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幕張流通戦争勃発!幕張を征するのは誰だ!! - J

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幕張流通戦争勃発!幕張を征するのは誰だ!! - J
戦略ケース
幕張流通戦争勃発!幕張を征するのは誰だ!!
−カルフールVS国内チェーンの仁義なき戦い
外資系組織小売企業カルフール vs. 日本の組織小売企業の「幕張流通戦争」が勃発した。
千葉県千葉市美浜区ひび野1−3−104。このカルフール幕張店が位置する 9,346 坪の区画
の土地を基点にした半径5km圏が主戦場となった。
本論ではカルフール幕張にスポットをあて、日本の組織小売企業がいかなる戦略で巨大
外資勢力に対抗しているのかを明らかにする。
1.幕張とカルフール
カルフール(図表 1)が出店した「幕張」とは千葉市の北西に位置する美浜区と花見川区
にまたがる約 10 平方キロメートルの地域を称する。鉄道はJR総武線、京成千葉線とJR
京葉線に挟まれ、高速道路では京葉道路と湾岸線が並行している。
幕張の特徴のひとつに、魅力的な商圏に囲まれていることが挙げられる。幕張の北西に
は人口 15 万人の習志野市、59 万人の船橋市、南西には 86 万人の千葉市が位置する。
図表1 カルフールグループの沿革
1963年
1963年
ハイパーマーケットをパリ郊外に出店
ハイパーマーケットをパリ郊外に出店
1970年
1970年
株式公開
株式公開
1973年
1973年
スペインに出店。ヨーロッパ展開始まる
スペインに出店。ヨーロッパ展開始まる
1975年
1975年
ブラジルに出店。南米展開始まる
ブラジルに出店。南米展開始まる
1976年
1976年
PB商品製造開始
PB商品製造開始
1989年
1989年
台湾に出店。アジア展開始まる
台湾に出店。アジア展開始まる
1998年
1998年
フランス4位のSMチェーンを買収
フランス4位のSMチェーンを買収
フランス最大の小売業になる
フランス最大の小売業になる
2000年
2000年
日本での第一号店を幕張にオープン
日本での第一号店を幕張にオープン
出所:カルフールホームページより作成
copyright (C)2002 JMR Lifestyle Research Institute,Ltd all rights reserved
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戦略ケース
千葉県企業庁が美浜区を中心とする 522ha の広大なエリアに幕張メッセなど巨大イベン
ト施設とオフィス、事務所ビルなど誘致し「21 世紀型の国際商業都市」をつくろうと計画
したのは 1970 年中頃であった。80 年に埋め立て完了、89 年幕張メッセオープン、90 年千
葉マリンスタジアム開業など着実に進んだ計画も、バブル崩壊で難航する。この事態に危
機感を抱いた千葉県企業庁は、日本IBMわきの一角を、それまでの分譲から賃貸方式へ
と転換。1999 年にカルフールが落札した。20 年の定期借地権契約でカルフールが支払う賃
料は1平方メートル月当たり 363 円、1坪月 1,200 円。カルフール南側に隣接する土地は
不動産鑑定価格で1平方メートル 52 万円ということを考えれば、"破格"の賃料である。
現在、カルフールを中心とする半径5km内にガーデンウォーク幕張、コストコの外資
を含めて9店舗の組織小売企業が集中している(図表2)
。結果として 2001 年に美浜区に
流れ込む売上げは 97 年と比較して 314 億円∼403 億円増えると試算されている(図表3)。
図表2 幕張地区における組織小売企業
国道14号
京成幕張
フレック幕張店
①HM ②18億円
西友幕張店
①GMS ②12億円 オリンピック幕張店
①HM ②45億円
ジャスコ本社
東京方面
コストコ幕張店
①WC 検見川
ドンキホーテ
①DS
イトーヨーカ堂幕張店
①GMS ②103億円
東関東自動車道
カルフール幕張店 (下は国道357号)
①HM ②85億円
イズミヤ検見川浜店
①SM ②63億円
海浜幕張
ガーデンウォーク幕張
国道15号
①SC 検見川浜
千葉方面
①業態 SC : ショッピングセンター
WC : ホールセールクラブ
HM : ハイパーマーケット
GMS : 総合スーパー
SM : 食品スーパー
DS : ディスカウントスーパー
②年商
出所:年商は日本スーパー名鑑2001年版
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戦略ケース
図表3 幕張地区と周辺地区の小売業年間販売額増減
船橋市
▲158∼
▲210億円
習志野市
▲12∼
+1億円
他市町村
▲25∼
▲33億円
花見川区
▲53∼▲71億円
幕張地区
美浜区
+314∼403億円
稲毛区
▲2億円
千葉市全体
+205∼
263億円
中央区
▲54∼▲67億円
出所:ちばぎん総合研究所作成
2.カルフール幕張店に対抗する既存組織小売業の概要
カルフールなどの外資を迎え撃つ既存の組織小売企業にはどのような企業があるのか。
美浜区にはカルフールから直線 700mに位置するオリンピック幕張店、イトーヨーカ堂幕
張店がある。京成幕張駅前にはフレック幕張店がある(図表4)。
このエリアの最大勢力は何といってもイトーヨーカ堂幕張店である。イトーヨーカ堂幕
張店は同チェーンの中でも評価が高く、1999 年度年商は 97 億円、2000 年度は 103 億円の
実績を上げている。
そのイトーヨーカ堂幕張店に照準をあて、力をつけてきたのがイトーヨーカ堂幕張店か
ら 200mの距離に位置するフレック幕張店だ。フレックは千葉、埼玉を地盤に 150 坪型の小
型スーパーマーケットを 30 店舗展開する。生鮮食品をメインに大型店に張り付く立地に出
店し、鮮度と価格で勝負する小判ザメ商法を得意としている。
フレック幕張店から西に 500m離れた場所に出店したのがオリンピック幕張店である。く
しくもカルフールと同じ業態のハイパーマーケットタイプである。
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戦略ケース
図表4 カルフール幕張、イトーヨーカ堂幕張、フレック幕張、オリンピック幕張の店舗概要
開業年月
店舗面積
(㎡)
構造
レジ数
(台)
駐車場台数
(台)
2000年度
販売額
(億円)
カルフール幕張店
2000年
12月
17,014
地上2階
(カルフールは2F)
43
1,386
85
(初年度目標)
イトーヨーカ堂幕張店
1998年
10月
14,787
地上2階
35
1,500
103
フレック幕張店
1987年
2月
581
地上1階
24
24
18
オリンピック幕張店
1998年
9月
8590
地上5階
30
45
45
出所:日本スーパー名鑑2001年版
3.幕張における競合店舗戦略競争
幕張で激しく競争している主要4店舗は勝ち残るためにどのような戦略を展開している
のだろうか。商圏設定、顧客ターゲット、品揃え、売場づくり、価格の5つの観点からそ
れぞれの個店戦略をみてみる。
(1) カルフール幕張店の戦略
1) 商圏設定
幕張店の商圏は5∼15km圏内である。来店頻度は足元商圏の少なさから 10 日に1回か
ら、2週間に1回程度と考えられる。来店手段では 63.1%の人が車で来店している(日経
インターネット調査より)。
2) 主要顧客ターゲット
幕張店は顧客ターゲットを 20∼30 代の若いファミリー、カップルとしている。それには
三つ理由が考えられる。ひとつめが幕張に遊びに来たファミリー、カップルを幕張店に誘
引できることである。幕張には集客施設として、ガーデンウォーク幕張店や千葉マリンス
タジアム、京葉線沿いに葛西臨海公園、ディズニーランド、イクスピアリなどがある。ふ
たつめが幕張店の品揃えである。幕張店では食料品から電化製品、日用大工品、ゲームソ
フトまで、あらゆるライフステージが求める商品が一通り揃っている。みっつめが広大な
店舗内面積である。あの広い店舗内を歩き回れるのは若い人でなければ、肉体的につらい。
3) 品揃え
幕張店の品揃えの最大の特徴は「単品重点」である。それが最も効果的に発揮させるの
が定番売場におけるプロモーション対象商品である。そこでは単品による特売がされてお
り、例えばポン酢の場合、最下段から最上段の8段目までに、1000 個以上の1品目のポン
酢商品が配置され、定番売場でありながら、既存スーパーマーケットのエンド以上の迫力
を持つ。一方、単品重点策を採用せざるをえない状況でもあった。なぜなら、厳しい取引
条件の採用と在庫ロスを極端に減らす政策を採っているため、配荷メーカーに偏りが出て
しまうのである。
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戦略ケース
4) 売場づくり
a.ワンウエイコントロールの売場
通常、カルフール幕張店クラスの売場面積なら、来店客の移動距離を減らすためにL字
に設定するが、幕張店は敷地の関係から店舗幅が短い長方形となっているため、ワンウエ
イコントロール方式の売場づくりとなっている(図表5)。
b.プロモーションスペース、エンド陳列の上手い演出
幕張店ではプロモーションスペース、あるいは磁石売場を効果的に配置することで、
お客に極力苦痛なく、自然に売場を回遊してもらう仕掛けが随所にある。例えば、入口付
近にプロモーションスペースを設置し青果の季節商品(初夏ならスイカなど)を陳列する。
また、高い天井を活かして主通路に面したエンドでは1品目の商品が大量陳列され、黄色
に赤字のPOPで購買を誘う。定番ゴンドラでは1本毎に黄色い枠で囲んだプロモーショ
ンコーナーを設置。プロモーションスペースを随所に配置することで、お客に宝探しのよ
うな感覚を与え、長時間歩回ることの苦痛を取り除こうとしている。
5) 価格設定
幕張店ではプロモーション以外の商品はほとんど定価から下げずに販売している。その
原因はメーカーとの直接取引が進んでなく(扱い商品のうち直接取引での納品は 55%程度)
中間流通コストが思った以上に削減出来ていないからだ。日経インターネット調査でも「カ
ルフールが地域で一番安い」と感じる人は 19.8%に留まっている。この現状に危機感を抱
いたカルフール幕張店は6月に入り、一気に価格訴求を強めている(図表6)。
図表5 カルフール幕張店の売場レイアウト 調味料
ベーカーリー
チーズ
飲料
ペットフード
ワイン
DIY
照明
リビング用品
ガーデ
ニング
バス
クリーニング用品
主導線
惣菜
野菜
文具
キッチン用品
スーツ
果実
乳製品
嗜
好
品
菓子
キッズ
ベビー
マルチ
メディア
家電
書籍
CD
オーディオ&
ビジュアル
鮮魚
日配
冷凍食品
精肉
中華
スポーツ
メンズ
ビューティ レディース
レジ
出口
主導線
入口
出所:カルフール幕張店 ガイドブックより作成
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戦略ケース
(2)カルフールに対抗するイトーヨーカ堂、フレック、オリンピックの戦略
1) 商圏設定
イトーヨーカ堂幕張店の商圏は半径1∼5km圏内、フレック幕張店の商圏は半径 700
m圏、オリンピック幕張店の商圏は1∼3km圏内となっている。イトーヨーカ堂幕張店、
フレック幕張店では週平均 2.5∼3.0 回の頻度で来店するお客が大半をしめている。
カルフール幕張店の立地とイトーヨーカ堂幕張店、フレック幕張店の立地は同じ幕張エ
リアだが、ひとつ重要な違いがある。それは国道 357 号線によってカルフール幕張店とイ
トーヨーカ堂幕張店、フレック幕張店とが分断されている点である。カルフール幕張店か
らイトーヨーカ堂幕張店に行くには、国道 357 号線に架かる長い歩道橋を歩かなくてはな
らない。重い買い物袋を持って、あるいは自転車の前カゴに乗せて、この歩道橋を登るこ
とは相当きつい。つまり、徒歩、自転車で来店する限りカルフール幕張店とイトーヨーカ
堂幕張店、フレック幕張店との商圏、顧客はバッティングしないのである。
2) 主要顧客ターゲット
イトーヨーカ堂幕張、フレック幕張の主要顧客は地元主婦。よって平日の集客が重要に
なる。オリンピック幕張の主要顧客はハイパーマーケットということもあって平日は主婦、
土日はファミリーとなっている。
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戦略ケース
3) 品揃え
a.イトーヨーカ堂幕張店の「食品特化」「売り込み商品拡大」戦略
イトーヨーカ堂幕張店では食品売場を集客の柱にし、それを実現する施策として食料
品のフェース拡大を展開している。実際、幕張店の食品の売上構成比に占める割合は 50%
を越え(イトーヨーカ堂全社では 40%)完全に食品傾斜の店舗となっている。
食品売場をみると、手づくりかまぼこ2パックが 25 フェース、PB商品であるペットボ
トル飲料(烏龍茶)が 28 フェース、北海道ヨーグルトが 35 フェースも取られるなど、店
側として何を売り込みたいのかが明らかにお客に伝わってくる品揃え構成となっている
(2001 年6月 24 日店頭調査より)。
b.フレック幕張店の「青果・鮮魚特化」「商品絞り込み」戦略
フレック幕張店の品揃え戦略について伊藤店長は以下のコメントをしている。
「青果はイトーヨーカ堂の 130SKUに比べて見劣りしない 120SKUを揃える」
「鮮魚販売では売上より鮮度、接客を優先する。カルフールの鮮魚売場は貧弱で魚なら
フレックと印象づけるためである」
つまり、売上構成比 20%の青果部門と同 18%の鮮魚部門に特化した販売政策を展開して
いるのである。
一般食品では売れ筋に商品を絞り込み、狭い店舗面積を効果的に活用している。
c.オリンピック幕張店の「ホームセンター強化」戦略
オリンピック幕張店はカルフール幕張店オープンの2ヶ月前に大幅な店内改装を実施
している。その内容はホームセンター売場の強化である。具体的にはDIY、ペット用品、
自転車などのホームセンター商材を強化である。
4)売場づくり
a. イトーヨーカ堂幕張店の「催事コーナー強化」戦略
高橋店長は幕張店の売場づくりについて以下の発言をしている。
「催事連発の食品売場こそが、当店の生命線だ」(高橋店長)
実際、6月 24 日の店頭観察調査時では「そうめん祭り」
「焼肉フェア」
「かつお市場」
「飲
料フェア」「シャンパンコーナー」「豚肉フェア」
「ヨーグルト大試食会」と催事が連発。ど
のコーナーも担当者が付き、声だしと試食、カセットテープのボリュームをいっぱいにし
て商品特性を繰り返し訴えて売り込む。
b.オリンピック幕張店の「短時間ショッピング訴求」戦略
オリンピック幕張店では昨年 10 月の店内改装の際、1階部分を"準ホームセンター"に再
編している。購入頻度の高いペット関連商材、ガーデニング商材を1階に移すことで、お
客の買い回りを良くして、短時間ショッピングを実現するのが目的である。
5) 価格設定
a. イトーヨーカ堂幕張店の「買い上げ点数アップ」「FSP」戦略
高橋店長は価格政策ついて以下の発言をしている。
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戦略ケース
「目玉商品で集客し、催事コーナーで試食、販促を展開することで、買い上げ点数を上
げ、売上をつくる」(高橋店長)
また、幕張店は同社で始めてポイントカードを導入した店舗である。ポイントカードは
2000 年 12 月5日開始。100 円で1ポイント、買物累計 50 万円毎にボーナスプレゼント(年
間最高1万 4000 ポイント)が付く。最終的には、顧客の買物金額に合わせて、売価を変動
するFSP(フリークエント ショッパーズ プログラム=顧客識別プログラム)の構築を
目指す。
b.フレック幕張店の「来店頻度アップ」戦略
伊藤店長の価格政策は以下の通りだ。
「目玉商品はつくらず、全部が安くを基本に定番を毎日キチッと売っていく。幕張店は
価格帯を崩して安くバンバン売り、お客様の冷蔵庫を一杯にするようなことはしない。
そうすれば来店頻度が減り、自分で自分の首を絞める」
(伊藤店長)
フレック幕張店では定番商品を常に一律に安くすることで、「来店頻度」を高める価格戦略
を採っている。
c. オリンピック幕張店の「CGC共同仕入れによるNB低価格訴求」戦略
オリンピックが所属するCGCグループ(Cooperative Grocers Chain:中堅、中小スー
パーマーケットで構成される協業チェーン)ではNBを中心した共同販促を行っている。
その力となっているのが、共配活動を勧めている千葉総合センターの存在である。NB商
品などの売れ筋商品は、グループとして一括、直接納品することで、納入価格を低減する
ことが可能である。
4.幕張における店舗間競争の行方
(1)カルフール幕張店の影響
カルフールの幕張出店が既存店舗の政策に少なからず影響を与えているのは事実である。
しかし、
「基本をしっかりすれば、カルフールは怖くない。」(高橋イトーヨーカ堂幕張店店長)
「カルフール開店から半年以上経つが、青果は昨年を上回っているし、一番影響があっ
た一般食品も一時期は対前年割れしたが、今では 100%を越えている。カルフール開業の影
響はあまりない」(伊藤フレック幕張店長)
とコメントしているように、出店当初に比べ、各店とも自信を取り戻している。
その要因はカルフール幕張店のみっつの失策にある。
ひとつめは、取扱商品の問題である。カルフール幕張店はあえて"メイド・イン・フラン
ス"の品揃えには拘らなかった。結果として、フランスブランドのメージを抱かれながらそ
れに応え切れず、既存のスーパーマーケットとの差別化を図れなくなってしまった。
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戦略ケース
ふたつめは、欠品の問題である。取引条件を厳しくした結果、NB商品や No.1ブランド
商品の欠品が目立ち、「カルフールには欲しい商品がない」というイメージをお客に与えて
しまった。また、ベンダーの協力も得られないから欠品商品の補充作業もままならず、虫
食いのような商品棚になってしまっている。
三つ目は、価格の問題である。「最低価格保証」を唱っている割には安くない。
「カルフール幕張店の目玉商品以外はGMSの通常価格と同じだし、この地域で今時、
ボンカレーゴールドを特売する店はカルフールさんくらいですよ」
と伊藤フレック幕張店店長が発言をしているように、プロモーション対象商品は確かに
安いが、NB商品や No.1ブランド商品でないことが多いため安さを実感できのが現状だ。
(2) 幕張流通戦争の勝ち・負け
幕張エリアでの流通戦争はどこが勝ったのであろうか。カルフール幕張店が輸入品販売
を中心とする店舗であったなら様相は違ったかもしれないが、日常品を扱う店舗としては、
イトーヨーカ堂、フレックに軍配が上がる。その理由は上記に挙げたカルフールのみっつ
の失策とイトーヨーカ堂とフレックの地元密着を主とした個店戦略にある。イトーヨーカ
堂、フレックはカルフールが出店する前から、地元商圏を巡って熾烈な戦いをし、その戦
いで得た販売ノウハウをしっかりと店頭で表現してきた。
一方、カルフールジャパンのジャン・クリストフ・ゴアハン社長は
「日本人の輸入品好みは意外だった」
「多くの客が自動車で来店したのには驚いた」
「日本の主婦の価格に対する熱意は驚かされる」
とコメントし、日本の消費市場についての誤解と研究不足が見られる。結果的に来店客
の期待を裏切ることになってしまった。
オリンピックはカルフールとの差別化を懸命に打ち出しているがまだ、その成果で出て
いない。
カルフールが幕張に出店してから半年以上経った今、序盤戦をみる限り、イトーヨーカ
堂、フレックが勝利していると判断できる。一方、カルフール、オリンピックが苦戦を強
いられているようだ。
(3) カルフール幕張店の今後の対応
序盤戦の苦戦を受けて、カルフール幕張店では日本市場への適応に向けた取組を急ピッ
チで実施している。
開業当初は目玉サービスとしていた量り売りは「計量するまで値段が分からない」とい
った苦情が多いので、縮小した。店員によるレジ精算後の袋詰めも「レジに時間がかかる」
との苦情を受けて、4月に取りやめた。
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9
戦略ケース
また、「海外の商品がもっと欲しい」という要望に応え、輸入品専用の陳列スペースを設
け「海外の食品」「海外のビール」などの表示を設置。さらに店内調理したパンと輸入ワイ
ンの試食、試飲コーナーも新たに設置するなど、店内での販売促進を強化している。売場
の分かりづらさを解消するため、5月から売場の各所に1メートル四方の店内マップを設
置した。
最近特に目にするのが「価格はどうでしたか」
「接客はどうでしたか」など、店舗スタッ
フが設問用紙を片手に購入客に聞き取り調査をする光景だ。日本の顧客の声を売場に反映
させるためであろう。
カルフールの強さは進出先の地域に合った個店戦略を早急に構築できるところにある。
これまで、ヨーロッパ、中南米、アジアに進出し成功を収めてきたノウハウが蓄積されて
いるからだ。カルフール幕張店の反撃はこれから始まる。カルフール幕張が本気になった
時既存の組織小売業はどのような戦略で対抗するのか、今後の動向に注目したい。
(吉永)
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