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2010年度 センター試験 現代社会の出題傾向

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2010年度 センター試験 現代社会の出題傾向
2010年度 センター試験 現代社会の出題傾向
河合塾講師 昼 神 洋 史 1. 全体的な傾向
表1 出題分野一覧
2010年度センター試験の出題内容は、こ
2007年度
こ数年間の傾向を踏襲しており、大きな変
化はみられなかった。たとえば、出題分野
( 表1 )をみると、
「現代社会」の固有分野
では青年期の特徴、環境倫理・生命倫理、
「政治」分野では基本的人権、国会・内閣・
裁判所、地方自治、政党・選挙・圧力団体、
「経済」分野では現代の市場と企業、財政・
金融、
「国際社会」分野では国際通貨・貿
易体制など、従来から頻出の分野からの出
題が中心となっている。
追
本
○
○
○
追
2009
本
2010
追
本
【現代社会固有分野】
日本の文化と伝統
○
○
情報化社会
大衆社会
○
○
少子高齢化社会
青年期の特徴
○
○
思想の源流
○
西洋近現代思想
○
日本思想
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
また、出題形式( 表2 )では、組合せ問
資源・エネルギー問題
○
○
○
○
題が2009年度の6から2へと減少している
人口・食料問題
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
環境倫理・生命倫理
が、過去数年間を見渡すと、この程度の増
民主政治の原理
は図表問題についても当てはまる。
基本的人権
なお、
「政治・経済」分野の特徴として、
平和主義
が減少し、歴史的事実、制度の内容などに
関する正確な知識を要求される問題の出題
が増加する傾向にあるが、2010年度も同様
であった。また、
「調べ方・学び方学習」に
関する問題は、2007年度・2008年度・2009
○
○
○
○
○
地方自治
○
○
○
政党・選挙・圧力団体
○
○
○
経済体制と経済学説
○
○
財政・金融
○
○
○
○
出題がなかった。
中小企業・農業
○
2010
大問数
6
6
6
6
解答数
36
36
36
36
組合せ
5
2
6
2
図 表
2
2
2
3
平均点
50.31
60.55
60.19
58.76
○
現代の市場と企業
○
2009
○
【経済分野】
日本経済の発展・現状
2008
○
国会・内閣・裁判所
国民所得
2007年度
○
○
年度と連続して出題されたが、2010年度は
表2 センター試験の形式と平均点(本試験)
○
【政治分野】
減は「想定内」といえる。また、このこと
ここ数年、
「常識」的な判断で解ける問題
○
○
○
○
○
○
労働問題
○
○
○
社会保障
消費者問題
○
○
○
○
○
○
○
○
○
【国際社会分野】
国際連合と平和
○
○
冷戦とポスト冷戦
○
○
日本の国際貢献
○
○
○
○
○
国際通貨・貿易体制
○
地域的経済統合
○
○
○
○
○
○
南北問題
2008
本
○
○
○
○
○
○
2. 大問別・小問別の出題分析
表3 再現答案による設問別正答率(河合塾調べ)
(2010年度 センター試験 現代社会)(単位%)
河合塾が実施している再現答案
による正答率( 表3 )を素材とし
設問
番号
て、留意すべき事柄を取り上げて
が2番目に低かった。設問別で見
( 例題1 )は正答率がとくに低か
った。この設問は、条例の制定改
廃請求、議会の解散請求など、地
方自治法で規定されている直接請
求制度に関して、住民投票の実施
正答率
38.3
52.0
71.1
72.1
56.9
14
15
16
17
18
91.6
85.6
60.4
64.6
60.6
小計
6
7
8
9
10
11
12
13
57.2
小計
71.2
78.2
79.2
53.0
29.1
79.8
35.6
56.1
41.0
19
20
21
22
23
83.0
94.6
87.8
89.6
52.4
小計
81.4
小計
55.5
設問
番号
第 6 問
かったようだ。中でも、問11*
第 2 問
がなく、全体として難度がやや高
解答
番号
第 4 問
ても、正答率が80%を超えるもの
1
2
3
4
5
設問
番号
第 5 問
本問は、大問全6問中、得点率
正答率
第 3 問
◇第1問(地域社会の諸問題)
第 1 問
みたい。
解答
番号
解答
番号
正答率
24
25
26
27
28
29
30
31
83.8
54.0
70.9
76.2
76.2
40.6
85.9
42.4
小計
65.0
32
33
34
35
36
66.9
76.5
44.3
73.9
51.4
小計
61.6
※サンプル数は3787人(現役生3070人、高卒生717人)
。
※サンプル全体の平均点(64.5点)は、センター試験の平均点(58.76)よりも、5.74点高い。
※大問ごとの小計は得点率を示す。
が法律上必要な場合を問うもので
ある。受験生は一般に、それぞれ
の請求の成立に必要な署名数や請
求先については学習しているが、
例題1 2010年度 センター試験 現代社会 第1問 問1 1
第1問 二人の高校生(A,B)による次の会話文を読み,下の問い(問1〜5)
それぞれの請求の最終的な取り扱
に答えよ。
(配点 14)
いについては目配りを利かせた学
習を積んでいない。その意味で、
多くの受験生が「虚を衝かれた」
と感じたことだろう。しかし、直
接請求の手続きは、教科書や『ア
クセス現代社会 2010』などの資
料集にも必ず掲載されており、こ
れらを用いた地道な学習を心がけ
ていれば、決して得点不可能な設
問ではない。いずれにしても、近
A:来週の日曜日,隣町との合併の是非を問う
に投票するつもりなの?
住民投票が行われるけど,どっち
ⓐ
B:えっ,高校生に投票する資格があるの? それに,その日は田舎のおばあちゃ
んの所に 家族で出かける予定だから,投票には行けないよ。
ⓑ
A:前に先生が説明していたよ。市の条例では,満16歳以上に 投票資格が認めら
ⓒ
れているって。それに,期日前投票もできるでしょ?
B:でも,合併でいったい何が変わるの? 住所表示くらいじゃないの?
A:それだけじゃないよ。例えば,多くの地方自治体が 財政上の問題を抱えてい
ⓓ
るけれど,合併によって,自治体の行財政が効率的になるって言われているし
……。
B:お金の無駄がなくなるんなら,反対する理由なんてないし,賛成するよ。
A:でも,市が大きくなると,住民の声が届きにくくなるとか,住民サービスの質
が低下するおそれがあるとか,デメリットも指摘されているよ。
B:それは困るね。うーん,どっちがいんだろう。
問1 下線部ⓐに関して,日本の地方自治体において住民投票の実施が法律上必要
な場合はどれか。最も適当なものを,次の①〜④のうちから一つ選べ。
1
① 有権者の50分の1以上の連署により,事務の監査が請求された場合
② 有権者の50分の1以上の連署により,条例の制定改廃が請求された場合
③ 有権者の3分の1以上の連署により,議会の解散が請求された場合
④ 有権者の3分の1以上の連署により,副市町村長の解職が請求された場合
図1 『高校生の新現代社会』p.130
※問題は該当箇所のみを載せています。
*□の中の数字は、解答番号を表しています。
年のセンター入試では、このよう
な詳細な知識を要求する設問が増
加傾向にあるから、それに備えて
日頃の学習の精度を高める努力が
求められるだろう。
◇第2問
(国境を越える人の移動)
例題2 2010年度 センター試験 現代社会 第2問 問4 9
第2問 次の文章を読み,下の問い(問1〜8)に答えよ。(配点 22)
近年, 国境を越える人の移動が世界中でますます盛んになっている。国境を越
ⓐ
えて移動する人のなかには, 民族や 宗教の対立などにより祖国を離れざるを得
ⓑ
ⓒ
ない 難民もいれば,より良い就労機会を求めて外国に向かう人々もいる。しかし,
ⓓ
外国人の受入れに対しては,積極的な態度をとる国もある一方で,慎重な態度をと
る国もある。
本問は、大問全6問中、正答率
日本は,外国人を受け入れることに慎重な姿勢をとり続けてきたと言われる。
が最も低かった。正答率が80%を
労働者の受入れについても,日本はこれまで消極的であった。しかし,近年,フ
ⓔ
ィリピンやインドネシアとの間で EPA(経済連携協定)が締結され,看護・介
ⓕ
護分野への外国人労働者の受入れが進みつつある。この動きの背景にあったのは,
超える設問がないことに加え、三
つの設問で正答率がかなり低かっ
たからである。まず、問49( 例
題2 )は30%弱の正答率で、全
これらの分野における 人手不足である。だが,これには異論がなかったわけでは
ⓖ
ない。例えば,労働環境の改善により人手不足の解決を図る方が先決だという指摘
もあった。
36問中、最低を記録した。誤答が
外国人の受入れに慎重と言われる日本でも,実際には,200万人を超える外国人
集中したのは④で、この選択肢だ
が様々な理由で生活しており,そうした
けで50%強の選択率を示した。
「出
入国管理及び難民認定法」という
外国人の数は2007年までの10年間で1.5
ⓗ
倍になるなど大きく増加してきた。それに伴い,一緒に来日する家族に対する教育
や日本社会への適応の支援をどうするかといった問題も生じている。
国境を越える人の移動の増加という「グローバル」な現象が,
「国内」の労働問
法律そのものを知らず、
「これが
題や教育問題にも大きな影響を及ぼす時代になった。我々は世界の動きにも目を向
怪しい」と判断した受験生が多数
けつつ,人の移動がもつ多様な側面を理解した上で,今後,どのような社会を築い
に上ったと推測される。しかし、
ていくかを考える必要がある。
多少迷ったとしても、難民条約が
問4 下線部ⓓに関する記述として適当でないものを,次の①〜④のうちから一つ
保護の対象とする「難民」とは政
治難民であるということは基本的
な知識に属するから、①が誤りと
判断することができなくてはなら
ない。この結果は、はからずも、
受験生の学習の底の浅さを浮き彫
りにしたといえそうだ。
また、問6( 例題3 )と問8
選べ。
9
① 難民条約上,難民とは,大規模な自然災害や戦争・国内紛争のために国外
に逃れた者を言う。
② 難民条約は,迫害にさらされるおそれのある国に難民を追放・送還するこ
とを禁止している。
③ 国連は,難民保護などを目的とする機関として,UNHCR(国連難民高等
弁務官事務所)を設立した。
④ 日本は,難民条約への加入に当たって,出入国管理及び難民認定法を定め,
難民を認定する手続を整えた。
( 例題4 )の正答率は、それぞ
れ約36%と41%であった。問6
で誤答が集中したのは③で、約45
%の選択率を示した。しかし、下
線部の直後を読めば、この選択肢
は誤りと判断できるはずである。
問 題 文 中 に、 日 本 はEPA( 経 済
連携協定)に基づいて看護・介護
分野への外国人の受け入れを進め
ているという趣旨の記述があり、
ここからEPAはモノの取引を中
心 と す るFTA( 自 由 貿 易 協 定 )
よりも対象分野が広範囲にわたる
例題3 2010年度 センター試験 現代社会 第2問 問6 11
問6 下線部ⓕに関連して,EPAやFTA(自由貿易協定)に関する記述として最
も適当なものを,次の①〜④のうちから一つ選べ。
11
① NAFTA(北米自由貿易協定)を形成するアメリカ・カナダ・メキシコの
3か国は,共通の通貨を採用している。
② WTO(世界貿易機関)の無差別の原則に反することから,WTOは加盟国
がFTAを締結することを認めていない。
③ 日本の推進しているEPAは,投資ルールや知的財産制度の整備が含まれな
いなど,FTAよりも対象分野が限定されている。
④ アメリカと中国は日本の貿易相手国上位2か国であるが,日本はいずれの
国ともEPA・FTAを結んでいない。
と推測できるはずである。一方、
例題4 2010年度 センター試験 現代社会 第2問 問8 13
問 8 で は③ に 誤 答 が 集 中 し た
(約36%)
。この選択肢の内容は、
受験生にとって判断がやや難しい
かもしれない。しかし、ここで迷
ったとしても、④が正解と判断で
きることが望ましい。なぜなら、
④は最高裁の違憲判決という、受
験生なら必ず押さえておかなくて
はならない事柄だからである。セ
ンター試験では、受験生が「見た
問8 下線部ⓗに関して,日本に入国する外国人や日本で生活している外国人の現
状に関する記述として最も適当なものを,次の①〜④のうちから一つ選べ。
13
① 日本は,入国する外国人に対して,指紋と顔写真を提供することを原則と
して義務づけていたが,現在ではこうした制度は廃止されている。
② 一国の労働力人口全体に占める外国人労働者の割合は,日本はアメリカよ
りも低かったが,バブル崩壊以後,外国人労働者の受入れが進んだ結果,ア
メリカよりも高くなった。
③ 労働基準法には,不法就労をする外国人労働者は適用対象外であると明記
されている。
こともない」ような内容を問う選
④ 日本人の父と外国人の母から生まれた子どもが,父母が婚姻をしていない
択肢が出てくることがあるが、そ
ことなどを理由に,日本国籍を取得できないとされた事例について,国籍法
の場合でも、基本的な知識を確実
の規定が違憲であるという判決を最高裁判所が下した。
に習得していれば、正解にたどり
着くことができるように工夫され
ている。要は、やはり、基本的な
知識を問題に応じて使いこなせる
かどうかである。
例題5 2010年度 センター試験 現代社会 第3問 問3 16
第3問 次の文章を読み,下の問い(問1〜5)に答えよ。(配点 14)
◇第3問
あなたはなぜ,大学で学ぼうとしているのだろうか。大学という 教育の場で学
ⓐ
ぶことには,どのような意味があるのだろうか。
(青年の社会参加とキャリア開発)
これまであなたは,与えられた課題を中心に勉強してきたかもしれない。しかし,
青年期の分野からの出題は、例
大学では,自分の関心と知への欲求から学びが始まる。自然の不思議さに胸躍らせ
年、平均点が高くなる傾向がある
が、本問も相対的に高い得点率を
たり,芸術作品に心震わせたり,社会の問題に憤ったりしたことは,あなたにもあ
い
るだろう。それらはすべて,大学では学びにつながる。学んだ経験が活きて,やり
示した。とくに、教育基本法の内
たいことが見つかったり, 自分の適性や能力に合う職に就いたりするようになる
ⓑ
かもしれない。つまり,学ぶことはあなた自身のためになる。
容に関する問1と、図の読み取
しかし,学びは,個人的なことにとどまらず,社会的な意味をもちうる。あなた
り問題である問2は、いずれも
がふと抱いた疑問が,既成の学問や科学を見直す契機となり,知の創造や新たなア
正答率が85%を超えた。
そうした中で、問3と問5
で得点率が約60%と低迷したのは、
やや意外である。いずれも、基本
イディアの提案に至ることもある。多面的な見方や論理的な思考方法を身につける
ことで,物事の社会的意義や功罪などを的確に判断することが可能になる。仲間と
対話し協働することを通して,問題に深く取り組むことも可能になる。つまり,学
ぶことは,社会をより良くすることにつながっており, 社会参加の第一歩でもあ
ⓒ
る。
的な知識を問うもので、正解以外
の選択肢は明らかに誤りと判断で
きる記述内容になっているからで
ある。たとえば、問3( 例題5 )
は ① と ④ の選択率がそれぞれ15%
前後を示したが、①の「アンガジ
ュマン」は「リースマン」ではな
くサルトルの提唱した概念である
問3 下線部ⓒに関連して,社会参加に関する事象や考え方についての記述として
最も適当なものを,次の①〜④のうちから一つ選べ。
16
① リースマンは,アンガジュマンの概念を示し,個人がある行為を選ぶこと
は,同時に人類全体のあり方を選ぶことであるとした。
② マザー・テレサは,愛と奉仕の精神に基づき,インドのコルカタ(カルカ
ッタ)を拠点に,ハンセン病患者や貧困者などの救済に尽力した。
③ 日本では,労働者はボランティア休暇を取得できることが,労働基準法に
明記されている。
ということや、④の前半部分の記
④ 障がいのある人もない人も共に生活する社会を目指すフェアトレードの考
述内容が「フェアトレード」では
えに基づき,建物や製品にユニバーサルデザインが導入されている。
なく「ノーマライゼーション」に
関するものであるということは、
容易に判断できなくてはならない。
また、問5は詳細な知識を要求
するものではなく、文脈を丁寧に
追っていけば正解を導き出すこと
ができる問題である。こうしたこ
とを前提とした場合、青年期から
の出題だからといって、当然のご
とく高得点を期待できると高をく
くると、
「痛い目にあう」ことも
あるといえそうだ。
◇第4問(地球環境問題)
本問は、ほとんどの設問で正答
率が80%を超えたこともあって、
得点率も大問全6問中、最も高か
った。中でも、問2の正答率は、
全36問中最高の94.6%を示した。
ただし、南北問題や地球環境問題
への国際的な取組みに関する問5
( 例題6 )だけは、正答率が約
第4問 次の文章を読み,下の問い(問1〜5)に答えよ。(配点 14)
人間の活動が 地球環境への負荷を高める要因の一つとして,人間の活動に伴う
ⓐ
資源消費の増大が挙げられる。人間による資源消費は,
「一人あたりの資源消費」
とら
と「人口」という,二つの因子の積で捉えることもできる。このとき,資源消費の
増大にどちらの因子がより大きく影響しているかは,開発途上国と先進国でそれぞ
れ異なる。
52%と低めに出た。アジェンダ21
開発途上国における消費資源の増大は, 人口の増加による影響が大きいと言わ
ⓑ
れる。多くの開発途上国では,死亡率が低下している一方で,高い出生率が続いて
がリオデジャネイロで開催された
いる。人口が増加すれば,たとえ一人あたりの資源消費が少ないままでも,人々の
国連環境開発会議
(地球サミット)
生活や産業を支える 食糧や水,エネルギーなどの資源がさらに必要となる。
ⓒ
他方,先進国における資源消費は,一人あたりの資源消費の影響が大きいとされ
で採択されたという事実は、受験
生にとって基本事項に属するから、
④が明らかに誤りと判断できそう
なものである。にもかかわらず、
正答率がそれほど上がらなかった
ということは、決定的な学習不足
のままセンター入試に突入してし
まった受験生が少なからずいたと
いうことになる。
なお、国連人口基金(UNFPA)
に関する②、日本の国際協力機構
(JICA)に関する ③ の選択率がそ
れぞれ18%を超えた。これらの機
関については教科書に詳しい説明
が載っていないこともあり、正誤
判断に苦しんだことだろう。知ら
ないことが書かれているとそれに
飛びつきたくなるという受験生の
「習性」が裏目に出たのかもしれ
例題6 2010年度 センター試験 現代社会 第4問 問5 23
る。先進国のライフスタイルは大量消費型であり,例えばOECD(経済協力開発機
構)諸国の一人あたり一次エネルギー消費(石油換算)は,非OECD諸国の何倍に
も及んでいるのである。人口については,先進国の多くで出生率が下がっており,
少子化が問題となっている国もある。しかし,人口がさほど増加していなくても,
ⓓ
一人あたりの資源消費が減少するようにライフスタイルが変化しなければ,資源消
費に伴う環境への負荷は軽減しない。
このように,状況は異なるが,世界の国々は資源消費によって環境に負荷をかけ
ており,その影響も一国内に限定されるものではない。資源消費を抑制し,地球環
境問題を解決するためにも, 国際的な取組みを進めていくことが不可欠である。
ⓔ
問5 下線部ⓔに関する記述として適当でないものを,次の①〜④のうちから一つ
選べ。
23
① 国連環境計画(UNEP)は,ストックホルムで開催された「国連人間環境
会議」の合意を受けて設立された国連機関である。
② 国連人口基金(UNFPA)は,人口問題という切り口から開発途上国を支
援している。
③ 日本では国際協力機構(JICA)が,開発途上国に対する技術協力のため
に開発途上国からの研修生を受け入れている。
④ アジェンダ21は,ヨハネスブルグで開催された「持続可能な開発に関する
世界首脳会議」で採択されたものである。
ないが、仮にこれらの選択肢で迷
ったとしても、最終的には④が誤
りと判断できなくてはならない。
◇第5問
例題7 2010年度 センター試験 現代社会 第5問 問6 29
(市場経済と消費者問題)
本問は、正答率が40%台前半の
設問が2問(問6、問8)あ
ったため、全体の得点率も伸びな
かった。まず、問6( 例題7 )
では、正解の④で公判前整理手続
が出題されたが、この制度の存在
を知らない受験生が少なからずい
たと思われる。これが得点率の低
さにつながったのだろう。しかし、
この制度は裁判員制度との関連で
重要なものであり、今後も出題さ
れる可能性がある。また、③で被
告が理由なく裁判に欠席した場合、
公務執行妨害罪(公務員の職務執
行に対し暴行などを加えた場合に
成立する犯罪)に問われるかどう
かの判断が求められているが、解
答に苦しんだ受験生が多かったよ
うだ。実際、4人に1人以上が ③
を正解としていた。この犯罪名は、
受験生もよく耳にすると思われる
が、その具体的な内容については
気をつけたことがないだろう。受
験生にとっては「悩ましい」問題
だったかもしれない。
また、問8( 例題8 )も正答
率が低迷した。誤答が集中したの
は④で、ほぼ3人に1人がこの選
択肢を正解としていた。②の選択
第5問 次の文章を読み,下の問い(問1〜8)に答えよ。(配点 22)
現在,食品偽装や悪質商法などをめぐって 企業と消費者の間に様々なトラブル
ⓐ
が発生している。 企業と消費者との間にある情報の質や量,交渉力などの格差が
ⓑ
その一因である。消費者は, 市場における取引に必要な情報を十分に持たなかっ
ⓒ
たり,他の選択肢がなかったりする状況で特定の取引を行ってしまうことがしばし
ばある。その結果,望まないものや安全でないものを購入してしまうことがある。
消費者は,こうしたトラブルの解決に向けて企業と交渉することが必要である。
だが,そのような当事者の努力によってもトラブルが解決されなかったり,類似の
トラブルが頻発したりするような場合,社会的な対応も求められる。そこにはいか
なる主体がかかわり得るだろうか。以下のようなケースが考えられる。
まず,国などの公的機関が主導して, 消費者の利益を保護するルールを作り,
ⓓ
消費者保護の仕組みを整えることがあり得る。1968年制定の消費者保護基本法や
1994年制定の製造物責任法(PL法)はその好例である。また,第三者である民間
機関が,消費者全体の 利益の実現のために情報収集やトラブル防止の活動などを
ⓔ
することもあり得る。消費者契約法は,国の認定した消費者団体に,企業の不当な
行為をやめさせるよう 裁判を起こすことを認めている。さらに,マスメディアが
ⓕ
トラブルの実態を広く知らせることもあり得る。これは,トラブルの早期発見・解
決だけでなく,トラブルの未然防止のための政策づくりに向けた 世論の形成にも
ⓖ
有効である。
このように,企業と消費者との間で発生するトラブルの解決と防止に向けては,
取引の当事者だけに任せるのではなく,社会的な対応も行うことが重要である。
問6 下線部ⓕに関して,日本の裁判制度についての説明として最も適当なものを,
次の①〜④のうちから一つ選べ。
29
① 刑事裁判において有罪判決を受けた者を,さらに民事裁判で責任追及する
ことは,憲法上許されない。
② すべての裁判官は,弾劾裁判所の裁判により罷免の判決を受けない限り,
罷免されることはない。
③ 民事裁判において,被告が理由なく裁判を欠席した場合,公務執行妨害罪
に問われる可能性がある。
④ 裁判員制度の対象となる事件は,公判の審理を継続的,計画的,迅速に行
うために,公判前整理手続に付される。
率も比較的高く、15%を超えた。
しかし、この結果は意外である。
なぜなら、この設問は特定の知識
を前提とするものではなく、問題
文で述べられていることを手がか
りにして判断すればよい問題で、
問われている内容も難しいわけで
はないからである。それどころか、
むしろ、得点しやすい問題のはず
例題8 2010年度 センター試験 現代社会 第5問 問8 31
である。この種の問題で失点して
いるようでは、高得点をものにす
ることはできないだろう。
◇第6問
(経済のグローバル化)
問8 本文では消費者問題に対する,当事者以外による社会的な対応について三つ
のケースが挙げられていた。近年の日本における代表的な消費者問題として,
「銀行,消費者金融会社,クレジットカード会社などからの多額の借金を抱え
て返済できなくなること」がある。この問題への対応として本文の三つのケー
スに該当しないものを,次の①〜④のうちから一つ選べ。
23
本問は、正答率が80%を超えた
設問がなかったこともあり、全体
の得点率も伸びを欠いた。問3
( 例題9 )の正答率が45%を割り
込んだことも、これに拍車をかけ
た。この設問は、UNCTAD(国
連貿易開発会議)に関する ② と、
IMF(国際通貨基金)に関する④
① 国が,地方自治体に,問題を抱える借り手側にどう対応したらよいかを示
した相談の手引を配布する。
② 新聞が,この問題に関する特集を組み,具体例,問題発生の仕組み,問題
解決の方法などを紹介する。
③ 借り手側である消費者が,収支のバランスをチェックするなどして,無駄
な支出と借りすぎを抑えるようにする。
④ 国の認定した消費者団体が,貸し手側である企業に対し,消費者の利益を
さしとめ
不当に害する契約条項に関して,差止請求の裁判を起こす。
については、その目的や設立の経
緯について基本的な知識をもって
いれば、容易に誤りと判断できる
(逆にいえば、これらの選択肢を
選んだ受験生は、基本事項をしっ
かり習得していないといわざるを
得ない)
。
しかし、残り二つの選択肢では、
正誤判断の基準を何に求めればい
いのか、わからなかったと思われ
る。まず、正解の①では、UNDP
(国
連開発計画)が導入した指標であ
るHDI(人間開発指数)を問題に
しているが、このような指標があ
ること自体、初耳という受験生も
いただろう。また、③ではIBRD
(国
第6問 次の文章を読み,下の問い(問1〜5)に答えよ。(配点 14)
経済のグローバル化が進み,近年ますますカネやモノの移動が活発になってきた。
発展途上国のなかには,この 経済のグローバル化の恩恵を受けて経済発展を遂げ
ⓐ
てきた国もある。例えば,中国やインドは外国から資本や技術を積極的に受け入れ
て経済成長している。アジアNIES(新興工業経済地域)も貿易取引を中心に産業
構造の高度化を図った結果,一人あたりの国民所得が日本に並ぶ国も出てきた。
しかし,経済のグローバル化は弊害も招き得る。米国のサブプライムローン問題
を引き金として発生した世界的な経済危機は,グローバル化に伴う複雑な相互依存
関係の深まりが引き起こす問題の深刻さを如実に物語っている。 1990年代後半に
ⓑ
生じたアジア通貨危機も,グローバル化によって引き起こされた危機の一つだった。
タイや韓国,インドネシアは外国から短期資本を積極的に受け入れることによって
急速な経済成長を遂げていたが,いったん歯車が資本流出へと逆転してしまうと,
急激な経済の悪化に直面した。こうした国々は,IMF(国際通貨基金)などの
国際
ⓒ
機関から金融支援を受けたが,経済の立ち直りには相当の努力と時間を要した。ま
た,資本取引だけでなく貿易取引に関する交渉においても,相手国の市場開放を求
際復興開発銀行)の存在は知って
める国と,自国の産業を保護したい国との間で対立が起きる場合もある。カネやモ
いても、日本が加盟後にこの機関
ノを通じて 国家間の相互依存関係が深まる以上,摩擦は生じ得る。
ⓓ
世界的な金融・経済危機に立ち向かう上で,経済のグローバル化が持つ功罪を踏
の支援を受けたかどうかというこ
とについては知らない受験生が多
数を占めただろう。多くの受験生
が正誤判断の「決め手」を見いだ
せないままに解答せざるを得なか
ったと推測される。
ただし、これらの選択肢で問わ
れていることは、けっして“手も
足も出ない”ものではない。学習
の過程で1回でもふれる機会があ
例題9 2010年度 センター試験 現代社会 第6問 問3 34
まえ,弊害を和らげる努力がこれまで以上に求められている。そのためには,各国
政府や国際機関,さらにNGO(非政府組織)などが,資金や技術,人材育成の面
で一層協力することが必要であろう。そのなかで 日本が貢献できることは少なく
ⓔ
ないはずである。
れば、すぐにでも習得可能な知識
が問われている。得点できるかど
うかの分かれ目は、やはり目配り
の利いた学習を行っているかどう
かにあるといえよう。
問3 下線部ⓒに関する記述として最も適当なものを,次の①〜④のうちから一つ
選べ。
34
① UNDP(国連開発計画)は,開発援助の新たな指標として,出生時平均余
命や識字率などを加味して算出されたHDI(人間開発指数)を導入した。
② UNCTAD(国連貿易開発会議)は,先進国間に存在する経済格差を,貿
3.「倫理」分野からの
出題に備えて
「倫理」分野からの出題は、頻
出というわけではない。しかし、
易を通じて解消することを目的として設立された。
③ IBRD(国際復興開発銀行)は,第二次世界大戦後,加盟国の復興・開発
支援を行ったが,日本は加盟後もその支援を受けずに経済発展を遂げた。
④ IMFは,米国がドルと金との交換を停止したニクソンショックを契機とし
て,国際収支の赤字国に援助を行うために設立された。
2010年度にも出題例[第2問の問
38( 例題10 )
]があるし、ここ
数年間に限ってもいくつか出題例
例題10 2010年度 センター試験 現代社会 第2問 問3 8
※p.3にリード文あり。
があるので、準備を怠らない方が
いいだろう。
たとえば、2008年度の本試験で
は「ベンサム」
「マルクス」
(第1
問の問5)
、
「大乗仏教」
「アニミ
ズム」
(第3問の問3)などが出
題された。また、2007年度の追試
験では「プラトン」
「パスカル」
「夏
目漱石」
「西田幾多郎」が出題さ
れ た( 第 1 問 の 問 5)
。 さ ら に、
問3 下線部ⓒに関して,いわゆる世界三大宗教の特徴に関する次の記述ア〜ウと,
その宗教を信仰する人口が一国のなかで最も多数を占めるアジアの国名A〜C
との組合せとして最も適当なものを,下の①〜⑥のうちから一つ選べ。
8
ア 唯一神に服従し,信仰箇条である六信や信仰行為である五行を守ることの
大切さを説く。
イ 唯一神を崇拝し,神の愛(アガペー)を自覚することや,神の愛を周囲の
人に実践する隣人愛の大切さを説く。
ウ あらゆるものは相互依存しているととらえ,他者により生かされる自分を
自覚することや,慈悲の心の大切さを説く。
2006年度の本試験では「カント」
「サルトル」に関する出題例がみ
られる(第1問の問5)
。
これらの思想や思想家について
は、いくつかの教科書にも掲載さ
A タ イ B インドネシア C フィリピン
① ア-A イ-B ウ-C ② ア-A イ-C ウ-B
③ ア-B イ-A ウ-C ④ ア-B イ-C ウ-A
⑤ ア-C イ-A ウ-B ⑥ ア-C イ-B ウ-A
れており、なかにはかなり詳しい
説明が載っているものもある。ま
た、
『アクセス現代社会 2010』な
ど、資料集にも掲載されている。
これらを素材にして学習すれば、
“いざ”というときの備えになる
だけでなく、さらなる高得点を狙
うこともできるだろう。
図2 『アクセス現代社会 2010』p.39
小論文の出題傾向と対策:
「何が問われているのか」
「どのように答えるか」
河合塾 新 田 裕 之
医療問題を主題とした「課題文読解・論述型」
第1章 2010年度小論文の傾向分析
の問題は、医療系のいわゆる「定番」である。出
題は国公立大・私大を通じて多く、全体のおよそ
(1)はじめに
近年、出題形式・内容ともに多様化する傾向が
2割程度の問題が、この形式をとる。課題文では
以下の主題が取り扱われることが多いので、十分
に注意して欲しい。
著しいといわれる小論文入試であるが、
「医療系
(医・薬・福祉・看護学部)
」
「自然科学系(理・
工学部)
」
「社会科学系(法・政治・経済・経営・
商学部)
」
「人文系(文・外国語学部)
」
「教育系」
といった大きなセクションごとに整理していくと、
そこには一定の傾向を見出すことができる。以下、
そうした全般的傾向について、各セクションごと
a)
医療者・患者・家族間のコミュニケーション
をめぐる問題。
b)
医療のパターナリズム・患者の自己決定権・
インフォームドコンセント・QOLなどをめ
ぐる問題。
c)
バイオテクノロジー・先進医療技術などと関
に概説していこう。
連づけて、生命倫理・死生観などを問い直す
※ なお、ここでいう「小論文」には、いわゆる
問題。
総合問題(総合テスト・総合問題・総合学力試
験などと呼称される)も含まれる。狭義の「小
論文」と「総合問題」との区別が曖昧で、両者
d)
生活習慣病・感染症など、現代社会における
健康・衛生問題。
e)
少子高齢化問題・障害者介護など福祉問題。
に重なり合う部分が多いためである。
※ また、本稿の末尾に実際の出題例をピックア
その他、私大の福祉・看護学部を中心に、人文
ップし、一覧表とした。併せ見ていただき、理
的な主題を扱う「課題文読解・論述型」問題も多
解の一助となれば幸いである。
い。その内容としては、現代社会における人間関
(2)医療系の全般的傾向
係、現代人の生き方、現代日本文化論など、
「現代」
「人間」をキーワードとするトピックが目立つ。
なお、国公立大医療系の小論文入試の傾向とし
ポイント
★定番は、医療問題を主題とした
「課題文読解・
論述型」問題。
て特筆しておきたいことがある。それは、英文問
題の多さである。小論文を課す国公立大学のうち、
全体の出題数の2割を超える問題(医・薬学部だ
★私大福祉・看護学部などでは人文的な主題を
けに絞れば実に4割以上)が、英文問題であると
扱う「課題文読解・論述型」問題もある。
いうことだ。英文の内容は医学や医療のあり方を
★国公立大(とくに医学部)は英文問題が多い。
自然科学を主題とした英文もある。
主題とするものが多いが、それだけでなく、自然
科学を主題とした専門性の高い内容のものも見ら
★医学部では「理科論述型」問題にも注意。
れる。
★薬学部では「教科型」問題も多い。
英文問題と併せて、とくに国公立大医学部では、
「理科論述型」問題の出題が多いことにも気をつ
けなければならない。こうしたタイプの問題では、
定のテーマを与え、それについて論述させる(○
与えられた課題文や資料(英文の場合もある)を
○について論じなさいというような)
、
「テーマ型
正確に読み取ったうえで、高校で学んだ生物学や
問題」
が散見される。そのテーマは、必ずしも
「自
化学などの知識を活用して論理的な思考を展開し
然科学系」に限られず、人文的な主題が取り上げ
なくてはならない。
られることもある。
なお、国公立大薬学部では「教科型」問題も多
い。このタイプの詳細については、次に述べるこ
(4)社会科学系の全般的傾向
ととする。
(3)自然科学系の全般的傾向
ポイント
★社会科学的思考を問う、
「課題文読解・論述
型」問題が多い。
ポイント
★自然科学系小論文は国公立大に多い。
★高校で学ぶ教科の知識で客観的に解答できる
「教科型」問題が多い。
★
「理科論述」型問題や英文問題にも注意。
★私大では人文的な主題を扱う「テーマ型」問
題もあり。
★国公立大では「教科型」問題が出題される場
合もある。
★国際系の学部では、国公立大・私大を問わず
英文問題が出題される傾向。
★私大を中心に、
「図表分析型」問題・社会科
学系の「テーマ型」問題が出題される場合も
ある。
自然科学系小論文を課す理・工系の学部は、そ
社会科学系小論文の傾向として、まず第1に、
のほとんどが国公立大である。このセクションの
「社会科学的思考」を問う「課題文読解・論述型」
出題形式として特徴的なのは、
高校で学ぶ教科
(物
の問題が多いことがあげられる。この傾向は、国
理・化学・生物・地学等の理科科目)の知識によ
公立・私大で大きな相違はなく、いずれも全体の
って、ほぼ客観的に解答が決まる「教科型」問題
出題数の5割を超える問題が、このタイプの問題
が多いことであろう。全体のおよそ3割の問題が、
となっている。課題文では以下のような主題が取
こうした形式をとる。
り扱われる。
むろん、それだけではない。課題文や資料を読
み取り、教科の知識を活用しつつ論理的な思考を
法・政治学部
展開する「理科論述型」問題も、同程度の頻度で
a)
自由・平等・基本的人権・公益と私益の緊張
出題されている。出題される論点は、学部・学科
関係といった、立憲主義の基本原理をめぐる
に関係する、やや専門性のあるものが多い。国公
問題。
立大の小論文試験では、いくつかの問題があわせ
b)
国家と市民社会・議会制民主主義の実情・大
て出題されることもあり、大問1は「教科型」
、
衆社会における政治のあり方・国民の政治参
そして大問2では学部傾向的な「理科論述型」と
加といった、民主的統治に関する問題。
いった複合的構成の試験も予想されるので、十分
c)
国際社会の平和的秩序・外交・安全保障問題。
注意して欲しい。
経済・経営・商学部
なお、医療系ほどではないにせよ、およそ全体
d)
市場経済の特徴や、その限界についての問題。
の1割の問題(ただし国公立大)が英文問題であ
e)
国際通商問題。
ることにも注意したい。
f)
企業の社会的責任
(CSR)
やBOPビジネスなど、
一方、実施総数は多くないものの、私大では一
今後の企業経営のあり方や理念に関する問題。
10
両者に共通する問題群
する手間が省けるぶん、取り組みやすい)
。しかし
g)
社会福祉・環境問題・雇用や労働・男女共同
ながら、
「図表分析型」問題に対応するには、さら
参画社会・地域社会の活性化など、現代日本
なる技術が必要だ。環境・人口・食料・少子高齢
社会が抱えている重要課題。
化・雇用や所得など、このタイプの問題における
h)
先進国と発展途上国との格差・人口問題・食
料問題など、グローバル化する国際社会が直
面する問題。
頻出事項を題材とした資料に目を通し、普段から
その特徴や意味を確認しておく必要があるだろう。
(5)人文系の全般的傾向
ここで留意して欲しいのは、
「cあるいはgや
hといった現代社会の問題は、a・b・dといった
原理的な問題に還元して考察可能」だという点で
ある。このように、現に存在する社会的問題を、
ポイント
★
「課題文読解・論述型」の問題が多い。とく
に課題文要約付きの小問をもつものが多い。
ある基本原理に立ち返って評価・批判し直したり、
★課題文は人文的主題をもつものが多い。
それらの問題の原因を客観的に分析したうえで、
★国公立大では全体のおよそ25%の問題が英
具体的な解決策を提言していくプロセスが、
「社会
科学的思考」のエッセンスであるといえるだろう。
国公立大では、
「教科型」の問題が出題される
文問題の形式。
★国公立大では
「教科型」
、私大では
「テーマ型」
の問題もあり。
場合もある。そこでは、公民・地歴などの社会科
科目のほか、数学の基礎知識が問われることもあ
人文系(文・外国語学部)小論文の特徴は、国
る。こうした「教科型」問題の出題割合は全体の
公立大・私大ともに、人文的な主題を扱う「課題
15%程度ではあるが、志望校の過去問を確認して、
文読解・論述型」が多いということである。私大
早いうちから対策を練っておくことが望まれる。
では全体の5割強、国公立大でも4割を超える問
また、当然のことながら、国際系(国際法・国
題が、この形式をとる。また、課題文に対して
「要
際政治・国際経済)の学部・学科では、しばしば
約」を求める傾向が見られ、課題文の正確な内容
英文問題が出題される傾向がある。とくに国公立
理解に一定のウエイトを置いていることがうかが
大の国際系学部・学科では、全体の25%程度が英
える。これは概念的・抽象的なテキストを正しく
文問題となっている。国際系では、先に示した諸
理解することが求められる「人文系」の特質から
論点のほか、人間関係論や文化論(現代日本文化
考えて、当然の要求であろう。受験生は、現代国
の特質・異文化理解・文化交流)など、やや人文
語の授業などで一般的な要約技術を身につけてい
寄りの主題が取り扱われる場合もあり、こうした
ると思われるが、小論文試験では、
「教科書的」
問題が「英文」を通じて出題されることも想定し
な文章よりも難解でクセのある課題文が示される
ておくべきだろう。また近年、課題文や設問文の
ことがある。過去の問題に目を通し、出題レベル
みならず、解答までも英語指定する(要するに自
を確認しておく必要があるだろう。
由英作文!)学部・学科があるので注意したい。
課題文では以下のような主題が取り扱われる。
一方、私大の経済・経営・商学部を中心に、
「図
多岐にわたって、人文的な幅広い教養が問われて
表分析型」や社会科学系の「テーマ型」問題が出
いることがわかる。
題される場合もある。このうち「テーマ型」にお
ける主題は、先の「課題文読解・論述型」とおお
11
a)
言語文化論。単なる発話としての「ことば」
むね同様であり、従って対策も共通するといって
だけではなく、言語体系のもつ構造を、歴史
よい(むしろ課題文の主題を理解し、論点を抽出
的・社会的観点から問い直す問題。
b)
日本文化論・各国の比較文化論。日常の中で
無意識化されがちな現代日本の文化的特質を、
他国の文化と比較しながら考察させる問題。
c)
グローバル化の中での異文化理解・異文化コ
今のところ、私大における英文問題の出題例は少
ない。
(6)教育系の全般的傾向
ミュニケーション・多文化的共生をめぐる問題。
d)
文学論・美術論・芸術論。
日本文学や各国文学
の特質を考えさせる問題のみならず、文学・
芸術活動と各人の人格形成、文学・芸術活動
ポイント
★教育系の小論文試験実施例は、国公立大学が
ほとんど。
と社会とのかかわり合いを問う問題もある。
★教育系の「課題文読解・論述型」が相対的に
e)
近代化に関する問題。近代的な理性のもつ問
多いが、その他にも、社会科学的・人文的な
題点や、近代化に伴う時間・空間概念の変化
主題を取り扱う「課題文読解・論述型」や、
「図
をめぐる問題。
表分析型」
「教科型」
「理科論述型」問題など
f)
若者のコミュニケーションの変化や言葉づか
いの変化など、現代社会の諸現象を分析する
問題。情報伝達手段とコミュニケーション変
質の関係を問う場合もある。
g)
引きこもりや自殺者の増加など問題を取り上
げて、現代人の心理や、その背景を考えさせ
る問題。
がバランスよく出題されている。
★国語科は人文系、社会科は社会科学系小論文
の傾向に類似する面あり。
★家庭科は、家庭生活をめぐる諸問題が中心。
ワーク・ライフ・バランスなどの今日的テーマも。
★保健体育科・養護教諭では「図表分析型」や
易しい「理科論述型」
、芸術系では芸術論や
図版を使った問題も。
この他にも、ジェンダー(社会的性差)や高齢
化問題など、
「社会科学系」との区別が難しい主
題もあるので注意したい。
国公立大では、英文問題の出題頻度が高く、全
★英語・数学・理科では、
「教科型」
「理科論述
型」あり。
★私大の実施例は少ないが、教育系・人文系の
「課題文読解型」
「テーマ型」
の問題がほとんど。
体のおよそ25%の問題が英文問題となっている。
和訳・英訳・内容説明など、英語力を多角的に問
教育系小論文の特徴は、2点ある。まず第1点
う設問が多い。また、自然科学系小論文の項目で
は、実施される大学のほとんどが国公立大である
も触れたように、国公立大では、複数の大問によ
ということ、そして第2点は、試験の内容も形式
って構成される複合型問題が多く、大問1が人文
も、多様であることだ。国公立大教育学部では
「教
的な「課題文読解・論述型」
、大問2が英文問題
科」単位で試験を実施する場合が多く、教科の多
というようなケースもあって、受験生は、事実上、
様性が、そのまま出題傾向の多様性となって現れ
英語と小論文の「二本立て」の準備を求められる
るわけである。
場合がある。この二つの形式に加えて、さらに
「教
試験は、単問ないし大問二つで構成される場合
科型」
(現代国語や古文・漢文など)の問題が出
が多く、後者では「教育系の課題文読解・論述型
題されることもある。
問題」+「各教科に沿った問題」というケースも
他方、私大の小論文試験では、人文的な「課題
見られる。
さらに大問三つ以上の構成で、
「教科型」
文読解・論述型」一本の構成が目立つ。これに次
「理科論述型」問題中心に構成される場合もある。
いで、しばしば「テーマ型」の問題も出題される。
「テーマ型」問題における主題は、先の「課題文
読解・論述型」問題と大きな違いはない。なお、
教育系小論文に限ったことではないが、志望校に
おける小論文試験の構成・出題形式・内容を早く
から把握し、その傾向に沿った準備をしておくこ
12
とが、合格への近道となろう。
食の安全性・食文化・衣料の素材・家事労働や
さて、相対的に多い、教育系の「課題文読解・
介護のあり方など、
「家庭生活」についての諸問
論述型」問題では、以下のような主題が取り扱わ
題が問われることがある。近年では、世帯構造の
れる。
変化や、仕事と家庭生活をめぐる「ワーク・ライ
フ・バランス」についての出題もある。
「図表分
a)
教育にかかわる社会的な問題。教育を取り巻
析型」問題が出題されるケースもある。
く社会的な変化を踏まえつつ、教育のあり方
④保健体育科・養護教諭
を問い直す問題。
一般的な保健衛生に加えて、健康増進を主題と
b)
学校教育の現実的な課題を踏まえ・今後の方
向を問う問題。
c)
教育現場の指導上の課題を問う問題。子ども
したスポーツ・医療についての問題が問われるこ
とがある。
「課題文読解・論述型」に加えて、
「図
表分析型」や、易しい「理科論述型」問題が出題
の変化や、そうした変化をもたらす環境的な
されるケースもある。
要因を問う場合もある。
⑤芸術系
人文系類似の小論文のほか、芸術論・創作論に
aとbとが紛らわしいが、aでは、
「学校」と
特化した問題や、図版を利用して表現者の意図を
いう枠を超えた教育のあり方が広く論述対象とな
問う問題などが出題される場合もある。
る。家庭の教育機能の見直し、地域全体での教育
⑥英語・数学・理科
への取り組みなどが問われることもある。さらに
試験実施例はさほど多くないが、
「教科型」
(英
情報化社会の中での新しい教育の場を構想したり、
語科では英文問題)や「理科論述型」問題が出題
昨今では「貧困」
「格差」が教育の場に与えるイ
される場合がある。
ンパクトを問う問題もある。
cは、いわゆる教員としての資質・指導力を試
第2章 一般的な小論文の学習方法
すという一面もある。具体的な場面を想定しつつ
「○○といった態度を示す生徒にはどのように対
処するのがよいか」
「□□という教科を担当した
13
(1)「入学試験」としての小論文
場合、どのような指導方法を工夫すべきか」を問
これまでの分析から明らかなように、小論文の
う、実践的な出題例もある。
出題傾向は実に多岐にわたる。こうした状況は次
教育系小論文の内容が「教科」に合わせて多様
年度以降も変わらないであろう。それらを包括す
であることは先に述べた通りだが、
次に、
このバリ
る「書き方」は、基本的に、ないといえよう。あ
エーションについて、少し見てみることにしよう。
えて「ある」というとしても、それは形式的な「作
①国語科
文技術」に過ぎない。
しばしば人文系小論文と同様の傾向をもつ問題
むろん筆者は、
「作文技術」を不当に軽視する
が出題される。教科の性質上、言語論・コミュニ
つもりはない。小論文も一種の「文章」である以
ケーション論などが出題されるケースも目立つ。
上、作文技術の習得は必要である。しかし、たと
②社会科
えば社会科学系の小論文には、先に例示したよう
しばしば社会科学系小論文と同様の傾向をもつ
な社会科学的な主題を踏まえた論述が必須である。
問題が出題される。ただし、国際通商論や企業論
そこに、出題者がまったく想定してもいない人文
を正面から問う問題はあまり見受けられない。
「図
系の論点や、あるいは世間並みの道徳論・心がけ
表分析型」問題が出題されるケースもある。
論を提示したらどうなるだろう。評価としては、
③家庭科
せいぜいのところ「書き賃」ぐらいの点数しかも
らえないだろう。主題・論点のミスマッチ答案で
や、政府刊行物(白書〜これもインターネットで
は、作文技術自体がいかに優れていても、それだ
自由に閲覧可能である)などを利用するとよい。
けでは合格に結びつかない。
「入学試験」として
教科書よりはいくぶん難しいが、すべてのセクシ
の小論文において重要なのは、さまざまな出題形
ョンで主題化される問題について、基本的知識だ
式を通じて問いかけられる出題者(大学)の主題・
けでなく、直面する課題や、タイムリーな取り組
問題意識を踏まえ、それを論点とした文章をきち
み事例が掲載されている。豊富な図表に目を通し、
んと提示していくことである。あえて卑近な物言
その解説を読むことは、
「図表分析型」問題の対
いをするなら「ハズさない」ということに尽きる。
応としても効果がある。
(2)主題に対する理解を深める
批判的な視点を獲得し、より深い論述を展開し
ようとするなら、放送大学のテキストに目を通す
小論文の学習方法として、まず、自分の志望す
のもよい。さまざまな主題をめぐる学問的な見解
る大きなセクション、
「医療系なのか、自然科学
の相違を理解すれば、論述構成にバリエーション
系なのか、社会科学系なのか、人文系なのか、教
が増え、多様な問題に柔軟に対応することが可能
育系なのか」を見極め、そこでいかなる「主題」
となる。
が問われているのかを知ることが第一歩となる。
一般に指摘されるような「新聞」
「ニュース」
そのうえで、それらの「主題」についての知識を
の利用も可。ただし、少なくとも「教科書」レベ
習得しなければらない。
ルの主題の理解がないと、内容を整理して記憶す
「主題」についての知識を得るには、本を読む
ることが困難だろう。
ことが一番の近道であろう。
本は、
必ずしも専門書
である必要はない。
専門書は、
読者に一定の基礎知
(3)主題ノートをつくる
識があることを前提に書かれており、まったくの
とりあえず「教科書」レベルの知識・理解を得
初学者が手にしても戸惑うことが多いからである。
られた段階で、自分の受験する学部・学科で取り
入り口としては「教科書」が便利である。とく
上げられる主題について「主題ノート」をつくる
に公民科(政経・現代社会・倫理)の教科書が使
ことをお勧めする。以下の書式を参考にして、生
いやすい。
「公民科」というと、
「それは社会科学
徒各自に工夫させるとよい。
系で、他のセクションには対応できないだろう」
注意すべきなのは、はじめから
「完全なノート」
と考える人も少なくないだろうが、この科目の守
をつくろうと意気込まないことだ。知識・理解が
備範囲はかなり広い。医療系の主題として第1章
更新されるにつれてノートの内容は充実し、多角
の(2)で例示したb・c・eや、人文系の主題と
的な内容をもつようになる。わからないところは
して(5)で例示したa・b・c・e・fは、
「現代
空白にして、とりあえず「つくってみる」ことが
社会」や「倫理」の教科書、あるいは参考書によ
大切である。
って基本的な理解を得ることができる。さらに資
また、人文系の主題のいくつかについては、以
料集を組み合わせて、主題に関するタイムリーな
下に示した「主題ノート」例の4〜6の項目がう
話題を蓄積することも可能である。市販されてい
まく整理できないものもある。そうしたテーマに
る「用語辞典系」
(
「現代用語の基礎知識」など)も、
ついては1〜3を整理しておくだけでも効果があ
教科書のフォローとして使える。基礎的な知識を
る。少なくとも、課題文から適切に「主題」を抽
もとに、出題者の提示するテーマを外さずに論述
出したり、主題に沿った「現状分析」をする作業
を組み立てれば、それだけで、とりあえず最低ラ
が、一段とやりやすくなるだろう。
インの合格レベルに達し得るのである。
記述量は、極端に多くないほうがよい。場合に
次の段階として、官公庁のホームページの情報
よってはメモ程度の箇条書きでもかまわない。試
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験場に持って行き、かつ実際に使えるのは、十分
ト」にフィードバックする。作業が軽便なぶん、
に吟味され、要点を手短にまとめられた知識・情
たくさんの問題をフォローしたい。
報のみである。
1.主題名:○○をめぐる問題
(5)答案構成をしてみる
問題形式や、主題の抽出作業に慣れたら、一歩
進んだ答案構成にチャレンジしたい。答案構成と
2.意義:
「問題」の概要・定義。
いっても、すでに「主題ノート」をつくってあれ
なぜそれが「問題」として取り上げら
ば、さほど難しい作業ではないだろう。論点を正
れるのか背景や理由を整理。関連問題
しく抽出しつつ、設問の要求を踏まえ、ノートの
の指摘。
3〜6の項目に沿って、適宜に論述内容を整理す
るだけだ。複数の「主題ノート」を組み合わせな
3.問題となるケース
:具体的にどのような場面で「問題」
として意識されるのか。
がら答案構成をする工夫があってもよい。
正しい主題を抽出したうえで、適切な具体例を
挙げて問題点を捉え直すことができたり、自説に
ついて、具体的な長所を掲げて説得的に主張でき
4.問題をめぐるさまざまな評価や、意見の対立
:評価(意見)1.内容
根拠
長所と短所
ていたり、リアルに解決の方向性が示すことがで
きれば、とりあえずの「合格点」である。
(6)実際の指定字数で答案を書いてみる
評価(意見)2.
(以下同)
ここで初めて、
「作文技術」が活きる。各々の
・
文章における「主語―述語」の対応を明確にし、
・
文章相互の関係を整理し(とくに接続詞の選択に
・
気を配ること)
、さらに細部の表現を検討して、
5.自説とその理由(想定される反論への反駁を
含む)
なるべくシンプルな形にまとめる。
しかし、
「受験小論文」としての勝負は、すで
に(4)
(5)で決まっているのだ。
6.具体的な解決策(複数のオプションがあると
よい)
(4)主題ノートをもとに、過去問に目を通す
以上が、筆者なりの「小論文の学習の仕方・答
え方」である。
最終的には指定字数で文章化する必要があるも
メソッドとしては「課題文読解・論述型」問題
のの、とりあえず初めての段階では、
を想定したものであるが、
「 テーマ型」
「 図表分析
ⅰ)いかなる主題を抽出すべきか。
型」
問題にも応用可能である。
この他にも
「教科型」
ⅱ)自説をいかなる根拠で主張するか。
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第3章 結びにかえて
「理科論述型」
問題や英文の問題が残されているが、
などを、シンプルに箇条書きにするだけでもよい。
これらは各教科の学習の延長上にあるものなので、
解答例と照らし合わせて結果を反省する中で、小
対策としてまずは各教科の基本的知識・理解を充
論文で一番大切な「主題・論点を抽出する」とい
実させる必要があることを付言しておく。指導す
う技術を体得するのである。過去問の課題文中に
る側にも、複数の教科担当と「チーム」を組んで
参考になる記述・事例があれば、自分の「主題ノー
受験生をフォローする工夫が求められるであろう。
【資料】2010年度 国公立大学・私立大学小論文問題出題例(一部・概要)
1 医療系
出題形式
課題文読解・論述
大学・学部・学科と出題内容(概要)
■大阪大(医) 生活習慣と、生物・心理・社会モデル ■奈良県立医科大(医) 患者の顔を見ない医師
■日本大(医) 以心伝心と共感 ■慶應義塾大(看護医療) 子どもの成長していく力
■北里大(医療衛生) 高齢者と家族 ■獨協医科大(医) バーチャル・リアリティ化する現代
英文
■山梨大(医) 医療現場におけるモラルの問題 ■筑波大(医) 動植物の二酸化炭素感知機能
■群馬大(医) 砂糖入り飲料水への課税による肥満対策 ■東京医科歯科大(医) ATL(成人T細胞白血病)
とATLウイルスについて
理科論述
■富山大(医) 動物の大きさと代謝 ■宮崎大(医) 地球環境問題の現状と対策
2 自然科学系
出題形式
理科論述
大学・学部・学科と出題内容(概要)
■茨城大(理) ヨトウムシの光周反応 ■神戸大(理) 隕石の直径と衝突頻度
■横浜市立大(国際総合科学) 酸性雨の原因とその科学的対策 ■宇都宮大(工) 自然エネルギーを利用した
発電について ■筑波大(情報メディア) オリガミ数学
図表分析
■千葉大(工) 住宅居室の採光と満足度
テーマ
■北海道工業大(未来デザイン) 身近な環境問題と解決策
3 社会科学系
出題形式
課題文読解・論述
大学・学部・学科と出題内容(概要)
■北海道大(法) 個人と社会のあるべき姿 ■東京大(学部共通) 戦争と平和に関する倫理的基礎の研究
■神戸大(法) 小泉政権のポピュリズムと構造改革 ■北海道大(経済) 社会的総余剰の計算と効率化
■新潟大(経済) 日本社会における貧困問題 ■香川大(経済) 社会保障の給付水準と負担水準
■慶應義塾大(法) 古代ギリシアに見る同盟と安全保障 ■慶應義塾大(経済) 情報の非対象性と排出権取引
市場 ■関西学院大(総合政策) 食料システムと持続可能性・地球温暖化
図表分析
■京都大(経済経営) 脱炭素社会に向けた国際的取り組み ■島根大(法経) 雇用形態の変化
■青山学院大(国際政経) 先進国と発展途上国の経済格差
テーマ
■琉球大(観光産業科学) 観光産業の環境保全に対する社会的責任
英文
■広島市立大(国際) 情報化・国際化の時代におけるボランティア
■獨協大(法・国際関係法) 高校・大学の授業料無償化
4 人文系
出題形式
課題文読解・論述
大学・学部・学科と出題内容(概要)
■北海道大(文) 冷戦の崩壊と多文化主義 ■山形大(人文) 現代人にとっての顔 ■茨城大(人文コミュニ
ケーション) テレビ消費のあり方 ■お茶の水女子大(言語文化) 時間の均質化 ■青山学院大(文) アイ
デンティティという呪縛 ■慶應義塾大(文) 英語の普遍語化と日本語の衰退 ■上智大(文) 漢文訓読にみ
る外来文化の受容
図表分析
■信州大(人間情報) 携帯電話と友人関係 ■徳島大(人間文化) 近年の自殺者数変化の要因
テーマ
■上智大(文) 「待つ」という言葉 ■福島学院大(福祉心理) 子どもの発達における家族や社会の役割
英文
■信州大(人間情報) 言語の多様性 ■島根大(言語文化) アメリカ小説の観賞
■都留文科大(比較文化) 日本社会とカワイイ文化
5 教育系
出題形式
課題文読解・論述
大学・学部・学科と出題内容(概要)
■北海道教育大(教育) 意味のわからないものに対する態度 ■和歌山大(教育) 学力格差の是正に対する教
育の役割 ■大分大(教育福祉) 子どもの「育ち」に関する支援 ■福岡教育大(教育) 勉強から「学び」への転
換 ■千葉大(教育) 子どもたちの食生活に必要な要素 ■福井大(教育) 教師の期待にこたえるということ
■岡山大(養護教諭) 養護教諭としての子どもとのかかわり方
図表分析
■福井大(教育) 育児休業の必要性 ■東京学芸大(初等教育) 家計収支に見る単身者男女のライフスタイル
■愛知教育大(教育) 高齢者の買い物の問題点と改善策 ■大阪教育大(教育) 朝食を欠食する問題点と欠食
の背景事情
テーマ
■和歌山大(教育) 制服廃止論の立案 ■群馬大(教育) ワーク・ライフ・バランスを実現する方法
■三重大(教育) 教育によって育まれるもの ■茨城大(教育) 近代の彫刻作品が色を再現しない理由
■千葉大(養護教諭) 生徒の指導方法
図版
■茨城大(教育) 『富嶽三十六景』の富士山が小さく描かれている理由
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