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こちら - 北海道
「まちかど対話」(札幌市豊平区)
懇 談 録
日
時:平成19年9月19日(水)10:15∼10:55
場
所:社会福祉法人愛全会
高齢者総合福祉施設アビターレ
(札幌市豊平区平岸2条2丁目)
テーマ:「個を尊重した高齢者のよりよい暮らしのために」
出席者:【北海道】
【相手方】
高橋知事、日野石狩支庁長、場谷保健福祉部福祉局長
社会福祉法人愛全会・医療法人愛全会
理事長
赤塚
知以
氏
医療法人愛全病院看護部長
岡田
博子
氏
高齢者総合福祉施設アビターレ施設長
神田
耕志
氏
同
ナーシングホーム看護科長
天野
友子
氏
同
グループホーム管理者
稲邊
みき
氏
同
デイサービス管理者
村瀬
智哉
氏
●場谷局長
皆様、おはようございます。
今日は大変お忙しい中、「個を尊重した高齢者のよりよい暮らしのために」をテーマといたしまし
て、知事との懇談にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。
私、司会を担当いたします北海道保健福祉部福祉局長の場谷でございます。よろしくお願いいたし
ます。
はじめに、知事からご挨拶申し上げます。
●高橋知事
それでは、一言だけご挨拶させていただきます。
今日は大変お忙しい中、赤塚理事長はじめ、アビターレの皆様方には、こうやって私のまちかど対
話、訪問をお受けいただいて、本当にありがとうございました。
今、足早ではございましたが、施設長の神田さんにご案内をいただきながら、5階のグループホー
ム、それから3階のナーシングホーム、今風に普通に言われる特養でございますが、きめ細やかな女
性の理事長さんらしい名前もつけておられる、そういった現場。それから、デイサービスの100人
を超える高齢者の方々、突然、挨拶という形で上がってしまいましたけれども、本当に足早ではござ
いましたが、施設内を拝見させていただき、そして、それぞれ細かいところまで、皆様方のお気持ち、
お気配りがされている施設の中で、お年寄りの方々が生き生きと生活をしていらっしゃる姿を拝見し、
とてもうれしく思ったところでございます。
北海道は、人口減少あるいは高齢化ということが、日本の平均を超える形で進んでいる現状にござ
います。そういった中で、この北海道、北の大地において、このふるさとで生まれ育った我々の人生
の先輩である高齢者の方々に、一日でも長く、健やかに、そして幸せに暮らしていただくためにどう
いう環境整備ができるのか、そういったことが、私ども行政が考えていかなければならない大きな課
題と思っているところでございます。
そういった中で、議会の合間を縫って、今日こうやってお邪魔させていただき、大変私自身も勉強
させていただきましたが、これから限られた時間ではございますが、それぞれの施設のグループのト
ップの皆様方と意見交換することによって、これからの行政にまた反映させていただけるかと、この
ように思います。
よろしくお願いいたします。
●場谷局長
それでは、早速ですけれども、私の方から参加者の皆様をご紹介させていただきます。
初めに、社会福祉法人愛全会であり、医療法人愛全会の赤塚理事長さんです。
(赤塚でございます。よろしくお願いいたします。)
医療法人愛全病院の岡田看護部長さんです。
(岡田でございます。よろしくお願いいたします。)
高齢者総合福祉施設アビターレの神田施設長さんです。
(神田でございます。よろしくお願いいたします。)
ナーシングホームの天野看護科長さんです。
(天野でございます。よろしくお願いいたします。)
デイサービス管理者の村瀬さんです。
(村瀬と申します。よろしくお願いします。)
グループホーム管理者の稲邊さんです。
(稲邊でございます。よろしくお願いいたします。)
道の方から、石狩支庁長です。
(日野でございます。よろしくお願いします。)
今日の懇談なんですけれども、大変時間が押していまして、10時55分までと予定してございま
すので、しかも、この中で全ての出席者の方にご発言をいただきたいと思いますので、大変恐縮です
けれども、お1人の方の発言時間は、概ね2分程度でよろしくお願いをいたします。
先に、赤塚理事長さんの方からお願いいたします。
●赤塚理事長
本日は大変お忙しい中を、まちかど対話ということで、当アビターレを訪問いただきまして、心か
ら感謝を申し上げます。ありがとうございます。
ご挨拶させていただきますけれども、愛全会は、昭和44年に、老人医療施設として愛全病院を開
設いたしました。愛全会では、高齢者医療福祉に取り組み始めた当時は、まだ高齢者医療や福祉が確
立されていない状況にありました。今日の社会を支えて築き上げるために大変なご苦労をなされた、
また、ご苦労をなされて、ご不幸にも入院治療を余儀なくされたご高齢者の皆様方に安心をして療養
いただきたいという願いから、前理事長とともにスタートいたした事業でございます。時代の要請に
合わせて、その後、各種の高齢者施設や在宅サービスを拡充してまいった次第でございます。
ご存じのとおり、公的介護保険制度が導入されましてから、自己責任を基本とした相互扶助で支え
る社会保険方式で対応するように制度転換が図られましたことから、ご利用される皆様のニーズも更
に高まりまして、私どもが社会から求められる役割・使命も、ますます大きくなっていくことを認識
いたしております。
また、国の施策によりまして、在宅介護が強く推進されておりますが、雪が多く、冬期間の長い北
海道の地域事情を鑑みますと、施設介護が果たす役割も大変大きく、札幌市では、約5,000人の
皆様方が介護老人福祉施設のご入居をお待ちになっていらっしゃるという現状でございます。
このような地域性並びに今後高齢者になられる方々をはじめとする、これからの個性に富む高齢の
皆様からのお声に柔軟に対応していけるハード・ソフトを備えた、これからの新しい介護施設のあり
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方を、数年来にわたり検討してまいりましたところ、ご縁がありまして、この地、平岸の木の花団地
の住宅地に建設用地を確保することができましたことから、施設整備計画が具体化されたわけでござ
います。
いつまでも美しく、健やかに、そしてご自分らしくをコンセプトにたくさの職員の英知、そして愛
全会の長年にわたるご高齢者介護のノウハウを結集いたしましたのが、都市型の高齢者総合福祉施設
アビターレの誕生でございます。
ぜひ本日は、私どもの施設を、先ほど知事様、皆様にご覧をいただきましたけれども、大型施設で
あっても、「個を尊重した高齢者のよりよい暮らしのために」をテーマとした、スタッフの現場の声
をたくさん聞いていただきまして、地域における高齢者施設の役割等について、ご理解をいただき、
今後の施策に役立てていただければと願うところでございます。
ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
●場谷局長
ありがとうございました。
続きまして、神田施設長さんの方からお願いします。
●神田施設長
本日は、どうもありがとうございます。
私の方から、アビターレの特徴につきまして、手短にちょっとお話をさせていただければと思いま
す。
私どもでは、ご覧いただいたとおり、24時間体制でケアサービスを提供する特別養護の新型特養、
3階、4階になりますが、あと5階の家庭的な雰囲気のグループホーム、それから1、2階になりま
すけれども、デイサービスという3つの事業から成っておりまして、デイサービスでは、要介護者の
方のみならず、要支援者の介護予防ということも実施しております。
特徴といたしましては、自ら望まれる生活リズムを作り出せるような居住環境を確保し、ライフス
タイルに配慮した、ゆとりと開放感をもたらす各種ラウンジや多目的な部屋等を配置し、施設全体を
家、プライベートスペースと、まち並み、パブリックスペースのようにイメージして構成しておりま
す。
また、ご利用される方々の精神的、身体的な特性の配慮や、お一人おひとりのニーズに細やかに対
応するケアでグループケアを提供しております。特にデイサービスでは、在宅でご生活されるご高齢
の方々に選んでいただける施設、感動を提供できるサービス提供のため、スタッフと常にディスカッ
ションしながら取り組んできた2年半でございました。
今までの従来のデイサービス事業所では、ご利用者様全員が、例えば一つの趣味活動に参加すると
いう該悉的なサービスではなく、常に幾つかのプログラム、リハビリテーション、各種のアクティビ
ティー、イベント、趣味活動、多種多彩なものを用意させていただき、その中からご利用者自らが選
択すると。また、それぞれのサービスが本物志向であること。目標に対して明確に達成感が感じられ
る。この3つを組み入れるように、今まで取り組んでまいりました。
このように、大規模な施設であるメリットを最大限に生かし、少人数グループによるプログラムを
複数同時に実施可能とするスタッフの配置、並びに各種のパブリックスペースを確保するとともに、
季節感あふれる様々なイベントを企画するなど、活気にあふれた皆さんのライフスタイルを支援して
おります。
以上のように、大規模、多機能施設におけるケアサービスのメリットは、小規模施設ではなし得る
ことが難しい多種多彩なプログラムの実施、小グループでのケアサービスの提供など、お一人お一人
のニーズや必要性に応じて、様々な方向性を検討、対応できることであると感じております。今、国
の方では、小規模の施設を特に重視しておりますが、札幌市という地域性、都市部における大規模多
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機能施設の役割等、果たす機能の必要性について、本当にここに来て、改めて実感している次第でご
ざいます。
更に多くの皆様からご支持いただける施設を目指しておりますので、また更に皆様のご支援のほど、
ぜひよろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
●場谷局長
ありがとうございました。
岡田看護部長さん、よろしくお願いします。
●岡田看護部長
私は、このアビターレの立ち上げに際して、貴重な体験をさせていただきました。そのことも踏ま
えて少しお話をさせていただきたいと思います。
アビターレの語源である、住む、生きる、生活するということを大切にして、よりご利用者様が過
ごしやすい空間を提供できるようにと努力してまいりました。
平成17年のオープンに際しましては、愛全会でも初めての取り組みため、スタッフはオール愛全
会から集められました。私にとっては何もかも初めてのことで、多くの方からアドバイスや指導を受
けながら取り組んでまいりました。ハードがすばらしいということで選んでいただけることは分かっ
ておりましたが、ケアが良いという理由で選択していただけるようにと、それをモットーにして取り
組んでまいりました。
初めに、尊厳、自立、感性を取り入れたケア方針の統一やユニットケア、その人らしい生活とは、
など、この大きな施設で私たちが行わなければなければならないことを話し合いました。スタッフ全
員で、ご利用者様に過ごしていただきたい生活を考え、その獲得のためにはどのようなケアが必要な
のか、また、安全に過ごしていただくためには、どのような対応が必要なのかなど、研修会に参加し
たり、スタッフで集合研修を実施し、安心してご利用いただけるよう自己研鑽を積んでまいりました。
高齢者複合施設としてオープンしましたが、複合施設での経験が浅い私たちは試行錯誤を繰り返しな
がら、毎日励みました。
ユニットケアは、全室個室のため、個々人のプライバシーの確保され、個々の考えていることやた
くさんの個人対応ができることを、私は実感しております。自分らしい生活をするためには、スタッ
フ個人の思いだけでは確保できません。スタッフ間の情報交換はもとより、ご家族からの生活背景の
情報がとても大切になります。住んできた環境、どのように過ごしてこられたのか。毎日の日課、性
格、家族背景、様々な情報をもとに住みやすい時間、空間が提供されなければなりません。
一番統一しておきたかったのは、私たちがご利用者様がどのようになってもらいたいかを意見交換
したり、認識を同じにして対応できるように話し合いました。各職種で自分たちの役割は、何をすれ
ば良いのかを明確にすること。そして、他の職種にもこのようなことをするということを理解しても
らうこと。1人の方に同じ目標に向かって進めるよう協同しあうことを大切にしています。専門性の
理解と協同、職種を超えた協力がご利用者様のその人らしい生活を支えるために重要な要素と思って
おります。
また、ご家族にも時間の許す範囲で行事などにも参加していただき、ご利用者様の表情や動作の変
化を見ていただいたり、スタッフとともに今後のケアについて検討していただいております。施設の
思いだけでなく、ご家族も一緒にケアに参加していただき、ご利用者様との時を大切にしていただき
たいと思っております。
オープンして3年目を迎えました。ご利用者様も3年の月日を重ねると、落ち着いていた疾病も憎
悪したり、体調を崩される方、病院を受診したり、入院の日々を送る方も多くなってまいりました。
また、ゆとりのケアも提唱され、今のマンパワーや医師の体制では厳しいものを感じておりますが、
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医師や看護師の24時間体制の確保、介護士のゆとりに対するケアを充実させることで、ご本人やご
家族様が期待される最期のときを過ごしてもらうことにつながると思います。この点の課題に取り組
み、この施設で最期を過ごすことができてよかったと思っていただける施設を目指していきたいと思
っております。
ご入居者やご家族様の主張やご要望も多種多様化してきております。よりよいご満足いただけるケ
アを実施していくためには、この人員では行うことは非常に厳しくなってきているところでございま
す。より質の高い、ご自分の考える生活の確保のために努力していくことが、今後の課題と思ってお
ります。
私は、ご利用者様が非常に好きです。ですから望みがかなうような生活をしていただきたい、それ
を目標に今後も日々研鑽してまいりたいと思います。
●場谷局長
どうもありがとうございました。
お三方の発言は終わりましたけれども、知事の方から何かございましたら。
●高橋知事
ほかの皆さん方のお話を。
●場谷局長
それでは、天野看護科長さん。
●天野看護科長
ナーシングホームでは、新型特養の完全個室となっております。1ユニット10名、8ユニットで
80名様、年齢も73歳から99歳の方にご入居いただいております。
2年半の経過とともに、ご入居者様も開設以来、認知面や日常生活動作面など少しずつ低下されて
いるご様子があり、いかに生活感を感じていただけるか、残された機能の維持をどのような関わりを
持たせていただけると良いのか、毎日スタッフは試行錯誤の中でケアをさせていただいております。
テレビを見ていただくにしても、ただスイッチを入れるのではなく、新聞のテレビ欄を一緒に見て、
日付や曜日、何を見たいのか、会話の中からいろいろなことを考えていただけるように、その過程を
大切にしております。
また、入院されたご家族様より、一度目の退院の時、ケアワーカーがトイレの介助をしたとき、
「おむつになって辛かったしょう、嫌だったでしょうといって、すぐに下着を替えてくれた。家族と
して本当にありがたかったです。愛全会の理念が根付いているからですね。」というお言葉をいただ
いたり、些細な言葉ではありますが、本当にうれしく、ご本人がご家族の思いに近づくケアになって
きているのかなと、本当にうれしく励みとなり、早速スタッフへ伝えたエピソードが何度かありまし
た。施設にご入居されますと、常にスタッフがそばにおりますので、ご自身で可能なことまで手を差
し伸べてしまいがちですが、高齢者は何をするにも時間がかかります。残された機能の維持のために
も、待って差し上げる心のゆとりを持てるスタッフの教育に毎日頑張っております。
●場谷局長
ありがとうございました。
続きまして、稲邊さん。
●稲邊管理者
先ほどご紹介いただきました稲邊でございます。よろしくお願いいたします。
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私は、理事長から、仙台研修、認知症の指導者養成講座に行くようにと言われまして、昨年、行か
せていただきました。そこで、今行っております取り組みは、札幌市認知症実践者研修、リーダー研
修の講義もさせていただいておりまして、担当しております科目は、援助関係に気づくというところ
で、日夜、入居者様を中心に、ご家族様と私たちがどのような関わりをしたらいいのかなというとこ
ろで、普段、日常的に関わっております各施設のスタッフとお勉強をさせていただいております。
当グループホームは、3ユニットになっておりますが、9名様3ユニット、日中は3対1の割合で
人員が配置されております。夜勤者は1人でやっておりますが、3人、夜いるということで非常に心
強く、何かありましたらお互いに連絡を取り合いながら、緊急対応などもさせていただいております。
私どもは、少人数の入居者様とスタッフによる、顔なじみの関係を構築した中で、その方らしさを
深く理解をするために、お一人お一人の心の声に耳を傾けながら、自分らしく穏やかに、明るく生き
た生活を送っていただきたいということを目標に、ともに生活を営んでおります。ともに生活を営む
ということは、朝起きて、夜おやすみになるまで、24時間、お洗濯、お食事の支度、お買い物、全
てにおいて一緒にすることによって、認知症の方が、家庭で続けられない生活を一緒に営む中で、で
きることを応援し、できないことのお手伝いをさせていただくことで、最期まで生活者として生きて
いただきたいという思いで関わりさせていただいております。
その中で、ご高齢の方は、本当にいろんなことを私たちに教えていただけます。お料理のことです
とか、子育てのことですとか、戦時中苦しかった生活のことなど、お話をお伺いすることが多く、茶
道の先生であった方からは、「盛り付けの仕方が何か違うわよ」ということでご指導を受けたり、あ
とはお料理のとても上手な方は、材料の切り方を一つずつ教えていただいたり、若いスタッフはもと
より、私も非常にお勉強させていただいております。
また、アビターレを開設して間もない時なんですが、認知症という方の生活の中で、お聞きになっ
たことがあるかと思いますが、「帰りたい、おうちに帰ります」ということが、日に何度もあるわけ
ですね。「はい分かりました。じゃ行きましょうか。おうちまで送っていきましょう」ということで、
一緒に歩いてお散歩して、近くにお住まいでしたので、畑作りを生きがいとされていたのか、その畑
をご覧になって、5月、6月になると、やらなきゃいけないという気持ちになられるんですね。それ
を見て安心されて、じゃ帰りましょうということで、アビターレの正面玄関に着きましたときには、
「ああ、ここかい、私のいるところは」。そこで初めて、自分がここにお住まいになっているという
ことを認知していただきました。それからは「帰りたい、あそこに行きたい」というお言葉は聞かな
くなりまして、非常に今は落ち着いて生活されております。
そんな中で、本当に私たちは、先ほど岡田部長もおっしゃっておりましたが、ターミナル、ご家族
様のたっての願いで、ここで生活させたいと。余命2ヵ月というふうに宣告されたご入居者様がいら
っしゃいまして、ドクターとも相談し、ご家族とも相談し、夜間の緊急対応もございますが、半年経
った今は、もうお元気で、自分の心地よい空間の中で穏やかに生活されております。それをご覧にな
ったご家族は、毎日お顔を見に来るんですが、5分、10分なんですが、安心してお帰りになります。
その中で、本当に私たちが今しなければならないこと、その人らしい生活を支援するために、複合
施設という利点を生かさせていただきまして、天野看護科長だったり、あとは医学療法士の先生たち
でしたり、施設長でしたり、いろいろな方からアドバイス、相談もさせていただきながら、皆様の生
活をお守りしているというところでございます。
以上でございます。
●場谷局長
村瀬さん、お願いします。
●村瀬管理者
今日はありがとうございます。私は、アビターレのデイサービスの管理者をしております村瀬と申
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します。
私たちアビターレデイサービスは、安全で安心な楽しめるデイサービスをモットーにしておりまし
て、高齢者様個人個人の満足度を高める介護を目指しております。その結果、開設当初、平成17年
4月では100名だった登録ご利用者様も、現在では540名様のご登録を頂戴いたしまして、日々
平均のご利用者様の人数も116名様、今日はちなみに140様ですけれども、多くの方々にご利用
をいただいております。
また、高齢者様方がお住まいの地域も、豊平区を中心に、中央区、南区、東区、西区、清田区、厚
別区からもご利用いただいています。
介護サービスの特長といたしましては、高齢者様お一人お一人の状態に応じましたお食事、排せつ、
入浴などの基本的な日常生活動作への援助はもとより、他の施設には類を見ないジャズダンス教室と
か、手作りキャンドル教室、ステンドグラス教室など、40種類を超える多種多様な充実した趣味活
動の提供をさせていただいております。
また、季節ごとに趣向を凝らしましたお食事も、高齢者様は長年の嗜好をお持ちになった方々が多
いので、高齢者様向けに個々のお好みや、もちろんお持ちのご病気に合わせた内容でお食事を提供さ
せていただいております。介護させていただく私たちは、高齢者様が自らサービスを選べる環境を整
えて、それを支援していくこと、並びに高齢者様のお声を大事にして、語らいの時間を積極的に設け
ることなどを特に重視して業務にあたっております。
しかし、大規模な事業者になれば、比例する形で高齢者様の個別な対応がおろそかになってしまい
がちです。効率優先になってしまうおそれがあります。私たちは開設以来、これらのおそれを、様々
な業務改善の提案をはじめ、傾向を分析した上で、自己の防止策の実施や、高齢者様、ご家族様から
頂戴しましたご意見を基に、どうすれば、より個別への対応が実現できるのか考えてきました。住み
なれたご自宅での生活を継続していく視点にたち、食事、排せつ、入浴、移動にかかわる動作の面で、
お一人お一人ごとに、いつ、どの動作にどの程度の支援が必要なのかをアセスメントして、通所介護
計画に盛り込んだ上、日常生活上の支援を日々実施して、記録しております。例えば排せつの動作で
ありますれば、排せつの援助が必要な方は、いつ何時ごろトイレにご案内して、排せつを動作のどの
部分に手を貸す必要があるのか、そういったものを介護計画の中に盛り込んでおります情報を基に、
直接介護をさせていただくという具合でございます。もちろん、身体介護の必要のない、直接必要の
ない介護予防の方に対しましても、デイサービスをご利用される目的に応じて、計画にそった支援を
行っております。認知症の方に対しましても、小集団での趣味活動や顔なじみの方々とのお食事や入
浴などを通じて、不安なく次の行動につなげられるよう、ご案内役の職員がご案内をしております。
ご家族様や、ケアマネジャーさんとの連携におきましても、認知症のご利用者様を介護されている
ご家族の方を中心に連絡ノートをお作りして、ご自身では伝えられないデイサービスでの様子を職員
がノートに記載しお伝えしております。健康上や、いつもと変わった様子などにも気を払い、些細な
ことでもご家族の方へ随時報告して、安心してできるように心がけております。
その結果、ご利用者様がご友人を紹介してくださったり、または、リュウマチのあるご利用者様が、
ここに来るとリュウマチの辛い痛みが世間話をして紛れたり、ストレッチ体操などをしていると忘れ
てしまうと楽しそうに話をしてくださったり、何十年もご自宅の中に閉じこもっていたある女性の方
が、ようやく通所介護を利用する気になってくださって、週に1回、外出が徐々に楽しみになってき
たとお話してくれたこと、また、あるご利用者様は誕生日に、他のご利用者様の前でスピーチをして
いただいたんですけれども、亡くなったご主人に向けて「お父さん、私より先に亡くなってしまった
けれども、こうして私はアビターレに来て、本当に幸せですよ」というふうにお話をしてくださった
り、そんなご利用者様の言葉が私たちの意欲や、やりがいを支えてくれています。
認知症を介護されるご家族の方からも同じように「アビターレに行くようになってから、うちのお
ばあちゃん、脳活性化教室というのを初めてやったんだけれども、家に帰ってきてからも自宅でプリ
ント広げてやっているんですよ。今までそんなことしなかったのに。」というかたちで驚きの声をい
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ただきまして、そういったご家族様からの言葉が新しい活動の日々や、介護への展開につながってい
ます。大規模な事業所ならではよさを活かして、効率性よりも、むしろ個別ケアにどう対応できるの
か。住みなれた自宅での生活が続けていけて、週に何度かの社交場での語らいや活動や、なじみの友
人とともに過ごす時間が生きる目標や楽しみになるように、そして何より、職員も明るく活力ある毎
日を送れるように、これからもこの「木の花の地」から、アビターレが高齢者福祉を発信していけた
らなというふうに思っております。
どうも本日はありがとうございました。
●場谷局長
ありがとうございました。
一通り終わりました。
●高橋知事
今、赤塚理事長さんのお話、それから神田施設長さん、岡田看護部長さん、立ち上げからのご苦労
のお話があった後、天野さん、稲邊さん、村瀬さん、それぞれこの施設の中で責任を持っておられる
お立場からのお話、それぞれ興味深く、私もお伺いさせていただいたところでございます。
札幌のような180万を超える多くの人たちが住んでいる地域における老人介護のあり方、先ほど
どなたかおっしゃられたとおり、小規模で対応していくというのも重要だと思うんですが、やはりこ
れだけ人口集積がある中での高齢化が一様に進んでおりますので、そういった中での対応のあり方と
して、私自身も思うところがいろいろあったところでございます。
それから、在宅と施設、どちらを優先するかというのは、具体的に私どもも常に考えているところ
でございまして、北海道のような積雪寒冷地、特に冬場どうするのかと。もちろん在宅の方が家族と
一緒にいられると思うものの、ただ、通うということが大変な状況の中で、やはり施設介護というも
のも必要であろうと。これは、いわば北海道の地域特性もあるでしょうし、私自身が常にこの分野の
福祉政策について考えているときに、自分なりに思っておりましたこと、今、皆様方のお話の中でも
触れていただいたこと、私も大変勉強になります。
それから、私もちょっと目がうるうるしてしまったんですが、天野さんから先ほど、利用者の方か
らの言葉が、本当に一言だったんだけれども、感動したお話がございました。そして、その同じよう
なことが、村瀬さんなり、稲邊さんからもあったかとお伺いしております。やっぱり私たち自身も、
これからどんどんと年を取っていくわけでありますし、相互に相手のことを尊重しながらお仕事をし
ていただくことが、やはり老人の方々を利用者として仕事をしておられる皆様方の原点なんじゃない
かなと、そんなふうに感じたところでございます。
まだまだ、いろいろと思いはあるわけでありますけれども、これからの私たちの仕事の展開につい
て、今日、皆様方からお伺いしたお話も参考にさせていただきながら、道政、また国の行政もやって
いきたいというふうに思ったところでございます。
何よりも、ご利用しておられたお年寄りの方々がそれぞれグループホーム、また、特養老人ホーム
の方、それからデイサービスの方、それぞれ本当に短時間ですけれども、ちょっとだけ伺わせていた
だいて、結構テレビを見ていらっしゃるんですね。頑張ってとおっしゃっていいただいたことがとて
もうれしく思うところでございます。
これからも、24時間体制の大変なお仕事だと思いますけれども、私たちのふるさと北海道の今ま
での開拓、そして成長させていただいた高齢者の方々のこれからの生活を支えるという、何よりも増
して重要なお仕事をやっていらっしゃると思います。これからもお仕事、頑張っていただければと思
います。
本日は、本当にありがとうございました。
- 7 -
●場谷局長
ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、懇談を終了させていただきます。
なお、この後、出席者全員で記念撮影を行いますので、皆さん、知事のそばにお集まり願います。
(記念撮影)
写真後列
左から
村瀬管理者、稲邊管理者、富山顧問、天野看護科長、場谷福祉局長、
赤塚睦理事、世古常務理事、佐藤常務理事
写真前列
左から
日野石狩支庁長、神田施設長、高橋知事、赤塚理事長、岡田看護部長
- 8 -
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