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OPEN EYE Vol.12 - RED HAT OPENEYE

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OPEN EYE Vol.12 - RED HAT OPENEYE
Success story for your business
Red Hat K.K. EDITORIAL 2013
OPEN EYE
12
オープンソースの 新 時 代 を 築く、サクセスストーリー
vol.
2013 April
INDEX
トップインタビュー
京セラ株式会社 経理経管本部 経営情報システム部長
ユーザー事例 Success Story
藤田正則氏
京セラ株式会社
ノントラブルのレッドハットOS製品
今後は仮想化環境への適用も検討
ユーザー事例 Success Story
大和証券株式会社
オンライントレードの基盤にレッドハットを採用
運用費を約3割削減
ユーザー事例
Success Story
①HPC環境を支えるストレージ
コーネル大学の高性能計算環境で
Red Hat Storageを採用
②パブリッククラウドでNASストレージを構築
IntelitekがクラウドNAS戦 略に選んだ
Red Hat Storage
○ レッドハット最新レポート
レッドハット
ビッグデータ
戦略を発表
オープンソースWayなアプローチで
ビッグデータ戦略を加速
さらなるITコスト削減のためにOSSに着目、
将来はグループ企業への横展開も視野に
京セラ
トップインタビュー
京セラ株式会社 経理経管本部 経営情報システム部長
京セラ株式会社では現在、ファインセラミックスから
情報/通信機器に至る様々な事業をグローバルに展開
している。その根本を支えるのが、同社独自の経営手法
である アメーバ経営 だ。この アメーバ経営 において
IT はどのように活用され、そこで OSS はどのような位置
付けとなっているのか。経理経管本部 経営情報システム
部長 藤田正則氏に伺った。
藤田 正則 氏
実践し続けることが求められて
は、システム部門と経営管理部
に、1992∼93年頃からクライア
います。アメーバ経営とは、市
門とが一体となって活動する
ント/サーバ系のオープンシス
場の動きに迅速に対応するた
必要があります。私たちが全社
テムも拡大していきました。つま
めに組織を小さなユニット
(=
の管理部門に属しているのも、 り、メインフレーム系とオープン
アメーバ)に分け、部門別に採
そうした理由からです」。
算管理を行うもので、各アメー
系という異なる仕組みが混在す
る形で展開していったのです。
バの付加価値を明らかにし、採
―アメーバ経営では、実務を
とはいえTCO 削減の観点か
算指標を高めて経営活動に反
支えるシステム側の役割もより
らは、ダウンサイジングを進め
映していくというものです。
重要になると思いますが、OSS
てオープン系の比重を高めた
経理経管本部は、このアメー
に目を向けられた背景にはどの
ほうがより効果的です。またそ
ような理由があるのでしょうか。
―始めに、京セラにおける経営
バ経営を実務的に管理してい
情報システム部の位置付けと役
く経営管理と、効率化を図る仕
割についてお聞かせください。
組みとして会社に実装していく
「アメーバ経営を管理するた
斉に定年を迎えるという2007
システム管理の機能を持ち、こ
めの基幹システムは以前からあ
年問題がクローズアップされま
「京セラは、設立から50年を
のうち後者の役割を担ってい
り、機能を充実させて現在の
した。こうした側面からも、ダウ
超えました。会社が急速に発
るのが経営情報システム部で
ベ ース が で き 上 が った の が
ンサイジングへの取り組みは
展、拡大する中で創業者の稲
す。経営管理のために実装した
1980年代半ばです。やはりメイ
必然だったのです。
盛(和夫 名誉会長)が創り出し
機 能 を ユ ーザ 部 門 に正 確 に
ンフレームが中心のシステムで
しかし従来の商用製品を利
た経営手法「アメーバ経営」を
フィードバックしていくために
した。一方でIT環境の発展と共
の後IT業界では、メインフレー
ムを担うCOBOL の技術者が一
用していると、新機能を追加す
るごとに IT 費用は右肩上がり
OSSの採用で、
コストを最小限に抑えつつ
新しいサービス展開が可能に
で増える一方で、高止まりして
しまう。それでは結局、メインフ
レームの時と同じ課題が付き
まといます。そこで我々は OSS
Success story for your business
に着目し、検証を重ねて徐々に
つつ、各事業部などのニーズに
とってあくまでも我々は顧客で
外部のパブリッククラウドサー
展開していきました。これまで
あったITサービスを提供するこ
すから、その責任感からかつて
ビスを利用することも避けて通
にレッドハット製品をはじめ、 とが求められます。そのために
は商用製品の提案が多かった
れません。そこで問題になるの
様々な OSS 関連のシステムを
は、ランニングコストを下げな
のですが、OSS への信頼性の
が いかにセキュリティを担保
導入してきています」。
ければ新しいIT投資もできませ
高まりと共に、最近ではむしろ
するか です。現在は情報を収
ん。見方を変えれば、ランニン
KCCS側から様々なOSSを提案
集している段階ですが、できる
してきてくれています」。
だけ早く商用製品と同じレベル
―実際に OSS を採用されて
グコストを半減できればその
いるのは、具体的にどんなシス
分、新規投資に回すことができ
の機能を持つOSSを見つけ、導
テム領域になるのでしょうか。
る。コストを最小限に抑えつつ、 ―御社では実に 10 数年以上
入したいと考えています。
新しいサービスを展開すること
もOSSを利用されていますが、 またエンドユーザの利便性
「まずはやはりO S 部 分で、 が可能になるのです。OSS に期
実際に感じている導入効果と
を考えれば、現在利用シーン
Windows 95 が出た頃には既
はどのようなものでしょうか。
が急拡大しているスマートフォ
待したのはまずこの点です。
に Linux を使用していました。 また商用製品は運用上、その
OSSによって標準化した
仕組みを、将来は
グループ企業にも展開したい
Masanori Fujita
ンやタブレット端末からのシス
提供ベンダーに大きく依存せざ
「保守費用の大幅削減や、ベ
テム利用も検討していく必要
るを得ません。バージョンアップ
ンダー依存のないシステム環境
があります。こうした場面への
するにしても、何 か 不 明 点 が
の実現については先に述べた
OSS の適用も今後の課題の 1
つとなるでしょう」。
あった場合も、その都度ベン
通りですが、経営情報システム
ダーを介さなければ解決できな
部で近年取り組んでいるのがプ
い。それがOSSなら、基本的に情
ライベートクラウドの構築と、仮
―最後に今後の取り組みに
報はオープンになっているの
想化環境の実現です。何百台も
ついてお聞かせください。
で、例えばインターネット上に公
の物理サーバを導入してユー
開されている情報を紐解きなが
ザ部門にサービスを提供してい
「オープン系システムには多
ら、自分たちである程度答えを
ますが、その環境を仮想化する
様な技術が存在し、開発担当者
導き出すことができる。これは
ことで、ディザスタリカバリにも
個々のスキルに依存してシステ
OSSをテスト導入した時に再認
繋げていくことができる。これら
ムを構築して、ノウハウが属人
識しました。当然自己責任には
の分野にもOSSを適用すること
化する傾向がありました。その
なりますが、OSS は我々の業務
で、ITコストを抑え、ベンダー制
反面、商用製品ではベンダーの
のプラットフォームとして十分に
約のない仮想化環境やクラウド
制約を受け続けることになりま
活用できると判断しました」
。
コンピューティングの実現を加
す。
こうした状況の打開は、京セ
速できたと考えています。万一
ラ単体の課題に留まりません。
―システム構築においてOSS
の障害発生時にも自分たちでシ
今後、海外も含め200を超える
を適 用する際のポリシーなど
ステムを復旧できる、つまりシス
グループ企業に我々の仕組み
はあるのでしょうか。
テムの停止時間を極力短くでき
を展開していくことを考えれば
るということです。こうした環境
待ったなしの段階です。そこで
「システム構築案件が発生し
の実現は、確実にサービス強化
最も重要となるのが、全社レベ
た際、OSSを検討するのは既に
へと繋がっています」
。
ルでの標準化を推し進め、ノウ
当社の基本スタンスになって
ハウの偏りから解放されること。
現 在 の サ ー バ 台 数で 見 れ ば
います。検証して、利用できる
―これからOSSを適用してい
この点において、OSS の採用が
OSS の比率は 70%で、ここに
ものは積極的に展開していく。 きたい領域としては、どのよう
最適な選択肢であることは経
Red Hat Enterprise Linux
既存の商用製品に替わるもの
験として学んできました。
(RHEL)を採用しています。た
であれば、迅速に置き換えてい
な分野がありますか。
まずは京セラ本体でシステム
だしシステムの開発や検証な
く。そんな進め方に対する抵抗
「私たちは OS や仮想化環境
やサービスの標準化を図り、ガ
ど、本番環境ではない部分に
感もほとんどなくなりました。
といった基盤/運用系だけで
イドラインを設けておく。そうす
ついては、RHELと互換性のあ
また私たちは IT システムの
なく、開発系やデスクトップ系、 れば将来的にグループ各社の
るフリーソフトウェアも使って
構築に際して、京セラのグルー
あるいはミドルウェア系など他
状況に応じて横展開していくこ
います。その 他 、W e b アプリ
プ 企 業である京セラコミュニ
の領域でも、OSSの適用を検討
とが可能です。今後はOSSを軸
ケ ー ション サ ー バ や デ ー タ
ケーションシステム(KCCS)の
し続けています。さらにコスト削
に、こうした取り組みも推進して
ベースでもOSS を一部利用し
支援を受けています。KCCS に
減を推し進めようとするなら、 いきたいと思います」
。
ていますが、こうした領域では
まだまだ商用製品の比重が高
くなっています。とはいえ最近
では OSS の安定性や信頼性も
大幅に向上してきていますの
▼ 主な仮想環境内のOS
物理サーバー 3
稼動サーバー数 22
RHEL 21
物理サーバー 2
稼動サーバー数 15
RHEL 15
RHELが
稼動していない環境
物理サーバー 3
稼動サーバー数 28
RHEL 28
RHELが
稼動していない環境
で、今後さらに検証を重ねて、
商用製品から置き換えられる
部分についてはOSSにシフトし
BCP拠点
営業系仮想グループ
海外系仮想グループ
Linuxアプリ
Windowアプリ
ていきたいと考えています」。
BCP拠点
―OSS の導入メリットとして
WAN
考えられたのは、どのような点
だったのでしょうか。
物理サーバー 2
稼動サーバー数 13
RHEL 11
物理サーバー 2
稼動サーバー数 31
RHEL 20
物理サーバー 2
稼動サーバー数 10
RHEL 9
物理サーバー 2
稼動サーバー数 3
RHEL 2
物理サーバー 2
稼動サーバー数 4
RHEL 4
RDB仮想グループ1
RDB仮想グループ2
DMZ系仮想グループ
RDB仮想グループ3
RHEV検証
「 当 時 、保 守 費 用 が 大きな
ネックとなっていました。商用
製品を採用していたことで高止
まりしていたのです。当部門とし
ては、可能な限りコストを抑え
2 OPEN EYE
Red Hat K.K. EDITORIAL 2013
ユーザー事例
Success Story
京セラ
サーバOSのリプレイス
レッドハットのOS製品で
長期間のノントラブルを享受、
今後は仮想化環境への適用も検討
適宜パッチを当てたり、ウイルス対策を見直したりす
京セラでは1990年代半ばからサーバOS
る必要があり、運用面では一定の手間を要します。こ
としてLinuxを採用、本番環境で活用してき
うした場面でもOSSならとても楽ですね」。
た。しかし当時利用していた Linuxディスト
また福岡氏は RHEL の選定ポイントの 1 つとして、
リビューションでは、提供ベンダーの方針
サーバ製品の対応状況を挙げる。
変更に振り回されることも多く、自社主導に
「物理的なマシンも、RHEL に対応している製品が
よる安定したシステム運用に大きな課題を
増えてきていました。ハードウェアの性能向上が目ま
京セラ株式会社
経理経管本部
経営情報システム部
システム基盤開発部
責任者
ぐるしい昨今、最新スペックを持つ製品を利用できる
抱えていた。そこで注目したのが、レッド
環境が整っている点もたいへん魅力的でした」。
ハットのOSS製品だった。
福岡 達也
氏
RHELの導入による効果
ここ数年間はノントラブルで安定稼働
迅速かつ丁寧なサポートセンターの対応も評価
背景
10数年前からLinuxの利用を開始
一方で提供ベンダーの方針変更に苦慮
実際の導入効果として、経理経管本部 経営情報シ
1990 年代の半ばから京セラでは、クライアント・
ステム部 システム基盤開発 2 課 副責任者の荒尾堂
サーバ環境へのダウンサイジングや高止まりしてい
司氏は次のように説明する。
たITコストの課題を解決するためにいち早くOSSに
「日々の運用はきわめて安定しており、問題に直面
注目し、サーバ OSとしてLinuxの利用を開始してい
する場面はほぼありません。少なくともここ2 年間は
た。当時の状況について、京セラ株式会社 経理経
全くトラブルは発生していません」。
管本部 経営情報システム部 システム基盤開発部
また同社では現在、サーバ仮想化製品であるRed
責任者の福岡達也氏は次のように語る。
Hat Enterprise Virtualization(RHEV)の検証も進め
「当時は社内の一部で Linux に対する一定の評価
ているが、サポートセンターの対応が手厚く、問い合
があり、試験的に利用を開始していました。その頃は、
わせに対する丁寧な受け答えが印象的だったという。
提供されていた Linux ディストリビューションの種類
「RHEV はまだ検証段階で、導入には至っていませ
がそれほど多くなく、限られた選択肢のなかから選ん
ん。そのため、問い合わせにどこまで対応してもらえ
だのが Turbolinuxでした。その後、データベースとし
るか不安だったのですが、基本的な質問に対しても
てオラクル製品を利用していたこともありMIRACLE
その都度、丁寧に回答してもらえました。おかげで検
LINUX に置き換えたのですが、提供ベンダーが製品
証も順調に進み、本当に助かっています」
(福岡氏)。
京セラ株式会社
経理経管本部
経営情報システム部
システム基盤開発2課
副責任者
荒尾 堂司
氏
京セラコミュニケーション
システム株式会社
京都アウトソーシング事業部
京都システムサービス3課
京都システムサービス3B
グループ長
北野 晋司
氏
のポジショニングを転換するなどして、ユーザ企業と
してはその対応に苦慮していたのです」。
「問い合わせの少ないユーザ企業や BCP 拠点など
今後の展望
拡張する仮想化環境にRHEVを導入予定
柔軟な価格体系の実現にも期待
RHELを選んだ決め手
で利用する製品については、複数の価格体系がある
とうれしいですね」
(福岡氏)。
この点については、京セラのシステム開発・運用を
ベンダー依存のないOSSとしてRHELを採用
ハードウェアの選択肢の広さも大きな魅力
京セラでは現在、商用の仮想化製品を使って、20
支援する京セラコミュニケーションシステム株式会社
数台の物理サーバ上で約200台の仮想サーバを稼働
京都アウトソーシング事業部 京都システムサービス3
その後、ベンダーロックインからの解放を模索して
させている。しかし将来的なライセンス体系の変更な
課 京都システムサービス 3Bグループ長の北野晋司
いた同社が辿りついたのが、Red Hat Enterprise
どを考慮すると、高額な保守費用が大きな課題だ。
氏も、
「ユーザ企業の状況に即した価格体系があれ
Linux(RHEL)
だった。
「約3ヵ月前からRHEVの検証を開始しています。コ
ば、コミュニティ版の OSSよりも、安定したサポートが
「以前からLinux を利用していたとはいえ、適用シ
スト効果も算出し、2013 年 4月以降に拡張予定の仮
受けられる製品の導入に対するハードルが下がると
ステムは限定的でした。そこでそれら全てを RHEL に
想化環境の一部にRHEVを導入する予定です。ミドル
思います」
と強調する。
置き換え、しばらく運用して全く問題のないことを検
ウェア製品であるJBoss Enterprise Portal Platform
「私たちは OSS に大きな期待を寄せています。レッ
証したのです。そして2002 年頃からRHEL の導入を
も、今後の検証対象となっています」
(福岡氏)。
ドハットさんにはこの市場を牽引し、ユーザ企業をよ
本格的に開始、現在では物理サーバの70%でOSS製
最後に、今後レッドハットに望む点を聞くと、福岡氏
り良い方向に導いていっていただきたいと思います」
品を利用しています。Windowsも利用していますが、
はサブスクリプションのより柔軟な価格体系を挙げた。 (福岡氏)。
サーバOSのリプレイスへの歩み
01
背景
02
RHELを選んだ決め手
03
RHEL導入による効果
10 数年前からLinuxの利用
を 開 始 、一 方で 提 供 ベン
ダーの方針変更に苦慮
ベンダー依存のない OSSとし
てRHELを採用、ハードウェア
の選択肢の広さも大きな魅力
ここ数年間はノントラブルで
安定稼働、迅速かつ丁寧なサ
ポートセンターの対応も評価
・ダウンサイジング/IT コストの
課題からLinuxを採用
・提供ベンダーの方針に左右され
る商用製品の課題
・ベンダーロックインからの解放
と運用負荷の低減
・高性能のサーバを選択できる自
由度も享受
・運用面での問題発生は皆無、2年
間はノントラブル
・検証中の製品に対する問い合わ
せ対応にも大きな満足感
04
今後の展望
検証結果を踏まえ、拡張す
る仮想化環境に RHEVを導
入予定。柔軟なサブスクリプ
ション体系の実現にも期待
・ユーザ側の利用状況に応じた価
格体系の設定
OPEN EYE 3
Success story for your business
ユーザー事例
Success Story
大和証券
オンライントレード基盤の刷新
250万超 のユーザーを支える
オンライントレードの基盤にレッドハットを採用
UNIXからLinux への切替えで運用費を約3割減
2012年4月、大和証券株式会社は個人投資家向けインターネット証券取引サービス
「ダイ
ワのオンライントレード」の新しいシステム基盤を稼働開始させた。このサービスの大きな特
徴は、顧客の資産を守る高い安全性と利便性を提供し、さらにオンラインユーザーでも全国展
開する店舗において、資産運用等のアドバイスが受け
られること。同社がこの新基盤の構築で目指したのは、
ベンダーロックインからの解放とシステムの標準化
だ。
そこで採用されたのがレッドハット製品だった。
背景
画部 担当部長の山田芳也氏は、次のように説明する。
ンライントレードの基盤刷新は、2003 年頃から蓄積
「UNIXでは勝てない」
。
UNIXからLinux/汎用IAサーバへ
「商用 UNIX 自体は悪い製品ではないと思います。
してきたノウハウの集大成ともいえるプロジェクトで
しかし先に出た内蔵ディスクの問題もあり、ベンダー
した」
( 山田氏)。
のエンジニアでなければ対応できないという環境で
大 和 証 券では 1 9 8 0 年 代 後 半 から複 数 の 商 用
は、システムの標準化もままなりません。我々の目標
UNIX を利用して、様々な分散系システムを構築して
を達成するために適したOS は何かと考えた時に、や
きた。しかしこれは同社の意向というよりも、構築を
はりOSS、すなわちLinuxが最適なのではないかとい
システム要件
顧客の取引残高を守り、
利用者が安心して
使える 止まらない システム基盤
委託したITベンダーによって得意とするUNIXが異な
う結論に達したのです」。
り、複数の商用 UNIX に頼らざるを得ないという事情
そこで同社では 2003 年頃からLinux の検証をス
大和証券がオンライントレードサービスを開始した
によるものだった。いわば業務ごとに最適化された
タートし、2005 年から社内ユーザー向けのデータ
のは 1996 年のことだ。それから現在に至るまで何度
サイロ型のシステム が乱立していたのである。当時
ウェアハ ウス や 帳 票 シス テム など に R e d H a t
かシステム基盤刷新を行ってきたが、過去にはトラブ
の状況について、大和証券グループのシステム開発
Enterprise Linux( RHEL)を採用、さらに2008 年に
ルも経験してきているという。
を担う株式会社大和総研 第二システム本部 オープ
はよりミッションクリティカル性の高い私設取引シス
「オンライントレードのシステムに求められるのは、
ンシステム開発部 開発五課長 副部長の三浦倫義氏
テムにもRHELの適用を拡大した。
第一にお客様の取引残高を守ることです。またイン
は、次のように振り返る。
「我々の目指す標準化は、その時々で最良のソ
ターネットを介して安全なお取引をしていただくため
「商用UNIXは製品によって様々な制約があり、管理
リューションやツールを導入して終わりではありませ
には、24 時間 365日、決して 止まらない システム基
方式や処理方式が少しずつ異なります。そのため、
ん。ベストプラクティスを求め、PDCAサイクルを回し
盤を完成させる必要があります。先にも述べたように、
各々に人員を配置しなければなりません。また、当時
続けながら、安定稼働の実績を積み上げていくこと
過去から積み上げてきたノウハウが今回のプロジェ
のサーバはストレージを内蔵した専用のハードウェア
でようやく達成できるものです。その意味で今回のオ
クトに繋がったということです」
(山田氏)。
であることが多く、時間の経過と共に内蔵ディスクの障
害も大きな問題になってきていたのです。その対応に
▼「ダイワのオンライントレード」の新システム基盤
もやはり専門知識を持った人員が必要となる。今回の
WEB/APサーバ
セッション管理サーバ
DBサーバ
WEB / AP
インメモリDB
DB
Red Hat
Enterprise Linux
Red Hat
Enterprise Linux
Red Hat
Enterprise Linux
IAサーバ
IAサーバ
オンライントレードシステムに限らず、運用の負荷、コ
ストの両面から、我々が構築してきたシステム全体で
業務アプリ
早急に解決しなければならない課題でした」
。
課題
ベンダーロックインからの解放を図り、
システムの標準化とガバナンス強化を実現
ハイパーバイザ
2003 年頃から大和証券グループでは、構築するシ
ステムの重要要件として標準化を掲げ、それによって
IAサーバ
ITガバナンスを効かせることを目標としてきた。今回
のプロジェクトもこの基本姿勢に則って進められたも
:標準OS・ミドルウェア
のだ。この点について大和証券株式会社 システム企
オンライントレード基盤刷新の流れ
01
背景
02
課題
03
システム要件
04
RHELを選んだ決め手
「UNIXでは勝てない」。UNIX
からLinux/汎用IAサーバへ
ベンダーロックインからの解
放を図り、システムの標準化と
ガバナンス強化を実現
顧客の取引残高を守り、利用
者が安心して使える 止まらな
い システム基盤
標準化のための PDCA サイク
ルを回す中で実感した RHEL
の安定性/信頼性を高く評価
・業務ごとに最適化された サイロ型
のシステム が乱立
・サーバ内蔵ディスクの障害対応も
運用上の大きな負荷に
・システムの重要要件として標準化を掲
げ、ITガバナンスを効かせることを目標に
・ベストプラクティスの追求には、PDCA
サイクルを回し続けていくことも重要
・求めたのは 24 時間 365日、決して
止まらない システム基盤
・PDCAサイクルによって冗長性/安定
性/高いセキュリティを十分に検証
・約 10 年にわたる社内利用と検証に
よって、
RHELを十分に評価済み
・ユーザー会を通じた強力なパート
ナーシップも大きな信頼感に
4 OPEN EYE
Red Hat K.K. EDITORIAL 2013
同社にとって最も重要なミッションクリティカルシス
こでシステム基 盤に求められる絶 対 条 件は、その
テムであるオンライントレード基盤には、システムの冗
時々で変化するアクセス量に対応し、システムを安定
長性や安定性、高いセキュリティなどが求められるが、
的に稼働させることですが、お客様の注文に影響す
この点についてもPDCAサイクルによる検証によってノ
るミッションクリティカルな部分についても、全く問題
ウハウを蓄積してきており、十分に達成可能な要件で
なく安定的に稼働しています」。
あることを確信していたという。同社 システム企画部
また大和証券は今回、システムの安定稼働をさらに
基盤システム課長 副部長の川岸伸二氏は、この点に
担保するために、RHELと併せてインメモリデータベー
ついての大和総研の取組みを次のように評価する。
スを採用した。
これは東京証券取引所の株式売買シス
「IT ユーザーとしての我々には、かねてから
『ベン
テムであるarrowheadでも採用されている仕組みだ。
大和証券株式会社
システム企画部
担当部長
山田 芳也
氏
ダーロックインからの脱却を図りたい』
という思いが
ありました。そこで 10 年ほど前から大和総研が体制
を組み、OSS やレッドハット製品についての研究と
検証を重ねてきてくれました。今回のプロジェクトも
その知見があってこそ、成功させることができたの
だと思います」。
RHELを導入したメリット2
約2.5倍に増えたトランザクション量の
高速処理にも十分に対応
2013 年 4 月時点で新基盤のカットオーバーから1
大和証券株式会社
システム企画部
基盤システム課長
副部長
年が経過しているが、この間アベノミクスなどの影響
RHELを選んだ決め手
もあり、オンライントレードサービスのトランザクショ
標準化のためのPDCAサイクルを回す中で
実感したRHELの安定性、信頼性を高く評価
ン量は、約 2.5 倍にも増加したという。しかし山田氏
は、新しいシステム基盤にはこうしたトランザクション
川岸 伸二
氏
量の大幅な変動も十分に織り込み済みだったと語る。
実際のプロジェクトは、システムの保守切れが視野
「1 年前には日に 1 度きりのアクセスだったお客様
に入り始めた2009 年に始まり、OS に関してはそれま
が、今では 1 時間に数十回もアクセスされるような状
での商用 UNIX に替わってRHELを採用することにし
況です。
それでも従来と変わることなく、
お客様の取引
た。その選定理由について、大和証券株式会社 システ
残高と共に、リアルタイムで株価やマーケット情報を
ム企画部 基盤システム課 上席課長代理の宮田宗太
表示させる処理は維持しなければならない。しかし
氏は、
次のように説明する。
我々はPDCAサイクルを回すことで、こういう環境にな
「先にもあったように、我々は2005 年から社内ユー
れば相場はこう動くだろうという絵を常に描いてきま
ザー向けの各種システムにRHELを採用し、その適用
した。この 1 年で約 2.5 倍になったといっても、実はそ
範囲を順次拡大してきていました。OSS のメリットは、
れほど大きな変化ではないのです。新基盤ができた
第一にハードウェアメーカーに依存しないシステム環
現在でも、今後の取引量を見越したシステムのチュー
境を構築でき、さらに全体の標準化までを実現できる
ニングは継続して行っています」。
大和証券株式会社
システム企画部
基盤システム課
上席課長代理
宮田 宗太
氏
ことです。これによってシステムの移植性や将来的な
横展開の自由度も高まります。RHELについては、社内
RHELを導入したメリット3
RHEL/汎用サーバ/仮想化の組み合わせで、
サーバ台数も従来の半数以下に
株式会社大和総研
第二システム本部
オープンシステム開発部
開発五課長
副部長
に耐え得ると判断したのです」。
さらに今回のプロジェクトでは、RHELと汎用的な
またレッドハットへの信頼感は、大和総研 専務取締
ブレード型 IA サーバの採用に加え、仮想化までを実
三浦 倫義
利用と検証を重ねてきていたことでその安定性、信頼
性について十分な評価ができていました。絶対に止め
ることのできないオンライントレードの基盤にも十分
役の鈴木孝一氏がレッドハットのエンタープライズ
現したことで、物理的なサーバ台数をこれまでの半分
ユーザー会の会長を務め、新しい機能についての意
以下に減らすことができたという。
見交換などを通じて、強力なパートナーシップを構築
「こうした仕組みを構築することで、イニシャルコ
してきたことからも醸成されていたという。
ストに加えて運用コストの大幅な削減も可能になり
ます。実際にかなりのコスト効果が出てきています」
(三浦氏)。
RHELを導入したメリット1
ルウェア製品であるJBoss Enterprise Middleware の
採用を決定、順次その適用範囲を拡大していく予定
だ。現在商用製品を利用している仮想化の領域につ
また大和総研では、プライベートクラウドの運用な
いても、ストレージマイグレーション部分などの機能
250万を超えるユーザーの利用にも
耐え得る安定稼働を実現
ども行っているが、今回のプロジェクトで培った技術
強化を含めて、Red Hat Enterprise Virtualization
やノウハウを他のシステムにも 逆流 させていくこと
(RHEV)に大きな期待を寄せている。さらにOSS の活
2012 年 4 月にシステム基盤を刷新したオンライン
で、将来的に大和証券グループ全体のシステム品質
用という観点からは、データベース領域やメッセージ
トレードサービスの利用者数は、同年 7月に250 万を
を底上げしていくことも見据えている。
ング領域への適用も検討中だ。
突破した。膨大なユーザー数を支える新しい基盤に
「現在、非常に速いトランザクション処理が要求
は、十分な安定性と信頼性が求められることになる
今後の展望/レッドハットへの期待
されるシステムには商用 UNIX を利用している部分
ミドルウェア製品JBossの採用も決定、
今後は仮想化製品にも大きな期待
システム更改等にあわせて載せ替えが可能になる。
が、
この点について三浦氏は次のように語る。
「オンライントレードサービスでは、相場の騰落に
よってシステムへのアクセスの集中度合いが大きく
変動します。市場が開く時や閉まる時も同様です。そ
05
氏
RHELを導入したメリット1
06
大和証券では2012年の時点で、レッドハットのミド
RHELを導入したメリット2
07
があります。ただしRHELの信頼性が検証できれば、
今後も時機を見据えて、適材適所の仕組みを採用
していきます」
( 山田氏)。
RHELを導入したメリット3
250 万を超えるユーザーの利
用にも耐え得る安 定 稼 働を
実現
約 2.5 倍に増えたトランザク
ション量の高速処理にも十分
に対応
RHEL/汎用サーバ/仮想化
の組み合わせで、サーバ台数
を従来の半数以下に
・大きく変動するアクセス量にも対応
したシステムで安定稼働を実現
・インメモリデータベースとの組み合わ
せでシステムの安定性をさらに担保
・トランザクション量の変動も織り込み
済みのシステムで高速処理にも対応
・今後の取引量を見越したシステム
のチューニングも継続中
・イニシャルコストと運用コストの大
幅な削減を達成
・他システムにも展開可能な技術や
ノウハウを獲得
08
今後の展望/
レッドハットへの期待
ミドルウェア製品JBossの採用
も決定、今後は仮想化製品の
RHEVにも大きな期待
・データベースやメッセージング領域
へのOSS適用も検討中
・段階を踏んで RHEL の適用範囲も
順次拡大していく
OPEN EYE 5
Success story for your business
HPC環境を支えるストレージ
アイビーリーグ コーネル大学、要求の厳しい
高性能計算(HPC: High Performance Computing)環境で
Red Hat Storageを採用
米国東部の名門、
コーネル大学が、研究プロジェクトを支える
HPC 環境のストレージを選定した決め手とは。
ビジネスの課題
トソリューションとして Red Hat Storage Software
バイオテクノロジーにおける研究、
教育、
技術転移を
促進するストレージソリューションの探求
環境と混在する形で導入され、158TB のストレージ
Appliance の採用を決定した。ソリューションは既存
を提供する Dell PowerEdge R610ラックサーバを
CACには、教育機関、政府機関、企業にわたる多くの
InfiniBand経由でDDN 9900データインフラストラク
関連機関が存在する。その 1 つが、Cornell Institute
チャプラットフォームに接続した。
for Biotechnologies and Life Science Technologies
Red Hat Storage Software Appliance の設置は
だ。同機関のITディレクター、James VanEe氏がCAC
数日で完了し、すでに1 年以上、不具合なく実稼動し
■ ビジネスの課題
のテクニカルスタッフに就任したのは、2010 年のこ
ている。現在、同機関はRed Hat Storageを主にDNA
とだった。同氏は、バイオテクノロジーの研究を支援
塩基配列解読の研究で生成されたデータの格納で
コーネル大学のCenter for Advanced Computing
するストレージソリューションの決定と導入のために
使用している。また、同じ学部内の他グループのデー
(CAC)
では、高性能計算
(HPC: High Performance
入所した。バイオテクノロジーは、環境、農業、工学、
タアーカイブ先としても利用しているという。
Computing)
環境でユーザーが利用するデータ集中
獣医学、人間医学へ最終的に恩恵をもたらす研究領
型の研究プロジェクト向けに、拡張性と信頼性に優れ
域でもある。
たストレージソリューションを求めていた。
Institute for Biotechnology and Life Science
Technologiesには、生物学、物理学、工学、計算科学
利点
低コストで優れた拡張性と可用性を獲得
■ ソフトウェア
で研究を行う大学の科学者たちが集まっている。
「同
Red Hat Storage Software Appliance
機関は共同研究の風土があり、非常に膨大なデータ
Red Hat Storage Software Appliance によって、
が生成されます」
と、CAC のシステムコンサルタント、
Cornell Institute for Biotechnology and Life
Steven Lee氏は述べる。
ScienceTechnologiesは既存のストレージディスクを継
当時、同機関の科学者は非構造化データにアクセ
続して活用することができた。おかげで、ハイパフォー
スできず、ノードあたり8TBと16TBの制限がある標準
マンスSANを利用しながら無理のない価格で拡張でき
■ ハードウェア
InfiniBandを介してDataDirect Networks(DDN)
9900に接続、Dell R610で158TBが利用可能
■ 利点
Red Hat Storage Software Applianceは、CAC
の主要な教育機関の 1 つ、Cornell Institute for
Biotechnologies and Life Science Technologies
の要件を満たすことができた。同機関は、DNA塩基
配列解読、プロテオミクス、画像処理の実行に十分
耐えうる堅牢なストレージプラットフォームを模索
していた。
■ 背景
1865 年に創立されたコーネル大学は、アイビー
リーグの中で最大規模を誇る大学で、米国各州お
よび世界 120ヵ国の学生 20,000 人以上が学んで
いる。名高い学風と民主主義の理念を独自に併せ
持つ同大学では、従来の科目とより実用的な科目
を織り交ぜた講義を実施しており、アイビーリーグ
で最も広範な教育分野を提供している。
そのコーネ
ル大学のCenter for Advanced Computing
(CAC)
は、大学、政府機関、企業にわたるデータ集中型の
研究を支えるHPC 構想を支援するため、2007 年に
設立された。新たなテクノロジーを早期に採用した
CACでは、さまざまな分野の科学者の研究を支援
している。15 台で構成されたRed Hat® Enterprise
Linux® ハイパフォーマンス・コンピューティング
ファイルシステムしか利用できなかった。その一方で、
た。また、Red Hatのソフトウェアのみのソリューション
同機関では毎月20TB 以上のデータが生成されてお
ではインストールベースを置き換える必要がなかった
り、拡張性に加えて可用性に優れたソリューションを
ので、サーバやストレージハードウェアを追加すること
必要としていた。さらに、科学者は標準ファイルシステ
なく、
必要に応じて拡張できるようになった。
ム以外からもアクセスできる環境を要求していた。こ
「新しいストレージソリューションの選定で重要な目
れを実現するには、
グローバル名前空間が必須だ。
標の1つが、コスト回避でした」
と、VanEe氏は述べる。
VanEe 氏は、こう述べる。
「スケールアウト可能なス
「私たちには、先行投資できる予算がありませんでし
トレージソリューションの構想には常々関心があった
た。Red Hat Storageは低コストのソフトウェアソリュー
のですが、
コストの関係上、導入することができません
ションですので、大幅な支出を回避でき、同時に既存
でした」。同氏は、Isilonなどの他のソリューションも検
のインフラストラクチャを維持することができました。
討したが、こうしたシステムにかかる膨大な資本コス
容易かつ無理のない価格で拡張できたのです」
。
トを前に足踏みをしていたと言う。
「そこで私たちは、
さらに、コーネル大学は標準ファイルシステムに制
巨大な先行投資を必要としない、その他のストレージ
限されることなくデータにアクセスできる環境を科学
ソリューションはないかとCACに相談したのです」。
者に提供できるようになった。Red Hat Storageでは、
非構造化データをより容易に扱うことができる。
「グ
ソリューション
CACのハイパフォーマンスコンピューティングクラスタ
におけるRed Hat Storageのベストソリューション
ローバル名前空間に対応したソリューションを選択
したことで、運用やデータ管理にかかる諸経費を削
減でき、時間とコストを大幅に節約できました」
と、
VanEe氏は述べる。
VanEe氏がRed Hat Storage(旧称Gluster)
を初め
Red Hat Storage Software Applianceを導入したこ
て耳にしたのは、B i o - I T Wo r l d でのことだっだ 。
とで、同機関は研究プログラムを継続して拡大すると
VanEe 氏は、ソフトウェアのみで構成される同製品に
瞬時に興味を持った。この構成であれば、CACの既存
同時に、研究者の生産性も向上させることができた。
「ITディレクターとしての主要な目標の1つに、新規テク
のストレージ・ハードウェア・インフラストラクチャを
ノロジーをすぐに採用できる環境の構築がありました」
活用できるからだ。このほか、大規模なデータセット
と、VanEe氏は言う。
「もしも学部で新しいシーケンサー
でも高 いパフォーマンスと可 用 性を実 現できるス
を50万ドルで購入したら、データの格納先がすぐにで
性分析、トレーニングおよび教育プログラムの開
ケールアウトアーキテクチャと大規模なグローバル
も必要になります。Red Hat Storage は、新規テクノロ
発 / 管理 / 評価において、その専門性が高く評価
名前空間にも魅力を感じたと言う。
ジーに適応する柔軟性をもって、私たちが先手を打っ
されている。
CAC は複数ベンダーの提案を検討した結果、ベス
て行動できるように支援してくれます」
。
クラスタを運用し、大規模計算機システムの有用
6 OPEN EYE
Red Hat K.K. EDITORIAL 2013
パブリッククラウドでNASストレージを構築
教育サービス大手のIntelitekがクラウドNAS
戦略に選んだRed Hat Storageと
Amazon Web Services
ビジネスの俊敏性とスケーラビリティを求めて
パブリッククラウドへストレージの移行を決断。
既存アプリケーションの対応を含めて選定した決め手とは。
ビジネスの課題
ストレージとクラウドの戦略構築
も検討したが、これらのソリューションは必要な要件
を満たしていなかった。
Intelitek は AWS で Red Hat Storage を使用し、
Apache サーバを EC2 インスタンスで実行している。
■ ビジネスの課題
多くの教育機関にとって同社は、エンジニアリン
AW S につ いて I n t e l i t e k が 抱 いた懸 念の 1 つ が 、
グ、製造オートメーション、メカトロニクス、産業メン
AWSクラウドで実行するためには既存の POSIX 互
テナンス、高度な製造テクノロジーなど、各産業にお
換アプリケーションを再作成する必要があるという
ける学習ソリューションの急速なニーズの変化に対
点だった。Red Hat Storageなら、POSIX互換でAWS
応できる最新テクノロジーのプロバイダとして、きわ
クラウドへのデプロイが容易におこなえるので、その
め て 頼りに な る 存 在 だ 。最 大 手 顧 客 の た め に
必要はない。
Intelitek は、時間的制約の大きいターゲット市
Intelitekでは、求められる柔軟性と拡張性を提供す
「Red Hat Storageは、AWSへの移行にあたり当社
場の需要を満たすため、拡張性や柔軟性に優れ、
るクラウドの活用が、ビジネスの成功への最善の選
のコードと競合することのない強固なソリューション
価格が手頃なクラウドコンピューティング基盤を
択であると判 断した 。A m a z o n W e b S e r v i c e s
を提 供してくれます」
と Ka d u r y 氏は述 べている。
探していた。
■ ソフトウェア
Red Hat ® Storage を Amazon Web Services
(AWS)に導入
■ ハードウェア
・ロードバランサ、A p a c h e サーバ 、R e d H a t
StorageをAmazon EC2インスタンスで実行
・Red Hat Storage で Amazon Elastic Block
Storage(EBS)
を利用
■ 利点
Red Hat® Storage を Amazon Web Services
(AWS)にデプロイすることで、導入と保守が容易
で、可用性、拡張性に優れた NASテクノロジーが
(AWS)はこのプロジェクトの理想的なパートナー
「Red Hat Storage を利用することで、この特定の用
だった。しかしAWS には、Simple Storage Service
途で顧客に迅速に製品を提供できました。ソリュー
(S3)がポートフォリオの一部に含まれており、S3 を
ションには素 晴らしいメリットがあり、R e d H a tと
使用するためには、アプリケーションの一部を書き
Amazonの戦略関係を高く評価しています」
直して S3 APIと互換性を持たせなければならず、こ
れはコストと時間を要するものだった。
「Amazonとそのクラウドサービスはとても気に
入っていたので、AWS を選びました」
とIntelitek の
利点
Red Hat Storageの優れた可用性、
パフォーマンスとサポート
R&D 担当副社長 Alon Kadury 氏は述べる。
「しか
し、Amazon が S3 で提供するストレージを活用する
「Red Hat Storageの革新性を認識するのに、時間
には、当社のアプリケーションがそのAPIで機能する
はかかりませんでした。特に、POSIX アプリケーショ
ように変更する必要がありました。これらの変更は、
ンをシームレスに移動できることと、ソリューション
開発者に多くに時間を必要とし、他のプロジェクトの
の拡張性、高パフォーマンスの機能には驚きました」
時間を奪うことになります。最新の APIを維持しなが
とKadury 氏は述べている。
「何ヵ月も費やすことな
ら、クラウドのサービスと機能を顧客に提供するスト
く、PoCの利用を即座に開始でき、顧客にも迅速に製
レージソリューションが必要でした」
品を提供できました。インストールも実際の使用も
実に簡単で、すぐに運用を開始できます」
利用可能に
さらに、Intelitek ではきわめて拡張性の高いスト
レージソリューションを必要としており、クラウドは最
■ 背景
適な選択であった。Red Hat Storage により、AWS の
Intelitek Inc. は、最先端のロボット工学、モー
多数の Amazon EC2 および EBSリソース能力を集約
ションコントロール、eラーニングの分野で革新的
することで、高パフォーマンスのファイルストレージ
なテクノロジーを提供している企業で、同社の製品
が利用でき、オンデマンドでギガバイト単位のスルー
は、世界中の教育機関や企業で利用されている。
プットとペタバイト規模の容量の拡張が可能になる。
Intelitek が提供する幅広いソリューションには、学
「Red Hat Storage は優れた可用性、パフォーマン
習管理システム
(LMS)
をはじめ、ロボット、CNC、
スと価格で最高の体験をもたらしてくれました」
と
CAD、CAM、ハイドロ / ニューマチックデバイス、
Kadury 氏は続ける。
「考え得る最善の決断だったと
PLC、センサー、プロセスコントロール、データ取得
いえるでしょう」
製品などが含まれる。
Red Hat Storage は、Intelitek に優れたテクニカ
ソリューション
Intelitekが選んだ Red Hat Storage
ルサポートも提供した。
「Red Hat のテクニカルサ
ポートチームとは、とても良好な関係を築いていま
す。Red Hatサポートチームは問い合わせに迅速に
対応し、コミュニケーションは常にオープンに行わ
Intelitekは、Red Hat StorageならAWSのクラウド
れています」
とKadury 氏は述べる。
「特にハイエン
で NAS が利用できることを知り、現在のアプリケー
ドの顧客に対応するには、彼らのニーズに応えるた
ションをクラウドに導入するのに最適なソリューショ
めにサポートチームの存在が不可欠です。顧客は
ンであると即座に判断した。2011 年 2 月の Red Hat
私たちに頼り、私たちは Red Hat Storage を頼りに
Storage の概念実証(PoC)の前に、他のテクノロジー
しているのです」
OPEN EYE 7
Success story for your business
Red Hat K.K. EDITORIAL 2013
○ レッドハット最新レポート
レッドハット
ビッグデータ
戦略を発表
オープンソースWayなアプローチで
ビッグデータ戦略を加速
OSSこそがビッグデータの課題を解決できる
ビッグデータ戦略」
の中で、ビッグデータに対するレッドハット
オープンハイブリッドクラウド
とエコシステムに注力
の取り組みや今後の戦略が明らかになった。常務執行役員
2013 年 3月28日に開催された記者発表会「レッドハットの
製品・ソリューション事業統括本部長の纐纈昌嗣が語る、レッ
ドハットのビッグデータ戦略の全貌とともに、スケールアウト
型ストレージ
「Red Hat Storage」
をはじめとしたビッグデータ
活用に向けたソリューションについて具体的に見ていこう。
ビッグデータの課題を
解決できるのはOSSだけ
今回の目玉となる
「Red Hat
Storage」
は、サーバを追加して
いくだけで拡張できるスケール
アウトアーキテクチャを採用して
いる分散ファイルシステム。
「ア
クセス頻度の少ない非構造化
データを高価なストレージに格
もちろん、ビッグデータの課
納するのは避けたいはず。だか
題に応えるためには、エコシス
らこそ、このようなストレージが
テムもレッドハットの 重 要 な
主流になってくる」
。
このRed Hat
さらに、パブリッククラウドと
ビッグ デ ー タ 戦 略 の 一 翼 を
Storageを活用することで、NFS
プライベートクラウドを柔軟に
担っている。
「Hadoop のなか
など一般的に利用されている
連携させていくことも重要な戦
で DWH の機能を果たす HIVE
ファイルシステムだけでなく、仮
略の一つ。米レッドハットCEO
など、優れた製品が OSSとして
想化ソフトウェアやクラウド基
ジム・ホワイトハーストはこの環
すでに登 場している。様々な
盤におけるストレージとして活
境を
「オープンハイブリッドクラ
オープンソースのプロダクト
用できるなど、最新のアーキテ
と纐纈は力説する。
ウド」
と表現するなど、両者の
が登場している今の状況だか
クチャを含めた真の意味での
また、画像やつぶやきなど非
シームレスな連携も大きなポイ
らこそ、エコシステムという観
Any Access が実現できると中
構造化データが中心のビッグ
ントになっている。
このオープン
点も重要になる」。
井。また、Hadoopを連携させる
大 量 のトランザクションを
データにあって、この非構造化
ハイブリッドクラウド環境を整
ビッグデータの活用という面
プラグインを今回新たに開発
もとに様々な 解 析を 行うこと
デ ータにフォーカスするのも
備することで、
クラウド環境の管
からアプリケーション環境につ
し、Hadoopコミュニティに提供
でビジネスバリューを生み出
レッドハットの重要な戦略だ。 理 やアプリケーション開 発 支
いて言 及してきた纐 纈だ が 、 することも発表。
「コミュニティと
す「ビッグデータ」。バズワード 「ビッグデータをDBに格納する
援、そして実行環境を通じて、
ア
ビッグデータの格納という面で
ともに発展させていくという方法
になりつつあるこの言葉が普
構造化データの拡大版と捉え
プリケーションを作り変えること
も重要なソリューションを持っ
は、
まさにオープンソースWayな
及したのは 、ビッグデ ータ関
る企業もあるが、非構造化デー
なくパブリッククラウドからプラ
ていると指摘。それが、
スケール
やり方であり、レッドハットらし
連技術がオープンソーステク
タをどう扱っていくのかに重点
イベートクラウドにワークロード
アウト型ストレージのソリュー
い」
と中井は自画自賛する。
ノロジ ー によって 開 発され 、 を置いていくべきだ」
(纐纈)。
を移行することも可能となる。
ション「Red Hat Storage」だ。 他にも、異なるRDBを仮想的
進化した結果、一般企業でも
ビッグデータの活用と格納の両
に1つのDBとして使うことができ
利用できる環境が整っている
面から、レッドハットはエコシス
る「JBoss Enterprise Data
からに 他 ならな い 。
「 まるで
テムを推進していく方針だ。
Services」
では、データソースの
ジェネリック医薬品 のように
1つとしてHadoopを使うことが
データ関連のテクノロジーや
ビッグデータへのオープン
ソースWayなアプローチ
ア ー キ テク チャを 採 用 し た
製品群はオープンソースが先
続いて、ビッグデータ関連の
NoSQL製品
「JBoss DataGrid」
で
行している」と纐 纈 が 語る通
具体的なソリューションを紹介
は、ビッグデータに対応できるよ
り、ビッグデータとOSS は切っ
したマーケティング本部 部長
うスケールアウトで拡張してい
ても切り離 せ な い 関 係 に あ
の中井雅也は、
「専用のハード
ける仕組みを採用している。
る。MapReduce をはじめとし
ウェアを使うことなく、標準的な
これらの製品はすべてOSSと
た分散処理テクノロジーを実
x86アーキテクチャの汎用的な
して提供しており、ビッグデータ
装する H a d o o p を例に挙 げ、 レッドハット株式会社 常務執行役員 製品・ソリューション事業統括本部長 サーバをビッグデータに活用
纐纈 昌嗣(左) できることだ」
「OSSだけが本当の意味でビッ
とその強みを強
の課題に応えるためにもオープ
広がってきたOSSだが、ビッグ
グデータの課題を解決できる」
マーケティング本部 部長 中井 雅也(右) 調する。
可能だ。さらに、スケールアウト
ンソースが欠かせないポイント
になる、
と最後に締めくくった。
▼ Red Hatのビッグデータソリューション
Red Hat Storage ロードマップ
JBoss Enterprise
Data Services
∼Any Accessを実現∼
エコシステム
Amazon
Web Services
既存 RDB
Red Hat
Enterprise
Virtualization
既存 RDB
ビッグデータ
活用
既存 RDB
既存データの仮想統合
● Hadoop連携
●
JBoss DataGrid
(NoSQL)
●
●
MapReduce
データ分析
FUSE※
Red Hat
Storage
Red Hat Storage
VMware
CIFS
ビッグデータ
格納
NFS
分散型key-valueストア
● インメモリ
・データグリッド
●
スケールアウト・ストレージ
● Hadoop連携
●
※Red Hat Storageのネイティブ・プロトコル
◎ レッドハットの製品、
サービスに関するお問い合わせはこちらまで >>> セールス オペレーションセンター ☎ 0120-266-086(携帯電話からは ☎ 03-5798-8510)
〔受付時間/平日9:30∼18:00〕 e-mail: [email protected]
OPEN EYE Vol.12
年4月 発行
発行
2013
2013年00月 発行:レッドハット株式会社
東京都渋谷区恵比寿 4-1-18
tel:03(5798)8500
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