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VENDOR PROFILE
アジア太平洋地域におけるストレージサービスの競争環境:EMC
Rajkumar P
Mayur Sahni
IDC India 301, 3rd Floor, Tower 4B, DLF Corporate Park MG Road, DLF City Phase III Gurgaon-122002, Haryana, Delhi, India
IDC の見解
EMC グローバル・サービス(または本調査レポートでは単に EMC と称する場合もあ
る)は、コンサルティングおよびシステム構築の能力を十分に備え、アウトソーシ
ングビジネスを本業とする企業と同等のマネージドサービスや保
守サービスのスキルを併せ持っており、アジア太平洋地域での成長に向けて優位な
地位にある。ただし、同社の成長は、製品の販売に偏った長年の収益構造を拡大し
てサービスの販売を組み入れることができるかどうかにかかっている。IDC では以下
の理由から、EMC グローバル・サービスの能力と展望について肯定的な見方をして
いる。
 EMC のサービス事業では、顧客が望むような業績の達成をいかに支援するかに
注力していることは心強い。どの技術分野に関わることでも同様である。これ
を可能にしているのは、EMC が一貫して強力な製品群の構築に投資を行うと共
に各プロダクトを生かすためのサービス能力を備えることに力を注いできたた
めである。
 EMC の行うコンサルティングでは、業務部門(Line of Business)と IT 部門の連
携を高めるためのワークショップを開き、組織や業務プロセスを含めて見直す
といった方法をとることがある。そのコンサルティングや問題へのアプローチ
は適切に設計されており、ユーザー企業が IT 投資の適切さを判断するための基
準を適切に設定できるよう練られている。したがって、多くの点で EMC は自ら
を IT 全般についてソリューションを提供する企業に転換させることに成功した
と言える。
 EMC の大きな強みはアジア太平洋地域におけるリソース基盤であり、同社はこ
の地域でサポートを提供する現地の言語によるオペレーションセンターの構築
に投資してきた。加えて、クラウドアーキテクト、ビッグデータソリューショ
ンの専門家(データサイエンティストを含む)、データセンターアーキテクト
など顧客の需要が高い人材の提供に強みを持つ。EMC は、直接的に同社の技術
者を介し、さらにはチャネルパートナーを通じて、リソースプール構築
のスキル高めることに重点を置くことで、IT リソースの最適化を求める顧客
ニーズを満たす競争で有利な位置に付けている。
 保守サービスの観点から見ると、EMC は、予防的な、または予測に基づく、ア
ナリティクス主導型の保守サービスをオンサイトとリモートの両方で取り入れ
ており、その意味で大手アウトソーシング企業の DNA を持つと言えるであろう。
 EMC はレノボなどとの技術提携だけでなく、Telstra や CtrlS などクラウドの提供
を目的とした現地企業との提携も行っており、さらに広範な顧客の IT 環境に対
応する方向に向かっている。ここでビジネス拡大の鍵を握るのは、顧客が
IT as a Service(サービスとしての IT)というモデルを構築できるよう支援す
る EMC の能力である。
Filing Information: May 2013, IDC #AP2578202S, Volume: 1, Tab: Vendors
Asia/Pacific Infrastructure Services: Vendor Profile
調査概要
IDC ベンダープロファイルは IDC がシリーズで発行している調査レポートであり、
本調査レポートは EMC の展開するアジア太平洋地域におけるストレージサービスの
成熟度について IDC がこれまでに積み重ねた調査を基に分析したものである。
IDC で は 、 こ の 市 場 に 参 入 し て い る さ ま ざ ま な 企 業 ( 製 品 、 ク ラ ウ ド 、 お よ
びサービス企業)にインタビューを実施した。IDC はさらに、アジア太平洋全域
のストレージおよびストレージ関連サービス を利用するユーザー 企業にもイン
タビューを行った(Source: IDC's Asia/Pacific [Excluding Japan] Continuum Study 2012)。
概況
はじめに
2013 年における IT 支出の全体的な経済見通しは依然明るいが、CIO を対象とした
IDC の調査では、今後 12 か月の IT 目標として、インフラコストの削減、ビジネス目
標との調整、リスクの低減などが上位に挙げられた。IDC の調査ではさらに、企業が
自社のストレージ投資から、かつてないほど多くの価値を引き出していることが示
されている。具体的には、ストレージ技術を活用して容量の利用効率を高めたり、
既存のストレージインフラをさらに活用したりすることで経済的優位を得ることな
どが挙げられる。ただし、企業は、業務効率を高める一方で、ソリッドステートド
ライブ(SSD)やフラッシュメモリーなどの技術を利用して特定のアプリケーション
に最適なパフォーマンスを提供する新しいストレージアーキテクチャにも投資して
いる。これはストレージに関連するサービス支出の内容や傾向が変化する可能性を
示唆するものである。今後、データガバナンス向上およびリスク低減、アナリティ
クスの業務活用、ストレージ環境全体の再構築などの課題に対応するユーザーは、
これらをより効果的に支援できるベンダーを重視しながら、ストレージシステムを
構築し、投資を行う傾向に変わっていくかもしれない。
IDC では、基本的なストレージサービス(故障修理(Break-fix)サポートとマネージ
ドサービス)への需要について、今後 3 年間、マイナス要因があると予測している。
その理由は、現在、市場で見られる 2 つの動向が及ぼす影響にある。つまり、パブリ
ックおよび仮想プライベートモデルで利用可能なサービスの普及がストレージの可
用性への要求が高まると共に進んでいることと、シスコシステムズの Vblock や
IBM の PureSystems などのコンバージド インフラストラクチャ機器が普及しているこ
との 2 点である。コンバージド インフラストラクチャ機器によって、ベンダーは製
品の迅速な導入を促進するサービス戦略 へシフトすると共に、チャネルパート
ナーと協力し、コンバージドインフラの販売に伴うコンサルティング、構築、およ
び保守サービスを毎回確実に提供できるよう意欲的に取り組んでいる。
コンバージドシステムの導入を促進する最大の原動力は、インフラの導入を合理化
して運用コストを削減できる能力にある。
ストレージの価格競争力をさらに高めるために、ベンダーはこれまでよりも多くの
ソフトウェア機能をストレージ機器に組み込むことによって市場での差別化を図る
ようになると IDC は考えている。このためサービスの重点は、単なるストレージイ
ンフラの統合から、より広範な データセンター およびアプリケーション全体の
アーキテクチャ設計やデータガバナンスサービスに移ることになる。
結果として、以下の展開が予測される。
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©2013 IDC
 ストレージ統合:コンバージド インフラストラクチャの導入では、価格帯の枠
を越えて複数のベンダーが協力し、新しいソリューションを開発する必要があ
る。そのために、ベンダー各社はサービスポートフォリオを統合し、チャ
ネルパートナーやシステムインテグレーター(SI)とサービス提供契約を結ぶ必
要がある。それによって、パートナー各社は技術スタックの要素ごと
にサービスを提供できる。
 競合:コンバージド インフラストラクチャ スタックに利用されるストレージを
提供するベンダーは、今後、市場で IT 統合のリーダーとしての地位を築く上で、
コンバージド インフラストラクチャ ベンダーとの協力的競合(co-competition)
を受け入れる必要がある。結果として、より迅速かつ総体的に技術サービス提
供能力を構築できる企業が市場での地位を高めることになる。
 主要顧客となる通信事業者およびクラウドサービスプロバイダー:ストレージ
をクラウドからソーシングするエンドユーザーが増える中で、ストレージ
デ バ イ ス の 最 大 の 消 費 者 は 通 信 事 業 者 ( Telco ) お よ び ク ラ ウ
ドサービスプロバイダーとなり、サービスプロバイダー向けのビジネスを巡っ
てストレージベンダー間の競争が激化する。ストレージベンダーにとって競争
の鍵となるのは、サービスビジネスの運用環境に対応するだけでな
く、サービスプロバイダーによる市場向けソリューション構築を支援す
るサービスを提供する能力である。こうしたパートナーシップの構築に成功す
るベンダーは、(たとえば、さまざまな仮想機能を備えたパブリックおよびプ
ライベートクラウド環境全体のワークロードオーケストレーションなどで)よ
り大きなビジネス機会を得られるであろう。
 ビッグデータ:アジア太平洋地域におけるビッグデータソリューションの導入
によって、データアーキテクトや「データサイエンティスト」が持つ高度
なスキルへのニーズが生まれる。これらのスキルは今後も不足するため、企業
のビッグデータ戦略構築を支援できるオンサイトリソースへの需要が高まる。
EMC は、アジア太平洋地域だけでなく世界的にも主要な企業としてサービスポート
フォリオを戦略的に整え、上記の動向に対応している。さらにそれはスキルの高い
技術リソースを備えた、地域のデリバリー能力によって補完され、各地域のエン
タープライズ顧客、サービスプロバイダー、およびチャネルパートナー へ
のサービス提供実績を拡大している。
企業概要
EMC グローバル・サービスは、大規模ストレージおよびコンピューティングインフ
ラ大手の EMC にとって重要なビジネス分野となっている。近年、売上全体に占め
るサービスの割合は 2005 年の 27%から 2012 年には(9 月までの 9 か月間で)40%に
増加し、世界全体におけるサービスの売上は前年同期比で 6%増の約 52 億 8,000 万米
ドルとなった。
EMC グローバル・サービスは、以下の 2 つを重点分野に位置付けている。
 顧客とパートナーが EMC の機器から最大限の価値を迅速に得られるようにする。
 顧客とパートナーが EMC の製品を活用して IT 変革計画を促進できるよう支援す
る。
EMC にとって IT 変革計画は、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、および
信頼(セキュリティ)という 3 つの主要分野全般に関わるものである。IT インフラ
ベンダーのコンサルティングおよびアドバイザリー能力を CIO がますます重視する
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ようになる中、EMC はビッグデータ、クラウド、およびセキュリティに関するア
ドバイザリーの技術的能力を高めることに投資しており、市場の要請に応える上で
有利な立場にある。複数の技術分野に跨り、IT インフラの戦略、設計、導入、から
運用とサポート、教育に至るまで、プロジェクトライフサイクルを通じて顧客と共
に歩める能力は、EMC にとって大きな強みである。
アジア太平洋地域におけるプレゼンス
Go-To-Market ( 顧 客 に サ ー ビ ス を 届 け る ) 戦 略 と い う 観 点 か ら 見 る
と、EMC グローバル・サービスはアジア太平洋地域の 14 の国と地域(中国、台湾、
香港、韓国、インド、日本、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、フ
ィリピン、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド)で 4,200 人超の従業員を
擁している。50 か所を超える現地オフィス、6 か所の研究開発(R&D)センター、7
か所の顧客サポートセンター、4 か所のセンターオブエクセレンスを、戦略的な拠点
としてインド、中国、シンガポール、日本、オーストラリアに置いており、アジア
太平洋市場で地盤を築いている。
ソリューションの観点で見ると、EMC はガバナンスの枠組みや新技術の導入全般に
渡って顧客に助言できる能力を備えている。こうした新技術には、スケールアウト
型ストレージ、超並列処理(MPP)データベースアーキテクチャ、Hadoop、イン
データベースアナリティクス、インメモリーコンピューティング、データ視覚化な
どがある。
EMC は ア ジ ア 太 平 洋 地 域 に お け る 全 体 戦 略 の 一 環 と し て 、 先 進 国 で の 同 社 の
リーダーシップを生かし、戦略的提携を新興市場(インドネシア、ベトナム、台湾
など)での市場開拓に活用する計画を進めている。最近のレノボとの提携はその好
例であり、その最大の狙いは中国市場にミッドレンジサーバー市場を浸透させるこ
とにある。
製品販売市場の観点から見ると、EMC は現時点でアジア太平洋地域のストレージ
システム市場のおけるリーダーであり、売上高は 6 億 8,160 万米ドルで、市場シェア
の 22.4%を占めている(IDC の Asia/Pacific Quarterly Disk Storage Systems Tracker, 2Q12 を参
照)。このことは、EMC が自らをエンタープライズストレージ分野の総合ソリ
ューションプロバイダーと位置付ける上で助けになる。 持続的成長を果たすた
め、EMC は今後も同社の製品が従来のデータセンターだけでなく、パブリック、プ
ライベート、およびハイブリッドクラウド環境で使用されるよう、 提携や買
収、EMC 認定リソースの増強を通じてサービス能力の構築に投資していく意向であ
る。EMC はこの目標を達成するため、3 つの要素からなる戦略を用意している。
企業戦略
エンドツーエンド型ソリューションポートフォリオの構築
EMC は一貫してエンドツーエンド型ソリューションポートフォリオの構築に向けて
取り組んでおり、ビジネス目標の達成に向けてハードウェア、ソフトウェア、およ
びサービス能力を集約している。そのため EMC のポートフォリオはサービスバリ
ューチェーン全体に適切に行き渡っている。EMC のコンサルティング能力は戦略お
よび設計フェーズ全体に広がっており、業界(金融サービス、政府、ヘルスケア、
通信)および技術(クラウド、ビッグデータとアナリティクス、セキュリティ)の
専門知識を結集させることで、顧客が技術投資から投資収益率(ROI)を確保できる
よう支援している。さらに指摘すべき重要な点として、EMC は、ビッグデータやク
ラウドの導入の際に求められるアプリケーションの全体アーキテクチャや詳細の設
計について助言できる能力を十分に備えており、これはハードウェアを主体にビジ
ネス展開するベンダーとしては極めて稀なことである。
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実 際 の サ ー ビ ス 提 供 内 容 に つ い て 見 る と 、 EMC は ア セ ス メ ン ト 、 設 計 、 マ
イグレーション、知識移転プロセスの分野で特に強い。さらに EMC は、オンサイト
およびリモートのデリバリーモデルに基づいて包括的なマネージドおよびアウト
ソースサービス一式を用意している。加えて、教育や知識移転に関するノウハウ、
ベストプラクティスも備えており、CIO はより強力なソリューション志向のデ
リバリーチームを構築する上でこれらを活用できる。保守サービスでは、EMC は
セルフサービス機能などパーソナライズ化された事前予防型のさまざま
なサービスを提供している。これらのサービス能力を結集させたことは、技術スタ
ック全体に渡る IT 投資を判断する上で一つの有力な基準を提供する結果となり、顧
客が EMC を選択する妥当性が高まる。
チャネルネットワークの構築によるサポートと Go-to-Market 活動
チャネルエコシステムはアジア太平洋地域における EMC の成長計画の中核要素であ
り、そのため EMC は、顧客とより的確な対話ができるチャネルの確保に引き続き大
規模な投資を行っている。ここで重要なのは、さらに広範なチャネルエコシステム
の認証を通じたトレーニングと教育である。EMC のこうした継続的な投資は、アジ
ア太平洋地域における同社の成功にとって極めて重要になると IDC は考えてい
る。EMC は現在、チャネルフットプリントを増やすと共に、チャネルパートナーと
の関与を深めて地域のサービスフットプリントを強化することに力を注いでいる。
この点で、EMC はクラウド、ビッグデータ、セキュリティおよびリスク管理という
中核となる 3 つの重点分野に渡って、(アナリティクスアプリケーションなど)補完
的スキルを備えたチャネルパートナーを採用している。 EMC はこれらのパート
ナーと協力して、各社がさらに強力かつ広範なコンサルティング能力を築き、それ
を市場に持ち出して EMC のより広範な一連のサービス能力と組み合わせることがで
きるよう支援している。この一環として重要なのが EMC のリファレンスアーキテク
チャである。なぜなら、これによって EMC のパートナーは、顧客との長期的な関係
を維持しながら、より総合的なソリューション提供機会が得られるためである。
サービスプロバイダーへのさらなる注力
クラウドは将来、ハイブリッド導入モデルが大勢を占める(つまり企業はパブリッ
ククラウドからサービスを消費すると共に、独自のプライベートクラウド環境も所
有する)と EMC は考えている。したがって、成功を収めるには、エンタープライズ
顧客と直接関わるだけでなく、(通信事業者やホスティングなど
の)サービスプロバイダーとも関わることで整合性のあるアーキテクチャおよび技
術の基準を提供することが重要である。この戦略によってベンダーはユーザーの IT
環境に対するコンサルティング、管理、運用、保守サービスを強化できるた
め、EMC は顧客とより良い関係を持てる。ここで鍵を握るのは、ハイブリッド導入
モデルの中でも特にオーケストレーションとワークロードマイグレーションのマ
ネージドサポートサービスを提供できる EMC および同社の SI パートナーの能力であ
る。
継続的な提携と買収によるプレゼンスの強化
EMC はアジア太平洋地域におけるプレゼンスを強化する取り組みの一環として、業
界標準の x86 系サーバー分野における中堅中小企業(SMB)向け中心のサーバー技術
開発プログラムでレノボと提携した。この提携によって EMC は、SMB 市場にフ
ォーカスしたパートナーと提携する機会が広がり、すでに実績のある広範な製品お
よびサービスポートフォリオを中国市場に投入できるようになる。この動き
は、EMC による 2010 年の Greenplum 買収と、Virtual Computing Environment(VCE 連
合)の下でのシスコシステムズとの提携に続くものであり、後者は仮想システム仕
様(VSPEX)アーキテクチャおよび Vblock の製品提供につながっている。
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EMC は引き続きアジア太平洋地域でパートナーを採用しており、技術とサービスに
関する EMC の専門知識を活用できる補完的なソリューションサービスを備えた ISV
を加えることにますます注力している。そのため、これまでマルチベンダー環境で
のスキル蓄積や競争力向上に苦戦してきたパートナーにとっては、EMC のマルチベ
ンダー統合およびサービス提供の能力が極めて重要であると認識されるであろう。
この点と、EMC がサービスプロバイダー分野に重点的に取り組んでいることを合わ
せて考えると、ISV は EMC と提携することによって市場へのルート(Route-toMarket)を複数獲得することになる。
ただし、このパートナーシップの枠組みは、EMC のソリューションと同じ領域
でサービスを提供している従来の SI パートナーとの競争を EMC がどの時点でやめる
ことになるのか、明らかにするものではない。事前予防的に対応して、より広範
な SI コミュニティとのコミュニケーションを図らない限り、この種の対立はベン
ダーにとって悪夢になりかねない。
ソリューション戦略
ビッグデータ
ス ト レ ー ジ 市 場 の 代 表 的 企 業 と し て 、 EMC が エ ン タ ー プ ラ イ ズ 市 場 に お け
るビッグデータ普及の最大の受益者であることは明らかである。この点で EMC は、
顧客がビッグデータ環境を戦略化、計画、導入、管理できるよう支援することに注
力している。EMC の「Big Data Vision Workshop(2 週間に渡る戦略コンサルティ
ングサービス)」は、財務と競争の両方の観点から、ビッグデータの導入がどこで
どのように変革計画を促進できるか企業が判断する助けになる。EMC は、「可能性
を引き出す技術」とも言える同社のアナリティクスモデルにおいて、サンプル顧客
データを使用してビッグデータ導入のビジネスケースを作成している。さらに、
データソーシング、ビジネスインテリジェンス、データ統合、データ品質全般に渡
る技術およびビジネス上の要素を集約することによって、CIO が導入に向けた戦略
的ロードマップを作成する上で役立つアドバイザリーサービスがこれに加わる。こ
れらはすべて、 業務の産業分野特性と展開地域の状況に応じて、企業のデータ
ガバナンス、リスク、およびコンプライアンス要件を考慮しながら行われる。
CIO や業務部門の責任者は、MPP データベースアーキテクチャ、Hadoop、インメモ
リーコンピューティング、インデータベースアナリティクス、データ視覚化などの
IT の変革につながる新しい要素をいかに取り入れるか、その判断と実施が極めて複
雑であると考えており、そのためビジネスおよび技術スタックの枠を越えて支援で
きるパートナーを必要としている。ここで EMC は、戦略およびインフラ変革の支援
提供に加えて、人とプロセスに重点を置いたコンサルティングの実施で効果を上げ
ている。さらに EMC はビッグデータの影響力について、単なるアナリティクス能力
向上のメリットだけに限定されないと賢明にも明言している。組織がビッグデータ
を効果的に活用するには、業務のプロセスおよび運用環境についても検討する必要
がある。これはビッグデータのプロジェクトを確実に成功させる上で不可欠な要素
だと IDC は考えており、EMC はこの点でコンサルティング能力を適切に構築できて
いる。
クラウドストレージ
EMC はクラウドコンピューティングに対して客観的なアプローチをとっている。同
社は(シスコシステムズとの提携やヴイエムウェアの買収を通じて)クラウドスト
レージおよび仮想化スタック全体でサービスを提供しているが、クラウドの未来は
一つのデリバリーモデルに依存するというよりもハイブリッドにあることを確かに
認識している。
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そのため EMC は、クラウドコンピューティングが提供する効率性や拡張性をエン
タープライズ顧客が認識できるよう注力しており、この点で鍵を握るのは EMC の変
革サービス能力である。EMC は、クラウドの導入による恩恵を適切に得るための IT
プロセスおよび運用モデルを作成、実装するコンサルティングや導入サービスを提
供することで顧客を支援している。ここで重要なのは、EMC が保有する文書化され
た成功事例や業界のユースケースであり、顧客やパートナーなどはこれらを変革の
ための基盤として利用できる。
クラウドコンピューティングの導入においては、データガバナンスとセキュリティ
が主な懸念材料であることを EMC は認識している。同社はこれに対応するため、顧
客やパートナーと協力し、データのライフサイクルを通じてデータ品質および整合
性が確実に維持されるデータ管理の原則を適用しながら、さまざまなデータ
ソースを統合するデータアーキテクチャの構築を支援している。EMC のコンサルタ
ントたちは、ビジネスリーダーと共にビジネスの視点からデータの管理や保守を行
うためのプロセス、ポリシー、およびプロファイルを定義している。ここで重要な
要素は、ビジネスデータに責任を負うデータスチュワードとなる顧客組織の担当者
をトレーニングすることである。
信頼
今日のビジネス環境において、CIO は具体的なセキュリティリスク(データセン
ターから生じるものなど)について明確な考えを持っているが、不透明でほとんど
対処できていない、捉えにくい要素(たとえば、システムへのユーザーベースのア
クセスから生じるものなど)が残されている。結果として、IT 部門は社内のデジ
タ ル 資 産 を 明 確 に可 視 化 およ び 管 理 で き て いな い 。 その た め CIO か ら は ベ ン
ダーやサービスプロバイダーに対し、データに対する高度化した変化の激しい脅威
によって生じる重大なリスクをどのように軽減できるのか、具体策を示すよう要求
が高まっている。これに対する EMC のアプローチは、アクティブなガバナンス、情
報セキュリティ、および可用性の保証の 3 点で構成される。
ガバナンス要件に対応するため、EMC はデータライフサイクルを通じてデータの消
費と管理を改善できるよう、データの品質、整合性、および完全性を確保しながら、
さまざまなソースから生じるデータの統合に常に重きを置いている。アジア太平洋
地域においてデータセキュリティおよびガバナンスの規範が厳格化するにつれて、
こ の 点 は 重 要 性 が 高 ま っ て い る 。 EMC で は BYOD の 普 及 や リ モ ー ト お よ び
モバイルデータアクセスへの要求を考慮し、RSA の買収で得た能力を通じてエッジ
デバイスに対応するサービスやソリューションを提供することによって顧客を支援
している。
さらに EMC は、ネットワークアタッチトストレージ(NAS)、ストレージエリアネ
ットワーク(SAN)、コンテンツアドレスストレージ(CAS)など、どのようなスト
レージコンポーネントに対してもストレージ環境に直接対応するセキュリテ
ィ サ ー ビ ス を 提 供 し て い る 。 加 え て 、 EMC PowerPath Encryption を 通 じ た ト ラ
ンスポート層でのデータ暗号化は、RSA の鍵管理機能を利用して行われる。
事業継続性については、EMC は、復旧のためのインフラおよびプロセスを評価、設
計、検証するサービスを通じて、顧客がミッションクリティカルなアプリケーショ
ンの可用性を確保できるよう支援している。
主な差別化要因
EMC のコンサルティングおよびアドバイザリー能力は極めて強力である。だが、そ
れだけでなく、運用および保守サービスの観点から見ると、同社の持つサービスデ
リバリーフレームワーク(具体的にはマネージドサービスとホステッドサービスの
リモートおよびオンサイトデリバリーで構成されるが)を集約することによって強
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みを発揮している。以下に、アジア太平洋地域で EMC の競争力を高める同社
のサービスの中でも 4 つの重要な要素を挙げる。
保守サービス
EMC の成功を支える基盤は保守サービス能力である。オンプレミスおよびリモート
デリバリーオプションを伴う EMC の保守サービスは、成果に基づくサービスレ
ベル契約(SLA)にリンクされている。ベーシック、エンハンス、プレミアムの段階
的サポートはさらに 4 つの重要度レベルに分類されているほか、24 時間 365 日のデ
リバリーモデルおよび多言語サポートはアジア地域の企業向けに適切に設計されて
いる。これは「機動的なサポートフレームワーク」と呼ばれるもので、多言
語サポートと EMC のパートナーをサービスデリバリーのバリューチェーンに集約す
ることで企業を惹き付けている。
EMC の 保 守 サ ー ビ ス は コ ラ ボ レ ー シ ョ ン の 必 要 性 を 理 解 し て お り 、 「 Ask
the Expert」や「Live Chat」などのコラボレーションツールを提供することで、顧客
が EMC の技術サポートチームに直接アクセスできるようにしている。また EMC は、
(VNXe、Avamar、Celerra、CLARiiON、NetWorker、Symmetrix などの製品ラインナッ
プ全体に渡る)独自のインフラをサポートすることに加えて、サードパーティのイ
ンフラ保守サービスも提供している。これは主に、EMC がグローバル連携サポート
契約を締結しているグローバルベンダー650 社(ヴイエムウェア、マイクロソフト、
シスコシステムズ、SAP、レノボなどが含まれる)との広範な協業によって可能とな
っている。
さ ら に 、 EMC に と っ て 極 め て 優 先 度 が 高 い の は 、
「 Velocity Service Provider Partner Program 」 を 通 じ て サ ー ビ ス プ ロ バ イ ダ ー 顧 客
をサポートすることである。EMC は同プログラムの下で、保守サービスの一環とし
て Telstra(オーストラリア)、CtrlS(インド)、インターネットイニシアティブ(日
本)と提携した。
マネージドサービス
EMC のマネージドサービスは、ストレージおよび関連するインフラ環境に関連する
ものが多いとはいえ、CIO がマネージドサービス企業から期待するあらゆる機能と同
レ ベ ル の 内 容 を す べ て 備 え て い る 。 EMC は オ ン プ レ ミ ス お よ び ホ ス テ ッ ド デ
リバリーモデルの両方で、サービスとしてのストレージ、サービスとしてのバック
アップ(BuaaS:Backup as a Service)、およびサービスプロバイダーソリューション
を提供している。これらのサービス全体で重要なのは EMC の柔軟なサービス導入モ
デルであり、これによって顧客は自社のストレージ環境に応じてサービスデ
リバリー要件を設計できる。
サービスとしてのストレージは、エンタープライズ、クラウド、およびメインフ
レームストレージインフラ向けに設計されており、複数のサービスを統合して最適
化することで CIO のストレージ要求に対応することが可能である。オンプレミスモ
デルでは EMC が従量制モデルでインフラを管理するため、予測可能なコストを提示
すると共に柔軟なストレージアーキテクチャを実現する。EMC は、同社の専用
ホステッドモデルで同様のサービスを提供している。
サードパーティのクラウドマネージメントサービス
EMC の Cloud Enablement サービスは現時点で Vblock インフラソリューションに重点
を置いているが、2013 年には、パブリックホステッドクラウドのサービスプロバイ
ダ ー 向 け に 、 Vblock 以 外 の ア ー キ テ ク チ ャ に 対 す る サ ポ ー ト を 含 め
た Cloud Enablement Managed Services を 投 入する予 定となっ ている。 これによっ
て EMC は 、 同 社 の マ ネ ー ジ ド サ ー ビ ス を 通 じ て パ ブ リ ッ ク ク ラ ウ ド
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のサービスプロバイダーと協力し、サービスプロバイダー向けホステッドクラウド
環 境 の 運 用 や 管 理 を 行 え る よ う に な る 。 EMC が 提 供 す る サ ー ビ ス と し て の コ
ン バ ー ジ ド
イ ン フ ラ ス ト ラ ク チ ャ ( CiaaS : Converged
Infrastructure as a Service) サービスを活用することで、同社は チャージバックレ
ポート作成、サブスクリプションおよび認証管理、ロールベースのアクセス制御
(RBAC)、シールド仮想マシン(VM)などのマルチテナント機能を提供できるよ
うになる。
マルチベンダーサービス能力
EMC が何よりも注力しているのは、同社の製品とソリューションを顧客やパート
ナー向けに対応させることだが、EMC はレジデンシーサービス(常駐サービス)の
一環として提供される マルチベンダー サービスにおいても 、確かなマルチベン
ダー能力を備えている。同社はこのサービス実績の下で、顧客によるマルチベン
ダー環境の管理や運用を支援できるストレージの専門技術者を擁しており、そのた
め高度なスキルを備えたスタッフによる増強サービスを顧客に提供できる。
将来の展望
市場機会と課題
アジア太平洋地域におけるビジネス環境の進化を考慮すると、ビッグデータアナリ
ティクス、クラウド、モビリティ、ソーシャルはかつてない勢いで相互連携しつつ
あり、それを利用すれば企業はさらに効果的に市場で競争できるようになる。その
ため、顧客中心主義(それが B2B であろうと B2C であろうと)の促進に焦点が置か
れると共に、4 つの柱(クラウド、モビリティ、ビッグデータ、ソーシャル技術)全
体に渡る技術ツールが競争上の差別化の促進に活用されている。この傾向により、IT
の効率と生産性はこれまで以上に重要な問題になり、これら 4 つの要素が将来のあら
ゆる IT アーキテクチャに影響を持つことを考慮すると、IT サービスがどのように導
入/展開され、支払いが行われるか、また管理されるか、その方法は変化していく
であろう。
IDC の調査において、各社の CIO はこれらの技術ツールの活用に苦闘しており、
(投資予算や技術スキルの限界といった)リソースの不足が不運な状況につながっ
ていることが示された。同時に、業務部門はますます IT の購入決定に関わるように
なっており、特に対象のアプリケーションやインフラがその業務部門の中核とな
るビジネスプロセスを構成していたり、新規事業計画にとって重要であったりする
場合には、特にその傾向が強まる。IDC ではこうした転換を、ビジネスと連携させた
IT の自然な進化と見ており、こういった状況で CIO はビジネス要件を満たすため、
自社のサービスデリバリーフレームワークおよびプロセスを再設計、見直し、再調
整する必要に迫られている。
こういった IT の転換において重要となるのは、いかにしてデータを作成、消費、共
有、保存、アーカイブ化、検索するか、その方法、仕組みである。これは同時に、
インフラサポートだけでなく、主にコンサルティングおよび構築フェーズでもスト
レージ関連サービスの需要が高まることを示唆している。
ソーシャルの影響
各社の CIO には、消費者向け技術がエンタープライズ環境に浸透していることを認
識する必要が出てくる。消費者向け技術がエンタープライズ環境に浸透するのを、
IDC は過去 12~18 か月に渡り、目にしてきた。その浸透の理由は、ビジネス上の利
害関係者やエコシステムのパートナーとデータの保存、共有、共同作業を行うこと
に、Evernote や Dropbox などソーシャルクラウドベースのアプリケーションを用いる
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方が、自社 IT で仕組みを運用するよりはるかに簡単だからというだけである。これ
は、データガバナンスやリスクの観点から見ると大きな脅威である。そのため CIO
は、ますます増加するモバイルワーカー同士のコラボレーションに対するニーズに
応えながら、安全かつ信頼性の高い方法でストレージのプロビジョニングを迅速に
行えるよう、EMC など適格なパートナーと協力して取り組んでいく必要がある。
クラウドストレージの影響
アジア太平洋地域の CFO を対象に IDC が実施した調査では、IT が実力を発揮できな
い最大の理由として、導入にあまりに多くの時間がかかっていることが明らかにな
った。そのため、業務部門のマネージャーたちが独自にストレージを購入する場合
は大体においてクラウドを選び、自社のビジネスをリスクやガバナンスの問題にさ
らけ出すことになる。これは主に、スピードが重要であること、および業務部門の
マネージャーのほとんどがストレージアーキテクチャやデータガバナンスの微妙な
違いを理解していないことが原因である。こうした傾向は EMC のコンサルティ
ングサービスや教育サービスにとってチャンスであり、CIO が機動的な IT 環境を構
築 し て 、 RBAC を 含 む ス ト レ ー ジ イ ン フ ラ の 迅 速 な 導 入 を 可 能 に す る た め
に、EMC がマネージドサービスを提供できるよう支援する機会が生まれる。また、
技術的に適格な人材の確保が大きな課題となっている CIO ならば、EMC のレジデン
シーサービスも併せて活用できることを理解しておくべきであろう。さら
に EMC は、サービスプロバイダーのコミュニティに関与することで、データマ
イグレーション、事業継続性、およびワークロードオーケストレーションに焦点を
合わせるマネージドサービスで優位に立つであろう。
モビリティの影響
コラボレーションや顧客中心主義を実現できるようモバイルワークを支援すること
へのニーズは、導入の迅速化に対するニーズと関連している。労働の場所が分散、
多様化するにつれ、データの格納場所がどうあるべきかという思想に基づき、スト
レージを管理する方法が変化している。タブレットやスマートフォンの利用の増加
によって、データの効率的かつ高速なデリバリーが注目されるであろう。
モバイル端末の利用は(フォームファクターの枠を越えて)増加しており、これら
の端末は必然的に、すぐに使えるデータの保存場所に選ばれることになるため、
モバイル端末向けに設計されたストレージ管理ツールおよびサービスに対する
ニーズは大きい。企業は、これらのアクセスポイントからリモートでストレージの
監視や管理を行いたいと考えるようになるが、市場にある既存のサービスはいくつ
かの点で十分ではない。EMC にとって極めて重要となるのは、(RBAC、暗号化、セ
キュアデータパスを含む)RSA のソリューションポートフォリオを活用し、データセ
キュリティおよびデータの完全性に関する業界の成功事例を利用しながらコ
ンサルティングに取り組むことである。
ビッグデータの影響
今日、役員室での話題はとにかくビッグデータである。まだ初期段階にあるとはい
え、高い関心が寄せられており、組織の多くはまだ自らの内部データセットの価値
を理解しようとしているところである。これらの組織が模索や評価を続ける中で、
その多くは今後、データ管理のシステム、プロセス、および戦略の現状が、差し迫
ったビジネス要求に対して不十分であることを認識するであろう。分かりやすい概
念であるデータ量について見ると、多くの組織は、かつてはビジネス関連データの
範囲にはないとされていた膨大な量のデータをも処理する必要に迫られている。
ソーシャルメディア以外の大きなデータ発生元には、モバイル端末データ、テレメ
トリー(遠隔測定)データ、ドアセンサー、監視カメラ、スマートデバイスなどが
ある。そのため、ビッグデータの最初の波は主にデータ同化(アシミレーション) 、
標準化、メタデータ管理および抽出、視覚化になる。ここで、ビッグデータおよび
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アナリティクスに関するビジネスケースの構築や評価に対する EMC の構造的ア
プローチは好意的に受け止められるであろう。さらに、これらの複雑なシステムは
管理が難しく、複雑なインフラ導入に対応できる専門家が求められるため、EMC の
マネージドサービスは需要が高まる。
IDC の提言
EMC への提言
EMC グローバル・サービスはアジア太平洋地域においてすでに多くのビジネスを適
切に展開し始めており、同社の将来に渡る成功の鍵はいかにその実行を継続するか
にある。そのため以下では、EMC が同地域でプレゼンスをさらに強化するために注
力すべき主要分野を挙げる。
 EMC は、ビジネスと整合性の取れた IT 戦略を顧客が構築できるよう支援するコ
ンサルティングおよびアドバイザリー能力の増強に今後も効果を上げるであろ
う。EMC が手がける分野は主にハードウェアであるが、包括的な IT フレーム
ワークに影響を及ぼすことのできる能力は市場でのポジショニングに不可欠で
ある。そのため、データアーキテクチャ、ビッグデータソリューション、セキ
ュリティなど枠を越えた IT 業界固有のフレームワークや導入テンプレートを備
えたコンサルティング能力は、今後も引き続き EMC にとって強みになる。
 特にデータサイエンティスト、データアーキテクト、およびクラウドアーキテ
クトを対象とした EMC のレジデンシーサービスは、進化する競争環境での成功
にとって極めて重要である。この点で EMC は、リモートおよびオンサイトのデ
リバリーモデルによるコンサルティングサービスの製品化を適切に進めるであ
ろう。価格と(一部のコンサルティングサービスに存在する)範囲モデルの固
定化によって、EMC のサービスビジネスは市場での勢いを加速させることにな
る。
 サービスプロバイダー分野でのビジネス戦略は明確で、かつ十分に整理されて
おり、クラウド分野の変化の激しい環境に合わせて適切に調整されている。こ
こで IDC は EMC に対し、今後もサービスプロバイダーがクラウドサービス能力
を強化できるよう支援を継続しながらも、一方で EMC のチャネルベースからの
関与を組み合わせることを提言する。EMC は、クラウドサービスの販売が通信
事業者や新興のクラウドプロバイダーにとって難しい仕事であることを正しく
認 識 し て い る 。 し た が っ て 、 EMC の チ ャ ネ ル ベ ー ス を 同 社 の ク ラ ウ
ドサービスプロバイダーベースと統合することで、市場へのリーチを拡大させ
ることができる。
 さまざまな点で、EMC は自らを製品ベンダーから本格的な IT 企業へと転換させ
ている。ここで重要なのは、同社の製品ポートフォリオに複数のサービスを統
合することに加え、アジア太平洋全域で同等に高品質のサービスを提供する能
力である。この点で EMC は現に市場プレゼンスを有しているが、大企業に偏っ
ており、まだ広範な SMB 基盤が残されている。EMC は、チャネルパート
ナ ー が EMC の サ ー ビ ス だ け で な く 、 同 社 の サ ポ ー ト お よ び マ ネ ー ジ
ドサービスをホワイトレーベル(OEM)提供する能力を再販売できるようにす
るべきであると IDC は考えている。これによって同地域での広範なリーチが可
能になると共に、チャネルのロイヤルティ(忠誠度)も強化されるであろう。
結論として、EMC グローバル・サービスは市場においてさらに強く前面に出てくる
必要がある。EMC のサービス部門は、アジア太平洋地域における将来の成功に向け
て重要な、恵まれた能力を備えている。直接的な顧客エンゲージメントモデルとチ
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ャネル戦略を明確に定めることによって、同社がサービスの売上を伸ばす余地は十
分にある。
参考資料
関連調査
 Asia/Pacific Quarterly Disk Storage Systems Tracker, 2Q12
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