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CO2レーザによるセラミックスの切断加工

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CO2レーザによるセラミックスの切断加工
技術資料
ミ
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サ1
^二天
a)逼訊1困fカロニエ
機械金属部機械研究室
永倉寛巳
ファインセラミックスの高能率加工を目的として、アルミナ、部分安定化ジルコニア、
S i.Nハ S i Cセラミックス各種厚材に文寸して、 CO*レーザを用いて切断試験を行い
加工後の割れ、クラックの発生の有無、曲げ強度などの評価を行い、レーザ加工特性に及
ぽす被加工材の厚さの影響を調ベた。
セラミックスのレーザ加工においては、被加工材が厚くなるほど、害11れあるいはクラッ
クが発生しやすくなり、それを抑制する九めの加工条件は大幅に限定されたものとなり、
加工は飛躍的に困難となるが本研究により部分安定化ジルコニ.ア、 s i.N。にっいては切
断厚さ5mmまで、アルミナ、 s iCについては切断厚さ2mmまでのものに対して、マ
クロ的に割れ、クラックの発生しない安定加工条件域が明らかになった。
ま九4点曲げ強度試験による部分安定化ジルコニア、 si.N。レーザ加工材の強度試験
の結果、レーザ加工材は微小クラックの発生により母材強度の1/3 1/4程度に材料
強度が低下する。しかし0.2 0.3mmのクラック層を研削除去すれぱ、材料強度は
母材強度に回復する事も判明した。
1.はじめに
今後、ある程度厚みをもったものの素材の加工が重
ファインセラミックスは、絶縁性、耐熱性、耐食
要になるものと考えられるため本研究においては厚
性、耐摩耗性に優れ九材料であり、電子工業、機械
板状セラミックスのレーザ切断性について検討した。
工業等で実用化が進められている。しかし硬度が非
被加工材としては高純度アルミナ、部分安定化ジル
常に高く、ま九脆い性質がある九め機械加工が非常
コニア(P S Z)、 s i。Nハ S i C 4種類のセラ
に困難である。その九めその加工技術についての研
ミックスを用いて、厚みの異なるものの板材の加工
究も各方面で積極的に進められているが、現在のと
性の比較を行い、レーザ加工特性に及ぽす板厚の影
ころ、その主体はダイヤモンド砥石による切断、研
等を調査した。また被加工材の強度劣化の定量的評
削であり、高能率の加工ができない、また形状付与
価を行うとともに、表面クラックの状態及び変質層
性に乏しいという問題点を有している。一方、レー
の構造を把握することに努めた。
ザ加工はレーザ光を材料に照射し、それを吸収し九
部分に熱を発生させ、その熱を利用する熱加工であ
2.実験方法
るため、材料の硬さなどの機械的性質とは関係なく
実験装置は出力8KWの三菱CO.レーザ加工機
高能率の加工ができるため、セラミックスの有力な
806Tを使用した。実験条件を表1に示す。実験
加工方法として期待されている。しかしセラミック
に供した試料は、アルミナ、部分安定化ジルコニア
スのレーザ加工においては、加工条件が不適当な場
(P S Z)、 s i.Nハ S i C 4種類のセラミック
合は、レーザによる加熱により発生する熱応力の九
スで、アルミナについては厚さ2mmと3mm、 P
め被加工材に割れあるいはクラックが発生するため
S Zについては厚さ 8mmと5mm、 s i.N'につ
これをいかに抑制するかが最大の問題である。
いては厚さ 3mm、 4mm、 5mm、 s i Cについ
セラミックスの製品部材ヘの応用を考えた場合、
ては厚さlmmと2mmのものを実験に使用し九。
73
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部に向かって、直線で5mm程切断し、試料表、裏
Frequency
10O HZ,30OHZ
の切断溝幅を測定し允。
CutU腿 8Peed
50 1300 昨価in
各セラミックスの諸特性を表2に示す。
実験は各々のセラミックスに対して加工条件のう
P S Z厚さ5mmとS i.N'厚さ 4mmについて
は、レーザ切断面をそのままにしてJ I S R 16
01準拠の4点曲げ試験片(4×3×40mm)を
作製し、切断面を最大引張り応力発生面とする曲げ
その他の条件は一定として、図1 (a)に示すよう
試験を行いレーザ加工材の強度評価試験を行った0
ま九切断面の表層を#400ダイヤモンド砥石によ
に幅7mmX長さ20mmX厚さ tmmの試験片の
り研削除去し、表面層の除去深さと曲げ強度の回復
中央を長さ方向に切断し、試験片の割れ、クラック
挙動を調ベた。
の発生の有無を観察し九。ま九切断し九試験片はレ
ーザ切断し允切り口の面及ぴ切断面に垂直方向のク
3.実験結果
ちで切断速度およびビームの平均出力を変化させ、
3-1 切断特性
ラックの発生状況を光学顕微鏡観察するとともに、
深さ方向の組織変化をみる九めに、切断面に垂直方
向の破断面のSEM観察を行った。ま九表面上に割
れ、クラヅクの発生しなかっ九条伴のものについて
は、幅15mmX長さ70mmX厚さtmmの別試
験片にて図1(b)に示すように試験片外側より内
図2 (a) ( D は切断速度とビーム平均出力
を変え九場合の各種セラミックスのレーザー加工特
性である。大規模な破損(割れ)が発生し九場合、
表面上にクラックが発生し九場合、それとレーザビ
ームが裏側まで貫通しなかっ九場合に区分して釖断
74
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(f.1卯HZ,住20%,鄭lgt Eθ9 0分
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(f,1mHZ,化肋%,鄭Ist 肌S 0分
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(CW、6S91St 8閼 0。)
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(D 5工貮 P認
(C背、osslst ka9 N2)
Re18UⅨ】ships l)etwe肌 laser 真achini昭 Cond北ionS 日nd 肌Chinin8 behaYior
for V日riⅨIS
Cer日亜1(氾.
特性を評価し九。図中0印は表面上に割れあるいは
が大きくなり、この時発生する熱応力がより大きく
クラックが発生せず、比較的良好に切断でき九加工
なる允めと考えられる。切断厚さはレーザ加工特性
条件を示す。
に大きな影響を及ぽし、切断厚さが厚くなるとレー
ザ切断が可能な条件は大幅に限定され九ものとなり、
図2 (a)、(b)は厚さ 2mmと 3mmのアル
ミナのレーザ加工特性である。厚さ2mmの場合は
加工は飛躍的に困難となる。厚さが3mmになると
平均出力が50W以上になると切断可能となり、ビ
図にみられるようにいずれの条件でも試験片には割
ーム出力が大きくなるほど切断可能な速度はしだい
れが発生し、加工条件を制御するだけではうまく加
に大きくなるが、アルミナは耐熱衝撃値が200゜
工することができない。加工性を上げる允めには加
C程度と小さく、割れ、クラックを発生することな
工前の被加工材の予熱等熱応力を緩和する允めのな
く良好に加工できる条件は図にみられるような非常
んらかの補助対策を講じる必要があるかと思われる。
に狭い領域に限定される。ビーム出力が大きくなる
図2 (C) (f)は、厚さ 3mmと 5mmのP
ほど、ま九切断速度が速くなるほど試験片に創れが
SZのレーザ加工特性である。厚さが3mmの場合
発生しやすくなる傾向がみられるがこれは高エネル
は出力が10OW以上になると切断可能となり、図
ギーによる高速切断ではビーム走査方向の温度勾配
にみられるように出力20OW以上切断速度400
75
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(三個盲)尾令暫ΞコU
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...0000
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200 400 600 800
200 400 600 800
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(ぎ) 3.Et sl.N'
(h)語Et si.N'
(f.1卯11Z,小40%,θ即Ist E8g ND
(f.1卯HZ, D.4眺,ヨSslst ^関 0分
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200 400 6卯 800 1卯0
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... ..XX
200 400 600 800 1卯0
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XXXXXX
100 300 500 700
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(f"1卯1{Z,D.40%, assist 8as N2)
(三試冒)屡 の M C Ξ 己
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隣鵠叩舶r(,)
B舶曹 Power (罵)
(D 5.Et sl,N'
(!.1卯1{Z,伊和%,"sslst 艶S O。)
(k)出Mt sl.N'
(1.1卯HZ,小40×,asglst εas Nり
(f*3卯1稔.D.関%,郎Ist 肌9 0分
Fi客.2 Relat1ⅨIS11ips beween
(1) 1=Et slc
Iaser 鯛achini鴨 ConditionS 日nd 画achini昭 behavior
for varia.1S cer日.ics.
mm/m ln以上のかなり広範囲の領域で割れ、ク
は割れが発生しておりパルス出力では良好な加工を
ラックを発生させずに良好に加工をすることができ
行うことが困難である。これに対し図2の(e)、
る。しかしアルミナの場合とは逆に切断速度の低い
(f)はパルスのかわりにCW出力を使っ九場合の
領域で割れが発生しているが、これは切断速度が低
加工特性であるが、一般的にはセラミックスのレー
い場合は単位長さ当たりの投入エネルギーが高くな
ザ加工の場合熱応力の緩和にはパルス出力の方が有
り材料の除去に必要である以上に加工部に過大な工
効とされているが、 PSZ厚さ5mmの場合CW出
ネルギーが投入される九め加熱領域が広くなり仞断
面近傍の熱応力による破損や高温による変質が非常
力を用いると厚さ3mmの場合に比ベるとその加工
条件はより限られ九ものとなるが、出力約70OW
に激しくなり試験片全体に割れが発生するものと考
以上、切断速度500 60omm/'m in以上の
えられる。 PSZの場合同一出力で比較した場合ア
領域にパルス出力では得られない安定加工領域が出
ルミナに比ベると切断可能な速度が大きくなってい
現している。図2 (e)のアシストガス酸素の場合
るが、これはPSZはアルミナに比ベると融点は高
に対して(f)は窒素を使っ九場合であるが、金屈
いが、熱伝導率が非常に小さい九めに、単位長さ当
材料の場合はアシストガスに酸素を使っ九場合は金
九りの投入エネルギーが小さくても熱の拡散が小さ
く、レーザ照射部が容易に融点まで加熱され高能率
属との酸化反応の九め窒素を使った場合より切断能
力はかなり高くなるが、セラミックス加工の場合は
の加工が行われるためと考えられる。図2 (d)は
そうし九酸化反応が利用できないため、切断能力に
厚さ5mmの場合のレーザ加工特性であるが、匂」断
はほとんど差がみられない。また安定加工領域につ
厚さが厚くなると加工は非常に難しくなり、厚さ3
いては僅かであるが、アシストガスに窒素を使った
mmの場合の安定加工領域中のいくつかの条件を使
場合が安定度が高くなる傾向がみられる。
図2 (呂) (K)はS i.N'厚さ 8 mm、 4m
用して加工を行っ九が、いずれの条件でも試験片に
76
m、 5mmのレーザ加工特性である。 s i.N'の場
ス当たりの照射時問が長くなると熱の拡散により投
合は耐熱衝撃値が450 600゜ Cと非常に大き
入され九エネルギーが周囲に拡散して切断が有効に
い九め、 PSZ、アルミナのように試験片が破損す
行われず、試験片に割れが発生すると考えられるが、
るといったことはほとんど発生しないが、厚さ3m
周波数を高くしてしてーパルス当九りの照射時間を
mの場合は切断速度10omm/m inの低速度で
短くしてやれぱ、投入エネルギーのが拡散割合が減
は試験片にクラックが発生し出力が大きくなるほど
少して切断に費やされる有効エネルギーがより大き
その規模が大きくなる傾向がみられる。ま九レーザ
くなり割れの発生が抑制されるものと考えられる。
加工特性はほぽ同様であるがアシストガスに窒素を
厚さが2mmになると全ての条件で割れが発生した
使った場合のほうがクラックの発生数が減少する傾
が、 s i.N'の場合と同様一回当たりの投入エネル
向もみられ九。しかし図にみられるように20om
ギーを小さくして、数回で加工する方法をとれぱ厚
m/min以上の切断速度では表面上にクラックは
さ2mmの加工が可能となることも確認した。
発生せず安定した加工を行うことができる。またS
i.N'の場合は同一出力で比較し九場合PSZ に比
べると切断可能な速度が非常に低くなっているが、
3-2 切断面の性状
図3 (a)、(b)はP S Z厚さ 5 mmと 8 mm、
これはS i.N'はPSZに比ベると分解温度は低い
アシストガスに窒素を使った場合のレーザ切断面の
が、熱伝導率が非常に大きく、熱の拡散によってビ
写真とその粗さプロファイルである。 PSZ切断面
ーム照射点の温度上昇が抑えられため貫通により高
の写真をみると切断面の下部にはつらら様のものが
いエネルギーが必要とされる九めと考えられる。図
生じている。これはレーザ熱により溶融し九材料が
2 (i)は厚さ4mmのレーザ加工特性であるが厚
被加工材裏側にまわりこんで冷却され、固着したも
さ3mmの場合に比ベるとクラックの発生する領域
ので、ドロスと呼ばれるものであるが、その発生状
が広くなり図にみられるように安定に加工できる領
況は材料により異なり、セラミックス加工の場合を
域は非常に限定されたものとなる。図2 (j)、
みると PS Z、アルミナのようにレーザ熱により溶
(k)は厚さ5mm、アシストガスに酸素、窒素を
融する材料でドロスが多量に発生するが、発生し九
使った場合のレーザ加工特性であるが、厚さが5m
ドロスは比較的容易に除去する事ができる。一方溶
mになるとすべての条件でクラックが発生して、加
融層を形成せずに昇華分解するS i.Nハ S iCの
工条件を制御するだけでは安定した加工を行うこと
場合はこの後の切断面の写真でみられるようにドロ
は非常に難しい。以上の結果S i.N'の場合その安
スの発生量は少ない。しかし発生したドロスの除去
定加工限は厚さ4mmが限度であるが、後の加エサ
はやや困難である。アシストガスに酸素を使用し九
ンプルに示しているものは、 1回当九りの単位長さ
場合と異なり、 PSZをアシストガスに窒素を用い
当九りの投入エネルギーを小さくして、複数回輪郭
て加工し九場合は、図にみられるように切断面が黒
走査をすることにより、段階的に加工深さを増して
く変色するが、この黒色に変化し允部分は黒化ジル
いく方法により切断したものであるが、この方法に
コニアと呼ぱれ、 1500゜ C以上になるとジルコ
よれぱ厚さ5mmの場合もクラックを発生させずに
ニウムと酸素との組成が化学量論的に考えて不定比
加工することが可能である。
酸化物となり、そのままの状態で冷却されたもので
図2 ( D はS iC厚さlmmのレーザ加工特性
あり、ジルコニア(zroD の構成原子である酸素
である。 s iCの場合はパルス周波数が低い場合は
が部分的に欠損した酸素欠損ジルコニア(zro.、
試験片に割れが発生するが、周波数が30OHZ以
,)になっているものと考えられる。図3 (a)のP
上になると図にみられるような安定加工領域が得ら
SZ厚さ5mmの切断面をみるとCW出力の場合は
れるようになる。これはS iCはほかの材料に比ベ
クラックが互いに直交する形で縦、横に進展してい
ると熱伝導率が非常に大きく、周波数が低くーバル
るのがみられる。そしてその分布間隔はレーザを照
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Fi宮.3 罰achined surfaceS 日nd roughness pr0村 le curves in laser cuttin且
f01' 5mm 抑d 3脂 thick psz.
射した表面に近い領域ほど狭くなっている。右側の
る。また右側の拡大写真をみると、厚さ3mmの場
拡大写真をみるとクラックはすべて結晶粒界を進展
合も切断面には結晶粒界に沿ったクラックが縦、横
している。このことから溶融再凝固層の高温におけ
に交差して発生しているのがみられる。
る結晶粒界は他の部分に比ベて強度が低くなってい
それではこのクラックが深さ方向にはどの程度進
ることがわかる。図3 (b)はP S Z厚さ 3mm、
展しているかであるが、図4 (a)と(b)はそれ
アシストガスに窒素を使っ九場合のレーザ切断面の
ぞれ厚さ8mmと5mmのレーザ切断部材の切断面
写真である。これはパルス出力のものであるが切断
の垂直断面の光学顕微鏡写真である。厚さ3mmの
面にはパルスの周波数に対応する送りマークが明瞭
場合レーザ加工により発生し九クラックはレーザビ
にみられ、非常になめらかな切断面が形成されてい
ーム照射側からビーム貫通側にかけてしだいに深く
MMtr急t舶四1伽
Irr6d1急ted
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C盲,7卯冒,F"a刃ヨ冨/釧n
1α"1Z,小40×.N2
N2
Fi宮.4 Cross sections of 肌Chined surfaces for 3m匡 and 5mⅢ thick psz
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^
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R
.,一、
體
'
Pe「1etr急ted gld
ITr日d1尋ted 尋ld
なっており表面に近い領域で50μm程度、貫通側
と5mmのレーザ切断部材の破断面のSEM像であ
付近で 100μm程度の深さとなっている。これは
る。いずれも切断面近傍には溶融再凝固により成長
他の加工条件においてもあるいはアシストガスに酸
し九と考えられる柱状結晶組織、その下には粒径が
素を使っ九場合もほぽ同程度のクラックが観察され
数μmに粗大化した結晶粒がみられる。柱状品の長
九。これに対し厚さ5mmの場合は表面に近い領域
さは切断厚さ3mmの場合は約23μm、 5mmで
で郭H O0μm、貫通側付近で250 300μm
は28μm、結晶粒の粗大化は切断厚さ3mmで約
程度のクラックの深さとなっており、厚さ3mmの
35μm、 5mmでは45μmまでの領域でできて
場合に比ベると倍以上のクラック深さとなっている。
いることがわかる。これは溶融層の加エガス等によ
したがってビーム照射による被加工材の損傷と、そ
る除去が切断厚さが厚くなるほど不十分となり、よ
れに伴う強度劣化は切断厚さ5mmの場合の方がよ
り厚い溶融層が切断面に残留することを示している。
り重大であることが推定される。
図はアシストガスに窒素を使った場合であるが、酸
図5 (a)と(b)はそれぞれP S Z厚さ3mm
素を使っ九場合もほとんど傾向は同様である。
^一
、
ノ
、
鳥
、簿や^、鴫むが^
(b) t=5血
(a) t卓堕
倒加,F巧α、1゛Eln
1臓琵,小4傭.H2
C胃,7卯胃,F*a勵血/創n
N2
Fi8.5 FraC加re surfaces of 肌Chined surfaces for 3m甫 and 5肌 thick psz
図6 ( a)、( b )、( C )は S i.N'切断厚さ
図7 (a)、(b)、(C)は各々の切断面の垂
3mm、アシストガスに酸素または窒素を使用し九
直断面の光学顕微鏡写真である。厚さ3mmアシス
場合、それに切断厚さ4mm、アシストガス窒素を
トガスに酸素を使用した場合の断面にはクラックは
使用し九場合の切断面の写真とその粗さプロファイ
みられないが、窒素の断面には100μm程度のク
ルである。アシストガスに酸素を使用し九場合の切
ラックが1、 2みられる。また厚さ 4mmの断面に
断面にはパルス周波数に対応した送りマークがみら
は200μm程度のクラックが数本発生している。
れ、粗さプロファイルにもみられるように比較的な
これらはいづれも表面上にはクラックの発生してい
めらかな切断面が形成されているが、窒素を使用し
ない加工条件でのものであるが、切断面内部にはこ
た場合は、切断面には粒状の物が生成しており、送
こにみられるようにクラックが発生しており、ま九
リマークは不明確でアシストガス酸素を使用し九場
切断厚さが厚くなるほど発生するクラック深さは大
合に比ベると非常に粗い切断面の様相となっている。
きくなることが知見され、強度管理には十分の配慮
またS i.N'の場合はPSZに比ベると切断面下部
が必要である。
に発生するドロスは非常に少なくなっている。
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Fi客.8 Fracture surfaces of 醐Chinω Surfaces for 3車鵬 aM 4皿 thick siヨNa.
図8 (a)、(b)、(C)は破断面のS EM像
工条件でも、切断面内部にはクラックが発生してい
である。アシストガスに酸素を使用した場合は表層
るのがみられた。このクラックはセラミックス部材
部には磋素と酸素が反応いヒSio。成分と思われる
の大きな強度低下を引き起こすことが予見される。
反応層がみられる。ま九窒素を使用した場合はそう
そこでレーザ切断面の加工損傷を定量的に評価する
いった変質層はほとんどみられないが、その成分は
ために、 P S Z厚さ 5mm、 s i.N'厚さ 4mmの
定かでないが表面には多数の粒状の突起が生成して
レーザ切断部材に対してレーザ切断面を最大引っ張
いる。
り応力発生面としてJIS R1601に基づいて
4点曲げ試験を行った。結果を図9に示す。 PSZ
3-3 レーザ加工部材の曲げ強度
厚さ5mmの場合は同一材料を#400ダイヤモン
前項で表面上には割れ、クラックが発生しない加
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Fi客.9 Relau(肌Stli内 betW舵訂 flexural stren8th and thickn個S of re劃Oved surface re客ion
31
Kgf/mm゜であるのに対して、レーザ切断した試
験片の平均強度は22 24Kg f/'mm0と約1/
れる。またS i,N'厚さ4mmの場合は研削仕上げ
3に低下している。ま九強度のバラツキを示すワイ
し九試験片の平均強度は約66Kgf/mm゜である
ブル係数は15 16で研削仕上げ材のワイブル係
のに対して、レーザ切断した試験片の平均強度は約
数約9に比ベバラツキが小きくなっている。これは
16 K g f/mm゜と約 1/4に低下している。また
れるとその強度はほぽ材料強度に回復するのがみら
レーザ加工による損傷の程度がほぽ安定している九
強度のバラツキを示すワイブル係数は約21で研削
めと考えられる。ま九ここでは同時に表面除去によ
仕上げ材のワイブル係数約14に比ベバラツキが小
る強度回復を調ベるためにレーザ切断面から平行に
さくなっており、材料破壊が亀裂依存型に移行して
研削除去して、その除去量と曲げ強度の関係を調ベ
いるのが伺われる。研削除去量と曲げ強度の関係を
た結果を同図に示しているが、除去塁が200μm
みると表層より200μm程度除去すればほぽ母材
程度まではその強度は回復しないが、除去量が30
強度に回復しており、この除去量は顕微鏡観察され
0μm程度となり、前項で示したクラックが除去さ
るクラック深さとほぽ一致している。
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3-4 切断溝幅
が高くなるほど小さくなるのがみられる。
図 10 は各種セラミックスのC O。レーザ切断にお
ける切断速度と助断溝幅の関係である。釖断溝幅は
いずれの試料においても表側が裏側よりも広くなっ
3-5 形状加工
平板の中央部の直線功断では材料の受ける熱分布
ており、その切り口は表側から裏側にかけてテーパ
は左右対象であり、比較的単純な応力状態である。
がついた状態となったいる。ビームの平均出力が増
しかし形状加工のように周辺部の切断や複数個の切
加するほど、表、裏とも切断溝幅は大きくなる傾向
断加工を必要とする場合には、熱の分布が対象でな
がみられる。切断速度の影智をみると試験片表側は
くなり、材料に発生する熱応力は非常に複雑となり、
それほど変化はみられないが、裏側ば切断速度が速
安定に加工できる加工条件は直線加工に比ベよりき
くなるに従い切断溝幅はしだいに小さくなっており、
びしいものとなることが予想される。そこで直線加
テーパがより拡大する傾向がみられる。 s i.N。厚
工時の安定加工条件が形状加工に対しても適用でき
さ8mmの場合は、 50OW以上の出力では、切断
るかの形状加工による確認実験を行った。図11は
速度がある速さ以上になると、逆に裏側の淋幅が大
形状加工のサンプルである。形状加工の結果も表繭
きくなりはじめ、下部ラフ切断の状態が発生してい
上に割れ、クラックが発生せず、今回求めた各種セ
る。またPSZ厚さ3mmの場合をみると切断速度
ラミックスに対する安定加工条件が形状加工に対し
の増加による試験片裏側の溝幅の減少傾向は、出力
ても適用できるとの見通しを得た。
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PSZ、t=5mm
S i3N4、t=5脚
Fi8.Ⅱ Laser machined samples of ceramlcs
4.まとめ
性に及ぼす被加工材の厚さの影響を調ベた結果以下
C O.レーザを用いてアルミナ、 P S Z 、 s i.N
のことが判明した。
ハ S iCセラミックス各種厚材に対して切断実験を
(1) P S Z 、 s i.N。セラミックスで厚さ 5 mm 、
行い、加工後の割1れ、クラック発生の有無、レーザ
アルミナ、 S I Cセラミックスで厚さ 2 mmまで害11
加工材の曲げ強度などの評価を行い、レーザ加工特
れあるいはクラックが発生しない加工条件域を明確
83
にすることができ九が、被加工材が厚くなるほど、
から 800 μm、 s i.N'の場合は表層から 200
割れあるいはクラックが発生しやすくなり切断可能
μm程度除去すれぱ、曲げ強度は母材強度に回復す
な条件は大幅に制限されたものとなり、レーザ加工
ることが分かった。
(5)今回得られた安定加工条件での形状加工によ
は非常に困難になることが分かっ九。
(2)比較的良好に釖断され九場合もPSZの場合
る確認実験の結果は、形状加工においても表面状に
は切断面全休にわ九りクラックが互いに直行する形
は割れ、クラックが発生せず、実形状の加工におい
で発生した。クラック深さは厚さ3mmの場合は5
ても十分実用できる条件であるとの見通しを得た。
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1 00 μm、厚さ 5mmの場合は 100 30
0 μm程度であった。 s i.N'の場合も厚さ3mm
参考文献
で100μm程度、厚さ4mmで200μm程度の
1)高温学会誌:部分安定化ジルコニアのCO。レー
クラックが発生することが確認され九。
ザ加工、重松一典、中村守、金山公三、平井幸男
(3) PSZ切断面表層には溶融再凝固層が形成さ
2)ジ誓イテック:セラミックス切断.溶接ヘの高
れ、極表面層は柱状結晶組織からなりその下部には
出カレーザ適用、富江通雄、阿部信行他
結晶粒が粗大化した組織がみられた。 si.N'の場
3)溶接技術:セラミックスのレーザ加工、北側彰
合はアシストガスに酸素を使った場合は表屑にS i
0.成分と思われる変質層の生成がみられるが、窒素
4)工業調査会:レーザによるセラミックスの加工、
を使用した場合は変質層はほとんど観察されなかっ
吉岡俊朗著
た。
5)日刊工業新聞社:レーザ加工技術、川澄み博通
著
(4) P S Z厚さ 5mm、 s i.N'厚さ 4mmのレ
ーザ切断部材に対してJ IS R 1601に基づく
6)工業技術院、中国工業技術試験所:中国、四国、
4点曲げ試験を行っ九結果、 PSZの場合は母材強
九州三ブロック共同加工試験集
度の約1/3、 s i.N'の場合は母材強度の約1/
フ)プレス技術a9的一5):ここが知りたいレーザ加
4に強度が低下した。ま九表層からの研削除去量と
工Q&A
曲げ強度の関係を調ベ九結果、 PSZの場合は表層
Study on c02 1aser cuttln客 ot cera盟icg
凱achine 尋nd 貰etal DIvlslon
Hlr0鳳i Na宮akura
For the purpose of the eHicient 嵐achin i昭 of cera堕ics, cutt ing tests of A1203, PSZ,
Si3N4 and s ic cer日員ics by c02 1日Ser 智ith var ious thick P1日te workpieces have been C日rr ied
Out to invest i名ate the inf luence of th ickness of the workp ieces on laser mach in in8
behavior by assessin8 the fracture,塑日Cro cr日Ck and flexural stren套th, and so on. The
resuHs of cuttin宮 tests w c02 1aser have reve日led that in laser 闘achinin8 0f ceramics,
the 嵐ore the workpieces thicken, the 盟ore the fracture or crack occurs, and so in case of
the th ick p late workp ieces, in order t0 則o id the larEe scale f日 H ure dur in8 1aser
m日Ch in in客, ava ilab le 盟ach in in客 Cond it ions are extre凱e ly restr icted , C0雷P日r in8 W ith those
for the th in p late workpieces, but in th is study, it is possible to cut 5応擢 thick psz,
Si3N。 and 2嵐嵐 thick A120ヨ, sic by c02 1日Ser without hacwre and 麹日Cro crack、 The hendin宮
84
tests for psZ 日nd s i3H4 have been exa幽 ined exper i南enta 11y to eva luate the stren且 th
deErad日Uon C日Used by 1日Se「盟ach inin宮. The stre鴨th of the laser 血日Chined workpieces was
ne鮎 ly between one third and 飢e fourth of that of the or i宮inal body because of Ricro
Cr日Ck C則Sed by 舶Ch in in8, but re啓Ovi吃賢icro crack o.2幽 or o.3即 in depth W 8r ind i昭
Work, the stren客th of the workpieces returned to that of the or i名inl body.
35
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