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公衆浴場の入浴者用飲料水の水質検査に関する件 (PDF

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公衆浴場の入浴者用飲料水の水質検査に関する件 (PDF
世田谷区職員措置請求監査結果
〔公衆浴場の入浴者用飲料水の水質検査に関する件〕
平成26年5月
世田谷区監査委員
第1
1
請求の受付
請求人
世田谷区 A
2
請求書の提出
平成26年4月4日
3
請求の内容
請求人が提出した「世田谷区職員措置請求書」(別紙)による請求の要旨及
び措置請求は次のとおりである。
(1)請求の要旨
① 平成26年2月当時の世田谷保健所長及び世田谷保健所生活保健課長が、
平成26年2月20日に支払いを決定し、水質検査委託先に支払った24
5,700円は、区が支払うべきものではなく、公衆浴場事業者が支払う
べきものである。
ア 25世保生第3448号にて決裁された公衆浴場の水質検査について
は、世田谷保健所が平成26年3月の世田谷区議会予算特別委員会で認
めているように、本来、公衆浴場事業者が自らの費用負担で行うべき水
質検査であるにもかかわらず、区内公衆浴場の管理監督を担う責任者で
あった世田谷保健所長と、事案決定権者であった世田谷保健所生活保健
課長の決定によって、区の費用負担にて区が実施した水質検査である。
イ 平成17年に、世田谷保健所が本件公衆浴場事業者に対して行った水
質検査に係る指導内容(食品衛生法に基づく24項目の水質検査を命じ
る指導)が誤っており、本件公衆浴場事業者が正しい水質検査(水道法
に基づく50項目の水質検査)を実施し直す必要があることが、平成2
5年世田谷区議会での指摘により判明した。その後、世田谷保健所は、
新たな水質検査(水道法に基づく50項目の水質検査)について区の支
出により実施したものである。
ウ 平成26年2月20日、検査費用として245,700円が区から検
査委託先に支払われたが、同年3月14日の世田谷区議会予算特別委員
会で世田谷保健所生活保健課長が明らかにしている通り、公衆浴場の水
質検査は公衆浴場事業者が自らの費用負担で行うべきものであり、区が
肩代わりして支出した245,700円については、区においては支出
の根拠がなく不当な支出である。
②
よってこれは、理由のない支払いを行った不当な行為であり、結果、区
に245,700円の損害が生じている。
(2)措置請求
世田谷区長に、世田谷保健所長及び当時の世田谷保健所生活保健課長に対
して、245,700円の損害賠償を請求することを求める。
4
請求の要件審査
本件請求については、地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条所
1
定の要件を具備しているものと認め、平成26年4月4日付けでこれを受理し
た。
第2
1
監査の実施
監査対象事項
本件請求については、職員への損害賠償を求めており、請求の要旨から、監
査対象事項は次のとおりとした。
公衆浴場の入浴者用飲料水の水質検査について、区が水質検査委託先へ行っ
た支出が違法又は不当な支出にあたるかどうか。
2
請求人の証拠の提出及び陳述
地方自治法第242条第6項に基づく陳述については、請求人から陳述を行
わない旨の申し出があったため、実施しなかった。
また、新たな証拠の提出はなかった。
3
監査対象部
世田谷保健所を監査対象部とした。
第3
事実関係の確認
監査対象部からの事情聴取及び関係書類等の調査により、次の事項を確認し
た。
1 本件請求に係る公衆浴場について
(1)本件請求において請求人が指摘する「25世保生第3448号にて決裁さ
れた公衆浴場の水質検査」における当該公衆浴場は、いわゆる銭湯であり、
公衆浴場法(昭和23年法律第139号。以下「法」という。)第1条第1
項に規定する「公衆浴場」である。
また、世田谷区公衆浴場法施行条例(平成24年3月世田谷区条例第16
号。以下「世田谷区条例」という。)は、法の施行に関し必要な事項を定め
ており、本件請求に係る公衆浴場は、世田谷区条例第2条第1項に規定する
「普通公衆浴場」に該当する。
(2)本件請求における「公衆浴場事業者」は、法第2条第1項の規定により都
道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長)の
許可を受けて、業として公衆浴場の経営(以下「浴場業」という。)を行っ
ている。
2 公衆浴場についての関係規定
(1)法第3条第1項は、浴場業を営む者(以下「営業者」という。)は、「公
衆浴場について、換気、採光、照明、保温及び清潔その他入浴者の衛生及び
風紀に必要な措置を講じなければならない。」とし、同条第2項は、措置の
基準については、都道府県(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市
又は区)が条例で定めるとしている。
(2)世田谷区条例第4条第1項は「法第3条第2項の規定により条例で定める
措置の基準のうち普通公衆浴場の営業者が講じなければならないもの」を定
2
めており、入浴者用飲料水については、同項第40号において、「入浴者用
飲料水の設備を設ける場合は、その旨の表示をすること。」と規定し、また、
同項第41号は「入浴者用飲料水の水質は、水道法(昭和32年法律第17
7号)第4条第1項各号に定める要件について、それぞれ水質基準に関する
省令(平成15年厚生労働省令第101号)に定める水質基準に適合するも
のとし、かつ、浴用貯水槽を経由しないで供給すること。」と規定している。
(3)法第6条第1項は、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっ
ては、市長又は区長)は、「必要があると認めるときは、営業者その他の関
係者から必要な報告を求め、又は当該職員に公衆浴場に立ち入り、第2条第
4項の規定により付した条件の遵守若しくは第3条第1項の規定による措置
の実施の状況を検査させることができる。」と規定している。
(4)世田谷区保健所長委任規則(昭和50年4月世田谷区規則第33号)第1
条及び別表10の項第4号は、法第6条第1項の規定による報告の要求及び
立入検査の事務について、世田谷保健所長(以下「保健所長」という。)に
委任している。
3 本件公衆浴場の営業者に対する世田谷保健所の対応
(1)本件請求に係る経緯
① 平成25年9月、世田谷保健所は、区内の公衆浴場に関し、飲用に適す
るか否か定かでない水を入浴者用飲料水として当該公衆浴場の利用者に提
供しているという苦情を受けた。
②
同年10月31日、世田谷保健所は、入浴者用飲料水について苦情があ
った公衆浴場(以下「本件公衆浴場」という。)に対し、環境衛生監視員
により立入検査を行った。その結果、本件公衆浴場の浴室の湯カラン水及
び水カラン水並びに浴槽うすめ水カラン水(以下「浴室カラン水等」とい
う。)を本件公衆浴場の利用者に提供していることが判明した。
③
同年11月26日、世田谷保健所は、注意指導票を交付し、本件公衆浴
場の営業者に対して飲用として利用者に提供する場合には、水質基準に適
合すること等を定めた世田谷区条例等を遵守すること、また、飲用以外を
目的として提供する場合は公衆浴場の利用者が飲用しないよう対処するこ
とを指導した。
④ 同年12月26日、世田谷保健所は、立入検査を行い、本件公衆浴場の
営業者に対して、重ねて指導したが改善に至らなかった。
⑤
平成26年2月20日、世田谷保健所は、このままでは本件公衆浴場の
利用者が飲用に適するか否か定かではないカラン水を飲用するおそれがあ
る状態が放置される可能性があったため、公衆浴場の利用者の安全を担保
するため、本件公衆浴場の浴室カラン水等の水質検査(以下「本件水質検
査」という。)を目的とする立入検査を実施することとした。本件水質検
査の内容は、水道法第4条第1項各号及び水質基準に関する省令に定める
3
項目(以下「水道法全項目」という。)及びリン酸塩について行うもので
あった。
⑥
本件水質検査は、リン酸塩については、世田谷保健所試験検査室で行う
こととし、水道法全項目については、外部検査機関に行わせることとし、
同年2月20日、当時の世田谷保健所生活保健課長(以下「生活保健課
長」という。)は「公衆浴場で使用している水の水質検査の実施につい
て」により委託契約を締結することを決定した(平成26年2月20日2
5世保生第3448号)。
⑦
同年2月24日、世田谷保健所は、本件公衆浴場に対し、水質検査を目
的とした立入検査を行い、浴室カラン水等を採水した。
⑧
同年3月20日、外部検査機関から検査結果が届いた。
(2)本件水質検査の支出手続き
① 平成26年2月20日、当時の生活保健課長は、「公衆浴場で使用して
いる水の水質検査の実施について」(平成26年2月20日25世保生第
3448号)により委託契約を締結することを決定するとともに、「水道
法第4条第1項各号及び水質基準に関する省令に定める項目についての水
質検査業務の委託」についての支出負担行為を決定した。
②
本件水質検査の委託契約について、当時の生活保健課長は、世田谷区契
約事務規則(昭和39年3月世田谷区規則第4号)第45条に基づき平成
26年2月20日に委託業者から請書を提出させた。同年2月24日に水
質検査にかかる検体を委託業者に引き渡した。
③
同年3月20日、委託業者から、納品書兼完了届及び、水質検査結果報
告書の提出を受け、同月24日、世田谷区契約事務規則第56条に基づき
検査し、検査合格とした。
④
請求に基づき、世田谷区会計事務規則(昭和40年3月世田谷区規則第
9号)第5条の規定による収支命令者である当時の生活保健課長により平
成26年3月25日に245,700円の支出命令がされ、同年4月4日
に支払い処理がなされた。
4 監査対象部の見解
(1)請求の趣旨
請求書の記載と同じであるので、省略する。
(2)経緯
① 平成25年9月に、区内の公衆浴場に関し、飲用に適するか否か定かで
ない水を入浴者用飲料水として、公衆浴場の利用者に提供しているという
苦情を受けた。
4
②
同年10月に、世田谷保健所は、本件公衆浴場の立入検査を行った結果、
カラン水(井戸水)を本件公衆浴場の利用者に提供していることが判明し
た。このため、世田谷保健所は、その後に行った立入検査の度に、本件公
衆浴場の営業者に対し、井戸水を公衆浴場の利用者に提供する場合におい
て、飲用することを目的として提供する場合は、水質基準に適合すること
等を定めた世田谷区条例等を遵守すること、また、飲用以外を目的として
提供する場合は、公衆浴場の利用者が飲用しないよう対処することを重ね
て指導し、これらを内容とする注意指導票を交付した。
③
本件公衆浴場の営業者に対して、上記のとおり、世田谷区条例等を遵守
するよう重ねて指導してきたが、改善に至らず、このままでは、本件公衆
浴場の利用者が、飲用に適するか否か定かではないカラン水を飲用するお
それがある状態が放置される可能性があったので、世田谷保健所は、公衆
浴場の衛生及び利用者の安全の確保の観点から、本件水質検査を実施する
こととした。そのため、平成26年2月20日、契約権限に基づき当時の
生活保健課長は、本件水質検査を外部検査機関に行わせるため委託契約を
締結した。その後、同年2月24日に本件公衆浴場の浴室カランから採水
した検体の本件水質検査を当該委託契約に基づき行わせ、委託料の支払い
を同年4月4日に行った。
(3)請求人の請求に対する監査対象部の見解
① 公衆浴場についての規定
業として公衆浴場を経営しようとする者は、法第2条第1項により、都
道府県知事(保健所を設置している市又は特別区にあっては、市長又は区
長)の許可を得なければならないとされている。
公衆浴場業を営む者は、公衆浴場について、法第3条第1項により、換
気、採光、照明、保温及び清潔その他入浴者の衛生及び風紀に必要な措置
を講じなければならない。また、同条第2項により、都道府県(保健所を
設置する市又は特別区にあっては市又は特別区)は、条例で法第3条第1
項の措置の基準を定めることとされている。
この規定に基づき、区は、世田谷区条例及び世田谷区公衆浴場法施行細
則(昭和55年5月規則第46号)を定めている。
また、法第6条第1項の規定により、区長は、「必要があると認めると
きは、営業者その他の関係者から必要な報告を求め、又は当該職員に公衆
浴場に立ち入り、第2条第4項の規定により付した条件の遵守若しくは第
3条第1項の規定による措置の実施の状況を検査させることができる。」
とされている。
以上の、公衆浴場における法第2条第1項の規定による営業の許可、法
第6条第1項の規定による立入検査等の権限は世田谷区保健所長委任規則
により保健所長に委任されている。
②
公衆浴場の飲料水の取扱いについて
公衆浴場の飲料水の取扱いについては、世田谷区条例第4条第1項第4
0号に、「入浴者用飲料水の設備を設ける場合はその旨の表示をするこ
と」と定めており、また、同項第41号に、「入浴者用飲料水の水質は、
5
水道法(昭和32年法律第177号)第4条第1項各号に定める要件につ
いて、それぞれ水質基準に関する省令(平成15年厚生労働省令第101
号)に定める水質基準に適合するものとし、かつ、浴用貯水槽を経由しな
いで供給すること。」と定めている。
③
本件水質検査に係る費用の支出について
世田谷保健所は本件公衆浴場の営業者に対して、上記「4(2)」に記
載したとおり、立入検査を行い、世田谷区条例等を遵守するよう重ねて指
導してきた。しかし、改善に至らず、このままでは、本件公衆浴場の利用
者が飲用に適するか否か定かでないカラン水を飲用するおそれがある状態
が放置される可能性があることから、区民への健康影響の観点から必要と
判断し、法第6条第1項の規定に基づき、本件水質検査を実施し、これに
伴う本件水質検査に係る費用の支出を適正に行った。よって、本件水質検
査に係る費用の支出は、違法又は不当なものではない。
また、請求人は、「平成26年2月20日支払いを決定し水質検査委託
先に支払った245,700円は、区が支払うべきものではなく公衆浴場
事業者が支払うべきものである」と主張しているが、上記のとおり、世田
谷保健所はその事務を処理するために必要な経費を支出したものであるか
ら、この主張は、本件水質検査に係る費用の支出が違法又は不当であるこ
との理由とはならないものである。
第4
1
監査の結果
監査の結果、本件請求については、合議により次のように決定した。
判 断
本件請求は理由がないものと認め棄却する。
以下、判断理由について述べる。
2 判断理由
(1)公衆浴場の営業者は、公衆浴場について、換気、採光、照明、保温及び清
潔その他入浴者の衛生及び風紀に必要な措置を講じなければならない(法第
3条第1項)。また、その措置の実施の状況について、区長は、必要と認め
るときは、当該職員に公衆浴場に立ち入って検査をさせることができること
になっている(法第6条第1項)。
営業者が講じなければならない衛生及び風紀に必要な措置の基準は、法第
3条第2項の規定により世田谷区条例第4条に定められている。
したがって、法第6条第1項に規定する措置の実施状況の立入検査は、世
田谷区条例第4条第1項及び第2項の各号に掲げる措置の基準について、そ
の状況を検査することを目的に行われることになる。
なお、立入検査を行う当該職員は、環境衛生監視員とされている(公衆浴
場法施行規則(昭和23年厚生省令第27号)第6条)。
(2)入浴者用飲料水に関しては、普通公衆浴場の営業者が講じなければならな
い措置として、世田谷区条例第4条第1項第40号は、入浴者用飲料水の設
備を設ける場合はその旨の表示をすることを、同項第41号は、水質は、水
6
道法第4条第1項各号に定める要件について、それぞれ水質基準に関する省
令に定める水質基準に適合するものとし、かつ、浴用貯水槽を経由しないで
供給することを求めている。
(3)そこで、本件水質検査委託にいたる状況を見てみると、世田谷保健所は、
平成25年9月に、区内の公衆浴場に関し、飲用に適するか否か定かでない
水を入浴者用飲料水として、当該公衆浴場の利用者に提供しているという苦
情を受け、同年10月31日及び同年12月26日に、本件公衆浴場の立入
検査を行っている。これらの立入検査は、環境衛生監視員が行ったこと、注
意指導票の内容等から、世田谷区条例第4条第1項第40号及び第41号に
関する実施状況の検査を目的に行ったことが認められる。
そして、世田谷保健所は、これらの立入検査に基づき、世田谷区条例等を
遵守するよう指導したものの改善にいたらなかったため、飲用に適するか否
か定かではないカラン水を飲用するおそれがある状態が放置される可能性が
あり、また、指導を継続する必要から浴室カラン水等の水質検査を実施する
ことにしたというのであるから、平成26年2月24日の本件立入検査は、
平成25年10月31日及び同年12月26日の立入検査の一連の経過にお
いて、実施されたことが伺える。
(4)当該浴室カラン水等の水質については、当該浴室カラン水等が世田谷区条
例に規定する水質基準に適合しない水質であった場合には、これを飲用する
利用者の健康に影響を与えるおそれがある。地域住民の健康の増進や公衆衛
生に関する業務を担う世田谷保健所としては、当該浴室カラン水等が水質基
準に適合するかどうかを明らかにする必要があったと認められる。また、こ
れを明らかにしてこそ、本件公衆浴場の営業者に対して、実効があり、かつ
適切な指導を行うことができることにもなる。
すなわち、本件立入検査は、世田谷保健所が、当該浴室カラン水等の水質
が世田谷区条例第4条第1項第41号に規定する基準に適合するものかどう
かを検査することを目的に実施したものであり、本件水質検査は、地域住民
の健康及び環境衛生の観点並びに適切な指導の継続が必要であるとした判断
に基づき実施したことが認められる。
(5)この点、請求人は、普通公衆浴場の営業者は、世田谷区条例第4条第1項
第41号において入浴者用飲料水は水質基準に適合させなければならないと
規定されていることをもって、本件水質検査は営業者が行うべきものであり、
区が本件公衆浴場の営業者のために営業者に肩代わりして支出したと主張す
るようである。
しかし、普通公衆浴場は、地域住民の日常生活において公衆衛生上必要な
施設として利用されるもの(世田谷区条例第2条)であり、本件水質検査の
実施は、委託に係る請書の仕様書に「公衆浴場利用者の安全確保のため」と
記載があるとおり、営業者のために行ったものとは認められない。すでに述
べたとおり、本件水質検査は法第6条第1項の立入検査として実施したもの
であり、地域住民の健康及び環境衛生の観点並びに当該適切な指導のため、
その水質が水道法全項目に適合しているかを世田谷保健所が把握する必要性
から実施されている。
7
(6)当時の生活保健課長は、支出負担行為決定権者であり、収支命令者である。
その他、世田谷区契約事務規則、世田谷区会計事務規則等の関係規定に照
らして、本件水質検査業務の委託に係る支出には、違法又は不当は認めるこ
とはできなかった。
また、保健所長は、生活保健課長に事務を分掌させる者であるが、すでに
述べたとおり、本件水質検査業務の委託に係る支出に関して、違法又は不当
な点は認められない。
(7)以上のとおり、本件公衆浴場の入浴者用飲料水の水質検査について、区が
水質検査委託先に行った支出については、違法又は不当とは認められない。
3
結 論
以上のことから、請求人の主張には理由がないものと判断し、請求を棄却す
る。
添付
(別紙)世田谷区職員措置請求書
(別紙)事実証明書
(1)平成26年2月20日付起案25世保生第3448号「公衆浴場
で使用している水の水質検査の実施について」
(2)(1)に係る支出負担行為決定書(所管決定)(支出負担行為番号
150997)
なお、事実証明書の添付は省略した。
8
世田谷区職員措置請求書
1)請求の要旨
平成26年2月当時の世田谷保健所長並びに世田谷保健所生活保健課長が、平成2
6年2月20日支払いを決定し水質検査委託先に支払った¥245,700は、区が
支払うべきものではなく公衆浴場事業者が支払うべきものである。よってこれは、理
由の無い支払いを行なった不当な行為であり、結果、区に¥245,700の損害が
生じている。本件責任者である世田谷保健所長、支出負担行為の決定権者であった当
事の世田谷保健所生活保健課長に対して¥245,700の損害賠償を求めることを
区長に求める。
請求に至る経緯を以下に記す。
25世保生第3448号にて決裁された公衆浴場の水質検査については、世田谷保
健所が平成26年3月の世田谷区議会予算委員会で認めているように、本来、公衆浴
場事業者が自らの費用負担で行なうべき水質検査であるにもかかわらず、区内公衆浴
場の管理監督を担う責任者であった世田谷保健所長と、事案決定権者であった世田谷
保健所生活保健課長の決定によって、区の費用負担にて区が実施した水質検査である。
平成17年に、世田谷保健所が本件公衆浴場事業者に対して行なった水質検査に係
る指導内容(食品衛生法に基づく24項目の水質検査を命じる指導)が誤っており、
本件公衆浴場事業者が正しい水質検査(水道法に基づく50項目の水質検査)を実施
し直す必要があることが、平成25年世田谷区議会での指摘により判明した。その後、
世田谷保健所は、新たな水質検査(水道法に基づく50項目の水質検査)について区
の支出により実施したものである。
平成26年2月20日、検査費用として¥245,700が区から検査委託先に支
払われたが、平成26年3月14日の世田谷区議会予算委員会で世田谷保健所生活保
健課長が明らかにしている通り、公衆浴場の水質検査は公衆浴場事業者が自らの費用
負担で行なうべきものであり、区が肩代わりして支出した¥245,700について
は、区においては支出の根拠が無く不当な支出である。この支出によって区には¥2
45,700の損害が発生した。
よって、公衆浴場の管理監督についての責任者である世田谷保健所長、支出負担行
為の決定権者であった当時の世田谷保健所生活保健課長に対して¥245,700の
損害賠償を求めることを区長に求める。
2)請求者
世田谷区 A
地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添え必要な措置を請求
します。
平成26年4月4日
世田谷区監査委員あて
事実証明書
1)平成26年2月20日付起案25世保生第3448号「公衆浴場で使用している
水の水質検査の実施について」
2)1)に係る支出負担行為決定書(所管決定)(支出負担行為番号150997)
以上
以上、原文のまま掲載した。
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