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周南市の都市特性とごみ処理の現状・課題

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周南市の都市特性とごみ処理の現状・課題
第
2
編
周 南 市 の 都 市 特 性 と
ごみ処理の現状・課題
1.周 南 市 の 都 市 特 性
本市の人口規模は県内第3位の大きさであり、市域の面積は県内第 1 位の広さです。
広範囲な市域を有した結果、地域によって産業構造が異なっています。
徳山地域及び新南陽地域は、中国地方でも数少ない特定重要港湾を有する港湾都市で
す。周辺には石油化学コンビナートが形成され、石油や製鉄等の素材産業をはじめとす
る多くの企業が立地しており、全国有数の工業集積地です。近年では、平成 15 年度に、
臨海部に立地している石油コンビナートが「環境対応型コンビナート特区」に指定され、
また、徳山下松港が環境産業の拠点として「リサイクルポート」の指定を受けるなど、
環境と産業との調和に向けた取り組みが活発に展開されています。
熊毛地域は、周南工業地域の背後に位置し、至近距離にあるため自然環境豊かな田園
住宅都市として発展してきました。山陽自動車道の熊毛インターチェンジ等、交通の利
便性がよく、山口県でも人口が増加している数少ない地域です。
鹿野地域は、農林業が基幹産業でしたが、
中国自動車道鹿野インターチェンジの設
◆図3
周南市の市域
置を契機に主要県道の整備が進み、製造業
島根県
などの企業進出が見られるようになり、第
2 次,3 次産業へと移行してきました。ま
た、周南工業地域のベットタウン化が進み、
鹿野地域
錦町
都市郊外型農山村としての性格をもつよ
うになりました。
鹿野IC
中国自動車道
美川町
新南陽地域
周南市
周東町
徳山地域
山陽自動車道
熊毛地域
新南陽地域
徳山西IC
下松市
徳山東IC
熊毛IC
島根県
広島県
山口県
周南市
光市
環境対応型
コンビナート特区
リサイクルポート
(徳山下松港)
周南
工業
地域
3
2.ごみ処理の現状と課題
ごみ処理システム
現 状
本市のごみ処理は、合併以前の旧2市 2 町の方式を引き継いでいます。
各地域の処理施設は、燃やせるごみの処理施設やリサイクル施設など、地域の状況に
あった施設が整備されています。その結果、燃やせるごみ処理施設は、徳山地域の処理
施設である「恋路クリーンセンター」や熊毛地域の処理施設である「周陽環境整備セン
ター」は焼却方式を採用しています。一方、新南陽地域,鹿野地域の処理施設は「ごみ
燃料化施設」で、ごみ固形燃料(RDF)化方式を採用しています。その他、リサイクル施
設も地域ごとに整備されており、処理対象品目も異なっています。
こうした処理施設に併せて、分別方式や収集運搬方式を採用しているため、市民のご
み減量や分別排出等も地域で異なった取り組みが行われています。
また、中間処理施設のうち、徳山リサイクルセンターは建設後 11 年を経過してい
ることや新南陽リサイクルセンターが平成 16 年度中に閉鎖する予定となっているこ
とから、これらの施設に代わる中間処理施設の整備が求められています。
一方、最終処分場は、新南陽不燃物処分場(N6)は、新南陽リサイクルセンター同様、
平成 16 年度中に閉鎖されます。その他の施設についても、受入れ可能期間が残り 5
~10 年程度に迫っています。
周南市の燃やせるごみの指定ごみ袋
周南市の燃やせるごみの指定ごみ袋は、処理施設が徳山地域:恋路クリーンセンター,熊
毛地域:周陽環境整備センター、新南陽地域・鹿野地域:ごみ燃料化施設と異なり、それぞ
れの施設の受入条件等から、徳山地域が「紙製」、新南陽地域,鹿野地域が「ポリエチレン
製」、熊毛地域が「ポリエチレン製(ダイオキシン類の生成抑制等の効果がある成分を配合
したもの)」の 3 種類の材質のものを使っています。
紙
製
〔徳山地域〕
ポリエチレン製
ポリエチレン製
〔新南陽地域・鹿野地域〕
〔熊毛地域〕
4
◆表1
現状のごみ処理システム(地域別)
徳山地域
新南陽地域
熊毛地域
鹿野地域
―
―
―
―
収集運搬体制
形態
直営・委託
収集頻度(注1)
直営・委託
―
委託
―
委託
―
―
燃やせるごみ 2回/週
2回/週
2回/週
1~2回/週
燃やせない
ごみ
1回/週
1回/週
1回/月
1回/月
資源物(注2) 4回/月
4回/月
2回/月
1~2回/月
粗大ごみ
不定期
4回/年
不定期・自己搬入
不定期
分別方式
分別区分
―
―
―
―
―
―
―
―
台所ごみ、紙くず類、
布くず類、木くず類、
本、雑誌、食品トレイ
など
プラスチック類、
プラスチック類、
陶器類、金属類、
陶器類、金属類、
刃物、ガラス類、
刃物、ガラス類
自転車など
など
新聞、段ボール、
新聞、雑誌、段ボール、
紙パック、衣類、
紙パック、衣類、
びん類、缶類、
びん類、缶類、
金属類、
ペットボトル
ペットボトル
台所ごみ、紙くず類、
燃やせるごみ 布くず類、木くず類、
小型木製家具など
台所ごみ、紙くず類、
布製品、木くず類、
小型木製家具など
台所ごみ、紙くず類、
布くず類、木くず類、
本、雑誌、食品トレイ
など
燃やせない
ごみ
ガラス類
金属類、ガラス・陶器類
資源物
粗大ごみ
燃やせるごみ:50㎝以上 概ね一辺の長さが
燃やせないごみ:1m以上 30㎝を超えるもの
―
排出容器及び金額
紙製指定ごみ袋
(25,27㍑:
燃やせるごみ 17~20円/枚)
※価格は販売店の
自由競争
ポリ製指定袋
燃やせない
(10円前後/枚)
ごみ
※価格は販売店の
自由競争
資源物
中身の見える袋
中間処理施設
燃やせるごみ
容器包装以外の
プラスチック類
紙類、金物類、
ペットボトル、
プラスチック製
容器包装類、
びん類
品目による
―
ポリエチレン製指定袋
(45㍑:12.6円/枚、
30㍑:8.4円/枚)
プラスチック類、革製品
缶類、びん類、
新聞、段ボール
品目による
―
ポリエチレン製指定袋
(注3)
(45㍑:12.6円/枚、
30㍑:8.4円/枚)
―
ポリエチレン製指定袋
(45㍑:12.6円/枚、
30㍑:8.4円/枚)
ポリ製指定袋(45㍑:15.8円/枚、30㍑:10.6円/枚)
中身の見える袋
―
コンテナ
―
コンテナ
―
―
恋路クリーンセンター
ごみ燃料化施設
周陽環境整備センター
ごみ燃料化施設
処理方法
焼却
RDF化
焼却
RDF化
供用開始年
平成7年10月
平成11年4月
平成6年4月
平成11年4月
徳山リサイクルセンター
新南陽リサイクル
センター
熊毛ストックヤード
鹿野ストックヤード
資源物
処理対象物
びん類、缶類、
ペットボトル
びん類、缶類、金属類
びん類、ペットボトル、
プラスチック製
びん類、缶類、古紙類
容器包装類、
その他プラスチック類
供用開始年
平成5年7月
平成6年3月
(平成16年度中閉鎖)
平成13年
平成11年
桑原不燃物処分場
新南陽不燃物処分場
(N6)
熊毛不燃物埋立処分場
鹿野一般廃棄物
最終処分場
平成22年度
平成16年度
平成27年度
平成22年度
最終処分場
受入れ
可能期間
注1
注2
収集頻度に関して、収集日が祭日の場合回数が少なくなります。
資源物の収集頻度は、品目別の合計によるものです。(例 徳山地域資源物 古紙類 2 回/月,びん類・缶類・
ペットボトル2回/月で、合計でみると月 4 回の収集があります。)
注3 熊毛地域の指定ごみ袋は、ダイオキシン類の生成抑制等の効果がある成分を配合したポリエチレン製です。
5
◆図 4
中間処理施設及び最終処分場位置
島根県
錦町
鹿野ストックヤード
鹿野地域
徳地町
鹿野一般廃棄物
最終処分場
美川町
徳山地域
新南陽地域
周南市
周東町
新南陽
ごみ燃料化施設
防府市
熊毛ストックヤード
新南陽地域
下松市
周陽環境
整備センター
熊毛地域
熊毛不燃物埋立処分場
徳山リサイクルセンター
桑原不燃物処分場
玖珂町
新南陽リサイクルセンター
新南陽不燃物処分場(N6)
恋路クリーンセンター
光市
課 題
行政サービスの公平性の確保から、ごみ処理システムを統一することが必要です。
分別方式は、各地域で異なる分別区分や排出容器など統一したものとすることが必要
であり、これに併せて収集運搬体制も統一したものとすることが必要です。
中間処理施設については、徳山リサイクルセンターが供用後 11 年を経過しているこ
とや最終処分場の受入れ可能期間が残り少ないことから、新たな再資源化等を行い、最
終処分対象物の減量・減容化が行える新リサイクルプラザの整備が必要です。また、燃
やせるごみは3施設で処理しており、エネルギー回収など、効率的な処理のためには施
設の集約化等の検討が必要です。
6
ご
み
排
出
量
現 状
本市のごみ排出量(平成 15 年度)は、家庭系ごみ・事業系ごみの合計で年間約
65,000t(資源物の団体回収量 976tを除く)です。これを 1 人 1 日当たりに換算
すると約 1,139g となり、平成 13 年度の全国平均(1,124g)とほぼ同じレベルです。
経年的には、平成 14 年度に徳山地域で導入したイエローステッカーの効果によると
考えられる減少が見られましたが、近年増加傾向を示し、全国平均並みの排出量となり
ました。
全国のごみ排出量
◆図 5
ごみ排出量の比較
(1人1日平均排出量)
1人1日
平均排出量
(g/人/日)
1,200
山口県平均
1,164
1,150
周南市
1,139
全国平均
1,100
1,124
・全国のごみの排出量(平成 13 年度)
は、5,210 万t(東京ドーム約 140
杯分)です
・1 人 1 日当たりに換算すると、約
1,124g となります。
・経年的には、横ばいから微増傾向にあ
り、10 年前と比較すると、約 20g 増
加しています。
(万t)
(g/人/日)
ごみ排出量
5,500
1,200
1人1日平均排出量
5,200
5,020 5,030
1,050
4,900
5,054 5,069
5,115 5,120
5,160 5,145
1,160
1,132
1,118
1,114
1,106
5,236 5,210
1,120
1,124
1,118
1,104
4,600
1,112
1,114
1,105
1,080
1,000
H5
H6
H7
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
(年度)
注)全国平均及び山口県平均と比較するために、資
源物の団体回収量を除いています。
1,040
4,300
1,000
4,000
H4
H5
H6
H7
H8
H9 H10 H11 H12 H13
(年度)
イエローステッカー
イエローステッカーは、ごみ出しルールの徹底
のため、収集ステーションに出されたごみのうち
ルール違反のものに添付します。イエローステッ
カーには収集しない理由を明記し、収集せず、あ
えて取り残します。イエローステッカーの添付
は、平成 14 年7月1日より徳山地域で実施して
います。
実施当初は、分別不徹底が多く見られ、取り残
されたごみのあるステーション数は 236 で、全体
のステーション(2,852 箇所:平成 14 年度)の
8%以上でしたが、平成 14 年度末には、41 箇所
と 1%程度になりました。
7
徳山地域のイエローステッカー
課 題
現状で示したとおり、本市の1人1日平均排出量は、近年ほぼ全国平均並みにまで増
加しており、循環型社会形成に向け、ごみの発生・排出削減が必要です。
ごみの発生・排出削減を行うためには、市民及び事業者自らが「ごみを出さない」と
いう意識を持って日頃から行動することが必要です。
これまで、ごみの発生・排出削減に関しては、市民に対する啓発資料の作成や出前講
座等を行ってきました。また、市民と行政の窓口である環境衛生団体が組織されており、
分別収集の徹底などの啓発等の活動を行ってきています。これらの取り組みを継続・拡
充していくとともに、市民自らは、ごみ減量の意識を常に持って、ごみを減らすための
行動を身につけていくことが必要です。
一方、事業者に対しては、ごみの発生・排出削減について、多量排出事業者等を対象
に行政としての指導を行ってきました。今後は、事業者において、排出者処理責任を認
識し、資源の有効利用やごみの減量などの環境配慮を企業経営に織り込み、これを実践
していくことが必要です。
また、ごみの発生・排出削減を確実に進めていくため、市民、事業者、行政の三者が
連携し、協働していくことが必要です。加えて、意識を持って取り組みを進めるための
施策が必要です。
8
分別収集・再資源化
現 状
本市の再資源化量は、平成 15 年度において約 18,000t です。平成 11 年度から
新南陽地域及び鹿野地域の燃やせるごみをごみ固形燃料(RDF)として、平成 14
年度から徳山地域及び熊毛地域の燃やせるごみの焼却灰をセメント原料として再資源
化したため、大幅に増加しました。
再資源化は、その他、市民の分別収集とリサイクル施設等における資源物の回収に
より行っています。
本市のリサイクル率(平成 15 年度)は 27.4%です。なお、ごみ固形燃料化や焼却
灰のセメント原料化による再資源化量を除いたリサイクル率、すなわち、びん類や金属
類,廃プラスチック類等のリサイクル率は、10.2%となっています。
◆図6
再資源化量の推移
(t/年)
20,000
◆図7
固形化燃料
セメント原料
その他
プラスチック類
布類
ペットボトル
びん類
金属類
古紙類
18,000
16,000
14,000
12,000
リサイクル率の推移
徳山地域及び熊毛地域:
焼却灰のセメント原料化
リサイクル開始
リサイクル率
(%)
30
新南陽地域及び鹿野地域:
ごみ燃料化施設による
再資源化開始
25
20
10,000
周南市,27.4
山口県平均,
15.9
15
全国平均,
15.0
8,000
10
10.2
6,000
ごみ燃料化及び
セメント原料化を除いた場合
5
4,000
0
2,000
H5
0
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H6
H7
H8
H9
H10 H11 H12 H13 H14 H15
注)リサイクル率=
再資源化量÷ごみ排出量×100
H15
(年度)
ごみ固形燃料(RDF)
ごみ固形燃料は、燃やせるごみを乾燥・圧縮し
て固形化したものです。
RDF は、Refuse(廃棄物)Derived(作られ
た)Fuel(燃料)の略です。
9
(年度)
課 題
現状で示したとおり、本市の再資源化量は近年大幅に増加し、リサイクル率も全国平
均及び山口県平均と比べても高い値を示しています。
しかしながら、ごみ固形燃料(RDF)化や焼却灰のセメント原料化による再資源化
の割合が大きく、これらを除いたリサイクル率は、10.2%と全国平均及び山口県平均
と比べても低い状況です。まだ再資源化できるもの(廃プラスチック類や事業系の資源
物等)を分別・再資源化せずに直接最終処分していることが大きな要因のひとつです。
また、これらを直接最終処分していることにより、最終処分場の逼迫を招いています。
今後、さらなるリサイクルを進め、貴重な資源の有効活用を図るとともに、最終処分
量を削減するためには新たな再資源化に取り組むことが必要です。
なお、本市では、収集ステーションに排出された資源物を無断で持ち去る行為が多
く見られるようになりました。このことは、市民が取り組んでいる分別を無駄にする
ものであることから、周南市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例に資源物の所
有権等を示すことで、確実な収集に努めています。
周南市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例の一部改正
収集ステーションに排出された古紙類などを無断で持ち去る行為に対し、平成 15 年
4 月に、排出された資源物の所有権と、これを運搬できるものを「周南市廃棄物の減量
及び適正処理等に関する条例」に制定しました。
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