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キーボードについて

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キーボードについて
QWERTY 配列
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
QWERTY 配列(クワーティはいれつ)は、ラテン文字が刻印されたタイプライターやコンピュータなどのキーボードの
多くが採用しているキー配列(デファクトスタンダード)。クウェルティ配列とも。QWERTY の名称は、英字の最上段の
キー配列、左から 6 文字が QWERTY の並びであることから。
1872 年にクリストファー・レイサム・ショールズによって配列の原型が提案され、1882 年に下記の QWERTY 配列が
登場した[1]。
QWERTY 配列成立前の状況
クリストファー・レイサム・ショールズが 1867 年に試作したタイプライターは、キー配列が ABC順だった(アメリカ特許
第 79868 号)。さらにショールズは、タイプライターのキー配列を改良し、アルファベットの前半を左から右へ、後半を
右から左へ配置した[2]。
入力されたアルファベットを印字する機械としては、デイビッド・エドワード・ヒューズとジョージ・メイ・フェルプスによ
って制作された印刷電信機が、当時すでに実用化されていた。ヒューズとフェルプスの印刷電信機では、ピアノに似
たキーボード上に、アルファベットの前半が左から右へ、後半が右から左へ配置されていた(下図、アメリカ特許第
26003 号)。ショールズは、このキー配列を、タイプライターに流用した[2]。
QWERTY 配列が完成するまでの過程
ショールズ・アンド・グリデン・タイプ・ライター
上記の印刷電信機のキー配列から、母音 A・E・I・Y・U・O が上段に取り出され、さらに下段から T・Q・W・P・R が上段
に移されるなどした結果、最初の商用タイプライター『ショールズ・アンド・グリデン・タイプ・ライター』のキー配列(ア
メリカ特許第 207559 号)となった[2]。1882 年には、M と C と X のキー位置が変更された『レミントン・スタンダード・タイ
プ・ライターNo.2』が発売され、現在の QWERTY 配列が完成した[1]。
QWERTY が普及した理由
タイプライタ用けん盤配列において、1880 年代「Qwerty 配列」を採用していた Remington にとってのライバルは、お
もに「Caligraph」であった。打鍵速度コンテストではそれぞれの入力方式を操るユーザが少なくとも一度勝っており
[1]、また科学的根拠と称する宣伝合戦も両方式ともに行われていた[1]。ところが後に Remington と Caligraph の争い
は、Union Typewriter による寡占行為「Typewriter Trust」によって、その競争自体が消失することとなった。Union
Typewriter 傘下に入った Remington と Caligraph を含む会社では、Typewriter Trust の一環として「キー配列を Qwerty
配列へと統一する」こととなった[1]。大手タイプライタメーカーが「Typewriter Trust」により共通して Qwerty 配列を採用
したため、市場のタイプライタは多くが Qwerty 配列となった[1]。
QWERTY と「全指タイピング」「全指タッチタイプ」の関係
Qwerty けん盤は、全指タイピング(10 本の手指を用いてタッチタイプする技法)と、全指タッチタイプ(けん盤を見るこ
となく文字入力を行う技法)が成立する前に設計された[1][2]。そのため、基本的には全指タイピングや全指タッチタイ
プで操作されることを前提とした設計であるかどうかが不明である。
Elizabeth Margaret Vater Longley は、いずれも 1882 年に「Type-Writer(Qwerty)」向けの運指法と「Caligraph」向けの全
指タイピング法を発表した[3][4][3][4]。
Frank Edward McGurrin は、1889 年に全指タッチタイプ法を発表した[5][6][7]。
タイプライタ用けん盤から印刷電信機(テレタイプ)用けん盤へ
かつての印刷電信機は、デイビッド・エドワード・ヒューズによるピアノけん盤様のもの・Jean Maurice Emile Baudot
による 5 キー同時打鍵方式によるものであった[5]。Donald Murray は、1901 年に発表したテレタイプに対し、Qwerty
配列を基本としたけん盤配列を搭載した[1][5]。Donald Murray のテレタイプ用けん盤配列は、数字入力に専用のキー
を持たず、シフトキーと英字キーを組み合わせて数字を表現する仕掛けを採用した。Qwerty けん盤配列の「文字」
並び順と「数字」並び順がここで紐付けされたため、それ以外のけん盤配列をテレタイプへと採用することが、事実
上不可能という状況となった[1]。
印刷電信機用けん盤から電子計算機用けん盤へ
1949 年に発表された EDSAC をはじめとして、初期のプログラム内蔵型電子計算機では、操作や対話を行うための
インターフェースとしてテレタイプを用いていた。このテレタイプでは Qwerty けん盤配列を用いていた。[1]
QWERTY 配列以降の新たな入力法
August Dvorak は、1933 年に Dvorak Simplified Keyboard を発表した。このけん盤配列は Qwerty とは異なり、はじめ
から全指タイピング法を目指して設計されていた[1]。
キーボード (コンピュータ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
IBM の Model M
キーボードは、コンピュータへの入力装置の一つ。コンピュータの操作全般に用いられる。GUI を使用する場
合は全ての操作がキーボードで行えない場合が有るため、その際は文字の入力、項目やカーソルの移動、特定
の操作の実行など、ユーザからの直接的な入力を担う。ポインティングデバイスが存在する場合は、特に文字
入力に使われることが多い。
キーボード(Keyboard)は、コンピュータ用語では「KB」と略される場合も見られるが、同じくコンピュータ用
語である「キロバイト(記憶容量単位)」や「ナレッジベース」と混同を避ける上で注意が必要である。
概要
一般的なキーボードの形状は、長方形の板状の筐体におよそ百前後のキー(鍵)が設置され、キートップには
文字、記号、機能等が印字されている。キートップを押したり離したりする事によってスキャンコードがコン
ピュータへと送信され、これによりコンピュータの操作を行う。材質、配列、形状、インターフェイス、また
用途や品質により様々な種類が存在する。
元来は、電動タイプライターの操作部をそのまま借りてきたものであり、最初期のコンピュータで用いられた
パンチカードやロジック配線パネルに代わるものである。その後、端末動作用のコントロールキー、ファンク
ションキー、オルタネート (ALT) キーなどが加えられて、現在の形になっている。これらは内部に電気的スイ
ッチをもち、場合によってはそれをキーボードの内部的に処理して、各々のキーに設けられた単純なスイッチ
の開閉という信号から、より少ないケーブルで入力情報を伝えるための電気信号に変換する集積回路を持って
いる。
[編集] キーボードの種類
[編集] 配列による分類
コンピュータ用キーボードは様々な種類があり、キー配列一つ取っても多くの種類に分類する事ができる。日
本では日本語入力のために全角/半角キー、変換キー、無変換キー、カタカナ/ひらがなキーなどの漢字変換用
キーが追加された旧 JIS キーボードが主に使われているが、親指シフトキーボードをはじめとする、特に日本
語入力のための配列を工夫したキーボードもある。
なお、使用字種の少ない米国の英語入力のためには、欧州より文字キーの少ない米国配列のキーボードが使わ
れている。米国配列のキーボードでは、アットマーク、コロン、引用符等、記号の配列が JIS キーボードとは
一部異なる。ちなみに米国配列の英語キーボードでも日本語の入力は十分可能である。文字キーの個数が JIS
キーボードより少ないため、仮名の配列も一部異なる。一部では、日本語ユーザでもあえて米国配列のキーボ
ードを使用する者も存在する。最初に触れた米国配列のキーボードでタッチタイピングを覚えたり、キーの少
ないシンプルさが好まれたりする事等がその理由である。
[編集] テンキーの有無
テンキーレスのキーボードのひとつ Realforce91UBK
JIS キーボードでも、テンキーが右側に別にある物をスタンダードキーボード、テンキーがアルファベットの
文字列中にある物(テンキー部のない物)をデータエントリーキーボードと呼ぶ事もある。また、前者をフル
キーボード、後者をテンキーレスキーボード、等と呼ぶ事もある。
前者は、主にデスクトップ型パソコンやコンピュータ端末などで使用され、後者はノートパソコンや省スペー
スを目的とする一部のデスクトップパソコン、データ入力を専門とするパソコン、コンピュータ端末などで使
用される事が多いが、テンキー部の有無で用途が区別される事はあまり無い。
テンキー部の省略されたテンキーレスキーボードは、通常のフルキーボードに比べ種類が少ないが、その中で
もフルキーボードから純粋にテンキー部を取り除いた物[1]と、少しでも全体をコンパクトにまとめるために独
自の配列を採用した物[2]の二種類に大別される。どちらにせよ、テンキーの存在はポインティングデバイスの
設置位置を遠くするため、テンキーの無いキーボードは一部のユーザに重用されているが、個人用途では 2007
年 1 月現在でも未だニッチの域を出ていない。PC サーバを 19 インチラックに搭載する場合、設置スペースの
関係からテンキーレスキーボードを用意することが多い。数値入力を頻繁にする場合は、USB 接続の外付けテ
ンキーを接続すると、効率が向上する。
[編集] 様々なキーボード
エルゴノミクスキーボード
また、Kinesis の Contoured Keyboard に代表される、人間工学に基づいてタイプする人の負担を減らすことを
重点に置いた、いわゆるエルゴノミクスキーボードや、Frog Pad や Cut Key のように片手での入力を行なうこ
とを前提としたキーボードもある。
ゲーム用のコントローラ(ゲームパッド)の中には、ゲーム用デバイスであるにもかかわらずゲームコントロ
ーラの信号ではなく、キーボードと同じキーコード信号を出し、OS 側からは一般のキーボードとして認識され
る物もある。これらは特別なドライバをインストールする必要が無く、またゲーム用の接続ポートが占有され
ないなどの利点があるが、USB の普及やゲーム用デバイスが OS 標準でサポートされるなどを理由に、近年では
あまり見られなくなっている。中にはマイクロソフトの「Strategic Commander」のような特殊な形状をしたも
のもあった。
最近ではマウスにハードウェアマクロを搭載するため、マウスを USB 接続にし、内部的にキーボード信号を出
して「マウス+キーボード」の複合デバイスとして認識させる場合もある。この場合いったんマウスに設定を登
録しておけば、他の PC でドライバレスで同じ動作を可能に出来る。
また身体障害者向けに一部キー機能を抜き出した入力装置も見られる。特に、ソフトウェアキーボード(スク
リーンキーボード)は、キーボードの機能をソフトウェアで実現したもので、画面上にキーボードの形を表示
し、ポインティングデバイス操作によるカーソルや、タッチスクリーンとペンなどで各キーを指定して文字入
力を行なう。音声出力や検索機能を搭載できるカスタマイズ性が、特徴のひとつで、初心者や障害者支援の一
環にもなっている。
この他、ブックを搭載し、ページをめくる事でキーボードキーの意味がプログラムにより変わるインテリジェ
ントキーボード(鉄道駅などのみどりの窓口の発券端末など)、特殊なペンによりキー入力を行うペンタッチ
キーボード(PDA などで使用)などがある。
[編集] キーボードの機能
今日、一般に普及しているキーボードは、昔のタイプライターの時代から継承してきたものや、コンピュータ
の時代になってから新たに追加されたものなど、数多くの機能を備えるようになっている。
[編集] オートリピート
開始や間隔の設定
キーを押しっぱなしにした場合、そのキーに対応するコードが連続して入力(送信)される機能である。最初
に押した時点から n 秒後、m 秒間隔で繰り返しするというような設定を行なえるキーボードもある。ソフトウ
ェア的にシミュレートしたり、ソフトウェア側から(キーボード単独でなく)設定できるものもある。ほとん
どの OS では、これらの間隔を自由に設定出来る。例えば、Windows においては、コントロールパネルでキー入
力しきい値と入力間隔を設定できる。
[編集] シフトロック
ロックされている間は、キーボード上の全てのキーがシフトキーを押したままの状態になる特殊なキーである
[3]
。この機能の起源は機械式のタイプライタに見る事が出来、シフトロックキーが有効になっている間は文字
通り物理的にシフトキーがロックされた状態となるものであった。
通常コンピュータ用の QWERTY 配列キーボー
ドでは用意されている事は少ないが、フランス語圏で多用される AZERTY 配列等やコモドール 64 などを含む比
較的古いもの等にはシフトロックキーが搭載されている。
QWERTY 配列のキーボードにはシフトロックキーの代わりにキャップスロックキーが用意されている。キャップ
スロックでは一部の文字の入力はシフトキーと文字キーを同時に押す必要があるが、何らかの理由で同時に押
すことが出来ない状況に対応するため、
例えば MacOS/OSX や Windows 等を含む一部の OS やウィンドウマネージ
ャの一部にはキャプスロックキーにシフトロックキーを割り当てる事が出来る機能がある。
[編集] Caps Lock
Caps Lock(キャップスロック)キー、キャピタルロックキーは、キーが有効になっている間、コンピュータに
入力される文字を小文字から大文字に変える為のキーである[3]。記号等の非英字のキーは上段シフトとして扱
われない点がシフトロックとは異なる。
Caps とは Capital letters の略、
すなわち英字の大文字の意味である。
[編集] Num Lock
PC のキーボードでは、NUM Lock(ナムロック)というキーがある。この場合の Num は Numeric(ニューメリッ
ク、「数字の」)の略であり、これをオンにした場合には…
 テンキー付きキーボードでは右側のテンキーによる数字入力が可能になる(オフ状態ではカーソル上
下動などの働きをする)
。
 ノートパソコンなどのテンキーなしキーボードでは、右半分の一部のキーが数字入力モードに変わる
(オフ状態では通常どおり文字が入力できる)
。
[編集] Scr Lock
Scr Lock(スクロールロック)キーは、いまだに PC のキーボードに存在するが、本来は IBM 製メインフレーム
(汎用機)用の専用端末である「3270」などのキーボードに存在し、コンソールとして使用している場合の画
面スクロールの制御(オン状態で自動スクロールが停止し、矢印キーで一画面ごとにロールアップ・ロールダ
ウンできる)を行うものである。なお「Pageup」「Pagedown」キーには、「PF8」「PF9」(現在の「F8」、「F9」)
キーが相当するので、別物である。IBM PC/AT の後期キーボード(IBM 101 拡張キーボード)より採用され、各
社の「3270 端末エミュレータ」などで使用された。OADG 日本語キーボードでも規定されている。
現在の Windows 環境ではこのキーを利用するソフトは少ない。利用例としては PC 起動時の BIOS 画面で情報を
詳しく見たい時に ScrLock キーを押すと画面が停止する、オン状態で「Pageup」「Pagedown」を押すと IE など
のブラウザではほぼ一画面ごとの移動ができる、Excel ではカーソル位置を固定してシートの方がスクロール
する、がある。
[編集] SysRq
SysRq(システムリクエスト)キーは、いまだに PC のキーボードに存在するが、本来は IBM 製メインフレーム
(汎用機)用の専用端末である「3270」などのキーボードに存在し、アプリケーション画面を使用中に、シス
テム系コマンド入力モードに切り替えるためのものである(MVS 系の TSO 使用時には VTAM コマンドが送信可能
になり、VM 系の CMS 使用時には CP コマンドが使用可能となった)。IBM PC/AT の後期キーボード(IBM 101 拡
張キーボード)より採用され、各社の「3270 端末エミュレータ」などで使用された。OADG 日本語キーボードで
も規定されている。
現在の Windows 環境では機能するソフトはほぼ皆無である(一部のディスプレイ切替装置用ソフトウェアで使
用されている)。
[編集] PrtSc
Prt Sc(プリントスクリーン)キーは、いまだに PC のキーボードに存在するが、本来は IBM 製メインフレーム
(汎用機)用の専用端末である「3270」などのキーボードに存在し、現在端末に表示されている情報を印刷す
るようにホストに対して要求する信号を送信するためのキーである。IBM PC/AT の後期キーボード(IBM 101
拡張キーボード)より採用され、各社の「3270 端末エミュレータ」などで使用された。OADG 日本語キーボード
でも規定されている。
現在の Windows 環境では、現在画面に表示されている情報をビットマップイメージとしてクリップボードに格
納する機能が割り振られている。なお ALT+PrtSc ではアクティブなウィンドウの画像のみが格納される。
[編集] ベル音/ビープ音
機械式キーボードにおいては、右端まで来ると、その旨を通知するためのベルが鳴る。コンピュータ用のキー
ボードは、一部の機種(Sun のキーボードなど)において、キーボード内にベル音をならすためのスピーカー
がついている場合がある。この場合、本体側から Bel キャラクタ(ASCII で 07H)を送信することで音が鳴る。
但し、本物のベルではないのでビープ音という場合がほとんどである。
[編集] クリック音
機械式キーボードにおいては、キーを打鍵するたびに機械的な動作に応じて音と手応えがするが、電気式のコ
ンピュータ用のキーボードではほとんど音がしない。そのため、キーの打鍵がされたかどうかを確認するため
に、打鍵するたびごとに音を発生させる仕組みが用意されている場合がある。これをクリック音という。音の
発生機能そのものは前述のベル音と同じである。
しかし一部の業務用やマニア向け仕様のキーボードの中には、スイッチ部分に物理的にクリック感を生み出す
物も見られ、好みで選択されている。中にはこれに特化して、激しい動作音のするものも見られる(後述)。
[編集] ロールオーバー
電気式のキーボードは、機械式キーボードとは違い、同時に複数のキーを押すことが物理的に可能であるが、
内部の電気回路的な制約により、押下したキー全ては入力できないことがある。この際、何文字まで同時にキ
ー入力を受け付けるかを表わすのがロールオーバーである。たとえば 3 キーロールオーバーとは 3 キーまで同
時に押しても入力可能ということを指し、N キーロールオーバーとはどのキーを同時に押しても全て入力され
ることを指す。現在のキーボードはコントローラーによっていくつかの種類があり、安価なキーボードの場合
には 2 - 3 キーロールオーバー、高価なキーボードの場合には疑似 N キーロールオーバーや完全 N キーロール
オーバーとなっている。USB キーボードは USB HID 規格で定義されている boot protocol がほとんどの場合使
われるが、その場合そのフォーマットの構造からくる制約により、完全 N キーロールオーバーの機種でも、同
時押しを認識されるのは最大 6 キーまでとなる(キー自体は入力されるが、6 キーより先は最初に押したキー
から順に指を離した扱いとなる)。
この機能は主に複数同時押しを行うゲーマー向けキーボードで宣伝される事が多い。たとえばダイヤテックか
ら発売されているマジェスタッチ、マジェスタッチリニアには、特別バージョンとして N キーロールオーバー
モデルが通常モデルとは別に存在する。大抵この機能を搭載したキーボードは 1 万円以上するのだが、シグマ
A・P・O が N キーロールオーバーではないものの、限定エリア内での複数キー同時押しを保証したキーボード
を発売し、FPS ゲーマー向けのエントリーモデルとなっている。
[編集] 主な N キーロールオーバー対応キーボード
 SteelSeries「SteelSeries 7G」
 東プレ「Realforce」シリーズ
 ダイヤテック「マジェスタッチ N-Key rollover」シリーズ
 PFU「Happy Hacking Keybord Professional」
 Logitech「G15 Gaming Keyboard(初代)
」, 「G11 Gaming Keyboard」
 Kinesis「Kinesis Contoured Keyboard」, 「Kinesis Maxim Ergonomic Keyboard」
[編集] 表示機能
光るキーボードの例
特殊なキーボードには特殊なステータス表示機能がついている場合がある。PC 用のキーボードでは、一般的に
は、キャップスロック状態、ニューメリックロック状態、スクロールロック状態を 3 つの LED によって表す表
示機能が付いている。LED の色はたいてい緑色か橙色であるが、青色が使われているものもある。PC で一般的
に使われる AT キーボード(PS/2 キーボード)ではこれらの表示機能はコンピュータ本体から制御可能である。
この制御がアプリケーションソフトウエアが実際に行えるかどうかはコンピュータで動作している OS に依存
する。GNU/Linux 等の一部の OS では、PC 用のキーボード上のこの 3 つの表示機能を使い、OS からのパニック
時のステータスを表示させることができるものもある。
ステータス表示用の他にも、全てのキーに LED を内蔵し、その光で暗い部屋でもキー表示が見えるようにした
物等もある[4]。売り出された当初は軍事用ではないか等の噂も立ったが、恐らくは派手な電飾を好む Modding
文化から由来した物であると考えられる[5]。但し、LED ではないものの、光るキーボード自体はバックライト
用にエレクトロルミネセンスを使用したセンチュリーの蛍等、それ以前から存在していた。出所の怪しさやチ
ェリー製のスイッチ等が注目を浴びた理由であろうと考えられる。
LED だけではなく、キーボードに液晶表示を搭載する例もあり、ロジクール(ロジテック、Logitech)のゲー
ム用キーボード G15 Gaming Keyboard には、角度調節が可能なバックライト付き LCD パネルが搭載され、様々
な情報が表示される。
また極めて特異な例ではあるが、ロシアのデザイン会社 Art. Lebedev Studio[6]から、全てのキートップに有
機 EL ディスプレイが内蔵された Optimus Maximus キーボード [7] が 2008 年に発売された。キーが 3 個だけ搭
載された簡易版となる Optimus mini three キーボード[8]とその改良版も発売されている。
[編集] キー配列
キー配列も参照。
 QWERTY 配列
 Dvorak 配列
 親指シフト配列(NICOLA 配列)
 DSK 配列
[編集] その他
特定の機種専用のキーボードには、特殊なキーが用意されている場合がある。下記はその例である。
 ACPI 対応キーボードや、ADB 対応の Macintosh[9]や NeXT ワークステーションにおいては、電源ボタン
が用意されており、これ一つ押すだけで終了操作(設定によってはスリープ)を行うことが出来る。
 一部のパソコンでは、電子メールクライアントや web ブラウザなどの特定のアプリケーションソフト
を起動させるキーを持っているものがある(このためには、キーの操作を感知してソフトを起動する
専用ドライバの常駐が必要となる場合もある)
。
 近年の Windows マシン向けのハードウェアには、Windows で機能する Windows キーとアプリケーショ
ンキーがついていることが多い。
 Macintosh に代表されるアップル製キーボードにはコマンドキーとオプションキー(Alt キーに相当)
がついており、他のキーと組み合わせることで OS に様々な指示を与えることができる(キーボードシ
ョートカット)
。
 アップル製の USB キーボードにはドライブの取り出しを行うイジェクトボタンがついている。
 かつてパソコンが一般家庭に普及しだした頃に、コンピュータ画面に「 Press Any key to continue... 」
などと表示されたのを見た新規ユーザが、そのような“Any”と刻印されたキーがキーボード上にある
ものと誤解した(→Any key)
。
 トラックポイントやトラックボール、タッチパッドなど、ポインティングデバイスを内蔵したキーボ
ードもある。
[編集] キーボードの機構
[編集] キースイッチユニット
様々なものがあるが、メカニカル・メンブレン・静電容量無接点が使用される事が多い。
メカニカルスイッチ
キーの数だけ独立したキースイッチユニットがあり、コストがかかるため衰退しつつあるが、メンブ
レンでは再現出来ないキータッチを好み、再評価の動きもある。メカニカルのキーボードはキー押下
時に音がするとの誤解もあるが、カチカチという音自体はスイッチ内に内蔵された音を出す為の機構
によるものであり、キースイッチ自体からは音はせず[10]、またそれらの部品が内蔵されていない音の
しないメカニカルスイッチも多い[11]。キー音の軽快さや入力の確実性、そして独特の打鍵感(キータ
ッチ)を好むユーザから見直され、最近復活の兆しがある。ドイツのチェリー製のスイッチ[12]や日本
のアルプス電気製のスイッチが有名である。スイッチがボタンの戻ろうとする力を吸収してくれるの
で、長時間のタイピングでも疲れにくい。ただし粗悪な物は、ある程度使うとチャタリングが発生す
る場合がある。
メンブレンスイッチ
メンブレン(Membrane)とは、日本語で膜、薄膜を意味する。2 枚の接点シートの間に穴のあいた絶縁
シートを挟み、キーを押すと接点が触れ合う仕組みとなっている。シートを押すための機構としては、
ラバードーム、パンタグラフ、バックリングスプリングなどさまざまな種類がある。材質的に耐久性
に限界があるものの、メンブレンとラバードームを使用したキーボードは安価に製造できるため、現
在最も普及しているが、安価なものほど指先に反発の力がダイレクトに戻ってくるので長期間のタイ
ピングには向かず、タッチの固いものは腱鞘炎になる危険性が指摘されている。しかし、必ずしも粗
悪なものばかりではなく、一部マニアの間ではミネベア製のキーボード製品[13]が丁寧に作り込まれて
いることで重宝されている[14]が、現在そのモデルは生産されていない。
(メンブレンキーボードの項目も参照。
)
静電容量無接点
静電容量の変化でキー入力を検知する。機械接点が無いため静穏で、耐久性やキータッチを高められ
るが、高価になりがちという面もある。事実、普及価格帯での価格はメンブレン方式では 1,000 円 -
4,000 円程度なのに対し、静電容量無接点方式では 10,000 円 - 25,000 円程度である。IBM PC、PC/XT、
PC/AT の初期の 83/84 キーボード、Sun Type4 に代表される KeyTronic 製キーボード等がある。東プレ
製の Realforce シリーズや、東プレ OEM の PFU Happy Hacking Keyboard Professional 等のキーボー
ドが有名。金融機関や証券業界などでも広く使われている。
レーザー投影式
厳密にはスイッチというよりもむしろセンサーである。机の上にレーザー投影機とセンサーが一体と
なった装置を置き、机の上にレーザーで直接キーを投影し、そこに指を置くことによりそれをセンサ
ーで感知して入力とするものである。装置は非常に小型で可搬性に優れ、ある程度のスペースと反射
率のある机があればどこでも使用できるが、物理的なキーが存在しないためブラインドタッチが難し
く、構造上縦に並んだーキーの同時押しが検知できないという欠点がある。
[編集] アクチュエータ
メカニカルスイッチはユニット自体にアクチュエータを内蔵している事がほとんどであるが、その他のスイッ
チの場合、スイッチを通電させたりキータッチを出したりするアクチュエータが存在する。
ラバードーム
主にメンブレンスイッチや静電容量無接点スイッチ等で使用される、半球(ドーム)状のゴム製の部
品で、一つ一つが独立しているものや、全て一つにつながっているものなどがある。
パンタグラフ
外観・形状が鉄道車両のパンタグラフに似ているため、パンタグラフと呼ばれている。ラバードーム
との組み合わせで使用される事もある。特徴としてはキートップ上面のどの部分を押しても同じ圧力
でキーを押せること等の利点がある。構造的に薄く出来るので、ほぼ全てのノートパソコンに採用さ
れている。指先に反発の力がダイレクトに戻って来る(それでも一般的には弱い)事や、構造上ステ
ップスカルプチャ形状をとるのが困難である事等から、長期間のタイピングには向ないとされている
が、一方で低いキートップや短いキーストローク、そして軽い打鍵感により指を滑らせるような軽快
な入力が可能として固定ファンも多い。
バックリングスプリング
バックリングスプリングのしくみ
座屈ばね機構とも呼ばれる[15]。バックリング(buckling)とは、
「
(圧力による)歪み」のような意味で、
その名の通りキーに内蔵したスプリングを歪ませることで明確なクリック感を出す機構である[16]。キ
ーを押すと「カシュンカシュン」
「パシュンパシュン」と、スプリングが折れ曲がってスライダの内部
にぶつかる音がする。
右の図は IBM による特許の図であるが、図によると、まず 1 のキートップを押し下げると 2 のスプリ
ングが徐々に湾曲して行き、完全に折れ曲がると 7 を支点にして 4 が可動、スイッチが通電する。こ
の瞬間、スプリングが折れ曲がり急激にキーの重さが低下する事によってクリック感が、スプリング
がスライダ内部 3 にぶつかる事でクリック音が発生する。キーを離すとスプリングの弾力によって元
に戻るというしくみである。12 と 13 が完全に接触すると、それ以上キーは沈まない。このため明確
な底付き感を発生させており、一般的なラバードーム等に見られるゴムを押すようなあやふやな底付
き感と一線を画している。
かつて IBM 社が生産していたキーボードが有名であり、その一連のシリーズは「Model M」と通称され
ている。
なお、あくまでアクチュエータがこのような構造になっているというだけであり、IBM 社のキーボー
ドの場合、スイッチの接点方式としては静電容量式とメンブレン式のものが存在した。すでに IBM の
特許期間は切れているが、一部を除いて、製造・販売される事は稀である。
[編集] スタビライザー
シフトキーやスペースバーのような長いキーのどの位置を押しても正しくまっすぐ押下できるようにするため
の仕組みである。これを省略している安いキーボードは、シフトキーの端の部分を押すと、引っかかってスム
ーズに押せないものがほとんどである。初期の IBM PC のキーボードは、そのためキーの中央のみにキートップ
を付け、端の部分を押せない物としていた。
[編集] キートップ
主にキーの機能などが印字されている。たいていの場合表面にホームポジション・マーカがある。平らな物、
球面状に窪んでいる物、円筒形に窪んでいる物などの種類がある。 平らなものはパンタグラフなど薄型キーボ
ードに多く、球面状に窪んでいる物は昔の物に多かったようである。
印字方法には様々な種類があり、二色成型・昇華印刷・シルク印刷・レーザー印字などがある[17]。 最も耐久
性(印字の消えにくさ)に優れるのは二色成型だが、文字の種類だけ金型が必要なため、近頃ではコスト的な
問題から採用されることはまずない。 また、昇華印刷も一部の高級機種に用いられているのみであり、大多数
のキーボードには専らシルク印刷(特にカラー印字がある場合)とレーザー印字が用いられている。
印字がされていない無刻印キーボードとよばれるものが存在する。キーボードの印字の重要性は、タッチタイ
ピングをしない人に比べてタッチタイピングをする人は低い。また、タッチタイピングをする人は使いやすい
ようにキー配列をカスタマイズする場合があり、こうしたユーザにとって印字がされていないキーボードは、
使い勝手が良いとの考えによるものである。[18]
[編集] ホームポジション・マーカ
ホームポジション(人差し指を置く位置)を触って分かるようにする、キートップ上に付いている小さな出っ
張りのことである。または、F と J のキートップを他のキートップよりも深くえぐってある場合もある。現在
の多くのキーボードでは、人差し指の F キー、J キーの所に付いている。俗に Old World と呼ばれる iMac より
前の、つまりベージュの Macintosh のキーボードは、テンキーと同じ中指の D と K であった。親指シフトキー
ボードには、人差し指だけではなく小指(A と;)の部分に付いているものもある。これらホームポジション・
マーカはキーボードを見ないでも、文字入力するためのものであるが、特に長い文章の作成やプログラミング
をキーボード入力で行う人達には、非常に重要な存在である。
[編集] ステップスカルプチャ
打鍵しやすくするため、あたかも階段のように上段のキーほど高くなっているステップ構造と、キーボード全
体に指が届きやすくするため、
上段・下段に対し中段が凹んでいるスカルプチャ構造との折衷構造の事である。
特にキートップの指との接触部分が円筒形の溝になっている物はシリンドリカルステップスカルプチャと呼ば
れる。スカルプチャには、実際のキーが曲面状に設置されているものや、キートップの形状で再現したものな
どがある。
なお、シリンドリカルと言う単語は、キートップの表面の形状が円筒の内側のようなえぐれをしているものを
差して使用されるのが本来であるが、最近ではスカルプチャと混乱している様である。
[編集] チルトスタンド
タイプしやすいようにキーボード全体を傾けるための機構である。平たく言えばキーボードの足である。人間
工学的には、奥を上げた方が良いという意見以外にも、手前を上げた方が良いなど異論もあり、実際に手前側
を高くするためのチルトスタンドを装備したキーボードも存在する。
[編集] 関連項目
 キー配列
 電磁波盗聴
[編集] 脚注
[ヘルプ]
1. ^ スタパ齋藤の『これだ!!これで行くゼ!! 〜 IBM SpaceSaver キーボード 〜』等。
2. ^ 極端なキーの詰め込み具合から「変態配列」等とも呼ばれ、一部のユーザには嫌悪されている。
3. ^ a b Weekly "Keyboard World" 『7. Capitals lock』
4. ^ TG3 Electronics BACKLIT 82 KEYS
5. ^ Deck Backlit Keyboards
6. ^ Art. Lebedev Studio を参照。
7. ^ Optimus keyboard
8. ^ Optimus mini three keyboard
9. ^ Macintosh 用キーボードは、ADB が廃止され USB となった後もしばらくは電源ボタンが搭載されてい
たが、OS のフリーズ時やハブを介しての接続では使用不能となった。
10. ^ 但し、キーを最深部まで押下した時の底付き音や、押したキーが元に戻った時の音などは発生する。
これらの音を軽減するためユニット内部にゴム製の部品を使用したスイッチもあり、Apple Extended
Keyboard II 等に使用されている。
11. ^ チェリーの茶軸等。
12. ^ チェリーキーボード MX キースイッチ
13. ^ 例えば、RT6652TWJP(CMI-6D4Y6)等。
14. ^ ミネベア・NMB 製 メンブレンキーボード友の会等を参照。
15. ^ 鍵人『Buckling Spring Mechanisms』
16. ^ IBM BucklingSpring Keyboard (IBM 5576-003, 5576-A01, 101model M, etc...)
17. ^ Nogujyu Keyboard Mania キートップの文字
18. ^ Tech 総研『和田英一@日本初ハッカーはちょっと変わった絵を描く』無刻印 HHK 発売の経緯
JIS配列 準拠 (ローマ字入力時)
┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐
│Q│W│E│R│T│Y│U│I│O│P│@│「│
└┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┐
│A│S│D│F│G│H│J│K│L│;│:│」│
└┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┘
│Z│X│C│V│B│N│M│、│。│?│・│
└─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘
OEA配列
(ローマ字入力時)
┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐
│X│ー│Q│;│F│J│M│R│W│P│Z│「│
└┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┐
│O│E│A│I│U│G│H│T│S│N│:│」│
└┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┘
│、│。│V│Y│K│D│C│L│B│?│@│
└─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘
※ ローマ字入力時に、「か」行は、「K」でなく「C」で入力する。
例: 「CA」「CE」「CO」「CYA」「CYU」
(IMEのローマ字カスタマイズ機能を利用する。)
DVORAK配列
(英文入力時)
┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐
│' │.│,│P│Y│F│G│C│R│L│
└┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┐
│A│O│E│U│I│D│H│T│N│S│
└┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┐
│;│Q│J│K│X│B│M│W│V│Z│
└─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘
※ 「ドヴォラク配列」または「ドボラク配列」ともいう。 考案者は Dvorak 氏。(ドボルザークとも読める。)
【評価】(私見)
JIS(QWERTY)配列
・遅い
・疲れる
評点 5 (英文・和文とも)
OEA 配列
・早い (かなり差がつく。特にローマ字で。)
・疲れにくい (かなり差がつく)
評点 9 (英文・和文とも)
DVORAK 配列
・早い
(かなり差がある。特に英文で。)
・疲れにくい (やや差がつく)
評点 8 (英文・和文とも)
注釈
上記で「英文・和文とも」というのは、
「英文」は単に英文を打つことであり、
「和文」は和文ローマ字入力
のこと。英文でも和文でも、どちらにしても、ほぼ同じような値となる。
もう少し詳細に言えば、微妙な差もある。
(1) 和文
和文の方では、どうか? OEA 配列 は DVORAK 配列よりも良い。早いし、疲れにくい。というのは、DVORAK
配列では、日本語ローマ字のことがまったく考慮されていないため、ローマ字入力にはあまり適さないからで
ある。たとえば、左手小指に A があるが、これだと、左手小指に多大な負担がかかり、左手小指ばかりが疲
れてしまう。 (このことは、標準配列の場合も同様である。ちなみに、私のキーボードは、A のキーだけが
[標準配列で]使用過多のために壊れてしまった。そのうち小指も壊れる?)
DVORAK 配列で和文(ローマ字を打つ)というのは、まず、やめた方がいいだろう。和文だったら、DVORAK
配列は QWERTY 配列と大差はないから、あえて珍しい DVORAK 配列を取るほどのことはない。
(親指シフトの方が
まだ意味がある。
)
なお、
「Dvorak 配列は、特殊な入力法をしない限り、日本語ローマ字入力には適さない」という報告もある。
引用すると、
「Dvorak 配列の日本語入力では左手 63%・右手 37%と不器用な左手に負担を強いていました」
とのことだ。
( → 該当サイト )
(2) 英文
英文の方では、どうか? 差は和文ローマ字のときほど大きくはないが、やはり、OEA 配列 に比べて、DVORAK
配列はいくらか劣る。その差はどこにあるかというと、DVORAK 配列では、単純に文字の頻度だけしか考えてい
ないのに対し、OEA 配列では(頻度のほか)文字の連接(つながり)をも考えているからである。
[1次的な頻
度だけでなく、2次的な頻度も考えてある。
] たとえば、OEA 配列では、 P・M・R の3キーが右手上段に
そろっている。だから「premier」のような語を打つときに、右手をほとんど動かさないで済む。DVORAK 配列
は、こうしたことを考えていないので、右手の指を上段や下段にしばしば移動させねばならず、指に不自然な
動き(ひねくらすような動き)が加わり、指が疲労する。こうしたことは、実際に打って試すと、すぐにわか
る。
このように、疲労の差を見ると、OEA 配列は DVORAK 配列よりも優れている。
ただし、単純に速度だけを見ると、
(英語の場合には)OEA 配列よりも DVORAK 配列が勝る。両者は、微妙な
差ではあるが、次のように評価できる。
・ OEA 配列
…… 疲れにくい (ただし少し遅い)
・ DVORAK 配列 …… 速い (ただし疲れやすい)
両者を比較するなら、
「ウサギとカメ」のたとえ話を思い出すといい。疲れやすいと、たっぷり時間をかけて
休む必要があり、そのせいで、休んでいる間に、追い抜かれてしまう。
《 付記 》
プログラムの場合はどうかというと、3者の差はあまり大きくなくなる。
そもそも、標準よりは DVORAK 、DVORAK よりは OEA が、言語的な頻度等を考慮してある。一方、プログラ
ムでは、 x ,k のような、言語的には低頻度の文字がしばしば現れる。ここでは、言語的な配慮が無意味にな
るので、3者の差はあまり大きくなくなる。せいぜい、
「if ... then 」とか 「 goto 」のような箇所で、差
が現れるくらいだろうか。
ただ、Visual Basic のように、普通の英文がやたらと出てくる言語では、3者の差は通常の英文の場合に近
くなりそうだ。
「 string 」なんていう文字を DVORAK 配列で打つのは、ほとんど苦痛に近い。
※ 上記以外にも、OASYS 配列、SKY 配列、NEC のM式配列、などがある。
ただし、これらは、日本語専用である。英文との兼用ではない。
日本語専用の配列の場合、英文用の配列を別に併用する必要がある。
これら日本語専用の配列は、OEA 配列と比べてみると:
「速度はいくらか速い。ただし、疲労度はあまり変わらない」
と評価できる。(ただし日本語の場合のみ。)
まとめ。
以上をまとめれば、次のように結論できるだろう。
・ 速度や疲労をまったく気にしないのなら、QWERTY。(単独)
・ 速度だけ気にするなら、「英文は DVORAK、和文は親指シフト」(併用)
・ 英文と和文を同じ配列にして、疲労を気にするなら、OEA。(単独)
・ 英語と独語・仏語を同じ配列にして、疲労を気にするなら、OEA。(単独)
・ 初心者の一本打ちならば、「英文は QWERTY、和文は新 50 音順配列」(併用)
・ 最悪の方針は、「英文は QWERTY、和文は JIS カナ」(併用)
和文配列について
(1) JISカナ配列
和文配列は、通常、JISカナ配列が用いられる。しかしこれは、キーボードに文字が刻印されているだけ
であり、実際にはあまり使われない。ときどきこのカナ配列を使う人もいる。「日本語を打つのだから、アル
ファベットより、カナを使うのが自然だ」と思い込むわけである。しかし、この考えは、正しくない。
・ ローマ字打鍵は、ローマ字を打つのではない。「か」は「か行」+「あ」というふうに打つのであって、ア
ルファベットは関係ない。
・ JISカナ配列は、4段のキーを使うので、ブラインドタッチができない。つまり、キーボードとしてまと
もに役立たない。
・ 配列がメチャクチャである。一応、頻度順のようになっているが、ブラインドタッチができないのだから、
目で見ながら打つしかない。なのに、見た感じでは、メチャクチャに思える。
・ 打鍵速度がきわめて低い。頻度順の配列にはなっているが、ブラインドタッチができないのだから、そんな
ことは無意味である。一方、目でキーを探しながら打つと、どこにどのキーがあるのか、なかなか見つからず、
打鍵速度はきわめて低くなる。初心者にとっては最悪の配列と言えよう。
このような意味で、JISカナ配列というのはまったくの無駄であり、むしろ、初心者を戸惑わせるだけ有
害である、とさえ言える。
(2) 50 音順配列
これは、ワープロ専用機などにときどき見られる。4段のキーを使って、カナを割り振る、というところは、
JISカナ配列と同様である。 ただし、その配列が、一応、50 音順になっている。(頻度順にはなっていな
い。) これは、よく打つキーがホームポジションにはない、という点で、JISカナ配列よりも劣っている
ように思える。 しかし、実際に打ってみると、JISカナ配列よりもずっと速く打てる。なぜなら、目で文
字を探すとき、ずっと速く探せるからである。ほぼ 50 音順になっているから、いちいち考えなくても、めざす
キーは簡単に見つかるわけだ。 だから、初心者の一本指打鍵には適している。上級者の高速打鍵には適して
いないが、上級者はそもそも、ブラインドタッチのできる方式(ローマ字入力または親指シフト)を使うから、
関係ない。 このような意味で、50 音順配列は、JISカナ配列よりもずっと好ましい。特に、初心者にとっ
ては、最適である。(世間の人々の大半は、一日にメールを1通書くか書かないか、という程度だから、ブラ
インドタッチは、必要性はあまり大きくない。)
(3) 新 50 音順配列
前述の 50 音順配列には、難点もある。配列が左利き用になっていて、右利き用になっていない、という点だ。
それはどういうことか? 普通の 50 音順配列を見ると、よく使う文字である「あかさた」行が、キーボード
の左半分にある。左手で「あかさた」行を打つような、左利きの人には、この配置が適している。しかし右利
きの人には、この配置は適していない。いちいち右手を、キーボードの左半分に運ぶことになるからだ。腕が
交差するような感じで、何とも具合が悪い。(ちなみに、右手で「CASE」と打ってみてほしい。非常に打
ちづらいだろう。のみならず、キーボードの右半分が腕で隠れてしまうから、いっそう具合が悪い。) そこ
で、普通の 50 音順配列とは逆に、「あかさた」行をキーボードの右半分に配置するとよい。そうすれば、「あ
かさた」行を右手で打てるので、右利きの人にとっては打ちやすくなる。 このような配列を、次の図に示す。
これを「新 50 音順配列」と呼ぶ。 新 50 音順配列は、かなり高速に打てる。普通の 50 音順配列との比較では、
あらゆる面で明らかに勝る。 JISカナ配列との比較では、初心者同士では明らかに勝り、熟練者同士でも
いくらか劣る程度で済む。(ただし、JISカナ配列の熟練者というのは、かなり風変わりな[酔狂な]人で
あり、あまり見受けられないが。)
新 50 音順配列
(和文入力時)
通常時
┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐
│な│に│ぬ│ね│の│あ│い│う│え│お│ゃ│ゅ│ょ│
└┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┘
│は│ひ│ふ│へ│ほ│か│き│く│け│こ│゛│゜│
└┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┐
│ま│み│む│め│も│さ│し│す│せ│そ│ん│わ│
└┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┘
│ら│り│る│れ│ろ│た│ち│つ│て│と│を│
└─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘
シフト時
┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐
│!│〃│ヵ│ヶ│っ│ぁ│ぃ│ぅ│ぇ│ぉ│や│ゆ│よ│
└┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┘
│Q│W│E│R│T│Y│U│I│O│P│『│「│
└┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┐
│A│S│D│F│G│H│J│K│L│」│ー│』│
└┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┘
│Z│X│C│V│B│N│M│、│。│?│・│
└─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘
★ 「や」「ゆ」「よ」よりも、拗音の「ゃ」「ゅ」「ょ」の方が頻度が高い
ので、後者の方を、平常時の[シフトではない]キー配置にする。
その結果、「きゅ」「しゃ」「ちょ」などが、シフトなしで打てるので、
JISカナ配列よりも、かなり打ちやすい。(特に1本指で)
http://hp.vector.co.jp/authors/VA011700/moji/keyboard.htm より転載
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