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2. - 経済産業省

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2. - 経済産業省
2.ガバナンス構築に向けた全社的なガイド
2.1
体制構築
2.2
廃棄物のフローの現状把握の方法とは?
2.3
委託業者の選定・契約及び委託に係る情報整備
2.4
教育・啓発
2.5
実績把握
2.6
危機対応
2.1
体制構築
本章の目的
○排出事業者は廃棄物等の 3R を推進し、廃棄物等の適正な管理を推進するための組
織体制を構築する必要があります。
○この際、経営トップ、全社レベルの廃棄物(環境)管理担当者、廃棄物の発生する
現場それぞれが「廃棄物ガバナンス」構築の重要性を認識し、明確な役割分担と情
報共有の仕組みを体制の中に組込むことが重要です。
○また、
「廃棄物ガバナンス」の範囲には、協力会社・関連会社、取引先、廃棄物の
処理・リサイクル業者も含まれます。このため、こうした関係者との連携体制のあ
り方も重要です。
○ここでは、廃棄物等の適正な管理を推進するための組織体制構築のポイントを示し
ます。
本章の構成
2.1.1
ガバナンス構築に向けた組織体制のあり方とは?
廃棄物の排出事業者として、企業が備えるべき組織体制の全体像を示します。
2.1.2
階層間・事業部門間の効率的な双方向コミュニケー
ションのあり方とは?
経営トップ、全社レベルの廃棄物(環境)管理担当者、廃棄物の発生する現場
それぞれの役割分担のもと、廃棄物に係る情報を円滑に流通させ、
「廃棄物ガバ
ナンス」を強化するためのコミュニケーションのあり方を示します。
2.1.3
関連会社・協力会社等との連携体制のあり方とは?
共同して「廃棄物ガバナンス」の構築にあたるべき関連会社・協力会社等との
連携体制のあり方を示します。
2.1.4
処理・リサイクル事業者との連携体制のあり方とは?
廃棄物等の適正な管理を高いレベルで実行するためには、これまでのように処
理・リサイクル事業者を単に発生した廃棄物等の受け皿としてではなく、「廃棄
物ガバナンス」構築のためパートナーとして様々な面で連携する必要があります。
排出事業者と廃棄物等の処理・リサイクルの委託先の事業者との連携体制のあ
り方を示します。
2.1
2.1.1
ガバナンス構築に向けた組織体制のあり方とは?
本項の内容
○排出事業者は廃棄物等の 3R を推進し、廃棄物等の適正な管理を推進するための組
織体制を構築する必要があります。
○この際、経営トップ、全社レベルの廃棄物(環境)管理担当者、廃棄物の発生する
現場それぞれが「廃棄物ガバナンス」構築の重要性を認識し、明確な役割分担と情
報共有の仕組みを体制の中に組込むことが重要です。
○組織体制は業種や企業規模等の状況が異なるため、1 つだけの優れたモデルがある
わけではありませんが、基本的な体制としては、本社に全社レベルで廃棄物の管理
を統括する部門を設置し、その部門が主催する廃棄物管理委員会を設置することが
必要となります。廃棄物管理委員会では、廃棄物等のフローの全社的な把握、望ま
しい廃棄物フローの描出とそのための計画策定、3R 推進に向けた分別ルール・マ
ニュアルの整備などの役割があります。
○一方、各店舗・事業所ごとには廃棄物管理責任者を配置し、廃棄物の発生の現場と
しての日常的な管理、実績の取り纏め並びに廃棄物の管理を統括する部門への報告
等を実施することになります。
○また、廃棄物管理に係る計画の進捗状況について、廃棄物の発生する現場と全社を
定期的に監査する仕組みも必要です。
(1)組織体制の基本的考え方
全社レベルで廃棄物の管理を統括する部門を含め、廃棄物ガバナンスの構築のための組織体制の
要件として以下のことが挙げられます。
①全社レベルで廃棄物の管理を統括する部門は全社的に承認を得たもので、発生した廃棄物の適
正な処理・リサイクル(3R)を自らの責任において推進する組織とします。
②組織に関する規程を定め、組織図により明確にします。
③各事業部門から横断的な委員参加を求め、全社レベルで廃棄物の管理を統括する部門に事務局
をおく廃棄物管理委員会を設置します。
④廃棄物管理委員会の長は可能なかぎり、経営層より専任されるものとします。
(2)廃棄物管理委員会の役割
廃棄物管理委員会は、廃棄物の管理に関する審議機関とし、対策の基本となるべき事項を検討し
ます。廃棄物管理委員会は、自社の経済活動に係る中長期計画を踏まえて、中長期的な廃棄物管理
計画を審議します。審議事項として次のことがあげられます。
・廃棄物管理規定
・廃棄物管理目標
・廃棄物管理計画
・3R 推進、分別のための廃棄物管理マニュアル
・マニフェスト管理マニュアル
・監査マニュアル
事業部門をまたがる懸案事項に対しては当該部門間の調整を行うほか、廃棄物に関する全般的な
事項(リサイクル・減量化、設備・原材料の選定、処理方法、委託等)について協議を行い検討し
ます。
2.2
(3)廃棄物管理責任者の役割
廃棄物処理法第 15 条に規定する産業廃棄物処理施設を設置している事業者は、事業場ごとに、
産業廃棄物の処理に関する業務を適切に行わせるため、産業廃棄物処理責任者を置かなければなり
ません。また、特別管理産業廃棄物を排出する事業場を設置している事業者は、事業場ごとに特別
管理産業廃棄物責任者を置かなければなりません。
ただし、産業廃棄物処理責任者を置くことが義務付けられていない事業者についても、現場毎に
廃棄物の分別、処理・リサイクル(3R)の適正な管理を行うべき立場にある者を指定し、責任体
制を確立することが望まれます。
廃棄物管理責任者に求められる業務として、以下の項目が考えられます。
○ 現場での廃棄物の分別、処理・リサイクル(3R)
、あるいは委託先への引き渡し状況について、
実績を取り纏め、全社レベルで廃棄物の管理を統括する部門に報告します。
○ 廃棄物管理の責任者として、現場、あるいは委託先での廃棄物の処理・リサイクル状況を把握
します。
○ 廃棄物管理の責任者として、マニフェストを適正に発行し、管理します。
○ 廃棄物等の処理・リサイクル(3R)技術、あるいは処理・リサイクル業者の動向に関する情
報等を全社レベルで廃棄物の管理を統括する部門に報告し、他の事業所との間で共有します。
トピック:自治体による排出事業者の産業廃棄物処理に対する理解向上のための施策
大阪府では排出事業者の産業廃棄物に対する認識不足、産業廃棄物関係法令の理解不
足などを問題視し、大阪府循環型社会形成推進条例(平成 16 年 1 月 1 日施行)におい
て産業廃棄物を生じる事業場ごとに産業廃棄物管理責任者の設置に努める責務を定め
ています。
また、大阪府堺市でも循環型社会形成推進条例を平成 16 年 1 月 1 日に一部施行して
おり、同条例の 15 条に「産業廃棄物管理責任者の設置等」の規定がある他、社団法人
大阪府産業廃棄物協会では排出事業者向けの研修を企画立案し、堺市に提案していま
す。
このように、廃棄物処理に対する排出事業者の理解不足を改善しようとする自治体の
動きが見られはじめており、排出事業者は廃棄物適正処理のための取組を一層推進して
いく必要があります。
2.3
(4)監査の仕組み
監査チームは廃棄物管理の実行当事者とは別に設置する必要があります。監査マニュアルの評価
項目が多岐にわたる場合には、複数の評価員が必要となります。評価を受ける側はその事業所(廃
棄物管理の業務部門)の責任者であり、評価者はその責任者に対して改善を指摘する立場となりま
す。監査チームの役割は次のとおりです。
○ 監査の対象となる組織に対して、監査マニュアルにしたがって、廃棄物の適正処理状況を評価
します。
○ 監査を行った結果は、評価報告書にまとめて廃棄物管理責任者に対して報告を行います。
○ 監査を実施した結果、改善余地がある場合には、改善指示書の中で改善すべき点を明確にしま
す。作成した改善指示書は、経営責任者にも報告します。
総本店
生 産
術
部
設
備
部
設
計
部
力
技
協
地球環境整備
推 進 室
作
環境管理センター
工
務
部
本・支店長
会
長
業
社
機 材 セ ン タ ー
リノベーションセンター
指示・指導
連絡・調整
労 務 安 全
図
建設業の組織体制の例
2.4
部
社
所
[凡例]
作
業
所
労務安全部
部
部
リノベーション
セ ン タ ー
計
備
機材センター
設
設
部
○
術
長
室
全社建設福産物適正処理計画の策定・フォロー
技
店
店
担当業務
工 務 部
環境管理センター
支
本
進
分類
総
建設業での役割分担の例
推
表
建設 設備
◎
計
↓
↓
○
○
○
支店建設副産物適正処理具体策の立案・フォロー
◎
○
○
支店建設副産物の減量化具体策の立案・フォロー
○
◎
◎
○
○
支店リサイクル促進策の立案・フォロー
○
◎
◎
○
○
作業所建設副産物適正処理計画の策定・フォロー
○
○
○
○
○
処理会社の選別・選定・取極
◎
○
業務委託契約書の作成(含、処理施設確認等)
○
◎
処理状況の確認・是正指導
○
◎
マニフェストの発行・回収・確認
○
◎
処理実績表(月次)の作成・回付
○
◎
支店建設副産物適正処理計画の策定・フォロー
◎
○
画
・ 管
○
○
○
○
理
○
◎
別
適正処理
個
工
事
務
減量化
業
減量化技術、施工法の採用
○
○
再利用
○
○
◎
○
○
◎
○
○
◎
教 育
再生資源利用・利用促進計画の作成とフォロー
○
○
リサイクルの促進
○
○
建設副産物適正処理教育・指導
(対作業所・協力会社)
◎
建設副産物減量化技術・工法の展開・指導(〃)
○
◎
◎
○
○
○
リサイクル促進技術の展開・指導(〃)
○
◎
◎
○
○
○
2.5
○
○
実
●
本部 ●仕入れ部門=衣料事業部、住居事業部、食品事業部
●資材仕入れ部門=商事部、総務部
●物流部門=物流センター部、生鮮センター部
●廃棄物管理部門=警備清掃部 ●販売促進部門=SP 部、広告部
●お客様窓口部門=消費者部 ●情報部門=広報部
●エンジニアリング部門=施設管理部、建築設計部
店舗 ●各店オペレーション統括マネジャーを「環境リーダー」として、
店内全部門で環境への取り組みを具体化し実行
行
動
を
評
価
部 門
政策決定に参画
行
A社
商
環
境 開
監
A社グループ環境委員会
各部署のリーダーを
中心に、社内横断的に環
境に関する政策を決定
政策の具体化
環境開発プロジェクト
査
部 門
社
内 ● 社内各部会から独立して、
客観的な立場で活動を評価
環境監査法人 ● 実行部門での政策決定に参画
社
外 ● 社会的な視点から、より客
観的で公正な立場で活動をチ
環境監査法人
ェックし、適切な助言を行う
関連会社B社
実行部門
監査部門
関連会社C社
実行部門
監査部門
図
流通業の組織体制の例
2.6
品 セ
発 プ ロ
ン タ ー
ジ ェ ク
ト 事 務
局
2.1.2
階層間・事業部門間の効率的な双方向コミュニケーションの
あり方とは?
本項の内容
○まず、不法投棄等によるブランドイメージの失墜など、廃棄物問題を疎かにした場
合の風評被害や罰則の企業経営に与える重要性について、廃棄物管理統括部門が企
業トップから理解を得る必要があります。
○その上で、廃棄物ガバナンスを構築・運用すべく、各店舗・事業所ごとに配置され
た廃棄物管理責任者は、廃棄物の発生の現場としての日常的な管理、実績の取り纏
め並びに廃棄物の管理を統括する部門への報告等を実施することになります。
○これを受けて、全社レベルで廃棄物の管理を統括する部門では、情報を集約し、定
期的に経営トップに報告するとともに、各店舗・事業所に対しては全社での取組み
の中での当該店舗・事業所の取組みレベルをフィードバックする必要があります。
○また、日常的な取組状況の報告とともに、危機対応状況や不具合事項についても適
宜報告することが必要です。
○その他、部門間の連携や、情報共有の仕組み作りを行っていくことにより、効率的
な双方向コミュニケーションを実践することができます。
(1) 廃棄物管理統括部門と企業トップとのコミュニケーション
○企業トップから廃棄物管理統括部門へ
企業トップは、「1.
「廃棄物ガバナンス」とは?またその、重要性とは?」に示した、
・ 企業の社会的責任
・ 資源の有効利用推進と循環型社会構築への貢献
・ 廃棄物に潜む企業経営リスク
について認識し、廃棄物ガバナンスの構築へ向けた基本指針を示していく必要があります。
○廃棄物管理統括部門から企業トップへ
廃棄物管理統括部門は企業トップに対して以下のような事項を報告する必要があります。
①廃棄物に係るリスクの重要性
企業にとって、廃棄物の不法投棄等によるブランドイメージへの影響は重大事であり、それ
に伴う
・ 風評被害
・ 法令違反 等
を未然に防止することの重要性を廃棄物管理統括部門が企業トップに説明することが重要で
す。
②危機・不具合対応に係る報告
以下に挙げるような、突発的な事項における対応状況(機対応状況や不具合事項)について、
速やかに報告する必要があります。
・ 不法投棄事件に巻き込まれた場合、その状況
・ 事業所内の事故 等
※①、②の詳細については、2.6 を参照ください。
2.7
③日常的な管理状況の定期的な報告
廃棄物管理統括部門は、企業トップに対して、以下に示すような廃棄物ガバナンスの構築・
運用の状況を報告する必要があります。
その内容とは、
・ 廃棄物排出量
・ 再資源化率
・ 目標の達成状況および改善すべき事項
・ 新たな目標の設定
・ 廃棄物処理等に要するコスト 等
のような事項が挙げられます。
④関連会社・協力会社における状況の報告
自社の廃棄物ガバナンス運用状況の報告にとどまらず、関連会社・協力会社における運用状
況を合わせて報告することにより、企業グループとして、より確かな廃棄物ガバナンスを構築
することに繋がります。
(2)廃棄物管理統括部門と現場レベルの廃棄物管理責任部門とのコミュニケーション
○廃棄物管理統括部門から現場レベルの廃棄物管理責任部門へ
廃棄物管理統括部門は廃棄物の適正処理・リサイクル(3R)に向けた全社的なルールを伝
えていく必要があります。
○現場レベルの廃棄物管理責任部門から廃棄物管理統括部門へ
現場レベルの廃棄物管理責任部門は、廃棄物の分別管理、委託業者の選定・契約・連携、マ
ニフェスト制度の運用を日常的に行う事項に対し、実績報告とフィードバックを行います。
具体的な事項としては、
・ マニフェスト記載情報
・ 廃棄物処理・リサイクル事業者の処理・リサイクル方法
・ 分別排出状況
・ 日常管理上の疑問点 等
が挙げられます。
(3)その他に考えられる効率的なコミュニケーション
○情報を共有する仕組みの整備
廃棄物等の処理・リサイクル技術、あるいは処理・リサイクル業者の動向に関する情報等、
店舗・事業所と全社レベルで廃棄物の管理を統括する部門で情報を共有するための仕組みを
整備する必要があります。
○部門間の連携
廃棄物管理委員会には、製造、流通・販売など廃棄物等を発生する現場を抱える部門だけ
でなく、設計や原材料調達等の部門にも参加してもらう必要があります。こうした部門が廃
棄物の管理を意識した事業活動を行うことが、抜本的な 3R 推進に大きく寄与することを忘
れてはいけません。
○各部門が廃棄物処理コストを意識する仕組みの策定
より効果的に 3R 推進を進めるためには、廃棄物処理コストの製品製造コストへの上乗せ
等、各部門が廃棄物処理コストを意識する仕組み作りも効果的です。
2.8
企業トップ
○ 廃棄物ガバナンスの構築
廃棄物ガバナンスの
構築・運用の状況報告
経営理念
ガバナンス構築へ向けた
基本指針
部門
事業部門間の連携
○ 廃棄物に係るリスク
○ 危機・不具合対応
○ 目標達成に向けた進捗状
況
・ 排出量、再資源化率
・ 改善事項 ・コスト
○関連・協力会社の状況
廃棄物管理統括責任部門
(本社レベル)
設計
階層間の連携
廃棄物管理委員会※
○ 体制構築
○実績把握
○ 廃棄物等のフロー把握
○危機対応
○ 委託業者の選定・契約と情報整備
○ 教育・啓発
調達
製造
部門
実績報告とフィード
バック
部門
処理・リサイクル(3R)
推進へ向けた全社的ルール
・ マニフェスト記載の情報
・ 廃棄物処理・リサイクル事業者
の処理・リサイクル方法
・ 分別排出状況
・ 日常管理上の疑問点 等
流通
販売
部門
部門
現場レベルでの廃棄物管理責任部門
○ 廃棄物等の分別管理
○ 委託事業者の選定・契約・連携
○ マニフェスト制度の運用
図
現場間の情報共有
階層間・事業部部間の双方向コミュニケーションのイメージ
※「廃棄物管理委員会」については、2.1.1 を参照ください。
2.9
2.1.3
関連会社・協力会社等との連携体制のあり方とは?
本項の内容
○関連会社・協力会社、取引先では、それぞれ独自に「廃棄物ガバナンス」の構築を
目指した取組みを実施していくことが必要ですが、廃棄物による自社の企業経営リ
スク低減のためには、これら関係者の「廃棄物ガバナンス」のレベルを見極め、場
合によってはさらなる取組みを促すことも必要となります。
○また、関連会社・協力会社、取引先と共同での 3R の推進に向けた取組みの実施、
廃棄物等の処理・リサイクル技術、あるいは処理・リサイクル業者の動向に関する
情報等を共有することも有意義であると考えられます。
サプライチェーン上の
関係者との連携
取引先の廃棄物
ガバナンスの
レベルの見極め
・共同での3Rの推進に向けた取組みの実施
・情報共有(廃棄物等の処理・リサイクル
技術、処理・リサイクル業者の動向等) 取引先の廃棄物
ガバナンスの
レベルの見極め
自社の事業活動
(例:設計、原材料調達、
製造、流通・販売)
取引先の事業活動
(例:素材生産)
関連会社、協力会社等との
連携
グループ内企業の
廃棄物ガバナンスの
構築能力・レベルの
見極め
関連会社等の
事業活動
協力会社等の
事業活動
2.10
取引先の事業活動
(例:製造、流
通・販売)
利用・廃棄
2.1.4
処理・リサイクル事業者との連携体制のあり方とは?
本項の内容
○排出事業者の皆様が廃棄物の処理・リサイクル事業者の方々を廃棄物ガバナンス構
築のためのパートナーと認識し、情報交流などの形で連携することにより、より良
い分別の方法や処理・リサイクルの方法についての検討が可能となり、一層高いレ
ベルで 3R の推進を図ることができます。
○また、廃棄物の処理・リサイクル事業者の方々が安全に業務を遂行するためには、
廃棄物の性状、危険性などに関する情報を必ず委託先の事業者に伝える必要があり
ます。
○ここでは、廃棄物処理・リサイクルの委託先の方々との連携を深めるための効果的
な施策(事例)と排出事業者と処理・リサイクル事業者の連携のパターンを示しま
す。
(1)パートナーとしての認識
○パートナーシップ構築の重要性
廃棄物を委託先の処理・リサイクル事業者に引き渡すだけでは、排出事業者責任を果たすこと
には全くなりません。排出事業者の皆様が廃棄物の処理・リサイクル事業者を廃棄物ガバナンス
構築のためのパートナーと認識し、
・ 積極的な情報開示を行う
・ 情報交換の場を設ける 他
のような取組により連携を強化することで、より良い分別の方法や処理・リサイクル(3R)の
方法についての検討が可能となり、一層高いレベルで 3R の推進を図ることができます。
○廃棄物の性状等に関する情報提供
処理・リサイクル業者は、作業時の安全性確保のため、あるいはより適切な処理・リサイクル
方法の選択のため、受け入れる廃棄物の性状について情報を求めています。従って、自社廃棄物
を安全かつ適正に処理・リサイクルするためには、廃棄物の性状、含有成分、危険性等を正確に
把握し、処理・リサイクル事業者が求める情報を伝えなければなりません。
(⇒3.2.2 参照)
(特別管理廃棄物については、廃棄物処理法施行令第6条の6において、委託基準として、委託
しようとする特別管理産業廃棄物の種類、数量、性状、その他の環境省令で定める事項を文書通
知するよう規定されています。また、廃棄物処理法施行規則第8条の4の2では、適正な処理の
ために必要な次の事項に関する情報を契約書に記載することとされています。⇒3.2.8 参照)
(2)取引のある廃棄物処理業者による協力組織の構築
○A社の取り組み事例
流通大手のA社では、取引先の廃棄物処理業者を会員とする「協力会」を創設し、A社の廃棄物
の適正処理・リサイクル(3R)等の維持・向上を目的とし、以下のような活動を行っています。
ここに示すように、通常自社で取り決める作業手順やマニュアル・様式等を、取引先と共同で作
成し、取引先のノウハウを自社の廃棄物管理に最大限に取り込んでいるという点で、廃棄物処理・
リサイクル事業者との連携をうまく図っている一例です。
(主な活動)
・ 廃棄物処理作業の手順書作成
・ 常駐者日報の作成
・ A社専用マニフェスト票の作成
・ 廃棄物保管室のレイアウト作成、設備の設置
・ 廃棄物保管室の環境整備(プレート類の設置等)
・ リサイクルキャンペーンの実施
・ 「私の小さな業務改革」の実施
2.11
協力会
企業責任
企業対応の迅速化
社会との関係
競争力の向上
行政への対応
利益性の拡大
情報の共有化
各店舗の環境整備
3R 推進、技術開発
排出
事業者
A社
取引先
(廃棄物
処理業者)
作業の標準化と質の向上
投資の効率化
(3)排出事業者と廃棄物処理業者との共同事業
近年では、排出事業者が廃棄物処理業者に処理・リサイクルを委託するばかりではなく、排出事
業者自らが廃棄物処理業者と共同して、あるいは単独でも廃棄物処理業に参入するケースが見られ
ます。具体的には、下表に示すような事業形態がとられています。
排出事業者の業種や事業規模、事業地域により共同事業の事業形態は異なりますが、何れも自社
の廃棄物等を管理するにあたり排出事業者自らが積極的に関与を行っており、「廃棄物ガバナン
ス」構築の一翼を担っています。
表
排出事業者と廃棄物処理業との共同事業等の形態とその内容
事業形態
子会社方式
共同出資方式
内容
排出事業者自らが全額出資して廃棄物処理業者を設立し、自社専用
(または自社が優先して利用する)処理施設として運営する。採算性
の向上を図るため、他社の廃棄物処理・リサイクルを受託することも
ある。
排出事業者数社が共同出資して、新規の廃棄物処理業者を設立する方
式である(家電リサイクル法に基づく再商品化施設などで例がある)
。
(水平式)
共同出資方式
(垂直式)
共同研究方式
一括契約方式
排出事業者と廃棄物処理業者が共同出資する方法で、収集運搬と処
理・リサイクルの仕組みを構築する方式である。建設廃棄物などで例
がみられる。
処理・リサイクルの難しい廃棄物の処理方法について、排出事業者と
廃棄物処理業者が共同で処理・リサイクル技術開発を行い、その結果
を用いて処理・リサイクルを行う方式である。
化粧品、化学薬品、タイヤ、乗車券や定期券(磁気面があるため、リ
サイクルが難しい)などに例がある。
複数の排出現場を持つ事業者について、排出現場ごとの契約ではな
く、本社が一括契約し、処理単価を定めて処分する方式である。
事業者全体での委託量の管理(処分先の能力に余裕があるかどうかの
審査)が可能になり、処理単価も低くできる。
建設業者、流通チェーン店などに例がある
2.12
2.2
廃棄物のフローの現状把握の方法とは?
本章の目的
○業種や事業規模の違いにより廃棄物は多種多様なものが様々な量で排出されてい
ます。このため、排出事業者は自らの事業活動に伴って発生する廃棄物の排出、
処理・リサイクルの実態を詳細に把握しない限り、発生抑制、再使用並びにリサ
イクルに向けた対応策をとることはおろか、コンプライアンスの観点からも問題
をかかえることになります。
○廃棄物の排出、処理・リサイクルの実態を正確に把握することは、排出事業者が
目指すべき方向(目標)を設定するための最も重要かつ基礎的な事項であり、収
集運搬や処理・リサイクルを委託する廃棄物の量、収集運搬方法や処理・リサイ
クル方法、委託費用など様々な側面で、委託業者との契約をより実態を反映した
適正な内容とすることにも役立ちます。
○本章は、排出事業者が自社の事業活動等に関連して発生する廃棄物のマテリアル
フローの現状を把握し、目指すべき方向(目標)を設定し、処理・リサイクルに
関するルールを策定するという一連の流れについて解説しています。
本章の構成
2.2.1
廃棄物のフローの現状把握の方法とは?
排出事業者が廃棄物等のフローの現状を把握する方法を示します。
2.2.2
目指すべき方向(目標)の設定の仕方とは?
排出事業者が廃棄物の適正処理・リサイクル(3R)を行うにあたって、目
指すべき方向(目標)の設定方法について示します。
2.2.3
処理・リサイクルに関するルール策定の方法とは?
排出事業者として、処理・リサイクル(3R)に関するルールを策定する際
の方法について示します。
2.13
2.2.1
廃棄物のフローの現状把握の方法とは?
本項の内容
○業種や事業規模の違いにより、廃棄物は多種多様なものが様々な量で排出されま
す。その排出実態を詳細に把握することは、発生抑制、再使用並びにリサイクル
に向けた対応策を進める第一歩となります。
○ このため、排出事業者は、まず、自社の事業活動に関連して、どこで、どのよう
な廃棄物が、どの程度の量発生しており、誰により処理・リサイクルされている
か現状を把握する必要があります。
○ここでは、排出事業者が廃棄物等のマテリアルフローを把握する方法について示
します。
(1)把握すべき項目
マテリアルフローの把握については、廃棄物等の分類毎に廃棄物等の発生から処理・リサイク
ル(3R)に至るプロセスを念頭に、
・発生
・保管
・収集運搬
・処理・リサイクル
・最終処分
の各プロセスにおける
・量
・場所
・方法
・行為者
・
(リユース・リサイクルの場合は)用途・販売先
を把握する必要があります。
(2)把握すべき範囲
把握の範囲に関する優先順位は、まずは
・自社(本社・事業所等)で発生する廃棄物等
ですが、
・自社の事業活動に関連してサプライチェーン上で発生する廃棄物(例えば、自社製品の梱包
材、期限切れ品)等
・関連会社、協力会社の事業活動に伴い発生する廃棄物等
まで、極力把握するよう努めるべきです。
(3)廃棄物等の分類
把握する際の廃棄物の分類は、
・可燃物・不燃物
・廃棄物処理法上の廃棄物の分類
といったレベルの分類では、発生抑制、再使用並びにリサイクルに向けた対応策を検討、実施す
ることは不可能です。具体的には、業種により発生する廃棄物の種類、発生状況が異なるため、
各排出事業者の廃棄物等の排出実態に合わせて、例えば
・紙くず⇒OA紙、新聞・雑誌、段ボール、紙コップ… など
・金属くず⇒プロセスAから発生する加工スクラップ(鉄)
、プロセスBから発生する加工スク
ラップ(鉄)… 飲料用アルミ缶、飲料用スチール缶… など
細分化して把握するよう努めるべきです。
2.14
表 建設業(現場)における廃棄物等の分類の事例
・木くず
・塩ビ管
・コンクリート
・空き缶
・金属くず
・発泡スチロール
・段ボール
・その他の不燃混合廃棄物
・石膏ボード
・可燃物
・ロックウール
・生ごみ
・電線くず
表
流通業における廃棄物等の分類の事例
紙くず
段ボール
・段ボール等
新聞、雑誌
・新聞
・雑誌
・チラシ
再生できる紙類 ・OA紙 ・書類
・その他紙類
再生できない紙 ・シュレッダー紙
くず
・ファックス紙
・紙コップ ・カーボン紙
木くず
木くず
・木箱 ・木片
・小形の木什器
動植物性残渣 生ごみ等
・残飯
・野菜くず
・肉くず ・お茶がら
・食品の日切れ品
魚腸骨
・魚のあら ・魚の骨
・魚の皮
廃油
廃油
・食用油
廃プラスチッ 発泡スチロール ・発泡スチロール箱
ク類
・発泡スチロールトレイ
分別可能な廃プ ・ビニール
ラスチック類
・ハンガー
金属くず
缶類
・飲料類の缶
・一斗缶
什器、備品から ・ゴンドラ
出る金属類
・スチール製什器
・スチール棚
ガラスくず
びん類
・飲料類のびん
・調味料類のびん
その他
その他
・異種素材で作られた什器で
混合廃棄物
再資源化できないもの
トピック:廃棄物の区分 一般廃棄物と産業廃棄物
排出事業者の業種指定により、同じ廃棄物であっても一般廃棄物になる場合と産業廃棄物に
なる場合があります。
例えば、生ごみは、オフィスビルから排出されるものは通常一般廃棄物ですが、食品加工工
場から排出されるものは産業廃棄物となります。また、木くずは、木材又は木製品の製造業か
ら排出されるものは産業廃棄物となります。
特に、木くず、紙くず、生ごみについては、一般廃棄物に該当するか、産業廃棄物に該当す
るかを確認した上で、処理委託先を選定する必要があります。
2.15
(3)現状把握のイメージ
各廃棄物をどのように分別排出し、処理・リサイクル(3R)しているかについての現状把握
を行うにあたっては、本社管理統括部門と現場との連携が重要になります。
本社統括管理部門は、現場における廃棄物のマテリアルフローに関する現状把握結果の報告
(3.1.3 参照)に基づいて、①、②に示すような項目について把握します。なお、②については、
現場からの報告に加え、必要に応じて処理・リサイクル委託先にヒアリングを行うことが有効で
あると考えられます。
①排出状況
・ どこで(=排出場所(店舗、事業場、等)
)
・ 何が(=廃棄物等の種類)
・ どのくらい発生し(=発生量)
・ 誰が(=現場担当者)
・ どこに収集運搬を委託しているか(=収集運搬の委託先)
・ どこに処理・リサイクルを委託しているか(=処理・リサイクルの委託先)
②処理・リサイクル状況
・ 何が(=廃棄物等の種類)
・ どのくらいの量(=委託量)
・ 誰により(=委託先)
・ どのような方法(技術)で(=処理・リサイクルの方法・技術)
・ 何に処理・リサイクルされ(=焼却残渣、リサイクル物、等)
・ 最終的にどのくらい処分されているか(=最終処分量)
また、各事業場における取組状況を集約した結果から比較検討し、
・ 優良事業場での取組状況を全社に発信し、
・ 取組が不十分な事業場に適切な指導を行う
といった現状把握結果のフィードバックを行うことが重要です。
排出場所
排出物及び排出量
収集運搬
廃プラスチック
収集運搬業者A
(○kg/日)
(○kg/日)
収集運搬業者B
(○kg/日)
処理・リサイクル
破砕業者A
(破砕)
(○kg/日)
最終処分
プラスチックリサイクル業者A
(マテリアルリサイクル)
(○kg/日)
鉄鋼会社A
(破砕・高炉還元)
(○kg/日)
最終処分業者A
(焼却残渣埋立処分)
中間処理会社A
(焼却処理)
(○kg/日)
収集運搬業者C
(○kg/日)
(○kg/日)
事業場A
収集運搬業者 D
(○kg/日)
(○kg/日)
・・・
△△△
破砕業者A
(破砕)
(○kg/日)
製鉄会社A
(鉄回収)
(○kg/日)
最終処分業者B
(残渣埋立処分)
(○kg/日)
金属精錬会社A
最終処分業者C
(残渣埋立処分)
(○kg/日)
(貴金属回収)
(○kg/日)
最終処分業者D
(破砕屑埋立処分)
(○kg/日)
図
廃棄物のフローに関する現状把握のイメージ
2.16
(4)効率的なフロー管理の方法
廃棄物のマテリアルフローの把握は、多種多様な廃棄物毎に、自社(本社・事業所等)のみで
なくサプライチェーンや関連会社、協力会社にも目配りの範囲を拡大して行わなくてはなりませ
ん。このため、廃棄物のマテリアルフローの把握には多くの関係者の協力を仰ぐ必要があり、で
きる限り効率的な把握の仕方を提示する必要があります。ここでは、排出事業者が廃棄物のマテ
リアルフローを効率的に把握するためのポイント(事前準備、情報共有)を示します。
a)事前準備
○調査票の設計
調査票の設計にあたっては、事業所毎の業務内容及びこれまでに本社レベルあるいは現場レベ
ルで蓄積されていると考えられる
・マニフェスト記載の情報
・廃棄物処理・リサイクル事業者への委託量
・廃棄物処理・リサイクル事業者の処理・リサイクル方法
等の情報の活用・共有可能性を判断し、廃棄物のマテリアルフローの現状把握に関し、
・適切な把握範囲の設定
・適切な廃棄物の分類
・現場レベルの廃棄物管理責任者への既存情報の提供
を行います。
○プレ調査
調査票の設計にあたっては、最初から全ての事業所を対象に調査を実施せず、代表的なサンプ
ル事業所を選択してプレ調査を実施することが望ましく、現状把握上の問題点を抽出して、調査
票に反映させるべきです。
b)情報共有
○マニフェスト記載の情報
マニフェスト記載の情報の現状把握への活用方法が、現場レベルの廃棄物管理責任者に示され
るべきです。本社で一元的にマニフェストの運用・管理を行っている場合は、現状把握に関連す
る具体データの現場レベルの廃棄物管理責任者への提供も検討すべきです。
○廃棄物処理・リサイクル事業者に係る情報
複数の事業場で共通の廃棄物処理・リサイクル事業者に委託を行っている場合、中間処理の方
法、再資源化率、再資源化物の用途、処理コストなどの情報を共有化すべきです。
また、事業場間で委託先が異なる場合にも、他の事業場が委託を行っている廃棄物処理・リサ
イクル事業者に関する情報を共有すべきです。
その際、情報共有する書式等について、統一しておくことが効率的な情報共有に繋がります。
c)現状把握の効率化のための連携体制構築
本社レベルの廃棄物管理統括責任者と事業所等現場レベルの廃棄物管理責任者が、マニフェス
ト記載情報や廃棄物処理・リサイクル業者の情報を共有し、現状把握の効率化を図るべきです。
2.17
廃棄物管理情報責任者
(本社レベル)
廃
棄
物
リサイクル事業者
これまでに蓄積された情報
これまでに蓄積された情報
・ 現状把握の方法
に関するフィー
ドバック
・ 情報共有
・ マニフェスト記載の情報
・
・ 廃棄物・リサイクル事業者情報
(中間処理方法、再資源化用途)
・ プレ調査
事業所A
事業所B
事業所C
現場レベルの情報
現場レベルの情報
現場レベルの情報
関連会社等
協力会社等
現状把握に際し、
・ 適切な把握範囲の設定
・ 適切な廃棄物の分類
・ 既存情報の活用 などを設定
従来の廃棄物
マネジメント
最終処分
中間処理
最終処分
特に逆有償で他社の事業活動に使用
される場合は、 最終処分に至るまで
確認が必要
収集運搬
「 廃棄物ガバナンス」 の概念
による統治範囲の拡大
他社
他社の事業活動
自社の事業活動
( 例: 設計、 原材料調達、
製造、 流通・販売)
発生抑制等
リユース・
リサイクル
最終処分
廃棄物等の
再資源化の確認
中間処理
廃棄物等の
最終処分までの確認
コンプライアンス
収集運搬
サプライチェーン上の
廃棄物等に係るマネジメント
取引先の事業活動
( 例: 素材生産)
自社の事業活動
( 例: 設計、 原材料調達、
製造、 流通・販売)
リデュース
取引先の事業活動
( 例: 販売)
利用・廃棄
リユース
企業グループ全体での
廃棄物等に係るマネジメント
関連会社等の
事業活動
協力会社等の
事業活動
廃棄物フロー把握のイメージ
2.18
なお、以上のようなフロー管理の結果、把握されるマテリアルフローについては下図のように
把握することができます。
具体的には、以下に示すような区分で廃棄物等の流れを把握します。
・ 廃棄物発生量
・ 再資源化物量・・・直接再資源化物/自社中間処理後再資源化物/中間処理後再資源化物/
中間処理後再資源化物
・ 中間処理量・・・自社中間処理対象/自社中間処理後処理委託/中間処理委託
・ 最終処分・・・処理後最終処分/直接最終処分
上に示すような物量を把握することにより、
・ マニフェストで把握できる廃棄物等の流れ
・ 委託契約書で確認できる廃棄物等の流れ
・ 委託契約書で確認することが望ましい廃棄物等の流れ
・ 売買契約書で確認すべき再資源化物(有価物)の流れ
について、下図に示すように確認することができます。
本社統括管理部門は、日常管理において、マテリアルフローに関する現場からの報告内容がマ
ニフェスト、契約書の記載内容と相違がないかをチェックする必要があります。
発 生
再資源化
廃棄物発生量
中間処理
最終処分
直接再資源化物
(売却)
自社中間処理対象
自社中間処理後
再資源化物(売却)
中間処理委託後
自社中間処理後
再資源化物(売却)
処理委託
中間処理委託後
中間処理委託
再資源化物(売却)
処理後最終処分
直接最終処分
マニフェストで把握す
ることが可能なの廃棄
物等の流れ
委託契約書で確認する
マニフェスト、委託
ことができる廃棄物等
契約書では把握しな
の流れ
い(できない)流れ
委託契約書で確認す
売買契約書で確認すべ
ることが望ましい廃
き再資源化物(有価物)
棄物等の流れ
の流れ
図
廃棄物等のマテリアルフローのイメージ
2.19
2.2.2
目指すべき方向(目標)の設定の仕方とは?
本項の内容
○本社管理部門は、廃棄物のマテリアルフローの把握を受け、排出事業者として目
指すべき方向(目標)を設定します。
○この際、企業として目指すべき方向性、達成すべき目標を設定するとともに、各
現場レベルでの目標設定を行う必要があります。各現場における目標の総体が、
全社レベルの目標となるものと考えられます。
○ここでは、排出事業者が自社の目指すべき方向(目標)を設定する方法を示しま
す。
(1) 指標として掲げる項目
自社の廃棄物フローの現状を把握した上で、具体的な方向や目標の設定を行う必要がありま
す。例えば、
・ 最終処分量の削減
・ リサイクル率の向上 他
などといった項目について、
・ 前年度比 10%削減
・ ○○年度 ▲%達成
のような数値目標を設定する必要があると考えられます。
その他、環境会計的な観点から指標を設定することも有効であると考えられます。
(2) 現場レベルでの目標設定
(1)で挙げた方向性、目標は全社レベルでの取組みにおける目標です。これをもとに、各事業
場、店舗等といった現場レベルでの目標を設定しなければなりません。
廃棄物フローの把握結果から、各目標に対して、それぞれの現場がどの程度の目標を達成す
れば、結果的に全社目標を達成できるのか、という指標を本社管理部門から発信しなければな
りません。
表
指標・目標
最終処分量の削減
(前年度比)
リサイクル率の向上
(前年度比)
事業所A
現場レベルの目標設定から全社目標へ
事業所B
○%削減
△%削減
●%向上
▲%向上
全社平均
□%削減
各事業所の目標を積み上
げる(平均値をとる)こと
により全社目標へ
2.20
■%向上
トピック:製造業A社における目標設定
同社では、定量的な尺度で評価可能なゼロエミッション(最終処分量の削減、等)だけで
なく、
「リスクマネジメント」についても目標として捉えています。
まず、「有効利用促進」という目標に対しては、「リサイクル業者のマップ化」という施策
を掲げています。
一方、「リスクマネジメント」という目標に対しては、「同社が契約している有効業者を各
事業所、関連会社が活用可能とする」
、「廃棄物管理者教育を行う」という施策を掲げていま
す。前者は、契約している業者が処理不能な事態に陥った場合や未契約物が発生した時のリ
スクに対応することが目的です。
2.21
2.2.3
処理・リサイクルに関するルール策定の方法とは?
本項の内容
○排出事業者として、廃棄物の適正処理・リサイクルに取り組むにあたって、ルー
ルを策定する必要があります。
○具体的には、廃棄物管理規定や3R推進と分別排出に関するマニュアルを策定し、
その中で、コンプライアンスの重要性や諸規定を明確化する必要があります。
○ここでは、排出事業者による、廃棄物の適正処理・リサイクルに関するルール策
定の方法を示します。
(1) 規定すべき項目
社内ルールまたはマニュアル等で、規定すべき項目としては、
・ コンプライアンス(法令遵守)
・ 3R推進の必要性
・ 分別排出の手順(廃棄物の種類、出し方・置き方、保管場所、等)
などが挙げられます。
(2) 規定するための文書等
社内ルール等を規定する文書等として、
①廃棄物管理規定
②3R推進/分別排出マニュアル
などを作成することが望ましいと考えられます。
①廃棄物管理規定
廃棄物管理規定においては、
・ 会社における廃棄物管理の枠組み
・ 廃棄物に関連する法令(履行義務と罰則、等)
・ 委託契約の方法
・ 各種様式集(契約書、廃棄物管理票(マニフェスト)
、等)
などを定めることが必要です。
②3R推進/分別排出マニュアル
3R推進/分別排出マニュアルにおいては、より現場に即した形で
・ 3Rを推進することの重要性、及び3Rと分別排出との係わり
・ 分別排出の方法(廃棄物の仕分け、等)
・ 分別管理の方法(分別場所、及び表示)
・ 適切な分別実施のための日常管理報告用の様式 他
などを定めることが望まれます。
(3) 製造業での事例
廃棄物等の排出から処理・リサイクル(3R)に至るまでの流れについて、製造業A社のあ
る事業場では次頁の表(一部、加筆修正)に示すような分類を行い、処理・リサイクル(3R)
を実施しています。
2.22
廃棄物の
分類
燃料化資源
熱回収資源
ダンボール
① コピー用紙・上白紙
② 新聞・わら半紙類
③ 本・雑誌類
④ 上白紙・新聞・本以外の
不要書類
リサイクル BOX で回収
種類ごとにひもで束
ねる
排出元を表示する
構内
施設
収集運搬
中間処理
△△会社で減容固化、
燃料化
○○運輸
△△会社で熱回収
○○運輸
△△会社で
分別リサイクル
○○運輸
△△会社で分別
○○運輸
△△会社で溶解
○○運輸
−
−
自販機業者
自販機業者で
リサイクル
○○会社で焼却
(機密処分)
製紙材料として
リサイクル
缶、びん等の材料
としてリサイクル
4 トン
アームに貯留
圧縮機で圧縮
して束ねる
スキットで
分別回収
機密書類
倉庫に保管
機密書類
倉庫に保管
−
自販機業者
自販機業者で
リサイクル
スキットで回収
溶融機で溶融
○○運輸
△△工場で減溶固化
生ごみ
専用ゴミ箱で回収
生ごみ専用
容器で回収
○○運輸
専用容器で回収
−
JBRC 指定の
運搬業者
(○○運輸)
上記以外の乾電池
専用容器で回収
−
○○運輸
ビン・ガラス
色別に容器を分けて
収集
色別(・種類別)
にまとめる
○○運輸
蛍光灯・電球
専用容器で種類別に
回収
―
○○会社
廃木材
廃木材置場に保管
−
○○運輸
空缶
アルミとスチールに
分別
プレス機で
プレス
設備廃棄申請
(設備廃棄アセスメント、
提案決定)
(見積をとり、
処分方法確認)
家電リサイクル法対象製品
(1)エアコン(2)テレビ(3)冷蔵
庫(4)洗濯機(5)冷凍庫
構内指定場所に
種類別に仮置き
−
○○運輸
パソコン
構内指定場所に
仮置き
−
○○会社
○○会社で粉砕処
理・リユース
感染性廃棄物
専用容器で回収
−
○○会社
○○会社で焼却
製品屑をまとめる
金属屑種類別に
回収
機密 OHP
コーヒーパック
牛乳パック
飲料用缶・びん
ペットポトル
発泡スチロール
生ごみ
茶がら
・ニカド電池
・ニッケル水素電池
・リチウムイオン電池
・鉛蓄電池
廃家電
製
金属屑
造
プ
切削屑
ロ
セ
半導体屑
ス
か
酸アルカリ廃液
ら
排
出
廃油・廃液
さ
廃油・アセトン IPA 混合・
れ
廃液
る
各
水に近い廃液
種
水溶性切削油
廃
棄
はんだ
物
○○金属
○○金属
△△飼料化センター
で飼料化
小型二次電池再資源
化推進センター
(JBRC)
でリサイクル
△△会社でリサイク
ル、コンクリート固化
△△硝子会社で溶融
リサイクル
○○会社にてガラス
リサイクル
(水銀はコンクリート
固化)
△△工業で、
破砕→チップ化
○○金属で分別リサ
イクル後、△△製鉄で
圧縮・切断
△△会社で
粉砕処理
○○金属で分別リサ
イクル後、△△製鉄で
圧縮・切断
切削屑置場で分別
−
−
半導体屑
スキットに保管
○○金属
○○金属で
リサイクル
(県外廃棄届)
○○工業
△△化学で焼却処理
(県外廃棄届)
○○工業
△△化学で焼却処理
−
○○工業
−
○○工業
構内指定場所に貯留
−
ペーストと屑に分類
はんだ屑
構内指定場所に
貯留
(物性仕様書を
環境担当へ提出)
最終処分・
リサイクル
ボイラー燃料等(RPF)
としてリサイクル
セメント原料として
リサイクル
○○運輸
圧縮機で圧縮
ひもで束ねる
排出元を表示する
ひもで束ねる
排出元を表示する
専用容器で回収
潰して廃棄
アルミ缶・スチール
缶・ビン・ペットポト
ルの分別
機密種類
事
業
場
か
ら
排
出
さ
れ
る
各
種
廃
棄
物
廃棄物の
収集方法等
ポリ袋に入れ、
排出元を表示する
ポリ袋に入れ、
排出元を表示する
折りたたんで
まとめる
2.23
製紙工場で製紙原料
としてリサイクル
ボイラー燃料(RPF)
としてリサイクル
養豚の飼料として
リサイクル
電池の材料等として
リサイクル
カレット化して
リサイクル
ガラスリサイクル
又は埋立処分
(管理型処分場)
木材チップとして
リサイクル
製鉄原料として
リサイクル
原材料等として
リサイクル
・中古品として再販売
・部品・材料として
リサイクル
焼却残渣を埋立処分
(管理型処分場)
製鉄原料として
リサイクル
金属加工原料として
リサイクル
焼却残渣を埋立処分
(管理型処分場)
焼却残渣を埋立処分
(管理型処分場)
再生油
としてリサイクル
○○サービス
○○工業で中和処理、
油水処理
○○工業で中和処理、
油水処理
○○サービスで油水分離
○○運輸
△△化学にて焼却
焼却残渣を埋立処分
(管理型処分場)
2.3
委託業者の選定・契約及び委託に係る情報整備
本章の目的
○産業廃棄物の適正処理・リサイクルを実践していくためには、廃棄物を委託する業
者を選定し、契約、委託業務管理を行うための情報整備が必要になります。
○具体的には、廃棄物処理業者のチェックリストやマニフェストの管理等に関するル
ール策定などを行う必要があります。
○本章は、委託業者の選定・契約及び委託に関する情報整備をどのように行っていく
かについて示しています。
本章の構成
2.3.1
委託業者の選定・契約に関するルール策定の方法とは?
廃棄物処理・リサイクルを委託する業者を選定する上でのチェックリストや
チェックに係る資格等について示します。
2.3.2
廃棄物処理・リサイクル業者情報の整備の方法は?
排出事業者が効果的に廃棄物処理・リサイクル業者に関する情報を整備する方
法について示します。
2.3.3
マニフェスト管理に関するルール策定の方法とは?
マニフェスト管理に係るルール策定について、そのポイントを示します。
2.24
2.3.1
委託業者の選定・契約に関するルール策定の方法とは?
本項の内容
○排出事業者が廃棄物処理・リサイクルの委託先を選定し、契約するにあたっては、
適切なルールを策定する必要があります。
○また、選定の目安となるチェックリストの作成や、それを活用するチェック資格に
ついて定めることにより、より効果的な委託先の選定・契約を行うことができます。
○ここでは、排出事業者と廃棄物処理委託業者の選定、契約に関して策定すべきルー
ル(チェックリストを含む)について示します。
(1)委託基準
産業廃棄物の委託基準は、廃棄物処理法施行令第6条の2に定められています。
1) 他人の産業廃棄物の運搬または処分を業として行うことができる者であって、委託しようと
する産業廃棄物の運搬又は処分がその事業の範囲に含まれている者に委託すること。
2) 委託契約は書面により行い、当該委託契約書には次に掲げる事項(→3.2.8 参照)についての
条項が含まれ、かつ環境省令で定める書面が添付されていること。
3) 委託契約書及び書面をその契約の終了の日から環境省令で定める期間(5 年間)保存するこ
と。
(⇒簡便に記載しているため、より正確には廃棄物処理法の条文を参照ください)
上記の他、以下のような事項についても、委託契約において排出事業者の責務となります。
・ 委託業者との契約に関わる事項(収集運搬業者・処分業者各々と契約を交わすこと(ただし、
委託先が収集運搬業、中間処理業の双方の許可を有している場合は一括契約で可)、等)
・ 再委託の(原則)禁止に関わる事項(廃棄物処理法第 14 条第 10 項及び廃棄物処理法第 14
条の4第 10 項)
下の囲みに、例として某社マニュアルにおける委託基準に関する記載を抜粋します。
1. 産業廃棄物の運搬及び処分を委託する場合は、運搬については収集運搬業者に、処
分については処分業者にそれぞれ委託しなければならない。また、委託に当たっては
委託の基準を遵守した委託契約を書面で行わなければならない。適正な委託契約を行
うと共に、契約に従い当社としてこれを履行したものについては当然のことながら、
受託者が行う運搬・処分に対しては当社としての責任を果たしたものとなる。しかし、
適正な委託を行わず、又は委託契約を履行しなかった場合において、受託者が不法投
棄等の不適正な処理を行ったときは委託基準違反として当社にも責任が及ぶことに
なる。従って、適正な委託先会社を選定すると共に、妥当な委託費用をもって適正な
委託契約を行い、これを履行することが重要である。
2. 収集運搬と処分を委託する処理業者が異なる場合は、収集運搬業者には処分業者名
を、処分業者には収集運搬業者名を記載した文書を各々交付するか、各々の委託契約
書に明記する。
3. 産業廃棄物の収集運搬および処分にあたっては、原則として受託者が第三者へ再委
託することを認めてはならない。
(再委託の禁止)ただし、事情により予め当社に書
面による承認を得た場合にはこの限りではない。再委託を承認した場合には、受託者
が再受託者に対し、当社との受託契約書の内容について、その写しを交付しているこ
とを確認する。
(A社の委託基準を一部修正して引用)
2.25
(2)業者選定時のチェック
○チェックリスト
廃棄物委処理業者との委託契約に関しては、以下のような調査を行い、処理業者に関する情報
を収集します。
(資料等による調査)
・ 自治体への問い合わせ・・・許可情報、行政処分等に係る情報
・ 書類調査・・・廃棄物処理・リサイクル業者に対し書類提出を求め、内容を確認
(調査項目例:業許可・施設許可、廃棄物管理体制、環境規制への対応、財務管理、等)
(現地での確認)
・ 現地調査・・・廃棄物処理・リサイクル業者の施設等、現場を訪問して確認を実施
(調査項目例:施設の状況、廃棄物処理の状況、書類の整備状況(契約書、マニフェスト
等)
、等)
・ 周辺住民への確認・・・地域での評判、悪臭・振動・騒音等の有無、等
(⇒詳細内容は、次頁表および 3.2.3、3.2.4 を参照ください)
なお、書類調査・現地調査におけるチェック項目の例(中間処理業者向け)を次頁表に示しま
す。
(詳細(収集運搬業者、中間処理業者、最終処分業者向け)は、3.2.4 を参照願います。
)
また、調査の方法として、自社で全て行うことが難しい事業者の方々もいらっしゃると思われ
ます。そのような場合、廃棄物処理業者に関する調査を専門に請け負っている会社の調査代行サ
ービスを活用することなども考えられます。
2.26
表
処分業者(中間処理業者)の選定評価にあたって確認すべき主要なチェック項目の例
大分類
許可
中分類
業許可
施設許可
施設
施設の運営状
況
保管施設
廃棄物処理
受入廃棄物の
管理
処理
具体例(3.2.3 の表から抜粋)
事業の範囲に委託する廃棄物が許可証に記載されているか
確認方法
自治体・書類
許可期限は取引期間中有効であるか
自治体・書類
取り扱う産業廃棄物の許可を得ている施設か
対象施設の場合、施設の種類及び規模が法第 15 条で定める施設か
トラックスケールがあるか
自治体・書類
自治体・書類
現地
換気装置、集塵装置などの防塵対策がなされているか
悪臭がしないか
場内外に廃棄物の飛散が見られないか
積替え又は保管場所の知事等の許可を取得しているか
保管形状(囲い等)は保管基準に合致しているか
保管数量は受入可能数量に対して過大でない
全ての廃棄物の受入に際して、持ち込まれた廃棄物の内容を確認してい
るか
受入廃棄物が法令の規定に基づき保管されているか
現地
現地・住民
現地
自治体・書類
書類・現地
現地
現地
実際の処理が許可証の処理能力を超えていないか
当該産業廃棄物の処理方法に合致した施設か
処理残渣の保管方法は適切か
処理残渣の処分先は安定して搬入できる施設か
過去5年間に行政指導があったか
現地
現地
現地
書類・現地
自治体
現地
運営の確認
行政指導
環境対策
環境規制への
対応
振動、騒音、悪臭の発生状況について問題はないか
汚染防止のために排水設備並びに底面の不浸透設備が設置されているか
粉塵防止のための散水設備が設けられているか
現地・住民
書類・現地
現地
財務管理
経理事務
産業廃棄物の経費区分が明確に行われているか
書類・現地
処理料金の原価が概ね説明できるか
書類・現地
財務諸表が整備されているか
未処理廃棄物の処理に必要な費用を留保しているか
財政状況が債務超過に陥っていないか
廃棄物処理法施行規則第8条の4第2項に規定する事項を満たした契約
書を使用しているか
契約書を5年間保管しているか
書類
書類
書類
書類
廃棄物処理法施行規則第8条の21に適合したマニフェストを使用して
いるか
マニフェストを5年間保管しているか
廃棄物処理法施行規則第10条の8第1項に適合した帳簿を備えている
か
作業日報を毎日つけているか
危機管理マニュアルを作成しているか
各種記録、資料が準備されており、開示要求に速やかに応じるか
書類・現地
経理的基礎
事務管理
契約書
マニフェスト
帳簿
危機管理
情報開示
職員管理
その他
記録
危機管理体制
情報開示の姿
勢
地域住民との
関係
職員の管理体
制
職員の士気・態
度
教育
現地
現地
現地
現地
現地
書類・現地
公害防止協定、環境保全協定を締結している場合は、それらを遵守して
いるか
現地・住民
職員カード等で勤務管理がなされており、また職員の勤務態勢が確立し
ているか
来客の際、挨拶がしっかりできているか
現地
現地
技術管理者
社内、社外において、廃棄物に関する講習(法律・技術)を過去1年間
に1回以上受講しているか
処理業を行う上で必要な有資格者を雇用している、または資格取得のた
めの教育を行っているか
技術管理者が、常時場内にいるか
手順書
技術管理者が施設の維持管理の業務に関し熟知しているか
現地
役員等の士気
役員等が事業内容を全て把握しており、積極的に説明できるか
事業の目的・目標・経営理念を明確に発言できるか
事務所、倉庫などの管理が適切に行われているか
現地
現地
現地
清潔保持
2.27
書類
書類
現地
○チェック資格
委託契約の業者選定の際のチェック資格に関する社内規定を定めることが望ましいと考えら
れます。
これは、
・ 漏れのないチェック項目の実施
・ チェックレベルの平準化
等の目的です。このため、ある程度固定したメンバーで現地調査等のチェックを行う他、前述し
たようなチェックリストを策定し、調査結果のバラツキなどを防ぐことが必要です。
社内の資格制度を定め、また座学や現地実習により調査員のスキル向上を図っている会社もあ
り、専門の人員を養成することも有効です。
(3)委託契約後のフォロー
廃棄物処理業者との委託契約を行った後も引き続き、契約時に確認した内容の通りに、継続し
て操業が行われていることを確認していく必要があります。
特に注意して、定期的に確認すべき事項としては、
・ 許可の期限
・ 許可の更新時期
・ 最終処分場の変更 他
などが挙げられます。
特に、許可期限が迫った場合、許可の更新状況がどのようになっているかについて、委託先に
確認することが必要です。許可失効後の処理業者に委託を行った場合、廃棄物処理法上の無許可
業者への委託禁止違反に問われます(廃棄物処理法第 12 条 3 項)
。
なお、委託先への現地調査を、契約後も1年に1回∼2回程度の頻度で実施することが望まれ
ます。
このポイント
をチェック
(許可失効→更新
排出事業者
のタイミング)
契約
廃棄物処理業者の業許可
許可5年間有効
更新契約をしていない場合、
契約行為を行ったら法違反
に問われる
産業廃棄物処理業者の許可期限
トピック:自社廃棄物等の適正処理・リサイクルに関する業者への問い合わせ
自社が委託している廃棄物が適正処理・リサイクルされていることを確認することは重要です
が、特にリサイクルの委託を行っているものについては、当初有価物として売却していたが、市
況の変化等により廃棄物扱いに変わり、新たに廃棄物としての処理委託契約を締結することが必
要になるような場合が考えられます。
したがって、リサイクル業者に自社の廃棄物等を委託している場合には、市況の変化も確認し
つつ、自社の排出物が有価物にあたるのか、廃棄物にあたるのか、定期的に委託先業者に対して
確認するのが望ましいと考えられます。
2.28
2.3.2
廃棄物・処理リサイクル業者情報の整備の方法は?
本項の内容
○ 排出事業者は、適正処理・リサイクルを促進するために、廃棄物処理・リサイク
ル業者の情報をより多く収集することが求められます。
○ そのためには、自治体や廃棄物処理・リサイクル業者等との情報交換を大切にし、
自らの廃棄物を委託する良好なパートナーを選定しなければなりません。
○ また、得られた情報を社内的に整理し、効果的に社内資源を活用できる仕組みを
構築することが必要です。
○ ここでは、排出事業者が廃棄物処理・リサイクル業者に関する情報を得るための
情報源と、その情報の整備、社内共有のあり方を示します。
(1) 廃棄物処理・リサイクル業者に関する情報源
○ 自治体
許可情報や行政処分情報などについて確認できます。委託先の選定前に問い合わせを行うこ
とが望ましいと考えられます。
なお、産業廃棄物については都道府県・保健所設置市・政令指定都市、一般廃棄物について
は市町村が管轄しています。
○ 取引関係のある廃棄物処理・リサイクル業者、および地域の廃棄物処理・リサイクル業界団体
業界における適正料金に関する情報や、優良(または優良でない)業者に関する情報等につ
いて、情報を得られる可能性があります。
2.1.4 で述べたように、廃棄物処理業者との連携を深め、情報を得られるようなパートナーシ
ップを構築しておくことが重要です。
トピック:子会社に廃棄物処理・リサイクル事業者がある場合
製造業A社は、子会社に廃棄物処理・リサイクル業者を持っており、廃棄物処理業者の方々
の選定時に必ず、その子会社から情報を聞いてから契約を行うとのことです。
○ 同業等、他の排出事業者
優良な廃棄物処理・リサイクル業者に関する情報交換等を行うことができます。ただし、大
手の会社が委託している廃棄物処理・リサイクル業者が必ずしも優良事業者という訳ではない
ことに留意する必要があります。
○ 専門調査会社への委託
廃棄物処理・リサイクル業者に関する調査代行サービスを行っている会社も近年現れており、
そのようなサービスを活用することも有効と考えられます。
(2) 廃棄物処理・リサイクル業者情報の整備方法
○ 情報整備
委託業者に関する情報は、上記のように自社以外から得られる情報の他、自社が廃棄物を日
常管理していく上で集積される情報もあります。これらの情報をとりまとめるような登録様式、
またはオンライン上の入力ルールについて、本社管理部門が策定する必要があります。
2.29
このように本社管理部門に集積された情報を社内で効果的に活用できるよう、本社管理部門
と現場との情報共有体制、現場間における情報共有体制を構築することが有効であると考えら
れます。
業者情報
情報整備
現場A
情報共有
自治体
現場B
廃棄物処理業者
情報収集
情報共有
情報共有
同業、等
(本社、各現場が収集)
本
社
現場C
外部業者情報の整備の概念図
トピック:ITツールの活用による情報整備
製造業A社では、廃棄物 DB システムを構築しており、業者ごとの情報を登録し、全社で
情報を共有しています。また、アクセス制限を行い、社内の各層が閲覧できる情報を区分し
ています。
これにより、情報収集を新たに行うことなく、迅速に社内に蓄積された情報を活用するこ
とができます。
2.30
2.3.3
マニフェスト管理に関するルール策定の方法とは?
本項の内容
○ 産業廃棄物管理票(以下、マニフェスト)制度は、排出事業者が産業廃棄物の処
理・リサイクルを委託する際に、委託者にマニフェストを交付し、処理終了後に
その写しを回収することにより、産業廃棄物が契約通り適正に処理されたことを
確認する制度です。
○ 排出事業者がマニフェスト制度を運用することは廃棄物処理法で義務づけられて
おり、マニフェストの不使用や虚偽使用には罰則の適用も規定されています。
○ マニフェストは、その発行・交付とともに、委託先からの返送状況や内容の照合・
確認が重要であり、またその保管体制についても、社内で定めておく必要があり
ます。
○ 産業廃棄物等の排出、引き渡しの現場において、マニフェストを実態に即して正
確に使用することは、産業廃棄物の不適正な処理や不法投棄のリスクを低減する
だけでなく、排出事業者が自らの廃棄物等の排出量、処理・リサイクル状況につ
いて効率的に高い精度で把握することに役立ちます。
○ ここでは、マニフェスト制度の概要と排出事業者の皆様が定めるべきマニフェス
ト管理に関するルールについて示します。
(1)マニフェストの構成と記載事項
○マニフェストの構成
マニフェストは通常は複写式の7枚綴りであり、排出事業者(A票)、収集運搬業者(B票)、処
理業者(C票、D票、E票)が記入を行い、決められたタイミングで保存先に回付します。
・A票(排出事業者記入用、排出事業者が保管)
・B票(収集運搬業者記入用、B1 票 収集運搬業者が保管、B2 票 排出事業者が保存)
・C票(処理業者記入用、C1 票 処理業者が保存、C2 票 収集運搬業者が保存)
・D票(処理業者記入用、排出事業者が保存)
・E票(処理業者記入用、排出事業者が保存)
○記載事項
マニフェストへの記載事項は、下記の通り廃棄物処理法施行規則第8条の21に規定されてい
ます。
・ 管理票の交付年月日及び交付番号
・ 氏名又は名称及び住所
・ 産業廃棄物を排出した事業場の名称・所在地
・ 管理票の交付を担当した者の氏名
・ 運搬又は処分を受託した者の住所
・ 運搬先の事業場の名称及び所在地並びに運搬を受託した者が産業廃棄物の積替え又は保管を
行う場合には、当該積替え又は保管を行う場所の所在地
・ 産業廃棄物の荷姿
・ 当該産業廃棄物に係る最終処分を行う場所の所在地
・ 中間処理業者にあっては、交付又は回付された当該産業廃棄物に係る管理票を交付した者の
2.31
氏名又は名称及び管理票の交付番号
・ 中間処理業者にあっては、当該産業廃棄物に係る処分を委託した者の氏名又は名称及び第八
条の31第3号に規定する登録番号
トピック:マニフェストの必要な廃棄物は産業廃棄物だけ?
廃棄物処理法では、排出事業者にマニフェストの交付を義務づけていますが、対象は産業
廃棄物だけです。しかし、東京都特別区のように、事業者から排出される一般廃棄物(事業
系一般廃棄物)についても、条例によりマニフェストの運用を義務づけているケースがある
ので、市区町村の廃棄物担当課に確認が必要です。
また、企業から排出されるものには、通常は有償で販売されているのにも関わらず、市況
等の変動により逆有償となり、お金を支払って引き取ってもらわなければならないものがあ
ります。このため、廃棄物となる可能性のあるものについては、常にマニフェストを用いて
収集運搬、処理処分を管理することが望まれます。
(2)マニフェストの流れ
最初に排出事業者から収集運搬業者に引き渡されたマニフェストは、「産業廃棄物を管理するた
めの伝票」として、最終処分あるいは有価物としてリサイクルされるまで廃棄物と一体的に動くこ
ととなります。その上で、委託した産業廃棄物の処理が終わったあと、その通知としてマニフェス
トの該当部分が排出事業者に回付されます。
排出事業者
収集運搬業者
A票
控
中間処理業者
B1 票
収集運搬業者
最終処分業者
C1 票
控
控
控
控
控
C2 票
運搬終了票
処分終了票
最終処分終了
処分終了票
確認後、記載
B2 票
処分終了票
D票
運搬終了票
処分終了票
最終処分終了の記載
最終処分終了票の送付
最終処分
終了票
二次マニフェストの流れ
E票
排出事業者の交付する(一次)マニフェストの流れ
(3)マニフェストの準備・発行
マニフェストの準備は排出事業者自らが行います。
社団法人全国産業廃棄物連合会では、上記廃棄物処理法の要求を満足するマニフェストを市販し
ています。この他業界団体などが独自に作成したマニフェストや個々の排出事業者が自社の廃棄物
の発生状況等に対応して作ったマニフェストがありますが、廃棄物処理法の定める記載事項が含ま
れているか、よく確認してから使用する必要があります。なお、効率的な実績集計等を実施する観
点から、同じ排出事業者内では同一様式のマニフェストを利用することが望まれます。
また、マニフェストの発行を排出事業者内で一元化し、一定期間内に使用されないマニフェスト
2.32
は回収する等、不正流用を防止する仕組みを組み込むことも有用です。
マニフェストの準備・発行については、
・使用するマニフェストの様式
・マニフェストを各交付場所(廃棄物の引き渡し場所)に向けて発行する際のルール
・発行後一定期間を経過して使用されなかったマニフェストの回収
等の事項について社内ルールを整備することが必要です。
(4)マニフェストの交付
排出事業者はあらかじめ自らが用意したマニフェストに、産業廃棄物の種類や量など必要事項を
記入し、産業廃棄物とともに収集運搬業者に引き渡します。その際、引き渡し1回につき廃棄物の
分類毎・運搬先毎に1票マニフェストを交付しなければなりません。
マニフェストを適正に交付せず、また、虚偽の記載のあるマニフェストを交付した場合、排出事
業者には原状回復命令等の行政処分や罰金が科せられます(2.6.2 参照)
。
マニフェストの交付については、
・マニフェストを交付できる者の規定
・マニフェストに記載する事項
等の事項について社内ルールを整備することが必要です。
(5)マニフェストの回収管理と期限内に送付されない場合の対応
排出事業者は、廃棄物処理法が定める期限までにマニフェストの送付を受けなくてはなりません。
B2 票、D票、E票が全て返送されるまでのマニフェストについては、
・回収期限が迫っている、あるいは過ぎているマニフェストに関する警告の発信方法
・回収期限が迫っている、あるいは過ぎているマニフェストがある場合の対応方策
等の事項について社内ルールを整備することが必要です。特に、マニフェストの回収期限につい
ては、不適正処理リスクの低減の観点から、廃棄物処理法が定める期間よりも前に収集運搬業者、
あるいは処理業者に対し、確認、指示、督促等を実施する仕組みを構築することが重要となります。
表
マニフェスト(写し、B2 票、D票、E票)の送付を受けるまでの期間
マニフェスト
産業廃棄物
特別管理産業廃棄物
・B2 票、D票
・E票
交付の日から 90 日
交付の日から 180 日
交付の日から 60 日
交付の日から 180 日
回収期限が迫ることによるアラーム発信の仕組みを、例えば社内イントラネット等の IT ツールに組
み込むこと等により構築することも有用です。
廃棄物管理統括責任部門
マニフェストの交付:排出の現場
○マニフェスト交付
・交付年月日
・廃棄物の種類・量
・収集運搬委託先
・中間処理委託先
・最終処分予定
○マニフェスト回付
・受領年月日
・照合・確認情報 等
○回付期限の発信
○未回収マニフェストに係る警告発信
製造業A社におけるITツールを活用したマニフェスト回収管理システム
マニフェストが期限を過ぎても回収できない場合には、自社の廃棄物が不適正に処理処分された
2.33
可能性があります。このため、収集運搬業者、あるいは処理業者に対し、確認、指示、督促等によ
って収集運搬、処理の状況を確認し、生活環境保全上の支障の除去や発生防止のために必要な措置
を講じます。そしてその講じた措置等を廃棄物処理法に定められた様式(次頁参照)に則り、30
日以内に所管の都道府県等に報告しなければいけません(廃棄物処理法第 12 条の 3 第 7 項)
。
(5)照合・確認と虚偽の記載等があるマニフェストがある場合の対応
排出事業者に返送されたマニフェストのB2 票、D票、E票は、収集運搬、処理・リサイクルな
どが委託契約通り、適正に行われているか照合・確認する必要があります。
返送されたマニフェストの照合・確認については、
・マニフェストの返送先の規定(排出事業者内で一元的に返送先を集約するか、排出現場か)
・返送されたマニフェストの照合・確認を行う者の規定
・具体的な照合・確認事項
・虚偽の記載等があるマニフェストがある場合の対応方策
等の事項について社内ルールを整備することが必要です。
規定事項が記載されていないマニフェスト、あるいは虚偽の記載のあるマニフェストの送付を受
けた場合には、自社の廃棄物が不適正に処理処分された可能性があります。このため、収集運搬業
者、あるいは処理業者に対し、確認、指示、督促等によって収集運搬、処理の状況を確認し、生活
環境保全上の支障の除去や発生防止のために必要な措置を講じます。その上で、その講じた措置等
を廃棄物処理法に定められた様式(次頁参照)に則り、30 日以内に所管の都道府県等に報告しなけ
ればなりません(廃棄物処理法第 12 条の 3 第 7 項)
。
排出事業者として記載内容の確認を怠り、
「規定の事項が記載されていない」
、「虚偽の記載があ
る」というような事態を放置し、収集運搬業者、あるいは処理業者に対し、必要な確認、指示、督
促等をしていない場合は、
排出事業者にも原状回復命令等の行政処分が科せられます(2.6.2 参照)
。
(6)保管・保存
○保管・保存とその他の活用方法
照合・確認の上、問題のないマニフェストについては、
・マニフェストの保存場所の規定(排出事業者内で一元的に保管・保存するか、排出現場か)
・過去のマニフェストを速やかに参照しうる保管方法(ファイリングの方法等)
・マニフェストの記載情報の電子化
等の事項について社内ルールを整備することが必要です。
マニフェストは廃棄物を委託した後、自社の廃棄物の所在を確認する唯一のツールであり、集約
管理し、いつでも参照できるような状態にしておくことにより、例えば委託先の廃棄物処理業者の
方が業許可を失効した場合の、それまでに委託した廃棄物の現状を把握することなどに有効です。
○保管・保存期限
廃棄物処理法(第 12 条の 3 第 5 項)に基づき、排出事業者はマニフェストを下記の通り保管・
保存する必要があります。A票については「一時保管」と定められていますが、排出事業者によっ
ては他の返送されてきたマニフェストとともに保存することが望まれます。
表
排出事業者
収集運搬業者
中間処理業者
マニフェストの保管・保存
・A票
・B2 票、D票、E票
・B1 票
・C2 票
・C1 票
・一時保管(B2 票、D票、E票の送付まで)
・最終の照合・確認の日から 5 年保存
・一時保管(C2 票の送付まで)
・照合・確認の日から 5 年保存
・照合・確認の日から 5 年保存
2.34
措置内容報告書(様式第四号(第八条の二十九関係))
措置内容等報告書
平成
都道府県知事
(市長又は区長)
年
月
日
殿
報告者
住 所
氏 名
(法人にあっては、名称及び代表者の氏名)
電話番号
交付した管理票のうち、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第 12 条の 3 第 2 項から第 4 項ま
で又は第 12 条の 5 第 5 項の規定による管理票の写しの送付を受けていないもの、又はこれらの
規定に規定する事項が記載されていない管理票の写し若しくは虚偽の記載のある管理票の写し
の送付を受けたものについて、次のとおり報告します。
事
業
場
の
名
称
事 業 場 の 所 在 地
産 業 廃 棄 物 の 種 類
1 特別管理産業廃棄物(
2 その他の産業廃棄物(
)
)
交 付 番 号
管 理 票
交付年月日
産 業 廃 棄 物 の 数 量
送付を受けていない写し又 □運搬受託者から送付されるべきもの
は必要事項が記載されてい □処分受託者から送付されるべきもの
ない写し若しくは虚偽の記 □処分受託者から送付されるべきものであって、最終処分が終了
した旨が記載されるべきもの
載のある写しの種類
運搬又は
処 分 の
受 託 者
氏名又は名称
住
所
△把握した運搬又は処分の
状況及びその把握の方法
△生活環境の保全上の支障
の除去又は発生の防止の
ために講じた措置の内容
備考 1 この報告書は、管理票を交付した日から 90 日(当該管理票が特別管理産業廃棄物に
係るものである場合にあっては 60 日とし、最終処分が終了した旨が記載されるべきも
のである場合にあっては 180 日とする。)以内にその写しが回収されていない管理票及
び送付を受けた写しに必要な事項が記載されていない管理票又は虚偽の記載のある管
理票について提出すること。
2 「運搬又は処分の受託者」は、管理票の写しを送付すべき受託者について記入するこ
と。
3 △印の欄にその記載事項のすべてを記載することができないときは、同欄に「別紙の
とおり」と記載し、別紙を添付すること。
(日本工業規格 A列 4 番)
2.35
トピック:電子マニフェストについて
本章では、紙のマニフェストの運用方法について示していますが、情報通信網を経由してマニフ
ェストの情報をやりとりする電子マニフェストを利用することも可能です。
電子マニフェストを利用することのメリットとしては、
・ マニフェストの照合や確認といった事務作業がパソコン上で可能になるため事務作業が軽減
される
・ 財団法人日本産業廃棄物処理振興センターの情報処理センターが都道府県・政令市への報告代
行、マニフェスト情報の保管・管理を行うため、各事業者が紙の管理票を保存する義務がなく
なる
といったことが挙げられます。ただし、排出事業者、収集運搬業者、中間処理業者(以下、直接最
終処分される場合は最終処分業者)の全てがシステムに加入している必要があるため現時点ではあ
まり利用者は多くありませんが、今後の普及が期待されています。
電子マニフェストの利用に関する手順は以下の通りです。
・ 排出事業者、収集運搬業者、中間処理業者が情報処理センターと契約。
・ 排出事業者から収集運搬業者に産業廃棄物の引き渡し。
→排出事業者は、パソコンに必要事項を入力して情報処理センターに登録。
・ 収集運搬業者が中間処理業者に産業廃棄物を運搬、引き渡し。
→収集運搬業者は、パソコンで情報処理センターに運搬終了報告。
→情報処理センターは、運搬終了の旨を、排出事業者のパソコンに自動通知。
・ 中間処理業者により廃棄物の処理を実施。
→中間処理業者は、パソコンで情報処理センターに処理終了報告。
→情報処理センターは、処理報告の旨を排出事業者のパソコンに自動通知。
→中間処理業者は、最終処分業者からの報告を受け、パソコンで情報処理センターに最終処分
の終了報告。
→情報処理センターは、最終処分報告の旨を排出事業者のパソコンに自動通知。
排出事業者
収集運搬業者
中間処理業者
廃棄物
廃棄物
・
2.廃 棄 物 収 集
運搬終了の情
4.収集運搬・処理
報を入力
処分終了の自動通
1.廃 棄 物 を 収
知
集運搬業者に
3.廃 棄 物 処 理
処分終了の情
報を入力
引き渡した情
5. 警 告 期 限 切 れ
報の入力
都道府県・政令市
情報
財団法人日本産業廃棄
物処理振興センター
情報処理センター
6.産 業 廃 棄 物
処理処分完了
の代行報告
インターネット網・電話回線
2.36
2.4
教育・啓発
本章の目的
○廃棄物は企業における事業活動のあらゆる場面で排出されるものであり、本社管理
部門や担当者任せの状態では、廃棄物の適正な処理・リサイクル(3R)を行うこ
とは困難です。
○従って、排出事業者として、コンプライアンス(法令遵守)を実現していくために
は、従業員に対して教育・啓発を行い、廃棄物に関する各現場における意識の向上
および処理・リサイクル(3R)のルールの習得等を促すことが必要です。
○従業員教育により、廃棄物処理・リサイクル(3R)の流れや重要性がうまく社内
に浸透すれば、全員参加型の廃棄物処理体制を構築することができ、より高いレベ
ルでのコンライアンス体制の構築が可能となります。
○本章は、排出事業者が従業員に対して、自社における廃棄物適正処理・リサイクル
(3R)の仕組みやその重要性をどのように、教育・啓発していくかについて示し
ます。
本章の構成
2.4.1
教育・啓発すべき項目とは?
従業員に対して教育・啓発を行うべき項目について示します。
2.4.2
わかりやすい教育マニュアルの作成の仕方とは?
排出事業者が従業員教育を進めていく上で効果的である教育マニュアルの
作成方法について、そのポイントを示します。
2.4.3
効果的な教育等の方策とは?
排出事業者が従業員教育等を行う上で、効果的な教育等の方策について、その
ポイントを示します。
2.37
2.4.1
教育・啓発すべき項目とは?
本項の内容
○排出事業者が廃棄物の適正処理・リサイクル(3R)を推進し、かつコンプライア
ンス(法令遵守)を実現するにあたっては、全ての従業員に対して廃棄物の取り扱
いを徹底することが原点であり、そのためには従業員に対する教育や意識啓発が必
要です。
○適切な従業員教育等を実施することにより、全員参加型の廃棄物マネジメント体制
を構築することができます。
○ここでは、排出事業者が従業員に対して行うべき教育・啓発すべき項目を示します。
(1)会社の方針・目標
排出事業者は企業として、自社が排出する廃棄物をどのように処理・リサイクル(3R)してい
くか、その方針について、示す必要があります。
(2)コンプライアンス
排出事業者は、廃棄物処理・リサイクル(3R)は法律により定められた義務であることを従業
員に対し、周知徹底する必要があります。
廃棄物の処理・リサイクル(3R)を取り巻く関係法令には以下のようなものがあり、その法の
存在および概要について従業員に示していく必要があります。
・ 廃棄物処理法
・ 循環型社会形成推進基本法
・ 資源有効利用促進法
・ 容器包装リサイクル法
・ 家電リサイクル法
・ 食品リサイクル法
・ 建設リサイクル法
・ 自動車リサイクル法(現在一部施行、2005 年 1 月本格施行)
(3)廃棄物の分類・分別ルール
排出事業者は、各従業員に対して廃棄物が法律上どのように分類されているかについて、その概
要(一般廃棄物と産業廃棄物との違い、等)を説明する必要があります。
排出される廃棄物は会社や業種によって異なるため、分別のルールは各社ごとに策定することが
望まれます。次頁表に、建設業での分別事例を示していますが、このように自社の廃棄物排出特性
や受け皿(処理施設、リサイクル施設等)に応じて、分別ルールを策定し、従業員に周知徹底する
ことが必要です。
2.38
【建設業での分別事例】
分別種別
処理・リサイクル方法等
木くず
再資源化施設
コンクリート
または
金属くず
中間処理経由再資源化施設
紙・ダンボール
石膏ボード
可燃物(サーマル)
焼却施設(電力利用)
不燃物
中間処理経由最終処分
その他
(4)各人の役割
現場においても、現場責任者と一般の従業員・パートタイマー等では果たすべき役割が異なりま
す。従って、廃棄物の取り扱いにあたって、各人の役割を明確化し、現場における廃棄物の管理が
適切に行われるよう指導する必要があります。
例:現場責任者に教育・啓発すべき事項
・・・会社の方針、関係法令、等
従業員・パートタイマー等に教育・啓発すべき事項
・・・分別の仕方(分別の方法、分別排出の場所、等)
(⇒2.4.2 を参照)
2.39
2.4.2
わかりやすい教育マニュアルの作成の仕方とは?
本項の内容
○排出事業者が従業員教育を行う上で、重要なツールとなるマニュアルを作成するた
めには、その内容について十分に検討する必要があります。
○マニュアルを教育等に効果的に活用するためには、配布される人が実際に廃棄物を
取り扱う立場に立って、各配布対象に応じた記載内容を検討する必要があります。
○ここでは、わかりやすい教育マニュアルの作成方法として、現場責任者向けと各従
業員向けのマニュアル記載内容の書き分け、および各社の事例を示します。
(1) 現場責任者向けのマニュアル
○記載内容
現場責任者に対しては、
・ 法律に関する知識(遵法事項や罰則、等)
・ 廃棄物処理業者への委託契約に関する事項
・ マニフェストの運用に関するルール
・ 廃棄物の処理・リサイクル(3R)に係る全社的ルール 他
など、特に遵法という観点から見落としてはならない項目について示す必要があります。
その他、現場の従業員に対して、どのような指示をだせばよいか、各人の役割等についてもマ
ニュアルにより示すことが効果的と考えられます。
○製造業 B 社の場合
B社においては、コンプライアンスを重視した手引き書を作成しています。
記載内容は以下の通りです。
(マニュアルの構成)
・ 廃棄物処理の標準手順と遵法チェック
−廃棄物処理の標準手順
−廃棄物処理委託遵法チェック内容
・ 詳細説明
−廃棄物の種類の確認
−廃棄物処理を委託する
−契約
−処理委託の手順
・ 参考資料
−廃棄物の種類
−処理委託業者調査事項
−産業廃棄物の処理の基準
−マニフェストの記載内容
−産業廃棄物処理業許可証の許可番号の見方
−主な罰則
−処理委託契約書ひながた(処分用)
(次頁続く)
2.40
−処理委託契約書ひながた(収集運搬用)
−契約書印紙金額
−行政窓口
−契約ルートの一覧表
(2) 全従業員を対象としたマニュアル
○記載内容
全従業員を対象としたマニュアルでは、
・ 全社の廃棄物処理・リサイクル(3R)に係るルール
・ 自社規定による廃棄物の分別方法
・ 廃棄物の発生抑制や再使用を行うための工夫の仕方
・ 分別種類ごとの廃棄物の処理・リサイクル(3R)のされ方
・ 廃棄物保管室のレイアウトや表示の意味
・ 各人が行うべき役割 他
といった、現場で実際に廃棄物を取り扱う場合に知っておくべき事項を中心に示すのがよいと考
えられます。これらを適宜、イラストや写真などを活用して、実務担当者に分かり易いように表
現することが望まれます。
○流通業 A 社の場合
A 社においては、廃棄物処理全般を示したマニュアルや分別等、個別の行為に特化したマニュ
アル等、様々作成しています。以下に、最も代表的といえる廃棄物処理全般を示したマニュアル
の内容構成を示します。
(マニュアルの構成)
・廃棄物処理及び環境への取り組み
・廃棄物・リサイクル物の処理の仕方・種類ごとの作業(処理の流れとポイント、等)
・常駐者の作業姿勢、廃棄物保管室ごとの作業(保管室レイアウト、衛生管理、等)
・店の廃棄物処理のルールと自治体への対応
(役割分担、廃棄物の分別と処理フロー、廃棄物の出し方・置き方、廃棄物保管室のレイアウ
ト、廃棄物物量調査用紙、等)
・廃棄物処理の契約
○建設業C社の場合
C社の場合、以下のような内容による建設副産物適正処理の手引きを作成しています。
(内容)
・ 建設副産物とは
・ 関連する法律の概要
・ 建設副産物適正処理推進体制と各部署の役割
・ 着工時の計画
・ 期中管理
・ 廃棄物減量化のための活動
・ 特別管理産業廃棄物の処理
・ 建設副産物管理書類の取扱い
2.41
2.4.3
効果的な教育等の方策とは?
本項の内容
○排出事業者は、自社の廃棄物取り扱いに係る方針や廃棄物の分別管理の方法等につ
いて、従業員の理解を得、かつ意識を向上させなければなりません。
○その為には、現場責任者、各従業員に対して、適切な従業員教育等を行い、担当者
任せの状態から脱却して、全社体制で廃棄物処理・リサイクル(3R)に取り組む
必要があります。
○ ここでは、排出事業者が現場責任者、従業員に対する教育、普及啓発を図るため
の方策を示します。
(1) 現場責任者、各従業員に共通した教育方策
○研修会の開催
排出事業者が現場責任者、従業員に対して教育を行う方策のひとつとして、研修会の開催が考
えられます。
研修会の開催内容は伝えるべき内容により異なり、
① 会社の方針・目標
② コンプライアンス等、法令に関する事項
③ 分別ルール等の社内基準
④ その他
のように様々あり、特に会社の方針やコンプライアンスに係る事項等は現場責任者を対象、分別
ルール等の社内基準等について全従業員を対象、といった形で、研修会の位置付けを変える必要
があります。
○提案公募
本社管理部門からの一方的な押し付け的な「教育」ではなく、現場からの生の意見を吸い上げ
る提案公募的なことも、ある意味教育の一環と位置づけられると考えられます。これにより、現
場の自主性を高めるとともに、より現場に即した廃棄物管理の仕組みをつくっていくことに繋が
ります。
そのため、現場責任者と各従業員が協調して、本社への提案、要望事項を考える場となります。
○マニュアル等の活用
研修会などと併せてマニュアルや小冊子を配布することは、教育効果を持続するためにも有効
であり、既に取り組んでいる企業も多いようです。マニュアル作成の仕方については、2.4.2 に
て述べた通りです。
○リサイクルキャンペーンの実施
研修会やマニュアルの配布を実施するとともに、廃棄物適正処理・リサイクル(3R)に関す
る取組の更なる促進を行うために、リサイクルキャンペーンのような全員参加の取組を行うこと
も、従業員の意識改革に繋がり効果的と考えられます。
2.42
流通業 A 社では、以下のような全社的取組により廃棄物の減量と分別促進に効果を上げていま
す。
(リサイクルキャンペーンの概要)
1.主旨の確認
A社では、ごみの分別、ごみの削減、ごみ袋の再使用を主旨として周知
2.モデルパターンの確認
ポスターにより視覚的に具体的な手順を説明
3.キャンペーンプロジェクトの設置
店舗ごとに、その性格に合わせた組織づくりを実施
4.モデルパターンの確認
プロジェクトメンバーによる現状確認
5.キャンペーンの仕掛けづくり
目的、主旨、具体的プラン・目標の設定
6.売り場への内容説明
キャンペーンの主旨、目的や具体的なプラン等を説明
7.実行、実施
ごみ発生量の記録→売場責任者による実施状況の確認
8.フォロー体制
できていない人への指導(個別指導が効果的)
(2) 現場責任者向けの教育方策
○視察
①社内排出場所の視察
各店舗や工場の廃棄物発生現場や廃棄物保管場所を、本社責任者と現場担当者が巡回する形で
廃棄物の分別方法に関するレクチャーをしたり、保管場所や表示に関するアドバイスを行うこと
も有効です。
②社外施設の視察
社外の施設(廃棄物処理施設、等)を視察し、自社から排出された廃棄物がどのように処理・
リサイクルされているかを視察し、分別等の重要性を確認することも有効であると考えられます。
また、可能であれば、他社の廃棄物管理現場を視察する等により、優良事例を自社の廃棄物管
理に採り入れることも有効であると考えられます。
(3) 従業員向けの教育方策
○現場 OJT
①現場責任者による分別等の指導
現場責任者が、従業員やパートタイマーに対して、実際に現場で分別の方法を示したり、マニ
フェストの書き方を示すことも重要です。本社管理部門は現場責任者に対して OJT の必要性を
説いたり、また場合によっては本社管理部門から各現場に出向いて現地指導を行うことも必要と
考えられます。
②職場集会の開催
新たな法律対応や分別等のルール策定の際には、職場集会などの開催等により、現場責任者か
ら適宜、従業員・パートに対して情報を伝達していく必要があります。
○掲示
廃棄物の分類や処理・リサイクル(3R)に関するポスター類、従業員の目に触れやすい場所に
掲示することにより、従業員の意識を喚起することが重要です。
2.43
2.5
実績把握
本章の目的
○ 廃棄物適正処理・リサイクル(3R)の取組について、その成果・実績を正確に把握する
ことは、次なる施策の展開やより進んだ枠組みを策定するためにも有効です。
○ まず排出事業者として行うことは、廃棄物適正処理・リサイクル(3R)が各現場で適切
に行われているかを日常的に把握することです。
○ また、取組の実績把握の方法として、ISO14001 の内部監査に似た社内監査制度を採用し
ている会社もあります。
○ それとともに、日常管理、社内監査により把握した自社の取組状況を外部発信していくこ
とも、自社の取組を律していく上で必要なことと考えられます。
○ ここでは、ここでは効率的・効果的な日常管理・社内監査・外部発信のあり方について示
します。
本章の構成
2.5.1
日常管理のあり方とは?
排出事業者が、各現場での取組について本社管理部門が効率的に日常管理
を行う方法について示します。
2.5.2
社内監査のあり方とは?
各現場での取組の達成度を本社管理部門が社内監査を行い、現場に対して
その結果をフィードバックする方法について示します。
2.5.3
情報発信のあり方とは?
日常管理や社内監査により把握した自社の廃棄物適正処理・リサイクル(3R)
に関する取組状況を外部発信する対象および外部発信の方法について示します。
2.44
2.5.1
日常管理のあり方とは?
本項の内容
○日常管理を行っていく上で、現場における廃棄物等の管理状況を本社管理部門が把
握し、適切にフィードバックしていくことが重要です。
○そのためには、本社管理部門が現場とうまく連携できるための情報共有等の体制を
構築する必要があります。
○ここでは、本社管理部門が現場と情報共有すべき内容とその体制、及び現場へフィ
ードバックすべき事項等について示します。
(1) 情報共有による日常管理状況の把握
本社管理部門は、現場との情報共有を図り、現場における日常管理の状況を常に把握し、適切
な指導を行わなければなりません。
本社管理部門は、電話、FAX、e-mail 等を用いて適宜現場との連携を図りながら、改善すべき
事項が発見された場合や、現場からの疑問があった場合には、現場に対して適宜指示・助言を行
います。
また、本社管理部門だけでは判断できないような事項や定期報告などについては、適宜担当役
員に情報を連絡し、適切な指導を受けられる仕組みを構築することが望ましいと考えられます。
担当役員
本社管理部門
電 話 、 FAX 、
日常的な情報の流れ
e-mail 等
必要に応じた情報
の流れ
現 場
現 場
現 場
・・・
現 場
(2) 把握すべき情報とは
本社管理部門と現場が共有すべき日常管理に関する情報としては、
・ マニフェスト記載の情報
・ 廃棄物処理・リサイクル事業者への委託量
・ 廃棄物処理・リサイクル事業者の処理・リサイクル方法
といった、現状把握の項目とともに、
・ 分別排出状況
・ 日常管理上の疑問点 等
のような現場における日常管理状況が挙げられます。
2.45
本社
一括管理
・・・・・・・・
・・・・・・・・
作業
日報等
作業日報等
本社へ報告
事業所等
本
FAX 等
作
店番:
店舗名:
平成
年
月
日(
1.常駐作業と発生量の記録
区分
燃や
せる
ごみ
燃や
して
悪い
ごみ
品目名
袋数
紙ごみ
木くず
生ごみ・厨芥類
分別できない廃プラ
包袋包材の廃プラ
その他の廃プラ
ダンボール
再生できる紙類
発泡スチロール
空き缶類
空き瓶類
廃油(食用油)
魚腑骨(魚のアラ)
金属什器
牛乳パック
ペットボトル
発泡スチロールトレー
大 型 混合什器
廃 棄 木製什器
物
リ
サ
イ
ク
ル
す
る
も
の
袋
袋
袋
袋
袋
袋
袋
袋
袋
袋
袋
缶
袋
袋
袋
袋
袋
社
業 報 告
店
会社名:
常駐者:
) 天候(
) 記録時刻(AM・PM
)
清掃
場所
● 水 ● 消
● 洗 ● 毒
発生量
㎏
㎏
㎏
㎏
㎏
㎏
㎏
㎏
㎏
㎏
㎏
㎏
㎏
㎏
㎏
㎏
㎏
㎏
㎏
㎏
㎏
分別状況
店舗からの
搬出回数
良・普・悪
良・普・悪
良・普・悪
良・普・悪
良・普・悪
良・普・悪
良・普・悪
良・普・悪
良・普・悪
良・普・悪
良・普・悪
良・普・悪
良・普・悪
良・普・悪
良・普・悪
良・普・悪
良・普・悪
良・普・悪
良・普・悪
良・普・悪
良・普・悪
回
回
回
回
回
回
回
回
回
回
回
回
回
回
回
回
回
回
回
回
回
ダンボ
ール室
生ごみ
室
機材室
発泡スチロ
ール置場
空き瓶
置 場
魚腑骨
什 器
置 場
トラック
ヤード
通
路
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
品目ごとに発生した『袋数(又は個数)
』
を記入
品目ごとに発生した『重量』を記入
廃棄物の『分別状況』を確認
常駐作業として行う保管室及び担当作業
場所の『清掃業務』についての確認
(当てはまるものに・をしてください)
廃棄物の『搬出回数』を確認
2.常駐者の配置
氏
名
AM
PM
7 8 9 10 11 12
1 2 3
4 5 6
7 8 9
その日の担当者名と配置時間を記入
(配置時間帯に
線をしてくださ
い)
現場責任者確認
3.現場責任者への連結事項(分別状況で改善が必要な事項、他)
本社統括管理部門に対する要望等を記入
・ この報告様式は流通業 A 社のものを参考にしています
・ 常駐者とは店舗に常駐している廃棄物処理業者の担当者を示します)
(3) 現場からの報告頻度
各排出事業者における廃棄物の排出パターンに応じて決まります。
例えば、食品業界などでは腐敗性がある廃棄物が多いため、廃棄物処理業者の出入りが毎
日行われると考えられ、一日一回は本社管理部門に対して(2)で挙げたような事項について報
告することが望ましいと考えられます。
このように、廃棄物の収集頻度に合わせて、本社への報告頻度を設定することが考えられ
ます。
2.46
80
45
70
40
60
35
30
50
25
40
20
30
15
20
10
10
5
0
再資源化率(%)
総排出量(ton)
(4) 本社からのフィードバック
本社管理部門は、現場からの日常管理に関する情報を受けて、
・ 改善すべき事項
・ 目標達成の進捗率 他
について、現場にフィードバックする必要があります。
改善すべき事項のフィードバックは、例えば、廃棄物の排出量が当初予測とずれている場合、
その旨を現場に通知し、是正方策を現場に考えさせることが挙げられます。
なお、期初設定した目標に対する進捗率を、例えば、再資源化率、処理委託量、社内減量化量、
再資源化量の月別データをプロットし(下図のようなグラフを本社及び各現場ごとに作成する)、
目標達成の見込みについて、現状どのような状況にあるかを各現場に対して通知することも重要
であると考えられます。
再資源化量
社内減量化量
処理委託量
再資源化率
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12
月
産業廃棄物の処理・リサイクル実績の推移
(5) 現場間における情報共有
現場間での情報共有すべき項目としては
・ 各現場における分別回収の方法
・ 採用している処理・リサイクル(3R)の方法
・ 取引先の廃棄物処理業者に係る情報 他
などが考えられ、各現場のより効果的な取組を採用できるよう、現場間の連携体制を構築するこ
とも本社管理部門にとって重要な事項です。
本社管理部門
電 話 、 FAX 、
日常的な情報の流れ
e-mail 等
必要に応じた情報
の流れ
現場間の情報共有
現 場
現 場
現 場
・・・
ナレッジシェアのためのプラットフォーム構築
2.47
現 場
(6)実績報告の方法
○ 本社一元管理
・ 上述した通り、実績報告の結果を積み上げて評価し、フィードバックするという主旨から
すれば、本社一元管理が望ましい。
・ ただし、本社で管理できるのは、紙ベースまたは電子上のデータであり、本社管理部門は
定期的に現地視察を行う必要があります(→2.5.2 社内監査とも関連)
。
(参考)全社的情報インフラの構築による実績集計
<本社ベースでの統括管理部門の業務>
廃棄物に関連する情報を全社的な情報インフラで管理することにより、速やかなデータ検索、
全社ベースでの実績集計を行うことができます。
このようなシステムで管理可能なデータとしては、
・廃棄物の発生状況
・廃棄物の分別管理の状況
・廃棄物処理・リサイクル事業者への委託に係る状況
・廃棄物処理・リサイクル業者に係る情報
・マニフェスト管理に係る情報 他
が挙げられます。
(手作業での管理に比べると格段に効率的ですが、システム構築費用が膨大なため、中小事業
者の導入は困難です。)
製造業A社による廃棄物等管理システム画面①
2.48
製造業A社による廃棄物等管理システム画面②
注)上記のような全社的情報インフラはあくまで社内的な日常管理に利用することが望まれます。
処理・リサイクル委託先との情報共有等のツールとして利用する場合、委託先が各排出事業者
独自のシステムに対応できる体制を構築しなければならず、過剰な負担を強いることになる可
能性が想定されます。従って、対外的な情報共有や取引においては電子マニフェスト等、処理・
リサイクル業界において統一されたシステムを利用することが望まれます。
2.49
2.5.2
社内監査のあり方とは?
本項の内容
○ 廃棄物の適正処理・リサイクル(3R)の取り組みについて、ISO14001 内部監
査と同様、社内監査という形で、評価する必要があります。
○ 社内監査においては、監査スキームの構築等、社内制度の策定が必要となります。
○ また、社内監査結果を行った結果から、計画の見直しや改善事項について、現場
へフィードバックする仕組みを策定する必要があります。
○ ここでは、効率的な社内監査のあり方に関するポイントを示します。
(1)社内監査
○ ISO14001 内部監査との相違
社内監査は、ISO14001 における内部監査と類似しているが、ISO14001 内部監査はシステム
の監査である一方、この社内監査は現場管理等の状況を主としたものである点が相違点である。
下表に、製造業A社における社内監査と ISO14001 内部監査との相違を示します。
A 社における社内監査と ISO14001 内部監査との比較
社内監査
ISO14001 内部監査
①位置付け
・A 社基本規定に基づく社内監査
・ 規格の認証取得・継続の前提条件と
しての自主監査
②目的
・事業場、関係会社の環境保全活動の ・ システムの適合性・有効性及び運用
評価及び保全技術 TT
状況の確認
(TT:Technical Transfer)
③監査員
・ 内部監査員有資格者
(3∼5名)
④監査時期
・年1回の定期実施
・ サイト内環境保全責任者が指名する
主任監査員及び監査員
(必要人数、独立性の確保)
・審査機関による審査前(1∼6ヶ月前)
⑤ 主 な 監 査 ・ EMS、現場管理、自主行動計画、技 ・サイト全体の EMS 構築、機能、運用
項目
術の4項目
状況及び部門での運用状況
○ 監査内容
製造業 A 社においては、上表に示した通り、
・EMS(環境マネジメントシステム)の運用状況
・現場管理の状況
・自主行動計画の達成状況
・技術レベルの確認
の4項目を挙げています。
また、製造業 B 社では処理委託遵法チェックも行っています。内容は次頁に示す表の通りで
す。
2.50
表
製造業 B 社における廃棄物処理に係る遵法チェック内容
1.産業廃棄物と一般廃棄物
① 発生する廃棄物を産業廃棄物と一般廃棄物に分けて扱っていますか
② 産業廃棄物の保管場所に掲示板を設置していますか
③ 保管は囲いのある場所か、物置庫、コンテナ等を利用していますか
④ 保管場所で、はえ、蚊、汚水、悪臭等が発生しないよう対策していますか
⑤ 産業廃棄物は、処理基準に従い自分で処理をするか、許可を受けた専門業者に委託してい
ますか
2.処理を委託するには
① 収集運搬業者と処分業者の許可証の写しをもらっていますか
② 収集運搬業者は、排出地と運搬先となる施設がある都道府県で、許可を受けていますか【許
可証の写しで確認】
③ 収集運搬業者の許可の範囲として、委託している産業廃棄物の品目が取り扱えるようにな
っていますか【許可証の写しで確認】
④ 処分業者は施設のある都道府県等の許可を受けていますか【許可証の写しで確認】
⑤ 処分業者の許可の範囲として、委託している産業廃棄物の品目が取り扱えるようになって
いますか【許可証の写しで確認】
⑥ 収集運搬業者と運搬に関する委託契約を書面で結んでいますか
⑦ 処分業者と処分に関する委託契約を書面で結んでいますか
⑧ 設問⑥、⑦における委託契約書には、必要事項にある項目がすべて含まれていますか
⑨ 契約書は添付書類を含めて 5 年間保管することにしていますか
3.マニフェストの使い方
① 産業廃棄物を引き渡す際には、必ずマニフェストを交付していますか
② マニフェストは、会社で定めたマニフェスト様式を使用していますか
③ マニフェストに、必要事項を全て記載しましたか。記入が必要ない欄は、斜線で抹消しま
したか。契約書に記載されていない廃棄物の運搬・処理を委託してませんか。
④ マニフェストは、適正に運用されていますか
4.マニフェストが戻ってきたら
① 交付したマニフェストは定められた期限までに返送されていますか
② 返送されたマニフェストに、処理業者側の記入・押印が全てされていますか。記載内容や
日付はおかしくありませんか。
③ 返送されたマニフェスト E 票に記載された最終処分の場所は、処分業者との委託契約書に
記載された場所と一致していますか。
④ 返送されたマニフェストは、5年間保存していますか。
5.マニフェスト運用上の事故への対処
① 交付したマニフェストが、定められた期限までに返送されていない場合、収集運搬業者や
処理業者に催促をしていますか。
② 返送されたマニフェストの記載内容に誤りや漏れがあった場合、収集運搬業者や処理業者
に訂正や記載の指示をしていますか。
③ マニフェストの返送期限超過や、その他の使用方法及び記載内容に法律違反があった場合、
行政に報告していますか。
2.51
○ 監査員の資格制度
内部監査員について、資格制度を定めることが望ましいです。これには、
・社内監査レベルのベースセットの意味合い
・社内監査の位置付け向上
などの意義があります。
監査項目に EMS を含めるなどのことから、ISO14001 の内部監査員をメンバーに加えるこ
とも効率的と考えられます。
監査員は、本社管理部門および事業所等の現場担当が就くことが望ましいと考えられます。
○ 監査対象
廃棄物ガバナンスの観点からすると、取引先や流通関係などサプライチェーンを通じた全て
の関係主体を監査するのが本来は望ましいですが、現実的にはそれは不可能なので、本社、支
社・支店、事業場、関連子会社等、本社の系列下を対象とするのが望ましいと考えられます。
ただし、大企業になると、その数もかなりのものになるため、基準を設けて選抜した対象につ
いて実施するか、ないしは、抜き打ち検査的に実施対象を決めるような方策をとるのも有効と
考えられます。
○ 監査時期
監査の頻度は年1回を標準とし、監査時期は各年度の計画に対する達成状況をなるべくフォ
ローできる時期が望ましいと考えられます。監査のスケジュールとの兼ね合いもありますが、
できれば、年度末に近い時期に一斉実施し、次期計画に反映できるよう調整することが望まし
いと考えられます。
(2)監査結果のフィードバック
○ 内部監査結果の報告とは
本社管理部門は、日々現場担当より上がってくるデータと年1回の内部監査により得られる
現場の状況を総合し、各現場における期初計画の達成状況を把握し、経営層または担当役員に
報告します。
担当役員による評価、大枠の改善方針を受けて、本社管理部門として各現場に改善指示およ
び次期計画を連絡し、監査結果を現場にフィードバックします。
○ 報告のタイミング
現場で気付いた点については監査時に具体的な改善提案を行うものとし、その後は各監査対
象における内部監査結果と付き合わせること等により、著しくルールを遵守できていない点等
の改善事項を報告します。
従って、報告のタイミングとしては、各監査対象の監査を一巡した後となります。
○ 報告の内容
報告内容としては、
・現場における改善推奨事項・・・例)分別排出方法の改善、帳票類の管理状況
・全社行動計画における指摘事項・・・例)最終処分量の削減目標の遵守状況
といった内容が挙げられます。
○ 報告の流れ
報告の流れとしては、本社管理部門が実績把握の結果から報告内容を決定し、現場責任者に
報告します。報告を受けた現場責任者が、現場各担当者に報告する、現場内での情報連絡体制
を整備しておくことも重要です。
2.52
トピック:社内監査における改善指示等の方法
製造業 A 社では、事業場に対する本社による内部監査を1年に1回行っていますが、監
査において、まず現場におけるやり方を聴取し、その上で、改善提案は行いますが、強制
的な指示は出しません。分別等のマニュアルも全て事業場が独立して作成しているとのこ
とです。
事業場の自主性をある意味重んじるとともに、本社から一元的な指示を全事業場に出し
て、うまく行かない事業場があった場合の反発を防ぐ効果もあります。
従って、本社で取り決めるのはどの事業場、関連会社等にも適用できるルールとし、現
場における詳細な取り決め事項は、各事業場等の特性等を考慮した上で、本社と現場が適
切に連携しながら構築していくことが望まれます。
(3)インセンティブ付与
実績把握・社内監査を行うことにより、各現場における廃棄物適正処理・リサイクル(3R)
の取組の状況、達成度を把握し、向上させる上で、取組や達成度が優れている現場に対してイ
ンセンティブを付与すうことも重要と考えられます。
インセンティブ付与の方法として、廃棄物適正処理・リサイクル(3R)に関する社内表彰
制度の創設が考えられます。期初に目標を策定した組織ないし個人に対して、その取り組み内
容及び結果が会社に大きく貢献したと評価される場合、その組織ないし個人に対し、表彰を行
うことにより、更なる意識改革に繋がるものと考えられます。
また、社外の表彰制度(国や業界団体が策定しているような制度)に会社として応募するこ
とも同様に有効であると考えられます。
トピック:リサイクル付加金制度
流通業A社においては、取引先の廃棄物処理業者が、単なる処理よりもリサイクルに取り
組むようにするため、高コストになる分を緩和するリサイクル付加金を通常の契約金に上乗
せすることにより、取引先のリサイクルに対するインセンティブ向上に努めています。
2.53
2.5.3
情報発信のあり方とは?
本項の内容
○ 排出事業者が、廃棄物の適正処理・リサイクル(3R)に向けた取り組みを、外
部発信を通じて社外に公開することは、自らの取り組みの改善、向上に役立つも
のです。
○ 外部発信の相手先は、顧客、取引先、投資家、地域住民等、様々であり、それぞ
れに応じた情報発信すべき内容と発信媒体を検討する必要があります。
○ここでは、各発信対象に応じた外部発信すべき情報の内容と発信媒体について示し
ます。
(1)顧客に対する情報発信
発信すべき内容としては、
・ 排出事業者による廃棄物対策のどの部分が商品化の際に考慮されているのか
・ (消費財の場合、)消費者としてのリサイクル等への協力が、具体的にどう生きているのか
といった事項等が、ポイントとして挙げられると考えられます。
排出事業者が廃棄物削減によるコストダウンをアピールするだけでは、顧客にとって廃棄物
適正処理・リサイクル(3R)の取り組みに協力するためのモチベーション向上には繋がらな
いと考えられます。
上に示したように、より顧客の側に立った情報を発信するためには、以下のような媒体を活
用することが有効であると考えられます。
□環境報告書
環境報告書を活用し、廃棄物対策と商品化との関係の説明、主要な商品に係るリサイク
ルの状況を示すことが効果的と考えられます。
□商品パッケージへの記載
個別の商品に係るリサイクル対策や廃棄物対策に関しては、商品パッケージに記載を入
れるなど工夫することにより、消費者の商品選択時に情報を伝達しやすくなるものと考え
られます。
□ホームページやマスメディアの活用
広く、自社の取り組みを紹介するには、ホームページや、新聞(広告)、テレビなどのマ
スメディアを活用することも考えられます。ただし、マスメディアの場合、伝達できる情
報量が限定されることに留意する必要があります。
(2)取引先に対する情報発信
発信すべき事項としては、
・ 廃棄物対策の計画・施策とその達成度合い
・ 廃棄物対策として、どのような部分に注力しているのか 等
といった事項が考えられます。
排出事業者にとって、計画・施策の内容と達成度を伝えることにより取引先の信頼を得るこ
とが重要であるとともに、自社が廃棄物対策として取り組んでいる内容を具体的に伝えること
により、取引先の協力を得ることも重要なポイントです。
このような情報を発信するためには、以下のような媒体を活用することが有効であると考え
られます。
2.54
□環境報告書
廃棄物ガバナンスの構築・運用の実績を示します。
□取引先向けの冊子・リーフレット
取引先に対しては、
「当社はこのような廃棄物減量化等の対策を行っているため、このよ
うな協力を得たい」ということを示した冊子・リーフレットを、取引先の種別に応じて作
成することが望ましいと考えられます。
(3)投資家に対する情報発信
発信すべき内容としては、
・ 企業の経営や財務における廃棄物対策の位置付け
・ 廃棄物対策の計画・施策とその達成度合い 等
が考えられます。
排出事業者にとって、廃棄物対策は経営に影響を与える重要な要因であり、投資家に対して
自らの取り組みの内容とその結果を発信し、市場の評価を仰ぐことが重要であると考えられま
す。
これらの情報を発信するためには、以下のような媒体を活用することが有効であると考えら
れます。
□有価証券報告書
企業の財務情報に、廃棄物ガバナンスの構築・運用が企業経営に対してどのような影響
を与えたかを示します。
□環境報告書
廃棄物ガバナンスの構築・運用の実績を示します。
□ホームページやマスメディアの活用
自社ホームページや新聞やテレビなどの媒体を通じて、自社の廃棄物対策をアピールす
ることが効果的と考えられます。新聞の場合、一般紙だけでなく、財界紙なども対象にプ
レスリリースすることが有効と考えられます。
(4)地域住民に対する情報発信
発信すべき内容としては、
・ 各地域の現場(事業場等)における廃棄物対策の計画・施策とその達成度合い
・ 行政と排出事業者のコミュニケーションを踏まえた施策の実行とその結果 等
が考えられます。
これにより、各現場ごとに廃棄物管理の実施内容が異なることが説明することができるとと
もに、排出事業者が個別、かつ真摯にそれぞれの地域に応じた対応をしていることを伝えるこ
とも可能です。
このような情報を発信するためには、以下のような媒体を活用することが有効であると考え
られます。
□サイトレポート
各地域での、行政と排出事業者のコミュニケーションを踏まえた施策に関しては、環境
報告書のような全社的な実績報告書よりも、サイトレポートのほうが適している。
□現場見学や住民説明会の実施
地域住民とのコミュニケーションを図るには、実際にどのような取り組みを行っている
のか、現場を見学していただきながら説明するなどして理解を得るとともに、地域住民の
疑問や改善してほしい点を抽出する場を設けることが効果的であると考えられます。
2.55
媒体(例)
排出事業者
環境報告書
ホームページ
冊子・リーフレット
サイトレポート
マスメディア
有価証券報告書
現場見学・住民説明会
商品パッケージ
図
地域住民
○
○
○
○
○
○
○
情報発信先と発信媒体
情報発信
顧客
顧客
○
○
発信先
取引先 投資家
○
○
○
○
情報発信
取引先
顧客
情報発信
排出事業者
投資家
情報発信
地域住民
トピック:環境コーナーの設置
製造業A社では、各事業所に環境コーナーを設置し、廃棄物適正処理・リサイクル(3R)
向けた目標・行動計画とその取り組み状況を公開しています。取引先を含めた社内外に取組
状況が一目瞭然となることにより、自らの取り組みの改善意欲を高めるという効果を得られ
ています。
2.56
2.6
危機対応
本章の目的
○ 廃棄物の処理・リサイクルは、廃棄物処理法によりその方法や実施できる者等が
規定されており、安易な委託業者の選択や委託業者任せの処理・リサイクルは法
律違反等の形で企業経営にマイナスに繋がる可能性も否定できません。
○ 廃棄物処理法をはじめとする関連法制度の違反による罰則の適用やそれに伴う社
名公表は、企業経営にまで影響を及ぼす可能性があり、排出事業者としては法違
反が起きないよう未然防止に努める一方、万が一の場合に備えた危機管理体制を
構築しておく必要があります。
○ ここでは、廃棄物の処理・リサイクルに潜む企業経営リスクと廃棄物処理法に基
づく違反事例や罰則、またそれらへの対応等について示します。
本章の構成
2.6.1
なぜ廃棄物の処理・リサイクル問題は企業経営リスク
となるのか?
企業を経営していく上で、廃棄物の処理・リサイクル等を巡ってどのようなリ
スクが潜んでいるかについて示します。
2.6.2
廃棄物処理法には具体的にどんな罰則があるのか?
廃棄物処理法に挙げられている罰則項目について示します。
2.6.3
廃棄物処理法の違反はどのように公表されるのか?
廃棄物処理法違反に伴う排出事業者への行政処分の適用と公表について、その
事例を示します
2.6.4
危機対応のあり方とは?
廃棄物の処理・リサイクルに係る危機への対応について、実態把握、情報流
通、社外対応のポイントを示します。
2.57
2.6.1 なぜ廃棄物処理・リサイクル問題は企業経営リスクとなるのか?
本項の内容
○廃棄物の処理・リサイクルを実施する際には、遵守すべき法律があります。このた
め安易な委託業者の選択や委託業者任せの処理・リサイクルを続けることには様々
なリスクが潜んでいることを認識しなければなりません。
○特に、排出事業者自らが廃棄物の処理・リサイクルを全て実施できるケースはまれ
であり、実際には処理・リサイクルの一部または全部を外部の業者に委託しなけれ
ば行うことができないため、管理が行き届かない可能性があります。
○ここでは、廃棄物の処理・リサイクルに伴うリスクについて、なぜ企業経営リスク
となりうるのかについて示します。
(1)廃棄物処理法の違反による排出事業者への影響
○ 罰則
廃棄物処理法により、違反に対しては罰則が排出事業者に対して課せられることと定めら
れています。特に、両罰規定(2.6.2 参照)により、その行為実行者が一従業員に過ぎない場
合でも、法人に対して罰則が課せられることになりますので、従業員のコンプライアンス意
識を日常的に喚起しておくことが必要です。
○ 企業経営に与える影響
排出事業者として法令違反を放置して必要な措置を執らない場合、排出事業者に罰則が課
せられ、社名等が公表される可能性があります。このことは、廃棄物を巡るリスクが企業の
信用を低下させ、企業経営上のリスクになることを示しています。
例えば、不法投棄事件に巻き込まれ、原状回復措置命令が出された場合にはその費用の負
担が求められますし、またそれ以上に社名公表による顧客や取引先への影響は図り知れませ
ん。罰金なども一時的には企業経営に少なからず影響がありますが、最も排出事業者にとっ
て大きいのは、社名公表によるイメージダウンが考えられます。廃棄物処理法違反により、
取引先の信用を失墜し、業務上不都合な状況に追い込まれる可能性が考えられます。
(2)廃棄物の処理・リサイクルを巡るリスク
廃棄物の処理・リサイクルを巡り法令違反を犯しやすいポイントとして代表的なものを以下に示
します。
○廃棄物収集運搬・処理委託先の許可の失効・取り消し、廃業等
廃棄物の収集運搬・処理の許可を持っていない業者に委託することは論外ですが、これまで
廃棄物の収集運搬・処理を委託してきた業者の許可が失効になる、取り消しになる、あるいは
急遽廃業するようなケースも考えられます。このため、委託業者の許可取り消しになっていて、
排出事業者が気付かないうちに無許可業者に廃棄物の収集運搬・処理を委託しているといった
状況が起こり得ます。
このため、委託先の許可が失効、取り消し等になっていないか定期的に確認するとともに、
違反事件等に関わりがないか、都道府県等に確認する必要があります。また、こうした事例に
遭遇した場合に廃棄物の委託先を失って、その処理に困ることのないように、通常委託する会
社とは別に、契約先を持っておき、万が一のときに備えることが必要と考えられます。
2.58
○マニフェストの不交付、管理違反
マニフェストは廃棄物を引き渡す際に交付して終わりではありません。期限内に収集運搬業
者、中間処理業者から返送されていることを確認し、内容についても問題がないかどうか照合・
確認する必要があります。また、一定期間の保管も排出事業者に義務づけられています。
マニフェストが期限までに返送されないことそのものは排出事業者の責任ではありませんが、
返送さえないまま放置し、収集運搬業者、あるいは処理業者に対し、必要な確認、指示、督促
等をしていない場合は、排出事業者にも原状回復命令等の行政処分が科せられます。マニフェ
ストの回収期限については、不適正処理リスクの低減の観点から、廃棄物処理法が定める期間
よりも前に収集運搬業者、あるいは処理業者に対し、確認、指示、督促等を実施する仕組みを
構築することが重要です。
○不法投棄(典型パターン)
近年、ゼロエミッションなどの廃棄物に関する企業の取組が進む中で、ゼロエミッションを
達成しているにも関わらず、不法投棄の現場から、その企業の廃棄物が発見されることがあり
ます。これには、以下のようなケースが考えられます。
・ リサイクルしているはずの委託先から不正ルートに流出している
・ グループ企業、委託生産先企業などから不正ルートに流出している
・ 流通ルートからの廃棄物として不正ルートに流出している
・ 過去の不法投棄現場が今になって発覚する 他
このように、不法投棄を撲滅するためには、自社の範囲内だけでなく、グループ企業やサプ
ライチェーン、流通過程まで目配せを行い、自社の製品等が不適正処理されないよう、留意す
る必要があります(廃棄物ガバナンスの考え方)
。
トピック:不法投棄されやすい品目
不法投棄が多い業界というと、建設業界、特に住宅業界と思われがちですが、実際には「汚
泥」の不法投棄が多く見られます。
汚泥は、
「食品系汚泥」
「建設汚泥」「下水道汚泥」が代表的なものですが、排出量が多いの
は「下水道汚泥」です。
ただ、汚泥には社名が書いていないので不法投棄されても発覚しにくく、業種の特定も自
治体の担当者が熟練していなければ困難であり、不法投棄としての割合は統計的には少なく
なります。
また、廃自動車や廃タイヤの不法堆積、シュレッダーダストの不法投棄も多いですが、こ
れも統計には載っていないケースが多いです。
家電リサイクル法適用外の廃家電についても、リサイクルや輸出を前提として、大量に堆
積される例が増えています。
また、廃プラスチックについては、印刷業界から、食品や家庭用品のパッケージのテスト
印刷くずや切断くずとして、大量に排出されており、不法投棄も多く行われているようです。
○処理責任が曖昧になりやすい廃棄物
通常の事業活動に伴い、排出される廃棄物に関しては、管理の目が届きやすい状況にありま
す。しかし、以下のようなスポット的に発生する廃棄物については、排出者責任などについて
排出事業者が把握していない場合もあり、留意する必要があります。
① イベント等で出展する展示品廃棄物
これについては、出展の際に工事を請け負った施工会社が排出者となります。出展企業
が排出者ではないとしても、企業名が入った廃棄物が不法投棄現場から出てきた場合には、
その対応に追われることになります。従って、施工業者に対し、廃棄の際にどのように処
理を行うのか確認し、不十分な場合には適切な指導を行うことが求められます。
② 販促物
販促物については、大量かつスポット的に製造・廃棄されるので、日常的に排出される
2.59
廃棄物とは異なる手続きで処理される(場合によっては、廃棄物担当に情報が行かないま
ま処理される)ことも多いようです。
このような特異な廃棄物に対しても適切に対応できるような仕組みをつくっておく必
要があります。
③ 不良品・在庫品
不良品・在庫品についても、販促品と同様に、日常的に排出される廃棄物とは異なるパ
ターンで蓄積され、廃棄されるものと考えられます。
このような特異な廃棄物に対する処理手続きを策定することが必要です。
④ 海外に輸出される再生資源・中古製品
有価物として売却していても、実際は海外に輸出され、現地の環境負荷を高めるような
事態に陥っている可能性も考えられます。
そのため、有価物の場合にも、不適正処理に繋がらないよう委託する相手を適切に選定
するとともに、ものの流れを確認する必要があります。具体的には、委託先で適正にリサ
イクルが行われているか、また委託先から海外に有価物として売却されている場合に、現
地で適正に取り扱われているか(リサイクルされず、不法投棄等に繋がっていないか)等
について、十分に確認することが必要です。
(注)再生資源・中古製品を輸出する場合は、関税法をはじめ、主に以下に示すような関
係法令があり、所定の手続きを所管省庁にて適切に行う必要があります。
<再生資源・中古製品を輸出する際の関連法令>
外国為替管理法、輸出貿易管理令、
廃棄物処理法、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(バーゼル法)、など
設置許可の
ない施設へ
の処理処分
委託
無許可業者
への委託
リサイクル
最終処分
許可のない
海外輸出
市況変動等
による廃棄
物としての
取扱の必要
廃棄物等の
最終処分までの確認
有価物売却
(海外輸出等)
中間処理
不法投棄
収集運搬
マニフェス
トの不交付
自社の事業活動
(例:設計、原材料調達、
製造、流通・販売)
マニフェス
トの虚偽記
載の放置
サプライチェーン上の
廃棄物等に係るマネジメント
取引先の事業活動
(例:販売)
処理責任が
曖昧な
廃棄物
廃棄物の処理・リサイクルを巡る法令違反のポイント
2.60
返送されな
いマニフェ
ストの放置
・イベント等の展示品の廃棄物
・販促品の廃棄物
・不良品・在庫品
2.6.2
廃棄物処理法には具体的にどんな罰則があるのか?
本項の内容
○廃棄物の適正な処理・リサイクル(3R)を推進する上で、排出事業者は廃棄物処
理法を遵守しなければなりません。廃棄物処理法は、排出事業者が「企業の社会的
責任」を果たす上で最低限守らねばならない事項を定めたものです。
○しかし、どのような廃棄物処理法ではどのような罰則が廃棄物処理法にあるのか、
また廃棄物処理法違反を起こしてしまった場合にどのような罰則を受けるのか、に
ついて多くの排出事業者は知らないケースが多いものと思われます。
○ここでは、排出事業者が廃棄物適正処理・リサイクル(3R)を行う上で留意すべ
き、廃棄物処理法上の違反行為と罰則について示します。
(1)廃棄物処理法における排出事業者の違反行為
廃棄物処理法での主な違反行為は下記の通りです。違反行為に対しては、厳しい罰則がありま
す。
・無許可業者への廃棄物の処理の委託
・法の定める基準に適合しない委託
・法の定める方法以外の処理
・マニフェストの不交付、虚偽記載
・行政の措置命令に従わず、必要な措置を執らないこと
(2)廃棄物処理法における罰則規定
廃棄物処理法においては、第五章の第25条から第33条にわたって罰則が規定されています。
次頁の表に示すように、廃棄物処理法の違反行為を犯した者には、
・ 3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金またはこの併科
・ 5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金
・ 30(50)万円以下の罰金
・ 1億円以下の罰金(産廃の不法投棄の場合)
のような罰則が課せられます。次頁の表に廃棄物処理法における違反行為と罰則規定を示します。
排出事業者は、廃棄物処理のルールは法律で厳しく定められており、それに違反した場合には
罰則や社会的制裁(ブランドイメージの喪失等)を受ける可能性がある重大事であることを、正
しく認識する必要があります。
トピック:両罰規定
廃棄物処理法においては、法人における従業員等が、廃棄物処理法第 25 条、第 26 条また
は第 28 条から第 30 条までの各罰則規定に該当する違反行為を行い処罰されたとき、行為実
行者が処罰されることとは別に、「その事業主である法人又は個人に対しても同罪の罰金刑
を科する」と定められています。
尚、その違反行為が産業廃棄物の不法投棄の場合には、行為実行者に対する刑罰とは別途、
「1億円以下」の罰金刑を当該法人に対して課するものとされています。
2.61
表
違
反
行
排出事業者(排出事業者としての中間処理業者を含む)に対する罰則
為(廃棄物処理法条文)
措置命令違反(一部※)
第 19 条の 5 第 1 項
違反行為の内容
罰
則(廃棄物処理法条文)
行政の措置命令に関わらず必要な措置を行わなかったこと
第 25 条第 1 項第 3 号
第 19 条の 6 第 1 項
無許可業者へ産業廃棄物等の処理を委託したこと
無許可業者への委託禁止
第 12 条 3 項
違反
第 12 条の 2 第 3 項
廃棄物の不法投棄
第 16 条
産業廃棄物等をみだりに捨てたこと
委託基準違反
第 12 条第 4 項
産業廃棄物の収集運搬、処分の委託にあたって、基準に適合
しない委託を行ったこと。産業廃棄物等の委託を受けたもの
が、再委託を行ったこと
法に定められた方法以外で産業廃棄物を焼却すること
2.62
再委託基準違反
第 12 条の 2 第 4 項
廃棄物焼却禁止違反
第 16 条の 2
管理票交付義務違反、
第 12 条の 3 第 1 項
虚偽記載、記載義務違反
第 15 条の 4 の 5 第 2 項
管理票写し保存義務違反
第 12 条の 3 第 5 項
電子管理票虚偽登録
第 12 条の 5 第 1 項
第 15 条の 4 の 5 第 2 項
帳簿記載義務違反
第 12 条第 11 項
帳簿不備
第 12 条の 2 第 12 項
5 年以下の懲役若しくは 1000
万円以下の罰金
第 25 条第 1 項第 8 号
第 26 条第 1 項第 1 号
3 年以下の懲役若しくは 300 万
円以下の罰金又はこの併科
第 26 条第 1 項第 8 号
産業廃棄物管理票を交付しない、または必要な事項を記載し
ない、虚偽の記載をしたこと
送付を受けた産業廃棄物等管理票の写しを5年間保存しなか
ったこと
排出事業者が電子管理票を登録する場合において、虚偽の登
録をしたこと
第 25 条第 1 項第 4 号
第 29 条第 1 項第 1 号
50 万円以下の罰金
第 29 条第 1 項第 5 号
第 29 条第 1 項第 7 号
帳簿を備えず、若しくは虚偽の記載をしたこと。または、保
存をしなかったこと
第 30 条第 1 項第 1 号
帳簿虚偽記載
帳簿保存義務違反
第 12 条の 2 第 6 項
特別管理産業廃棄物管理責任者を設置しなかったこと
第 18 条
行政が産業廃棄物等の処理等について報告を求めたにも関わ
らず報告をしないか、又は虚偽の報告をしたこと
第 30 条第 1 項第 5 号
立入検査又は廃棄物の収
第 19 条第 1 項
行政の立ち入り検査を拒み、妨げ、又は忌避したこと
第 30 条第 1 項第 6 号
去の拒否妨害忌避
第 19 条第 2 項
両罰規定
(第 25 条第 8 号)
法人の代表者、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者 産業廃棄物の不法投棄は 1 億
が、左記罰則規定に該当する違反行為をして処罰されたとき、 円の以下の罰金
その事業主である法人または個人も行為者と同罪の罰金刑を
各本条の罰金
科するというもの
第 32 条第 1 項第 1 号
特別管理産業廃棄物管理
30 万円以下の罰金
責任者不設置
必要な報告義務違反、
虚偽報告
(法人に対して)
(上記を除く第 25、26、
28∼30 条)
第 30 条第 1 項第 4 号
第 32 条第 1 項第 2 号
2.6.3
廃棄物処理法の違反はどのように公表されるのか?
本項の内容
○ 排出事業者にとって、廃棄物適正処理は法(廃棄物処理法)で定められた義務で
あり、遵守する必要があります。
○ 廃棄物処理法を遵守しない場合には、罰則が課せられる他、社名公表など企業経
営上の著しい影響が予想されます。
○ ここでは、廃棄物処理法違反に伴う排出事業者への行政処分の適用と公表につい
て、その事例を示します。
(1)廃棄物処理法に違反した排出事業者の公表
排出事業者として法令違反を放置して必要な措置を執らない場合、排出事業者に罰則が課せ
られ、社名等が公表される可能性があります。このことは、廃棄物を巡るリスクが企業の信用
を低下させ、企業経営上のリスクになることを示しています。
2002 年に発覚した青森・岩手県境の大規模不法投棄事件については、1.1.3 でも述べました
通り、排出事業者の社名公表にまで及ぶ事態となり、新聞報道等で有名になりました。
その他にも企業が罰せられ、社会的に公表されることがあります。
(2)公表事例
○ 公開事例
廃棄物処理法違反を行うと、新聞や自治体のホームページ等により公開されます。自治体
によってはホームページ上でこれまでの行政処分履歴の公表を行っているところもあります。
例えば、東京都のホームページ
(http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/sanpai/syobun/index.htm )
では、行政処分情報を確認することができます。
ここでは、以下のような情報が公開されています。
1.被処分者の名称・住所
2.処分内容
3.履行期限
4.その他、行政処分までの経緯・放置された産業廃棄物、等
2.63
東京都ホームページより
産業廃棄物の撤去命令(措置命令)について
平成○年○月○日
環境局
東京都は、本日、下記の者に対して、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」という。)に基
づき、行政処分を行いましたのでお知らせします。
記
次の者は、○○区○○町○丁目○番○号に産業廃棄物を野積みし放置した産業廃棄物処理の無許可業
者に、自己の産業廃棄物の処理を委託しました。(法第12条第3項違反)
よって、法第19条の5第1項第2号の規定に基づき、放置された産業廃棄物の撤去を命ずる行政処
分(措置命令)を行いました。
1
被処分者
1. 名称 ○○○○○○○○○○
住所 ××××××××××
2. 名称 ○○○○○○○○○○
住所 ××××××××××
3. 名称 ○○○○○○○○○○
住所 ××××××××××
2
処分内容
放置された産業廃棄物の撤去を命ずる措置命令
3
履行期限
平成○年○月○日(○)
※都では、排出事業者に対し行政処分を行うのは今回が初めてです。
(産業廃棄物処理許可業者への行政処分の例はあります。)
都は、今後も生活環境の保全を目的に、同様の事案に対し厳正に対処していきます。
問い合わせ先
環境局廃棄物対策部産業廃棄物対策課
電話 03−5388−3589
2.64
2.6.4
危機対応のあり方とは?
本項の内容
○排出事業者は、廃棄物の処理・リサイクル(3R)を適切に管理しなければ、企業
経営にも悪影響を及ぼすものであると認識する必要があります。
○そのリスクが発現しないように最大限の目配りを行う一方、仮に、リスクが顕在化
してしまった場合の対応方法について定めておく必要があります。
○排出事業者が、不法投棄に巻き込まれたり、作業中に突発的な事故を起こしたりし
た場合にも、適切な対応を執ることにより、その後の影響を最小限にすることが可
能になります。
○ここでは、危機対応のあり方とそのための組織体制について示します。
(1)危機対応の流れと対応事項
(廃棄物に絡む、考えられる緊急時(例))
① 警察又は行政から不法投棄の疑いで連絡があった場合
② 取引先廃棄物業者に行政処分が行われた場合
○ 初期行動
排出事業者にとって不測の事態が生じた場合、まず最初に取り組むべきなのが、実態把握です。
①の場合、
・事実関係の確認
排出者責任に違法性がないかを、契約書、マニフェストで確認するとともに取引先への問い
合わせを行うことが必要です。
その結果、具体的な対処方法を決定します。
②の場合、
・事実関係の確認
契約関係及びマニフェスト返却状況を確認し、処理未了の廃棄物の処理方法を検討します。
また、その他の対応方法について決定します。
そのためには
・ 契約書、マニフェストの整備
・ 取引先との連絡体制の構築
といった日常的な管理が徹底できていれば、上記のような不測時にも適切な初動がとることがで
きると考えられます。
トピック:取引先の廃棄物処理業者の方に何らかの事由で廃棄物を委託できなくなった場合
上の事例の2番目のような行政処分が行われた場合等、その取引先において廃棄物の受入
が(一時的に)停止する可能性があります。
製造業A社では、同じ廃棄物に最低2社委託契約を行い、仮に1社が何らかの事由で委託
できない状態になったときにも、廃棄物処理が滞ることがないようにしており、これも排出
事業者における危機管理の一例といえます。
2.65
初期行動
事実関係の確認
・・・契約書、マニフェスト、取引先への問い
合わせ等
対
処
自己に過失のない場合
・・・行政への事実関係照会
自己に過失がある場合
・・・復旧計画および事実関係の説明
(行政、他)
情報開示
・ 行政への報告
・ ストックホルダー、ステークホルダーへの
事実関係の説明
○ 対処活動
①の場合、基本的には、事実関係の結果、自社に責任が認められない旨を確認できる場合には、
所管の自治体担当部署向けに調査結果報告書を早急に提示し、自社に違法性がないという言質を
とりつける必要があります。ただし、自社に過失が認められる場合には、行政に対し自社の過失
範囲、復旧計画を適切に報告し、またストックホルダー、ステークホルダー双方に、事実関係の
説明を行う必要があります。
②の場合、マニフェスト未了の廃棄物が確認された場合には、それらの廃棄物が現在どのよう
に処理されているか、をその廃棄物を取り扱った実績のある収集運搬業者、中間処理業者、最終
処分業者に確認する等して、現在の状況を確認します。また、処理未了の廃棄物については、予
め別途契約を結んでおいた業者への委託に切り替えます。上記以外にも考えられる最善の策を施
して、自社の廃棄物リスクが顕在化しないよう努め、また顕在化した場合にも適切な手順を踏ん
でストックホルダー、ステークホルダー双方に対して、社会的責任を果たすべく行動する必要が
あります。
○ 情報開示
上記の局面では、廃棄物が不法投棄されていたことが事実である場合、速やかに行政だけでな
く、ストックホルダー、ステークホルダー双方に対し、説明責任を果たし、企業として今後どの
ような対策をとるのかを明示すべきです。
また、構内での事故による環境汚染などの場合も同様です。
2.66
逆に、容疑はかけられたが自己に過失がないことが確認された場合についても、何らかのルー
トからの風評が予想される場合には、釈明の場を設けることも必要かもしれません。特に、不法
投棄のように社会的影響が大きい場合や、周辺住民等に生活環境上の影響が及ぶ可能性がある場
合等には、適切な社外対応が必要です。目的としては、企業の社会的責任遂行や自社のブランド
イメージの維持が挙げられます。
伝える内容としては、
・ 事故等の内容(発生日時、内容、等)
・ 自社がとった措置内容
・ 今後の方針 他
が挙げられます。
トピック:福井県産業廃棄物等適正処理指導要綱(平成 8 年 6 月 21 日)
第5章第30条(事故時の対応)
排出事業者等は、処理施設について故障、破損その他の事故が発生し、生活環境の保全上支障
が生じたときは、直ちに当該事故について応急の措置をとるとともに、速やかに、当該事故の
状況およびとった措置の概要を、当該処理施設の所在地を所管する保健所長を経由して、知事
に報告しなければならない。
(2)情報流通体制
不法投棄、突発事故等の、不測の事態は全社に影響が及ぶ可能性があり、担当者で情報を止
めず、適切な連絡体制で情報流通に努める必要があります。
現場責任者
事故現場
担当役員
本社
作業員
環境担当
構内作業における事故対応の場合
本社
自治体等
担当役員
環境担当
不法投棄等による緊急対応の場合
なお、対応前、対応後いずれか、タイミングを見計らって、全社員に事故の経過を周知し、
同様の事故が発生しないよう徹底する必要があります。
トピック:製造業 A 社での危機管理体制
製造業 A 社では、以下のような体制で危機管理を実行。
・ 環境重大不具合処置規定の制定
・ 広報等も巻き込んだタスクフォースを組織化・・・原因究明、是正措置
・ 個別事故等の対応期間・・・2∼3ヶ月
・ 発生件数・・・年間2,3件
2.67
本支店担当者
○○○○
TEL
労働基準監督
○○○○
局
TEL
警察局
現場責任者
○○○○
○○○○
都道府県等産
○○○○
TEL
業廃棄物担当
TEL
TEL
収集・運搬業
○○○○
者
TEL
中間処理業者
○○○○
TEL
最終処分業者
○○○○
TEL
(建設業B社の緊急連絡体制を一部修正)
建設業B社の緊急連絡体制
トピック:作業中の事故対応
(例)委託している廃棄物処理業者の作業員が作業場から廃棄物を搬出する際、構内で荷(汚
泥)を崩してしまった。どのように対応すべきか。
ISO14001 を取得している企業の中には、事故対応に関する規定を定めている企業も多いと
思われますが、上記の例に示すような突発的な事故に対する具体的な規定まで定めている企業
は比較的少ないと考えられます。
この場合、定めておくべき項目としては、
① 排出事業者の役割(責任体制、実施体制、通報体制、費用負担、他)
② 運搬業者の役割
③ その他
・回収、清掃のための技術的事項(仕様器具や水の使用可否、等)
・地域住民への連絡
が挙げられます。
こうした自社において考え得る個々のケースに対して、どのように対応すべきかを対応規定
として定めておき、新たな事故が仮に発生した場合には追加するということが重要と考えられ
ます。
2.68
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