樹数 樹数 白紋羽病 紫紋羽病 への感染
2年 約 70kg
10
0
0
0
-
3年 約 70kg
10
0
0
1
-
4年 約 70kg
15
0
0
0
-
2年 約200kg
10
0
0
0
-
(注)1 高賀野:9年生「早生ふじ」/M.26を供試し、毎年4月に園地全面に施用
2 十面沢:20~30年生「ふじ」/マルバカイドウを供試し、毎年4月に園地全面に施用
表2
区
1
2
3
紫紋羽病多発圃場における剪定枝チップの施用量が紋羽病の発生に及ぼす影響
(平成23~24年 青森りんご研)
発生状況
チ ッ プ
施用量/10a(施用時期)
調査時期
調査樹数
白紋羽病
紫紋羽病
への感染
5.1t(平成17年4月) 平成23年10月
7
0
0
-
3.1t(平成18年4月) 平成24年11月
7
0
0
-
23.6t(平成17年4月) 平成23年10月
8
0
2***
-
18.8t(平成18年4月) 平成24年11月
8
0
2(枯死)
-
施用なし
平成23年10月
5
1***
1***
平成24年11月
5
1**、1(枯死)
1(枯死)
(注)1
りんご研究所の23年生「ふじ」/M.9EMLAを供試し、径約16~40mmの剪定枝チップを2か年、
樹冠下に施用
2 試験圃場は平成11年~14年の根部調査で紫紋羽病多発圃場であることを確認。
3 *:根に菌糸束がわずかに付着、**:根に菌糸束が多数付着、***:根部腐敗がみられる。
表3
区
1
2
3
白紋羽病菌接種圃場における剪定枝チップの施用量が白紋羽病の発生に及ぼす影響
(平成23~24年 青森りんご研)
白紋羽病の チ ッ プ
施用量/10a(施用時期)
調査時期
調査本数
枯死樹数
発 生 状 況 への感染
0.3t(平成21年4月) 平成23年10月
6
0
0
-
0.3t(平成22年4月) 平成24年11月
6
0
1*
-
3.0t(平成21年4月) 平成23年10月
6
0
0
-
3.0t(平成22年4月) 平成24年11月
6
0
2***
-
施用なし
平成23年10月
4
0
1**
平成24年11月
4
0
3***
(注)1
りんご研究所の6年生「ふじ」/マルバカイドウを供試し、径約5~10mmの剪定枝チップを2か
年、樹冠下に施用。
2 接種は平成21年4月の剪定枝チップ施用後に、主幹から50㎝離れた根部付近に白紋羽病菌を実施
3 *:根に菌糸束がわずかに付着、**:根に菌糸束が多数付着、***:根部腐敗がみられる。
- 74 -
事
ね
項
ら
平成24年度のりんご園における性フェロモントラップを利用したナシヒメシンクイの誘
殺状況
近年、津軽地域の一部でりんご等にナシヒメシンクイによる果実被害がみられている。
い
県内各地のりんご園にフェロモントラップを設置し、誘殺状況をとりまとめたので、参
考に供する。
指
導
参
1 平成24年度におけるナシヒメシンクイの発生状況
(1)誘殺地点数
地 域
調査地点数
誘殺地点数
津軽
27
25
県南
6
6
(2)誘殺状況
津軽、県南地域とも、広域で誘殺が認められ、板柳町、藤崎町、弘前市、南部町、
三戸町などでは誘殺数が多い地点もみられる。
考
内
容
2 ナシヒメシンクイの発生時期
(1)成虫は4月下旬から10月上旬まで、年に3回発生し、一部4回発生する。
(2)成虫の発生盛期
3回発生:5月中~下旬頃(越冬世代)、7月中~下旬頃(第1世代)、8月下旬~
9月上旬頃(第2世代)
4回発生:5月上~中旬頃(越冬世代)、7月上旬頃(第1世代)、8月中旬頃(第
2世代)、9月中旬頃(第3世代)
写真 トラップに誘殺された雄成虫
期待される効果
写真 幼虫による新梢の芯折れ被害
現在の発生状況が周知され、被害が目立つ所では適期防除が喚起される。
1 交信攪乱剤「コンフューザーR」または「ナシヒメコン」を利用している園地及びそ
利 用 上 の 注 意 事 項 の周辺ではフェロモントラップに成虫が誘殺されない。
2 被害のみられる園地では自園地及びその周辺のりんご、なし、もも、すもも、プルー
ン、おうとう等のばら科果樹やさくらの新梢や果実での発生にも注意する。
問 い 合 わ せ 先 青森県病害虫防除所(017ー729ー1717)
対 象 地 域 県下全域
(電話番号)
発表文献等 平成24年度有害動植物発生予察事業年報
- 75 -
【根拠となった主要な試験結果】
表1 県内各地のりんご園におけるナシヒメシンクイの誘殺状況
(平成24年 青森県病害虫防除所)
旬別誘殺数
No.
地点名
総誘殺数 4月
下旬
5月
6月
7月
上旬 中旬 下旬
上旬 中旬 下旬
上旬 中旬 下旬
8月
上旬
中旬 下旬
9月
10月
上旬 中旬 下旬
上旬
1 藤崎町藤崎 *
249
5
9 11 75
0
2
1
4
14 23
1
28 42
8 22 4
0
0
4 28 75
4
0
0
1
3
0
0
4
1
0
2
0
0
2 板柳町田中錦町 * 122
3 板柳町掛落林 * 587
0
12 43 69
4
0
0
14 51 17
8
56 142 52 111 7
1
4 弘前市中崎
143
‐
1 17 58
2
0
0
1
2
7
0
16 25
13 1
0
0
5 弘前市独狐 *
217
0
11 17 31
1
0
0
4
8
3
19 26 24
25 46 0
2
6 弘前市青女子
191
0
1
3 10
1
0
0
8
1
8
18 21 58
40 19 3
0
7 弘前市糠坪
478
0
7 17 28
0
1
0
21 37 10
2 135 137 44 38 1
0
8 弘前市五代
285
2
11 28 28
0
0
0
6
6
12
24 45 46
29 44 4
0
9 弘前市紙漉沢
121
‐
‐
7 15
0
0
0
11 0
1
0
12 15
50 10 0
0
10 弘前市樹木
421
‐
‐ 36 67
0
4
5
33 41 22
5
23 134 22 22 6
1
11 弘前市原ヶ平
295
‐
‐ 23 71
1
2
0
18 20
5
20 26 31
41 33 4
0
12 弘前市大沢
290
‐
‐ 29 79
0
0
3
7
11
9
1
36 60
16 31 7
1
13 平川市新屋
74
‐
‐
8
5
1
0
0
0
0
0
1
11 26
22 0
0
0
14 平川市広船 **
0
‐
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
163
‐
‐
‐
‐
8
1
0
2
12 21
13 43 28
17 17 1
0
15 五戸町倉石又重
16 南部町平
1270
3
54 50 23
14
6
3
105 135 62
57 203 130 238 158 29
0
17 三戸町梅内
483
2
8 21 14
8
0
7
45 54
9
21 27 59 106 96 5
1
(注)慣行防除のりんご園に発生予察用の住化武田式粘着トラップを1園地に1台設置し、誘引源としてナシヒメシンクイ性フェロモ
ン剤(サンケイ化学製)を用い、調査期間中、5日間隔で誘殺数を調査した。
*:2年目、前年も誘殺あり、**:2年目、前年誘殺なし
表2 短期間設置のフェロモントラップによる成虫誘殺
(平成24年 青森県病害虫防除所)
No.
地点名
総誘殺数
調査期間
18 板柳町太田 *
67
4/23~5/21
19 弘前市種市
22
4/24~7/1
20 鶴田町大性
10
5/7~7/11
21 五所川原市持子沢
36
5/8~6/3
22 弘前市細越
586
8/8~10/4
23 弘前市鬼沢
117
8/8~9/26
24 弘前市十面沢
27
8/8~9/26
25 鰺ヶ沢町小屋敷
0
8/8~9/26
137
8/8~9/26
26 鶴田町妙堂崎
27 つがる市上古川
3
8/8~9/26
28 五所川原市原子
16
8/8~9/26
29 大鰐町長峰
12
8/8~9/26
30 平川市古懸
30
8/21~9/26
31 南部町高橋
290
7/12~9/26
131
8/6~9/18
32 八戸市南郷区島守
33 八戸市櫛引
59
8/6~9/18
(注) 調査回数:1地点当たり3~11回、誘殺数のみを調査。
写真1
幼虫による果実被害
(上:こうあ部、下:がくあ部)
*:2年目、前年も誘殺あり
160
140
140
120
120
誘殺数
100
100
80
60
誘 80
殺
60
数
40
40
20
20
0
0
6 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 1
5 6 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 1 2
4
月
4月 5月/半旬
5月/半旬
6月/半旬
7月/半旬
8月/半旬
9月/半旬
10月
板柳町掛落林
図1
6月/半旬
7月/半旬
8月/半旬
9月/半旬
10
月
南部町 平
フェロモントラップによる半旬別誘殺消長(平成24年
- 76 -
青森県病害虫防除所)
事
ね
項
ら
ぶどう「サニールージュ」の専用カラーチャートを利用した収穫方法
ぶどう「サニールージュ」は糖度を目安に収穫するように指導しているが、糖度計を用
い いなくても開発された専用カラーチャートを用いることにより、簡易に高糖度の果房を収
穫できることを明らかにしたので、参考に供する。
1
専用カラーチャートの指数2で収穫する。
指
2 専用カラーチャートは、全体に着色した果房を対象に直射日光を避けて明るい日陰で
使用する。比色は、着色が平均的な部分の果粉をわずかに指などでふきとって行う。
導
3
参
サニールージュの平年の収穫時期は、露地栽培では9月中旬(満開85日頃)から9月
下旬、無加温ハウス栽培では8月上旬(満開70日頃)から8月中旬であるので、収穫が
近くなったら比色を行う。
考
内
容
図
サニールージュ専用カラーチャート
(注)実際のカラーチャートの色とは印刷
の関係で異なる。
写真
専用カラーチャート
の比色状況
期待される効果
簡易に適熟果房が収穫されることにより、高品質生産が図られる。
利用上の注意事項
専用カラーチャートはりんご研究所で入手できる。
問 い 合 わ せ 先 りんご研究所 栽培部(0172-52-2331)
(電話番号)
発表文献等 平成21~24年度
対 象 地 域 県下全域
試験研究成績概要集(特産果樹)(りんご研究所)
- 77 -
【根拠となった主要な試験結果】
表1 専用カラーチャートを用いて採取した指数別果房の品質(平成21年~23年
年次
カラーチャート指数
果房重
(g)
糖 度
(%)
酸
21年
1
2
3
372
357
350
17.3
18.3
19.2
22年
1
2
3
437
384
391
23年
1
2
3
295
353
331
(注)1
2
度
(%)
青森りんご研)
着色面積
(%)
食 味
(1-5)
総合
評価
0.72
0.66
0.58
84
98
100
3.0
4.2
2.4
△
○
×
未熟果房混在
良好
やや果肉軟
17.9
19.4
20.0
0.51
0.48
0.45
93
100
100
3.0
3.9
1.6
△
○
×
未熟果房混在
良好
やや果肉軟
18.2
19.2
19.8
0.59
0.46
0.47
100
100
100
3.0
4.0
2.0
△
○
×
未熟果房混在
良好
やや果肉軟
備
考
食味は、1~2:未熟・過熟、3:可食、4:良好、5:非常に良好。
総合評価は、△:やや不良、×:不良、○:良好。
表2 専用カラーチャート指数2を用いて採取した果房の品質
(平成22、23年 青森りんご研、青森りんご研県南果樹)
年次
22年
調査地点
収穫
月日
鶴田町
三戸町
南部町
りんご研
9/23
9/13
8/12
9/17
90
89
67
86
20
9
10
27
378
351
300
384
19.5
18.9
17.1
19.4
0.49
0.49
0.60
0.48
100
100
100
100
3.8
4.3
3.9
3.9
○
○
○
○
南部町
8/10
8/23
70
83
10
5
311
331
17.1
17.9
0.63
0.39
100
100
3.0
3.0
○
○
りんご研
9/ 9
9/12
9/25
76
79
92
5
20
20
290
328
353
19.1
19.9
19.0
0.68
0.47
0.46
100
100
100
3.8
3.8
4.0
○
○
○
23年
(注)1
2
満開後 採取果 果房重 糖 度
日数
房数
(g)
(%)
酸 度 着色面積 食 味
(%)
(%)
(1-5)
総合
評価
鶴田町、三戸町、りんご研は露地栽培。南部町は無加温ハウス栽培。
食味、総合評価は表1と同じ。
表3 専用カラーチャートを用いて調査した指数別着房割合と指数2で採取した果房の品質
(平成24年 青森りんご研、三八地域県民局地域農林水産部農業普及振興室、
中南地域県民局地域農林水産部農業普及振興室)
カラーチャート指数別
調査地点
調査月日
着房割合(%)
指数2の果房の品質
果房重
糖度(%)
食味
1
2
3
(g)
平均
最小値
(1-3)
三戸町
9/ 7(収穫始め)
9/10(収穫盛期)
9/18(収穫終り)
81
36
12
19
59
82
0
5
5
490
509
461
18.3
18.0
19.2
18.0
17.2
18.4
3.0
2.6
2.9
弘前市
9/ 6(収穫始め)
9/14(収穫盛期)
9/24(収穫終り)
77
31
17
23
67
81
0
2
2
468
480
411
17.6
17.8
18.1
17.2
17.2
17.9
3.0
3.0
3.0
(注) 1 カラーチャート指数別着房割合は、品質調査用以外の果房を収穫しなかった場合の結果
である。
2 食味は、1:まずい、2:普通、3:おいしいの3段階で評価した。
- 78 -
事
項
ね
ぶどう「サニールージュ」の良品生産に適した新梢の長さと、良品率を高める摘芽と摘
い 梢の時期を明らかとしたので、参考に供する。
ら
ぶどう「サニールージュ」の強勢樹に対する良品生産のための新梢管理法
1「展葉10枚時」に、長さ61~80cmの新梢割合が高い樹では良品率が高い。
2
開花前の主芽の状態と新梢長、良品率
「展葉3枚時」におけ
る未展葉の主芽割合
「展葉10枚時」におけ
る61~80cmの新梢割合
3割以下
4割以上
良品率
高い
低い
高い
低い
指
導
参
考
(注)展葉3枚時:3枚以上展葉した主芽が樹全体の20%以上になった時期(5月中旬)
展葉10枚時:10枚以上展葉した新梢が樹全体の80%以上になった時期(6月中旬)
3「展葉3枚時」に未展葉の主芽が全体の4割以上の樹(強勢樹)では、「展葉10枚時」
における61~80cmの新梢割合を高めるため、摘芽と摘梢の時期を慣行より10日程度遅ら
せる。
内
容
写真
展葉3枚時(5月中旬)
の未展葉の主芽
写真
同左時の展葉した
主芽
期待される効果
新梢管理の指標を示すことにより、良品生産が図られる。
利用上の注意事項
露地栽培での試験結果である。
問 い 合 わ せ 先 りんご研究所 栽培部(0172-52-2331)
(電話番号)
発表文献等 平成21~24年度
対 象 地 域 県下全域
試験研究成績概要集(特産果樹)(りんご研究所)
- 79 -
【根拠となった主要な試験結果】
表1
展葉10枚時の新梢長と良品率の関係(平成21~24年
良品率(%)
展葉10枚時
の新梢長
21年
22年
23年
青森りんご研)
24年
60cm以下
15
39
17
32
61~ 80cm
44
48
68
69
81cm以上
21
21
60
57
(注)1 展葉10枚時の新梢長は、21年は6月10日、22年は6月11日、23年は6月15日、24年は
6月14日に調査した。
2 樹齢は、21年は11年生、22年は12年生、23年は13年生と5年生、24年は14年と6年生。
3 展葉10枚時は、10枚以上展葉した新梢が樹全体の80%以上になった時期である。
4 良品は、糖度17%以上、着色面積81~100%、着色は赤紫色、果房重301~400gの全て
を満たすものとした。
表2
開花前の生育状態と良品率の関係
(平成23、24年
展葉3枚時の未
展葉10枚時の新梢長分布割合(%)
年次
樹NO・
展葉の主芽割合
(%)
60cm以下
61~80cm 81cm以上
青森りんご研)
良品率
(%)
1
26
35
46
19
74
2
27
18
60
22
63
23年
3
29
40
52
8
65
4
31
29
52
19
63
5
40
10
19
71
54
1
24
16
54
31
76
2
27
28
54
18
74
3
30
20
53
27
71
24年
4
41
7
21
72
48
5
43
7
23
70
55
6
53
6
23
71
49
(注)1 展葉3枚時の未展葉の主芽割合は、23年は5月19日、24年は5月14日に調査した。
2 展葉3枚時は、3枚以上展葉した主芽が樹全体の20%以上になった時期である。また、
未展葉の主芽割合は、値が高いほど主芽の生育の揃いが悪いことを示す。
3 摘芽と摘梢は、同じ時期に同じ強度でおこなった。
4 展葉10枚時、良品基準は表1と同じ。
表3 未展葉の主芽割合と摘芽及び摘梢時期の違いが新梢の生育と良品率に及ぼす影響
(平成24年 青森りんご研)
展葉3枚時
の未展葉の
主芽割合
4割以上
3割以下
(注)1
2
3
摘芽時期
摘梢時期
5月中旬(慣 行)
展葉10枚時の新梢長分布割合(%)
良品率
60cm以下
61~80cm
81cm以上
(%)
5月下旬(慣 行)
7
22
71
51
5月下旬(10日後)
6月上旬(10日後)
22
51
27
69
5月中旬(慣 行)
5月下旬(慣 行)
21
53
26
74
展葉3枚時、未展葉の主芽割合は表2と同じ。
摘芽と摘梢は、同じ強度でおこなった。
展葉10枚時、良品基準は表1と同じ。
- 80 -
事
ね
項 「芽たたき」により、西洋なしの摘果作業時間は低減できる
西洋なしは、りんごとの果樹複合経営の品目として位置づけられ、栽培されているが、
ら い 西洋なしの摘果は、りんごの摘果の後回しになりがちである。そこで、日本なしで行われ
ている「芽たたき」を西洋なしに応用したところ、早期適正着果と摘果作業時間の低減に
つながることが明らかになったので参考に供する。
1 作業手順
(1)「芽たたき」の適期
ア 花蕾が離れておらず、展葉していない頃(5月上旬)
が適期である。
指
イ 適期の期間は3日程度である。
導
参
作業適期(
「芽たたき」前)
考
(2)「芽たたき」の方法
なしは2~4番花に良品果実がなる。このため、1~4番花を残すように、指を花
蕾に対して垂直に押しつぶすか、指で花蕾を軽くたたいて花梗を折る。
内
容
「芽たたき」の仕方
「芽たたき」後
2 「芽たたき」による効果
(1)一つ成り摘果までに要する作業時間が、慣行に比べて10%低減できる。
(2)果実の初期肥大が優れる。
(3)良好な果形や品質が期待できる2~4番花を残すことができる。
3 留意事項
(1)西洋なしの花梗は日本なしに比べて柔らかいので、「芽たたき」の際は花そうごと折
らないように注意する。
1 西洋なしの早期適正着果につながる。
期 待 さ れ る 効 果 2 摘果の作業ピークを分散できる。
3 りんごとの複合経営において、摘果作業の労力競合を軽減できる。
利用上の注意事項
問 い 合 わ せ 先 農林水産政策課農業改良普及グループ
(農業革新支援センター)対 象 地 域 県下全域
(電話番号) (017-734-9473)
発表文献等 平成24年度普及指導員調査研究結果概要書
- 81 -
【根拠となった主要な試験結果】
表1
芽たたきを導入した場合の一つ成り摘果までの作業時間 (平成24年 中南農業普及振興室)
区
1花そう当たり
1果そう当たり
芽たたき時間(秒)①
一つ成り摘果時間(秒)②
①+②の作業時間(秒)
試験区
1.2
1.6( 52)
2.8( 90)
慣行区
-
3.1(100)
3.1(100)
(注)1
2
3
4
表2
試験場所:弘前市薬師堂
供試品種及び樹数:ゼネラル・レクラーク、各区2樹
芽たたき及び一つ成り摘果日:5月2日、5月28日
( )内は、慣行区を100とした場合の試験区の割合
開花花そう結実率及び1果そう当たり着果数 (平成24年 中南農業普及振興室)
区
開花花そう結実率(%)
1果そう当たり着果数
試験区
61.0
2.6( 65)
慣行区
65.5
4.0(100)
(注)1
2
3
4
表3
試験場所及び供試品種、樹数は表1のとおり
調査日:5月28日
1樹当たり100花(果)そうを調査
( )内は、慣行区を100とした場合の試験区の割合
果実の初期肥大 (平成24年 中南農業普及振興室)
区
6月15日
7月3日
試験区
2.4cm(104)
3.7cm(106)
慣行区
2.3cm(100)
3.5cm(100)
(注)1
2
3
4
試験場所及び供試品種、樹数は表1のとおり
果実の最大横径とそれに直交する横径の平均値
100果を目安に、結果母枝単位で着果している全ての果実を調査
( )内は、慣行区を100とした場合の試験区の割合
- 82 -
事
項
ね
モモせん孔細菌病の多発圃場において、有効な防除法、すなわち薬剤散布、防風対策、
い 被害枝等の伝染源の処分及び袋掛けを総合的に組み立てて毎年継続することにより、本病
の被害を著しく軽減できることを明らかにしたので、参考に供する。
ら
モモせん孔細菌病は総合的な防除により被害を著しく軽減できる
1
モモせん孔細菌病の多発圃場において、収穫後及び重点防除時期に防除暦に準じて散
布し、また防風対策を行い、春型枝病斑及び夏型枝病斑を枝ごと徹底して切り取り処分
することにより、果実の被害は1年ごとに低下する。
2
6月の連続した降雨の前に、果実を被袋することにより、さらに被害は軽減される。
指
導
参
考
内
容
本病は薬剤散布だけでは防除が困難なので、総合的に防除を行うことにより被害を著し
期 待 さ れ る 効 果 く軽減できる。
1
本防除効果は、有効な防除法を総合的に組み立てて3年間継続した結果であり、単年
利用上の注意事項
度では効果は期待できない。
2 袋の種類にかかわらず、果実被害を著しく軽減できる。
問 い 合 わ せ 先 りんご研究所 県南果樹部 (0178-62-4111)
対 象 地 域 県下全域
(電話番号)
平成22~24年度 試験研究成績概要集(特産果樹)(りんご研究所)
発表文献等 東北農業研究 第63号
- 83 -
【根拠となった主要な試験結果】
表1 無袋果実における発病推移及び袋かけによる果実の被害軽減
(平成22~24年 青森りんご研県南果樹)
発病果率(%)
弘前市糠坪
五戸町扇田(対照)
有袋(一重袋)
無袋
53.3 (新聞紙袋)
94.0
2.4 (撥水紙袋※)
84.7
0
(新聞紙袋)
100
年次
無袋
92.6
68.8
23.3
平成22年
平成23年
平成24年
(注)1 供試品種:「川中島白桃」
2 防除の概要 ①弘前市糠坪:平成21年までは防風網設置なし、発病枝の除去は不徹底。平成22年以降は総合的
防除を実施(表2及び3)。平成22~24年のいずれも6月中下旬に被袋(図1)。供試袋(商品名)※:SK-2、
②五戸町扇田(県南果樹部圃場)
:平成22年は「開花直前」に IC ボルドー412、5~6月に抗生物質剤2回、
収穫後に IC ボルドー412を2回散布。平成23~24年は抗生物質剤無散布。
3 調査時期:いずれも8月下旬
4 調査果数:①弘前市糠坪:22~24年67~150果、② 五戸町扇田(県南果樹部圃場):100~150果
表2
モモせん孔細菌病の多発圃場における有効薬剤の散布経過
( 平 成 22~ 24年
平成22年
散布時期
散布月日
開花直前
平成23年
薬剤名・倍数
散布月日
5月1日 ICボルドー412 30倍
落花10日後
青森りんご研県南果樹)
平成24年
薬剤名・倍数
散布月日 薬剤名・倍数
5月3日 ICボルドー412 30倍
5月2日 ICボルドー412 30倍
5月29日 アグレプト水和剤 1,000倍 5月19日 アグレプト水和剤 1,000倍 5月30日 アグレプト水和剤 1,000倍
落花20日後
6月8日 マイコシールド
落花30日後
2,000倍 5月29日 マイコシールド
6月19日 マイコシールド 2,000倍
9月中旬
(川中島白桃収穫後)
9月中旬散布の
2週間後
6月8日 マイコシールド
2,000倍 6月11日 マイコシールド
2,000倍
2,000倍 6月22日 マイコシールド
2,000倍
9月18日 ICボルドー412 30倍 9月21日 ICボルドー412
9月28日 ICボルドー412
30倍
-
30倍 9月21日 ICボルドー412
-
-
30倍
-
(注)1
2
試験場所:弘前市糠坪、供試品種:「川中島白桃」、栽植距離:6m×6m
総合的防除実施前(平成21年)
:「開花直前」
(4月27日)に銅剤1回、5~6月に抗生物質剤3回、「9月中旬
(川中島白桃収穫後)」(9月14日)
、「9月中旬散布の2週間後」
(9月30日)に IC ボルドー412を散布
3 -は未実施
表3
モモせん孔細菌病の多発圃場における防風対策及び伝染源(発病枝)除去の概要
(平成22~24年 青森りんご研県南果樹)
項目
実施概要(平成22~24年)
防風対策
毎年4月下旬に目合4mm、高さ3.8mの防風網を設置した。
伝染源(発病枝)の除去
発病枝(春型及び夏型枝病斑を生じた枝)を見つけ次第剪去した。
(注)試験場所:弘前市糠坪
平成22年
25.0
平成23年
25.0
20.0
降
水
量 15.0
20.0
降
水
量 15.0
㎜
㎜
㎜
(
(
(
20.0
降
水
量 15.0
)
)
)
10.0
10.0
10.0
5.0
5.0
5.0
0.0
0.0
5
10
15
20
25
30
(日)
0.0
5
図1
(注)1
平成24年
25.0
10
15
20
25
30
(日)
5
被袋日前後(6月)の降水量
試験場所:弘前市糠坪
2
降水量は気象庁地域気象観測システム(アメダス)弘前から引用
3
矢印は被袋日を示す
- 84 -
10
15
20
25
30
(日)
事
項
ね
サイレージ用トウモロコシの収量を確保するために、土壌の有効態りん酸含量に応じて
い 最低限必要となるりん酸施肥量を明らかにしたので、参考に供する。
ら
土壌養分に基づくサイレージ用トウモロコシへのりん酸施肥量
1
サイレージ用トウモロコシに対するりん酸施肥基準
有効態りん酸
指
導
参
(mg/100g)
5mg未満
5mg以上
堆肥施用量
(t/10a)
4
堆肥からの
りん酸供給量
(kg/10a)
10
基肥りん酸
施 用 量
(kg/10a)
10 8
20
10 4
10
5 8
20
0 (注)りん酸施用量は使用する堆肥のりん酸含量から判断
する。
考
内
2 栽培上の留意事項
(1)牛糞堆肥を施用すれば、土壌改良資材としてのりん酸質資材(ようりん等)の施用
は不要である。
容
(2)りん酸施肥量を変えても、トウモロコシのりん酸含量は大きく変動しない。
(3)土壌中の有効態りん酸は、堆肥の増施及び連用で富化される。
期待される効果
肥料費節減による生産コスト低減と環境負荷軽減が期待される。
上記表中に示した堆肥からのりん酸供給量は、本試験で使用した堆肥中のりん酸含量か
普 及 上 の 注 意 事 項 ら算出した。
問 い 合 わ せ 先 畜産研究所 酪農飼料環境部(0175-64-2791)
(電話番号)
発表文献等 平成24年度 東北農業試験成績・計画概要集
- 85 -
対 象 地 域 県下全域
【根拠となった主要な試験結果】
表1 乾物収量及びりん含有率
(平成23~24年 青森畜産研)
P含有率(乾物中%)
乾物収量(kg/10a)
(t/10a) 施肥量
平成23年
平成24年
平成23年 平成24年
4 30 2,187 (100)
2,226 (100)
0.21
0.20
20 2,142 (98) ns 2,045 (92) ns
0.19
0.18
10 2,118 (97) ns 2,138 (96) ns
0.19
0.21
0 1,884 (86) ** 2,042 (92) ns
0.18
0.19
新規
8 30 2,373
(100)
2,342
(100)
0.20
0.23
作付
20 2,161 (91) ns 2,319 (99) ns
0.20
0.21
圃場
10 2,179 (92) ns 2,245 (96) ns
0.20
0.20
0 1,972 (83) ** 2,079 (89) *
0.20
0.19
4 慣行 2,117
2,043
0.19
0.18
0 20 1,900
2,035
0.17
0.18
4 10 2,560 (100)
2,210 (100)
0.25
0.29
5 2,497 (98) ns 2,138 (97) ns
0.23
0.27
0 2,416 (94) ns 2,028 (92) *
0.25
0.30
連作
8 10 2,657 (100)
2,209 (100)
0.23
0.30
圃場
5 2,531 (95) ns 2,195 (99) ns
0.23
0.29
0 2,550 (96) ns 2,280 (103) ns
0.25
0.30
0 10 2,319
1,978
0.24
0.31
(注)1( )内は堆肥施用量別で、りん酸多施用区を100とした指数。
2 慣行:初年目にようりん100kg+りん酸15kg、2年目にりん酸10kg/10a。
3 *:P<0.05、**:P<0.01、Williamsの多重比較検定による。 区分 堆肥施用量
P2 O5
表2 跡地土壌の有効態りん酸含量 (平成23~24年 青森畜産研)
(mg/100g乾土)
蓄積量
平成23年 平成24年
(t/10a) (kg/10a)
(A)
(B)
(B)-(A)
4 30 4.9
6.3
1.4
20 1.6
2.6
1.0
10 1.7
2.5
0.8
0 1.5
2.0
0.5
新規
8 30 3.1
6.7
3.6
作付
20 2.2
3.4
1.2
圃場
10 2.1
3.6
1.5
0 2.1
2.8
0.7
4 慣行
3.5
3.6
0.2
0 20 1.0
1.9
0.8
4 10 6.6
9.5
2.9
5 7.6
9.2
1.6
0 7.9
9.1
1.2
連作
8 10 9.6
12.0
2.4
圃場
5 9.6
13.8
4.3
0 9.5
11.6
2.1
0 10 7.3
8.5
1.3
(注)1 有効態りん酸はトルオーグ法による。
2 試験前の有効態りん酸含量は、新規作付圃場が
1.5mg/100g、連作圃場が5.6mg/100g。
区分
堆肥施用量 P2O5施肥量
〔参考〕
表3 供試した牛糞堆肥の成分含量(平成23~24年 青森畜産研)
(現物中%)
年次
風乾率
平成23年
19.6
平成24年
25.9
N
0.37
0.46
P 2O 5
0.21
0.26
K 2O
0.58
0.82
CaO
0.67
0.64
表4 現行の施肥基準(りん酸成分のみ抜粋)
圃場の前歴 堆肥施用量 基肥りん酸 りん酸質資材
施 用 量
施 用 量
(t/10a)
(kg/10a)
(kg/10a)
堆肥無施用畑
4
15
20 8
10
20 堆肥連用畑
4
10
0 8
10
0 (注)堆肥連用畑で有効態りん酸が5mg/100g以下の場合は
りん酸質資材を成分で20kg/10a施用する。
- 86 -
MgO
0.15
0.18
事
項
暑熱期におけるTMRの適切な水分含量
酪農経営において、暑熱期は環境的なストレスに加えて飼料の変敗による嗜好性低下が原因
で、生産性の低下を引き起こしやすい。
ね
ら
い
そこで、暑熱期のTMRの温度変化やpH推移に着目して効果的な飼料調製技術を検討したと
ころ、水分含量の違いが変敗速度や嗜好性に影響を与えることを明らかとしたので、参考に供
する。
1
暑熱期におけるTMRの適正水分
(1)TMRを自由採食により不断給餌する場合は水分率45%とする。
(2)1日複数回に分けて短時間内にTMRを完食させている場合は水分率55%(高水分)と
する。
指
2
水分含量の異なるTMRの特徴
(1)高水分TMRは発熱しやすく、最高温度に達する時間が短い。
導
(2)高水分TMRはpHの上昇が早く、変敗しやすい。
(3)採食速度は高水分TMRの方が早い。
参
(4)混合直後に給与したTMRに比べ、16時間脱気保存したTMRは変敗が早いため、採食
速度は遅くなる。
考
(5)選び食いの程度は、水分45~55%の範囲では差がない。
内
容
期待される効果
夏期において、給与体系にあわせた適正な水分量でTMRを調製することにより、採食量の
低下を軽減できる。
1
利用上の注意事項
使用したTMRは、デントコーンサイレージ及びオーチャードグラス乾草の混合割合をそ
れぞれ40%及び25%とし、その他に濃厚飼料等を混合して調製したものである。
2
TMRの選び食いについては水分含量だけでなく、粗飼料の切断長の影響を受ける。
問 い 合 わ せ 先 畜産研究所 酪農飼料環境部(0175-64-2791)
(電話番号)
発表文献等 平成24年度東北農業試験成績、計画概要集
- 87 -
対 象 地 域 県下全域
90
50
80
40
70
30
60
20
50
10
6.0
5.6
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
22
5.42
5.32
水分55%
5.0
開始時
24
12
15
牛舎内湿度
温湿度指数
(混合直後に採食開始)
水分45%
水分55%
83.7 82.1
80
採食率(%)
採食率(%)
40
24
(脱気保存16h後)
100
92.3
56.2
53.1
21
図2 TMR内部のpHの推移(平成23~24年青森畜産研)
80.3
79.2
60
18
経過時間(h)
牛舎内気温
80
5.39
5.33
5.2
図1 TMR内部温度の推移(平成23~24年青森畜産研)
100
5.61
5.55
5.54
経過時間(h)
水分45%
5.66
5.61
5.56
5.52
5.4
40
0
5.83
5.8
pH
60
湿度及び温湿度指数(%)
温度(℃)
【根拠となった主要な試験結果】
30.0
20
61.4
60
68.7
46.4
34.4
40
20
0
0
2h後
4h後
6h後
2h後
4h後
経過時間(h)
水分45%
図3
6h後
経過時間(h)
水分55%
水分45%
水分55%
水分含量の異なるTMRの採食速度の違い(平成24年青森畜産研)
50
内部温度(℃)
水分45%
開封
水分55%
40
脱気保存期間
30
20
0
2
4
6
図4
8
10
12
14
経過時間(h)
17.2
17.4
17.1
100%
14.9
36.9
36.0
34.2
38.0
37.3
37.3
38.8
6.8
8.5
9.5
12.1
開始時
2h後
4h後
6h後
19~7.9
7.9~2.1
割 合
割 合
38.0
40%
20%
0%
20
22
24
水分55%
9.7
10.8
11.7
11.3
42.1
41.0
39.4
37.9
41.5
40.1
39.6
39.9
6.7
8.2
9.3
10.9
開始時
2h後
4h後
6h後
19~7.9
7.9~2.1
80%
80%
60%
18
脱気保存したTMRの内部温度の違い(平成24年青森畜産研)
水分45%
100%
16
>19mm
図5
60%
40%
20%
0%
>19mm
<2.1mm
水分含量の異なるTMRの選び食いの違い(平成24年青森畜産研)
- 88 -
<2.1mm
事
ね
項
サイレージ用トウモロコシに対する鶏糞堆肥の基肥代替効果
鶏糞堆肥は速効性のある窒素成分を含有することから、サイレージ用トウモロコシに対
ら い する基肥の代替として利用することが可能である。
今回、鶏糞堆肥(ブロイラー)の形状や散布方法の違いが収量性等に及ぼす影響を明ら
かにしたので、参考に供する。
1 鶏糞堆肥の施用効果
(1)鶏糞堆肥を窒素肥効率40%程度に設定して施用すると、化学肥料を施用しなくても
収量が確保できる。
(2)堆肥の材料が同じであれば、堆肥形状の違い(ペレットとマッシュ)による収量の
差は小さい。
指
(3)トウモロコシの無機成分は、2年間の連用では化学肥料と同等である。
(4)鶏糞堆肥の連用により、土壌中の有効態リン酸及び交換性塩基が富化する。
導
2 鶏糞堆肥の散布方法
参
(1)全面混和:耕起前に鶏糞堆肥単独または牛糞堆肥とともにマニュアスプレッダで散
布し、耕起・砕土作業により土壌中に均一に混和する。
考
(2)表面散布:整地後、マニュアスプレッダで地表面に均一に散布する。また、ペレッ
ト堆肥はブロードキャスタで散布することができる。表面散布の場合は、
内
土壌中への混和は必要ない。
(3)トウモロコシ連作圃場において、上記散布方法の違いによる収量差は小さい。
容
3 栽培上の留意事項
(1)トウモロコシの施肥基準を参考に、窒素及びリン酸施肥量が基準値を超えないよう
に鶏糞堆肥施用量を設定し、不足分を化学肥料で補う。この場合、鶏糞堆肥(ブロイ
ラー)の窒素肥効率は40%、リン酸肥効率を100%として計算する。
(2)牛糞堆肥と併用する。
期待される効果
鶏糞堆肥の利用により、化学肥料を減肥することができるため、コスト低減に寄与する。
1 サイレージ用トウモロコシを9年連作した圃場における成果であり、鶏糞堆肥はオガ
クズ入りブロイラー堆肥を使用した。
利 用 上 の 注 意 事 項 2 鶏糞堆肥の成分含量に応じて施肥量を設定する。
3 土壌の養分含量が過度に蓄積した場合は鶏糞堆肥の施用を止める。
4 ペレット堆肥は化学肥料よりコスト高になることがある。
5 表面施用直後は臭気が発生するので、民家等が近い圃場では土中に混和する。
問 い 合 わ せ 先 畜産研究所 酪農飼料環境部(0175-64-2791)
対 象 地 域 県下全域
(電話番号)
発表文献等 平成24年度 東北農業試験成績・計画概要集
- 89 -
【根拠となった主要な試験結果】
表1 乾物収量 (平成23~24年 青森畜産研)
(kg/10a)
平成23年
平成24年
散布法
条 施 用 2,251 (100) ns
1,912 (100) ns
ペレット
全面混和 2,220 (99) ns
1,959 (102) ns
堆 肥
表面散布 2,406 (107) ns
2,071 (108) ns
条 施 用 2,355 (100) ns
2,032 (100) ns
マッシュ
全面混和 2,279 (97) ns
1,932
(95) ns
堆 肥
表面散布 2,430 (103) ns
1,943
(96) ns
化学肥料 条 施 用 2,679
2,122
(注)1 窒素肥効率を平成23年は50%、24年は45%とし、各区の
窒素施肥量が10kg/10aとなるように施用した。
2( )内は同一鶏糞堆肥内で、条施用を100とした指数。
3 Tukey-Kramer法による多重比較検定による。
種類
表2 トウモロコシの無機成分含量(平成23~24年 青森畜産研)
(風乾物中%)
散布法
N
条 施 用
1.18
ペレット
全面混和
1.15
堆 肥
表面散布
1.15
条 施 用
1.13
マッシュ
全面混和
1.19
堆 肥
表面散布
1.22
化学肥料 条 施 用
1.25
(注)1 2か年平均値。
2 K/(Ca+Mg)は当量比。
種類
P
0.23
0.22
0.22
0.20
0.23
0.23
0.25
K
1.26
1.25
1.34
1.25
1.32
1.18
1.24
Ca
0.17
0.17
0.17
0.17
0.17
0.19
0.19
Mg
0.14
0.13
0.13
0.13
0.13
0.14
0.14
K/(Ca+Mg)
1.65
1.64
1.76
1.64
1.74
1.45
1.53
表3 跡地土壌の化学性 (平成23~24年 青森畜産研)
種類
散布法
条 施 用
ペレット
全面混和
堆 肥
表面散布
条 施 用
マッシュ
全面混和
堆 肥
表面散布
化学肥料 条 施 用
試験前土壌
(mg/100g乾土)
平成23年
平成24年
交換性塩基
交換性塩基
pH TruogpH TruogEx-CaO Ex-MgO Ex-K2O (H2O) P2O5
Ex-CaO Ex-MgO Ex-K2O
(H2O) P2O5
6.1
6.1
6.1
6.2
6.1
6.1
6.1
6.2
6.6
7.5
7.6
6.3
8.9
7.9
7.5
5.6
391.3
401.3
442.2
391.0
407.4
401.0
407.8
409.6
42.3
44.3
51.3
39.5
45.1
40.9
35.2
31.8
56.8
53.2
74.6
61.3
61.5
56.9
48.1
68.0
6.1
6.2
6.1
6.1
6.2
6.3
6.0
10.8
11.6
10.3
12.8
11.6
9.1
8.7
426.0
457.2
453.8
470.1
449.2
446.9
452.0
41.0
46.4
46.2
49.6
47.0
43.5
39.6
60.3
94.5
81.4
68.0
82.3
71.8
51.8
〔参考〕
表4 供試堆肥の成分含量
年次
堆肥
形状
風乾率
N
P2O5
K2O
平成23年
鶏糞
ペレット
89.4
5.04
3.26
3.13
鶏糞
マッシュ
74.2
4.12
2.58
2.44
牛糞
-
19.6
0.37
0.21
0.58
平成24年
鶏糞
ペレット
93.6
5.31
3.45
3.17
鶏糞
マッシュ
90.0
5.21
3.28
3.14
牛糞
-
25.9
0.46
0.26
0.82
(注)1 鶏糞堆肥はオガクズ入りのブロイラー堆肥を使用した。
2 ペレットの形状は、径4mm、長さ5mm程度である。
表5 鶏糞堆肥からの成分施用量
年次
形状
施肥量
N
平成23年 ペレット
404
20.4
マッシュ
667
27.5
平成24年 ペレット
422
22.4
マッシュ
422
22.0
(現物中%)
CaO
4.34
3.18
0.67
4.86
4.84
0.64
(kg/10a)
P2O5
13.2
17.2
14.6
13.8
K2O
12.7
16.3
13.4
13.3
- 90 -
CaO
17.5
21.2
20.5
20.4
MgO
4.3
5.1
4.2
3.8
MgO
1.05
0.76
0.15
0.99
0.91
0.18
C/N
6.3
6.5
20.2
-
-
20.2
事
ね
項
ら
指
導
参
考
内
容
い
もち性小麦「もち姫」は成型・蒸煮のみの簡易な方法で煎餅生地を製造できる
もち性小麦「もち姫」由来の小麦粉を用いた煎餅生地の製造において、通常必要とされ
る蒸練及び練り上げの工程を省略した簡易な製造方法を開発したので、参考に供する。
1 もち性小麦「もち姫」の特性
(1)市販の中力粉との比較で、「もち姫」の粉は、より伸びの良い煎餅生地に製造でき
る。
(2)通常の蒸練、練り上げの工程を省略して製造した煎餅生地は、より膨らみのある煎
餅などの加工品を製造できる。
2 蒸練、練り上げを行わない煎餅生地の製造方法
(1)原材料
「もち姫」の粉:100g、水:150g
A:材料混合
(2)製造工程
「もち姫」の粉に水を加え良く混合し、裏ごしして、滑らかな生地を
作る。
B:成型・蒸煮
耐熱性のトレーなどに、厚さが3mm程度になるように生地を流し入れ、
アルミホイルで覆って30分間蒸す。
C:凍
結
アルミホイルを外し、粗熱を取ったら、冷凍庫で凍結する。
D:切断・乾燥
凍結した生地を適当な大きさにカットし、乾燥網に並べる。温風乾燥
機を使用し、55~60℃で2~3時間乾燥する。
静
置
紙の箱などに入れ、冷蔵庫で一晩おく
E:仕上げ乾燥
温風乾燥機を使用し、55~60℃で1~2時間仕上げ乾燥を行う。
(透明感が出て、手で簡単に折れるようになる頃が終了の目安)
包装・保管
乾燥機から取り出し、冷風をあて生地を冷ましてから袋に入れて保管
する(乾燥剤を入れると生地の水分が減少するので入れないこと)。
F:焼
成
生地を天板に並べ、170~180℃に予熱したオーブンで約3分間焼く。
(焼く前に、生地を70~80℃程度で予熱しておくと膨らみが良い。塩な
どで調味する場合は少量の植物油を添加する)
期 待 さ れ る 効 果 もち性小麦「もち姫」の膨化特性を活かした新たな加工品を低コストで開発できる。
利 用 上 の 注 意 事 項 1 もち性小麦「もち姫」は、(独)農研機構・東北農研センターが育成した品種である。
2 本品種は主に十和田市赤沼の赤沼営農組合で栽培されており、その小麦粉はもち小麦
商品開発研究会事務局(017-765-4176)又は道の駅ろくのへ(0176-55-4134)から入手
出来る。
問い合わせ先 農産物加工研究所 加工技術部
対 象 地 域 県下全域
(電話番号) (0176-53-1315)
発表文献等 あおもり農業平成25年4月号
- 91 -
【根拠となった主要な試験結果】
膨化率(%)
もち姫蒸練
中力粉蒸練(対照)
もち姫蒸煮・練り上げ
中力粉成型・蒸煮
中力粉蒸練(対照)
もち姫蒸練
中力粉成型・蒸煮
もち姫成型・蒸煮
もち姫成型・蒸煮
もち姫蒸煮・練り上げ
図2
図1 焼成後の煎餅生地膨化率(平成24年 青森農加研)
(注)1 中力粉蒸練(対照)、もち姫蒸練:蒸気を通
しながら練り上げた煎餅生地
2 中力粉成型・蒸煮、もち姫成型・蒸煮:型に
入れてから蒸した煎餅生地
3 もち姫蒸煮・練り上げ:蒸してから練り上げ
た煎餅生地
各生地を用いて焼成した煎餅
(平成24年 青森農加研)
(注) 各試験区は図1に同じ
→
A:材料を混合
→
A:ダマにならないように裏ごし
→
B:蒸し機で加熱(蒸煮)
B:成型(厚さ約3mm)
→
C:凍結して型から外す
→
D:乾燥網に列べる
→
→
D:適当な大きさにカット
→
E:仕上げ乾燥
図3 成型・蒸煮で煎餅生地を製造する手順 (平成24年
- 92 -
F:焼成(完成品)
青森農加研)
1
Ⅲ
県内で参考にできる技術一覧
県内で参考にできる技術一覧
平成24年度東北農業試験研究推進会議(東北農業研究センター主催)に提出された成果のうち、
本県に適用できる技術について、その一覧を掲載します。
詳しい内容については、東北農業研究センターにお問い合わせください。
(東北農業研究成果情報 http://tohoku.naro.affrc.go.jp/cgi-bin/seika/msearch.cgi)
技術・情報名(提出県又は研究機関名)
《作物》
1 水稲有機栽培における機械除草を中心とした除草体系
水稲有機栽培では、プラウによる秋の反転耕、荒代かきと植代かきの間隔をあけた2回代
かき、枕地ならし機構付き田植機、株間除草機を組み合わせることによって、雑草の発生量
を抑制し、減収を防ぐことができる。除草コストは有機慣行体系より低下する。(岩手県)
2
水稲湛水作溝同時直播栽培における低コスト作溝装置
高精度湛水直播機のフロート後方部に装着する1ピース・シームレスのステンレス製作溝
装置は、従来装置と同等以上の作溝性能を示す上、より軽量・低コストで作成でき、装着も
容易である。(岩手県)
3
ディスク式畑用中耕除草機を改良した麦・大豆畦立て播種ディスク式畑用中耕除草機
ディスク式畑用中耕除草機の後部等を外し、施肥播種機を加工取付することにより、麦・
大豆の畦立て施肥同時播種ができる。播種作業時に動力耕うんを伴わないため作業速度がく、
機体もコンパクトであるため小区画ほ場の機動性に優れる。(岩手県)
《野菜》
1 海水流入で上昇した土壌ECが野菜類の生育に及ぼす影響
イチゴ、キュウリ、リーキは、耐塩性が弱くEC 0.5dS/m以上で生育が抑制され、イチゴ、
リーキで枯死株が見られる。ナバナは、中程度でEC 0.5dS/mでは生育の抑制は少なく、枯死
株も見られない。アスパラガスは、耐塩性が強くEC 2.0dS/mでやや生抑制される。
(宮城県)
2
アスパラガス伏せ込み促成栽培における伏せ込み資材と加温法
アスパラガス伏せ込み促成栽培における伏せ込み資材として籾殻堆肥が適する。また、伏
せ込み後1週間静置したのち、徐々に設定温度を20℃まで上げていく。(福島県)
3
多収で極晩生の一季成り性イチゴ品種「豊雪姫」
一季成り性イチゴ品種「豊雪姫」は寒高冷地の無加温半促成栽培(低温カット栽培)およ
び露地栽培に適しており、多収性で商品化率が高い。炭疽病に対して中程度から高い抵抗性、
うどんこ病に中程度の抵抗性を有する。(東北農研)
《畜産》
1 汎用コンバインから排出される圧砕ワラは乾燥速度が早く、ビタミンE濃度が高い
乾田直播による飼料用稲を汎用コンバインで収穫する場合に発生する圧砕ワラは、乾燥が
早く収穫3日後には収集できることができ、さらにコンディショナーをかけると1日短縮す
る。また、迅速に乾燥するため、ビタミンE含量が高まる傾向がある。(東北農研)
- 93 -
技術・情報名(提出県又は研究機関名)
2
トウモロコシ新品種「きみまる」は赤かび病抵抗性が強く、かび毒の濃度も低い
農研機構育成の飼料用トウモロコシの新品種「きみまる(北交72号)」は、赤かび病抵抗
性が強く、かび毒の原因となるフモニシン濃度が顕著に低い。また、他のかび毒に関しても
高濃度に蓄積する特性は見られない。「きみまる」は平成27年に販売となる予定である。
(東北農研)
《土壌肥料》
1 海水流入農地土壌における塩化物イオン濃度の推定式及び簡易分析
海水流入農地土壌においてEC値から塩化物イオン濃度を推定可能であり、除塩の進行によ
り推定式が異なる。塩分濃度検知管、カンタブ、RQフレックスプラスを用いた塩化物イオン
濃度の簡易分析値は精密分析値と相関が高く実測が可能である。(宮城県)
2
積雪寒冷地域の水稲・大豆の田畑輪換における土壌肥沃度の実態と維持改善法
積雪寒冷地域の田畑輪換において、牛糞堆肥2~3t/10aの連用により大豆作頻度に関わ
らず地力増進基本方針の可給態窒素の目標下限値程度以上を維持できる。大豆作で石灰等を
施用すれば、一部の土壌化学性はそれらを施用しない連年水田より改善される。
(東北農研)
《農業機械》
1 スマートフォンを使ったトラクタ転倒通報システム
トラクタに取り付けたスマートフォンでトラクタの転倒を認識し、転倒時にメールを送信
できるシステム。万一の転倒事故時に救援を要請するメールを自動で送信できる。
(福島県ほか)
- 94 -
1
Ⅳ
廃止事項
1
廃止事項
《畜産》
事
項
サイレージ用トウモロコシの奨励品種「サイレージコーンNS112(系統名NS627)」の特
性
年
次
平成20年
内
容
販売元のカネコ種苗株式会社が平成25年度以降の販売を中止したため、指導奨励事項か
ら除外する。
事
項
混播用アカクローバの優良品種「ホクセキ」の特性
年
次
平成12年
内
容
種子の増殖が中止されたため流通量が減少し、安定的な入手が困難となったことから、
指導奨励事項から除外する。
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関 係 機 関 等 連 絡 先 一 覧
名
称
地方独立行政法人
青森県産業技術センター
農林総合研究所
住
所
電 話 番 号
〒036-0522
黒石市田中82-9
0172-52-4346
〒034-0041
十和田市大字相坂字相坂183-1
0176-23-2165
野菜研究所
〒033-0071
上北郡六戸町大字犬落瀬字柳沢91
0176-53-7171
りんご研究所
〒030-0332
黒石市大字牡丹平字福民24
0172-52-2331
〒039-1527
三戸郡五戸町大字扇田字長下タ2
0178-62-4111
〒039-3156
上北郡野辺地町字枇杷野51
0175-64-2231
〒038-2816
つがる市森田町森田月見野558
0173-26-3153
藤坂稲作部
県南果樹部
畜産研究所
和牛改良技術部
林業研究所
〒039-3321
東津軽郡平内町大字小湊字新道45-56
(木材加工部・問屋町) 〒030-0113
青森市第二問屋町4-11-6
017-755-3257
017-739-8551
農産物加工研究所
〒033-0071
上北郡六戸町大字犬落瀬字柳沢91
0176-53-1315
青森県病害虫防除所
〒030-0113
青森市第二問屋町4-11-6
017-729-1717
青森県農林水産政策課農業改良普
及グループ
(農業革新支援センター)
〒030-8570
青森市長島1丁目1-1
017-734-9473
青森県産業技術研究推進会議
〒030-8570
(事務局:青森県農林水産政策課)
青森市長島1丁目1-1
017-734-9474
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