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64ページから103ページ
第3章
地域支援事業の取り組み
地域支援事業は、「介護予防事業」、「包括的支援事業」及び「任意事業」から構成さ
れる。
【地域支援事業の構成】
介 護予 防事 業
<二次予防事業>
(1)介護予防把握事業
①介護予防実態調査
②シニア健康相談
(2)通所型介護予防事業
①活きいきクラブ
(3)訪問型介護予防事業
(4)二次予防事業評価事業
包 括 的支 援 事 業
地 域 支 援 事 業
<一次予防事業>
(1)介護予防普及啓発事業
①おたっしゃクラブ(各健康教育含)
②お口の健康相談
③チャレンジスポーツジム事業
④介護予防講演会
⑤幸齢者スクール
⑥高齢者給食サービス栄養指導
⑦脳きらり講座
⑧認知症サポーター養成講座
⑨介護予防手帳の配布
(2)地域介護予防活動支援事業
①介護予防リーダーの養成・活動支援
②ほほえみサポーターの育成・活動支援
③介護予防実践指導員の養成
④キャラバンメイト育成・活動支援
(3)一次予防事業評価事業
任 意 事 業
包括的支援事業
(1)地域包括支援センター
①総合相談支援業務
②権利擁護業務
③包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
④介護予防ケアマネジメント業務
(2)在宅医療・介護連携の推進
(3)認知症施策の推進
(4)地域ケア会議の推進
(5)生活支援サービスの体制整備
(1)介護給付適正化事業
(第1章
(2)家族介護支援事業
(第5章
①家族介護者研修事業
②徘徊高齢者家族支援サービス事業
(3)その他の事業
①成年後見制度利用支援事業
②介護サービス相談員派遣事業
(第1章
③給食サービス事業
(第5章
④住宅改修指導員派遣事業
(第5章
-64-
第5節)
第4節)
第4節)
第2節)
第3節)
第1節 介護予防事業の推進
1 介護予防事業の推進
介護予防事業は、生活機能の維持・向上を積極的に図ることで、高齢者が要介護状態
となることを予防するとともに、たとえ要介護状態等になった場合でも、その軽減・悪
化の防止を目的として行うものである。ニーズ調査の結果、介護・介助になった主な原
因は高齢による衰弱が最も多く、次いで認知症が多くなっている。これらは、身体を動
かさないことだけでなく、人との交流が減少するなど、不活発な生活が原因で起こりや
すくなる。そのため、介護予防は単に高齢者の運動機能や栄養状態といった心身機能の
改善を目指すだけではなく、高齢者一人ひとりの状況等に応じた「心身機能」「活動」
「参加」のそれぞれの要素にバランスよく働きかける、切れ目のない事業を展開してい
くことが重要である。
また、今後の介護予防の取り組みが、介護給付費の抑制に大きく影響することから、
関係機関と連携しながら介護予防事業の充実を図っていく。
生活習慣予防
一次予防
二次予防
三次予防
健康づくり
疾病予防
疾病の早期発見
早期治療
疾病の治療、重度化予防、
合併症の発症予防等
健康な状態
疾病を有する状態
介護予防
活動的な状態
虚弱な状態
二次予防
一次予防
要介護状態
三次予防
生活機能低下の
要介護状態の改善
早期発見、早期対応
重度化の予防
要介護状態になることの予防
時間
※一般的なイメージであって、疾病の特性等に応じて上記に該当しない場合がある。
-65-
【地域支援事業における介護予防事業の構成】
二次予防事業
→介護予防把握事業
介護予防実態調査(民生委員からの情報)、シニア健康相談、訪問活動、要介
護認定担当部局からの情報提供から、支援を要する高齢者を把握する。
→通所型介護予防事業
支援を要する高齢者に対し、地域包括支援センターの介護予防ケアマネジメン
トを経て、日常生活の活動を高め、一人ひとりの生きがいや自己実現のための
取り組みを支援して生活の質の向上を目指す。
→訪問型介護予防事業
心身の状況等により通所型事業への参加が困難である高齢者を対象に、生活機
能の問題に応じた相談指導を実施する。
→二次予防事業評価事業
対象者の状況等に関する評価及び各事業別の評価を年度毎に実施し、その結果
に基づき事業の改善を図る。
*平成 27 年度、28 年度については、従来の介護予防事業の二次予防事業の位置付け
として実施する。平成 29 年度から、新しい介護予防・日常生活支援総合事業へ移
行していく。
一次予防事業
→介護予防普及啓発事業
高齢者ほほえみセンターや老人会等その他団体において介護予防に関する知
識の普及啓発活動を行う。
認知症に関する普及啓発活動を行う。自身の認知機能の確認や認知症予防につ
いての知識を深める講座や認知症を正しく理解し、地域で支えていくことがで
きるよう、
「認知症サポーター養成講座」により知識の普及を図る。
65 歳から 69 歳になる者に対し、運動機能向上と運動習慣の確立のきっかけ
づくりを行う。
壮年期から生活習慣病の予防とともに介護予防に関する知識の普及、啓発を図
る。
→地域介護予防活動支援事業
介護予防リーダー、ほほえみサポーター、認知症サポーター及び介護予防実践
指導員、キャラバンメイト等介護予防に資する地域活動組織の育成・支援。
→一次予防事業評価事業
対象者の状況等に関する評価及び介護予防事業評価を年度毎に実施し、その結
果に基づき事業の改善を図る。
-66-
2
二次予防事業の推進
(1)介護予防把握事業
民生委員の協力を得ながら介護予防実態調査を実施し、支援を要する高齢者を把握す
る。更に、相談業務や関係機関との連携等からも把握をしていく。また、65 歳、70
歳、75 歳年度到達者へ基本チェックリストを毎年実施し、地域の課題把握を併せて行
っていく。
○支援を要する高齢者(二次予防事業の対象者)の判定基準
支援を要する高齢者の判定については、国で定める基準とする。
①うつ予防・支援関係の項目を除く1~20項目のうち10項目以上該当する者
②運動器の機能向上5項目のうち3項目該当する者
③栄養改善2項目該当する者
④口腔機能の向上3項目のうち2項目該当する者
⑤閉じこもり予防・支援の16に該当する者
⑥認知症予防・支援の18~20のいずれかに該当する者
⑦うつ予防・支援21~25で2項目以上該当する者
*平成 28 年度までは①~④のいずれかに該当する者を二次予防事業の対象者とする。
【支援を要する高齢者(二次予防事業の対象者)数の実績】
平成 24 年度
高齢者人口
(単位:人)
平成 25 年度
平成 26 年度
16,320
17,448
18,075
チェックリスト実施者数
5,855
4,558
3,026
二次予防事業対象者数
2,546
1,686
1,078
事業参加者数
212
211
145
参加率(%)
1.3%
1.2%
0.8%
*平成 26 年度については、平成 26 年 10 月末日現在の実績
【実施状況】
①介護予防実態調査
(単位:人)
平成 24 年度
平成 25 年度
介護予防実態調査
全体
75 歳
70 歳
平成 26 年度
介護予防実態調査
65 歳
その他
全体
75 歳
70 歳
介護予防実態調査
65 歳
その他
全体
75 歳
70 歳
65 歳
その他
配布数
4,567
691
686
1,288
16
3,303
562
773
1,239
16
2,339
586
666
674
13
回収数
4,427
671
670
902
16
3,224
545
753
870
16
2,323
583
661
456
13
回収率
(%)
二次予防
事業の
対象者数
二次予防
事業の
対象者率
96.9% 97.1% 97.7%
2,377
233
114
53.7% 34.7% 17.0%
70.0% 100.0%
166
16
18.4% 100.0%
97.6% 97.0%
1,542
141
47.8% 25.9%
97.4%
127
16.9%
70.2% 100.0%
136
16
15.6% 100.0%
99.3%
1,008
43.4%
99.5% 99.2%
144
95
24.7% 14.4%
67.7%
100.0%
57
12.5%
13
100.0%
*平成 26 年度の 65 歳年度到達者の実施状況については、平成 26 年 10 月末日現在の実績
介護予防実態調査は、民生委員の協力により例年高い回収率を維持している。また、機
能低下の可能性がある高齢者は減少傾向にある。
-67-
②シニア健康相談(旧介護予防セミナー)
年度
平成 24 年度
(単位:人、各年度末現在)
平成 25 年度
平成 26 年度
実施回数
22 回
25 回
対象者数
2,246
1,420
1,008
164
71
35
66
97
164
137
132
7.3%
9.6%
13.1%
参加者
面接
数
電話
参加者総数
参加率
※平成 26 年度については、平成 26 年 10 月末日現在の実績
各地区公民館で日程を指定して実施してきたが、平成 26 年度から個人に合わせた相
談を実施できるよう、訪問や電話相談を随時受け付ける等の工夫を行った結果、参加率
は上昇した。
③その他
訪問活動、本人や家族からの相談等に随時対応する。
【今後の展開】
介護予防把握事業で収集した情報等を活用しながら支援を要する高齢者を把握し、介
護予防活動へつなげていく。更に、65 歳、70 歳、75 歳年度到達者への基本チェッ
クリストを経年的に実施し、地域課題の把握を行っていく。また、平成 29 年度からの
新しい介護予防・日常生活支援総合事業の実施に向けてより良いサービスが提供できる
ように内容を検討していく。
(2)通所型介護予防事業
地域包括支援センターによる介護予防ケアマネジメントで設定された目標の達成を
支援するプログラムを実施する。
①活きいきクラブ
「運動器機能向上プログラム」
、
「口腔機能向上プログラム」、
「栄養改善プログラム」、
「認知症予防プログラム」を総合的に実施する。
-68-
平成 24 年度より、市内 3 か所で「総合プログラム」を業務委託により実施した。
【実施状況】
年度
平成 24 年度
平成 25 年度
(単位:人、各年度末現在)
大田原保健センター
黒羽保健センター
湯津上環境改善センター
22 回
19 回
16 回
参加者 15
参加者 18
参加者 8
延べ 202
延べ 225
延べ 108
23 回
27 回
16 回
参加者 20
参加者 17
参加者 10
延べ 250
延べ 310
延べ 121
②脳きらり講座
東京都健康長寿医療センター研究所が開発した「認知症予防プログラム」を利用し、
直営事業として実施した。
【実施状況】
年度
平成 24 年度
(単位:人、各年度末現在)
薄葉第 2 団地を
介護予防リーダーを
対象に実施
対象に実施
8回
8回
参加者 12
参加者 9
延べ 82
延べ 78
備
考
7回
平成 25 年度
参加者 12
延べ 65
効果的な事業を実施するため、二次予防事業の対象者以外も必要に応じて参加できる
ものとした。更に介護予防リーダーを中心に実施した教室は、認知症予防プログラムに
関心のあるリーダーが、教室終了後に自主的な活動を継続することを目的の一つとして
実施した。
認知症予防プログラムに対する関心は高い。しかしながら、二次予防事業の位置づけ
では参加できる対象者が限られてしまうため、平成 26 年度より一次予防事業として実
施し、幅広く参加者を募集できるようにした。
【今後の展開】
平成 27 年度、28 年度については、従来の介護予防事業の二次予防事業の位置づけ
で実施し、平成 29 年度からは新しい介護予防・日常生活支援総合事業の介護予防・生
活支援サービス事業へ移行していく。
-69-
(3)訪問型介護予防事業
生活機能に関する問題を総合的に把握・評価し、必要な相談・指導を実施する。
【実施状況】
(単位:人、各年度末現在)
平成 24 年度
実施者数
(実)
訪問
平成 25 年度
実施者数
(延)
実施者数
(実)
平成 26 年度
実施者数
(延)
実施者数
(実)
実施者数
(延)
運動器機能向上
0
0
0
0
0
0
栄養改善
0
0
0
0
0
0
口腔機能向上
1
3
3
9
1
2
※平成 26 年度については、平成 26 年 10 月末日現在の実績
【今後の展開】
通所型介護予防事業への参加が困難な高齢者に対し、介護予防プログラムに基づき必
要な専門職が訪問し支援を行う。また、平成 29 年度からは新しい介護予防・日常生活
支援総合事業の介護予防・生活支援サービス事業へ移行していく。
(4)二次予防事業評価事業
市町村が介護保険事業計画に定める「介護予防事業の効果による要介護認定者数の目
標値」に照らした達成状況の検証を通じ、二次予防事業の事業評価を実施する。
対象者の状況等に関する評価及び事業全体に対する評価など、各事業別の評価を行う。
-70-
3
一次予防事業の推進
(1)介護予防普及啓発事業
①おたっしゃクラブ及びその他の取り組み
ほほえみセンター等を拠点に、要介護状態になることを予防するため、介護予防に関
する知識の普及活動を実施している。
【健康相談】
一人ひとりの健康問題を明らかにし、自己管理の支援。
【筋力低下予防、機能維持のための運動実践】
筋力低下を予防し、運動器機能の維持向上のための運動(与一いきいき体操)の
普及。
【口腔機能維持向上のための運動実践】
口腔機能の重要性について啓発し、口腔機能の低下の予防や維持向上のための健
口体操の普及。
【介護予防に関する知識の普及】
運動器機能向上の重要性、栄養改善、口腔ケア、認知症予防、交通安全(高齢者
を詐欺などの犯罪から守る内容を含む)、排尿トラブルの予防、目の健康管理、
服薬管理等、多方面の知識の普及。また水分摂取や血圧管理等の重要性の健康教
育の普及。
【実施状況及び目標値】
年度
(単位:人、各年度末現在)
おたっしゃクラブ
健康教育
その他
実施回数
192 回
19 回
2回
延べ人数
3,117
491
376
実施回数
189 回
18 回
3回
延べ人数
3,246
383
351
平成 26 年度
実施回数
177 回
20 回
2回
(見込み)
延べ人数
2,850
400
323
平成 27 年度
実施回数
180 回
20 回
1回
(目標値)
延べ人数
2,900
400
150
平成 28 年度
実施回数
180 回
20 回
1回
(目標値)
延べ人数
2,900
400
150
平成 29 年度
実施回数
180 回
20 回
1回
(目標値)
延べ人数
2,900
400
150
平成 24 年度
平成 25 年度
【今後の展開】
高齢者ほほえみセンター等を拠点に各地域において、介護予防に関する基本的な知識
を普及・啓発するための介護予防普及啓発事業「おたっしゃクラブ」を、それぞれの高
齢者ほほえみセンターの地域性を考慮しながら開催していく。
-71-
また、広報等で一次予防事業の重要性と高齢者ほほえみセンター等で実施する「おた
っしゃクラブ」を周知し、多くの高齢者が参加し、楽しく交流できるよう地域の活動を
支援する。
なお、大田原保健センターにおける「おたっしゃクラブ」では、二次予防事業後の受
け皿としての役割や全地域に向けた開放の場となることを考慮して毎月開催する。
また、おたっしゃクラブ参加者等には「健康・介護予防手帳」を配布し、関係資料・
健康管理表・体力測定結果表等を保存することで、より一層の介護予防に関する意識と
意欲の向上を図り、効果的に行えるようにする。
そのほか各地区組織・公民館等からの要請に応じて、介護予防の普及啓発に取り組ん
でいく。
②お口の健康相談
平成 25 年度より、健康診査結果説明会に参加した高齢者に、口腔の健康が高齢者の
生活の質(QOL)に大きく関与するものであることを啓発し、口腔の健康に関する意
識の向上を図るために、お口の健康相談を開催した。
【実施状況及び目標値】
年度
(単位:人、各年度末現在)
実施回数
実施人数
平均実施人数
平成 25 年度
67 回
424
6.3
平成 26 年度(見込み)
75 回
470
6.3
平成 27 年度(目標値)
75 回
480
6.4
平成 28 年度(目標値)
75 回
480
6.4
平成 29 年度(目標値)
75 回
480
6.4
【今後の展開】
平成 25 年度の実施より健康診査結果説明会の参加者は、一次予防事業の参加者とあ
まり重ならないことが明らかとなり、新たな対象者に介護予防の普及啓発ができたと考
えられる。口腔の健康に対する重要性は普及啓発が不十分な分野と考えられ、今後も継
続して行っていく必要がある。
③チャレンジスポーツジム
平成 25 年度より、65 歳から 69 歳になる者(要介護認定申請者は除く)に対し、
生活の中に運動を習慣化するきっかけ作りを支援するため実施する事業を、市内スポー
ツジムへ委託し、事業にかかる費用の一部助成を行った。
-72-
【実施状況及び目標値】
年度
(単位:人、各年度末現在)
新規修了者のうち
申請者
修了者
平成 25 年度
114
81
36
44%
平成 26 年度(見込み)
79
112
40
50%
平成 27 年度(目標値)
100
80
40
50%
平成 28 年度(目標値)
100
80
40
50%
平成 29 年度(目標値)
100
80
40
50%
継続者
継続率
※平成 26 年度修了者には、平成 25 年度末に申請し、平成 26 年度に修了した者を含む。
(平成 25 年度は、平成 26 年 3 月 31 日まで申請を受付たため)
【今後の展開】
平成 25 年度開始事業であり、対象者に対する周知の徹底や今後の継続率の推移を検
証していく。
④介護予防講演会
「住み慣れた地域でずっといきいきと自分らしく生活する」ために、介護予防に関す
る知識を広く普及啓発するとともに、介護予防に向けた取り組みを実施する地域づくり
を目指して、介護予防講演会を開催した。平成 23 年度までは単独開催であったが、平
成 24 年度より他事業と共催にすることでより多くの市民に普及啓発できている。
【実施状況】
(単位:人、各年度末現在)
年度
平成 24 年度
平成 25 年度
平成 26 年度
内容
講師
~認知症を理解し、地域で支
えるために~
かんたんリフレッシュ!
~あなたの健康を維持するた
めに~
不眠症、うつ病、認知症につ
いて
高齢者と運動
聞こえにくいのはなぜ?
都立松沢病院
参与 斉藤正彦氏
国際医療福祉大学
松浦利江子 講師
~加齢による難聴とその対処~
クスリと食べ物の組み合わせ
上島
國利 教授
丸山 仁司 教授
国際医療福祉大学
小渕 千絵准教授
旭 満里子 教授
参加者
共催事業
573
健康セミナー
320
186
健康セミナー
幸齢者スクール
幸齢者スクール
【今後の展開】
広く一般市民に介護予防の知識の普及を図るために効果的な事業であり、今後も住民
の関心のあるテーマで講演会を開催していく。
-73-
⑤幸齢者スクール
医療福祉講演会では高齢者に多い症状と予防について知識を深め、更に体験学習では
体操やクイズ等に挑戦して医療福祉の世界を楽しく学び、今後の健康維持や介護予防に
取り組むために国際医療福祉大学と共催で実施した。
【実施状況】
(単位:人、各年度末現在)
年度
午前
参加人数
午後
参加人数
平成 24 年度
医療福祉講演会
(専門家 2 名による講演)
232
体験学習
50
平成 25 年度
医療福祉講演会
320
体験学習
61
平成 26 年度
医療福祉講演会
186
体験学習
75
*平成 25 年、平成 26 年の医療福祉講演会の内容については介護予防講演会を参照
【今後の展開】
午後の体験学習については、国際医療福祉大学ならではのものであり、楽しく医療福
祉の世界を学ぶためには効果的な事業であると考えられる。また、平成 26 年度より八
溝山周辺地域定住自立圏推進協議会の後援を受けており、関係市町村の参加のためにさ
らなる周知を検討していく。
⑥高齢者給食サービス栄養指導
高齢者給食サービス利用者に対して、食中毒防止や低栄養予防の知識の普及啓発を図
るため、給食だよりを発行した。
【実施状況】
年度
回数
配布枚数
平成24年度
4回発行
480枚配布
平成25年度
5回発行
600枚配布
平成26年度
2回発行
240枚配布(予定)
【今後の展開】
高齢者に対する普及啓発は今後も必要と考えられる。更に、事業所に対して栄養管理
や衛生管理等の研修会を実施する必要があるため、開催を検討していく。
⑦脳きらり講座
平成 25 年度まで二次予防事業で実施していたが、平成 26 年度より一次予防事業に
位置づけ、多くの高齢者に認知機能に関する正しい知識の理解を支援し、認知症予防に
つながる活動を勧めることで認知症の発症を抑制したり先送りし、高齢期のQOLを維
持することを目的に「脳きらり講座」を実施した。
-74-
また、認知症について正しく理解し、認知症の人や家族を温かく見守るサポーターを
養成するため、「認知症サポーター養成講座」を実施した。(「認知症サポーター養成講
座」について、詳しくは第 2 節認知症施策の推進を参照)
【脳きらり講座実施状況】
平成 26 年度
実施回数
2 回(延べ 4 回)
参加延べ人数 176 人
実人数
93 人
【今後の展開】
一次予防事業として実施することで広く高齢者に普及啓発できたと考える。今後も継
続して実施していく必要があり、更に認知症予防の効果を高めるために継続的な認知症
予防教室の展開を検討していく。
(2)地域介護予防活動支援事業
①ボランティアについて
平成 18 年度の介護保険制度改正を機に、目的や特徴に応じボランティアの養成を行
っている。
平成 11 年度から設置された「高齢者ほほえみセンター」は、平成 25 年度末現在
24 か所が整備され、健康相談や健康づくりのための体操、認知症予防などの健康講話
等を実施し、地域住民による自主的な活動を支援している。
高齢者ほほえみセンターの管理・運営は、地域の高齢者の課題を地域で考え、地域で
解決していくことを推進するために、住民が組織する団体やボランティア団体などに委
託している。平成 13 年度からは、センター事業の日常的な運営のサポートを担うボラ
ンティアとして「ほほえみサポーター」を育成している。他に「介護予防リーダー」は、
各高齢者ほほえみセンター等を拠点に介護予防に関する知識の普及を図り、更に自主活
動を推進する担い手として養成している。また、
「認知症サポーター」は認知症を正し
く理解し、認知症の人や家族を温かく見守り、認知症になっても安心して暮らせるまち
づくりを推進するため養成している。
この 3 つのボランティアが一体となって介護予防活動を推進し、住み慣れた地域で
尊厳のあるその人らしい生活を維持することができるように協働していく。
【ボランティアの構造】
介護予防
リーダー
認知症
サポーター
-75-
ほほえみ
サポーター
○介護予防リーダー養成状況
各高齢者ほほえみセンター等を拠点とした地域の介護予防に資する地域組織活動の
育成・支援のため、地域において介護予防のリーダーとなる人材を育成している。
平成 18 年度から介護予防リーダー養成研修会を開始し、平成 26 年度 12 月末まで
に 426 人が修了し、その内、342 人が登録のうえ、地域の介護予防活動を推進して
いる。
介護予防リーダー養成研修は、国際医療福祉大学に委託し、大学を会場として 6 回 1
コースで実施した。更に終了者を対象に、フォローアップ研修を実施している。
また、介護予防リーダーとしてレベルアップを図ったり、交流を深めるための研修会
を開催するとともに、他の組織とも連携を図りながら地域の介護予防事業を推進できる
よう支援している。
【養成状況】
【圏域別状況】
(単位:人、各年度末現在)
年
度
区
分
人数
(単位:人、平成26年度12月末現在)
地区名
平成24年度
第9期
18
平成25年度
第10期
平成26年度
第11期
大田原
圏域名
登録者数
大田原
32
57
紫塚
33
18
西原
45
金田北
22
金田南
25
親園
11
野崎
48
湯津上
黒羽
佐久山
8
湯津上
33
黒羽
29
川西
28
両郷
9
須賀川
合計
19
342
【今後の展開】
今後も各高齢者ほほえみセンター等を拠点とした地域の介護予防に資する地域組織
活動の育成・支援のため、地域において介護予防のリーダーとなる人材を育成する。
また、介護予防リーダーとしてのレベルアップや交流を深めるための継続的な研修を
開催し、他の組織と連携を図りながら地域の介護予防事業を推進していくとともに、自
主的な活動も支援していくことを検討する。
今後、介護予防リーダーの研修については、介護支援ボランティアポイント制度の中
で取り組んでいく。
-76-
○介護支援ボランティアポイント制度の実施
高齢者が介護支援ボランティア活動を通して、地域貢献することを奨励及び支援し、
高齢者自身の社会参加活動を通した介護予防を推進するために介護支援ボランティア
ポイント制度を実施する。
○高齢者ほほえみサポーター育成状況
平成 13 年度から、各ほほえみセンター運営の実質的な担い手として、ほほえみサポ
ーターを育成してきた。ほほえみサポーターは、自らが要介護状態にならないように研
修会等で学んだことを日常生活で実践することが求められ、自分が生活している地域で
の介護予防活動への協力を行う。
【平成 26 年 4 月末現在登録数:393 人】
更に、研修会は高齢者ほほえみセンター管理運営委員と合同で研修を行うことにより、
介護予防活動への協力体制の強化を図っている。
【研修会実施状況】
開 催 年
(単位:人、各年度末現在)
内
容
講
師
参加者数
平成24年度
・活動事例報告
・グループワーク
なし
69
平成25年度
「高齢者ほほえみセンターにおける
体力測定の結果から」
国際医療福祉大学
理学療法学科
下井 俊典准教授
75
【今後の展開】
ほほえみサポーターは各高齢者ほほえみセンター運営の実質的な担い手であること
から、自らが要介護状態にならないようにすることはもとより、自分が生活している地
域での介護予防活動への協力を行う重要な役割を持つ。そのため、持続した活動のため
に研修を継続していく。
②有資格者について
○介護予防実践指導員養成状況
在宅看護師・保健師・理学療法士等の有資格者を「介護予防実践指導員」として専門
的な介護予防事業の担い手となるよう育成している。また、スキルアップのための研修
会や連絡会を行うことにより、介護予防事業の課題等に対する共通認識を持てるように
している。
【委嘱状況】(任期 2 年、単位:人、各年度末現在)
平成 24 年度
8人
平成 25 年度
12 人
平成 26 年度
9 人 (見込み)
-77-
【今後の展開】
専門的な介護予防事業の担い手として継続した支援を行っていく。
○キャラバンメイト活動状況
認知症サポーター養成講座の講師役として養成されたキャラバンメイトの連絡会や
研修会を実施している。(詳しくは、第 2 節認知症施策の推進を参照)
(3)一次予防事業評価事業
対象者の状況等に関する評価及び介護予防事業評価を年度毎に実施し、その結果に基
づき事業の改善を図る。
-78-
第2節
認知症施策の推進
認知症になっても、本人の状態に応じた適切な支援により、できる限りより良い環境
の中で暮らし続けられるよう、相談や支援体制を強化するため、以下の3つを実施して
いく。
1
認知症の早期診断・早期対応に向けた体制整備
○認知症の人と医療、介護及び地域をつなぐ認知症地域支援推進員の配置
認知症の人と医療機関や介護サービス及び地域をつなぐコーディネーターとしての
役割を担う認知症地域支援推進員を配置し、認知症の人たちにとって効果的な支援を行
う。
○認知症ケアパスの作成・普及
認知症の状態に応じて受けられるサービスや相談機関など、適切なケアの流れを明ら
かにした認知症ケアパスの作成と普及を推進する。
○地域で見守り支え合うネットワークを生かした体制づくり
地域にある様々なネットワークを生かして、認知症の人や家族が安心して生活するこ
とができるよう、地域の中の気づきの目を育てるとともに、穏やかな見守りや支え合い
の体制をつくり、その人らしく生活できる地域づくりを進める。
大田原市における認知症高齢者支援
医 療
かかりつけ医
サポート医
大田原市
基幹型支援センター
地域包括支援センター
(地域包括支援ネットワーク)
警察・消防
連 携
地域住民
老人クラブ、NPO、
認知症サポーター
など
社会福祉協議会
地域福祉事業
安心生活創造事業等
地域密着型サービス
グループホーム
小規模多機能事業所
ケアマネジャー
認知症高齢者と
その家族
民生委員
相談支援
-79-
施設サービス
在宅サービス
家族の会
(ひなげしの会)
集い・相談
大田原市における総合的な認知症高齢者対策の推進
専門医療機関
介護施設等
【サポート医】
【施設職員等】
指導・助言
連 携
連 携
地域包括支援センター
ケアマネジャー
包括的・継続的
ケアマネジメント
医療機関
【かかりつけ医】
連 携
地域包括支援ネットワーク
基幹型支援センター
地域包括支援センターを
中心としたネットワークの
構築
サポート
サポート
連 携
【地域密着型介護施設】
認知症の早期
発見・予防
支
認知症高齢者
地
域
社
家族
援
交流会・
研修会
介護者家族の会
・ 認 知 症 対 応型グ ループ ホーム
・ 認 知 症 対 応型デ イサー ビス
・ 小 規 模 多 機能型
介護事 業所
大田原市
会
※認知症の地域理解の促進
地域住民
全国キャラバンメイト
連絡協議会
福祉委員
地域住民
民生委員
NPO等
認知症
サポーター
ボランティア
【 社会福祉協議会 】
(安心生活創造事業・ 小地域福祉
徘徊等
ネットワーク事業)
警 察
養成研修の実施
(徘徊時の早期発見保護)
2
キャラバン
メイト
認知症サポーター養成
~認知症になっても安心して暮らせるまちづくりを市民の手で~
国は、
「認知症を知り地域をつくる 10 か年」構想を 2005 年からスタートさせ、
「認
知症を理解し、支援する人(認知症サポーター)が地域に数多く存在し、すべてのまち
が認知症になっても安心して暮らせる地域になっている」ことを到達目標として平成
17 年度より取り組みを推進している。
本市でも、平成 17 年度より市、地域包括支援センター、認知症対応施設等に在籍す
るキャラバンメイトを講師として、各自治会、企業、小中学校等で認知症サポーター養
成講座を開催し、平成 26 年 10 月 1 日現在 4,855 人の認知症サポーターが養成され、
おおよそ高齢者 4 人に対し 1 人の認知症サポーターとなっている。
-80-
認知症サポーターは、認知症について正しい知識を習得し、認知症の人やその家族を
温かく見守り、話を聴いたり、相談窓口を紹介するなど、自分のできる範囲で協力、活
動する者である。
国が目標とする認知症サポーター数は、2014 年度の到達目標 400 万人を突破し、
2017 年までに 600 万人とされている。
そのサポーターを養成する講座の講師になるのが、キャラバンメイトである。栃木県
主催のキャラバンメイト養成研修を受けた市の職員、地域包括支援センター職員、認知
症対応施設等の職員など市内では 51 人が活動している。
キャラバンメイトの協力体制強化のため、キャラバンメイト連絡会を定期的に開催し、
講座内容や協力体制を検討し、キャラバンメイトのレベルアップを図っている。
今後も、キャラバンメイトを育成しながら、現在取り組んでいる一般市民、各自治会、
企業、小中学校に加え、警察署、消防署、商工会等幅広く職域にも呼びかけ、認知症サ
ポーター養成を継続的に行い、認知症になっても安心して暮らせるまちづくりを目指し
ていく。
【認知症サポーター養成状況及び目標値】
(単位:人、各年度末現在)
実績
24 年度
認知症サポーター数
認知症サポーター延べ数
25 年度
目標
26 年度
見込み
27 年度
28 年度
29 年度
746
739
809
800
800
800
3,352
4,091
4,900
5,700
6,500
7,300
【認知症高齢者サポート体制状況及び目標値】
(単位:人、各年度末現在)
実績
24 年度
25 年度
目標
26 年度
見込み
27 年度
28 年度
29 年度
キャラバンメイト数
38
51
55
60
65
70
認知症サポーター数
746
739
909
800
800
800
4.4
5.5
6.6
7.9
9.1
10.3
5.0
4.2
3.6
3.2
2.9
2.7
(メイト+サポーター)
/総人口
高齢者人口
/(メイト+サポーター)
-81-
認知症サポーターの構成比(対象別)
職域
10%
地域住民
24%
学校
34%
ボランティア
グループ等 14%
介護施設
等
9%
3
リーダー
9%
認知症の早期発見、早期対応及び尊厳の確保
近年、経過を追うと認知症への移行がより高い「軽度認知機能障害」発見の重要性が
指摘されている。年齢に比べて記憶の障がいは強いが認知症検査などでは正常範囲に入
り、日常生活は正常な状態にある。
この段階で早期に発見し予防的対応ができれば、認知症の発症を防ぐ効果は高いと思
われる。
≪軽度認知機能障害≫
1
記憶障害の自覚がある
2
年齢に比して記憶力が低下している
3
全般的な認知機能は正常である
4
日常生活活動は正常である
5
認知症は認められない
-82-
<参考>
認知症高齢者の日常生活自立度判定基準
判
断
基
準
見られる症状・行動の例
何らかの認知症を有するが、日常生活
Ⅰ
は家庭内及び社会的にほぼ自立してい
る。
日常生活に支障を来たすような症状・
行動や意思疎通の困難さが多少見られ
Ⅱ
ても、誰かが注意していれば自立でき
る。
たびたび道に迷うとか、買物や事務、
Ⅱa
家庭外で上記Ⅱの状態がみられる。
金銭管理等それまでできたことにミス
が目立つ等
服薬管理ができない、電話の応対や訪
Ⅱb
家庭内でも上記Ⅱの状態がみられる。
問者との対応等一人で留守番ができな
い等
日常生活に支障を来たすような症状・
Ⅲ
行動や意思疎通の困難さが見られ、介
護を必要とする。
着替え、食事、排便、排尿が上手にで
日中を中心として上記Ⅲの状態が見ら
Ⅲa
れる。
きない、時間がかかる。やたらに物を
口に入れる、物を拾い集める、徘徊、
失禁、大声、奇声をあげる、火の不始
末、不潔行為、性的異常行為等
夜間を中心として上記Ⅲの状態が見ら
Ⅲb
れる。
ランクⅢaに同じ
日常生活に支障を来たすような症状・
Ⅳ
行動や意思疎通の困難さが頻繁に見ら ランクⅢに同じ
れ、常に介護を必要とする。
著しい精神症状や問題行動あるいは重 せん妄、妄想、興奮、自傷・他害等の
M
篤な身体疾患が見られ、専門医療を必 精神症状や精神症状に起因する問題行
要とする。
動が継続する状態等
(平成 5 年 10 月 26 日 老健第 135 号 厚労省老人保健福祉局長通知抜粋)
-83-
第3節
地域包括支援センターの機能強化
地域の最前線に立ち、高齢者の総合相談、権利擁護、介護予防のマネジメント及び地
域ケア会議等を通じたケアマネジメント支援等を業務とし、地域包括ケアシステム構築
へ向けた中核的な機関である地域包括支援センターの体制強化を図っていく。
1
大田原市地域包括支援センターの体制
(1)地域包括支援センターの委託方法
平成 18 年 4 月に創設された地域包括支援センターは、
「地域住民の心身の健康の保
持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉
の増進を包括的に支援することを目的とする施設」
(介護保険法第 115 条の 46)であ
る。
国が示す地域包括支援センターの人口規模等の設置基準から、日常生活圏域内の人口、
高齢者人口及び地理的関係、コミュニティ形成の状況等を総合的に考慮し、本市におい
ては 3 か所の「地域包括支援センター」を設置している。
また、高齢者が、地域包括支援センターへの相談・支援を「生活の場により近い所」
で受けられるよう、市内に 6 か所ある「在宅介護支援センター」
(下表参照)を地域包
括支援センターの総合相談・支援に係るサポートセンター、いわゆる「ブランチ」とし
て位置付け、きめ細かい支援体制を確立している。
地域包括支援センターは、
「市町村が直営で設置する方法」と「在宅介護支援センタ
ーを設置している社会福祉法人等に委託して設置する方法」があるが、本市では必要な
専門スタッフの確保が困難なことから、在宅介護支援センターを設置している社会福祉
法人等の協力を得て、委託方式で設置している。
【在宅介護支援センターを設置している社会福祉法人等】
法
人
名
名
称
所
在
医療法人大田原厚生会
在宅介護支援センター椿寿荘
末広1丁目2番5号
社会福祉法人至誠会
在宅介護支援センター晴風園
下石上1258番地
社会福祉法人清友会
在宅介護支援センターやすらぎ舎
北大和久1番地3
社会福祉法人同愛会
在宅介護支援センター藍
小滝17番地22
社会福祉法人京福会
在宅介護支援センターほのぼの園
湯津上5番地989
社会福祉法人安寧
在宅介護支援センター山百合荘
久野又808番地
上記の 6 法人のうち、至誠会、清友会及び同愛会の 3 法人に地域包括支援センタ
ーの設置を委託し、保健師等の専門スタッフについては 6 法人から出向してもらう
ことにより、次頁のとおり配置している。
-84-
【地域包括支援センターの専門職員の基本配置】
センター名
設置
(設置場所)
法人
職員配置(所属)
保健師その他これに準ずる者(厚生会)
中央地域包括支援センター
(大田原保健センター内)
清友会
主任介護支援専門員(清友会)
日常生活圏域
(所管区域)
大田原地区
紫塚地区
金田北地区
社会福祉士その他これに準ずる者(至誠会) 金田南地区
保健師その他これに準ずる者(清友会)
西部地域包括支援センター
(大田原市福祉センター内)
至誠会
主任介護支援専門員(至誠会)
西原地区
親園地区
野崎地区
社会福祉士その他これに準ずる者(厚生会) 佐久山地区
保健師その他これに準ずる者(同愛会)
東部地域包括支援センター
(黒羽支所北隣)
湯津上地区
黒羽地区
同愛会
主任介護支援専門員(京福会)
川西地区
両郷地区
社会福祉士その他これに準ずる者(安寧)
須賀川地区
日常生活圏域管内の高齢者人口の推移、各地域包括支援センターの業務量の推移にあ
わせて専門職員の配置を柔軟に変化させていくとともに、状況によっては、各地域包括
支援センターの担当圏域を検討する必要がある。
(2)在宅介護支援センター及び相談協力員の役割
市内に 6 か所ある「在宅介護支援センター」は地域包括支援センターのブランチと
して、サポートセンターとしての役割を担い、介護予防や権利侵害などに関する各種の
相談等を受けたときは、その内容、処理等を相談記録簿に記録するとともに、地域包括
支援センターにその情報を提供する役割を担う。
地域包括支援センターは、地域包括ケア及び総合相談支援業務の充実を図るため、地
域包括支援センターに「相談協力員」を置く。
市では民生委員全員を相談協力員として委嘱している。
「相談協力員」は、その担当する地域において、次の職務を行い、必要があると認め
るときは、地域包括支援センターに情報を提供する役割を担う。
・高齢者及びその家族等の生活状況の把握
・虐待や権利侵害を受けている疑いのある高齢者又は要介護状態になる恐れのある
高齢者の情報収集
・各種の保健福祉サービス等の広報と利用啓発
-85-
2
地域包括支援センター業務の状況
(1)大田原市地域包括支援センター業務
地域包括支援センターでは、地域支援事業のうち、包括的支援事業としての 4 つの
業務と、指定居宅介護支援事業者として要支援者を対象とする介護予防支援を実施して
いる。
①総合相談支援業務
地域包括支援センターのすべての業務の入り口となるのが総合相談であり、地域包括
ケアとしての継続支援の入り口となる。地域の高齢者に関する様々な相談すべてを受け
止め、どのような支援が必要かを把握し、地域における適切なサービス、関係機関及び
制度の利用につなげる等の支援を行う。
②権利擁護業務
権利侵害を受けている、または受ける可能性が高いと考えられる高齢者が、地域で安
心して尊厳ある生活を行うことができるよう、権利侵害の予防や対応を専門的に行う。
内容としては、高齢者虐待の防止及び対応、消費者被害の防止及び対応、判断能力を欠
く状況にある者への支援などがある。
③包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
多様な生活課題を抱えている高齢者が地域で安心してその人らしい生活を継続する
ためには、高齢者や家族が課題に応じたあらゆる社会資源を適切に活用できるように、
包括的・継続的に支援を行うことが必要である。個々の高齢者の状況や変化に応じた包
括的・継続的なケアメネジメントを介護支援専門員が実施することができるように地域
の基盤を整えるとともに個々の介護支援専門員へのサポートを行う。
④介護予防ケアマネジメント業務
二次予防事業の対象者等(主として要介護状態等となるおそれの高い状態にあると認
められる 65 歳以上の高齢者)が要介護状態等になることを予防するため、その心身の
状況等に応じて、対象者自らの選択に基づき、介護予防事業その他の適切な事業が包括
的かつ効率的に実施されるよう援助を行う。
(平成 29 年度からの新しい介護予防・日
常生活支援総合事業開始後は、介護予防・生活支援サービス事業対象者に対して実施)
⑤介護予防支援事業
要支援 1・2 と認定された高齢者に対する予防給付にかかる介護予防ケアマネジメン
トを行う。予防給付の基本的な考え方は「要支援状態にあってもその悪化をできる限り
防ぐこと」を目的として実施する。
また、予防給付の介護予防ケアマネジメント業務の一部を指定居宅介護支援事業者に
委託できる。利用者が従前利用していた介護支援専門員にも、予防給付にかかる利用計
画の作成を依頼できるようにすることで、予防給付への円滑な移行や、介護給付に移行
した場合の連携を確保するといった観点から委託が可能となっている。
(現行の介護予
防給付のうち、訪問介護、通所介護は、平成 29 年度から新しい介護予防・日常生活支
援総合事業に移行する)
-86-
(2)大田原市地域包括支援センター各業務の推移(相談延件数)
(件数)
4,000
中央地域包括支援センター業務報告
3,675
3,500
3,070
3,000
2,580
2,418
2,208
2,500
2,000
1,500
1,000
H22年度
1,312
1,098
958
1,046
962
500
H21年度
H23年度
H24年度
29
240 279
246 223
587
479
239
H25年度
333
114
0
総合相談
(件数)
4,000
権利擁護業務
包括的・継続的
介護予防業務
西部地域包括支援センター業務報告
3,500
3,000
2,500
1,628
2,000
1,500
1,000
1,042
846
936
833
635
1,644
155
75 199 106
38
500
1,437 1,399
1,344
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
515
309 630
334
327
H25年度
0
総合相談
(件数)
4,000
権利擁護業務
包括的・継続的
介護予防業務
東部地域包括支援センター業務報告
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,886
1,583
1,512
1,657
1,371
1,444
1,017
1,150
940
1,000
1,938
559
182 225
210
156
109
120
500
0
総合相談
権利擁護業務
610
-87-
H22年度
H23年度
H24年度
741
682
包括的・継続的
H21年度
H25年度
介護予防業務
多くの問題を抱え支援が困難な高齢者の増加に伴い、地域包括支援センターが相談窓
口として定着している。
3
大田原市地域包括支援センター管内別の状況
地域包括支援センター管内別の人口、高齢者数、独居世帯数、高齢者世帯数の状況は、
下表のとおりである。
( 平 成 26 年 10 月 1 日 現 在 )
地域包括支援
センターの名称
中央地域包括
支援センター
西部地域包括
支援センター
東部地域包括
支援センター
合
日常生活圏域
圏域内人口
(人)
高齢者数
(人)
独居世帯
(世帯)
高齢者世帯
(世帯)
大田原
8,572
2,141
208
172
紫 塚
5,755
1,411
98
71
金田北
8,486
1,905
84
29
金田南
4,695
1,219
46
33
計
27,508
6,676
436
305
西 原
14,322
2,415
134
109
親 園
5,078
1,129
25
22
野 崎
6,065
1,603
134
176
佐久山
2,640
889
48
32
計
28,105
6,036
341
339
湯津上
4,683
1,440
66
55
黒 羽
4,099
1,217
67
37
川 西
4,900
1,227
95
66
両 郷
2,318
765
36
42
須賀川
1,774
714
60
59
計
17,774
5,363
324
259
73,387
18,075
1,101
903
計
「独居世帯」
「高齢者世帯」
・・・民生委員の高齢者実態調査により把握した数。
4
地域ケア会議の推進
地域ケア会議は、地域の支援者を含めた多職種による専門的視点を交え、介護支援専
門員のケアマネジメント支援を通じて、適切な支援につながっていない高齢者の支援を
行うとともに、個別ケースの課題分析等を通じて地域課題を発見し、地域に必要な資源
開発や地域づくり、更には介護保険事業計画への反映など政策形成につなげることを目
指す。
①地域包括ケア担当者会議
支援が困難な高齢者及び家族等に直接かかわりをもつ関係機関等が必要な調整を図
り、適切な援助方針の確立及び地域課題を発見・把握するため、地域包括ケア担当者会
議を設置する。この会議は、地域包括支援センターの管理責任者が必要に応じ開催する。
-88-
②地域ケア会議の設置
地域包括支援センターの担当区域ごとの地域包括ケアの総合調整と地域資源開発及
びネットワーク構築のため、「地域包括ケア会議」を開催する。この会議は、地域包括
支援センターの管理責任者が招集し、以下の構成メンバーで開催する。
・
地域包括支援センターの管理責任者
・
当該センター職員
・
担当区域の相談協力員(民生委員)
・
担当区域の介護支援専門員
・
保健福祉部高齢者幸福課長
・
その他管理責任者が必要と認める者
③地域包括支援センター事業調整会議
地域包括支援センターの円滑な運営を図るとともに、地域包括ケア会議で把握された
地域課題等を基に、本市の「地域包括ケア」の政策形成を目的に「大田原市地域包括支
援センター事業調整会議」を以下の構成メンバーで開催する。
5
・
地域包括支援センターの管理責任者
・
地区民生委員協議会を代表する者
・
大田原市社会福祉協議会事務局長
・
介護サービス事業者を代表する者
・
介護支援専門員を代表する者
・
保健福祉部長
・
その他必要と認める者
地域包括支援ネットワーク構築
(1)基幹型支援センターの役割
基幹型支援センターは平成 12 年に老人福祉法第 15 条第 2 項に規定する老人介護
支援センターとして設置された。
「おおむね 65 歳以上の要援護高齢者及び要援護とな
るおそれのある高齢者、並びにその家族」の支援のため、連絡支援体制の基幹となる支
援センターとして「基幹型支援センター」と位置付けられた。
当市の地域包括支援センターは委託型であるが、包括的支援事業(介護予防ケアマネ
ジメント支援、総合相談支援、権利擁護、包括的・継続的ケアマネジメント支援)の実
施に係る方針を示して委託することとされており、基幹型支援センターとしては地域包
括支援センターの業務を支援していく役割を担う。
具体的には、地域住民の総合相談に応じつつ、地域包括支援センターと連携してその
活動をサポートしていくとともに、行政責任において適切に権限を行使して地域住民の
保健福祉の促進を担っていく。
-89-
基幹型支援センターの主な業務
①地域包括支援センターの総括及び支援
包括的支援事業に対する適切な支援を行うため、地域包括支援センター相互間その他
関係機関団体間の総合的な調整に努める。
②総合相談支援
基幹型支援センターは、各種相談を受けたときは、その内容、処理等を相談等記録簿
に記録し、適切に保管するとともに地域包括支援センターに連絡する。また、支援困難
事例においては協力して処遇検討をする。
<基幹型支援センター相談件数>
23年度
24年度
25年度
年間相談延件数(件)
272
448
505
年間相談実人数(人)
197
252
246
電話(件)
120
202
233
面接(件)
115
175
193
訪問(件)
37
71
79
(再掲)庁内連携・調整(件)
83
90
89
(再掲)内困難事例会議(回)
14
22
20
対応内訳
延件数
各地域包括支援センター・ケアマネジャー・病院・民生委員等からの相談が多いが、
中には遠方に住む親族、近所の方からの相談もある。
③高齢者実態調査
民生委員に依頼し、65歳以上の高齢者世帯、ひとり暮らし高齢者世帯、その他の要
援護高齢者を対象に健康状態や日常生活状態、緊急時の連絡先などの調査を行う。
目的は、○高齢者がより自立した生活を継続して送れるよう、それぞれの状態に合っ
た保健・医療・福祉サービス等の提供を行う
○地域での高齢者見守り活動のためであ
る。
④地域包括支援センターと共催で地区ごとに地域包括ケア会議を開催する。
⑤大田原市ケアマネジャー連絡協議会の事務局を担当し、協議会の活動を支援する。
-90-
(2)地域包括支援ネットワークの構築
地域包括ケアを実現するには、地域包括支援ネットワークが不可欠である。
地域には、介護保険サービス(共助)だけでなく、医療保険サービス(共助)、住民
主体のサービスやボランティア活動(互助)、セルフケアの取り組み(自助)等、数多
くの資源が存在する。
地域包括支援ネットワークを構築するためには、関係行政機関はもとより、サービス
事業者、ボランティア等による人的ネットワークを構築する必要があるが、市では、次
の関係機関等との連携体制の構築を図る。
<センターとの連携が必要な関係機関>
行政機関等
医療機関
介護サービス事業者
地域住民の組織等
職能団体等
民生委員等
その他の関係組織
市(保健福祉部)、在宅介護支援センター、警察署、消防署、
県北健康福祉センター等
かかりつけ医、病院、診療所、歯科診療所
居宅介護支援事業所、介護保険施設、居宅介護サービス事業
所、地域密着型サービス事業者等
自治会、地区社会福祉協議会、老人クラブ、高齢者ほほえみ
センター管理運営委員会、NPO団体等
医師会、歯科医師会、看護協会、薬剤師会、弁護士会、司法
書士会、社会福祉士会、ケアマネジャー連絡協議会等
民生委員、福祉委員、介護サービス相談員、保護司等
社会福祉協議会、リーガルサポートとちぎ、あすてらす、シ
ルバー人材センター、消費生活センター等
(3)安心生活創造事業(地域大家族制度)
安心生活創造事業とは、ひとり暮らしの高齢者、高齢者世帯や障がい者などをはじめ
として何らかの手助けを必要とする方が、地域の中で生活に不安なく、
「誰もが住み慣
れた地域で安心して暮らせるような社会」を目指し、地域住民と市、社会福祉協議会、
地域包括支援センター、協力関係機関・事業所等が連携しながら基盤支援(見守りや買
い物支援等)の体制づくりを行う事業である。
この事業の背景には、ひとり暮らし世帯が急増している中で、日常的に家族の支援を
得られない方々を地域でどう支えるかという福祉課題がある。その中でも特にそのよう
な高齢者や障がい者等の孤立を防ぎ、地域で安心して暮らせるよう、安定的・継続的な
仕組みづくりを試行しながら、地域のつながり力を回復させ、連帯の強化を深めること
をねらいに事業展開している。
この事業は平成 21 年度から厚生労働省のモデル事業として実施され、市内 12 地区
社協単位で事業を展開し、平成 26 年度までに全地域で地域住民を中心とした見守り組
織が発足し、活動している。
-91-
<見守り組織の概要>
地区名
隊(会)の名称
発足日
隊(会)員数
見守り利用者数
自治会数
隊(会)の構成
平成 26 年 12 月現在
黒羽地区
佐久山地区
紫塚地区
親園地区
黒羽見守り
佐久山
紫塚地区
ちかその
助け合い隊
おもいやり隊
見守り隊
思いやり隊
平成22年3月16日
平成23年2月8日
平成23年7月24日
平成24年11月30日
80名
124名
78名
115名
138名
163名
114名
202名
13自治会
17自治会
7自治会
9自治会
総隊長1名
総隊長1名
総隊長1名
総隊長1名
副総隊長3名
副総隊長3名
副総隊長6名
副総隊長2名、顧問1名
隊(会)員は自治会長、公民館長、民生委員、福祉委員、ボランティア
地区名
隊(会)の名称
発足日
西部地区
須賀川地区
湯津上地区
東部地区
西部地区あったか
須賀川地区
ゆづかみ
東部地区
思いやりの会
見守り隊
見守り隊
見守り隊
平成25年2月4日
平成25年10月29日
平成25年11月8日
平成25年11月19日
隊(会)員数
128名
120名
250名
431名
見守り利用者数
217名
181名
114名
166名
9自治会
11自治会
13自治会(11地区隊)
25自治会
総隊長1名
総隊長1名
総隊長1名
総隊長1名
副総隊長2名
副総隊長2名
副総隊長3名、顧問2名
副総隊長5名
自治会数
隊(会)の構成
隊(会)員は自治会長、公民館長、民生委員、福祉委員、ボランティア
地区名
隊(会)の名称
発足日
両郷地区
川西地区
金田地区
野崎地区
両郷地区
川西地区
金田地区
野崎地区
見守り隊
見守り隊
おもいやり隊
見守り隊
平成26年6月25日
平成26年11月19日
平成26年11月28日
平成27年2月19日
隊(会)員数
147名
258名
362名
227名
見守り利用者数
175名
126名
408名
251名
12自治会(9地区隊)
15自治会(18地区隊)
26自治会(32地区隊)
11自治会
自治会数
隊(会)の構成
総隊長1名
総隊長1名
総隊長1名
総隊長1名
副総隊長3名
副総隊長3名
副総隊長5名
副総隊長4名
隊(会)員は自治会長、公民館長、民生委員、福祉委員、ボランティア
※東部地区、金田地区、野崎地区は戸別訪問中のため見守り利用者数は概数である。
-92-
(4)在宅医療・介護連携の推進
基幹型支援センター・地域包括支援センターが担当し、大田原市ケアマネジャー連絡
協議会等と連携し、以下のように医療・介護連携強化に取り組んできた。
以下の取り組み経過を踏まえ、更なる在宅医療・介護連携の推進に取り組んでいく。
平成22年度
平成22年度医療・介護連携強化計画書作成
①介護支援専門員に医療・介護連携についてアンケート調査
②地域包括支援センター相談員が各医療機関を個別訪問
地域包括支援センターの説明(パンフレット持参)
往診体制等の情報収集し、一覧表にしてケアマネジャーに情報提
供。医師から介護分野への要望の聞き取り。
③ケアマネジャー連絡協議会・医師会に情報提供
平成23年度
平成22年度医療・介護連携強化計画書の継続
①地域包括支援センター相談員が市内開業医を戸別訪問し、地域包括
支援センターPRとパンフレットを配布し連携に努めた。
②大田原赤十字病院地域医療福祉連携課と退院支援等について話し
合いを開始した。(4か月毎に定例開催)
平成24年度
平成24年度医療連携の強化のための事業計画作成
①市内開業医との連携
地域包括支援センター相談員が訪問し、PR。ポスターの掲示、パ
ンフレットを置かせて頂き協力を依頼した。
②那須赤十字病院との連携強化
三次救急指定病院であり、入院加療で多くの高齢者が利用している
那須赤十字病院と連携強化を図る。地域医療福祉連携課の協力を受
け、以下のことを実施した。
・地域医療福祉連携課と定期的な話し合いをし、入院⇔在宅をス
ムーズに移行できるように相談支援体制を整える。
・医療ニーズの高い高齢者や重度の要介護者の介護サービスを、
安全に提供できるよう、医療的知識について介護事業所と合同
の学習会を2回開催。
③連絡用紙の検討
医療機関⇔介護保険関係事業所間でスムーズに連携がとれるよう、
連絡用紙を検討し作成した。市内の居宅介護支援事業所にCDで配
布し、使用を勧奨した。
平成25年度
平成24年度医療連携の強化のための事業計画の継続
①医療介護連携シートの使用開始
②総合病院との連携強化
③市内開業医(歯科医院含む)との連携のため訪問
医療依存度が高い人・状態が不安定な人の居宅介護サービス利用の実態
をアンケート調査し実態をまとめ報告会を行った。
平成26年度
医療依存度が高い人・状態が不安定な人の介護サービス利用の実態から
那須赤十字病院の協力で医療的ケアの基礎知識、救急対応の方法、高齢
者の病気の特徴の研修を実施。
-93-
-94-
第4節 任意事業
1 成年後見制度及び日常生活自立支援事業
成年後見制度及び日常生活自立支援事業を周知し、積極的な利用を促進するとともに、
老人福祉法に基づく成年後見制度の市長申立を積極的に活用するなど、認知症高齢者等
の権利擁護に取り組む。
また、今後認知症高齢者の増加に伴い、弁護士・司法書士・社会福祉士等の専門職後
見人の不足が懸念されるため、社会福祉法人による法人後見の導入についても検討して
いく。
(1)成年後見制度利用支援事業
成年後見制度とは、認知症、知的障がい、精神障がい等により、判断能力が十分でな
い成年者を保護するための制度である。
判断能力が不十分な場合、本来、自分自身で判断して行うべきこと(物の売買、各種
の契約、その他の法律行為)が十分にできないために、結果としてその人の権利が侵害
されてしまう恐れがある。
このようなことを防止するため、その人に成年後見人等を選任し、成年後見人等が本
人に代わって判断し、必要な手続等をすることによって本人の権利を守るのが、成年後
見制度であり、本人や 4 親等内の親族など当事者による申し立てに基づく利用が基本
となる。
しかしながら、成年後見制度を利用したくても、身近に申し立てる親族がいない、申
立経費や後見人の報酬を負担できないなどの理由でこの制度を利用できない認知症高
齢者等の権利を擁護し、成年後見制度の利用を支援するため、「大田原市成年後見制度
利用支援事業」を実施している。具体的には、成年後見制度の利用が当該高齢者の福祉
を実現するために特に必要があると認められるにも関わらず、判断能力低下のため本人
申立が困難であり、申立を行う親族がいない、親族がいても申立の意思がない、費用負
担が困難である等の理由からこの制度を利用できないといった事態に陥らないように
するため、市は次の支援を行う。
・2 親等内の親族がいない場合や虐待等の理由により、親族等の申立が適当でない場
合に、市長が親族に代わって家庭裁判所に申立を行うこと。
・成年後見制度の申立に要する経費(登記手数料、鑑定費用等)及び後見人等の報酬
の全部又は一部を助成すること。
【支援対象者】
○
○
○
介護サービスを利用し、又は利用しようとする身寄りのない重度の認知症高齢者
障がい者自立支援制度を利用し、又は利用しようとする身寄りのない知的障がい
者
その他、市長が特に必要と認める者
なお、本事業の実施にあたっては、(社)成年後見センター・リーガルサポートと
ちぎ及び栃木県社会福祉士会等の関係団体と緊密に連携を図るものとする。
-95-
(2)日常生活自立支援事業(旧:地域福祉権利擁護事業)
日常生活自立支援事業(旧:地域福祉権利擁護事業)は、認知症高齢者、知的障がい
者、精神障がい者など判断能力が十分でない方が、地域において自立した生活を送るこ
とができるよう、福祉サービスに関する情報提供、助言、手続きの援助、日常的金銭管
理に関する利用料の支払い等、福祉サービスの適切な利用のための援助を行うとともに、
定期的な訪問により、生活上の変化を察知し、他のサービスや機関につなげる事業であ
る。
栃木県の権利擁護システム
【利用者の範囲】
認知症高齢者、知的障がい者、精神障がい者等判断能力が十分でない方、また虚弱な
高齢者、身体にハンディがある方で、自立した生活が困難な方(※在宅生活、病院入院、
福祉施設入所を問わない。ただし、本人自らが援助を求め、困っていることを認識し、
契約するときの支援計画の内容が理解できる方を対象とする。)
【支援の内容】
○福祉サービスの利用援助
・福祉サービスに関する情報提供や相談等
・福祉サービスの利用や利用をやめるために必要な手続きの援助
・福祉サービスに関する苦情解決制度を利用する手続きの援助
○日常的金銭管理サービス
・福祉サービスの利用料の支払いの援助
・年金・福祉手当の受領や医療費の支払いの援助
・税金や社会保険料、公共料金の支払いの援助
・日用品等の代金の支払いの援助
・その他、必要な支払い、預金の払戻、解約、預金の預け入れ等の金銭管理の
援助
○書類等の預かりサービス(保管できる書類等)
預金通帳、印鑑、年金証書、保険証書などの重要書類を保管する。
ただし、現金、株券、貴金属類等は預かることはできない。
○日常生活の見守り
日常生活状態の変化等に気配りをし、必要に応じて利用者の了解のもと、関係
機関につなぐなどの援助をする。
【実施主体】
社会福祉法人栃木県社会福祉協議会(とちぎ権利擁護センターあすてらす)が実施主
体であるが、県内 13 か所の基幹的社会福祉協議会が業務の一部を受託して実施してい
る。大田原地区は大田原市社会福祉協議会(あすてらすおおたわら)が実施している。
-96-
【利用方法とサービスの提供】
○
相
談
相談は、大田原市社会福祉協議会において電話、来所、訪問等により受け付ける。
↓
○
訪問調査
大田原市社会福祉協議会の自立生活支援専門員が利用者の生活状況や希望する
援助内容について調査する。
↓
○
支援計画の作成・契約
大田原市社会福祉協議会の自立生活支援専門員が利用者の意向を確認しつつ、具
体的な援助内容について支援計画を作成し、契約を交わす。
↓
○
サービスの提供
大田原市社会福祉協議会が委嘱した18名の生活支援員が、契約と支援計画に基
づいてサービスを提供する。
【日常生活自立支援事業への対応】
日常生活自立支援事業を市民や関係機関(警察・消防・金融機関等)に広く啓発する
とともに、地域包括支援センター、ケアマネジャー、ホームヘルパー等を介して、高齢
者等の権利擁護に関する相談を受付け、大田原市社会福祉協議会(あすてらすおおたわ
ら)が必要な調整を図る。更に専門家の判断が必要な場合は、基幹型支援センターを窓
口として、個別ケースに対応する。
(3)介護サービスの契約のあり方
介護保険制度では、介護サービスの利用は利用者と介護サービス提供事業者との契約
によって成立する。したがって介護サービス契約の内容が極めて重要な意味を持つこと
になる。
介護保険相談窓口等において介護サービスについての苦情等があった場合には、契約
内容のとおり適切に介護サービスが提供されているか、必要な調査を実施するとともに、
介護サービス事業者へ契約遵守に対する指導を強化する。
(4)介護保険相談窓口における情報の提供と権利擁護
大田原市においては、平成 11 年 9 月 27 日から、保健福祉部高齢者幸福課内に「介
護保険相談窓口」(以下「相談窓口」という。
)を設置している。
相談窓口は、介護保険に関するあらゆる情報を市民に提供するとともに、介護保険に
関する相談及び苦情等の窓口の役割を担うものである。相談窓口においては、高齢者及
び家族等に対して、次の事業を実施することにより高齢者等の権利を擁護する。
-97-
① 「知る権利」を擁護するため、高齢者等にどこにどのようなサービスがあるのか、
居宅介護支援事業者や介護サービス事業者、介護保険施設の情報を提供する。特に、
県の介護サービスの情報公開制度を有効に活用する。
② 「選ぶ権利」を擁護するため、事業者等のサービスの内容を掲載したパンフレッ
トを作成し情報提供することにより、高齢者等が自由にサービスを選択できる環境
を整備する。
③ 介護サービスに対する苦情・不満については相談窓口において受け付け、必要に
応じ、介護サービス等の内容について調査・点検する。特に、市が指導監督を実施
する地域密着型サービスについては定期的に調査を実施する。
④ 契約内容のとおり適切にサービスが提供されていない場合には、事業者等にサー
ビスの改善を求める。
(5)介護保険の申請漏れの防止
要支援又は要介護状態にありながら、制度を知らない又は理解できないため要介護認
定の申請をすることなく、結果として介護サービスを受けられないというようなことが
ないよう、地域包括支援センター及びそのサポートセンターとしての役割をもつ在宅介
護支援センターの相談援助機能を十分活用するとともに、地域の相談窓口である民生委
員等の協力を得る。
2
高齢者虐待防止の取り組み
高齢者に対する虐待防止については、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する
支援等に関する法律」(以下「高齢者虐待防止法」という。)の趣旨を踏まえ、次のと
おり取り組む。
【高齢者虐待への対応に向けた役割とネットワークづくり】
○高齢者虐待防止法において、高齢者虐待の防止、高齢者虐待を受けた高齢者の迅速
かつ適切な保護及び養護者に対する支援については、市が第一義的に責任を持つ役
割を担うと規定されていることを認識し、地域包括支援センターを中心に、介護保
険事業所、警察等各機関との連携のもと適切に対応する。
○市民に向けた具体的な虐待防止への取り組みとして、市や地域包括支援センターに
よる講演活動や市の広報、パンフレット等を通じて、家庭内における権利意識の啓
発、認知症等に対する正しい理解や介護知識の周知に努める。
○民生委員や自治会などの地域組織との協力・連携、地域住民への普及啓発、保健・
医療・福祉関係機関との連携体制の構築、相談・対応窓口の周知などによって、虐
待を未然に防ぎ、仮に虐待が起きても早期に発見されることにより相談や通報がな
されるよう、虐待の早期発見・対応に努める。
○地域包括支援センターの権利擁護の機能の充実を図り、高齢者や障がい者等が住み
慣れた地域で尊厳を持って暮らすことのできる地域社会の構築を積極的に推進す
る。
○基幹型支援センター又は地域包括支援センターなどに直接の相談があった場合に
は、組織で協議・対応を行うため「コアメンバー会議」や「地域包括ケア担当者会
議」を開催し、関係者同士の問題意識を共有するとともに、関わり方の方向性を一
-98-
致させていく。
3
その他の取り組み
大田原市では、自律的に「歩く」を基本とする「スマートウエルネスシティ」を構築
することにより、健康づくりの無関心層を含む住民の行動変容を促し、高齢化・人口減
少が進んでも持続可能な先進予防型社会を目指す「健康長寿社会を創造するスマートウ
エルネスシティ総合特区」の指定を受けている。
この取り組みにおいて、いくつかの目標を設定しているが、その一つとして、要介護
者の増加率の抑制を挙げており、今後、既に実施している介護予防事業との相乗効果に
より、大きな成果を期待しているところである。
-99-
第5節 新しい介護予防・日常生活支援総合事業への移行
1 新しい介護予防・日常生活支援総合事業
介護保険制度の改正に伴い、これまで国で一律に決められていた要支援 1~2 の者へ
の訪問介護・通所介護サービスが、市の独自事業として位置づけられる。そのため、こ
れまでの介護保険サービスの枠にとらわれず、その地域の既存サービスの活用や、利用
者のニーズにあったサービスを創設し、新しいサービスの給付体制を構築する。
また、市の独自事業への移行により、介護保険の認定を受けていなくてもサービスが
必要な方には、訪問型サービス・通所型サービスの利用が可能になることから、対象者
の状態・ニーズ等を把握した上で、適切なサービスを提供する。
なお、新しい介護予防・日常生活支援総合事業については、平成 29 年4月までに実
施し、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、地域支援体制の充実を図る。
サービスの開発・発掘にあたっては、
「協議体(※)
」等の設置等を通して検討していく。
※協議体
各地域におけるコーディネーターと生活支援・介護予防サービスの提供主体等が参画し、
情報共有及び連携強化の場として中核となるネットワーク。
-100-
2
事業の内容
(1)介護予防・生活支援サービス事業
(事業内容)
サービス事業は、要支援者等の多様な生活支援のニーズに対応するため、介護予防訪
問介護等のサービスに加え、住民主体の支援等も含め、多様なサービスを制度(総合事
業)の対象として支援する。
〇訪問型サービス
要支援者等に対し、掃除、洗濯等の日常生活上の支援及び生活機能低下予防・改善の
ための支援となっており、現行の介護予防訪問介護に相当する。サービスとそれ以外の
多様なサービスとなっている。
訪問介護員等による短時間の生活援助は継続して行い、それ以外の多様なサービスと
しては、雇用労働者が行う緩和した基準によるサービス、住民主体による支援、更に保
健・医療専門職により提供される短期間集中型のサービス、移動支援などを実施し対象
者に適切な支援やサービスを行う。
「要支援者のサービス需要量の把握のためのアンケート」の結果、要支援者の訪問介
護の利用目的は、多い順から「掃除」
「買い物」
「食事の用意」であった。これらの結果
等を参考に「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の移行に合わせて新しいサービ
スを検討していく。
〇通所型サービス
要支援者等に対し、機能訓練や集いの場など日常生活上の支援及び生活機能低下予
防・改善のための支援となっており、現行の介護予防通所介護に相当する、生活機能向
上型のサービスとそれ以外のサービスとなっている。
通所介護員等による機能訓練は継続して行い、それ以外の多様なサービスとしては、
雇用労働者が行う緩和した基準によるサービス、住民主体による支援、更に保健・医療
専門職により提供される短期間集中型のサービスなどを実施し対象者に適切な支援や
サービスを行う。
「要支援者のサービス需要量の把握のためのアンケート」の結果、要支援者の通所介
護の利用目的は、多い順から「交流の場」
「日常動作訓練」
「入浴」であった。これらの
結果等を参考に「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の移行に合わせて新しいサ
ービスを検討していく。
〇生活支援サービス(配食等)
要支援者等に対し、配食や見守り、訪問型や通所型のサービスを一体的に行う事業で
ある。地域での自立した日常生活を支援する 3 つのサービスで、①栄養改善を目的と
し、一人暮らしの高齢者等に見守りとともに配食を提供する事業、②住民ボランティア
による定期的な安否確認や緊急時の対応を訪問により行う事業、③支援の必要な高齢者
-101-
が地域で自立した日常生活を営むための訪問型サービス、通所型サービスに準ずる支援
を行う。
〇介護予防ケアマネジメント
要支援者等に対し、総合事業によるサービス等が適切に提供できるようケアマネジメ
ントするもので、要支援者の状態や置かれている環境に応じて、本人が自立した生活を
送ることが出来るようケアプラン作成を支援する。
(2)一般介護予防事業
(事業内容)
一般介護予防事業は、住み慣れた地域でずっといきいきと自分らしく生活するため、
市町村の独自財源で行う事業や地域の互助、民間サービスとの役割分担を踏まえつつ、
高齢者を年齢や心身の状況によって分け隔てることなく、住民運営の通いの場を充実さ
せ、人と人のつながりを通じて、参加者や集いの場が継続的に拡大していくような地域
づくりを推進する。また、地域においてリハビリテーション専門職等を活かした自立支
援に資する取り組みを推進し、要介護状態になっても、生きがい・役割を持って生活で
きる地域の実現を目指すことを目的として行う事業となっている。
〇介護予防把握事業
民生委員等の協力のもと、地域の実情に応じて収集した情報を活用し閉じこもりなど
の何らかの支援を必要とする人を把握し、介護予防につなげる。
〇介護予防普及啓発事業
介護が必要となる大きな原因である「筋力の低下」
「栄養改善」
「口腔状態の悪さ」
「認
知症」などを予防するために、介護予防の知識や取り組みの普及・啓発を行う。併せて、
それらを行う拠点施設である住民主体の通いの場を充実していく。
〇地域介護予防活動支援事業
介護予防に携わるボランティア等の人材を育てるための研修や、介護予防に資する地
域活動組織の育成及び支援を行う。
〇一般介護予防事業評価事業
介護保険事業計画に定める目標値の達成状況を検証し、一般介護予防事業の評価を行
う。
〇地域リハビリテーション活動支援事業
地域における介護予防の取り組みを強化するために、通所、訪問、地域ケア会議、サ
ービス担当者会議、住民運営の通いの場等へのリハビリテーション専門職等の関与を促
進する。
-102-
3
新しい介護予防・日常生活支援総合事業の実施と予防給付の見直し
平成 27 年度からの介護保険の制度改正に向けて国が策定するガイドライン等を参
考に、平成 29 年 4 月から予防給付のうち訪問介護及び通所介護を新たな介護予防・
日常生活支援総合事業へ移行する。
移行に向けた準備として、専門的なサービスに加え、健康な高齢者を含む地域住民や
NPOなど多様な主体による新たなサービスの提供体制について検討し、要支援と認定
された人やこれに準じた心身の状態にある人に対して必要なサービスが提供できるよ
体制の整備を図る。
-103-
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