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No. 106 - 情報規格調査会

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No. 106 - 情報規格調査会
No. 106
2015 年 6 月
目
次
標準活動トピックス: 開催報告:情報処理学会短期集中セミナー
「情報セキュリティ/プライバシーと国際標準 ~対策のための枠組みとその活用~」 .......... 2
渡邊 創(産業技術総合研究所)
国際規格開発賞の表彰 ............................................................................................... 4
最近の国際会議から:
SWG on Directives 会議報告 ............................................................................................ 5
伊藤 智(産業技術総合研究所)
JTC 1/SWG 3(Planning)会議報告 .................................................................................. 5
河合 和哉(産業技術総合研究所)
SWG on Management 会議報告 ....................................................................................... 6
成井 良久(日本マイクロソフト(株))
JTC 1/WG 10(Internet of Things)会議報告 ................................................................... 7
河合 和哉(産業技術総合研究所)
SC 35(User interface)会議報告 ..................................................................................... 8
関 喜一(産業技術総合研究所)
SC 37(Biometrics)総会報告 .......................................................................................... 9
山田 朝彦(産業技術総合研究所)
2015 年度 標準化功績賞および貢献賞の表彰 ............................................................... 10
お知らせ: JIS の公示 ............................................................................................ 11
解説:行政サービスのオープンデータ ......................................................................... 12
関 洋平(筑波大学)
声のページ:
言語資源・翻訳などの標準化の進展 .................................................................................... 15
石崎 俊(慶應義塾大学)
最近のスマホ特許裁判と標準化団体の特許取扱規定 ................................................................ 15
竜田 敏男(情報セキュリティ大学院大学)
2015 年 6 月以降 国際会議開催スケジュール ............................................................... 16
編集後記 ............................................................................................................... 16
IPSJ/ITSCJ NL106 2015.6 1
<標準活動トピックス>
開催報告:情報処理学会短期集中セミナー
「情報セキュリティ/プライバシーと国際標準 ~対策のための枠組みとその活用~」
SC 27 専門委員会
委員長 渡邊 創(産業技術総合研究所)
1. 概要
情報処理学会では,主に産業界向けのイベントとし
て時事性が高く,社会的関心度の高いテーマを取り上
げて 1~2 日間程度の集中セミナーを開催している.
2014 年度は,SC 29 専門委員会が企画し 2014 年 9
月に開催された「画像・音声符号化伝送技術~最前線
と標準化動向~」
(NL-104 既報)
,及び SC 27 専門委
員会が企画し「情報セキュリティ/プライバシーと国
際標準 ~対策のための枠組みとその活用~」の 2 回
のセミナーが開催された.本稿では,2015 年 2 月に
開催された表記セミナーについて報告する.
2. SC 27 専門委員会について
セミナーを中心となって企画した,
私ども SC 27 専
門委員会について簡単に紹介する.SC 27 専門委員会
は,国際標準化組織 ISO/IEC JTC 1/SC 27 の国内審
議組織である.ISO/IEC JTC 1/SC 27 は,情報技術
の中のセキュリティ技術の国際標準化を担当してお
り,次の 5 つの WG が活動を行っている.それぞれ,
WG 1(Information Security Management Systems:
情報セキュリティマネジメントシステム),WG 2
(Cryptography and Security Mechanisms:暗号と
セ キ ュ リ テ ィ メ カ ニ ズ ム ), WG 3 ( Security
evaluation, testing and specification:セキュリティ
の評価・試験・仕様)
,WG 4(Security Controls and
Services:セキュリティコントロールとサービス),
WG 5 ( Identity Management and Privacy
Technologies:アイデンティティ管理とプライバシー
技術)である.わが国では SC 27 専門委員会が,対応
する国内専門委員会として情報処理学会情報規格調
査会内に組織されており,各 WG 対応組織として小
委員会が専門委員会の下に組織されている.
SC 27 は現在,参加国 52,オブザーバ国 18 で組織
されており,担当する規格が 142 存在する.日本から
も複数の国際役職者を出しており,また活発に国際規
格の提案,意見提出等を行っている.
3. 開催経緯
2014 年 9 月開催の 2014 年度第 1 回のセミナー企
画に引き続き,2014 年 5 月に本セミナーの準備が開
始された.情報規格調査会事務局,SC 27 専門委員会,
情報処理学会関係者の間で,聴衆の想定と講演内容の
検討,会場・日程・参加費等の設定,後援の依頼,宣
伝等について議論を開始した.
検討の結果,聴衆として,企業や組織で情報セキュ
リティ/プライバシー対策を担当している方を想定
した.想定聴衆に合わせ,講演内容は,
・ SC 27 策定規格に関連する最近のセキュリティ
/プライバシー事案について
・ 事案への対応に関する国際/国内動向について
・ SC 27 策定の ISO/IEC 標準がその解決,防止
にどのように役立つのか
・ 規格が実際にどのように活用されているのか
・ 現在,今後の規格化動向について
等を紹介することとした.内容と開催時間を鑑み講師
は 3 名程度とし,SC 27/WG 1 小委員会主査の山﨑哲
氏(工学院大学)
,SC 27/WG 3 小委員会主査の甲斐
成樹氏((独)情報処理推進機構)
,SC 27/WG 5 小委
員会主査の崎村夏彦氏((株)野村総合研究所)に依頼
することと,またセミナーのコーディネータは渡邊が
務めることとした.会場は都内での開催を前提に検討
を行い,機械振興会館に決定した.日程は 9 月のセミ
ナーとの間隔や広く聴衆を集めることを考え,2 月と
設定した.2 月は政府がサイバーセキュリティに関す
る普及啓発強化を目指し「サイバーセキュリティ月間」
(2 月 1 日〜3 月 18 日)として設定している期間内
であることから,内閣サイバーセキュリティセンター
に依頼し同ウェブサイトでも関連するイベントとし
て紹介していただくなど,宣伝効果も高めることがで
きた.参加費については,今年度第 1 回のセミナーと
比較し,位置付けや構成の違いも勘案した結果,情報
処理学会及び関連学会の正会員 12,000 円,一般非会
員 14,000 円,
学生 6,000 円と設定した
(含冊子資料)
.
講演資料は事前に講演者から提供を受け印刷製本し,
セミナー当日参加者に配布することとした.SC 27 国
際規格に基づく国内認証制度等を実施している(独)
情報処理推進機構(IPA)に依頼し,後援をいただい
た.
4. セミナー概要報告
ここでは簡単にセミナーの内容と当日会場の様子
について報告する.
開催概要:
■ 名称
情報セキュリティ/プライバシーと国際標準~対策の
ための枠組みとその活用~
■ 開催スケジュール
2015 年 2 月 26 日(木)13:20~17:30
受付開始:13:00~
オープニング
13:20- (渡邊)
セッション1
13:25- (山﨑氏)
セッション2
14:40- (甲斐氏)
休憩
15:55-
セッション3
16:10- (崎村氏)
IPSJ/ITSCJ NL106 2015.6 2
挨拶 17:25-17:30 (渡邊)
■ 開催会場
機械振興会館 6 階 6D-4 会議室
[〒105-0011 東京都港区芝公園 3-5-8]
オープニング:
コーディネータの渡邊より,本セミナーのねらいと
SC 27 専門委員会の活動について紹介した.
セッション 1:
情報セキュリティマネジメントシステムの活用~
情報資産のリスク対策~(講師:山﨑哲(工学院大学))
本講演では最初に,情報セキュリティマネジメント
システム(ISMS)の意義,
ISMS 要求事項規格 ISO/IEC
27001 とその関連規格の動向,
ISO/IEC 27001,
27002
の審議経過についての解説があった.
次に ISO/IEC 27001 の改訂の趣旨と主要な改訂点
の解説として,マネジメントシステム規格の共通化の
適用,情報セキュリティ目的の導入による「ISO
31000:2009 リスクマネジメント-原則及び指針」に基
づく情報セキュリティリスクアセスメント及びリス
ク対応,分野別 ISMS への拡張,パフォーマンス及び
有効性の評価についての説明があった.
さらに改訂後の ISO/IEC 27001 におけるトップマ
ネジメントの役割についての解説があった.説明の中
では,日本から提案し,現在規格化進行中の ISO/IEC
27017 (Code of practice for information security
controls based on ISO/IEC 27002 for cloud services)
についての解説やその使われ方,規格化の現状と今後
の展望などについても解説された.
セッション 2:
IT 製 品 の セ キ ュ リ テ ィ 設 計 ・ テ ス ト ・ 評 価 ~
ISO/IEC JTC 1/SC 27/WG 3 の活動内容のご紹介~
(講師:甲斐成樹((独)情報処理推進機構))
本講演では,最初に ISO/IEC 15408 に基づく IT 製
品認証の概要についての解説があった.ここでは
ISO/IEC 15408 に基づく認証スキーム,ISO/IEC
15408 に 基 づ く IT 製 品 評 価 の 全 体 像 , EAL
(Evaluation Assurance Level)
,評価に要するコス
ト・期間,WG 3 国際標準に適合する本質的な意義な
どについて説明された.
次に製品開発のセキュリティレビューについて解
説があった.ここでは ISO/IEC 15408 に基づく開発
評価のフロー,想定脅威の漏れや曖昧なセキュリティ
要件などのセキュリティ要件定義上の問題点,
ISO/IEC 15408 での対処方法が現実の事例を挙げつ
つ解説された.設計・コーディングでの問題,ISO/IEC
18045 における機能仕様の評価,ISO/IEC 18045 に
おける設計記述の評価について,また WG3 の関連標
準等が紹介された.
そして最後に,脆弱性分析方法についての解説が行
われた.ここでは TrueCrypt で検出された脆弱性,
ディスク暗号における攻撃の例,ISO/IEC 15408 に
おける脆弱性の分析,ISO/IEC 15408 を開発プロセ
スに適用するメリット,WG3 の関連標準などの説明
があった.
セッション 3:
パーソナルデータ活用とプライバシー関連国際規
格~ISO/IEC JTC 1/SC 27/WG 5 の活動内容のご紹
介~(講師:崎村夏彦(
(株)野村総合研究所)
)
本講演では,最初に個人情報保護法とプライバシー
対策との間の関係について解説があり,WG 5(アイ
デンティティ管理とプライバシー技術)で策定された
/されている規格の概略について説明があった.アイ
デンティティとは何か,プライバシーを侵害するとは
どういうことかについて解説があった.
次に ISO/IEC 29100 (Privacy Framework) の解説
があった.ここではプライバシーフレームワークの構
成要素として,アクターと役割,アクター間のやりと
り,個人情報(PII)の認識(見つけ方),プライバシー
保護要件,プライバシーポリシー,プライバシー・コ
ントロールについての説明があった.さらに,
ISO/IEC 29100 のプライバシー原則(行為規制)につ
いても解説された.
そ の 後 ISO/IEC 29101 (Privacy Architecture
Framework) についての解説があった.ここではフ
レームワークの要素,PII 処理ライフサイクルのフェ
ーズ(収集,転送,利用,保管,廃棄),関心事,
アーキテクチャ・ビュー(コンポーネント・ビュー)
についての解説があった.
最後にその他の注目すべき規格,日本からの提案や
規格化への貢献について紹介された.
挨拶:
最後にコーディネータの渡邊より,参加者への SC
27 国際規格化活動へのご理解,参加のお誘い,現場
からのご意見のお願いをし,閉会となった.
当日は雨天であったが登録したものの欠席された
方は少なかった.セッション中の質疑も多数あり,閉
会後も講師に挨拶や質問する参加者も多数おられる
など,情報セキュリティ,プライバシーに関する参加
者の強い興味と,SC 27 策定の国際規格に対する強い
期待が感じられた.
5. 参加者状況
開催準備が整い,情報処理学会ウェブサイトの公開
及び参加申し込みが開始されたのは 2015 年 1 月 13
日であった.参加者は 56 名であった.参加登録受付
開始当初より関心は高く,ほぼ参加定員数の事前登録
をいただいた.規格の提案をされる方々よりも規格の
ユーザの方々が多い印象であった.
6. まとめと今後の課題
今回の短期集中セミナーは,想定した通りの参加者
を集めることができた.今後の SC 27 策定規格の活
用促進への期待が持てる結果であると感じている.質
疑の時間で参加者の方々からの発言を聞いて思った
のは,規格ユーザからの希望や意見を今後どのように
収集していくかということである.今や情報技術はど
の企業でも使われており,ユーザとして想定される企
業の業種範囲があまりに広くなってしまうことから,
情報規格調査会への参加が期待できない業種も多々
存在する.本セミナーのような機会は,そのような
方々の意見をいただける貴重な機会である.今後,今
回のセミナーの実施結果を十分検討し,より効率良く
IPSJ/ITSCJ NL106 2015.6 3
皆様の意見を収集できる方法を考えていきたい.
また,当日は無記名アンケートを行った.アンケー
トには 46 名の方から回答いただき(約 82%回収)貴
重なご意見を集めることができた.概ね上記印象の通
りの回答をいただいた.
「ISO/IEC JTC 1 が情報技術
に関する技術標準化活動を行っていることをご存知
でしたか?」という質問に「いいえ」と回答した方が
半数おられたことから,本セミナーが情報規格調査会
の活動の宣伝に役立ったと思われる.
「JTC 1 の標準
化活動に直接参加したいと思いますか?」という質問
には,残念ながら「はい」という回答は少なかった一
方,「興味がある」という回答が多かった.これはユ
ーザとしての興味で参加された方が多かったためで
あると考えられる.
最後に,本セミナー開催にご尽力いただいた情報処
理学会及び情報規格調査会関係者の皆様,講演を快く
お引き受けいただいた講師の方々,熱心にお聞きいた
だきご質問やご意見を下さった参加者の皆様,本セミ
ナーをご後援下さった(独)情報処理推進機構,イベ
ントをウェブページに掲載いただいた内閣サイバー
セキュリティセンターに心より感謝申し上げる.
∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪
<国際規格開発賞の表彰>
国際規格開発賞は,当会に所属する Project Editor または Project Co-Editor の貢献に対して授与されるも
のです.受賞者は表彰委員会で審議決定し,受賞対象の規格が発行された後に授与されます.
2015 年 4 月の受賞者
ISO/IEC 33001 (First Edition)
岡崎 靖子
Information technology -- Process assessment – Concepts and terminology
(日本アイ・ビー・エム㈱)
(SC 7,2015 年 3 月 1 日発行)
ISO/IEC 33004 (First Edition)
新谷 勝利
Information technology -- Process assessment -- Requirements for process
((独)情報処理推進機構) reference, process assessment and maturity models
(SC 7,2015 年 3 月 1 日発行)
高井 弘光
(㈱デンソーウェーブ)
ISO/IEC 18004 (Third Edition)
Information technology -- Automatic identification and data capture
techniques -- QR Code bar code symbology specification
(SC 31,2015 年 2 月 1 日発行)
ISO/IEC 19763-10 (First Edition)
Information technology -- Metamodel framework for interoperability (MFI) 岡部 雅夫(東北工業大学)
- Part 10: Core model and basic mapping
(SC 32,2014 年 12 月 15 日発行)
IPSJ/ITSCJ NL106 2015.6 4
<最近の国際会議から>
■ SWG on Directives 会議報告
ディレクティブズ SWG 小委員会
主査 伊藤 智(産業技術総合研究所)
1. 開催場所: ソウル(韓国)
2. 開催期間: 2015 年 3 月 24 日~25 日
3. 参加国数/出席者数: 9 か国/22 名
コンビーナ(Karen Higginbottom,米),セクレタ
リ(Lisa Rajchel),米国(1)
,韓国(4),日本(2:
伊藤智,河合和哉[産総研]
),フランス(2),カナダ
(2),ドイツ(2),英国(1)
,インド(1)
,中国(2)
,
ITTF-IEC,ITTF-ISO
4. サマリ
今年度は,Directives への大きな変更点がなかった
ため,アジェンダが少なく,会議は1日で終了した.
Consolidated JTC 1 Supplement および Standing
Document 11 の投票に寄せられたコメントについて
対応を行った.日本から SD 11 にインプットした多
くのコメントについては,この会議中に解決すること
は困難であることから,アドホック会議を設置して対
応 案 を 協 議 す る こ と と な っ た . 当 初 SWG on
Directives(SWG-D)に割り当てられていた水曜日に
は,SD 11 に関するアドホック会議を開催して,コメ
ントへの対応方針を協議した.
5. 議事要旨
5.1 Consolidated JTC 1 Supplement 2015
Consolidated JTC 1 Supplement2015 の投票が昨
年の総会前に行われ,日本から FastTrack(FT)の
TS/TR に関するフローチャートを寄書として提出し
ていた.ドイツから,日本からの寄書の中に BRM が
記載されているが,これは現在の JTC 1 のルールと
食い違っているのでフローチャートを入れない方が
よいというコメントが提出された.これらの寄書をも
とに,BRM が必要だという意見と,BRM は FT には
不要である,という二つの意見に分かれた.BRM が
不要とする考えでは,投票を Yes/No のみでコメント
記述が無いようにする方法も議論された.NB に意見
を求めるとともに,JDMT にも意見を求め,次回ベル
リン会合で改めて議論することとなった.
(Recommendation 1)
5.2 Standing Document 11
JTC 1 のプロセスを記述するドキュメント SD 11
の投票が昨年の総会前に行われ,SD 11 の改訂案が提
示された.これについては,承認となり,SD 11 第3
版として発行となった.(Recommendation 2)
一方で,日本からは,SD 11 と Directives との間に
重複が多いことから,SD 11 の廃止を提案した.日本
からのコメントを受けて,SD 11 をどのように扱うか,
アドホック会議を設置して解決を図ることとなった.
フランスの HoD である Jean Laurens がアドホック
会議の Convenor となり,SWG-D の会議の 2 日目午
前に実施した.アドホック会議では,SD 11 を廃止す
るのではなく,日本が指摘した重複に対して,一つ一
つ,どちらの記述を残すか,改変するか,の対応方針
を決めた.今後,策定した方針に従って修正案を作成
し,後日 2 回程度アドホック会議を開催して,ベルリ
ン会合へ向けた提案を策定する予定である.
(Recommendation 3)
また,WG が Expert の集まりとなったことで,投
票コメントに対する Resolution を WG としては実施
できないため,NB の集まりである SC の権限を WG
に委譲する必要があることを日本から寄書として提
出した.Lisa からは,Expert であっても NB から指
名を受けているので,WG の中で問題解決にあたって
問題ない,という判断があり,他の国も同意であった.
5.3 その他
電子媒体に関する Standing document 12: EDPDA
に関するアドホックグループは,SD 12 を廃止すると
結論したものの,ドキュメントの配布モードについて
は有益な情報であると判断して,表に整理した.
SWG-D はこのドキュメントを SD 23 として発行す
る た め の 投 票 に か け る こ と と な っ た .
(Recommendation 5)
また,EDPDA に関して,Accessibility の観点から
SWG on Accessibility(SWG-A)にコメントを求めて
いた.SWG-A から提出されたドキュメント N-564 は,
Accessibility Guidance として有益であると判断し,
SD 22 として発行するための投票にかけることとな
った.(Recommendation 4)
6. 今後の開催予定
2015 年 8 月 27 日~28 日 Berlin, Germany
2016 年 3 月 14 日~18 日 Paris, France
■ JTC 1/SWG 3(Planning)会議報告
情報技術戦略小委員会
委員 河合 和哉(産業技術総合研究所)
1. 開催場所: ソウル(韓国)
2. 開催期間: 2015 年 3 月 23 日
3. 参加国数/出席者数:8 カ国/22 名
コンビーナ(Mario Wendt,ドイツ)
,セクレタリ
(Volker Jacumeit,ドイツ)
,米国(4),韓国(3,
SC24 議長含む)
,フランス(2)
,カナダ(3,SC7 議
長含む)
,ドイツ(1),英国(1),インド(1)
,ITTFISO,JTC 1 議長,JTC1 セクレタリ,日本(2:伊藤
智[産総研],河合和哉)
4. 議事内容
4.1 概要
今回の会議は,SC 38 総会と日程が重複していたこ
とから,SC 38 総会に出席のため参加できないメンバ
IPSJ/ITSCJ NL106 2015.6 5
が多かった.今回の会議では,これまでの検討の結果
を反映した Strategic Business Plan(SBP) のドラフ
トのレビューが主たる議案となった.
また,フランスが提出した SWG-Planning(SWGP)と SWG-Management(SWG-M)を統合する提案
に対する議論が行われた.
4.2 SBP のレビュー
ほぼ一日をかけて,これまでの検討の結果を反映し
たドラフトついて,各章毎にレビューを行った.
(1) Introduction
SBP の目的,ISO と IEC の役割,JTC 1 の位置付
け及び JTC 1 のスコープを記述している.
全体記述の中で”IT”と”ICT”が混在していること
が指摘され,JTC 1 のスコープの記述の仕方に関して
議論があったが,過去,JTC 1 の名称を”ICT”とする
提案がされたが,ISO/TMB,IEC/SMB で受け入れら
れなかったことが報告され,現状の”IT”のままとする
こととなった.また,Systems Integration の取組み
について記述を追加することとなった.
(2) Business Environment of JTC 1
JTC 1 を取り巻く環境について記述している.
提案されたドラフトでは,GDP に対する IT 分野へ
の投資の平均成長率を示しているが,JTC 1 の活動を
示すために有効な指標としては,どのようなものが適
当かについて議論を行った.JTC 1 の Web ページで
適当な図表があれば追加することとなった.
(3) Benefits expected from the work of JTC 1
SBP と通常の BP との違い,また,JTC 1 として戦
略的に取り組むべき分野を調査する Environmental
Scan との関係や JTC 1 活動促進のため検討している
outreach program について記述する.
(4) Representation and participation in JTC 1
JTC 1 への参加状況について,JTC 1 の Web ペー
ジに掲載の統計情報を記述する.P メンバ数が減って
いるが,投票をしていない NB について中央事務局が
P メンバから O メンバへの移行を促しているからと
の説明があった.
(5) Objectives of JTC 1 and strategies for
their achievement
JTC 1 の5つの戦略(取組むべき新領域,他の標準
化機関との連携・協力,マーケティング,各 SC の積
極的な活動,途上国の参加)について記載している.
Systems Integration に対する取組みを追記する.
(6) Factors affecting completion and
implementation of the JTC 1
JTC 1 規格の実装に影響を与える要因について記
述するが内容を見直すこととなった.
(7)
Structure,
current
projects
and
publications of the ISO/IEC
ISO 及び IEC の関連する Web へのリンクをまとめ
ている.ISO と IEC の News Letters についても追
加記載することとなった.
レビューの結果を反映した文書案を作成して,次回
ベルリン会議に入力することが要請された.
4.3 SWG の再編に関する議論
会議の効率的な運用等を目的として,SWG-M と
SWG-P を統合する提案がフランスから入力された.
議論の結論は出ず,次回ベルリン会議に向けて各 NB
の意見を寄書として提出することが要請された.
5. 今後の会議予定
・F2F 会議
2015-08-24 の週:ベルリン(ドイツ)
2016-03-14 の週:パリ(フランス)
・電話会議
2015-04-14:22:00~24:00 (JST)
■ SWG on Management 会議報告
マネージメント SWG 小委員会
委員 成井 良久(日本マイクロソフト(株))
1. 開催場所: ソウル(韓国)
2. 開催期間: 2015 年 3 月 26 日~27 日
3. 参加国数/出席者数: 9 か国/22 名
コンビーナ(Phil Wennblom,米国)
,セクレタリ
(Lisa Rajchel),米国(1),韓国(4, SC24 議長, WG
10 コンビーナ/セクレタリ含む),日本(3:伊藤智[産
総研],河合和哉[産総研]
,成井良久),フランス(2)
,
カナダ(3,SC7 議長含む),ドイツ(2)
,英国(1)
,
,南アフリカ(1), ITTF-IEC, ITTF-ISO
インド(1)
4. サマリ
今 回 の 会 議 で は , JTC 1 と し て Systems
Integration への取り組み方法が大きな議論となった.
その他,JTC 1 の Outreach について,および SWG
会議の効率化について議論が行われた.合わせて 8 つ
の Recommendation が 議 決 さ れ た . 主 な
Recommendation を以下に簡単に解説する.
5. 議事要旨
5.1 Ad hoc on JTC 1 Outreach の再構成
Ad hoc on JTC 1 Outreach の ToR を再考した.
2015 年 JTC 1 総会の時に開発国へのアプローチをす
るために ISO/IEC の中央事務局と協力して Outreach
workshop を開催することにした.また,2015 年 7 月
に行われる GSC 19(Global Standards Collaboration)
への参加について検討する.本 Ad hoc のメンバには
日本からは鈴木俊宏氏が登録されている.
(Recommendation 1)
5.2 Systems Integration
System Integration についてカナダからの寄書を
元に今回作成した文書(N137)に対して次回の会議
までに SWG-M のメンバに対し寄書を求めることに
した.さらに SWG-P,Study Group,WG,SC に対
してもこの寄書を送り意見を求めることとした.
(Recommendation 2)
5.3 Facilitator
IoT の Facilitator からのレポートに対し,WG 10
コンビーナから事前の確認がなかったことなどの問
題が指摘されるなど,Facilitation の役割について明
IPSJ/ITSCJ NL106 2015.6 6
確でないことが確認された.Facilitation の役割につ
いて US から提出された寄書(N131)について次回
の会議までに SWG-M のメンバに対し寄書を求める
ことにした.この Facilitator が SC や WG に参加す
る際の役職についての日本からの質問に対し誰も答
えられず,次回の会議で議論をすることとなった.
(Recommendation 5)
一方,Big Data の Facilitator として,韓国から推
薦されていた SangBeom HAM 氏が任命された.
(Recommendation 4)
5.4 SWG-M と SWG-P
フランスから出された SWG-M と SWG-P を一つ
にするための検討をする Ad hoc を設立するという寄
書(N126)について議論をした.意見が分かれたた
め,
(賛成:フランス,カナダ,南アフリカ,日本,反
対:ドイツ,US,韓国,インド)次回の会議までに
SWG-M のメンバに対し寄書を求めることにした.現
在の 3 つの SWG-M,SWG-P,SWG-D までを視野に
入れて,以下の 3 つの選択肢について考えることにし
た.
・ 3 つ SWG で続ける.
・ SWG-M と SWG-P がひとつになって,計 2 つの
SWG になる.
・ 3 つがひとつの SWG になる
(Recommendation 6)
5.5 次回会議への寄書の締切り
2015 年 6 月 12 日
寄書締切り
2015 年 6 月 19 日
ドラフトアジェンダ
2015 年 7 月 17 日
ドラフトアジェンダに対する
寄書締切り
2015 年 7 月 24 日
最終アジェンダ
(Recommendation 8)
6. 今後の開催予定
2015 年 8 月 24 日~28 日
2015 年 10 月 26 日~30 日
2016 年 3 月 14 日~18 日
2016 年 8 月 22 日~26 日
(Recommendation 7)
(ベルリン,ドイツ)
(北京,JTC 1 総会時)
(パリ,フランス)
(TBD)
■ JTC 1/WG 10(Internet of Things)会議報告
インターネットオブシングス小委員会
委員 河合 和哉(産業技術総合研究所)
1. 開催場所: ベルリン(ドイツ)
2. 開催期間: 2015 年 1 月 27 日~29 日
3. 参加国数/出席者数:14 カ国/33 名
コンビーナ(Sangkeun Yoo,韓国),セクレタリ
(Park Yae Seul:韓国)
,オーストリア(1)
,ベルギ
ー(1)
,カナダ(1)
,中国(5),チェコ(1),フィン
ランド(1)
,フランス(1),ドイツ(4),韓国(1)
,
スペイン(1),スウェーデン(1),英国(2),米国(9),
日本(2:櫻井義人[日立],河合和哉)
4. 議事内容
4.1 概要
11 月の JTC 1 総会で設置された WG 10 の第一回
の会議で あった .会議 で は,これ まで の SWG 5
(Internet of Things)での活動と WG 7(Sensor
Networks)から移管されたプロジェクト(リファレ
ンスアーキテクチャー(RA):ISO/IEC 30141)の状況
について報告されるとともに,今後の作業について議
論された.
ISO/IEC 30141 の 規 格 開 発 に つ い て は , IEEE
P2413 でほぼ同様の作業が進んでいることから,今後
の連携が課題である.
WG 10 は,Systems Integration に関する規格開発
の体制について SWG 6(Management)で議論され,
結論が出ていない中で設置されたため ToR も限定さ
れ,今回は参加できなかったが,SWG 6 からファシ
リテーターが任命されている.しかし,中国の参加者
からは新規プロジェクトの提案意向も示されており,
今後の取扱いを注視しておく必要がある.
4.2 これまでの活動の確認
コンビーナから WG 10 が設置された 11 月の JTC
1 総会と SWG 6 の報告を行うとともに,前身の SWG
5 での活動について JTC 1 に報告されたレポートを
元に各アドホックのコンビーナから活動報告があっ
た.
WG の ToR で SWG 5 での作業を継続することと
なった標準化ギャップの進め方については,アドホッ
クコンビナーから,アドホックでは特定の参加者に作
業負荷が集中したとして,今後の作業の進め方への懸
念が表明されたが,引続いてアドホックを設置して検
討を進めることとなった.
RA の規格開発については,IEEE の P2413 との作
業重複があることが指摘された.IEEE P2413 との連
携が望ましいことでは意見が一致したが,WG7 から
のリエゾン要請に IEEE 側が否定的であったことが
報告された.しかし,WG 10 として改めて協力要請
のリエゾン文書を送付することとなった.
4.3 プロジェクト進捗
WG 7 から移管された ISO/IEC 30141 について,
エディタからのプロジェクトの背景等に関する説明
に続いて,WG 7 から移管された WD の紹介があっ
た.エディタから WD 第 1 章のスコープ変更が提案
されたが,現時点のスコープが既に NP 時点から変更
されていたことから議論となり,結論としてスコープ
は NP 時点に戻し,別途アドホックを設置して変更の
要否について継続検討することとなった.第 2 章以下
については,エディタは WG 7 で合意した目次を維持
するように強く主張したが,用語や章立てについて議
論が紛糾した(IoT RA なのか IoT Systems RA なのか
等について).結局,第 9 章以下の RA のコアになる
部分については,仮の目次項目とすることで妥協した.
コンビーナから,これまでのエディタに加えて新たに
参加希望者募り,エディターチームを設置して規格開
発を進める旨,宣言があった.
ToR に示された用語開発について,NWIP のドラ
フト作成が依頼された.
IPSJ/ITSCJ NL106 2015.6 7
4.4 その他の提案等
中国から以下の 3 件のプレゼンがあり,それぞれ新
規作業項目として提案されたが,いずれも参加者の合
意が得られなかった.
・ IoT Information Exchange and Sharing:IoT
システム間の情報交換についての一般的要求事
項の規格開発の提案がされたが参加者の合意が
得られず,提案の詳細について,次回会議にて
再度提示することとなった.
・ IPv6-based IoT Technology and Applications:
提案の分野については,既に IETF や JTC 1/SC
6 で標準化が進んでいることから,それら IPv6
関係の標準との関係を整理するとともに標準化
すべき事項について継続検討する.
・ OID-based IoT Identifiers:OID に関しては既
に ITU や JTC 1/SC 6 等で関係の標準化がなさ
れていることから,標準化すべき事項について
継続検討する.
4.5 今後の検討事項
RA 以外では,以下の 3 つの Subgroup Rapporteur
Group(SRG)を設置して検討を進めることとなった.
・ SRG 1:SWG 5 から作業継続することとなった
IoT 関連規格の収集と標準化ギャップの明確化
を行う.コンビーナは Steve Halliday(米国).
・ SRG 2:RA の要求条件の調査とネットワーク
レベルのソリューションの検討とリエゾンを締
結する組織機を検討し,WG 10 で標準化すべき
事項を検討する.コンビーナは Wei Min(中国).
・ SRG 3:IoT で使用する ID 関連の課題を分析
し,解決方法を検討する.コンビーナは
Dongmei Xu(中国)
また,各 NB に対して IoT の用語に関する NWIP の
提案が要請された.
5. 今後の会議予定
第 2 回 2015-05-18/22
ブリュッセル(ベルギー)
第 3 回 2015-08-31/09-04(カナダ)
■ SC 35(User interface/ユーザインタフェース)
WGs 会議報告
SC 35 専門委員会
委員長 関 喜一(産業技術総合研究所)
1. 開催場所: コペンハーゲン(デンマーク)
2. 開催期間: 2015-01-19/23
3. 参加国数/出席者数: 9 カ国/30 名+4 WebEx
議長(Khalid Choukri,フランス),セクレタリ
(Philippe Magnabosco,フランス)
,韓国(8)
,スウ
ェーデン(2),カナダ(3),米国(1+2),フランス(5),
ドイツ(3)
,スペイン(1+1)
,英国(+1)
,日本(7:
関喜一[産総研,HoD],山本喜一[慶大],池田宏明
[千葉大],野村茂豊[日立],中野義彦[JBMIA],
大山潤爾[産総研],大野克行[JBMIA]
)
4. 審議概要:
プロジェクトの通常の進行計画以外の事項及び日
本が主体になって進めているプロジェクトについて
述べる.
(1) 池田主査がプロジェクトエディタを務めている
Project 13251 “ Information technology —
Collection of graphical symbols for office equipment”
はマイナーリビジョンとすることを確認し,2015 年
2 月 27 日までに文書を修正して,2015 年 3 月 31 日
までに WG 2 で審議し,2015 年 4 月 15 日までに委
員会内投票に回すことになった.
(2) 池田主査がプロジェクトエディタを務めている
Project 17549-2 "Navigation with 4-direction
devices”は,2014 年 7 月 15 日に DIS 投票が締め切
られ,100%賛成コメント無しで採択された.現在,
FDIS 投票を省略し,
2015 年 1 月 21 日に IS 発行済.
(3) 関委員長がプロジェクトエディタを務めている
Project 30122-1 “ Voice commands ― Part 1:
Framework and general guidance” は,2014 年 7 月
15 日に DIS 投票が締め切られ,100%賛成コメント
無しで採択された.現在,FDIS 投票を省略し,IS 発
行準備中.
(4) 関委員長がプロジェクトエディタを務めている
Project 30122-2 “ Voice commands ― Part 2:
Constructing and testing” は,2014 年 1 月 16 日に
NP+CD 投票が締め切られ,100%賛成で採択された.
韓国の Dr. Miran Choi をコエディタとすることとし
た.今後,NP 再投票のために変更していたタイトル
を元 のタ イ トル であ る"Procedure of constructing
and testing"に戻して,NP+CD の文書を修正せずそ
のまま 2015 年 2 月 13 日までに DIS 投票に回すこと
になった.
(5) 関委員長がプロジェクトエディタを務めている
Project 30122-3 “ Voice commands ― Part 3:
Translation and localization ” は 2014-01-16 に
NP+CD 投票が締め切られ,100%賛成で採択された.
韓国の Dr. Miran Choi をコエディタとすることとし
た.今後,NP+CD の文書を修正せずそのまま 2015
年 2 月 13 日までに DIS 投票に回すことになった.
(6) 関委員長がプロジェクトエディタを務めている
Project 30122-4 “ Voice commands ― Part 4:
Management of voice commands registration ” は
Part 1 と同様.
(7) 大山委員がプロジェクトエディタを務める予定
の Project 20071-3X "User interface component
accessibility — Part 3X: Guidance on the captions
for audiovisual content"は,パート構成を整理して,
Project 20071-23 " Guidance on the visual
presentation of audio information (including
captions and subtitles)"とすることとした.カナダの
Dr. David Fourney をコエディタとすることとした.
今後,2015 年 3 月 30 日までに NP 文書を WG 6 コ
ンビーナに提出,2015 年 4 月 10 日までに NP 投票
に回すことになった.
IPSJ/ITSCJ NL106 2015.6 8
5. 今後の予定
2015 年 8 月 31 日~9 月 4 日 札幌
2016 年 2 月 15 日~19 日
ローマ
■ SC 37(Biometrics/バイオメトリクス)総会報
告
SC 37 専門委員会
委員長 山田 朝彦(産業技術総合研究所)
1. 開催場所: トレド(スペイン)
2. 開催期間: 2015 年 1 月 19 日,20 日
3. 参加国数/出席者数: 16 カ国,11 リエゾン/39
名
議長(Fernando Podio,米国),セクレタリ(Lisa
Rajchel,ANSI)
,オーストラリア,カナダ,中国(2)
,
フランス,ドイツ(4)
,イタリア,日本(5:山田朝
彦[産総研]
,浜壮一[富士通研],新崎卓[富士通研]
,
坂本静生[NEC]
,岩永敏明[経済産業省]
),韓国(2)
,
ノルウェー,ポーランド,ロシア,シンガポール,南
アフリカ(2)
,スペイン(3),英国(2)
,米国(8)
,
ISO 事務局,リエゾン(SC 17,SC 27,SC31,ITUT SG 17 , BioAPI Consortium , IBIA , ILO ,
JTC1/WG7,SC 38,OASIS BIAS TC,CEN TC
224/WG 18)
前回 2014 年 1 月ダルムシュタット総会では,14 ケ
国,11 リエゾン/29 名だった.参加国で見ると,フ
ィンランドが今回不参加,前回不参加のポーランド,
ロシア,南アフリカが参加した.
4. 概要
会議の議題は,以下のとおり.
・ 各コンビーナより,過去 1 年の WG 活動報告
(ウェストラファイエット会議,トレド会議)
・ 各リエゾンからの報告
・ JTC 1 関連事項の審議
・ SC 37 ビジネスプランとロードマップの更新
・ 今後の SC 37 会議日程
SC 37SG を再設立して,次回総会まで,JTC 1 の
サブグループ(SWG など)で作成された文書などへ
の対応を検討する.SG メンバは,Podio 委員長,各
コンビーナ,各 NB 代表など.第 1 回会議は 6 月の
WG に合わせて開催される.以後,テレ会議や WebEx
会議を開催予定.
4.4 オフィサー任命
オフィサーは従来と変更なし.
4.5 ISO 事務局への ISO/IEC 19794-5: 2005 統
合版出版の再検討依頼
ISO/IEC 19794-5: 2005(顔画像データフォーマッ
ト)は,190 を超える国で使われ,e パスポートや e
ビザでも使われているが,技術訂正や追補が多いため,
参照がし難くなっている.技術訂正だけなら統合版出
版が可能だが,追補がある場合は,規格番号と出版年
を保ったままで統合版を出版できない.規格番号の変
更は多数の利用への影響が大きいため,規格番号と出
版年を保ったままの統合版出版の再検討を依頼した.
付記:この議論のために,ISO 事務局から Maho
Takahashi が参加した.
4.6 投票文書不整合の原因究明
ISO/IEC FDIS 29794-6(虹彩のサンプル品質)の
SC 37 サイトにアップロードされた版と ITTF バロッ
トポータルにアップロードされた版の内容に不一致
が生じたことについて ITTF に原因究明を求める.
4.7 投票文書不整合の予防プロセス
DIS/DAM/FDIS/FDAM のエディタは,上記のふた
つの版に不整合がないことを可能な限り確認し,結果
を SC 37 事務局に報告する.
4.8 SD 12 更新
プロジェクト情報の更新
4.9 WG へのリモート参加に関する寄書募集
リモート参加を巡る議論が総会であったため,リモ
ート参加のルールを 5 月期限で寄書募集する.JTC 1
SD 19 が参照された.
4.10 SC 27 との協調
過去 1 年間に 2 回の WebEX 会議を実施しリエゾ
ン関係強化を狙ったが,良く機能しなかったため,メ
ールでの議論に切り替えることになった.
以下では,決議書に沿って,報告する.以下で,付
記の記述は,報告者の見解・補足などである.
4.11 SC 17 との協調
SC 27 との協調と同様.
4.1 SC 37 ビジネスプラン
今回の WG 及び総会,6 月の WG の結果を議長が
ビジネスプランに反映する.
4.12 JTC 1/WG9 on Big Data とのリエゾン関係
樹立
米国エキスパートがリエゾンオフィサーになった.
付記:現在のビジネスプランでは,市場の要求はモ
バイルコマースなどに向かっていると分析している
が,計画には入っていない.
付記:JTC 1 直下の活動となっている 3 テーマ
(Smart Cities, Internet of Things (IoT), Big Data)に
ついて,各 WG で紹介と貢献可能性についての議論
があった.本件はその結果である.
4.2 SC 37 ロードマップ
今回の総会に提案・議論されたロードマップは,本
総会で承認され,SC 37 サイト及び Wikipedia に公
開される.ロードマップは 2015 年 6 月開催の WG 後
に更新され,更新版を上記両サイトにアップロードす
る.
4.3 SC 37SG(Special Group)再設立
4.13 JTC 1/WG10 on IoT とのリエゾン関係樹立
米国エキスパートがリエゾンオフィサーになった.
付記:4.12 に同じ.
4.14 IEC/TC 3/SC 3C とのリエゾン関係樹立
オーストラリアのエキスパートがリエゾンオフィ
サーになった.
IPSJ/ITSCJ NL106 2015.6 9
付記:このリエゾン関係樹立には,国内委員会での
WG 6 への SC 35/WG 4 リエゾン池田宏明(千葉大
学)の貢献が大きい.池田は SC 3C から SC 37 への
リエゾンオフィサーでもある.日本の国内リエゾン関
係において,ISO/IEC 24779 シリーズ(バイオメトリ
クスの図記号規格)の図記号が IEC 60417 などの規
格に適合していない問題が池田により発見され,日本
での問題解消に向けた取組みが国際リエゾンへの取
組みに発展した.パート 1 及び 4 では,過去 1 年間
プロジェクトが停滞したが,今回のリエゾン関係樹立
で大きな前進の兆しがあった.総会では,エディタを
出しているドイツの HoD から本リエゾン関係樹立を
提案した日本 NB に謝意が表明された.2 月の IEC/TC
3/SC 3C ヘルシンキ会議で上記問題が審議され,解決
に向かっている.
4.15 JTC 1/SC 35 とのリエゾン関係樹立
イタリアのエキスパートがリエゾンオフィサーに
なった.
5.今後の会議予定
2015 年 6 月 22 日から 26 日,WG のみ,イェビ
ック(ノルウェー)
2016 年の WG と総会,未定,各 NB への開催検討
依頼
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<2015 年度 標準化功績賞および貢献賞の表彰>
標準化功績賞は,長年にわたり情報規格調査会委員および所属委員会委員として多大な功績があった方々の
中から選ばれます.標準化貢献賞は,最近の数年間において所属委員会委員として顕著な貢献のあった方々の中
から選ばれます.
2015 年度は次の方々が受賞され、
5 月 18 日に開催された第 30 回規格総会で表彰されました.
―――――――――――――――――――――――
■ 標準化功績賞
―――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――
■ 標準化貢献賞
―――――――――――――――――――――――
大蒔 和仁 氏(東洋大学)
緒方 日佐男氏(日立オムロンターミナルソリューシ
ョンズ(株))
大蒔氏は、2003 年から 2013 年までの長きにわた
り情報規格調査会副委員長および委員長を務められ,
本会の運営に尽力されるとともに JTC 1 総会への日
本代表団長として情報技術の国際標準化活動に多大
な貢献をされました.2008 年に日本で開催した JTC
1 奈良総会では,テクノロジーウォッチワークショッ
プのリーダーを務められ,会議ホスト国としての重責
を担われました.さらには SC 2 専門委員会,学会試
行標準専門委員会などの多数の委員会に参加し,標準
化活動の推進に貢献されました
緒方氏は,2008 年から現在まで SC 37/WG 3 小委
員会委員及び幹事として,バイオメトリックデータ交
換フォーマットに関する国際標準化の提案活動や審
議に尽力されてきました.特に血管(静脈)画像デー
タのためのデータ交換フォーマット規格 ISO/IEC
19794-9 の追補規格及び改訂版の開発における貢献
は著しく,国際会議においても我が国の産業界を代表
して積極的に発言し各国代表との意見調整に尽力す
るなど多大な貢献をされました.
―――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――
中尾 康二 氏(KDDI(株))
小山 清美 氏((株)日立製作所)
中尾氏は,1985 年より現在までの長きにわたり情
報セキュリティ分野の標準化活動に携わってこられ
ました.国内では SC 27/WG 1 小委員会ならびに WG
4 小委員会主査として,国際においては ITU-T との
リエゾン代表や ISO/IEC 27011 等の規格のプロジェ
クトエディタに就任し ISO/IEC 27000 シリーズ(情
報セキュリティマネジメントシステム)の標準化と国
内での普及および ITU-T との連携に大きく貢献され
ました.
小川氏は,2007 年から現在まで SC 7/WG 7 小委員
会の委員として,システムソフトウェアライフサイク
ルプロセスに関する標準化活動に尽力されてきまし
た.国際会議にも数多く参加し,特にライフサイクル
プロセス利用ガイド ISO/IEC 24748 シリーズの改訂
作業に貢献されました.また,JIS 規格原案作成委員
として,X0160,X0170,X0166 等の JIS 規格制定に
も貢献し,国際規格の普及に多大な貢献をされました.
―――――――――――――――――――――――
数井 君彦 氏((株)富士通研究所)
数井氏は,SC 29/WG 11/MPEG-7 小委員会におい
て 1998 年の設立当初から委員として,また 2008 年
からは幹事として,日本の投票案取り纏め等の標準化
活動に尽力されてきました.また ISO/IEC 23008-2
標準化において技術提案を積極的に推進し,ISO/IEC
13818-1:2013/AMD5 のプロジェクトエディタを担当
する等,国際標準化に多大に貢献されました.
IPSJ/ITSCJ NL106 2015.6 10
―――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――
崎村 夏彦氏((株)野村総合研究所)
中野 義彦 氏(一般社団法人 ビジネス機械・情報シ
ステム産業協会)
崎村氏は,SC 27/WG 5 小委員会の主査として,プ
ライバシーと ID 管理に関する国内意見の集約および
調整に主導的な役割を果たしてこられました.国際の
場でも ISO/IEC 29115 や ISO/IEC 29191 等の開発に
おいて,IETF や OpenID Foundation 等での標準化
活動で得られた知見を提供することで,他機関の標準
と相補的な規格作成と質的向上に多大な貢献をされ
ました.
―――――――――――――――――――――――
鈴木 俊宏 氏(日本オラクル(株))
鈴木氏は,2001 年から規格役員会をはじめ SC 27
専門委員会,SC 32 専門委員会,アクセシビリティ小
委員会などの委員を歴任されるとともに,SC 38 専門
委員会委員長,ディレクティブズ小委員会幹事,技術
委員会等の複数の委員会の委員として,国内の調整を
図ると共に国際標準化活動に大いに貢献されてきま
した.また ISO/IEC 18384 や ISO/IEC 19086 の共同
プロジェクトエディタとして SOA やクラウドの国際
規格開発の中で国内意見の反映に尽力されました.
―――――――――――――――――――――――
鈴木 俊哉 氏(広島大学)
鈴木氏は,SC 2 専門委員会において,国際符号化
文字集合 ISO/IEC 10646 規格への電子政府プロジェ
クト用人名・地名の漢字の登録を行うと共に,アジア
各国から提案された文字の検証を行い,その品質向上
に貢献されました.さらに,SC 34 専門委員会におい
ては ISO/IEC 9541 第2版の共同プロジェクトエデ
ィタとして,その発行に大きく寄与されました.
中野氏は,2008 年度より SC 35/WG 1(キーボー
ド及び入力インタフェース)国内分科会主査に就任し,
キーボードの規格である ISO/IEC 9995 シリーズを
はじめとする国際規格案の審議に積極的に参加し,情
報アクセシビリティに関する数多くの国際標準の制
定に貢献してきました.また,ISO/TC 159(人間工
学)委員会にも参加し,JTC 1 における標準化活動成
果を外部に積極的に普及させてきました.
―――――――――――――――――――――――
中山 優紀 氏((株)日立ソリューションズ)
中山氏は,SC 7/WG 6 小委員会の委員として標準
化活動に貢献され,日本提案の ISO/IEC TR 12182
(システム及びSWの分類)の原案作成に尽力されま
した.また,ISO/IEC 25000 SQuaRE シリーズでは,
25023(システム及び SW 品質の測定)に日本の意見
を反映させる中心的役割を果たすなど,SQuaRE シ
リーズ規格の質向上に大きく貢献されました.
―――――――――――――――――――――――
西 孝啓 氏(パナソニック(株))
西氏は,2009 年から現在まで SC 29/WG 11/VIDEO
小委員会幹事として,小委員会運営や多数の規格承認
投票案の取りまとめ,並びに国際会議への日本意見集
約に尽力されました.MPEG-4 AVC ステレオハイプ
ロファイルや MPEG-H HEVC の標準化では 積極的
な提案活動を推進され,同規格の成立に多大な貢献を
されました.
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<お知らせ: JIS の公示>
当会で作成した JIS 原案が制定されました.
【2015 年 3 月 20 日公示】
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------規格番号: JIS X5212
規格名称: 近距離通信用インタフェース及びプロトコル2(NFCIP-2)
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------規格番号: JIS X 25041
規格名称: システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)-開発者,取得者及び独立し
た評価者のための評価手引
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------規格番号: JIS X 0153
規格名称: システム及びソフトウェア技術-利用者用文書類の設計者及び作成者のための要求事項
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
IPSJ/ITSCJ NL106 2015.6 11
<解説:行政サービスのオープンデータ>
学会試行標準専門委員会 WG9 主査
関 洋平(筑波大学 図書館情報メディア系)
1. はじめに
欧米において行政データの電子化の動きに伴い新
たなサービスの提供が始まり,積極的な市民の協働に
伴う電子行政サービスの重要性の認識が高まりつつ
ある.我が国でも,2013 年 6 月に「世界 IT 国家創造
宣言」[1] により,安倍内閣が経済再生の礎の一つと
して,地理空間データや防災データなど透明性・信頼
性の高い公共データを活用して,官民の協働あるいは
産業界や学会の協力により,誰でもどこでも行政サー
ビスを受けられる社会を実現することを目指してい
る.また,2020 年の東京オリンピック・パラリンピ
ックの開催が決定されたことに伴い,本宣言は 2014
年 6 月に改訂され [2] ,最先端の IT 利活用による
「おもてなし」を世界に発信すること,具体的には,
観光情報などのオープンデータの利用促進,世界最先
端の ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路
交通システム)による道路交通サービスなどへの取り
組みが新たに取り入れられた.さらに,複数の自治体
についてオープンデータを活用して一元的なアプリ
を実現するために,オープンデータの標準化のための
共通語彙(ボキャブラリ)基盤の構築 [3] についての
取り組みも進みつつある.
その一方で,スマートシティの実現 [4] に向けた
取り組みが進んでいる.スマートシティでは,施設・
地理情報などの自治体のオープンデータ,人の移動や
気象を表すセンサーデータ,ソーシャルメディア上の
データなど,多様なデータを活用し,市民に対して,
環境に配慮した利便性の高い生活を提供する.複数の
都市において,多様なデータを連携して活用するため
には,標準的なフレームワークの開発が課題となる.
本解説では,これらの背景を踏まえて,現在,行政
サービスのオープンデータの提供について,どのよう
な取り組みが進められているか紹介し,現状の課題を
明らかにすると同時に,標準化活動についての事例を
紹介し,重要性と意義について理解を深める.
2. オープンデータを活用した電子行政サービス
オープンデータを活用した電子行政サービスは,欧
米で民間の取り組みが進み,最近は日本でも取り組み
が進んでいる [5,6].ここでは,電子行政サービスに
関係の深い取り組みを取り上げて紹介する.
(ア) WHERE DOES MY MONEY GO? (税金はど
こへ行った?)
WHERE DOES MY MONEY GO? [7] は,英国発
の非営利団体である Open Knowledge Foundation
の Jonathan Gray によって 2007 年頃考え出された
アイデアが元になっており,税金の使い道を明らかに
して可視化する Web アプリを開発することで,オー
プンデータを活用した行政の透明化を実現した.この
アイデアは,政府や自治体が公開している会計予算に
関連した文書を加工して,多くの市民が関心を持つ税
金の使い道という目的のために,分かりやすく可視化
するという点で優れている.また,Open Knowledge
Foundation では,オープンな知識を多くの人と共有
することを重視しており,この活動は世界中で広がり
を見せている.日本では,2012 年 6 月のハッカソン
と呼ばれるプロトタイピングのイベントにおける横
浜市の取り組みをきっかけとして,2015 年 5 月現時
点では 168 の自治体が同様のアプリを公開しており,
現在はクローンサイトの立ち上げ方などの手順も公
開されている [8].このアプリの効果により,多くの
自治体において,税金がどのような行政サービスに使
われているのか,市民の意識が高くなることが期待で
きる.課題としては,自治体ごとに歳出項目が異なる
ことから,データ項目の標準化の必要性が指摘されて
いる.さらに,単に予算の使用状況を可視化するだけ
ではなく,市民の意見を取り入れて,予算立案に向け
てソーシャルメディアを利用して対話をするサービ
ス [9] や,政府の財政案を元に,独自の予算案を提案
するサービス [10] も開発されており,官民協働によ
る自治体の予算計画が現実化している.
(イ) 地域課題解決のためのプラットフォーム:
Local Good Yokohama
横浜市は,人口 370 万人を数える全国でも有数の
大規模自治体であり,横浜市芸術文化振興財団が横浜
の芸術文化に関する情報をオープンデータとして公
開したことを契機として,アートと観光のオープンデ
ータを活用したまちづくりが進んでいる.また,オー
プンデータを活用しながら,「資金」や「人的リソー
ス」の循環を生み出すことで,地域の社会的課題解決
を支援するウェブプラットフォームとして,Local
Good Yokohama [11, 12] の開発が進められている.
この仕組みの狙いは,地域住民・NPO・地元の企業な
どの民間が主体となって,サービス,モノ,人,お金
を地域内で循環させていくことにより,市民活動団体
によるソーシャルビジネスを活性化していく点にあ
る.すなわち,行政の施策を,多様な民間主体との協
働・共創により,地域で統合していく [13].このサー
ビスでは,以下の 3 つの機能について実現を進めてい
る:(1) ソーシャルメディアあるいは集会を利用して
市民の声を収集する機能;(2) 3D マップ上に可視化す
る機能;(3) クラウドファンディングを活用した地域
課題解決のための資金や人材の収集.このうち特色が
出ているのは,クラウドファンディングで,従来行政
の補助金や委託事業として行なわれてきたプロジェ
クトを,ウェブプラットフォームという中間組織を介
して民間から資金や人材を獲得するという試みであ
る.また,このシステムの基本部分は,オープンソー
スの仕組みで構築されており,他の地域で同様のプラ
ットフォームを実現することが可能となっている.
IPSJ/ITSCJ NL106 2015.6 12
(ウ) シビックテック
オープンデータを活用した地域に特有の課題を解
決するアプリケーションを開発するために,IT エン
ジニアや行政担当者が集まる活動として,シビックテ
クノロジー(シビックテック)が注目されている.こ
の活動は,米国における Code for America [14] に端
を 発 し て い る . Code for America は , Jennifer
Pahlka が,2009 年に設立した NPO 団体であり,使
いにくい行政の Web サイトを改善して,政府や自治
体の行政サービスを効果的で使いやすいものにする
ために,自治体に情報技術者をフェロー(1 年間ほど
の期間限定職員)として派遣して,Web サービスやア
プリを開発する仕組みを実現している [15].この活
動を踏まえて,2013 年の 10 月には,Code for Japan
[16] が日本で設立された.さらに,Code for Japan
Brigade と呼ばれる,地域特有のコミュニティも数多
く立ち上がっており,2015 年 5 月現在で,国内 28 地
域のコミュニティが公式に登録されている.掲載準備
中のコミュニティは,19 地域になり,多くの自治体
における取り組みが進んでいる.
3. 課題:自治体を横断した標準化への取り組み
2.でも見たとおり,オープンデータを活用した行政
サービスの改善に向けた取り組みは着実に進展して
おり,またシビックテックのような活動も活発である.
一方で,大きな課題として,開発の対象となる自治体
が変わると,開発者がプログラムを始めから作り直さ
なければならないという点が議論される [17].この
理由としては,データを提供する自治体において,デ
ータカタログが整備されておらず,様々なページに散
らばっていることや,機械判読に適さないデータ形式,
自治体間の語句の不統一などがあげられる.こうした
課題は,特に災害時の緊急対応などにおいて致命的と
なるため,南関東地域を対象とした解決のための標準
化の取り組みの一つとして,九都県市首脳会議(埼玉
県,千葉県,東京都,神奈川県,横浜市,川崎市,千
葉市,さいたま市,相模原市)が,自治体間のデータ
公開ルールの標準化を協議している [17].本節では,
これ以外の,全国や海外を対象とした,課題を解決す
るための標準化の取り組みについて紹介する.
(ア) 自治体向けオープンデータプラットフォームの
公開
オープンデータに積極的な都市の一つとして,福井
県鯖江市がある.鯖江市は,人口約 7 万人で,県庁所
在市である福井市に隣接する県内 4 番目の人口を有
する都市である.鯖江市では,「データシティ鯖江」
と称した取り組みを行なっており,公衆無線 LAN な
どの公共インフラを充実させて,公衆トイレの位置情
報や,地域の飲食店情報,路線バス情報などがアプリ
として提供されている [18].
「データシティ鯖江」構
想は,2010 年 12 月に jig.jp の代表の福野泰介氏と,
W3C 日本支部の一色正男氏によって提言された.こ
れらの経験を踏まえ,行政が持つオープンデータを元
に,民間がサービスを提供する形を「これからの行政
サービス」として [19],2014 年 6 月には,jig.jp は,
自治体によらずオープンデータを Linked-RDF に
変換して,アプリ開発者や市民に提供する仕組みとし
て,オープンデータプラットフォーム [20] を公開し
た.これにより,RDF と RDF 用クエリ言語 SPARQL
によって民間のサービスが全地域のデータを共通に
扱い, 市民が全地域共通でサービスを受けられるよ
うになることを目指している.
( イ ) 共 通 語 彙 基 盤 ( Infrastructure for
Multilayer Interoperability)
多くの自治体がオープンデータを活用し,観光マッ
プ,行政施設マップ,防災マップなどを公開している.
しかし,国あるいは自治体ごとに,データが異なる上,
同じ自治体でも,行政施設マップか防災マップかでデ
ータが異なっている場合がある.こうした自治体間や
自治体内で,データ交換を行うためには,データの中
に出てくる個々の用語について表記・意味・データ構
造を統一し,互いに意味が通じるようにする必要があ
る.そのための仕組みとして,IPA は「共通語彙基盤」
[3] の構築を進めている.共通語彙基盤としては,
2015 年 5 月現在,コア語彙 2 (Version 2.2)を正式版
として公開している.コア語彙は,氏名,住所,組織
等,社会活動で使用される中核的な用語の集合であり,
データ交換,オープンデータの二次利用等の効率化に
役立つとされている.さらに,試行的に選定した 4 つ
のドメインである「地理空間・施設ドメイン」,
「移動・
交通ドメイン」
,
「財務ドメイン」,
「防災ドメイン」に
ついて,語彙のサンプルを公開している.これらは,
クラス概念(人,氏名,住所等)と属性概念(姓名,
性別,郵便番号,都道府県等)に基づき構造化されて
おり,値は型により制約が与えられていることから,
構造化概念辞書として扱うことができる.これを利用
することで,2 でも述べたシビックテックにおける開
発者は,47 都道府県の 200 以上の市区町村のデータ
を対象としたアプリの開発が可能となり,今後,広域
でのサービス構築が期待されている.
(ウ) 国際標準指標
ここまでは,オープンデータを活用した電子化行政
サービスのための標準化の取り組みについて紹介し
た.さらに進んだ取り組みとして,都市の行政サービ
スを比較するための,指標の標準化が行なわれている.
このような指標としては,都市のサービスと生活の質
(Quality of Life / QOL)を評価する ISO 37120 [21]
が存在する.ISO 37120 は,自治体職員,政治家,研
究者,起業家,まちづくり計画者などが,まちの性能
を継続的に評価するための指標であり,他の都市との
比較に利用することで,市民の生活の質(QOL)を改
善することを目的とする.また,教育,エネルギー,
財政,娯楽,防災など 14 の行政サービスの分野と,
住民参画,文化,経済,環境など 7 つの QOL をカバ
ーしている [22].ISO 37120 を提案したのは,Global
City Indicators Facility [23] という組織であり,ま
た ISO 37120 の提案と同時に,標準化された指標に
基づき都市データを一貫したかたちで提供するため
の組織として,World Council on City Data (WCCD)
[24] を設立している.WCCD では,ボストン,ロサ
ンゼルス,上海など世界の 20 都市から,ISO 37120
に基づくデータを収集し,オープンデータポータルと
して公開している [25].
4. おわりに
本解説では,オープンデータやスマートシティ推進
の背景を踏まえて,オープンデータを活用した電子行
政サービスのための取り組みについて紹介した.さら
IPSJ/ITSCJ NL106 2015.6 13
に,現在課題となっている自治体を横断したオープン
データの活用のために,標準化に向けた活動を紹介し
た.オープンデータの活動は,Web 上で公開されて
いる行政データの再利用性を高めるために,データカ
タログを作成することや利用条件を表示する等の当
初の活動から,自治体を横断したアプリや評価指標の
重要性が意識されるようになり,標準化の重要性につ
いての議論が進みつつある.その意味では,情報規格
調査会における本解説は,時宜を得たものであると考
える.著者らは,こうした背景を踏まえて,情報処理
学 会 学 会 試 行 標 準 委 員 会 [26] に お い て ,
WG9/IPSJ-TS 0017 「行政サービスの評価分析のた
めの語彙体系における型・要素の記述方式」を立ち上
げており,ソーシャルメディアに現れる市民の意見を
対象として,行政サービスを評価分析するための標準
化活動に取り組んでいる.この取り組みは,電子行政
参画(e-Participation)[27] との関連が深い.電子行
政参画は,自治体がソーシャルメディアを活用して,
リアルタイムに適切な情報を提供することで,より多
くの市民に参加を促すための仕組みである.本節で紹
介した他の標準化活動の動向も踏まえながら,多くの
自治体が市民の希望を把握して行政に反映するきっ
かけとなり,結果として市民が充実した生活を送るこ
とができるような標準化を進めていきたい.皆様のご
意見を賜ることができれば幸甚である.
【参考文献】
[1] 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(I
T総合戦略本部)
:世界最先端 IT 国家創造宣言,
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/2013
0614/siryou1.pdf, 2013.
[2] 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(I
T総合戦略本部)
:世界最先端 IT 国家創造宣言の変更
について,
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/2014
0624/siryou1.pdf, 2014.
[3] 情 報 処 理 推 進 機 構 : 共 通 語 彙 基 盤 ,
http://goikiban.ipa.go.jp/, 2015.
[4] 木下剛:スマートシティに関するベストプラクテ
ィス紹介,情報処理学会 ソフトウェアジャパン 2015
ICT によるイノベーションの創出,2015.
[5] 庄司昌彦責任編集:智場#119 特集号 オープンデ
ータ,国際大学 GLOCOM,2014.
[6] 大向一輝:日本におけるオープンデータの進展と
展望,情報管理 Vol.56, No.7, pp.440-447, 2013.
[7] WHERE DOES MY MONEY GO?,
http://www.wheredoesmymoneygo.org/.
[8] 税金はどこへ行った?,http://spending.jp/.
[9] Open Budget: Oakland,
http://openbudgetoakland.org/.
[10] YouChoose budget tool,
http://www.local.gov.uk/research-youchoose-tool.
[11] Local Good Yokohama,
http://yokohama.localgood.jp/.
[12] 内田篤宏,宮島真希子:地域課題を解決するオー
プンイノベーションプラットフォーム「ローカルグッ
ドヨコハマ」-新しい公共に果たすその役割と可能性,
調査季報 176 号 特集 横浜が進めるオープンイノベ
ーション~対話と創造, pp.26-29, 2015.
[13] 調査季報編集部:ローカルグッド横浜が目指す
コミュニティ経済,調査季報 176 号 特集 横浜が進
めるオープンイノベーション~対話と創造, pp.30-33,
2015.
[14] Code for America,
https://www.codeforamerica.org/.
[15] 林雅之:オープンデータの拓く新たな社会,関西
情報センター機関誌 KIIS Vol. 150,特集オープンデ
ータ,pp.24-31, 2015.
[16] Code for Japan, http://code4japan.org/.
[17] 三木浩平:オープンデータにおける自治体間連
携の必要性,調査季報 174 号 特集 自治体の未来を
切り拓くオープンデータ,pp.54-55, 2014.
[18] 西田亮介:
「データシティ鯖江」モデル,in [5],
pp.90-100, 2014.
[19] jig.jp が自治体向けオープンデータプラットフォ
ームを 2014 年 6 月 4 日(水)リリース,
http://jig.jp/press/201406041100/.
[20] オープンデータプラットフォーム,
http://odp.jig.jp/.
[21] ISO 37120:2014, Sustainable development of
communities -- Indicators for city services and
quality of life,
http://www.iso.org/iso/catalogue_detail?csnumber=
62436.
[22] How does your city compare to others? New ISO
standard to measure up
http://www.iso.org/iso/home/news_index/news_arch
ive/news.htm?refid=Ref1848
[23] Global City Indicators Facility,
http://www.cityindicators.org/
[24] World Council on City Data (WCCD),
http://www.dataforcities.org/
[25] オープン・コーポレイツ・ジャパン:国際標準指
標で都市比較ができるオープンデータポータルを
WCCD が公開,
http://www.opencorporates.jp/2015/05/10/ 国 際 標 準
指標で都市比較ができるオープンデータポータルを
wccd が公開/, 2015.
[26] 情報処理学会:情報規格調査会 学会試行標準委
員会,
https://www.itscj.ipsj.or.jp/hasshin_joho/hj_shiko_h
yojun/
[27] Sebastian Vogt, Bernadette Forster, Rudiger
Kabst:
Social
Media
and
e-Participation:
Challenges of Social Media for Managing Public
Projects,
International
Journal
of
Public
Administration in the Digital Age, Vol. 1, No. 3,
pp.85-105, 2014.
IPSJ/ITSCJ NL106 2015.6 14
<声のページ>
言語資源・翻訳などの標準化の進展
石崎 俊(慶應義塾大学 名誉教授)
2010 年度に情報規格調査会の委員長を退任してか
ら 5 年近くになろうとしています.その後,大蒔さん
から伊藤さんに引き継がれて,情報技術の国際標準化
事業はますます発展していると思います.私は 2011
年度から,それまで少し関係していた ISO/TC 37 と
いう組織の国内委員会の委員長になって現在に至っ
ています.TC 37 はターミノロジー,言語資源,翻訳
などの標準化を担当する比較的小さな組織で,私が専
門の一つとする自然言語処理に関連が深く,言葉を扱
うので文系の方も多く所属しています.私の前の委員
長は辞書の編纂で著名な方でしたし,その前は図書館
情報学の専門家でした.
今年の 6 月下旬に島根県松江市で TC 37 の総会を
開催予定で,その準備に追われています.これは日本
で開催する初めての TC 37 総会で,多くの国からの
参加者が予想されていて,日本発の新規提案の準備も
進めています.
私が情報規格調査会の委員長をしていたときの
2008 年度には奈良で JTC 1 総会を開催しましたが,
事務局にはしっかりと対応していただいたことを覚
えています.一方,TC 37 の国内委員会の事務局は小
規模なので,SC 主査や関連団体の方々に協力を要請
して準備を進めている状況です.
近年には欧州を中心に,翻訳や通訳の資格に関する
国際標準化の動きが盛んになってきましたので,わが
国でも関連団体や専門家に要請してしばらく前に新
たに SC を作り,標準作りに参加すると同時に我が国
への資格制度の導入などを検討しています.2020 年
のオリンピックを控えて,しっかりした対応と我が国
における制度の確立が必要です.また,機械翻訳技術
の進歩に伴ってコンピュータの活用も重要な課題の
一つです.
私は 20~30 代のころから言葉に興味を持って研究
を続けてきましたが,言葉に関する認知科学などの基
礎的な研究が進み,人工知能の実現にも通ずる機械翻
訳や人間とコンピュータの会話における実用的な応
用システムがこれから大きく発展する様子です.従来
はまだ先端的な研究であった技術やシステムが普及
すると同時に標準化のニーズが具体化すると思いま
す.また、そのような研究に国際標準が役立つように
なっていくと思います。
このような内容の情報技術の標準化は従来とはタ
イプが異なるかもしれませんが,最近では SNS にお
ける概念や用語の体系の使用が重視され,ビッグデー
タから特定の言語情報を確実かつ効率的に検索する
技術が、セキュリティや裁判に関係するフォレンジッ
クスの分野でも必要です.従って,情報技術の国際標
準化の重要性がますます高まり,情報規格調査会の果
たす役割が期待されていると思います.
最近のスマホ特許裁判と標準化団体の特許取扱規定
竜田 敏男(情報セキュリティ大学院大学)
この話は,2011 年 4 月に A 社が“S 社のスマホは,
A 社の特許を侵害している”として,カリフォルニア
の連邦地裁に提訴したことから始まりました.
米国では意匠も特許に含まれます.つまり,A 社の
特許は主にスマホの意匠デザインと画面のデザイン
なのです.これに対して S 社は,
“A 社は S 社の無線
通信技術などの特許を侵害している”として,日本,
韓国,ドイツで A 社を逆提訴しました.その後,両者
の特許裁判は欧州各国に広がりました.
この状況に対して 2011 年 11 月に欧州委員会は,S
社の訴訟要因である 3G(第 3 世代携帯電話)の通信
技術が,公正かつ妥当な価格と条件で誰にでもライセ
ンスするという FRAND(Fair, Reasonable and NonDiscriminatory)の特許声明書を提出してあるのに S
社の特許を A 社にライセンスしないのは,独占禁止
法に違反すると判定したのです.
また,米国の司法省と公正取引委員会は,欧州の通
信 標 準 化 団 体 で あ る ETSI ( European
Telecommunications Standards Institute)と国際の
通 信 標 準 化 団 体 で あ る ITU-T ( International
Telecommunications Union – Telecommunication
Standardization Sector)に対して,
“FRAND 宣言し
ている特許を差止め請求するのは,標準化団体の特許
取扱規定の不備だ”として,特許取扱規定の修正を求
めてきました.
そこで,ETSI の知財委員会と ITU-T の知財 Ad
Hoc は,どのような場合に差止め請求が可能か,特許
取扱規定のどこを修正すればよいかを約 2 年以上に
わたって議論しました.
議論は,特許をたくさん所有する企業グループとラ
イセンスを受ける企業グループが,互いに自分達を有
利にしようとして合意に至りません.それもそのはず
で,FRAND 宣言を出しても,特許料を払わない悪意
の相手には,訴えるしかないのです.逆に FRAND は
具体的なライセンス料が決まっていないので,法外な
ライセンス料を請求された場合は,訴えるしかないの
です.
ところで,ISO と IEC は上記の ITU-T の特許取扱
規定を ISO/IEC Directives, Part 1 の Annex I に掲
載しています.したがって,ITU-T の規定が変われば,
ISO/IEC も同様に変わることになります.
米国で特許裁判が多発するのは,標準化団体の特許
取扱規定よりも,米国の特許法や独占禁止法に問題が
あるのでは,とも考えられます.
なお,A 社と S 社は 2014 年 8 月にスマホの特許に
関する米国以外(日,韓,豪,独,仏,英,伊,蘭の
8 か国)の全ての訴訟を取り下げることに合意しまし
た.きっと,両社とも裁判で巨額のお金がかかったの
IPSJ/ITSCJ NL106 2015.6 15
でしょう.でも,米国では今でも次々と提訴し続けて
います.米国の特許裁判は,訴えた側が有利と言われ
ています.また,米国での裁判は米国企業である A 社
に有利と想像します.両社はこれからどうするのでし
ょうか.
最後に,標準化団体の特許取扱規定は,今後どうな
るのでしょうか.
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<2015 年 6 月以降 国際会議開催スケジュール>
JTC 1
SC 2
SC 6
SC 7
SC 17
SC 22
SC 23
SC 24
SC 25
SC 27
SC 28
2015-10-26/31
2015-10-19/23
2016
2016
2015-10
2015-09-14/15
2016
2015-08-24/28
2015-09-11
2016-04-18/19
2015-06-08/09
北京,中国
松江,日本
(未定)
中国
Austria
Kona,US
韓国
London,UK
Milan,Italy
Tampa, FL,米国
松江,日本
SC
SC
SC
SC
SC
SC
SC
SC
SC
SC
29
31
32
34
35
36
37
38
39
40
2015-06-27
2015-06-01/05
2016
2015-09-21/25
2015-08-31/09-04
2015-06-27
2015-06-22/26
2015-10-05/09
2015-06-25
2016-05
Warsaw,Poland
Montreal,Canada
(未定)
北京,中国
札幌,日本
Rouen,France
Gjøvik,Norway
Dublin,Ireland
Bagnolet, France
Suzhou,中国
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<編集後記>
ISO/IEC JTC 1 傘下に,ビッグデータ及びインタ
ーネットオブシングスに関するワーキンググループ
(それぞれ WG 9 及び WG 10)が 2014 年 11 月に設
立されたことを受け,情報処理学会情報規格調査会に
おいて,「ビッグデータ小委員会」および「インター
ネットオブシングス小委員会」を設立したことを本年
1 月にプレスリリースしました.情報技術標準
NEWSLETTER 第 106 号でも,インターネットオブ
シングス小委員会として初めての活動報告が掲載さ
れ,NEWSLETTER の一編集委員として,興味深く
拝読しました.
その JTC 1/WG 10 会議報告で紹介されていますが,
JTC 1/WG 10 のコンビナー及びセクレタリを韓国が
務めていること,中国から提案された新規作業項目を
各国が慎重に審議していることなどから韓国及び中
国の積極的にこの分野での国際標準化を主導したい
という意図と,JTC 1 の内外の標準化との調和を保っ
たうえで JTC 1 が推進する情報処理分野での国際標
準化を進めたいという他の国の意図が見え隠れして
いると感じます.
ビッグデータ及びインターネットオブシングスとも
最近注目度が上がっている分野であり,その分野の国
際標準制定を目的としたワーキンググループの活動
は非常に重要であり,日本の貢献についても期待感を
もって注目し続けたい.
発 行 人
一般社団法人情報処理学会
情報規格調査会
広報委員会
〒105-0011 東京都港区芝公園 3-5-8
機械振興会館 308-3
Tel: 03-3431-2808
Fax: 03-3431-6493
https://www.itscj.ipsj.or.jp/
IPSJ/ITSCJ NL106 2015.6 16
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