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北海道大学 エネルギー変換システム研究室
北海道大学工学研究科 エネルギー環境システム専攻 エネルギー変換システム研究室 福井 薫(北海道大学大学院 工学研究科エネルギー環境システム専攻 エネルギー変換システム研究室 修士課程 2 年) 1.研究室の紹介 2.一部研究テーマの紹介 北海道大学は札幌市のど真ん中,札幌駅の前にこれでもか とでっかく陣取っており,傍目にはとんでもなく迷惑な位置 2.1. 高効率・クリーンディーゼルのための物質拡散過程 の解明と制御に関する研究 にある大学です.しかしその広大な敷地内には銀杏並木やポ ディーゼルエンジンは高い熱効率を有しておりますが NOx プラ並木,牛が放牧されている大きな農場,まぶしい太陽の や PM といったエミッションの低減が課題です.本研究室では 下でビール片手にジンギスカンを食する(通称ジンパと呼び これまでに北海道大学方式急速混合燃焼法(CCD 燃焼法)を提 ます)学生達の姿等とても市街地のど真ん中とは思えない北 案した他,拡散・混合状態を定量表示する解析手法の提案を 大ワールドが広がっており,札幌市の観光スポットのひとつ 行ってまいりました.さらに主噴射に先立ち,副室からジェ として市民の皆さんや観光客の方々に親しまれてもおります. ットを形成し混合を促進することで噴霧火炎先端部の高温領 私が所属する工学研究科(工学部機械工学科)エネルギー 域に燃料塊を留まらせることなく燃焼させ,従来の拡散火炎 変換システム研究室は,近久武美教授(BOSS),田部豊助教 の形態を維持したままで高負荷域での NOx や PM などのエミッ 授,菊田和重助手のもと前期博士課程(修士課程)10 人,学 ションの同時低減を図るプレショック噴射法を提案し,可視 部生 6 人の学生が日夜研究に励みつつ楽しい研究室ライフ (お 化定容燃焼容器や単気筒ディーゼルエンジン実機による検証 酒やお肉やマリオカー○などなど)を送っております. 実験を行っています. 研究テーマとしては「エネルギー問題」と「地球温暖化問 題」の解決に少しでも貢献し,環境調和型エネルギー社会の 実現に向けた研究を行っており,燃料電池やディーゼルエン ジンなどの実験・数値解析などによる個々のデバイスの性能 Fuel Spray 向上のみならず,それらのデバイスの消費者選考モデルに基 づく普及までのシナリオ解析や省エネルギーのための都市づ くりのシナリオまでも考えたコジェネレーションネットワー クシステムの導入解析や,より地球的・長期的な視野に立っ たシベリアの森林火災が及ぼす炭素収支の影響解析などを行 可視化定容燃焼容器 ディーゼルエンジン実機 っております. 環境調和型エネルギー社会の実現 Without Jet 環境調和型分散協調 コジェネレーションネットワーク システムの導入解析 将来型自動車 普及予測のためのシナリオ解析 シベリア森林火災の 地球環境影響評価 理想的なエネルギーシステムの普及,地球的視野でのエネルギー システムに関するシナリオ解析研究 固体高分子形燃料電池の 性能向上と利用可能範囲の拡大 拡散混合燃焼をベースとした クリーンディーゼル燃焼の提案 d=3mm Vp=10cc 0.22ms 0.44ms 0.66ms 0.88ms Time after injection [ms] 主噴射火炎を高速度ビデオカメラ(13500 フレーム/秒) で撮影し,プレショック噴射が主噴射に与える影響を 理想的なエネルギーシステムを実現するためのデバイスの基礎研究 直接可視化した. 2.2. 固体高分子形燃料電池の性能及び低温起動特性の 改善に関する研究 こで本研究室では図に示すような分散協調型コジェネレーシ ョンネットワークシステム構想を提案し,その課題と可能性 燃料電池の研究の大部分は電気化学的なもので,私達の研 について解析をおこなっております.これはコジェネレーシ 究室のように熱物質移動制御や構造設計などの機械工学的視 ョンが個別に独立して運転を行うのではなく,ネットワーク 点から研究を行っているところはわずかです. 全体で省エネルギー性や経済性が最良となるように協調的な 運転を行おうとするものであり,風力などの変動の大きな自 然エネルギーの導入もネットワークによるバッファー効果に より容易になるものと考えております.ただし,個別コジェ ネレーションの運用方法や配電系統の容量による導入限界量 については未知でありこれらの解析を行うことによって環境 調和型エネルギーシステムの方向性を明らかにしていきたい と考えています. 生成水分布 電流密度分布 可視化燃料電池による計測結果:カソード側流路内の生成水 分布(左)では,酸素と水素の下流部である右側に凝縮水が 風力発電 火力発電 ~ ~ バッファー 負荷平準化 分布.それに対応した電流密度分布(右) CGS CGS CGS ~ ~ ~ ~ 制御センター 分散協調型コジェネレーションネットワークシステム構想 サーモグラフィによる凍結時温度分布観測 番外編:スライドショー 低温起動実験における生成水の凍結に伴う発熱現象の二次元 的観測:右側の赤い部分で凍結が生じている,その後全体に 凍結が伝播する現象が観測された. 疎水性流路 親水性流路 牛を見ながらジンパ 農場で草を食む牛 セパレータ内の液滴挙動の格子ボルツマン解析:チャネル壁 三面が疎水性の場合(左図)には水が滴を形成し速やかに下 流である右側へ移動.壁が親水性の場合(右側)には,水は 壁面に広がりゆっくりと移動する現象が再現される. 2.3.環境調和型分散協調コジェネレーションネットワーク システムに関する研究 ポプラ並木 秋には黄色くなります コジェネレーションシステムは既存技術の中でも省エネル ギー性と経済性の点から最も有望なシステムですが,現在の ままの経済原理に任せた普及法では炭酸ガス削減効果は少な く,建物群を効果的に配置し,熱や電気供給のネットワーク を形成するような都市づくりが必要です.また,こうしたシ ステムの実現にはコジェネレーション施設と電力会社との協 調的な連携が極めて重要であることが明確となりました.そ 雪氷路ドライビングコンテスト いつでも安全運転