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SESSION17 習慣形成とその活用 思考と行動の習慣が、 あなたの人生

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SESSION17 習慣形成とその活用 思考と行動の習慣が、 あなたの人生
SESSION17
習慣形成とその活用
思考と行動の習慣が、
あなたの人生を決める。
SESSION17 習慣形成とその活用
■習慣形成とその活用
このプログラムの目的の一つは、心の安息と健康および、経済的な豊かさを得るための習慣を作り出し、それをしっかりと身につけることです。
セッション17では、習慣を身につけるための法則と、それを活用するための方法について学びます。
それによってあなたは、このプログラムの応用の仕方と習慣を身につける方法を知ることになります。
そして、大いなる宇宙の力が、どのようにして人間を行動へと駆り立てて行くのかを理解するでしょう。
宇宙の習慣形成力は、宇宙のすべての現象にかかわっています。人間はこの大自然の力、あるいは宇宙の力に対して、これまでおびただしい
法則を見出してきました。物理学の教科書のどのページも、その法則をアルファベットや数字によってまとめたもので埋め尽くされています。さ
て、この「法則」という言葉は原因をそこに投入すると、ある一定の結果がでてくるという事実を一言でいい表わしたものと考えていいでしょう。そ
してこの事実が宇宙全体で、休むことなく繰り返されているのです。これを別の言葉で言えば、「宇宙の習慣形成力」ということになります。つま
り、習慣によって、宇宙はバランスと秩序を保っているのです。そしてこの習慣形成力は、生物・無生物の別なくすべての存在をそれを取り巻く環
境に従わせる力でもあります。
■宇宙の習慣形成によって決定された習慣
恒星や惑星の運行は、人間が作り出した機械以上に正確です。
それは、あらかじめ定められた法則に従い、一定の軌道上を逸脱することなく、何億年も同じように周回を繰り返すのです。また、永い年月の間
に少しずつ変っていくのも、やはり一定の法則に従ったものです。
その法則の背後には、無限の叡智がひらめいています。
物理学が進歩し、ニュートン力学から量子力学へ、また量子力学もさらに細分化されて研究が深められていくと、物理学者は突然、自分が今や
っているのは神秘学の研究ではないかという錯覚さえ抱くに至ります。今日、多くのノーベル賞受賞者、あるいはノーベル賞級の成果をあげてい
る物理学者たちが、この世界は「無限の叡智」の働きによるものだと考えざるを得ないと主張し、ニューサイエンスの分野に関心をもつのも、この
宇宙のふところの深さと無縁ではありません。
想像に関するもう一つの驚異は、人間の心です。
人間の心は宇宙にその存在を印し、はるか未来の出来事さえ的確に予測することができます。常識では、単純で劣ったものが複雑で優れたも
のを創り出すことはありえないとされています。その逆は可能です。
さて、もし宇宙が単なる物質とエネルギーがあちらこちらに散らばった空間だとするならば、そこから、たとえ何十億年たったとしても、「人間のこ
ころ」が創られるなどということは考えられないことです。何十億年という時間がそれを可能にしたというのなら、「時間」そのものに優れた才能が
なければならないことになります。
大自然には秩序があり、組織的な世界です。
私たちの生に影響を及ぼすこの大自然の法則と秩序について、すべてを理解する必要はありません。
たとえ知られることもなく、理解されることがなくとも、大自然の大いなる力は永遠に作用し続けるのです。
大自然の秩序の下では、ある作用に対しては決まった反作用が起こります。
私たちが、宇宙の習慣形成力と呼ぶのは、そのことです。
このプログラムを学ぶことであなたは、その力を自分のために役立てることができます。
この地球を一定の軌道上に保ち、太陽や月との関係を時間的、空間的に保っているのと同じ法則が、私たちの思考を支配しているのです。あ
るいはこの宇宙のどこかで起こっている混沌自身も、一定の法則のもとでみだれているのです。
従って、私たち一人ひとりは、互いに深く結びつき、関連づけられているのです。この宇宙では、何百億光年、つまり光が何百億年かかってやっ
と届くほど離れた銀河系同士の間でも相互に影響を及ぼし合っていることは、すでに天文学上の常識となっています。まして、わずか一つの惑
星、つまり地球上に生き、同じ機能を持ち、生物学的にはもともと1組の遺伝子からどんどん子孫を殖やしていった結果としての私たち人間同士
が何ら関連づけられていない考える方が無理というものです。
宇宙の習慣形成力のもう一つの顕著な例は、1年を構成する四季の中に見られます。
私たちは季節が、春、夏、秋、冬の順に巡って来ることを当然のことと考えています。たとえ、夏の暑さや冬の寒さに違いはあっても、毎年必ず
四季が巡ってくることは不変の事実であると考えています。
だがそれは、宇宙の習慣形成力によって生み出されたものであり、そこに秘められた法則性と見事なバランスによってはじめて、四季は訪れる
のです。
大地から生ずる、あらゆる生物の生長と増殖の過程においても、宇宙の習慣形成力は作用しています。
外力による変化を受けない限り、種は確実に種を生み育てて生きます。
1本の樫の木は、1個のドングリから生まれ、1本の松の木は、1個の松の実から成長します。樫の実からは、絶対に松の実は育ちません。
この世に生まれるものはすべて、その祖先の特徴を受け継いでいます。
宇宙の習慣形成力によって支配されないものは、何一つとしてありません。
その神秘は徐々に明らかにされていますが、物質を構成する電子や陽子でさえ、物質全体との間に秩序を保っているのです。
物質の化学的な反応や物理的な運動は、すべて宇宙の習慣形成力に基づいて起こるものであり、またその力によって決定されるものです。
宇宙の習慣形成力は、あらゆる自然法則の元締めです。
宇宙や自然界では、多数の自然法則が同時に作用しながら、どれ一つとして互いに矛盾することがない、というのは素晴らしいことです。
この事実は、さまざまな法則や原理の向こう側に、より大きくて普遍的な力が存在することを教えてくれます。
そしてそれが、宇宙の習慣形成力であり、またこれを別の表現に置き換えれば、無限の叡智ということなのです。
大自然の力が宇宙の習慣形成力によって決定され、コントロールされるように、人間の思考もすべて宇宙の習慣形成力によって決定され、永
続的なものになります。宇宙が存在しなかったとしたら、人間も存在しません。また、人間の思考も存在しない訳です。ですから、思考活動という
のも宇宙の存在を前提としているわけです。すなわち、例えば一定の思考をあなたが持てば、それに対応する結果が、あなたの態度や行動に出
るということ、それが、人間の思考も、宇宙の習慣形成力に決定されるという意味です。
そして、ある特定の思考もまた、一度習慣化されれば、それは新たな習慣が加わらない限り永続します。マイナスの思考習慣を持てばそれが
その人の人格の1部になってしまうというのもその1例です。
作用が起これば必ず反作用が起こる、という具合に、物質の間に平衡を生み出す力は、時間と空間だけでなく人間の思考習慣をも支配してい
るのです。
ちょうど自然が、ドングリを生んでそれを1本の樫の木に育て上げるように否定的な思考も肯定的な思考も共に成長し、その痕跡を肉体に残し
ます。
ただし肯定的な思考は、私たちの持っている潜在脳力を刺激し、その発現を促進します。
すべての人間関係を支配し、仕事の成否を決定づけるのもこの習慣形成力です。
人間が生きる環境は、個人の運命を大きく左右しますが、それを支配するのが宇宙の習慣形成力だからです。
習慣とは思考と経験の繰り返しですが、私たち人間は、この習慣によって支配されています。
人間は自分のコントロールできる範囲内で、自分の運命をコントロールすることができます。
これまで見て来たように、思考と心構えだけが、人間が完全にコントロールできるものだからです。
人間は特定の考えや行為を繰り返すことによって、自分自身のパターンを作り出します。
そして自覚的に改変しようとしない限り、習慣形成力によって各人のパターンは、永続的なものになります。
人間は、選択脳力を持った唯一の生き物です。
この脳力によって人間は、自分自身の思考や行動のパターンを確立し、習慣を作り出すと同時に、必要に応じてそのパターンや習慣を崩したり
再構成したりするのです。
しかし大自然は、人間に自分の思考をコントロールできる特権を与えると同時に、人間を宇宙の習慣形成力の支配下に置きました。
人間の思考に、それと対応する肉体的な現象が伴うのはそのためです。
宇宙の習慣形成力は、人間の思考に指図を与えるようなことはしません。しかし、人間が実際に考えたり、行なったりしたことはすべて引き受
け、思考と行動が一つの結果を生み出すように方向づけを行ないます。
もし、ある人の頭の中が貧困によって支配されているとすれば、それは必ず行動や態度にあらわれます。
そしてもちろん、幸福や満足も行動や態度にあらわれます。人間の行動は、その内面によって決定されるからです。
一方、宇宙の習慣形成力は、人間が作り上げた行動のパターンによって、そのプロトタイプを生み出します。
この大いなる力は、決して無から有を生み出すわけではありません。
宇宙の習慣形成力は、運動、重力、電気、磁気、万有引力等のすべての法則と調和を保ちつつ作用しますが、それらの法則をすべて統御する
最も本質な力なのです。
その他の法則はすべて、無限の叡智がさまざまな形をとってあらわれたものであり、作用-反作用の原理に従います。
宇宙の習慣形成力は、人間の内にある感情や願望を、どのようにして行動に変えるのでしょうか?
それは、信念と呼ばれるこころの状態が発生するまで、感情や願望を増大させることによって行動へと高めていくのです。
このとき人間の心は、あの無限の叡智を受け入れ、目標を達成するための計画を生み出します。
そして、生み出された計画は、最も自然な方法によって実行に移されて行くのです。
とはいえ、この習慣形成力が、直接、金銭に対する欲求を満たしてくれるわけではありません。より一般的な方法によって成功が可能になるよ
う、人々のイマジネーションをかき立てます。
従ってこの力は、無から有を生み出すこともなければ、奇跡を起こすこともありません。
それは、強い願望と強烈な欲求を持った人間が自己の目標を達成しようとするのを助け、あらゆる援助を行なうだけです。
人間は自分の計画を実行に移すとき、天の助けがあったときに畏怖の念を覚えることがあります。
だが、こうした天の助けは、決して偶然ではありません。
宇宙の習慣形成力は、あらゆる困難を克服し、あらゆる障害を取り除き、あらゆる抵抗を打ち破る神秘的な力を、人間に授けてくれます。
あなたに必要なことは、その力の正体を知ることではなく、その力に従うことなのです。
ひとたび習慣を身につければ、次は習慣があなたを動かすようになります。
習慣の持つ大きな力を理解するために、2,3、例を挙げてみることにしましょう。
例えば、あなたのスーツは、それが新品でない限り、何度も着たり脱いだりした結果、あなたの体系とぴたり一致しているし、特別な訓練を積ん
だ者には、その折り目やシワによってあなたの心理状態を知ることも可能です。
たとえ何度洗ったとしても、あなたのスーツには、あなたの思考と行動と習慣が強く刻み込まれているのです。
紙を折ってみて下さい。
そして、一度折った紙のシワは、もう二度と消すことはできません。
バイオリンは、習慣の力を示す格好の例です。
バイオリンの、本体を形成している木は、楽器が生み出す音を吸収します。名手によって演奏された古いバイオリンが、新品よりも価値が高い
のはそのためです。美しい音をたっぷりと吸い込んだバイオリンは、再び演奏されるときその音色が甦り、音の厚みと深みを加えます。
自家用車で通勤する人は、毎日同じ道、毎日同じコースを通る習慣があります。
何か特別な用事でもない限り、あなたは意識することもなく、自分の習慣に従って毎日生活を送っていくのです。
人間の頭脳は、ふたすじに分かれる大河にたとえることができます。
流れの一方は、人々を成功へと運んで行きますが、もう一方は、目標もなく漂う人々を挫折へと連れ去ってしまいます。
川は脳であり、流れる水は思考です。
ただし、ふたすじに分かれる川では、流れの一方には否定的な思考が渦巻いており、もう一方にはポジティヴで前向きな思考が流れています。
宇宙の習慣形成力に対しては、言い訳や弁解は一切通用しません。
人生は自分にチャンスを与えなかった、と言うことはありません。
自分の思考を形成したり、表現することができる限り、成功をつかむチャンスはいくらでもあります。
現在のあなたの生活が、望み通りのものでないとすれば、それは大いなる力が悪い方に作用したためです。宇宙の習慣形成力は、あなたを成
功へ導く代わりに失敗へと導いてしまったのです。
いつまでも、そこにいる必要はありません。
今度は自己訓練とパースナル・イニシアティヴ、明確な目標意識によって同じ力をプラスの方向へ転化すれば良いのです。
あなたを失敗へと導いた流れは、あなたを成功へと導いて行くこともできるのです。
■健全な肉体と宇宙の習慣形成力
人生において、健康の獲得と維持よりももっと大切なことがあるでしょうか?
宇宙の習慣形成力は、あなたが健全な肉体とそれを維持するための習慣を身につけるうえで、大きな助けになるでしょう。
健康の第1条件は、積極的な心構えですが、宇宙の習慣形成力は、そうした前向きな姿勢を理に叶った結論へと導いて行きます。
それは心気症が、いつか必ず本物の病気を引き起こすのと同じことです。
セッション15で紹介したサラ・アン・マティールのように、自分が癌になる、と信じてその考えを毎日繰り返していれば、人間は必ず癌になりま
す。
逆に毎日、自分の健康について前向きに考えていれば、健康は維持されます。
つまり、人間の思考パターンが習慣形成力に作用し、思考や願望が現実に変るわけです。そのとき、自己の思考や願望を熱心に繰り返してい
れば、やがて大きな成果があらわれるでしょう。
思考のパターンはレコードのようなもので、心の中で繰り返される叫びは、脳の中に溝を刻み、レコードのカッティングヘッドのような働きをしま
す。
このとき、習慣形成力は再生装置の役割を果たし、探し出してきた思考を再生します。
そして、思考をはじめとする内面の機能を高め、人間を行動へと駆り立てて行くのです。
習慣形成力は、食事にも大きな効果をもたらします。
食事中、および消化吸収が行なわれる食後の心理状態と思考のパターンは、その食事が健康を維持するのに適しているか否かを決定しま
す。つまり、前向きで明るい気分のときに食べたものは栄養になりますが、不安や心配事があったときに食べたものは、絶対に栄養にはなりませ
ん。
従って食事のときに、自分の気分や心理状態をコントロールすることは、大変重要なことです。
実際、不安や心配事をかかえながらとる食事は、毒を呑むようなものです。
絶食は、動物にとっては唯一の薬です。彼らは食べることを止めることで、自分の身体を守ろうとしますが、この点は人間も見習う必要がありそ
うです。
私たちの仕事や収入にも、習慣形成力は大きな影響を及ぼしています。
私たちの心構えは、精神と肉体と活動に大きく作用し、身体のすべての細胞の中で働く、もの言わぬ修理屋の味方になっているのです。
仕事と遊びは、うまくミックスすべきです。仕事と遊びが、うまく交互にやってくるのが理想です。
また、愛情と祈りも、仕事と遊びの関係と同じで、生活の中で両者が同じ役割を占めるのが最も理想的な暮らしです。
そしてここでは、プラスアルファの努力をすることが何よりも大切です。
積極的な心構えで仲間に奉仕することは、健康の増進に大いに役立ちます。
義務の上に奉仕を加えることは、経済的な利益だけでなく、健康や友情さえもたらしてくれるのです。
■習慣形成力の経済的価値
宇宙の習慣形成力は、経済的な利益を生み出すうえでも大きな力を発揮します。
このプログラムで展開してきた他のノウハウと組み合わせ、あなたの望む社会的・経済的な状態のイメージを習慣形成力によってあなたの心身
に刻み込むことができます。
そのイメージこそ、あなたの願望や目標なのです。自分がなりたいと思うものを、常に頭の中に思い描くことが、成功の出発点となるのです。
自分の願望や目標を、繰り返し何度もイメージし、思考と努力をそこへ集中することは、まぎれもなく一つの習慣です。
そうなれば大いなる大自然の力が働き、あなたの願望は実現されるでしょう。
富や豊かさをイメージすることなく、経済的な成功を勝ち得た者はいません。
また、健康に対する意識を持たないで、健康になった者もいません。
まずはじめに、自分の目標や願望をはっきりさせる必要があります。
貧困に苦しんだ人々は貧困意識を持ち続け、なかには幼児期に植えつけられた貧困意識を、生涯にわたって持ち続ける人もいます。
彼らは、常に貧困という観点から物事を考え、貧困を恐れ、貧困を話題にします。
つまり彼らは、貧困を待ち望んでいるのです。彼らのところへ貧困がやってくるのは、当然です。
これまでに学んだ16のノウハウをもう一度復習して下さい。
そうすれば、宇宙の習慣形成力についてさらに深い理解が得られるでしょう。
宇宙の習慣形成力は、16のノウハウを根底から支える最高の力なのです。
復習が終わったら、あなたの人生の願望や目標を書き出し、それを頭に叩き込んで下さい。
そして、毎日一度は声を出して読み上げ、何度も何度も繰り返して下さい。
こうしてあなたの目標は、無限の叡智に対する信念によって、背後から支えられることになるのです。
自分の願望や目標を紙に書き,それを声に出して読み上げるのは、習慣形成力に目標を与えるためです。
良い結果を得るために必要な時間は、あなたの目標や願望を支える信念とエンスージアズムによって決まります。信念やエンスージアズムが
強いほど、必要な時間は短くなります。
願望や目標を繰り返し語りかけることで自分の心を方向づける間に、その願望や目標を達成するための計画を立てて下さい。
自分の計画が、具体的で実現可能なものであることを信じて下さい。
そして、まず日程を定め、必要と思われる最大限の時間を算定し、次に願望や目標を達成するために払わねばならない犠牲を明らかにして下
さい。
何らかを得るためには、何かを犠牲にしなくてはなりません。どんなものでも、それを手に入れるためには、代償が必要です。
時間を確定することは、非常に重要なことです。何をするにしても、「いつまで」という期限を設定しなければいけません。
例えばもし、
「いつかそのうち、10万ドルを手にしたい」
と言ったとすれば、運命はこうつぶやくでしょう。
「この男には信念がない。それにいつ、その金が欲しいのか本人が知らない以上、私にはどうすることもできない。彼の名前は補欠人の名簿に
でも入れておこう」
宇宙の習慣形成力は、淡い期待やはかない願望によって作用するものではありません。
そして、PMAプログラムは、厳密なルールと理論によって構成されたものです。あなたがこのルールに従うなら、数学の公式を適用するのと同
じように、確実な成果を得ることができます。
ところで計画を立てる場合は、いつでも変更できるように柔軟性を持たせることが大切です。
それは、あなたが変更した方が良い、と判断した場合ですが、その点をはっきりさせるためにもう一度「現実化された信念」のセッションを復習し
て下さい。
計画の変更が必要になるのは、あなたの当初の考えが、無限の叡智によって否定された場合です。第六感やインスピレーションが働いたとき
は、計画を変更すべきです。
それは、あなたの計画の弱点に対する無言の警告です。
ひらめきや予感というものを軽視する人々がいますが、それは間違っています。
そしてインスピレーションやひらめきを粗末に扱う人は、インスピレーションやひらめきの方でも大切にすることはありません。
アイディアやひらめきは、それがどんなにささいなものでも、ノートに書き留める価値はあります。
そして、注意深く検討すれば、あなたの計画の意外な価値や気づかなかった欠点に気づくでしょう。
マスターマインドのノウハウによって手を結んだ仲間を除いては、あなたの計画は秘密にしておくのが原則です。
その理由は、
1.見境なく自己の計画を公言することは、思わぬ妨害や邪魔が入ることになります。特に否定的な考えを持った人が、あなたの進路を妨害し
ようとすることは、何があっても防止しなければなりません。
2.願望や目標についてあまり多くを語ることは,エンスージアズムやパッションに水をかけることになります。
習慣形成力は、潜在意識と同じようにニュートラルなものですから、肯定的なパターンだけでなく、否定的なパターンも容易に引き寄せ、現実化
してしまいます。
あなたの心の中が他人の評価や悪しき忠告で一杯になれば、大切な目標はいつの間にか消滅してしまうでしょう。
これは自分の野心を口にしたり、まだ実現できもしないことを大言壮語する人々に見られる共通の弱点です。
仮に自分の野心を語るにしても、未来系ではなく過去形で語りたいものです。
このプログラムの内容を完全に理解できなければ、成功は不可能であると考える必要はありません。指図に従い出来ることを忠実に実行すれ
ば良いのです。
成功哲学は、あなたの脳力を超えるような難問は、何一つとして求めてはおりません。ごく平均的な脳力の持ち主であれば、誰でも成果を挙げ
ることができるはずです。
前に執念についてお話したことがありますが、執念や思い込みとは一体なんでしょうか?
医師にとって、執念や思い込みは、実際の病気以上に恐ろしいものである場合があります。この病気は治らない、という思い込みが患者にあれ
ば、医師の努力は水泡に帰してしまいます。
特に癌や結核、心臓病や糖尿病のような難病のときに、この種の執着や思い込みが生ずるようです。
そして病気に対する執着だけでなく、富や貧困に対する意識が人間の心に固定化されるのも、宇宙の習慣形成力のためです。
習慣には肯定的な習慣と否定的習慣があり、そのどちらもひとたび人間の生活の中に入り込めば、本人が意思によって取り除かない限り死ぬ
まで続くものなのです。
〈否定的な習慣〉
貧困、心気症、怠惰、羨望、貪欲、嫉妬、尊大、不誠実、加虐性、虚栄心、短気、敵意、皮肉な考え方、無目的に生きること。
こうした悪しき習慣があなたの心にはびこっていれば、成功を達成しそれを維持することは難しいと言えます。
そして、こうした否定的な習慣で心が満たされていては、信念が生ずる余地がありません。
ここに列挙した習慣は、ただ一つでも大変危険なものですから、こうした悪しき習慣に心を奪われることのないよう、日頃から注意する必要があ
ります。
〈肯定的な習慣〉
明確な目標、パッション、信念、自己訓練、自主独立の精神、プラスアルファの努力をすること。
肯定的な習慣の第1は、明確な目標意識です。
あなたの内面を悪しき習慣から守り、心を機敏にし、イマジネーションを刺激するのは明確な目標意識です。
それはパッションを高め、意思の力を強固にします。
次に重要なものが信念です。
悪しき習慣を打ち破り、否定的な考えを克服することで確固たる信念を持つことができますが、そのためには自己訓練が必要です。
そして、自主独立の精神を、あなたの心の一部にして下さい。
はじめは自分自身を鞭打つことも必要ですが、辛抱強く繰り返すうちに、それは習慣になるでしょう。
自由自在に、あなたのパッションを高めたり鎮めたりできる脳力を身につけて下さい。
優れた教師やセールスパースンになるためには、この脳力が必要です。
パッションもコントロールすることが求められており、いつ自分のパッションを完全に燃焼させるかを知るべきです。
リストの最後は、プラスアルファの努力をすることです。
そのためには、報われることのない仕事を、今すぐ始めるのが一番です。やがて宇宙の習慣形成力が、あなたの中に素晴らしい習慣を作り上
げ、それが多くの利益をもたらしてくれるでしょう。
自己の望むもの、求めるものを引き寄せるために、あなたの心は電磁石のようになるでしょう。
自己の思考をコントロールし、偉大な力を身につける権利をあなたは持っているのです。
■意思力のコントロール
「自己訓練」のセッションにおいてあなたは、あなた自身の中心であり、意思を生み出すところの自意識について学びましたが、そこで学んだこ
とを、もう一度思い出して下さい。
第一に、自意識と習慣形成力の関係を知ることは、自己形成を促進し、良い習慣を積極的に身につけることを助けてくれ、宇宙の習慣形成力
の活用法を知ることにつながります。
マスターマインドに基づき、習慣形成力がただちに作用するでしょう。
第2に計画を立てることです。
あなたの仲間たちは、その経験、脳力、信念によって、必ずその計画を寄与するはずです。
第3に、あなたに劣等感を抱かせたり、悪影響を及ぼす環境から離脱することです。
肯定的な自己は、否定的な環境の中で作り出すことはできません。
あらゆる生命は、宇宙の習慣形成力によって、その環境から支配的な影響を受けるからです。
常にこの事実を念頭において下さい。さもないと、せっかくのチャンスをとり逃がしてしまうでしょう。
第4に、過去の不愉快な経験や出来事から完全に訣別することです。
強い意思があれば、過去のことをくよくよと考えることはありません。人間は、自分の未来を飾る希望と願望によって生気を与えられるもので
す。
もしあなたが、その心を希望、信念、願望によって満たすのであれば、宇宙の習慣形成力はあなたに具体的な成功をもたらすでしょう。
第5に、あなたに願望や目標を意識させるもので、自分の周囲を取り囲むことです。
もしあなたが小説家であるなら、仕事に必要な書物や文学全集で部屋を満たし、絵画や美術工芸品を目の届くところに飾るべきです。
そして、自分が目標とする作家の写真を、最も目につきやすいところに吊るし、常にイメージを刺激するのです。するとこのイメージは、宇宙の
習慣形成力に引き継がれ、あなたの願望を実現するために必要なすべての要素が、無意識から発せられるひらめきや第六感となってあなたに
伝えられるのです。
自己形成において重要なことは、バランスです。あなたの6番目の仕事は、バランスを保つことです。
よく言われるように、自信過剰や自己過信は、自身欠如や自己不信と同罪です。
無限の叡智は、戦争や不景気、災害などによって人類の悪習を断ち切ってきました。
その意味では、災害や不幸は天の恵みであったかもしれません。
無限の叡智は、微細な砂粒から広大な宇宙に至るまで、それを組織し、秩序を与え、支配するという大きくて明確な目標を有しています。そして
一切の障害を排除して、この目標を完遂しようとします。
私たち人間が、無限の叡智に抗することができないのはそのためです。
また、歴史に名を残すような人々は、神の遠大な計画の中で、彼ら自身全く想像もし得なかったような役割を担っていたのかもしれません。
トーマス・エジソンについて考えてみましょう。
エジソンは、金儲けをするために発見していたのかもしれません。しかし、大自然は、全人類の生活を向上させるために、彼の才能を利用した
のです。
実際エジソンは、私たちの暮らしを向上させました。
人間を作り出す二つの偉大な力が、彼らの内面に作用しています。
一つは社会的な遺産であり、もう一つは肉体的な遺産、つまり遺伝です。
遺伝は、我々の祖先の性格や身体的な特徴が集約され、長い年月を経て現代へ受け継がれたものです。
これは大自然の法則であり、この世に生きている人間は、すべて祖先の血を受け継いでいるのです。
社会的な遺産は、私たちが生きているあいだに触れるあらゆる環境の中に行き続け、私たちを支配しています。
父と母の影響と感化、教育、言語、宗教、政治、文化のすべてが、今日のあなたを作り上げたのです。
もちろん、そうした社会の影響力や時流から己を解き放った人々もいます。エジソン、フォード,トーマス・ペインのような人々がそうです。
しかし多くの人々は、過去によって支配され、社会的な遺産の犠牲になっており、そのために筋の通った正論が少ないのです。
あなたが社会の悪習から抜け出し、あなた自身の考えに従って生きることを決意する瞬間は、人生において最も輝ける瞬間です。
二つの遺産は、共に宇宙の習慣形成力の下にあります。
そして社会的な遺産は、あなたの行き方と環境を変えることで離脱できますが、肉体的な遺産を克服することは、もう少し難しいことです。
宇宙の習慣形成力を潜在意識に応用し、成功を収めた人々がいます。
潜在意識への応用が重視されるのは、彼らが成功のプロセスを全く意識していなかったからです。
ヘンリー・フォードは、そうしたタイプの成功者です。
彼は全くと言っていいほど正規の学校教育は受けておらず、農夫になる以外は道のない貧しい青年でした。
しかし彼は、早くから一つのアイディアを持ち、そのアイディアを実現することに賭けていました。
フォードが事業を開始したとき,成功のポテンシャルはほとんどありませんでしたが、自己を常に正しい方向へと導く思考を持っていました。
彼はその習慣となった思考によって成功を掴み、自動車王国を築いたのです。
彼はまた、直感やインスピレーションをとても大切にしました。そして一つの目標に自己の心を傾け,努力を集中すれば、必ず良い結果が得ら
れるということを知っていました。
当初、彼はあらゆる形の挫折、世間の敵意、屈辱を経験しました。
馬車馬を驚かす、という理由で彼の発明した自動車は、警察の取り締まりの対象にさえなったほどです。
そして、彼を悩ました最大の困難は、自動車に対する世間の無知と無理解でした。
それでもフォードは、自分のアイディアに集中し続け、習慣形成力の力を借りて、遂にそのアイディアを実現することに成功しました。
そして、それまでは障害物であったものも、成功のステップになっていました。不利な状況は、一転してチャンスに変りました。
不必要であるにもかかわらず、彼の事業への投資が殺到したのです。
不思議なことにこのプログラムの学習者の中には、明確な目標意識を持ち、宇宙の習慣形成力が、それを成功へと導いて行くまで集中力を持
続することは難しい、と考えている友人たちがいます。
私の友人たち(プログラムの学習者は、皆私の友人です)を批判するつもりはありませんが、その学習内容や達成計画を改めて検討しなけれ
ばなりません。
集中力の持続を難しいと感じる人々は、まず自分の目標として一定の目標金額を設定します。のぞましい額は10万ドル(約1300万円)です。
そして、5年以内に10万ドル(約1300万円)を獲得することを目標に、計画を立てます。
1年につき2万ドル(約260万円)、ここまでは結構です。
しかし、その見返りや代償として何を犠牲にするのか、という点で甘さが出てくるのです。努力もしないで、結果だけを求めることはできません。
そうした計画は、確実性に乏しく、実現不可能なものです。
成功は、一つの目標とそのイメージを心に刻みつけ、地道な努力によって信念を生み出すことにより初めて可能になるものです。決して宝くじ
の当選金のようなものではありません。
あなたの目標と計画を詳しく書き留める理由は、思考やアイディアを具体的なものにし、目標と計画のイメージを無意識に植えつけるためです。
書くことは、考えるための手助けであり、思考そのものではありません。
あなたのペンを導くものは、あなたの心です。あなたのすべての力を目標に集中できるよう、目標と計画のために必要なすべての要素を鮮明に
しなければなりません。
このプログラムの目標は、あなたを一歩づつ着実に訓練し、その心をとらえ、何があろうと目標を達成する、という強烈な願望を植えつけること
です。
ここで言う強烈な願望とは、私たちが普段心に抱く願望とは、根本的に異なるものです。
強烈な願望とは、激しさの余り実際に対象を所有する前から心の中に明確な像を結んだ願望のことです。
それはあなたの心と気持ちを完全に捕らえ、その実現へとあなたを駆り立てずにはおかないような、そんな激しい願望です。
私はエジソンに、
「もし、1万回の実験を繰り返しても、白熱灯がつかなかったらどうしましたか?」
と尋ねたことがあります。
すると即座にエジソンは、次のように答えました。
「そのときは、こうしてあなたと成功哲学を語り合う代わりに、白熱灯の実験に取り組んでいたでしょう」
もし必要とあれば、残された生涯のすべてを白熱灯の発明に捧げるつもりであったともエジソンは語ってくれました。
これなどはまさに、真に己のすべてを賭した強烈な願望の一例です。
■宇宙の習慣形成力…まとめ
ここに最も深遠な法則があります。
あらゆる自然現象を支配し、生物を環境に適応させてその種を保存し、人間の思考習慣を心に定着させて秩序と規律を生み出す法則です。
習慣を確立するには、三つの基本原則があります。これは非常に大切なものですから、しっかりと覚えて下さい。
1.柔軟性…これは適応脳力のことです。
外界の変化に機敏に対応すると共に、進んで自己を変化させる脳力のことです。そして変化したものは、再び修正が加えられるまで
はその状態を保ちます。従って柔軟性とは、子供たちが学校
で使う粘土が持っている可塑性のことです。
それは、望み通りに作り変えることができる反面、何もしなければいつまでも元のままです。
あらゆる生物の中で、こうした可塑性や柔軟性を持つのは人間だけです。そしてこの特性は、人間の持つ精神的な機能に依存す
るものです。
人間は外部からの影響力や環境によって変化するものであると同時に、意思を鍛えることによって自発的に自己を変えることがで
きます。
こうした恵まれた特性を生かし、積極的に良い習慣を作り出していかなくてはなりません。
2.繰り返し印象づけること…すでに学んだように,反復は記憶の母であると共に習慣の母でもあります。
習慣が完全に身につくまでの時間は、繰り返しの回数によって決まります。
もちろん、外的な条件やパースナル・イニシアティヴの有無によって、習慣が形成されるまでの時間や習慣の質や
強さは異なります。
3.印象の強さ…習慣を形成する過程で問題になるもう一つの要素は、動機や願望が心に与える印象の強さです。
動機や願望は、感情によって強化されたときはじめて、心に定着します。
漠然とした希望と強烈な願望とでは、心に与える印象の強さが違うのです。
印象の強さは、習慣を形成するうえできわめて重要な要素なのです。
次に、この3原則の働きを示す実例をお目にかけましょう。
戦時中、1人の学生が半夜勤(午後4時から0時30分まで)で軍需工場で働いていました。
工場では、6時に1回と10時半に1回、10分間の喫煙が許されていましたが、タバコを吸わない彼は、その時間におやつを食べるようになりま
した。
りんご、ぶどう、ドーナツ、パイなど台所にあるものは何でも持って来て食べていました。彼には、環境に適応する脳力があったのです。
そして毎日、きっかり6時に休息の合図の笛が鳴ると、彼はランチ・ボックスの中から"6時のおやつ”を取り出して食べました。
これは間違いなく、繰り返し印象づけることです。毎日決まった時間におやつを食べることは、確実に習慣を作り上げてしまいます。
印象の強さは、彼の食欲の度合いによって決まります。つまり、お腹がすいているときは強烈であり、そうでないときは印象も弱いものです。
しかし6時の笛が鳴れば、彼は腹具合に関係なくおやつを口に入れました。
そして、この状態が何ヶ月か続いた後では、時計をながめておやつの時間が待ち遠しく思えた、と彼は語っています。
そうですが、欲しい物を待っている時は、時間の経つのが遅いものです。
この一連の出来事は、習慣が形成されるまでのプロセスを示しています。
やがて彼は、自分の胴まわりが少しずつ大きくなっていることに気づきました。明らかに彼は、食べ過ぎていました。
そこで彼は、おやつを食べることを止め、この悪習を克服することを決意しました。
最初に彼がしたことは、ランチ・ボックスの中におやつを入れるのをやめることですが、それでは解決になりませんでした。
すなわち、身についてしまった悪習とその誘惑を断ち切るだけの強い動機がなかったからです。
ランチ・ボックスにおやつを入れなくなった彼は、6時になると売店に行って食べ物を買うようになってしまいました。
彼が本当に自分の心を支配し、強力な動機づけによって明確な行動をとったのはそれからです。
彼は、6時にものを食べることをやめるという小目標を設定し、同じ時間を読書にあてることでこの目標を実現しようとしました。
食欲を知識やひらめきに対する食欲に置き換え、ランチ・ボックスの中にはりんごの代わりに本を入れたのです。
6時の笛がなると彼は、りんごを食べる代わりに本を開き、椅子に座って読書を始めました。
もちろんここにも、反復と印象づけがあります。はじめは空腹感に悩まされたものの、日1日とその欲望に変る楽しい意欲が芽生え、読書に対
する欲求は以前とは比べ物にならないほど強化されました。
古い悪習に代わって、楽しい習慣が形成されたのです。
あなたにそうするだけの意思があれば、悪習を断ち切ってよい習慣を身につけることは可能です。
宇宙の習慣形成力は、私たちが意識的に断ち切るか、さもなければ事故や病気によって生命をなくすまで、私たちの習慣を受け入れ、それを
永続的なものとして作り上げてしまいます。
習慣はどのように形成されるか?それを教えてくれる実話をもう一つ紹介いたしましょう。
それはきわめて典型的なパターンを示しているので、参考になるでしょう。
この実話の主人公は、40を少し超したくらいの男性で、18のときから22年間公務員として働いていました。
それは彼にとって、幸せな日々でした。そして1年ほど前、ある宗教団体によって強力な思想を吹き込まれ、その新しい思想によって人生を変
えようと考え始めたとき、彼の人生は狂い始めていたのです。
彼は将来の展望を持つ以前に、自分の過去を断ち切ろうとしましたが、それはきわめて難しいことであり、当然にも彼は失敗してしまいました。
彼は宗教活動によって自分の力を試し、もしそれに失敗したときは再び職場に戻ろうと考え、有給休暇を申請しました。
それが彼の間違いでした。
こうしたふたまたをかけるようなやり方から、彼が自分の脳力を信頼していないことがわかります。
過去を断ち切るだけの勇気が、彼にはなかったのです。
未来に向かって飛躍するときには、不愉快な思い出に満ちた過去の扉は閉じてしまわねばならない、と「自己訓練」の章でお話しましたが、そ
の理由がおわかりになったと思います。
彼は、過去にしがみついていたかったのです。だが、それにもかかわらず、新しい未来を求めました。
彼は、過去と未来を切り離すことができなかったのです。
しかし彼の上司は、有給休暇を許可しませんでした。
そこで彼は、仕事を選ぶか宗教を選ぶかの二者択一を迫られ、結局辞職しました。
公務員を辞めた彼は、きわめて競争の激しい業界で独立して仕事を始めましたが、まだ甘さを捨てきれず、かつての同僚や友人から仕事を得
ようと泣きついたのです。
2~3週間も経つと、かつての同僚や友人から得た仕事は底をついてしまい、新たな注文を見つけねばなりませんでした。
彼の行動は完全無計画でしたから、新規に顧客を得る権利はありません。
要するに彼は、考える前に行動したのです。そして、自分の心を打ち固めることを怠っていたのですから、良い結果が出るわけはありません。
彼の収入は次第に減っていき、状況は絶望的になってしまいました。
惨憺たる失敗によって彼は悩み苦しみましたが、それは明確な目標意識と計画を欠いた挫折の典型でした。
彼はプライドを捨て「だから言ったんだ」という声の中、以前の職場に復職を申し入れたのです。
このケースを分析してみましょう。宇宙の習慣形成力の働きが、よくわかります。
彼は自分が22年かけて登りつめた道を、違った方法で降りて来ました。長期間決められた仕事だけをしていたので、それは完全に彼の内面に
定着していました。
特別な責任、必須な計画というものはなく、ただ地道に仕事をしていればそれで良かったのです。定着、という意味では、それはまさに本物の
定着であったかもしれません。
宇宙の習慣形成力によって、怠惰な心が作られていたのです。その状態は、本能に支配される動物と少しも変わるところがありません。
そんなとき、一つの新しい着想が生まれました。
この着想は強力で、説得力のあるものであったために、彼の怠惰を打ち破ろうとしました。
それはまるで、生パンに挿入されたイースト菌のように発酵し、大きく膨らんでいきました。
これが着想の力というものです。
しかし着想には、それを実現化するための助けと支えが必要です。養分を与え、活力を補給して一つのアイディアがたくましく育つのを見守って
やらなければなりません。
彼の心の中では、怠惰な習性と新しいアイディアが衝突し、秩序が保てなくなっていたのです。
もし彼が、このプログラムを学んでいれば、確実に成功を収めていたでしょう。
彼は成功のための条件を、たくさん備えていました。自尊心とパースナル・イニシアティヴを持ち、人柄も悪くありませんでした。
従ってマスターマインドと自己訓練によって、自分の長所を組織化し、的確な思考やポテンシャルを引き出す方法を学んでいれば、彼は成功し
たに違いありません。
宇宙の習慣形成力は、常に両刃の剣です。彼はその力を活用することが出来ず、逆に敗れたのです。
彼の思考や行動のパターンを作り上げたものは、この習慣形成力です。もし彼がこの力を知っていて、その法則を自分の行動に適用していれ
ば、失敗を経験することはなかったと思います。
宇宙の習慣形成力の最大の特徴は、あらゆる反復作用を一定の習慣にしてしまうことです。
それは生物・無生物を問いません。人間の日常生活から星の運行にいたるまで、すべてがこの力によって支配されているのです。
人間の自由意思が思考やアイディアを選び出し、宇宙の習慣形成力の持つ力を自らのために役立てるということは、大変重要なことです。
宇宙の習慣形成力は、物理的な力を生み出すこともなければ、人間の思考を選択するようなこともありません。
しかし習慣を通して、人間の生活や社会の中に秩序やシステムを作り出すのです。
良い習慣を形成するために心を集中することは、心のコントロールの第1歩です。
明確な目標意識が成功をもたらすのは,そのコントロールのためです。はっきりと定められた目標は、人間の思考の中で鮮明な像を結び、その
像が人間を成功へと導くからです。
■速さと技術は努力の繰り返しから
人間の潜在意識に植え付けられた目標と願望は、宇宙の習慣形成力に引き継がれ、さまざまな方法・手段によってゴールへと運ばれていきま
す。
人間の潜在意識には、そういう働きがあるのです。
逆に宇宙の習慣形成力は、人間の潜在意識を通して活動し、通常の努力や一般的な教養によって願望や目標を現実に変えるのです。
宇宙の習慣形成力は、あらゆるところで作用しています。
そして、人間の目標や願望という心理状態を現実に変えますが、その作用は自動的なものです。
その力を役立てるには、自分の心を常に前向きな状態に保ち、明確な目標意識を持てばよいのです。
一つのアイディアが生まれて成長し、習慣になるとき、それを生み出す力を私たちは宇宙の習慣形成力と呼んできましたが、大切なことはその
名称ではなく、その力の存在に気づくことです。
その力を自覚していれば、どんな名前で呼ぼうとそれはあなたの自由です。
この力は、多くの偉人たちによって実証され、語られてきましたが、この力から逃れることは出来ません。
金持ちも貧しい人々も、同じようにこの力によって支配されているのです。その目的は、あらゆる存在を永続的なものに変え、無限の叡智の下
に宇宙の秩序と調和を保つことです。
この力を活用するチャンスはすべての人々に与えられている、という意味で人間は平等なのです。
通常、私たちは自分の考えと心構えをコントロールする力を持っていますが、それは宇宙の習慣形成力を活用するための前提であり、必要十
分条件です。
PMAプログラムの核心は、習慣形成力にあります。
あなたの心構えや心理状態は、常に前向きでなくてはなりません。
自己訓練を怠らず、活用できる方法や手段を増やし、目標や願望を実現し得る土台を作り出してください。
もちろん信念や反復によるモティベーションも必要です。
すべての豊かさの中で最も大切なものは、積極的な心構えです。
それだけが、あなたの目標と願望を叶えてくれるでしょう。
SESSION17 習慣形成とその活用
自己診断用紙
※これはあなた自身のための自己診断テストです。答えを○で囲むか、記入して下さい。
1.大自然の法則は、確立されたパターンまたは、______によって、宇宙のバランスと秩序を保つ法則である。
1.発想
2.行動
3.計画
4.習慣
2.宇宙の習慣形成力は、すべての______を支配し、仕事の成否を決定づける。
1.行動
2.人間関係
3.成功のノウハウ
4.発想
3.大自然の法則には、____の余地はない
1.人間の行動
2.人間の計画や予定
3.言い訳や弁解
4.行動の理由説明
4.メーヨー兄弟は、人が健康的な肉体を維持するには四つの要素が必要であると言っている。
それは、仕事・遊び・____である。
1.発想・行動
2.計画・予定
3.愛情・祈り
4.睡眠・食事
5.大自然の法則によって、良い結果を得るために必要な時間は、目標や願望を支える_____エンスージアズムによって決まる。
1.行動
2.信念
3.計画
4.欲求
6.病気に対する執着や,富や貧困に対する意識は、大自然の法則によって____。
1.活性化する
2.固定化される
3.浮動のものとなる
4.失われる
7.目標を達成するうえで、必要と思われる人々と積極的に関わるとき、大自然の法則はその作用を開始する。その契機となるのは、____で
ある。
1.発展のためのプログラム
2.マスターマインド
3.プラスアルファの努力をすること
4.エンスージアズム
8.遺伝とは、我々の祖先の_____や身体的な特徴が集約され、現代へと受け継がれる自然の法則である。
1.行動
2.性格
3.欲求
4.知識
9.強烈な願望と激しさの余り______前から心の中に明確な像を結んだ願望のことである。
1.実際に対象を所有する
2.対象の所有方法を考える
3.欲求について考える
4.対象に対するエンスージアズムが生じる
10.大自然の法則の最大の特徴は、あらゆる反復行為を一定の______にしてしまうことである。
1.発想
2.行動
3.計画
4.習慣
〈テスト〉
質問をよく読んでお答え下さい。質問の主旨についてのみ、好きなだけ回答していただいて結構です。
1.大自然の法則に関する、あなた自身の見解を簡単に説明して下さい。
2.設立した目標を達成するとき,大自然の法則はどのような役割を果たすでしょうか?
3.習慣を形成するとは、どのようなことでしょうか?
また、それを有効に利用するにはどうすればよいでしょうか?
4.著者の言う「肉体的遺伝」と「社会的遺伝」とは、それぞれ何を意味しているでしょうか?
5.大自然の法則と健康の関係を説明して下さい。
6.意識的に習慣を身につける場合、忘れてはならない3つの原則を簡単に説明して下さい。
7.強烈な願望の特徴は何ですか?
通常の願望や欲求との違いを説明して下さい。
8.「ひとたび習慣を身につければ、次は習慣があなたを動かす」
という言葉の意味を説明して下さい。
9.セッション15で取り上げられたサラ・アン・マティールの物語は、どのような意味で大自然の法則の実例となるのでしょうか?
10.セッション17の学習に入ってから習慣を改めるようなことはありましたか?
11.セッション17の学習によってあなたは、どのようなノウハウや発想を学びましたか?
1.そのノウハウや発想は、あなたにとってどのような意味がありますか?
2.全そのノウハウや発想を、どのように活用しようと思いますか?
3.いつ、活用するつもりですか?
12.このレッスンを学んだことで、あなたは何を始めようと思いますか?
人間は、選択脳力をもった唯一の生き物である。
この脳力によって人間は、
自己の思考や行動のパターンを確立する。
あなたが自己の心のコントロールに成功すれば、
大自然の法則は、
願望の実現を助けてくれる。
社会の悪習から抜け出し
自己の考えに従って生きることを決意する日は、
人生において最も輝ける1日となるだろう。
強烈な願望とは、
求めるものを手にしたような気分を、
常に感じていることだ。
常に心をコントロールし、
前向きな心構えを忘れるな!
そうすれば、
求めるものは得られるだろう。
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