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暮らしの文化と 電波需要の爆発的拡大 - ARIB 一般社団法人 電波産業会

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暮らしの文化と 電波需要の爆発的拡大 - ARIB 一般社団法人 電波産業会
電波の日記念講演会
講演 4
暮らしの文化と電波需要の爆発的拡大
ソニー株式会社
業務執行役員 SVP
中長期技術、技術渉外担当
島田
啓一郎
氏
暮らしの文化と
電波需要の爆発的拡大
ソニー株式会社 業務執行役員SVP 島田 啓一郎
2014年5月26日 電波の日 記念講演会 資料
Copyright 2014 Sony Corporation
1
ものに近い領域の移動体通信に近い話が中心と
ご紹介にあずかりました、ソニーの島田と申
します。よろしくお願いいたします。
なります。
私からは、本日は、
「暮らしの文化と電波需要
私は、ソニーに1981年に入社して、元はエン
の爆発的拡大」について、暮らしの文化という
ジニアです。ビデオカメラですとかCDプレーヤ
話から、どのように産業が生まれ、それがまた
ー、それからノートパソコンなどの開発や事業
電波需要にどのようにつながっていくかという
を担当して、その後、研究開発を見て、今、技
長期的なお話をします。内容としては、前の前
術渉外を担当しています。
の講演で、ドコモの加藤社長からお話があった
1
暮らしの文化と電波需要の爆発的拡大
1 暮らしと電波
2 制約からの解放による生活文化と市場の創造
3 顧客価値の進化と産業の拡大
4 映像の高度化が提供する臨場感・アクセス感・参加感
5 電波需要の爆発的拡大
6 消費者視点で考える電波政策への期待
Copyright 2014 Sony Corporation
2
暮らしの文化と電波需要の爆発的拡大
1 暮らしと電波
2 制約からの解放による生活文化と市場の創造
3 顧客価値の進化と産業の拡大
4 映像の高度化が提供する臨場感・アクセス感・参加感
5 電波需要の爆発的拡大
6 消費者視点で考える電波政策への期待
Copyright 2014 Sony Corporation
3
それでは、次の2ページ目に行きたいと思い
での間に、顧客価値、消費者から見た点の顧客
ますが、今日は、内容は、2ページ目にあるよ
価値とか生活文化という話をさせていただきた
うな、暮らしと電波の話から電波需要に至るま
いと思います。
2
暮らしと電波
朝から晩までスマホ漬け~電波は暮らしそのもの
テレビ
25年前の暮らし
0:00
AM3:00
AM6:00
AM9:00
12:00
PM3:00
PM6:00
PM9:00
0:00
今の暮らし
夫婦・親子・兄弟
よりも長い時間
電波と一緒に
暮らしている
布団でスマホ
おはようスマホ
通勤・通学でスマホ
2020年になってもおそらく
利用時間は変わらないまま
時間当たりデータ量は巨大化する
トイレでスマホ
昼休みにスマホ
おやつでスマホ
お風呂でスマホ
テレビ見ながらスマホ
食事でスマホ
通勤・通学でスマホ
買物中もスマホ
マルコーニ以来120年で今ほど日常生活に長時間、電波が直結した時代はありません。四六時中、電波でつながっている暮らしです。
人が集まる所はスマホがたくさん~電波は大混雑
稼動スマホ密度
/10m四方
(土地100平米
あたり)
通勤・通学時の
駅や車内
人気イベント会場
夕方や週末の
商業・外食施設
休み時間の
キャンパス・オフィス街
50~500台
10~500台
10~100台
5~50台
Copyright 2014 Sony Corporation
4
こういう暮らしになったというのは、マルコ
お手元の資料、4ページ目になります。
ーニ以来、120年の中で大変な状況だと思いま
最初に、暮らしと電波ということを考えてみ
す。電波の日、長い歴史の中でもこの数年の電
たいと思います。
25年ぐらい前ですと、多くの消費者から見て
波の使われ方、消費者への影響度は大変なこと
テレビと、それから、先ほどTOKYO FMさん
と思います。
がお話しされていましたが、私も中高生のころ
電波は、社会的役割としてはもともと重要な
ですと、深夜放送のラジオというのがありまし
役割を果たしてきましたが、消費者と直接付き
たが、大きな目で見ますとテレビとの付き合い
合う直接関わる、それも、若い世代から年配の
というのが、電波との消費者との大きな付き合
世代までが直接ずっと24時間付き合うという
いでした。
意味では、この数年はかつてない時期だと思い
25年の間に大きく変わって、今は朝から晩ま
ます。このような時期だからこそ、
「消費者から
で寝ても覚めても電波と付き合っている。それ
見て電波って何なんだろう」ということを問う
は、手元にいつもスマートフォンがあって、ず
てみたくて、今日はこの話をさせていただきま
っと手放さずにずっと使っているのです。布団
す。
の中でも使います、お風呂の中でも使っていま
この図の下のところは、単位面積当たりでど
す、ここにいらっしゃる皆さんはどうかわかり
のくらいの電波を使う端末があるのだろうとい
ませんが、今、透明の密封できる袋の中に入れ
うことですが、電車の中ですとか駅ですとか、
てスマートフォンなどを持ち込むと、大変心地
こういったところは10メートル四方あたりで
よくお風呂に長く入れるわけです。
数十台から数百台という規模の端末があって、
会社によりましては、近年、トイレの個室が
その他にも、イベントの会場ですとか週末や夕
混雑しているという話があって、壁に「ノース
方の商業施設では、ちょっと見渡すところに数
マートフォン」とか「ノーソーシャルメディア」
十台から数百台、今、この会場の中にも、皆さ
とか書かれてしまうような会社もあるそうです
んもお持ちですので、何かしらやり取りをして
が、そのくらいどこでも、おはようから布団の
いるわけですが、これほどの電波端末が非常に
中までスマートフォン。
狭いところに密集している状態というのは、も
3
ともとのセルラーのシステムで、何十年か前に
これが現状、ですからこそ消費者から見た見
想定していたような使い方をはるかに超えた使
方が重要だと思っています。
い方だと思われます。
暮らしの文化と電波需要の爆発的拡大
1 暮らしと電波
2 制約からの解放による生活文化と市場の創造
3 顧客価値の進化と産業の拡大
4 映像の高度化が提供する臨場感・アクセス感・参加感
5 電波需要の爆発的拡大
6 消費者視点で考える電波政策への期待
Copyright 2014 Sony Corporation
続きまして、そういう消費者生活から見たと
5
を制約の解放という観点からお話したいと思い
きに、どのように発展をしてきたかということ
ます。
映像生活文化における制約解放(商用映像作品の楽しみ方の進化)
1950
1960
1970
1980
1990
2000
2010
2020
劇場 時刻も場所も題目も限定
映画館 時刻に合わせれば後からでも見に行ける
テレビ 時刻に合わせて自宅で楽しめる
四半世紀ごとの
ライフスタイル進化
電波通信
映像電子回路
ブラウン管
テレビ放送方式
高密度磁気記録
精密機械加工
機構制御
映像記録方式
新たな生活文化を
もたらす新技術
場所の制約
ビデオ
時刻の制約
オンデマンド
映像圧縮伸張
ネットワーク伝送
著作権保護・検索・推薦
自由な時刻に準備無く好きな
ものが好きな場所で楽しめる
ノートパソコン・ポータブルDVD
・スマホ・タブレットによる
場所の制約からの解放
テレビによる
場所の制約からの解放
映画館に行くという
場所の制約があった
「予約録画」と「パッケージメディア」により
準備すれば時刻と言う制約から解放される
テレビの前に行くという
場所の制約があった
ビデオによる時刻の制約からの解放
上映時刻や放送時刻という
時刻の制約があった
オンデマンドによる
準備・手間の制約からの解放
準備・手間の制約
見たい作品・番組のために事前に用意するという
(上映/放送時刻調査・録画予約・購入/レンタル)
準備・手間の制約があった
Copyright 2014 Sony Corporation
6
6ページをご覧いただきたいと思います。
の生活文化がどのように進んできたかというこ
6ページから5枚にわたりまして、映像ですと
とを述べてあります。これは、電波に関わらず、
か音楽ですとか、そういったメディアの使い方
一般的な情報、電子技術、全般的な話として述
4
べてありますが、最初の6ページをご覧いただ
解放といいます。時刻ですとか場所ですとか、
きますと、映画館の時代からテレビのある時代
そういった制約を解放していくということが技
に進むことによって、家でも楽しめるようにな
術革新とともに起きていくのです。そのうちの
る。これは、
「場所の制約を解放する」という言
1つが電波の技術革新だと思います。
い方ができます。
今はオンデマンドで、準備も要らず、いつで
ビデオが入ってきます、1975年ベータマック
も見たいものが見れるような時代になりました。
ス、1976年VHSが出ることによりまして、録画
これは、
「準備の制約」、
「手間の制約」から解放
予約をする若しくは記録されたビデオテープを
しているのです。こういう制約解放が四半世紀
買ってくる、借りてくるなどの準備をすれば、
ごとに大きなイノベーションとして起きていて、
いつでも楽しめるようになりました。
産業を創っていく。生活文化が変わっていくと
これは、
「時間の制約」、
「時刻の制約」からの
いうことなのです。
音楽生活文化における制約解放(商用音楽作品の楽しみ方の進化)
1950
1960
1970
1980
1990
2000
2010
2020
コンサート・ライブ 時刻も場所も曲目も限定
レコード・ステレオ 好きな音楽を自宅で好きな時間に楽しめる
ミニコンポ 個人の部屋でも楽しめる
四半世紀ごとの
小型記録再生機構
低電力駆動
小型ヘッドホン
新たな生活文化を
もたらす新技術
場所の制約
ライフスタイル進化
ヘッドホンステレオ
ネットワーク配信・
著作権保護・音楽圧縮伸長
・大容量フラッシュメモリ
・ユーザーインターフェース
レコード・ステレオによる
場所の制約からの解放
好きな音楽を持ち歩く
デジタルメディアプレーヤー
知っている全曲持ち歩く
知らない曲まで持ち歩く
広帯域無線通信
検索・推薦
家庭内での場所の制約からの解放
そして外出先も含む場所の制約からの解放
コンサート・ライブに行くという
場所の制約があった
ステレオのある部屋に
行くという場所の制約があった
時刻の制約
レコード・ステレオによる時刻の制約からの解放
上演時刻という時刻の制約があった
全部持ち歩けるようになったことによる
準備・手間の制約からの解放
準備・手間の制約
聴きたい音楽のために事前に用意をするという
準備・手間の制約があった
Copyright 2014 Sony Corporation
7ページを見ていただきます。同じ話を音楽
7
ました。好きな音楽を持ち運べる。これが制約
の解放。「場所の制約」からの解放です。
で書きました。コンサート、ライブに行く、実
際に演奏するなどの必要があった音楽が、バー
さらに、ここ10年ほどになりますと、デジタ
チャルメディアであるレコード、ステレオで楽
ルミュージックプレーヤーを持って、知ってい
しめるようになり、それが家庭に入り、個室に
る曲は全部持ち歩けますので、今日はどの曲を
入ったのが1970年代、ミニコンポですとか。
聞こうかなという準備も要らなくなる。この「準
そして、79年に弊社がウォークマン®を発売
備・手間の制約」から解放されていくのです。
いたしまして、さらに、持ち運べるようになり
5
写真生活文化における制約解放(個人写真撮影の楽しみ方の進化)
1950
1960
記録に残すための写真の文化
フイルムカメラ
1970
1980
1990
現像・プリントで委託・時間が必要
高画素微細固体撮像素子
大容量フラッシュメモリ
高速低電力信号処理
小型レンズ
携帯電話無線通信
低電力高集積LSI
新たな生活文化を
大容量組み込みソフト
もたらす新技術
超小型固体撮像素子
ネットワークサービス
2000
2010
2020
デジカメ
フイルム不要・現像不要・即時性
コミュニティ内の共感を補佐する写真文化
レンズ付フイルム
プリクラ
ケータイ
通信による即時共有
フィルム不要化で撮影のための準備・手間の制約から開放
~さらにスマホでカメラ持ち運びの準備・手間の制約から解放
準備・手間の制約
撮影のための準備・手間の制約があった
時間の制約
現像不要化により写真を見るために待つ時間の制約から解放
写真を見るために待つ時間の制約があった
準備・手間の制約
通信内蔵・常時接続化により写真を共有するための準備・手間の制約から解放
写真を共有するための準備・手間の制約があった
Copyright 2014 Sony Corporation
8
てくるときに、やはりこれも制約が解放されて
こういう制約解放というものを他の例でも見
いるのです。
ていきます。次の8ページ、今度、写真でどう
いうことが起きたか。フィルムからデジタルカ
フィルムのときは現像が必要でした、焼きつ
メラになり、デジタルになった電子的なカメラ
けも必要でした、というようなことを考えると、
が、今度は携帯電話、今でいうスマートフォン
制約が解放されています。
に載り、こういったことで新しい文化が生まれ
手紙生活文化における制約解放
1950
1960
1970
1980
1990
2000
手紙・はがき
伝達時間の制約、
費用や手間の制約からの解放
ファックス
パソコン通信
ケータイメール
新たな生活文化を
携帯電話無線通信
もたらす新技術
低電力高集積LSI
+スマホインターネットメール
場所の制約からの解放
実質伝達時間の
制約からの解放
電気通信により伝達にかかる
時間の制約からの解放
時間の制約
2020
PCメール
伝達に時間がかかる、費用もかかる、同報に手間かかる
モデム~ADSL~光インターネット
ネットワークサービス
パソコン・表示装置・アプリケーション
2010
情報伝達手段の常時携帯化による
実質伝達時間の制約からの解放
郵送にかかる時間の制約があった
電気通信情報端末による
発信・受領の場所の制約からの部分解放
場所の制約
ポストや郵便受けという
発信・受領の場所の制約があった
準備・手間の制約
携帯・スマホなどの移動端末による
発信・受領の場所の制約からの解放
端末の置き場所という
発信・受信の場所の制約があった
情報伝達手段の常時携帯化と
常時接続ソーシャルメディアによる
準備・手間の制約からの解放
電気通信による
準備・手間の制約からの解放
封筒に入れ切手を貼りポストに行くという準備・手間の制約があった
費用の制約
1円あたり百文字(封書)
1円あたり1万文字
1円あたり百万文字
Copyright 2014 Sony Corporation
9
9ページ目では、手紙がどうなったんだろう
は、即時性もありますし、手間も簡略化され同
と考えてみました。はがきや手紙、今はそれを
報性もあります。ここでも様々な制約が技術に
電子的にメールで伝えることができます。それ
よって解放されています。
6
コミュニティ内広報・情報共有文化における制約解放
1950
1960
1970
1980
1990
2000
ミニコミ誌
制作・配布に手間と時間、コミュニティ形成範囲にも限界
ガリ版~オフセット~コピー~PC制作とプリンタ
ソーシャル
メディア
パソコン通信~インターネットの電子掲示板
個人及びコミュニティのホームページ
モデム~ADSL~光インターネット
ネットワークサービス
パソコン・表示装置・アプリケーション
制作・配布の手間と
時間からの解放
コミュニティ形成の
障壁からの解放
携帯電話無線通信
低電力高集積LSI
アプリケーションプラットフォーム
ネットワークサービス
アプリケーション
新たな生活文化を
もたらす新技術
2020
2010
電子通信媒体化により
発行日時・間隔の制約から解放
時刻の制約
紙媒体の発行は一般には定期的で
随時発行は難しかった
モバイルインターネット利用の
ソーシャルメディアにより
執筆直後から閲覧できるようになった
電子通信媒体化による
閲覧までの時間の制約からの解放
時間の制約
紙媒体のため執筆から閲覧までの
時間の制約があった
制作の電子化・配信の通信化・記録のデジタル化による
制作・配信・検索・保存・閲覧の準備・手間の制約からの解放
準備・手間の制約
制作・配信・検索・保存・閲覧に
準備・手間の制約があった
モバイルインターネット利用のソーシャルメディアにより
さらなる制作・配信・検索・保存・閲覧の準備・手間の制約からの解放
費用の制約
1冊相当分あたり変動費が1円規模
1冊あたり変動費が百~千円規模
Copyright 2014 Sony Corporation
10ページになりますと、今度は、コミュニテ
10
ディアです。これによって、もともとあった需
ィのコミュニケーションはどうだったか。
要が大きく拡大をします。それは、制約が解放
昔は、ミニコミ誌などもありました。パソコ
されていったからです。そのバックに通信を中
ン通信などもありましたが、今はソーシャルメ
心とする技術がありました。
民生電子機器における制約の分類
制約からの解放が
生活文化を創造する
5
4
3
2
費用の制約
(コスト・投資)
経済的制約
内容的制約
嗜好の制約
質の制約
(コンテンツの種類)
(コンテンツの質)
準備・手間の制約 安心・安全の制約
(品質・信頼性)
精神的制約
社会的制約
1 物理的制約
規則・慣習の制約
社会基盤の制約
(法令・宗教・常識・世間体)
(通信・電力・交通)
場所の制約 空間の制約 時刻の制約 時間の制約
(利用場所)
(サイズ・重量)
(提供日時)
(所要時間)
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11
11ページでまとめてみますと、今言った「時
あって、もちろんお金という経済的な制約もあ
間」、「時刻」、「場所」という物理的な制約から
りますが、これらの制約が解放されていくのを
の解放だったり、あとは社会的な制約や、手間
技術がサポートし、そして文化が変わっていく
や準備などの精神的な制約など、様々な制約が
のです。
7
暮らしの文化と電波需要の爆発的拡大
1 暮らしと電波
2 制約からの解放による生活文化と市場の創造
3 顧客価値の進化と産業の拡大
4 映像の高度化が提供する臨場感・アクセス感・参加感
5 電波需要の爆発的拡大
6 消費者視点で考える電波政策への期待
Copyright 2014 Sony Corporation
13
13ページに行っていただきます。続いて、こ
とっての価値がどうだったかという話をさせて
の制約が解放され、市場ができ上がっていった
いただきます。これも何十年かおきに大きな変
様子に関して、今度はそこで得られたお客様に
化が起きています。
電子情報技術産業による「生活文化の創造」
わくわく どきどき 胸きゅん 大好き はじめて これだよね
こんな印象の提供が新たな顧客価値につながった
Copyright 2014 Sony Corporation
14
まず14ページを見ていただいて、私どもの会
て説明をすることがありますが、これは感性の
社ですと、こういったことが顧客価値になりま
価値です。広い意味の感動と言ってもいいかも
す。
しれません。
「わくわく」、「どきどき」、「胸きゅん」、「大
こういったものをもっと分析をしていくこと
好き」、
「はじめて」、
「これだよね」、英訳するの
で、お客様にとっての価値というのは何だった
が大変なので、海外の方に私はなかなか苦労し
んだろうということを考えてみようと思います。
8
電子情報技術産業による「生活文化の創造」
1979年
外出中でも好きな音楽が
聴けるようになった
1950年代
居間でも野球や映画が
見られるようになった
1985年
家族イベントを動画で記録し
テレビで見られるようになった
1990年代
布団の中でもメールで
ともだちとつながった
2010年代
目の前の出来事は
動画で世界に発信できる
2020年代
どんな暮らしの文化が待っている?
2000年
ケータイで写真を
共有できるようになった
やりたかったけれど以前はできなかったことが
科学技術イノベーションとそれによるインフラの整備で
実現し、暮らしの文化の一部になった。
Copyright 2014 Sony Corporation
15ページをご覧いただきまして、電子情報技
15
できるようになっていくわけです。
術によりまして、例えば1950年代、野球や映画
そういったものが今後どうなっていくのか、
が自分の家の居間で見られるようになった、こ
生活の文化が順々に創られていって、今、目の
れはテレビです。
前の出来事 がすぐに発 信できる時 代ですし、
2020年代もまた新しい文化が待っています。新
79年、お話ししましたウォークマン®によっ
しい文化が技術によって創られていきます。
て好きな音楽が持ち出せるようになりました。
90年代に入りますと、携帯電話でメールがで
このときの背景として重要なのが、製品を作
きるようになるので、どこでも布団の中であろ
る技術とともに社会的な基盤である電波のイン
うが電車の中であろうが何かを伝えるというこ
フラであると考えております。
とができるように、お手紙を出すということが
9
電子情報技術産業による「生活文化の創造」
やりたかったが
以前できなかったことが
できるようになった
1
その商品やサービスが
新しいマーケットを
生み出した
2
新たな
生活文化
顧客価値の の創造
提供
まず、ここ!
産業に関わる
ステークホルダー
全体が潤った
3
4
5
市場の
創造
産業の
拡大
みんなの
しあわせ
お客様・社員
・株主・取引先
新たなライフスタイルに
なった
電子情報産業の成長に
つながった
Copyright 2014 Sony Corporation
16
この次の16ページをご覧いただきますと、電
産業の拡大というのは、市場の創造によって
子情報技術産業というので、私どもは主に民生
得られるわけですが、市場の創造は、生活文化
用の世界で暮らしの文化を創っていくというこ
が創られたからです。新しい生活文化を創って
とが、どんな意味があるのかということですが、
いったから、そして、また生活文化というのは、
最終的にはステークホルダー全体のお客様であ
新しいお客様にとっての価値ができたからとい
り、また従業員であり、取引先であり、株主さ
うのが、先ほどからの顧客価値という概念の説
んの幸せにつながっていくのですが、その前に
明で、この後、顧客価値をさらに分析をしてい
これは産業が拡大していくチャンスになるので
きたいと思います。
す。
10
電子情報技術が提供する顧客価値の進化
1950
1970
1990
2010
2030
ソーシャルメディアでともだちといつでもつながれるようになった
仲間と写メを撮り共有するようになった
ケータイメールで友人や家族とのコミュニケーションが頻繁になった
好きな音楽を外でも聴けるようになった
ドラマを録画して後から見れるようになった
音楽を自分の部屋で鑑賞できるようになった
業務文書をワープロで作るようになった
書類をFAXで電送するようになった
会計処理がコンピュータ化され計算が速く正確になった
Copyright 2014 Sony Corporation
17
では、17ページに行きます。
今、色が3つになっていますが、大体3種類ぐら
先ほど、1950年代ぐらいから、どんなお客様
いに分けることができるのです。
水色のようなこと、大体仕事に近いような話。
にとってのメリットがあったのか、価値ができ
たのかということをいくつかお話ししましたが、
ピンク色のところというのは、これは、映像や
好きな音楽を外でも聞けるようになった1979
音楽に関わる話が多いです。黄色いところは、
年ですとか、ソーシャルメディアで友達といつ
今のスマートフォンのソーシャルメディアに関
でもつながるようになったという2010年頃の
わるような話だと思っていただければと思いま
話でしたり、こういったものを分析しますと、
す。
11
電子情報技術が提供する顧客価値の進化
第3価値:コミュニティ共感価値
「人のつながりや共感を増やしたい」
●ソーシャルメディア
●ケータイ
コミュニケーション
●パソ通 ●スマホ
第2価値:コンテンツ感動価値
「感動を増やしたい」
●ヘッドホンステレオ
●VTR ●CD ●DVD
●カラーテレビ
●ハイビジョン
エンタメ
第1価値:業務効率向上価値
「便利にしたい」
●コピー
●PDA
●電卓
●ワープロ
●電子計算機 ●パソコン●電子辞書
1950
1970
1990
2010
業務/教育/報道
2030
Copyright 2014 Sony Corporation
18
次のページの18ページを見ると、これを分類
やしたいという「コンテンツ感動価値」、そして
すると、実はお客様にとっての価値が3つに分
第3世代、人とつながり、先ほども「共感」と
類できて、しかもそれが1950年代70年代ぐらい
いう言葉が出ていましたが、コミュニティの共
のころ、70年代から90年代ぐらいにかけて、そ
感を増やしたいという「コミュニティ共感価値」。
して90年ぐらいから現在にかけて、20年ぐらい
この3世代にわたって、ここにはハード面の
ずつ新しい価値が追加されてきたと見ることが
製品で書いてありますが、最終的にはお客様に
できます。
とってのサービスソリューションを含めた価値
として提供されていくものが増えていくのです。
それが、第1世代である便利にしたいという
「業務効率向上価値」、第2世代である感動を増
12
第1価値~第3価値の特徴
コンテンツ自体より
情報交換行為に
価値がある
第3価値:
コミュニティ共感価値
消費が利益に
つながらない
非生産的消費
=感性価値
第2価値:
コンテンツ感動価値
コンテンツ自体に
普遍金銭価値が
ある
第1価値:
業務効率向上価値
1950
1970
1990
2010
消費が利益に
つながる
生産的消費
2030
Copyright 2014 Sony Corporation
19
何でこの順番になったのかということが面白
実はこれは下から順番に、ビット当たりの単
いと思うのですが、19ページ目を見ていただき
価が変わることによって、こういう順番で顧客
ますと、実はこの価値というのは、最初の「業
価値が市場につながる。市場創造につながり、
務効率向上価値」の場合は、消費すると利益に
産業につながるという順番になっています。
ビット単価なんです。ビット単価が安くなる。
つながります。
安くなるという言い方をすると、ここにいらっ
例えば、表計算のエクセルを使うと効率が上
しゃる皆さんで、ビクっという方もいらっしゃ
がるので利益につながります。
るかもしれませんが、そうでなくて同じ値段で、
しかし第2世代の「コンテンツ感動価値」、ド
ラマを見たらお金をもらえますかというともら
同じ産業規模、同じ経済規模で、より100倍と
えるわけではないです、第3世代、何かツイー
か1万倍とか、たくさん電波通信ができるよう
トしてつぶやいたらお金もらえますかというと、
になる若しくは有線で通信ができるようになる
もらえるわけではありません。消費は利益につ
というようなことが価値なのです。それによっ
ながりません。
て変わっていったのです。
それから、左側を見ていただきますと、今度
簡単に言いますと、例えば仕事の例で非常に
コンテンツ自体に価値があるかというと、実は
重要な情報、コンシューマーの例で、
「チチキト
第2世代、「コンテンツ感動価値」までは映画1
ク」
「サクラサク」というような電報でお金がか
本いくら、音楽1曲いくらというように普遍的
かっても送る情報もあります。もっと昔でいい
な金銭価値がありますが、第3世代、
「コミュニ
ますと「テキカンミユ」という6文字を非常に
ティ共感価値」は、実はコンテンツには余り価
お金がかかっても送るわけです。通信するわけ
値がなくて、情報交換すること自体、
「ねむいよ
です。
今の時代、
「 ねむいよう」というのを送ります。
う」とつぶやくこと自体に意味があって、
「ねむ
いよう」の5文字に価値があるわけじゃないと
「ねむいよう」が1万円とか100万円かかったら
いうようなことが、この順番になった理由なの
だれも送らないでしょう。今は大体0.001円ぐ
です。
らいで送ることができます。
13
昔、この需要があったのかなかったのかとい
この潜在需要が後にポケベルになり、そして、
う話もよく出ます。昔からこの需要はあったの
今のソーシャルメディアになっていくわけなの
です。小学生のころを思い出していただくと、
で、潜在需要がビット単価が変わることによっ
ノートの切れ端を切って、何とかちゃんと何と
て、技術革新とインフラの革新によって、この
かちゃんが付き合っているんだってとかいって、
順番に需要がなっていったと考えていけばと思
切ってぱっと隣の人に渡していた。
います。
これはソーシャルメディアの潜在需要。
次の顧客価値
第4価値:共生価値
「健康でありたい/環境にやさしくありたい」
「ライフイノベーション」 健康・医療・高齢者支援
「グリーンイノベーション」 環境・エネルギー・スマートシティ
第3価値:コミュニティ共感価値
「人のつながりや共感を増やしたい」
第2価値:コンテンツ感動価値
「感動を増やしたい」
第1価値:業務効率向上価値
「便利にしたい」
1950
1970
1990
2010
2030
Copyright 2014 Sony Corporation
20
20ページ目では、この後どうなるかについて
今の話ですと、いよいよIoTとかM2Mという
記しました。これから20年ぐらいの間というの
ものが、健康や環境を初めとして、様々な社会
は、恐らく私は第4世代が出てくると考えてお
的なことに役立っていくことに、コンシューマ
りまして、それが「共生価値」。
ーから見ても、価値が見出せる時期になると思
人とともに生きていく、命と命をともに生き
います。
ていく、命が町とともに、社会とともに、国と
これは証明されていませんが、私の一方的な
ともに、地球とともに存在しているということ
考え方ですが、この時代のビット単価といいま
で、健康でありたいとか、環境に優しくありた
すか、単位経済資金当たりの伝送容量というの
いということに、情報技術が、そして電波が役
は、大変多くなければいけないと私は思います。
立っていくべき時期と考えておりまして、ライ
いわゆる、ビットの単価でいえば、安くなけ
フイノベーションやグリーイノベーションとい
ればいけない。そうすればこそ、第4世代の社
うのがここで使われていく。
会的な課題を解決していく産業に通信も役立っ
ていくと私は感じております。
14
暮らしの文化と電波需要の爆発的拡大
1 暮らしと電波
2 制約からの解放による生活文化と市場の創造
3 顧客価値の進化と産業の拡大
4 映像の高度化が提供する臨場感・アクセス感・参加感
5 電波需要の爆発的拡大
6 消費者視点で考える電波政策への期待
Copyright 2014 Sony Corporation
この中でも、実は映像の高度化というのは、
21
は、目というのが非常に多くの情報量をやり取
非常に重要な課題になります。
りすることができるからなのです。
この4つの顧客価値がさらに高度化していく
ですから、映像の高解像度化、高精細化、そ
ときに必ず出てくるのが映像です。映像という
して大画面化というのが非常に影響し、第1、
のは、人間とのインタラクションの中で最も大
第2、第3、第4、すべての価値において大変重
量の情報量をやり取りするメディアです。それ
要になります。
映像の高度化と顧客価値の創造
用途産業レイヤー
顧客価値レイヤー
インフラレイヤー
技術レイヤー
エンタテインメント
教育
安心・安全
医療・健康・高齢者支援
環境・エネルギー・スマートシティ
スマートモビリティ
臨場感の拡大
アクセス感の向上
参加感の演出
インターネット・移動体通信
放送
パッケージメディア
高画質化
双方向化
高速化
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22
ということで、22ページを見ていただきたい
大きな画面で、高精細で、双方向であると、
のですが、映像の高度化。これは、ちょうど6
単純に言えばその辺で考えていただければと思
月2日から4Kの放送が始まりますが、4Kの映像
いますが、映像が高度化すると、用途産業のレ
などがその1つの例です。
イヤーが非常に幅広くなります。その際に顧客
15
価値のレイヤーでどんなことがあるのかという
あったり、インテリアがあったり、こういった
ことをお話ししたいと思います。
ものを全部電子デバイスで表現することができ
まず、「臨場感の拡大」です。それから、「ア
るので、新しい空間のデザインができるように
クセス感の向上」。たくさんの情報に一度にアク
なると思います。
セスできる。それから、「参加感の演出」。他の
もう1つ、これを商業空間とか業務空間若し
人と双方向でやり取りして、自分が参加してい
くは公共空間に持ち出すとどうなるでしょうか。
るという感じが得られる。こういったところが
大変大きな画面というのは、新しい体験、新し
映像高度化で重要なことです。
いサービスにつながっていくと考えております。
ライフスペースUXと弊社が名づけている、空
窓から外の景色を見ている感覚で、実は全部
間全部が表示デバイス、電子デバイスだったら
電子表示デバイスという想定ではどうでしょう。
どんな暮らしになるでしょうか。壁全部、床全
これは、4K、8Kもありますし、横が1万2,000
部、机全部、天井など、様々なところが「表示
とか1万6,000とかいう画素数になって、非常に
できる情報機器」に変わったときに、どんな暮
大きな画面になると新しい体験がやれるという
らしになるのでしょう。
ことです。
今はテレビの隣に生け花が置いてあったり、
このように映像の高度化では、臨場感、アク
カレンダーが置いてあったり、予定表が置いて
セス感、参加感というのが得られます。
映像の高度化と顧客価値の創造
(A)臨場感の拡大
(C)参加感の演出
(第1の臨場感=没入感)
(第2の臨場感=コミュニティ共感)
色の再現性を拡げる
明るさの階調表現を拡げる
解像感を向上させる
双方向化サービス
・コミュニティサービス
(ニコ動・ソーシャルメディア連動
・実況サイト・連動アプリ)
高精細(4K・8K)
大画面(~壁貼り)
視野角拡大
全景画面(情報同時表示)
スキャン
(検索・早送り巻戻し再生・頭出し・サクサク)
オンデマンド
サクサク
従来テレビ
スマホ・タブレット・パソコン
マルチインフォメーション
(マルチ画面+関連・付加情報表示+セカンドスクリーン)
マルチソース
(放送+通信(ネット)+パッケージ(BD)+録画+CGM)
マルチ受信端末
(テレビ・ビデオ+スマホ・タブレット+PC+ゲーム機)
(B)アクセス感の向上
(情報選択の高速感)
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23ページで説明させていただきたいと思い
23
ーリングルーム。たくさんのディスプレイが一
ます。
度に見渡せるように置いてありまして、ものす
高度な映像の3つの方向の1つが、左上にある
ごい勢いで情報が更新されています。これはア
臨場感、4Kなどの話です。
クセス感なのです。アクセスがよくなるという
左下にあるのがアクセス感、同時にどれだけ
価値になります。
右上が参加感という概念です。双方向によっ
の情報が見れるかということです。為替のディ
16
て得られるような概念。コミュニティの共感が
マホやタブレットやパソコンの映像が、次の時
得られやすくなる場合、こういったものが映像
代に行けるというチャンスだと思うのです。
を高度化することによって、従来のテレビやス
1秒あたり画素数
映像技術のトレンドは10年で10倍
8K放送
8K
50億
画素/秒 8Kx4Kx120Pの場合
地デジの84倍
4Kの8倍
UHD/スーパーハイビジョン
デジタル放送+
デジタル受信信号処理の技術トレンド
(10年1桁)
4K
5億
画素/秒 4Kx2Kx60P
地デジの11倍
4K放送
4Kテレビ
4KスマホPF
アナログ放送+
アナログ受信信号処理の技術トレンド
(40年1桁)
BSデジタル Blu-ray
HD BSハイビジョン
5千万 1920x1080x60i
画素/秒
地デジ
1440x1080x60i
地上デジタル
デジタル放送
MUSE
普及価格液晶ディスプレイ
のトレンド
アナログ放送
SD
5百万
画素/秒 300と仮定してx480x60i
地デジの10分の1
1950
1960
DVD
DV
音声多重
カラー化
白黒テレビ放送開始
Beta・VHS
コンスーマー動画
イメージャーのトレンド
1970
1980
1990
2000
2010
2020
Copyright 2014 Sony Corporation
2030
24
24ページをご覧いただきますと、映像の高度
それが、今度始まります4Kテレビですと、秒
化。高画質化を伴うわけなので、高精細化を伴
当たりで5億画素ぐらい、さらに8Kテレビで、
いますと、実は1世代、10倍ずつぐらい秒あた
秒120枚だとしますと、40億画素ぐらいありま
りの画素数が増えていきます。
して、こういったところで、大体10倍ずつぐら
一番下のところにありますが、この図、秒あ
い秒当たりの画素数が増えていくような形で情
たり500万画素ぐらいのアナログ時代のテレビ。
報量が増えます。
それが、2代目、今のハイビジョンテレビにな
圧縮の技術も増えますので、数字はこのまま
りまして、秒当たりおよそ5,000万画素ぐらい
ではありませんが、記録や伝送のために必要な
あるのです。
情報量は爆発的に増え続けていきます。
17
高精細・大画面映像の産業用途への応用
高精細・大画面映像
4K・8Kなどの超高精細映像は
消費者向けの映像産業(テレビ・ビデオ・カメラなど)とともに
医療などの産業用途への応用で大きな産業が期待できる
医療・健康・高齢者支援
外科手術・内視鏡・病理検査・医療モニタ
教育・学術
教室黒板代替・講堂大画面・図書館・博物館
デザイン・設計
CAD・CG・シミュレーション
防災・防犯
監視カメラ・警備システム・社会インフラ管理
公共・サービス空間
サイネージ・外食・宴会場・ホール
音楽・スポーツ
映画館・シアター・ライブハウス・体育館
・スタジアム・カラオケルーム
一般企業業務
打ち合わせコーナー・ビデオ会議・会議室
放送・通信・映画
撮影・制作・送出配信・視聴及び上映
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25
医療ですとか、教育ですとか、CADですとか、
次のページ、25ページをお願いいたします。
先ほどから言いました、映像による臨場感、
防災や防犯ももちろん、公共・サービス空間も
アクセス感、参加感、言葉遣いはよろしくない
もちろんです。普通の業務のオフィスの仕事も
のですが、この3つの価値というのは、実は社
そうです。大変多くの役に立っていくことがわ
会的な課題若しくは業務用途にも大変役に立ち
かっておりまして、そのようなお役に立てるこ
ます。
とに貢献できればと思うのですが、先ほど言っ
たように、情報量が莫大です。
18
暮らしの文化と電波需要の爆発的拡大
1 暮らしと電波
2 制約からの解放による生活文化と市場の創造
3 顧客価値の進化と産業の拡大
4 映像の高度化が提供する臨場感・アクセス感・参加感
5 電波需要の爆発的拡大
6 消費者視点で考える電波政策への期待
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無線端末側トラヒック総量の爆発的拡大は続く
2010年
無線端末側
トラヒック総量の
爆発的増大の要因
A
2020年
テキスト・音楽・写真・SD~HD映像(SD映像2時間2~4GB)
4K~8K映像が増加
データの大型化
B
(4K映像2時間30~60GB)
発信データ量のかなりがコンテンツプロバイダ発
SNS・CGMによる発信の拡大(4K撮影)
トリリオンセンサ・IoT・M2Mによる増大
発信者の増大
C
電子情報技術産業が中心
医療健康高齢者支援・ITS・防災防犯
・環境エネルギー・農業等に利活用拡大
用途産業の拡大
D
PC・TV・プリンタなどはもともと有線接続だった
TVなど据置型商品を含め
無線接続が増大(ラスト10メートル無線化)
有線端末の無線化
無線端末側
トラヒック総量予測
1人あたり換算・年間
2010年1GB
千倍
1人あたり換算・年間
2020年1TB
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ということで、26ページから、電波需要が大
27
クでお話をさせていただきますが、4つの要因
変増えるということをお話しさせていただきた
があると考えています。
1つ目が、データが大型化する。1つのファイ
いと思います。
まず電波需要の増え方。27ページに、4つの
ルが大型化します。これは、先ほど言ったよう
理由で、端末側の電波需要は大変増えるという
に、4Kの映像になれば、それだけで圧縮を考え
ことを話させていただきます。
なければハイビジョンの10倍。地上波デジタル
先ほどから、10年で1,000倍いくか、200倍か
から計算すると、大体11倍ですので、約10倍で
というような話がありましたが、10倍か100倍
す。こういった形で、データが大型化するのが
か1,000倍か1万倍かといえば、1,000倍なので
1つ目。
す。1,000倍の分析も後でさせていただきます
それから、2つ目が、発信者が増えます。
が、この背景、端末側から見たときのトラヒッ
今日の講演で、皆様からもお話がありました、
19
M2M、IoT、トリリオンセンサーと言っている
にテレビでは弊社のお客様も含めまして、ワイ
世界の形で発信者が増えるのもありますし、ま
ヤレスLANで最後のラ スト数mを つなぐお客
たコンシューマー・ジェネレーテッド・メディ
様が大変増えております。プリンターもそうで
アも今まで以上に増えていくと考えております。
す。こういった形で、ラスト10m無線化という
データのかなりがかつてコンテンツ・プロバ
ところも端末の無線需要の拡大なのです。
イダーさんからの発信でしたが、今はデータの
実際、家庭にあるにもかかわらず、従来、黒
かなりが実はそれ以外のところから増えるとい
電話の時代と違いまして、今は、布団の中でも
うことで、発信者が爆発的に増えるというのが
スマホをやったりするというようなことから考
2つ目です。
えましても、どんどん今まで以上に無線化とい
3つ目は、用途産業が増えます。今までは電
うのは続くと思うのです。
子情報技術産業、電子通信産業だったものが、
ということで、4つの理由で、1人当たりの年
これからは、健康、医療、高齢者支援、それか
間の無線トラヒックというのが、1人当たりの
らITS、交通ですね、それから防災・防犯、環
端末で見たとき、2010年は大体1GB程度ぐらい
境エネルギー、農業などの一次産業などが電波
通信してい るのではな いかと思う のですが、
通信を必要としていきますので、より多くの通
2020年ごろは1TBぐらい年間で通信すると思
信が行われるようになります。
います。これは最大ではなく合計したときに、
4つ目に、有線端末が無線化します。今、既
実際に通信する量です。
このままでは「通信エンゲル係数」が上がり「スマホ断食」が拡がる
移動通信・総トラヒック量から想定する1人あたり年間・無線端末側トラヒックの推定
2020年までに順次、月間100GB規模までの
容量制限(年間1TB超え)への対応が必要
1TB
年率2倍が続くので
2010→2020年で千倍
2020年の1人あたり
年間平均需要は1TB
現在の定額制の月間7GB制限が続くと
2016年には多くのユーザーが月の後半は
100GB
10GB
想定需要ライン
(スマホ断食なし・
通信エンゲル係数高騰なしの場合)
ナローバンド化し「スマホ断食」に
(12倍して年間84GBのラインから推定)
(M2Mの総伝送量は当面まだ
支配的ではないと想定しての予測)
2013年6月の1加入あたり
平均月間トラヒックは
1.026GB(総務省データ)
年間換算のため12倍すると12GB
(実際には複数加入が
あるためこれより多い)
2013年後半以降はこのトレンドを下回るが
Wi-Fiオフロードを含めると
おそらくこのトレンドが続いている
総トラヒック量は2010年6月~2013年6月の3年で7.47倍(総務省データ)
=約8倍=10年千倍のトレンド
1GB
2010年
2020年
2025年
生活費
通信エンゲル係数の
高騰を抑え
利活用が進むような
ビットあたり費用を可能にする
通信の総合政策が必要
過去13年で
年齢層によっては
最大数倍に拡大
通信費
通信エンゲル係数
通信エンゲル係数が上昇中
このままではいつか生活費を超えてしまう
→そうはならないので利活用は頭打ちに
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28ページをご覧いただきますと、そうなると
28
月ですと、3年間で7.5倍で、1年換算で約2倍あ
ります。
どうなるかという課題をちょっとお話しさせて
最近、1.7倍ぐらいになったとおっしゃってい
いただきますが、重要な問題が2つありまして、
1つが「通信エンゲル係数」、もう1つが「スマ
ますが、あれはワイヤレスLANへのオフロード
ホ断食」という問題です。
が含まれていないデータです。ワイヤレスLAN
ここの図は、先ほどからある、10年1,000倍
へオフロードを入れたり、様々な他のことを考
の図で書いてあります。今の移動体トラヒック
えていきますと、大体2倍が続いているという
の伸びは、例えば2010年の7月から2013年の7
状況で考えていただければと思います。
20
1年に2倍ということは、10年間で1,024倍。
それから、もう1つが「通信エンゲル係数」
もちろんこれがずっと続くわけではありません。
の話で、7GBを超えていきますから、1GB当た
2030年、2040年はどうなるかといったら、実は、
りいくらという追加料金を払っていくとします
半導体の設備投資などを考えると、ずっと続く
とどうなるかというと、生活費のうち多くが通
わけではないのですが、2020年まではこの状況
信費になり、通信費がやがて生活費を超えてし
が続くことは確実と思っております。
まう。
そうなって2010年から2020年を見たときに、
そういうことが起きませんので、需要が頭打
約1,000倍。この図でずっと書いてありますと、
ちになってしまいます。需要が頭打ちになると
実は現在、 スマートフ ォンなどの 契約、月間
いうことは、コンシューマーから見ての頭打ち
7GBでナローバンドに変わります。多くの契約
になるだけじゃなくて、M2M、IoTの需要も頭
の皆さんがそういう形にされていますが、どの
打ちになります。ITSも頭打ちになります。私
ぐらいでなるかというとあと2年ぐらいたつと、
はすごくそれを恐れています。
国民のかなりの方々が、実は月の後半、スマホ
これは、何をしなければいけないかというと、
がナローバンドになります。
要は電波がエンドユーザーから見たときに、も
この伸びでいきますと、
「スマホ断食」という
っと通信できるようにしなければいけない。そ
時代を迎えます。我慢をしなければいけないと
うしないと、産業が発展できないと思います。
いう状況です。ブロードバンドが使えない。こ
それができるのかという話をちょっとこれから
ういった状況にならないようにしないといけな
させていただきたいと思います。
いのです。
電波技術の進歩を超えた電波需要
通信可能容量の増大と、
ビット単価下落とともに
ユーザーの消費価値は追加
無線端末の通信需要の
「増加率」は、
データ総量の増加率より多い
電波技術の進歩
通信容量(対数グラフ)
イメージ図
空間あたり無線総伝送容量
イメージ図
(アナログ→2G→3G→4G)
が電波需要に追い越された
(つぶやきなどの認知・共感欲求に利用拡大)
無線通信容量
(ビット)
無線通信費
(ビット単価)
共生価値への
用途拡張
コミュニティ
共感用途の急拡大
有線端末トレンド
10年で数十倍
プレミアム
コンテンツ用途の登場
無線端末の通信需要の
トレンド(10年で千倍)
業務用途の普及
1970年
2000年
5G
電波技術の進歩
2030年
2005年
2020年
3G
4G
2G
無線端末の通信需要
のトレンド(10年で千倍)
1990年
2010年
2030年
無線通信技術の進歩と周波数割当だけでは需要に対応できない
→総合的な「融通」が必要
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29
しかし、それだけでは無理と思われます。こ
まず29ページ目。電波技術でやるという話、
今日もドコモさんから話がありました。電波技
の1,000倍、すなわち先ほど言ったスマホ断食
術的に若しくは総務省さんからもお話があった
や通信エンゲル係数の爆発を避けようとします
ように電波政策的にやる、これでまずかなり頑
と、もっと様々なことをやらないといけません。
張れます。
21
暮らしの文化と電波需要の爆発的拡大
1 暮らしと電波
2 制約からの解放による生活文化と市場の創造
3 顧客価値の進化と産業の拡大
4 映像の高度化が提供する臨場感・アクセス感・参加感
5 電波需要の爆発的拡大
6 消費者視点で考える電波政策への期待
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消費者視点で考える「電波」のビジョン
業務ユーザー
視点
通信事業者
視点
消費者視点
行政視点
多い
安い
速い
2010年:1GB/年・人
→2020年:1TB/年・人
通信エンゲル係数が
大きくならない
人が多いところでも
サクサク動く
(2020年:1Gbps)
インフラ
機器視点
端末
機器視点
アプリ・
サービス視点
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31
ということで、30ページを見ていただきまし
それから、安いというのは、これは安くしろ
て、消費者視点でどんなふうに考えたいかとい
ということじゃなくて、通信エンゲル係数を爆
うお話をさせていただきます。
発的に上げない。生活費の大半が通信費になる
31ページをご覧いただきたいと思います。牛
ようなことがないようにしたいという意味の安
丼屋さんっぽい絵が描いてありますが、牛丼屋
いということです。誤解はしていただかないよ
さんは、うまい、安い、早いですよね。私は、
うにお願いします。
消費者から見た電波というものは、それに似て
速いというのは、これはサクサク動いてほし
いると思うのです、多い・安い・速い。
いということで、よくLTE-Advancedだとどの
多いというのは、2020年ごろに1,000倍。年
くらい、5Gだとどのくらい通信できますと言わ
間で1TBぐらい通信している状態ができること
れますが、これは他にお客さんが通信していな
ということです。
い基地局とつながっているときの話でございま
22
して、先ほど言ったように電車の中、駅、商業
よく、電波のビジョンを考えるときに、様々
施設、イベント会場といったところでも、たく
な視点があります。通信事業者さんの視点もあ
さん人がいるところでもサクサク動くには一体
ります。私ども、端末メーカーの視点もありま
どうしたらいいのだろう、どのくらいできれば
すし、行政の視点もあります。インフラの機器
いいか。
の視点もあります。
例えば、1Gbps、2020年に安定してどこでも
いろんな視点の中で、今、一番最初に申し上
通信できるようにするには一体どうすればいい
げたように、朝から晩までスマホ漬けというこ
か。これには、様々な技術や施策が同時にない
とから考えると、消費者の視点で考えることを
といけません、というようなことが私は消費者
まず最初にやらなければいけないのではないか
視点で重要だと思います。
と考えているわけです。
4つの「融通」のコンセプト
今の電波を
山手線電車に
たとえると・・・
1号車
2号車
3号車
しかも年2倍で乗客が増加し続ける
ぎゅーぎゅー詰めの号車もあれば
4号車
5号車
6号車
7号車
8号車
9号車 10号車 11号車
ガッラガラ号車を「融通」して
活用する方法が考えられる
ガッラガラの号車もある
号車を周波数に、
乗客を利用者数や
トラヒックにみたてた場合
生活空間の社会資本の「融通」の事例
高層マンション
の高さ方向を
使う分割所有
電波利用における4つの「融通」の提案
1 時間による融通
時刻
レストランや
カラオケの
時間分割での
共用利用
密集地を一戸建てだけにして
あらゆる生活機能を住居内に
装備することだけが
豊かな暮らしではない
必要な時刻・時間だけ
必要なデータ量を交替で使う
他の用途向けでも使わない
時間だけ活用する
3 場所毎の融通
空いている地域・地区限定
で使わせてもらう
自転車・バス
・タクシー・鉄道の
併用・使い分け
2 周波数による融通
周波数による得意・不得意
に配慮した総合的な活用
4 有線の活用
極力端末の近くで有線に
乗り換え
無線LANも効率をあげ
オフロードを有益に
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次の、最後の32ページ目ですが、今の電波と
32
と思っております。
いうのは山手線の電車で例えますと、2号者や5
ところで、生活空間は一体どうなっているの
号車のようにがらがらの車両もあれば、4号車
か。電波ではない一般の生活空間。左下に書い
や7号車のようにぎゅうぎゅう詰めの車両もあ
てみましたが、東京の町というのはすべてが1
るというような使い方です。
戸建てで造られているわけではありません。高
山手線の車両を、周波数であったり、時刻で
層マンションや高層オフィスがありまして、高
あったり若しくは地区・地域であったりという
さ方向を上手に利用している例があります。
形で見ていただきたいのですが、地域や周波数
また施設ですね、レストランではフランス料
や時刻によって非常にばらつきがあります。
理屋さんもお寿司屋さんもあります。若しくは
このばらつきをどうやって有効に使っていく
商業施設、カラオケ屋さん。これは、すべてそ
か、まだがらがらなところがあるならば、どう
れぞれの一戸建ての中に全部装備されているわ
やって有効にそれを本当に国民のために有効に
けではなくて、時分割で共有しているような状
使っていくかということを考えることが重要だ
態ととらえられます。
23
それから、交通機関も1つの交通機関で全部
今日お話がありましたような様々な電波政策、
やるわけではなくて若しくはすべての交通機関
技術開発とともに融通というものを期待したい
を皆さんがお持ちなわけではなくて、自動車や
と考えております。
バスやタクシーや鉄道などを皆さん上手に使い
これは、時間による融通であったり、周波数
分けるわけです。こういうのが融通だと思いま
による融通であったり、場所ごとの融通であっ
す。
たり、そして重要なのが有線との融合、有線と
社会生活の中では、特に都市生活ではたくさ
の融通だと思うのです。ラスト数m、ラスト数
んの融通が行われています。電波の利用でも、
十m以外はできるだけ有線化するようなことを
この融通を行うことで、先ほど言ったような、
やりながら、電波という資源を有効利用してい
多い・安い・速いというコンシューマー視点、
ただきたいと感じております。
消費者視点の需要が賄えると感じておりまして、
暮らしの文化と電波需要の爆発的拡大
■まとめ
1.
暮らしと電波は、スマホとソーシャルメディアの普及により
四六時中、密接な関係になり、今後もその傾向は拡大する。
2.
制約からの解放が生活文化を創造し、市場を創造してきた。
今後も技術とインフラの進歩により暮らしの文化は進化する。
3.
顧客価値はより共感や共生に進み、応用市場が拡がる。
4.
高精細・大画面・双方向などの映像の高度化は、
「臨場感」「アクセス感」「参加感」を向上させ、広範囲に市場を拡大する。
5.
電波需要はデータサイズ・発信者数・利活用産業の3種の拡大で
10年千倍の勢いで引き続き爆発的に増大する。
6.
「多い」「安い」「速い」の消費者視点が電波利用に期待される。
そのためには様々な「融通」の実現が必要。
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最後、まとめですが暮らしと電波は切っても
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す。
切れない、マルコーニ以来、120年で大変な関
電波需要は、これの関係もありまして、10年
係になったので、それが制約からの解放によっ
で1,000倍の需要に引き続き拡大がされますの
て新しい文化が生まれ、市場も生まれてきたと
で、融通という概念で、多い・安い・速いを消
いうことで、顧客価値はよりコミュニティ共感
費者視点で実現するような技術開発、そして、
そして共生の価値に向かいます。
私どもから言えば、端末の開発やアプリケーシ
その中でも、映像の高精細化、大画面化、双
ョンの開発、そして電波の政策や技術の用意を
方向化というのは、大きな情報の爆発的需要を
していく必要があると感じております。
呼びます。そこは、臨場感とアクセス感と参加
今日はご清聴ありがとうございました。
感という新しい顧客価値をさらに高めていきま
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