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花ひらく創造都市へ 私たちがやるべき事

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花ひらく創造都市へ 私たちがやるべき事
資料
第7回札幌市文化芸術基本計画検討委員会
花ひらく創造都市へ
私たちがやるべき事
札幌市文化芸術基本計画
<平成 26 年度見直し案>
2
資料
はじめに
文化芸術活動の成果が次々と花ひらくように
循環して生み出されていく、
「花ひらく創造都市」の実現を目指します。
(平成 21 年度「札幌市文化芸術基本計画」第 1 章より)
この 5 年間で、どれくらいの「花」がひらきましたか?
この先の未来に、どれくらいの「花」をひらかせることができますか?
「札幌市文化芸術基本計画」( 以下「基本計画」という。) は、
札幌市文化芸術振興条例(以下「条例」という。)第 6 条の規定
に基づき、アンビシャス札幌 21 制定以降、行政と民間の役割
分担が変化するなど、文化芸術を取り巻く社会的背景等に対応し、
文化芸術に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための指
針として平成 21 年に策定されました。基本計画は、条例第 6 条
の規定に基づき、おおむね 5 年おきに見直しを行います。
本見直し案は、平成 21 年に策定された基本計画が初めて見直
しされるものであり、今後 5 年間(平成 26 年度~平成 30 年度)
の札幌市の文化芸術施策推進の指針となります。
今後5年間は、人口減少等をはじめ、時代が大きく変わる節目
であり、社会の仕組みも変わっていく必要があります。文化芸術
施策においても、人手や税収が不足していく状況の中で、施策を
集中的に展開したり、これまで以上に市民や企業等を巻き込んだ
ものとなっていくべきです。そのような視点に重きを置いて、よ
り実効的な計画となるよう見直しを行います。
1
目 次
はじめに
第 1 章 基本計画策定の趣旨
1 札幌市の目指すところ
2 基本計画の位置づけ
3 なぜ見直しを行うのか
第 2 章 前基本計画期間における取組みの検証と社会的背景
1 前基本計画における取組みの検証
2 文化芸術を取り巻く社会的背景
3 見直しの方向性
第 3 章 計画推進のための体系
第4章 重点取組項目
1 重点取組項目
2 4つの「重点施策」
① 市民交流複合施設計画の推進
ア 高機能ホールによる舞台芸術等の振興
イ アートセンターによる文化芸術の一層の推進
② 国際芸術祭の開催
③ 次世代博物館計画の策定
④ 文化資産の保存と活用
3 2つの「環境整備」
① 基本計画の推進・評価の取組に向けた検討
② 情報発信・共有システムの検討
第5章
1
2
3
4
今後の札幌の文化芸術振興施策
土を耕す・・・・基盤整備
種を蒔く・・・・未来への布石、育成
実らせる・・・・支援、保存・活用
蓄え、伝える・・情報の蓄積と発信
おわりに
参考資料
前計画における事業の点検・評価表
円卓会議からのメッセージ(2 期分)
文化芸術意識調査の概要報告 etc...
2
■本基本計画の全体像
3
第1章 基本計画策定の趣旨
1 札幌市の目指すところ
札幌市は昭和 38 年(1963 年)に制定した「札幌市民憲章」において、
「世界とむ
すぶ高い文化のまちにしましょう」との理念を掲げ、早くから文化芸術施策の重要性
に着目し、平成 9 年(1997 年)には長期的な視点に立った文化芸術振興の指針を体
系的に明らかにした「札幌市芸術文化基本構想(通称:アンビシャス札幌21)
」を策
定し、文化芸術都市として様々な成果をあげてきました。
平成 19 年(2007 年)には「札幌市文化芸術振興条例」が制定され、改めて「市
民が心豊かに暮らせる文化の薫り高き札幌のまちづくりを目指す」ことが掲げられ、
そのための指針として、基本計画を策定する条項が盛り込まれました。これを受け、
平成 21 年(2009 年)に文化芸術に関する施策を総合的・計画的に実施するための
指針として「札幌市文化芸術基本計画」を策定しました。
私たちが住む札幌は、開拓使時代のフロンティアスピリッツを心の支えとして、創
造的で自由な発想によって時代時代の課題を克服し、世界に誇るまちへと進化してき
ました。今、人口減少と超高齢化社会の到来という時代の転換点に立ち、改めて札幌
の魅力を磨き上げ、地域経済を牽引するために必要とされるものは、人が持つ「創造
性」をいかに発揮できるかにあります。
そのような思いのもと、札幌市では、平成 18 年(2006 年)に「創造都市さっぽ
ろ」を宣言し、創造性を刺激する様々な取組を展開しているところです。
平成 21 年(2009 年)策定の「札幌市文化芸術基本計画」でも、この「創造都市
さっぽろ」を、文化芸術的側面から実現していくために、
「文化芸術活動による成果が
次々と花ひらくように循環し生み出されていく「花ひらく創造都市」の実現」を基本
計画のめざすところとして掲げ推進してきました。
前基本計画が目指すところとした、この「文化芸術活動による成果が次々と花ひら
くように循環して生み出されていく「花ひらく創造都市」の実現」を、平成 26 年度
からの基本計画でも継続的に目指します。
000【札幌市民憲章】XXXXX
000【札幌市芸術文化基本構想】XXXXX
000【札幌市芸術振興条例】XXXXX
000【創造都市さっぽろ】XXXXX
4
2 基本計画の位置付け
札幌市文化芸術基本計画は、平成 19 年(2007 年)に制定された「札幌市文化
芸術振興条例」第6条に基づき策定するもので、文化芸術を取り巻く社会的背景など
に対応し、文化芸術に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための指針です。
また、平成 25 年度に、これまでの札幌市基本構想と札幌市長期総合計画に代わる
最上位計画として策定された「札幌市まちづくり戦略ビジョン」を受けた個別計画に
位置付けられます。
画
個別計
札幌市文化芸
術基本計 画
略
まちづくり 戦 ビジョン
(平成25年) 札幌市文化芸
術振興条例
(平成19年) 画
中期実施計
施策・事業に反映 3 なぜ見直しを行うのか
前基本計画策定の際に掲げた社会的背景「行政と民間の役割分担の変化」「新たな
担い手の出現」
「地方分権の進展」
「コミュニティの変化」に加え、策定後の5年間で
は、東日本大震災の発生や劇場法の施行など、様々な社会情勢の変化がありました。
札幌市文化芸術基本計画は、「札幌市文化芸術振興条例」第6条に基づきおおむね
5年おきに見直しを行うこととなっており、本基本計画は、「花ひらく創造都市」の
実現に向け、平成21年に策定された前基本計画策定後5年間の社会的背景の変化や
国の文化芸術振興施策の変化などを踏まえ、今後5年間(平成 26 年度~平成 30 年
度)の指針として、策定するものです。
000【札幌市まちづくり戦略ビジョン】XXXXX
000【劇場法】文化芸術振興基本法の基本理念に基づいて、劇場・音楽堂・文化ホールなどの機能を活性化し、音楽・
舞踊・演劇・伝統芸能・演芸の水準の向上と振興を図るために制定された法律(劇場、音楽堂等の活性化に関す
る法律)。
5
第2章 前基本計画期間における取組みの検証と社会的背景
1 前基本計画期間における取組の検証
この章では、「札幌が文化芸術を振興することによって街を元気にし、元気な街が新
たな創造を生み出していく『花ひらく創造都市』」の実現に向けて、様々な観点から、
前基本計画の成果、5 年間の社会状況の変化を確認するとともに、見直しの方向性をし
めします。
(1)前基本計画の検証
まず最初に、前基本計画が掲げた 4 つの基本目標
「札幌市の文化芸術を育てる」
「札幌市の文化芸術をつなぐ」
「札幌市の文化芸術を発信する」
「札幌市の文化芸術を継承し、活かす」
のもとで計画された施策の取り組み状況に関して検証を行います。
検証にあたっては、特に、前基本計画策定時に社会的背景として挙げられた「行政
と民間の役割分担の変化」「新たな担い手の出現」「地方分権の進展」「コミュニティ
の変化」をふまえ、NPO、ボランティア、各種教育機関等との新たな担い手による
様々な活動の広がり、協働による新たな取組の状況にも着目して、ふりかえります。
◎札幌の文化芸術を育てる
札幌が文化芸術を通した創造活動を続けていくためには、
文化芸術活動の新たな担い手を育成し、活躍できる環境づく
りを進めることが必要との視点に立ち、①多様な芸術イベン
トの開催、②文化芸術のための施設の整備・活用等、③子ど
もたちの文化芸術活動の充実、④アーティストのステップア
さっぽろアートステージ事業
ップ促進の取組みを進めてきました。
<具体的な成果>
①多様な文化芸術イベントの開催
○さっぽろアートステージ事業では、文化芸術団体や民
間企業、学校などと連携して、演劇や音楽、美術など
を中心に多彩なイベントを展開しました。
さっぽろアートステージ事
業では、平成 21 年では約
34 万人だった入場者数が
平成 23 年では 70 万人に増
加。
000【さっぽろアートステージ事業】11 月を文化芸術月間と位置づけ、市内各所において音楽、美術、演劇、メディア
芸術などの文化芸術イベントを集中的に開催。
6
②文化芸術のための施設の整備・活用等
○あけぼのアート &コミュニテ ィセンターを整 備し、
NPO 法人による管理運営、文化芸術活動を行う個人、
団体や地域住民に活用されています。
○500m 美術館を常設化することで現代アートが市民に
とって身近なものとなるとともに、アートマネージャ
500m美術館
ー養成の現場として、大学教授、学芸員、アートディ
レクター、アーティストなどのアドバイスを受けなが
らボランティアによる企画立案、管理・運営を実践的
に体験する協働の取組みが実現しています。
○札幌駅前通地下歩行空間広場を活用し、札幌駅前通ま
ちづくり株式会社の管理運営のもと、文化芸術関連の
Kitara ファーストコンサート
イベント、展示、情報発信など、個人から企業に幅広
く活用され、にぎわいを生み出しています。
③子どもたちの文化芸術活動の充実
○Kitara ファーストコンサート、おとどけアート、ハロ
ー!ミュージアム、子どもの映像制作体験事業、ここ
ろの劇場などの事業を実施し、若者や子どもたちが文
化芸術に親しむきっかけづくりに取り組んできました。
④アーティストのステップアップ促進
○演劇公演・創造活動支援事業による、演劇作品の創造
活動拠点や優れた演劇作品を再演する機会に対する補
助、本郷新賞を若手芸術家を対象とする賞への見直し
など、アーティストのステップアップのための支援、
環境整備に取り組んできました。また、札幌演劇シー
ズンでは、公益財団法人、NPO 法人、民間企業等によ
る実行委員会により、定期的な公演が開催され、札幌
Kitara ファーストコンサ
ートへの参加校は、毎年約
200 校 、 参 加 児 童 数 約
16,000 人。
ハロー!ミュージアムへの
参加校・参加児童数は、平
成 20 年度の 14 校・833 人
から、平成 24 年度には 183
校・13,790 人に増加。
子どもの映像制作体験事業
では、平成 24 年度に制作
した作品が、平成 25 年開
催「第 21 回キンダーフィ
ルムフェスティバル ティ
ーンズコンペティション」
でグランプリを受賞、日本
代表作品になる。
こころの劇場への参加校・
は、毎年約 180 校、参加児
童数約 14,000 人。
の演劇文化の振興に寄与しています。
000【あけぼのアート&コミュニティセンター】平成 16 年(2004 年)3 月に閉校となった中央区の曙小学校跡施設を
「文化と芸術の薫りが街を元気にする拠点施設」というコンセプトのもと、文化芸術と地域の融合を目指し整備
した、地域に根ざした新しい形の文化芸術活動拠点。
000【500m美術館】地下鉄大通駅〜バスセンター前駅の地下コンコース間に設置された現代アートの展示空間。
000【Kitara ファーストコンサート】市内の小学6年生全員を対象として、札幌コンサートホール Kitara でオーケス
トラ演奏を鑑賞・体験の機会を提供。
000【おとどけアート】小学校にアーティストを派遣し、学校で子供たちと一緒に作品等を制作する「アート体験」を
通じて、子供たちの芸術的感性を育むことを目的として実施。
000【ハロー!ミュージアム】優れた芸術を鑑賞するなどの創造的な活動に取り組む機会として、各学校に出向き事前
学習を行ったのち、児童を芸術の森に招待する事業。
000【子どもの映像制作体験事業】映像文化の将来の担い手を育成するため、子供たちを対象に、札幌の魅力ある場所
を撮影舞台として、プロの指導のもとメディア芸術を実践して学ぶことができる取組。
000【こころの劇場】市内の小学校6年生を劇団四季のミュージカルに無料招待する事業。
000【本郷新賞】XXXXXXXX
000【札幌演劇シーズン】XXXXXXXXX
7
◎札幌の文化芸術をつなぐ
施設活用を中心とした文化芸術振興から、文化芸術活動
の幅の広がりや価値観の多様化に応えていくために、①連携
による新たな事業の構築、②文化芸術をつなぐ新たな役割の
育成・支援、③アートセンターの検討、④意見交換の仕組み
の構築に取り組んできました。
<具体的な成果>
芸 術 の 森 クラフトマーケット in 大 通
( さ っぽろオー タ ム フ ェ ス ト )
①連携による新たな事業の構築
○既存の観光イベントと連携した様々な文化芸術的要素
を含むイベントの実施や、道内の地域や団体との新た
な連携事業として NPO 法人アルテピアッツァ美唄と
の協力により、安田侃野外彫刻展—街に触れるーを開
安田侃屋外彫刻展
催しました。
○モエレ沼公園においては、市民団体と連携した音楽イ
ベントモエレのホワイトクリスマス、冬のアートイベ
ント SNOW SCAPE MOERE、市民による市民のた
めの夏祭りモエレサマーフェスティバルなどが開催さ
れました。
モエレのイベント
○札幌国際短編映画祭は、文化振興・国際交流・映像教
育等において重要な役割を果たしてきたとともに、産
業振興分野との連携にもつながりました。
札幌国際短編映画祭への来
場者は、平成 22・23 年度で
は 1 万人を超えている。
②文化芸術をつなぐ新たな役割の育成・支援
◯アートマネジメントの人材育成・活動支援、アートボ
ランティアネットワークの構築について、市民交流複
合施設内に設置を予定しているアートセンター内の機
能のひとつとして検討を進めています。
③アートセンターの検討
○平成 21 年~22 年の2年間、芸術家や学識経験者など
アートセンターのためのサロントーク
外部委員からなるアートセンター検討委員会を設置し、
そこでまとめられた提言書をもとに具体化に向けて検
討を進めているほか、アートセンター機能のひとつで
ある情報発信の一環として、
「アーティストバンク」の
試行を始めています。
000【アートセンター】XXXXXXXXXX。
000【札幌国際短編映画祭】平成 12 年より開催してきた「ショートショートフィルムフェスティバル in 北海道」を母
体に、平成 18 年より開催(札幌市は平成 18 年より主催として加わる)している短編映画祭。
000【アートマネジメント】XXXXXXXXXX。
000【アーティストバンク】札幌市内で活躍するアーティストの情報を登録し、出前講座等を希望する方に、ホームペ
ジで紹介するもの。
8
④意見交換の仕組みの構築
○札幌の文化芸術のあり方について、市民・芸術家・関
係団体等が自由に意見交換し、芸術文化に関する生の
声を施策に活かすことを目的に、札幌文化芸術円卓会
議を設置しました。
札幌文化芸術円卓会議
◎札幌の文化芸術を発信する
市民や国内外の観光客がいつでもどこでも必要に応じて
文化芸術に関する情報を得ることができる仕組みづくりや、
効果的な情報発信により札幌の都市発展につなげ、文化芸術
イベントを集客交流資源としていくために、①情報発信機能
の強化、②国際イベント・活動団体に対する支援に取組んで
きました。
観光文化情報ステーション
<具体的な成果>
①情報発信機能の強化
○観光文化情報ステーションの移設・機能拡大に向けた
検討をすすめました。また、イベント登録件数も増加
しており、利用者に多くの情報提供を行ってきました。
イベント登録件数
平成 22 年度:8,783 件
平成 24 年度:9,078 件
②国際イベント・活動団体に対する支援
○PMF(パシフィックミュージックフェスティバル)の
開催により、世界レベルの質の高い文化芸術の取組を
継続し、広く発信してきました。
○サッポロ・シティ・ジャズは、平成 25 年度の開催に
あたり、会場であるテントの規模の拡大や東京公演の
開催により、札幌市民、道内、国内へ魅力を発信して
きました。
○文化振興に重要な存在となっている札幌交響楽団への
PMF コ ン サ ー ト
サッポロ・シティ・ジャズ
の来場者数は、平成 21 年の
約 35,600 人から平成 23 年
には、約 116,000 に増加。
支援等を行ってきました。
000【札幌文化芸術円卓会議】今後の札幌の文化芸術のあり方について議論を進めるにあたり、市民と市長の直接対話
の場を設けるなど、札幌文化芸術基本条例10条に規定された、自由な意見交換の仕組みに位置づけられるもの。
000【観光文化情報ステーション】平成 19 年に、市民や観光客を対象として文化・観光情報を 1 か所で手軽に入手で
きる施設として開設。札幌駅前通地下歩行空間への移設とともに、より快適で利便性の高い施設として検討中。
000【PMF(パシフィックミュージックフェスティバル)XXXXXXXXXX。
000【サッポロ・シティ・ジャズ】XXXXXXXXXX。
9
◎札幌の文化芸術を継承し、活かす
札幌において長い歴史の中で育まれてきた文化遺産や自
然遺産の価値を認識し、再評価していくとともに、五感を使
った体験を通して新たな感動が生まれる場を提供し、次世代
に継承していくことを目標に、①文化遺産・自然遺産の保
存・継承と理解促進に取り組んできました。
アイヌ模様タペストリー
(札幌駅前通地下歩行空間)
<具体的な成果>
①文化遺産・自然遺産の保存・継承と理解促進
○文化財保護指導員による文化財普及講座を継続して実
施しました。
○市民、事業者、行政が互いに協力して、札幌の歴史的
な景観資源を街並みづくりを行うためのガイドブック、
歴史を活かした景観まちづくりガイドの作成、文化財
や景観重要建造物等の景観資源を一体的に紹介する小
冊子「れきけん×ぽろたび」を発行しました。
小 冊 子「れきけ ん × ほ ろ た び 」
○札幌市アイヌ施策推進計画に基づく、小中高生向けア
イヌ文化体験講座の継続開催を実施しました。
○重要文化財「豊平館」の保存修理および集客交流資源
としての整備について、専門家、市民等からなる検討
委員会による検討を開始しました。
○様々な人や機関との連携・交流を図りながら、市民参
加・ソフト重視の博物館づくりを進め、市民主体の企
画展示の開催、年間を通じた各種講座、体験学習など
の普及交流を継続的に行いました。
000【◯◯◯◯】XXXXXXX。
10
アイヌ文化体験講座
(2)「文化芸術意識調査」結果
平成 23 年度に実施した「文化芸術意識調査」からは、札
幌市の文化芸術施策に対して市民がどのような意識を持っ
ているのかを知ることができ、今後の大きな参考となりまし
た。
○札幌市の文化芸術環境(文化芸術施設、鑑賞機会、参
調査対象:
①無作為抽出した 15 歳以
上の市民 10,000 人への
アンケート郵送
<回答総数 2,895 件>
②文化芸術施設における対
面式アンケート
<回答総数 3,485 名>
文化芸術環境に対する満足度
加機会)に対する満足度調査結果は、郵送アンケート
2.6 %
満足 している
5.0 %
どちら かとい えば満 足し
では「満足している」5.0%、「どちらかと言えば満足
ている
29 .4%
3 5.1 %
どちら かとい えば満 足し
ていない
満足 していない
している」34.4%、会場アンケートでは、「満足して
わか らない
7 .7%
20 .2%
無回 答
いる」18.6%、「どちらかと言えば満足している」
4.6%
46.3%。
満 足し ている
どちらか といえ ば満足 し
1 3.4%
1 8.6 %
ている
どちらか といえ ば満足 し
ていない
4.8 %
満 足し ていない
12.3 %
わ からない
46 .3%
無 回答
○札幌市が他都市よりも優れている、または他都市に誇
れると思う文化芸術分野として、「クラシック」「ミュ
ージカル」「ジャズ」「彫刻」が多く回答されました。
○日常生活の中で、優れた文化芸術体験をしたり、自ら
文化芸術活動を行うことの重要性について、
「非常に大
文化芸術活動を行うことの重要性
1 .5%
非常 に大切 だと思う
1.5 %
3.2 %
ある程度大 切なこ とだと
思う
7 .8%
切だと思う」
「ある程度大切なことだと思う」の合計が、
33 .6%
あまり大 切では ない
全く大切 だと思 わない
郵送アンケートでは 86.0%、会場アンケ ートでは
わか らない
5 2.4%
無回 答
90.0%といずれも高い結果となりました。
0 .1% 3 .5%
0.8 %
非常 に大切 だと思 う
5.2 %
ある程度大 切なこ とだと
思う
あまり大 切では ない
34 .5%
55 .9%
全く大切 だと思 わない
わか らない
無回 答
000【◯◯◯◯】XXXXXXX。
11
○札幌市の文化芸術環境がより良くなることにより期待
する効果として、子供が心豊かに成長する」
「市民が生
きがいや楽しみを見いだせる」が多く回答されました。
期待する効果
市民が生 きがいや楽 しみ を見いだせ る
5 3.3%
市民同 士の交流 や社会 参加が盛 んになる
23 .8%
地域に対する誇 りや 愛着が醸 成され る
2 4.7%
地域により良い人材 が集まる
1 7.9 %
市民の 創造性が 高まり、地域社 会や
地 域経済の 活性化 につながる
3 2.1 %
子どもが心 豊かに成長す る
57 .4%
地 域のイメージが向上 する
20 .7 %
観光 客が増える など地域の集 客力が 向上 する
26 .0 %
その 他
1 .9%
特に期待 する ことは ない
4.9 %
わからない
7 .6%
無 回答
2.0 %
0 .0%
1 0.0 %
2 0.0 %
3 0.0 %
4 0.0%
5 0.0%
6 0.0%
7 0.0%
○公演や展覧会を鑑賞しやすい環境づくりに対するニー
ズとしては、
「チケット・入場料が安くなる」が一番多
く、続いて「情報がわかりやすく提供される」が多く
回答されました。
文 化芸術施 設の整備 が充実 する、
または、文 化芸術施 設が増える
開 館時間が 早まる、または、
閉館時 間が遅くなる
鑑賞しやすい環境ニーズ
25 .2 %
2 0.2%
チケット料 ・入場 料が安くなる
66.0%
全国的 ・世界 的に有名な芸術家 の公 演や
展覧 会が増 える
地域にゆかりのある芸 術家 の公 演や
展覧 会が増 える
3 6.9%
16 .3 %
情報がよりわかりやすく提供され る
57.1%
作品の解 説やワークショッ プ開 催など、
事前に作品 に親 しむ機会 が充 実する
1 9.1 %
その 他
8.0%
無 回答
5 .9 %
0 .0 %
10.0%
20 .0 %
3 0.0 %
40.0%
50 .0%
60 .0 %
7 0.0%
○札幌市の文化芸術環境をより良くするために必要だと
思う取組みとして「子供が文化芸術に親しむ機会の充
実」
「情報発信の充実・効果的な広報の実施」が多く回
答されました。
より良くするために必要な取組
ホール、 美術館 など文化芸 術施設の 整備
2 2.6 %
公演、 展覧会などソフト事業 の充 実
2 4.4 %
音楽 祭、演劇 祭、芸 術祭など大規 模事業 の開 催
23.7%
芸術 家や文化 団体の活 動に対する
支援・ 補助の拡 充
アーティストや マネジメントをする人などの
人 材育成の 強化
芸 術家の登 録制度など地域の芸 術家 を
積極的 に活 用する仕組 みづくり
21 .4%
1 7.9%
10.1%
情報発信 の充実・ 効果的 な広 報の実施
42 .8%
子どもが文化芸 術に親しむ機会 の充 実
44.3%
その他
4.8%
特 に必 要ない
3.7%
わ からない
12 .5%
無回 答
0.0%
000【◯◯◯◯】XXXXXXX。
12
2.5%
5.0% 1 0.0 % 1 5.0% 20.0% 25.0% 30 .0% 35 .0 % 40 .0 % 4 5.0 % 5 0.0%
(3)「札幌市文化芸術円卓会議」実施結果
平成 21 年度から設置された「札幌市文化芸術円卓会議」は、札幌市文化芸術振興
条例第 10 条に規定する自由な意見交換の仕組みに位置づけるものとし、前基本計画
からスタートした札幌の文化芸術のあり方について議論を進める場です。平成 24年
度までに、2 期分の会議が終わり、活動報告がなされています。
<札幌文化芸術円卓会議からのメッセージ(2期分)>
◎現状の評価システムをもっと有効なものに変えていく必要がある
・文化芸術施策の総花化を防ぎ、有意義な振興をはかるためには「行政評価」とは別の新しい
総括・検証システムの構築が必要です。
◎行政・市民(企業)・アーティストという担い手の明確化と循環・補完
・コミュニティ(札幌市)の主体として文化的生活を営み、文化芸術の享受・支援者として機
能する「市民(企業)」、新しい価値を創造し、コミュニティに提供し、文化芸術の発信者と
して機能する「アーティスト」、コミュニティの文化的な成長の指針を構築・維持し、文化
芸術の環境整備者として機能する「行政」の3つの主体を明確化します。
・これら3つの担い手を軸とした施策がスムーズに循環して、互いを補完し合うイメージをつ
くる必要があります。
◎芸術の産業化というキーワード
・この循環を力強く推進させるための核となるキーワードとして「芸術の産業化」を設定します。
・「産業化」のキーワードのもと、「市民(企業を含む)」「アーティスト」「行政」の三者の間
で芸術に関する欲求や願い、価値や便益が滞りなく循環。その結果、札幌が世界的に「文化・
芸術の街」となり、市民や子供たちが誇りを持ち、世界中からアーティストが集まり、文化
人が多く住む街としての魅力アップにつながり、「文化・芸術」が観光資源となり、観光客
が増えるといった効果を期待できます。
◎アーツセンター機能の整備
・こうしたプラスの循環を軌道に乗せるために、札幌の中心部にアーツセンターという仕組み
を整備し、市民とアーティスト、行政の拠りどころ、協働する場にします。
・アーツセンターの4つの機能「札幌らしい芸術を創りだす機能」「プロデューサーやマネー
ジャーなど実務の担い手を育てる機能」「芸術のつくり手を元気づけ、おくり手・うけ手を
世話するサポート機能」「より良い文化芸術政策・実務のあり方を研究する機能」を有機的
に紡いで実現させるために、だれがなんのためにどう働くか、必要な仕組みやハードをどう
つくるか、アーツセンターの性格を掘り下げて考える必要があります。
000【◯◯◯◯】XXXXXXX。
13
2 文化芸術を取り巻く社会的背景
(1) 国の文化芸術振興の動向
この 5 年間の国の文化芸術振興の動向を踏まえ、札幌市もこの動向を念頭に置いた
取組を行っていく必要があります。
◎文化芸術の振興に関する基本的な方針(第 3 次基本方針)の閣議決定
平成 23 年 2 月に、
「文化芸術振興を国の政策の根幹に据え、今こそ『文化芸術立国』
を目指す」ことを掲げた、文化庁「文化芸術の振興に関する基本的な方針(第 3 次基
本方針)」が策定されました。
ここでは、文化芸術振興の基本的視点として、①成熟社会における成長の源泉、②
文化芸術振興の波及力、③社会を挙げての文化芸術振興の3点が示されました。
◎劇場、音楽堂等の活性化に関する法律の施行
平成 24 年 6 月に、文化芸術振興基本法の基本理念にのっとり、
「劇場、音楽堂等の
活性化を図ることにより、実演芸術の水準の向上等を通じて実演芸術の振興を図り、
心豊かな国民生活及び活力ある地域社会の実現等に寄与する」ことを目的とした、
「劇
場、音楽堂等の活性化に関する法律」が施行されました。
法律の前文では、劇場、音楽堂等で行われる実演芸術に関する活動や、事業を行う
ために必要な人材養成等の強化の必要性、また、個人を含めた社会全体が文化芸術の
担い手であることについて国民に認識されるよう、各主体・機関等が、相互に連携協
力して取り組むことの必要性などについて述べられています。
◎クール・ジャパン戦略の推進
日本には、アニメやマンガ、食文化、旅館、伝統工芸品な
クール・ジャパンに係る
文化庁の取組
ど、欧米やアジアで人気の高い商品・サービス(クリエイテ
ィブ産業)が多数存在します。
こうした「クール・ジャパン」の人気を活かし、平成 22
年 6 月には、経済産業省にクール・ジャパン室が設置される
など、各省庁間連携による内需掘り起こし、外需取り込み、
◯海外に向けて日本文化を
発信
◯海外から人を呼び込める
文化拠点の形成
◯人材育成、人的ネットワ
ークの形成
産業構造転換による新たな収益源・雇用の確保と地域経済活性化を目指して、日本文
化の発信やブランドの維持、コンテンツの海外展開、国際共同製作の促進、海外ロケ
の誘致、コンテンツ特区の認定などの取組が進められています。
000【クール・ジャパン】XXXXXXX。
14
(2)社会状況の変化
この 5 年間、そして今後、社会状況には以下のような大きな変化が予想され、札幌
市の文化芸術施策もこの変化を念頭に置いた取り組みを行っていく必要があります。
◎文化芸術の新たな役割への社会的注目
文化芸術を戦略的に活用し、まちづくりや地域活性化につなげるアートプロジェク
トが全国各地で開催されるなど、文化芸術の新たな役割への社会的注目が高まってい
ます。また、市民参加のもと文化芸術の力により地域の活性化に取組み特に顕著な成
績をあげている市町村を、文化庁が表彰(平成 19 年より)するなど、国としても文
化芸術を他分野に活用することを推進しています。
◎文化資源・文化財継承に対する重要性の再認識
平成 23 年 3 月に発生した東日本大震災では、多くの尊い人命と財産が失われた中、
文化芸術が心に安らぎを与え、地域の絆を強め、明日への希望を与えてくれました。
また、文化財を始めとした文化資源も数多くが被災し、復旧に長い時間を必要とした
り中には滅失したものもありました。
文化資源は、人類が未来にわたって共有すべき貴重な財産であり、これらを後世に
伝えていくことが、私たちの責務であることを再認識しました。
◎「国から地方へ」「官から民へ」の流れ
国内では、
「国から地方へ」、
「官から民へ」の流れの下、民間と行政の役割分担の見
直しや、地方分権の推進等が図られています。民間においては、非営利活動やボラン
ティア活動等の活発化に伴って、民間と行政の協働による取組が進められ、企業のメ
セナ活動も多様な広がりを見せています。
◎人口減少・少子高齢化
人口減少社会が到来し、札幌市においても、これまで増加
傾向にあった人口は、平成 27 年 (2015 年)前後をピーク
に減少傾向に転じることが予測されています。
また、少子高齢化、高齢単身世帯の増加が急速に進行し、
高齢化率は平成 27 年からの 10 年間で 25.1%から 30.5%
へと上昇する見込みです。
000【アートプロジェクト】XXXXXXX。
000【企業のメセナ活動】XXXXXXX。
15
札幌市の人口の将来見通し
このような人口減少・少子高齢化、単身世帯の増加による、
高齢単身世帯数・一般世帯数に
占める割合の将来見通し
地域コミュニティの衰退や、伝統的な文化芸術の担い手不足、
また、生産年齢人口の減少による経済規模の縮小、財政状況
逼迫等による、地域の文化芸術を支える基盤の脆弱化が懸念
されています。
◎グローバル化・情報化社会の進展
国際的には、アジア諸国の経済成長や交通利便性の向上により、札幌市においても
外国人観光客の増加が見られます。また、Twitter、SNS の普及に代表される ICT(情
報通信技術)の発展により、個人レベルにおいて、地球規模での情報発信・収集が可
能になりました。
このように、国を超えて、直接的な人や物、情報の交流が盛んになり、世界が密接
に結びつく中、アーティストがこれまで以上に世界とつながり、鑑賞者も文化芸術に
惹かれて各地を巡るといった状況が生まれています。
このように、文化芸術が世界の人々と直接結びつく契機となっているとともに、観
光やまちづくり面でも大きな注目を集めるようになっています。
000【グローバル化】XXXXXXX。
000【Twitter】XXXXXXX。
000【SNS】XXXXXXX。
000【ICT】XXXXXXX。
16
(3)札幌市の動向
これらをうけて、札幌市においても以下のような動向がありました。
◎札幌市まちづくり戦略ビジョンの策定
平成 25 年 2 月に「札幌市まちづくり戦略ビジョン(ビジョン編)」、平成 25 年 10
月に「札幌市まちづくり戦略ビジョン(戦略編)」を策定しました(計画期間:平成
25 年度-34 年度)。
特徴としては、市民自治によるまちづくりを目指し、市民と共有するための「市民
計画」として位置づけ、実施型から未来実現型への転換のために、10 年後に実現を目
指すまちの姿を示し、その実現のために、市民、企業、行政など、様々な主体が取り
組むべき役割分担を明確にしています。
◎札幌における文化芸術の国際的な展開
札幌国際映画祭では、毎年、国内外から 2000 を超える短編映画が札幌に集積し、
国際交流が活発化しています。
また、擬人化されたボーカル音源でユーザーが自由に歌声合成させることのできる、
札幌発バーチャルアイドル「初音ミク」の世界的な流行など、ICT の進展により、国
境の垣根を超えた新たなスタイルの文化が生まれています。
◎創造都市さっぽろの取組
平成 18 年 3 月に「創造都市さっぽろ宣言」を行い、文化芸術の多様な表現に代表
される創造性を活かし、産業振興や地域の活性化などのまちづくりを進めています。
平成 20 年度には、文化庁長官表彰「文化芸術都市部門」を受賞しました。
平成 25 年 11 月には、ユネスコ創造都市ネットワークのメディアアーツ分野「メ
ディアアーツ都市」として加盟が認定されました。
◎札幌コンテンツ特区計画認定
札幌市は、平成 24 年 6 月に、札幌コンテンツ特区に計画認定され、映像産業の振
興、映像のプロモーション効果を活かした観光客の誘致や道産食品の海外輸出など多
様な産業への波及効果により、地域全体の活性化を目指しています。
000【札幌市まちづくり戦略ビジョン】XXXXXXX。
000【初音ミク】XXXXXXX。
000【創造都市さっぽろ宣言】平成 18 年 3 月、札幌市は、「創造性に富む市民が暮らし、外部との交流によって生み出
された知恵が新しい産業や文化を育み、新しいコト、モノ、情報を絶えず発信していく街」を目指すという意思
を示すための宣言を行いました。
000【ユネスコ創造都市ネットワーク】XXXXXXX。
000【メディアアーツ】XXXXXXX。
000【札幌コンテンツ特区】XXXXXXX。
17
◎札幌国際芸術祭の開催
「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として開催準備を進めてきた「札幌国際芸術
祭」を、「都市と自然」をテーマに、「自然」「都市」「経済・地域・ライフ」をサブテ
ーマとして、平成 26 年 7 月 19 日から 9 月 28 日の計 72 日間にわたり開催します。
◎(仮称)市民交流複合施設の検討
(仮称)市民交流複合施設内に本格的な舞台や様々なジャンルの公演の鑑賞の場、舞
台芸術の創造の場となる「高機能ホール」や、札幌の文化芸術活動全体を支え育て、
一層推進するための拠点となる「(仮称)アートセンター」の設置に向けた検討を平成
21 年度より行っています。
◎重要文化財豊平館保存活用に向けた工事及び検討
重要文化財である豊平館の保存活用に向けて、平成 21 年度より検討委員会を設置
し、耐震補強を含む保存活用工事の検討、リニューアルオープン後の活用方法の検討
を行い、保存活用工事に着手しました。
◎次世代型博物館計画の策定に向けた検討
博物館活動センターを拠点に、資料収集・保存、調査・研究、普及・交流といった
様々な活動を展開してきました。こうした活動成果の蓄積に加え、平成 24 年度より
検討委員会を設置して新しい時代に求められる博物館の検討行い、札幌にふさわしい
博物館像を構築してきました。
000【札幌国際芸術祭】XXXXXXX。
000【(仮称)市民交流複合施設】XXXXXXX。
000【次世代博物館計画】XXXXXXX。
18
3 見直しの方向性
先に挙げたとおり、前基本計画策定以降、様々な取組を実行しました。また多様な社
会状況の変化等もありました。これら5年間の動向を踏まえ、「花ひらく創造都市」の
実現のために目指すべき姿を本基本計画の見直しの方向性として定め、今後5年間の取
組を進めていきます。
(1)文化芸術に関する社会的基盤の整備
①文化芸術施設における取組の充実
「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」が施行され、文化施設等の活性化を図る
ことで、活力ある地域社会を実現していくこと、そのためには個人を含めた社会全体
が芸術文化の担い手であることを認識する重要性が謳われました。
また、札幌市では、前計画期間において、あけぼのアート&コミュニティセンター
や、500m美術館の整備、札幌駅前通地下歩行空間広場の活用など、市民や地域住
民が身近に芸術文化に触れ、運営にも市民が直接関われる場の整備を進めてきました。
市民が多様な文化芸術を享受し、また、文化芸術を市民が主体となり発展させてい
く際には、文化施設が果たす役割には大きなものがあります。そのため、これまでの
取組に加え、新たな文化芸術拠点の形成や、各施設と地域社会が有機的に結びつくよ
うな、より一層の取組の充実を図っていくことが必要です。
②文化芸術に関する情報環境の充実
札幌市では、観光文化ステーションでのイベント登録件数が平成 24 年度には約
9,000 件に登るなど、新たな文化芸術の息吹がいたるところで芽生えてきています。
しかし、文化芸術意識調査などにおいては、文化芸術に関する情報発信の充実に対す
る指摘が多く、それらの情報が市民に十分に行き渡っているとはかぎりません。
また、市民主体による文化芸術の発展を今後さらに推進していくためには、双方向
での情報発信・情報共有の仕組みを整えていくことが必要です。
③文化芸術施策の推進・評価システムの充実
札幌市文化芸術円卓会議では、文化芸術施策の総花化を防ぎ、有意義な振興をはか
るためには「行政評価」とは別の新しい総括・検証システムの構築が必要との提言が
なされました。また、札幌市が目指す市民自治によるまちづくりを、文化芸術分野か
らも推し進めていくために、各主体間連携による文化芸術施策の推進や、取組状況の
評価に向けた手法・仕組み等の検討が必要です。
000【◯◯◯◯】XXXXXXX。
19
(2)文化芸術の社会的展開
①市民・企業等との協働のコーディネート機能の充実
札幌国際短編映画祭や、モエレ沼公園での市民による市民のための夏祭りモエレサ
マーフェスティバルの開催など、札幌市主体の事業だけでなく、市民や民間の文化芸
術団体等による事業が活発化してきているほか、企業メセナ活動の広がりが見られる
ようになりました。これらの民間活力を、これからの文化芸術施策の推進に取り込ん
でいくために、行政の役割も明確にしながら、市民、企業、アーティストが多様な役
割を担い連携を強化していくコーディネート機能の充実が必要です。
②さらなるこどものきっかけづくりが必要
Kitara ファーストコンサートや、ハロー!ミュージアム、子どもの映像制作体験
事業など、若者や子どもたちが文化芸術に親しむきっかけ作りの事業に成果が出始め
ています。将来にわたり文化芸術活動を継承し、発展させ、活力ある地域社会の繁栄
をもたらすためには、こうした新たな創造の芽を大切に育み、発展させていく必要が
あります。
③様々な分野と結びつく取組が必要
人口減少・少子高齢化社会を迎え、地域コミュニティの衰退や財政状況の逼迫など
の課題が顕在化する中、国の第3次基本方針では、成熟社会における成長の源泉とし
て文化芸術振興を位置づけ、文化芸術が持つ社会への波及効果を視野にいれた取組の
重要性が謳われました。
札幌市においても、現在、グローバル化・情報化社会の進展を背景とした文化芸術
の国際的な展開が見られるほか、創造都市さっぽろ、札幌コンテンツ特区、札幌国際
芸術祭開催に向けた取組など、文化芸術が持つ多面的機能を活かした取組が進められ
ています。
これらの既存の取組の推進も含め、文化芸術と市民生活、教育、福祉、まちづくり、
観光・産業振興、さらには、新たな成長分野として雇用の拡大や地域の活性化、国際
的な交流など、様々な分野との結びつきや関係の変化に目をむけながら、文化芸術の
持つ豊かな活力を社会に向けて展開していくことが求められています。
(3)札幌の文化芸術の継承
私達は、東日本大震災を経験し、文化資源が人々にとって欠くことのできない貴重
な財産であることを再認識しました。先人達の様々な息吹や自然の変遷を意識してい
く中で積み重ねられてきた文化遺産や自然遺産の重みを社会全体で感じ、大切に守り、
活用し、引き継いていく必要があります。
000【◯◯◯◯】XXXXXXX。
20
第3章 計画推進のための体系
前章でまとめた方向性を受けて、私たちが『花ひらく創造都市』の「花」をひらかせ
るために、今後5年間で必要となる総合的な取組を、「もっと土を耕し」、「もっと種を
まき」、「もっと実をみのらせ」、次世代にむけて「蓄え・伝え」ていくという枠組みの
もと、「今後の札幌の文化芸術振興施策」としてまとめます。
この枠組は、個別単体で取り組んでいくのではなく、
「土を耕す」ことで「種を播く」
ための素地を生み、そうすることで「実がみのり」、それらが「蓄え・伝えられ」また
新たな「土を耕していく」といった循環の中で、次々と「創造の花」がひらかれるとい
った関係性の中で取り組んでいくことが重要です。
また、「今後の札幌の文化芸術振興施策」の中に「重点取組項目」を設定します。
前章でまとめた方向性に的確に対応していくためには、総花的な施策展開ではなく、
「選択と集中」の考え方の下、より効果的に本基本計画を進めていく必要があります。
今後5年間で展開していく様々な文化芸術施策の中でも中心的な役割を担い、「花ひら
く創造都市」を実現するための効果的な取り組みを「重点取組項目」と位置付け、今後
5年間特に重点的に取り組んでいきます。
さらに、文化芸術振興施策を推進していくためには、「共創」の視点が必要です。
これまで文化芸術を主に享受する側であった市民の立ち位置が変化し、まちづくりや
文化芸術への関心の高まりとともに、ときには市民が主体となる事業や市民アーティス
トの出現など、関わり方が多様化してきています。札幌の文化芸術振興は、行政だけで
はなく、市民も担う未来へと変化が求められ、互いの立場を超え、共に創り高めあって
いくことが必要になってきています。
また、成熟期を迎える札幌において、文化芸術が持つ豊かさの価値を再認識し、さら
に発展させていくためには、市民、企業、アーティスト、行政による双方向による情報
発信や情報共有、共に取り組むための環境づくりが必要となっています。そのためには、
各主体が多様な役割を担い、一体となって、文化芸術振興のための未来への布石、投資
に力を注いでいくと共に、感動や喜びを分かち合う関係が求められています。
今後は市民一人一人が文化芸術を支え、支援していく新しい担い手となることも見据
え、市民、アーティスト、企業、行政が文化芸術を共に創り、育て高あっていくことを
目指します。
000【共創】XXXXXXX。
21
この先の 5 年間で、もっと土を耕そう。
この先の 5 年間で、もっと種を蒔こう。
この先の 5 年間で、もっと実らせよう。
この先の 5 年間で、もっと蓄え・伝えよう。
市民・企業・アーティスト・行政が一体となり共創の視点で取り組もう。
<計画推進のための体系>
000【◯◯◯◯】XXXXXXX。
22
第4章 重点取組項目
この章では、前章をふまえながら、本基本計画が目指す『花ひらく創造都市』の実現
に向けて、効果的・効率的と考えられる、今後5年間で特に重点的に取り組んでいく「重
点取組項目」の項目と取組内容について示していきます。
これらは、
「見直しの方向性」として定めた(1)文化芸術に関する社会的基盤の整備、
(2)文化芸術の社会的展開、(3)札幌の文化芸術の継承
を踏まえながら、札幌の魅
力を磨き上げ、牽引していくための「人」が持つ「創造性」を発揮していく「場」や、そ
の「創造性」を育むための「機能や仕組み」として、特に重要となる項目として位置付け
ます。
1 重点取組項目
「花ひらく創造都市」の実現に向けた推進力を高めるため、以下の4つの「重点施策」
と、2つの「環境整備」を重点取組項目とします。
(1)4つの「重点施策」
【4つの重点施策】
① 市民交流複合施設計画の推進
ア
高機能ホールによる舞台芸術等の振興
イ
アートセンターによる舞台芸術の一層の推進
② 国際芸術祭の開催
③ 次世代博物館計画の策定
④ 文化資産の保存と活用
(2)2つの「環境整備」
【2つの環境整備】
① 基本計画の推進・評価の取組に向けた検討
② 情報発信・共有システムの検討
23
2 4つの「重点施策」
①市民交流複合施設計画の推進
ア
高機能ホールによる舞台芸術等の振興
イ
アートセンターによる舞台芸術の一層の推進
②国際芸術祭の開催
③次世代博物館計画の策定
④文化資産の保存と活用
① 市民交流複合施設計画の推進
・市民交流複合施設は、札幌における多様な文化芸術の中心的な拠点であるとともに
多くの人が交流する場とするため、開館後 40 年以上を経過して老朽化により維持
管理が困難である「さっぽろ文化芸術の館」の後継施設となる高機能ホールのほか
アートセンター、都心にふさわしい図書館を基本機能とした施設を整備します。
・施設計画の基本的な事項を明らかにした「(仮称)市民交流複合施設整備基本計画」
(平成 25 年 5 月策定)に基づき、施設整備や事業計画・運営体制などの管理運営
の検討を進めます。
ア
高機能ホールによる舞台芸術等の振興
・高機能ホールについては、劇場法の策定も踏まえ、
「札幌市民ホール」の鑑賞機能を
高度化して①「国内外の本格的な舞台芸術の公演の鑑賞の場」としての役割を担う
とともに、さっぽろ芸術文化の館が担っていた②「さまざまなジャンルの公演の鑑
賞の場」としての役割を継承します。さらには、市内文化団体の活動を通じて育っ
てきた、舞台芸術の振興に寄与し、札幌の舞台芸術の質の向上を図るように、③「舞
台芸術の創造の場」としての役割を担うことを踏まえた事業を行っていきます。
イ アートセンターによる文化芸術の一層の推進
・本市が創造都市さっぽろを目指して、文化芸術の持つ創造性を活かしたまちづくり
を戦略的に展開をしていくために、札幌における多様な文化芸術活動の中心的な拠
点としての役割を担っていきます。
・アートセンターでは、①アーティストや文化芸術団体、市民の活動支援、②札幌の
優れた資産(もの・こと・ひと)のそれぞれの質を高め、相互連携を図るなどアー
トマネジメントによる新たな文化芸術の創出、③文化芸術に関する調査・研究など
を行い、文化芸術の一層の推進を図るとともに、創世 1.1.1 区の賑わいの創出につ
24
いても担っていきます。
・今後、施設計画や事業計画、運営体制など,具体的な管理運営の検討を進めます。
② 国際芸術祭の開催
・札幌市では、平成 18 年に「創造都市さっぽろ宣言」を行い、市民一人ひとりが創
造力を発揮することで、生活、文化、産業など様々な分野で創造的活動が展開され
ていき、その魅力を力強く世界に発信する取組を進めており、この「創造都市さっ
ぽろ」の象徴的な事業として、札幌国際芸術祭 2014 を開催します。
・芸術祭は、単に芸術作品を鑑賞するだけでなく、歴史文化・風土、都市機能、地域
経済や産業、暮し方をアートの視点で見つめ直すことで、市民自らが未来を展望す
る機会を創出する従来の枠組みを超えた新しい芸術祭を目指しており、市民自らが
主体的に参加し、楽しみ、考えることができるような多様なアートプロジェクトを
実施します。
・今後、芸術祭の開催とユネスコ創造都市ネットワーク加盟を契機に、市民一人ひと
りの創造性を核とした地域の文化力向上、メディア芸術の振興、創造都市の推進を
共振させ、国際的な文化芸術としての歩みを進めていきます。
③ 次世代型博物館計画の策定
・札幌の自然と人との関わりなどを市民とともに探究し、札幌への理解を深め、創造
性を育む、街や市民に開かれた博物館づくりに向け、
「次世代型博物館計画」を平成
26年度に策定します。
・市民が資料の収集・保存、調査研究や体験学習会へ参加するなど、市民の参画と協
働、また、他の博物館や学校等教育機関、公共施設・観光施設などの関連機関との
連携・協力による、ネットワーク型の博物館を目指します。
④
文化資産の保存と活用
・札幌において長い歴史の中で育まれてきた文化遺産の価値を再評価していくととも
に、体験を通じて新たな感動が生まれる場を提供します。また、次の世代に承継す
るために市民と一体となった保存と活用に取り組みます。
25
1)文化財の保存と活用
・豊平館、旧三菱鉱業寮等の歴史的建築物については、保存と活用に当たって、カフ
ェの導入や、現在、時計台で行われているボランティア団体等の活用による案内や
イベント企画への参加など、市民・企業と連携した取組みを検討していきます。
2)埋蔵文化財の保存と活用
・サッポロさとらんど内に保存されている縄文時代の遺跡を活用して、古代の食と文
化を体験できる遺跡公園を、市民参加による発掘調査を実施するワークショップな
どの事業を通じて、市民と協働で整備をすすめます。
000【◯◯◯◯】XXXXXXX。
26
3 2つの「環境整備」
① 基本計画の推進・評価の取組に向けた検討
② 情報発信・共有システムの整備
① 基本計画の推進・評価の取組に向けた検討
・基本計画を着実に推進していくため、庁内関係部局との連携に向けた体制の検討を
進めるとともに、市民、NPO、大学、企業等や、芸術文化財団をはじめとした各種
団体等と引き続き連携を深めます。
・国の動向や他都市の取組状況を踏まえながら、基本計画の取組状況の点検・評価に
向けた手法や仕組について検討を進めます。
② 情報発信・共有システムの検討
・市民や国内外の観光客が、いつでもどこでも必要に応じて文化芸術に関する情報を
得ることができる仕組みの拡充や、様々な情報伝達の媒体を活用した効果的な発信
に努めます。
・一方向ではない、市民との双方向性のある情報共有・発信や、観光情報との同時発
信などにより、市民や観光客に魅力的な発信方法を検討します。また、「観光文化
情報ステーション」に代表される情報発信機能の検証と機能強化についても検討を
行います。
000【◯◯◯◯】XXXXXXX。
27
第5章 今後の札幌の文化芸術振興施策
第 5 章では、
「花ひらく創造都市」に向けて、文化芸術を市民の暮らしに根付かせ、創
造都市の実現に向けた原動力を育み、創造都市の基盤を固め、共創の取組みを実現させる
総合的な施策として、「今後の札幌の文化芸術振興施策」の基本的な方針を定めます。
ここでは、前々章において、計画推進のための体系における「循環の枠組み」として示
した「土を耕し」「種を蒔き」「実らせ」「蓄え、伝える」の4つの分野ごとに施策を整理
します。
1「土を耕す」では、多彩な文化芸術イベントの開催や、文化芸術施設の整備、文化芸術
活動の質を高めるための調査・研究など、文化芸術活動を振興していくための基盤整
備につながる施策を定めます。
2「種を蒔く」では、子どもたちの文化芸術活動の充実につながる施策、他分野との連携
によるあらたな事業の構築など、未来への布石、育成につながる施策を定めます。
3「実らせる」では、アーティストや市民がステップアップしたり、幅広く文化芸術活動
に参加していく機運を醸成していくための支援や、文化資産・自然遺産の保存と活用
につながる施策を定めます。
4「蓄え、伝える」では、情報発信機能の強化などにつながる施策を定めます。
1
土を耕す・・・・基盤整備
2
種を蒔く・・・・未来への布石、育成
3
実らせる・・・・支援、保存・活用
4
蓄え、伝える・・情報の蓄積と発信
なお、ここでは、先に述べた重点施策についても再掲します。
000【◯◯◯◯】XXXXXXX。
28
1 土を耕す・・・・基盤整備
・
市民の誰もが文化芸術に親しむことができるよう、文化芸術を鑑賞、体験、発表したり、芸
術家と交流するため、様々なイベント開催や施設の整備を行ってきました。今後は、民間ビ
ル等を活用した施設の充実の推進や、地元文化芸術団体の活動との連携をより強化し共に高
め、育てながら、これまでの取組を継続していきます。
・
また、将来の札幌の文化芸術活動の活性化につながるように、文化芸術に関わるデータの収
集や道内や道外他都市との情報交換、市民ニーズの調査分析など、市民とともに取組みの質
を高める調査研究を行います。
①多彩な文化芸術に親しむ機会の提供
音楽、美術、演劇、メディア芸術などの文化芸術イベントを集中的に開催するとともに、
街のいたるところに身近に触れる場をつくるとともに文化芸術による賑わいを創出していき
ます。民間の主体的な取組とも連携しながら、札幌の文化芸術活動に刺激を与え、多くの市
民に親しまれる取組を進めます。
<事業例>
・ さっぽろアートステージの開催(継続)
11 月を文化芸術月間と位置付け、文化芸術団体や民間企業、学校などと連携し、美術、演劇、音
楽などの文化芸術イベントを集中的に開催することにより、街のいたるところに文化芸術による賑
わいを引き続き創出していきます。
・ 札幌演劇シーズンの開催(継続)
演劇鑑賞者の裾野の拡大を図ることを目的に、一定の評価を得た演劇作品を1カ月間にわたり
連続公演する札幌演劇シーズンに対して費用の一部を補助し、札幌の優れた演劇作品の鑑賞機会
を市民に提供します。
・ PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)の開催(継続)
<記載内容調整中>
・ サッポロ・シティ・ジャズの開催(継続)
札幌独自の都市型ジャズフェスティバルとして、大通公園や芸術の森などでの野外ライブ、
市内各所で行う市民参加型のライブなどを実施して行きます。<記載内容調整中>
・ 札幌交響楽団による鑑賞機会の提供(継続)
Kitaraを中心に、学校や福祉施設を巡回して行う演奏会の開催などを行う、北海道内
唯一のプロ楽団である札幌交響楽団に対して引き続き支援を行い、優れた音楽鑑賞機会を市民
に提供します。
29
【再掲】
・ 札 幌国際芸術祭の開催(継続)
②文化芸術のための施設の整備・活用等
札幌市が有する文化芸術施設について、これまでの行政評価などの論点や市民議論を踏
まえ、市民が一層利用しやすく、さらに各施設と地域との一層のつながりを目指して、有
効な施策や施設運営を進めて行きます。新たに建設する文化芸術施設については、学識経
験者、専門家、利用者などの意見を取り入れながら検討を進めます。
その他様々な施設について、市民の文化芸術活動の場等への活用について検討します。
また、文化芸術は、家庭、学校、地域社会などにおける教育や学習活動とは密接なかか
わりがあることから、市民が自ら文化芸術に触れられる場の提供を継続します。
<事業例>
・ 文化芸術施設における自主事業の充実(継続)
文化芸術施設においては、地域の文化芸術創造の拠点として、市民がより一層利用しやすく、
各施設や地域とのつながりを意識した施設の運営を図ります。
・(仮称)札幌国際芸術祭交流施設の運営(新規)
旧天神山国際ハウスを活用し、国内外のアーティストが滞在し、作品制作やワークショップな
どを行い、市民とアーティストとの交流の場として運営します。また、札幌国際芸術祭の時期は、
アーティストやその関係者が利用し、芸術祭の内容を充実させるよう各種取組や情報発信などを
行います。
・ 文化活動練習会場学校開放事業の実施(継続)
音楽、演劇などの文化芸術活動を行う市内のアマチュアグループや市民などに対して、小
学校の音楽室などを開放し、練習会場や創作の場として提供する
取組みを継続します。
・ 公 共空間の創造の場としての活用(継続)
道路、公園、地下歩行空間などを自由な創作活動の場としてより一層活用できる仕組みを検討
します。<記載内容調整中>
【再掲】
・ 市民交流複合施設計画の推進(新規)
・ 文 化芸術に関する生涯学習の推進(継続)
文化芸術は、時や場所を選ばず、日常のありとあらゆる場所で触れることができますが、その
中でも、家庭、学校、地域社会などにおける教育や学習活動とは密接な関わりがあります。
市民が望む様々な時間、場所、機会に文化芸術活動を行うことができるよう、生涯学習や学校
教育との関わりを一層深めていきます。<記載内容調整中>
30
③将来の文化芸術活動を活性化させるための調査・研究
将来の札幌の文化芸術活動の活性化につながるように、文化芸術に関わるデータの収集
や道内や道外他都市との情報交換、市民ニーズの調査分析などの調査研究に向けた取組を
行います。
<事業例>
・ 定期的なリサーチの実施等による市民ニーズの把握と活用(新規)
市民の文化芸術活動・ニーズに関するアンケート等を行い、検証や新規事業の企画等に関する調
査研究に取り組みます。
000【◯◯◯◯】XXXXXXX。
31
2 種を蒔く・・未来への布石、育成
・
文化芸術の本質として、これまで創りだされてきたものを基礎として、次々と新しい価値
が生み出されていきます。こうした新たな芽を育み、発展させるとともに、多世代や多様
な団体が参加できる機会をつくっていきます。
①子どもたちの文化芸術活動の充実
文化芸術を継承し、発展させていくため、市民特に感受性豊かな子どもの頃から、文化芸
術に親しみ、その楽しさを実感する様々な機会を通じて、芸術的感性や豊かな心を育んでい
く必要があります。今後も、子どもたちがこのような体験をできるよう、学校教育機関や民
間の文化芸術団体の活動とも連携しつつ、様々な機会を提供していきます。
<事業例>
・ 子どもの美術体験事業(継続)
小学校に芸術家を派遣して一緒に創作活動を行う「おとどけアート」
、市内の小学5年生全員
を美術館に招待して作品への興味や関心を高める「ハロー!ミュージアム」などのプログラム
により、様々な機会を通して楽しみながら美術を体験してもらう取組みを引続き行います。
・ K itaraファーストコンサート(継続)
市内の小学6年生全員を対象として、札幌コンサートホールKitaraでオーケストラ演
奏を鑑賞・体験する機会を引続き提供します。
・ 子どものミュージカル鑑賞事業(継続)
本格的なミュージカルの素晴らしさを感性豊かな子どもたちに体験してもらうため、市内
の全小学6年生を対象に鑑賞する機会を提供します。
・ 市民交流複合施設を活用した子ども事業の推進(新規)
市民交流複合施設のイベント等を活用し、次世代の文化芸術活動を担う子どもたちの豊かな
感性をはぐくむ取組に向けた検討を進めます。
②文化芸術を活かした様々な事業の振興
文化芸術の効用を点から面へと広げて行くため、教育、地域社会、福祉、経済など様々
な分野との連携に向けた取組を進めます。取組に当たっては、ボランティア、NPO団体
などの様々な主体や、北海道内の他市町村などの幅広い地域などとの連携をしながら、進
めて行きます。
<事業例>
・ 文化芸術を活用した各種イベントの活性化(継続)
32
PMF、サッポロ・シティ・ジャズなどの文化イベントはもとより、ライラックまつり、Y
OSAKOIソーランまつり、オータムフェスト、雪まつりといった、札幌の四季を彩る様々
なイベントに文化芸術的要素をこれまで以上に加えることにより、集客交流資源としてより
一層魅力を高めていきます。<記載内容調整中>
・ 北 海道内の地域や団体との連携(継続)
北海道や他の市町村との連携により、北海道内の文化芸術イベントや施設等を紹介するなど、
札幌・北海道の魅力を発信し、道都札幌として北海道全体の魅力をより一層高めて行きます。
・ 文 化芸術を活かした地域活動の活性化(新規)
文化芸術活動を通じ、地域の魅力再発見・活性化、課題解決などの取組を行うNPO法人等に
対する支援に向けて検討を行います。
また、
(仮称)札幌国際芸術祭交流施設において、滞在するアーティストと市民が協働し、ア
ートを媒介とした、地域の課題の解決方法を探る参加型のプログラムを実施します。
・ 芸術の森地区・モエレ沼公園における取組(継続)
創造的な取組を広げていくため、芸術関連施設が集積している芸術の森地区や、高い芸術
性が評価されているモエレ沼公園などを、創造都市の象徴拠点として、様々な取組を進めて行
きます。<記載内容調整中>
・ 産業振興分野との連携(継続)経済
若手クリエイターやデザイナー、IT関連分野で起業を目指す人たちの支援を目的に、平
成 13 年(2001 年)に札幌市デジタル創造プラザ(通称「ICC」インタークロス・クリエイ
ティブ・センター)を開設しました。
また平成 18 年(2006 年)からスタートした札幌国際短編映画祭は世界各国から多くの作
品を集め、日本初のショートフィルム見本市が開かれています。
札幌発の映像やデザインなどのコンテンツ産業の振興は、今後とも大きく成長していくこ
とが期待され、札幌の産業全体の発展にも寄与することから、この産業分野と文化芸術がし
っかりと連携することで、札幌の発信力を確かなものとしていきます。<記載内容調整中>
・ 企業のメセナ活動の支援(継続)
永続的な文化芸術活動のためには、広く市民の力で支えて行くという雰囲気の醸成ととも
に、メセナカードの創設など、みんなで支える様々な仕組みについて検討していきます。<
記載内容調整中>
・ 空き家・空き店舗などの活用支援(新規)
地域コミュニティの活性化を図るため、文化芸術活動の場所として、空き家や空き店舗な
どの活用に対する支援に向けた検討を行います。
・ 大学との連携(新規)
平成 24 年 3 月、
札幌芸術の森と、隣接する札幌市立大学との間で連携協定を締結しました。
33
芸術の森を特徴づける「豊かな自然環境」や「アート」
、大学の知である「芸術学」や「看護
学」などを融合させ、従来の枠にとらわれない形での公開講座や事業を実施していきます。
3 実らせる・・支援、保存・活用
・アーティストが育ち、定着していくように支援するため、アーティストがステッ
プ
アップするための支援や、市民も支える環境整備を行なっていきます。
・文化芸術の活動の幅の広がりや多様な価値観へ対応するため、文化芸術の需要と
供給を市民とともにコーディネートする仕組みを構築していきます。
・札幌において長い歴史の中で育まれてきた文化遺産や自然遺産の価値を、再評価し
ていくと共に、体験を通して新たな感動が生まれる場を提供します。また、次の世
代に継承するために市民と一体となった保存と活用の仕組みを構築します。
① アーティストのステップアップ促進
文化芸術活動をさらに充実・発展させたいという意志を持っている個人・団体に対して、
活動拠点やプロモーションの機会を提供するなど、アーティストがステップアップするため
の支援や環境整備を行っていきます。
<事業例>
・市民交流複合施設計画の推進
イ
アートセンターによる文化芸術の一層の推進(新規)
【再掲】
・ 演劇創造活動支援事業(継続)
優れた演劇作品を創造する劇団が、創造活動拠点として稽古場を借り受けた場合、当該賃借料相
当額の一部を一定期間補助します。
・ アーティスト・イン・レジデンス事業(継続)
国内外のアーティストが一定期間滞在し、創作活動を通じて芸術家相互、学校や地域との交流
を深める事業を引き続き支援します。<記載内容調整中>
・ 若手を対象とした表彰制度の実施(継続)
若手芸術家を育成することを目的とした本郷新記念札幌彫刻賞を開催し、受賞作品を平成 27
年 2 月オープン予定の大通西 4 丁目大通交流拠点地下広場内に3年間展示するとともに、本郷新
記念札幌彫刻美術館において、受賞者の記念個展を開催します。
34
・ パブリックアートを支える仕組みの検討(継続)
野外彫刻などのパブリックアートについては、長い年月をかけて札幌市内に数多く設置されて
きましたが、全体を把握するシステムがなく、また、それぞれの作品が良好な状態で保存されて
いるとは言えない状況にあります。そこで作品を良好な状態に保ち、鑑賞するため、全市的に支
える仕組みづくりを引き続き検討します。
・ 助 成制度のあり方の検討(継続)
文化芸術活動団体に対して文化芸術振興助成金等の助成制度がありますが、現行の助成制度を
検証し、活動している個人や団体に対して、より重点的・効果的な支援を行うことが可能となる
仕組みを検討します。
② 文化芸術をつなぐ新たな役割の育成・支援
これからの文化芸術を推進していくためには、これまで以上に文化芸術を社会との関わり
の中で振興していく必要があり、創造する側、鑑賞する側、場の提供者、支援者など、様々
な関係者との間に入り、事業全体の仕組みを調整し、創り上げていくアートマネジメントは
なくてはならない機能です。また、これまで関わりの少なかった市民が一歩踏み出して、文
化芸術に参加してみようという機運を醸成し、受け止め、発展させていく体制も構築してい
く必要があります。
<事業例>
・市民交流複合施設計画の推進
イ
アートセンターによる文化芸術の一層の推進(新規)【再掲】
・ アートマネジメントの人材育成・活動支援のあり方の検討(継続)
アートマネジメント能力を有する人材を育成し、支援するため、広く市民に対して、札幌市の
文化芸術施設などの場を「実践の場」として提供するなど、人材育成・支援のためのあり方を検
討します。また、取組みにあたっては、アートマネジメントに関する教育プログラムや研修を行
っている大学など関係機関を連携していきます。
・ アートボランティアへの支援(継続)
PMF、サッポロ・シティ・ジャズ、Kitara、札幌交響楽団などには、その事業の趣旨
に共感し、ボランティア活動に参加する人たちも増えてきています。様々なアートイベント等に
関わってもらえるボランティア登録制度の検討や、社会貢献活動に対する情報提供やきっかけ作
りに向けた検討を進めます。
35
③ 文化資産・自然資産の保存と活用
札幌の貴重な文化資産や自然資産を大切に保存していくとともに、活用していくことで、
次の世代への橋渡しを行っていきます。
<事業例>
・ 文化資産の保存と活用(継続)【再掲】
・ 次世代型博物館計画の策定(継続)【再掲】
・ 都市景観・歴史的建造物等の保存と活用(継続)
歴史的建造物等については、都市景観条例に基づく景観重要建造物等に指定するなど保存に向
けた取組みを進めるとともに、歴史的な価値のある建造物等への景観的配慮を示したガイドライ
ンにより、街づくりに活用することが求められます。
また、文化財と景観など施策を一体的に進めていくため、情報の共有化をはじめ、連携した取
組みを行います。<記載内容調整中>
・ 文化財保護の担い手の育成と個性ある地域づくりの推進(継続)
文化財は地域のまちづくりに寄与する財産であることから、積極的な活用が必要です。そのた
めには、歴史的な価値を適切に評価し、まちづくりに活かすマネジメントができる人材を育成し、
その人材を中心として個性ある地域づくりを行う仕組みを検討します。<記載内容調整中>
・ 伝統文化保存伝承事業(継続)
長年にわたり培われてきた地域に伝わる伝統芸能等の新たな担い手を育成し、末永く伝承して
いくことが必要です。関係機関と連携して学校や地域における体験学習など伝統文化に身近に触
れる機会を設け、広く市民に親しまれるよう積極的な普及活動に努めます。
・ アイヌ文化の保存・継承・振興(継続)
先住民族であるアイヌの人たちの伝統文化の保存・継承・振興については、これまでも南区小
金湯にある「札幌市アイヌ文化交流センター」においてアイヌ民族の文化を学ぶ体験学習など、
様々な取組みを進めてきましたが、今後もこうした取組みを継続して実施していくとともに、よ
り一層、アイヌ民族の歴史・文化・自然観などへの市民理解を推進し、アイヌ民族の誇りが尊重
されるまちづくりを進めます。 <記載内容調整中>
・ 文化資産や自然資産に対する意識を育む取組の推進(継続)
文化資産・自然資産の保存・活用に取り組むためには、資産の価値に市民が気づき、理解を持
つことが大切です。資産に関する普及講座や体験講座等、冊子の発行等を通じ、市民が札幌の歴
史に思いを馳せ、その重みを感じ、地域に愛着を持てるようにする取組を進めます。<記載内容
調整中>
36
・ 次世代に残す文化資産の調査(新規)
次世代に残すべき、伝えるべき文化資産について、歴史性、地域性、活用可能性などの観点か
らの基礎調査やデータベース化の取組に向けて検討を行います。<記載内容調整中>
4 蓄え、伝える・・情報の蓄積と発信
・市民や国内外の観光客がいつでもどこでも必要に応じて文化芸術に関する情報を得
ることができる仕組みをさらに拡充します。
・また、札幌市が持つ情報については、都市発展の戦略的な見地から、様々な情報伝
達の媒体を活用しながら効果的な発信に努めます。
・ さらに、文化芸術イベントの実施にあたっても、札幌市民はもとより、道内、国内、
海外を志向し、集客交流資源として積極的に発信します。
・ 市民が感動を分かち合い、自ら伝え、共感する仲間を増やす情報発信の仕組みを検
討していきます。
① 情報発信機能の強化
市民や観光客が文化芸術活動に触れ、参加するためのきっかけづくりとして、文化情報や
観光情報を集約するとともに、報道機関やホテル等の観光関係産業とも連携しながら、より
分かりやすく効果的に提供・発信します。
<事業例>
・ 情報発信・共有システムの整備(新規)【再掲】
・ 積極的な情報発信(新規)
イベント等について、地下歩行空間や市民交流複合施設など、集客力の高い空間で効果的な実施に
努めます。<記載内容調整中>
・ 観 光文化情報ステーションの移設・機能拡大(継続)
市民や観光客を対象に、文化・観光に係る情報を集約し、引き続き提供します。大通交流拠点の整
備による平成 26 年度末のオープンに向けて、
より快適で利便性の高い施設となるよう検討を進めます。
・ 文化芸術に関するデータベースの構築(継続)
札幌市内には市民、企業、行政それぞれが文化芸術に関する膨大なデータや作品を有しており、
それらを有機的に活用することが期待されています。これらの情報を一元化し、文化芸術に関わる人
たちが自由に検索・閲覧、活用できるデータベースの構築に向けた検討を進めます。
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② 札幌の魅力を発信する国際的イベント・活動団体に対する支援
札幌の名前を世界に向けて発信し続けているイベントや活動団体に対しては、国際都市と
しての魅力を一層高めていく必要性から、札幌の対外的な顔として引続き支援します。
<事業例>
・ 札幌国際芸術祭の開催(継続)【再掲】
【再掲】
・ PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)の開催(継続)
・ サッポロ・シティ・ジャズの開催(継続)【再掲】
【再掲】
・ 札幌交響楽団による鑑賞機会の提供(継続)
000【◯◯◯◯】XXXXXXX。
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おわりに
本基本計画は、平成 26 年度~平成 30 年度までの 5 年間の基本計画です。第 1 章
2 節の「社会状況の変化」でも述べたように、札幌市の人口は平成 27 年を ピークに減
少傾向に転じます。人口における 65 才以上の割合は現在が 25%、10 年 後の平成 35
年には 35%にもなります。札幌は成熟した都市となり、若年層が減り、 税収不足も本格
化します。
だからこそ、この5年間は時代が大きく変わる節目であり、社会の仕組みを変えるチャ
ンスであるとも言えます。 札幌の文化・芸術施策・活動は、従来の行政主導型の取り組み
から、市民を中心とした 民間と行政が共に作り上げていく共創型の取り組みに移行してい
くはずです。
基本計画の次回見直しは平成 31 年度。予定通りならば、市民、企業、行政が一体と
なってそれぞれの知恵と工夫を出し合い相乗効果を発揮させているような「共創の姿」を
今よりももっと多く見られるようになっているはずです。そして、今回の重点施策と環境
整備にあった 5 つの施策はそれぞれ次のような成果を上げているはずです。
<重点施策>
① 市民交流複合施設計画の推進
・・前年、平成 30 年にオープンした『市民交流複合施設』、特にその中核である 『ア
ートセンター』はまさに札幌の文化・芸術施策の中心的存在として、アートマネジメ
ントの領域で機能しはじめている・・
② 国際芸術祭の開催
・・2 回目の開催も無事終わり、市民にもすっかり定着。3 回目への準備が進む・・
③ 次世代博物館計画の策定
と
④ 文化資産の保存と活用
・・主な整備は終了し、市民や観光客に向け札幌の歴史を伝える新しい取組が行われてい
る・・・
<環境整備>
① 基本計画の推進・評価に向けた検討
・・設立に向けた具体案が出来上がる・・
② 情報発信・共有システムの整備
・・市民のみならず、観光で訪れた道外の人々にも使いやすい新しいシステムが稼働・・
はたして、予定通りに進んでいるでしょうか?
「共創の姿」はどうなっているでしょうか?
5年後にはこれらの施策が総括・検証され、その時の社会背景などを鑑みながら、 次の 5
年に向けた見直しを行います。札幌の文化芸術が花ひらき、実をつけ、また新しい芽を出
す・・ 札幌がそんな豊かな街になるように。
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