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平成25年青森県工業統計速報から見る「青森県の製造業の

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平成25年青森県工業統計速報から見る「青森県の製造業の
平成26年11月
よくわかる統計トピックス
平成25年青森県工業統計速報から見る「青森県の製造業の現状」
国(経済産業省)では、国内の工業の実態を明らかにするため、
毎年(経済センサス‐活動調査を実施する年の前年を除く。)、全
国の製造業を営む事業所を対象に工業統計調査を実施し、その結
果を公表しています。
先日、国(経済産業省)が、平成 25 年 12 月 31 日現在で実施し
た工業統計調査の速報 を公表し、本県においても、県内事業所分
の調査結果の速報を公表しました。
(※この調査については、従業
者数が 4 人以上の事業所に調査票を配布し、提出された調査票を
集計し、その結果を速報値として公表しました。)
その速報の概要から県内の製造業の現状が見えてきます。
1
事業所数
事業所数は、1470 事業所で、前年に比べ 44 事業所の減少となり、5 年連続の減
少となりました。
産業別で見ると、電気機械(対前年比プラス 4 事業所)、生産用機械(対前年比
プラス 4 事業所)、プラスチック製品(対前年比プラス 3 事業所)など 6 業種で増加
し、食料品(対前年比マイナス 14 事業所)、電子部品(対前年比マイナス 11 事業
所)、繊維(対前年比マイナス 9 事業所)など 13 業種で減少しました。
市町村別で見ると、田子町(対前年比プラス 2 事業所)、三沢市及び平川市 (対
前年比プラス 1 事業所)など 6 市町村で増加し、青森市 (対前年比マイナス 12 事業
所)、十和田市(対前年比マイナス 6 事業所)、五所川原市(対前年比マイナス 3 事
業所)など 21 市町村で減少しました。
このような結果から、県内の事業所数は、減少傾向にあることが分かります。
図1 事業所数の推移
2,000
1,881
1,881
1,743
1,748
1,829
1,646
1,561
1,558
1,514
1,470
22年
23年
24年
25年
(
事
業
所
数
事
業
所
)
0
1,000
平成
16年
17年
18年
19年
20年
2
21年
従業者数
従業員数は、5 万 5321 人で、前年に比べ 716 人の減少となり、2 年ぶりの減少
となりました。
産業別では、食料品(対前年比プラス 338 人)、生産用機械(対前年比プラス
196 人)、業務用機械(対前年比プラス 84 人)など 8 業種で増加し、はん用機械
(対前年比マイナス 542 人)、情報通信(対前年比マイナス 379 人)、飲料・飼料
(対前年比マイナス 112 人)など 16 業種で減少しました。
- 18 -
市町村別では、三沢市 (対前年比プラス 367 人)、黒石市(対前年比プラス 189
人)、平川市(対前年比プラス 183 人)など 12 市町村で増加し、十和田市 (対前年比
マイナス 281 人)、八戸市(対前年比マイナス 266 人)、青森市(対前年比マイナス
262 人)など 26 市町村で減少しました。
このような結果から、県内の従業者数は、減少傾向にあるものの、ここ数年は大
幅な増減がない状況にあることが分かります。
図2 従業者数の推移
8.0
6.0
5.9
6.1
6.5
6.3
5.8
5.8
5.5
5.6
5.5
21年
22年
23年
24年
25年
(
従
業
者
数
万
人
)
3
3.0
0
平成 16年
17年
18年
19年
20年
製造品出荷額等
製造品出荷額等は、1 兆 5133 億円で、前年に比べ 210 億円の増加となり、2 年
連続の増加となりました。
産業別では、電子部品 (対前年比プラス 371 億円)、食料品(対前年比プラス 330
億円)、化学(対前年比プラス 22 億円)など 10 業種で増加し、非鉄金属 (対前年比
マイナス 212 億円)、はん用機械(対前年比マイナス 78 億円)、生産用機械(対前
年比マイナス 54 億円)など 14 業種で減少しました。
市町村別では、弘前市 (対前年比プラス 166 億円)、三沢市(対前年比プラス 153
億円)、三戸町(対前年比プラス 115 億円)など 23 市町村で増加し、八戸市 (対前
年比マイナス 213 億円)、六ヶ所村(対前年比マイナス 212 億円)、鶴田町(対前年
比マイナス 20 億円)など 16 市町村で減少しました。
このような結果から、県内の製造品出荷額等は、ここ数年増加傾向にあることが
分かります。
図3 製造品出荷額等の推移
20,000
16,236
16,511
16,494
14,574
15,107
21年
22年
12,646
14,032
14,923
15,133
24年
25年
12,051
(
製
造
品
出
荷
額
等
億
円
)
0
5,000
平成 16年
17年
18年
19年
20年
23年
注:平成19年調査から調査項目が追加されたことにより、平成18調査以前の数値と接続しない。
4
粗付加価値額
粗付加価値額は、6319 億円で、前年に比べ 29 億円の減少となり、3 年連続の減
少となりました。
産業別では、電子部品 (対前年比プラス 125 億円)、化学(対前年比プラス 33 億
円)、食料品(対前年比プラス 26 億円)など 11 業種で増加し、鉄鋼 (対前年比マイ
ナス 61 億円)、非鉄金属(対前年比マイナス 46 億円)、輸送用機械(対前年比マイ
- 19 -
ナス 41 億円)など 13 業種で減少しました。
市町村別では、弘前市 (対前年比プラス 120 億円)、三沢市(対前年比プラス 47
億円)、五所川原市(対前年比プラス 18 億円)など 23 市町村で増加し、八戸市(対
前年比マイナス 138 億円)、六ヶ所村(対前年比マイナス 68 億円)、おいらせ町(対
前年比マイナス 27 億円)など 16 市町村で減少しました。
こ の よ うな結果から、県内の粗付加価値額は、減少傾向にあることが分か り ま
す。
図4 粗付加価値額の推移
10,000
8,385
7,153
6,997
)
6,538
6,975
6,697
6,349
6,319
21年
22年
23年
24年
25年
5,000
4,822
(
粗
付
加
価
値
額
億
円
2,0000
平成 16年
17年
18年
19年
20年
注:平成19年調査から調査項目が追加されたことにより、平成18調査以前の数値と接続しない。
○上記項目のまとめ
項目
平成 24 年
平成 25 年
対前年増減数
前年比
事業所数
1,514 事業所
1,470 事業所
▲44 事業所
▲ 2.9%
従業者数
56,037 人
55,321 人
▲ 716 人
▲ 1.3%
149,234,703 万円
151,332,457 万円
2,097,754 万円
1.4%
63,487,903 万円
63,194,412 万円
▲293,491 万円
▲ 0.5%
製造品出荷額等
粗付加価値額
- 20 -
平成26年12月
よくわかる統計トピックス
青森の人が日本一食べているものは何?
今回は、総務省が全国約 9 千世帯を対象として実施している家計調査の「品目別都道府
県庁所在市及び政令指定都市ランキング 2011 年~2013 年平均」から、全国で1位となっ
ている本県の食べ物に関する特徴的なデータを紹介し、その背景を探ってみたいと思いま
す。
表1
1 炭酸飲料購入金額
炭酸飲料
(金額:円)
統計分析課が毎年発行している「ピカイチデータ~数
1位
青森市
6,748
2位 宇都宮市
5,424
字で読む青森県~」にも掲載されていますので知ってい
3位
山形市
5,385
る方も多いと思いますが、青森市は炭酸飲料の購入金額
4位
山口市
5,338
が全国で 1 位となっています。その考えられる理由とし
5位
札幌市
5,290
て、下記にいくつか挙げてみました。
~
~
~
47位
北九州市
3,379
①
飲料業界では、夏場の最高気温が 28 度位までは炭
48位
名古屋市
3,351
酸飲料がよく売れるが、30 度を超えると口の中がべ
49位
長崎市
3,255
とつかないような無糖茶やミネラルウォーターが売
50位
津市
3,109
れると言われている。このため、青森の夏の暑さに
51位
神戸市
2,973
(全国平均)
4,359
は炭酸飲料が合っている。
「総務省:家計調査2011~2013平均」
②
元々、甘い飲み物が好まれている。リンゴジュー
スなどの果実・野菜ジュース購入金額が1位、コーヒー飲料購入金額が3位に対し、
無糖の飲み物のミネラルウォーター購入金額が最下位、茶飲料が22位となってい
る。
表2
果実・野菜ジュース
1位
青森市
2位
横浜市
3位
高松市
4位
松山市
5位
水戸市
(全国平均)
12,475
10,081
10,034
9,987
9,755
8,660
コーヒー飲料 (金額:円)
福井市
6,274
新潟市
4,769
青森市
4,743
松山市
4,659
金沢市
4,590
3,791
「総務省:家計調査2011~2013平均」
③
表3
ミネラルウォーター (金額:円)
1位 東京都区部
6,308
2位 さいたま市
5,623
3位
福島市
4,937
4位
千葉市
4,814
5位
那覇市
4,769
~
~
~
51位
青森市
1,290
(全国平均)
3,173
県内には昔からリンゴジュースの加工場が各地に 「総務省:家計調査2011~2013平均」
存在し、そこでは同時にサイダーも製造しているところが多かったため、以前から
家庭ではサイダーが飲まれていたようである。本県では今でもサイダーを製造する
地元のメーカーが4~5社あり、全国でも地サイダーの種類の多さではトップクラ
ス。
④
県立郷土館の資料によると、冷蔵庫のない時代には清涼感を出すために炭酸を強
めに調整したサイダーに人気があり、また、炭酸飲料を飲み多くの「ゲップ」を出
すことで「農薬の毒が消える」「喉のイガイガが取れる」という俗説が農家に広ま
ったこともあり、昔から農村部では強めの炭酸飲料が好まれていたという説もある。
- 21 -
表4
2 カップめん購入数量
カップめん
(金額:円)
この品目も2位以下を引き離して1位となっていま
1位
青森市
5,418
す。理由としては以下のものが考えられます。
2位
山形市
4,584
3位
秋田市
4,390
① 県民所得が低いことから、価格の安い食品で食費を
4位
新潟市
4,311
抑えている。
5位
仙台市
4,258
② 冬期間は積雪で外出が億劫になるため、家庭で保存 (全国平均)
3,380
がきくカップめんを買いだめする。いつもはランチを 「総務省:家計調査2011~2013平均」
外食にしている会社員も降雪時は社内で手軽にカップめんで済ます。寒いから温かい
ものが好まれる。
③ そもそも青森市民はラーメン好きである。中華めん(生めん)購入数量が2位、即
席めん(袋麺)購入数量が3位である。また、外食全体(そば・うどん、すし、和食、
洋食などを含む)の金額が最下位にもかかわらず、中華そばの外食費だけは10位で
あることから、家でも外でもかなりの頻度でラーメンを食べているようである。
表5
中華めん
1位
盛岡市
2位
青森市
3位
那覇市
4位
山形市
5位
秋田市
(全国平均)
即席めん
鳥取市
高知市
青森市
佐賀市
大分市
12,560
11,658
11,332
11,267
10,625
9,270
(数量:g)
4,211
3,880
3,800
3,765
3,638
2,844
「総務省:家計調査2011~2013平均」
表6
外食(全体)
(金額:円)
1位 東京都区部 236,800
2位
川崎市
204,743
3位
岐阜市
199,643
~
~
~
49位 和歌山市
127,884
50位
那覇市
121,923
51位
青森市
98,124
(全国平均)
159,154
「総務省:家計調査2011~2013平均」
表7
外食(中華そば)
(金額:円)
1位
山形市
12,077
2位
福島市
11,348
3位
宇都宮市
9,643
~
~
~
10位
青森市
7,664
(全国平均)
5,492
外食(日本そば・うどん)
1位
高松市
2位
仙台市
3位
静岡市
~
~
46位
青森市
(全国平均)
(金額:円)
14,578
8,431
8,332
~
4,210
5,376
外食(すし)
(金額:円)
1位
岐阜市
19,250
2位 宇都宮市 18,164
3位
金沢市
17,747
~
~
~
43位 青森市
10,731
(全国平均)
13,387
「総務省:家計調査2011~2013平均」
そのほか、東奥日報の取材(2014 年 10 月 26 日付あおもり経済調査隊)によると、
④ カップめんの県内小売店での平均販売単価が全国でも1、2位の安さに加え、割引セ
ールが多い。
⑤ 農繁期には畑でカセットコンロを使ってお湯を沸かしカップめんを食べるなど、屋外
でご飯を食べる機会が多い第一次産業に従事する人の割合が高い。
表8
3 ウイスキー購入数量
ウイスキー
(数量:ml)
1位
青森市
3,073
酒類全体の購入金額が2位なので、お酒好きな県
盛岡市
1,794
民性ではありますが、なぜかウイスキーについては、 2位
3位
秋田市
1,683
2位以下を引き離してのダントツの1位となって
4位
札幌市
1,561
います。理由としては以下が考えられます。
5位
千葉市
1,517
(全国平均)
960
「総務省:家計調査2011~2013平均」
- 22 -
①
外で飲む飲酒代が43位と低いことから、酒は家 表9
外食(飲酒代)
(金額:円)
で買って飲む人が多い。
1位
高知市
34,550
②
晩酌はビールよりも水で割って飲めるウイスキー
2位 東京都区部
26,580
の方が経済的である。同じように割って飲める焼酎
3位
長野市
26,386
の購入数量が焼酎の本場の宮崎県(1位)に次ぐ2
~
~
~
43位
青森市
13,385
位となっており、鹿児島県(3位)より多いのは驚
17,037
き。それに対して、意外と順位が低かったのは、割 (全国平均)
「総務省:家計調査2011~2013平均」
って飲めない清酒(6位)。
③
冬期間の積雪により、職場の飲み会があっても1次会は参加するが、スナックに行
くことが多い2次会には参加せず、家に帰ってからスナックで飲むはずだったウイス
キーを飲んでいる。
表10
酒類
(金額:円) 焼酎
(数量:ml)
1位 盛岡市
53,987 宮崎市
22,910
2位 青森市
53,471 青森市
17,029
3位 秋田市
52,846 鹿児島市
15,642
4位 新潟市
52,731 秋田市
14,368
5位 広島市
49,238 山口市
14,074
(全国平均)
41,263
9,869
「総務省:家計調査2011~2013平均」
表11
清酒
(数量:ml)
1位 新潟市 13,808
2位 秋田市 12,393
3位 盛岡市 10,642
4位 長野市
9,814
5位 福島市
9,722
6位 青森市
9,637
7位 金沢市
9,504
(全国平均)
7,604
ビール(数量:リットル)
盛岡市
30.97
札幌市
30.79
大阪市
29.24
京都市
28.72
広島市
28.52
秋田市
27.60
青森市
26.57
23.24
「総務省:家計調査2011~2013平均」
4 生鮮魚介の購入数量
本県は、生鮮魚介(乾燥や塩漬の保存用の加工をし
ない魚介)の購入数量が1位となっています。その内
訳をみても、さけ、さんま、いか、ほたて貝の購入数
量が 1 位、かれいが2位、しじみが4位など地元で獲
れる魚介類が軒並み上位にランクしています。理由と
しては以下が考えられます。
表12
生鮮魚介
1位
青森市
2位
鳥取市
3位
秋田市
4位
松江市
5位
富山市
(全国平均)
(数量:g)
48,769
42,589
40,278
39,601
38,172
31,224
「総務省:家計調査2011~2013平均」
表13
さけ
1位 青森市
2位 札幌市
3位 新潟市
4位 長野市
5位 盛岡市
(全国平均)
5,142
4,808
4,401
4,212
4,052
3,026
さんま
青森市
秋田市
札幌市
仙台市
盛岡市
3,106
3,099
2,832
2,663
2,584
1,526
いか
青森市
鳥取市
札幌市
秋田市
盛岡市
5,107
3,608
3,567
3,439
3,350
2,371
ほたて貝
青森市
札幌市
秋田市
盛岡市
新潟市
3,256
1,526
1,283
1,182
896
668
かれい
鳥取市
青森市
金沢市
松江市
新潟市
4,539
3,636
2,605
2,556
2,463
1,112
しじみ(数量:g)
松江市 1,380
秋田市
901
水戸市
802
青森市
750
甲府市
750
322
「総務省:家計調査2011~2013平均」
①
本県は、日本海、太平洋、陸奥湾と三方を海に囲まれ、日本海を北上した対馬暖
流が津軽海峡に入り、太平洋の沖合で北からの親潮(寒流)と、南の黒潮とがぶつ
かりあい、魚の餌となるプランクトンが多く発生することで、魚が集まり豊かな漁
場がつくられている。このため、魚介類の種類が豊富で四季を通じて新鮮な旬の魚
介が手に入る。
② 本県は、外食にかける金額が全国で最も少ないことから、他県よりも家庭で食事
をすることが多い。更に調理食品(惣菜や冷凍食品など)の購入金額が50位と全
- 23 -
国でも下位のレベルにあることから、食材を使 表14
ってしっかり手作りしている家庭が多く、その 調理食品
1位
浜松市
際、比較的安い食材である魚介類を使って、刺
2位
静岡市
身、焼き魚、煮つけ、鍋物などとして食卓に上
3位
川崎市
~
~
っている。
福岡市
③ 県内各地では魚介に関する多くの祭りがあり、 49位
50位
青森市
地元の食文化として根付いている。
51位
札幌市
例.「大間超マグロ祭り」、「日本一のおい (全国平均)
(金額:円)
131,525
126,339
124,555
~
91,238
89,854
81,188
103,859
「総務省:家計調査2011~2013平均」
あんこう
らせ鮭まつり」、「風間浦村鮟鱇まつり」、「三
沢ほっきまつり」、「蟹としろうお祭り(外ヶ浜町)」など。
また、日本最大級の縄文集落跡である青森市の三内丸山遺跡からは50種類以上
の魚の骨が発掘されていることから、青森では古代から魚食が盛んであったと推測
される。
※水産振興課では青森の魚介類を紹介した「青森おさかな自慢」という冊子を作成しています。
以上、食べ物に関する青森の日本一のデータを紹介してきましたが、平成25年度学校
保健統計調査によると、幼稚園から高等学校までの各学年の肥満傾向児の出現率のランキ
ングで本県は毎年上位にいるという現状があります。冬場の運動不足の影響もありますが、
食生活が与える影響も見過ごせません。
県民の皆さん、糖分・塩分・アルコールを控え、地元の新鮮な魚介類や農産物をたくさ
ん食べて短命県返上を目指しましょう。
総務省統計局
家計調査(二人以上の世帯)
品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング
(平成 23 年(2011 年)~25 年(2013 年)平均)
http://www.stat.go.jp/data/kakei/5.htm
- 24 -
平成27年1月
よくわかる統計トピックス
最 近 、 新 聞 記 事 で よ く 見 か け る け れ ど 、「 鉱 工 業 指 数 」 っ て 何 ?
~ 「鉱工業指数」で読み解く青森県の生産動向 ~
最 近 、新 聞 記 事 で「鉱 工 業 指 数 」という言 葉 をよく見 かけませんか?
安 倍 政 権 の経 済 政 策 「アベノミクス」の効 果 の検 証 に使 われたり、昨 年 末 の消 費 税 再 増 税 延
期 の判 断 材 料 の一 つになったりしたことでも注 目 されています。
「何 やら重 要 な指 標 らしいけれど…。何 となく難 しそう…。」と感 じていませんか?
そんな印 象 をお持 ちの皆 さまに、今 回 のトピックスで「鉱 工 業 指 数 」についてわかりやすく解 説 しま
すので、指 数 の見 方 や青 森 県 の生 産 動 向 に興 味 を持 っていただければ幸 いです。
■鉱 工 業 指 数 とは
1.概 略
▶ 鉱 工 業 指 数 (IIP:Indices of Industrial Production )とは、製 造 業 を営 む企 業 (いわゆる
メーカー)がどれだけの製 品 を生 産 したかを、量 的 な物 差 し(数 量 指 数 )で示 すものです。あ
る月 の生 産 量 が前 月 (前 年 同 月 )に比 べてどれだけ増 減 したかで表 され ます。
価 格 の変 動 を除 いた量 的 変 動 を示 す「数 量 指 数 」のメリットは次 のとおりです。
・比 較 しやすい。
・違 った単 位 (㌧や千 個 )で計 測 したものが集 計 できる。
・金 額 は物 価 変 動 の影 響 を受 ける。
▶ 鉱 工 業 指 数 は、基 準 時 =100 とする比 率 の形 で表 示 されます(ラスパイレス指 数 )。この指
数 は、基 準 時 より時 間 が経 つにつれて指 数 に歪 みが起 きる性 質 があり(上 方 バイアス)、ま
た、時 代 に合 った品 目 に見 直 すため、5 年 ごとに基 準 を改 定 しています。現 行 の鉱 工 業 指
数 は平 成 22 年 (2010 年 )を基 準 時 としています。
▶ 鉱 工 業 指 数 の「鉱 」は mining(鉱 業 :石 灰 石 、原 油 、天 然 ガスなど)。鉱 業 以 外 の製 造
業 「製 造 工 業 」+「鉱 業 」=「鉱 工 業 」となります。
2.ウェイト
ウェイトとは、鉱 工 業 全 体 に対 する品 目 や業 種 などの重 要 度 合 いを示 すものです(鉱 工 業
全 体 =10000.0)。
観 察 しようとする経 済 活 動 (生 産 )の基 準 時 における金 額 (付 加 価 値 額 )の構 成 比 です。
製 造 工 業 のウェイトは「工 業 統 計 調 査 」を、鉱 業 のウェイトは「経 済 センサス-活 動 調 査 」を
基 礎 データとしています。
付 加 価 値 額 =生 産 額 -原 材 料 使 用 額 等 -減 価 償 却 額
3.原 指 数 と季 節 調 整 済 指 数
▶ 毎 月 の実 績 値 から計 算 したものを「原 指 数 」といいます。(季 節 調 整 をしていない系 列 )
- 25 -
原指数
=
比較月の品目生産量
基準年の品目別月平均生産量
×
100
▶ 一 年 を周 期 として毎 年 同 じように繰 り返 される季 節 変 動 を取 り除 いたものを「季 節 調 整 済
指 数 」といいます。(季 節 調 整 をした系 列 )
季節調整済指数 = 原指数 ÷ 季節指数
4.季 節 調 整
▶ 鉱 工 業 指 数 をはじめとする経 済 指 標 や時 系 列 データは、季 節 の変 化 からなる 「自 然 要
因 」や社 会 的 慣 習 ・制 度 からなる「社 会 要 因 」を反 映 して、一 年 を周 期 として定 期 的 な変
動 を繰 り返 します。
【自 然 要 因 】エアコンやジュースなどは需 要 期 である春 から夏 に生 産 が増 加 。
【社 会 要 因 】盆 ・正 月 休 みの時 期 に生 産 が減 少 。3 月 の決 算 期 に生 産 が増 加 。
これらの変 動 を「季 節 変 動 」といい、季 節 変 動 を原 系 列 から取 り除 くことを「季 節 調 整 」とい
います。
▶ 季 節 調 整 により過 去 の時 系 列 データの変 動 からあらかじめ典 型 的 な季 節 的 変 動 パターン
を抽 出 し、時 系 列 データから除 去 することで、前 月 比 から実 態 の変 動 を読 み取 ることが容
易 となります。
■鉱 工 業 指 数 の見 方
1.前 月 比 と前 年 同 月 比
鉱 工 業 指 数 は、景 気 指 標 として重 要 視 されているため、足 下 の動 きを把 握 することが大 切
です。そのために前 月 比 や前 年 同 月 比 がよく利 用 されています。
前 月 比 (前 年 同 月 比 )
(当 月 の指 数 値 ÷前 月 (前 年 同 月 )の指 数 値 )×100-100
○ 季 節 調 整 済 指 数 の場 合 (前 月 比 )
例 ) H26.11 月 109.0 | H26.12 月 101.4
前 月 比 101.4÷109.0×100-100=-7.0%(前 月 より 7.0%低 下 )
○ 原 指 数 の場 合 (前 年 同 月 比 )
例 ) H25.12 月 98.5 | H26.12 月 101.4
前 年 同 月 比 101.4÷98.5×100-100=2.9%(前 年 同 月 より 2.9%上 昇 )
季節調整済指数
原指数
前月比
前年同月比
前期比
前年同期比
前年比
前年度比
- 26 -
2.寄 与 度 と寄 与 率
▶ 総 合 指 数 の上 昇 に対 して、その内 訳 である業 種 や品 目 の影 響 の度 合 がどれだけあったか、
その構 成 比 を計 算 したものを「寄 与 率 」といいます。
▶ 寄 与 率 を総 合 指 数 の上 昇 率 に配 分 したものを「寄 与 度 」といいます。
▶ 上 昇 率 の高 いものが必 ずしも寄 与 率 が大 きいとは限 りません。寄 与 率 の大 きさは、上 昇 率
のほかにウェイトと指 数 レベル(ポイント差 )との総 合 的 な大 きさにより決 定 します。
■青 森 県 鉱 工 業 生 産 指 数 の特 徴
1.青 森 県 の主 要 な業 種
主 要 6 業 種 で鉱 工 業 全 体 のウェイトの約 7 割 を占 めており、食 料 品 工 業 のウェイトが一
番 大 きくなっています。
業種(上位6位)
品目(上位6位)
• 食料品工業
• フェロアロイ
• 鉄鋼業
• 事務機械器具部分品
• 電子部品・デバイス工業
• 塗工紙
• 業務用機械工業
• 肉製品
• パルプ・紙・紙加工品工業
• 鋼船(輸送機械工業)
• 電気機械工業
• 織物製外衣(繊維工業)
▶ 食 料 品 工 業 のウェイトが大 きい都 道 府 県
順位
都道府県名
ウェイト
1
沖縄県
4434.4
2
鹿児島県
3099.0
3
宮崎県
2592.6
4
北海道
2422.1
5
青森県
2410.0
6
高知県
2223.7
7
鳥取県
2011.0
8
佐賀県
2006.2
9
岩手県
1910.2
10
京都府
1779.8
(各 都 道 府 県 ホームページより作 成 )
2.景 気 変 動 との関 連
近 年 の本 県 製 造 業 の生 産 動 向 は、平 成 20 年 9 月 のリーマンショックによる世 界 的 な金 融
危 機 の影 響 を受 け、平 成 21 年 の前 半 までは全 体 として悪 化 ・後 退 傾 向 にありましたが、平
成 21 年 半 ばから新 興 国 向 け需 要 増 等 により生 産 活 動 が持 ち直 しの傾 向 となりました。
しかし、平 成 23 年 3 月 に発 生 した東 日 本 大 震 災 の影 響 により、震 災 直 後 の鉱 工 業 生 産
指 数 は大 きく落 ち込 みました。その後 、被 災 工 場 の復 旧 等 から徐 々に生 産 活 動 の回 復 の動
きが見 られたものの、平 成 24 年 は、急 速 に進 行 した円 高 傾 向 等 国 内 外 の景 気 の影 響 を受
けました。
平 成 25 年 は、金 融 緩 和 や各 種 経 済 対 策 の効 果 もあり国 内 需 要 が底 堅 く推 移 し、平 成
25 年 半 ばからは輸 出 も持 ち直 し傾 向 にあるなど、緩 やかに回 復 しました。
- 27 -
鉱工業指数(季節調整済)と景気動向指数(CI一致指数)の推移
(H22=100)
140
130
■景 気 動 向 指 数 (CI)とは
120
生 産 ・雇 用 など様 々な経 済
110
100
活 動 での重 要 かつ敏 感 な指
景
気
後
退
局
面
90
80
70
60
標 の動 きを合 成 して作 成 され
る総 合 的 な景 気 指 標 。 景 気
の現 状 (一 致 指 数 )を 把 握 す
18
19
20
21
22
23
24
25
26
年
年
年
年
年
年
年
年
年
IIP(青森県)
IIP(全国)
るとともに先 行 き(先 行 指 数 )
の判 断 に活 用 。
CI一致指数(青森県)
(青 森 県 統 計 分 析 課 「 青 森 県 鉱 工 業 生 産 指 数 」、
「 青 森 県 景 気 動 向 指 数 」 により 作 成 )
※鉱 工 業 指 数 について、もっと詳 しく知 りたい方 は、詳 細 版 の統 計 トピックスもありますので、下 記 の WEB
サイト「青 森 県 統 計 データランド」をご覧 ください。
■参 考 WEB サイト
▶ 青 森 県 統 計 データランド
http://www.pref.aomori.lg.jp/kensei/tokei/dataland.html
▶ 経 済 産 業 省 (鉱 工 業 指 数 )
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/ind ex.html
▶ 東 北 経 済 産 業 局 (東 北 地 域 鉱 工 業 生 産 動 向 )
http://www.tohoku.meti.go.jp/cyosa/tokei/iip.html
- 28 -
平成27年2月
よくわかる統計トピックス
平成26年度学校保健統計調査速報(青森県分)について
学校保健統計調査とは?
青森県の重要課題の一つとなっているのが「短命県」。
その解決の鍵を握っているのが県民、特に次代を担う子どもたちの健康的な生活習慣の
定着です。
それでは、子どもたちの発育状態(身長や体重など)・健康状態(疾病の有無)を学校
保健統計調査で調べ、その結果から青森県の生活習慣の問題点を見つけ出していきましょ
う。
まずはじめに~どういったことを調べるのか
()
この調査は、学校における幼児、児童及び生徒の発育及び健康の状態を明らかにするこ
とを目的とし、昭和23年度から毎年実施しているものです。
平成26年度は平成26年4月1日~6月30日までの間に実施された、学校保健安全
法による健康診断の結果に基づき調査しました。
満5歳~17歳までの幼児、児童及び生徒(以下「児童等」という。)の一部を対象と
する抽出調査であり、調査事項は
(1)児童等の発育状態(身長、体重及び座高)
(2)児童等の健康状態(視力、聴力、眼の疾病・異常の有無、耳鼻咽頭疾患・皮膚疾
患の有無等)です。
- 29 -
1.発育状態
●○身長・体重・座高について(表1)○●
A(青森県の平均値)と B(全国の平均値)と見比べると、男子、女子とも全国平均以上
であると読み取れます。
「本県順位」(47都道府県の中での本県の順位)を見ると、全国 1 位の年齢層が多いこ
とも分かります。(黄色の箇所)
( 表 1 )
- 30 -
●○肥満傾向児の出現率(表2)○●
肥満傾向児とは、性別・年齢別・身長別標準体重から肥満度を求め、肥満度が20%以
上の者です。表2中の A(青森県26年度)と C(全国26年度)を見比べると、肥満傾向
児の出現率は、男子、女子とも全ての年齢で全国平均を上回っていると読み取れます。
( 表 2 )
単位
(%)
肥満傾向児
区
分
幼稚園
小学校
男
中学校
高等学校
幼稚園
小学校
女
中学校
高等学校
年齢
5歳
6歳
7歳
8歳
9歳
10歳
11歳
12歳
13歳
14歳
15歳
16歳
17歳
5歳
6歳
7歳
8歳
9歳
10歳
11歳
12歳
13歳
14歳
15歳
16歳
17歳
平成26年度 平成25年度
(青森県) (青森県)
A
B
4.99
6.25
6.79
14.36
12.45
13.84
14.11
13.24
13.10
10.09
18.98
12.71
11.82
6.80
9.13
11.05
11.06
11.67
12.66
12.80
9.62
13.72
11.81
11.74
8.56
11.18
5.67
5.52
10.18
11.66
16.52
17.30
15.81
14.49
12.64
12.35
15.73
15.33
12.15
2.79
6.80
9.97
8.74
9.93
10.85
7.90
12.73
13.18
12.36
12.31
9.95
13.13
差
A-B
-0.68
0.73
-3.39
2.70
-4.07
-3.46
-1.70
-1.25
0.46
-2.26
3.25
-2.62
-0.33
4.01
2.33
1.08
2.32
1.74
1.81
4.90
-3.11
0.54
-0.55
-0.57
-1.39
-1.95
差
全 国
C
2.55
4.34
5.45
7.57
8.89
9.72
10.28
10.72
8.94
8.16
11.42
10.16
10.69
2.69
4.15
5.41
6.24
7.36
8.40
8.56
7.97
7.89
7.68
8.35
7.44
8.25
A-C
2.44
1.91
1.34
6.79
3.56
4.12
3.83
2.52
4.16
1.93
7.56
2.55
1.13
4.11
4.98
5.64
4.82
4.31
4.26
4.24
1.65
5.83
4.13
3.39
1.12
2.93
平成26年度
青森県
順位
3
8
12
1
5
9
4
6
4
6
2
9
17
1
1
1
1
3
3
4
17
2
2
7
18
7
注: 1.肥満傾向児とは、性別・年齢別・身長別標準体重から肥満度を求め、肥満度が20%
以上の者である。
2.痩身傾向児とは、性別・年齢別・身長別標準体重から肥満度を求め、肥満度が-20
%以下の者である。
※
肥満度=(実測体重-身長別標準体重)/身長別標準体重×100%
- 31 -
2.健康状態
●○主な疾病・異常等の推移(表3)○●
★鼻・副鼻腔疾患(蓄のう症、アレルギー性鼻炎など)
被患率は、幼稚園を除いて、全国平均を上回っています。
10年前と比較すると、小学校、中学校、高等学校において、その割合は増加していま
す。
★むし歯(う歯)
被患率(治療済みを含む)は、全学校区分で全国平均を上回っています。
10年前と比較すると、全学校区分において、その割合は減少しています。
★ぜん息
被患率は、全学校区分で全国平均を下回っています。
10年前と比較すると、全学校区分において、その割合は増加しています。
( 表 3 )
- 32 -
まとめ
この調査結果の大きな特徴として挙げられる「青森県で肥満児が多い」ですが、原因としては、雪
国で冬の運動量が不足になりがちであり、健康診断の時期が冬から明けた4月から6月のためと
いうことや、スクールバスの導入率が高いこと、親世代の食生活が子どもに影響していること(料
理を大皿で出す食文化など)など複合的な要因が関係していると考えられます。
この肥満は、「短命県」の原因の一つにもなっており、その予防・改善対策は子どもの頃から必
要で、又、子どもの生活習慣に大きく影響する大人の生活習慣の改善も同時に必要です。
これらの対策の効果はすぐには見えづらく、継続的な取組が求められますが、県民 1 人ひとり
が生活習慣の見直し・改善の意識を持って行動を起こすことで、「短命県」から「健康長寿県」へ変
わるチャンスとなるのではないでしょうか。
▶ 青森県統計データランド
http://www.pref.aomori.lg.jp/kensei/tokei/dataland.html
▶ 文部科学省ホームページ 学校保健統計調査のページ
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/index.html
- 33 -
平成27年2月
よくわかる統計トピックス
課題をチャンスに!~青森県の伸びしろとは?~
皆さんは青森県の強みが何かご存じですか?
例えば、りんご、にんにく、ごぼうなどの農産物やいか、ほたて、しじみなどの水産物
は全国的にも有名ですよね。ちょっと変わったものだと、人口10万人当たりの公衆浴場
の数が全国1位だったりもします。このほかにも青森県にはたくさんいいところがありま
すが、詳しくは統計分析課で毎年発行している『ピカイチデータ 数字で読む青森県』を
ご覧ください。
※2014年版は平成27年2月26日から青森県ホームページに掲載
では逆に、青森県にはどんな課題があるかご存じですか?
多くの皆さんは日常生活の中であまり意識したことがないのではないでしょうか。しか
し、課題を知り、それを克服することがよりよい青森県を創り上げることにも繋がってい
くのではないでしょうか。
ということで、ここでは青森県民でも意外と知らない青森県の課題を示すデータをご紹
介していきます。
~
~
~
①青森県の環境保全について ~ごみのリサイクル率~
青森県といえば、豊かな自然が大きな強みの一つとなっています。
しかし、そんな自然豊かな青森県ですが、実は環境保全に関してある課題を抱えている
のです。
表1-1
それは、ごみのリサイクル率※1です。
ごみのリサイクル率(H22) (%)
表1-1は平成22年時点の都道府県別ごみのリサイ
1
山口県
37.1
クル率です。
2
三重県
30.6
青森県は全国で45番目と非常に低く、全国平均と比
3
長野県
25.8
べてもかなり低い値となっています。
45
青森県
12.9
青森県は自然に恵まれているのに、自然環境保全に関
46
沖縄県
12.7
する値であるごみのリサイクル率が低いというのは意外
47
大阪府
12.2
ですし、非常に残念なことでもあります。
(全国平均)
20.8
「環境省:一般廃棄物処理実態調査」
次に平成16年から平成24年までのごみのリサイクル率の推移を表した図1をご覧く
ださい。
ご覧のとおり、青森県のごみのリサイクル率は僅かずつですが上昇しています。
- 34 -
図1 ごみのリサイクル率の推移
「環境省:一般廃棄物処理実態調査」
~
- 35 -
~
~
表1-2
しかしながら、平成24年のごみのリサイクル率の状
ごみのリサイクル率(H24) (%)
況を表1-2で見てみると、全国の中で43番目となっ
1
三重県
30.7
ており、上昇はしているものの、依然として全国平均に
2
山口県
28.1
3
岡山県
26.7
は届いていないという現状に変わりはありません。
県では、ごみのリサイクル率を平成27年までに2
43
青森県
14.2
5%にするという目標を掲げているのですが、その目標
44
京都府
13.8
ともかなりの差があります。
45
福島県
13.7
このように、課題を克服するには、改善に向けた不断
46
奈良県
13.3
47
大阪府
12.2
の努力が、今後ますます求められることになり、そのた
(全国平均)
20.5
めには、県や市町村だけでなく、県民一人ひとりの意識
「環境省:一般廃棄物処理実態調査」
向上と実践が必要不可欠なのです。
例えば、ごみの分別を徹底するということは個人レベルでもできることですし、ごみの
リサイクル率を上げる上でとても重要なことでもあります。
また、家庭からのごみの排出量を減らすということも非常に有効です。まだ使えそうな
ものはすぐに捨てずに続けて使う、使い捨ての商品は極力使用しないなどの取組は家庭で
もすぐに実践できると思います。
これらの取組に加えて、同じ課題を持った他の都道府県の事例を参考にするということ
も大事です。例えば、京都府は一人あたりの1日のごみの排出量が、平成17年度までは
青森県よりも多かったのですが、現在ではその課題を克服し、全国の中でもごみの排出量
が少ない都道府県の上位になっています。
課題の克服というのは、まずは現状を知ることから始まります。
皆さんもこのデータを知ったのをきっかけに、普段の生活の中でできることから始めて
みてはいかがでしょうか。
~
~
~
②青森県民の健康について ~喫煙率~
青森県民の健康と聞いて真っ先に思い浮かぶのは「平均寿命が短い」ということではな
いでしょうか。
このことについては、平成22年完全生命表の公表を契機に県内でも話題になりました
し、県でも平均寿命アップに向けた様々な施策を推し進めているのでご存じの方も多いか
と思います。
そこで、ここでは、平均寿命の短さの原因になっていると考えられる青森県民の生活習
慣に関するデータをご紹介します。
表2
※2
表2は都道府県別の喫煙率 の高さを示しています。 喫煙率(男女計)(H25) (%)
1
北海道
27.6
青森県は北海道に次いで2番目に高くなっています。
2
青森県
25.9
ちなみに、宮城県、秋田県、岩手県も全国平均より喫
3
福島県
25.1
煙率が高いという結果になっており、東北・北海道は全
体的に喫煙率が高い傾向にあるようです。
45
愛媛県
18.2
46
徳島県
18.0
喫煙はがんのリスクを高めるとされているほか脳卒中
47
奈良県
17.0
や心筋梗塞を起こす危険性を高めるとも言われており、
(全国平均)
21.6
平均寿命の延伸を実現する上で、喫煙率を下げるという 「厚生労働省:国民生活基礎調査」
ことは避けては通れない課題なのです。
続いて、平成13年から平成25年までの喫煙率の推移を表した図2をご覧ください。
図2 喫煙率の推移
「厚生労働省:国民生活基礎調査」
平成25年は若干上昇しているものの、平成13年からの推移を見ると喫煙率は低下傾
向にあり、少しずつですが課題の克服に向かって改善されているということが分かります。
低下傾向にある要因としては、敷地内禁煙施設の増加やたばこの値上がりなどの社会的
要因が大きいと考えられます。
青森県では、喫煙率低下に向けて、受動喫煙防止対策実施施設の推奨、禁煙治療医療機
関の紹介などの様々な施策を実施しています。
こうした取り組みを今後も継続していくことに加えて、それぞれが自身の健康に関心を
持って生活習慣の改善に努めることで喫煙率の低下や、その先にある平均寿命の延伸とい
う結果に繋がっていくのではないでしょうか。
- 36 -
45
京都府
46
石川県
47
富山県
(全国平均)
~
~
~
③青森県の防災について ~建物火災出火件数~
最後に、皆さんにとって非常に身近であり、重要なことでもある防災についての課題を
示すデータをご紹介します。
表3-1は平成23年時点の人口10万人当たりの建 表3-1
建物火災出火件数(H23)(件)
物火災出火件数※3を表したものです。
(人口10万人当たり)
青森県は宮城県、宮崎県に次いで3番目に多くなって
1
宮城県
27.3
2
宮崎県
26.7
います。
3
青森県
26.2
青森県の建物火災出火件数がこれほど多いというのは
知らなかったという方が多いのではないでしょうか。
14.8
14.8
13.1
21.0
「総務省消防庁:火災の状況」
ちなみに、出火原因としては、ストーブ等の暖房器具による火災やたばこの不始末によ
る火災も多いようで、青森県の喫煙率の高さも建物火災出火件数が多いことに関係してい
るのかもしれません。
次に、平成16年から平成25年までの建物火災出火件数の推移を表した図3のグラフ
をご覧ください。
図3 建物火災出火件数(人口10万人当たり)の推移
「総務省消防庁:火災の状況」
平成16年からの推移を見てみると、人口10万人当たりの建物火災出火件数は減少し
続けていることが分かります。
- 37 -
表3-2
建物火災出火件数(H25)(件)
(人口10万人当たり)
1
宮崎県
26.1
2
滋賀県
25.4
3
鳥取県
24.9
~
~
6
青森県
23.5
~
~
45
京都府
46
奈良県
47
石川県
(全国平均)
~
~
さらに、右の表3-2平成25年の人口10万人当た
りの建物火災出火件数を見てみると、青森県が6番目に
なっており、他の都道府県との比較においても改善して
いることが分かります。
これは、住宅用火災報知器の設置が、新築住宅につい
ては平成18年、既存住宅については平成20年に義務
化されたことも要因の一つであると考えられます。
しかし、防災というのは、何より個人個人が日々の生
活の中で意識して行動するということが重要です。
実際に改善の兆しが見えているということは、県民一
人ひとりの意識と行動の変化によって課題を克服するこ
とができるということを示しているのではないでしょう
か。
14.9
14.8
14.4
19.6
「総務省消防庁:火災の状況」
以上、青森県が抱えている課題の中から、個人の取組によって改善に向かうことができ
そうなデータを選んで紹介しました。
青森県をよりよくするために、元々持っている強みに誇りを持ち、それをさらに伸ばし
ていくことももちろん大事なことですが、一方で、現在抱えている課題を克服することも
必要になってきます。
今回ご紹介したように、青森県にはまだまだ多くの課題があります。
しかし、課題というのはこれから伸ばしていく余地が残されている、より良い未来を創
るための可能性を秘めた青森県の『伸びしろ』なのです。
課題があるということをマイナスに捉えて悲観するのではなく、「これから伸ばしてい
くことができるチャンスなんだ」と前向きに考え、課題の克服に向けて普段の生活の中で
できることから始めてみてはいかがでしょうか。
※1:ごみの総収集量のうち資源の占める割合。
※2:厚生労働省「国民生活基礎調査」で調査対象者のうち「毎日吸っている」「時々吸う日が
ある」と回答した人の割合。
※3:1年の間に報告された建物火災出火件数を「国勢調査」及び「人口推計」の人口10万人
当たりで除した件数。
---------------------------------------- 参考 ----------------------------------------・青森県統計データランド
(http://www.pref.aomori.lg.jp/kensei/tokei/dataland.html)
・ピカイチデータ 数字で読む青森県
(http://www.pref.aomori.lg.jp/kensei/tokei/pikaichi.html)
・環境省「一般廃棄物処理実態調査」
(http://www.env.go.jp/recycle/waste_tech/ippan/)
・厚生労働省「国民生活基礎調査」
(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/20-21.html)
・総務省消防庁 消防統計
(http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/fieldList8_3.html)
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