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非常停止押しボタン - Rockwell Automation

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非常停止押しボタン - Rockwell Automation
非常停止押しボタン
非常停止押しボタン
目次
はじめに . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .3
非常停止 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .3
機能の定義 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .3
装置の定義 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .3
非常停止押しボタンの特性 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .3
色および外観 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .3
機械的なラッチ機能 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .5
直接駆動 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .5
不正開封防止 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .6
機械的な寿命 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .6
自己モニタ接点ブロック . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .6
安全ガード . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .7
その他の特性 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .7
結論 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .7
2
非常停止押しボタン
はじめに
非常停止装置のユーザの多くは装置の使い方には精通していても、国際的な管理
規格を十分に理解していません。本白書の目的は、存在する規格のいくつかを紹
介し、その規格に関する重大な問題を浮かび上がらせることにあります。本書は
すべてを網羅しているわけではなく、実際には適合する法規、規則、規約、規格
などを含め、性能に関する必要事項と安全要件をすべて満たすことが要求されま
す。
非常停止
機能の定義
(1)
EN 418(1) に従って、非常停止機能を以下のように定義しています。
EN 418: 1992 ( 機械の安全
性 – 非常停止装置、機能関
連 – 設計減速 )
•
人に対する危険、機械または被加工物に対する損傷の発生を回避または減少さ
せる機能
•
通常の停止機能が不十分な場合、人による 1 回の操作で作動する機能
この規則における危険とは、以下に起因するものとします。
•
機能不全 ( 機械の故障、被加工物の受入れがたい品質、人為的なミスなど )
•
通常運転
簡単に言うと、非常停止機能は、非常時に人による操作によって起動され、装置
を停止させることを目的としています。
装置の定義
非常停止装置は、手動で制御される装置で、非常停止機能を起動する手段になり
ます。非常停止装置のコンポーネントで、人が操作する部分をアクチュエータと
言います。例えば、マッシュルーム型押しボタン、ロープ、ワイヤなどがアク
チュエータに当たります。
ただし、本書内で「非常停止」として言及しているのは、マッシュルーム型押し
ボタンです。
非常停止押しボ
タンの特性
(2)
EN/IEC609457-5-5: 199
( 低電圧スイッチギアおよ
びコントロールギア
Part 5-5. 制御回路デバイス
およびスイッチ構成素子 –
機械的なラッチ機能付きの
電気的な非常停止装置 )
色および外観
EN/IEC609457-5-5(2) には、次のように規定されています。「非常停止装置のアク
チュエータとして使用するボタンの色は、赤でなければならない。アクチュエー
タの背景となるものが存在する場合、実行可能である限り背景色は黄色にするこ
と。」押しボタンメーカのほとんどが、以下の 3 つの方法のいずれかで、背景色を
黄色にしています。
1. 黄色のエンクロージャを使用する。
2. 大きな黄色の非常停止警告標識を使用する。
3. 押しボタンの「軸」部分を黄色にする。
4. 黄色のガードを使用する方法も、一部の業界では認められていますが、一般的
に認可されている方法ではありません。これについては、後で詳しく説明しま
す。
3
非常停止押しボタン
NFPA 79 にも、前述の色指定と同様の規定がありますが、さらに一歩踏み込んで、
次のように説明されています。「赤 / 黄の色の組合せは、非常停止アプリケーショ
ン専用として確保しなければならない。」さらに、NFPA 7 では、アクチュエータ
をマッシュルーム型またはパーム型に限定しています。EN418 でも、マッシュ
ルーム型が必要事項となっています。マッシュルーム型というのは、ボタンの頂
部が突出しており、キノコの傘のように丸くなっているものを言います。もとも
と、ヨーロッパの非常停止押しボタンは頂部が丸くなった円錐形 ( 図 1.) で、北米
の非常停止は従来のマッシュルーム型により近い形状 ( 図 2.) をしています。コー
ン型の長所としては、押しボタンの軸部分に異物が引っかかった場合、円錐形で
あるため異物が邪魔にならないように取り除かれ、そのまま操作が可能であるこ
とがあります。
図 1.
図 2.
コーン型の非常停止
マッシュルーム型の非常停止
さらに、EN90457-5-5 には、他にも外観に関する必要事項が示されています。第
4.2.2 項では、非常停止押しボタンがツイストリリース式の場合、「ラッチ解除の方
向が明確に示されていなければならない」と指示しています。ほとんどの押しボ
タンメーカは、以下の 4 つの方法のいずれかで、これに対応しています。
1. ボタンのキャップに異なる質感の矢印を埋込む方法。この識別方法は、周囲の
照明が暗いと、わかりにくい場合があります ( 図 3.)。
2. ボタンのキャップに矢印をインクで印刷する方法。初めははっきりと識別でき
ますが、インクは磨滅しやすいため、最終的に何の痕跡も残らない状態になる
ことがあります ( 図 4.)。
3. ボタンのキャップに異なる色のプラスチックを使用した矢印を埋込む方法。通
常、矢印には白のプラスチックが使用されます。この方法には、コントラスト
が強く、長寿命というメリットがあります ( 図 5.)。
4. ボタンのキャップに矢印をレーザ刻印する方法。この方法は、矢印を埋込む方
法に比べると、寿命の長さもコントラストも優れていますが、コントラストに
関しては、2 色使用の埋込み式キャップの方が優れています 。
図 3.
図 4.
埋込み式の矢印
4
インクで印刷された矢印
図 5.
色付きで埋込まれた矢印
非常停止押しボタン
機械的なラッチ機能
NFPA 79 では、非常停止押しボタンを「自動ラッチ」式にするよう規定していま
す。つまり、非常停止アクチュエータが押され、接点が開いた後、意図的にリ
セットされるまで、非常停止装置は作動された位置に留まっていなければなりま
せん。ヨーロッパの規格ではさらに一歩進めて、アクチュエータのラッチが機能
しない限り、非常停止信号を出さないようにする、すなわち接点が開かないよう
にするべきであると、明確に指示しています。この必要事項は、場合によっては
「アンチテーゼ ( 正反対 )」と見なされることがあります。ヨーロッパの規格でも、
非常停止信号を出さずにアクチュエータをラッチすることは不可能であるとして
います。
結局、ヨーロッパの規格では、非常停止装置が故障した場合、ラッチ機能より接
点機能を優先させるべきであると規定しています。現実には、北米で設計された
もののほとんどが、これらの必要事項を満たしています。旧式の設計の中には、
通常閉回路遅動ブレーク接点のような特殊な接点ブロックを必要とする方法でこ
の要求事項を満たしているものもあります。
オペレータをリセットするということは、人が手作業でアクチュエータのラッチ
を解除することを意味します。リセット方法の例としては、アクチュエータを回
す、アクチュエータを引き出す、キーを挿入して回すなどの操作があります。北
米でもっとも一般的な非常停止のリセット方法は、プルリリース方式です。ヨー
ロッパでは、ツイストリリースとも呼ばれる、アクチュエータを回転させる従来
の方式が一般的です。しかし、近年では、プルリリース式オペレータが普及し始
めています。その主な理由は、プルリリース装置に誰かがぶつかってラッチ解除
される可能性は、ツイストリリース装置に比べて極めて低いと認識されたことに
あります。一部のメーカでは、ユーザが選択できるように、両方の製品を提供し
ています。
ヨーロッパ規格と北米規格の重要ポイントの 1 つは、非常停止装置のリセットに
より、再始動コマンドを発行してはならないということです。つまり、装置を再
起動するためには、人がもう一度始動コマンドを発行しなければなりません。こ
れを実現する方法としては、3 線式システムが一般的です。
北米ではほとんどのエンドユーザが非常停止用に整備された押しボタンを使用し
ているにも関わらず、NFPA はいまだに例外を認めています。手動リセット機能が
付加されていれば、状況に応じてモメンタリ式デバイスの使用が認められます。
これは過去の因習に基づくもので、北米で非常停止用に使用されているモメンタ
リ式デバイスの数は、減少の一途をたどっています。
直接駆動
NFPA 79 と EN418 のどちらも、非常停止を直接駆動設計にすることを義務づけて
います。直接駆動設計のスイッチには、外部の作動体から接点キャリアまで連続
した機械的なリンク機構が装備されます。N.C. 接点を開くための機械式作動パス
には、弾性構材やスプリングを使用しません。
直接駆動設計の特殊な例として、IEC 60947-5-1 に準拠したスイッチがあります。
これは、回路障害が発生している間に接点が溶着、すなわち「固着」した場合で
も接点が分離されるように設計されています。直接駆動スイッチは、回路障害が
発生している間に接点が多少溶着していても、接点を分離できるように設計され
ています。メーカは、接点が溶着されないようにするために必要なヒューズレベ
ル要件を設定しています。接点を分離させるために必要なアクチュエータの動作
および力の強さは、スイッチメーカによって指定されます。
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非常停止押しボタン
このタイプのスイッチ構造は、外部の作動体が作動されたときに、接点を確実に
機能させるために使用されます。作動パスにスプリングを使用しないことにより、
外部のマッシュルーム型オペレータと接点は直接確実に接続されます。
接点は、常に動作ストロークの同じポイントで、同じ作用力で開かれる必要があ
ります。本来、このタイプのスイッチは、低速ブレーク / 低速メイク装置に分類さ
れますが、スナップアクション装置内で確実に開くように、特別に設計されたも
のもあります。安全に対する関心が高まるに連れて、世界中で使用できる装置を
設計する傾向が強まり、直接駆動機能がますます重視されるようになってきてい
ます。
不正開封防止
簡潔に言うと、非常停止装置はエンクロージャから簡単に取り外したり、簡単に
悪用できないようにしなければなりません。ヨーロッパ規格では、非常停止アク
チュエータは、パネルの内側からしか取り外せないような構造でなければならな
いと規定しています。工具を必要とする場合は、パネルの外側から取り外すこと
も認められます。ほとんどの NEMA タイプ設計は、取り外す際に工具が必要であ
るため、これらのヨーロッパ規格にも完全に準拠しています。
機械的な寿命
ヨーロッパ規格でさらに興味深い部分は、機械的な寿命に関する必要事項です。
非常停止押しボタンに要求されている操作テストの回数は、たった 6,050 回です。
これは、非常停止押しボタンは日常使用を目的としているのではなく、非常時に
のみ使用されるからです。
自己モニタ接点ブロック
自己モニタ接点ブロック (SMCB) は、ロックウェル・オートメーションだけが提
供している製品です。SMCB は特許取得済みの独特の接点配列で、アクチュエー
タへの接点ブロックの取付けをモニタします。この配列内の通常開接点 (SMNO)
は、接点ブロックがアクチュエータに正しく取付けられているときは閉じた状態
になっています。この通常開接点は、通常閉接点と直列に配線されています ( 図
6.)。通常閉接点は、オペレータとの標準接点として機能します。接点ブロックが
アクチュエータから取り外されると、通常開接点が開き、非常停止コマンドが発
行されます。SMCB は、セーフティリレーのかわりにはなりません。セーフティ
リレーがモニタするのは、接点の状態変化です。
図 6.
SMNO
NC
自己モニタ接点ブロックの内部配線図
SMCB の主な目的は、信頼性の向上です。接点ブロックがアクチュエータから切
り離されると、非常に危険な状況を引き起こす可能性があるのは明らかです。ア
クチュエータが作動したとき、接点がアクチュエータから離れていると、非常停
止機能は起動されず、装置 / プロセスは停止されません。
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非常停止押しボタン
接点ブロックがアクチュエータから切り離される原因として、以下のことが考え
られます。
1. 不適切な取付け:例えば以下の原因が考えられます。
-
保守の後、接点ブロック / ラッチを取付けなかった。
-
接点ブロック取付けねじの締め方がきつすぎたか、または緩すぎた。
-
接点ブロック / ラッチが完全に「スナップ留め」されていなかった。
2. 物理的な損傷
3. 過度の振動
安全ガード
非常停止装置は、正式な保護手段または自動安全装置の代用品ではありません。
代用品というよりは、バックアップ手段として使用するべきです。さらに、非常
停止の起動により、他の安全装置の効果を低下させることは許されません。
(3)
IEC 60204-1: 1997 ( 機械の
安全性 – 機械の電気装置
Part 1:一般要件 )
IEC 60204-1(3) には、非常停止装置は、簡単に手が届き、操作しやすくなければな
らないので、ガードしてははらないと記述されています。一般的には受入れられ
ているものの、一部にはこの規格に従っていない業界 / アプリケーションも存在し
ます。例えば、米国の半導体産業がその一例です。実際、SEMI 規格では、偶発的
な作動を回避するためにガードの使用が許されています。ガードが好ましいかど
うかは、ユーザの判断に委ねられていますが、ほとんどのユーザは否定的です。
もう 1 つの安全ガードは、接点ブロックおよび電源モジュール自体に施されます。
これは、「フィンガーセーフ保護」と呼ばれ、電流の流れている端子や部品に人が
誤って触れないようにするためのものです。IEC/EN 設計には、フィンガーセーフ
の装備が必要です。NEMA 設計は、もともとフィンガーセーフ対応ではありませ
んでしたが、現在では、ほとんどの NEMA 装置メーカがフィンガーセーフ設計を
採用しています。米国規格の中にも、一部のアプリケーションに対してフィン
ガーセーフ設計を要求するものが出てきました。
その他の特性
非常停止押しボタンのメーカおよびユーザは、さまざまな規格の中で、この他に
も多くの必要事項への対応を求められています。こうした必要事項は、あまりに
も詳細に渡っていて、本書ですべてを網羅するのは不可能ですが、その存在だけ
は認識しておく必要があります。例えば、衝撃および振動、利用分野、実施要件、
その他いろいろありますが、もっとも重要なのは、現地の規約および設置に関す
る必要事項で、これについてはユーザの責任が問われます。
結論
非常停止の設計および設置を規定する国際規格は数知れず存在しています。さら
にいくつかの矛盾点も存在している状況で、国際標準化機関では、より統一され
た規格の制定に向けて迅速に動いています。本書では、米国およびヨーロッパで
適用される規格のいくつかを取り上げましたが、これがすべてではありません。
言及している規格は、すぐに入手可能で、詳細な説明を参照できます。適合する
規格、安全要件、法規、規約、規制を把握するのは、設計者ならびに設置者の責
任です。
7
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Tel: (1) 262.512.8176, Fax: (1) 262.512.2222, Email: [email protected], Online: www.ab.com/support/abdrives
Publication Number 800-WP008A-JA-P - May 2003
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