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2016年11月29日 情報媒体 Haemovigilance by JRCS

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2016年11月29日 情報媒体 Haemovigilance by JRCS
Haemovigilance
by JRCS
2015
血液事業本部 技術部 安全管理課
目 次
日本赤十字社のヘモビジランスシステム………………………………………………………………………………… 1
1.副作用・感染症症例報告……………………………………………………………………………………………… 2
1)輸血副作用…………………………………………………………………………………………………………… 2
① 非溶血性副作用…………………………………………………………………………………………………… 2
② 溶血性副作用……………………………………………………………………………………………………… 8
③ 輸血関連移植片対宿主病(TA-GVHD:Transfusion-associated graft versus host disease)…………… 8
2)感染症………………………………………………………………………………………………………………… 9
① 輸血後感染が疑われ、報告された症例………………………………………………………………………… 9
② 輸血による感染症と特定された症例概要………………………………………………………………………10
3)文献・学会情報から入手した副作用及び感染症個別症例情報…………………………………………………10
2.外国措置報告・研究報告………………………………………………………………………………………………12
3.輸血用血液製剤の安全対策……………………………………………………………………………………………14
1)新生児(特に低出生体重児)のサイトメガロウイルス感染の原因解明への取り組み………………………14
4.採血副作用………………………………………………………………………………………………………………15
1)採血副作用の発生状況………………………………………………………………………………………………15
2)採血副作用に対する取り組み………………………………………………………………………………………16
おわりに………………………………………………………………………………………………………………………17
Haemovigilance by JRCS 2015
日本赤十字社のヘモビジランスシステム
ヘモビジランス(Haemovigilance:血液安全監視)シ
血液研究所(いずれも安全管理実施部門)の各施設が分担
ステムとは、輸血用血液製剤について、献血(採血)から
協力し対応している。輸血副作用・感染症情報等の収集や、
検査・製造を経て、受血者のフォローまでの全過程におけ
医薬関係者への輸血用血液製剤に関する情報提供について
る全ての有害事象を監視し、その原因を分析・評価するこ
は、各血液センターに配置されている MR が担当する。こ
とにより適切な対策を講じ、被害の発生や拡大を防ぐこと
れらの情報の分析・評価は安全管理統括部門が担当し、重
である。日本赤十字社では、血液事業開始時から採血副
篤な輸血副作用・感染症症例については薬機法等に従い医
作用や輸血後感染症、輸血副作用に取り組み、1982 年に
薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という)へ報告し
採血副作用報告の社内手順を規定し、1983 年には全国の
ている他、安全対策の基本データの収集、製剤の回収、添
赤十字血液センターに医薬情報担当者(以下「MR」とい
付文書(使用上の注意)改訂等の業務を行っている。さら
う)を配置し、輸血副作用・感染症に対応してきた。この
に、血液の安全性に関連する疫学調査等を実施し、それら
間、輸血後感染症対策として献血血液の肝炎マーカー検査
の結果については厚生労働省や国の薬事・食品衛生審議会
や HIV マーカー検査等の導入を進め、1993 年には輸血副
血液事業部会の各委員会等に報告し、輸血用血液製剤の安
作用・感染症情報を一元的に収集し、これらを分析する体
全対策に資するよう努めている。
制を構築した。さらに、1996 年には全ての献血血液につ
医 薬 品 に つ い て は、 フ ァ ー マ コ ビ ジ ラ ン ス
いてその一部を調査用検体として 11 年間保管する検体保
(Pharmacovigilance: 安 全 監 視 体 制 ) が 適 用 さ れ る。
管を開始した。この検体保管により、主に輸血後感染症に
WHO はファーマコビジランスを「医薬品の有害作用又は
かかる輸血用血液製剤の調査が可能になり、輸血との因果
関連する諸問題の検出、評価、理解及び防止に関する科学
関係の確認に使用する以外に、今後新たに発生するかもし
及び活動」と定義しており、これは日本の GVP 省令が定
れない副作用や感染症等に対する調査においても有用であ
める製造販売後安全管理業務とほぼ一致している。また、
る。また、保管年限を過ぎた保管検体については、平成
ICH(日米EU医薬品規制調和国際会議)は E2E ガイドラ
24 年 8 月 1 日薬食発 0801 第 1 号厚生労働省医薬食品局
イン「Pharmacovigilance Planning(医薬品安全性監視の
長通知「
「献血血液の研究開発等での使用に関する指針」
計画)
」を策定し、2005 年から実施されている。これは
について」により定められた指針に従い、研究開発等に使
平成 17 年 4 月に改正薬事法が完全施行され、GQP 省令
用が可能となった。研究開発等への使用にかかる妥当性に
及び GVP 省令の遵守が製造販売業の許可要件になったの
ついては、国の薬事・食品衛生審議会血液事業部会運営委
と時を同じくしている。
員会が評価を行うこととされた。
欧米各国では、輸血用血液製剤は医薬品とは別に規制さ
一方、日本では輸血用血液製剤は
「医療用医薬品」
である。
れている国がほとんどであり、輸血用血液製剤に対する安
2014 年 11 月 25 日に薬事法が改正され、制定された 「
全監視体制は医薬品とは別に策定することになるため、
「ヘ
医薬品医療機器等法(薬機法)」の規制を受けるものであ
モビジランス」
と言う概念が発生したと考えられる。一方、
り、他の医薬品と同様に製造販売承認を取得している。日
日本では輸血用血液製剤は医薬品であるがために、医薬品
赤は日本で唯一の採血事業者であり、輸血用血液製剤の製
と同様のファーマコビジランスが適用されることになる。
造販売業者である。また、血漿分画製剤の原薬である原料
したがって、日本のヘモビジランスシステムはファーマコ
血漿も製造している。献血血液から輸血用血液製剤の製造
ビジランスと同様であるということが大きな特徴である。
販売にあたっては、薬機法及び同法施行規則の他、「医薬
品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する
省令(GMP 省令)」
、
「医薬品、医薬部外品、化粧品及び再
生医療等製品の品質管理の基準に関する省令(GQP 省令)」
等に従う。製造販売後は「医薬品、医薬部外品、化粧品、
医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準
に関する省令(GVP 省令)
」に基づき、血液事業本部(製
造販売業者、安全管理統括部門)、各血液センター、中央
1
Haemovigilance by JRCS 2015
1.副作用・感染症症例報告
2006 年∼ 2015 年の輸血副作用・感染症自発報告症例
器等法等に従い、個別症例報告を実施した(非溶血性副作
数(医療機関から日赤に報告された数、輸血との関連性な
用 773 例*、溶血性副作用 18 例*、感染症 93 例*)。なお、
しとされた報告も含む。)を図 1 に示す。
医療機関から自発的に日赤へ報告されていない副作用等症
2015 年は副作用 1,563 例(内訳:非溶血性副作用 1,533
例が文献や学会等で発表されることがあり、このような情
例、溶血性副作用 28 例、輸血後 GVHD 疑い 2 例)
、感染
報を入手した場合は別途発表医療機関等に対し、重篤度等
症 93 例が全国の医療機関から日赤へ報告された。報告医
の調査を行っている。
(「3)文献・学会情報から入手した
又は日赤が重篤と判断した症例については、医薬品医療機
副作用及び感染症個別症例情報」参照)。
*:複数に分類される場合は重複して集計した。
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400
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2006
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1,000
1,200
1,400
191
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5
22 149
5
25 98
2
26 98
3
14 96
6
12 131
2
21 125
1
21 81
1
28 93
2
1,626
2008
1,544
2009
1,541
2010
1,579
2011
1,597
2012
1,595
2013
1,515
2014
1,451
2015
1,533
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図1 輸血副作用・感染症自発報告症例数 の推移
*:文献・学会発表等から情報を入手した副作用等症例は含まない。
1)輸血副作用
① 非溶血性副作用
2006 年∼ 2015 年までに非溶血性副作用として医療機
たものの内訳及び重篤・非重篤副作用の年次推移を図 3
関より報告された症例数を表 1 に示す。また、2015 年に
に示す。なお、TRALI 及び TACO は呼吸困難に含めて集計
報告された副作用種類別内訳を図 2、重篤症例と評価され
した。
表 1 非溶血性副作用種類別の自発報告症例数
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Haemovigilance by JRCS 2015
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図2 2015 年の非溶血性副作用自発報告内訳
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744
851
703
812
705
746
773
760
図3 2015 年の非溶血性副作用自発報告のうち重篤と評価された症例*の内訳及び重篤・非重篤副作用の年次推移
*重篤症例:報告医が重篤副作用として報告した症例及び非重篤と報告されたが副作用の症状等から日赤で重篤と判断した症例。
3
Haemovigilance by JRCS 2015
TRALI(Transfusion-related acute lung injury:
輸血関連急性肺障害)及び TACO(Transfusion
associated circulatory overload:輸血関連循環過
負荷)の症例評価状況
医療機関から報告された TRALI や TACO が疑われる症
用いた評価を実施している。図 4 に評価の流れ及び 2015
例、また、呼吸困難の症例のうち TRALI や TACO が疑わ
年の評価数等を示す。
れる症例について、TRALI 診断基準/ TACO 評価基準を
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図4 TRALI 及び TACO の評価の流れ
TRALI
TRALI は 2004 年に行われた Consensus Conference で
• TRALI と評価されなかった 165 例のうち、心原性肺水腫
提 唱 さ れ た 診 断 基 準(Transfusion. 2004;44(12):1774-
と考えられた症例は 92 例で、これらは TACO の評価も
89.)に基づき評価を行っている(図 5)。
行った。
• 2015 年の 1 年間に医療機関から報告された非溶血性副
• それ以外の 73 例には、その他の副作用(アレルギー性
作用 1,533 例のうち、TRALI の評価対象とした症例は
やアナフィラキシーによる呼吸困難等)と評価された症
178 例であった。なお、TRALI の評価は TRALI 疑いと
例の他、診断基準の「必要なデータ」
(胸部 X 線画像、
報告された症例のほか、呼吸困難、SpO2 低下等で胸部 X
輸血前の呼吸状態を示すデータ)が不足しているもの及
線画像で両側に浸潤影が認められる症例を対象とした。
び診断基準から外れるもの(発症時間の基準から大幅に
• TRALI 評価の結果、TRALI 7 例、possible-TRALI 6 例で
超過するもの、輸血前から急性呼吸不全が存在するもの)
あった。
などが含まれる。
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Haemovigilance by JRCS 2015
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図5 TRALI の診断基準
TACO
輸血の容量負荷による呼吸困難は、1950 年代より輸血
• 2015 年は TACO と評価された症例が 63 例であり、内
の合併症として知られており、2000 年代中頃から、国
訳は TRALI 評価により心原性肺水腫とされ、TACO 評価
際 輸 血 学 会(ISBT:The International Society of Blood
を行ったものが 61 例、医療機関より TACO 疑いとして
Transfusion)で輸血副作用の定義や評価基準の標準化を
報告されたものが 2 例であった。
進める中で、TACO の診断基準についても定義されている
• 2015 年に TACO と評価された症例の患者男女比及び使
が、TRALI のようにコンセンサスの得られた基準がまだ
用製剤を図 7 に、同様に日赤で TACO の評価を開始した
ない。日赤では循環過負荷の原因が輸血のみにあるのかを
2012 年 4 月から 2015 年までのデータを図 8 に示す。
明確にし、適正な輸血を行ったとしても発生してしまう
女性及び高齢者で発症しやすい傾向があり、女性は男性
TACO があるのかを検討するために、もともと循環過負荷
に比べ、体重(循環血液量)が少ないことから循環過負
を起こしやすい状態である心不全や透析、人工心肺等の使
荷に陥りやすいと推測された。使用製剤では、複合製剤
用を除外した日赤独自の TACO 評価基準(図 6)を用いて
でも赤血球製剤が使われている例が多く、TACO と評価
2012 年 4 月から評価を開始した。
された症例の 9 割で赤血球が使用されていた。
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図6 TACO の診断 / 評価基準
5
Haemovigilance by JRCS 2015
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図7 TACO と評価された患者男女比及び使用製剤(2015 年)
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図8 TACO と評価された患者男女比及び使用製剤(2012 年 4 月∼ 2015 年)
6
Haemovigilance by JRCS 2015
TRALI 及び TACO の考察と今後の課題
• TRALI 疑いとして報告される症例数に対し、TRALI と
必要である。
評価される割合は減少傾向である。なお、2015 年は
• TACO 症例において、体重と輸血量の関連、輸血速度と
TRALI による死亡と評価された症例はなかった。
の関連、利尿剤の併用及び TACO 発症後の利尿剤の使用
• TRALI 対 策 と し て、 男 性 献 血 者 の 400mL 採 血 か ら の
方法等は今後の検討課題である。
FFP 優先製造を引き続き取り進めると共に、抗白血球抗
• TACO と評価される症例数が増加傾向にあることから、
体検査や妊娠歴に関する問診項目の追加等について検討
TACO の病態、臨床所見、危険因子及びその対処の紹介
する。
等を盛り込んだ輸血情報(図 10)を作成・配付し、医
• 2012 年より TACO の評価を開始した。平成 24 年 3 月
療関係者へ注意喚起を行った。
の「輸血療法の実施に関する指針」の改定時に、輸血に
• TRALI 及び TACO の正しい鑑別のために、平成 24 年よ
伴う副作用・合併症の項に TACO が追記され、TACO の
り厚生労働省の研究班(輸血療法における重篤な副作
認知は広まってきた。しかしながら、医療機関から日赤
用 で あ る TRALI・TACO に 対 す る 早 期 診 断・ 治 療 の た
へ「TRALI」として報告され、日赤の TRALI 評価により
めのガイドライン策定に関する研究)が国内外の診断
心原性肺水腫が疑われ、
次いで TACO 評価の結果「TACO」
基準と整合性を有し、臨床的にも使いやすく、客観的
とされたものが多くを占めている(図 4)
。TACO と評価
な診断を可能とするガイドラインの策定を進めてきた。
される症例数は増加傾向にあるが(図 9)
、TACO 評価の
パブリックコメントを募り、日赤に報告された TRALI
開始前にも心原性肺水腫と評価された症例は現在と同様
及 び TACO 症 例 を 対 象 に 検 証 し、 数 回 の 改 変 を 経 て、
にあったことから、急に TACO が増加したのではないと
2015 年に最終案が完成した(日本輸血細胞治療学会誌 .
考えられた。
2015;61(4):474-479.)
。日赤は、厚生労働省の研究班や
• TACO は循環負荷による心不全の病態であることから、
学会等と協力し、TRALI 及び TACO の予防、診断、治療
輸血前の患者の心機能や腎機能の低下が疑われる場合
に寄与するよう引き続き取り組む。
は、輸血量・輸血速度に注意し、輸血中も十分な観察が
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2015
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図9 TRALI 及び TACO の評価状況(2007 年∼ 2015 年)
7
Haemovigilance by JRCS 2015
図10 TACO の注意喚起にかかる配付資料(輸血情報 1602-146)
② 溶血性副作用
2015 年に医療機関から報告された溶血性副作用の内訳
を表 2 に示す。溶血性副作用の報告を受けて日赤で調査
を行った結果、患者血液に不規則抗体が検出された症例は
11 例(即時型:4 例、遅発型 7 例)であった(表 3)。また、
即時型のうち 3 例及び遅発型のうち 4 例は患者に輸血歴
があった。
表2 2015 年に自発報告された溶血性副作用症例数
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(次ページにつづく)
即時型の症例 No.4、遅発型の症例 No.1、No.2、No.6 は、
輸血前に医療機関が実施した交差適合試験では「適合」と
判定されていたが、日赤で行った結果では、弱い凝集が確
認された等の理由により「不適合」と判定された症例であ
る。なお、即時型の症例 No.1 は、輸血前に医療機関が実
③ 輸血関連移植片対宿主病(TA-GVHD: Transfusion-associated graft versus host disease)
• 2015 年は TA-GVHD 疑い症例が 2 例報告されたが、患
施した交差適合試験では、生食法で凝集が認められたが、
者血液のマイクロサテライト DNA 検査によりキメリズ
37℃での反応性は認められなかったため「適合」と判定
ムが認められず、TA-GVHD は否定された。
された。日赤で行った結果では、37℃で弱い凝集が認め
られたため「不適合」と判定された。
8
• 2000 年以降、日赤が製造販売した輸血用血液製剤が原
因と考えられる TA-GVHD の確定症例はない。
Haemovigilance by JRCS 2015
表3 患者の不規則抗体が陽性となった症例
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2)感染症
① 輸血後感染が疑われ、報告された症例
2015 年に報告された輸血後感染症疑い症例(医療機関
遺伝子解析等により塩基配列に相同性が確認された症
からの報告、献血後情報由来症例を含む)の内訳及び症例
例 数、 細 菌 で は 遺 伝 子 型 試 験(PFGE:Pulsed Field Gel
数の年次推移を図 11 に示す。
Electrophoresis)
、薬剤感受性試験、毒素型別試験等で菌
特定件数は、輸血された血液製剤及び輸血後の患者血
株が一致した症例数である。
液からウイルス等の病原体が検出され、ウイルスでは
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図11 2015 年に報告された輸血後感染症疑い症例の病原体別内訳及び症例数の年次推移
9
Haemovigilance by JRCS 2015
② 輸血による感染症と特定された症例概要
輸血による感染と特定された症例の概要を以下に示す。
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医療機関からの報告:輸血によるウイルス感染の疑いとして医療機関から報告された症例
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献血後情報:試行的 HEV-NAT *の陽転化情報に基づく遡及調査より医療機関から報告された症例
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*:日赤では HEV 感染率の高い北海道に限定して、研究的・試行的な取組みとして全例 NAT を実施し、NAT 陽性供
(献)血者の血液を除外している。
その上で供(献)血者発 の遡及調査を試行的に実施している(「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン」
(平成 26 年7月一部改正)参照)。
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細菌
医療機関からの報告:輸血による細菌感染の疑いとして医療機関から報告された症例
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パルボウイルス B19
医療機関からの報告:輸血によるウイルス感染の疑いとして医療機関から報告された症例
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3)文献・学会情報から入手した副作用及び感染
症個別症例情報
2015 年に国内の文献・学会情報から入手した症例を表
日赤が製造している輸血用血液製剤の販売は日本国内の
4 に示す。なお、表 4 に示した国内症例は日赤への報告が
みであるため、外国の副作用・感染症症例は、外国で使用
なく、文献・学会のみで発表された症例であるが、発表医
されている同種同効品による副作用等報告を収集及び調査
療機関に日赤の MR を通じ副作用の重篤度や使用製剤につ
の対象としており、感染症及び未知の重篤副作用について
いて調査を実施した。調査の結果、重篤副作用と判断した
は PMDA に個別症例報告を行っている。2015 年に収集し
症例は PMDA へ個別症例報告を行った。
た外国症例を表 5 に示す。
10
Haemovigilance by JRCS 2015
表4 2015 年に文献調査により入手した日本国内の輸血副作用等症例
(個別症例報告対象外も含む)
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(概要)
• 文献調査で入手される輸血副作用等症例の多くは、不規
板輸血効果が不良であった骨髄異形成症候群(MDS)の
則抗体による溶血反応(No.1、2、4 ∼ 14)が占め、検
患者に、大量の血小板製剤を輸血したことによるものと
出された不規則抗体は抗 E や抗 c が多く、次いで Kidd
考えられた。
b
a
b
系(抗 Jk )、
Duffy 系(抗 Fy 、
抗 Fy )が多かった。また、
• 高 カ リ ウ ム 血 症 及 び 無 脈 性 電 気 活 動(PEA) の 症 例
これらの症例について医療機関に調査を行った結果、ほ
(No.15)は、保存に伴い上清中のカリウム濃度が増加し
とんどは非重篤であったが、No.7 は急性腎不全から尿毒
やすい放射線照射赤血球製剤の大量輸血により、血中カ
症を来し、透析治療が必要となった。
リウム濃度が上昇し、PEA を引き起こした可能性が考え
• 輸血関連循環過負荷(TACO)の症例(No.3)は、血小
られた。
表5 2015 年に文献調査により入手し、個別症例報告を行った外国症例
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11
Haemovigilance by JRCS 2015
(概要)
• デングウイルス感染症例 3 例(No.1, 2, 13)のうち、2
過去に輸血された製剤の中に個別 NAT で HIV-RNA 陽性
例(No.1, 2)は供血者が供血後に発熱等の症状を発症
の血液が含まれていたことが判明した。なお、2 症例と
し、遡及調査を実施したところ、当該供血由来の輸血用
も供血者及び患者から検出されたウイルスの遺伝子塩基
血液製剤の受血者にデングウイルス感染が認められた。
配列が一致していた。
No.13 の症例は後ろ向き調査でデングウイルス陽性と判
• 四日熱マラリア感染症例(No.4)は、輸血後から頻回
明した輸血用血液製剤を輸血された患者を調査した結
の発熱を呈し、検査したところ患者血液から Plasmodium
果、デング出血熱の診断基準を満たす症状を呈していた
malariae が検出された。被疑薬の供血者からも P. malariae
ことがわかった。
が検出され、遺伝子塩基配列が一致した。当該供血者は
• バベシア症症例 2 例(No.10, 11)は、輸血後に発熱、
マラリア流行国出身ではあったが、これまでにマラリア
倦怠感、血小板減少等の症状がみられた。No.10 の患者
の既往はなく、過去 3 年間渡航歴もなかったことから無
はアジスロマイシン(抗菌薬)とアトバコン(抗マラリ
症候キャリアであったと考えられた。
ア薬)の投与にて回復した。No.11 は輸血後の患者血液
• ヒトアナプラズマ症症例(No.6)は、血小板製剤を輸
の赤血球内に原虫が確認され、PCR 検査により Babesia
血された患者が輸血後に発熱等を呈し、検査したところ
microti と同定された。被疑薬の供血者は B. microti 流行地
Anaplasma phagocytophilum が検出された。被疑薬の供血
に居住し、多数のダニ刺咬歴があり、当該供血者からも B.
者を調査した結果、当該供血者は A. phagocytophilum のベ
microti が検出された。
クターであるマダニが多い地域に居住しており、PCR 検
• 細菌感染症例 3 例(No.3, 5, 14)のうち、
No.3 の症例は、
輸血後に全身状態が悪化し、死亡した症例である。死後
査にて A. phagocytophilum 陽性、抗 A. phagocytophilum IgG
及び IgM 抗体陽性であった。
に Yersinia enterocolitica による敗血症(多臓器不全)によ
• E 型肝炎症例(No.8)は、心臓移植手術時に輸血を受け、
る死亡と診断され、輸血に使用された製剤に関与した供
その後免疫抑制療法を開始した患者が、輸血後に肝酵
血者を調査した結果、1 名が Y. enterocolitica 抗体陽性で
素が上昇し、精査した結果、HEV-RNA が陽性であった。
あった。No.5 の症例は、輸血翌日に敗血症で死亡した症
HEV 感染判明後は免疫抑制剤の投与を減量し、リバビリ
例である。輸血後の患者血液及び輸血に使用された血小
ン投与にて回復した。輸血された製剤に関与した供血者
板製剤から Staphylococcus epidermidis が検出され、抗生剤
12 名を調査した結果、1 名が高力価の HEV-IgG を保有
への感受性や rRNA が一致した。No.14 は、輸血開始後
していた。
に悪寒、嘔吐を認めたが投薬により改善したため、輸血
• シャーガス病症例(No.12)は、Trypanosoma cruzi 抗体陽
を再開したところ、再度悪寒、嘔吐を呈し、全身状態が
性となった供血者の遡及調査により、過去に当該供血者
悪化した。輸血された血小板製剤から Citrobacter koseri が
由来の赤血球製剤の輸血を受けた患者が、T. cruzi 抗体及
検出され、輸血による細菌感染が疑われた症例である。
び T. cruzi DNA 陽性であることが判明した。
• HIV 感染症例 2 例(No.7, 15)は、いずれも HIV プール
• No.9 の症例は、赤血球製剤の輸血後に発作や意識レベル
NAT 陰性の供血血液の輸血による感染症例である。No.7
低下が起こり、頭部 MRI 検査で頭頂後頭葉及び前頭葉両
の症例は、HIV 抗体が陽転した供血者の遡及調査を行っ
側に高信号域が認められ、可逆性後白質脳症(RPE)と
た結果、当該供血者由来の赤血球製剤の受血者に HIV 抗
診断された症例である。当該患者は輸血以外の RPE 発症
体の陽転が確認された。No.15 の症例は、頻回輸血患者
要因(ステロイド大量投与、ガンマグロブリン静注)も
に HIV 抗体の陽転化が確認され、遡及調査を行った結果、
重複しており、RPE の発症原因の特定は困難であった。
2.外国措置報告・研究報告
外国措置報告は、日赤が製造販売する医薬品に関連する
該医薬品若しくは外国医薬品の副作用若しくはそれらの使
「外国医薬品に係る製造、輸入又は販売の中止、回収、廃
用による感染症によりがんその他の重大な疾病、障害若し
棄その他保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため
くは死亡が発生するおそれがあること、当該医薬品若しく
の措置の実施」(医薬品医療機器等法施行規則第 228 条の
は外国医薬品の副作用による症例等若しくはそれらの使
20 より)に関する情報を入手した場合に報告を行ってい
用による感染症の発生傾向が著しく変化したこと又は当該
る。研究報告は、日赤が製造販売する医薬品に関連する
「当
医薬品が承認を受けた効能若しくは効果を有しないことを
12
Haemovigilance by JRCS 2015
示す研究報告」(医薬品医療機器等法施行規則第 228 条の
あって、日赤が製造販売する医薬品と有効成分が同一で、
20 より)を入手した場合に報告を行っている。
投与経路、用法 ・ 用量、効能 ・ 効果等が異なる医薬品に対
日赤が製造した輸血用血液製剤は日本国外で販売
(供給)
する措置や研究報告を報告対象としている。
していないが、医薬品医療機器等法第 68 条の 10 及び同
2015 年に入手した外国措置のうち、報告対象としたも
法施行規則第 228 条の 20 の規定に基づき、日赤が製造
のを表 6 に示す。なお、2015 年は上記に該当する研究報
販売した医薬品でなくても、外国で使用されているもので
告はなかった。
表6 2015 年に入手した外国措置報告
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(概要)
•(No.1)フランス医薬品・保健製品安全庁(ANSM)よ
凝固因子濃縮製剤投与を必要とする血友病及び凝固因子
り、2015 年 1 月 31 日以降、界面活性剤(SD)処理血
欠乏症患者は、HIV 感染リスクを理由としてではなく、
漿製剤は血液製剤から血液由来医薬品に扱いが変更にな
当該患者の健康状態を考慮して無期限の供血延期とし、
り、製薬企業のみがこの製剤の製造及び供給を行うこと
当該患者と性交渉を行ったことのある供血者は供血延期
になったという報告である。国営の血液事業者であるフ
措置を適用しないことが明記された。
ランス血液機構(EFS)には製薬企業の資格が無いため、
•(No.3)米国 FDA よりエボラウイルス(EBV)への対応
SD 血漿の製造及び供給は今後行わない。監視体制とし
における供血者の適合性、供血延期、および血液製剤管
てはファーマコビジランスによることになるが、当面は
理の評価に対する勧告 - 業界向けガイダンス草案が発出
ヘモビジランスも適用されるとのことである。
された。EBV 感染またはエボラウイルス性疾患(EVD)
•(No.2)2015 年 5 月に米国 FDA より輸血関連 HIV 感染
発症既往のある者、当該既往のある者と接触した可能性
症のリスク低減のための勧告の改定と題したガイダンス
のある者、EVD 流行地への渡航歴のある者は、EVD 発症
の草案が発出された。1977 年以降に男性と性交渉を持っ
前又は無症候状態である可能性がある。このような状態
た経験のある男性供血者(MSM)については無期限に供
におけるウイルス血症及び感染性の有無については未だ
血延期とすることと勧告されていたが、最後に男性間性
明確になっていないが、リスク軽減のため EBV 感染また
交渉を行ってから 12 ヵ月間の供血延期とすると改定さ
は EVD 発症既往は無期限、EVD 流行地から出国後 8 週
れた。その後、草案に対するパブリックコメントを反映
間以内、EBV 感染者又は EVD 発症者と接触後 8 週間以
した最終版が 2015 年 12 月に発出された。最終版では
内は供血を延期することが勧告された。
13
Haemovigilance by JRCS 2015
•(No.4) 英 国 血 液 サ ー ビ ス(NHSBT) は、2015 年 7
応じて CMV 抗体陰性血液を使用できることの周知を目的
月 に 血 液、 組 織 及 び 臓 器 の 安 全 性 に 係 る 諮 問 委 員 会
に、輸血による CMV 感染疑い症例に係る情報媒体を作成
(SaBTO)が公表した「移植患者には HEV 陰性の輸血用
し、周産期医療関係者に対し情報提供を行った。さらに
血液製剤の使用が推奨される」という勧告を受け、2016
2014 年 4 月に血漿製剤を除くすべての輸血用血液製剤の
年 3 月 14 日より HEV 陰性の輸血用血液製剤の供給を開
添付文書使用上の注意を自主改訂し、CMV 感染リスクを
始すると決定した。新生児用の輸血用血液製剤は、医療
追記した(
「Haemovigilance by JRCS 2013」参照)。
機関のオーダーに関わらず HEV 陰性の製剤を供給する。
情報提供及び添付文書使用上の注意を改訂した後も、新
追加費用として 17.18 英ポンドが上乗せされる予定であ
生児の輸血による CMV 感染疑い症例の日赤への報告が相
る。
次ぎ、そのほとんどの症例で CMV 抗体陰性血液が使用さ
れていなかったものの、輸血による感染と特定された症例
3.輸血用血液製剤の安全対策
は確認されていない(2015 年 3 月時点)。
医療機関から報告された輸血副作用・感染症症例や、供
このような現状を踏まえ、低出生体重児の輸血による
血者より得られる献血後情報の評価・検討結果に基づき、
CMV 感染が疑われた場合には、患者の臨床情報や適切な
安全対策を講じている。2015 年に実施した安全対策を以
検体を提供いただき、日赤が感染経路の特定及びリスクの
下に示す。
解明をすることへの協力をお願いすることとし、2015 年
1)新生児(特に低出生体重児)のサイトメガロ
ウイルス感染の原因解明への取り組み
8 月に情報媒体(図 12)を用いて、未熟児・周産期医療
実施医療機関に対し情報提供を行った。調査のために提供
を依頼する検体等を図 13 に示す。
日赤は 2013 年に、低出生体重児等への輸血には必要に
未熟児・周産期医療実施医療機関 御中
2015年8月
日本赤十字社
症例2
【患者情報】1か月・女児、
原疾患:先天性心疾患
(開心術施行)
、
出生時の体重:2254g
(在胎39週5日)
【輸血用血液製剤】Ir-RBC-LR 7本、
Ir-PC-LR 1本、
FFP-LR 6本
新生児(特に低出生体重児)
のサイトメガロウイルス感染
∼原因解明のためのご協力のお願い∼
【患者CMV検査】
輸血前:不明
輸血後:CMV-IgM抗体陽性、
CMV-IgG抗体陽性 【母親のCMV関連マーカー検査】CMV-IgM抗体陰性、
CMV-IgG抗体陽性
日本赤十字社が供給する輸血用血液製剤は、すべて保存前に白血球除去が施されており、サイトメガロ
ウイルス
(CMV)
抗体陰性血液と同等の安全性を有するとされています1)。周産期におけるCMVの感染経路
(感染源)
としては、経胎盤、経産道、母乳、尿、唾液、輸血などが挙げられてきました 2-4)。輸血用血液製剤に
ついては白血球除去導入の後も、新生児、特に低出生体重児において、輸血によるCMV感染を疑われた症例の
報告が続いていることから、CMV感染を危惧される場合にはCMV抗体陰性血液を使用していただくよう、
2013年8月に関係医療機関に情報提供を行いました。
しかしながら、その後も新生児の輸血によるCMV感染
【輸血用血液製剤の保管検体
(白血球除去前検体)
のCMV関連マーカー検査】
輸 血された 血 液 製 剤 1 4 本 の 保 管 検 体につ い て C M V 関 連 マ ーカーを検 査したところ、1 本 が
CMV-DNA陽性、
CMV-IgM抗体陰性、
CMV-IgG抗体陽性でした。
【CMV遺伝子配列の相同性解析結果】
輸血された血液製剤の保管検体はウイルス量が少なかったためPCRで増幅されず、
患者検体から検出さ
れたCMVとの塩基配列の相同性が確認できなかったことから、
因果関係の特定には至りませんでした。
疑いの報告が相次いでおります。そのほとんどにCMV抗体陰性血液は使用されていませんでしたが、多くの
場合は原因とされた輸血用血液製剤からCMVは検出されず、輸血が原因と特定された例はまだありません。
日本赤十字社は、低出生体重児のCMV感染を防止するために、医療機関にご協力いただき、感染経路を
お願い
特定したいと考えています。
つきましては、輸血によるCMV感染を疑われた場合には、患者の臨床情報や適切な検体を日本赤十字社へ
○新生児、特に低出生体重児に輸血する場合は、CMV抗体陰性血液の使用をご検討ください。
提供していただきますようお願いいたします。
○新生児、特に低出生体重児の副作用報告時には、感染源調査のため以下の情報もご提供ください。
・在胎週
※
CMV感染疑いとして日本赤十字社に報告された事例
・出生時の体重
・分娩様式
(経腟分娩または帝王切開)
※輸血された血液製剤の保管検体にCMV-DNAが検出された例
(いずれの例も、
血液製剤は白血球除去されていますが、
CMV抗体陰性血液は使用されていません。)
・入院施設及び期間等
(NICU、
GCU、
一般病棟等)
・母親の感染状況
・母乳の授乳状況
(授乳期間、
凍結の有無など母乳の状態)
症例1
・兄弟・姉妹の有無
【患者情報】1か月未満・男児、
超低出生体重児
(分娩様式:帝王切開)
【輸血用血液製剤】Ir-RBC-LR 1本
○感染源の特定のため、以下の検体の提供をお願いいたします。
・児の輸血前後の血液、
尿
(輸血前検体は臍帯血でも可)
【患者CMV検査】
・母乳、
または母親の血液
輸血前:CMV-DNA検出感度未満
(乾燥臍帯による検査結果)
輸血後:CMVアンチゲネミア陽性、
血液及び尿中のCMV-DNA陽性
【参考文献】
1 )The residual risk of transfusion-transmitted cytomegalovirus infection associated with
【母親のCMV関連マーカー検査】
CMV-IgM抗体陰性、
CMV-IgG抗体陽性
【輸血用血液製剤の保管検体
(白血球除去前検体)
のCMV関連マーカー検査】
CMV-DNA陽性、
CMV-IgM抗体陰性、
CMV-IgG抗体陽性
leucodepleted blood components(Vox Sanguinis 2015; 109: 11‒17)
2 )後天性サイトメガロウイルス感染症(周産期医学 Vol.44 増刊号/2014)
3 )Blood transfusion and breast milk transmission of cytomegalovirus in very low-birth-weight
infants: a prospective cohort study(JAMA Pediatrics 2014; 168: 1054-1062.)
【CMV塩基配列の解析結果】
CMVのUL139領域とUL146領域の2領域5)について、患者検体から検出された株と献血者から検出
4 )早産児における母乳を介した症候性サイトメガロウイルス感染症
された株の塩基配列を比較したところ、いずれの領域においても相同性は確認されませんでした。
(第62回日本ウイルス学会学術集会 2014年横浜)
一方、医療機関より提供された母乳を調査したところ、患者検体と母乳から検出されたCMVの塩基
5 )Genotypic analysis of two hypervariable human cytomegalovirus genes.
配列は、両領域において100%一致しました。
(Journal of Medical Virology 2008; 80: 1615‒1623.)
【お問い合わせ】
最寄りの赤十字血液センター医薬情報担当者へお願いいたします。
図12 CMV 感染防止及び感染経路特定のための協力依頼情報媒体
14
Haemovigilance by JRCS 2015
情報媒体に掲載した「症例 1」
(図 14)は、日赤に報
告された輸血による CMV 感染疑い症例のうち、輸血に
*
使用された保存前白血球除去製剤の保管検体 を調査し
たところ、CMV-DNA 陽性であったが、輸血後の患者検
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体から検出された CMV とウイルスの塩基配列が一致せ
ず、母親の母乳から検出された CMV と塩基配列が 100%
一致し、母乳による CMV 感染が強く疑われた症例である
(Transfusion. 2016;56(6):1305-1310.)
。
現在日赤が供給する輸血用血液製剤は、すべて保存前に
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白血球除去が施されており、CMV 抗体陰性血液と同等の
図13 医療機関への協力依頼内容
安全性を有するとされている(Vox Sang. 2015;109(1):1117)。また、低出生体重児の CMV 感染のリスクは輸血よ
りも母乳のほうが高いという報告もあり(JAMA Pediatr.
2014;168(11):1054-1062.)
、輸血による CMV 感染が疑
われた場合は、母乳等も調査したほうがよい。
*:日赤では全ての献血血液について、その一部を副作用等の調査
用検体として 11 年間保管しているが、この保管検体は白血球
除去を行っていない。
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図14 母乳による CMV 感染が強く疑われた症例
4.採血副作用
1)採血副作用の発生状況
採血副作用発生件数の 7 割以上が血管迷走神経反応
表7 2015 年度の献血者採血副作用発生状況
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(VVR:vasovagal reaction) で あ り、 総 献 血 数 あ た り の
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発生率も最も高い。VVR は軽症では気分不良、顔面蒼白、 㼂㼂㻾㔜⑕㻖
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冷汗等の症状がみられ、重症ではこれらに加え、意識喪失 ⓶ୗฟ⾑
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(これに伴う転倒も含む)
、けいれん等の症状がみられる。
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2015 年度の献血者の採血副作用発生状況を表 7 に、症 ⚄⤒㞀ᐖ
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状別内訳を図 15 に示す。
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*(参考:VVR の判定と程度分類、社内基準)
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63.4%
図15 2015 年度に発生した採血副作用症状別内訳
15
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Haemovigilance by JRCS 2015
2)採血副作用に対する取り組み
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下肢筋緊張運動の全国導入
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採血副作用検討会を 2012 年に設置し、2013 年 7 月
から研究課題として「VVR 未然防止対策としての下肢筋
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張運動の VVR 発生率低減効果を検証した。その結果、下
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肢筋緊張運動は全血献血における VVR 発生の低減化に有
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効 で あ る こ と が 確 認 さ れ た(「Haemovigilance by JRCS
2014」参照)。
このことから、全血献血者全員を対象とした下肢筋緊
張運動を 2015 年 10 月から全国で導入を開始した(図
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16)
。導入後は特に 400mL 全血献血の VVR 発生率が減少
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したことにより、全体的な VVR 発生率の減少傾向がみら
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れた。
(図 17)。なお、成分献血における下肢筋緊張運動
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の VVR 発生率低減効果は、前述の検証結果では、わずか
ながら VVR 発生率の減少傾向があったものの、効果が明
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確ではなかった。しかしながら、成分献血は採血と返血を
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繰り返し、採血時間も長いことから血液循環動態が全血献
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血と同じとは言えず、また、検証時の下肢筋緊張運動の開
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始タイミング等が全血献血と成分献血で異なっていたこ
ともあり、成分献血における下肢筋緊張運動の VVR 発生
率低減効果については今後も引き続き検討を行うこととし
図16 「下肢筋緊張運動」用パンフレット
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図17 VVR 発生率の推移
16
Haemovigilance by JRCS 2015
おわりに
この年報は、全国の医療機関から日赤血液センターに寄
せられた副作用・感染症情報及び献血後情報等に基づく感
染症情報を中心に、医薬品医療機器等法・GVP 省令等に
基づき収集した安全管理情報の分析・評価の結果実施した
対策を含めた報告である。
日赤の製造販売後安全管理業務への医療関係者の皆様及
び血液センター等関係職員の皆様のご協力に対して深く感
謝申し上げます。
日本赤十字社は、今後も関係法令を遵守し、わが国のヘ
モビジランス及び国際的なヘモビジランス活動に寄与する
とともに、輸血医療の安全性向上に向けて引き続き努力し
ます。
『Haemovigilance by JRCS 2015』
編集
日本赤十字社血液事業本部 技術部 安全管理課
安全管理課長 平 力造
(安全管理責任者)
発行
2016 年 11 月
日本赤十字社血液事業本部 技術部 安全管理課
住所 〒 105-0011 東京都港区芝公園一丁目2番1号
17
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