...

資料3(8)(PDF:252KB)

by user

on
Category: Documents
3

views

Report

Comments

Transcript

資料3(8)(PDF:252KB)
平成 23 年 8 月 16 日
海外視察についてのまとめ
~ 公共交通と人との調和 ~
傳田 友樹
内
容:松本市次世代交通政策海外先進地視察
日
程:6/24(金)-6/30(木)
視察都市:ストラスブール,カールスルーエ・フライブルグ・パリ・ナント
視察趣旨:自動車に依存した社会構造を見直し、歩行者、自転車、公共交通と自動車が調和した、人や環境にや
さしい持続可能な交通のまちづくりを推進する「次世代交通政策」を具体化するため、先進地である海外(ヨーロッ
パ)の都市交通政策を視察調査する。
「自己テーマ:トラムを中心に歩行者、自転車、自動車がどのように共存しているのか。そして松本市に照らし合わせ
る時どのような問題があるのか。」
はじめに
わたしの自己テーマを踏まえて、交通先進国の特徴であるトラムが街にどう根付いているのかを今回の欧州海外
視察により調査した。事前に望月真一先生著による「路面電車が街をつくる-21 世紀フランスの都市づくり-」を読み、
現地に入る前の都市をイメージするのと各都市における整備計画の基礎知識を調べた。
定義:本レポートでは「歩行者空間」という意味のなかに自転車も含まれているものとする。
1.
トラムの印象
ストラスブールはフランスの都市整備において近年最も成果を上げた代表的な都市であり、トラムを中心とした都
市運営戦略を行ってきた。フランスでは、ストラスブールの成功以来、トラムは「都市整備の道具」であるという位置
づけが常識となっている。したがって、松本市においてもトラムの導入によって脱車社会・活気ある街づくりが形成さ
れることを安易に期待してしまう。ストラスブールでは数年間で抜本的な都市改造を成功させ、反対に日本は少な
からず、そのような都市整備は行ってきたが成果を上げていない。松本市に仮にトラムを導入したときに本当に機能
するのだろうか。視察に行ったストラスブールなどトラムが街に根付いている印象を受けたのを挙げてみる。
トラムが機能しているストラスブールを視察したとき、とても印象的だったのは人が賑わい、その賑わいの音が車に
よってかき消されていないことだった。そしてトラムがとても身近な存在であった。これらを感じた時、トラムがこの街に
とてもマッチングしていて、人を街を活性化させている機能であると考えた。活性化させる手段としてトラムは使われ
ているが、ストラスブールにおいて交通整備が果たす目的とは①車の通行と駐車を管理・削減すること、②公共交
通と自転車を優先し、マイカーの代替手段を推進すること、③公共空間を手に入れ美化することによって、歩行者
に最も優しい街づくりをすることの 3 点を挙げている。成果とは目的を忠実に果たした時に挙げられる。まさに、ストラ
スブールはそれを体現している。①において、1988 年の調査によると 74%が車を使い、公共交通は 11%の利用に
すぎず、クレベール広場周辺では 1 日約 5 万台の車が通行していた。しかし、トラムの導入によりパーク&ライドの併
設やクレベール広場を街の居間としての空間利用のために地下駐車場を設計し歩行者空間を中心に車を制限し、
管理した。2000 年の調査では 43%もの公共
交通の利用者が増えている。②の政策とし
てストラスブールはトラム以外で、90 年代か
ら 自転車専 用道の 整備に 力を入れ 延長
300km を超えている。③は上述の 2 点が発
揮されて、はじめて果たされる目的であると
考え、ストラスブールはそれが果たされてい
ると思われる。この 3 点の目的に沿ってスト
ラスブールの街は活性化され、人の賑わい
と良い雰囲気が生み出されている。そして、
トラムが身近にあると感じたのは、公共交通
が車に対して競争力をもつ条件を整えて、
人々に選択されなくてはならないと考えられ
ているからだろう。車より速い交通手段とする
ことや車に比べての他の交通機関との乗り
換えの利便性、街と一体感のある乗り物で
あることが車よりも身近な存在になり、車にな
い魅力をつくっている。パーク&ライドとともに、
バスと同じホームで乗り換えることができ、ト
ラムとの発着時間にあわせることで乗り換え
の待ち時間を短くしている。また、トラムの駅
間の距離が短く、人の流れが連続していて
駅すぐ横では市場も開かれていた。そして、
なによりも素晴らしいと感じたのは団地などの
居住地からトラムステーションが 300m 以内
に設計されていることである。買い物弱者を
生ませないことやすぐに使える交通手段であ
ることが分かる。トラムの流れは街の動脈と
なり、その流れは街の賑わいと融合してい
た。
2.
松本市中心部と広域
それでは松本市はどうであろうか。街につ
いては活気がないわけではないが、街の中
心部は毎日車が通り、人の賑わいというよりは車で騒がしい。今の松本市は車にすっかり依存してしまっている。この
ような車での依存体型では中心部に呼び込める人の数も車の台数や道などによって頭打ちになるだろうし、これ以
上の人の多さによる賑わいは無理だろうと思われる。しかし、松本市広域地域へのアクセスやその逆のアクセスとし
て車は現時点でとても便利である。つまり、ほかの交通機関が車より便利ではないことが伺える。車に取って代わる
交通手段をトラムに代えたとしても抜本的な改造にはならない気がする。まず、他の広域地域を含めて松本市にア
クセスする交通手段としては広域すぎてトラムを網羅できない。ストラスブールなどは街を中心に網羅することで成
功しているが、広域までトラムを出していない。また、人口密度や利用者の絶対数が少ないと思われる。既存のバス
交通網を発達させることが現時点では有効ではないかと思われる。しかし、次世代の交通を考えるとしてはトラムの
導入について前向きに考える必要がある。仮に導入するのであれば、松本市中心部の松本駅から県の森の直線一
本であろう。この路線の波及により中心部への私用車の規制を高め、歩行者空間をつくることが重要であろう。
3.
健康延命都市松本と中心部の街
先に歩行者空間をつくることが重要であると述べた。その理由としては賑わいがあり、かつ落ち着いた街にすること
ができることに繋がるからである。ナントで講義を受けた際に話された内容のなかにも落ち着いた街にするため歩行
者空間の重要性を説いていた。ナントの提案と松本市における健康と交通を掛け合わせることでさまざまな影響が
あるのではないかと考える。ナントでは最近 busway と自転車ステーションに力を入れている。トラムサービスと比較し
てバスを利用することでそのサービスの質(時間・使いやすさ・料金・速さ等)に対して違いを感じさせないようにして
いる。また、自転車ステーションの位置間隔を 100~200m としている。稼働率は約 80%である。これらの事業を高
めることで街への車の規制を行い、歩行者空間をつくっている。松本市もそれを実現できるバックグラウンドを持って
いる。松本市は自転車競技において全国で有数の街でもある。休日ともなれば選手やホビーレーサーは街を走り、
松本市の人々においても自転車は身近に認知されている。日本有数のプロ選手であった人も松本市に居住してい
るし、自転車の啓発活動を行っている。また自転車ないし動くことは健康ととても結びついている。歩行者空間を利
用することが健康につながるようにデザインすることは健康延命都市の目的に繋がっていると考える。このようなタネ
を歩行者空間のために結びつけることは今後の説得力になり得るのではないかと思われる。自動車利用人口が増
えているとともに肥満の人口も増えていることも脱自動車社会を考える構想のなかで考えなくてはならない。
おわりに
これまでに見てきたように、問題がある中で良い方向に持っていくかは、成功例の都市と比較して松本市ではなに
が成功する要因でその背景にはどのようなタネがあるか見極めることが大切であると感じる。単なる成功例のマネで
はまた成果を挙げることができない日本の街となってしまう。
この度は、7 日間コーディネーターをしてくださった望月先生、ありがとうございました。
Fly UP