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講義スライド - 東京大学宇宙線研究所

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講義スライド - 東京大学宇宙線研究所
ニュートリノ物理
(最先端研究IV)
小汐由介
(岡山大学)
宇宙・素粒子スプリングスクール
2016年3月10日
2015年ノーベル物理学賞
The Nobel Prize in Physics 2015 was awarded
jointly to Takaaki Kajita and Arthur B. McDonald
"for the discovery of neutrino oscillations, which
shows that neutrinos have mass"
ニュートリノに質量があることを示す
ニュートリノ振動の発見に対して
http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/physics/laureates/2015/
ニュートリノとは?
ニュートリノ振動?
質量を持つことがそんなに重要?
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
2
ニュートリノ振動の発見 (1998年)
VOLUME 81, NUMBER 8
PHYSICAL REVIEW LETTERS
24 AUGUST 1998
Evidence for Oscillation of Atmospheric Neutrinos
Y. Fukuda,1 T. Hayakawa,1 E. Ichihara,1 K. Inoue,1 K. Ishihara,1 H. Ishino,1 Y. Itow,1 T. Kajita,1 J. Kameda,1
S. Kasuga,1 K. Kobayashi,1 Y. Kobayashi,1 Y. Koshio,1 M. Miura,1 M. Nakahata,1 S. Nakayama,1 A. Okada,1
K. Okumura,1 N. Sakurai,1 M. Shiozawa,1 Y. Suzuki,1 Y. Takeuchi,1 Y. Totsuka,1 S. Yamada,1 M. Earl,2 A. Habig,2
E. Kearns,2 M. D. Messier,2 K. Scholberg,2 J. L. Stone,2 L. R. Sulak,2 C. W. Walter,2 M. Goldhaber,3 T. Barszczxak,4
D. Casper,4 W. Gajewski,4 P. G. Halverson,4, * J. Hsu,4 W. R. Kropp,4 L. R. Price,4 F. Reines,4 M. Smy,4 H. W. Sobel,4
M. R. Vagins,4 K. S. Ganezer,5 W. E. Keig,5 R. W. Ellsworth,6 S. Tasaka,7 J. W. Flanagan,8, † A. Kibayashi,8
J. G. Learned,8 S. Matsuno,8 V. J. Stenger,8 D. Takemori,8 T. Ishii,9 J. Kanzaki,9 T. Kobayashi,9 S. Mine,9
K. Nakamura,9 K. Nishikawa,9 Y. Oyama,9 A. Sakai,9 M. Sakuda,9 O. Sasaki,9 S. Echigo,10 M. Kohama,10
A. T. Suzuki,10 T. J. Haines,11,4 E. Blaufuss,12 B. K. Kim,12 R. Sanford,12 R. Svoboda,12 M. L. Chen,13 Z. Conner,13, ‡
J. A. Goodman,13 G. W. Sullivan,13 J. Hill,14 C. K. Jung,14 K. Martens,14 C. Mauger,14 C. McGrew,14 E. Sharkey,14
B. Viren,14 C. Yanagisawa,14 W. Doki,15 K. Miyano,15 H. Okazawa,15 C. Saji,15 M. Takahata,15 Y. Nagashima,16
M. Takita,16 T. Yamaguchi,16 M. Yoshida,16 S. B. Kim,17 M. Etoh,18 K. Fujita,18 A. Hasegawa,18 T. Hasegawa,18
S. Hatakeyama,18 T. Iwamoto,18 M. Koga,18 T. Maruyama,18 H. Ogawa,18 J. Shirai,18 A. Suzuki,18 F. Tsushima,18
M. Koshiba,19 M. Nemoto,20 K. Nishijima,20 T. Futagami,21 Y. Hayato,21, § Y. Kanaya,21 K. Kaneyuki,21
Y. Watanabe,21 D. Kielczewska,22,4 R. A. Doyle,23 J. S. George,23 A. L. Stachyra,23 L. L. Wai,23,
R. J. Wilkes,23 and K. K. Young23
(Super-Kamiokande Collaboration)
1
Institute for Cosmic Ray Research, University of Tokyo, Tanashi, Tokyo, 188-8502, Japan
2
Department of Physics, Boston University, Boston, Massachusetts 02215
3
Physics Department, Brookhaven National Laboratory, Upton, New York 11973
4
Department of Physics and Astronomy, University of California at Irvine, Irvine, California 92697-4575
5
Department of Physics, California State University, Dominguez Hills, Carson, California 90747
6
Department of Physics, George Mason University, Fairfax, Virginia 22030
2016年3月10日
7
Department宇宙・素粒子スプリングスクール2016
of Physics, Gifu University, Gifu, Gifu 501-1193, Japan
引用数 : 3105
3
16
Department of Physics, Osaka University, Toyonaka, Osaka 560-0043, Japan
17
Department of Physics, Seoul National University, Seoul 151-742, Korea
18
Department of Physics, Tohoku University, Sendai, Miyagi 980-8578, Japan
19
The University of Tokyo, Tokyo 113-0033, Japan
20
Department of Physics, Tokai University, Hiratsuka, Kanagawa 259-1292, Japan
21
Department of Physics, Tokyo Institute of Technology, Meguro, Tokyo 152-8551, Japan
22
Institute of Experimental Physics, Warsaw University, 00-681 Warsaw, Poland
23
Department of Physics, University
of Washington, Seattle, Washington 98195-1560
Abstract(概要)
(Received 6 July 1998)
ニュートリノ振動の発見 (1998年)
We present an analysis of atmospheric neutrino data from a 33.0 kton yr (535-day) exposure of the
Super-Kamiokande detector. The data exhibit a zenith angle dependent deficit of muon neutrinos which
is inconsistent with expectations based on calculations of the atmospheric neutrino flux. Experimental
biases and uncertainties in the prediction of neutrino fluxes and cross sections are unable to explain our
observation. The data are consistent, however, with two-flavor nm $ nt oscillations with sin2 2u .
0.82 and 5 3 1024 , Dm2 , 6 3 1023 eV2 at 90% confidence level. [S0031-9007(98)06975-0]
PACS numbers: 14.60.Pq, 96.40.Tv
of electron and muon neutrinos is dominated by t
大気ニュートリノ?
cesses p ! m 1 n followed by m ! e 1
mospheric neutrinos are produced as decay products
dronic showers resulting from collisions of cosmic
with nuclei in the upper atmosphere. Production
1
1
m
1
1
ne (and their charge conjugates) giving an expecte
スーパーカミオカンデ?
0031-9007y98y81(8)y1562(6)$15.00
© 1998 The American Physical Society
ミューオンニュートリノの不足?
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
4
講義の内容
• 素粒子ニュートリノ
• ニュートリノの検出
• 大気ニュートリノ
• 太陽ニュートリノ
• 加速器ニュートリノ(T2K実験)
• 将来計画
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
5
素粒子ニュートリノ
謎に満ちた素粒子
ニュートリノ仮説 (1930年)
原子核内の中性子が電子を放出し陽子に
ベータ崩壊
壊変する現象として発見された
ラザフォード
1898年
電子
電子
中性子
陽子
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
7
ニュートリノ仮説 (1930年)
原子核内の中性子が電子を放出し陽子に
ベータ崩壊
壊変する現象として発見された
ラザフォード
1898年
反応の前後でエネルギーが
保存しない。。。
電子
電子
この崩壊なら電子のエネルギーは一定のはず
(E=mc2, 中性子と陽子の質量差)
中性子
陽子
2016年3月10日
実際の測定では青のような連続スペクトル
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
8
とニュートリノ
ニュートリノ仮説 (1930年)
原子核内の中性子が電子を放出し陽子に
ベータ崩壊
ラザフォード
1898年
壊変する現象として発見された
νe
ニュートリノ
反応の前後でエネルギーが
保存しない。。。
電子
ニュートリノ仮説
1930年 パウリ
この反応時に電気的に中性の
ニュートリノ
電子
未知の粒子が放射されている
n
p + e + ¯e (β­崩壊)
p
中性子
n + e+ +
陽子
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
e
(β+崩壊)
(注)β+崩壊は原子核内で起こる
9
ニュートリノ仮説 (1930年)
(1930年のパウリの書簡)
パウリ
2016年3月10日
Dear radioactive ladies and gentlemen
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
10
ニュートリノ仮説 (1930年)
(1930年のパウリの書簡)
親愛なる放射性紳士・淑女諸君
私はエネルギー保存則問題について窮余の一策にたどり着きました。すな
わち、ニュートリノと呼ばれる電気的に中性な粒子の存在の可能性です。
ベータ崩壊の時に、もしこのニュートリノが電子と一緒に発生してエネル
ギーの一部を持ち逃げしているのだとすれば、電子のエネルギーがまちまち
なのは納得できます。
この仮説が正しいかどうか自信はありませんが、唯一の解決法と思います。
私はチューリッヒの舞踏会に出ないといけないのでテュービンゲンの会議に
は行けませんが、どなたかこれを確かめてください。
パウリ
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
11
ニュートリノの発見 (1956年)
Reines and Cowan
ニュートリノ反応
νe + p → e+ + n
原子炉のオン・オフで反応数に
明らかな違いがあった。
γ
νe
2016年3月10日
e+
PMTs
原子炉
n
γ
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
12
reads, “We are happy to inform you that we have definitely detected neutrinos from fission fragments by observing inverse beta decay of protons.
Observed cross section agrees well with expected six times ten to minus forty
four square centimeters.” We learned later that Pauli and some friends consumed a case of champagne in celebration!
Many years later (~ 1986) C.P. Enz, a student of Pauli’s, sent us a copy of a
night letter Pauli wrote us in 1956, but which never arrived. It is shown in Fig.
8 and says, “Thanks for the message. Everything comes to him who knows
how to wait. Pauli"
ニュートリノの発見 (1956年)
Reines and Cowan
ライネス
メッセージをありがとう。全てのことは
待つ方法を知っている者にやってくる。
パウリ
Figure 8. The night letter Pauli sent in response to our message shown in Fig. 7.
2016年3月10日
The quest was completed, the challenge met. There was, however, some13
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
thing missing-independent verification by other workers. As it turned out we
ニュートリノ研究の歴史
1898年 ラザフォード ベータ崩壊の発見
1930年 パウリ ニュートリノ仮説
1934年 フェルミ ベータ崩壊の理論
1956年 ライネス/コーワン 電子ニュートリノの発見
1961年 レーダーマン他 ミューニュートリノの発見
1967年 ワインバーグとサラム 素粒子標準模型の確立(ニュートリノ質量ゼロ)
1970年 デービス 太陽ニュートリノの観測
1987年 カミオカンデ実験 超新星ニュートリノの観測(小柴先生ノーベル賞)
1988年 カミオカンデ実験 太陽ニュートリノの観測
1990年 LEP実験 ニュートリノは3種類
1998年 スーパーカミオカンデ実験 ニュートリノ振動の発見(梶田先生ノーベル賞)
名古屋大グループ タウニュートリノの実験検証
2001年 SK実験 / SNO実験 太陽ニュートリノ問題解決 (McDonald先生ノーベル賞)
2004年 カムランド実験 ニュートリノ振動の検証
2007年 カムランド実験 地球ニュートリノの発見
2012年 T2K実験他 ニュートリノ振動の検証
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
14
ニュートリノ研究の歴史
1898年 ラザフォード ベータ崩壊の発見
1930年 パウリ ニュートリノ仮説
1934年 フェルミ ベータ崩壊の理論
1956年 ライネス/コーワン 電子ニュートリノの発見
1961年 レーダーマン他 ミューニュートリノの発見
1967年 ワインバーグとサラム 素粒子標準模型の確立(ニュートリノ質量ゼロ)
子
粒
素
い
1987年 カミオカンデ実験 超新星ニュートリノの観測(小柴先生ノーベル賞)
多
の
1988年 カミオカンデ実験 太陽ニュートリノの観測
謎
だ
ま
1990年 LEP実験 ニュートリノは3種類
だ
ま
も
1998年 スーパーカミオカンデ実験 ニュートリノ振動の発見(梶田先生ノーベル賞)
で
在
現
名古屋大グループ タウニュートリノの実験検証
1970年 デービス 太陽ニュートリノの観測
2001年 SK実験 / SNO実験 太陽ニュートリノ問題解決 (McDonald先生ノーベル賞)
2004年 カムランド実験 ニュートリノ振動の検証
2007年 カムランド実験 地球ニュートリノの発見
2012年 T2K実験他 ニュートリノ振動の検証
20XX年 XX実験 XXの発見?(君たちの誰かがノーベル賞?)
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
15
素粒子とは
物質をどんどん分解していくと...
分子(水)
原子(酸素、水素)
光子(γ)
原子核、電子 (e-)
陽子 (p)、中性子 (n)
ニュートリノ(ν)
クォーク
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
(現在)
16
標準模型で出てくる素粒子
物質を構成する素粒子
電荷
レ
プ
ト
ン
ク
ォ
ク
第
第
第
一
二
三
世
世
世
代
代
代
0
νe
-1
e
μ
τ
2/3
u
c
t
-1/3
d
s
b
相互作用に関係する素粒子
(W+,W-,Z0)
弱い相互作用
νμ ντ
電磁相互作用 (γ)
強い相互作用 (g)
(それぞれの反粒子)
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
+ヒッグス粒子
17
素粒子の標準模型
実験結果をほぼ全て説明できる。
説明できない唯一の現象が
ニュートリノに質量があること
(標準模型の枠組みでは、ニュートリノは質量を持たない)
ニュートリノの質量は、標準模型を超えた
素粒子物理学における究極の理論構築への
突破口に成り得る
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
18
ニュートリノの検出
極端に難しいミッション
素粒子ニュートリノ
主な性質
•3種類(フレーバー)ある
•電荷を持たない
電荷
→ニュートリノ自身は信号
レ
を出さない。反応後の特殊な
ト
プ
ン
信号を検出する。
→反応後のフレーバーは保
ク
ォ
存する。例えば νe eク
2016年3月10日
第
第
第
一
二
三
世
世
世
代
代
代
0
νe
-1
e
μ
τ
2/3
u
c
t
-1/3
d
s
b
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
νμ ντ
20
素粒子ニュートリノ
主な性質
•3種類(フレーバー)ある
•電荷を持たない
•弱い相互作用のみで反応
→ほとんど反応しない。
電荷
レ
プ
ト
ン
検出が非常に難しい
ク
ォ
ク
2016年3月10日
第
第
第
一
二
三
世
世
世
代
代
代
0
νe
-1
e
μ
τ
2/3
u
c
t
-1/3
d
s
b
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
νμ ντ
21
ニュートリノの観測
原子炉や加速器のニュートリノは人工的に発生させるので
いつ発生させたかがわかる
天然のニュートリノ(大気中や太陽内部、地球内部
や超新星爆発などで発生)は、いつ来るかわからず
他の雑音事象との区別が非常に難しい
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
22
ニュートリノの観測
ν"
! 
• 
• 
…
! 
• 
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
23
岐阜県飛騨市神岡町
In winter…
1km!
(2700mwe)!
3km!
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
2km!
24
神岡地下施設 (地下1000m)
KamLAND
XMASS
CANDLES
Super-Kamiokande
Atotsu Entrance
IPMU
APIMS
GC
Ge det.
Rn det.
…
2016年3月10日
Gadolinium project
R&D
NEWAGE
CLIO (Gravitational Wave)
Laser extensometer
(Geophysics)
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
25
なぜ神岡に?
• ニュートリノ反応は極まれな現象
• 大量の標的物質が必要
• 環境ノイズを低減する必要
• 宇宙線(ミューオン)を遮蔽するための厚い土かぶり
• 地下大空洞を掘るための強固な岩盤
• 空洞掘削の技術
• きれいな地下水が豊富
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
26
神岡での研究の歴史
• 1983年カミオカンデ運転開始
• 我が国におけるニュートリノ研究の出発点
• 1996年スーパーカミオカンデ運転開始
• ニュートリノ研究で世界をリードする
• カミオカンデ(Kamiokande)の由来
Nucleon Decay Experiment (核子崩壊実験)
Neutrino Detection Experiment (ニュートリノ検出実験)
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
27
カミオカンデ (1983-1995)
2016年3月10日
2002年、小柴先生
ノーベル賞受賞
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
28
超新星爆発 1987a
超新星爆発(星の一生の最後に起こす大爆発)からの
ニュートリノを世界で初めて観測
大マゼラン星雲
(16万光年)
before
1987年2月23日
after
/cm2!
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
29
スーパーカミオカンデ
Kamioka observatory
1km!
(2700mwe)!
3km!
岐阜県飛騨市神岡町
地下1000m
Electronics hut
2km!
:50000
1996
SK-1 (1996~2001)
SK-2 (2002~2005)
SK-3 (2006~2008)
SK-4 (2008~
)
41.4m
Inner detector:
20
11129
with acrylic cover
Outer detector:
1885
remove cosmic ray µ
γ and n shield from rock
2016年3月10日
39.3m
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
30
スーパーカミオカンデ
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
31
大気ニュートリノ
ニュートリノ振動・質量の発見
大気ニュートリノ
Primary cosmic ray
p, He
π±, K±
µ
νµ
p, He ...
L = 10~30km
ν
±
e±
ν
ν
νµ
νe
L=13000km
p, He ...
p, He ...
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
33
大気ニュートリノ観測
ニュートリノ反応
νμ + N → μ- + N
νμ + N → μ+ + N
νe + N → e- + N
41.4 m
νe + N → e+ + N
発生粒子の種類から元々のニュー
トリノのフレーバーがわかる
発生粒子の方向は、元々のニュー
トリノの方向を保存する
39.3 m
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
34
どのように粒子を識別するか?
リングパターンを使う
γ"
γ"
電子型:ぼやける
µ
µ
ミューオン型:はっきり
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
35
大気ニュートリノの異常
電子型
He ...
zenithp,angle
L = 10~30km
ミュー型
(天頂角)
ν"
SK
ν"
ν"
ν"
上向き
下向き
p, He ...
L=13000km
p, He ...
下から来る上向きのミューオンニュートリノが
明らかに少ない
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
36
太陽ニュートリノ
もう一つのニュートリノ振動
太陽エネルギーの源は何か?
19世紀後半
太陽黒点の観測、太陽輝線の発見…
•
• 太陽のエネルギー源??
化学反応だとしたら
太陽の質量
化学反応により発生する熱量
太陽の熱発生量
5000年程度で燃え尽きてしまう
✗
地球の年齢∼数億年
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
38
Energy production in Stars
• 20世紀初頭より続々と発見された原子核反応
• 桁違いのエネルギーを発生 (E=mc )
• 太陽や恒星のエネルギー生成に決定的な
2
2
H
原子核核融合反応
3
4
H
He + 3.5 MeV
n + 14.1 MeV
• 弱い相互作用によるので(ほとんど反応しない)
燃え尽きるまでに長い時間がかかる
• Hans Bethe博士が1938年に発表
1967年ノーベル賞受賞
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
39
太陽内部での核融合反応
4つの水素 ヘリウム 2つの電子
p
p
p
p
n
p
n +
p
+
+
太陽ニュートリノ
太陽ニュートリノ観測
発生したニュートリノは
約8分後に地球に到達
光などによる観測
太陽表面に到達するまでに
長い時間がかかる
2016年3月10日
太陽内部をリアルタイムで見ている
太陽燃焼機構の解明に不可欠
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
40
太陽ニュートリノ観測 (1970 90)
世界初の太陽ニュートリノ観測
Davis Jr. 2002年ノーベル賞受賞
カミオカンデ
イタリア/ロシア
Cherenkov light
Large tank of 615 tons C2Cl4
e
νsolar"
予測値より観測値が半分から三分の1??
太陽ニュートリノ問題
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
41
スーパーカミオカンデ
ニュートリノ反応
ν + e- → ν + e-
41.4 m
ニュートリノの到来方向がわかる
ニュートリノならば
39.3 m
2016年3月10日
地下にいながらにして太陽が「見える」
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
42
スーパーカミオカンデ
ニュートリノ反応
ν + e- → ν + e-
反応確率がニュートリノの種類
41.4 m
によって異なる
νe : νμ/τ 6 : 1
観測値は予測値の40%程度
39.3 m
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
43
SNO実験 (カナダ)
1000t
重水を使うことによって
νe のみに感度がある反応
νe + d → e- + p + p
と
全てのニュートリノに同じ
確率で感度がある反応
ν+d→ν+p+n
を区別して測定ができる
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
44
SNO実験 (カナダ)
1000t
重水を使うことによって
νe のみに感度がある反応
νe + d → e- + p + p
観測値は予測値の35%程度
全てのニュートリノに同じ
確率で感度がある反応
ν+d→ν+p+n
観測値は予測値と一致
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
45
スーパーカミオカンデとSNO
40%
SNO
35%
SNO
100%
νe として発生した太陽ニュートリノが、ニュートリノ振動により
地球に到達する間に別種のニュートリノに変わった
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
46
T2K実験
新たに発見されたニュートリノの性質
ニュートリノ振動
混合角パラメータ (MNS matrix)
大気ニュートリノ等
太陽ニュートリノ等
0
0 #& cosθ13
&ν e # & 1
$ ! $
!$
0
$ν µ ! = $ 0 cosθ 23 sin θ 23 !$
$ν ! $ 0 − sin θ
!$ − sin θ e −iδ
cos
θ
23
23 "%
13
% τ" %
ニュートリノの質量差
順階層
逆階層
0 sin θ13e −iδ #& cosθ12 sin θ12 0 #&ν 1 #
!$
!$ !
1
0
!$ − sin θ12 cosθ12 0 !$ν 2 !
0
cosθ13 !"$% 0
0
1 !"$%ν 3 !"
•太陽/原子炉ニュートリノ観測により第1-2世代間
•大気/加速器ニュートリノ観測により第2-3世代間
のニュートリノ振動を発見した
続いての課題は
パラメータθ13の観測
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
48
T2K実験
νe
νe
νµ
出現確率
2
1.27Δm 31
L(km)
P(ν µ → ν e ) ≈ sin (2θ13 )sin θ 23 sin (
)
Eν (GeV )
2
2
2
leading term
Sub-leading terms
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
49
T2K実験
GPS
岐阜県神岡町
茨城県東海村
発生時はほとんどが
295km 飛んで、電子型
ミュー型ニュートリノ
ニュートリノが現れるか?
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
50
120
best-fit sin 2 = 0.150
assuming
=0,
100
0.6
normal hierarchy,
| m |=2.4×10 eV
80
0.4
60
40
0.2
20
0
0
0 200 400 600 800 100012001400
28個の電子型ニュートリノの出現を観測
momentum (MeV/c)
2
angle (
13
-3
Momentum&(p)
-
-
Angle&(θ)
# of events
# of events
2
CP
T2K実験
2
32
momentum
12
Run1-4 data
(6.393e20 POT)
10
data
8
signal prediction
6
background prediction
4
2
0
0 200 400 600 800 100012001400
momentum (MeV/c)
2016年3月10日
-
CP
Run1-4 data
8
(6.393e20 POT)
data
7
signal prediction
6
background prediction
5
4
3
2
1
0
0 20 40 60 80 100120 140160180
angle (degrees)
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
51
-
-
-
将来計画
今後の研究は?
超新星背景ニュートリノ探索
2. Formulation and Models
How to Calculate the SRN Flux
過去の超新星爆発により発生したニュートリノ
WE ARE
HERE.
TIME AXIS
Astrophys.J.607:20-31,2004
We need information
concerning...
1.
z=0
"
2.
z=1
"
z=5
2016年3月10日
3.
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
53
超新星背景ニュートリノ探索
2. Formulation and Models
How to Calculate the SRN Flux
過去の超新星爆発により発生したニュートリノ
WE ARE
HERE.
TIME AXIS
SKでの最新結果
We need
information
concerning...
K.Bays et al., Phys.Rev.D85, 052007 (2012)
1.
z=0
"
2.
z=1
"
z=5
2016年3月10日
3.
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
54
超新星背景ニュートリノ探索
Super-K Gd 計画
νe!
n
p
p
(2.2MeV)
γ#
SKにガドリニウムを溶かし、世界初の
超新星背景ニュートリノの発見を目指す
J.Beacom and M.Vagins, Phys.Rev.Lett.93(2004)171101
e+!
Gd
γ#
8MeV
同時遅延計測
•ΔT 30μsec
•Vertices within 50cm
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
55
EGADS検出器
July 2009 : Excavation started
Dec. 2009 : Excavation finished
Feb. 2010
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
56
UDEAL
200 ton tank
EGADS検出器
July 2009 : Excavation started
Dec. 2009 : Excavation finished
15 ton buffer tank Control panel of circulation system
2016年3月10日
water transparency measurement
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
Filter
57
ハイパーカミオカンデ計画
百万トンの水チェレンコフ検出器:SKの25倍
光電子増倍管、約10万本(SKの10倍)
FIG. 1. Schematic view of the Hyper-Kamiokande detector.
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
58
ニュートリノ振動
混合角パラメータ (MNS matrix)
大気ニュートリノ等
太陽ニュートリノ等
0
0 #& cosθ13
&ν e # & 1
$ ! $
!$
0
$ν µ ! = $ 0 cosθ 23 sin θ 23 !$
$ν ! $ 0 − sin θ
!$ − sin θ e −iδ
cos
θ
23
23 "%
13
% τ" %
ニュートリノの質量差
順階層
逆階層
0 sin θ13e −iδ #& cosθ12 sin θ12 0 #&ν 1 #
!$
!$ !
1
0
!$ − sin θ12 cosθ12 0 !$ν 2 !
0
cosθ13 !"$% 0
0
1 !"$%ν 3 !"
•太陽/原子炉ニュートリノ観測により第1-2世代間
•大気/加速器ニュートリノ観測により第2-3世代間
•原子炉/加速器ニュートリノ観測によりθ13
のニュートリノ振動を発見した
続いての課題は
パラメータδCPの観測
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
59
ハイパーカミオカンデ計画
Supernova
ν
x50 of T2K
for !CP
Sun
ν
ν
Proton
Decays
Hyper-K
ν
x25 Larger ν Target
& Proton Decay Source
higher intensity ν by
upgraded J-PARC
x2 (year
or power)
18
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
60
_
_
ハイパーカミオカンデ計画
The
channel → e , → e
Leading sin22
Oscillation term
13
CPC
ニュートリノと反ニュートリノに違いが見えるのか?
CPV
leading term
Measured angles
2
1.27Δm 31
L(km)
P(ν µ → ν e ) ≈ sin (2θ13 )sin θ 23 sin ( Solar
)
Eν (GeV )
2
2
2
matter
Sub-leading
terms
L=295km ,
=2.6g/cm3
neutrino
2016年3月10日
case
(assuming IH, =
δ!!!"δ"
a!!!"a!
/2)for!P(νµ!νe)
!
Anti-neutrino
Hiroyuki Sekiya ICHEP2012 Jul 5 2012@Melbourne
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
4
61
宇宙における物質・反物質の謎
ニュートリノと反ニュートリノに違いが見えるのか?
• 宇宙誕生の時には物質と反物質は同
数あったはずだが、現在は物質優位
の宇宙。何故なのか?
• ニュートリノと反ニュートリノに違い
があるからではないか?
ハイパーカミオカンデ実験で確かめたい
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
62
ニュートリノ研究
素粒子・宇宙分野に関連する
様々なテーマがあり、今現在、
とてもホットでおもしろい。
世界中で激しい競争を展開。
日本が最先端を走っている。
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
63
ニュートリノ研究
素粒子・宇宙分野に関連する
様々なテーマがあり、今現在、
とてもホットでおもしろい。
世界中で激しい競争を展開。
日本が最先端を走っている。
(岡山大でもやってます)
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
64
バックアップ
ニュートリノ振動
ニュートリノの「変な」性質
量子力学
状態を表す関数(波動関数)
日立製作所・外村博士
状態に固有の「波長」をもつ
ψ1
電子ビーム
ψ2
二重スリット
検出面
ψ=ψ1+ψ2
検出確率¦ψ¦2=¦ψ1+ψ2¦2 のみ予言
電子1個の粒が重なると、干渉縞(波の性質)が見える
「質量」の状態や「フレーバー」の状態も
このような波動関数で表される
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
67
ニュートリノ振動
• ニュートリノに質量がない場合
‣ ニュートリノの状態は「フレーバー」だけ。
最初の「フレーバー」はそのまま保持
「フレーバー」「質量」
• ニュートリノに質量がある場合
• 「フレーバー」の状態と「質量」の状態が
1対1の対応をする場合
νe
m1
νµ
m2
ντ
m3
‣ 最初の「フレーバー」はそのまま保持
• 「フレーバー」の状態がいくつかの「質量」
状態の重ね合わせの場合は?
νe
m1
m2
m3
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
68
ニュートリノ振動
1
2
νe
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
νµ"
νe
69
大気ニュートリノ観測結果から
• 大気ニュートリノは、どの方向からもミューオンニュートリ
ノと電子ニュートリノの比は 2:1 になるはず。
• しかし地球の裏側から13,000km飛んでくるミューオンニュー
トリノだけが半分に減っていた。
• 飛んでくる間にニュートリノ振動により、ミューオンニュート
リノが別のニュートリノ(タウニュートリノ)に変わった。
• ニュートリノ振動は、ニュートリノに質量(正確には2つの
フレーバーの間に質量の差)がないと起こらない。
ニュートリノに質量が存在することを
世界で初めてつきとめた
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
70
ニュートリノ質量の発見
New York Times 紙
1998年6月5日
読売新聞
2016年3月10日
宇宙・素粒子スプリングスクール2016
71
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