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樹種の説明(1~16ページ)[PDF/3.7MB]
ア オ キ (青木) 1 ミズキ科 常緑・低木 ○ 葉は対生で一枚ごとの葉 は大型。厚く光沢がある ○ 花は4月ごろ枝の先端に つけるが,余り目立たない ○ 果実は冬に赤く熟し,鳥 が好んで食べる ○ 樹木下の日陰でも旺盛に 育ち,刈り込みにも強い ○ 園芸種には葉に斑の入っ たものや,果実が黄実,白 実の品種がある ○ 過湿や乾燥にもやや強い 果 実 軒下に植えられたアオキ 2 ア オ ギ リ (青桐) アオギリ科 落葉・高木 アオギリの袋果 並木に作られたアオギリ 1 ○ 中国原産で,県内には街 路樹に多く植栽される ○ 幹は緑色で,表面はスベ スベして,なめらか ○ 葉は互生し長い葉柄を持 ち3~5つに裂け,20cmほ どの大型の葉をつける ○ 秋に,果実を包む袋果が 成熟前に5つに割れ,中か ら丸い種子が現れる ○ 樹皮が緑色(青い)で, 葉の形がキリの葉に似てい るので「青桐」といわれる ア カ マ ツ (赤松) 3 常緑針葉・高木 マツ科 ○ 葉は針状で2本が対にな り細く軟らかい。3年程は 落ちないで枝に残る ○ 日本庭園の主木や松島の 景観として構成されるなど, 日本樹木の代表格 ○ 樹皮は赤褐色で亀甲状の 割れ目が出て幹肌が美しい ○ 日当たりの良い乾燥地で よく育つ ○ 和名の「赤松」は肌の色 からついた名 アカマツの自然樹形 ア ケ 4 ビ (木通) アケビ科 落葉・つる ○ 県内にはアケビとミツバ アケビが自生する ○ 葉はアケビが5枚,ミツ バアケビには3枚の小葉が 新枝にまばらに互生する ○ 花は春に短枝の葉の間か ら長い柄とともに房状に垂 れ下がる ○ 果実は秋に熟すと縦状に 裂け,甘くて食べられる ○ 春の新芽や果肉は山菜と して食べ,つるはカゴなど の原料として使われる ミツバアケビの果実 フェンスに仕立てられたアケビ 2 5 ア ジ サ イ (紫陽花) 落葉・低木 ユキノシタ科 多くの家に植えられる人気の花 ガクアジサイの花 6 ○ 茎は根際から数本立たせ 多くの枝を分岐させる ○ 若い枝は白緑色,古くな ると灰褐色になる。葉は厚 く光沢があり長さ10~15cm ○ 花は6~7月に新しい枝 の先端に大きな球状の花を つける。ガクアジサイは花 序の縁に装飾花をつける ○ 日光と水分を多く好む ○ アジサイは日本原産の花 木で,日本人に最も好まれ る緑化木でもある ア ス ナ ロ (翌檜) 常緑針葉・高木 ヒノキ科 庭園にもよく植えられる 葉は厚く光沢がある 3 ○ 葉は鱗状でヒノキよりも 質が厚く大型で光沢がある ○ 幹は直立し,高さは20~ 30mに達する大型の樹木 ○ 枝は下向きか,やや水平 に張り出す ○ 日本の各地に自生し,山 林への植林のほか,庭園に もよく植栽される ○「明日はヒノキになろう」 は俗説としてよく使われる ○ 材は木目が美しく芳香が あり耐久性に優れる 7 ア セ ビ (馬酔木) 常緑・低木 ツツジ科 純白で壺形の花 常緑だが紅葉も美しい 8 ○ 葉は革質で厚く互生し, 長さは3~7cmくらい ○ 花は早春から晩秋まで咲 き,壺形の純白な花をたく さんつける ○ 日当たりの良い場所から 日陰まで適応性は強い。 乾燥地にもよく育つ ○ 庭や公園によく植栽され 万葉の木として親しまれる ○ 葉は有毒で過去には殺虫 剤として利用されたことも ある ア ベ リ ア 半落葉・低木 スイカズラ科 きれいに刈り込まれた生垣 花の期間はとても長い 4 ○ 和名はハナゾノツクバネ ウツギ(花園衝羽根空木)だ が一般に「アベリア」の名 が使われる ○ 葉は卵形から楕円形で対 生する。枝は多く分かれる ○ 6~10月頃まで花期が長 く,遅くまで咲き続ける ○ 干ばつに強い,排気ガス, 病虫害にもすこぶる強く, 公園,街路樹,庭園の垣根 などに多く植栽される ○ まれに冬に葉を落とす アメリカフウ 9 マンサク科 落葉・高木 公園内のアメリカフウ 葉の切れ込みが深い 10 ○ 北米原産。和名はモミジ バフウ(紅葉葉楓)である が,一般にはアメリカフウ と呼ばれることが多い ○ 葉がカエデのように5~ 7裂に切れ込む。質は薄く 葉柄が12~18cmと長い ○ 街路樹に多く植栽され, 秋には紅紫色にきれいに紅 葉する ○ 多湿で肥沃な場所を好み 樹高は25mに達する イ チ イ (一位) 常緑針葉・高木 イチイ科 釣鐘状に仕立てられたイチイ ○ 神主が使う「笏」は,こ の材から作られたことで, 「一位」の意がある ○ オンコとも呼ばれ,庭木 や生垣によく植えられる 葉は2列に並ぶ ○ 葉は横に出る枝では2列 に並ぶ。これに似たキャラ ボクは,ほとんどがラセン 状に並び,枝は横に広がる ○ 雌雄異株で雌木には秋に 肉質の赤い仮種子の実をつ け食べられる。ただし,中 中の緑色した果実は有毒 の実は有毒 5 イ チ ョ ウ (銀杏・公孫樹) 11 イチョウ科 落葉・高木 ○ 中国原産で,高さ20~30m に達し、黄葉の美しい木の 代表格な樹木 ○ 幹は直立し枝を密に広げ る。葉は互生し,短枝に束 生する ○ 雌木には銀杏(実)がな り食用とされるが,外種子 は悪臭があり嫌われる ○ 街路樹や庭木として多く 植栽され,全国の街路樹本 数ではナンバー1である 新緑の街路樹 上:県庁前の並木, 左:果実, 右:黄葉した葉 12 イ ヌ ツ ゲ (犬黄楊) 常緑・低木~小高木 モチノキ科 ○ 山地に自生し,樹高は普 通3~5mだが,これ以上の ものも珍しくない ○ 葉は互生し,長さ1.5~ 3cmの楕円形。表面は光沢 がある ○ 雌雄異株。雌木には秋に 5mm位の球形の黒い実をつ ける ○ 庭木の模様木や生垣など 色々な使い方をされる ○ ツゲはツゲ科の低木で, 葉が対生する別種の樹木 仕立て方は色々 左:玉散し作り,右:生垣作り 6 イロハモミジ 13 落葉~高木 カエデ科 ○ 単にモミジといえば,こ の木を指すほどで,公園木 や庭木に多く用いられる。 紅葉を代表する木 ○ 別名,タカオモミジやイ ロハカエデと呼ばれる ○ ヤマモミジと混同される が本種は県内に自生しない ○ 葉は,4~7cmで掌状に5 ~7つに深く裂け先が尖る。 ヤマモミジは5~10cmで7~9 つに中裂し,先は尾状に鋭 く尖る 鮮やかに紅葉したイロハモミジ 14 ウグイスカグラ (鶯神楽) スイカズラ科 落葉・低木 ○ 山野に普通に自生する ○ 高さ1.5~3m。葉は対生 し,長さ2.5~5cmの広楕円 形から倒卵形で毛はない ○ 幹は直立し,細い枝が数 多く分かれる。小枝は対生 状に出る ○ 花は淡紅色で下向きの漏 斗状。春に葉より先に出て 咲かせる ○ 6月頃に赤い実が熟し, 小鳥が好み,人も食べる 漏斗形したピンクの花弁 赤く熟した果実 7 ウバメガシ (姥目樫) 15 ブナ科 常緑・低木~小高木 ○ 生垣には人気がある樹木 若葉は褐色で美しい ウ 16 神奈川以西に自生する樹 木だが,耐寒性があり県内 でも庭木,生垣,防潮,防 風垣に,よく植えられる ○ 枝はよく枝分かれする。 葉は互生し長さ3~6cmの広 楕円形で革質。表面は光沢 があり,縁は波状の鋸歯 ○ 果実は2年越しで成熟す る。浅いお椀形の殻斗にド ングリをつける ○ 木炭(白炭)で有名な備 長炭は本種が原木である メ (梅) バラ科 落葉・小高木 ○ 良い香りを放つ花 実の楽しみは色々 早春 満開に咲いたウメの花 8 原産地は中国。日本には 奈良時代に伝わったと言わ れる ○ 観賞用として庭園や公園 に植栽され,梅酒や梅干の 材料として多く栽培される ○ 花は早春に昨年の葉腋に 葉より早く出て咲く ○ 花の品種には,白色一重 のシロカガ,淡紅色咲きで 八重のケンキョウなど,数 百種の種があるといわれる 17 ウメモドキ (梅擬) 落葉・低木 モチノキ科 果 実 果実と梅の葉に似た葉 ○ 山地のやや湿った所に多 く,秋には実が赤く熟し美 しい。庭木や小鳥の餌木と して公園などに植えられる ○ 雌雄異株で,実を楽しむ には,雌木であるかどうか 十分な見極めが必要 ○ 葉は長さ4~8cmの楕円 形で縁には細かい鋸歯があ る。両面ともに光沢がない ○ 和名は,葉が「梅」に似 ていることから呼ばれる エゴノキ 18 エゴノキ科 落葉・小高木 枝に垂らした果実 枝に垂らした果 白く清楚な花 9 ○ 雑木林の林内や林縁に, ごく普通に生える樹木 ○ 観賞用として庭園や公園 に植栽される。初夏に白い 花を多数下向きに吊り下げ 咲かせる ○ 果実は卵円形。薄い緑色 の長い柄をし,枝に垂らす ○ 果皮にはサポニンを含み 口に入れると“えぐい” 「エゴノキ」の名は,これ が転じたもの ○ 県内ではジシャとも呼ぶ 19 エ ニ シ ダ (金雀枝) マメ科 落葉・低木 ○ 江戸時代に中国を経由し て日本に渡ってきた。観賞 用として庭や公園に多く植 栽される ○ 枝は多くに分かれて立ち 密に伸びる。上部の一部は 垂れ下がる ○ 若い枝は緑色で稜がある 葉は3出複葉。初夏に前年 の枝の葉腋に2cm位の濃黄 色の蝶形の花をつける ○ 豆果は長さ4~5cmの扁平 で黒く熟す。縁に毛がある 花は蝶の形をする 細くしなやかな枝先に咲く花 エ ン ジ ュ (槐) 20 マメ科 白い花をつけたエンジュ 落葉・高木 日本原産のイヌエンジュ 10 ○ 中国原産の樹木。街路樹 や庭木として植栽される ○ 幹は直立し上部の枝で数 多く分かれる ○ 葉は互生し奇数羽状複葉 卵形の小葉を4~7対つける ○ 花は盛夏に枝分かれした 花序に淡黄白色の蝶形の花 を沢山咲かせる ○ 樹形が自然にまとまりや すく,管理に手間のかから ない樹木である ○ イヌエンジュは日本原産 21 オオデマリ (大手毬) スイカズラ科 落葉・低木 ○ 日本に自生するヤブデマ リノの園芸品種。花は直径 10cmですべてが装飾花 ○ 花の小さいコデマリと対 比して名付けられた和名 ○ 樹高は1~3m。葉の長さ は,5~15cmの広楕円形 ○ 観賞用に庭木や公園によ く植栽される ○ 5月頃に白い花が集まり 純白の手まりに似て咲く花 は清楚である 花全体が装飾花 花の小さいコデマリと対比され名がついた 22 オオバボダイジュ (大葉菩提樹) シナノキ科 落葉・高木 枝先に付けた果序 公園内に植えられた樹姿 11 ○ 山地に生え,高さ10~20m になる ○ 樹皮は厚く紫灰色,若い 木は滑らか。古くなると縦 に裂け目が出る ○ 花は初夏に淡黄色で,香 りを出す ○ 秋には黄葉する ○ 観賞用に庭木や公園に植 栽されるが,そう多くは植 えられていない 23 カイヅカイブキ (貝塚伊吹) ヒノキ科 常緑針葉・高木 ○ イブキの園芸品種 ○ 街路樹や庭園,生垣に植 栽されたものは高さが抑え られるが15m位にも達する ○ 樹勢が旺盛になると,側 枝がラセン状にねじれなが ら伸び,主幹に巻き付きな がら生長する ○ 葉は通常鱗片状であるが 樹勢が強い木で剪定を怠る と針状の葉が伸長する ○ ナシ,リンゴ農家には, 病気の宿主として嫌われる 玉作り仕立てされた生垣 放置すると枝は ラセン状に飛び出す 24 カクレミノ (隠蓑) ウコギ科 常緑・小高木 ○ 関東南部以西に生える樹 木。県内でも庭木としてよ く植えられる ○ 葉は互生する。主脈は3 本で若木は深く5裂する。 年を経る毎に裂数が少なく なり,全縁倒卵形にもなる。 葉の表面には光沢があり, 厚くて革質となる ○ 花は盛夏に黄緑色であま り目立たない5個の花弁を つけ,秋に球形で黒く熟し た果実をつける 和洋建築問わず使われる 12 カ ツ ラ (桂) 25 カツラ科 落葉・高木 葉はハートの形 黄葉が美しい 人気のある日本産の樹木 ○ 春の鮮やかな新緑と秋の 黄葉がともに美しい樹木 ○ 樹幹は真っ直ぐ伸び,枝 先は繊細に枝分かれする ○ 花は葉が出る前に咲き, 葉はハートの形をするなど 特徴の多い樹木である ○ 街路樹や公園によく植え られるが,樹高が高くなり 管理に手が掛かる ○ きれいな黄葉が終わり落 葉した葉は,甘い香りがし て抹香の材料にもされる ガマズミ 26 スイカズラ科 落葉・低木 ○ 県内の山野に自生する ○ 秋に真っ赤な美しい実を つけ,葉も濃紅色に紅葉す るなど秋を代表する樹木。 「ソゾミ」とも呼ばれる ○ 花・実・紅葉が美しい。 実は果実酒などの食用に。 鳥の餌木にも貴重である ○ 実は大きく色づきのよい ものから実の小さなものま で個体差が多い。植栽用苗 はよく見て選ぶことが肝心 赤く色づいた果実 初夏に小さな白い花を咲かせる 13 カ ラ マ ツ (唐松) 27 マツ科 落葉針葉・高木 ○ 元来は中部地方に限り自 生するが,蔵王山に隔離分 布する特異な樹木 ○ 北海道,東北地方で盛ん に植林されたが,街路樹や 公園にもよく植えられる ○ 春の芽生えは鮮やかな緑 色した軟らかい針葉を出し 晩秋にはすこぶる鮮やかに 黄葉するなど,ことのほか 美しい木である ○ 樹形は狭い円錐形となり 高いものは30mにも達する 春の新緑,秋の黄葉がすばらしい カ リ ン (花梨) 28 バラ科 落葉・高木 ○ 中国原産の樹木 ○ 中央アジアから渡来した マルメロとは見分けがつき にくい。カリンはボケ属で, マルメロはマルメロ属に区 分される別種である ○ 春4~5月に白からピン ク色の5弁花を短枝に1個 ずつ咲かせる ○ 幹は太くなると樹皮が丌 規則の鱗片状に剥げ落ちる ○ 果実は生食に丌適だが, 果実酒は最上級品 ピンクの花弁 成熟した果実 14 29 キ サ サ ゲ (木大角豆) ノウゼンカズラ科 落葉・高木 ○ 中国原産で,県内でも古 くから庭木として植えられ 野生化した木を各所で見る ○ 樹高は12m位になり,樹 肌は灰褐色で縦に裂け目を 呈する ○ 葉は対生。長さ10~25cm の広卵形で,浅く3裂する ○ 何と言ってもこの木の特 徴は,野菜のササゲに似た 30cm位の細長い蒴果を吊り 下げることにある 果実 花序 樹 姿 30 キ ヅ タ (木蔦) ウコギ科 常緑・つる性 ○ 平地,丘陵地,山野に自 生し,茎から気根を出し, 木や岩などを這い登る ○ 常緑のつる植物で,冬に も葉を付けることから「フ ユヅタ」の別名がある ○ 葉は厚く濃い緑色を呈し 光沢がある。葉の大きさは 古い枝ほど小さくなる ○ 10~11月に黄緑色した球 形の小さな花を咲かせ,果 実は翌春に黒く熟す 葉と果実 ブロック塀を覆い柔らかさを醸しだす 15 31 キ ブ シ (木五倍子) キブシ科 落葉・低木 ○ 丘陵地のやや湿潤な沢沿 いや林縁部に見られる ○ 木にあまり特徴はないが 葉がまだ開かない3~4月 に,釣鐘状の淡黄色の穂状 花をよくつけ,とても目立 つ。その後,緑色した果実 は,やがて黄色に熟す ○ 和名は,木フシの意で, 実を粉にして五倍子(フシ) の代用として,黒色染料の 原料にした 花 弁 果 実 キャラボク (伽羅木) 32 イチイ科 常緑針葉・低木 ○ イチイの変種と見られる が,庭木の模様木に,生垣 にと,よく使われる ○ 枝は幹の下部からよく分 かれ,屈曲しながら横に広 がる ○ 葉の長さは1.5~2.3cmで 互生しながら枝にラセン状 につく。イチイのように2 列状に並ばない ○ イチイとの見分けは樹高 が低い。幹が直立しない。 葉の付き方に違いがある 葉はラセン状に並ぶ 梢は立たずに横の広がるのが特徴 16