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使用済小型家電からのレアメタルの回収及び適正処理について

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使用済小型家電からのレアメタルの回収及び適正処理について
平成20年12月
環境省 廃棄物・リサイクル対策部
リサイクル推進室
レアメタルとは
● 「地球上の存在量が稀であるか、技術的・
経済的な理由で抽出困難な金属」のうち、工業
需要が現に存在する(今後見込まれる)ため、安定供給の確保が政策的に重要であるも
のを、鉱業審議会においてレアメタルと定義(現在、31種類が対象)。 周期 アル
カリ族
1 H
1
水 素 3 Li
2
アル
カリ
土族
希土族
チタン
族
バナジ クロム
ウム族
族
マンガ
ン族
鉄 族( 4周期)
白金族(
5・6周期)
銅 族 亜鉛族
アルミ
ニウム 炭素族 窒素族 酸素族
族
ハロ 不活性
ゲン族 ガス族
2 He
ヘリウム
4 Be 5B
6C
7N
9F
10 Ne
酸 素 フッ素
ネオン
ホウ素
11 Na 12 Mg
13 Al
14 Si
15 P
16 S
17 Cl
18 Ar
アルミ
ニウム
ケイ素
リ ン
イオウ
塩 素
アルゴン
35 Br
36 Kr
3
ナトリウム
マ グネ
シウム
19 K
20 Ca
4
カリウム カルシウム
37 Rb
5
ルビジウム
55 Cs
レアアース(RE)
21 Sc
スカンシ ゙ウム
38 Sr
39 Y
ストロンチウム
イットリウム
56 Ba
41 Nb
42 Mo
ニオブ モリフ ゙デン
25 Mn
26 Fe
マンガン
鉄
27 Co
43 Tc
44 Ru
45 Rh
テクネ
チウム
ルテニウム
ロジウム
73 Ta
74 W
75 Re
76 Os
77 Ir
タングステン
レニウム
オスミウム
イリジウム
60 Nd
61 Pm
62 Sm
63 Eu
ネオジ
ム
プロメチウム
サマリウム
87 Fr
88 Ra
89 ∼
103
7
フランシウム
ラジウム
アクチノイド
58 Ce
セリウム
59 Pr
プラセオジ ム
ユウロピウム
28 Ni
コバルト ニッケル
タンタル
バリウム
57 La
24 Cr
57 ∼71 72 Hf
セシウム
40 Zr
シ ゙ルコニウム
23 V
バナジウム クロム
ランタノイト ゙ ハフニウム
6
ランタノイド ランタン
22 Ti
チタン
46 Pd
29 Cu
30 Zn
31 Ga
32 Ge
33 As
34 Se
銅
亜 鉛
ガリウム
ゲルマ
ニウム
ヒ 素
セレン
50 Sn
51 Sb
47 Ag
パラ ジウム 銀
78 Pt
炭 素 チッ素
8 O
リチウム ベリリウム
79 Au
48 Cd
49 In
カドミウム インジウム
80 Hg
81 Tl
53 I
ス ズ アンチモン テルル ヨウ素
82 Pb
白 金 金
水 銀 タリウム 鉛
64 Gd
65 Tb
66 Dy
67 Ho
カ ゙ドリニウム
テルビウム
ジス プロシウム
ホルミウム エルビウム ツリウム
68 Er
52 Te
臭 素 クリプト ン
69 Tm
83 Bi
54 Xe
キセノン
85 At
86 Rn
ビスマス ポロニウム アスタチン
ラドン
70 Yb
イッテルヒ ゙ウム
84 Po
71 Lu
ルテチウム
1
レアメタルの重要性
○ レアメタルは、自動車、IT製品等の製造に不可欠な素材であり、我が国の
産業競争力の要。
(例)ハイブリッド自動車用高性能磁石 モーター:レアアース(ネオジム、ジスプロシウム)
超硬工具:タングステン
燃料電池用触媒、自動車用排ガス触媒:プラチナ
液晶パネル の透明電極:インジウム
デジタルカメラ
テレビ
携帯電話
自動車
パソコン等
自動車(電気・ハイブリッド等)
高
特殊鋼
ニッケル
クロム
タングステン
マンガン
等
機
液晶
能
材
製品の小型軽量化・
省エネ化・
環境対策
電子部品
(IC,
半導体、
接点等)
希土類磁石
小型モータ
小形二次電池
(リチウムイオン電池
ニッケル水素電池)
ガリウム
タンタル
等
排気ガス
浄化
超硬工具
プラチナ等
リチウム
コバルト
等
タングステン
バナジウム
等
レアアース
( ネオジム、
ジスプロシウム)
等
インジウム
レアアース
(セリウム)
等
2
埋蔵量と消費量等
•レアメタルの埋蔵量は、ベースメタルに比べて少ない。
•一方、日本で消費された金属は、製品、使用済製品あるいは廃棄物として、
国内に相当量蓄積されていると推量され、リサイクル 原料としてポテンシャル
がある。
•ただし、蓄積されたもの 全てが必ずしもリサイクル可能ではない。
【レアメタル の埋蔵量や消費量等(例)】
埋蔵量
世界消費量
(年間)
日本消費量
(年間)
ニッケル
6,400(万トン)
142(万トン)
19.6 (万トン)
コバルト
700(万トン)
5.5(万トン)
1.4(万トン)
タンタル
43,000(トン)
1,290(トン)
897(トン)
インジウム
2,800(トン)
351(トン)
211(トン)
48,200 (万トン)
1,796 (万トン)
125 (万トン)
参考:銅
出典:資源エネルギー庁鉱物資源課資料及びJOGMEC資料より
3
レアメタル鉱種別のリサイクルの現状
鉱種によってはリサイクルされていないものがある。
鉱種
電気電子機器等(かっこ内はリサイクル率)
その他主要用途(かっこ内はリサイクル率)
ニッケル
家電等:一部回収
ステンレス鋼・特殊鋼:ほぼ 全量リサイクル
コバルト
電池:
Li電池(58%)、ニッケル水素電池(77%)
特殊鋼:鋼屑 として回 収
タングステン
−
切削・研磨屑 、スクラップ (40%)
モリブデン
−
特殊鋼:鋼屑 として回 収
タンタル
コンデンサ・光学レンズ・電子機器 フィルタ等:リ
サイクル無し
その他:リサイクル無し
プラチナ
電気電子用部品:貴金属として回収 あり
触媒:リサイクル あり(70% 以上)
パラジウム
電気電子用部品:貴金属として回収 あり
触媒:リサイクル あり(60% 以上)
リチウム
電気電子用部品 、二次電池:リサイクル 無し
耐熱ガラス:リサイクル無し
インジウム
使用済製品:リサイクル 無し
ITOターゲット:リサイクル有り
レアアース
光学レンズ:リサイクル 無し
磁石:リサイクル 無し
アンチモン
テレビブラウン管:リサイクル無し
合成樹脂:リサイクル無し
「鉱物資源マテリアルフロー2007報告書((独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構 )」をもとに作成
4
レアメタルリサイクル状況整理
• 小型家電はレアメタル含有率が高いものがあると言われているが、使用済製品の回収は
行われていない。
• レアメタル回収においては、組成が明らか、回収ルートがある、含有率が高い等の条件が
必要。
レアメタル
用途
製品の種類
工程くず等
製品の特 性
(レアメタル)
自 動 車
組成が明 らかで、 レアメタルを含 む特定部
レアメタル含有率
品(触媒) は組成 が明ら
が高いものもあ
かで、レアメタルの含 有
る
率が高い
大型家電
(家リ法 4品目)
小型家電
組成はまちまちで、含有
部位・部品の 特定が 困
難。レアメタル含有率は
低い
組成は多種多様 で、含 有
部位・部品の 特定が 困難。
集積度が 高いため、レアメ
タル含有率の高いものも
あると言 われている。
回収ルート
(法規制等)
経済活動 と
して成立
解体業ルートあり
(自動車リサイクル法)
下取等の 商習慣 あり
(家電リサイクル法)
特になし
(一般廃棄物)
レアメタル
回収(現状)
一部実施
触媒からの レアメタル は
回収されている
基板等からの 貴金属回
収に付 随して実施されて
いるものあり。
実施されていない
ベースメタル
回収(現状)
−−−
鉄、アルミ等 について二次原料化実施
−−−
5
小型家電の普及状況
• 小型家電は広く普及してきている。
• 一人あたり複数の所有などもあり、世帯あたりの保有台数が増
加している。
• 平均使用年数は比較的短期間であり、使用済となる時期は早い
と考えられ、今後廃棄量が増加すると予想される。
(単位:台)
世帯普及率 %
100世帯当り保有台数
平均使用年数
品 目
2005.3
2006.3
2007.3
2008.3
2005.3
2006.3
2007.3
2008.3
2005
年度
2006
年度
2007
年度
携帯電話
82.0
85.3
88.0
90.5
179.7
194.6
203.9
208.8
2.6
2.7
2.9
DVD
49.0
61.1
65.1
71.7
70.1
90.8
97.5
108.5
4.3
4.4
4.5
デジタルカメラ
46.2
53.7
58.9
66.0
55.6
66.8
74.7
85.7
3.2
3.5
3.7
ビデオカメラ
39.6
40.2
41.2
41.4
44.4
43.9
45.2
44.8
6.5
6.0
7.0
ファクシミリ
49.7
56.7
57.7
59.0
51.2
58.7
59.4
60.6
-
-
-
「家電産業ハンドブック2008 (財団法人家電製品協会 )」 より作成
6
使用済小型家電からのレアメタル回収の現状
— 使用済小型家電は、多種多様なレアメタルを使用しているものがあ
るが、製品によって回収対象となるレアメタルが明確でない。また、回
収するレアメタルによって選別すべき、部品・部位の対象が明確でな
い。 — 小型家電は大型家電と比べて部品レベルでの分解に時間を要し、
分解困難なものあり。
— 現状のリサイクルシステムでは、使用済小型家電からのレアメタル回
収を行おうとすると、一部の鉱種で回収ができない、あるいは非効率。
— 工程くずからのリサイクルと比べて、レアメタル回収効率が低い可能
性あり。 7
使用済小型家電からのレアメタル回収システム
•
選別によって、使用済小型家電の性状、含有量、品位・組成を調整し、レアメ
タルを効率的 に回収。
•
使用済小型家電からレアメタル を回収するために、プロセスを最適化。
使用済小型家電からのレアメタル 回収システム
【分別・選別】 小型家電回収
品目・機種
特定
分別
レアメタル含有
部位・部品特定
解体
破砕
【レアメタル 回収】
レアメタル回収システム
○非鉄製錬所 等
○・・・・
選別
品位・組成等の調整
レアメタル回収プロセス最適化
残渣(適正処分)
8
小型家電リサイクルにおける有害物質管理の視点
— 国際動向は、有害物質の視点からWEEEを取り扱っており、我が国
で小型家電をリサイクルする際においても、有害物質に対する適正
管理の視点が重要。 — 金属資源は、程度の差こそあれ有用性と有害性の両面性を有する
ため、一部のレアメタルにおいても有害物質の管理が必要。 — 有害物質によるリスク管理では、環境への負荷、暴露による人体へ
の影響等のシナリオ分析が重要。 9
リサイクルにおける有害物質リスク管理
— 新たなレアメタルリサイクルシステムにおいても、有害物質によるリス
クを適正に管理できることが必要。
—
—
—
リスクコントロール (適切な管理)
評価(アセスメント、シナリオ分析)とモニタリング
設計への配慮 (有害物質不使用・最少化)
大気放出
事故
環境負荷
暴露
運搬
小型家電
回収
有害物質
保管
破砕
選別
?
環境負荷
レアメタル
回収
製錬
排水放出
廃棄物
環境負荷・暴露のシナリオ
シナリオ毎のリスク評価
10
先進的取り組み事例
n 秋田県(大館市他)
—
平成18年12月より秋田県、大館市、RtoS研究会により回収試験を実施中
—
平成20 年10月より秋田県内拡大
n 茨城県
—
日立市 で回収 した廃家電等(粗大ごみ (小)、持込 みごみ)からのレアメタル回収を想 定した事業を実施中
n 東京都
—
平成20 年10月よりMRNの活動支援の位置付 けで、携帯電話・PHS の回収実験を実施中
n 福岡県
—
平成20 年度より県内2箇所 でのエコタウンでの レアメタルリサイクルを行うための、事業化可能性調査を開
始
—
北九州市 では 平成20 年9月より電機メーカー と協 働で、小型電子機器の 回収実験を実施中
n 熊本県水俣市
—
水俣市 で回収 した使用済小型家電の分別・分解 、分析を行う調査を平成20年11 月より開 始
n モバイル ・
リサイクル・ネットワーク(MRN)
—
携帯電話・PHS のリサイクルのための携帯電話・PHS事業者 とメーカーからなる活動
—
約10,400の店舗にて回収後 、リサイクル事業者により再資源化を実 施
11
使用済小型家電からのレアメタルの回収
及び適正処理推進事業
使用済小型家電の回収・レアメタルリサイクルのイメージ
消費者使用
廃棄
小型
家電
小型家電回収
中間処理
レアメタル回収
○自治体 のスキーム
レアメタルを効率的に
回収するための分離
○分 別
○解 体
製錬所等 における
レアメタルリサイクル
○小売店等の店頭
○イベント 等
特定
部品
○破 砕
○選 別
レアメタル
残
渣
有害物質の管理
【使用済小型家電からの レアメタルの回収及び適正処理推進事業】
<環境省・経済産業省の連携事業>
使用済小型家電の回収モデル事業
の実施と効率的回収方法の検討等
レアメタルの含有実態の把握等
使用済小型家電のリサイクル に
係る有害性の評価等
12
回収
リカバリー工程
リサイクル工程
解体・選別・組成調査
使用済家電
分別、一時保管
レアメタル等含有部品
含有量、
溶出
試験
有害物質含有部品
データ収集
回収方法
・ ボックス回収
・ 自治体ピックアップ
・ イベント回収
収集・運搬
リサイクル不可能部品
鉄・アルミが多い
中型の家電
ピックアップ
簡単な構造の小
型の家電
(資源性小)
ボックス回収
使 用 済 家 電︵小型 ・
中型 ︶
高機能が付加され
ている小型の家電
(資源性大)
選別試験
鉄、アルミ等が主体の製品
リサイクル不可能製品
レアメタ
ル等抽出
試験
製錬前処理
製 錬
プラスチック等
レアメタル等含有製品
※回収地点までは住民のボラン
ティアで持参してもらい、収集費
用の低減を図っている。
蓄 積(保管)
銅製錬で回収されるレ
アメタル等の評価
インジウム、タンタル、
ネオジム等の評価
一般廃棄物の仕組みで対処
鉄、アルミ、プラスチック等は回収
有害物質の評価
今 までの経験 から
リサイクルルートへ
一般廃棄物の仕組みで対
処
l 完全な品目指定での収集 は困難 である。このため、 大きさを限定して集 めて、ボックスと粗大 ゴミ・不燃ゴミ との回収比率や 金属含有量等を調査中である。
l 中型の家電製品 から鉄・アルミ等を回収できれば、 最終処分場の延命化につながる。
l リサイクルできない低品位 のものもあるため、一般廃棄 物として処 理できる体制 が必要 である。
一般廃棄物の仕組みで
対処(鉄、アルミ等回収)
l 廃棄されるものを根こそぎ集めることは困難 である。
l 適切な周知により、住民 からは協力 が得られ、収集コ
ストの低減に結 びつく。
13
茨城県モデル事業フロー
○日立市の確立された既存分別回収システム
○回収BOXの設置による回収実験
○普及啓発(
配布物作成、説明会、イベント出展) 等
回収
○BOX回収用独自収集システムの構築
収集・運搬
一時保管
○日立市清掃センター で一時保管、分別、数量確認
中間処理
○既存プラントにおける中間処理の実施
「手解体」
「破砕」
「集塵」
「磁力選別」「
篩別」「
アルミ選別」
「手選別」
「トロンメル」 組成調査
○高濃度中間精製物の組成調査・
評価
・レアメタル・貴金属含有量調査
・有害物質調査
○高濃度中間精製物の精錬
精錬
○高濃度中間精製物の品位に関する検討
14
福岡県モデル事業フロー
回収
大牟田市
レアメタルの回収
分 別、解 体、破 砕、選別
分別・選別事業者
レアメタルリサイクル事業者
運搬
BOX回 収
効率的な回収
につながる
分別・解体・選別
方法の検 討
不燃物ごみ収集
レアメタルと有害物質の
回収技術を
関連 づけた新 たな
リサイクルシステムの 検討
リサイクルプラザ
住民参加 による
効率的な
回収方法 の検討
分析・評価
送付
分析情報 の提供
分析評価機関(レアメタル・有害物質)
◇資源性・有害性の 両面からの 評価
◇市町村 のごみ 処理 に与 える効果 の検討
レアメタルの資源確保
事 業の企 画・調整
成 果の取りまとめ・評価
有害物質の適正処理
の両面に着目した
リサイクルシステムの構築
15
Fly UP