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選定種の解説

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選定種の解説
爬虫類
アカウミガメ
岡山県:情報不足
Caretta caretta (Linnaeus)
環境省:絶滅危惧Ⅰ B 類
カメ目
ウミガメ科
選定理由
全国的に減少し危険な状態であるが、県内の情報は皆無である。
存続を脅かす要因
海岸開発、水質汚濁、ゴミ投棄、漁業影響、交通事故(船舶との
衝突)
分布状況
岡山県では、海域で確認されることがある。兵庫県、香川県では
産卵が確認されている。温帯~熱帯海域に生息し、北海道、日本海
沿岸は東北地方まで北上する。
生息情報
甲長 700 ~ 1,000mm。背甲が赤褐色のウミガメ。老熟個体では灰
褐色がかる。肋甲板は普通5対(アオウミガメは普通4対)。海域
に生息する。産卵期には沖合で交尾し、5~7月ころ砂浜へ上陸し
て砂に穴を掘って産卵する。卵は直径約4cm の球状で 130 ~ 250
個を産卵し、8~ 10 週間でふ化する。日本は主要な産卵地として
重要である。雑食性で海藻・魚・甲殻類・軟体動物などを食べる。
船舶との衝突や漁網に絡んでの溺死など直接的な要因だけでなく、
産卵場の踏み荒らしや海洋ゴミの誤飲など間接的な要因も問題であ
る。
撮影:江木 寿男(市立玉野海洋博物館飼育個体)
特記事項
情報不足のため分布情報図非公開とする。
種の保存法により国際希少野生動植物に指定されている。
文献番号 21,24
(江木 寿男・江田 伸司)
ニホンイシガメ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
Mauremys japonica (Temminck et Schlegel)
環境省:情報不足
カメ目
イシガメ科
選定理由
生息地は局所的で個体数も少なく、減少が著しい。
存続を脅かす要因
水質汚濁、池沼開発、河川開発、業者・マニア捕獲、用水路改修、
川相変化、側溝転落、近似種交雑、交通事故、個体群の細分化
分布状況
岡山県では古い記録を含めると北部、中部、南部を問わず記録は
あるが、近年の記録は限定的。本州・四国・九州などに分布する。
生息情報
甲長 130 ~ 180mm。背甲は黄褐色で、中央部に断続的な隆起が
あり後縁は鋸歯状。腹甲は黒色。平地よりも山地・丘陵地に多く、
池沼や川などに生息する。産卵は年に1~3回、6~7月頃土中に
穴を掘って4~ 10 個の卵を産む。卵は楕円形で2~3か月でふ化
する。11 ~4月頃冬眠する。雑食性で魚・甲殻類・水生昆虫・果
実などを食べる。護岸のコンクリート化による産卵場の減少や側
溝・道路等の移動障害物による個体群の細分化、クサガメ等他種と
の競合や交雑、他地域由来の個体の遺棄による遺伝的劣化の懸念も
ある。
特記事項
保全のため分布情報図非公開とする。
文献番号 2,12,14,22,24,42
(江木 寿男・江田 伸司)
- 99 -
撮影:江木 寿男
爬虫類
ニホンスッポン
岡山県:情報不足
カメ目
Pelodiscus sinensis (Wiegmann)
環境省:情報不足
スッポン科
選定理由
個体数は少なくないが、遺伝的な問題を含め情報が不足してい
る。
存続を脅かす要因
水質汚濁、池沼開発、河川開発、業者・マニア捕獲、用水路改修、
川相変化、側溝転落、近似種交雑、交通事故、個体群の細分化
分布状況
岡山県では古い記録を含めると北部にも記録があるものの近年の
記録では中南部が多い。本州・四国・九州などに分布する。
生息情報
甲長 200 ~ 350mm。甲は灰褐色の楕円形で、柔らかい皮膚に包
まれ、角質の鱗片がない。腹は淡黄色から白色。足には水かきが発
達する。吻端が突出する。首は伸縮自在。砂泥質の池沼や流れの緩
やかな川などに生息する。5~8月に砂泥地に穴を掘って球状の卵
を産む。産卵数は 15 ~ 50 個で年に3~4回産卵し、2~3か月で
ふ化する。11 ~3月頃冬眠する。肉食性で魚・甲殻類・水生昆虫
などを捕食する。放流や養殖が盛んで国内外からの移入個体も県内
に生息している可能性があるが、外見による識別は困難で実態は不
明である。
撮影:江木 寿男
特記事項
保全のため分布情報図非公開とする。
文献番号 1,3,7,14,15,16,22,24
(江木 寿男・江田 伸司)
タワヤモリ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
Gekko tawaensis Okada
環境省:該当なし
有鱗目
ヤモリ科
選定理由
岩場、神社など微小な環境に局所的に生息。個体数も少ない。
存続を脅かす要因
産地局限、道路工事、海岸開発、個体群の細分化、林相変化
分布状況
岡山県では中南部及び島嶼部に分布する。本州では近畿地方から
中国地方の瀬戸内海沿岸と島嶼部、四国、九州東部沿岸に分布す
る。
生息情報
全長 100 ~ 120mm。体色は暗灰色で、不規則な黒褐色の斑紋が
ある。背面の鱗は等粒状。海岸や丘陵地の乾燥した岩場、神社な
どに生息する。7~8月頃岩の割れ目に2卵を産む。卵は約2か月
でふ化する。11 ~4月頃冬眠する。日中は岩の割れ目などに潜み、
日没後に出て昆虫等を捕食する。林相変化により湿潤化してくると
本種の生息に悪影響を及ぼす。また、岩場の生息地は災害防止工事
により破壊される危険がある。ニホンヤモリと混棲することもある
が、本種が駆逐されている可能性もある。
特記事項
保全のため分布情報図非公開とする。
文献番号 1,6,19,20,22,24,27,32,34,35,38,39,40,
41
(江木 寿男・江田 伸司)
- 100 -
撮影:江木 寿男
爬虫類
タカチホヘビ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
有鱗目
Achalinus spinalis Peters
環境省:該当なし
ヘビ科
選定理由
洞窟、ガレ場など微小な環境に局所的に生息。個体数も少ない。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化、道路工事、交通事故、側溝転落、産地局
限、個体群の細分化
分布状況
岡山県では中北部に分布する。本州・四国・九州に分布する。
生息情報
全長 300 ~ 500mm。背面は紫褐色で真珠光沢をもち、中央部に
細い黒条が1本ある。尾下板は1枚。背面の鱗は重ならず皮膚が露
出している。半地中性で、乾燥に弱く山地の暗く湿潤な林や急斜面
のガレ場、洞窟などに生息する。7~8月にかけて3~ 13 個の卵
を産む。ミミズなどを捕食する。森林伐採や林相変化により乾燥化
すると本種の生息に悪影響を及ぼす。また、道路及び側溝建設によ
る交通事故や移動障害も個体数の減少と個体群の細分化につながる
危険がある。ガレ場の生息地は災害防止工事により破壊される危険
もあり注意が必要である。
撮影:江木 寿男
特記事項
保全のため分布情報図非公開とする。
文献番号 4,5,24,26,33,37
(江木 寿男・江田 伸司)
シロマダラ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
有鱗目
Dinodon orientale (Hilgendorf)
環境省:該当なし
ヘビ科
選定理由
岩場、石垣など微小な環境に局所的に生息。個体数も少ない。
存続を脅かす要因
林相変化、道路工事、交通事故、側溝転落、産地局限、個体群の
細分化
分布状況
岡山県では全域に分布するが県南部での確認記録が多い。本州・
四国・九州などに分布する。
生息情報
全長 300 ~ 700mm。背面は白褐色で黒い横帯がバンド状に入る。
幼蛇は頭部後半に大きな1対の白斑がある。丘陵地の乾燥した岩場
や石垣などがある場所に多く生息する。6~7月頃に1回あたり1
~9個の卵を産む。夜行性でトカゲ類などを食べる。林相変化によ
り湿潤化してくると本種の生息に悪影響を及ぼす。道路及び側溝建
設による交通事故や移動障害も個体数の減少と個体群の細分化につ
ながる危険がある。岩場の生息地は災害防止工事により破壊される
危険もあり注意が必要である。
特記事項
保全のため分布情報図非公開とする。
文献番号 1,5,13,30,33,35,36,43
(江木 寿男・江田 伸司)
- 101 -
撮影:江木 寿男
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