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平成二十七年九月十八日(金曜日)午前十時零分

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平成二十七年九月十八日(金曜日)午前十時零分
平成二十七年九月十八日(金曜日)午前十時零分 開議
議事日程第三号
平成二十七年九月十八日(金曜日)午前十時開議
第一
議第九十九 号 平成二十七年度山形県一般会計補正予算(第二号)
第二
議第百
号 平成二十七年度山形県農業改良資金特別会計補正予算(第一号)
第三
議第百一
号 平成二十七年度山形県流域下水道事業特別会計補正予算(第一号)
第四
議第百二
号 平成二十七年度山形県港湾整備事業特別会計補正予算(第一号)
第五
議第百三
号 平成二十七年度山形県電気事業会計補正予算(第一号)
第六
議第百四
号 平成二十七年度山形県工業用水道事業会計補正予算(第一号)
第七
議第百五
号 平成二十七年度山形県水道用水供給事業会計補正予算(第一号)
第八
議第百六
号 平成二十七年度山形県病院事業会計補正予算(第一号)
第九
議第百七
号 議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
の制定について
第十
議第百八
号 山形県立総合療育訓練センター条例の一部を改正する条例の制定について
第十一
議第百九
号 山形県立農業大学校条例の一部を改正する条例の制定について
第十二
議第百十
号 山形県流域下水道条例の一部を改正する条例の制定について
第十三
議第百十一 号 山形県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例の制定について
第十四
議第百十二 号 漁港事業に要する費用の一部負担について
第十五
議第百十三 号 基幹水利施設ストックマネジメント事業等に要する費用の一部負担について
第十六
議第百十四 号 転作畑対策事業等に要する費用の一部負担について
第十七
議第百十五 号 都市計画街路事業に要する費用の一部負担について
第十八
議第百十六 号 流域下水道の建設事業に要する費用の一部負担について
第十九
議第百十七 号 道路事業に要する費用の一部負担について
第二十
議第百十八 号 港湾事業に要する費用の一部負担について
第二十一 議第百十九 号 急傾斜地崩壊対策事業に要する費用の一部負担について
第二十二 議第百二十 号 主要地方道米沢高畠線道路改築事業羽黒川橋製作架設工事請負契約の一部変更につい
て
第二十三 議第百二十一号 除雪機械の取得について
第二十四 議第百二十二号 除雪機械の取得について
第二十五 議第百二十三号 県が売却した土地の隠れた瑕疵によって生じた損害賠償の和解について
第二十六 議第百二十四号 山形県立点字図書館の指定管理者の指定について
第二十七 議第百二十五号 山形県身体障がい者保養所東紅苑の指定管理者の指定について
第二十八 議第百二十六号 山形県立ふれあいの家の指定管理者の指定について
第二十九 議第百二十七号 漁船以外の船舶が使用することができる由良漁港の白山島船揚場及び堅苔沢漁港の船
舶保管施設の指定管理者の指定について
第三十
議第百二十八号 山形県眺海の森の指定管理者の指定について
第三十一 議第百二十九号 最上川ふるさと総合公園の指定管理者の指定について
第三十二 議第百三十 号 庄内空港緩衝緑地の指定管理者の指定について
第三十三 議第百三十一号 山形県青年の家の指定管理者の指定について
第三十四 議第百三十二号 山形県朝日少年自然の家の指定管理者の指定について
第三十五 議第百三十三号 山形県体育館及び山形県武道館の指定管理者の指定について
第三十六 議第百三十四号 医療事故に係る損害賠償の和解についての専決処分の承認について
第三十七 議第百三十五号 山形県教育委員会委員の任命について
第三十八 県政一般に関する質問
本日の会議に付した事件
議事日程第三号に同じ。
出 席 議 員(四十三名)
一
番 関
徹 議員
二
番 柴 田 正 人 議員
三
番 青 木 彰 榮 議員
四
番 青 柳 安 展 議員
五
番 渋 間 佳寿美 議員
六
番 佐 藤
聡 議員
七
番 能 登 淳 一 議員
八
番 矢 吹 栄 修 議員
九
番 山 科 朝 則 議員
十
番 渡 辺 ゆり子 議員
十一 番 楳 津 博 士 議員
十二 番 石 黒
覚 議員
十三 番 金 子 敏 明 議員
十四 番 菊 池 文 昭 議員
十五 番 小 松 伸 也 議員
十六 番 佐 藤
昇 議員
十七 番 島 津 良 平 議員
十八 番 加 賀 正 和 議員
十九 番 森 谷 仙一郎 議員
二十 番 鈴 木
孝 議員
二十一番 大 内 理 加 議員
二十二番 吉 村 和 武 議員
二十三番 髙 橋 啓 介 議員
二十五番 木 村 忠 三 議員
二十六番 奥 山 誠 治 議員
二十七番 小 野 幸 作 議員
二十八番 金 澤 忠 一 議員
二十九番 伊 藤 重 成 議員
三十 番 舩 山 現 人 議員
三十一番 田 澤 伸 一 議員
三十二番 森 田
廣 議員
三十三番 坂 本 貴美雄 議員
三十四番 星 川 純 一 議員
三十五番 広谷五郎左エ門 議員
三十六番 佐 藤 藤 彌 議員
三十七番 志 田 英 紀 議員
三十八番 野 川 政 文 議員
三十九番 阿 部 賢 一 議員
四十 番 鈴 木 正 法 議員
四十一番 平
弘 造 議員
四十二番 阿 部 信 矢 議員
四十三番 今 井 榮 喜 議員
四十四番 後 藤
源 議員
欠 席 議 員(一名)
二十四番 阿 部 昇 司 議員
説明のため出席した者
知事
吉 村 美栄子 君
副知事
細 谷 知 行 君
企業管理者
病院事業管理者
総務部長
企画振興部長
環境エネルギー部長
危機管理監
子育て推進部長
健康福祉部長
商工労働観光部長
農林水産部長
県土整備部長
会計管理者
財政課長
教育委員会委員長
教育長
公安委員会委員長
警察本部長
代表監査委員
人事委員会委員長
人事委員会事務局長
労働委員会事務局長
廣 瀬
新 澤
清 田
髙 橋
柴 田
白 田
飛 塚
中 山
大 澤
若 松
上 坂
青 柳
松 田
長 南
菅 野
前 田
門 田
会 田
安孫子
武 田
丹 野
陽
浩
広
智
洋
典
順
賢
正
克
義
博
直
稔
俊
一
和
渉
英
史
樹
樹
一
子
子
史
俊
巳
剛
彦
昭
滋
己
渉
夫
彦
夫
彦
君
君
君
君
君
君
君
君
君
君
君
君
君
君
君
君
君
君
君
君
君
午前 十時 零分 開 議
○副議長(伊藤重成議員) 議長所用のため私が議長の職務を行います。
これより本日の会議を開きます。
諸 般 の 報 告
○副議長(伊藤重成議員) 日程に先立ち報告があります。
昨日の田澤伸一議員の代表質問に対し当局よりお手元に配付のとおり答弁書の提出がありましたので、報告いたし
ます。
〔参 照〕
財
第 115 号
平成27年9月17日
山形県議会議長
野 川 政 文 殿
山形県知事
吉 村 美栄子
平成27年9月定例会における田澤伸一議員の
代表質問に対する答弁書
平成27年9月定例会における田澤伸一議員の代表質問に対する答弁書を別添のとおり提出します。
〔別 紙〕
平成27年9月定例会における田澤伸一議員の代表質問に対する答弁書
質問事項
サイバー
犯罪に対
する取組
みについ
て
答弁者
警察本部長
答
弁
インターネットバンキングを悪用した不正送金事案や標的型メール攻撃による個人情
報流出事案が後を絶たず、サイバー空間における安全確保は喫緊の課題となっておりま
す。
まず、捜査体制については、サイバー空間における安全を確保するため、警察本部に、
専門的知識、技能を有する捜査員からなるサイバー犯罪対策室を設置し、警察庁東北管
区警察局山形県情報通信部と密接に連携しながら、サイバー犯罪の捜査に当たっており
ます。
次に、サイバー犯罪に対する対策として、サイバー犯罪対策室の捜査員を中心に、部
内外の最新かつ高度な知見を有する研修機関において研修を実施している他、平成25
年から全警察官を対象にサイバー犯罪捜査検定を実施し、組織全体のレベルアップを図
っております。
更に、他関係機関との連携については、県警本部及び各警察署にサイバーテロ対策協
議会を設立し、県、市町村をはじめ、各地域の水道、ガス、金融等の重要インフラ事業
者との大規模なネットワークを構築し、サイバー攻撃被害の未然防止、被害の拡大防止
を図っております。
以上の取組の成果として、平成26年においては、他人のインターネットバンキング
用のIDやパスワード等を盗み取り、外国人名義の口座に送金した不正アクセス事件な
ど35事件、被疑者37名を検挙し、本年も、8月末までに、21事件、被疑者22名
を検挙しております。
本年9月4日、政府において、サイバーセキュリティ基本法に基づき、今後3年間の
基本的な施策の方向性を示したサイバーセキュリティ戦略が閣議決定されたところで
あり、県警としましても、この戦略に基づき、関係行政機関や民間事業者と連携しなが
ら、職員の対処能力向上に努めてまいりたいと考えております。
日程第一議第九十九号議案から日程第三十七議第百三十五号議案まで及び日程第三十八県政一般に関する質問
○副議長(伊藤重成議員) これより日程に入ります。
日程第一議第九十九号平成二十七年度山形県一般会計補正予算第二号から、日程第三十七議第百三十五号山形県教
育委員会委員の任命についてまでの三十七案件を一括議題に供し、これら案件に対する質疑と、日程第三十八県政一
般に関する質問をあわせ行います。
質疑及び質問の通告がありますので、通告順により発言を許可いたします。
十五番小松伸也議員。
○十五番(小松伸也議員) 自由民主党の小松伸也です。久方ぶりに一番バッターの役割をいただきました。
この場に再び立つことができまして、今、感無量の思いであります。思い返してみれば、信じられないほどたくさ
んの方々のお力添えをいただきました。涙が込み上げるほどあったかいお力添えをいただきました。あのときの感謝
の気持ちは忘れることがありません。住民の皆さんに起こしていただいたこの奇跡をしっかりと受けとめて、「山形
らしい、山形にしかできない新しい成長」をしっかりと支えたいと思います。山形らしい新しい山形らしさを、県民
が望む山形らしい新しい山形らしさをつくってまいりたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。
さて、実はこのたび、私は山形大学のインターンシップ生を二人受け入れました。真室川町において合宿をして、
地域の課題を調査研究していただきました。そうした若者の目線を今回の質問の前段と後段に盛り込ませていただい
ておりますので、御紹介させていただきます。
それでは質問に入らせていただきます。
人口減少対策についてであります。
山形県の人口は約百十三万人。将来推計では、山形県の人口は、あと二十五年で三割少ない八十三万人まで減少す
ると予測されています。人口減少は、死亡数と出生数の差である自然動態と転出者と転入者の差である社会動態の二
つの要因により定まりますが、今回は、人口減少対策として、社会動態に対応する対策と人口減少を補う交流人口拡
大に対する県の取り組みについて、六項目質問させていただきます。
このたびの選挙戦を通して、多くのお宅を訪ね、御意見をお聞きすることができました。最も多く聞かれたのは、
「若い人が残ってけるようにしてけろ。仕事だ仕事、若い人がいられるように仕事何とかしてけろ」、そういう切実
な願いでありました。
最上地域において、この五年間で新庄中核工業団地への新規進出は七社になり、分譲率も八一%になりました。有
効求人倍率もアベノミクス以降改善しており、平成二十七年七月の本県の有効求人倍率は一・二〇となっております。
しかし、相変わらず若い人の定着が改善している実感がありません。
私の地元では、学校、特に高等教育を受けた後地元を離れる状況が長年続いています。その結果、高齢者だけの世
帯が増加し、自立した生活が難しくなった段階で子供たちのところへ転居するという例が多く見られます。加速化す
る中山間地域の人口流出の背景にこうした事情があることは御承知のとおりであります。この状況を何とかしたい、
それは、私の地域だけでなく、県全体の総意であると言えるのではないでしょうか。
県外への転出数は、高校・大学を卒業する十八歳から二十四歳の年代において県外への転出が県内への転入を大き
く上回り、平成二十四年から二十五年においては三千四百十二人にも及びます。これは、転出数全体の約九割を占め
ており、本県人口の減少の大きな原因になっています。こうした若者層を対象として県内への定着・回帰を支援する
ことは、人口減少を抑制するための基盤となると言えます。さらに、こうした層の若者に対し働きかけるためには、
大学との連携した取り組みが何より重要であると言えます。
今年度から、文部科学省では、新たに「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業」いわゆる「COC+」によ
り若者の定着について支援するといった動きも出てきております。総務省と協力して、地方公共団体と大学等が具体
的な数値目標を掲げた協定を締結し連携して、雇用創出・若者定着を図る取り組みを特別交付税で財政支援すること
としております。協定には、地元就職率や雇用創出人数といった数値目標を想定しているそうであります。
このCOC+については、山形大学を含む全国の大学等から五十六件の申請があったとのことです。人口減少克
服・地方創生に向けて、国を挙げて若者の定着に取り組む姿勢を強く感じるとともに、山形大学の取り組みが補助事
業に認定され、支援を受けられることを切に願うものであります。
また、文部科学省では、このCOC+の取り組みとともに、若者定着に向けた取り組みとして、地方公共団体と地
元産業界が協力し、学生の奨学金返還を支援するための基金を造成し、地元就職者に対してその基金から奨学金返還
の際に支援する制度を新たに創設しております。大学の学費は、私の時代の三倍にまで膨らんでいます。学費が大き
な負担となる中で、経済的な理由で進学を諦めざるを得ない状況も聞こえてきます。一方で、地元企業における新卒
者の確保が難しい状況にあり、この制度に対して地元からも大きな期待が寄せられています。私としても、本県にお
けるこの制度が早期に創設され、実施されることを期待しているところであります。
このように、地方公共団体と大学との連携は、今後ますます重要になってくるものと考えます。
二年前に、山形大学の関係者とともに立命館大学を訪ね、二〇一二年に締結した広島県との就職支援に関する協定
を調査しました。当時としては先進的に、企業情報・合同説明会などの各種イベントの情報提供、就職活動の相談対
応、インターンシップ受け入れ促進など、県と大学が就職支援に対して相互に連携協力し、地域を支え、次代を担う
人材を育成し、さらに、県と大学が学生のUIターン就職にかかわる情報交換や実態把握などを行い、両者の支援策
の高度化を進めていくという内容でした。現在では、十三の自治体と協定や覚書を交わしているとのことです。
その中の一つである石川県の谷本知事は、地方創生において人材の確保は最も重要な課題であるとして、人材育成
に成果を上げている五つの大学と協定を締結しました。この取り組みをモデルケースとしてほかの大学に広げるとと
もに、産学官連携の契機として地方創生に役立てていきたいと意欲をあらわしています。また、愛媛県においては、
七十一校にも及ぶ大学との就職支援協定が締結されており、人材確保が行われております。
こうした中、県は先ごろ、東海大学との間で学生UIターン就職促進に関する協定を締結したところです。若者定
着を促進するためには、他県のようにさらに多くの大学と連携してUIターンを促進していくべきと考えますが、大
学との協定締結の意義をどのように捉え、どのような効果を期待するのか、また、今後どのように進めていく考えか、
商工労働観光部長に伺います。
私は、地方創生の実現に向けて、首都圏等から本県へ新しい人の流れをつくることにより本県の人口をふやす取り
組みを加速する仕組みづくりが重要であると考えます。山形県版CCRCの取り組みは、その一つです。首都圏での
生活になれ親しんだ人たちが本県で暮らすに当たっての生活ギャップを緩和し、山形県での生活のよさを無理なく享
受し、新たな生きがいを見出してもらうための仕組みづくりとしていかなければなりません。結果として、その取り
組みが移住先としての私たちの地域の弱点を解決する一つの手段となるのではないでしょうか。
中山間地域である私の生まれ育った集落は、古くから続く相互扶助が残るコミュニティーであると言えます。これ
までは、こうした機能を維持していくために、住む者それぞれに役割が求められ、若いときはそうした義務が窮屈に
感じられることもありました。しかし、近年では、現役を退職した先輩方が地域の祭りや敬老会の開催、子供会への
協力など、そうした役割を「俺らは時間あっから大丈夫だ」と笑って引き受けてくれます。その姿に、「若い者がや
って当たり前」から「みんなでやっていこう」と、そんな風潮の変化を見出すことができます。山形県版CCRCの
根幹とすべき一つの形が私たちの中山間集落の生活の中に存在していると感じます。
北陸新幹線の開業で注目されている金沢市には、CCRCの先進事例である「Share金沢」があります。こと
し四月には、安倍晋三首相もシェア金沢を訪問しており、住民と意見交換している場面も報じられました。
シェア金沢は、社会福祉法人が事業主体となり、介護サービスつき高齢者住宅のほか、障がい児入所施設やアトリ
エつき学生向け住宅等がエリア分けして配置された施設です。子供から大学生、移住したアクティブシニアなど、世
代や障がいの有無を超えて居住しており、そこに移り住んだ多様な人とのつながりを大切にした新しいコミュニティ
ーであります。敷地内の温泉は地域住民へは無料で解放され、近隣地域との交流拠点ともなっているようです。将来
介護が必要になった場合も安心して暮らせる仕組みとなっており、敷地内には高齢者デイサービス事業所なども併設
されています。元気なときには家庭菜園やボランティア等でアクティブライフを満喫でき、将来介護が必要になった
ら支援してもらえる仕組みになっています。
シェア金沢に移り住んだ方々のように、元気なうちに本県に移住していただき、新たなライフスタイルを楽しみな
がら、人生経験で培った知識や技術などを新しい居住地で生かしていただき、地域の活力となっていただけるアクテ
ィブシニアの移住を促進し、そして、いざ介護が必要になったときにも安心して暮らせるサービスを享受できる山形
県版CCRCを実現していく必要があるのではないかと考えます。
その一方で、運営に当たっての課題もあります。シェア金沢のように民間が事業を運営する方式のほか、自治体が
運営する方式や、県議会自民党会派が提唱した「やまびこプラン」のような取り組みの中で地域が運営する方式など、
地域の実情に合った、本県の特性に合わせた仕組みづくりが必要と考えます。
例えば、都市部においては、民間が事業運営主体となって施設として運営しても採算がとれるかもしれませんが、
中山間地域や過疎地域など、現在でも人口減少が著しく、かつ高齢化も進行している地域では、民間による経営は難
しいと思われます。地域の実情に合った形を検討しなければならないのではないでしょうか。また、介護保険の居住
地特例の対象拡大による受け入れ市町村の負担軽減など、さまざまな課題もあるのではないでしょうか。
日本版CCRCについては、六月定例会の予算特別委員会において、石黒委員の質問に対し、知事が県内への導入
を推進する旨答弁されていますが、CCRC構想の実現にあっては、市町村みずからが地方版総合戦略にCCRCの
導入を盛り込み、構想や計画を取りまとめるなど、市町村が主体となって取り組んでいく必要があります。
県は、このたびの補正予算において、山形県版CCRC導入調査事業費として約二百八十万円の予算を計上し、山
形県版CCRCの基本コンセプトの策定や意欲ある市町村の取り組みを支援しようとしておりますが、山形県版CC
RCの導入に向けた課題をどのように捉え、今後どのように取り組んでいくのか、健康福祉部長にお尋ねします。
山形県による看護職員の需給見通しによると、平成二十三年には九百三十四名、平成二十七年には四百四十九名の
不足が見込まれているとのことであります。
既に周知のとおり、この状況を改善するために、県は平成二十四年に山形方式・看護師等生涯サポートプログラム
を策定し、看護師の確保・育成に取り組まれております。しかし、最上総合支庁が七月に実施した最上地域における
看護職員の将来需要に関するアンケート調査結果によると、看護体制が充足している施設の割合は六四%と低い状況
にあります。
また、採用状況については、平成二十四年度から二十六年度における年平均正職員看護師の採用は、募集に対し五
六%にとどまっています。募集しても応募してくる人がおらず、つてだけに頼った採用になっているとのことであり
ます。
今後の採用計画については、平成二十八年度から三十七年度までの十年間で、看護師三百三十七人、准看護師八十
八人、合計四百二十五人、年平均で四十三人の採用を見込んでいることがわかりました。これらのことから、看護職
員等の人材確保に向けた対策が必要であると考えています。
こうした現状課題を踏まえ、新庄市の山尾市長は、三期目の選挙戦の中で看護師養成機関の設置を公約に掲げ、当
選されました。これは、これまで二期市長を務めた中で、地域において看護師の人材を育て、地域の看護師不足を少
しでも解消していきたいとの考えを以前より持っていたということであり、選挙戦のための唐突な表明ではないとい
うことでありました。
平成二十三年十月に出された新庄市の委託による看護師養成機関設置に関する研究・調査報告書によると、山形県
内及び秋田県南地域の高校進路指導部へのアンケートでは、新庄市内に看護専門学校が「必要」と答えた方と「あれ
ばいいと思う」とを合わせると七七・二%に上るそうであります。県内及び秋田県南地域の看護師を希望している高
校生では、「入学を希望する」と「どちらかといえば入学を希望する」は、合わせると百八十四名に上っています。
そのうち最上地域内の人が四〇%、最上地域以外の人が六〇%となっており、地域外入学希望者の割合が多くなって
います。「自分の住んでいる地域に近い施設があると親も自分も助かる、夢が広がる」とか、「もっと早くしてほし
かった」とか、「奨学金制度や寮があったりするとありがたい」など、多くの期待の言葉がアンケートの中にありま
した。また、最上地域の百五の病院、診療所、介護施設等へのアンケートでは、八九%が「必要またはあればいいと
思う」と回答しています。
これらの結果から、最上地域以外の方であっても新庄市への看護師養成機関の新設に対し大きな期待感があること
がわかります。
一方の看護師確保対策として、最上地域から県外や県内のほかの地域にある看護師養成学校に就学する場合に、地
元に就業することを要件とした奨学金制度の構想で対応していくのがよいという考えもあろうかと思います。どちら
の方策がよりよいかではなく、両方の取り組みを併設することこそがよりよいことであります。
最上地域では、高校を卒業すると、進学を契機に多くの若者が地域を離れる状況にあり、この世代の人口が極端に
少ない状況にあります。こうした現状の打開策の一つとして、地元への大学や短大などの高等教育機関の設置が長年
の悲願となっています。この取り組みは、山形県における看護師等の不足解消に寄与するための取り組みであり、か
つ若者の地域定着をいかに図るか、最上地域がいかに地方創生をなし遂げるかのためのものでもあります。今回の設
置検討は、地域経営全般に対し、「まち・ひと・しごと」をしっかりと具現化するものであり、地方創生戦略の分野
においても、最上地域づくりの起爆剤として大変有効なものであると考えます。
最近の看護師養成施設の設置については、和歌山県日高地域における医師会、地方議員、行政、県の一体的連携で
公立とした事例もあります。また、島根県出雲市においては、地方自治体による学校法人誘致の例もあります。私立
となるのか公立とするのか、今後の検討の進展が待たれます。
ただし、看護師不足は、県立病院のある新庄市のみならず、最上管内の町立病院や民間医療機関も含めた最上地域
全体の課題であることから、新庄市単体で進めていくものではなく、八つの市町村が歩調を合わせて進めていく必要
があり、他の町村長の総意を得ながら進めていくものだと考えています。市長は、何とか県の力をかしてほしい、そ
のようにおっしゃっていましたし、私もそう思っているところであります。
こうした取り組みの検討は始まったばかりでありますが、これに対し山形県はどのように考えているのでしょうか。
教員確保や看護実習機会の確保など課題を解決していくためにも、県立新庄病院などの関係機関との連携も不可欠に
なると考えます。
県としてのハードとソフト、財源など、どのような支援の可能性があるのか、県ができることは何か、健康福祉部
長にお伺いいたします。
東洋経済社が全国の都市を対象に毎年公表している「住みよさランキング」のことしの順位が発表になりました。
何と、三十八位に天童市、五十位に新庄市がランクインされています。「住みよさランキング」は、公的統計をもと
に、都市力を十五の指標の偏差値の平均をもとに、総合評価として算出されています。しかし、その指標の中には、
降雪などの気候条件は考慮されていません。新庄・最上でよく言われる「雪さえ降らなきゃいいところなんだけどな」
と、そういう言葉を象徴する結果となっています。
雪は厄介なものであります。その厄介な雪を逆転の発想で冷熱エネルギーとして活用しようという利雪の取り組み
は、既にあちらこちらで始まっています。現在、全国で百四十四カ所、北海道内においては六十八カ所の雪氷熱エネ
ルギーを導入した施設があります。その中でも美唄市は雪氷熱利用の先進地となっているとのことでありましたので、
現在進行中の美唄市の事業であるホワイトデータセンターの取り組みを同僚議員とともに調査してまいりました。
美唄市は、典型的な炭鉱のまちとして発展し、昭和三十八年には九万二千人の人口がありましたが、昭和四十六年
に炭鉱が消滅して以来、人口減少が進み、現在は人口二万三千七百三十二人となっているそうです。広大な穀倉地帯
を抱え、ハスカップ生産日本一など、産業は農業主体にシフトしているそうです。雪は、年間百から百八十センチ程
度の積雪ということで、私たちの地域とよく似ているのではないかと感じました。
データセンターは、大量のサーバーを運用するため大量の熱を放出します。首都圏に立地する多くのデータセンタ
ーは、この熱を冷却するために大量の電力を消費します。これに対し、美唄のホワイトデータセンターは、雪氷熱エ
ネルギーによりサーバー冷却費用を低減し、大幅なランニングコスト削減を可能にします。さらには、サーバーから
の排熱を農業施設などで再利用することで新たな産業クラスターを創出するなど、地域から歓迎されるデータセンタ
ーを目指していました。また、旧産炭地域である美唄は、現在も露天掘りによる採炭が続けられており、石炭による
発電も運用され、電力が供給されています。自然エネルギーである雪の「白いダイヤ」と地元でとれる石炭の「黒い
ダイヤ」を利用することで循環型社会を形成し、エネルギーの地産地消を図りながら地域経済へも貢献する、世界に
例のないデータセンターを目指しているとのことです。
美唄市の除雪にかかる費用は毎年約三億円を超えているそうであります。データセンター計画単体でのコストメリ
ットは、従来の首都圏型データセンターに比べ八〇%、約十二億円の削減となる計算です。今まで、ただ消すためだ
けに運搬していた都市型除雪の排雪を利用することで、行政費用を含めたそのコストメリットの額もさらに大きなも
のになります。
「雪が売れるモデルを夢見ている」と熱く語る担当者の熱意ある説明をお聞きしながら、白いダイヤも黒いダイヤ
も磨いて輝かせている美唄市の職員こそダイヤだと、そう感じさせていただきました。
世界規模でデータセンターの需要は拡大し続けています。近年、クラウド利用の需要が急激に伸びており、これま
での企業ユーザーはもとより、各種コンテンツの定額配信による個人ユーザーの拡大がこの状況を支えています。北
米に近いため、太平洋側に集中している光海底ケーブルの迂回ルート新設の提言も行っているとのことでした。
北海道に行ってみて、太陽光や風力以外に雪利用やバイオマスなど、ここ数年で各種自然エネルギーを取り巻く技
術の革新を嫌というほど感じてきました。そして、それらの技術を果敢に取り入れ、その利用が想像していたよりも
広く普及している状況を目の当たりにしてきました。
さて、山形県の状況はいかがでしょうか。本県でも、米倉庫など雪室利用などの実績がありますが、NEDOとの
共同開発で雪の冷熱エネルギーの利用技術は大きく革新されています。豪雪地帯であることを逆に優位性として利用
し、データセンターやその他熱排出産業などの誘致を進めていけば、雇用創出に加速がつくと私は考えます。
こうした雪の冷熱エネルギーの利用拡大についてどのように考えているのか、環境エネルギー部長に伺います。
美唄市が構想する産業クラスターの中で、電力でのエネルギー供給は、地産の石炭による発電によるものでありま
した。山形県に置きかえると、木質バイオマスによる電力供給がこれに当たるものになるのではないでしょうか。最
上地域の木材生産量は十万立方弱ですが、集成材工場の立地によりその需要量は二十万立方を超えることになります。
当然、C材やD材、工場からの端材もふえると思われます。高知県では、生産目標を倍にするに当たり、同様の派生
材の出口対策として大型の木質バイオマス発電所が創業されていました。
さて、現在、多くの木質バイオマスプラントは建屋で覆われてはおらず、裸の状態になっています。雪の降らない
地域では必要十分な状態であると思われます。当然、FITの売電価格における設備費用計算もそうした設備が前提
となっているとお聞きしております。しかし、豪雪地域に木質バイオマス発電所を計画する場合、雪による熱損失や
メンテナンス時の凍結防止、また、木質燃料の乾燥推進や保管などの設備として建屋が必要になるそうであります。
その初期費用の捻出が困難で新設が進みにくいとの話をお聞きしました。
県外事業者が木質バイオマス発電施設を県内に新設する場合には、企業立地促進補助金が該当します。この補助は、
プラントを包む建屋の費用として大変役立ちます。しかしながら、県内事業者の場合、新規参入であっても新設であ
ってもこの補助金は該当しません。県内事業者が新設する場合、他県への進出であれば他県での補助金が該当してく
る可能性があることから、本県事業者の他県への流出も危惧されているところであります。
木質バイオマスエネルギーは、地元企業が手がけてこそ県民が森のエネルギーを森の恵みとして利益を享受するこ
とができるものであり、県民の利益を踏まえた、時代の変化に即した企業支援を柔軟にかつ弾力的に、そして適宜に
講じることが必要だと考えますがいかがでしょうか。
地域の資源を地域の人々の手で利用する木質バイオマス発電事業の拡大に向けて、豪雪地域における克雪の観点も
踏まえて創業支援すべきだと考えます。県としての支援に対する考え方について環境エネルギー部長にお伺いいたし
ます。
私は、雪国に生まれ、雪国で育ちました。子供のころは雪が降るのが楽しみでなりませんでした。田んぼのあぜ道
が雪で埋まるぐらいに積もると、雪遊びのシーズンが始まります。中学生の私の娘もいまだに同じような感覚のよう
でありまして、冬を迎えているさまを見ていると、雪が邪魔なものに感じたのは幾つのころだったかと思いをはせま
す。長年見なれている私でさえ、雪の情景やその存在の神秘性を感じることがあります。雪国で生活している中であ
っても、通勤や経済活動など生活維持のための除雪が義務とならないのであれば、雪の魅力は感じることができます。
考えてみれば、食物の保存や林業の運搬路、作業の足場など、古くから雪国では雪を利用してきた伝統があります。
何よりも、雪遊びもまたやわらかい意味での伝統的な利雪であると言えるのではないでしょうか。雪にめったに出会
えぬ人たちにとって、非日常として雪に出会うとき、それが大人であってもそこに感じる魅力ははかり知れぬものが
あることを想像することは難しいことではありません。
人口減少社会において定住人口の減少が懸念される中、観光により国内外との交流人口を拡大することは、地域活
性化に向けて大きな視点であると考えます。全国的には外国人観光客が過去最高の勢いで増加していますが、山形を
訪れる外国人観光客は日本全体の〇・一%程度にとどまっています。今が本県のインバウンドを伸ばすチャンスでは
ないでしょうか。
山形に来ている外国人観光客の方々は、首都圏に求めているものとは違うものを求めてやってきます。その一つは
自然であり、特に雪は、冬の山形を象徴する自然と言えます。雪は、生活者視点の日常で見れば、えてして邪魔なも
の、負担な存在でありますが、一方で、観光者視点で非日常として見れば有益な資源となり得るのではないでしょう
か。
例えば、昨年、知事がトップセールスでタイに雪を持っていかれた際には、現地の方々に大変喜ばれたとお聞きし
ました。特に、台湾やASEANなどでは、雪が珍しいため、雪に対する憧れの気持ちが強いと言われています。
雪に触れる、雪で遊ぶ、雪景色を見る、雪をサイエンスするなどなど、山形を訪れる外国人観光客が雪との何を求
めるのかしっかりとしたリサーチと、そうした場を提供する環境を積み重ね、雪を利雪の一つの形としてインバウン
ド観光の柱に据えてはいかがでしょうか。これに本県の魅力である「食」をプラスするなどして外国人観光客に売り
込んではいかがでしょうか。ちなみに、自然の雪室で保存した野菜は、甘みを増し、その味は格別であります。
雪で一面が覆われる冬は、山形らしさの一つであることは間違いありません。私は今、知事のおっしゃった「山形
らしい、山形にしかできない新しい成長」をこの観光の分野から発信するチャンスであると捉えています。今回の補
正予算案に上げられている新たな「雪まつり」についても、今後、外国人観光客を呼び込んでいく一つの目玉になる
可能性を秘めているものと思います。
雪を活用した海外からの観光誘客の取り組みの現状と今後の展開について、観光分野での山形らしい山形にしかで
きない成長のお考えを商工労働観光部長にお伺いいたします。
最後に、最上小国川流域の豪雨災害と治水対策についてお伺いします。
このたびの記録的な豪雨災害で被災された宮城県を初め県内外の多くの方々に心からお見舞いを申し上げます。
九月十一日の朝、赤倉温泉街に駆けつけると、町消防団と被災者、そして近隣住民の人たちが必死に流入した泥を
片づけている姿がありました。「どうやって片づけたらいいか」と途方に暮れる人、「排水ポンプを用意していたけ
ど歯が立たなかった」と泥にまみれた食材を片づける人、「営業再開はいつになるだろう」とお風呂の泥上げをする
人などなど、被災した方々の悔しさのにじむ声がありました。
県内は、台風十八号から変わった低気圧の影響で、最上、村山、置賜地方で断続的な激しい降雨となりました、特
に最上地方の降り方が激しく、最上町向町では、二十四時間降水量が百五十四ミリを記録し、九月の観測史上最大と
なり、降り始めからの総雨量も二百十一ミリに達しました。
以前、赤倉温泉街を襲う水害は最上小国川本流の洪水なのか、それとも内水氾濫なのかと議論する方々がおられま
したが、そんな議論が全く無意味であったことを証明する河川が氾濫した光景が目の前にありました。被害は、農地
や農作物、そして土砂崩壊等に及びましたので、早期の復旧が望まれるところであります。
人的被害が出なかったことが不幸中の幸いでありました。危険水位に達する見込みの早い段階から避難勧告を発令
し、住民の避難を促し、しっかりとした避難態勢をしいた最上町当局の適切で勇気ある迅速な対応に敬意を表します。
今後、一日も早く復旧し、地域の皆さんがもとの生活に戻れることを願っております。
現場では、「早くダムができていたらな」と悔しがる人の声や、「今建設しているダムで大丈夫なのか」といった
不安の声がありました。また、その一方で、町を中心に関係者の連携協力が迅速に図られたとも聞いているところで
す。
赤倉地区における今回の豪雨の状況はどのようなものであったのか、水防対応はどのように行われたのか、さらに、
ダムが建設されていた場合には今回の浸水を防ぐことができたのか、また、今回の豪雨災害を踏まえて今後の治水対
策にどのように生かしていくのか、県土整備部長に伺います。
以上でこの場での私の質問を終わります。答弁を期待いたします。ありがとうございました。
○副議長(伊藤重成議員) この場合、答弁を求めます。
答弁の順は私から指名します。
柴田環境エネルギー部長。
○環境エネルギー部長(柴田智樹君) 私には二点御質問ございましたので順次お答え申し上げます。
まず一点目、雪氷熱エネルギーの利用拡大についてお答え申し上げます。
地球環境に対する関心が高まりを見せる中、本県におきましても、雪の持つ冷熱エネルギーを生かす取り組みとし
て、雪室による農産物の貯蔵や穀類等の乾燥施設、夏季の雪冷房システムの導入などが進められております。
雪氷熱の利用は、本県のような寒冷地ならではの気候特性を生かした熱利用で、冷気を使う際の運転エネルギーも
少なくて済むため、環境に優しく、有効なシステムであると考えております。一方で、導入に当たりましては、一般
的に初期投資費用が高額なため、ランニングコストを含めた総コストが割高になること、雪を貯蔵するための相当の
敷地面積が必要であるといった課題があると認識しているところでございます。
県のエネルギー戦略におきましては、雪氷熱を地域に賦存する再生可能エネルギー資源の一つとして捉え、民間事
業者等が行う雪氷熱等の熱利用施設の整備に対する支援といたしまして、政府の支援策と連携した再生可能エネルギ
ー熱利用加速化支援事業を設けているところでございます。
県といたしましては、先般お示しいたしましたやまがた創生総合戦略の案におきまして、エネルギー資源としての
雪の利活用の促進を掲げているところであり、先ほど述べました課題も踏まえつつ、他県での導入事例などにつきま
して、関係部局、市町村とも情報を共有しながら、雪氷熱エネルギーの利用拡大に向けて取り組んでまいりたいと考
えているところでございます。
二点目のバイオマス発電事業者に対する創業支援について申し上げます。
県では、エネルギー戦略の推進とともに、やまがた森林ノミクスを進めており、地域の豊かな森林資源を森のエネ
ルギーとして活用していくため、木質バイオマスによる発電及び熱利用の促進を図っております。
このうち、発電事業につきましては、固定価格買取制度により、通常必要となる建設費や運転維持費などのコスト
に適正な利潤を加え、さらに、バイオマス発電の拡大を促すため、一定の金額を上乗せした形で買い取り価格が設定
されており、発電事業者が安定的に事業を行える仕組みとなっております。
新たなバイオマス発電施設の整備に対する県の支援策といたしましては、まず、商工労働観光部におきまして、県
の誘致により県外から新たに進出する企業に対して、企業立地促進補助金により、土地を除く固定資産の取得額の一
定割合について助成をしております。また、県内県外の企業を問わず、商工業振興資金の再生可能エネルギー発電事
業促進資金により低利融資を行うほか、このうち一定規模以上の事業につきましては、環境エネルギー部といたしま
して当該借入金に係る利子補助を行い無利子としているところでございます。
さらに、農林水産部におきましては、県産木材の利用拡大、安定的・効率的な供給を図る観点から、木質バイオマ
スの供給・利用を促進する施設の整備等に対して支援を行うなど、県の各部局が連携して、さまざまな支援策を講じ
ているところであります。
こうした支援によりまして、エネルギー戦略における進捗状況は、バイオマスの熱利用・発電を合わせて、平成四
十二年度の目標であります四・八万キロワットに対しまして、平成二十六年度末の累計で二・六万キロワットと、五
〇%を超える進捗率となっており、順調に推移しているものと認識しております。
今後とも、関係部局と連携を図りながら、引き続き木質バイオマスエネルギーの導入拡大に向けて支援をしてまい
りたいと考えております。
○副議長(伊藤重成議員) 中山健康福祉部長。
○健康福祉部長(中山順子君) 二点御質問をいただきましたので順次お答え申し上げます。
まず、山形県版CCRCの推進についてお答えいたします。
政府の「生涯活躍のまち」構想、いわゆる日本版CCRC構想を具体化し、山形らしさを生かした山形県版CCR
Cとして推進するに当たり、最も重要なことは、県内外の元気なシニア層がその地域での暮らし方にいかに魅力を感
じ、移住先として選択していただくかということでございます。そのためには、おいしい食べ物や自然、温泉など地
域の魅力をアピールすることや、都市部のシニア層のライフスタイルやニーズに合わせた暮らし方の提案が必要であ
ると考えております。
例えば、安心して老後を送っていただくための医療・介護サービスの提供はもとより、シニア層のニーズに応じた
就労機会の提供や、地域の子育てへの参加など多世代交流の場の提供、祭りやボランティアへの参加、農業体験、地
域の大学等との連携による生涯学習の場など、元気なシニア層が生き生きと生活できるような機会をどのように提供
していくか検討していく必要がございます。
また、夏場や週末だけ利用していただく二地域居住の形態や、UIJターン者向けには一定期間のお試し居住など
の実施も検討する必要がございます。さらに、入居者に対するサービスの提供を支える人材や、資金の確保を含め事
業主体をどう選択していくかということも検討する必要があると考えております。
このようなことを踏まえ、今後、有識者やまちづくり実践者などの意見をお聞きしながら、市町村が行う構想づく
りのベースとなるよう、山形県の特色を生かした山形県版CCRCの基本コンセプトを策定してまいります。
さらに、CCRCの取り組みに意欲のある市町村に対しましては、基本構想の策定に要する経費を支援することな
どにより、その地域の特色を生かした独自のアイデアを盛り込んでいただけるよう、積極的に支援してまいります。
なお、CCRCの推進に当たりましては、受け入れ自治体の医療・介護給付費などの負担がふえるといった制度上
の課題もございますので、県として政府に対し課題が解消されるよう、具体的な提案を行ってまいりたいと考えてお
ります。
県といたしましては、山形県版CCRCを通して、シニア層の地方移住を促すことにより、高齢になっても生き生
きと安心して暮らせる地域社会をつくり、また、地域の雇用を確保し、若い人の定住を促すことで地域の活性化を図
りながら、首都圏も地方もともに幸せになれる社会を目指してまいりたいと考えております。
続きまして、若者定着に向けた看護師養成の取り組みに対する支援についてお答えいたします。
本県の看護職員数は、人口十万人当たり一千三百五・一人と全国平均を上回っているものの、看護師不足を訴える
現場の声は大きく、地域による偏在も大きな課題となっております。
看護師を安定的に供給するためには、看護師養成所等における養成数の拡大は一つの有効な手法と考えており、今
年度から、県立保健医療大学看護学科の入学定員について、本県出身者を対象とした地域枠として十名増員したほか、
県内の看護師養成所等に対し、可能な限りの養成数の拡大をお願いしているところでございます。
一方で、養成所を新設する場合には、議員御指摘のとおり、教員の確保、看護実習機会の確保などの課題に加え、
コストや時間がかかること、少子化の中での学生の安定的確保や、卒業後の地元就業に結びつける方策なども検討す
べきことと考えております。
さらに、今後の人口減少と高齢化の進展を踏まえた医療と介護の制度改革に伴う病床機能の再編などの影響を考慮
する必要がございます。具体的には、将来の医療需要を踏まえると、病院の病床数の総数が減少すると予測されてお
り、特に、手厚い看護が必要な高度急性期及び急性期病床が減少し、回復期病床への転換が進むなど、病院における
看護需要の縮小が見込まれる一方で、在宅医療を支える訪問看護の充実が求められるなど、看護職員の需要を取り巻
く環境の大きな変化をしっかりと見定めながら、長期的な視点を持って検討していく必要があるものと考えておりま
す。
しかしながら、当面の看護師の確保は、県全体として喫緊の課題でございますので、県といたしましても、学生の
確保定着を促進するための新たな施策を検討するなど、関係機関と連携しながら、看護師確保対策を積極的に進めて
まいります。
養成所の施設整備や運営費に対しましては、地域医療介護総合確保基金を活用した支援制度や地方債などがござい
ますが、新庄市への看護師養成所の設置につきましては、今後の検討の状況を注視するとともに、お話を十分お聞き
しながら、県としての対応について検討してまいりたいと考えております。
○副議長(伊藤重成議員) 大澤商工労働観光部長。
○商工労働観光部長(大澤賢史君) まず、大学との連携による若者の定着についてお答え申し上げます。
県内高校生の進路の状況は、平成二十六年度学校基本調査によれば、県内高校の卒業生一万五百五十三人のうち、
進学者七千二百四十五人の約七割に当たる五千九十六人が県外の大学、短大、専修学校等に進学している状況にあり
ます。これらの学生が卒業後速やかに県内企業に就職し定着できるようにするためには、学生が県内企業の概要や求
人に関する情報をタイムリーに入手し得るよう環境を整えることが極めて重要であると考えております。
このような中、地元提携校からの御提案もいただき、先般、東海大学との間で、学生の就職活動の支援などを狙い
とする「学生UIターン就職促進に関する協定」を締結したところであります。これは、県と大学との協定としては
東北で初めての取り組みとなりました。
この協定締結により、大学を介して、求人情報を初め本県Uターン情報センターなど相談窓口や就職情報サイトの
周知、就職ガイダンスなど就職関係の各種イベントの案内など、県内の就職等に関する幅広い情報を学生に直接提供
できるチャンネルができたものと認識しております。
現在、県では、Uターン情報センターに四人の職員を配置しまして、県外の学生に対する支援や相談対応、情報提
供を行っているところですが、このたびの協定によってつくられたチャンネルも最大限活用いたしまして、各種UI
ターン施策の実効性を高め、ひいては県内へのUIターンの促進につながるようにしてまいります。
今後の大学との協定締結につきましては、大学側の意向や本県出身学生の在籍数なども踏まえまして、期待できる
連携の効果も勘案しながら、さらに広く取り組みを進めてまいりたいと考えております。
続きまして、雪を活用した海外からの観光誘客による交流人口拡大についてお答え申し上げます。
海外からの観光誘客については、対象となる国・地域の嗜好や特性に応じた戦略的な誘客に取り組んでおりまして、
特に、雪をインバウンド観光の主軸に据え、観光誘客の取り組みを進めているところであります。
そうした中、ことし一月には、タイでのトップセールスの席上、知事が実物の雪を披露したところ、参加者からは
一様に驚きと感動をもって受けとめられており、観光資源としての雪の活用可能性に大きな手応えを感じるものであ
ります。
具体的な戦略としましては、果物や牛肉、お米など本県の誇る食や県内各地に湧き出る温泉、地域に根づいた精神
文化などの観光素材を主軸である雪と組み合わせまして、本県ならではの複合的で奥深い魅力を演出し、訴求力を高
めて発信することとしております。
これまで、雪を活用した誘客につきましては、蔵王の樹氷やスキーを前面に打ち出し、チャーター便利用によるツ
アーの誘客に努めてきております。特に、台湾向けには、本県ならではの農家民宿での雪遊び体験、雪景色を見なが
らの最上川舟下り、雪中イチゴ狩りなどの取り組みにより、積極的に誘客に努めてきております。また、季節が日本
と逆であるオーストラリアについては、年間を通してスキーを楽しんでおられる富裕層を対象に、蔵王温泉などに連
泊する滞在型のスキーリゾートをセールスポイントとして誘客に努めているところであります。
さらに、山形の春は桜と雪と青空を一望のもとに眺められることを紹介したり、蔵王エコーラインや月山スキー場
に向かう道路脇の雪の壁も観光素材になり得るものとして、海外のメディアや旅行会社を現地に招請し、実際に見て
感じてもらうなどの新しい取り組みも行っております。
加えて、雪そのものを有用な資源として積極的に活用していく観点からは、今年度、新たな「雪まつり」を企画し、
冬季の観光誘客の目玉として開催し、国内外からの誘客に努め、あわせて県内周遊への弾みにもなるよう取り組みを
展開してまいります。
本県では、例えば冬スキー、春スキー、夏スキーと、冬季から初夏まで長い期間雪を体験できること、雪と組み合
わせてさらに魅力を増す観光資源にあふれていることが山形ならではの特徴と考えておりますので、今後とも、来訪
者側のニーズにも十分配慮し、雪を活用した本県ならではの新たな魅力づくりに工夫を凝らして、インバウンドの推
進に取り組んでまいります。
○副議長(伊藤重成議員) 上坂県土整備部長。
○県土整備部長(上坂克巳君) 最上小国川流域の豪雨災害と治水対策についてお答えいたします。
先週の中ごろから週末にかけて、台風十八号から変わった低気圧の影響により、宮城県との県境周辺を中心に長時
間にわたり雨が降り続きました。降り始めからの総雨量は、最上町向町地区で二百十一ミリ、赤倉地区で二百五十八
ミリを記録いたしました。一方、最大二十四時間雨量で見てみますと、赤倉地区では、十日から十一日にかけて百八
十一ミリを記録いたしました。これは、昭和四十四年の豪雨に次いで観測史上二番目、四十六年ぶりの豪雨でありま
す。確率規模で言いましても、おおむね五十年に一度発生すると考えられる雨量でございました。
この雨により、最上小国川赤倉水位観測所の水位は、氾濫危険水位である一・五メートルを大きく上回り、十一日
未明には、堤防高である二メートルをも超える約二・三メートルに達しました。その結果、左右の両岸から越水が起
こり、赤倉地区では、住家・非住家合わせまして、床上浸水十七棟、床下浸水八棟の被害が発生いたしました。
このような中で、人的被害がなかったことは、最上町を初め関係者の連携した水防活動の成果であると思っており
ます。
まず、最上町では、水防団が中心となりパトロールや土のう積みなどを実施する中で、町長が情勢を的確に判断の
上、赤倉地区の二十世帯八十人の住民に対し避難勧告や避難指示を適時に発令し、迅速に避難所へ誘導いたしました。
次に、最上建設業協会や最上小国川流水型ダム堤体工事の請負業者は、最上町との間で締結した災害支援協定に基づ
き、排水作業や土のう積みなどを実施し、水防活動の援助を行いました。さらに、最上総合支庁では、今回初めて情
報連絡員いわゆるリエゾンを最上町に派遣したことで、町と総合支庁の間で綿密に情報共有が図られ、住民の避難な
どについて適切に助言を行うことができました。
ところで、現在建設中の最上小国川流水型ダムが計画対象としている降雨は、二十四時間の雨量の確率規模で言い
ますと、今回の豪雨と同等の五十年に一度に相当するものであります。ただし、今回は、大部分の雨がおよそ十二時
間に集中して降ったのに対し、ダムの計画では、わずか四時間の間に集中するという、より厳しい条件の豪雨を想定
しております。ですから、ダムが建設されておりましたら、今回の豪雨においても十分に対応ができ、氾濫は生じな
かったと考えております。
現在、最上小国川流水型ダムは、川の流れを切りかえるための仮排水トンネルなどの転流工の工事を進めていたと
ころであります。このような中、今回の豪雨により工事用道路の一部が被災しましたことから、現在、復旧作業を鋭
意行っているところであります。
このたび、最上小国川流水型ダムの必要性、重要性が再確認されたことから、今後、被災箇所の早急な復旧を行い、
工事のおくれを取り戻し、一日も早い完成に向けて努めてまいります。
○副議長(伊藤重成議員) この場合、休憩いたします。
午前十一時十分再開いたします。
午前 十一時 三 分 休 憩
午前 十一時 十一分 開 議
○副議長(伊藤重成議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑及び質問を続行いたします。
四番青柳安展議員。
○四番(青柳安展議員) 県政クラブ青柳安展です。このたびは一般質問の機会をいただき感謝申し上げる次第であ
ります。
早速質問に入らせていただきます。
初めに、警察施設の再編整備についてお伺いいたします。
県内の犯罪情勢は、刑法犯認知件数が、平成十四年の一万四千三百三十一件を最高にその後逓減し、平成二十六年
では約三分の一の五千三百五十八件となっております。また、交通事故発生件数でも、平成十七年の九千五百四十二
件を最高に減少傾向にあります。これは、当局の県民の安全な暮らしを守るために日ごろから御尽力されている成果
であり、敬意を表するものであります。
一方、近年、高齢化や情報機器端末等の普及拡大に伴い、多様な犯罪も多発している状況にあります。とりわけ、
善良な高齢者を狙う特殊詐欺は、当局初め知事部局、各種団体等が未然防止に向けて活動を展開しており、認知件数
では減少傾向を示しておりますが、被害金額は多額となっており、さらなる対策が求められるところであります。
さらには、人身安全関連事案として、ストーカー、DV、児童・高齢者虐待の事案についても増加傾向を示してお
り、家庭環境の変化や地域コミュニティーの希薄化、規範意識の変化などが相まって増加しているものと推察してい
るところであります。
ただいま申し上げました各種事案の発生状況は、今後の社会情勢に大きく左右されるものであり、県民の安全で平
穏な暮らしを守るために、犯罪抑止や交通事故防止、人身安全関連事案への対応について、総合的対策や新たな犯罪
抑止のため警察力の一層の強化とともに、複雑多様化する犯罪等に迅速に対応するために警察施設の再編整備が必要
であると考えるところであります。
これまで、警察施設の再編整備については、その必要性について質問がなされてきました。本部長からはその都度、
理解はするものの慎重に検討する旨の答弁をいただいておりますが、多様化する犯罪への迅速な対応と人口減少に即
した警察署のあり方について質問をするものであります。
前段に県全体の犯罪事案の状況を申し述べましたが、県内十四警察署ごとの刑法犯認知件数並びに交通事故事案件
数は、おおむね警察署管内人口に連動した発生数を示しております。そのような中で、平成二十六年、村山署管轄で
ある東根市で発生した刑法犯認知件数並びに交通事故件数を仮に県内警察署での発生数と比較すると、東根市の刑法
犯認知件数では二百三十二件で八番目、交通事故件数では二百九十八件で九番目の発生件数となっております。
このように、刑法犯認知件数並びに交通事故件数の治安情勢から判断して、単独での設置要件を満たすものであり、
昨年十月に東根市が市民約三万人による署名とともに県知事並びに警察本部長への新設要望に至った状況について
は、大いに理解できるものであると考えます。
今、ふるさと創生が叫ばれておりますが、地域の発展は、安全で安心して生活できる環境をいかにつくり上げるか
であります。その意味では、警察署が果たす役割は大なるものがあります。
東根市は、高速道路、空港、新幹線、国道四十八号などが近接する交通の要衝であることや、中心地の都市開発に
伴い、さらなる定住人口や、隣接自治体や他県との交流人口の増加が期待されております。さらには、平成二十八年
四月には山形県で初めての県立東桜学館中高一貫校が開校いたします。毎日約一千名の生徒、教師が通学することに
なり、一層の安心安全な環境づくりが重要な課題となっていくことは周知のとおりであります。
再度申し上げますが、東根警察署の設置は東根市民の悲願であり、昨年十月に約三万人の署名とともに要望したと
ころであり、これからの人口動態、都市開発の状況、広域犯罪への対応等を踏まえ、東根市への警察署新設を念頭に
警察施設の再編整備の検討を早急に推し進めるべきと考えますが、警察本部長の見解をお伺いいたします。
地域活性化のバロメーターとして、まずは人口の指標が取り上げられます。昨年、日本創成会議が公表した人口推
計は、全国に大きな衝撃を与えました。また、本県にとっても大変厳しい内容でありました。現在、地方版総合戦略
計画を策定中でありますが、今後の県勢発展を考える上で人口減少対策は最優先すべき課題であると考えております。
人口の将来推計については、さらに国立社会保障・人口問題研究所でも推計し、日本の地域別将来推計人口が公表
されております。平成二十五年三月推計の統計数値を活用して県内警察署管内市町村推計人口を調査したところであ
ります。その内容を申し上げますと、十五年後の二〇三〇年、平成四十二年では、人口十万人以上の警察署が二、人
口五万人以上の警察署が六、人口三万人以上の警察署が二、人口二万人以上の警察署が二、人口一万人以上の警察署
が二、人口一万人以下の警察署が一と推計されるところであります。さらに二〇四〇年には一段と小規模化が進行す
るものと推測しているところであります。
警察署の位置及び管轄区域については、警察法等の関係法令で定められているところであります。しかし、厳しい
行財政の中でも、県民の安全安心を守っていくために効率的な行政運営を図っていくことが大切であり、前段申し上
げました警察署管内の将来人口推計では、二万人に満たない警察署や、東根市のように人口規模がさほど変化しない
中でも単独の警察署が未設置の市もあります。このようなことから、今後の人口動態を踏まえた効率的な行財政を図
る観点から、当然に組織改編を含めた検討が必要と考えます。
また、再度申し上げますが、東根市民から出された切実な要望は、非常に熱く重い東根市民の要望であり、一刻も
早く東根警察署の設置に向けた対応を講ずるべきと考えるところでありますが、この件について知事のお考えをお伺
いいたします。
次に、国道四十八号事前通行規制解除に向けたバイパス化構想について、二年連続して発生した雪崩による通行ど
めとなった一般国道四十八号の今後の整備促進についてお伺いいたします。
一般国道四十八号は、宮城県と山形県を結ぶ両県の物流や観光など、地域経済の発展に大きく寄与する大動脈であ
るとともに、太平洋沿岸地域と日本海沿岸地域の交流を促進する広域交流型幹線道路として欠くことのできない重要
な幹線道路であります。この重要な一般国道四十八号をさらに高規格な道路にすべく、これまで、本県を初め関係市
町において、地域高規格道路として整備していただくように国に対して要望を行っております。
そんな中、平成二十三年三月には未曽有の東日本大震災が発生し、仙台空港の代替施設として山形空港が不眠不休
で機能を発揮し、国道四十八号をフルに活用し、被災地に向け自衛隊や消防、さらには米軍など人や物資を運び、復
旧支援に役立ちました。また、宮城県側から山形県側へ避難する車が列をつくり、被災地支援の人や物資を乗せた車
が数多く往来しました。まさに国道四十八号は「命の道」として活躍いたしましたことは御承知のとおりであります。
そして、今も、復興を支援する道路として、宮城県と山形県のみならず、東北全体にとっても大変重要な横軸の東西
路線であります。
そうした中、昨年二月十五日に、国道四十八号の関山トンネルの宮城県側坑口から一・四キロメートルの区間で大
規模な雪崩が発生し、二台の乗用車が巻き込まれ道路脇の斜面に落ちたほか、八十台を超える一般車両が立ち往生す
るという大きな災害がありました。幸いにも、国土交通省東北地方整備局を初めとする関係機関の御尽力により、ド
ライバー全員が救出され、安全確認が行われた後、十日後に開通いたしました。実に十日間の長期にわたる通行どめ
により、大きな迂回を余儀なくされ、物流や通勤通学、観光、レジャーなど、地域経済などにも大きな影響がありま
した。
国道四十八号の山形県側の関山峠の一日平均の交通量は、平日で約八千台、六月から七月にかけてのサクランボ狩
りシーズンにおいて、休日は交通量が約一万四千台にふえる路線であります。沿線には温泉街やスキー場などがあり
ますが、近くには迂回路もなく、観光面での打撃は大きく、通行どめは経済活動に多大な影響を与えたところであり
ました。
さらに、ことし一月三十一日には、昨年と同じところで再び雪崩が発生し、辛うじて人的被害はなかったものの、
二十三台もの一般車両が一時立ち往生する災害となりました。その後、二日半余り全面通行どめとなったことは記憶
に新しいところであります。
雪崩による通行どめが二年続けて発生したことは、宮城、山形両県民にとって大きな不安となっております。
これらの雪崩対策につきましては、一回目の雪崩が発生した直後の平成二十六年三月以降に、山形、宮城両県や沿
線の仙台・東根・天童市から雪寒対策に対しての要望活動を重ねた結果、国交省において、いち早く災害対策等緊急
事業推進費を予算化していただき、現在、スノーシェッドや雪崩待ち受け柵などの雪崩対策工事が進行中であり、早
期完成が望まれているところであります。
しかし、雪崩による通行障害のみならず、国道四十八号関山峠は、降り始めからの連続降雨量が百八十ミリに達す
るか、もしくは超えるおそれのある場合、事前通行規制がしかれる道路となっております。国道四十八号の事前通行
規制対象区間は、東根市側は関山地内入間向駐車帯から仙台市側の作並除雪ステーションまでの十二キロメートル区
間で、山形県側が五・九キロメートル、宮城県側が六・一キロメートルとなっております。
国道四十八号の脆弱さは、こういった事前通行規制区間を設けていることからもわかるように、落石などの危険箇
所が多いことであります。雪寒対策はもちろんのこと、整備するに当たっては、例えば国道十三号の主寝坂峠が主寝
坂道路としてのバイパスルートを整備して事前通行規制区間の回避や劣悪な道路構造を解消したように、本路線も危
険箇所をバイパス化して迂回させてはどうかという構想が浮かんでおります。
ただし、国道整備の際には地方負担が伴い、山形県側は山形県が、宮城県側は政令指定都市である仙台市が費用負
担していくことになります。仙台市は現在、震災復興や地下鉄整備などに全力を傾注しているため、国道四十八号の
地域高規格道路としての整備については消極的でありますが、危険箇所のバイパス化構想については、仙台市も整備
手法の一つであると認識していただいているとの新聞報道もされております。
現在は、宮城県側においては、急カーブ解消のための線形改良や急勾配区間の登坂車線の整備が進められており、
また、山形県側においては、交通安全施設等整備事業として天童市、東根市で歩道整備が行われていますが、本県と
しても、懸案の地域高規格道路への取り組みとあわせ、危険箇所のバイパス化整備構想実現に向けた長期と中期の二
本立てで要望活動を進めていくべきと考えますが、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
次に、地域医療のあり方についてお伺いいたします。
世界に類を見ない速度で進行を続ける少子高齢化と超高齢社会を迎え、人口減少を初め多くの行政課題が生じてい
ることは御案内のとおりであります。
このような中、若者を中心とする地方から都市への人口移動が地方の人口減少に拍車をかけるばかりか、地域経済
そして地域社会の脆弱化を推し進めております。そのため、国においては、昨年十一月に制定した「まち・ひと・し
ごと創生法」に基づき、東京一極集中から地方への新しい流れを導き出そうと地方創生を掲げ、本年六月には基本方
針の全体像が示されております。
一方、本年二月に開催された定例会におきまして、知事は、これまでの県政運営を振り返る中で、就任以来、本県
の人口減少問題を最優先課題と位置づけられ、多方面から諸対策を講じられてきました。
私は、この地域創生や人口減少問題を考えるときに、産業振興による雇用の創出や経済の活性化、特に子育て環境
の整備などが大変重要であると認識すると同時に、全ての社会生活の基盤となる暮らしの安全の確保を忘れてはなら
ないと考えるものであります。
心と体の健康が日常生活の基本であることは誰もが理解するところでありますが、それぞれの地域にこの日常生活
の基本をしっかり守る医療体制が整っていなければ、その地域に安心して住み続けることはできません。地域医療は、
生活のベースラインを構築する極めて重要な要素であります。このことは、知事の二期目の県政運営に当たっての将
来ビジョンである「自然と文明が調和した理想郷山形」の実現に向けて掲げられた四本の成長戦略の一つと合致する
ものであります。
さて、そのような立場から、昨今の地域医療とその体制をめぐる現在の状況は、二〇〇四年に導入された医師臨床
研修制度がもたらした医師の地域偏在や医師不足等は、まさに地域医療の根幹を揺るがす課題となり、いまだ解決に
至っておりません。また、社会保障費抑制の中で繰り返されてきた診療報酬改定や消費税問題によって、地域医療の
とりでとなっている公的医療機関の経営状況は、県立病院を含め非常に厳しい局面に立たされている状況であります。
先般、北村山公立病院組合を運営する北村山三市一町の首長及び組合議会議長により、県に対し財政支援策の創設
を求める要望活動が行われたとのことであります。県内には、それぞれの二次医療圏ごとに県立病院が配置され、市
立あるいは町立の自治体立病院等を含め、県の第六次保健医療計画の中で医療機関ごとの機能や役割が位置づけられ
ております。その中で、北村山地域は、隣接自治体のみによる一部事務組合立によって北村山公立病院を運営し、地
域に根差した医療活動が行われているところであります。
病院経営は、その運営団体が地方公営企業の本旨に基づいて円滑かつ健全な運営を行うことが第一義であることは
言うまでもありません。しかし、当団体のように、地域の基幹病院として広域的に実績を上げている場合にあっては、
その実績を評価し、一定の支援が行われることも必要なことではないかと考えます。
特に、現在、北村山公立病院が果たしている役割については、もしも当該病院がこの地域に存在しないと仮定した
場合、平成二十六年度では、一日平均約四百四十三人、年間では十万八千人の外来患者が、また、入院では一日平均
二百五十三人、年間では九万四千五百人の患者が県立河北病院あるいは県立中央病院を初めとする近隣の医療機関へ
移行することになります。さらに、二次救急医療では、平日夜間・休日の救急の患者さん約八千九百人が山形市内な
どの比較的距離のある医療機関まで足を運ばなければならないことを考慮すれば、その必要性と影響度の大きさは明
らかであります。県民にとって、身近に高度な地域医療を提供する医療機関があるということは、安心安全な暮らし
を支えるという点において非常に重要な意味を持つものであります。
このような地域医療の充実に貢献している医療機関の経営基盤の安定を側面から支援する方策の必要性について、
中山健康福祉部長のお考えをお伺いいたします。
政府が推し進める社会保障と税の一体改革によって、医療分野における変革も着々と進んでおります。
昨年の医療法改正に伴い、都道府県では、地域医療構想・地域医療ビジョンを策定することになりました。山形県
においては、来年度中に策定予定とのことであります。この地域医療構想は、二〇二五年の医療需要を予測しながら
二次医療圏ごとの医療機能別の必要量などを含む地域の医療提供体制の将来像を描くものとされており、今後の医療
行政の根幹を担うプランとなるものであります。
私は、村山地域の地域医療構想を考えるに当たり、北村山地域と西村山地域との関係の中に大きな課題が潜んでい
ると捉えております。
現在の県の保健医療計画においては、北村山、西村山それぞれの地域における医療提供体制将来ビジョンが策定さ
れ、関係医療機関の長期的な病院運営の指針として運用されているところであります。その中で、北村山地域の医療
提供体制将来ビジョンを見てみますと、検討の視点の一つといたしまして、北村山地域と西村山地域の医療機関との
機能分担・連携強化の必要性がうたわれております。
私は、近隣にある県立河北病院と北村山公立病院の二つの医療機関の関係がかねてからの課題であり、今後の課題
でもあると思料するところであります。
北村山地域と西村山地域のおのおのの将来ビジョンに従い、県立河北病院におきましては、ことしの三月に県内最
大級となる緩和ケア病棟や地域包括ケア病棟が整備されました。また、北村山公立病院においては、七月に向こう五
カ年にわたる中期財政計画が策定され、リハビリテーションや人工透析などの特徴を前面に押し出した施設改修が計
画されております。また、二次救急医療においては、近年、県立河北病院の患者数が逓減する一方で、小児救急医療
や急性心筋疾患、脳血管疾患などへの対応幅の広い北村山公立病院の患者数が増加傾向にあるようであります。
このような病院間の機能分担・連携強化は、ますます前進させなければならないと考えますが、策定途上の地域医
療構想においては、今後どのような位置づけになる見通しなのか、現在の検討状況等について中山健康福祉部長にお
尋ねいたします。
最後に、山形空港発着路線の今後の展開についてお伺いいたします。
山形空港は、庄内空港と並び、首都圏はもとより、乗り継ぎも含め国内外各地へつながる本県の空の玄関口であり
ますが、利用者の推移を見ますと、平成二十五年度までは、平成三年度の七十四万人をピークに、山形新幹線の新庄
延伸などの影響もあり、利用者は減少傾向で推移し、平成二十五年度の利用者は約十二万人と、ピーク時の六分の一
程度まで落ち込んでおりました。
このような中、平成二十五年に国土交通省が実施いたしました羽田発着枠政策コンテストにより、羽田空港の発着
枠を獲得し、平成十一年以来、実に十五年ぶりに山形・羽田便の複数便運航の復活が実現いたしました。以来、県及
び周辺市町村、関係団体などから構成される山形空港利用拡大推進協議会を中心に、さまざまな利用拡大策を講じ、
利用者の確保を図り、名古屋便の運航再開も相まって、山形空港は久々に活況を呈し、平成二十六年度の利用者は七
年ぶりに二十万人を突破したところであります。
山形・羽田便の利用実績を見ますと、平成二十六年度の利用者数は約七万九千人、前年度と比べると二・六倍の増
加となっております。これは、朝夕二便化により日帰り需要にも対応できる利便性の高いダイヤになったことが大き
く寄与しているものであります。
このたびの山形・羽田便朝夕二便化は、国土交通省が実施いたしました羽田発着枠政策コンテストにより配分され
た羽田空港の発着枠を利用したものであり、その使用期間は二年間とされております。本年度中に政策コンテストに
係る評価検証がなされ、引き続き羽田発着枠を使用できるかが決定されると伺っております。
去る九月十日、十一日両日の大雨により道路や鉄道の陸路が寸断され、首都圏との交通手段が麻痺状態となった際
も、山形・羽田便は平常どおり運航を継続いたしました。首都圏との交通手段の代替性確保の意味でも重要な役割を
担っております。引き続き二便運航の利便性を確保し、将来的には、さらなる増便や機材の大型化を目指さなければ
なりません。
現在の利用状況を踏まえ、政策コンテスト成果検証による二便運航継続をどのように見込んでいるのか、また、朝
夕二便化実現から、県ではさまざまな利用拡大策を講じてきましたが、今後はどのような対策を講じていくのか、髙
橋企画振興部長にお伺いいたします。
次に、山形・名古屋便についてであります。
名古屋便は、同じく昨年の三月末に約三年半ぶりに運航を再開し、現在に至っております。名古屋便については、
自動車関連産業の集積に力を入れる本県にとって、その国内最大の拠点である中京地区と本県を結ぶ非常に重要な路
線であります。また、中京圏は、北陸新幹線開業により首都圏からの観光客が減少することも危惧される中、観光誘
客面においても重要なターゲットとして位置づけるべきと考えられます。
しかしながら、現在の名古屋便は、一日一便の運航で日帰り利用に対応できない、あるいは本県への観光客にとっ
ては滞在時間を十分に確保できないなど、まだまだ利便性に欠ける状況にあり、本県と中京圏の間の移動手段として
仙台・中部便を利用している方も多いと考えられます。
こうした中、名古屋便については、昨年実施された地方航空路線活性化プログラムにおいて、伊勢神宮と出羽三山
を対にした観光キャンペーン「西の伊勢参り・東の奥参り」などの提案が採択され、三年間の助成が受けられること
になり、現在、その取り組みを進めていると伺っております。この助成を有効に活用し、まずは観光利用者の増加を
図りつつ、ビジネスの需要を着実に取り込み二便化の実現を進めていくべきと考えます。
現在の利用状況をどのように評価し、さらなる利便性向上、利用者の増加に向けて今後どのような取り組みを推し
進めていくお考えなのか、髙橋企画振興部長にお伺いいたします。
○副議長(伊藤重成議員) この場合、答弁を求めます。
答弁の順は私から指名します。
吉村知事。
○知事(吉村美栄子君) 青柳議員から私に二点質問を頂戴いたしました。
まず、地元要望を踏まえた今後の対応についてでございます。
東根市への警察署の設置につきましては、昨年十月、東根市長、東根市区長協議会連合会会長などから、東根市内
への警察署設置実現を望む市民約三万人分の署名とともに御要望をいただきました。また、本年五月にも東根市長か
ら要望をいただいており、その都度、私から警察本部長に、要望があった旨をお伝えしております。さらに、本年八
月二十五日に開催した市町村ミーティングにおきましても、市民の方から要望があったところであり、東根市民が東
根市内への警察署設置を強く希望していることは承知をしております。
警察署の整備につきまして、県警察では、限られた警察力を効果的に運用し、県内全域の安全と安心を守ることを
基本に検討されており、警察署の配置間隔や管轄区域における事件事故の発生状況などを十分検討した上で、県全体
としての適正配置を図っていると聞いているところでございます。
したがいまして、東根警察署の設置につきましては、今後も、県警察において、事件事故の発生状況などのさまざ
まな要素を総合的に検討した上で判断するものと考えております。
なお、県では、現在、県民に対する必要な行政サービスを将来にわたって維持向上させていくため、経営的な視点
から県有財産の総合的な管理・活用を図ることを目的に策定した山形県県有財産総合管理基本方針に基づき、県有財
産の長寿命化と維持管理コストの低減、また、県有財産の有効活用、そして県有財産の総量縮小、この三本を柱とす
る取り組みを進めているところでございますので、県警察におきましても、この基本方針も踏まえた上で、警察署を
含めた警察施設全般の整備計画を検討されるものと考えております。
二点目でございます。国道四十八号の整備について御質問を頂戴しました。
国道四十八号は、宮城県と山形県とを結ぶ両県の物流や観光を支える地域経済の大動脈として欠くことのできない
幹線道路でございます。東日本大震災発生時には命の道として、そして、現在も復興を支援する道路として、両県の
みならず、東北全体にとって大変重要な横軸道路でございます。
このような重要な道路であるにもかかわらず、県境部の同一箇所において二年連続で雪崩が発生し、昨年は十日間、
ことしは三日間にわたって全面通行どめとなったため、地元はもちろん、両県の観光や経済活動などに多大な影響が
ありました。
雪崩被害を受け、直ちに私が先頭に立って、昨年は宮城県知事と一緒に、ことしは沿線の市長及び民間女性の方々
に御同行いただき、国土交通省に対して、雪崩対策の早急な実施について要望いたしました。この結果、国土交通省
におきましては、平成二十六年度早々に雪崩対策工事に着手していただき、ことしの冬前までに完了する予定となり、
冬期の安全安心が確保されるものと期待しているところであります。
一方で、国道四十八号の県境部十二キロメートル区間は、連続雨量が百八十ミリメートルを超えると通行どめにな
る事前通行規制区間とされており、雪だけでなく雨にも弱いという課題を有しております。先週の豪雨の際も、連続
雨量が基準値を超えたことなどにより、九月十日から十一日までの二日間、三十一時間にわたって全面通行どめなど
の規制が行われました。このときは、山形自動車道、国道三百四十七号、国道二百八十六号などの主要な横軸道路が
相次いで通行どめとなったことから、高速バスが運休となり、一般車両も大きく迂回する必要が生じるなど、宮城県
側との通行に非常に大きな支障が生じたことは記憶に新しいところであります。
このような状況から、国道四十八号の県境部につきましては、大雨などでありましても通行可能な信頼性の高い道
路として整備することが重要であると考えております。本年からは、事前通行規制の解除に向け、バイパス化も視野
に入れた道路整備に関する調査検討を早期に着手していただくよう、宮城県、仙台市とともに要望を行っているとこ
ろであります。このことは、将来の地域高規格道路整備に向けての第一歩にもなるというふうに考えております。
いずれにしましても、国道四十八号の整備に向けましては、山形、宮城両県において県民意識の醸成が図られるこ
とや、地元からの盛り上がりが何より重要だと思っております。そのため、平成二十二年度から中断していた国道四
十八号道路整備促進大会が平成二十五年度に再開されましたが、私が歴代の知事としては初めてこの大会に出席いた
しまして、沿線の皆様とともに整備促進に向けた機運の盛り上がりに努めたところでございます。私もこの二年間で
六回にわたって国道四十八号の整備について要望を行ってまいりました。今後とも、地元の皆さんと一緒になって、
宮城県や仙台市とも連携しながら、さまざまな機会を捉えて政府に働きかけてまいりますので、引き続き御支援御協
力をよろしくお願いしたいと思っております。
○副議長(伊藤重成議員) 髙橋企画振興部長。
○企画振興部長(髙橋広樹君) 私には山形空港について二点御質問いただきました。
最初に、政府の羽田発着枠政策コンテストによる山形・羽田便の継続につきましては、ことし十二月に開催されま
す有識者委員会の評価結果に基づき判断されることとなっており、そこでは、利用実績やそれを支える体制・支援策
などが評価されると聞いております。
今年度は、年間搭乗率の目標を七〇%として取り組んでいるところですが、ことし四月から八月までの平均搭乗率
は七八・七%と好調を維持しております。これは、羽田便の利便性を知っていただいた県民の皆様による利用が増加
したことに加え、競合する山形新幹線の運賃と同等レベルの特別割引料金を設定したこと、山形空港と山形市を結ぶ
シャトルバスの再開や空港周辺市町村の乗り合いタクシーのエリア拡大等の二次交通の充実を図ったこと、おいしい
山形空港サポーターズクラブを設立し、会員を対象とした無料ラウンジサービスや運賃助成を行ったことなど、きめ
細かな取り組みにより安定的な利用者を確保することができたことと考えております。
一方で、例年、冬場に向けて搭乗率が下がる傾向にあることから、目標の年間搭乗率を達成するためには、積極的
な冬場対策が必要と考えております。そのため、安定したビジネス利用の一層の拡大に向け、おいしい山形空港サポ
ーターズクラブについて、会員限定の運賃助成など特典をPRし会員の拡大に努めますとともに、県との連携のもと
市町村が企画した住民向けツアーに対する助成等を行い、利用拡大を図ってまいります。
加えて、羽田を乗り継いで来県する外国人観光客の増加を図るため、昨年度五団体百三十二名が羽田経由で来県し、
蔵王の樹氷や桜の花見など好評だったシンガポールに加えまして、同じく乗り継ぎの便利なタイにおいても誘客に向
けた取り組みを積極的に推進し、羽田便の利用拡大に取り組んでまいります。
このような取り組みを通しまして、二十八年度以降の羽田発着枠の継続確保を確実なものとするとともに、さらな
る利便性向上につなげてまいりたいと考えております。
続いて、名古屋便についてですが、三年半ぶりに運航を再開いたしました山形・名古屋便につきましては、二十六
年度の利用者数は三万六千七百八十人となっておりまして、目標としておりました年間利用者数三万六千人を達成す
ることができました。しかしながら、その内容を見てみますと、利用者の八割以上が中京圏の在住者となっており、
しかも、安定した利用が見込めますビジネスでの利用が少ない状況となっております。
現在、大きな割合を占めております中京圏からの観光客も二、三年で需要が一巡し、利用が減少することも懸念さ
れますことから、ビジネスでの需要を掘り起こしますとともに、中京圏からの観光需要を減退させないための取り組
みを進めることが重要であると考えております。
ビジネスでの利用につきましては、ビジネス利用者からは、現行のような昼一便のダイヤでは使い勝手が悪く利用
に二の足を踏んでいるというような声も数多く寄せられているところでございます。このようなことから、潜在的な
ビジネス需要の状況を把握するため、現在、県内及び中京圏の企業を対象に、中京圏への路線を有しております仙台
空港や新幹線の利用状況、山形・名古屋便が二便化された場合の利用可能性等を調査しておりますとともに、中京圏
の観光業者に対しまして、二便化になった場合の新たな旅行商品造成の可能性やそれによる利用者増の見通し等につ
いてヒアリング等を実施しているところであり、この結果を踏まえまして、航空会社に対しまして早期の二便化につ
いての働きかけを強めてまいりたいというふうに考えております。
さらに、観光につきましては、三重県や伊勢市等と連携し、「西の伊勢参り・東の出羽三山参り」ということで、
新たな旅行商品の開発に取り組んでおり、今後は、旅行商品の販売支援を行うほか、本県への観光誘客に向けた中京
圏でのPR活動を強化し、観光による名古屋便利用者の増加を図ってまいりたいと考えております。
これら取り組みとともに、引き続き航空機利用の利便性についてより多くのビジネス利用客から知っていただくた
め、おいしい山形空港サポーターズクラブの会員を対象とした往復一万円の運賃助成を今月から一月末までの五カ月
間にわたりまして実施しているところでございます。
県といたしましては、引き続き関係市町村と連携を図りながら、これらの取り組みを推進し、名古屋便の利用拡大
と二便化に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○副議長(伊藤重成議員) 中山健康福祉部長。
○健康福祉部長(中山順子君) 私には二点御質問をいただきましたので順次お答え申し上げます。
まず、地域医療機関の経営基盤安定に向けた支援についてお答えいたします。
北村山公立病院は、北村山地域を中心とした住民が安心して暮らせるための中核的役割を果たす基幹病院として、
住民からの厚い信頼のもと、救急医療を初め、さまざまな疾患に対応した医療の提供や健康保持に向けた取り組みを
していただいていると認識しております。
本県の地域医療を担う自治体病院は、各地域における救急などの不採算医療や高度・先進医療などを提供する重要
な役割を担っており、国からの救急医療に対する交付税措置などの支援はあるものの、依然として病院経営が厳しい
状況であることは、北村山公立病院のみならず、県立病院を初め多くの自治体病院が抱えている課題でもございます。
特に、北村山公立病院では、病院経営が良好な際には構成団体からの負担金も少なく運営していた時期もございま
したが、近年は、医師の減少や電子カルテの導入及び高額医療機器の更新等に伴い経営状況が厳しくなっていると伺
っております。
こうした状況も勘案し、県では、これまで耐震補強工事、救急診療環境の充実を図るための医療機器の更新などに
対する直接的な支援はもとより、病院の負担を軽減するため、地区医師会との連携による休日診療所の診療日の拡大、
山形大学医学部からの医師派遣に向けた取り組みなど、側面からの支援も行ってきたところでございます。
一方で、人口減少や医師不足など、病院を取り巻く経営環境が厳しさを増している中で、自治体病院を初めとする
多くの病院では、生き残りをかけてさまざまな経営努力を進めております。北村山公立病院におきましても、構成団
体の共通認識のもとで一層の経営努力に努めていただくとともに、今後策定される地域医療構想の方向性を見据えて、
医療機能のあり方や病院の将来像について十分に議論していただくことが必要であると考えております。
県といたしましては、引き続き、救急医療など不採算部門の運営にかかわる交付税措置の拡充に向けて、関係機関
などと連携を図りながら政府に対して要望等を行ってまいりますとともに、初期救急医療体制の充実など北村山地域
での適正受診を推進してまいります。さらに、地域医療構想を踏まえた病床機能の見直しなどについて必要な支援を
検討してまいりたいと考えております。
続きまして、病院間の機能分担・連携強化についてお答えいたします。
地域医療構想の策定に先立ちまして、北村山及び西村山地域では、高齢化の進展等地域の課題に対し、医療提供体
制将来ビジョンを策定し、高齢化への対応や救急体制の整備等、地域の特性や医療機関の強みを生かした取り組みが
進められてきたところでございます。具体的には、県立河北病院による緩和ケア病棟や地域包括ケア病棟の整備、北
村山公立病院によるリハビリセンター機能や人工透析機能の充実に向けた取り組みが進められております。
現在、県で進めております地域医療構想の検討の中では、村山二次医療圏において、人口の減少や高齢化の進展に
伴い急性期病床が過大となる一方で、脳卒中や転倒による骨折等の患者が今後も増加するとの見通しにより、リハビ
リ機能や回復期病床の拡充が必要との方向性が示されております。加えまして、今後需要の増加が見込まれる訪問診
療や訪問看護、介護サービスも含めた在宅医療提供体制の充実も大きな課題となっております。
これまで北村山公立病院や県立河北病院等により進められてきた取り組みは、この地域医療構想の方向性に合致し
たものでありますが、一方で、人口減少を見据えた急性期病床の見直しや高齢者の増加に伴う在宅医療への対応など、
新たな課題に対し、二次医療圏内の医療機関が役割分担しつつ、相互に連携しながら対応していくことが求められて
おります。
県といたしましては、こうした新たな課題への対応も考慮しながら、北村山公立病院及び県立河北病院も含めた医
療機関同士による協議調整の場を通じ、地域にとってふさわしい効果的で持続的な医療提供体制の構築を進めてまい
りたいと考えております。
○副議長(伊藤重成議員) 門田警察本部長。
○警察本部長(門田 渉君) 人口動態等を踏まえた警察施設の再編整備の考え方についてお答えいたします。
警察署は、安全安心のよりどころであり、治安維持や災害対策の拠点として非常に重要な存在であります。
警察署の整備については、限られた警察力を効果的に発揮できるよう、人口動態や社会情勢、事件事故等の発生状
況、治安維持や災害対策の拠点としてふさわしい警察署の規模、全県的視野で見た場合の警察署の配置バランス、現
存する警察施設の老朽化の状況等を総合的に検討する必要があります。
東根市は、県内で唯一人口が増加している自治体であり、仙台市に通じる国道四十八号や空の玄関口である山形空
港を擁する交通の要衝でもあります。さらに、来年四月には山形県で初めての中高一貫校が開校し、他の市町村から
も多くの生徒が通学することとなることから、東根市民を初め通学される生徒たちの安全安心をいかに確保するかが
重要な課題であると認識しております。
これまでも、警察では、東根市内の治安情勢に迅速かつ的確に対応するため、市内の交番と駐在所等に村山警察署
の交番等に勤務する警察官の約三分の二を重点配置しております。また、東根市に隣接する天童市に本拠を置く警察
本部の機動捜査隊や交通機動隊も東根市内における警戒活動や取り締まりを強化しております。このように、警察力
を情勢に応じ効果的にシフトし、市民の皆様の安全安心の確保に万全を期しております。
さらに、東根市の防犯関係団体や交通安全関係団体等との連携協働による犯罪抑止・交通事故対策も推進しており、
この結果、最近十年間では、東根市における刑法犯認知件数、交通事故発生件数とも減少傾向にあります。
今後とも、県警察では、東根市民の安全安心を確保すべく、迅速・的確な警察活動を推進してまいります。
なお、仮に東根市内に警察署を新設するとした場合には、署員約九十人の村山警察署を二つに分けることになり、
いずれも小規模の警察署となり、事案対応等にスケールメリットを発揮できない体制になること、また、庁舎や待機
宿舎の建設に多額の費用を要することなどの問題があるとともに、県内には、老朽化及び狭隘化が進み、早急に建て
かえを行うべき警察署が複数あるという事情もございます。
県警察としては、引き続き人口動態等の諸要素を総合的に見据えながら、厳しい財政状況のもとで、北村山地域、
さらに県内全域の安全安心を確保するための警察力の適正配置はどうあるべきかについて注意深く検討してまいり
ます。
○副議長(伊藤重成議員) 四番青柳安展議員。
○四番(青柳安展議員) 先ほど申し上げたような観点から、今後とも十分精査いただいて前向きに御検討いただく
ことをお願い申し上げ、私の質問を終わります。
○副議長(伊藤重成議員) この場合、休憩いたします。
午後一時再開いたします。
午後 零時 十二分 休 憩
午後 一時 零 分 開 議
○議長(野川政文議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑及び質問を続行いたします。
二十一番大内理加議員。
○二十一番(大内理加議員) 自由民主党会派の大内理加です。
先週、山形市長選において山形市を二分する戦いが繰り広げられました。折しも、安全保障関連法案の賛否で国が
二分する中での戦いとなり、図らずも国会での与野党対決が持ち込まれる格好となりましたが、山形市民は、半世紀
続いた非自民系の市政からの転換を選択いたしました。
一貫して政策を訴えてきた佐藤氏が当選した背景には、「変えてほしい、変えなくてはならない」という市民の切
実な声が反映されたものと感じています。今後、山形市民が願っているのは、停滞していた山形市が少しずつ変わっ
ていくことと同時に、山形市が一つになって前に進むことだと思っています。
戦いが終わればノーサイドという言葉がよく使われますが、実際は、応援した者、応援しない者が線引きされ、山
形市は激選のしこりをずっと引きずったまま歩んできたように思います。きれいごとでないことは、私も政治家の端
くれとして重々承知ではありますが、それでも、これからの山形市に求められるのは、真の意味でのノーサイドだと
思っています。
今、地方自治体が生き残れるかどうかという瀬戸際に、危機感を持って新たな戦略を策定しているときです。山形
市が一つになって新しい県都を築いていくために、今こそ私は「オール山形で行こう」と申し上げたい気分でいっぱ
いです。
九月は、山形市長選を初め酒田市長選、新庄市長選と、県内で大きな市長選が繰り広げられてきましたが、そこか
ら見えてきた課題なども含めて何点か質問したいと思います。
最初に、吉村知事に県都山形市との連携についてお伺いします。
吉村知事は、山形市長選において梅津庸成氏の支援を明確にする一方、酒田市長選では特定候補を支援しないとい
う選択をしました。吉村知事は記者会見において、梅津氏を支援する理由として、「何といっても県都。熟慮した結
果だが、県の中の一番の市で、県とも協力し市町村を牽引し発展していただきたい」として、山形市が県都であり、
県との連携が重要であるからとの考えを示されました。
これから山形市が県都としての力を持ち、その役割を発揮するためには、トップのリーダーシップが大事ですので、
新市長には大きな期待を寄せているところですが、同時に、県との連携は不可欠です。ほんの一例ではありますが、
県民会館や県立中央病院跡地利用、美術館や博物館などの文化施設の将来の配置など、今後の展開は県と山形市の協
議が強く望まれておりますし、県道の建設や鉄道の整備、総合支庁の見直しなど、県と山形市の連携が必要な事業は
枚挙にいとまがありません。県議会においても、県と山形市との連携のあり方をめぐっては多く議論されてきたとこ
ろです。しかし、残念ながら、これまで山形市と県との関係は非常に密接だったとは言えず、連携して進めるべき施
策や事業の進捗にスピード感がなかったことは否めません。
吉村知事は、選挙後も、また、昨日の代表質問においても山形市との連携を重ねて言及しておられます。吉村知事
に、今後の県都山形市との連携をどのように図っていくおつもりなのか、具体的なお考えをお伺いします。
また、このたびの山形市長選に対しましては、吉村知事は今までにない熱心な応援をされたわけですが、今回の選
挙戦を終えての所感もあわせてお聞かせ願います。
次に、県政運営における多様な人材の活用についてお伺いします。
このたびの山形市長選挙につきましては、山形市の将来についてどうあるべきかという政策論争に至る前に候補者
の出自が大きく取り沙汰されました。吉村知事も、「どういう方が県都を牽引していくかは大変重要なこと。方言が
出ても何を言っても通じる『おらだの市長』という親しみが身近な首長には大事な要素ではないか」と訴えられまし
た。
話はかわりますが、七月に総務常任委員会の県内視察で最上町の地域おこし協力隊の実績についてお話を伺いまし
た。三年前、最上町には、「地域おこし協力隊」として神奈川県の大学を卒業した青年がやってきました。その青年
は、町民が全く関心を示さなかった赤倉温泉スキー場の活性化を図り、三年で入り込み数を三割、売り上げを一六%
ふやしたそうです。当初、青年は、よそ者と言われて心ない言葉をかけられたそうですが、今では最上町の重要なパ
ートナーであり、最上町に定住してみようかと考えているそうです。
これからは、女性も男性も、高齢者も若者も、障がい者も健常者も、そして県内外、国内外を問わず、多様な人材
が支え合って、知恵を出し合って社会を形成していく時代です。「ダイバーシティー」と言われる多様性がこれから
の時代のキーワードだと言われており、実際に、多様な人材を活用することによるさまざまな価値観や異なる発想が
大きな効果を生んでいます。
そのような中で、候補者の出自については、有権者それぞれのお考えがあると思いますが、県のトップが冒頭のよ
うな御発言をされたことは大変残念に感じております。折しも、全国的に首都圏や他県からの移住者を迎えようとい
う政策が展開されているときです。人材育成に力を入れている本県としては、県内であっても県外であっても、人に
優しい温かい県政であってほしいと願っています。
吉村知事に、県政運営における多様な人材の活用についてのお考えをお伺いします。
次に、新幹線整備の考え方について知事にお伺いします。
さきの酒田市長選挙において、本間市長の市政を継承した丸山氏が当選を果たしました。当然、前市長の本間氏が
公約の一丁目一番地とした山形新幹線の庄内延伸も継承されました。今回立候補した新人が二人とも山形新幹線の庄
内延伸を公約に掲げたことや、丸山氏が公約として掲げて当選されたことを鑑みると、酒田市民の総意と言わざるを
得ません。
山形新幹線庄内延伸と羽越本線の高速化については、それぞれに調査検討がなされ、両調査を比較検討した結果と
して、平成十八年二月定例会において新潟駅同一ホーム乗りかえを含む羽越本線の高速化が優位という報告が公表さ
れました。この結果が現在も県の方針として示されており、この議論に関しては、吉村知事は一貫してこの結果を踏
まえた考え方を示されております。
一方、山形市長選では、落選した梅津氏が県と連携してフル規格新幹線の整備促進を訴えたのに対し、当選した新
市長は、沿線自治体への影響も考慮しフル規格化は慎重に対応。トンネル化整備や複線化による高速化を優先すると
しています。
災害に弱く、時折運休になる山形新幹線に対し、フル規格を望む県民は多いものの、そのルートが奥羽新幹線かど
うかについては、県民の声は一つではありません。山形市民の中には、「本当に奥羽新幹線のフル規格は実現する可
能性はあるのか」、「仙山線を強化すべきではないか」、「仙台からフル規格の新幹線を通したほうがよいのではな
いか」などという声も聞こえており、フル規格新幹線については、くすぶっている県民の声は少なくないと受けとめ
ています。県が展開しているフル規格の奥羽新幹線の県民運動がいま一つ盛り上がらないのは、国の基本計画をその
まま踏襲し、行政主導で運動が進められていること、県民の声が置き去りになっており、県民の総意になっていない
のも一因ではないかと感じています。
フル規格の奥羽新幹線が実現すれば、停車駅はかなり限定されますが、現在の沿線自治体との調整や協議などは進
められているのでしょうか。停車しなくなった自治体に与える経済損失ははかり知れず、大きな影響を及ぼすことが
予想されます。フル規格を進めるためには、そこの合意形成は大切なプロセスです。
県民の声を代弁すれば、さまざまな選択肢が考えられます。
一つは、現在の基本計画であるフル規格の奥羽新幹線を秋田につなぐルート、二つ目は、トンネル化や複線化など
による山形新幹線の高速化を図りながら山形新幹線を継続して活用しフル規格の新幹線を仙台から通すルート、三つ
目は、フル規格を諦めて今申し上げた山形新幹線の高速化を図りながら仙台市と山形市をミニ新幹線で結ぶルート。
いずれの場合も、建設費の比較や沿線自治体の経済効果、経済損失などの費用対効果、所要時間や利便性などを調
査検討してみることが必要だと感じています。ミニ新幹線構想と違って、国の基本計画ですから、県が調査検討する
のは筋違いかもしれません。しかし、昭和四十八年に計画された整備新幹線のルートが、人口減少を初めこれだけ大
きく環境が変化している中で本当にこのままでいいのかは調査検討の余地があると思います。
その昔、江戸に向かって放射線状に延びていた街道をそのまま高速交通網に置きかえる時代ではないと思います。
それぞれの自治体がしのぎを削るのではなく、東北が一つになって連携を強化しようという時代に横軸ルートのイン
フラ整備は欠かせませんし、山形県にとって、仙台市との接続は大きな意味を持つものと思われます。
ミニ新幹線がなければ今の方針に異論はないと思います。しかし、山形新幹線というインフラが既に整備されてい
るのですから、莫大なお金をかけて二重に整備するより、現在の山形新幹線の高速化を図りながら新たなインフラを
横軸に生かすという選択肢は一考の価値はあると思います。
現時点で、どのルートがベストとは言及できません。庄内延伸は、一度調査検討されてもなお市民の声が高まって
いる状況ですし、けさの新聞報道によれば、酒田市が独自の調査を議会に報告し、県にも伝えていると聞いています。
であれば、なおさらフル規格の新幹線においては、沿線自治体との協議や費用対効果の調査検討の上、県民が納得す
る形で前に進めることが、県民が一つになって実現に向かう道かと思われます。
いずれにしても、ミニ新幹線や整備新幹線などの高速鉄道の整備は、山形県の発展に大変大きな影響を与えるもの
ですから、将来に向けてその判断を誤るようなことがあってはなりません。先日の大雨でまたしても県都が陸の孤島
となりました。観光、ビジネス、通勤通学の足に大きな影響を及ぼしたことは記憶に新しいところです。県内の鉄道
網の整備に関しては、県や東北を俯瞰してきちんとした方向性を示す時期に来ているかと思われます。
新幹線整備の考え方について、知事のお考えをお伺いいたします。
続きまして、エネルギー政策について知事のお考えをお伺いします。
一つ目は、原発再稼働に対する考え方です。
八月十日の知事の記者会見において、原発再稼働についての所感を尋ねられ、知事は、「原発が全然稼働していな
くても夏の暑い日でも大丈夫だった。電力が不足していないと見聞きしている。なぜそんなに急ぐのか。今すぐでは
ないけれど、できる限り再稼働していただかないほうがよい」と答えていらっしゃいます。
八月十二日の日経新聞によると、宮沢経産大臣は、「原発を再稼働しない、電気料金を抑える、温暖化ガス削減の
目標を達成するという三つを満たすのは不可能だ」と断言し、原発の再稼働を進めない限り電気料金の抑制は難しい
との認識を示しています。
ことしは本当に暑い夏でしたが、川内原発以外原子力発電が再稼働していないにもかかわらず私たちが不自由なく
電気を使うことができたのは火力発電に依存しているからだというのは周知の事実であります。
二〇一〇年に二五%だった石炭火力の割合は、二〇一三年には三〇%にまでふえ、このままでは二〇三〇年に約四
〇%に達し、七月に政府が決めた電源のベストミックスの二六%を大きく上回ってしまいます。そこで、環境省が新
しい石炭火力発電の建設に待ったをかけました。
東日本大震災後、原子力発電が停止してから、火力発電の燃料費の増大とCO2の排出量の増加は、現在の日本の
大きな課題となっています。原子力発電が停止してからの火力発電の燃料費の増加分は年間三・六兆円、国民一人当
たり三万円の負担増となり、輸入に頼っていることから、本来日本の経済活動に使われるはずのお金が海外のエネル
ギー資源国に流れています。また、温室効果ガスの排出量は東日本大震災後八%もふえており、このままでは世界の
潮流から取り残される状況です。たび重なる大雨や大雪による自然災害は、地球温暖化の影響も大きいと言われてい
ます。
将来的には原発を稼働させずに再生可能エネルギーに移行させるべきという考え方は私も同じですが、現実的に今
の状況では難しいかと思われます。
このような状況を踏まえて、改めて現状においての原発再稼働に対する知事のお考えをお聞きしたいと思います。
二つ目は、再生可能エネルギー導入拡大とそれに伴う課題についてです。
このたび県は、エネルギーの地産地消を進め、地域分散型のエネルギー拠点を形成するということで、経済の活性
化と産業振興にも寄与するとして、新電力構想を打ち立てました。県では、県内経済界や民間関連企業にも出資を呼
びかけて、今月末に新電力会社設立に向けた準備を進めていますが、その狙いである災害対応力の強化や経済活性
化・産業振興が新電力の事業を通して具体的にどのように実現していくのかは今後の課題であります。
また、新電力は、実質的な仕入れ価格が最も安い発電事業者に限定して電力を調達すると聞いていますが、それで
も送電線を東北電力から借りる託送料金や天候不順による電源の不足を調整するための経費がかかるために、売電価
格は安くはならず、東北電力と同等と想定しているようです。現状では、発電事業者からは高く買うことができず、
需要者には安く売れない。このままでは新電力の存在意義が問われることにもなりますし、そもそも発電量がふえる
ことにつながらないのではないかと懸念しているところであります。新電力事業は、国の固定価格買取制度に乗って
ビジネスを展開するわけですが、現在、国では制度の見直しが行われており、交付金の額次第では新電力の経営に影
響を与えかねません。こうした事業リスクにもしっかりとした対応が求められます。
先の見通しについては流動的かと思われますが、目的の達成のみならず、発電事業者、出資企業、需要者、そして
何より県民にとってメリットのある事業となるよう運営していただきたいと思います。県の税金が投入されている以
上、議会としてもしっかり検証していく必要があると感じています。
一方で、この新電力設立を契機として、山形県のさらなる再生可能エネルギーの導入拡大が図られるわけですが、
固定価格買取制度の仕組み上、再生可能エネルギー導入拡大に伴って電気料金の負担が拡大する可能性があります。
先ほど申し上げた新電力への交付金の原資は、税金ではなく、私たち一般家庭や事業者の電気料金に上乗せされてい
る再エネ賦課金です。再生可能エネルギーの発電がふえればふえるほど徴収額は上がっていきます。
また、昨年十一月に実施された日本商工会議所による調査では、東日本大震災直後の一年間と調査期間直前の一年
間を比較すると、電力使用量が横ばいなのに対し、電力コストは二八・七%、金額にして一千万円の上昇という結果
が出ているのは皆様御案内のとおりであります。県内の製造業を初め多くの中小企業において、電気料金は人件費に
次ぐ大きな割合の原価コストで、急激な電気料金の値上げは企業経営に甚大な影響を与えており、県も関係団体から
電気料金値上げの影響を最大限とどめるための対策を要望されていると聞いています。
再生可能エネルギーの導入拡大は、原発依存度の低減やCO2削減のためにも大変重要な施策であると考えますが、
再エネ賦課金の上昇だけでなく、原油価格の高騰なども相まって電気料金の高どまりという課題を生み出しています。
このような現状の中で、卒原発という理想に向かい、県のエネルギー戦略の実現に向けて事業を展開していく上では、
県民生活の負担増や県内企業の経営の圧迫という現実に対してもきちんと向き合って対応することが必要だと思わ
れます。
国の関与が大きい問題かと思われますが、県のエネルギー戦略を推進するに当たり、再生可能エネルギーの導入促
進と県民負担との整合性やバランスをどのように図っていくのか、環境エネルギー部長のお考えをお聞かせください。
次に、日本遺産の認定についてお伺いします。
文化庁が認定している日本遺産に山形県は「最上川舟運が育んだ文化と景観」を申請しましたが、残念ながら認定
には至りませんでした。
日本遺産は、世界遺産のような文化遺産の保護だけが目的ではありません。これまで、保存重視の文化財行政から
は地域の魅力が十分に伝わりませんでしたが、日本遺産は、文化財の活用を重視することで文化財群をPRし、地域
のブランド化が可能になります。政府も、地方創生のための観光振興には、四季がはっきりしていること、景色が美
しいこと、食が豊かであること、そして文化財の魅力があることが大切だと明言しており、これからの観光に文化財
の魅力を積極的に取り入れようとしています。国は、訪日外国人の受け皿になるべく、オリンピック・パラリンピッ
クが開催される二〇二〇年度までに限定して百件程度の日本遺産を認定する予定ですので、山形県を世界に発信する
絶好のチャンスです。
先日、日本遺産の認定に積極的に取り組んでいる石川県でお話を聞いてきました。前回の日本遺産の全国の応募数
が八十三件に対し、石川県は十二件応募しています。そのうち、県内各地で行われている「キリコ祭り」という神事
が認定されましたが、認定されてから地元では自分たちの地域の文化に誇りを持つようになり、地域の新しい取り組
みが生まれたそうです。認定されたストーリーに対しては四千二百万円の補助金がつき、さまざまな事業が展開され
ています。さらに、石川県では、「いしかわ歴史遺産」という県独自の認定制度をつくり、次の日本遺産に向けての
下地づくりに力を入れています。
そこで、申請するストーリーの提案ですが、山形県独自の文化、歴史的経過や地域の風習に根差し世代を超えて受
け継がれているもの、日本の文化財や伝統文化を通じた地域活性化が図られるなどの要件にぴったりのものに県花
「紅花」があります。
「紅餅」と言われる赤の染料の材料をつくる技術は江戸時代から県内各地に脈々と受け継がれているもので、伊勢
神宮の遷宮はもちろん、皇室の行事には県産の紅餅が使われており、日本の赤の文化を守ってきました。しかも、紅
餅の生産は山形県だけで行われています。
近年、この紅花を観光に生かそうという動きが活発になっており、花摘みを観光客に手伝ってもらったり、産地バ
スツアーができたりしていますが、受け皿が整えば、紅餅づくりや紅花染の体験で滞在型のツアーや教育旅行などが
期待できます。
紅花生産者が高齢化する中で、その技術の伝承が危ぶまれております。生産面からの取り組みも大切ですが、日本
遺産に認定されることにより生産者の誇りややる気を喚起し、地域の活性化や観光を通して、なくしてはいけない伝
統技術と地域の文化を後世につないでいくことができるのではないでしょうか。
この場合重要なのは、生産面でのサポートをする農林水産部、観光へのアプローチをする商工労働観光部との連携
です。現在、日本遺産認定は教育庁の所管で、文化財担当課が文化庁との窓口になっていますが、文化財の視点から
だけでは認定は難しいと思われます。どのような部局横断の連携を図って申請に向けた体制をとっているのか、紅花
の可能性も含めて、その進捗状況を教育長にお伺いいたします。
次に、女性と子供のための配偶者手当の見直しについて提案をしたいと思います。
女性の活躍促進を進めようと、国は、配偶者控除の見直しを検討しています。働く女性が年収百三万円を超えると
配偶者控除を受けることができなくなるため、働く時間をわざわざ減らすというゆがみをなくそうというものです。
この配偶者控除とセットで検討されるべきものに、企業や公務員などに支給されている配偶者手当があります。日
本では、配偶者の収入がゼロか少ない場合に配偶者手当が支給される場合が多く、女性の働く意欲をそいでいるとい
う指摘があります。
そこにメスを入れたのがトヨタ自動車です。新聞報道によれば、トヨタ自動車は、来年一月以降段階的に配偶者手
当を廃止し、子ども手当を現行の四倍に引き上げることにしました。子育て世帯の場合、配偶者手当は月額一万九千
五百円支給し、子ども手当は一人五千円ずつ支払っていましたが、新制度では、配偶者手当を廃止し、子供一人につ
き一律二万円を支給するというものです。女性が手当に左右されずに働くことができ、子育て世帯の経済的負担を軽
減するもので、女性の活躍促進と少子化対策の両面を推進する制度になっています。
配偶者控除も配偶者手当も専業主婦世帯が一般的だった五十年以上も前に始められた制度で、共働き世帯がふえる
中、見直しは遅いくらいだったかもしれませんが、先陣を切ったトヨタ自動車の思い切った制度改革には拍手を送り
たいと思います。
この流れは、民間だけでなく、安倍総理は、昨年十月の経済財政諮問会議で、女性の就労拡大を抑制している仕組
みや慣行などの見直しを指示し、人事院に対して国家公務員の配偶者手当も民間に先行して見直しを検討するよう求
めています。残念ながら、二〇一五年度の国家公務員給与に対する人事院勧告で見直しは見送られましたが、今月十
一日の経済財政諮問会議で民間議員から再度見直しが提言されました。
一方、本県の場合、配偶者手当は一万三千円、子供を含む扶養親族に対する手当は一人につき六千五百円、加えて
高校生や大学生までといった十五歳から二十二歳までの子供に対しては五千円が加算されるという手厚い手当が支
給されています。知事部局では、扶養手当を受給している職員は四千八十五人中二千二百三十一人であり、そのうち
半分の職員が少なくとも配偶者手当を受給しています。その額は年間およそ一億六千万円となり、その分を子ども手
当に回すことができれば、職員の奥様は手当を気にせず働くことができますし、子育て家庭の負担は軽減されること
から、少子化対策に功を奏するのではないでしょうか。
民間に先駆けて県がこのような改革を進めれば、民間企業や市町村に対して大きな影響を与え、女性の活躍促進と
少子化対策が同時に一歩前進することが期待できます。県の給与体系に関しましては、人事委員会の勧告によります
から、簡単なことではありませんが、県の条例によるものですので、県独自で改正することは可能です。民間や国の
追従ではなく、山形県が先駆けて取り組んでみてはいかがでしょうか。
安倍総理が人事院に検討を求めたように、知事が人事委員会に検討を要請することは可能だと思います。知事のお
考えをお伺いいたします。
最後に、里親制度の推進についてお伺いします。
全国の調査によると、要保護児童数がふえ続けており、対象児童は四万六千人と言われています。理由は、両親の
死亡や行方不明、離婚などさまざまですが、圧倒的に虐待による児童がふえているそうです。
このように、何らかの都合により家庭での養育ができなくなった子供たちは、現在、児童養護施設などに入るか、
里親によって養育されるかに分かれますが、子供たちの社会的養護は、温かい愛情と正しい理解を持った家庭的な環
境のもとで養育することが子供たちの健全な育成のために望ましいということで、里親委託を優先して検討する方針
を厚労省が打ち出しております。
先日、里親に育てられた子供たちと施設で育てられた子供たちのその後の人生や生活の実態を知る機会があり、い
かに人間は家庭的な愛情によって健全に育まれていくのかということを改めて認識し、里親制度の重要性を痛感して
まいりました。
既に諸外国では、社会的養護が必要な子供たちは半数以上が里親の手によって養育されておりますが、平成二十二
年当時では日本の里親委託率はたった一二%で、先進国では最下位です。平成二十五年度末には日本全国で一五・六%
まで上昇し、新潟県や滋賀県などは三〇%に達するなど大幅な増加が見られる一方、自治体間での格差が広がってい
ます。
山形県の場合は、年々ふえてはいるものの、平成二十六年度末は一三・九%で、全国的に見てもまだまだ低い状況
です。二百五十九人いる社会的養護の必要な子供たちのうち、里親のもとで養護されている子供はたった三十六人に
すぎないのが現状です。
最近は、社会的養護を必要とする子供たちの中には障がいのある児童がふえているという実態も報告されており、
里親と子供たちのマッチングや専門的知識の必要性などなかなか簡単ではないと考えられますが、子供たちの将来を
考えれば、一人でも多くの子供たちが家庭的な環境の中で愛情に包まれて育ってほしいと願っています。
県では、里親委託を推進する上での課題をどのように捉え、今後どのような取り組みを進めていくお考えなのか、
子育て推進部長にお伺いいたします。
以上で私の質問を終わります。誠意ある御答弁を御期待申し上げます。ありがとうございました。
○議長(野川政文議員) この場合、答弁を求めます。
答弁の順は私から指名します。
吉村知事。
○知事(吉村美栄子君) 大内議員から私に五問御質問を頂戴しましたので順次お答え申し上げます。
まず一点目は、県都山形市との今後の連携についてでございます。
私は、県民の皆様はもちろん、県民に身近な市町村との対話を重視しながら、活力あふれる山形県の実現に向けて
取り組んでまいりました。
年に二回開催している市町村長会議では、私が県政課題や具体的な施策展開について直接市町村長に御説明し、意
見交換を行っておりますほか、知事と語ろう市町村ミーティングでは、県内三十五市町村にお伺いして、市町村長と
ともに地域住民の方々の声をお聞きし、地域課題の共有を図るなど、さまざまな形で市町村と連携を図りながら県づ
くりを進めてきているところでございます。さらに、県政全体の運営方針を示す「県政運営の基本的考え方」の策定
や、本県の実情を踏まえ県全体として政府に要請等を行う「政府の施策等に対する提案」の取りまとめに当たりまし
ても、市町村長からしっかりと御意見をお聞きしてきたところでございます。
そのような中で、山形市につきましては、本県の県都として他の市町村を牽引する役割が求められる都市であると
考えております。例えば、県内外から二十六万人の観光客が訪れた東北六魂祭の開催や、ことしで四年目を迎え、二
十二万五千人が来場し、初夏の山形を代表する祭りとなりつつある「日本一さくらんぼ祭り」の開催、また、本県の
観光を牽引する蔵王温泉の蔵王山噴火警報に伴う風評被害の払拭や、保育所の整備促進などによる待機児童の解消、
さらには東日本大震災に伴い県内に避難されている方々に対するきめ細かな支援など、さまざまな分野で連携した取
り組みを行ってきたところでございます。
また、現在は、山形市の中核市への移行に向け、保健所の設置を初めとする保健福祉の分野や都市計画・建設行政
などまちづくりの分野など、広範にわたる事務の移譲について山形市と調整を図っているところであります。
地方におきましては、人口減少が進んでいる中で、地方創生の実現に向け、産業振興・雇用創出、人材の県内定着・
回帰、また総合的な少子化対策、活力ある地域づくりなど喫緊の課題が山積しております。今回の選挙結果につきま
しては、山形市民の皆さんが判断した結果であると思っております。新市長には、ただいま申し上げました山積する
課題の解決に向けてしっかりと取り組んでいただきたいと考えておりますので、私も新市長と対話を重ね、山形市の
発展、そして県勢発展に向けて連携して取り組んでまいりたいと考えております。
二点目でございます。県政運営における多様な人材の活用について申し上げます。
県政運営における多様な人材の活用につきましては、さまざまな方々からしっかりと御意見を伺うことがその基本
であると考えております。そのようなことから、県内の各地域で知恵袋委員会や県政アドバイザー懇談会を開催し、
豊富な経験や知識・知恵を踏まえた高齢者の方々の御意見を伺ったり、それぞれの地域で活躍する有識者や実践者の
方々から地域の実情を踏まえた生の声をお聞きしているところであります。また、知事と語ろう市町村ミーティング
や知事のほのぼの訪問では、各地域を訪問し、地域の方から直接お話をお聞きしてきているところです。さらに、県
総合政策審議会におきましては、県内外を問わず、さまざまな分野で活躍している方々から県政課題全般について広
く御意見を伺い、県政運営に反映させているところであります。
このたびお示ししたやまがた創生総合戦略の案の策定に当たりましても、私自身、ライオンズクラブやロータリー
クラブ、山形青年会議所、JA女性部の方々を初め、県内各界の方々から直接御意見を伺ったところであり、まさに
県民の皆様とともにつくり上げてきた戦略であると考えております。
人口減少下にありましては、県民一人一人が持てる力を十分に発揮し、地域課題の解決に取り組んでいただくこと
が極めて重要であります。戦略案におきましても、多様な人材がその能力を発揮し、思いを実現することができる環
境づくりに努めたところでございます。
具体的には、中小企業での女性管理職の登用促進や地域社会を担う女性リーダーの育成など、女性が社会のさまざ
まな場面で活躍できるよう支援してまいります。また、元気な高齢者が生活支援の担い手として活躍できる環境の整
備を進めますとともに、次代を担う若者が地域の課題解決に向けみずから企画し実行する取り組みについても支援を
行ってまいります。さらに、介護・農業分野などでの障がい者の就労を促進し、障がい者の方々が地域の中で自立し
て暮らすことができる取り組みを進めてまいります。
加えまして、移住促進に向けましては、高度な専門性を有する県外の企業人材の確保や、移住者による創業への支
援など、移住者が持つノウハウや経験をしっかりと生かせる取り組みを進めてまいります。
このような取り組みを通して、一人一人が個性や能力を最大限発揮することにより、人と地域が輝くやまがた創生
の実現を図ってまいりたいと考えております。
三点目は、新幹線整備の考え方についての御質問でございます。
フル規格の奥羽・羽越新幹線につきましては、東日本大震災を教訓としたリスク分散や日本海側と太平洋側のリダ
ンダンシーの確保など、災害に強い多軸型の国土形成の観点からも、また、人口が急速に減少する中で、東京圏への
過度の集中を是正し地方創生を実現していくためにも、全国的な新幹線ネットワークとして整備することが急務にな
っていると考えているところであります。
フル規格新幹線が整備されることで、企業誘致や沿線投資が促進され地域経済が活性化するとともに、ビジネスや
観光などさまざまな分野での交流が拡大することは、ことしの三月に開業した北陸新幹線の富山や金沢のにぎわいを
見ても明らかであります。
このような中で、これまでの新幹線整備により、東京―青森間の約七百キロメートルは三時間を、東京―金沢間の
約四百五十キロメートルは二時間半を切って運行されるようになりました。東京から山形までの約三百六十キロメー
トルを最速二時間二十六分という、いわゆるミニ新幹線として整備された山形新幹線の時間的優位性は、ほかの地域
と比較して失われつつあり、フル規格新幹線を何としても整備しなくてはならないと認識しているところであります。
また、先日の台風十七号、十八号の影響により、山形新幹線や羽越本線などは運休となりましたが、被害の大きか
った栃木・宮城県内におきましては、東北新幹線は通常どおり運行されました。このように、フル規格新幹線の整備
は、地域経済の活性化は言うに及ばず、山形新幹線や羽越本線など本県の幹線鉄道が抱える自然災害に対する脆弱性
を一気に解決するものと期待されるところであります。
フル規格の新幹線整備は、全国新幹線鉄道整備法に基づき進められておりますが、北海道新幹線や北陸新幹線の残
り区間については開業時期の前倒しが決定されるなど、現在整備が進められている昭和四十七年に基本計画に掲げら
れた路線のほぼ全てで完成のめどが立ってきております。こうした状況を受け、県内での新幹線整備に向けましては、
法に基づく基本計画に位置づけられている奥羽、羽越両新幹線について、当初の計画どおりしっかりと実現されるこ
とを政府に訴えていくことが極めて重要であると考え、平成二十四年から政府に働きかけております。また、昨年来、
地方創生を打ち出しておられますので、地方創生のための重要な基盤となる社会インフラとしてのフル規格新幹線整
備について、地方創生担当大臣にも要望しているところであります。
さらに、現在、JR東日本では、山形新幹線の福島―米沢間について抜本的な防災対策の調査検討を進めていると
ころであり、県では、フル規格でのトンネル整備について検討を要請しているところであります。
県としましては、こうした動きを好機と捉え、引き続きフル規格新幹線の意義や必要性を県民の皆様に丁寧に説明
しながら、県民機運の醸成を図るとともに、知事会や沿線各県とさらなる連携を図ることにより、奥羽、羽越両新幹
線の整備について、政府に対ししっかりと働きかけてまいります。
四点目でございます。原発再稼働に対する私の考え方について申し上げます。
私は、東日本大震災が発生した年、平成二十三年でありますが、その七月に、将来の世代がより安心して暮らせる
よう、再生可能エネルギーを中心とした新たなエネルギーへの転換を着実に進めていくことで、原子力発電への依存
度を徐々に少なくしながら、行く行くは原子力には頼らない社会を目指すべきとの考えから「卒原発」を提唱いたし
ました。
その後、東日本大震災の発生から四年半が経過いたしましたが、福島第一原発事故に伴い、本県には今なお三千七
百人もの方々が避難生活を強いられております。原発は、一たび事故が起これば、広範な地域にわたりさまざまな分
野で甚大な影響を及ぼすことが明らかになったそのことは皆様周知のことでございます。報道によれば、福島第一原
発事故による損害額は十一兆円を超え、今もこの損害額は膨らみ続けているとされております。
これまで行われてきた複数の世論調査では、回答した国民の六割から七割が原発の再稼働に反対しているとの結果
が出ております。また、今後の原発のあり方につきましては、「直ちに」あるいは「将来的に」原発をなくすべきと
回答している方が七割から八割に上るなど、原発に対する国民の不安はいまだ非常に大きなものがあると感じており
ます。
加えまして、使用済み核燃料の処分方法が確立していないということ、我が国が世界有数の地震国であること、さ
らにはテロの脅威にも対応しなければならない、そういったことなどを考え合わせますと、私としましては、原発の
再稼働は、慎重の上にも慎重に判断されるべきものと考えております。
エネルギー政策は、国民生活や産業経済活動の根幹にかかわるものであり、これまでも申し上げてきてはいるんで
すけれども、国策として政府が責任を持って取り組むべき課題であります。現在、九州電力川内原発が再稼働してお
りますが、二度と原発事故が発生しないよう、責任を持って安全確保に努めていただきたいと考えております。
一方、政府は、二〇三〇年度に、安全性の確保を大前提に原子力を二〇から二二%に低減させ、石炭火力を二六%
程度に抑制し、再生可能エネルギーを二二から二四%に拡大するといった長期エネルギー需給見通しを決定し、その
上で、二〇三〇年度の日本の温室効果ガス削減目標を二〇一三年度比で二六%減とする新たな目標を決定しておりま
す。
県としましては、卒原発社会の実現に向けてエネルギー戦略に掲げた施策を着実に展開することにより、再生可能
エネルギーの導入拡大を促進し、もって地域経済活性化と産業振興を図り、さらには温室効果ガスの削減を進めてま
いりたいと考えております。
では五点目でございます。女性と子供のための配偶者手当の見直しについて申し上げます。
我が国が人口減少・少子高齢化の問題に直面している中、持続的な成長を実現し、社会の活力を維持していくため
には、長時間労働を初めとする男性中心型の働き方を見直し、働きやすい環境を整備することで、女性も男性もとも
にその能力を十分に発揮できる社会を構築していくことが重要だと考えております。そのためには、現行制度の見直
しも必要になってくると考えておりまして、私がリーダーを務めている全国知事会男女共同参画プロジェクトチーム
におきましても、働き方に中立である税制等の実現、具体的には、女性活躍と方向を異にしている配偶者控除や社会
保険制度の見直しなど、各種制度の整備について提言をしてまいりました。
一方、職員の給与につきましては、地方公務員法の規定により、国やほかの地方公共団体、民間の給与などを考慮
しなければならないとされており、専門の調査研究機関である人事委員会が毎年人事院と共同で給与実態調査を行い、
県内企業の支給状況を把握して、国及びほかの都道府県の状況も踏まえ、勧告しているところであります。
配偶者に係る扶養手当につきましては、本年の人事院勧告において、現時点では見直す状況にはないとし、民間企
業における家族手当の見直しの動向や、女性の社会進出を促す仕組みとして検討が進められている税制及び社会保障
制度の動向も注視しながら、引き続き人事院において国家公務員の扶養手当の支給要件の検討を行うこととされてお
ります。
県内民間企業の支給状況につきましては、昨年の人事委員会勧告の資料によりますと、家族手当制度がある事業所
のうち配偶者に家族手当を支給している割合は九二・三%と依然として高い状況にあり、配偶者に着目して手当を支
給する制度が浸透しているものと認識しております。
配偶者手当の見直しにつきましては、国家公務員における人事院の検討状況や県内民間企業の支給状況などの動向
を注視しながら、適切に判断してまいりたいと考えております。
いずれにしましても、女性も男性もともに能力を十分に発揮できる社会を形成していくことは大変重要なテーマで
ありますので、今後とも、税制や社会保険制度の見直しを初めとする必要な施策について、全国知事会とも連携しな
がら政府に対して働きかけてまいりたいと考えているところであります。
○議長(野川政文議員) 柴田環境エネルギー部長。
○環境エネルギー部長(柴田智樹君) 再生可能エネルギーの導入拡大とそれに伴う課題についてお答えを申し上げ
ます。
政府は、エネルギー基本計画で再生可能エネルギーを重要な低炭素の国産エネルギー源として位置づけ、ことし七
月に決定した二〇三〇年度のエネルギーミックスでは、再生可能エネルギーの電源構成を、現状の一一%から、二二
から二四%と倍増することといたしました。この中で、再生可能エネルギーについて、最大限の導入拡大と国民負担
の抑制の両立を図るため、固定価格買取制度の見直しを行うこととされ、今月から経済産業省の小委員会で議論が開
始されたところでございます。
電気料金につきましては、産業活動はもとより、国民の生活にも影響を及ぼすものではありますが、東日本大震災
以降の電気料金上昇の要因につきましては、固定価格買取制度による賦課金というよりは、むしろ燃料代等の発電コ
ストによるものが大宗を占めているものと認識しております。
エネルギーミックスに掲げられた再生可能エネルギーの目標割合を達成するためには、固定価格買取制度のような
再エネ導入を促進する制度は引き続き必要ではないかと考えており、国民負担の抑制を図りつつ、効率的な形で再生
可能エネルギー導入を実現する仕組みの構築に向けた政府の動きを注視してまいります。これに加えて、県では、再
生可能エネルギーの導入拡大に向け、固定価格買取制度の対象外であります木質バイオマス等の熱利用や、各種施設
における電力の自家消費などについても引き続き推進してまいります。
県といたしましては、今後とも、省エネ県民運動の実施、さまざまな機会を通じた各種補助制度の紹介、商工業振
興資金による融資などを通じて、省エネの取り組みを推進することにより、家庭・事業所における電気料金負担の低
減にもしっかりと取り組みながら、再生可能エネルギーの導入拡大を進めてまいりたいと考えております。
○議長(野川政文議員) 飛塚子育て推進部長。
○子育て推進部長(飛塚典子君) 私からは里親制度の推進についてお答えいたします。
社会的養護を必要とする子供たちにつきましては、できる限り家庭的な環境で、安定した人間関係のもとで育てて
いくことが大変重要と考えております。
本県では、平成二十七年三月に「社会的養護における山形県家庭的養護推進計画」を策定し、平成四十一年度末ま
でに里親等への委託の割合を三割以上にしていくことを目標に掲げ、里親の家庭的養護を優先することや、施設養護
においても、できる限り家庭的な養育環境で養護できるよう、ケア単位の小規模化に取り組むこととしております。
平成二十七年八月一日現在では、里親等に委託している子供の数は三十七人と全体の一三・七%にとどまっており、
今後さらなる取り組みが必要であると考えております。
里親委託を推進する上では、登録されている里親の数が少ないこと、実の親御さんが里親委託に同意しないこと、
発達障がい等によって専門的な養護が必要な子供が増加していること、里親と子供とのマッチングが難しいことなど
が課題として挙げられております。このため、里親を希望する方々等への里親委託率が伸びている先進地の講師によ
る講演会の開催や、里親との交流の場となる里親サロン、また、短期で子供を預かる家庭生活体験事業等の周知啓発
に取り組んでまいりたいと思います。また、実の親御さんに対しましては、丁寧な説明を行うことにより、理解の促
進を図ってまいります。
さらに、児童養護施設に配置している里親支援専門相談員による相談や研修を充実することによりまして、里親の
支援体制を強化し、安心して里親になってもらえるよう取り組んでまいります。加えまして、里親と子供のマッチン
グにつきましては、中核的な里親支援機関であります児童家庭支援センター「チェリー」において地域の里親の情報
を集約し、児童相談所と共有しながら連携強化を図ることによりまして、里親等への委託の推進を図ってまいりたい
と考えております。
○議長(野川政文議員) 菅野教育長。
○教育長(菅野 滋君) 日本遺産の認定についての御質問にお答え申し上げます。
本年四月の日本遺産の認定におきましては、ストーリーの歴史・文化面での特徴やわかりやすさ、そして広がり、
核となる文化財の絞り込み、どのように滞在型観光へと結びつけていくのかなどの視点が重視されたと聞いておりま
す。本県が申請いたしました「最上川舟運が育んだ文化と景観」につきましては、構成要素が多く、核となる文化財
の絞り込みが不足した点が課題であったと受けとめております。
このような文化庁の考えや我々の反省を踏まえまして、改めて本県が有している資産につきまして、具体的には最
上川の舟運文化、紅花、本県の精神文化と山岳信仰、奥の細道など多方面から検討してまいりました。
日本遺産は、国際観光を念頭に置いているものでございますので、そういった点を踏まえ、ミシュラン・グリーン
ガイド・ジャポンでも評価されていること、四季を通して魅力ある文化伝統に触れることができること、核となる文
化財が明確であることなどを考えまして、出羽三山に関連したストーリーなどが有力と現在考えておりまして、文化
庁の意見なども聞きながら、関係者と調整を進めております。
紅花につきましては、日本に誇る山形を代表する素材であり、有力候補の一つでございます。ただ、中核となる文
化財をどのようにしていくのか、四季を通じて紅花にかかわるものをどのように来訪者に見ていただくのかなどの課
題がございまして、さらに熟度を高めていく必要があると考えております。
日本遺産は、その資産を活用していかに地域活性化に結びつけるかが重要な点でございますので、庁内の関係課か
ら成ります日本遺産魅力発信推進事業庁内関係課推進会議を設置いたしまして、認定候補やその後の地域活性化の取
り組みについて検討を行っているところであります。今後も、さらに部局横断的な連携を強化しながら、市町村、民
間の方々とともに、日本遺産の認定に向けた取り組みを進めてまいります。
日本遺産につきましては、単独の市町村でも申請が多く見られるところであります。本県には有望な資産が多数あ
りますので、「未来に伝える山形の宝」登録制度の活用も含めまして、県教育委員会として市町村等の取り組みに対
しまして助言・支援を行ってまいりたいと考えております。
○議長(野川政文議員) 以上をもって通告者の発言は全部終わりました。
質疑及び質問を終結いたします。
○議長(野川政文議員) 以上をもって本日の日程は終わりました。
明十九日から二十九日までの十一日間は休日、議案調査及び委員会審査のため休会とし、三十日定刻本会議を開き、
予算特別委員長より審査の経過について報告を求めます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後 二時 一分 散 会
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