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債券取引システムの構築について

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債券取引システムの構築について
債券取引システムの構築について
■ 債券システム構築の必須要素とは
□ 『人』および『人と人との関係』
□
データの仕組み
□
評価手法の確立
■ なぜ外資証券のシステムサイクルが短いか?
□
□
『IT drives ビジネス』戦略
『ビジネス drives IT』
■ 債券取引システムの典型モデル
This material is designed for system developers who have few
experience or knowledge of Global markets.
Daniel Li
メウィックス株式会社
http://www.mewix.com/
24th March 2012
http://www.mewix.com/
債券取引システムの構築について
■
債券取引システムの構築
債券取引システムの構築において、ビジネス業態、取引商品や適用市場など様々な要因によって、システム
構築側への提起課題が変わります。本篇では債券取引システムの構築戦略およびシステム開発のリスク管理の
観点から債券取引業務の実行に必要となるシステム構築の基礎アプローチを説明することを目的とします。
■
債券取引システム構築の必須要素とは
通常のシステム構築と同様に、債券取引システムの構築には欠かせない要素があります。
□
『人』および『人と人との関係』
『人』的要素はシステム構築に一番重要な要素であり、リスク要因でもあります。金融業務のヒヤリング、IT 設計と開
発、オペレーション運用まで様々な人が関わります。人の役割、人と人との関係を正確に理解することによって、システ
ムの機能仕様を明確に定義することができ、人に適切な手段で適切なシステム機能を提供することができます。
図1では債券取引システムに関連する『人』の要素を表示し、システム構築の戦略を立てる際に、十分に考
慮しなければなりません。たとえば、プロプ・トレーディング用の『リスク管理システム』を構築する際に、
取引経験が豊富なデスク・マネジャー、トレーダーが中心となるユーザーにリアルタイムなリスク情報を提供
しなければならないハードな開発に対して、セールスにポジションと損益を把握していただけるディリーの情
報で十分となるケースが多いです。『人』を理解することで、様々なメリッドを享受することが可能です。
①.
『人』に適切なシステム機能を提供できる
②.
業務の本質を把握し、失敗しないシステム構築を実現できる
③.
システム構築コストをコントロールできる
④.
システムの機能拡張など事前に見込める
エリア
人
役割
A
B
C
顧客
一般投資家
セールス、システムを通じ、取引を行う
2
2
2
機関投資家、年金など
大口の取引カウンターパーティー
5
7
7
ビジネス・マネジャー
デスク管理、ビジネス戦略
3
10
8
トレーダー
債券取引業務
3
10
7
セールス
セールス業務
3
10
5
アシスタント
取引、セールス業務の手伝い
4
7
5
証券会社
フロント
キーワード:
システム構築のパターン化、『人』の要素、データの仕組み、評価手法、『IT Drives ビジネス』
http://www.mewix.com/
債券取引システムの構築について
ミドル
IT
SI ベンダー
アナリスト
業務の分析、システムとの連携調整
5
7
7
オペレーション
取引の照合、決済および管理業務
2
7
5
アシスタント
業務の手伝い
2
5
3
IT インフラ
ネットワーク、市場接続など
8
3
1
IT 開発
システムの企画、開発、管理
10
7
7
IT サポート
システムの運用、サポート
4
2
2
セールス
開発案件の獲得
3
2
2
プロジェクト・マネジャー
開発案件の管理
6
5
3
IT 開発
システムの構築開発
8
2
2
図1.債券取引システムにおける『人』の要素
A
□
IT 知識の熟知度
: 0 – 10;B
業務知識の熟知度: 0 – 10;C
金融知識の熟知度: 0 – 10
データの仕組み
債券取引システムで取り扱っている金融商品、取引情報、管理情報および相互関係はすべてデータの形で表現されます。
データの仕組みはシステム構築の全体にわたって、システム構築の完成度、開発コストの評価基準として利用することが
できます。データの特徴、およびデータの形成、蓄積、取得、表現に関わる手法を確立させることができれば、システム
構築に必要となる技術基盤などを容易に策定することができます。システム構築の戦略として重要な役割を果たします。
たとえば、リスク管理における長期国債先物(10 年)の市場価格データと債券ポートフォリオのリスクデータとの相
関関係を見ます。先物価格が変動すると、10 年ベンチマーク国債の利回りを変動させ、該当ベンチマークと連動する債
券も変動させ、それぞれのポジションのリスクを計算します。通常では Message Driven もしくは Event Driven のアー
キテクチャが提案されるケースが多いですが、実際の構築では大変問題になる設計です。市場価格が変動するたびに、大
量の計算が発生すると、ネットワークトラフィック問題が起こるし、リスク管理で求める『ある時点のリスク指標』を正
確に保証できなくなります。
業務の本質を利用し、データの仕組みを整理し、様々なデータをサポートできるようなアーキテクチャを設計すること
が失敗しないシステム作りの戦略です。
データ種類
概要
金融商品
債券、株
市場情報
価格、金利、通知
取引情報
トレード/約定
管理情報
ポジション、リスク
画面情報
板、チャート、ニュース
キーワード:
形成方式
蓄積方式
取得方式
UI 表現
通信方式
…
…
…
…
…
システム構築のパターン化、『人』の要素、データの仕組み、評価手法、『IT Drives ビジネス』
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債券取引システムの構築について
* 詳細は別紙を参照
□
評価手法の確立
システム構築の成果物を評価するための手法を事前に確定させることが必要です。債券取引システム開発に
おいて、ベンチマークの設定には様々なツールが利用されます。
データ種類
評価ツール/ベンチマーク
評価対象
債券価格、金利
Bloomberg
基本モデル
Reuters
取引所のベンチマーク
自社 Quants モデル
開発の商品
市場フィード
市場、ブローカー・シミュレータ
ブローカーモデル
速度
ベンダーメッセージングツール
データ通信
■
なぜ外資金融機関のシステムサイクルが短いか?
外資金融機関の取引システムのサイクルが大体 3,4 年です。何で頻繁に入れ替わるかというと、国内の金
融機関と違い、外資金融機関では『ビジネス drives IT』および『IT driven ビジネス』戦略を活用し、活発
な金融取引を行わせるのが根本の理由です。
顧客のニーズからビジネスの可能性を導き、IT を活用するような従来の『ビジネス drives IT』戦略には
高度な IT 技術が必要なく、日本国内の金融機関でよく使われています。たとえば、定期貯金、生命保険など
があります。グローバル金融ビジネスでは『IT driven ビジネス』戦略はより収益高い戦略と評価されていま
す。金融危機の問題商品『サブプライムローン』、
『仕組債』なども含まれます。
『IT drives ビジネス』戦略
□
『IT driven ビジネス』戦略とは、高度な金融工学とコンピュータ技術を融合し、様々な取引要素(市場、
流動性、信用、リーガル、地域など)を網羅し、複雑な金融商品を構築することが目的とします。この戦略は
デリバティブ金融取引を活発させた成果を挙げながら、金融危機も誘発した要因のひとつでもありました。
日本で『IT driven ビジネス』戦略はそれほど重視されていないのが現状です。
キーワード:
システム構築のパターン化、『人』の要素、データの仕組み、評価手法、『IT Drives ビジネス』
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債券取引システムの構築について
■
債券取引システムの典型モデル
通常、債券取引システムが図 2 のようなシステム構成となるケースが多いです。業務目的によって、構成
上の調整があります。たとえば、STP ソリューションの構築には、市場接続ゲートウェーとポジション管理
ツールだけで十分となる場合があります。
□
市場接続ゲートウェー
□
マーケットメーキング・ゲートウェー
□
プライシング・エンジン(マーケット・メーカーの場合)
□
戦略/ストラージ・エンジン(アルゴリズム取引の場合)
□
リスク・エンジン
□
取引端末ツール
□
リスク管理ツール
□
ポジション管理ツール
マーケット
情報プロバイダー
自社価格
市場価格・情報
ゲートウェー
ゲートウェー
プライス・エンジン
リスク・エンジン
リスク指標
戦略・エンジン
参考価格
リスク管理
ポジション管理
図 2.債券取引システムの典型モデル
キーワード:
システム構築のパターン化、『人』の要素、データの仕組み、評価手法、『IT Drives ビジネス』
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