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全文PDF - 感染症学雑誌 ONLINE JOURNAL
333
総
説
慢性真菌感染症,最新の知見
長崎大学病院第 2 内科
掛屋
山本
弘
善裕
今村
田代
圭文
隆良
宮崎
河野
泰可
茂
泉川
公一
(平成 23 年 3 月 30 日受付)
(平成 23 年 5 月 9 日受理)
Key words : biofilm, Candida glabrata, calcineurin, chronic pulmonary aspergillosis
要
旨
深在性真菌症は,一般に高度な免疫不全状態患者に発症する感染症であるが,軽度の免疫不全状態に持続
する感染症として慢性真菌症が挙げられる.
カンジダの持続感染に関わる要因のひとつが,バイオフィルムである.特にカテーテル関連のカンジダ症
では,バイオフィルム形成がその治療抵抗性に関わるが,どの抗真菌薬を選択するかが治療成功の鍵となる.
アゾール系薬は,カンジダ浮遊菌には良好な抗真菌活性を示すが,バイオフィルム形成菌ではその抗真菌活
性が低い.その機序としては,バイオフィルム菌内の薬剤排出ポンプの過剰発現が報告されている.一方,
アムホテリシン B(AMPH-B)やそのリポソーム製剤(L-AMB)
,ミカファンギン(MCFG)は,バイオフィ
ルム形成菌にも高い抗真菌活性が期待できる.また近年,アスペルギルスもバイオフィルムを形成すること
が報告されている.アスペルギルスのバイオフィルムは,アスペルギローマの菌塊に観察され,慢性型のア
スペルギルス症の病態に関与していることが示唆されている.さらに,カンジダと同様にアスペルギルスの
バイオフィルム形成菌では,浮遊菌と比較してその抗真菌薬の活性は低くなるが,抗真菌薬としては AMPHB や L-AMB の効果が期待される.
〔感染症誌
はじめに
85:333∼339,2011〕
占める.その他の原因真菌としては,C. glabrata や C.
真菌は一般に病原性が弱く,日和見感染症として発
krusei,C. parapsilosis などがあるが,近年は,C. albicans
症する.そのため深在性真菌症は,血液疾患や後天性
の分離比率は減少し,代わって Non-albicans
免疫不全などの高度な免疫抑制患者にみられる.すな
属の分離頻度が増加する傾向がみられている.その中
わち宿主側の要因がその発症に大きく関与する.一方,
でも C. glabrata の一部や C. krusei はアゾール系抗真
糖尿病や腎疾患などの軽度の免疫不全を有する患者
菌薬に低感受性である.一方,血流感染カンジダ症に
や,陳旧性肺結核や肺気腫などの肺の既存疾患など,
おける年齢別のカンジダ属分離頻度の報告によれば,
その他医原的要因として,長期の血管内カテーテル留
若年者(18 歳以下)では C. albicans の分離頻度が高
Candida
置例,ステロイドや免疫抑制薬の長期使用例等に発症
く,C. glabrata の 比 率 は 低 い が,加 齢 と と も に C.
する慢性進行性の真菌症が知られている.その慢性真
glabrata の分離頻度が高くなる傾向が報告されてい
菌症の成立には,宿主側の要因以外に,真菌側の要因
る1).そのため,特に高齢者では分離されたカンジダ
も重要となる.
属菌種の同定結果に注意を払い,患者の病態や感受性
本稿では,慢性真菌症に関する最新の知見を概説す
検査結果も考慮した抗真菌薬の慎重な選択が必要とな
る2).
る.
カンジダとバイオフィルム
カンジダ症
深在性カンジダ症の原因真菌で最も分離頻度が高い
微生物の多くは自然界でバイオフィルム菌として存
のは,Candida albicans であり,全体の約 50% 以上を
在することが知られている が,人 工 呼 吸 器 の 挿 管
別刷請求先:(〒852―8501)長崎市坂本 1 丁目 7―1
長崎大学病院第2内科
掛屋
平成23年 7 月20日
チューブやコンタクトレンズ上の緑膿菌,カテーテル
弘
内の黄色ブドウ球菌など多くの医療関連の人工物に細
334
掛屋
菌のバイオフィルム形成が観察される.そのバイオ
フィルム形成菌は,一般に抗菌薬耐性で,宿主免疫応
弘 他
数の耐性機序が存在することが示唆されている6).
カンジダのバイオフィルム形成菌に対しては,ア
答にも抵抗性を示すことが知られているが,近年真菌
ゾール系薬は低感受性であるが,アムホテリシン B
もバイオフィルムを形成することが知られるようにな
(AMPH-B)や AMPH-B リポソーム製剤(L-AMB)
,
り,その生物学的特徴や薬剤耐性のメカニズムに注目
ミカファンギン(MCFG)は,高い抗真菌活性が期待
が集まっている.
できる4).
カンジダの持続感染に関わる要因のひとつが,バイ
C. glabrata のカルシニューリンとストレス応答
オフィルムである.特に長期留置された尿路カテーテ
アゾール抵抗性であるバイオフィルム形成 C. albi-
ルなどの人工物や感染性心内膜炎における疣贅(vege-
cans に対して,フルコナゾールとカルシニューリン
tation)などにカンジダのバイオフィルムは観察され
阻害剤の併用効果が報告されている7).カルシニュー
る.中でも,中心静脈カテーテルにはバイオフィルム
リンは,Ca2+依存性に活性化されるタンパク質脱リン
を形成しやすくカンジダ血症の原因の一つとなる.
酸化酵素であり,種々のストレス応答において重要な
それでは,実際のカンジダのバイオフィルム形成の
役割を担っていることが,モデル酵母 Saccharomyces
有無は,臨床的に重大な問題となるであろうか.Tum-
cerevisiae で明らかにされているが,病原真菌におけ
barello らのカンジダ血流感染 294 症例の検討では,そ
るカルシニューリンの役割についても研究が進んでき
の 72.4%(213 例)
が中心静脈カテーテルを有し,52.3%
ている.
(154 例)
が 30 日以内に死亡している.原因真菌は,C.
前述のように,non-albicans
Candida 属の分離頻度
albicans が 最 も 多 く(57.1%)
,続 い て C. parapsilosis
が増加傾向にあり,中でもアゾール低感受性である C.
(21.7%)
,C. tropicalis(9.5%)
,C. glabrata(8.8%)の
glabrata による感染症は治療に難渋することも少なく
順であったが,分離されたカンジダ属のバイオフィル
ない.我々の研究では,C. glabrata のカルシニューリ
ム形成能と死亡率の関係の検討では,バイオフィルム
ンを阻害することによってフルコナゾールの殺真菌作
形成菌の死亡率(70%)は形成しない菌(45.7%)と
用を誘導し(Fig. 1)
,更に病原性も低下させること
比較して有意に高かった(p<0.001)
.また,菌種の
が確認された8).
中でも,C. albicans(p<0.001)と C. parapsilosis(p=
カルシニューリンが,抗真菌薬への抵抗性および病
0.003)ではバイオフィルム形成の死亡率の増加への
原性において重要な役割を担っていることは,他の病
影響は顕著であった.一方,経年的な変化としては,
原真菌,例えば,C. albicans,Cryptococcus neoformans,
バイオフィルム形成能を有するカンジダ属の変化とし
Aspergillus fumigatus などでも明らかにされており,新
て C. albicans は経年的な変化は認められないが,Non-
たな抗真菌薬標的分子として注目を集めている9).と
Candida 属の分離頻度の増加傾向が指摘され
ころが,免疫抑制作用を有する現行のカルシニューリ
albicans
3)
ている .
ン阻害剤(FK506,シクロスポリン)を深在性真菌症
バイオフィルム真菌症に対する各種抗真菌薬の効果
の治療薬として用いることは困難であるため,免疫抑
カンジダのバイオフィルム形成が関与していること
制作用のないカルシニューリン阻害剤の開発やカルシ
が推定される場合には,どの抗真菌薬を選択するかが
ニューリン情報伝達経路の更なる解明による病原真菌
重要となる.
浮遊菌とバイオフィルム菌に対する in vi-
特異的分子の発見は,新たな真菌症治療戦略の開発に
tro の抗真菌薬感受性の検討では,アゾール系薬は,カ
寄与するものとして期待されている.
ンジダ浮遊菌では良好な抗真菌活性を示すが,バイオ
フィルム菌ではその抗真菌活性が低い4).アゾール系
アスペルギルス症
薬耐性の機序の一つとして,バイオフィルム形成菌内
慢性肺アスペルギルス症
の薬剤排出ポンプの過剰発現が報告されている5).そ
慢性肺アスペルギルス症は,「アスペルギルスによ
の薬剤排出ポンプは,バイオフィルム形成過程の初期
る緩徐に進行する呼吸器症候群」という概念で理解さ
には発現が認められるが,後期(12∼48 時間)には
れる.しかし,その病態はさまざまであり,いくつか
発現が減弱する.一方,細胞膜の構成成分であるエル
の病型の肺アスペルギルス症を含んでいるが,従来よ
ゴステロールの合成経路はアゾール系薬のターゲット
り病理組織学的知見に基づいた分類がなされている.
であるが,バイオフィルム形成菌ではステロールの解
歴史的には 1982 年に,Binder RE らが,アスペル
析の結果,エルゴステロールの構成比がその初期に比
ギルスの組織侵襲によってゆっくりと肺に空洞を形成
較して,中∼後期には減少し,他のステロールが増加
するアスペルギルス症を慢性壊死性肺アスペルギルス
してその構成比を変化させている.これらの結果から
症(Chronic necrotizing pulmonary aspergillosis :
は,バイオフィルム形成過程の時期によって異なる複
CNPA)と提唱した.その確定診断は肺組織内にはア
感染症学雑誌 第85巻 第 4 号
慢性真菌感染症,最新の知見
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Fig. 1 Time-kill curves of the C. glabrata wild-type strains in the presence
of fluconazole.
While the wild-type cells grew in the presence of fluconazole, the number
of the CNB1 mutant cells was decreased, indicating fluconazole was fungicidal for the CNB1 mutant. The reintroducing of the wild-type CNB1 into
the mutant restored fluconazole tolerance.
スペルギルスの有隔菌糸を観察することによると定義
別されている.このように詳細な病型分類がされてい
されている10).その後 Denning らは,慢性肺アスペ
るが,実際の臨床では患者をクリアカットに分類する
ルギルス症(Chronic pulmonary aspergillosis : CPA)
ことは難しい.一方,我が国のガイドライン2)では慢
としてとらえ,複数の病型を提唱している.彼らは,
性進行性の肺アスペルギルス症は,慢性壊死性肺アス
慢性肺アスペルギルス症を臨床経過や症状・所見か
ペルギルス症(Chronic necrotizing pulmonary asper-
ら,軽度の免疫不全患者に結節影や浸潤影を呈する
gillosis : CNPA)と称されているが,我が国の CNPA
CNPA,複数の空洞(アスペルギローマを含まないも
は,Binder らが病理組織学的考察に基づき定義する
のも含む)を形成し,呼吸器症状や全身症状を伴い,
CNPA と同一ではなく,Denning らの提唱する CCPA
炎症マーカーが陽性である慢性空洞性肺アスペルギル
や CFPA をも含む抗真菌薬投与が必要な慢性肺アス
ス症(Chronic
aspergillosis :
ペルギルス症を総称するものと示されている12)13).今
CCPA)や胸膜や肺病変の線維化が慢性に進行する慢
後わが国でも慢性肺アスペルギルス症の定義や分類の
性線維性肺アスペルギルス症(Chronic fibrosing pul-
細分化が検討されている.
monary
cavitary
pulmonary
aspergillosis : CFPA)などを提唱している.
アスペルギルスのバイオフィルム(Fig. 2)
病理組織学的な所見の違いは,CNPA は従来の Binder
近年,カンジダ同様にアスペルギルスのバイオフィ
らの定義に沿っており,subacute invasive pulmonary
ルム形成が慢性肺アスペルギルス感染に関与すること
aspergillosis の 1 病型として,アスペルギルスによる
が示唆されている.
組織侵襲を伴うものとされる.一方,CCPA は com-
かつて,渋谷らはアスペルギローマやアレルギー性
aspergilloma とも称されるが,aspergilloma の
気管支肺アスペルギルス症(ABPA)の病理組織の観
周囲に新たな空洞を形成したり,その周囲に新たな陰
察から,患者由来の検体に認められるアスペルギルス
影を呈するものの,病理組織学的にはアスペルギルス
は微生物が排出する細胞外基質(extra cellular ma-
による組織侵襲は伴わない.また,CNPA は CCPA
trix,ECM)に囲まれ,集団として互いに接着し,(±
よりも早い経過(概ね約 3 カ月以内)をとる病型であ
組織や異物に付着し)定着・増殖する形態を示し,そ
る.また CCPA では報告されている innate immunity
の感染にはバイオフィルムが関与している可能性を示
plex
11)
の遺伝的素因の関与も報告されている .その他,無
症状で安定した aspergilloma は simple
唆していた14).
aspergilloma
近年,アスペルギルスのバイオフィルムは菌体外マ
と称され,一般的には孤立した空洞に真菌球が形成さ
トリックス(ECM)として電子顕微鏡下に観察され
れたものであり,慢性進行性の CCPA や CFPA と区
ている.その ECM は,マウス侵襲性肺アスペルギル
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掛屋
弘 他
Fig. 2 Current and New research targets for Aspergillus
(A) Aspergillus fumigatus spore
(B) PAS-stained lung sections of mice infected with A. fumingatus. Lung tissue 3
days after inoculation showing a focal lesion of invasive aspergillosis. Scale bar,
100μm.
(C) Aspergillus biofilm transmission electron microscopy
IPA: invasive pulmonary aspergillosis
CPA: chronic pulmonary aspergillosis
ABPA: allergic bronchopulmonary aspergillosis
Fig. 3 Treatment success rate at end of treatment
in the per-protocol populations compared between
MCFG and VRCZ for CPA
た,アスペルギルスの ECM は,galactomannan,α-1,
3-glucan,monosaccharides,polyols,melanin,proteins
などで構成されていることも報告されている16).さら
に,アスペルギルスのバイオフィルムは,カンジダと
同様に抗真菌薬感受性にも影響する.すなわち,アス
ペルギルスのバイオフィルム菌は浮遊菌と比べ,抗真
菌薬に対する活性が低下するが,抗真菌薬の中でも
ITCZ,VRCZ,Caspofungin に比 べ AMPH-B が 最 も
有効であることが示唆されている17).
また,その抗真菌活性はバイオフィルムのフェーズ
の違いで異なる(8h : VRCZ,AMPH-B,Caspo は効
果 あ り,12
&
24h : VRCZ と Caspo は 無 効,一 方
AMPH-B は有効)ことも報告されている18).
一方では,ポリスチレンと気道上皮細胞上のバイオ
フィルム菌は,抗真菌薬感受性の低下が認められるも
ス症モデルでは,アスペルギルス菌体の周囲に薄い
のの,アゾール系薬(VRCZ,ITCZ)の方が,AMPH-
ECM しか観察されないが,アスペルギローマの真菌
B,L-AMB,MCFG 等よりもその感受性が良好であっ
球の菌糸塊にみられる菌糸周囲には厚い ECM が観察
た19).また,その薬剤耐性機序もカンジダと同様に,
されている15).
薬剤排出ポンプがバイオフィルム菌内では過剰発現す
このようにアスペルギルスのバイオフィルムはアス
ペルギルス持続感染に関与することが示唆される.ま
ることや20),菌の遅い成長速度が影響している可能性,
その他菌体外マトリックスによる薬剤浸透への影響な
感染症学雑誌 第85巻 第 4 号
慢性真菌感染症,最新の知見
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Fig. 4 Treatment-related adverse events compared between MCFG and VRCZ
for CPA
どが示唆されている.
群 で 低 く(p=0.0004)(視 覚 症 状 を 除 い た 場 合 p=
アスペルギルス症のバイオフィルム研究の発展に
21)
.本
0.012)
,安全性が高いことが示唆された(Fig. 4)
は,慢性肺アスペルギルス症の実験動物モデルが必須
試験は,我が国から発せられた慢性肺アスペルギルス
であると考えられる.しかし,現在,その動物モデル
症に対する世界初の無作為化比較試験である.わが国
は実現しておらず,モデル作成が今後の当該研究の発
では欧米に比較して,肺結核後遺症患者が多く,今後
展には重要と考える(Fig. 2)
.
慢性肺アスペルギルス症に関する更なるエビデンスの
慢性肺アスペルギルス症に対するミカファンギンと
ボリコナゾールの比較試験
創出が期待される.
おわりに
従来,慢性肺アスペルギルス症の治療成績に関して
慢性真菌感染症には,真菌のバイオフィルムが関連
は,ITCZ 内服薬を中心とした限られた症例の case se-
していることが示唆される.一部の抗真菌薬は,浮遊
ries の論文が多く,その有効率は 50∼60% 程度と報
菌とバイオフィルム形成菌でその薬剤感受性が異なる
告されていた.また,大規模な比較試験は行われてい
ため,バイオフィルム形成菌の関与が疑われる場合に
なかったため,ガイドラインにおける各種抗真菌薬の
は抗真菌薬の選択を慎重に行う必要がある.また,現
推奨度も低いものであった2).2006 年から 2008 年に
行の標準的な薬剤感受性検査は,浮遊菌を用いて行わ
かけ,わが国で慢性肺アスペルギルス症に対するミカ
れていることから,今後バイオフィルム感染症の臨床
ファンギン(MCFG)とボリコナゾール(VRCZ)の
効果を反映するような検査技術の開発も期待される.
無作為化比較試験が行われた.その試験で登録された
本稿は,第 84 回日本感染症学会学術講演会(京都)
,教
107 例 の う ち MCFG 群 50 例,VRCZ 群 47 例 が 解 析
された.その結果,治療開始 2 週後の有効性は,MCFG
群 68.0%,VRCZ 群 58.7%(the absolute difference,
9.3%
to
with a 95%
confidence interval(CI)
,−9.97
28.58,p=0.344)であった.また,治療終了時の
最終有効率(最長 4 週後)は,MCFG 群 60.0%,VRCZ
群 53.2%(the absolute difference,6.8% with a 95%
CI,−12.92 to 26.54,p=0.499)であり,両抗真菌薬
の有効率は同程度であることが証明された(Fig. 3)
.
一 方,副 作 用 の 発 現 率 は 全 体 で MCFG 群 26.4% で
あったのに対して VRCZ 群 61.1%(VRCZ に特有な
視覚症状を除いた場合でも 50%)と,明らかに MCFG
平成23年 7 月20日
育講演 20 にて発表した内容をまとめたものである.
文
献
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慢性真菌感染症,最新の知見
339
Chronic Fungal Infection, Up-to-date
Hiroshi KAKEYA, Yoshihumi IMAMURA, Taiga MIYAZAKI, Koichi IZUMIKAWA,
Yoshihiro YAMAMOTO, Takayoshi TASHIRO & Shigeru KOHNO
Department of Molecular Microbiology and Immunology, Nagasaki University Graduate School of
Biomedical Sciences
Deep-seated mycosis usually occurred in severe immunocompromised patients and is sometimes fatal.
Hence, chronic fungal infection occurred in the patients with mild to moderate immunocompromised status
and persists for longer period.
Biofilm formation is one of the factors related to persisting infection of Candida spp. Biofilm formation
resists to the antifungals in catheter-related Candida infection and selection of appropriate antifungals will be
an important key to achieve good outcome. Although azoles possessed excellent antifungal activity against
planktonic Candida spp., they show lower activity against biofilm-formed Candida spp. Overexpression of efflux pump of Candida spp. is reported to be involved in lowered activity of azoles. Amphotericin B, liposomal
amphotericin B, and micafungin however, are expected to have high antifungal activity against biofilmformed Candida spp.
Recently, Aspergillus is also reported to possess potential of forming biofilm. Biofilm formation of Aspergillus is considered to be related to pathogenesis of chronic pulmonary aspergillosis. General antifungals are
not highly active to biofilm-formed Aspergillus as same as Candida, and only amphotericin B and its liposomal
formulation are expected to be effective in vitro.
平成23年 7 月20日
Fly UP