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平成25年度中小企業支援調査

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平成25年度中小企業支援調査
平成25年度中小企業支援調査
(諸外国における繊維貿易の現状及び繊維
分野の原産地規則に関する調査)
平成26年2月28日
株式会社 矢野経済研究所
事業概要
1. 件名
平成25年度中小企業支援調査(諸外国における繊維貿易の現状及び繊維分野の原産地
規則に関する調査)
2. 事業目的
グローバル化が進行する中、国の通商戦略は様々なビジネスの国際戦略に直に繋がった
非常に重要なものとなっている。こうした中で、世界各国は、物品の関税やサービス、貿
易の障壁等を削減・撤廃し、投資の保護・促進やビジネス環境の整備等を行うことを通じ
自国の経済基盤を強化している。我が国もアジア太平洋諸国をはじめとする国々とEPA/
FTA交渉を積極的に推進しているところである。
我が国の繊維産業は川上から川下までの工程間の連携が付加価値を生む、摺り合わせ型
の産業であり、その工程のなかで、これまではアジア諸国を中心としたサプライチェーン
が展開されている。今後、我が国企業がさらにグローバルにビジネス展開をするなかで、
アジア諸国だけでなく世界のあらゆる国から最適の生産地・最良のパートナーを選択し組
み合わせることの検討が必要となってくる。そのためにはEPA/FTA交渉においてそれぞれ
の相手国・地域の繊維産業及びビジネスの現状・背景等を踏まえた上で、我が国企業に使
いやすい原産地規則とすることがより重要となってくる。そして、中小零細企業が、今後、
グローバルにビジネス展開する際にEPA/FTAをより活用しやすくするためにも各国の複
雑な原産地規則をわかりやすく提供することが必要である。
そこで本調査では、我が国の主な繊維貿易の相手国である中国、米国、韓国、ASEAN、
EU等の繊維産業の事情・背景を調査し、それらの国々のEPA/FTAの繊維の原産地規則を
整理した上で、比較・分析を行い、今後の繊維産業において、国内外における素材調達や
縫製拠点等の最適な組み合わせによる生産活動を考え、企業の有利な海外展開戦略の一助
とすることを目的とする。
<調査プロジェクト担当>
株式会社 矢野経済研究所 ファッション&リテール事業部 松井 和之
アジア・グローバル事業部 瀬戸 鋼一
関根 武男
アウティナ・ハラハップ
熊井 裕子
調査結果サマリー
1. 繊維・アパレル貿易の概況と主要国の貿易統計
2008 年におこった世界経済危機後の落ち込みから、世界の繊維・アパレル産業は回復し、
更に成長していることが統計から読み取れた。大きな傾向としては、アジアでの生産、ア
ジアからの輸出が拡大する傾向が近年続いており、今後も続いていくであろうことが予想
される。更に、消費市場としてのアジア市場も拡大しつつあり、アジア地域が繊維産業に
とってこれまで以上に重要となることも想像できる。
また、今回の調査で対象とした、NAFTA、米豪 FTA、米韓 FTA、EU 韓国 FTA、ASEAN
中国 FTA、の貿易拡大への影響について考察した。限定的ではあるが、過去一定の効果も
あり、過去数年以内に発効された FTA についても、近い将来肯定的な結果が出てくること
が期待される。
本章では、貿易統計データの独自の集計により、繊維関連製品の中でも、①糸類、②織
物類、③衣類の、主要国(中国、米国、韓国、ASEAN、EU)ごとの輸出入金額と数量を
集計した。更にデータ集計をもとに、主要国の、糸類、織物類、衣類の、製品群別の主要
輸出相手国と金額が一覧できる、図 1-3-1.「繊維・アパレル製品の国際移動」を掲載した。
2. 主要 FTA の原産地規則の特徴
NAFTA、米豪 FTA、米韓 FTA、EU 韓国 FTA、ASEAN 中国 FTA の 5 つの海外 FTA
について、その原産地規則を主体に特徴をまとめた。最終的なまとめとして、原産地規則
の基本ルール、関税の譲許スケジュール、原産品認定における救済措置、原産証明の方法
等を整理した一覧表を掲載した。
3. 主要繊維企業・アパレル企業のサプライチェーン
国内外の主要繊維・アパレル企業(ZARA、H&M、東レ)3 社の事例を紹介し、一部分
析を行った。徹底したコスト管理、在庫管理、消費者ニーズの把握とマーケティング等が
共通した成功要因であることが浮かび上がってきた。各社最も重視するポイントは異なる
が、確固とした方針を持ち、他社と差別化が出来ていることがわかった。
4. 日本の繊維関連商社のサプライチェーンの特徴と現在の EPA/FTA 活用状況
国内の主要繊維関連商社 5 社の協力を得てヒアリングを実施した。その結果、中国主体
の生産体制から、ASEAN への移行が共通の動向として確認できた。
また、EPA/FTA の活用状況に関しては、現在の生産体制と対象市場の関連で、ASEAN
を中心とした貿易である程度活用されていることがわかった。と同時に、異なる協定では
ルールも著しく異なる点、条文やルールの理解が容易ではないこと等が共通の運用上の問
題点としてあがった。
5. 総括:日本繊維企業の EPA/FTA を活用した海外ビジネス展開の方向性
文献調査、企業ヒアリングから得た調査結果を基に、企業の EPA/FTA 活用促進のポイ
ントとして、以下の 3 点をあげた。

EPA/FTA 情報提供

EPA/FTA の専門家による中小企業支援

アジアの EPA/FTA の充実
更に、日本の繊維関連企業が今後グローバルビジネスを推進する上での方向性について
以下のポイントをあげた。

EPA/FTA のメリットを再検討してみる

徹底したマーケティングにより技術を世界で売る

未開拓の市場を狙う
目
次
事業概要
調査結果サマリー
1. 繊維・アパレル貿易の概況と主要国の貿易統計 ............................................................. 1
1-1.世界の繊維・アパレル貿易の動向 .............................................................................. 1
1-2.主要繊維国の輸出入統計 ............................................................................................ 7
1-2-1.中国........................................................................................................................ 9
1-2-2.米国...................................................................................................................... 13
1-2-3.韓国...................................................................................................................... 18
1-2-4.ASEAN ................................................................................................................ 22
1-2-5.EU ....................................................................................................................... 30
1-3.繊維・アパレル製品の国際移動 ............................................................................... 34
2. 主要 FTA の原産地規則の特徴 ...................................................................................... 36
2-1.NAFTA...................................................................................................................... 36
2-2.米豪 FTA ................................................................................................................... 43
2-3.米韓 FTA ................................................................................................................... 48
2-4.EU 韓国 FTA............................................................................................................. 56
2-5.ASEAN 中国 FTA (ACFTA) ..................................................................................... 62
2-6.海外主要 FTA の比較 ................................................................................................ 67
3. 主要繊維企業・アパレル企業のサプライチェーン ....................................................... 69
3-1.事例 1:ZARA........................................................................................................... 69
3-2.事例 1:H&M ........................................................................................................... 72
3-3.事例 1:東レ ............................................................................................................. 75
4. 日本の繊維関連商社のサプライチェーンの特徴と現在の EPA/FTA 活用状況 ............ 79
4-1.サプライチェーンの特徴 .......................................................................................... 79
4-2.EPA/FTA の活用状況 ................................................................................................ 81
4-3.EPA/FTA に関するメリットと運用上の問題点........................................................ 82
4-4.今後の戦略 ................................................................................................................ 85
5. 総括:日本繊維企業の EPA/FTA を活用した海外ビジネス展開の方向性 ................... 88
1. 繊維・アパレル貿易の概況と主要国の貿易統計
1-1. 世界の繊維・アパレル貿易の動向

急成長してきた中国、成長が加速する ASEAN
世界の繊維・アパレル製品の貿易額は、近年増加傾向にある。WTOの統計によれば、2011
年の世界の繊維・衣料品の貿易額は 7,060 億米ドル(約 70 兆 6 千億円 1)となっている。
これは、前年比 17.1%という大きな成長の結果である。2009 年から 2010 年の成長率が
14.5%であるので、成長が加速傾向にあるともいえる。2009 年は、前年の 2008 年からの経
済危機の影響で大きく落ち込みを見せたが、2011 年の数字は、経済危機以前の 2008 年の
実績を超えたものであり、繊維・アパレル産業は成長軌道に戻ったといえよう。
表 1-1-1. 及び表 1-1-2. は、繊維産業が活発で、且つ今回の調査で対象とした海外の自
由貿易協定の締約国でもある 5 ヵ国・地域(中国、米国、韓国、ASEAN、EU の)の、過
去 10 年分の繊維・アパレル製品の輸出入金額の統計である。各国統計データを別途独自に
集計したものであるが、これを見ても、経済成長率の比較的緩やかな米国、EU 等の先進国
でさえ、
一旦 2009 年に大きく落ち込んだものの、
2011 年には 2008 年の水準を超えている。
この世界市場の拡大は、アジアを初めとする新興国での需要が拡大していることが最も大
きな要因と考えられる。
表 1-1-1. 主要国の輸出額
(百万ドル)
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
中国
73,349
88,772
107,664
138,102
165,821
179,248
161,329
199,554
240,554
246,071
米国
20,430
22,006
21,944
22,724
22,100
22,575
18,297
23,590
28,707
26,571
韓国
14,962
14,904
13,701
13,010
13,251
13,121
11,419
13,739
15,736
15,382
ASEAN
25,888
27,862
30,235
33,030
35,125
36,346
30,814
40,759
48,595
N/A
EU
35,791
40,415
41,160
44,265
50,070
53,453
42,510
45,310
54,012
52,936
出所:各国・地域の統計局、商業省、商務省、税関等の統計(HS50 類~63 類の合計)を基に矢野経済研究所作成
(中国:中国税関、米国:米国商務省、韓国:韓国国際貿易協会 (KITA)、韓国税関および貿易開発機構、ASEAN:
ASEAN Stats、ASEAN Secretariat(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリ
ピン、シンガポール、タイ、ベトナム)
、ラオス統計イヤーブック、UN Comtrade(ベトナム)
)
、EU:Eurostat)
1 1 ドル=100 円で計算
1
図 1-1-1. 主要国の輸出額
(百万ドル)
300,000
250,000
中国
200,000
米国
韓国
150,000
ASEAN
EU
100,000
50,000
0
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
出所:表 1-1-1 と同じ
この 10 年間の当該 5 ヵ国・地域の貿易額の実績(表 1-1-1.)を見渡すと、最も大きな特
徴は中国からの輸出額の増加で、
2003 年の 773 億ドルから 2012 年の 2,461 億ドルへと 3.18
倍に増加している。
これに次いで顕著な特徴が近年の ASEAN の成長である。
2003 年の 259 億ドルから 2004
年の 279 億ドルへの成長が 7.7%であるのに対し、2010 年から 2011 年には、408 億ドルか
ら 486 億ドルへと、19%以上の成長である。日本企業も近年中国から ASEAN へと生産拠
点を移す傾向もあり、ASEAN における生産量と輸出量の拡大傾向は今後も続くと思われる。
輸入額も同様に、2011 年には経済危機以前の水準を各国とも超えており、韓国以外は
2012 年も引き続き輸入は拡大しており、繊維関連市場は堅調と見てよい。
2003 年から 2011 年にかけての各国の輸入額の伸び率を見てみると、米国の 1.29 倍が最
も低く、韓国(2.03 倍)
、ASEAN(2.19 倍)が比較的大きく伸びている。中国は 1.9 倍、
EU は 1.8 倍であった。ASESN の輸入が伸びている背景には、やはりこの間の高い経済成
長と、製造拠点としての重要性が増し、材料としての織物等の輸入も増えてきたためと推
測される。
2
表 1-1-2. 主要国の輸入額
(百万ドル)
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
中国
19,292
23,008
23,445
25,678
25,376
24,934
21,778
29,567
37,589
40,854
米国
80,543
86,802
92,668
96,284
99,222
95,900
83,203
95,455
103,964
103,542
韓国
6,264
6,683
6,927
7,984
8,828
8,746
7,283
9,706
12,696
11,812
ASEAN
14,396
12,816
13,534
14,852
15,904
19,973
17,886
29,890
31,073
N/A
EU
69,705
80,286
85,717
96,769
110,132
118,407
104,659
112,377
130,945
114,418
出所:各国・地域の統計局、商業省、商務省、税関等の統計(HS50 類~63 類の合計)を基に矢野経済研究所作成
(中国:中国税関、米国:米国商務省、韓国:韓国国際貿易協会 (KITA)、韓国税関および貿易開発機構、ASEAN:ASEAN
Stats、ASEAN Secretariat(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポ
ール、タイ、ベトナム)、ラオス統計イヤーブック、UN Comtrade(ベトナム)
)、EU:Eurostat)
図 1-1-2. 主要国の輸入額
(百万ドル)
140,000
120,000
100,000
中国
米国
80,000
韓国
60,000
ASEAN
EU
40,000
20,000
0
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
出所:表 1-1-2 と同じ
一方、最終製品としての衣料品(アパレル)の市場規模を見てみると、中国の 2003 年
の市場規模が 753 億ドル、2012 年にはその 3.6 倍の 2,706 億ドルと拡大している。一方、
ASEAN の場合も、2003 年の 202 億ドルから 2012 年の 413 億ドルへと 2.04 倍の成長を示
している。輸出額の成長度合いと同等以上であり、工場としてだけではなく、消費市場と
して急成長していることも伺える。
3
表 1-1-3. 主要国のアパレル市場規模
(百万ドル)
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
中国
75,309
83,862
95,176
111,015
130,316
158,076
176,515
200,378
239,410
270,637
米国
305,719
320,554
337,857
352,120
356,508
342,254
326,417
345,591
354,812
362,629
韓国
21,608
22,324
24,280
26,382
28,414
23,188
20,196
23,295
25,241
25,650
ASEAN
20,232
20,543
21,539
24,226
28,078
29,671
29,360
34,637
39,094
41,290
EU
351,878
397,535
407,038
417,019
462,431
475,344
435,278
424,011
439,304
414,575
出所:Euromonitor
注)
1. ASEAN:インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム(ブルネイ、カンボジア、ミ
ャンマーは含まれない。)
2. 西欧:アンドラ、オーストリア、ベルギー、キプロス、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ジブラル
タル、ギリシャ、アイスランド、アイルランド、イタリア、リヒテンシュタイン、ルクセンブルグ、マルタ、モロ
ッコ、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、イギリス
図 1-1-3. 主要国のアパレル市場規模
(百万ドル)
500,000
450,000
400,000
中国
350,000
米国
300,000
韓国
250,000
ASEAN
200,000
EU
150,000
100,000
50,000
0
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
出所:表 1-1-3 と同じ

FTA の繊維・アパレル貿易に対する影響
今回の調査では、上記 5 ヵ国・地域が関係する 1) NAFTA、2) 米豪 FTA、3) 米韓 FTA、
4) EU 韓国 FTA、5) ASEAN 中国 FTA (ACFTA) においては、FTA による関税引き下げ・
撤廃の効果が輸出入の拡大にどれだけ寄与しているかの判断は非常に難しい。その理由の
ひとつは、米韓 FTA(2012 年 3 月発効)
、EU 韓国 FTA(2011 年 7 月発効)
、ACFTA(2010
4
年 1 月 1 日)等、比較的最近スタートした協定もあることである。
また、中国-ASEAN 間の貿易は、拡大が続いているものの、これは経済成長自体が最も
影響していると考えられ、FTA の影響がどの程度かを測ることは難しい。
一方では、NAFTA の発効により、域内貿易が顕著に拡大したという例もある。これは
特に衣料品において顕著である。
NAFTA の規定では、原糸原則 (yarn forward) と呼ばれる原産地規則がある。これは繊
維製品が原産品と認められるためには、糸が NAFTA 域内産であるとともに、織編地も
NAFTA 産でなければいけないという規定である。この厳しい原糸規則により、織物や衣類
の域内輸出入が、NAFTA 発効後急激に伸びたと言われる。
米国とメキシコの間では、米国からの綿・綿織物、人造長繊維・同織物のメキシコへの
輸出は、前者で 1993 年の 2 億 4 千万ドルから、2000 年の 14 億 4 千万ドルへ 5.95 倍に拡
大し、後者で 1993 年の 1 億 9 千万ドルから、2000 年の 9 億 7 千万ドルへ 5.08 倍となって
いる。一方、メキシコから米国への輸入では、ニット製衣類の伸びが顕著で、1993 年の 3
億 300 万ドルから、2000 年の 35 億 4 千万ドルと 11.56 倍に極めて大きく伸びている。
NAFTA の発効以後、綿などの繊維原料や生地が米国からメキシコへ、メキシコで縫製
された衣類が米国へと移動する流れが急速に拡大した。これを裏付けるように、米国への
メキシコから輸入される衣料品における米国製部品(材料)の比率は極めて高くなってい
る。
(表 1-1-5.)これはすなわち、メキシコの賃金水準と豊富な労働力に加え、NAFTA の
原産地規則が大きな要因と言われている。
表 1-1-4. 米国の対 NAFTA 繊維・衣料品貿易
HS
品目
輸出額(百万ドル)
1993年
2000年
増加倍率
00/'93
輸入額(百万ドル)
1993年
2000年
増加倍率
00/'93
対カナダ
183
337
1.84
176
887
5.04
173
311
1.80
287
858
2.99
52 綿・綿織物
54 人造長繊維・同織物
242
1,437
5.95
191
971
5.08
61 ニット製衣類
62 ニット製以外の衣類
243
1,280
5.26
303
3,504
11.56
555
1,107
1.99
1,013
5,119
5.05
61 ニット製衣類
62 ニット製以外の衣類
対メキシコ
出所:季刊 国際貿易と投資 Autumn 2002/No.49 の、World Trade Atlas を基に作成された表を参考に矢野経済研究
所作成
5
表 1-1-5. 米国の対メキシコ輸入製品に占める米国製部品の比率
品目
米国製部品
比率(%)
80
コットンセーター、プルオーバー等
人造繊維製セーター等
76.8
綿製Tシャツ、アンダーシャツ
75.5
綿製婦人・女児用ズボン、半ズボン等
35.5
綿製紳士・男児用ずぼん、半ズボン等
35.3
出所:季刊 国際貿易と投資 Autumn 2002/No.49 の、Economic Report of the President, Feb. 2002 を基に作成され
た表を参考に矢野経済研究所作成
また、発効後間もない EU 韓国 FTA であるが、Euratex のデータによると、2011 年の
EU の EU 外からのテキスタイルの輸入額全体に占める韓国からの輸入品の割合は、2011
年は 3.3%。同様に輸入数量(重量ベース)の割合は 4.7%となっている。2012 年には、こ
れがそれぞれ 3.9%、4.9%となっていることから、この韓国産の輸入品のシェアの増加は、
EU 韓国 FTA に拠るところが大きいという見方もある。
表 1-1-6. EU:主要輸出国別テキスタイル輸入額・数量
国
中国
トルコ
インド
パキスタン
米国
韓国
スイス
日本
その他
EU外合計
金額(百万€)
7,984.7
4,001.2
2,761.1
1,990.6
1,236.8
883.8
917.1
673.5
6,018.2
26,467.0
2011年
金額シェア(%) 数量(千トン)
30.2%
1,903.4
15.1%
841.7
10.4%
772.2
7.5%
424.5
4.7%
266.8
3.3%
310.2
3.5%
125.5
2.5%
90.1
22.7%
1,922.3
100.0%
6,656.7
数量シェア(%) 金額(百万€)
28.6%
7,824.1
12.6%
3,779.6
11.6%
2,304.3
6.4%
1,576.2
4.0%
1,199.9
4.7%
942.3
1.9%
858.9
1.4%
634.3
28.9%
5,321.2
100.0%
24,440.8
2012年
金額シェア(%) 数量(千トン)
32.0%
1,812.7
15.5%
867.6
9.4%
691.9
6.4%
366.8
4.9%
225.0
3.9%
302.6
3.5%
117.2
2.6%
73.8
21.8%
1,696.5
100.0%
6,154.1
数量シェア(%)
29.5%
14.1%
11.2%
6.0%
3.7%
4.9%
1.9%
1.2%
27.6%
100.0%
出所:Textile Outlook International, No 161 April 2013 World Textile Trade and Production Trends: the EU(デー
タ元:Euratex)を参考に矢野経済研究所作成
6
1-2. 主要繊維国の輸出入統計
本調査においては、対象 5 ヵ国・地域の繊維・アパレル製品の貿易規模の現状を把握す
るため、独自に輸出入金額の集計を行った。製品を大きく①糸類、②織物類、③衣類の三
つに分類し、それぞれの輸出入金額、輸出入数量を集計した。各製品群の定義は、HS コー
ド 4 桁ベースの品目を以下のように指定し、国・地域別に全ての品目の数字を合計した。
表 1-2-1. 対象の HS コードと品目
糸類
織物類
衣類
HS コード
品目名
HS コード
品目名
HS コード
品目名
5004-5006
絹糸
5007
絹織物
61
ニット衣類
5106-5110
毛糸
5111-5113
毛織物
62
布帛衣類
5204-5207
綿糸
5208-5212
綿織物
5306-5308
麻糸等の植物繊維
5309-5311
麻 織 物 等 植 物繊 維 の
系
織物
5401-5406
化繊長繊維糸
5407-5408
化繊長繊維の織物
5508-5511
化繊紡績糸
5512-5516
化繊短繊維の織物
5605
金属を交えた糸
5801-5803
パイル、シェニール、
テリー等織物
60
ニット生地
貿易統計データは、特に記載のない限り各国・地域の貿易統計を網羅したデータベース
である、”Global Trade Atlas”としている。同データベースのデータソースは以下の通りで
ある。

中国:中国税関

米国:米国商務省 国勢調査局

韓国:韓国税関および貿易開発機構

ASEAN:インドネシア統計局、マレーシア統計局、International Enterprise
Singapore(シンガポール)、フィリピン国家統計局、タイ税関局、UN Comtrade
(ミャンマー・ブルネイ・ベトナム・カンボジア)
(Laos はデータ無し)
EU:Eurostat

注:
1) 数量のデータに関しては、国・地域により単位が異なることがあるため、その場合は
単位ごとに別々に集計した。
2) ASEAN のデータは、国によりデータが存在しない品目、年度があるため、個別のテ
7
ーブルごとに、データが含まれる国名を年別に付記した。
また、金額は全て米ドル (USD)、数量は別途表内に示しているが、以下に使用単位の略
語の定義を示す。
表 1-2-2. 数量の単位
日本語
KG
英語
Kilogram
キログラム
DOZ
Dozen
ダース
M
Meters
メートル
M2
Square meters
平方メートル
DPR
Dozen Pair
ダースペア
PRS
Pairs
ペア
TEN
Unit of Ten
10個
TPR
Ten Pair
10ペア
UNK
Unknown Unit
単位不明
NO
Number
数
UNIT
8
1-2-1. 中国
(中国:輸出金額)
表 1-2-1-1. 糸類の輸出金額
HS コード
品目
5004-5006
絹糸
281,350,742
5106-5110
毛糸
5204-5207
綿糸
5306-5308
麻糸等の植物繊維系
5401-5406
2010
2011
2012
289,921,563
250,776,022
1,051,027,217
1,099,314,544
1,036,502,067
2,250,995,647
2,256,205,487
2,183,268,886
227,637,170
139,016,352
324,877,395
化繊長繊維糸
3,344,668,354
4,411,070,411
4,337,808,914
5508-5511
化繊紡績糸
1,803,596,407
2,652,444,170
2,556,908,001
5605
金属を交えた糸
47,683,245
63,435,692
70,292,441
9,006,958,782
10,911,408,219
10,760,433,726
糸類金額合計 (USD)
表 1-2-1-2. 織物類の輸出金額
HS コード
品目
5007
絹織物
992,447,711
1,057,157,740
1,057,232,697
5111-5113
毛織物
522,651,269
674,789,400
643,320,443
5208-5212
綿織物
10,682,400,300
12,776,928,775
12,563,610,999
5309-5311
麻織物等植物繊維の織物
631,950,403
782,584,990
733,878,043
5407-5408
化繊長繊維の織物
6,746,017,093
9,405,895,095
9,963,937,678
5512-5516
化繊短繊維の織物
4,975,936,436
6,463,147,244
6,272,768,163
5801-5803
パイル、シェニール、テリー
等織物
ニット生地
1,366,570,352
1,692,955,267
1,605,384,969
8,668,182,515
10,697,573,848
11,219,602,585
34,586,156,079
43,551,032,359
44,059,735,577
60
2010
織物類金額合計 (USD)
2012
2011
表 1-2-1-3. 衣類の輸出金額
HS コード
品目
61
ニット衣類
66,707,052,276
80,183,012,206
62
布帛衣類
54,362,810,085
63,081,477,376
61,238,314,411
121,069,862,361
143,264,489,582
148,301,848,473
アパレル/二次製品金額合計 (USD)
2010
9
2011
2012
87,063,534,062
(中国:輸出数量)
表 1-2-1-4. 糸類の輸出数量
HS コード
品目
UNIT
5004-5006
絹糸
KG
9,417,355
8,267,737
7,772,828
5106-5110
毛糸
KG
41,468,225
40,597,106
34,000,024
5204-5207
綿糸
KG
525,104,021
392,909,111
447,432,595
5306-5308
麻糸等の植物繊維系
KG
31,276,060
33,955,123
37,416,037
5401-5406
化繊長繊維糸
KG
1,207,564,451
1,358,448,463
1,506,822,893
5508-5511
化繊紡績糸
KG
502,615,974
529,983,126
565,573,041
5605
金属を交えた糸
KG
8,919,190
10,349,190
10,704,174
2,326,365,276
2,374,509,856
2,609,721,592
糸類数量合計 (KG)
2012
2011
2010
表 1-2-1-5. 織物類の輸出数量
HS コード
品目
UNIT
5007
絹織物
M2
273,791,845
217,446,052
5111-5113
毛織物
M2
87,070,445
93,064,020
86,177,342
5208-5212
綿織物
M2
7,895,033,585
7,567,945,649
7,836,823,201
5309-5311
麻織物等植物繊維の織物
M2
268,252,233
273,289,967
254,198,879
5407-5408
化繊長繊維の織物
M2
7,695,817,544
9,507,946,401
9,582,445,406
512-5516
化繊短繊維の織物
M2
4,954,679,292
5,266,132,389
5,210,943,386
5801-5803
パイル、シェニール、テ M2
リー等織物
786,260,829
797,017,721
782,552,696
60
ニット生地
2010
M2
織物類数量合計 (M2)
2011
2012
206,985,228
6,656,193,809
7,169,063,961
7,949,700,324
28,617,099,582
30,891,906,160
31,909,826,462
表 1-2-1-6. 衣類の輸出数量
HS コード
品目
UNIT
61
ニット衣類
NO
21,528,741,040
21,445,554,265
21,525,581,304
62
布帛衣類
NO
12,410,878,835
12,101,910,911
11,791,416,935
33,939,619,875
33,547,465,176
33,316,998,239
2010
アパレル/二次製品数量合計 (NO)
2011
2012
HS コード
品目
UNIT
61
ニット衣類
PRS
16,392,880,947
17,112,042,838
62
布帛衣類
PRS
512,135,833
555,252,780
378,651,898
16,905,016,780
17,667,295,618
17,558,618,647
2010
アパレル/二次製品数量合計 (PRS)
2011
2012
17,179,966,749
HS コード
品目
UNIT
61
ニット衣類
KG
227,973,558
202,757,828
62
布帛衣類
KG
73,746,127
54,052,962
44,255,395
301,719,685
256,810,790
232,516,708
2010
アパレル/二次製品の数量合計 (KG)
10
2011
2012
188,261,313
(中国:輸入金額)
表 1-2-1-7. 糸類の輸入金額
HS コード
品目
5004-5006
絹糸
5106-5110
毛糸
182,707,759
225,344,578
201,529,176
5204-5207
綿糸
3,213,127,932
3,415,010,169
4,957,492,074
5306-5308
麻糸等の植物繊維系
5401-5406
化繊長繊維糸
5508-5511
化繊紡績糸
5605
金属を交えた糸
2010
2011
2012
5,791,123
糸類金額合計(USD)
4,726,686
4,723,392
28,871,314
66,253,397
69,503,838
1,695,098,033
1,858,220,132
1,688,954,714
467,084,700
473,224,981
490,230,709
6,183,915
6,714,789
8,287,208
5,598,864,776
6,049,494,732
7,420,721,111
表 1-2-1-8. 織物類の輸入金額
HS コード
品目
5007
絹織物
104,415,935
99,602,375
80,145,487
5111-5113
毛織物
485,251,968
575,314,789
544,684,623
5208-5212
綿織物
1,698,473,334
1,790,750,453
1,807,900,484
5309-5311
麻織物等植物繊維の織物
63,470,886
64,874,770
55,075,680
5407-5408
化繊長繊維の織物
2,087,808,877
2,204,790,709
2,088,707,398
5512-5516
化繊短繊維の織物
725,776,550
824,490,495
693,980,131
5801-5803
パ イ ル 、シ ェニ ール 、テ
リー等織物
ニット生地
92,429,559
85,816,066
83,443,608
2,344,890,041
2,447,103,209
2,359,277,067
7,602,517,150
8,092,742,866
7,713,214,478
60
2010
織物類金額合計(USD)
2011
2012
表 1-2-1-9. 衣類の輸入金額
HS コード
品目
61
ニット衣類
62
布帛衣類
アパレル/二次製品金額合計(USD)
2010
2011
2012
815,522,894
1,187,022,915
1,344,687,636
1,418,478,268
2,386,001,109
2,663,081,533
2,234,001,162
3,573,024,024
4,007,769,169
11
(中国:輸入数量)
表 1-2-1-10. 糸類の輸入数量
HS コード
品目
UNIT
5004-5006
絹糸
KG
490,529
365,297
401,513
5106-5110
毛糸
KG
21,360,294
22,077,017
16,938,324
5204-5207
綿糸
KG
1,112,460,067
904,535,737
1,527,846,180
5306-5308
麻糸等の植物繊維系
KG
17,244,531
56,128,554
68,905,427
5401-5406
化繊長繊維糸
KG
448,886,276
418,086,394
362,038,779
5508-5511
化繊紡績糸
KG
118,266,890
96,358,938
86,989,494
5605
金属を交えた糸
KG
369,719
352,151
480,499
1,719,078,306
1,497,904,088
2,063,600,216
2010
糸類数量合計 (KG)
2011
2012
表 1-2-1-11. 織物類の輸入数量
HS コード
品目
UNIT
5007
絹織物
M2
24,977,500
19,800,716
5111-5113
毛織物
M2
49,137,609
48,860,768
42,336,607
5208-5212
綿織物
M2
859,426,888
768,052,467
842,710,248
5309-5311
麻織物等植物繊維の織物 M2
28,746,013
26,375,621
20,167,419
5407-5408
化繊長繊維の織物
M2
1,431,767,937
1,296,003,032
1,172,047,373
512-5516
化繊短繊維の織物
M2
350,414,193
334,530,114
278,255,892
5801-5803
パイル、シェニール、テ M2
リー等織物
38,591,518
28,537,304
24,978,114
60
ニット生地
1,579,198,138
1,673,664,979
1,549,307,891
4,362,259,796
4,195,825,001
3,944,564,119
2010
M2
織物類数量合計 (M2)
2011
2012
14,760,575
表 1-2-1-12. 衣類の輸入数量
HS コード
品目
UNIT
61
ニット衣類
NO
107,463,940
140,678,963
154,447,231
62
布帛衣類
NO
68,950,701
97,769,130
112,636,537
176,414,641
238,448,093
267,083,768
2010
アパレル/二次製品数量合計 (NO)
2012
2011
HS コード
品目
UNIT
61
ニット衣類
PRS
45,019,413
50,650,093
62
布帛衣類
PRS
1,761,367
1,649,915
1,508,681
46,780,780
52,300,008
55,612,822
2010
アパレル/二次製品数量合計 (PRS)
2012
2011
54,104,141
HS コード
品目
UNIT
61
ニット衣類
KG
4,702,130
3,718,750
3,711,018
62
布帛衣類
KG
2,242,258
2,435,097
2,237,896
6,944,388
6,153,847
5,948,914
2010
アパレル/二次製品の数量合計 (KG)
12
2011
2012
1-2-2. 米国
(米国:輸出金額)
表 1-2-2-1. 糸類の輸出金額
HS コード
品目
5004-5006
絹糸
5106-5110
毛糸
10,791,010
11,477,363
13,558,109
5204-5207
綿糸
1,122,135,294
1,842,851,315
1,331,077,740
5306-5308
麻糸等の植物繊維系
6,592,704
2,413,324
2,273,835
5401-5406
化繊長繊維糸
1,126,365,897
1,217,166,948
1,264,576,656
5508-5511
化繊紡績糸
425,134,198
564,548,991
514,711,304
5605
金属を交えた糸
9,952,569
12,668,661
11,901,535
2,710,514,624
3,657,597,448
3,138,973,884
2010
2011
9,542,952
糸類金額合計 (USD)
2012
6,470,846
874,705
表 1-2-2-2. 織物類の輸出金額
HS コード
品目
5007
絹織物
15,329,342
15,167,099
13,470,825
5111-5113
毛織物
36,735,897
36,270,235
42,628,006
5208-5212
綿織物
605,457,161
755,823,088
640,921,809
5309-5311
麻織物等植物繊維の織物
13,928,442
13,333,488
11,259,624
5407-5408
化繊長繊維の織物
444,506,521
476,776,433
490,607,077
5512-5516
化繊短繊維の織物
409,633,390
459,506,618
508,203,975
5801-5803
パイル、シェニール、テリー
等織物
ニット生地
56,571,860
55,326,320
57,290,417
1,062,234,571
1,058,286,223
1,032,517,923
2,644,397,184
2,870,489,504
2,796,899,656
60
2010
織物類金額合計 (USD)
2012
2011
表 1-2-2-3. 衣類の輸出金額
HS コード
品目
61
ニット衣類
2,169,167,249
2,329,348,859
2,452,368,294
62
布帛衣類
1,821,093,737
2,126,131,205
2,351,018,591
3,990,260,986
4,455,480,064
4,803,386,885
2010
アパレル/二次製品金額合計 (USD)
13
2011
2012
(米国:輸出数量)
表 1-2-2-4. 糸類の輸出数量
HS コード
品目
UNIT
5004-5006
絹糸
KG
703,477
505,991
47,407
5106-5110
毛糸
KG
1,012,923
1,091,128
1,173,785
5204-5207
綿糸
KG
412,552,614
473,703,068
405,030,352
5306-5308
麻糸等の植物繊維系
KG
799,641
457,636
457,069
5401-5406
化繊長繊維糸
KG
178,628,609
178,127,397
186,809,506
5508-5511
化繊紡績糸
KG
139,470,183
141,143,957
146,529,575
5605
金属を交えた糸
KG
322,614
243,998
267,016
733,490,061
795,273,175
740,314,710
2010
糸類数量合計 (KG)
2011
2012
表 1-2-2-5. 織物類の輸出数量
HS コード
品目
UNIT
5007
絹織物
M2
17,231,233
14,884,168
5111-5113
毛織物
M2
105,872,932
106,532,248
94,891,805
5208-5212
綿織物
M2
744,710,589
661,268,670
584,242,059
5309-5310
麻織物等植物繊維の織物
M2
32,030,793
28,695,137
24,618,271
5407-5408
化繊長繊維の織物
M2
605,489,620
628,702,105
659,946,865
512-5516
化繊短繊維の織物
M2
332,983,872
340,092,749
333,220,449
5801-5803
パイル、シェニール、テ M2
リー等織物
ニット生地
M2
39,238,520
35,912,424
38,183,006
20,215,380
21,305,052
14,893,090
1,877,557,559
1,816,087,501
1,749,326,716
60
2010
織物類数量合計 (M2)
2011
2012
14,224,261
HS コード
品目
UNIT
5311
麻織物等植物繊維の織物
KG
676,156
408,525
241,911
60
ニット生地
KG
143,394,068
119,707,896
111,873,067
144,070,224
120,116,421
112,114,978
2010
織物類数量合計 (KG)
2011
2012
表 1-2-2-6. 衣類の輸出数量
HS コード
品目
UNIT
61
ニット衣類
NO
783,890
513,172
62
布帛衣類
NO
306,613
244,408
276,791
1,090,503
757,580
837,886
2010
アパレル/二次製品数量合計 (NO)
14
2011
2012
561,095
HS コード
品目
UNIT
61
ニット衣類
DPR
61,803,202
44,944,114
62
布帛衣類
DPR
814,597
1,356,401
1,722,977
62,617,799
46,300,515
46,142,841
2010
アパレル/二次製品数量合計 (DPR)
2011
2012
44,419,864
HS コード
品目
UNIT
61
ニット衣類
DOZ
69,663,998
66,097,287
62
布帛衣類
DOZ
31,078,925
36,435,335
39,419,456
100,742,923
102,532,622
106,896,744
2010
アパレル/二次製品の数量合計 (DOZ)
2011
2012
67,477,288
(米国:輸入金額)
表 1-2-2-7. 糸類の輸入金額
HS コード
品目
5004-5006
絹糸
7,813,895
9,639,546
10,381,271
5106-5110
毛糸
93,978,083
111,735,105
124,060,788
5204-5207
綿糸
218,521,621
227,827,302
171,255,858
5306-5308
麻糸等の植物繊維系
19,158,301
15,986,672
15,429,423
5401-5406
化繊長繊維糸
1,327,891,605
1,475,775,782
1,475,721,325
5508-5511
化繊紡績糸
310,031,842
335,295,901
315,607,599
5605
金属を交えた糸
2010
糸類金額合計(USD)
2011
2012
8,805,766
12,212,962
16,265,136
1,986,201,113
2,188,473,270
2,128,721,400
表 1-2-2-8. 織物類の輸入金額
HS コード
品目
5007
絹織物
144,875,611
165,818,109
151,741,852
5111-5113
毛織物
101,689,299
113,071,447
130,883,188
5208-5212
綿織物
841,475,784
976,837,093
938,111,274
5309-5311
麻織物等植物繊維の織物
114,638,173
146,325,737
153,910,975
5407-5408
化繊長繊維の織物
647,675,790
794,759,759
843,732,738
5512-5516
化繊短繊維の織物
265,586,550
288,576,247
289,543,154
5801-5803
パ イ ル 、シ ェニ ール 、テ
リー等織物
ニット生地
189,254,102
191,439,248
196,986,098
729,741,881
850,323,374
965,355,041
3,034,937,190
3,527,151,014
3,670,264,320
60
織物類金額合計(USD)
2010
15
2011
2012
表 1-2-2-9. 衣類の輸入金額
HS コード
品目
61
ニット衣類
41,840,248,596
41,134,116,646
42,963,009,965
62
布帛衣類
36,935,258,284
36,785,872,788
38,012,019,073
78,775,506,880
77,919,989,434
80,975,029,038
2010
アパレル/二次製品金額合計(USD)
2011
2012
(米国:輸入数量)
表 1-2-2-10. 糸類の輸入数量
HS コード
品目
UNIT
5004-5006
絹糸
KG
117,722
148,835
160,332
5106-5110
毛糸
KG
5,912,345
6,191,192
6,500,932
5204-5207
綿糸
KG
52,817,563
40,853,207
36,006,682
5306-5308
麻糸等の植物繊維系
KG
12,270,887
9,145,197
9,957,076
5401-5406
化繊長繊維糸
KG
315,252,866
303,646,148
311,632,975
5508-5511
化繊紡績糸
KG
76,745,227
68,061,842
72,217,862
5605
金属を交えた糸
KG
506,916
734,523
1,022,502
463,623,526
428,780,944
437,498,361
2010
糸類数量合計 (KG)
2011
2012
表 1-2-2-11. 織物類の輸入数量
HS コード
品目
UNIT
5007
絹織物
M2
18,048,388
16,657,758
5111-5113
毛織物
M2
10,514,040
10,313,722
11,224,942
5208-5212
綿織物
M2
781,199,823
770,648,383
746,875,382
5309-5310
麻織物等植物繊維の織物 M2
101,446,955
109,097,223
117,650,132
5407-5408
化繊長繊維の織物
M2
1,110,311,491
1,319,442,977
1,459,693,049
512-5516
化繊短繊維の織物
M2
186,384,936
164,664,607
163,350,299
5801-5803
パイル、シェニール、テ M2
リー等織物
ニット生地
M2
114,969,248
93,860,831
108,402,490
60
2011
2010
織物類数量合計 (M2)
2012
14,904,946
149,190,972
126,828,095
120,099,116
2,322,874,881
2,484,685,501
2,622,101,240
* HS コード 5311 を除く
HS コード
品目
UNIT
60
ニット生地
KG
2010
織物類数量合計 (KG)
16
2011
2012
141,718,700
148,340,476
159,412,667
141,718,700
148,340,476
159,412,667
表 1-2-2-12. 衣類の輸入数量
HS コード
品目
UNIT
61
ニット衣類
NO
370,623
444,058
211,099
62
布帛衣類
NO
17,836,474
17,093,585
14,834,977
18,207,097
17,537,643
15,046,076
2011
2010
アパレル/二次製品数量合計 (NO)
2012
HS コード
品目
UNIT
61
ニット衣類
DPR
458,572,732
446,928,622
62
布帛衣類
DPR
11,858,526
13,597,281
12,530,398
470,431,258
460,525,903
450,652,269
2010
アパレル/二次製品数量合計 (DPR)
2012
2011
438,121,871
HS コード
品目
UNIT
61
ニット衣類
DOZ
1,137,419,931
1,073,604,343
62
布帛衣類
DOZ
601,866,491
595,218,052
583,781,167
1,739,286,422
1,668,822,395
1,654,945,838
2011
2010
アパレル/二次製品の数量合計 (DOZ)
17
2012
1,071,164,671
1-2-3. 韓国
(韓国:輸出金額)
表 1-2-3-1. 糸類の輸出金額
HS コード
品目
5004-5006
絹糸
5106-5110
毛糸
25,583,840
36,573,931
39,270,853
5204-5207
綿糸
246,592,103
278,589,877
283,867,023
5306-5308
麻糸等の植物繊維系
63,223
353,878
283,232
5401-5406
化繊長繊維糸
1,134,234,267
1,286,086,332
1,238,025,833
5508-5511
化繊紡績糸
150,739,984
160,549,603
165,996,385
5605
金属を交えた糸
4,585,855
8,577,540
8,948,654
1,561,987,969
1,770,991,660
1,736,745,636
2010
2011
188,697
糸類金額合計 (USD)
2012
260,499
353,656
表 1-2-3-2. 織物類の輸出金額
HS コード
品目
5007
絹織物
90,545,538
102,863,547
96,996,902
5111-5113
毛織物
51,229,354
69,520,833
50,898,591
5208-5212
綿織物
449,595,463
526,659,869
471,663,581
5309-5311
麻織物等植物繊維の織物
11,897,068
12,364,070
9,722,274
5407-5408
化繊長繊維の織物
1,874,974,591
2,238,267,993
2,214,406,180
5512-5516
化繊短繊維の織物
309,064,757
354,220,595
332,021,529
5801-5803
パイル、シェニール、テリー
等織物
ニット生地
63,931,552
66,054,453
60,234,673
3,697,840,230
4,234,279,828
4,069,828,914
6,549,078,553
7,604,231,188
7,305,772,644
60
2010
織物類金額合計 (USD)
2012
2011
表 1-2-3-3. 衣類の輸出金額
HS コード
品目
61
ニット衣類
796,633,558
869,366,961
888,031,654
62
布帛衣類
674,955,402
796,061,997
838,220,656
1,471,588,960
1,665,428,958
1,726,252,310
2010
アパレル/二次製品金額合計 (USD)
18
2011
2012
(韓国:輸出数量)
表 1-2-3-4. 糸類の輸出数量
HS コード
品目
UNIT
5004-5006
絹糸
KG
30,113
11,013
5,972
5106-5110
毛糸
KG
1,708,861
1,964,252
2,171,860
5204-5207
綿糸
KG
59,374,130
56,936,899
70,594,876
5306-5308
麻糸等の植物繊維系
KG
3,585
33,911
18,295
5401-5406
化繊長繊維糸
KG
324,275,455
324,936,071
336,133,002
5508-5511
化繊紡績糸
KG
26,117,519
23,740,051
27,168,482
5605
金属を交えた糸
KG
297,771
433,982
634,203
411,807,434
408,056,179
436,726,690
糸類数量合計 (KG)
2012
2011
2010
表 1-2-3-5. 織物類の輸出数量
HS コード
品目
UNIT
5007
絹織物
KG
858,888
770,853
793,350
5111-5113
毛織物
KG
2,487,894
2,837,708
2,028,860
5208-5212
綿織物
KG
44,393,796
46,535,657
41,648,307
5309-5311
麻織物等植物繊維の織物
KG
721,418
625,901
518,247
5407-5408
化繊長繊維の織物
KG
190,930,110
193,022,690
182,109,009
512-5516
化繊短繊維の織物
KG
34,713,635
36,059,460
30,867,254
5801-5803
パイル、シェニール、テ
KG
リー等織物
3,322,950
3,053,759
2,824,626
60
ニット生地
2010
KG
織物類数量合計 (KG)
2011
2012
495,676,576
489,398,204
480,245,961
773,105,267
772,304,232
741,035,614
表 1-2-3-6. 衣類の輸出数量
HS コード
品目
UNIT
61
ニット衣類
KG
45,633,033
44,999,197
62
布帛衣類
KG
42,838,355
45,344,368
48,117,901
88,471,388
90,343,565
93,314,381
2010
アパレル/二次製品数量合計 (KG)
19
2011
2012
45,196,480
(韓国:輸入金額)
表 1-2-3-7. 糸類の輸入金額
HS コード
品目
5004-5006
絹糸
5106-5110
毛糸
39,633,352
37,938,412
28,142,625
5204-5207
綿糸
914,174,038
982,070,203
585,233,827
5306-5308
麻糸等の植物繊維系
24,438,589
27,448,488
22,433,959
5401-5406
化繊長繊維糸
696,978,515
855,831,229
741,725,493
5508-5511
化繊紡績糸
531,722,609
630,940,854
547,615,825
5605
金属を交えた糸
988,002
919,869
1,202,991
2,226,031,593
2,552,230,585
1,939,915,198
2010
2011
2012
18,096,488
糸類金額合計(USD)
17,081,530
13,560,478
表 1-2-3-8. 織物類の輸入金額
HS コード
品目
5007
絹織物
66,902,593
77,890,225
72,763,530
5111-5113
毛織物
71,956,909
114,155,111
84,171,733
5208-5212
綿織物
439,252,615
457,874,085
400,088,392
5309-5311
麻織物等植物繊維の織物
45,396,759
53,310,694
45,418,420
5407-5408
化繊長繊維の織物
168,751,079
238,009,881
211,911,360
5512-5516
化繊短繊維の織物
190,641,739
220,441,338
146,040,468
5801-5803
パ イ ル 、シ ェニ ール 、テ
リー等織物
ニット生地
20,307,085
18,832,552
17,771,487
60
2010
織物類金額合計(USD)
2011
2012
105,179,670
133,364,361
118,498,367
1,108,388,449
1,313,878,247
1,096,663,757
表 1-2-3-9. 衣類の輸入金額
HS コード
品目
61
ニット衣類
1,320,816,778
1,776,199,764
1,897,173,144
布帛衣類
アパレル/二次製品金額合計(USD)
2,803,329,471
3,945,053,359
4,006,493,060
4,124,146,249
5,721,253,123
5,903,666,204
62
2010
20
2011
2012
(韓国:輸入数量)
表 1-2-3-10. 糸類の輸入数量
HS コード
品目
UNIT
5004-5006
絹糸
KG
458,206
327,051
275,917
5106-5110
毛糸
KG
2,628,335
1,864,024
1,223,184
5204-5207
綿糸
KG
252,927,334
193,962,067
152,487,608
5306-5308
麻糸等の植物繊維系
KG
6,462,487
6,090,511
5,158,750
5401-5406
化繊長繊維糸
KG
225,367,717
231,873,092
213,038,054
5508-5511
化繊紡績糸
KG
164,455,838
160,051,932
165,782,653
5605
金属を交えた糸
KG
29,539
18,753
37,276
652,329,456
594,187,430
538,003,442
2010
糸類数量合計 (KG)
2011
2012
表 1-2-3-11. 織物類の輸入数量
HS コード
品目
UNIT
5007
絹織物
KG
1,016,695
921,367
834,686
5111-5113
毛織物
KG
1,607,437
2,274,899
1,623,728
5208-5212
綿織物
KG
86,873,436
65,984,631
70,811,175
5309-5311
麻織物等植物繊維の織物 KG
10,864,553
11,440,918
10,430,497
5407-5408
化繊長繊維の織物
KG
25,540,782
36,941,346
34,484,551
512-5516
化繊短繊維の織物
KG
42,213,927
38,750,890
36,943,280
5801-5803
パイル、シェニール、テ
KG
リー等織物
1,920,002
1,576,990
1,759,824
60
ニット生地
2011
2010
KG
織物類数量合計 (KG)
2012
12,087,980
13,411,350
12,809,230
182,124,812
171,302,391
169,696,971
表 1-2-3-12. 衣類の輸入数量
HS コード
品目
UNIT
61
ニット衣類
KG
83,564,849
92,649,347
98,346,609
62
布帛衣類
KG
155,060,799
178,985,171
168,173,422
238,625,648
271,634,518
266,520,031
2010
アパレル/二次製品数量合計 (KG)
21
2011
2012
1-2-4. ASEAN
(ASEAN:輸出金額)
表 1-2-4-1. 糸類の輸出金額
HS コード
品目
5004-5006
5106-5110
5204-5207
5306-5308
5401-5406
5508-5511
5605
絹糸
毛糸
綿糸
麻糸等の植物繊維系
化繊長繊維糸
化繊紡績糸
金属を交えた糸
糸類金額合計(USD)
2010
2011
39,387,944
80,736,455
1,315,600,647
1,340,003
2,107,687,860
1,947,954,036
7,542,530
5,500,249,475
2012
50,178,396
88,128,370
1,388,657,155
918,929
2,431,358,595
2,336,689,152
6,771,374
6,302,701,971
46,061,671
39,400,426
1,384,938,123
2,417,368
2,081,336,867
2,182,097,363
6,364,978
5,742,616,796
2010年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
2011年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
2012年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
表 1-2-4-2. 織物類の輸出金額
HS コード
5007
5111-5113
5208-5212
5309-5311
5407-5408
5512-5516
5801-5803
60
品目
絹織物
毛織物
綿織物
麻織物等植物繊維の織物
化繊長繊維の織物
化繊短繊維の織物
パイル、シェニール、テ
リー等織物
ニット生地
織物類金額合計 (USD)
2010
2011
2012
29,067,774
7,162,016
943,584,759
9,361,141
1,283,775,223
996,374,415
26,823,833
9,527,623
1,092,933,300
12,187,858
1,725,240,554
1,198,999,827
27,520,531
11,134,246
906,995,763
10,817,350
1,643,438,989
1,060,118,432
27,487,709
23,238,027
21,448,915
765,979,395
4,062,792,432
850,921,211
4,939,872,233
818,957,650
4,500,431,876
2010年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、シンガポール、タイ,フィリピン
2011年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
2012年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
表 1-2-4-3. 衣類の輸出金額
HS コード
品目
61
ニット衣類
62
布帛衣類
アパレル/二次製品金額合計 (USD)
2010
2012
2011
14,717,719,682 17,579,120,964 18,306,353,263
11,624,857,418 13,931,099,460 13,947,236,296
26,342,577,100 31,510,220,424 32,253,589,559
2010年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
2011年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
2012年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
22
(ASEAN:輸出数量)
表 1-2-4-4. 糸類の輸出数量
HS コード
5004-5006
5106-5110
5204-5207
5306-5308
5401-5406
5508-5511
5605
品目
UNIT
絹糸
KG
KG
KG
KG
KG
KG
KG
毛糸
綿糸
麻糸等の植物繊維系
化繊長繊維糸
化繊紡績糸
金属を交えた糸
2010
2011
1,032,263
5,428,669
449,024,837
498,965
895,479,510
646,268,315
280,232
1,998,012,791
糸類数量合計 (KG)
2012
1,151,152
4,738,347
358,472,786
348,442
843,219,608
648,083,861
199,632
1,856,213,828
140,961
1,981,907
179,654,345
209,766
656,016,886
529,987,534
301,240
1,368,292,639
2010年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
2011年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
2012年:インドネシア、カンボジア、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
表 1-2-4-5. 織物類の輸出数量
HS コード
品目
5007
絹織物
UNIT
2010
2011
2012
KG
毛織物
KG
綿織物
KG
麻織物等植物繊維の織 KG
物
441,218
212,894
103,260,395
281,110
150,694
90,451,862
382,867
123,600
81,560,353
582,468
737,731
199,883
5407-5408
化繊長繊維の織物
KG
5512-5516
化繊短繊維の織物
KG
142,157,021
91,501,594
151,535,785
86,607,907
132,014,137
83,218,594
3,937,056
3,540,590
1,198,666
104,342,366
446,435,012
95,092,893
428,398,572
72,742,710
371,440,810
5111-5113
5208-5212
5309-5311
パイル、シェニール、 KG
テリー等織物
60
ニット生地
KG
織物類数量合計 (KG)
5801-5803
2010年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、タイ、フィリピン
2011年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、マレーシア、タイ、フィリピン
2012年:インドネシア、カンボジア、ブルネイ、マレーシア、タイ、フィリピン
HS コード
品目
5007
絹織物
5111-5113
5208-5212
5309-5311
5407-5408
5512-5516
5801-5803
60
織物数量合計 (M)
UNIT
2010
M
毛織物
M
綿織物
M
麻織物等植物繊維の織 M
物
化繊長繊維の織物
M
化繊短繊維の織物
M
パイル、シェニール、 M
テリー等織物
ニット生地
M
2010年:インドネシア
2011年:インドネシア
2012年:インドネシア
23
2011
2012
112,680,799
90,738,895
84,190,166
-
-
-
471,945,034
311,416,183
566,517,577
307,706,137
428,227,126
294,934,953
-
-
-
896,042,016
964,962,609
807,352,245
HS コード
品目
UNIT
5007
絹織物
M2
5,894,446
2,231,403
1,319,726
5111-5113
毛織物
5208-5212
綿織物
M2
M2
547,119
119,960,348
1,274,878
28,045,178
711,838
76,837,556
5309-5311
141,324
190,001
159,194
5407-5408
麻織物等植物繊維の織
M2
物
化繊長繊維の織物
M2
5512-5516
化繊短繊維の織物
M2
21,163,068
71,155,371
32,161,254
93,103,728
35,847,715
86,722,303
5801-5803
パイル、シェニール、
M2
テリー等織物
528,176
671,567
1,706,127
58,027,314
277,417,166
64,564,064
222,242,073
57,967,899
261,272,358
60
ニット生地
織物数量合計 (M2)
2010
M2
2011
2012
2010年:シンガポール
2011年:シンガポール
2012年:シンガポール
表 1-2-4-6. 衣類の輸出数量
品目
HS コード
61
ニット衣類
62
布帛衣類
アパレル/二次製品数量合計 (DOZ)
UNIT
2010
DOZ
981,996,545
568,079,900
1,550,076,445
DOZ
2011
1,062,780,545
545,298,271
1,608,078,816
2012
1,149,930,235
309,345,322
1,459,275,557
2010年:インドネシア
2011年:インドネシア
2012年:インドネシア
品目
HS コード
61
ニット衣類
62
布帛衣類
アパレル/二次製品数量合計 (KG)
UNIT
2010
KG
145,256,088
129,764,335
275,020,423
KG
2011
153,282,238
132,814,182
286,096,420
2012
122,232,115
159,435,730
281,667,845
2010年:(61)インドネシア、カンボジア、ベトナム、マレーシア、タイ、フィリピン
2010年:(62)インドネシア、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、タイ、フィリピン
2011年:(61)インドネシア、カンボジア、ベトナム、マレーシア、タイ、フィリピン
2011年:(62)インドネシア、カンボジア、ベトナム、マレーシア、タイ、フィリピン
2012年:(61)インドネシア、カンボジア、ブルネイ、マレーシア、タイ、フィリピン
2012年:(62)インドネシア、カンボジア、ブルネイ、マレーシア、タイ
HS コード
61
62
品目
ニット衣類
布帛衣類
アパレル/二次製品数量合計 (NO)
UNIT
2010
NO
NO
1,612,081,720
320,184,683
1,932,266,403
2010年:カンボジア、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、タイ
2011年:カンボジア、ベトナム、マレーシア、タイ
2012年:カンボジア、ブルネイ、マレーシア、タイ
24
2011
1,628,830,334
309,905,712
1,938,736,046
2012
963,878,008
193,331,936
1,157,209,944
HS コード
61
62
品目
ニット衣類
布帛衣類
アパレル/二次製品数量合計 (TPR)
UNIT
2010
TPR
2011
1,996,672
439,680
2,436,352
TPR
2012
3,804,408
1,465,954
5,270,362
2,468,691
918,510
3,387,201
2010年:シンガポール
2011年:シンガポール
2012年:シンガポール
HS コード
61
62
品目
ニット衣類
布帛衣類
アパレル/二次製品数量合計 (TEN)
UNIT
2010
TEN
2011
15,404,918
5,106,826
20,511,744
TEN
2012
12,462,176
5,295,000
17,757,176
12,266,840
3,942,533
16,209,373
2010年:シンガポール
2011年:シンガポール
2012年:シンガポール
HS コード
61
62
品目
ニット衣類
布帛衣類
アパレル/二次製品数量合計 (PRS)
UNIT
2010
PRS
PRS
2011
4,262,292
4,262,292
2012
8,710,992
8,710,992
6,904,820
6,904,820
2010年:タイ
2011年:タイ
2012年:タイ
HS コード
61
62
品目
ニット衣類
布帛衣類
アパレル/二次製品数量合計 (UNK)
UNIT
2010
UNK
UNK
2011
-
2010年:シンガポール
2011年:シンガポール
2012年:シンガポール
25
2012
8
8
-
(ASEAN:輸入金額)
表 1-2-4-7. 糸類の輸入金額
HS コード
5004-5006
5106-5110
5204-5207
5306-5308
5401-5406
5508-5511
5605
品目
2010
絹糸
11,370,072
25,511,845
502,689,451
20,672,458
1,512,392,758
418,691,218
5,912,187
2,497,239,989
毛糸
綿糸
麻糸等の植物繊維系
化繊長繊維糸
化繊紡績糸
金属を交えた糸
糸類金額合計(USD)
2011
12,950,679
39,590,551
557,507,099
26,828,463
1,839,957,289
521,538,538
6,031,218
3,004,403,837
2012
9,824,854
79,204,845
501,286,038
31,099,625
1,850,929,623
493,048,141
5,363,727
2,970,756,853
2010年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
2011年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
2012年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
表 1-2-4-8. 織物類の輸入金額
HS コード
5007
5111-5113
5208-5212
5309-5311
5407-5408
5512-5516
5801-5803
60
品目
2010
絹織物
毛織物
綿織物
麻織物等植物繊維の織物
化繊長繊維の織物
化繊短繊維の織物
パイル、シェニール、テリー等
織物
ニット生地
織物金額合計 (USD)
2011
2012
63,586,682
153,572,553
2,912,448,427
43,675,278
1,507,574,421
2,492,156,747
66,970,624
194,380,710
3,546,432,917
53,130,444
2,021,287,955
2,942,651,211
64,559,764
176,479,769
3,056,194,075
47,199,810
2,070,267,929
3,104,129,028
127,287,993
155,242,896
179,015,713
4,238,866,185
11,539,168,286
5,235,162,354
14,215,259,111
5,680,901,141
14,378,747,229
2010年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
2011年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
2012年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
表 1-2-4-9. 衣類の輸入金額
HS コード
61
62
品目
ニット衣類
布帛衣類
アパレル/二次製品金額合計 (USD)
2011
2010
2012
1,655,273,060
2,036,752,785
2,277,718,162
1,634,001,933
2,149,981,431
2,360,569,694
3,289,274,993
4,186,734,216
4,638,287,856
2010年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
2011年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
2012年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、ブルネイ、マレーシア、タイ、フィリピン
26
(ASEAN:輸入数量)
表 1-2-4-10. 糸類の輸入数量
HS コード
5004-5006
5106-5110
5204-5207
5306-5308
5401-5406
5508-5511
5605
品目
UNIT
絹糸
KG
KG
KG
KG
KG
KG
KG
毛糸
綿糸
麻糸等の植物繊維系
化繊長繊維糸
化繊紡績糸
金属を交えた糸
2010
2011
972,235
2,496,863
143,318,967
14,527,803
479,662,419
116,306,338
520,123
757,804,748
糸類数量合計 (KG)
2012
579,479
2,952,029
123,242,836
17,493,838
540,882,283
126,913,937
529,552
812,593,954
561,712
3,144,362
89,212,535
22,580,990
350,529,753
117,193,844
497,005
583,720,201
2010年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
2011年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
2012年:インドネシア、カンボジア、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
表 1-2-4-11. 織物類の輸入数量
HS コード
品目
5007
絹織物
5111-5113
5208-5212
5309-5311
5407-5408
5512-5516
5801-5803
60
織物類数量合計 (KG)
UNIT
2010
KG
KG
綿織物
KG
麻織物等植物繊維の織 KG
物
化繊長繊維の織物
KG
化繊短繊維の織物
KG
パイル、シェニール、 KG
テリー等織物
ニット生地
KG
2011
2012
1,467,598
6,388,633
305,672,627
1,243,936
7,087,958
323,031,350
878,733
3,792,957
164,754,343
4,057,957
4,325,599
3,097,861
191,979,467
284,109,415
218,548,726
294,425,680
184,284,642
173,778,658
13,392,889
21,093,730
24,351,556
560,923,321
1,367,991,907
632,728,040
1,502,485,019
495,594,088
1,050,532,838
毛織物
2010年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、タイ、フィリピン
2011年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、マレーシア、タイ、フィリピン
2012年:インドネシア、カンボジア、ブルネイ、マレーシア、タイ、フィリピン
HS コード
品目
5007
絹織物
5111-5113
5208-5212
5309-5311
5407-5408
5512-5516
5801-5803
60
織物類数量合計 (M)
UNIT
2010
M
毛織物
M
綿織物
M
麻織物等植物繊維の織 M
物
化繊長繊維の織物
M
化繊短繊維の織物
M
パイル、シェニール、 M
テリー等織物
ニット生地
M
2010年:インドネシア
2011年:インドネシア
2012年:インドネシア
27
2011
2012
962,749,862
1,048,887,291
1,548,044,375
-
-
-
3,036,911,817
207,181,670
1,734,260,489
215,675,596
1,135,791,280
300,958,468
-
-
-
4,206,843,349
2,998,823,376
2,984,794,123
HS コード
品目
5007
絹織物
UNIT
5407-5408
M2
M2
綿織物
M2
麻織物等植物繊維の織 M2
物
化繊長繊維の織物
M2
5512-5516
化繊短繊維の織物
5801-5803
パイル、シェニール、 M2
テリー等織物
M2
ニット生地
5111-5113
5208-5212
5309-5311
60
織物類数量合計(M2)
2010
2011
2012
6,846,401
毛織物
4,939,888
4,822,941
1,160,966
50,750,804
2,132,107
43,815,201
1,242,399
54,029,729
596,583
644,065
645,707
25,773,864
38,484,335
43,638,176
88,767,943
97,379,754
90,622,251
1,273,782
820,614
824,496
89,930,246
265,100,589
80,066,752
268,282,716
99,409,286
295,234,985
M2
2010年:シンガポール
2011年:シンガポール
2012年:シンガポール
表 1-2-4-12. 衣類の輸入数量
HS コード
61
62
品目
ニット衣類
布帛衣類
アパレル/二次製品数量合計 (DOZ)
UNIT
2010
DOZ
2011
41,887,266
38,723,285
80,610,551
DOZ
2012
52,620,352
19,986,611
72,606,963
79,839,499
19,134,429
98,973,928
2010年:インドネシア
2011年:インドネシア
2012年:インドネシア
HS コード
61
62
品目
ニット衣類
布帛衣類
アパレル/二次製品数量合計 (KG)
UNIT
2010
KG
2011
52,623,552
57,136,916
109,760,468
KG
2012
53,933,671
67,787,797
121,721,468
42,548,555
69,024,100
111,572,655
2010年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、タイ、フィリピン
2011年:インドネシア、カンボジア、ベトナム、マレーシア、タイ、フィリピン
2012年:インドネシア、カンボジア、ブルネイ、マレーシア、タイ、フィリピン
HS コード
61
62
品目
ニット衣類
布帛衣類
アパレル/二次製品数量合計 (NO)
UNIT
2010
NO
NO
2011
144,616,502
67,480,917
212,097,419
2012
183,781,840
110,850,634
294,632,474
203,614,348
166,679,128
370,293,476
2010年:カンボジア、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、タイ
2011年:カンボジア、ベトナム、マレーシア、タイ
2012年:カンボジア、ブルネイ、マレーシア、タイ
HS コード
61
62
品目
ニット衣類
布帛衣類
アパレル/二次製品数量合計 (TPR)
UNIT
2010
TPR
2011
8,515,247
1,864,616
10,379,863
TPR
2010年:シンガポール
2011年:シンガポール
2012年:シンガポール
28
2012
8,917,816
4,802,462
13,720,278
7,374,180
2,826,908
10,201,088
HS コード
61
62
品目
ニット衣類
布帛衣類
アパレル/二次製品数量合計 (TEN)
UNIT
2010
TEN
2011
22,670,554
17,259,440
39,929,994
TEN
2012
21,358,729
14,186,864
35,545,593
21,098,623
12,419,974
33,518,597
2010年:シンガポール
2011年:シンガポール
2012年:シンガポール
HS コード
61
62
品目
ニット衣類
布帛衣類
アパレル/二次製品数量合計 (PRS)
UNIT
2010
PRS
PRS
2011
6,847,205
6,847,205
2012
7,788,156
7,788,156
11,821,182
11,821,182
2010年:タイ
2011年:タイ
2012年:タイ
HS コード
61
62
品目
ニット衣類
布帛衣類
アパレル/二次製品数量合計 (UNK)
UNIT
2010
UNK
UNK
2011
-
2010年:シンガポール
2011年:シンガポール
2012年:シンガポール
29
2012
335
335
-
1-2-5. EU
(EU:輸出金額)
表 1-2-5-1. 糸類の輸出金額
HS コード
品目
5004-5006
絹糸
12,259,908
10,483,899
9,354,079
5106-5110
毛糸
445,975,709
539,201,401
500,933,671
5204-5207
綿糸
255,946,951
305,336,518
259,879,495
5306-5308
麻糸等の植物繊維系
36,246,884
36,320,014
31,768,204
5401-5406
化繊長繊維糸
1,641,318,486
1,860,189,658
1,702,994,447
5508-5511
化繊紡績糸
366,801,977
402,358,404
363,989,142
5605
金属を交えた糸
2010
糸類金額合計 (USD)
2011
2012
21,371,594
23,691,942
27,720,669
2,779,921,509
3,177,581,836
2,896,639,707
表 1-2-5-2. 織物類の輸出金額
HS コード
品目
5007
絹織物
260,166,077
291,280,207
268,699,246
5111-5113
毛織物
1,148,283,283
1,392,964,971
1,307,030,000
5208-5212
綿織物
2,731,077,332
3,006,138,844
2,599,718,214
5309-5311
麻織物等植物繊維の織物
205,239,546
221,662,233
195,466,509
5407-5408
化繊長繊維の織物
1,170,816,582
1,333,518,303
1,281,130,782
5512-5516
化繊短繊維の織物
1,092,707,129
1,249,670,229
1,185,416,315
5801-5803
パイル、シェニール、テリー
等織物
ニット生地
244,359,695
254,260,410
274,273,168
1,709,109,527
2,039,885,205
1,807,390,991
8,561,759,171
9,789,380,402
8,919,125,225
60
2010
織物類金額合計 (USD)
2012
2011
表 1-2-5-3. 衣類の輸出金額
HS コード
品目
61
ニット衣類
62
布帛衣類
アパレル/二次製品金額合計 (USD)
2010
2011
2012
7,453,804,209
9,295,998,828
9,264,735,616
13,014,960,232
16,346,447,907
16,876,089,974
20,468,764,441
25,642,446,735
26,140,825,590
30
(EU:輸出数量)
表 1-2-5-4. 糸類の輸出数量
HS コード
品目
UNIT
5004-5006
絹糸
KG
267,100
164,200
192,400
5106-5110
毛糸
KG
20,943,800
20,118,900
17,470,300
5204-5207
綿糸
KG
34,352,900
31,598,600
29,761,000
5306-5308
麻糸等の植物繊維系
KG
10,256,800
7,814,300
5,645,200
5401-5406
化繊長繊維糸
KG
251,703,400
247,650,400
236,571,500
5508-5511
化繊紡績糸
KG
45,318,300
49,110,000
41,067,100
5605
金属を交えた糸
KG
399,900
470,800
503,500
363,242,200
356,927,200
331,211,000
糸類数量合計 (KG)
2012
2011
2010
表 1-2-5-5. 織物類の輸出数量
HS コード
品目
UNIT
5007
絹織物
M2
17,231,233
14,884,168
5111-5113
毛織物
M2
105,872,932
106,532,248
94,891,805
5208-5212
綿織物
M2
744,710,589
661,268,670
584,242,059
5309-5311
麻織物等植物繊維の織物
M2
32,030,793
28,695,137
24,618,271
5407-5408
化繊長繊維の織物
M2
605,489,620
628,702,105
659,946,865
512-5516
化繊短繊維の織物
M2
332,983,872
340,092,749
333,220,449
5801-5803
パイル、シェニール、テ M2
リー等織物
39,238,520
35,912,424
38,183,006
1,877,557,559
1,816,087,501
1,749,326,716
2010
織物類数量合計 (M2)
HS コード
品目
UNIT
60
ニット生地
KG
2011
2010
織物類数量合計 (KG)
2012
2011
14,224,261
2012
258,328
266,494
278,794
258,328
266,494
278,794
出所:European Commission, ‘TRADE Market Access Database”
表 1-2-5-6. 衣類の輸出数量
HS コード
品目
61
ニット衣類
KG
1,081,892
1,217,106
1,280,866
62
布帛衣類
KG
906,250
1,093,895
1,129,397
1,988,142
2,311,001
2,410,263
UNIT
2010
アパレル/二次製品数量合計 (KG)
出所:European Commission, ‘TRADE Market Access Database”
31
2011
2012
(EU:輸入金額)
表 1-2-5-7. 糸類の輸入金額
HS コード
品目
5004-5006
絹糸
5106-5110
毛糸
242,842,819
323,154,701
251,534,044
5204-5207
綿糸
1,308,073,958
1,618,536,507
1,134,388,797
5306-5308
麻糸等の植物繊維系
5401-5406
化繊長繊維糸
5508-5511
化繊紡績糸
5605
金属を交えた糸
2010
2011
2012
67,646,000
糸類金額合計(USD)
101,686,720
85,926,413
154,814,605
171,100,367
162,733,943
2,101,816,358
2,630,980,258
2,246,160,148
725,612,794
906,486,959
709,629,360
24,377,918
25,941,629
24,141,261
4,625,184,452
5,777,887,141
4,614,513,966
表 1-2-5-8. 織物類の輸入金額
HS コード
品目
5007
絹織物
285,803,272
349,775,665
300,298,985
5111-5113
毛織物
168,130,942
192,441,468
169,702,766
5208-5212
綿織物
2,355,499,207
2,798,497,223
2,160,676,753
5309-5311
麻織物等植物繊維の織物
184,684,656
215,561,270
173,828,130
5407-5408
化繊長繊維の織物
1,284,472,133
1,613,802,526
1,627,922,851
5512-5516
化繊短繊維の織物
1,115,120,033
1,329,808,397
1,092,274,091
5801-5803
パ イ ル 、シ ェニ ール 、テ
リー等織物
ニット生地
261,580,740
288,380,886
269,210,207
1,709,109,527
2,039,885,205
1,807,390,991
7,364,400,510
8,828,152,640
7,601,304,774
60
2010
織物類金額合計(USD)
2011
2012
表 1-2-5-9. 衣類の輸入金額
HS コード
品目
61
ニット衣類
41,242,421,603
47,046,537,252
41,552,347,364
62
布帛衣類
41,626,937,704
48,296,758,352
43,079,310,369
82,869,359,307
95,343,295,604
84,631,657,733
アパレル/二次製品金額合計(USD)
2010
32
2011
2012
(EU:輸入数量)
表 1-2-5-10. 糸類の輸入数量
HS コード
品目
UNIT
5004-5006
絹糸
KG
1,628,500
1,854,700
1,549,800
5106-5110
毛糸
KG
18,318,700
17,961,800
13,512,200
5204-5207
綿糸
KG
325,311,900
273,954,300
249,079,400
5306-5308
麻糸等の植物繊維系
KG
67,688,600
57,238,000
48,843,100
5401-5406
化繊長繊維糸
KG
621,450,000
656,474,000
609,434,100
5508-5511
化繊紡績糸
KG
182,706,300
182,880,700
159,044,700
5605
金属を交えた糸
KG
1,135,200
1,336,900
1,284,200
1,218,239,200
1,191,700,400
1,082,747,500
2010
糸類数量合計 (KG)
2011
2012
表 1-2-5-11. 織物類の輸入数量
HS コード
品目
UNIT
5007
絹織物
M2
63,536,481
63,600,537
5111-5113
毛織物
M2
24,986,826
24,847,109
21,151,105
5208-5212
綿織物
M2
2,028,706,191
1,818,037,528
1,590,947,615
5309-5311
麻織物等植物繊維の織 M2
物
化繊長繊維の織物
M2
167,668,947
153,375,177
138,570,000
5407-5408
1,095,289,374
1,282,811,876
1,312,854,413
512-5516
化繊短繊維の織物
M2
1,170,830,108
1,163,745,648
1,036,192,660
5801-5803
パイル、シェニール、 M2
テリー等織物
115,409,199
122,014,222
135,503,105
4,666,427,126
4,628,432,097
4,287,293,423
2010
織物類数量合計 (M2)
HS コード
品目
UNIT
60
ニット生地
KG
2011
2010
織物類数量合計 (KG)
2012
2011
52,074,525
2012
227,790
252,541
278,864
227,790
252,541
278,864
出所:European Commission, ‘TRADE Market Access Database”
表 1-2-5-12. 衣類の輸入数量
HS コード
品目
UNIT
61
ニット衣類
KG
1,380,440
1,251,003
1,362,424
布帛衣類
KG
1,255,460
1,083,367
1,219,801
2,635,900
2,334,370
2,582,225
62
2010
アパレル/二次製品数量合計 (KG)
出所:European Commission, ‘TRADE Market Access Database”
33
2011
2012
1-3. 繊維・アパレル製品の国際移動
本項では、対象 5 ヵ国の繊維製品(糸類、繊維類、衣類)の輸出において、製品群ごと
の輸出トップの仕向国と、その輸出額を算出し、各国からの繊維材料、繊維製品の貿易の
流れを概観することを試みた。
次ページの図 1-3-1. は、各国からの主な輸出の流れをイメージして頂くために作成した
簡略図である。各国から出る矢印の先が最大の仕向地となり、それが糸類、繊維類、衣類
の製品群ごとに示されている。
統計データの入手可能性には限りがあるため、以下の方法で各国の第 1 位の仕向国を決
定した。
1) Global Trade Atlas を利用し、HS4 桁ベースの対象品目(表 1-2-1. 対象の HS コー
ドと品目を参照)の全てに関し、金額ベースで各国の輸出先 1 位から 5 位にランクさ
れる国をリストアップする。
2) 製品群ごとに、もっとも多く 5 位以内にランクされる国、上位最大 5 ヵ国までを選出
する。
3) その 5 ヵ国それぞれへの品目別輸出額を全て合計する。
(EU からの糸類の輸出先第 1
位を決める場合において、仮に米国が最も多く EU からの品目別輸出額 5 位以内にラ
ンクされる国として上位(5 ヵ国以内)にはいったとすると、HS5004 から始まる、
表 1-2-1. に示された品目の金額(EU から米国への輸出金額)全てを合計する。その
結果米国の金額が他の 4 ヵ国よりも多ければ、EU の糸類の輸出先として、米国が最
大と決まる。結果、図 1-3-1. において、EU から米国への糸類の矢印が引かれること
になる。
)
4) ASEAN に関しては、品目ごとの集計が困難なため、参考として、繊維製品全体の輸
出先として最大の米国を、全ての製品群において第 1 位とした。輸出金額のデータは、
米国商務省のデータを使用した。
34
図 1-3-1. 繊維・アパレル製品の国際移動
糸類:US$ 358 mil.
スイス
カナダ
衣料品:US$ 26,190 mil.
衣料品:US$ 4,226 mil.
EU
衣料品:US$ 1,694 mil.
糸類:
US$ 328 mil.
中国
韓国
生地:
US$ 1,809 mil.
アメリカ
衣料品:US$390 mil.
生地:US$ 1,148 mil.
糸類:US$ 2,341 mil.
生地:US$ 1,259 mil.
日本
生地:US$ 4,065 mil.
モロッコ
糸類:US$ 994 mil.
香港
メキシコ
糸類:US$ 283 mil.
ASEAN
ホンジュラス
生地:US$ 339 mil.
衣料品:US$17,433 mil.
:糸類
:生地(織物類)
:衣料品
35
2. 主要 EPA/FTA の原産地規則の特徴
2-1. NAFTA
北米自由貿易協定 (NAFTA: North American Free Trade Agreement) は、米国、カナ
ダ、メキシコの 3 か国間の自由貿易協定で、2012 年の時点で、概ね域内 GDP は 19.2 兆米
ドル、人口約 4.6 億人に及ぶ、EU を凌ぐ世界最大級の大規模経済圏となっている。
同協定は、1992 年 8 月に基本合意に達し、同年 12 月に正式署名、1994 年 1 月 1 日に発効
した。
対外共通関税を持たず、労働力移動の自由化、経済政策の協調を内容に含んでいないも
のの、重要産業分野に関しては厳しい原産地基準を定め、加盟国相互の投資を優遇する規
則や、サービス貿易、知的財産権に関する規則、実効性の高い紛争解決手段の導入、政府
調達における優遇を定める等、実効性の高い経済統合の枠組みを持っている。更に環境問
題、労働者保護の問題に関しては、補完協定で規定されている。
第 1 部 (PART ONE) から第 8 部 (PART EIGHT) までの大分類と付録 (ANNEX I~
VII) で構成され、その下に 22 の章が内容に応じて振り分けられている。繊維・アパレル製
品に関する各種規定は、第 2 部の「物品の貿易」の中の、附属書 300-B「繊維及びアパレ
ル製品」にあり、品目別規則は附属書 401 にある。原産地規則の基本原則に関しては、第 4
章「原産地規則」に規定されている。
(第 2 部:物品貿易と付属書 300-B「繊維及びアパレル製品」の構成)(仮訳)
以下、物品貿易に関する規定のある第 2 部の構成を示す。
表 2-1-1. 第 2 部:物品貿易
第 3 章:内国民待遇及び市場アクセス
附属書 300-A:自動車分野における貿易及び投資
附属書 300-B:繊維及びアパレル製品
第 4 章:原産地規則
附属書 401:品目別規則
第 5 章:税関手続き
第 6 章:エネルギーと基礎石油化学製品
第 7 章:農業及び衛生・植物検疫対策
第 8 章:緊急措置
36
以下、同様に繊維・アパレル製品に関する規定のある、附属文書 300-B の構成も合わせ
て示す。
表 2-1-2. 附属書 300-B:繊維及びアパレル製品(繊維章)
第 1 項:適用範囲
第 2 項:関税の撤廃
第 3 項:輸出入の禁止、制限及び協議の段階
第 4 項:二国間の緊急措置(関税行動)
第 5 項:2国間の緊急措置(数量規制)
第 6 項:特別規定
第 7 項:原産地規則の見直し及び改定
第 8 項:ラベル表示の必要条件
第 9 項:中古衣類及びその他の中古品物の貿易
第 10 項:定義
別表 1.1:附属文書 300-B で取り扱われる品物
別表 2.1:関税撤廃
スケジュール 2.1.B:関税の段階的廃止の例外規定 別表 2.1 の特定規定
別表 2.4:特定の繊維及びアパレル製品の関税撤廃
別表 3.1:輸出入の禁止、制限の及び協議レベルの管理
スケジュール 3.1.1:メキシコから米国への輸出に関する制限及び協議レベルの撤廃スケジュ
ール
スケジュール 3.1.2:メキシコから米国への輸出に対する制限及び協議レベル
スケジュール 3.1.3:変換係数
別表 5.1:二国間緊急措置(数量制限)
別表 6:特別条項
スケジュール 6.B.1:非原産品のアパレル及び完成品に関する特恵関税扱い
スケジュール 6.B.2:非原産品の綿製又は人造繊維製アパレル及び完成品に関する特恵関税扱
い
スケジュール 6.B.3:非原産品の綿製又は人造繊維製紡績糸に関する特恵関税扱い
別表 10.1:国別の定義
37
(原産地認定基準)
一般的な規定は、第 2 部:物品の貿易の中の、第 4 章「原産地規則」において示されて
いる。繊維及びアパレル製品の品目別規則は、同じ第 2 部の附属書 401 に、繊維・アパレ
ル製品の特別規定や関税撤廃スケジュールに関しては附属書 300-B に規定がある。
以下に、原産品の定義を含め、NAFTA の原産地規則全般に関する規定のキーポイントを示
す。
表 2-1-3. 原産地規則の概略

401 条:原産品
(a) 完全生産品:
一方または双方の締約国の区域において完全に得られ、または生産される産品
(b) 原産材料のみを使用する産品:
一方または双方の締約国の区域において原産材料のみから完全に生産される産品
(c) 非原産材料を使う場合(1):
締結国における加工または製造により関税番号変更基準を満たす場合
(d) 非原産材料を使う場合(2):
(HS 第 61 類から第 63 類に分類される物品を除いて、)締結国において加工または製
造が完全になされるが、使用される非原産材料の関税分類が以下の理由により変更さ
れないもの
(i)
組立あるいは分解されていない物品が締約国の域内に輸入されたが、HS の解釈に
係る総則 2(a)項に基づき、組み立てられた物品として分類されたケース。
(ii) 当該物品に対する関税分類番号の項(4 桁目)が、同物品の部品としてみなされた
物品の項番号と同じで、号(6 桁目)ベースには区分できない場合。あるいは当該
物品の関税分類番号の号が、同物品の部品としてみなされた物品に対する号番号と
同じであるケース。
(iii) 第 402 条により定められた物品の域内原産割合が、取引価額方式で 60%以上、純
費用方式で 50%以上であり、かつ、その他の適用要件を満たしているケース。

402 条:域内原産割合
当該産品の輸出者または生産者の選択に応じて、a)取引価額方式、b)純費用(ネットコス
ト)方式、という二つの方法のいずれかによって行うことが出来る。

404 条:累積:
「協定の締約国で作られたものは、他の締約国で作られたものとみなす」という「累積」
の考え方が採用されている。404 条によると、ある締約国域内で生産された産品は、特恵
関税が申請されている産品の輸出者または生産者の判断により、その他の締約国のいずれ
かで生産されたものとみなすことができる。
(但し、当該産品の生産に使用される全ての非
原産材料は関税分類を変更され、同物品が当該の域内原産割合の用件、ならびに NAFTA
38
第 4 章に述べる各要件を満たしている場合に限る。
)

405 条:僅少の非原産材料(De Minimis:デミニマス)
部品の生産に使用された非原産材料が付属書 401 に規定されている関税番号変更基準の条
件をみたさない場合でも、使用する原材料の総額が産品の価額の 7%以下であれば原産品
とみなす。
(但し、域内原産割合の用件や第 4 章に定められた要件を満たし、且つ 405 条
に定められた例外品目等を除く。)
(また、HS 第 50 類から第 63 類に属する繊維・アパレ
ル製品に関しては、産品の価額ではなく、関税番号を決定づける部分の重量比で 7%以下
であれば、このデミニマスが適用される。
)

411 条:積替え
積送基準として、
「積み卸しや積み直しなどの作業を除き、締約国以外の区域であらたな作
業が行われた場合、非原産材料となる」積み替え条項が規定されている。

第 5 章「通関手続き」
501 条:原産地証明書
NAFTA では、第 5 章の 501 条において、原産地証明書に関する規定がある。原則、輸
出国当局に対して正式に申請する必要がなく、生産者または輸出者による自己証明方式と
なっている。個別原産地規則を満たして NAFTA 締約国に輸出しようとする同産品の生産
者もしくは輸出者が、証明書に記入しそこに署名することが求められるだけとなっている。

品目別規則の特徴
繊維・アパレル製品に関する原産地規則では、関税番号変更基準と加工工程基準の両方
が採用されており、基本的にはその組み合せによって品目別の規則がそれぞれ異なる。(以
下に述べるように、原糸原則 (yarn forward) が採用されており、多くの品目において繊維、
または原糸から締約国域内である必要があり大変厳しいものになっている。
それぞれの品目別規則は附属文書 401 に規定されており、以下は、繊維・アパレル製品
の品目別規則の特徴を示す。
(a) 繊維・アパレル製品の場合は、域内原産割合は考慮されない。
(b) 第 61 類、第 62 類、第 63 類の類規則によると、これらの類に属する産品の原産規則
は、当該製品の関税分類を決定する構成部分についてのみ適用される。
(c) 第 61 類、第 62 類の多くの製品に関し、製品自体に加え、裏地に関する関税番号変更
基準の規定がある。
(d) 附属文書 401 の第 62 類にある品目別規則より、第 62 類の類規則 2 又は HS 第
6205.20-6205.30 の類規則が優先される場合がある。

原糸原則 (yarn forward) の適用
もう一つの重要な要件として、いわゆる「原糸原則 (yarn forward) 」といわれる条件
39
がある。これは、NAFTA で初めて採用され、中東諸国との FTA を除き、米韓 FTA など米
国が結んだ他の殆どの FTA でも採用されている原則で、繊維・アパレル製品が原産品とし
て認定されるためには、一部の産品を除き、使用される繊維または原糸(及び織編地)が
全て域内生産品でなければならないという非常に厳しい条件である。
(関税削減スケジュール)
NAFTA における関税引き下げ・撤廃スケジュールとしては、原則的には FTA 発効後、
品目により、1) 即時撤廃、2) 5 年以内、3) 10 年以内、4) 15 年以内のいずれかの期間で撤
廃されることになっている。
繊維・アパレル製品に関しては、附属文書 300-B「繊維及びアパレル製品」の第 2 項に、
「本協定に別段の定めがある場合を除いて、各締結国は原産品である繊維及びアパレル製
品にかかる関税を、附属文書 302.2(関税の撤廃)のスケジュール及び別表 2.1 にある簡易
参照リストに基づいて、段階的に撤廃しなければならない。
」とある。
附属文書 300-B の別表 2.1 には、以下のように各締結二国間別の関税撤廃スケジュール
に関する規定(仮訳)が示されている。以下の規定にあるように、2003 年 1 月 1 日には、
繊維・アパレル製品に関する、米国、カナダ、メキシコ間の関税は完全に撤廃されること
となっている。
A.米国とカナダ間の貿易
第 302 条の規定により、米国とカナダは相手国の原産品である繊維及びアパレル製品に
対する関税を段階的に撤廃しなければならない。同関税撤廃は、本協定の附属文書 302.2
に組み入れられ、各国のスケジュールを規定している、米国とカナダの自由貿易協定の附
属文書 401.2 及びその改定文書に従って行われなければならない。
B.米国とメキシコ間の貿易
スケジュール 2.1.Bの規定による場合を除き、第 302 条の規定により、米国とメキシコ
は相手国の原産品である繊維及びアパレル製品に対する関税を、附属文書 302.2 の該当ス
ケジュールに従って、下記に示されているように、段階的に撤廃しなければならない
(a) 各締結国のスケジュールに規定されている、段階的撤廃のカテゴリーAに分類される
繊維及びアパレル製品の関税は 1994 年 1 月 1 日には完全に撤廃され、当該製品は免税
とならなければならない。
(b) 締結国のスケジュールに規定されている、段階的撤廃のカテゴリーB6に分類される繊
維及びアパレル製品の関税は、1994 年 1 月 1 日に、パーセント比率で、基準レートに
等しい額の引下げを行わなければならない。その後、関税は 1995 年 1 月 1 日にスター
40
トする 5 年間に等分割で取り除かれ、1995 年 1 月 1 日には当該製品は免税とならなけ
ればならない。
(c) 締結国のスケジュールに規定されている、段階的撤廃のカテゴリーCに分類される繊
維及びアパレル製品の関税は、1994 年 1 月 1 日にスタートする 10 年間に等分割で取
り除かれ、2003 年 1 月 1 日には当該製品は免税とならなければならない。
(d) サブパラグラフ(b)又は(c)に規定される、カテゴリーB6又はC用の計算式を
適用した際に、価格の 20 パーセントを超えている場合には、その年の関税は、本来適
用される関税率に変えて、価格の 20 パーセントとする。
C.カナダとメキシコ間の貿易
第 302 条の規定により、カナダとメキシコは相手国の原産品である繊維及びアパレル製
品に対する関税を、附属文書 302.2 の該当スケジュールに従って、下記に示されているよ
うに、段階的に撤廃しなければならない
(a) 各締結国のスケジュールに規定されている、段階的撤廃のカテゴリーAに分類される
繊維及びアパレル製品の関税は 1994 年 1 月 1 日には完全に撤廃され、当該製品は免税
とならなければならない。
(b) 各締結国のスケジュールに規定されている、段階的撤廃のカテゴリーB1に分類される
繊維及びアパレル製品の関税は、1994 年 1 月 1 日にスタートする 6 年間に等分割で取
り除かれ、1999 年 1 月 1 日には当該製品は免税とならなければならない。
(c) 各締結国のスケジュールに規定されている、段階的撤廃のカテゴリーB+に分類される
繊維及びアパレル製品の関税は、1994 年 1 月 1 日から基準税率に対して下記のパーセ
ントで取り除かれ、2001 年 1 月 1 日には当該製品は免税とならなければならない。
(i) 1994 年 1 月 1 日 20 パーセント
(ii) 1995 年 1 月 1 日 0 パーセント
(iii) 1996 年 1 月 1 日 10 パーセント
(iv) 1997 年 1 月 1 日 10 パーセント
(v) 1998 年 1 月 1 日 10 パーセント
(vi) 1999 年 1 月 1 日 10 パーセント
(vii) 2000 年 1 月 1 日 10 パーセント
(viii) 2001 年 1 月 1 日 30 パーセント
(d) 各締結国のスケジュールに規定されている、段階的撤廃のカテゴリーCに分類される
繊維及びアパレル製品の関税は、1994 年 1 月 1 日にスタートする 10 年間に等分割で
取り除かれ、2003 年 1 月 1 日には当該製品は免税とならなければならない。
41
D. 全ての締結国間での貿易
附属文書 302.2 に規定される各国のスケジュールに規定されている、段階的撤廃のカテ
ゴリーDに分類される原産品である繊維・アパレル製品は引き続き免税の扱いをうける。
(特殊ルール、特記事項)

TPL (Tariff Preference Level) の適用
一定数量までにおいて、附属文書 401 に規定されている品目別規則に適合しない非原産
品であっても、一カ国以上の NAFTA 締約国において重要な加工工程が行われる、糸、織
編地、および繊維製品に対して、NAFTA の特恵関税が適用される場合がある。そのような
物品の輸入数量が定められた量を超える場合、MFN 税率が適用される。

検証手続き:
NAFTA 第 506 条に基づき、税関当局は次の方法により、NAFTA の保護を受けて輸入
される物品の原産資格を検証するための権限を有する。
a) 他の締約国の域内に所在する輸出者もしくは生産者へ宛てる質問書。
b) 記録を調査し、物品の生産に使用された施設の検査を目的とした、他の締約国の域
内に所在する生産者もしくは輸出者の施設への訪問。
c) 締約国同士で合意したその他の方法。
検証により輸出者もしくは生産者が自社の物品の原産地について繰り返し虚偽の申告を
していた場合、適用される原産地規則を遵守していることを証明しない限り、輸入締約国
は、同一物品に対して特恵関税待遇の適用を停止することができる。また、上記 b)おける
施設への訪問を生産者もしくは輸出者が正式に承諾しない場合も、輸入国により特恵関税
待遇が拒否されることとなる。

繊維・アパレル製品のセーフガード
附属文書 300-B には、
「二国間緊急措置」として、セーフガード規定が盛り込まれてい
る。第 4 項では、関税措置に関する規定が盛り込まれており、本協定の特恵関税の恩恵を
受ける繊維又はアパレル製品の自国内への輸入数量が増加し、自国の産業に重大な損害が
もたらされる危険のある場合は、輸入国は、そのような損害を防止するために、必要最小
限の範囲と期間において、関税率引き下げ・撤廃の停止、または MFN 水準への関税率の引
き上げ等の緊急措置を講じることができる。
一方、第 5 項では、関税率の変更による規制ではなく、数量規制による緊急措置の手続
きが規定されている。上記と同様の恐れがある場合、輸入国は、当該輸出国に対して、重
大な損害又は損害の恐れを解消するための協議を要請することができる。
42
2-2. 米豪 FTA
米国・オーストラリア自由貿易協定 (AUSFTA: The United States-Australia Free
Trade Agreement) (以下、米豪 FTA)に関する交渉は、2003 年 3 月に開始され、2004
年 2 月には基本合意に達し、2005 年 1 月 1 日に発効された。
オーストラリア側では自由化率(10年以内の関税撤廃の品目割合)は 99%以上となっ
ている。
。一方アメリカ側では、自由化率は 96%となっている。
米豪 FTA も、NAFTA や米韓 FTA など、米国が締結している他の協定と同様、物品の
貿易のみならず、投資、金融サービス、知的財産権、労働、環境等の分野をカバーする、
包括的な経済連携協定となっており、
23 の章と付録 (Annex I~Annex III) から構成され、
原産地規則に関しては、一般原則が第 5 章に、繊維・アパレル製品に特有な規則は第 4 章
に規定されている。
(繊維章の条文構成)
上記の通り、繊維・アパレル製品に関しては、原産地規則、及び繊維・アパレル製品に
特有のルールが、第 4 章及びその附属書 4-A に規定されている。以下、第 4 章の条文構成
(仮訳)である。
表 2-2-1. 第 4 章:繊維章
第 4.1 条:二国間緊急措置
第 4.2 条:原産地規則及び関連事項
原産地規則
協議
デミニマス(僅少の非原産材料)
セット品の取扱い
第 4.3 条:繊維・アパレル製品についての税関協力
第 4.4 条:定義
附属書 4-A:繊維・アパレル製品の品目別規則
(第 42 類、第 50 類から第 63 類、第 70 類、及び第 94 類)
43
(原産地認定基準)
上記の通り、基本的な規定は、第 5 章「原産地規則」において示されている。繊維・ア
パレル製品に特有の規定は、第 4 章「繊維章」に、繊維・アパレル製品の品目別規則は、
同第 4 章の附属書 4-A に規定がある。
以下に、原産品の定義を含め、米豪 FTA の原産地規則全般に関する規定のキーポイントを
示す。
表 2-2-2. 原産地規則の概略

第5章
5.1 条:原産品
(a) 完全生産品:
一方または双方の締約国の区域において完全に得られ、または生産される産品
(b) 以下の場合に当てはまる、締約国での生産品:
(i)
産品の生産に使用されている各々の非原産材料が、附属書 4-A(繊維・アパレル製
品の品目別規則)または附属書 5-A(その他の品目別規則)に規定されている関税
番号変更基準を満たす場合、或いは
(ii) 域内原産割合の要件を満たす場合、或いは
(iii) 附属書 4-A、或いは附属書 5-A に規定されているその他の要件を満たす場合
(c) 原産材料のみを使用する産品:
一方または双方の締約国の区域において原産材料のみから完全に生産される産品
(d) 第 4 章、又は第 5 章のその他の規定により原産品とみなされる産品

域内原産割合:
控除方式 (built-down method) と積上げ方式 (built-up method)

第5章
5.3 条:累積:
「協定の締約国で作られたものは、他の締約国で作られたものとみなす」という「累積」
の考え方が採用されている。5.3 条によると、一方の締約国域内で生産された産品は、も
う一方の締約国で生産されたものとみなすことができる。
(但し、当該産品が締約国のいず
れかで生産され、5.1 条の要件、及び第 5 章或いは第 4 章に規定されるその他の要件を満
たす場合に限る。
)

第5章
5.2 条・第 4 章
4.2 条の 6:僅少の非原産材料(De Minimis:デミニマス)
部品の生産に使用された非原産材料が附属書 5-A(繊維・アパレル製品を除く)に規定さ
れている関税番号変更基準の条件をみたさない場合でも、使用する原材料の総額が産品の
調整後の価額 2 の 10%以下であれば原産品とみなす。
(一部の例外を除く。)
(また、HS第
50 類から第 63 類に属する繊維・アパレル製品に関しては、産品の価額ではなく、関税番
号を決定づける部分の総重量の 7%以下であれば、このデミニマスが適用される。)

第4章
4.2 条:原産地規則及び関連事項
2 輸出国から輸入国への輸送に関わる、輸送費、保険料、その他の関連サービスの費用を含まない金額
44
セット品の取扱い
附属書 4-A に規定される繊維・アパレル製品の原産地規則にもかかわらず、繊維・アパレ
ル製品で、統一システムの解釈の一般ルール 3 に基づいてセットとして小売販売される産
品であっても、セットを構成するそれぞれの産品が原産品であるか、又はセットに含まれ
る非原産品の合計価値が当該セット製品の関税価値の 10%以下の場合以外は原産品と認
められない。

第5章
5.12 条:特恵関税の申請
輸入者が特恵関税の申請を、輸入者の知識または当該製品が原産品に相当するという、輸
入者が所有する情報を基に行うことが出来る。(輸入者自己証明)

品目別規則の特徴
NAFTA やその他の米国が結んでいる FTA 同様、繊維・アパレル製品に関する原産地規
則では、関税番号変更基準と加工工程基準の両方が採用されており、基本的にはその組み
合せによって品目別規則がそれぞれ異なる。
(以下に述べるように、原糸原則 (yarn
forward) が採用されており、多くの品目において繊維、または原糸から締約国域内での生
産品である必要があり大変厳しいものになっている。
それぞれの品目別規則は附属書 4-A に規定されており、以下は、繊維・アパレル製品の
品目別規則の特徴を示す。概ね、先の NAFTA の場合と類似している。
(a) 繊維・アパレル製品の場合は、域内原産割合は考慮されない。
(b) 第 61 類、第 62 類、第 63 類の類規則によると、これらの類に属する産品の原産規則
は、当該製品の関税分類を決定する構成部分についてのみ適用される。
(c) 第 61 類、第 62 類の多くの製品に関し、製品自体に加え、裏地に関する関税番号変更
基準の規定がある。

原糸原則 (yarn forward) の適用
いわゆる「原糸原則 (yarn forward) 」が、NAFTA 同様この米豪 FTA においても採用
されている。繊維・アパレル製品が原産品として認定されるためには、一部の産品を除き、
使用される繊維または原糸(及び織編地)が全て域内生産品でなければならないという非
常に厳しい条件である。
45
(関税削減スケジュール)
オーストラリア側の繊維・アパレル製品の関税は、以下の 5 つの譲許類型に従って撤廃
され、2015 年 1 月 1 日には完全に撤廃される。これにより、米国の繊維・アパレル製品の
輸出も促進され、綿、人造繊維、糸、織編地の対オーストラリア輸出が特に伸びると期待
されている。
(a) 一部選定された製品に加え、基準税率が 3%以下の製品の関税は、協定の発効後、
即時撤廃される。
(基準税率が 0%の品目は、引き続き無税。)
(b) ほとんどの繊維と糸の関税は、協定発効後すぐに 3%となり、2010 年の 1 月 1 日に
は撤廃される。
(c) 様々な種類の製品が含まれる別の繊維・アパレル製品群では、発効後すぐに 5.5%
となり、2010 年 1 月 1 日に 3%、2015 年 1 月 1 日に 0%(撤廃)へと引き下げら
れる。
(d) 殆どの織編地、カーペット類に関しては、発効後すぐに 8%となり、2010 年 1 月 1
日に 3%へ引き下げられ、2015 年 1 月 1 日に撤廃される。
(e) アパレル製品のうち関税が 25%以上であった産品については、発効後すぐに 15.5%
となり、
2010 年 1 月 1 日に 8%へ引き下げられ、
2015 年 1 月 1 日には撤廃される。
一方米国側では、以下のような規定となっている。
(a) 譲許分類 A の品目に関しては、発効後すぐに関税撤廃となる。(基準税率が 0%の
品目(譲許分類 E)は、引き続き無税。
)
(b) 譲許分類 I の品目に関しては、基準税率が引き続き適用される。
(c) 譲許分類 T1US の品目に関しては、発効後すぐに規定最大 税率の 3%以下に引き
下げられ、2010 年 1 月 1 日には撤廃される。
(d) 譲許分類 TXUS の品目に関しては、
発効後すぐに規定最大税率の 5.5%以下に、
2010
年 1 月 1 日以降は 3%に引き下げられ、2015 年 1 月 1 日には撤廃される。
(e) 譲許分類 T2US の品目に関しては、発効後すぐに規定最大税率の 8%以下に、2010
年 1 月 1 日以降は 3%に引き下げられ、2015 年 1 月 1 日には撤廃される。
(f) 譲許分類 T3US の品目に関しては、発効後すぐに規定最大税率の 15.5%以下に、
2010 年 1 月 1 日以降は 8%に引き下げられ、2015 年 1 月 1 日には撤廃される。
(上記米国側の項目(c)から(f) において、基準税率が 3%を超え、且つ規定最大税率以
下の場合、基準税率に 0.9 を掛けたものが税率となる。基準税率が規定最大税率を上回
る場合は、期待最大税率が適用される。
)
46
(特殊ルール、特記事項)

原産地規則の一部改正
オーストラリア連邦議会の両院合同条約委員会(JSCOT)は 2011 年 5 月、米豪 FTA の
繊維・アパレル製品の原産地規則の改正(ビスコースレーヨン(人絹)製品に関して、原
糸の原産国にかかわらず、両国の製造業者が特恵関税を受けることを可能とする)が提言
され、2012 年 6 月に発効した。

繊維・アパレル製品に関する税関協力:
第 4 章の 4.3 条の規定により、米豪の両締約国は、以下の目的のため協力しなければな
らない。
(a) 繊維・アパレル製品に関連する法執行または法執行の支援
(b) 正確な原産地申請の確保
(c) 繊維・アパレル製品の貿易に影響する国際協定を施行するための施策の実行又は
施策実行支援、及び
(d) 繊維・アパレル製品の貿易に影響する国際協定の逸脱行為の防止
輸入締約国からの要請がある場合、輸出締約国は原産地申請が適正であるかどうかの検
証を行わなければならない。検証には、輸出者、生産者、又は繊維・アパレル製品の輸出
国から輸入国までの輸送に携わる事業者の敷地内への、
(輸出締約国の監督官庁同席の)訪
問検証も含まれる。
検証の結果、適正な原産地申請であることが確認できなかった場合、或いは上記の輸出
者、生産者等が訪問検証を拒否した場合、輸入締約国は、同一物品に対して特恵関税待遇
の適用を停止することができる。

繊維・アパレル製品のセーフガード
第 4 章の附属書 4-A には、
「二国間緊急措置」として、セーフガード規定が盛り込まれ
ている。本協定による関税引き下げ又は撤廃の結果、本協定の優遇措置の恩恵を受ける繊
維・アパレル製品の自国内への輸入数量が増加し、自国の産業に重大な損害がもたらされ
る危険のある場合は、輸入締約国は、そのような損害を防止するために必要な範囲におい
て、MFN 水準への関税率の引き上げ等の緊急措置を講じることができる。
47
2-3. 米韓 FTA
米韓 FTA (Free Trade Agreement between the United States of America and the
Republic of Korea) (略称:KORUS FTA)は、その取り扱われる分野の範囲の広さを特
徴とする二国間経済連携協定であり、東アジアの国による初の本格的な対米 FTA と言われ
ている。また、アメリカにとってもこの 20 年ほどの間で、最も商業的に重要な意義のある
協定であるとも言われている。工業製品、農産物等の物品貿易にとどまらず、サービス、
対外投資、政府調達、知的財産権保護、競争政策、労働者権利と環境の保護などを含む、
包括的協定となっている。前文、24 の章、付属書 I~III で構成され、内容は、NAFTA(北
米自由貿易協定)に概ね準じている。
交渉は 2006 年 2 月から開始され、ほぼ 1 年で合意に達し、2007 年 4 月 1 日には協定が
締結されたが、更に追加交渉による合意が 2010 年 12 月 3 日に署名された。その後 2006
年の交渉開始から 5 年以上の歳月を経て、2011 年 10 月 12 日にアメリカ上院議会で可決、
批准された。
一方、韓国側でも、国内で賛否両論渦巻く中、2011 年 11 月 22 日に米韓 FTA は韓国国
会で批准された。そして最終的に、2012 年 3 月 15 日、同協定は正式に発効された。
(繊維章の条文構成)
繊維及びアパレル製品に関しては、品目別原産地規則、繊維・アパレル製品に特有のル
ールが、第 4 章及びその付属書に規定されている。以下、条文構成の和訳(仮訳)である。
表 2-3-1. 第 4 章:繊維及びアパレル
第 4 章:繊維及びアパレル
第 4.1 条:二国間緊急措置
第 4.2 条:原産地規則及び関連事項
第 6 章の適用(原産地規則及び原産地手続)
• 協議
• 国内で商業利用できる数量での供給ができない繊維、糸、及び生地を含む製品について
の過渡的手続き
• 僅少性
• 組み品の取扱い
第 4.3 条:繊維・アパレル製品についての通関協力
第 4.4 条:繊維・アパレル製品の貿易問題に関する委員会
第 4.5 条:定義
付属書 4-A
繊維・アパレル製品の原産地規則
• 解釈のための一般的注釈
48
付属書 4-B
商業利用できる数量での供給ができない繊維、糸、及び生地
別表 4-B-1 商業利用できる数量での供給ができない繊維、糸、及び生地
• 韓国側リスト
• 米国側リスト
(原産地認定基準)
「原産地規則および原産地手続」基本的な規定は第 6 章において示されているが、繊維・
アパレル製品に関しては、品目別規則は全て第 4 章において記述されており、原則的には
第 4 章の規定に従って原産性が判断されることになる。
最初に、米韓 FTA における原産品の基本的な定義を以下の通り示す。
原産品の定義
 完全生産品:
一方または双方の締約国の区域において完全に得られ、または生産される産品
 原産材料のみを使用する産品:
一方または双方の締約国の区域において原産材料のみから完全に生産される産品
 非原産材料を使う場合:
品目ごとに付属書 6-A(繊維・アパレル製品以外)
、付属書 4-A(繊維・アパレル製品)
に規定されている。
以下は、米韓 FTA の原産地規則全般におけるキーポイントである。
表 2-3-2. 原産地規則の概略

非原産品を使用する場合の原産品認定基準:
関税番号基準を原則として、一部の品目に対しては、付加価値基準が設定されている。品
目により、関税番号変更基準と付加価値基準の両方を満たす必要がある。また、定められ
た特定の加工を締約国区域で行わなければならない加工工程基準は、化学品、プラスチッ
ク・ゴムの他、繊維・アパレル製品にも適用される。

第6章
6.4 条:域内原産付加価値の計上方法
基本的に控除方式 (built-down method) と積み上げ方式 (built-up method) のいずれか
の選択

第6章
6.5 条:累積
「協定の締約相手国で作られたものは、もう一方の締約国で作られたものとみなす」とい
う「累積」の考え方が採用された。最終製品に使われる材料が韓国、或いは米国を原産地
とする場合、その材料は最終工程が行われる国の原産品とみなす。

第4章
4.2 条 7.:僅少の非原産材料(De Minimis:デミニマス)
49
部品のウェイトが小さいにもかかわらず、HS コードが完成品と同じために関税番号変更
基準の条件を見たさない場合、使用する原材料の総額が産品の価格の 10%以下であれば原
産品とみなす、僅少の非原産材料 (De Minimis) 規則が採用された。
(繊維・アパレル製
品に関しては、非原産の糸の重量が、総重量の 7%以下である場合に適用される。)

第6章
6.13 条:積み替え
積送基準として、
「積み卸しや積み直しなどの作業を除き、米国・韓国以外の区域であらた
な作業が行われた場合、非原産材料となる、
」積み替え条項が規定されている。

第6章
6.15 条:原産地証明の申請
原産地の証明には、自己証明方式が採用されている。従って、特定機関による証明は求め
られず、書式も特に指定されていない。
(利用企業の手続き上の負担を軽減し、利用しやす
くなるよう配慮したものと考えられている。)同時に、他の締約国に所在する輸出者あるい
は生産者への訪問を可能にするなど、原産品であることの確認条項が規定された。

北朝鮮開城(ケソン)工業団地生産品の原産認定「朝鮮半島域外加工地域委員会」
(Committee on Outward Processing Zones on the Korean Peninsula) が設置されてお
り、開城工業団地で生産された産品に特恵制度を適用するか否かを検討することになった。
協定発効 1 年後に初会合が開催されることになっている。

関税番号変更基準と加工工程基準の併用
繊維・アパレル製品に関する原産地規則では、関税番号変更基準と加工工程基準の両方
が採用されている。また、多くの製品において締約国内での完全な製造工程 (wholly formed
and finished) が求められており、非常に厳しいもとのとなっている。付属書 4-A の規定(解
釈のための一般注釈)では、締約国の原産品とするには、以下の条件を満たす必要がある
とされている。
(a) 当該産品の生産に使用される非原産品がそれぞれ、この附属書に定められる関税分類
番号に変更される場合。ただし、当該産品の生産は一方若しくは双方の締約国の区域
において完全に行われる場合に限る。又は、当該産品が、その非原産品の関税分類変
更を必要としないことを規定するこの章のその他の要件を満たす場合に限る。
(仮訳)
(b) 当該産品がこの章及び第 6 章(原産地及び原産地証明)におけるその他の要件を満た
す場合。
(仮訳)
つまり、
(例外を除き、
)生産が韓国、米国どちらかの締約国において完全に行われるか、
或いは各品目別に定められた関税番号変更基準と加工工程基準の組み合わせによる要件を
満たした場合、且つ積み替えに関する規則等、第 6 章に規定されている条件を満たした場
合に原産品として認められることになる。
50

原糸原則 (yarn forward) の適用
もう一つの重要な要件として、いわゆる「原糸原則 (yarn forward) 」といわれる条件
がある。これは、NAFTA 他、米国が結んだ他の FTA でも採用されている原則で、繊維・
アパレル製品が原産品として認定されるためには、使用される原糸等が域内生産品でなけ
ればならないという非常に厳しい条件である。(但し、商業利用できる数量での供給ができ
ない繊維、糸、及び生地に関しては、期限付きで、若干量まで適用が免除されるなど、一
部例外が認められる場合もある。また、韓国側では、業界の意向を受けて、200 余りの品目
についてこの原糸原則の対象外とするよう米国に要求し、結果リネン織編地、合繊婦人用
ジャケット、合繊紳士用シャツなど、HS10 桁ベースで 33 品目について対象除外を確保し
たとされる。
)
NAFTA、米豪 FTA でも採用されている本ルールは、締約相手国への輸出促進よりも、
国内繊維産業保護を目的とした政策であろう。近年の米国の産業構造の変化にともない、
繊維産業の全産業に対する割合が低下している。米商務省のデータによると、1990 年に繊
維産業が国内 GDP に占める割合は 2.4%であったが、2011 年には 1.1%へと大きく落ち込
んでいる。雇用者数の産業別構成比においても、1990 年が 4.1%であったのに対し、2011
年は 2.0%と半分以下のシェアとなっている。

繊維・アパレル製品の原産地規則概要
上記の完全にいずれかの締約国で生産が行われる場合も含め、特定の加工を締約国内で
行うことが、原産品として認定されるためには求められている。更に、品目別に関税番号
変更基準も定められている。以下、繊維・アパレル製品原産地規則の概要である。
規則 1:織物・編物(第 50 類、第 52 類、第 54 類、第 55 類、第 58 類、第 60 類)
一方、もしくは双方の締約国の区域にて完全に形成され最終仕上げされたもので、原産
品として認定される繊維原料および原糸、或いは別表 4-B-1(商業利用できる数量での供給
ができない繊維、糸、及び生地)が使用されている必要がある。
規則 2:繊維製品(アパレル)
(第 61 類、第 62 類)
品目別に定められた関税番号変更基準に加えて、一方若しくは双方の締約国の区域にお
いて裁断され若しくは特定の形状に編まれ、かつ、縫い合わされ又は組み立てられている
場合で、その外側の(襟や袖口を除く該当箇所の)織物類が別途規定された材料である場
合、原産品とみなす。
51
規則 3:繊維製品(アパレル)
(第 61 類、第 62 類)裏地に関する規定
衣類の目に見える裏地生地が第 61 類の類規則 1 又は第 62 類に記載されていても、その
生地の材料が別表 4-B-1 に挙げられ、かつ、その産品が附属書 4-A にて規定される特恵関
税措置のその他の要件をすべて満たす場合、締約国の原産品とみなす。
(関税削減スケジュール(譲許表)
)
米韓 FTA の特徴の一つとして、物品貿易での高い自由化率も含まれる。最終的に、米国
側では全ての物品の関税が撤廃される。一方、韓国側でも、品目数ベースで 99.7%、貿易
額(2006 年)ベースでも 99.3%に及ぶと言われる。一部の農産物が韓国側の非自由化品目
として残ったのみである。日本が締結した EPA においては、例えば対メキシコの EPA で
は貿易額ベースで 87%、対マレーシアで 94%、対フィリピンで 92%(外務省資料)である。
これらとの比較においても、いかに米韓 FTA の自由化率(関税撤廃の度合い)が高いかが
伺える。
従って、繊維・アパレル製品においても、関税は韓国側で 2016 年までに、米国側で 2021
年までに完全撤廃される。より具体的には、韓国側の全 1,296 品目のうち、即時関税撤廃
が 1,265 品目、実に 97.6 パーセントに上る。残りのうち 7 品目が FTA 発効後 3 年以内に、
24 品目が 5 年以内に撤廃され、2016 年には完全に撤廃される。米国側でも、全 1,597 品目
のうち、既に無関税のものが 223 品目、即時撤廃が 1,148 品目で、実質的に発効後即時撤
廃となる品目は合計で 1,371 品目。残りの 154 品目が 5 年以内に、72 品目が 10 年以内に
撤廃される。
以下の表は、関税引き下げ・撤廃スケジュールの譲許類型とその内容の概要(米韓両国
に共通に適用されるもの。別途他製品に関しては、韓国のみに提供される類型もある)で
ある。繊維・アパレルに関しては、区分 A、C(韓国のみ)、D、G(米国のみ)、K(米国
のみ)が該当する。
表 2-3-3. 関税引き下げ・撤廃スケジュールの区分定義(両国共通)
区分
譲許類型
協定による規定内容
A
即時撤廃
協定発効時と共に即時撤廃
B
2 年均等撤廃
発効時を含め 2 回の毎年均等な引き下げにより、2 年目の 1 月 1 日から撤廃。
C
3 年均等撤廃
発効時を含め 2 回の毎年均等な引き下げにより、3 年目の 1 月 1 日から撤廃。
D
5 年均等撤廃
発効時を含め 2 回の毎年均等な引き下げにより、5 年目の 1 月 1 日から撤廃。
E
6 年均等撤廃
発効時を含め 2 回の毎年均等な引き下げにより、6 年目の 1 月 1 日から撤廃。
F
7 年均等撤廃
発効時を含め 2 回の毎年均等な引き下げにより、7 年目の 1 月 1 日から撤廃。
G
10 年均等撤廃
発効時を含め 2 回の毎年均等な引き下げにより、10 年目の 1 月 1 日から撤廃。
52
区分
譲許類型
協定による規定内容
H
15 年均等撤廃
発効時を含め 2 回の毎年均等な引き下げにより、15 年目の 1 月 1 日から撤廃。
(一部 10 年以内に撤廃される例外あり)
発効時に 5%、2 年目の 1 月 1 日にさらに 5%、3~5 年目の 1 月 1 日に 7%ずつ、
10 年非均等撤廃
I
6 年目、7 年目それぞれの 1 月 1 日に 10%ずつ、8 年目の 1 月 1 日に 12%、9 年
目の 1 月 1 日に 17%引き下げを行い、10 年目の 1 月 1 日に 20%引き下げを行い、
10 年目の 1 月 1 日から撤廃。
J
12 年非均等撤廃
K
無関税維持
発効 1~8 年目は引き下げを行わず、9 年目の 1 月 1 日から 4 年にわたり均等な
引き下げにより、12 年目の 1 月 1 日から撤廃。
現行の無関税待遇を維持。
出所:米韓 FTA 協定文を基に、また「韓米 FTA を読む」
(ジェトロ)を参考に矢野経済研究所作成
表 2-3-4. 繊維・アパレル製品の関税引き下げ・撤廃スケジュール
韓国
米国
区
譲許類型
繊維製品
分
繊維製品
品目数
構成比
全品目数
K
無関税維持
A
即時撤廃
C
3 年均等撤廃
D
5 年均等撤廃
G
協定発効時点から
無税
1,296
一定期限内に撤廃
10 年均等撤
廃
1,296
合計
品目数
構成比
全品目数
0
0%
223
1,265
97.6%
1148
7
0.5%
24
0
0%
1.9%
154
9.3%
0
0%
72
3.9%
1,296
100%
1,597
100%
1,598
1,597
出所:米韓 FTA 協定文を基に、また「韓米 FTA を読む」
(ジェトロ)を参考に矢野経済研究所作成
(特殊ルール、特記事項)

商業利用できる数量での供給ができない繊維、糸、及び生地
付属書 4-B に規定されている条項で、原糸原則が当てはまらない品目に関する救済措置が
講じられている。商業利用できるだけの十分な数量を、必要な一定の期間内で確保できな
かった場合、
そのような繊維原料等が非原産品であっても EPA 特恵関税の対象となり得る。
53
関係者間で異議が無い場合、該当する品目を別表 4-B-1 のリストに加えることになってい
る。但し、米韓 FTA 発効後の暦年で 5 年間と期限が限られている。
(現時点で、韓国側、
米国側ともにリストにあがっている品目は無い。
)

繊維・アパレル製品の原産証明の厳格運用
米韓 FTA を通じて、中国産の繊維・アパレル産品の迂回輸入に対して、米国は特に警戒し
ていると言われる。そのため、第 4 章の 4.3 条として、
「繊維・アパレル製品についての税
関協力」として、韓国が繊維・アパレル企業の情報を毎年米国側に提供することや、輸入
締約国関係者が、輸出締約国の輸出者、生産者の施設への立ち入り検査に立ち会うことが
出来ること、立ち入り検査が拒否された場合、特恵関税の適用を輸入国が拒否できること
等が規定されている。この規定の目的の一つとして、「繊維・アパレル製品の貿易に影響す
る国際協定の迂回防止」が挙げられている。以下、この規定の概要である。
1) 繊維・アパレル製品生産に携わる企業に関する情報提供:
韓国は、同国の所轄官庁(産業資源部)を通じて、同国の繊維・アパレル製品の生産に
従事する企業に関する下記の情報を収集し、毎年米国に提供しなければならならず、これ
は協定発効後 1 年以内に行われなければならない。また、その情報を毎年更新しなければ
ならない。但し、生産される繊維又はアパレル製品が、繊維、糸、生地の全てが米国に輸
出されない製品の生産に使用される場合、また米国に輸出している場合でも、製品の関税
分類を決定づける製品の構成要素として使用されない場合、また米国の輸入業者と直接契
約をしない中小企業に関しては、(vii)から(ix) までの情報を提供する必要はない。
(i) 名前と住所、韓国国内にあるすべての繊維・アパレル製品関連施設を含む
(ii) 電話番号、FAX番号、及びEメールアドレス
(iii) 企業の場合は、オーナー、取締役及び会社役員の氏名と国籍、及び企業内での地位
(iv) 従業員数、及び従業員の職種
(v) 生産される繊維・アパレル製品の概要、及び生産能力
(vi) 繊維・アパレル製品の生産に使用される機械の種類と台数
(vii) 使用機械の週単位のおよその稼動期間
(viii) 製品の生産に使用される織物又はアパレル製品、生地、糸、繊維のサプライヤーの情
報、及び
(ix) 米国内の顧客それぞれの氏名(名称)及び連絡先情報
54
2) 原産確認のための調査:
輸出締約国は、輸入締約国の要請に応じて、繊維・アパレル製品の原産確認のための調
査を行わなければならない。これは、FTA の特恵関税の適用を輸入業者が申請しているか
否かに関わらず行わなければならない。また、これを輸出者が自発的に実施することもで
きる。
輸出締約国は、輸入締約国が原産確認のための検査に立ち会うこと認めなければならな
い。これには、輸出者、生産者の施設への訪問も含まれる。施設への訪問は事前通告なし
に行われなければならず、輸入締約国関係者の立会が拒否された場合には、輸入締約国は、
特恵関税適用の停止などの措置を講じることが出来る。

繊維・アパレル製品のセーフガード
4.1 条には、
「締結二国間緊急措置」として、セーフガード規定が盛り込まれている。本
協定の特恵関税の恩恵を受ける繊維又はアパレル製品の自国内への輸入数量が増加し、自
国の産業に重大な損害がもたらされる危険のある場合は、輸入国は、そのような損害を防
止するために、必要な範囲と期間において、関税率引き下げ・撤廃の停止、または MFN 水
準への関税率の引き上げ等の緊急措置を講じることができる。(適用可能期間は、基本的に
2 年。2 年までの延長が可能。
)
繊維及びアパレル製品のセーフガード(4.1 条)は、WTO の「繊維及び繊維製品(衣類
を含む)に関する協定」(Agreement on Textiles and Clothing) (
「WTO 繊維協定」)の対
象品目に限って適用することが出来る。
その「WTO 繊維協定」は、2004 年 12 月 31 日に発効後 10 年の経過措置が満了したた
め失効し、同協定におけるセーフガードの適用も停止されている。
WTO におけるセーフガードの適用が停止されたにも関わらず米韓 FTA においてセーフ
ガードが設定された背景には、繊維およびアパレル製品が米国にとってセンシティブ品目
となっているため、米国内の業界に配慮して、NAFTA 等他の FTA と同様、繊維分野につ
いて特別なセーフガードの導入を米国側が強く求めたことがあると言われている。韓国側
としても、実際のセーフガードの必要性より、米国が市場開放に対する業界の懸念を払拭
するために繊維・アパレル製品に関するセーフガードの導入を強く求めたものと見ている。
55
2-4. EU 韓国 FTA
EU 韓国自由貿易協定 (‘Free Trade Agreement between the European Union and its
Member States, of the one part, and the Republic of Korea, of the other part’) (以下、
EU 韓国 FTA)に関する交渉は、EU と韓国の両国・地域により、2007 年 5 月に開始され、
8 回に渡る交渉会合を経て、2010 年 10 月に署名、2011 年 7 月 1 日に発効された。
これは EU にとって、その 5 年前の 2006 年に始まった「競合する世界におけるグロー
バル・ヨーロッパ」という通商政策の中で、アジアとの新しい関係を目指す上での一定の
成果を上げたこと意味する。EU 韓国 FTA は、EU にとってアジアの国と結ぶ最初の FTA
というだけでなく、EU・韓国の両国・地域の経済にとって大きな利益を実現するには、両
国・地域はどのように協力すべきかを探るためのベンチマークとなり得ると理解されてい
る。また、この協定によって、アジアのみならず、世界中に EU の市場の開放性をアピー
ルすることが出来るとも期待されている。
一方、韓国にとってこの協定は、中国に次いで大きな輸出先である EU との貿易に関し、
ごく一部の農産品を除いてほとんど全ての品目で関税が近い将来撤廃されることになり、
輸出政策上非常に大きな意味を持つ。
EU 韓国 FTA が扱う分野は、物品の貿易(関税及び非関税障壁)
、サービス貿易、政府
調達、知的財産権、等と非常に広範な範囲に及ぶ。また、関税の削減・撤廃に関しても、
これまで EU が結んできた FTA と比較すると非常に高度なものとなっていると言われてい
る。
協定の構成としては、15 の章と議定書により構成され、各章は、1) 物品(第 1 章から
第 6 章)
、2) サービス(第 7 章及び第 8 章)
、3) ルール(第 9 章から第 13 章)
、4) その他
(第 14 章及び第 15 章)
、の 5 つに分類に属している。米韓 FTA とは異なり、繊維・アパ
レル製品単独の章は設けられておらず、原産地規則に関しての記述は、議定書に示されて
いる。
(原産地規則の内容構成)
原産地規則の定義は、議定書(
「原産品の定義及び行政協力の手法に関する議定書」の A
節(セクション A)の「原産地規則」に規定されている。また、品目別規則は、附属書 II
に、繊維・アパレル製品も含めて、全て掲載されている。
以下、当該箇所の構成内容(仮訳)を示す。
56
表 2-4-1. 議定書:
「原産品」の定義及び行政協力の手法に関する議定書
A 節:原産地規則
第 1 項:一般規定
第 1 条:定義
第 2 項:原産品の定義
第 2 条:原産品
第 3 条:原産地の累積
第 4 条:完全に得られる産品
第 5 条:十分に作業又は加工される産品
第 6 条:十分でない作業及び加工
第 7 条:原産品としての資格の単位
第 8 条:附属品、予備部品及び道具
第 9 条:セット品の取扱い
第 10 条:中立的な要素
第 11 条:会計の分離
(原産地認定基準)
EU 韓国 FTA の原産地規則も、これまで見てきた米国の FTA とほぼ同様で、1) 完全生
産品、2) 原産材料から成る産品、3) 非原産材料が含まれる場合、別途定められた要件を満
たす場合、に原産品と認められる。但し、非原産材料が含まれる場合は、域内で行われた
「作業または加工が十分であるか」が重要になってくる。
また、EU 韓国 FTA の原産地規則のもう一つの特徴は、これまで EU が結んできた FTA
の原産地規則に比べて大幅に緩和されたものになっており、過去の FTA では関税分類変更
基準と付加価値基準の両方を満たす必要があることが多かったが、EU 韓国 FTA では、両
基準のいずれかを満たせばよいという、選択型のケースがある。
表 2-4-2. 原産地規則の概略

議定書
第 2 条:原産品
特恵関税措置の適用に際し、以下に掲げる産品は、締約国の原産品とする。
(a) 締約国内で完全に得られる産品(第 4 条に、完全に得られる生産品に関する具体的な
規定がある。)
(b) 締約国内で産出された産品で、当該締約国内で得られない材料(非原産材料)を含む
場合で、その材料が当該締約国内にて十分な作業又は加工が行われている場合(第 5
条において、より詳しい規定があるが、具体的には、附属書 II の各品目別規則に基準
が設定されている。)
(c) 本協定の規定に従って原産品として認められる材料のみから締約国内で産出された産
57
品

議定書
第 5 条:原産地の累積
上記の議定書の第二条の規定とは別に、
「ある締約国内で得られ、他の締約国の原産材料が
使われていても、第六条に規定される業務(十分ではない作業又は加工)を超えた内容の
作業又は加工が行われた場合に限り、当該締約国の原産品とみなすことができる。その材
料は必ずしも十分な作業又は加工が施されていなくてもかまわない。
」とある。

議定書
第 5 条・議定書
附属書 I 注釈 5、および 6:僅少の非原産材料(De Minimis:
デミニマス)

議定書の第 5 条 2 項において、デミニマス(僅少の非原産材料)が規定されている。一般
的には、工場渡し価格の 10%を超えない非原産品に関しては、非原産品として考慮されな
いことになっている。但し、繊維・アパレル製品の場合は、附属書 I の注釈 5、6 に別途規
定されている。注釈 5 によると、特定の品目に関しては、絹、羊毛、粗獣毛、繊獣毛、馬
毛、綿、等 20 種類ほどの指定された基本繊維材料が二つ以上組み合わされて使用された
製品の場合には、非原産材料がその基本繊維材料の総重量の 10%以下の場合、品目別規則
のコラム(3)に記載される条件はその製品の製造に使用された基本繊維材料には適用され
ない。また注釈 6 によると、特定の品目に関しては、既に完成した製品にコラム(3)のルー
ルを満たさない繊維材料(裏地や芯地を除く)が使われている場合でも、それらの材料が
当該製品以外統一システムの項に属し、その製品の工場渡し価格の 8%を超えない金額で
あればそれらの材料は使用可能となる。

議定書
第 13 条:直接輸送(積み替えの規定)
協定で規定される特恵関税措置は、規定された(原産品の)要件を満たすとともに締約国
間を直接輸送される場合に適用されるのが原則であるが、他の領地を経由しても、その地
で自由な流通のために開放されることなく、積み卸し、再積み込み、その他積荷を良好に
保つための作業以外の作業が行われなければ、直接輸送でなくとも特恵関税措置が適用さ
れる。以上の条件を満たすことを、通関の際に、(a) 第三国での原産品の積み替え又は貯
蔵に関する状態の証拠、(b) 輸出国から中継国経由の経路を示した単一の輸送書類、(c) 中
継国の税関当局が発行する証明書(産品の説明、荷降ろし、再積み込みの日付、中継国で
の産品の状態などを記載したもの)のいずれかを持って証明する必要がある。

第 4 章 第 9 条:セット品の取扱い
統一システム(HS)の一般ルール 3 の定義に従って、あるセット品が原産品かどうかを判
断する際、そのセットを構成するすべての材料が原産品であり、セット及び産品が本協定
に規定される要件すべてを満たす場合、そのセットは原産品とみなされる。あるセットが、
原産品と非原産品で構成される場合、非原産品の価額がそのセットの工場渡し価額の 15%
を超えない場合に限り、そのセット全体は原産品とみなされる。

原産地証明:
原産地の証明には、自己証明方式が採用されている。監督官庁により「原産地証明
58
(certificate of origin) 」が発行されるのではなく、輸出者自身が「原産地申告 (origin
declaration) 」をインボイス、引き渡し通知書 (delivery note)、或いは商品についての詳
細な記述がされているその他の商業書類に添付することによって原産性が認められる。
(EU 韓国 FTA 以外の FTA で必要であった、EUR.1 と呼ばれる原産地証明は必要とされ
ない。)但し、自己証明方式を利用できるのは、税関当局により、「認定事業者」として認
められる必要がある。一方で、委託貨物の金額の合計が 6,000 ユーロを超えない場合は、
認定事業者でなくとも自己証明方式が利用できる。
(一回の輸出が 6,000 ユーロを超えなけ
れば、輸出の回数は問われない。)
「原産地申告」は、輸出の際に添付される必要があるが、
輸出後でも、韓国への輸入の場合で 1 年、EU への輸入の場合で 2 年以内であれば提出が
可能となっている。

品目による様々な原産認定基準
繊維・アパレル製品に関する品目別規則では、1)関税番号変更基準によるもの、2)関税
番号変更基準、又は加工工程基準(2 工程)と付加価値基準の組み合わせによる条件を選べ
るものという形態が比較的多いが、使用すべき材料の種類が指定されている場合もあり、
品目により比較的多様な基準が設けられている。
上記のように、EU 韓国 FTA では、作業または加工が十分であるかどうかが、原産性が
あるかどうかの判断において重要であり、作業または加工が十分であるかの基準は、議定
書の附属書 II で品目別に記述されている。EU では、このような原産地基準を、
「リスト・
ルール」と呼ばれている。

織物基準 (fabric forward) の採用
アパレル製品に関しては、織物基準が採用された。織物基準とは、NAFTA や米韓 FTA
において採用されていた原糸基準 (yarn forward) よりも緩やかなルールで、原糸からでは
なく、織物が域内生産品であればよいというもの。2 段階の工程を経ればよいとの意味から、
二工程基準とも呼ばれる。また、これに関連し、繊維糸および織物に対しては、ビスコー
スレーヨン糸およびナイロンステープル糸は、一定範囲内で域外産のものを使えるよう規
定されている。
(関税削減スケジュール)
EU 韓国 FTA の関税引き下げ・撤廃スケジュールは、米韓 FTA と同様、或いはそれ以
上に自由化率の高いものとなっている。全体では、EU 側を例にとると、品目ベースで 99.6%、
貿易額ベースで 100%の関税を 5 年以内に撤廃する。特に鉱工業品に関しては、EU 側では
5 年以内、韓国側でも 7 年以内に全ての品目の関税を撤廃する。これは撤廃まで 10 年を要
する品目がある米韓 FTA と比較しても、より自由化率が高いと言える。以下は、関税撤廃
に関する規定がある附属書 2-A の構成である。
59
表 2-4-3. 附属書 2-A:関税の撤廃
(韓国)
韓国の関税率
一般注釈
韓国の関税譲許表
EU の関税率
一般注釈
EU の関税譲許表
付録 2-A-1:韓国(関税割り当て)
付録 2-A-2:EU(参入価格制度)
また以下は、EU 韓国 FTA の関税引き下げ・撤廃スケジュールの区分の一覧である。
表 2-4-4. 関税引き下げ・撤廃スケジュールの区分定義
区分
譲許類型
協定による規定内容
0
即時撤廃
協定発効時と共に即時撤廃
2
3 年均等撤廃
発効時を含め 3 回の毎年均等な引き下げにより、2 年目の初日から撤廃。
3
4 年均等撤廃
発効時を含め 4 回の毎年均等な引き下げにより、2 年目の初日から撤廃。
5
6 年均等撤廃
発効時を含め 6 回の毎年均等な引き下げにより、2 年目の初日から撤廃。
6
7 年均等撤廃
発効時を含め 7 回の毎年均等な引き下げにより、2 年目の初日から撤廃。
7
8 年均等撤廃
発効時を含め 8 回の毎年均等な引き下げにより、2 年目の初日から撤廃。
10
11 年均等撤廃
発効時を含め 11 回の毎年均等な引き下げにより、2 年目の初日から撤廃。
12
13 年均等撤廃
発効時を含め 13 回の毎年均等な引き下げにより、2 年目の初日から撤廃。
13
14 年均等撤廃
発効時を含め 14 回の毎年均等な引き下げにより、2 年目の初日から撤廃。
15
16 年均等撤廃
発効時を含め 16 回の毎年均等な引き下げにより、2 年目の初日から撤廃。
18
19 年均等撤廃
発効時を含め 19 回の毎年均等な引き下げにより、2 年目の初日から撤廃。
20
21 年均等撤廃
発効時を含め 21 回の毎年均等な引き下げにより、2 年目の初日から撤廃。
10-A、10-B、12-A、16-A 等、11 年から 17 年の非均等撤廃の規定あり。
S-A、S-B 等、季節関税の規定あり。
E
現行関税維持
基本税率を維持
X
譲許対象外
協定で定められた関税に関する義務を負わない品目
出所:EU 韓国 FTA 協定文を基に、また「EU 韓国 FTA の概要と解説」
(ジェトロ)を参考に矢野経済研
究所作成
60
繊維・アパレル製品に関しては、EU 側では、毛糸類、羊毛・獣毛の織物類の一部(HS8
桁ベースで合計 6 品目)が上記区分の 5(6 年均等撤廃により、2016 年 7 月 1 日より撤廃)
に属しているのみで、それ以外の HS50 類から HS63 類の品目の全てが区分 0 の即時撤廃
となっている。
一方韓国側でも、毛糸類の一部(HS10 桁ベースで 2 品目のみ)が上記区分の 7(8 年均等
撤廃により、2018 年 7 月 1 日より撤廃)に属するのみで、それ以外は全て即時撤廃される。
(特殊ルール、特記事項)

二国間セーフガード
第 3 章の第 3.1 条には、
「締結二国間緊急措置」として、セーフガード規定が盛り込まれ
ている。
本協定による関税の引き下げ、又は撤廃の結果として、FTA 特恵関税の恩恵を受ける一
方の締約国の産品の、他の締約国への輸入数量が(絶対量として、又は国内産と比較した
相対量として)増加し、輸入締約国の産業に重大な損害がもたらされた場合、又は損害が
もたらされる危険のある場合は、輸入締約国は、そのような損害を防止するために、一定
の条件のもと、当該産品の関税を MFN(最恵国待遇)税率まで引き上げることが出来る。
この二国間セーフガードは時限的な措置で、それぞれの品目について、原則として関税
撤廃後の 10 年間の移行期間中に、所定の条件を満たした場合に発動することが出来、移行
期間を過ぎるとこの二国間セーフガードを発動することは出来ない。
61
2-5. ASEAN 中国 FTA (ACFTA)
ASEAN 中国 FTA の正式名称は、
「ASEAN と中国の包括的経済協力枠組み協定 (The
Framework Agreement on Comprehensive Economic Co-operation between the
Association of Southeast Asian Nations and the People’s Republic of China) 」
。
(通称
ACFTA と呼ばれるため、以下 ACFTA とする。
)アセアン 10 か国と中国の自由貿易地域を
目指した協定で、物品貿易協定、サービス貿易協定、投資協定の三つの主協定から構成さ
れている。
同協定は、2002 年 11 月に署名されたが、上記主協定の署名、発効時期はそれぞれ異な
り、段階的に自由化が進められてきた。
「物品貿易協定」については、2004 年 11 月に署名、
2005 年 7 月に発効(関税引き下げ開始)されている。
「サービス貿易協定」は 2007 年 1 月
署名、2007 年 7 月発効。
「投資協定」は 2009 年 8 月に署名、2010 年 1 月に発効されてい
る。
物品貿易に関しては、第 1 条から第 23 条までに各規定が分かれており、附属書 I には、
ノーマルトラックと呼ばれる分類の品目に関する関税譲許スケジュールが、附属書 II には、
センシティブトラックと呼ばれる分類に当てはまる品目の譲許スケジュールが、附属書 III
には ACFTA の原産地規則がそれぞれ規定されている。
近年、両国・地域間の貿易量は拡大傾向にある。そしてこの ACFTA により、更なる拡
大と共に、人口ベースで 19 億人の世界最大の巨大市場の創設が期待されている。
(物品貿易協定と原産地規則の内容構成)
上記の物品貿易に関する条文構成と、附属書 III の原産地規則に関する記述の構成を以下に
示す。
表 2-5-1. 物品貿易協定の構成(仮訳)
第 1 条:定義
第 2 条:国際課税と規制における内国民待遇
第 3 条:関税の引き下げ及び撤廃
第 4 条:透明性
第 5 条:原産地規則
第 6 条:譲歩の変更
第 7 条:WTO の法規
第 8 条:量的規制と非関税障壁
第 9 条:緊急輸入制限措置
第 10 条:関与の促進
第 11 条:国際収支の保護措置
62
第 12 条:一般的例外
第 13 条:安全保障の例外
第 14 条:中国の市場経済に関する認識
第 15 条:国家、地域および地方政府
第 16 条:制度的取り決め
第 17 条:見直し
第 18 条:付属書および将来的な法律文書
第 19 条:改定
第 20 条:雑則
第 21 条:紛争解決処理
第 22 条:預託
第 23 条:効力の発生
附属書 I:ノーマトラックに分類される関税分類品目に対する関税引き下げ及び撤廃の形式
附属書 II:センシティブトラックに分類される関税分類品目に対する関税引き下げ及び撤廃の
形式
附属書 III:ASEAN 中国自由貿易地域の原産地規則
表 2-5-2. 附属書 III:ASEAN 中国自由貿易地域の原産地規則
規則 1:定義
規則 2:原産基準
規則 3:完全に得られる産品
規則 4:完全には得られない、又は生産されない産品
規則 5:累積の原産地規則
規則 6:品目別基準
規則 7:最小限の作業及び処理
規則 8:直接輸送
規則 9:梱包の扱いについて
規則 10:付属品、スペアパーツ、工具類
規則 11:中立的な要素
規則 12:原産地証明
規則 13:見直し及び改訂
添付書類 A:ASEAN 中国自由貿易地域の原産地規則運用のための認定手続き
添付書類 B:品目別規則
63
(原産地認定基準)
原則的には、1) 完全生産品(締約国で完全に得られる産品)
、2) 完全生産品ではないが
一定の条件を満たすもの、が原産品として認められる。以下、附属書 III に規定される、原
産地基準のキーポイントを示す。
表 2-5-3. 原産地規則の概略

規則 2:原産基準
締約国によって輸入される製品は、以下のいずれかの原産要件を満たすことにより、原産
品として認められ、特恵関税の対象となる。
(a) 完全生産品:その土地で完全に得られる生産品、又は規則 3 の定義に従って生産され
る品(締約国で採取、育成、狩猟、捕獲されたもの等)
(b) 非完全生産品で一定の条件を満たすもの:全部がその土地で生産又は得られた産品で
なくとも、規則 4(付加価値基準)
、規則 5(累積)、規則 6(品目別規則)のいずれか
の要件を満たすもの)

規則 4:完全には得られない、又は生産されない産品
完全生産品でなくとも原産品となり得る条件の一つが規則 4 の規定である。満たすべき付
加価値基準が規定されており、以下のいずれかの条件を満たせばよい。
(i)
容量の 40%以上がいずれかの締約国の原産である
(ii) 締約国の領地外を原産とする材料、成分、または生産品の合計価額が、生産品のFOB
価格の 60%を超えないもので、生産の最終工程が締約国領域内で行われている(こ
れはつまり、残りの 40%がACFTA締約国内のものである必要があるが、その割合の
ことを「ACFTA容量」 3という。「ACFTA容量)の産出の方法も規則 4 にある。
)

規則 5:累積の原産地規則
原産品の要件を満たす生産品で、本協定によって優遇措置を受けられる最終完成品の材料
として締約国の領地内で使用されるものは、当該完成品の加工作業や処理作業が実施され
る当該締約国の領地を原産とする生産品であるとみなされる(累積のルール)
。ただし、最
終完成品に対する「ACFTA 容量」が 40%以上でなければならない。

規則 6:品目別基準
非完全生産品が原産品とみなされるためのもう一つの条件が、十分な加工が締約国にて行
われていることであり、添付文書 B の「品目別規則」を満たす生産品は、十分な加工がさ
れたとみなされる。

規則 8:直接輸送(積み替えの規定)
規則 8 によると、次のいずれかに当てはまる生産品は、輸出締約国から輸入締約国へ直接
積送されるものとみなされる。
(a) 他の ACFTA 締約国の領地を経由して輸送される生産品
3 (ACFTA 圏外の材料の価額+原産地未定材料の価額)÷ 本船渡し価格 (FOB) × 100 (%)
64
(b) ACFTA 締約国でない国の領地を経由しないで輸送される生産品
(c) ACFTA 締約国でないいくつかの国を経由して輸送された生産品で、そのような国での
積み替え又は一時的保管の有無にかかわらず、以下の場合:
(i)
通過輸入手続が地理的理由から正当化された場合、又は輸送上必要と判断された場
合
(ii) 当該生産品が経由国での貿易又は消費の対象にならない場合
(iii) 当該生産品を良好な状態に保存するために必要な作業以外の作業(積み卸し、再積
込み、その他)が行われていない場合

規則 12:原産地証明書
輸出者又は権限を委任されたその代理人により、書面による原産地証明書の申請が必要と
なる。輸出締約国の政府当局が原産地証明書を発行する。ある生産品が特恵関税の対象と
なると、それは、添付文書 A に規定される「運用上の証明手続き」に従い、本協定の他の
締約国にも通知される。
(原産地証明を発行した政府当局の名前、住所、署名の見本等が通
知される。
)

品目別規則の特徴
品目別規則には、A. 排他的規則・基準と、B. 代替可能な規則の 2 種類がある。A. の排
他的規則・基準とは、品目別規則にある基準のみが適用されるもので、原産地証明書のフ
ォームEを申請する場合、品目別規則のみを基準としなければならない。第 51 類の繊維関
連製品(羊毛、獣毛類の一部)の 6 品目(HS6 桁ベース)のみが A. に分類される。
一方 B. においては、品目別規則は、附属書 III の原産基準の規則 4 の一般規則に対する
代替として適用される。輸出車は、フォーム E を申請する際、規則 4 の一般規則か、添付
文書 B の品目別規則のどちらかを基準とすればよい。

繊維・アパレル製品では、加工工程基準を採用
規則 4 の一般規則が付加価値基準であるのに対し、添付文書 B の品目別規則では、一部
を除く繊維・アパレル製品では加工工程基準が採用されている。
(他の品目では関税番号変
更基準のものもある。
)(a) 繊維及び糸、(b) 絨毯その他の紡織用繊維の床用敷物; 特殊糸並
びに紐、綱及びケーブル並びにこれらを使った製品、(c) 衣類及び衣類付属品とその他織物
製品の既製品、の 3 つの製品群ごとに必要な加工工程、作業が示されている。
(関税削減スケジュール)
ACFTA の関税の譲許スケジュールは、ノーマルトラック (normal track)、センシティ
ブトラック (sensitive track) に分かれており、センシティブトラックは、センシティブリ
スト (sensitive list)と高度センシティブリスト (highly sensitive list) に分かれ、その他、
一部引き下げ対象外の品目もある。
65
ノーマルリストにリストアップされた品目の関税は、ASEAN先行加盟6ヵ国と中国
(ASEAN6 4+中国)では 2010 年までに全て撤廃され、カンボジア、ラオス、ミャンマー、
ベトナム(CLMV:ASEAN新規加盟4ヵ国)は 2015 年までに撤廃される。
センシティブトラックにリストアップされた品目は、ASEAN6+中国の場合は 2015 年ま
でに 50%以下、CLMVは 2018 年までに 50%以下に引き下げることとなっている。付属書
IIには、各国がセンシティブリスト、又は高度センシティブリストに加えることができる品
目数の上限 5が示されている。
繊維・アパレル製品においても、ブルネイの HS63 類(紡織用繊維製品)
(4 品目)、マ
レーシアの HS52 類(綿織物)
(21 品目)、インドネシアの HS62 類(28 品目)、フィリピ
ンの HS61 類(衣類)
(28 品目)等、一部センシティブリストに含まれている品目がある。
高度センシティブリストにも、フィリピンの HS63 類(衣類)
(4 品目)、中国の HS51 類(羊
毛、繊獣毛及び馬毛の糸並びにこれらの織物)(6 品目)などが含まれている。
。
4 ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの 6 ヵ国
5 例えば、ASEAN6+中国の場合、HS6 桁ベースの 400 品目以内、且つ 2001 年の貿易統計の輸出額全体の 10%以内
66
3-5. 海外主要 FTA の比較
表 3-5-1. 繊維・アパレル製品の原産地規則等の比較表
NAFTA
米豪 FTA
発効日
1994 年 1 月 1 日
2005 年 1 月 1 日
原産地規則章
第4章
原産地規則
基本原則
繊維章の有無
品目別規則
記載箇所
第5章
第4章
米韓 FTA
2012 年
3 月 15 日
第6章
第 4.2 条
第 4 章 第 4.2 条
EU 韓国 FTA
ACFTA
2011 年 7 月 1 日
2010 年 1 月 1 日
議定書 第 A 節
附属書 III
1)完全生産品
1)完全生産品
1)完全生産品
1)完全生産品
2) 原 産 材 料 の み
2) 原 産 材 料 の み
2) 原 産 材 料 の み
2) 原 産 材 料 の み
1)完全生産品
を使用する産品
を使用する産品
を使用する産品
を使用する産品
2) 非 原 産 材 料 を
3) 非 原 産 材 料 を
3) 非 原 産 材 料 を
3) 非 原 産 材 料 を
3) 非 原 産 材 料 を
使う場合、一定の
使う場合、一定の
使う場合、一定の
使う場合、一定の
使う場合、一定の
条件を満たすも
条件を満たすも
条件を満たすも
条件を満たすも
条件を満たすも
の
の
の
の
の
附属書 300-B
第4章
第4章
なし
なし
附属書 401
附属書 4-A
附属書 4-A
附属書 II
添付書類 B
関税番号変更基
関税番号変更基
関税番号変更基
関税番号変更基
関税番号変更基
準及び加工工程
準及び加工工程
準及び加工工程
準及び加工工程
準及び加工工程
基準
基準
基準
基準
基準
有り
有り
有り
有り
有り
品目別規則
原産品判定基準
累積
67
NAFTA
米豪 FTA
米韓 FTA
EU 韓国 FTA
ACFTA
有り(指定された
有り(関税番号を
有り(関税番号を
有り(関税番号を
基本繊維材料の
決定づける部分
決定づける部分
決定づける部分
総重量の 10%以
の総重量比で 7%
の総重量比で 7%
の総重量比で 7%
下、製品の工場渡
以下)
以下)
以下)
し価格の 8%以下
デミニマス
僅少の非原産材
料
なし
等細かい規定)
センシティブリ
繊維・アパレル製
品の譲許スケジ
2003 年 1 月に完
2015 年 1 月 1 日
2021 年までに完
2018 年 7 月 1 日
ストの品目以外、
全撤廃
に完全撤廃
全撤廃
に完全撤廃
2015 年までに撤
ュール
廃
自己証明方式(認
原産地証明書
自己証明
自己証明
自己証明
定業者、又は
当局が発効する
6,000 ユーロ以内
証 明 書 (Form-E)
の輸出は申告書
の申請が必要
のみで可)
*加工工程基準は
2 工程
その他
* 原 糸 原 則 (yarn
* 原 糸 原 則 (yarn
* 原 糸 原 則 (yarn
*非原産材料を含
forward)
forward)
forward)
む場合、「十分な
*TPL、SSL 6
*SSL
*SSL
作業が締約国で
----
なされたか」が重
要
6 Short-Supply List: 特定の原糸や織布に関し、締約国域内で商業利用できる数量の供給が困難な場合、締約国外から
の供給も可能とする原糸原則 (yarn forward) の例外措置
68
3. 主要繊維企業・アパレル企業のサプライチェーン
本章では、世界規模で展開しているアパレル企業の生産体制、ロジスティクス、サプラ
イチェーン、及びマーケティングに関する情報を文献調査を基にまとめた。具体的には、
近年急成長を遂げているファストファッションの代表的ブランドであるスペインの ZARA、
スウェーデンの H&M、繊維を含めた素材メーカーとして日本を代表する東レの三社を事例
として取りあげ、世界でも最先端を行く商品供給体制の一部を参考として紹介する。
3-1. 事例 1:ZARA(ZARA Espana, S.A.)
ZARA (ZARA Espana, S.A.) は、世界最大のファッション企業と言われる、スペインの
インディテックス社 (Inditex: Industria de Diseno Textil, S.A.) の傘下にあり、世界各地
の主要都市に合計 1,808(2013 年 10 月末時点)の店舗を展開する代表的なファストファッ
ションブランドである。ファストファッションとは、最新の流行を採り入れながら比較的
低価格の衣料品を、極めて短いサイクルで大量生産し、世界規模で販売するファッション
ブランドやその業態のことであり、ZARA の場合、衣服のデザインから生産、店舗へのデ
リバリーまでに要する時間は最短で 2 週間と言われる。競合企業である H&M 社が約 3 週
間、ギャップが約 6 週間とも言われ、ZARA の製品供給体制がいかに効率が良いかが伺え
る。
表 3-1-1. インディテックス社の概要
社名
創業
Industria de Diseno Textil, S.A. (Inditex)
1975 年(ZARA1号店オープン)
(持ち株会社のインディテックス社の設立:
1985 年)
創業者
アマンシオ・オルテガ氏
本社所在地
スペイン
売上高(連結)
159.46 億ユーロ(2012 年度:2012 年 2 月 1 日~2013 年 1 月 31 日)
従業員数
約 12 万人
ラ・コルーニャ
ZARA(1,808)
、ZARA Kids(164)
、Pull & Bear(834)
、Massimo Dutti
保有ブランド(店舗数) (649)
、Bershka(934)、Stradivarius(842)
、Oysho(542)、ZARA HOME
(388)
、Uterque(88)
(2013 年 10 月末時点)
出所:インディテックス社ウェブサイト (http://www.inditex.com/en)

本社での在庫集中管理と物流センターへの商品の集約
インディテックス社のサプライチェーンの特徴は、スペイン国内にある 8 つの物流セン
ターへの生産した商品の集約とこれによる徹底した在庫管理である。中国、バングラデシ
69
ュ等の国外で生産した商品であっても、完成後はこの物流センターに一旦輸送され、そこ
から本社で集中管理された発注情報に従って、世界各地の店舗に出荷される。
物流センターに在庫が滞留する時間は、最長でも 2 日間。商品の発注から 2 時間後には
仕分けが完了、8 時間後には出荷される。輸送にかかる時間は、欧州域外では 3~4 日かか
る例外もあるが、通常は空輸で 48 時間、欧州の店舗には陸路で 36 時間以内に届けられる。
この本社での在庫集中管理を行うために、数年前から各店舗における商品発注権限を無
くした。
「コマーシャル」と呼ばれるカントリーマネージャーが、毎日送られてくる販売状
況や在庫情報などの定量情報に加え、担当国のエリアマネージャーや店舗マネージャーか
ら得る、市場状況などの情報を加味して新商品のデザインの参考にしたり、各店舗への商
品供給量を決めたりする。定量情報としては、販売データだけでなく、買わなくとも店舗
を訪れた人が「手に取った」数も含まれる。そして、これら定量情報で伝わらない各地の
流行、顧客の嗜好等に関する情報を、電話で各カントリーマネージャーが収集する。
各店舗は形式的には「発注」をいう手続きを踏むが、実質的には上記の方法を通じて在
庫が本社で集中管理される方式(在庫の自動補充)が 2006 年からとられてきたという。そ
のためのキーとなるのが先述の物流センターである。中国で生産された製品が、一旦スペ
インに送られ、再び上海など中国国内の店舗に配送される場合もあり、物流コストや時間
の面で極めて非効率にも思えるが、この集中在庫管理のためにインディテックス社では全
ての商品を一旦スペインの物流センターへ集約する方法をとっている

ZARA のデザイン
世界各地の店舗から集められた販売情報、流行に関する情報、顧客の声等の情報はすぐ
にデザイナーにも伝えられ、次の商品開発に反映される。2 週間ごとに製品会議が開かれ、
新たなデザインが承認されると、数週間のうちに世界の店舗に新製品が並ぶ。
ZARA でも、一般的なアパレル企業と同様、春夏、秋冬のコレクションも作るが、シー
ズン前にデザインを固めるのは、全体の 2 割程度。それ以外は、シーズン中の売れ行き、
顧客の声を参考にしながらデザインをしていく。但し、コレクションも含めてデザインを
ゼロから作ることはなく、ファッションショーやファッション雑誌、テレビや映画で採用
されている服、ストリートファッションのデザイン等を取り入れて売れそうなデザインを
作る。これは、デザイナーが作りたいものを作るのではなく、消費者が求めるものを作る
という思想が根底にあるからである。
こうしたこともあり、デザインは専属のデザイナーだけでなく、取引先が提案し、それ
が採用されることもある。例えば、生地メーカーがあらかじめ ZARA に相応しいと思われ
るデザインのサンプルを作り、頻繁に提案することもある。

ZARA の生産体制
70
ZARA の生産体制は、商品のタイプ別に大きく二つの種類に分かれる。一つは、ニット
製品やデザインがシンプルなベーシック衣料の場合で、これらは多くの場合、中国やバン
グラデシュなどの工場に生産が外注される。
もう一つはファッション性の高い製品、つまりそのときどきの流行に沿った商品の場合
である。このような商品は、すぐに市場に投入する必要があるため、主に本社周辺にある
12 の製造子会社のいずれかで生産される。ZARA の商品の約半分は自社で生産されている。
但し、正確には生産工程のうち、自社で行うのは裁断と検品で、労働集約的な縫製作業は
小規模な下請け工場に委託しているが、自社内で生産も行うのはファストファッションブ
ランドでは異例と言える。インディテックス社の ZARA 以外のブランドでは、自社工場で
はなく、全て生産は外注しているが、ファッション性が高い商品は、スペインやポルトガ
ルなどの近隣諸国で生産されている。自社工場で ZARA 製品を作る場合で、裁断から縫製、
検品までの時間が約 10 日。それ以外のブランドの場合でも 14 日以内。このような近隣諸
国での生産は、インディテックスグループ全体では、数量ベースで約半分。トルコなどの
比較的地理的に近い国も含めると、その割合は約 65%にも達するこのような体制をとるの
は、ファッションは鮮度が最も重要と考えているからと言われる。
本社工場で検品された ZARA の製品は、レールに吊るされたまま先の物流センターに自
動搬送される。レールの全長は 360 キロメートルにも達する。そして、物流センターに搬
送された商品は、2 日以内に世界各地の ZARA ストアに向け出荷されることになる。
図 3-1-1. ZARA のサプライチェーン
ファッション性の高い商品
ベーシック衣料品
スペイン本社周辺の自社工場で
中国・バングラデシュ等の工場
裁断
で生産(外注)
近隣の下請け工場で縫製(外注)
本社工場で検品
スペイン各地の物流センターに
保管後、仕分け・出荷
本社隣接の物流センターに保管
後、仕分け・出荷
世界各地の店舗
世界各地の店舗
出所:NIKKEI BUSINESS 「グローバル経営の教科書」の記事をもとに矢野経済研究所作成
71
3-2. 事例 2:H&M 社(Hennes & Mauritz AB)
H&M 社 (Hennes & Mauritz AB) は、スウェーデンのストックホルムに本拠を置く、
売上規模で世界トップクラスのアパレル企業である。上記のインディテックス社(米ドルベ
ースの直近年間売上高は 216.33 億米ドル)と拮抗しており、2012 年度の連結売上高は、
188.2 億米ドルとなっている。
(アメリカの信用調査会社、D&B 社のデータベースによる。
)
同社の特徴は、売上規模の大きさもさることながら、その利益率の高さにある。2012 年度
の税引き後利益率は約 13.3 パーセント、粗利率は実に 59.1 パーセントに達している。
H&M 社は、全てのブランドを合わせると、世界 53 カ国で 3,132(2013 年 11 月末時点)
の店舗を展開。主要ブランドの H&M だけで 2,936 店舗に達する。日本にも 2008 年に進出
しており、39 店舗を展開している。
表 3-2-1. H&M 社の概要
社名
H & M Hennes & Mauritz AB
創業
1947 年
創業者
アーリン・パーソン氏
本社所在地
スウェーデン
売上高(連結)
従業員数
ストックホルム
1,285.62 億スウェーデン・クローナ(2012 年度:2012 年 12 月 1 日~2013
年 11 月 31 日)
約 11 万 6 千人
H&M(2,936)、COS(85)、Monki(79)、Weekday(21)、Other Stories
保有ブランド(店舗数) (8)
、Cheap Monday(3)
(グループトータルで 3,132 店舗、うち 110 店舗
がフランチャイズ)
(2013 年 11 月末時点)
出所:H&M 社 Full-year report
(http://about.hm.com/content/dam/hm/about/documents/en/cision/2014/01/1280856_en.pdf)

H&M 社の商品と販売
2008 年 9 月の所謂リーマンショック以降の数年間でさえ 10%前後の成長を記録した
H&M 社の商品の特徴は、
「安くて上品
(シック)」と言い表される。
社名の Hennes & Mauritz
の”Hennes” は、英語の”hers”に相当するスウェーデン語であり、その名が表すように創業
当初は女性用のアパレルのみを販売していたが、
現在では男性用、
子供用のアパレルに加え、
アクセサリー、靴、自社ブランドの化粧品等も販売している。ターゲットとする年齢層も男
性用・女性用のアパレルの場合で 18 歳から 45 歳と、家族全員の服飾が揃う。女性用のノ
ースリーブのブラウスが 1,190 円、男性用シャツが 999 円からという値付けである。ブラ
ウス・シャツ類では 2,000 円~3,000 円前後のものも多く、比較的高価格なものでも 5,000
円~6,000 円前後と非常に手頃な値段設定である。
ファストファッションの名が示す通り、流行性の高いモデルは 2 週間ほどで店頭から消
え、人気のデザイナーの商品では店頭に並んだその日に完売することもあるという。年間
72
50 万点以上、1 日平均 1,300 点もの新商品が市場に投入されており、
「ファッションは常に
新鮮でなくてはならない」という考えから、このような多品種の商品展開をしている。
「顧客を飽きさせない経営」
、「常に変化があり、新しいものに出会える店」を目指して
おり、各店舗の品ぞろえも商圏の特性により様々だという。
「家族全員の服飾が揃う店」で
あることは、顧客ターゲット層が広いということでもある。つまり、特定の店舗の周辺の消
費者の属性や嗜好等の特徴に合わせて品ぞろえを変える必要があるが、H&M 社の多品種展
開がそれを可能にし、比較的多様な立地に店舗展開が可能になっているとも考えられる。
このように消費者の属性や商品のコンセプト、デザインに幅がある場合、ブランドや店
名を明確に分ける場合も多いが、H&M 社では敢えてそうせず、出店場所によって対象顧客
層を特定し、
それに沿った品揃えや展示方法を決めている。そして、
このような販売手法が、
変化を実現し、鮮度を保っている。
商品開発にも特徴がある。H&M 社の本社ビルには、180 人ものデザイナーが働いてい
る。採用するデザインを決める会議では、デザイナーのアイディアのみならず、世界中から
集められた販売データ、予算、協力工場による素材の調達の見込みや工場の稼働状況等が検
討され、
予算を含めた条件に合った見た目の新しいデザインのみが採用される。
「おしゃれ」
なデザインが売りではあるが、最先端のファッションを取り入れたものは一部に過ぎず、売
れ筋の商品のリニューアルや人気のファッションを他の商品に応用することも多い。
こうし
たプロセスも同社の高い利益率に貢献している。

物流の効率化:徹底した販売データ管理と世界各地にある物流センター
先述のインディテックス社が、在庫の集中管理のためスペインの物流センターに完成し
た商品を集約するのに対し、H&M 社では欧州、北米、アジア等世界各地に合わせて 25 か
所ほどの物流センターを有する。インディテックス社が持つ 8 拠点に対して拠点の数は多
いが、
市場の拡大に呼応して、
欧州地区では物流センターの大型化や統合が進められている。
輸送距離、輸送コストの面で一部マイナス面もあると思われるが、物流拠点の大規模化によ
る効率向上メリットのほうが大きいという判断と考えられる。物流センターに集められた商
品の 2 割程度はそのまま各ショップに送られ、残りは倉庫に保管され、販売状況に応じて
各店舗に配送される。
独自に構築した POS(販売時点管理)システムにより送られてくるデータに従って、倉
庫から毎日ショップに商品が陸送される。売れ残りが無いように配送数がコントロールされ、
在庫コストも最小化される。
H&M 社の生産委託先の工場の 7 割近くは中国を中心としたアジア地域にある。一方、
店舗数では欧米が圧倒的に多い。工場から物流センターまでの輸送は船便に頼っている。イ
ンディテックス社が航空便をより頻繁に使いリードタイム短縮を図っているのに対し、
H&M 社の方法は輸送時間が長くなりリードタイムの点で引けを取る要因となっている。そ
れでも船便を使うことにより輸送コストが低減できるのは確実で、同社はリードタイムの短
73
さより、
色、
サイズを含む販売データを分析しその結果を次の商品開発に活かすことにより、
常に新しく、低価格の商品を市場に送り出すことを重視する。

製造コストの低いアジア諸国での生産
H&M 社の高利益率のもう一つの源泉は、中国、バングラデシュ、カンボジア、インド
など、製造コスト(労賃)の低いアジア諸国への移行を進めてきたことである。アジアでの
生産は多くの SPA などの繊維・アパレル関連企業も実施してきたことであり、もちろん珍
しいことではない。
特に労働集約型の縫製作業における安い人件費はダイレクトに利益の源
泉となる。その結果、H&M 社も含め多くのアパレル企業はデザインやマーケティングなど、
付加価値の高い業務に特化できる。
本社近くやそのほかの(スペイン)国内に物流センターを持ち、更に本社近郊に自社の
製造工場を持つことにより、
先のインディテックス社はより短納期で最新デザインの商品を
市場に投入している。一方 H&M 社では、より安い製造コストを重視し、輸送やその他の
物流方法による多少のデメリットがあるものの、1 年先まで先行して商品のデザインを決め、
売れ行きにより後から微調整を行うだけにすること、徹底した販売データ分析を行いその結
果を商品のデザインや出荷数量に反映させることにより新しい商品、
売れる商品を店頭に無
駄なく並べることに成功している。
その結果が順調な業績と高利益率に繋がっていると考え
られる。
図 3-2-1. H&M 社のサプライチェーン
中国・バングラデシュ・カンボジア・インド等、アジア地域を
中心に、世界で約 700 の協力工場での生産(縫製)
欧州の物流センター
欧州各地の店舗
北米の物流センター
北米各地の店舗
アジアの物流センター
アジア各地の店舗
注)上記の図は、大まかな商品の流れをわかりやすく示すために簡略化されたもの。
出所:NIKKEI BUSINESS 「グローバル経営の教科書」の記事をもとに矢野経済研究所作成
74
3-3. 事例 3:東レ株式会社
東レ株式会社(以下、東レ)は、1926 年(大正 15 年)
、三井物産株式会社の出資により
東洋レーヨン株式会社として設立された、現在、合成繊維では国内最大手の化学素材メーカ
ーである。
表 3-3-1. 東レの概要
社名
東レ株式会社
創業
1926 年(東洋レーヨン株式会社)
代表者
日覺
本社所在地
〒103-8666 東京都中央区日本橋室町 2-1-1 日本橋三井タワー
売上高(連結)
1 兆 5,923 億円(2012 年度:2012 年 4 月 1 日~2013 年 3 月 31 日)
繊維事業の売上高
6,322 億円(2012 年度)
従業員数
42,584 人(国内外の関係会社含む)
(2013 年 3 月末現在)
昭廣氏(代表取締役社長)
下記製品の製造及び販売
繊維事業
ナイロン・ポリエステル・アクリル等の糸・綿・紡績糸及び織編物、不織布、
人工皮革、アパレル製品等
プラスチック・ケミカル事業
ナイロン・ABS・PBT・PPS 等の樹脂及び樹脂成形品、ポリオレフィンフォ
ーム、ポリエステル・ポリプロピレン・PPS 等のフィルム及びフィルム加工
品、合成繊維・プラスチック原料、ゼオライト触媒、医・農薬原料等のファ
インケミカル、動物薬等(但し、下記「情報通信材料・機器事業」に含まれる
フィルム・樹脂製品を除く)
情報通信材料・機器事業
事業内容
情報通信関連フィルム・樹脂製品、電子回路・半導体関連材料、液晶用カラ
ーフィルター及び同関連材料、プラズマディスプレイパネル用材料、磁気記
録材料、印写材料、情報通信関連機器等
炭素繊維複合材料事業
炭素繊維・同複合材料及び同成形品等
環境・エンジニアリング事業
総合エンジニアリング、マンション、産業機械類、環境関連機器、水処理用
機能膜及び同機器、住宅・建築・土木材料等
ライフサイエンス
医薬品、医療製品
その他
75
分析・調査・研究等のサービス関連事業等
出所:東レ株式会社ウェブサイト (http://www.toray.co.jp/)、及び同社「アニュアルレポート 2013」
創業時の社名が示す通り、レーヨン生産から始まり、これまでポリエステル、ナイロン、
アクリルという三大合成繊維、高機能フィルム、エンジニアリングプラスチック、炭素繊維
複合材料、電子情報材料、高機能膜、医薬・医療材など多様な商品を開発し、基礎材料から
加工製品まで幅広い事業を展開して発展してきた。
繊維事業の 2012 年度の連結売上高は 6,322 億円。全社売上の 1 兆 5,923 億円の 40 パー
セント近くを占める。また、この繊維事業の規模は、競合の東洋紡の 1,511 億円(2013 年
3 月期の産業マテリアル事業と衣料繊維事業の合計)
、帝人の 1,112 億円(2013 年 3 月期の
高機能繊維・複合材料事業の売上)
、旭化成の 1,096 億円(2013 年 3 月期の繊維事業の売
上)に比較しても群を抜いている。

ユーザーとの「戦略的パートナーシップ」による、技術に裏付けられた新たな消費者ニ
ーズへの対応
東レは、自らの特徴として、
「東レの DNA は、
『研究・技術開発力の維持・強化』と『お
客様との戦略的パートナーシップ』を通じた独自のマーケティング力である」と表現する。
東レのコア技術は、有機合成化学、高分子化学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジ
ーの 4 つである。1 つ目の DNA として、これらの技術を高度化し、時には融合させて発展
させていくことが競争力の源泉となっている。
もう一つの DNA は、素材メーカーである同社より川下にいる、つまり消費者により近
いユーザー企業と協力することにより、時代と市場のニーズを的確にとらえ、新しいファッ
ションやライフスタイルを提案し、
自社の技術と製品の新たな用途を開拓する力をつけるこ
とを意味する。
東レの繊維事業の好調さは、DNA と呼ばれる、これらの基本戦略とその実行が実を結ん
だ結果と言える。
発売から 10 年で累計 3 億枚を販売したとされる機能性衣料「ヒートテック」は、ユニ
クロと東レが共同開発したものであることはよく知られている。
「シルキードライ」、「ウル
トラライドダウン」といったヒット商品も同様に両者の提携により開発されたものである。
また、東レはユニクロ以外にも、青山商事と共同でスポーツ機能をもつビジネスシャツ「ミ
ステリードライ」の開発しており、ユナイテッドアローズの「サーモグリーン」の素材も東
レが供給している。
「戦略的パートナーシップ」による独自のマーケティング力を築いていくに当たって、
ユニクロとのパートナーシップが東レに大きな影響を与えたと言われている。ユニクロと東
レの繊維事業本部との連携は、2000 年以降特に深められてきたと言われている。この年に
東レでは、ユニクロ向けの総合窓口である GO(グローバルオペレーション)推進室を発足
76
させており、それ以来この GO 推進室とコンタクトするだけで、ユニクロは東レの繊維事
業本部だけでなく、生産本部や研究本部とも連絡がとれる体制となった。
2006 年には「戦略的パートナーシップ」が締結され、両社の連携は更に深化していき、
資本提携は無いものの、
バーチャルカンパニーであるかのように製版一体で運営される体制
が整った。東レが素材の開発と生産、ユニクロがマーケティングと販売を担当しているが、
そのために必要なコストや開発計画などの情報も極力共有してきたと言われる。
両社は 2010 年までの 5 年間で、累計 2,000 億円の取引額を目標としていたが、実績は
2,500 億円と目標を大きく上回り、両社の取り組みが成功したことを裏付けている。
ユニクロとの提携を通じ、東レには様々な「消費者の声」が届けられることになった。
「洗濯機で簡単に洗えるセーターが欲しい」、
「着ていて暖かい下着があればいいな」といっ
た消費者の希望をユニクロが東レに伝え、東レが持前の技術の組み合わせと応用によってこ
れらを実現する。つまり、
「何がつくれるか」、
「作れるものをどう売るか」ではなく「消費
者が何を欲しているか」
、
「それを作るためにはどうすればいいか」と考えるようになったと
いうことである。こうして先の DNA が東レの繊維事業の好調さに結びついてきた。

変化したバリューチェーン
ユニクロとの提携は、東レの繊維ビジネス全体のバリューチェーンにも変化をもたらし
たと言われる。
従来の日本の繊維業界のバリューチェーンは、
「繊維メーカー」、
「糸商社」、
「テキスタイ
ルメーカー」
、
「生地商社」
、
「縫製会社」
、
「卸商社」
、
「アパレル」、
「問屋」、
「小売り」と、何
層にも重なるプレーヤーが存在してきたが、ユニクロのような SPA と提携する場合では、
素材の開発・製造から縫製までという、バリューチェーンの中の何段階ものプロセスを東レ
が自社のみで担当するケースが多くなったと言われる。投資リスクも大きいが、成功すれば
利益も大きくなる。
ここでも、素材、製糸、紡績、織り編み、染め、縫製など全てにおいて、東レが高い技
術を持っていたことがバリューチェーンの変革を実現させ、
高収益を実現する大きな要因と
なっている。

繊維事業の好業績に寄与する東レのサプライチェーン
東レの繊維事業の好調さを支えてきたもう一つの重要な要因は、同社が構築してきたグ
ローバルサプライチェーンである。
東レは、中国や韓国、タイ、マレーシア、インドネシアなどのアジア、英国やチェコな
どのヨーロッパ、北米等に多くの製造拠点を持っており、これら海外拠点を商品や販売先に
より組み合わせた最適生産が可能であることが東レの強みとなっている。
例えば、インドネシアの関連工場で生地を織り、マレーシアの関連会社で染色し、ベト
ナムの協力工場で縫製し、完成品のシャツを日本に輸入する、という流れがある。また婦人
77
向けボトムスの場合は、タイの関連会社で織り編みから染色までを行い、ベトナムの協力工
場で縫製をしている。素材から縫製まで全てアセアン域内で完結するため、製造プロセスで
関税はかからない。AJCEP、或いは日・ベトナム EPA 等の二国間協定の EPA を活用する
ことにより、日本への輸入を無税とすることが可能である。アセアンのみならず、アセアン
と FTA を締結している中国も合わせて、ほぼアジア全体で EPA/FTA を活用したサプライ
チェーンの最適化に取り組んでいる。関税削減効果やリードタイムの短縮、その他製造コス
トの最小化等の観点から最適な場所で最適な量を作る選択肢を東レは数多く有しており、
戦
術の幅が非常に広いといえる。
図 3-3-1. 東レのサプライチェーンの例
インナー
紳士シャツ
原糸・原綿
インドネシア
石川工場・愛媛工場・
スーツ・ボトム
中国
中国
紡績・
タイ
インドネシア
織り編み
染色
タイ・マレーシア
インドネシア
縫製
中国
インドネシア
ASEAN・南アジア
中国
中国
中国
中国
大手 SPA(日本)
通販業者(日本)
中国
市場・顧客
欧米日・ASEAN
アパレル(欧米)
出所:NIKKEI BUSINESS 「グローバル経営の教科書」の記事、図表をもとに矢野経済研究所作成
78
4. 日本の繊維関連商社のサプライチェーンの特徴と現在の EPA/FTA 活用状況
今回の調査において、繊維製品を取り扱う国内の主要な商社 5 社に対して直接訪問によ
るヒアリングを行った。ヒアリングの主な目的は、日本の繊維関連企業全体の傾向として、
原料の調達から二次製品の販売までのサプライチェーンの特徴、EPA/FTA の活用の現状と
今後の活用に関する意向、今後生産拠点や市場としてどの国・地域が注目されているか等を
把握することにある。従って、以下に述べるヒアリング結果としての傾向と分析は、特定の
企業のものではなく、あくまで国内の主要繊維企業全体の特徴と傾向である。
4-1. サプライチェーンの特徴

日本市場への中国生産の二次製品が主流でありつつも、チャイナ・プラス・ワンとし
てのアセアンの重要性が増す
第一に挙げられる特徴は、衣料品としての製品の主要な市場は日本であること、そして
その縫製拠点は主に中国であることである。そしてその縫製拠点は、大部分を占めてきた中
国から徐々にアセアン地域を中心とした、東アジア以外のアジアの国々に移管されつつある
ということである。海外で生産した製品の日本市場向けの割合は、概ね 8 割から 9 割以上
と見られ、その日本向けの概ね 6 割から 9 割以上が中国で縫製されたものである。
一方、原材料としての綿花、羊毛、糸、ファイバー等に関しては、その性質上多岐に渡
るため、調達国もインド、パキスタン、中国、アメリカ、オーストラリア、ブラジル、台湾、
韓国、アセアン(タイ、インドネシア、ベトナム等)など様々な国から様々な材料を買い付
けている。そのため、特に特徴的な傾向はみられなかった。織物等の生地に関しても、中国、
アセアン、台湾、日本等で生産された製品を中国、アセアン等の縫製拠点に移して縫製する
という流れが比較的多いようであるが、
一部欧州等それ以外の地域から調達する場合もある。
(日本から輸出された生地を利用して海外で縫製し、その製品を日本へ再輸入する場合、い
わゆる暫 8(関税暫定措置法第 8 条:加工再輸入減税制度)の規定により減税対象となり得
るため、特恵関税が適用されない場合は、この制度を利用していることもある。
)
先に、主な市場である日本への製品の輸入は、中国で縫製されたものが主であると述べ
たが、あらためて、その割合は概ね 65%から 95%程度である。残りの大部分がアセアン(ア
セアン諸国)となっている。アセアンの中では、タイ、ベトナム、インドネシアが比較的縫
製拠点としては進んでいる。
つまり生産能力や品質において一定のレベルに達していると一
般的に認識されており、次いでミャンマー、カンボジアが続き、更に縫製業を主要産業とす
るバングラデシュの名も挙がった。
79

製品の生産拠点の考え方と中国生産の優位性
縫製拠点を決めるにあたっての主な検討材料としては、1)労働力と人件費(労賃)
、2)地
理的条件、3)物流上の条件、4)資材・原材料の調達における利便性等がある。労働力には、
熟練工の割合や絶対数としての生産能力も含まれると思ってよい。更にこれらに EPA/FTA
や LDC 等の関税メリットという要素とその他の要素も加わって縫製(生産)拠点が決定さ
れる。場合によっては 30%近い関税が無税、または数パーセント程度まで下がる EPA/FTA
の活用による関税メリットは非常に大きいと考えられる一方、製造・販売の実務に携わる企
業の観点からは、一般的にそれ以外の要素がまず重要になることが多いことがわかった。
AJCEP によりほとんどのアセアン加盟国との貿易において関税が大幅に引き下げられ
る可能性が出てきており、これは中国からの輸入に比べて有利な点ではあるが、生産拠点を
移す場合、企業にとっては相応のリスクも伴うのが現実である。中国とアセアン主要国を比
べた場合、生産拠点としての中国の優位性は、一般的な傾向として依然以下のような点で存
在する。
まずは生産性が挙げられる。長年の経験の蓄積もあり、技術水準や作業効率の面でまだ
まだ中国に一日の長があると言われている。
(例えば、中国で 1 日 30 枚できるものがある
として、同じものをアセアンで作った場合,まだ 20 枚程度しかできない。
)その結果、中
国生産のほうが納期は短く、例えばアセアン生産の場合リードタイムとして 4 ヵ月必要な
場合も、中国生産の場合は 2~3 ヵ月で済む。更に、多様な製品の生産に対応できる点も中
国生産の場合のメリットである。
アセアンの場合、国によってはインフラの整備が不十分であることも多く、地理的にも
日本により近い中国が有利という面も当然否定できない。人的資源に関しては、まだまだ豊
富にあるという見方と縫製業における人的資源の確保が難しくなってきたという見方の両
方があった。中国の中でも地域による違いもあると考えられるため、どちらも間違いではな
いと思われる。
それ以外に挙げられた意見として、文化面、慣習面での違いもあったが、これはある意
味日本企業にとって最も重要なファクターの一つかも知れない。
日本語が解るスタッフが多
い、
日本の商習慣や日本人のメンタリティを理解してくれる等の面で一緒に仕事がしやすい、
という意見はほとんどの取材先で聞かれた。
更に(ボタンなどの)副資材の価格、材料調達のしやすさなどでも、アセアンでも状況
はかなりよくなってきているものの、依然中国に優位性がある。
これらの面から、アセアン各国の場合、EPA の活用により関税低減メリットが享受でき
る可能性があるものの、トータルコストを考えた場合のメリットは、まだいくぶん中国にあ
るという意見が多かった。
一方で、コスト対品質という観点で、中国産製品の品質が以前に比べ相対的に落ちてい
るというコメントもあった。つまり、同じコストを投入した場合の品質が過去に比べ落ちて
いる。逆に言えば、同じ品質を維持しようと思えば、以前よりもコストをかける必要がある
80
ことになる。人件費の高騰、人員の確保の困難さがこのような結果に繋がっているのだと言
えよう。
将来的には、中国生産とアセアン生産の合計を 100%とした場合、アセアン生産の比率
を少ない企業で概ね 20%、多い企業で概ね 50%にするのが適切、あるいはそのくらいにし
たいと考えているというコメントが大勢であった。これは、単にカントリーリスクやコスト
面でアセアンが有利になっていくということだけではなく、
市場としてアセアンが伸びてい
く可能性も見据えての数字と思われる。市場が日本や中国だけでなく、インドネシアやシン
ガポール、タイといったアセアン諸国であれば、地理的に近い域内での生産は極めて合理性
がある。
4-2. EPA/FTA の活用状況

EPA/FTA の活用状況は様々
日本の繊維関連企業が最も多く活用している EPA/FTA は、多国間協定の AJCEP に加
え、二国間協定の IJEPA(日・インドネシア)
、JTEPA(日・タイ)、IJCEPA(日・イン
ド)等である。一説によると、中小規模の企業の場合、2~3 割の企業しか EPA や FTA の
活用ができてないと言われている中で、
今回のヒアリング対象企業では上記のアジア各国と
の EPA は大部分の取引において活用されている。
(ヒアリング対象企業は、一般的な定義
においては大企業に全て属する。
)しかしながら、貿易取引全体としては、EPA を結んでい
ない中国との取引が大半を占める現状では、アセアンからの輸入の割合と同程度か、少ない
と考えられる。
EPA が利用できない場合は、LDC の特恵関税等を適用している。EPA や特恵関税を含
めて、関税低減の制度として利用できるものは全て利用しているという企業もあれば、EPA
の活用は準備中という企業もあった。これは、例えばアセアン製の製品を日本へ輸入するこ
とを考えた場合、アセアンでの生産活動の歴史や規模によるようである。まだアセアンで生
産を始めたばかりの企業においては、EPA を活用するため準備中という状況であり、自ず
と活用実績は少ない(或いは無い)
。一方、その逆で既に同地域での生産活動が長い企業、
或いは域内の複数の国で生産を行っている企業、生産規模が大きい企業では EPA の活用率
も高くなる傾向にある。今回のヒアリングの内容から判断して、国内の繊維関連の主要企業
においては、アセアンからの輸入に関しては全輸入案件の少なくとも約 6 割から 8 割程度
で EPA を活用しており、それ以外の案件でも、ほとんどの場合何らかの特恵関税や減税措
置を受けていると思われる。

EPA/FTA 活用のための社内体制と情報収集法
企業によっては、EPA/FTA に関する全社向け情報収集と発信を、例えば物流やロジステ
81
ィクスを担当する部署が行っている。しかしながら、そのような企業でも、最終的な実務と
しては、各製品を担当する専門部署が独自で情報収集を行うことになっている。これは、製
品群ごとに原産品として認められるためのルールも細かく定められており、
一部署で全ての
製品の情報を収集・管理・発信することは現実的ではないためである。
結果として、製品ごとの各専門部署では、様々なソースを使って情報を収集している。
利用しようとする EPA/FTA の原文の参照、経済産業省、JETRO のウェブサイトや資料の
閲覧、税関や輸入組合等の機関が実施する EPA/FTA に関する各種セミナー、取引先や乙仲
を通じた情報収集等が主な手段となっている。
4-3. EPA/FTA に関するメリットと運用上の問題点

EPA/FTA を利用するメリット
EPA/FTA 締結のメリットは、締結国から日本への輸入における関税削減効果の他にも法
制度整備、人的資源移動の自由化、知的財産保護等の投資環境整備が挙げられるが、今のと
ころ、EPA/FTA を利用する目的は、関税削減メリットのみであるとする企業がほとんどで
あった。
一方、経済連携協定により人的資源の移動の自由度が増せば、海外スタッフへの技術の
伝承がしやすくなるのでその点は期待したいという声もあった。ただ現時点では、投資環境
の整備、
ビジネス環境の整備等をメリットと考えている企業は一般的にあまりないようであ
る。海外進出を検討する場合も、まず現地の規制、法務、税制等に注意を向け、これらがク
リアになって EPA の減税メリットも検討するという考え方が一般的のようである。
その他特定の協定に関して言えば、アセアン加盟国でのアパレル製品(HS コード第 61
類及び 62 類)の生産、日本への輸入という場合を例にとると、タイ、インドネシア等との
二国間協定の場合において、
他のアセアン加盟国で生産された生地の使用許諾がされている
ため、生産材料の調達のオプションが多くなり便利であるという意見が聞かれた。(一方、
AJCEP の場合、材料が原産品とされるのは、締約国の範囲に留まっているため、締約国で
ないインドネシア産の生地が対象とならないことは不便な点とされる。)
更に、AJCEP が締結されたため、中国から他国への生産拠点の移管が現実的になり、そ
の点で有益であったとする企業もあった。人件費の高騰やリスク分散の観点から中国生産の
比率を下げ、他国への生産拠点の移行をある程度進める必要性を各企業が感じる中、アセア
ンとの EPA の存在がアセアンへの生産拠点の移管に合理性を与えたということである。新
たな国での生産は、技術や生産効率、素材の確保その他の面で、しばらくは困難を伴う。こ
れらの点で、中国と比較して不利な立場であったアセアン諸国への生産拠点の移管が EPA
の存在のお蔭である程度容易になったことも大きなメリットとする意見もあった。
82
83

煩雑な手続きと難解な条文
EPA/FTA の規定に従って輸出入する製品を締結相手国の原産品と認められるには、エビ
デンス(証拠)が必要でることを考えれば、ある程度細かく複雑な作業と手続きが必要とな
ることは致し方なく、
現状のものをよりシンプルにすることは難しいと考える企業もある一
方、多くの企業では手続きの煩雑さが問題点として挙げられた。この煩雑さにより、リソー
スの比較的限られた企業では EPA/FTA の活用が進まないものと推測される。
また、条文自体が理解し難く、その都度深く読み解く必要があることも不便な点として
挙げられた。理解し、運用するまでに時間がかかり、そのためにビジネス機会の喪失が起こ
ることもあり得ると考えられている。

協定ごとに異なる品目別規則
1)デミニマス(僅少の非原産材料)の適用において、重量比の基準が協定によっては 7%
の場合もあれば 10%の場合もあること、2)適用する HS コードが、2002 年のものの場合も
あれば、2007 年のものもあること、3)日インド協定において、あらゆる織物及び編み物製
原材料を原産性の確認において考慮する必要があること、4)日ペルー協定において、一部ア
パレル・二次製品において糸の製造から(3 工程基準)求められること等が協定ごとに異な
る品目別規則の例として挙げられた。更に、積送基準において、第三国を経由して輸送され
る場合の原産性維持のためのルールが異なるという点も不便な点として指摘された。

関税分類を決定する構成部分に対する考え方の違い
例えば、AJCEP 附属書 2 第 11 部注釈 2 では、
「第 61 類から第 63 類までの各類の産品
が原産品であるか否かを決定するにあたり、当該産品について適用される規則は、当該産品
の関税分類を決定する構成部分についてのみ適用されるものとし、当該構成部分は、当該産
品に係る規則に定める CTC(関税分類の変更)に基づく規則を満たさなければならない。」
と規定されている一方で、関税率表国内分類例規 61 類 1.二以上の材料からなる衣類の分
類基準における「通常、衣類は、身ごろ(スカート又はズボンの身ごろを含む。)
、襟及び袖
の表側の生地を構成する材料(織物、編み物、革等をいう。以下同じ。)によって特性が与
えられているものと認められる。したがって、第 43 類注 4 に定める場合を除き、表側の生
地が二以上の材料で構成されている衣類
(例えば、
革と編物とで縫製されているジャケット)
は、その表側の生地 (出)袖裏、襟の折り返し部分等着用した際外部から見えない部分を除
くものとし、衣類の身ごろ等に装飾的効果をもたせるための加工(例えば、ひだ付け)を施
したため外部から見えにくくなった部分を含める。
」に占める面積が最も大きい構成材料に
よりその所属を決定する。
」と規定されており、両規定では、分類を決定する構成部分の考
え方が異なる。
AJCEP の規定では、通常ボタンやタグ等は「当該産品の関税分類を決定する構成部分」
には含まれない。従って、ボタンやタグ等の原産地は、当該産品の原産性を決定するにあた
84
って考慮する必要はない。この意味では、これは申請者の負担を軽減する便利な規定である
が、
「当該産品の関税分類を決定する構成部分」が衣類のどの部分であるかは明示されてい
ない。一方関税率表国内分類例規では、上記の通りどの構成部分が関税分類を決定する際に
考慮されるべきかのガイドラインが明示されている。
EPA における構成部分に対する考え方が、長年慣れ親しんだ国内分類例規と同様の考え
となれば、EPA による関税率低減、または関税撤廃の適用を視野に入れて生産しようとす
る産品の原産性の判断が容易になると期待できる。一方、AJCEP の規定では、第三国産原
材料を使用した場合、都度、当該構成部分にあたるものかどうかを税関に確認する必要が生
じるため、これは不便と感じるという意見もあった。

AJCEP の未発効国
多くの企業が AJCEP を活用している中、インドネシアが締約国に入っておらず、イン
ドネシア産の原材料を使って他のアセアン加盟国で生産を行った場合、EPA の減税措置が
得られない場合がある。
インドネシアが AJCEP 未発効であることは、同国の判断となるため容易に状況を変え
ることは出来ないと思われるが、AJCEP を活用する立場からインドネシアの加盟が望まれ
ることは大変よく理解できる。

原産地証明書の記載事項
原産地証明書の記載事項についても、以下の点で不便を感じるという意見が出た。
① 原産地基準
一般特恵関税(GPS)では、完全生産品か否かの二者択一での記載であったが、EPA の
場合、多くの協定では原産材料からなる原産品という項目が加わり、三つの分類となってい
る。この新たに加わった原産材料からなる原産品という概念が、関係者の理解を得るのに苦
労する点だという。一方、日インド協定のように、二者択一の一般特恵関税の適用の場合と
同じ考えに立った基準に整理されることを望むという意見もあった。
② 遡及発給日
遡及発給となる基準日が、協定により異なる。例えば、
「船積みの日」が基準日となるこ
ともあれば、
「船積みの日を含む 3 日」となることもある。この点に関しても、全ての協定
で統一されると便利であると考えるという意見があった。
③ FOB 価格の記載
AJCEP などで、FOB 価格の記載が輸出国において求められることがある。ところが、
これは仲介取引の場合では、荷受人に購入価格を知られることになり、ビジネスを円滑に行
85
う上で問題となる。AFTA(ASEAN 自由貿易協定)の ATIGA(物品貿易に関する協定)
においても 2014 年 1 月から FOB 価格を不記載とすると聞いており、我が国が締結してい
る EPA においても、現状 FOB 価格の記載を求めているものに対しては、FOB 価格の不記
載の運用を実施してほしいという意見があった。
④ 記載事項の不備
原産地証明書の記載事項に不備があった場合、その内容により証明書が無効になる場合、
引き続き有効な場合とあり、その取扱いの基準が不明確であったり、各税関で対応が異なっ
たりと解りにくい面があった。昨年(2013 年)10 月に、
「不備のある経済連携協定 (EPA)
原産証明書等の取扱い」という資料により、不備の内容に応じた留意点が周知されたため、
以前より解りやすくなったが、更に明確になることを望むという意見があった。
4-4. 今後の戦略

新たな生産(縫製)拠点候補
多くの企業にとって、アセアンでの生産を今より増やすことが当面の目標である。これ
は即ち、特に中国生産からの移行が過渡期であり、これから益々アセアンでの生産を増やす
必要性と余地があるということかも知れない。各社、アセアン各国での合弁会社の設立等を
通じ、現地での足場を固めている、或いは今ある生産インフラの活用度を高めるという方向
で動いている。一方、新たに生産拠点を設けることは、実務面で様々な作業が必要となり、
時間もコストもかかること、稼働開始してしばらくは、生産効率も悪く、当面の収益性が下
がることが予想される。そのため、各社とも、生産拠点を移す、あるいは新たな拠点を設け
ることに対する検討は、慎重に行っているようだ。
また、アセアン以外で今後期待できる、或いは面白い国として、トルコ、及びモンゴル、
ウズベキスタン、カザフスタン等の中央アジアが挙げられた。特にトルコは、素材の調達も
支障が無いとみられ、縫製技術も高く品質的にも信頼がおけ、地理的に欧州市場をターゲッ
トとした場合最適であるため、有望な生産拠点になり得るという意見が出た。モンゴル、ウ
ズベキスタン、カザフスタン等の中央アジアは、原材料の綿が豊富にあること、モンゴルを
中心としてカシミア繊維の産地であることから比較的関心が高いようであった。

今後の注目市場
注目市場、今後ビジネスを拡大させていきたい国として、中国、アセアン、アメリカ、
等が挙げられた。特に中国、アセアンが日本の企業にとって重要市場である。中国の場合、
市場として開拓の余地があり、
今後増やしていくアセアン生産の商品を中国の顧客に販売し
たいということも聞かれた。これがアセアン生産の規模拡大に繋がり、よりスケールメリッ
86
トも出せると考えられる。また、その後はアセアン生産の商品を、アセアンで販売する、つ
まり素材から生産、消費までをアセアンで一貫して行うプロセスを築くことも近い将来、日
本企業の多くが目指すところであろう。
また中国、アセアンに関しては、市場のキャパシティが拡大していること、生産国内・
域内で販売することの合理性に寄るところが大きい。但し、アセアンに関しては市場の成熟
度に関連して、各社にとっての位置づけが異なる。つまり、日本製の比較的高級品の市場と
してはまだ成熟していないため、
アセアンよりは欧米市場でのビジネスを拡大させたいと考
える企業もある一方で、アセアンでも十分中間層も育ってきているので、積極的に拡大させ
たいという企業もあった。
この違いは、恐らく販売する製品の種類によるものと思われる。同じ繊維製品でも、比
較的品質重視の寝具関連、
タオル等の製品は欧米でも質の高い日本製品は需要があると思わ
れる。
一方、
アパレル製品、
中でもある程度高級とされるブランド品の場合は事情が異なる。
ファッションブランドの場合、欧米、特にヨーロッパの高級ブランドのブランド力は他を圧
倒しているため、いかに日本製品の質が高くても、欧米市場で世界的な高級ブランドに対抗
することは難しい。その点、アセアンの市場では、欧米の高級ブランドも浸透してきている
一方で、
日本のブランドが受け入れられる余地があり、一定の競争力もあると見られている。
欧米の市場を狙わない理由としては、これ以外にも、欧州は景気が悪く市場拡大が見込めな
い。また、アメリカには既に GAP、ユニクロの他、ヨーロッパのファストファッションブ
ランドなどの製品が市場に溢れており、市場が飽和状態にあるため、敢えて進出に踏み切る
必然性が見い出せないという意見もあった。

日本の繊維企業の課題
海外での販売に対する方針は各社様々であるが、共通の課題と言えるのは、これまでの
ヒアリング結果を顧みても、日本以外での販売を伸ばすということであろう。これは繊維・
アパレル業界に限らず日本企業全体の課題でもある。その意味では、やはり EPA/FTA によ
る関税削減メリットは少なからず日本企業の課題解決に寄与する可能性は十分にあると考
えられる。二国間協定も含めたアセアンとの EPA の活用は、主要繊維企業としては必須と
なりつつあり、EPA の活用により優位に立つというより、EPA を活用しないと不利になる
という側面が強くなってきていることも事実である。
他方、各社で聞かれたコメントとして、技術の伝承の問題がある。これは競争力の維持
と言い換えることもできるかもしれない。製品の生産の大部分が海外に移管されている現在、
日本国内に貴重な開発技術、生産技術を残していく術がなくなりつつあると言われている。
特に糸から生地の生産までに於ける技術は、日本企業のレベルは高く、その技術をいかに伝
え、競争力を保っていくかは重要な課題である。また、製品のデザイン力は中国、アセアン
の企業と比較して、日本企業に優位性がある。生産技術、デザイン等の面でいかに競争力を
保てるのか、物流等も含め、日本の繊維企業(特に商社)はどの機能にフォーカスすべきな
87
のか、どう選択と集中をしていくべきなのかが重要な課題となっている。
88
5. 総括:日本繊維企業の EPA/FTA を活用した海外ビジネス展開の方向性
本調査では、貿易統計データの収集と集計、海外 FTA の条文を含めた文献調査を主体に、
繊維貿易の概況と、5 つの海外主要 FTA の原産地規則の概要についてまとめた。また、同
じく文献調査により、国内外のトップ企業のサプライチェーンについても 3 つの例を参考
に紹介している。同時に、国内の主要繊維商社 5 社にヒアリングを行い、EPA/FTA 活用の
現状とサプライチェーンの概要についての情報を収集した。
特に実務者の生の声を聴けるヒ
アリングで得た情報は貴重であった。
その結果、今後日本の繊維企業が EPA/FTA を活用しながら海外でのビジネス、或いは
海外とのビジネスを推進するために必要となるであろうことがいくつか浮かび上がってき
た。EPA/FTA をどう活用するか、EPA/FTA を企業が活用しやすくするために何が必要か、
以下に考えられるポイントをまとめた。
EPA/FTA の活用を促進するためのポイント


EPA/FTA 情報提供

EPA/FTA の専門家による中小企業支援

アジアの EPA/FTA の充実
EPA/FTA 情報提供
輸出入に携わる企業が、EPA/FTA に関する情報を収集するための方法や情報源は様々で
ある。各税関、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)
、各業界団体、経済産業省の発信
する情報、乙仲や取引先などが今回のヒアリングでも挙げられた。当然、協定の条文の原文
も参照する必要がある。
様々な情報があることは一見便利なようだが、最も拠り所とすべきものがどれなのか判
断が難しい。協定の原文も、海外の FTA であれば英語で読む必要があり、また言語が何で
あれ解釈自体も難しい。そのため、EPA/FTA を利用する側の意見として、「ここに行けば
全ての疑問が解決する」という場が欲しいとの声も聞かれた。

EPA/FTA の専門家による中小企業支援
国内の大手企業においても、EPA/FTA の活用は手続きや費用面等の理由で容易ではない
と推測される。ましてや、リソースに限りがある中小企業にとっては、EPA/FTA の運用は
非常に負担が大きいと思われる。
したがって、ビジネスの現場を理解し、実務経験がある EPA/FTA の専門家、コンサル
タント的な存在が身近にいれば中小企業にとっては心強い。セミナー形式を発展させて、授
業形式の情報提供や教育の場が持てれば、EPA/FTA の利用も促進されるのではないだろう
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か。

アジアの EPA/FTA の充実
多くの日本企業が、日本、中国、ASEAN、或いは西南アジア等、アジア圏内中心にビジ
ネス、貿易活動を行っている。海外ビジネスは、まず地理的、文化的に近い国から始めると
いうことは、自然な流れでもあり、国際ビジネスのセオリーでもある。先に挙げられた、イ
ンドネシアが AJCEP(日 ASEAN 包括的経済連携)に参加していない点が不便だという意
見、中国、ASEAN 間の物の流れが今後増えていくであろうという点、香港、台湾も重要な
繊維ビジネス相手国である点、等を考慮しても、アジア域内での日本企業のビジネスが有利
になる仕組み作りが望まれている。
EPA/FTA を活用した海外市場開拓への企業の取り組み


EPA/FTA のメリットを再検討してみる

徹底したマーケティングにより技術を世界で売る

未開拓の市場を狙う
EPA/FTA のメリットを再検討してみる
海外の企業では、FTA の有無をサプライチェーンや生産拠点を考える際に重視すること
も多いと言われる。どの国から輸出入を行うかの判断は、当然、工場の生産能力、市場、国
ごとの規制や法律等、
様々な要素を考慮しなくてはならないが、他の条件が似通っていれば、
FTA を使える国を優先するという選択肢は合理的に思える。EPA/FTA による関税削減メリ
ットが大きければ、文化的違いが大きくとも、それを乗り越えて中国以外の国で生産するこ
とも必要であろう。
先に述べたように、対 EU 貿易において、韓国が EU と結んだ FTA の効果が出始めてい
ると言われる。海外の FTA を利用することも含めて、再検討する価値は十分にあると思わ
れる。

徹底したマーケティングで技術を世界で売る
繊維・アパレル産業の中で、日本の重要な得意分野のひとつは素材開発の技術であろう。
「3.主要繊維企業・アパレル企業のサプライチェーン」で事例として取り上げた東レがユニ
クロとの提携により業績を伸ばしたことも、消費者の声を徹底して聞き、持ち前の技術をビ
ジネスで活かせたからであろう。素材メーカーもエンドユーザーの声を聞く。そのことが重
要であることが証明された。
確立された世界的ブランドを持つ欧米企業に、ブランド力、デザイン力で勝負すること
90
は容易ではないが、技術を売ることを皮切りに、より多くの日本企業がグローバルビジネス
で成功されることを期待したい。

未開拓の市場を狙う
繊維・アパレル産業の歴史が長く、世界的なブランドも多い欧米市場で日本のアパレル
企業が勝負するのは確かに容易ではないと思われる。そうであるならば、是非とも中東、ア
フリカ、
中南米などのこれから市場の成長が期待される地域にいち早く打って出る意味は大
きい。暑い地域、寒い地域に適した機能素材を使った製品を広め、新たな市場も開拓してい
くことを期待したい。
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<参考資料>
NAFTA 協定書、及び附属書
米豪 FTA 協定書、及び附属書
米韓 FTA 協定書、及び附属書
EU 韓国 FTA 協定書、及び附属書
ASEAN 中国 FTA 協定書、及び附属書
「米国通商代表部ウェブサイト」http://www.ustr.gov/
「NAFTA ウェブサイト」https://www.nafta-sec-alena.org/
「欧州委員会ウェブサイト」http://ec.europa.eu/index_en.htm
「韓国税関ウェブサイト」http://www.customs.go.kr/
「ASEAN ウェブサイト」http://www.asean.org/
「韓米 FTA を読む」ジェトロ(日本貿易振興機構)発行、2008 年 3 月
「EU 韓国 FTA の概要と解説」ジェトロ(日本貿易振興機構)発行、2011 年 5 月
「ユーロトレンド」
(EU 韓国 FTA に関する韓国政府説明資料(仮訳)
)
、ジェトロ(日本貿
易振興機構)発行、2009 年 10 月
「図解よくわかる FTA(自由貿易協定)
」嶋正和、日刊工業新聞社発行、2010 年 11 月
「季刊 国際貿易と投資 Autumn 2002/No.49」
(
「NAFTA 域内貿易の展開」滝井光夫)、
(財)国際貿易投資研究所発行、2002 年 9 月
「メキシコが締結する FTA の原産地規則と原産地証明制度」
ジェトロ(日本貿易振興機構)
メキシコ・センター発行、2008 年 3 月
「みずほレポート 開始後 1 年の ASEAN1-中国 FTA (ACFTA)」みずほ総合研究所発行、
2006 年 8 月
「日経ビジネス グローバル経営の教科書」日経 BP 社発行、2013 年 5 月
“Textile Outlook International No 160”, Textiles Intelligence Limited, Jan, 2013
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