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千葉県のがんの在宅ケアの推進ー

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千葉県のがんの在宅ケアの推進ー
徹底研究:医療を動かす、医療計画作りとは
パート4 在宅とがんの計画の場合
-千葉県のがんの在宅ケアの推進ー
東京大学公共政策大学院「医療政策教育・研究ユニット」
~医療政策実践コミュニティ(H-PAC)第2回公開シンポジウム
2012年8月18日
千葉県がん対策推進部会:家族・遺族委員
船橋市地域在宅医療推進連絡協議会委員
NPO法人千葉・在宅ケア市民ネットワークピュア
代 表
藤 田 敦 子
©2012AtsukoFujita NPOピュア
本日の話
1.はじめに―NPOピュア紹介
2.千葉県在宅がん緩和ケアと協働
3.在宅緩和ケア連携
4.医療と介護の連携
* 医療計画に看取り期を
©2012AtsukoFujita NPOピュア
千葉大学広井良典教授との出会い
千葉大学福祉環境交流センターは、
医療、福祉、高齢化社会、癒し、自然、環境、死生観、
コミュニティなどのテーマに関し、下記の機能をもつ
①資料室・情報拠点
②交流拠点
③相談機能
④調査研究、提言機能
NPO法人ピュア 2001年誕生
情報発信と地域ネットワークづくりを
受け手である患者・家族も一緒に!
最後の場所を自由に選び、
可能にするシステムを
©2012AtsukoFujita NPOピュア
④調査研究・提言
©2012AtsukoFujita NPOピュア
2.千葉県在宅がん緩和ケアと協働
©2012AtsukoFujita NPOピュア
千葉県の在宅緩和ケアの取組みと協働
千葉県の取組とNPOの協働
2000年度終末期医療実態並びに意識調査(県医師会委託)
2001年 堂本知事誕生:施設→在宅 (ピュア:12月NPO成立)
2002年度在宅がん患者緩和ケア支援ネットワーク指針策定(意見提出)
2003年度在宅緩和ケア資源調査 (ピュア協働:千葉市内調査 助成金事業)
2003‐05年度在宅緩和ケアシステム構築事業等(健康福祉センターを拠点)
2003年度患者意向調査:一人暮らしの可能性
2004‐08年度こころのケアボランティア養成研修(ピュア委託)
2004‐08年度在宅緩和ケア医療情報提供体制整備事業(看護協会)
2005‐08年度在宅がん緩和ケアフォーラム開催事業(ピュア委託)
2006年度緩和ケア医療従事者専門研修( 医師会→県がん)
2006‐07年度がん対策基本法・がん対策推進基本計画策定
2006‐07年度がん対策戦略プラン検討部会委員(在宅緩和ケア小委員会)
2008‐
がん対策推進部会(千葉県がん対策推進計画)
©2012AtsukoFujita NPOピュア
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千葉県在宅がん緩和ケア支援ネットワーク(協働)2003年
医療と福祉の両方の
社会資源調査を行う。
相談を受ける場必要。
電話相談・講演会を開始
回答2,566/6.754件、率:38.0%
緩和ケア
提供事業所
病院
診療
所
訪問
看護
居宅
介護
訪問
介護
短期
入所
生活
介護
訪問
入浴
短期
入所
療養
介護
NPO
など
照会数
294
3,584
192
1,034
813
106
183
201
347
回答あり
163
1,014
98
491
372
55
113
103
157
回答率
55.4
28.3
51.0
47.5
45.8
51.9
61.7
51.2
45.2
末期がん患者
受け入れ
109
328
86
(実績)
205
(実績)
65
48
63
緩和ケア実施
施設
62
111
86
―
自費・
24時間
自費・
医療処置
医療処置
―
©2012AtsukoFujita NPOピュア
医療処置
千葉県在宅緩和ケア支援センター
千葉県がんセンター内2010年1月開設
©2012AtsukoFujita NPOピュア
©2012AtsukoFujita NPOピュア
第一次千葉県がん対策推進基本計画の状況
©2012AtsukoFujita NPOピュア
1.在宅緩和ケア推進拠点の整備
千葉県在宅緩和ケア支援センター、地域が未整備
2.在宅緩和ケアの人材育成
在宅緩和ケアプログラムの作成。ボランティア
3.地域における連携
拠点病院と開業医の連携モデル(市川、松戸)
在宅緩和ケアネットワーク推進事業(松戸、船橋)~24年
4.在宅でのがん死亡数、在宅療養支援診療所数
在宅H19 8.1→H22 10.0
自宅H19 7.4→H22 8.8
診療所H19 197 →H22 240 訪問看護H19 155 →H22 191
5.地域医療再生計画における推進(24年~25年に向けて)
県医師会が在宅医療支援センターを設置(~25)
県看護協会が訪問看護実践研修センターを設置(~25)
緩和ケア病棟整備への支援(二次医療圏未整備3つ、~25)
3.在宅緩和ケア連携
(緩和ケア提供体制)
©2012AtsukoFujita NPOピュア
緩和ケア病棟の現状と課題
緩和ケア病棟を持つ医療施設は
216、病床数の合計は4,297床
(2011年7月日本ホスピス緩和ケア協会)
緩和ケア病床数は、地域格差があ
り、都市部は病床数は多いが、今
後の爆発的な高齢者の増加を支え
きれるのか。最期を看取る機能だ
けで、痛みを取り、在宅療養を支
える機能やレスパイトの機能が不
足し、入院待機者が発生している。
医療計画に、緩和ケア病棟の整備
を入れる。
→ 病棟の整備は入った。
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出典:日本政策投資銀行№.116-1(2007年12月26日))
©2012AtsukoFujita NPOpure 東大H-pacシンポジウム2011より改変
2006/12/13 厚生労働省「がん対策の推進に関する意見交換会」藤田敦子発表資料から
「診断時からの緩和ケア」を推進
出典:日本ホスピス緩和ケア協会
緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に
対して、疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアル
な(霊的な・魂の)問題に関してきちんとした評価をおこない、それが障害となら
ないように予防したり対処したりすることで、クオリティー・オブ・ライフ(生活の
質、生命の質)を改善するためのアプローチである。」 WHO 2002年
看取りのみの緩和ケア病棟
緩和ケア病棟入院料の施設基準
「主として末期の悪性腫瘍の患者又は後天性
免疫不全症候群に罹患している患者を入院
させ、緩和ケアを病棟単位で行うものであること
平均在院日数45.93日、多くの病院待機あり:朝日新聞2005.12.22
症状マネ 疼痛技術 外来での 緩和ケア
ジメント の相談・ 緩和ケア チームの
(在宅補完) 研修機能 提供体制 役割拡大
QOLを改善するアプローチ
痛み(疼痛)もQOLも
患者自身の声が大事
患者の声に耳を傾け、患者にとって何が
一番いいのか、一緒になって考える。
決めるのは患者本人。自律を高める
初期診断
患者と
身体的
からの 在宅医療
家族への
経済的
QOL重視 との連携
精神的ケア 問題対処
の治療
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千葉県がんセンター
在宅緩和ケア地域連携パス
• 千葉県がんセンターがこれまでに構築してき
た在宅療養支援システムを地域連携パスとし
て視覚化した。
• 在宅緩和ケア地域連携パス導入のねらい
(1)チーム医療の明確化
(2)緩和ケアの質保証
(3)千葉県がんセンターの支援を明記
出典:浜野公明千葉県がんセンター地域医療連携室室長
「平成23年度千葉県在宅がん緩和ケアフォーラム」発表資料 情報誌ピュアNO.36 P1-P5
©2012AtsukoFujita NPOピュア
地域連携パスを使った医療機関ネットワーク
千葉県がんセンター
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●
さんむ医療センター
◆
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出典:浜野公明
千葉県がんセンター
地域医療連携室室長
「平成23年度千葉県
在宅がん緩和ケア
フォーラム」発表資料
情報誌ピュアNO.36 P1-P5
▲ 在宅療養支援施設
(2施設)
● 訪問診療施設
(40施設)
◆
●
◆ 訪問看護ステーション (45施設)
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H23年末 現在
二次医療圏
データーベース
緩和ケア病棟の
整備状況
未整備圏
整備充足圏
人口10万人当たり
緩和ケア病床数
日本ホスピス緩和ケア協会HP
緩和ケア病棟入院料届出受理
施設231施設、4615床
(2012年7月1日現在)より
藤田作成
*緩和ケア病床を二次医療圏内
で整備するのかどうかは、患者
の動きによるため、各都道府県
の判断になる。ただ、緩和ケア
提供体制を考える必要あり
©2012AtsukoFujita NPOピュア
4.医療と介護の連携
*医療計画に看取り期を
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「質の高い終末期を」生活の場で」
デンマーク がん患者死亡場所1993-2001
(Natianal board of Health, january 2005)
日本 2007
1993
2001
Hospital
62,0
55,4
Nursery Home
11,9
14,2
Own home
24,4
25,7
Other places
1,6
4,7
Not known
0,0
0,0
100,0
100,0
Total
7.6(自宅6.7%)
By Lars Clausen, MD Department of Palliative Care
認知症でも最期まで暮らしを(プライエボリー)
病院と在宅、多職種をつなぐ携帯型コンピューター
発表資料より藤田改編
ひとり暮らしのがん患者も最期まで家で
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©2012AtsukoFujita NPOピュア
図11 迅速に介護サービスを提供する上でのバリアと思われるもの
「主治医意見書の提出を早めるのが困難である」7割、「主治医意見書に末期がんと記載が
ないので判断できない」3割がバリアであると回答しており、医療の連携部分のバリアが多
い。また、4割が「申請時点で末期がんと判断することは困難である」と回答しており、患者
側への説明不足、保険者への情報提供、在宅緩和ケア地域連携パスの構築が待たれる。
バリアがあると回答した保険者 n=663 (複数回答可)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
%
69.8
主治医意見書の提出を早めるのが困難である
40.9
申請時点で末期がんと判断することは困難である
30
主治医意見書に末期がんと記載がないので判断できない
20.5
申請から死亡までが1か月以内が多く短期間すぎる
18.7
該当者数に対し認定調査員の人数が不足している
認定調査員は末期がんの症状を正確に把握するのが困難で
ある
13.3
申請件数が増加し認定審査会において十分な討議が難しい
6.6
申請受付の担当者は末期がんに関し知識がない
6.2
ケアマネジャーは末期がんに関し知識が不足している
その他
2.3
15.1
©2012藤田敦子 厚生労働科研費補助金がん臨床研究事業渡辺班「末期がん患者に対する介護保険サービスの提供に関する調査」
2008/12/15 厚生労働省「終末期医療のあり方に関する懇談会」藤田敦子発表資料から一部改変
がん終末期医療の現状と未来
これ以上の治療はできない
患
者
介護のみ
・在宅
セカンド・サードオピニオン
がん診療連携
拠点病院
救急車
看取りなし
診療所・在宅
退院調整(相談)
救急車
外来中心・在宅
民間療法
緩和ケアチーム・外来
(緩和ケア病棟)
患者主体のマネージメント機能の充実
デイケア
在宅療養
緩和ケア
支援診療所
中小病院
病棟 外来・往診
[訪問薬局]
訪問看護
ケアマネジャー
介護
ボランティア
住居(有床)
がん診療連携
拠点病院
訪問看護・介護
グループホーム
ケア付住宅等
療養病床
特養
老健
訪問看護・介護
在宅を支える機能の充実
住宅政策との連携
緩和ケア研修や質の調査を受ける
©2012AtsukoFujita NPOピュア
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まとめ
がん患者(特に高齢)を支える医療が軟弱
 緩和ケアは診断時から必要ではあるが
今、一番必要なのは、ホスピスケア
 介護の部分で支えられる資源が不明
 介護保険にターミナル指標を
 医療計画に「看取り期」を!!

ご清聴ありがとうございました!
©2012AtsukoFujita NPOピュア
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