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氏名 成田光男 学位の種類 博 士 ( 医 学 ) 学位記番号 第 3874号 学位授与年月日 平成1 2 年1 2月2 7日 学位授与の要件 学位規則第 4条第 2項該当者 学位論文名 A n a l o g u e so fE t h y l e n e d i a m i n e t e t r a a c e t i cA c i da n dS o d i u mF l u o r i d e a sA n t i c o a g u l a n t s 構造類似体およびフッ化ソーダの臨床検査用抗議固剤としての応用 ( E O T A 研究) 論文審査委員 主 査 教 授 巽 典之 副主査教授北川誠一 副主査教授丙沢良記 論文内容の要旨 現在の自動血球計調J I はE D T A 血の使用を蒸準として測定システムが構築されている。しかし近年、現在の 総合検査システムにおいて血液検査のみへの多量検体の要求が問題視されている。このことから E D T Aに代 わる抗凝固剤としてカルシウムイオンに対するキレート作用のある 3持の E D T A 構造類似体 ( E G T A 、E D D P、 H D T A ) と血糖検査用抗凝問責I j N a Fの多目的検査利用の可能性について検討した。その結果、①R G T A) 2 m g / a F5m g ! m Jb l o o dは3 6 度、室温、 4度の保存条件で安定した全血抗凝固活性が認められ m lb l o o d および N たが、他の 2 種の EDTA構造類似体は l 時間以内で全血抗凝固活性が消失した。② EGTA および~NaF は数時 間保存後から著名な血小板数の減少を示したが、 E G T A 血の血小板数減少は硫酸カナマイシンの添加で阻止 できた。他の全血算値は室温 2 4時間保存でも E G T A 値とほぼ平行した変化を不した。③白血球自動分類比率 は 、 3時間固までは E G T A、N a Fともに E D T Aに近似した他を示したが、 6時間日以降は分直化率の変動が 人となっていた。しかしながら白血球スキャッタグラム上での目視判定では明確な差は認められなかった。 ④薄塗ギムザ染色標本上では、 E G T Aが頼粒の染色性の低下が観察された。 N a Fでは、脱頼粒、空胞形成、 色強度低卜などの変性所見が認められた。⑤ブロトロンビン時間および活性化部分トロンポプラスチン時 間をクエン酸血血祭を対象として観察したところ、 E G T AO .5 四 1 .O m g / mIb1 o o dの血紫では両者の計i J l J が 可能であった。⑥E G T A巾紫および硫酸カナマイシン添加 E G T A 血祭の臨床化学検査値は印清での値に近似し ていた.この結果から E G T AはE D T A 血に代わる抗凝固剤として利用できる可能性が示された。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 同動血球言│視j ' での抗凝固斉J r はカルシウムイオンの強力なキレート剤である B D T A 採血管の使用が国際標準 となっている。このため臨床化学、凝闘などの検査にそれぞれ別の採血管が必要となり、患者の負担を増 大させているのが現状である。このことから本論文の著者は 3種の E D T A 構造類似体 ( E G T A、E D D P、即時) およびフッ化ソーダ ( N a F ) のキレート作用を期待し、それらの物質の臨床椀査用抗i 疑問剤としての利 用を~~\みた。抗凝固性は温度条件を変えた令:向凝固時商法で検討した。その結果、①EGTA ( 1 2 m g ! m l )お よびN a F( 5 m g ! m1) に良好な抗凝固性が示された。②EGTA血および~NaF血は採血直後は EDTA血と同様の全血 算値を示したが、 6時間後からは血小板数の減少が生じてきた。そして E G T A 血の血小板減数は硫酸カナマ イシンの添加により阻止する事が可能であった。③白血球分画値は 6時間目まで E D T Aと同様であるが、以 後は比率が変動していた。④薄塗ギムザ染色標本では E G T A 血では E D T A血とほぼ同じであり、観察・分析に -193- 支障となる変化は認められなかった。しかし N a F 血では一部に細胞内構造の形態と染色性に変化が生じ ていた。⑤クエン酸血を対照としてプロトロンピン時間と活性化部分トロンポプラスチン時間を比較した G T A 血では両時間とも計測が可能であった。⑥B G T A 血での臨床化学検査値は全て血清での検査値 ところ、 E G T A 血が血球計測、臨床化学、血液形態、そして凝固検査など、多目的な と近似していた。以.1::の結果は E 抗凝固舟IJとして使用できることを示していた。 以上の知見は臨床検査の将来に新しい展開を与えうるものであり、検査学的意義はきわめて大である。 よって本論文の著者は博士(医学)の学位に値するものと判定された。 -194-