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葛城南部の遺跡

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葛城南部の遺跡
奈良県文化財ウォーキングマップ ②
葛城南部の遺跡
約 8km
近鉄御所駅
みどころ
JR 御所駅
葛城山の東麓は、古代葛城の中核地域のひとつであり、葛城氏や鴨氏
の本願地とされています。5・6 世紀には渡来系工人が多数住み、最先
スタート
端の鉄器生産等がおこなわれた地域でもありました。そのことが葛城
1
鴨都波遺跡
氏の政治・経済・軍事力の基盤となり、大王家の外戚としての地位を
玉手駅
JR和歌山線
和歌山線
JR
確固たるものとしていたと考えられています。
御所橋南詰
交差点
野口神社
駅
上
掖
秋津鴻池病院
宮山古墳長持形石棺
6
か
も
つ
ば
い
せ
き
1 鴨都波遺跡
3
掖上鑵子塚古墳
づかこふん
ネコ塚古墳
鴨都波遺跡(鴨都波神社周辺)は、弥生時
国道 309 号線をはさんで宮山古墳の北側にある小山がネコ塚古墳です。
代から古墳時代へ続く集落跡です。その範
案内板などはありません。ネコ塚古墳(方墳・一辺約 70m)は宮山古
囲は、北は済生会病院周辺、南は御所青翔
墳の北東にあるために陪塚(中心となる古墳に対して、計画的に配置さ
高校周辺に及び、葛城川流域の中核となっ
れた墳墓)と推定されています。埋葬施設は調査されていないので詳細
た集落と推定されています。多数の住居跡
は不明ですが、割石積みの竪穴式石室があり、鉄片が出土したと伝えら
の例のなかには、朝鮮半島とのつながりを
れています。墳丘裾については、国道 309 号線の歩道整備に際して調
示す 松 菊 里 式とよばれる弥生時代前期の
査がおこなわれました。円筒埴輪片が出土したことからみれば、埴輪が
ものもあります。また済生会病院周辺には、
立てめぐらされていたことが推定されます。
弥生時代から古墳時代にかけての墳墓が築
※畑などには立ち入らないようにしましょう。
葛城食品産業
ばいちょう
しょうぎくり( ソングンニ)
ネコ塚古墳
宮山古墳
日本武尊白鳥陵
3
2
みやす塚古墳
4
5
條ウル神古墳
N
0m
かれており、そのなかの鴨都波1号墳(古
墳時代前期・方墳・20x16m)は、木棺・
づかこふん
4 みやす塚古墳
粘土槨を埋葬施設とするもので、三角縁神
ゆぎ
獣鏡・靫等多数の副葬品が出土したことで
せっか
鴨都波遺跡石戈(橿原考古学研究所蔵)
知られています。
みやす塚古墳(円墳・径約 50m)は、宮山古墳の東約 400m に位置
する古墳です。1948 年に墳頂部の調査がおこなわれ、方形に立てめ
み
や
ま
こ
ふ
ん
ぐらされていた円筒埴輪列の一部が確認されています。埋葬施設はそ
むろおおばか
2 宮山古墳(室大墓)
の中心の地下に想定されますが、すでに盗掘されて、大きな窪地となっ
ていました。出土埴輪には、家・蓋形埴輪等の形象埴輪もあります。
宮山古墳(前方後円墳・墳長 246m・国の史跡)は、5 世紀初頭頃に葛
※案内板・説明板はありません。
城南部に築かれた最大の古墳です。雄大な墳丘は 3 段に築成されています。
※私有地のため立ち入らないようにしましょう。
後円部頂には、2 基の竪穴式石室が南北に並んで造られています。そのう
ゆぎ
ちの南側のものが調査され、出土した盾・靫・家形埴輪等の遺物を橿原考
古学研究所附属博物館で展示しています。南側石室には巨大な長持形石棺
じょう
参考地)のものと、よく似ていることが指摘されています。また前方部の
度報告されていましたが、その後の地形改変で所在さえ不正確になっ
北裾には、北へ突出する張り出しがあります。1971 年の調査では、長さ
ていた古墳です。2002 年に調査がおこなわれ、再び大形の横穴式石
8.6m の木棺が出土し、短甲片・鉄鏃・鉄刀等が出土しました。古墳の周
室の存在が確認されました。墳丘は開墾されているために正確な規模
囲には外堤が残っています。古墳の北
はわかりません。東向きに開口する横穴式石室は長大であり、玄室長
を走る国道 309 号線は、まさに外堤
7.1m・高さ 3.8 ~4m を測るものです。これは石舞台古墳の巨大石
の上に位置しています。葛城地域の古
室(玄室長 7.7m)に匹敵する規模といえます。石室中央には刳抜式
墳のなかでは、年代・規模の上で始祖
家形石棺が置かれています。残念ながら、石室は再び埋め戻されており、
墓的な古墳に位置づけられることから、
現在はみることができません。6世紀後半に築造された古墳と推定さ
宮山古墳長持形石棺
6 掖上鑵子塚古墳
秋津鴻池病院をぬけ、峠のピークをこえてまっすぐ進むと右手に水田をはさんで植林されている小山があります。これが掖上鑵子塚古墳です。掖上
鑵子塚古墳(前方後円墳・墳長 150m)は、周濠が水田となって周囲をめぐっている古墳です。後円部(径 102m)の比率が大きい墳丘は、3段
に築成されています。後円部頂にある埋葬施設は盗掘されており、竪穴式石室に長持形石棺が納められていたとも、石棺が直接納められていたとも
いわれていますが、板石材の存在から竪穴式石室があった可能性が高いと推定されます。出土遺物の一部が伝えられており、金銅製の帯金具等の金
を使用した優美な仕上がりを、橿原考古学研究所附属博物館の展示で観察することができます。こうした出土遺物からみて、5世紀前半から中頃に
かけて築造された古墳と推定されています。
コース
スタート
條ウル神古墳(前方後円墳・墳長 100m 前後?)は、1916 年に一
かつらぎのそつひこ
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の
数値地図 25000(地図画像)を複製したものである。
(承認番号 平 21 業複、第 425 号)
わ き が み か ん す づ か こ ふ ん
5 條ウル神古墳
この石棺は、津堂城山古墳(大阪・藤井寺市、後円部の一部は藤井寺陵墓
葛城襲津彦の墓とする説もあります。
500m
がみこふん
が納められており、開口している西側からその姿をみることができます。
つどうしろやま
ゴール
れています。
※私有地のため立ち入らないようにしましょう。
JR・近鉄御所駅
8分
1
鴨都波遺跡
3
40 分
2
室宮山古墳
5分
ネコ塚古墳
5
11 分
4
みやす塚古墳
30 分
6
掖上鑵子塚古墳
8分
13 分
ゴール
注
條ウル神古墳
JR 掖上駅
トイレの少ないコースです。駅・コンビニをご利用ください。
石室内の観察に、懐中電灯などがあれば便利です。
寺社等の見学に際し拝観料などの料金が必要な場合があります。
紹介したコースには私有地なども含まれます。マナーを守って見学しましょう。
©Heijyo-kyo 1300th Anniv.
2009 年 11 月 奈良県教育委員会事務局 文化財保存課 発行
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