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訂正)効果的な交通事故防止策とは

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訂正)効果的な交通事故防止策とは
自動車事故を起こさないための
効果的な防止策について
平成27年9月10日
四国労働安全衛生コンサルタント事務所
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1 自動車事故防止は国民的課題
自動車事故が起これば、関係者・家族の悲しみは
大きい。
自分の安全は自分が守らなければならない。人に
守ってもらうことができない。
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香川県警交通情報提供システムから
H26年香川県の交通事故死亡者52名
〇月別・昼夜別
〇地域別・路線別
〇道路形状別・年齢層別・世代別
〇態様別・主な原因別
〇曜日別・時間別
〇男女別・死亡事故ゼロ長期継続の町
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2 事故対策の必要性
〇事故は、いつ発生するかわからない。『たまたま』事故はおこる。
〇何の対策もしていない場合に『事故』がおこれば『その悔しさ』
は計り知れない。
〇事故対策とは『その事故の発生の可能性やその事故の結果の
重篤度を低減する』 ことです。
【低減の措置とは】
~危険な経路は回避する・未整備の車両には乗務しない・カ
メラや警報装置や衝撃緩和の設備を増強する・業務の計
画・作業の手順の見直しを行う・安全確認呼称を実施する・K
Yをおこなう、運転技能テストをうけて癖をなおす、ボディプロ
テクタを再チェックする等~
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社員の交通事故の特徴
(過去発生の48件)
≪前表の事故類型分析においては≫
交差点の事故(23件)・追突の事故(26件)・早朝の事故
(14件)・35歳以下の事故(34件)が多いのが特徴です。
≪事故内容については≫
交差点の事故は、反対車線車両や交差車線車両とのタイミング
づれであり、交互の事態把握のづれです。
追突は、他車・自車の急な挙動を原因とする、追突側の事態の
把握遅れです。
早朝の事故は、急ぎ・あせりによる確認動作の省略、眠気状態
での危険感受性の低下です。
≪それらの真の原因を分析していくことが大切です。≫
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4 基本知識
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① 自動車運転と人間特性について
◎車の運転は、一人の判断と行動であり、同一平面上の道路には、挙動不測の歩
行者(とくに高齢者・子供)や二輪車や自動車が存在し、その上、運転者は、
自身の意識状態が絶えず変化している中で、※タスク競合や※外乱影響も絶え
ず受けています。このような複雑な情況の中で行われています。
≪タスク競合とは、運転中のラジオ選曲や携帯電話の使用やたばこの喫煙など》
≪外乱影響とは、他車のライトアップや天候など。≫
◎人は、時速3~10キロの走行能力をもつが、10倍の30キロ~100キロ
の時速のもと、自重何トンもあるような自動車を運転すること自体が、問題
を基本的にはらんでいます。
◎人間の意識状態は、緊張状態から、弛緩状態へ絶えず変化し、30分以上、同
じ状態をずっと持続することはまず困難と考えられます。このようななかで,
しかも、人間の本来に備わった10倍の状況に対応していくのは、難しいこと
です。
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② 2つの側面での自動車事故発生分析(1)
【事故の発生過程を顧みれば、】
まず、運転者の状況の認識から判断があり、判断に基づく運転行動
があり、また、偶然のなかで、飛び出し等の他の車や人の危険な状
態が加わり、その偶然を回避する能力である運転能力の要素が加わ
り、無傷の事故や有傷の事故、すなわち、交通事故の発生にいたり
ます。
《具体的な問題として、整理すれば、》
①認識の誤り
②判断の誤り
③行動の誤り
④回避能力の欠如
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② 自動車事故発生分析(2)
ヒューマン・ファクターの観点から見た事故発生プロセス
ヒューマン間接要因
ヒューマン・エラー
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③自動車事故の防止のためには、何が必要か
個人の不注意として事故を個人責任に帰することは簡単ですが、同
種事故の防止にはつながりません。事故の構造については、事故分
析手法に基づき、運転者の技量や自動車の機能や作業ソフトや運行
管理体制、他車・歩行者・二輪車の挙動・道路構造・交通標識など
のあらゆる要因の問題の検討が必要であり、また、時には行政や自
動車メーカーとの連携も必要となります。
≪ヒューマンエラー≫
人間の不注意は、事故の原因ではない。人間の不注意を引き起こす
ものが、原因である。
◎人間の不注意を引き起こす要因を検討することが、事故の構造を
明らかにすることである。特に、睡眠不足は、人の体の機能を低下
させ、人の注意力を低下させる大きな要因であり、また、標識の紛
らわしい表示、長時間労働などの仕事量の過大、疲労なども、大き
な要因です。
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④運行管理とは(参考)
安全運転管理者制度とは
(道路交通法第74条-≪平成2年≫)
≪乗車定員が11人以上の自動車においては、1台以上、その他自動車においては、5台以
上保有の事業場において、選任義務付け≫
安全運転管理者は、使用者の代務者として、自動車の安全な運転の確保に必要な業務を
行う立場。
業務の範囲は、①運転者の適性の把握(知識・技能・マナー)
②運行計画の作成
③交代運転者の配置
④異常気象時の措置
⑤点呼と日常点検
⑥運転日誌の備付
⑦安全運転指導
◎皆様の職場の安全運転管理についての、役割は、平成2年制定の社有車管理規定で
規定されています。
◎部長及び支店長が安全運転管理者で、日々業務は、マネジャーが、運行責任者とし
て任命配置されています。
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運行管理の重要性
運転者自身で、安全運転を心掛けることはもっとも大切なことです。特に
交通法規の遵守はもちろんです。しかし、交通労働災害は、業務との密
接な関係の中で発生するものです。交通ルールを守るだけではなかなか
防止することはできません。積極的に、運転技能・危険感受性向上や意
識低下状態の危険防止を達成する能力を高めることが、交通事故予防に
は不可欠であると同時に、運転者自身では、気付かない、また、判断でき
ない事故要因を周知し、また、具体的方策を指示することが委託事業者
として必要です。それが、運行管理の業務です。たとえば、無理な顧客と
の時間約束があれば、営業と相談して、時間をずらしもらうとか、体調不
十分と考えられる場合は別の要員を構えるとか、異常天候では、出発を
見合わせるとかなどです。それを行うのが運行責任者です。
運転者の力量向上を行うのが交通安全管理者です。
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⑤運転者の力量向上手法(交通法規の遵守を前提として)
【具体的項目】
A
危険感受性を高めて、危険な状況を予知する危険予知訓練教育
B
運転をひとつの技能と考えて、技能向上への運転技能教育
C
絶えず変化する意識状態に対応する安全確認呼称訓練
≪上記の内容は、人間生理や人間心理の基礎的理解に基
づくものでなければならないのは当然です≫
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B 運転技能教育
≪自動車安全運転添乗チェックリストによる≫
~いつ:6か月に1回 誰が:交通安全管理者・運行責任者・コンサルタト
どのように:30分コースで運転者をチェック ~
項目チェック・指導のポイント
評価ABC
乗降車時
一次停止
乗車前の車の周囲の危険の有無を確認したか
乗降車時のドアの開け方
(必要以上に大きく開けなかったか)
シートベルトは着装したか
降車前の後方確認をしたか
一時停止指定場所では停止線の手前で停止したか
停止後に左右の安全を確認したか
停止するときは急停止しなかったか
信号の変り目を予測して進行したか
姿勢
交差点通行
正しい姿勢で運転したか
座席の調整はよかったか
サイド・バックミラーを調整したか
発進時
発進時の後方確認はしたか
割込みスタートをしなかったか
加減速
不必要に急加減速をしなかったか
操作にリズム感があって滑らかであるか
法定速度にあったスピードで走っていたか
徐行場所では十分速度を落としたか
項目チェック・指導のポイント
評価ABC
交差点通過時に左右確認をしたか
手前で減速し、安全速度で通行したか
交差点内で針路変更や追抜きをしなかったか
優先車両を先に通行させたか
信号待でサイドブレーキをかけたか
相手車の飛出しを予測し通過したか
右左折
正しい順路で右左折したか
速度を十分に落として右左折したか
右折時に対向車を待つ間、センターラインを越えていなかったか
早めに右折・左折の合図をしたか
右左折の際は後方確認
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C 安全確認呼称訓練
なぜ有効か
人間の意識はたえず変化しています。たとえば、単調すぎたり、無意
味で価値がないと判断すると、意識が低下したり、ぼんやりします。危
険を見逃し事故を引き起こす。事故防止するために、意識低下の防止
方策として、安全確認呼称の有効性が証明されています。
安全確認呼称のやりかた
対象に目を向け、腕を伸ばして指を指し、声を出します。しかし、運転
動作中に、指を指すことは、危険で、呼称のみの実施。
例:歩行者注意・子供注意・横断歩道よし・右よし、左よし・右後方よし、
左後方よし等(職場に適合した呼称を作成)
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効果の上がる運転者教育とは
≪その事故が、どのような場所で、どのような形で起こっているか、その
原因としては、どのような人間側のヒューマンファクターがあるかという
教育が必要である。≫(財)労働科学研究所調査にもとづく
【道路状況について】
◎一般裏道での交差点における人間行動調査結果から
◎一般幹線での交差点における人間行動調査結果から
◎道路渋滞時の人間行動結果から
【運転者の行動特性研究からの成果】
【歩行者(子供)の行動特性について】
【二輪車の行動特性について】
【事故回避のできた理由について】
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⑥具体的な4つの知識
【A道路状況】
◎一般裏道での交差点における行動特性調査結果
◎一般幹線での交差点における行動特性調査結果
◎道路渋滞時の行動特性調査結果
1.一般裏道交差点では、自転車・歩行者・二輪車の予測できない危険な挙動が
多い。左折時に、自動車の左側(内側に)に割り込んできた二輪車、相手車両
の信号無視や優先関係無視(特に深夜)などあり。
2.一般幹線交差点では、交差点直前での急な進路変更(理由:積極的方向変更
か、意に反したレーンへの侵入回避)による予想外の挙動、青矢印信号の意
味の錯覚からの予想外の挙動、十分意思疎通のされない右左折での先行争
いや対向車の強引な割り込み、深夜の信号無視など。
3.渋滞時での急な車線変更(割り込み)やバイクのジグザグ走行あり。
渋滞中の走行で、ドライバーの注意低下による、発見のおくれ、ブレーキ操作
のおくれあり。
< 高速道路の本線と出口での迷い運転>
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【B自動車運転者の行動特性について】
1.裏道などの細い道で駐車などの妨害物があると(対向車の挙動を十分に確認しないまま)、対向車線
へはみだす車両が多い
2.右折車両と反対直進車両との合間の取り方は、ドライバーによって個人差が大きい、タイミングがずれ
るとヒヤリハットが起こる。
3.右折時に対向の直進車に気をとられて横断歩行者の発見が遅れることがある。
4.大型車の左折時に、自転車やバイクが車両の左側に入りこむことがよくある。
5.裏道や見通しのよい交差点では、深夜・早朝帯に停止信号の無視や一時停止を怠る車両が増える。
6.交差点の手前では、強引に進路変更する車両が多い。
7.渋滞時では、急に車線変更する車両(割り込み車)が多い。
8.バイクや自転車の挙動はドライバーにとって予測しにくいことがよくある。
9.ドライバーは高齢者や子供の挙動を予測できない。
10.意図(右折する為の挙動、進路変更のための挙動)が明確でないまま、急に挙動変更する車両があ
る。
11.他車に、携帯をかけながら運転するなど、タスク競合状態で運転をつづけるケースが多く見かける。
12.ドライバーの心身の状態は運転によって時々刻々変化している。
13.長時間の運転では、疲労や単調から眠気を起こしやすい。
14.深夜や明けがたは、誰もが眠くなる。
15.疲労や眠気は、前夜の睡眠不足のほか、渋滞時での運転、高速道路での連続運転時などでいっそう
強まる。
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【C歩行者(子供)の行動特性について】
1.免許持たない高齢者や子供は車両の挙動を理解できない。
2.子どもは、常に自分中心に考える。
3.子どもは、母や友達をおって、衝動的に行動する。
4.幼児及び低学年の子供の自動車の直前直後の横断が多い。左右の安全を確認せず道
路を横断しようとする。
5.小学高学年や中学生の自転車による安全運転違反が多い。(急にカーブを切ったりす
る。)
6.6歳以下の子供の飛び出しが多い・
≪結論≫
知能は低いものほど危険で、高知能者は安全性が大きい
感覚・知覚能は普通以上であればいい
反応動作面では、動作の速すぎや遅すぎは危険である
性格はもっとも重要視される。注意散漫・情緒不安定・衝動的・反抗的・自己顕示欲等の高
いもの、大きいものは危険な性格としてあげられる。
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【D二輪車の行動特性について】
1.二輪車は、不安定な乗り物である。バランスを崩すと転倒する。
2.二輪車の運転は、バランスと路面に注意が働く。
3.二輪車の運転者の目線は、側面よりも、路面中心になる。
4.左折大型車両の巻き込みに合いやすい。
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5 5つのわたしの心に残った交通心理学からの提言
①4時間走れば、30分休む、あるいは、1日の運転最大時間は9時間 を
めどにするとか、
②見通しの悪い交差点の出会いがしらの事故が多いのは、『見通しの悪い
交差点の確認はあまりしなくて、見通しの良い交差点の確認は好くされ
る』人間心理特性から出ています。
③アイカメラ実験により明らかにされたことですが、二輪車巻き込まれ
事故が多いのは、運転者の目線が路面に集中するため、側方への注意
が少なくなるためです。
④追跡的な視線の移動は、ベテランドライバーの場合、初心者のように
追跡的でなく、点から点へ素早く移動するいわゆるサッカード的で、
状況判断が早くできるようです。
⑤.若者の事故については、運転技術の過信とリスク回避能力過信です、
また、態度教育も不足されているためです。
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【事故回避のできた理由について】
何故、事故を回避し、ヒヤリハットですんだのか
1.類似体験により回避する予測ができた。
2.前兆を察知することで回避する予測ができた。
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6 安全運転にとって大事なこと
①十分な睡眠と休憩をとること。
②準備作業は念入りに。(段取り8分)
③事故リスクを小さくするための実行可能な 多様な対策を
考えること。
④運転者の意識状態が絶えず変化していることを認識するこ
と。
⑤業務(勤務)と安全の関連を検討すること。
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