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2010年度入試の出題傾向

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2010年度入試の出題傾向
特集 地理A・地理B
2010年度入試の出題傾向
学校法人 河合塾専任講師 佐 藤 裕 治
1.
はじめに
表1 地理B(本試)出題分野別一覧
新学習指導要領による入試は、先行実施の数学、理科
自然環境
を除くと、2016年度から実施されることになり、2010年
地形
度は現行課程においてはちょうど半ばにあたる。全体的
植生・土壌
な傾向に大きな変化はみられないものの、インターネッ
気候
自然災害
資源と産業
ト経由で得られる素材を扱った問題や、図表の読み取り
農業
などさまざまな工夫が施された問題がめだつようになっ
エネルギー・鉱産資源
た。2010年度のセンター試験や国公立大二次・私立大の
林業・水産業
工業
生活と文化
村落・都市
入試問題の出題傾向と受験生の弱点を分析した。
文化・衣食住
消費・余暇活動
2.
センター試験の出題傾向
地域調査
■出題傾向は定着し、平均点も安定
国際交流
地図・図法
地形図
国家・国家群
地理Bの出題分野(表1)をみると、現行課程に移行
した2006年度以降一貫して、大問は6題で、自然環境、
資源と産業、生活と文化、地域調査、地球的課題、地誌
交通・通信
貿易・直接投資・援助
地球的課題
人口・食料問題
都市・居住問題
の各分野から構成されている。マーク数も2009年度を除
いて36個で、各分野から偏りなく出題されている。地理
環境・エネルギー問題
民族・領土問題
地 誌
Aでは、地理的基礎事項、地域調査(7問中6問が地理
アジア
アフリカ
Bと共通)
、国際交流、地誌、地球的課題の大問5題で、
ヨーロッパ
マーク数は36と昨年と同様であった。
CIS
解答と素材の形式(表2)は、地理Bでは図、表、写
南アメリカ
真の番号を全部あわせると33に及び、2006年度の22に比
日本
北アメリカ
べてかなり増えており、過去10年で最多であった2009年
度よりも多かった。図表の読み取りに関する文の正誤判
2005 2006 2007 2008 2009 2010
◎
◎
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●
○
●
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○
●
●
○
○
●
○
○
●
○
●
○
オセアニア
○
○
○
○
○
○
70.2
65.1
58.4
66.4
64.5
65.1
複合地域
平均点
◎大問のテーマ(□複合テーマ)
●地誌で取り上げられた地域(▲複合地域)
○小
問のテーマ・地域
定など、地理的技能にかかわる問題が多く、判読に手間
取るものもあった。しかし平均点をみると、2006年以降
表2 過去10年間のセンター試験(地理B、地理Aは2010年度のみ)の解答形式と素材形式
地理B
2001年
正誤文判定
*1
組合せ解答*1
図
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2010年
14
8
(10)
9
16
19
14
12
(13)
15
15
7
14
6
(7)
14
(15)
13
12
10
13
19
11
12
12
10
16
19
(内地形図*2)
21
(4)
18
18
18
22
20
(1)
(1)
(1)
(3)
(2)
27
(2)
26
(3)
21
(2)
表
5
7
5
6
3
3
4
4
2
5
5
写真*3
1
(1)
2
(7)
3
(3)
1
(3)
0
1
0
0
2(5)
2(5)
4
(9)
マーク数
平均点
35
35
35
35
35
35
36
36
37
36
36
63.6
66.3
55.0
62.1
70.2
65.1
58.4
66.4
64.5
65.1
53.6
*1括弧内はマーク数を示す。*2地勢図を含む。*3括弧内は写真の枚数を示す。
3
地理A
では、やや低かった2007年度を除くと64
∼66点と安定しており、受験生にとって
はリスクが少なく、学習の成果がきちん
よる正答率でみると、センター試験地理
Bでは例年正答率が40%を下回る問題が
(例題1)である。国別の労働時間とい
う見慣れない統計で、選択肢の文章中の
図の読み取りの部分はいずれも正しいた
49.6
61.2
84.0
59.2
82.5
60.9
67.0
88.5
80.4
92.3
33.8
84.6
94.3
79.0
解答
番号
正答率
13
14
15
16
17
18
小計
19
20
21
22
23
24
小計
80.5
80.8
92.6
80.7
62.6
44.5
75.3
52.2
59.4
53.2
76.7
72.0
19.2
55.4
設問
番号
第6問
19.2%と最も低かったのが、第4問 問6
1
2
3
4
5
6
小計
7
8
9
10
11
12
小計
設問
番号
第4問
が40 % を 下 回 っ た。 な か で も 正 答 率
第2問
1割程度あり、2010年度(表3)も3問
正答率
第5問
河合塾が毎年実施している再現答案に
解答
番号
第3問
■正答率の低い問題
設問
番号
第1問
と発揮できる問題であった。
表3 再現答案による設問別正答率(河合塾調べ)
(2010年度センター試験地理B)
解答
番号
正答率
25
26
27
28
29
30
小計
31
32
33
34
35
36
小計
合計
46.5
92.5
71.2
47.8
78.9
80.2
70.8
91.0
80.6
45.5
90.0
56.3
28.6
68.2
68.2
注)サンプル数は2617人(現役生1943人,高卒生674人)。
サンプルの平均点は69.56で、地理B受験生全体の平均点(65.11)より4.45点高い。
大問ごとの小計、合計は得点率を示す。
め、各国の労働事情に関する細かい知識
を問う問題と理解されたことが正答率の
低い理由と考えられる。受験生の学力ラ
例題1 センター試験 地理B 第4問 問6
ンク別の正答率をみると、最上位層であ
るAランクが最も高いものの、次いで高
いのが最下位層のFランクという、奇妙
な得点分布を示し(表4)
、受験生の力を
判定する問題としては不適切といえるか
もしれない。しかし、センター試験では、
個別の国に関する細かい知識が問われる
ことはないと高をくくって問題のグラフ
(図4)をみると、一般的な傾向として
1人当たりGDPの高い国ほど労働時間
が短いという傾向が読み取れ、そこから
の韓国の労働時間は経済発展にとも
なって増加したとする文が誤りと判断で
きるが、誤答の多くが であったことを
みると、
新興工業国、
旧社会主義国といっ
た国のタイプ分けが十分にできていない
と考えられる。
表4 例題1 学力レベル別正解率(%)
レベル(偏差値)
正答率
A(∼60.0)
24.9
B(59.9∼55.0)
17.0
C(54.9∼50.0)
16.1
D(49.9∼45.0)
20.3
E(44.9∼40.0)
16.8
F(39.9∼)
20.9
4
次いで正答率が低かった第6問 問6
(例題2)は、東南アジアのインドネシ
ア、タイ、フィリピン、マレーシアの4
か国について、インターネット普及率、
都市人口率、1人当たりGDPを示し、タ
イを
と判定させるもので、ASEAN4
の工業化の地域差が理解できているか
がポイントである。誤答をみると同じよ
うに準NIEsとして扱われることの多い
のマレーシアよりも のフィリピンと
混同しているものが多い。日本とかかわ
例題2 センター試験 地理B 第6問 問6
りの深い地域でありながら、発展途上国
についての知識が乏しいのは受験生に共
通する弱点であるが、国別の1人当たり
GDP(またはGNI)を基本的な統計とし
て把握しておくことは重要である。帝国
書院『新詳 地理B 初訂版』p.205図1
ではASEAN諸国の経済成長の地域差が
わかりやすい地図で示されている。
図1 『新詳地理B 初訂版』p.205
■得点差がついた問題
現役生と高卒生で得点差が最大であっ
たのが、アフリカとヨーロッパの都市人
口と農村人口の変化を示したグラフから
アフリカの都市人口を判定させる第4問
問 1( 例題3)で、 高 卒 生 の 正 答 率 が
65.1 % で あ る の に 対 し、 現 役 生 で は
47.8%であった。発展途上国の過大都市
が話題になることが多いことから、アフ
リカでも都市人口が農村人口を大きくう
わまわっていると認識している現役生が
多かったようだ。帝国書院
『新詳 資料地
5
例題3 センター試験 地理B 第4問 問1
理の研究』p.172(図2)
では先進国と発展
途上国の都市人口と農村人口の推移を示
したグラフを掲載しているが、人口増加
率と都市人口割合の地域差を合わせて理
解できているかがポイントである。
図2 『新詳 資料地理の研究』p.172
上位層と下位層で得点差が大きかった
例題4 センター試験 地理B 第1問 問1
問題が第1問 問1(例題4)で、上位層
(偏差値55.0以上)が68%、中位層(54.9
∼45.0) が41.9 %、 下 位 層(44.9∼ ) が
18.8%であった。中・下位層の誤答の多
くは 澆 で、C川(ガンジス川)の河口
付近に扇状地が広がるとする文を正し
いと判断しており、地形の成因を含め
た基本的な理解ができていないことがわ
かる。また、第1問 問2は緯度と降水
量の季節変化を示す図としては、これま
でに見られない工夫がなされており、戸
惑った受験生も多かったようだが、ア
フリカ大陸における赤道の位置をしっ
かり認識し、緯度帯と降水量の季節変化
の要因をきちんと理解していれば正解で
きる。問題文がややわかりにくいところ
はあるものの、図の判読と自然環境の基
本的な成因の理解というこれまでのセン
ター試験がねらってきたことがともに盛
り込まれており、レベル別正答率でも上
位層が77.6%、中位層が54.3%、下位層
が34.4%と、受験生の学力差を測るうえ
でもセンター試験の標準的な問題といえ
る。なお、低緯度地方の降水量の季節変
化を理解させるには、『新詳 地理資料
COMPLETE 2010』p.27「Aw気 候 は な
ぜ生じるのか」
(図3)がわかりやすく役
6
図3 『新詳 地理資料 COMPLETE 2010』p.27
に立つ。
■工夫された図表の表現
今回から過去問の使用が解禁されたが、
大問構成や問題のレベルも例年どおりで
はあるものの、過去問をそのまま使用し
た問題はみられない。図表の表現方法は
毎年新たな工夫がなされ、マンネリ化を
避けようという出題意図が感じられる。
第4問 問4(例題5)では、近年話題
となっている日本の大都市圏の大規模住
宅団地の高齢化の問題を、直接問うので
はなく、地区別の特徴を人口ピラミッド
から判定させる工夫がなされている。他
の地区の特徴も人口ピラミッドに明確に
示されており、正答率は76.7%と高めで
はあったが、よく考えられた問題であっ
た。また、ヨーロッパの3か国(ノル
ウェー、ポーランド、オーストリア)の
国別の高度別面積割合を示した図の組合
せも判定させる第5問 問1も目新しい
資料を用いた問題であるが、ヨーロッパ
における地体構造の区分をもとにした大
まかな地勢が理解できていれば難しくは
なく、センター試験で要求される地域に
ついての知識レベルがよく示されている。
7
例題5 センター試験 地理B 第4問 問4
3.
国公立二次・私大の出題傾向
例題6 名古屋大 問題蠶
■多様な地理情報を活用
入試問題で使われる資料も、インターネットを
経由して入手できるものが多くみられる。とくに
Googleの衛星画像の利用が目立ち、名古屋大では
衛星画像だけでなくパソコン上のGoogleマップ
の画面をそのまま使用して出題
(例題6)
しており、
奈良大ではGoogle Earthの画面を傾けることで得
られる斜め空中写真風の画像を使った問題(例題
7)がみられた。また、京都大IAではアメリカ
地質調査所
(USGS)のデータによる地形の起伏を
立体的に表したレリーフマップを用いてパリ周辺
のケスタ地形を判読させている(例題8)
。同様の
レリーフマップはセンター試験でも地理B第1問
B(問4∼6)の日本周辺の自然環境に関する問
題の導入地図に用いられた。一般の地図には示さ
れる国境線や道路、都市などの地域情報を一切消
した、起伏を立体的に示しただけの地図から、地
勢を判断し具体的な場所を特定するのは、多くの
受験生にとっては難しいと感じるかもしれない。
こうした画像の取り込みや加工が容易になってい
る最近の状況から、このような素材を利用した出
題は、今後さらに増加することが予想される。し
かし、モノクロ印刷が一般的な入試問題では判読
※図2 略
が困難な場合もあり、また画像を用いた目新しさ
だけで、設問内容は単調になってしまうことも危
惧される。
例題7 奈良大 珈 問1
8
例題8 京都大 蠢A 問盧∼蘯
■観光の新しい切り口
2010年度の入試問題で、目立ったテー
マが観光を扱った問題(表5)である。
観光に関する問題はともすれば、観光地
名や世界遺産などの観光資源名を問う
「観光地理検定」のような問題になりが
ちだが、今年は観光開発が地域にもたら
す影響や、観光による人の移動が起こる
理由など、余暇活動と地域間交流の両面
から扱った地理らしい問題が多くみられ
た。
表5 観光を扱った問題
大学
東京大
設問内容
■日本への入国目的別(観光・商用・
親族訪問ほか)の実数と割合を示し
た表から国・地域を判定しその理由
を説明する。■表から判定した地域
(台湾)からの旅行者に人気のある
日本の観光地を京都・奈良以外に具
体的にあげその理由を説明する。■
表から判定した地域(中国)と日本
との互いの旅行者数の不均衡の理由
を二つあげて説明する。
一橋大
■途上国が海外から観光客を大量に
招き入れることで自然・文化・社会・
地域経済などに生ずる問題点を三つ
列挙する。
東京学芸大 ■日本の過疎地で大規模な観光開発
が地域社会にもたらしたマイナスの
影響を説明する(100字)。■1980年
代以降,日本の海外旅行者が増加し
た背景を航空運賃の割引以外で答え
る(60字程度)。■日本で近い将来
予測されている人口構造の変化が、
国内の観光産業に与える影響を説明
する。
学習院大
■アルプスの山岳リゾート地を訪
れる観光客の夏と冬の余暇の過ご
し方の違いを説明する。■コートダ
ジュールやラングドック・ルシヨン
にヨーロッパ各地から観光客が集ま
る自然環境に起因する理由を説明す
る。
法政大
■表からアジアで外国人観光客の受
入が最大の国(中国)を判定し,こ
の国で外国人観光客が増加している
理由を説明する。
9
■地理的技能を試す
例題9 大阪大 (蠢)
地図の判読や地図を使って表現する、
地理的技能に関しては、的確に学力を評
価する問題の作成は容易ではないが、今
年は興味深い問題もみられた。大阪大で
は昨年流行の拡大が大きな話題となった
新型インフルエンザの伝播経路を推定さ
せたり、感染の深刻さを表現する主題図
の適否を判定させる問題が出題
(例題9)
された。適切な地図表現は、地理教育が
担うべき重要分野の一つであるが、
『新
詳 地理B 初訂版』p.250の〈技能をみ
がく〉のコーナーでは、階級区分図によ
る地図表現の適否についてわかりやすく
解説されている。また、名古屋大では、
地域の特徴を説明した文章をもとに地形
図の地図記号を使って市街地の地図を描
かせたり、気温の観測データをもとに等
温線図を描かせヒートアイランド現象を
説明させる問題が出題された。このよう
な問題は受験生、出題者、採点者いずれ
にとっても苦労は多いが、新課程で重視
される地理的技能を入試問題でどう扱う
かの先駆けとして注目したい。
10
の、成因・要因など論理的な説明を求めるものなどがあ
4.
論述問題の形式とテーマ
る。筑波大や大阪大など200字、400字など1問当たりの
表6─1・表6─2・表7は、2010年度の国公立大二
解答分量が多い大学もあるが、全体的には50∼100字程
次試験の論述問題の設問内容を示したものである。論述
度の問題が多く、コンパクトに要点をまとめる力が要求
問題は形式や分量など多様であり、大学の個性がとくに
される。帝国書院の教科書・地図帳・資料(副読本)で
よく表れており、受験生にとっては過去問の演習は必須
は、図版には、簡潔な解説や考察、読図、課題など判読
である。設問の形式・内容は、用語の説明など基本的事
の指針が示されているものが多くあり、こうした論述問
項に関するもの、図表の判読とその背景を説明させるも
題の解答の手本として活用できる。
表6─1 国立大二次の論述問題の分量とテーマ:その1(2010年度)
論述
問題数
11
総字数
1題当たり
平均字数
北海道大学
12
900字
程度
75字
60∼120
筑波大学
(地球学類)
筑波大学
(地球学類以外)
3
900字
5
1600字
300字
300
400字
200∼400
東京大学
16
1200字
75字
60∼90
東京学芸大学
9
1200字
程度
130字
60∼240
一橋大学
15
1175字
80字
25∼150
新潟大学
9
460∼
640字
60字
20∼120
テーマ(設問内容)
■環礁の説明。■ツバルにおける地球温暖化に伴う海面上昇がもたらす被害。■台風が発生するメ
カニズム。■地形図読図(茶を栽培している場所の地形的特徴〈牧ノ原台地〉)。■スリランカにお
けるココナッツ栽培地帯と茶栽培地帯の分布の違いを地形および気候と関係させて説明。■ガーナ
で近年カカオ豆の生産量が伸び悩んでいる理由。■ドイツで旧ユーゴスラビア出身の外国人労働者
が多い理由。■フランスで北アフリカ出身の外国人労働者が多い理由。■「青いバナナ」と呼ばれ
る地域がEU経済の中心地として発展した理由。■スウェーデンの鉄鉱石がノルウェーの港から輸
出される理由。■日本の鉄鋼工場と原子力発電所の立地の共通点と相違点。■日本の製鉄業が第1
次石油危機によって成長にブレーキがかかった理由。
■地形図読図(3地点〈秋吉台〉の地形と土地利用の特徴)。■ネパールの氷河湖の拡大する原因
とそれに伴う災害。■東南アジアにおける農業の特徴。
■新旧地形図読図(笠野原〈シラス台地〉の土地利用と集落立地の特徴および変化を自然環境と関
連させて説明)。■ハイサーグラフから地図上の地点を判定した理由。■ロッキー山脈東麓の地点
の自然環境の特徴。■現代世界における火力、水力、原子力の各発電の立地特性と環境への影響。
■現代世界におけるキリスト教の分布について説明。
■ザンベジ川のカリバダムとエニセイ川のクラスノヤルスクダムの目的の違いを気候に関連づけて
説明。■日本の中部地方・四国地方と中国地方のダム流域の侵食速度の違いが生じた要因。■ダム
に土砂が堆積することによって生じる問題。■森林が「緑のダム」と呼ばれる理由。■森林の「緑
のダム」と積雪や氷河の「白いダム」の役割の比較。■アジアから日本への旅行者の入国目的別実
数と割合を示す表から国名を判断した理由。■台湾からの旅行者に人気のある日本の観光地とその
理由。■日本と中国との相互の旅行者数の不均衡の理由。■韓国でとられた人口・経済的機能のソ
ウルへの過剰な集中と地域格差の拡大を抑制するための政策。■台湾の1980年代以降における産業
構造の変化の特徴とその背景。■日本の製造業の変化を反映した内航海運と自動車の貨物輸送の推
移。■鉄道による貨物輸送が近年見直されている理由。■周辺地域の特徴からみた名古屋港・横浜
港の輸出量が多い理由。■周辺地域の特徴からみた苫小牧港・千葉港が輸出量に対する輸入量が多
い理由。■東海道新幹線沿線に人口規模の大きな都市がみられる理由。■ドイツと日本で都市の地
理的分布や人口規模のばらつきに差違がみられる理由。
■海洋と大陸という語句を用いてアンデス山脈の形成要因を説明。■パタゴニアとアタカマ砂漠そ
れぞれの乾燥気候の成因の特徴。■現在の中国国内でみられる地域格差の特徴とその背景。■日本
の外国人登録者で、1990年代後半以降中国籍の登録者数が増加した理由。■アメリカ合衆国の三つ
の州の農場規模に関する統計から地図中の州を判断した理由。■北緯37度の緯線に沿ってアメリカ
合衆国西海岸から東海岸まで自動車で旅行した場合の景観の変化。■日本の過疎地で大規模な観光
開発が地域社会にもたらしたマイナスの影響。■1980年代以降、日本の海外旅行者が増加した背景。
■日本で近い将来予測されている人口構造の変化が、国内の観光産業に与える影響。
■イギリスと日本の大規模ニュータウンの特徴の対比とその特徴が生じた理由。■イギリスと日本
の大規模ニュータウンの建設が民間ではなく公的機関によって行われた理由。■東京都多摩市域で
1990年頃から65歳以上人口比率が急増している理由を二つ。■バングラデシュの稲作の三つのタイ
プ(アウス、アマン、ボロ)の栽培および収穫期間を示した図からアマン(浮稲)を判定した理由。
■バングラデシュの稲作でボロの収穫が大幅に増加した理由。■バングラデシュで水害が拡大しや
すい原因。■バングラデシュから多くの人が出稼ぎに行っている国とその国への出稼ぎの人の数が
どう変化するかの予測。■途上国が海外から観光客を大量に招き入れることで自然・文化・社会・
地域経済などに生ずる問題点を三つ。■中国本土に香港・台湾や世界各国から大規模な投資が続い
ているにもかかわらず、賃金面における国際競争上の優位が消滅しない理由。■労働力の国際移動
が全面的に規制緩和された場合、世界規模で生ずると考えられる労働力移動のタイプと労働力の国
際移動の規制緩和が積極的に進められない理由。■多国籍企業がアフリカなどへの途上国に立地す
ることに消極的な理由を三つ。
■地形図読図(扇状地で川の水が伏流する理由、河川の水制の役割、木曽川河畔砂丘の形成過程、
輪中の特徴)。■クウェートで貧富の格差が大きい理由。■かつて文明を育んだ西アジアの地中海
沿岸地域が現在は生産力の乏しい土地になっている理由。■ヴィクトリア湖に比べタンガニーカ湖
が深い理由。■ナイジェリアの首都移転の経緯。■南アフリカ共和国で人種差別政策が廃止される
に至るまでの経緯。
表6─2 国立大二次の論述問題の分量とテーマ:その2(2010年度)
論述
問題数
福井大学
5
愛知教育大学
7
名古屋大学
10
京都大学
13
大阪大学
(文・外国語学部)
4
和歌山大学
11
総字数
1題当たり
平均字数
640字
程度
130字
90∼220
総字数
1題当たり
平均字数
テーマ(設問内容)
■地形図読図(長良川左岸〈輪中〉の集落立地の特徴、長良川河口堰の機能、市街地〈桑名〉の歴
史的性格とその判断理由)。■この国(ブラジル)で生産の多い農産物を活用した新エネルギーに
ついて先進国の動向にもふれて説明。■熱帯圏で広く見られる環境問題について先進国の関わりに
ついてもふれて説明。■全世界へ移住したヨーロッパ系白人人口と緯度や気候帯との関係について
の説明。
800字 100字程度 ■地形図読図(河川の流向を判断した理由、草津川の地形的特徴とその形成要因、直交する道路網
が形成された原因)。■アスワンハイダムがもたらした弊害。■アフリカ北部に展開している農業
程度
60∼200
(不明) (不明) の名称と特徴。■アフリカの国々が独立後も自分たちの言語を公用語にしなかった理由。■東南ア
ジア諸国の工業化の特徴と国際分業の仕組みの説明と、マレーシアに進出した日本企業の輸出品が
「マレーシア製(made in Malaysia)」ではなく「マレーシアで組立(assembled in Malaysia)
」となっ
ている理由。
■(文章・表から市街地地図および等温線図を描いた上で)等温線の分布の特徴とそのような特徴
1000字
100字
を示す理由。■(輸送距離帯別貨物輸送量を示す表をもとに)日本の四つの輸送機関の特徴の違い
程度
30∼200
とその理由。■航空輸送が選好される貨物の種類とその理由。■国際ハブ空港の説明。■ニューヨー
クとシカゴの標準時の違いとその理由。■東京・ニューヨーク間の航空便で往路と復路で所要時間
が異なる理由。
■日本・アメリカ合衆国・中国の原油の生産量と輸出量の1990∼2005年の変化の要因。
■日本・韓国・インドの1次エネルギー輸入量と1人当たりエネルギー消費量の変化の特徴。■ド
イツとフランスの原子力発電量の変化の違いとその理由。■衛星画像の判読(ナイルデルタと周辺
との植生・土地利用の違い、円形の土地〈センターピボット〉の土地利用と問題点)。
■陰影起伏画像から判読できる地形(ケスタ)の特徴と成因。■二つの景観写真(秋吉台・桂林)
660字
50字
に示された地形のそれぞれの特徴と共通する成因。■長江流域の農業地域の特色。■アマゾン川流
20∼80
域における開発とその問題点。■長江流域における開発とその問題点。■トラックとの違いをふま
えた航空による貨物輸送の輸送距離の特徴。■国内主要空港間の定期航空貨物の流動状況図から読
み取れる国内輸送拠点の特徴。■空港間の旅客輸送の定期便運行状況図から読み取れる航空輸送網
の特徴。■国民総所得が国内総生産と異なる点。■経済発展が進むにしたがい1人当たり国民総所
得が産業別就業者比率とともに変化する傾向。■ブラジルとメキシコに共通する国内の所得配分の
特徴。■低所得国の家計支出の費目構成の特徴とそれが次世代に与える影響。■発展途上国間の南
南問題と呼ばれる経済格差とこの問題が顕著になったきっかけ。
■メキシコからはじまった新型インフルエンザの流行が、アメリカ国内でどのように伝播したか。
680字
170字
130∼200 ■新型インフルエンザ感染の深刻さを州単位で評価するのにふさわしい階級区分図の判定とその理
由。■メキシコからはじまった新型インフルエンザ流行の世界各地への拡散課程を示すのにメキシ
コ市を中心とする正距方位図法を用いる場合の長所と短所。■ASEAN諸国で複数の言語を公用語
とし国語話者が少数派の国(シンガポール)の民族構成、言語事情。
(不明) (不明) ■新旧地形図の読図(地形〈扇状地〉の形成要因、河川流路の特徴とその変化、湖岸線の地形的特
徴とその変化、交通路の特徴とその変化、集落立地や都市化の特徴)。■火力発電の問題点。■民
族構成に関する近代以降の日本の状況。■言語をめぐるスペイン北部での対立。■パレスチナ問題
の原因と内容。■マレーシアの産業構造の変化。■AFTAでの経済発展をめざす政策。
表7 公立大二次の論述問題の分量とテーマ(2010年度)
論述
問題数
高崎経済大学
(前期)
10
1000字 100字前後
程度
50∼200
(不明)
高崎経済大学
(中期)
6
(不明)
(不明)
首都大学東京
(文系)
11
(不明)
(不明)
首都大学東京
(理系)
10
(不明)
(不明)
テーマ(設問内容)
■日本の貿易相手国の1位と2位が逆転した理由。
■日本の輸入相手国として重要なインドネシア・
オーストラリア・サウジアラビア・アラブ首長国連邦と貿易の特徴。■日本がASEANと包括的経
済連携協定を締結することを決めた理由とそれによってもたらされる効果。■日本とこの国
(中国)
との貿易のパターンとしての特徴を「多国籍企業」をキーワードに説明。■スプロール化現象の説
明。■地方都市の旧市街地や駅前商店街がさびれてきている要因。■資源リサイクルの必要性につ
いて考えるところ。■フィヨルドの形成要因と利用。■ドイツの近年の移民労働力問題について知
るところ。■第3のイタリアについて知るところ。
■用語の説明(モノカルチャー経済、アパルトヘイト)。■ユーラシア大陸の植生についての説明。
■用語の説明(郷鎮企業、カースト制度)。■インドで1990年代に経済が自由化されて以降IT産業
が本格的に成長した要因や背景。
■東京大都市圏郊外の1970年前後と1980年代後半の人口増加の性質の違い。■東京の都心の社会増
加が1990年代後半にプラスに転じた原因。■都心で人口が増加する傾向が続いた場合の都心での良
い影響と悪い影響。■東京駅から50km圏における2000∼2005年の人口増加の地域的傾向の読み取
り。■郊外での人口減少の理由とそれによって生じる問題点。■新旧地形図読図(地すべり地帯の
水田の形態的特徴、溜池がつくられている理由、地すべり災害の被害状況)。■1960年代から1970
年代初めに西ヨーロッパへ出稼ぎに行くトルコ人が多かった理由と、出稼ぎトルコ人が直面する
問題。■1923年以来トルコが進めてきた政治上の原則、文化面でのヨーロッパ志向の内容と目的。
■日本・ロシア間の貿易の特徴とその背景。■ロシア極東地域と日本との民族や食生活の点での類
似性。■トルコとロシアがアジアとヨーロッパを結びつける背景の違い。
■アフリカ諸国の経済が特定の一次産品の輸出に依存していることによって引き起こされる弊害。
■ 2005 年にアフリカ諸国の多くが経済成長率プラスを示した要因。■地図中の国(ジンバブエ)
の 2005 年の経済成長率がマイナスを示した原因。■アフリカ最大の経済大国(ナイジェリア)の
都市部で高い犯罪発生率が生じている原因。■オーストラリア北部で夏季に気温の日較差が小さい
理由。■オセアニアの 4 地点の月平均気温と日較差の季節推移を示したグラフから地点を判定した
理由。■南アメリカ大陸での赤道以南の標高 200 m未満の観測地点における年平均気温と緯度との
関係を示したグラフで、緯度の割に年平均気温が低い地点群の自然環境の特徴。■東太平洋の赤道
付近で数年間隔でみられる平年からの偏差の大きい状態について風と関連させて説明。■地形図判
読(二つの集落の形態が異なる理由、扇状地における土地利用と地形との関連、農業と関連する工
業の立地要因〈勝沼〉)
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