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「DLC 成膜とその応用」WEB 版 ver.2.1 - 機械科学科

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「DLC 成膜とその応用」WEB 版 ver.2.1 - 機械科学科
「DLC 成膜とその応用 ver.2.1」東京工業大学大学院理工学研究科
大竹尚登
WEB バージョン 2011
「 DL C 成 膜 と そ の 応 用 」 W E B 版 v e r . 2 . 1
東京工業大学大学院理工学研究科機械物理工学専攻
大竹 尚登
ohtaken[at]mech.titech.ac.jp
ダイヤモンドライクカーボン(Diamond-Like Carbon, DLC)膜は,ダイヤモン
ドと黒鉛との中間に位置するユニークな材料です.鉄鋼材料の表面に1μm の DLC
をコーティングすると,通常 0.4 程度の摩擦係数が 0.1 程度まで低下し,さらに削
れにくくなります.またプラスチックにコーティングすると,酸素や水を通さなく
なります.これらの特徴を生かして,DLC は機械材料,工具,電子機器の低摩擦・
耐摩耗コーティングとして,またペットボトルのガスバリア性コーティングとして
適用範囲が大きく拡大しています.ものつくりにより高い環境調和性が求められる
将来,DLC の適用範囲は,今後益々拡大するものと思われます.
0.はじめに
炭素材料の魅力は限りありません.2010 年のノーベル物理学賞は,二次元物質グラフェ
ンが受賞しました.1996 年にはフラーレン(C60)がやはりノーベル化学賞に輝いており,
炭素材料への期待の大きさを窺わせます.炭素材料には,ほかに黒鉛,カーボンナノチュ
ーブ(CNT),ダイヤモンドそしてアモルファス炭素があります.炭素は最近重要さを増し
ている環境調和性の観点からみても,資源が多く,環境を悪化させない点で優れた材料で
す.物性の点でもダイヤモンドは地球上で最も高いヤング率と熱伝導率を有します.CNT
は鉄の 20 倍の比剛性と 170 倍の比強度を有すると言われており,魅力的な炭素系材料を対
象として,これまで多くの研究開発がなされてきています 1)2).
本稿の主役である DLC(ダイヤモンド状炭素)は,ダイヤモンドと黒鉛の中間に位置する硬
いアモルファス炭素で,ダイヤモンドの DNA と黒鉛の DNA とを合わせ持ったユニークな
材料です.ここでは,コーティング材として益々重要度を増している DLC について合成技
術と応用の観点から私の研究室の研究結果も含めて詳細に解説するとともに,DLC の環境
調和性,DLC を題材とした教育の取り組みについて述べます.
1.DLC とは?
ダイヤモンドライクカーボン(Diamond-Like Carbon,以下 DLC)膜は,宝石のダイヤモ
ンドとバーベキューで使う炭の合いの子で,ダイヤモンドの sp3 結合とグラファイトの sp2
結合の両者を炭素原子の骨格構造としたアモルファス炭素膜です 3)-6).DLC 中のダイヤモン
ド結合の成分は 20~90%と幅広く,さらに水素を 0-50%含むので,一言で DLC と言っても
その物性は千差万別です.そこで,DLC を何種類かに分けて産業応用をしやすくする必要
に迫られており,現在 DLC の標準化が検討されています.DLC の定義は未だなされていま
1
「DLC 成膜とその応用 ver.2.1」東京工業大学大学院理工学研究科
大竹尚登
WEB バージョン 2011
せんが,2006 年度に NEDO の援助を受けて長岡技術科学大学の齊藤秀俊教授を主査とし
て実施されたプロジェクトにより,多くの種類の DLC の物性が詳細に測定され 7),分類を
可能にしました.Robertson の図 8)に測定結果の sp3/sp2 比,水素量,密度,硬さを当ては
めて,DLC を sp2 結合と sp3 結合及び水素の三元図を用いて表したのが図1(a)です.sp3/sp2
比は NEXAFS(Near Edge X-ray Absorption Fine Structure),水素量は RBS-ERDA
(Rutherford Backscattering – Elastic Recoil Detection Analysis) ,密度は XRR (X-ray
Reflectometer),硬さはナノインデンテーションで測定されています.図中に各 DLC の測
定点はプロットされていませんが,図中にある分類は測定点を反映したものです.あまり
水素が多いと高分子材料になってしまうので,水素は多くとも 50 原子%までで,炭素 sp3
結合比は 20~85%をとり,作り方によって大きく異なることがわかります.なお,本図の
分類においては,Si を代表とする第3元素の影響は無視していることを申し添えます.
これまでの機械的応用例からみると硬さ 10GPa(HIT:ナノインデンテーション硬さによ
る)は必要なことから,図中にはその 10GPa の線で仮に DLC を定義しています.そんな
ことから,私の研究室では,ラマンのピークに関係なく 10GPa の硬さを持っていてはじめ
て DLC と呼んでおり,10GPa 以下の膜についてはアモルファスカーボン膜として区別し
ています.後で述べる大気圧 DLC 合成の研究では,1回目の成膜実験で硬さ 2GPa の膜が
出来ましたが,10GPa を超えるのに実にそれから2年以上がかかりました.学生も良く頑
張ってくれたと思います.
表1
ダイヤモンドと DLC の物理的性質
ダイヤモンド
DLC
結晶形態
立方晶
アモルファス
結合構造
sp
主に sp3,sp2
表面形態
結晶面
平坦
3.52
1.2~3.3
1,050~1220
100~760
ポアソン比
0.2
0.12~0.3
硬さ [GPa]
90~100
10~80
1013~1016
104~1014
1000
0.2~30
5.6
8~12
UV~IR(225nm~50μm)
VIS~IR(約 600nm~50μm)
5.47
0.8~3.0
2.41~2.44
2.0~2.8
0
0~40
密度[g/cm3]
ヤング率[GPa]
電気伝導率 [Ω・cm]
熱伝導率[W/m・K]
誘電率
光透過性
光学バンドギャップ [eV]
屈折率
水素含有量 [at.%]
3
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(a) アモルファス炭素膜の分類と DLC の定義
(b) MWCNT 上に生成した DLC の TEM 写真(東大 葛巻 徹博士撮影)
図1 アモルファス炭素膜の分類とDLCの定義
さて,DLC はどのような組織を持つのでしょうか.sp3 比約 40%,H 比約 20atm.%の DLC
の TEM 写真を図1(b)に示します.DLC の厚さは約 15nm で,カーボンナノチューブ(CNT)
上に CVD 法によりアセチレンから合成したもので,イオン加工は施していません.この写
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真をみると,CNT のグラフェン層がきれいに積層しているのがわかりますが,DLC の領域
では明確な構造がみられません.sp2 結合と sp3 結合がある比率で混在しているのが DLC で
あることは前述しましたが,TEM で「ここはダイヤモンド構造で,隣がグラファイト構造」
といったように確認できる材料ではないアモルファス構造であることがわかります.なお,
高分子量の炭化水素を原料とした CVD 法による DLC や,Si 等の第三物質を導入した場合
には,グラフェンやカーボンオニオンのような構造が見えるとの指摘もあります.
ダイヤモンドと DLC の物理的性質を比較して前々ページの表1に示します
4).DLC
は
ダイヤモンドの 1/10~1/2 の幅広い物性値をとっていることがわかります.このように DLC
の物性値の幅が大きいのは,前述のように水素含有量及び sp3/sp2 比により物性値が大きく
変化するからです.
さて表1の物性からも理解できるように,DLC 膜は高硬度,高耐摩耗性,低摩擦係数,
高絶縁性,高化学安定性,高ガスバリア性,高耐焼き付き性,高生体親和性,高赤外線透
過性などの特徴を持っていて,表面が平坦で 200℃程度の低温で合成できるので,図2にま
とめたように,電気・電子機器(ハードディスク,ビデオテープ,集積回路など)や切削
工具(ドリル,エンドミル,カミソリなど),金型(光学部品,射出成形など),自動車部
品(ピストンリング,カム関連部品,クラッチ板,インジェクタなど),光学部品(レンズ
など), PET ボトルの酸素バリア膜,衛生機器(水栓),レンズ・窓,装飾品など幅広く応
用され始めています 9)10).とりわけ,各種硬質膜の中でも 10GPa 以上の高い硬度を持って
いるので,優れた耐摩耗性と低い摩擦係数を示し,機械部品の保護膜として需要が加速度
的に増大しています.保護膜として市販されている DLC の厚さは通常 CVD 膜で 1~3μm,
PVD で 0.1~1μm です.例外としてハードディスクのように 10nm 以下の場合もあります.
DLC の市場規模は 2006 年の統計で約 67.5 億円であり,年率 30%程度で伸びていると言
われていますが,これらは表に出ている数字であって,実際にはこの数字よりかなり大き
い規模と考えられています.DLC コーティングを内製で行っている企業が多いからです.
さらに最近では,自動車用の量産部品としても実用化しています.インジェクタ等では以
前から DLC が用いられていましたが,ここ3年間で適用範囲が大幅に拡大しています.代
表例のひとつは電磁クラッチ板へのコーティングで 11),DLC をコーティングすることによ
り,油中での摩擦係数が高くなること及び滑り速度の増加により摩擦係数が増加すること
を利用した点でユニークな応用です.この応用には CVD 法でつくられた Si-DLC 膜が使わ
れており,Si の含有量は 10atm.%以下です.またエンジン部品としては,カムフォロワへ
の応用があります.これは,DOHC エンジンのカムが吸排気バルブを押す極めて重要な摺
動部であって,このような箇所に DLC が実用化されたことは注目です 12).この場合,1μ
m 程度の DLC 膜が AIP 法で積まれており,12 万 km 走行後もまったく摩耗がみられませ
ん.さらにロータリーエンジン(本当になくなってしまうのは寂しいですね.)の部品にも
DLC が採用されています 13).
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以上のように,DLC 膜は既に実用材料で,機械部品の摩擦損失の低減と長寿命化の観点から環
境調和形社会の実現へのひとつのキーテクノロジーになりつつあります.しかし,DLC のさらな
る用途拡大と発展のためには,いくつかの課題を解決してゆく必要があります.具体的には,①
付着力の強化と安定化,②残留応力の最適化,③三次元微細形状表面への合成,④厚膜化・薄膜
化,⑤硬質化・高じん性化,⑥軟質基体への合成,⑦生体親和性の確認,⑧大気圧合成,⑨機能
の複合化と新機能の発現でしょう.
機械部品
自動車部品
HDDのディスクとヘッド
表面保護
耐摩耗性
(高硬度)
磁気テープ
赤外線窓
低摩擦係数
耐凝着性
耐腐食性の向上
化学的に安定
(耐腐食性)
ひげ剃りの刃
DLC膜の
特徴
赤外線透過性
ガスバリア性
デザイン性
生体親和性
アルミの凝着防止
有害物質溶
出の抑制
アルミ加工用ドリル
腕時計のベゼル
ステント(医療器具)
酸素透過の防止
プラスチック容器の内壁
図2 DLC の特徴と応用の概観図
2.DLC のつくりかた
2.1
成膜方法と分類
DLC は最初に述べたように,炭とダイヤモンドと水素が合わさったものです.DLC
膜の製造法の概念図を図3に示します.固体原料の場合も気体原料の場合もこの図に含
まれています.DLC はメタンなどの含炭素気体またはグラファイトなどの固体原料から
合成されます.これらの原料に放電などでエネルギーを与えて炭素を含む正イオンを生
成させ、このイオンを電界で加速して陰極基板上に供給することにより,基板上に DLC
膜が生成します.従って,DLC 膜の合成はイオンプロセスであると言って良いです.ダ
イヤモンドが CH3,H などの中性ラジカルプロセスであるのと対照的で,ダイヤモンド
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の出来損ないが DLC の訳ではなくて,両者の合成条件は大きく異なっているのです.私
自身もダイヤモンドの研究をやっていたときは,DLC はダイヤモンド合成に失敗したと
きに出来るものと思っていましたので,あまり大きなことは言えません.ダイヤモンド
合成時の基板温度は 800~1000℃ですが,DLC 合成時の基板温度は、DLC では通常は室
温~200℃で高くても 500℃であり,ダイヤモンドと比較して低いのが特徴です.DLC
はイオンが存在しないと生成しませんが,プラズマ CVD 法やスパッタリング法による
DLC 成膜ではイオンのほかに中性ラジカルやクラスターも成膜に寄与していると考えら
れ,基板に到達するイオンとラジカルとの比が DLC の合成速度や膜質に影響を及ぼして
います.CVD による DLC 合成時のイオンの種類を調べると,C から C2・・・・C6Hx
まで多くの種類があります.
(陽極:放電の場合)
放電(直流、高
周波)
イオン源
電子線
レーザ
固体原料
グラファイト、ダイヤモ
設置・導入
ンド
液体・気体原料
含炭素気体(メタン、ア
セチレン、エチレンな
ど)、ベンゼン、トルエ
ンなど
イ オン 化
DLC膜
残存ガス
排出
陰極基板
室温~500℃
正イオン引き込み
電圧:
-100V~ -30kV
直流または高周
波自己バイアス
含炭素正イオン:速度大、電界方向
電 子:速度極めて大、電界逆方向
含炭素中性粒子:速度小、ランダム
+
中間層作製用、不純
物添加用原料
Si系、Ti系、Cr系固体・
液体原料など
含炭素クラスター:速度さらに小、ラン
ダム
図3 DLC膜の合成法の概念図
DLC 成膜は,
①
室温付近の低温で合成できる.
②
合成する基板(被膜材料)の種類が多く,非耐熱性のプラスチックなどにもコー
ティングが可能である.
③
大面積,また三次元的に複雑な形状に作製することが容易である.
④
コーティングしても表面粗さが変化しない.
などの工業化に有利な点があるために,さまざまな製品に応用展開されてきています.
また,DLC は,ほぼ全てが真空容器中で製造されており,炭素源の違いより大きく以下
の二つの方式に類別されます.
6
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①
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高真空中で固体炭素源からスパッタリングや電子ビーム蒸着,陰極アーク放電,レ
ーザアブレーションを利用して合成する方法.
②
低真空中で炭化水素ガス(C2H2,CH4,C6H6 などを)プラズマ放電によりイオン化し,
炭化水素イオンを基板に印加した負バイアス電圧により加速衝突させることにより合成す
る方法.
①を物理気相合成法(PVD 法)による合成,②を化学気相合成法(CVD 法)による合成
と分類します.PVD 法では炭素のみからなる膜の合成が可能なのに対して,CVD 法では必
ず水素が膜中に含まれます. CVD 法により合成された DLC 膜の水素量は合成方法により
15~50 at.%の範囲内で大きく異なり,DC プラズマ CVD,RF プラズマ CVD では 30~
45at.%です.因みに当研究室でマイクロパルスプラズマ CVD 法により合成している DLC
は,sp3 結合比が約 40%で,水素が 20~25atm.%入っている DLC です.
DLC 膜の合成法には PVD 法,CVD 法それぞれに種々の方法が存在し,さらに原料に
よる違いも大きいことから,コーティングされる DLC 膜は合成法により異なった特徴を
有すると言えます.以下に代表的な DLC 膜の合成法を述べます.
2.2
イオンビーム蒸着(Ion beam deposition)法
イオンビームの応用は様々な分野で積極的
Magnet
に行われており,使用されるイオンエネルギー
の幅も広く,物質合成だけでなくイオン注入や
ナノ加工などに多く用いられています.DLC
Gas feed
Magnetic field
Cathode
オンのエネルギーレベルはイオンビームとし
Ion source
蒸着法は利用されており,成膜に利用されるイ
Screen grid
14)でも登場したように,
古くからイオンビーム
Accelerator grid
膜の合成の歴史では S.Aisenberg の合成実験
ては一般的に低く数百 eV 以下です.量産型の
Anode
装置としては一般的ではありませんが,質量分
離などが可能でイオン種の選択性があること
から,研究レベルで用いられています.イオン
図4
イオンビーム蒸着法で用いられる
ビーム源としては, 図4に示す Kaufman 型
Kaufman 型イオンビーム源
の イ オ ン 源 が 良 く 用 い ら れ ま す . AIST の
Yamamoto は,質量分離の可能なイオンビームを用いて炭素イオン(C+)のエネルギーと
生成 DLC 膜の sp3/sp2 結合比との関係を調べ,図5に示すように,イオンエネルギーが 80
~100eV のときに sp3 が 84%と最も高い値を示すことを明らかにしています 15).またこの
ときの DLC 膜の硬さは 80GPa と報告されています.ダイヤモンドが 100GPa 程度ですの
で,極めて硬いアモルファス膜であることがわかります.蛇足ですが,2011 年現在では,
後に述べる FCVA により硬さ 90-95GPa の DLC が報告されています.
7
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2.3
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大竹尚登
アークイオンプレーティング(Arc
Ion Plating)法
真空雰囲気でカソードとアノードの間
で真空アーク放電を起こし,原料となるグ
ラファイトターゲット表面から材料を蒸
発,イオン化して負のバイアスを印加した
基板にイオンを衝突させる方法です.真空
アーク放電では,カソード表面上にミクロ
ン単位のアークスポットと呼ばれるアー
クの起点が発生します.このアークスポッ
トの影響で,本方法ではドロップレット
(数十原子以上が集まったクラスター)が
図5
生じやすく,これを低減する方策が必要と
係 15)
DLC 中の sp3 結合比とイオンエネルギーの関
なります.最
Substrate bias
近では,ドロ
ップレットを
気にせずに後
-
で研磨する方
+
+
法もあるよう
-
-
+
+
+
+
+
+
+ -
+
+
+
-
+
+
+
+
-
-
+
+
+
+
Substrate
Focusing
magnetic field
Filter field
(double bend)
+
+
+
-
+
+
です.合成さ
+
+
れる DLC 膜
Striker
が低く高硬度
+
+
Arcing
+
を有します.
ハードディ
Optical viewport
は,水素濃度
Etching source
RF ion beam
Gas
Discharge
chamber
Plasma
bridge
neutralizer
Vacuum chamber
Vacuum arc supply
スクなどへの
応用では膜厚
図6
フィルタードカソーディックアーク(FCVA)法による DLC の合成
が 10nm を切
るので,やはりドロップレットは嫌われます.ドロップレットを低減させた装置として,
フィルタードカソーディックバキュームアーク(Filtered Cathodic Vacuum Arc)16)17)装置
が広く知られています.アノードからグラファイトターゲット(カソード)に対しアーク
放電が生じ,炭素プラズマを作り出します.この時に数~数十m のパーティクル,そして
原子・分子・荷電粒子が発生しますが,ここから電磁気的空間フィルターにより高エネル
ギーのイオン化された炭素のみを抽出します.そしてイオン化された炭素(C+)をスキャ
ニングし基材上に一様な DLC 膜を形成します.基板にバイアスをかけることによりイオン
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粒子のエネルギーレベルを可変にすることができます. FCVA 方式では固体である陰極の
蒸発物質によってプラズマを形成するため,放電の発生及び維持のためのガスを導入する
必要はなく,カソード材料から発生する数~数十m のパーティクル等の膜への付着が低減
されるために,膜質の低下を防止することができます.さらに,パーティクルを排除する
為の電磁気的空間フィルターによるベンドをダブルベンド(2回曲げることです.図6で
は1回しか曲がっていないように見えますが,画面奥方向にもう1回曲がっています)に
することにより,膜中のドロップレットを大幅に低減した装置
らの T 字型のダクトを採用した装置
18)19)
(図6)) や Takikawa
20)など改良を加えられています.応用の代表的事例と
しては,非常に高硬度な膜が得られることから,前述したとおり 50GPa を超える高硬さの
膜が形成でき,ハードディスクヘッドや工具のコーティング装置として用いられています.
2.4
スパッタリング(Sputtering)法
スパッタリング法では,原料をグラファイト固体ターゲットとしスパッタガスとして Ar
などを用いてターゲットをスパッタリングし,この時にターゲットから放出されるスパッ
タ粒子を基材上に堆積させる方法です(☆スパッタ機構は熱蒸発機構か?運動量転移機構
か?).磁場を援用する場合が多く,ターゲットの電極にはマグネトロンが用いられること
が多いです.これは,電子にサイクロイド運動をさせて,低圧力でも電子密度を高くする
ためです.また,これに類似した固体ターゲットを原料とした合成法に,レーザによりタ
ーゲットを蒸発させるレーザアブレーション(Laser ablation)法 21)があります.アブレーシ
ョンは爆着と訳されることもありますが,実際にはレーザの hνで結合を切るのと熱蒸発の
両方が関与しているようです.
スパッタリングでは,他のイオンプロセスとは異なり,基材に到達する炭素原子のエネ
ルギーレベルは低く,このままでは硬さ 10GPa を切る軟質なアモルファス炭素膜となって
しまうことが多いです.そこでさらにイオンによるボンバードメント効果を付与したのが
アンバランスドマグネトロンスパッタリング(Unbalanced Magnetron Sputtering: UBM)
法です 22) .この方法については多くの説明が他のホームページにありますので,説明は譲
ります.膜の硬さは 15~30GPa です.
(☆運動量が正解です.)
2.5
プラズマ CVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法
プラズマCVD法は,これまでに紹介してきた PVD 法と異なり,炭化水素のガスから
DLC を合成する方法です.これはイオンビーム蒸着法と同様に古くから利用されている方
法です.真空容器内に DLC 膜の原料となるメタンやアセチレンのような炭化水素ガスを導
入して,カソードに電圧を印加してガスをプラズマ化させ,炭化水素ガスを分解します.
さらに基板に負のバイアス電圧を印加することで,分解された炭素イオンにエネルギーを
与えて基材に衝突させます.もしくは基板自体に電圧を印加することでプラズマ化しセル
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フバイアスで成膜します.原料ガスにはメタンやアセチレンなどが広く用いられ,一般的
には基材温度 200℃以下,膜中の水素濃度 20-50%の比較的低硬度の DLC 膜が合成されま
す.膜は平滑で絶縁物にも成膜が可能です.
特に電源に特徴がある場合が多く,一般的には直流 23),高周波(13.56MHz)24)25),パルス
電源が用いられます.このうち高周波やパルス電源を使用して基材をバイアスすることに
より絶縁体基板にもコーティングが可能です.特に数 kV の高電圧パルス電源を用いた場合
にはプラズマソースイオン注入(PBII)のような数十 kV と高電圧でなくとも,密着力の向上
が期待できます.また,応用的な装置としては熱陰極 PIG(ペニング真空計の放電と同じ)
プラズマガンを使用したプラズマ CVD 装置 26)が挙げられます.PIG ガンによりリモート
でプラズマを発生させて,基板バイアスをパルス電源により印加し,プラズマ密度の制御
を PIG ガン出力で基板への入射イオンエネルギーを基板バイアスで独立にコントロールす
ることで膜質を制御できます.
さて、パルスプラズマ CVD 法は,大きく RF パルスプラズマ CVD 法と DC パルスプラ
ズマ CVD 法に分類できます.RF パルスプラズマ CVD 法では,3 次元形状への着き回り性
を重視して,パルスプラズマ CVD にプラズマイオン注入技術 27)28)を導入した複合プロセス
(Plasma Based Ion Implantation: PBII)によって DLC の合成例も報告されています.
なお,このプロセスではパルスプラズマ
を発生する RF パルスとイオン注入を
5
法をとっています.一方,DC パルスプ
4
ラズマ CVD 法でもマイクロ秒オーダで
のパルスプラズマ CVD 法で,複雑形状
の金型への応用例があります
29).
Voltage [kV]
行う負の高電圧パルスとを重畳する方
Voltage
3
2
1
0
-1
2.6
-2
プラズマ CVD 法による大気圧
DLC 合成
-2
-1
0
Time [μs]
1
2
10
プラズマCVD法により,準大気圧
われています.大気圧のような高圧下で
DLCを合成するためには、①大気圧下
Current
Current [A]
30)31)及び大気圧下32)でのDLC合成も行
5
0
で高密度にイオンを生成させる.②生成
イオンを高電界で基板に引き込む.③し
-5
-2
かもアーク放電を生じさせない必要が
あります.誘電体バリア放電では①及び
②の条件が成立せず,アーク放電は③の
-1
0
Time [μs]
1
2
図7 ナノパルス電源を用いて 26.7kPa で生成された放電の
電圧電流波形
条件が成立しません.合成の鍵は,極め
10
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て短いパルスを用いることです.すなわち, SI サイリスタ電源33)により1μs以下の直流
単パルスを高い立ち上がり時間で供給することで,上述の条件を満たすことが出来ます.
この電源の,発振周波数1kHz,圧力26.7kPa(200Torr)での電圧電流波形を図7に示します.
半値幅約90nsec,電圧立ち上がり速度は65.7V/nsec と非常に短く立ち上がりの急峻なパル
スであることがわかります.DLC膜合成のようすを図8に示します.図の上方のステンレ
ス棒が陽極で,+5kVの電圧が180ns程度の短時間印加されており,接地電位のシリコン基
板上に膜が合成されていることがわかります.
Exhaust nozzle
Anode:Φ10mm
Intensity [arb.units ]
Gas inlet
nozzle
Cathode with substrate 10mm
2000
1500
Raman Shift [cm -1]
図8 26.7kPa(200Torr)で DLC 合成時のナノパルスプラズマの写真(左)
図9 26.7kPa(200Torr)でナノパルスプラズマ CVD 法により合成された DLC 膜のラマンスペクトル(右)
マイクロパルスプラズマCVD 法では,通常グロー放電が観察されますが,図のようにナ
ノパルスプラズマCVD 法では,電極間にストリーマ放電が発生していて,さらに陰極側の
放電部の直径は約20mm 程度であるのが観察できます.図9 に生成された膜のラマンスペ
クトルを示します.1580cm-1 付近のG(Graphitic)バンドと1350cm-1付近のD(Disordered)
バンドとからなる,2つのブロードなピークからなっていることから,合成された膜がDLC
膜であることがわかります.合成した膜の外観および断面のSEM 写真を図10に示します.
合成されたDLC 膜は少なくとも15mm の範囲に渡って干渉縞がなく,ほぼ均一な膜厚が
得られています.ここでSi ウエハ上に成膜されたDLC 膜の直径は約20mm とストリーマ
放電の生成領域とほぼ一致しています.また,SEM 観察及び段差計測より膜厚は約1.6μm
です.以上の結果より,準大気圧条件下でのDLC 成膜レートは1.6μm/h です.一方,低圧
条件下34)でのナノパルスプラズマCVDによるDLCの合成速度は,同じ1kHz の周波数で
0.21 μm/hでしたので,準大気圧合成では約8倍の合成速度が得られていることがわかりま
す.DLC 膜のAFM 観察の結果より,表面粗さは通常のDLC 膜と同等の0.07nmRa であ
り,きわめて平滑な膜です.これはDLCの応用としては重要な点です.次にナノインデン
11
1000
「DLC 成膜とその応用 ver.2.1」東京工業大学大学院理工学研究科
大竹尚登
WEB バージョン 2011
ターによる硬さ及び弾性率の測定結果を図11に示します.図より,硬さは20.8GPaと高硬
度であることがわかります.750nm より深い位置の硬度が低下しているのは徐々にSi 基
板の硬度に近づいているためです.また,弾性率は170GPaであり,一般的なDLC 膜と同
程度の値が得られていることがわかります.基板温度の上昇が心配されますが,このナノ
200
Hardness [GPa]
20
(a) 外観写真
15
100
10
Hardness
Modulus
5
0
0
Surface of deposited film
thickness 1.6μm
500
1000
1500
Displacement Into Surface [nm]
Modulus [GPa]
25
0
2000
図 11 26.7kPa(200Torr)でナノパルスプラズマ CVD 法により合
成された DLC 膜の硬さ及びヤング率
Si substrate
(b) 断面の SEM 写真
図 10 26.7kPa(200Torr)でナノパルスプラズマ CVD
法により合成された DLC 膜の外観と断面写真
パルスプラズマCVD 法では,10min の成
膜直後の基板温度は30℃以下と低温でした.温度の上昇しない理由として,ナパルスの半
値幅が90nsec,発振周波数が1kHz の時,そのデューティ比が0.009%とマイクロパルスに
比べて2桁小さいことや,大量のガスを吹き付けることによる冷却効果が考えられます.
現在ではすでに大気圧下での成膜や中間層を挟んだ合成なども出来るようになっていま
す.研究成果については論文を御覧下さい.
http://jjap.ipap.jp/link?JJAP/44/L1573/pdf
2.7 イオン化蒸着(Ionized Evaporation)法 35)36)
この方法は,高真空中のアーク放電プラズマで炭化水素ガスを分解し,プラズマ中イオ
ンや励起分子を電気的に加速し,基板に衝突させ成膜する方法です.イオンの量とエネル
ギーを自由にコントロールできるので,制御性良く薄膜を作ることができ,従来の真空蒸
12
「DLC 成膜とその応用 ver.2.1」東京工業大学大学院理工学研究科
大竹尚登
着法に比較し,高エネルギーの粒子で成膜でき
WEB バージョン 2011
Substrate
ます.代表的な方法を図 12 に示します.炭化水
素ガスとして気化したベンゼンを用い,プラズ
マ源として熱フィラメントとアノードとリフレ
クターの 3 極構造からなっています.通常は
-1kV 程度の直流バイアスを基板に印加し,成膜
Anode
温度は 100-200℃です.水素含有量は,15atm%
程度で,CVD 法による DLC 膜としては低い値
なのが特徴です.硬さは 20~25GPa.また,イ
オン源を並べることで大きい物にも成膜が出来
C6H6
ます.
2.8
Anode
Power supply
Filament
Power supply
Reflecter
Power supply
Substrate Bias
Power supply
その他複合的合成法
ホ ロ ー カ ソ ー ド 放 電 ( Hollow Cathode
Discharge: HCD)法の概略図を図 13 に示しま
図 12 イオン化蒸着法による DLC の合成
す 37).Ar を駆動ガスとしてホロ
ーカソードと下部のるつぼ間で
放電を発生させ,イオンプレーテ
ィングで TiN 系の膜を形成させ,
さらにその上に Ti-DLC,DLC を
直流プラズマ CVD で堆積させる
ことにより複合膜を形成される
ものです.厚膜化が容易,じん性
が高い等のハイブリッド膜の特
徴を生かして工具等への応用が
進 ん で い ま す . 硬 さ は 20 ~
30GPa です.プラズマブースタ
ー法と呼ばれる方法もあります
38).磁界併用と思われる高密度プ
ラズマによるスパッタリングに
より HCD 法と同様に TiN,CrN
等の下地を形成して,その上に
図 13 HCD 法による TiN/DLC 膜合成の概略図 30)
DLC を合成します.通常は中間
層・傾斜層を挟みます.DLC の硬さは 10~25GPa,厚さは 2μm 程度であり,ひげそりの
刃等に応用されています.
13
「DLC 成膜とその応用 ver.2.1」東京工業大学大学院理工学研究科
大竹尚登
WEB バージョン 2011
3.DLC の機能複合化
第1章で述べた通り,DLC 自身すでに多くの優れた特徴を有していますが,さらに
DLC に他機能を付与できれば,表面処理材料としての魅力はさらに増すこととなり,将
来のマーケット拡大に寄与すると考えられます.DLC に機能を付与するためには他材料
とハイブリッド化するプロセスが不可欠です.
ハイブリッド化のひとつの方法は,他元素・化合物を DLC 内に取り込ませる第三物質添
加法です.ここでは基材,DLC と異なる観点から第三物質と呼んでいます.この複合化の
例としてはフッ素原子を膜中(主に膜表面)に導入することによって撥水性を発現させる
方法が挙げられます
39).また,主に金属原子を導入することで,通常
GPa オーダである
DLC 内の圧縮の内部応力を低減させ,耐摩耗性能を向上させる方法も第三物質添加法に分
類できると思います.多くの元素が DLC への添加元素として試みられていますが
40),Si,
W,Cr,Ti が最も良く用いられています.多くの例では中間層から組成を傾斜させて DLC
層に繋げています.例えば基板→WC-C→DLC や窒化処理基板→Si-C→DLC-Si といった具
合です.また DLC 層中に厚さ方向にサイクリックに第三物質濃度を変化させる例もありま
す.
なお,基板と DLC の間
に Si を入れることは,付
DLC膜
連続膜構造
t
中間層
セグメント構造
基材
着力の向上に役立ちます.
基材に変形を与える
Si を入れたときの界面に
ついては,以下の論文を御
クラックが発生
クラックの発生を抑止
覧下さい 41).
http://apex.ipap.jp/link
?APEX/1/035002/pdf
ハイブリッド化の第2
の方法は DLC と第三物質
溝部分で基材が局所的に変形を起こ
しクラックの発生が抑制される
とを積層させる方法です.
ナノダイヤモンドと DLC
を積層させたり
(a)セグメント構造 DLC の概念図
42) ,TiC
と DLC を積層させたりす
る方法
43)等があります.
積層の方向は膜厚方向の
みとは限りません.私たち
の開発したセグメント構
造 DLC は,横方向に見て
DLC と第三物質を積層さ
(b)セグメント構造 DLC の光学顕微鏡写真
14
図 14 セグメント構造 DLC 膜
「DLC 成膜とその応用 ver.2.1」東京工業大学大学院理工学研究科
せた構造です
大竹尚登
WEB バージョン 2011
44)45).この方法による機
0.2
Friction coefficient
能の複合化の実例を簡単に紹介しまし
ょう.
セグメント構造 DLC は,図 14 に示
すように碁盤の目のように DLC 膜を離
散化したものです.これは,DLC 膜を
Load 1N
Ball:  6 (SUJ2)
0.1
SDLC film
FC-SDLC film
合成する時にメッシュのマスクを掛け
0
0
ておくことでつくることができます.溝
部を有するのが特徴で
200
400
600
800
Number of revolutions
44),基材の変形
(a)
時にひずみを吸収することで DLC 膜の
1000
ボールオンディスク試験結果
破壊を抑制する効果があったり,溝部に
150
アブレシブ摩耗を抑制したりする効果
があるのです.同時にこの溝部に第三物
質を添加できます.市販のスプレーを用
いてフッ素樹脂を添加すると 45),図 15
に示すように摩擦係数が DLC のみの場
Contact angle [degree]
デブリ(摩耗粉)をトラップすることで
100
50
合と比較して顕著に低く,かつ静的水滴
0
0
接触角が 100°程度の撥水性を有する
20
40
60
80
100
Coverage of DLC films [%]
ハイブリッド DLC 膜を簡単に形成する
(b)
ことができます.低摩擦係数の状態は,
静的水滴接触角測定結果
セグメント溝のフッ素樹脂が徐々に界
面に供給されてなくなるまで,長時間維
持されます.フッ素樹脂に限らず,DLC
図 15 セグメント構造 DLC と溝部にフッ素樹脂を導
入したハイブリッドセグメント構造 DLC のボールオ
ンディスク試験結果及び静的水滴接触角測定結果
と他材料との組み合わせは無限である
点がこのセグメント構造の特徴になっています.
4.DLC 技術の環境調和性
これまで,DLC が低摩擦・高耐摩耗性により機械を支えていること,また将来さらにそ
の役割が増加するだろうと述べました.翻ってここ数年 DLC の研究者が増加し,使用実績
が近年年率 30%/年を越える高成長を維持しているのは,これまで述べてきた DLC の高い
トライボ特性とともに,環境問題に寄与したいという直接要因であれ法規制等による間接
要因であれ,担当する研究者・技術者の頭の中に,環境問題があるためと言って良いと思
います.中東は法規制と DLC 普及との関係について細かく分析を行ってそれを裏付けてい
ます 10).実際,ビジネスを展開するに際しても,環境に対して調和性があることは追い風
になります.それでは,DLC コーティングによって一体どの程度環境負荷は低減されるの
15
「DLC 成膜とその応用 ver.2.1」東京工業大学大学院理工学研究科
大竹尚登
WEB バージョン 2011
でしょうか.実はこの問いに正面から答えるまとまったデータは現在用意されていません.
東日本大震災は,我々に省エネと節電に否応なく正面から取り組む環境をつくりました.
その環境下にあっても,我々は CO2 排出量削減を始めとする地球環境問題から逃れられる
訳ではありません.DLC がどの程度 CO2 削減に貢献できるかを知りたいものです.
幸い,ニューダイヤモンド誌の編集委員会が中心になって DLC の LCA 分析を行い,DLC
コーティングによる CO2 削減量等の半定量化について検討しています 46)47).現在検討中の
分析の一端を,超硬合金工具を例として紹介しましょう.
ここでは超硬合金工具に DLC コーティングした際のエネルギー,温暖化ガス排出量,環
境負荷,資源使用量及び最終埋立量を 2010 年基準で LCA 分析した例を述べます.まず基
礎資料として国内の 2005 年度の超硬切削工具生産量は 4,713t です 48).近年の生産量はほ
ぼ横ばい傾向にあることから 2010 年の生産量を 5,000t と仮定します.また,DLC コーテ
ィングを施すことによりアルミ切削時の工具の寿命は 3 倍に延び,さらに3回リコートし
て用いると考えます.DLC コーティング切削工具の用途は主にアルミ合金で,鉄鋼材料用
にはまだ適用されていませんが,ここでは一律に全ての工具の寿命が3倍になり,3回の
リコートを実施すると仮定します.
図 16 に加工時の消費電力が DLC コーティングにより-1%及び-10%となったと仮定し
たときの環境負荷量の相対比較 のグラフを示します.いずれの場合も,寿命が3倍に延長
し,3回リコートして用いることで,バージン資源使用量と最終埋立量が大きく低減して
いるのがわかります.また,DLC コーティング工具使用時の消費電力削減効果が 1%の場
合,DLC コーティングによる CO2 削減量は約 10 万 t と推定されます.これは,1年間に
生産される工具のライフサイクル全体での削減量です.ちなみに,人 1 人が 1 日あたりに
呼吸(代謝)によって排出する CO2 を 0.6kg とすれば,年間での総排出量は 220kg ですから,
超硬切削工具に DLC をコーティングすることによって約 45 万人分の CO2 排出量が削減で
きることになります.また杉の木 1 本あたりの年間 CO2 吸収量は約 14kg である 49)ことを
考えれば,杉の木 700 万本分以上に相当する CO2 削減効果が得られることになります.
このように,切削工具においては DLC コーティングによりどの程度の寿命が延びるか,
何回リコートできるかがバージン資源使用量と埋立量に影響します.また,使用時の電力
がどの程度低減できるかが CO2 排出量及びエネルギー使用量に影響を及ぼします.今回の
分析では潤滑剤の量を変化させていませんが,DLC コーティングにより切削油使用量が削
減できれば BOD,COD の低減効果も期待できます.
一方,切削工具の DLC コーティングの適用範囲は,現状ではアルミ合金用や軟質黒鉛用
に制限されています.日本国内の鉄の年間使用量は約 7,000 万トン=9×106m3,アルミは
370 万トン=2×106m3 であることを考えると,DLC コーティング工具の用途がアルミ用に
限定される間は,CO2 削減効果は本見積の 1/5 程度の約 2 万 t (DLC コーティング工具使
用時の消費電力削減効果が 1%である場合)となります.鉄鋼材料に対しての DLC コーテ
ィング切削工具の適用研究は始まったばかりで,その環境負荷低減の効果は顕著なことか
16
「DLC 成膜とその応用 ver.2.1」東京工業大学大学院理工学研究科
大竹尚登
WEB バージョン 2011
ら,今後の発展に大いに期待したいところです.
DLCコート
エネルギー
1
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
最終埋立量
ノンコート
温暖化ガス排出量
バージン資源使用量
一般的環境負荷
(a) 消費電力削減効果1%
DLCコート
エネルギー
1
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
最終埋立量
ノンコート
温暖化ガス排出量
バージン資源使用量
一般的環境負荷
(b) 消費電力削減効果10%
DLC コート(電力削減
DLC コート(電力削減
1%)
10%)
エネルギー
0.988
0.904
1.0
温暖化ガス排出量
0.989
0.893
1.0
一般的環境負荷
0.968
0.877
1.0
バージン資源使用量
0.113
0.113
1.0
最終埋立量
0.114
0.114
1.0
ノンコート
図 16 DLC の切削工具応用の LCA 分析結果
(DLC による工具使用時の消費電力削減効果を,(a)では1%,(b)では 10%としている.)
17
「DLC 成膜とその応用 ver.2.1」東京工業大学大学院理工学研究科
5
大竹尚登
WEB バージョン 2011
DLC を利用した教育 50)
DLC はダイヤモンドに近い材料であること,プラズマを使った比較的簡単な成膜法が使
えることから,高校生の興味を惹く存在と言って良いでしょう.実際,ダイヤモンド合成
においては,東海大の広瀬教授が教育としてのダイヤモンド合成に尽力し,大きい足跡を
残しています 51).
筆者は,是非高校生に DLC 成膜を体験して欲しいと思い,SPP プログラムの中でその機
会を得ました.安原鋭幸助教,青木佑一 D2(当時)と相談して高校1~3年生を対象に2
日間の「DLC をつくろうプログラム」を構成し,まず高校に赴いてプラズマと炭素材料に
ついて講義し,プラズマや材料に興味をもってもらうとともに,成膜方法の説明をしまし
た.そして次週に皆で大型バスに乗って大学に来てもらい,全員の生徒が本学で一人ずつ
DLC 成膜を体験しました.成膜方法は,図3とほぼ同じプラズマ CVD 法です.
この際,基材の単結晶シリコンウエハ上に,各自紙を切ってマスクを貼りつけて,その
後に DLC をコーティングすることで,30 余名の生徒がオリジナルの DLC コーティングを
つくれるように考えました.図 17 は,マスクを切り抜いている生徒達です.ナイフを使う
のでこちらは緊張しましたが,幸い事故はありませんでした.成膜後に,図 18 に示すよう
に一人ずつ大学院の学生とともに DLC コーティングを体験します.真空を引いた後のプラ
ズマ発生の瞬間には誰もが感動するようで,人数に等しい歓声を聞くことが出来ました.
図 19 は成膜後の例です.随分凝った絵柄ですね.ほかに,世界地図を描いた生徒さんもい
ました.幸い全員がコーティングに成功し,コーティングされた芸術作品(かな?)を持
って東工大を後にしました.DLC コーティングは,比較的簡単な装置で実験できることか
ら,高校でも実験の可能な良い教材になるのではないかと感じています.
図 18 DLC 合成時のようす
図 17 マスキング中の神奈川県立横須賀高校
18
「DLC 成膜とその応用 ver.2.1」東京工業大学大学院理工学研究科
大竹尚登
WEB バージョン 2011
5.おわりに
随分長い原稿になりました.最後までお読
みいただいてありがとうございました.お気
づきのように,多くの研究者の長い間の努力
により,DLC コーティングの主要目的である
低摩擦・耐摩耗性コーティング技術はかなり
進み,潤滑剤とのマッチングやリコート技術
も順次クリアされ,実用範囲が拡大していま
す.今後はトータルのコーティングコストの
削減(成膜効率の改善,さらなる高信頼化,
図 19 DLC コーティングした作品例
成膜工程の単純化,有機溶剤の使用量低減な
ど),ドライ応用の展開等が求められるでしょう.大気圧・準大気圧合成プロセスは,その
一つの解決法です.また,表面微細構造の付与は材料設計との両輪としてトライボロジー
特性の向上に大きく貢献するものと思います.本稿の表面微細構造を有する DLC をひとつ
の例として,多くの工夫がなされることを期待しています.
また,DLC の CO2 排出量低減効果についてはかなり大きい効果があります.電力でいえ
ば 0.40kg-CO2/kWh の排出量があるので,世の中で動いている物の摩擦係数がすべて半分
になったら CO2 排出量低減にどれくらい貢献があるか,簡単に想像できると思います.生
体・医療応用,ガスバリアコーティングも DLC の特徴を生かした優れた技術です.複数の
優れた特性をハイブリッドすると,DLC の強みが際立ちます.
DLC の特性やその応用例についてさらに詳細を知りたいという方は,参考文献の 5),9),
C. Donnet, A.Erdemir Ed.: Triboligy of Diamond-Like Carbon Films, Springer (2008)な
どの書籍をお読みになるか,最近の雑誌解説を参照なさると良いでしょう.
・ニューダイヤモンド,ニューダイヤモンドフォーラム,96(2010)
・未来材料,NTS,3011-6(2011)
DLC 特集
特集 DLC
などは纏まっていてお薦めです.耐熱温度は?内部応力は?耐面圧は?といった疑問にあ
る程度答えてくれます.
図 20 に DLC の機械・光学応用研究・開発を行っている組織の例を示します.東京,神
奈川,石川,岡山,長崎の産技センターなど,地域のセンターでも DLC を扱っている部門
を有する所が多くあります.相談なさってみるのも良いと思います.もちろん私の所を含
め大学も Welcome です.
ようやく version を更新できました.version1は大変多くの方にお読みいただいたよう
で,感謝しています.今後の DLC 技術と応用の進展を期待します.
19
「DLC 成膜とその応用 ver.2.1」東京工業大学大学院理工学研究科
大竹尚登
WEB バージョン 2011
最後になりますが,千年に一度と言われる東日本大震災によって,多くの尊い命が奪わ
れました.お亡くなりになられた多くの方々に深い哀悼の意を捧げます.また,被災さ
れた方々に衷心よりお見舞い申し上げます.東北及び関東地方の企業・大学等の現状を
お知らせいただく度に大変胸が痛みます.さらに,地震と津波の被害地域,福島原子力
発電所など被災地において復興のために昼夜を問わずご尽力なさっておられる方々に,
敬意を表し感謝申し上げ筆を置きます.
謝辞
本 HP の執筆に際しご助言をいただいた元東工大の青木佑一博士及び足立雄介氏,赤坂
大樹博士,東工大の高島舞さんをはじめとする現役学生,日本ガイシ(株)の近藤好正博士及
び齋藤隆雄博士,(株)iMott の松尾 誠氏及び岩本喜直氏に謝意を表します.LCA は名大時
代の大石竜輔君,黒田剛史君,中川拓君の努力に依ります.また原稿の校正とアップロー
ドは柏原奈美さんに御願いしました.感謝します.
2011.11.26
日本におけるDLC機械・光学応用の
研究組織俯瞰図
自動車部品
機械応用基礎
トヨタ自動車 日産自動車
本田技研 マツダ 豊田中研 ボッシュ
デンソー 日本ピストンリング
リケン 帝国ピストンリング
日立製作所 ヤマハ カヤバ
ショーワ JTECT コマツ
トーヨーエイテック・・・
機械部品
中部大,名工大,東工大,
長岡技科大,日大・・・
ARコーティング,窓
凸版印刷・・・
その他新光学的応用
原研
住友電工,ナノテック・・・
図 20
AIST(つくば,中部,関西) JAXA KSP 都立産技セ 神奈川産技セ,大阪産技
総研 石川工試岡山技セ 長崎工技セ・・・
切削工具
シチズン 上尾精密 カシオ ソニー
TDK 日立マクセル 松下電器産業
日立製作所 永田精機 ブラザー
コマツ建機・・・
光学応用基礎
岩手大,弘前大,東北大 茨城大 新潟大 長岡技科大,金沢工大 日工大 日大
東大 東理大 東工大 防大 静岡大 豊橋技科大 豊田工大 名大 名工大 阪
大 関西大 阪府大 阪工大 兵庫県立大 広島大 九大 九工大 香川大 長崎
大 琉球大・・・
分布を
みると
住友電工
OSG,不二越,タンガロイ
三菱マテリアル
日立ツール・・・
受託コーティング
トーヨーエイテック バルザース
日本コーティングセンター
東研サーモテック,ユーテック
日本アイ・ティ・エフ,上尾精密
清水電設 日本電子工業
ナノテック オンワード技研
アヤボ 栗田製作所 松山技研
不二越 ナノコートTS,iMott,北熱 ・・・
DLC の機械・光学応用を行っている組織の例(順不同.全てが網羅されてはいません.
)
20
「DLC 成膜とその応用 ver.2.1」東京工業大学大学院理工学研究科
大竹尚登
WEB バージョン 2011
余談
DLC は万能だ!と信じすぎると,応用時に失敗します.DLC の何割かは炭なのですから,ダ
イヤモンドと同じではありません.面圧が大きかったり,温度が高かったりすると削れます.け
れど,多くの DLC は Ti 系,Cr 系など,他のコーティング材料と比較して顕著に摩擦係数が低
く,かつ同等またはそれ以上の耐摩耗性を有するのは事実です.低摩擦係数と耐摩耗性をあわせ
持つのは,DLC の強みです.一発で製品への適用がうまく進むかはわかりませんが,新材料と
しては try することで成功する可能性の高い材料であると言えます.まずは try から始めません
か.
参考文献
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この原稿は,DLC の研究・開発をなさる方の参考にしていただくように書いたものです
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