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マイコプラズマ感染症ワクチン

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マイコプラズマ感染症ワクチン
バイオメディシナル情報研究センター/ベンチャー開発部
Biomedicinal Information Research Center / Division for Start-ups
マイコプラズマ感染症ワクチン
マイコプラズマ感染症
“かぜ”の症状で発病することが多く、長引く頑固な乾性のせきを特徴としている。肺炎の原因菌として、3番目に多く、
約20%を占めている。肺炎は、日本での死因の第4位であり、その死亡数は年間、5-10万人と推定されている。
急性気管支炎では、マイコプラズマが第1の原因菌とされているが、肺炎にまで進行するのはその1-2%である。
マイコプラズマ感染症の特徴は、感染したヒトの25%に、肺以外の症状、つまり、皮膚炎、腎炎、関節炎、髄膜
炎や脳炎のような神経疾患に至る症状といった多彩なものが見られることである。経過もさまざまであり、急性
期のみの症状から難病も含む慢性炎症性疾患までの病像を呈することもある。難治性疾患克服研究事業の臨
床調査研究分野対象である130疾患においても、多くの疾患で、マイコプラズマ感染との関連が疑われている。
肺炎 / 急性気管支炎の主な原因菌
外来患者 (n=106)
肺炎球菌
12.3%
マイコプラズマ感染症疾患概念図
入院患者 (n=400)
インフルエンザ菌
4.7%
Q 熱コクシエラ
肺炎球菌
26.3%
不 明
血液疾患
オウム病
レジオネラ
不 明
インフルエンザ菌
13.0%
ミレリグループ
緑膿菌
クレプシエラ
ウイルス
黄色ブドウ球菌
モラクセラ
肺炎クラミジア
黄色ブドウ球菌
神経系疾患
(MS)
ギランバレー症候群
多発性硬化症(MS)
無菌性髄膜炎・脳炎
小児肺炎
リウマチ性疾患
マイコプラズマ
27.4%
ウイルス
呼吸器疾患
溶血性貧血
急性気管支炎
喘息
成人肺炎
関節リウマチ
間質性肺炎
マイコプラズマ
9.3%
肺炎クラミジア
嫌気性菌
モラクセラ ・ カタラーリス
動脈炎
動脈硬化症
川崎病
IgA腎症
精神疾患
慢性疲労性症候群
線維性筋痛症
本邦における市中肺炎の原因菌
アトピー・アレルギー
COPD
腎疾患
心血管系疾患
Community-acquired pneumonia in Japan: a prospective ambulatory and
hospitalized patient study. Miyashita N, Fukano H, Mouri K, Fukuda M, Yoshida
K, Kobashi Y, Niki Y, Oka M.J Med Microbiol. 2005 Apr;54(Pt 4):395-400.
プラットフォームテクノロジー
私たちは、マイコプラズマ脂質抗原を発見し、構造決定および化学合成に成功し、マイコプラズマ感染症の高感度診断
法の開発と病態解明をおこなってきている。マイコプラズマという微生物のユニークな脂質抗原は、マイコプラズ
マ感染症の病態解明や、ワクチンなど治療薬開発の重要な手がかりになる。すでに、脂質抗原を用いた、マイコ
プラズマ感染による抗体価の変動を定量的に測定する方法を確立している。さらに、この脂質抗原を用いた、ワ
クチンなどの治療法の技術開発を行った。このプラットフォームテクノロジーは、世界標準物質となる脂質抗原と
ともに、世界初となる。この技術が実現すれば、マイコプラズマ感染症の予防や治療が可能となる。
マイコプラズマ脂質抗原
Mycoplasma pneumoniae 脂質抗原
Mycoplasma fermentans 脂質抗原
Mycoplasma pneumoniae は、肺炎の原因菌のひとつであり、
Mycoplasma fermentans は、リウマチ性疾患に関連している。
従来のエライザとの相違点
従来診断法
マイコプラズマ培養菌体抽出物
マイコプラズマ
ノイズ反応が
含まれる
新診断法
マイコプラズマ感染症ワクチン
違う抗原に対する混合抗体
高性能で安全性が高い擬似マイコプラズマワクチン
マイコプラズマ感染の
断定的な判断が困難
マイコプラズマ合成脂質抗原
リポソーム
脂質抗原の同定・構造決定・化学合成に成功・基本構造特許取得
ノイズ反応なし
脂質抗原を用いることによって原因特異的な診断・治療・予防が可能
マイコプラズマ感染の
断定的な判断が可能
今後の展望
作成したリポソームを用いた動物免疫実験で、ワクチン活性を示す所見が得られ始めている。今後、臨床応用に向けて、
さらに、有効性・安全性などの検討を進めていく。製薬大手との共同開発に到達することをミッションとし、複数の
POC (Proof of Concept) データの取得と、企業へのライセンス交渉を行っている。
連絡先:〒305-8568 茨城県つくば市梅園1-1-1 中央第2 (独)産業技術総合研究所 イノベーション推進本部
ベンチャー開発部内 Tel: 029-862-6655 Fax: 029-862-6656 E-mail: [email protected]
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