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解 説

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解 説
環境電磁ノイズの電界強度測定法付属説明書
94.12.06
1.測定装置
1.1
アンテナ
1)アンテナと測定対象周波数
アンテナファクター、指向特性の明確なものを用いる。
種類としてはループアンテナ、ロッドアンテナ、バイコニカルアンテナ、ログペリオディックアンテナ、
ダブルリッジドガイドアンテナ(ホーンアンテナ)等を用いる。また、特定の周波数に限定して計測を行う
場合には、ダイポールアンテナも用いることが出来る。
各アンテナの測定対象周波数は、図1に示すとおりである。
周
波
数
帯
LF
MF
HF
周
波
数
波
長
ル
ー
プ
微 小 ダ イ ポ ー ル
ロ
ッ
ド
半波長ダイポール
バ イ コ ニ カ ル
ログペリオディック
ロ グ ス パ イ ラ ル
ホ
ー
ン
30kHz
10km
300kHz
1km
図1
3MHz
100m
30MHz
10m
VHF
UHF
300MHz
1m
SHF
3GHz
100mm
EHF
30GHz
10mm
アンテナの測定対象周波数
2)アンテナの種類
各アンテナの外観例、指向特性例、アンテナファクター例を以下に示す。なお、ループアンテナ やロッド
アンテナでは、入力信号を増幅する増幅器を内蔵したものがある。これをアクティブアンテナという。
・ループアンテナ(アクティブ)
ー
・ロッドアンテナ(アクティブ)
1
・バイコニカルアンテナ
・ログペリオディックアンテナ
・ログスパイラルアンテナ
・ダブルリッジドガイドアンテナ(ホーンアンテナ)
2
3)偏波と給電点
電磁波は、図2に示すように電界と磁界が直行して組合わさった波である。このとき、電界が地面に対し
平行な電磁波を水平偏波といい、電界が地面に対し垂直な波を垂直偏波という。図3に水平偏波及び垂直偏
波の電磁波測定時のアンテナの姿を示す。なお、
アンテナの位置は、通常は給電点の位置をいう。
従って、アンテナ高さ等もこの位置で規定する。
ただし、ログペリオディックアンテナについては、
慣習上伝送路の中央としている。計測に当たって
は、実際に用いるアンテナのアンテナファクター
を用いる必要がある。
一般的な電磁ノイズについては必ずしも偏波面
が決まっているわけではないが、水平偏波と垂直
この図でy-z平面が地面と平行であれば垂直偏波となる
図2
偏波の向きにアンテナを設定して計測する。
・バイコニカルアンテナ
電磁波の電界と磁界
・ログペリオディックアンテナ
・ホーンアンテナ
水平偏波
・ループアンテナ(アクティブ)
・ロッドアンテナ(アクティブ)
・バイコニカルアンテナ
・ログペリオディックアンテナ
・ホーンアンテナ
垂直偏波
図3
1.2
偏波とアンテナの向き
受信装置
一般的には、スペクトラムアナライザー、電界強度計、ネットワークアナライザ等が用いられている。こ
れらの機器は、一部規格により規定されている。スペクトラムアナライザの内部雑音に関しVDE、VCC
I等の規格で規定されているようであるが他に詳細な規定はない。
検波方式
検波方式には平均値検波、尖頭値検波、準尖頭値検波、実効値検波がある。その特徴を表1に示す。
CISPRでは、準尖頭値検波が用いられている。一般に環境電磁ノイズの測定では、その位置での最高
3
表1
値を計測したい場合が多く、この場合には尖頭値
検波を用いる場合が多い。なお、放送波を対象と
準尖頭値検波形
した場合には、平均値検波も用いられている。
(QP検波)
通過帯域幅
最も一般的に使用されている妨害波測定器。
妨害波の尖頭値を指示。
(ピーク検波) スペクトラムアナライザ、妨害波測定器。
−3dB点)に於ける周波数f1 とf2 との差をい
妨害波の包絡線の平均値を指示。
う。半値幅ともいう。
平均値検波形
最近狭帯域妨害波測定用に使用。
即ち、
電界強度測定器、妨害波測定器。
Bandwidth:
妨害波の実行値を指示。
実効値検波形
B=f1−f2 (Hz)
1.3
妨害波のほぼ尖頭値を指示。
検波器の特性を詳細に規定。
尖頭値検波形
周波数特性の最大利得点から3d B下がった点(
検波器の分類
高周波電力計。
ケーブル
1)ケーブルの種類と減衰量
一般に、電磁環境ノイズ測定ではケーブルはインピーダンス50Ωの二重シールドを施したシールド線を
用いる。我が国では、3D-2W、5D-2W、8D-2W、RG-55A/U、RG-223/U、RG-5A/U、RG-9B/U等の線種があり、
それぞれ線の太さが異なる。これらはJIS C 3501等でインピーダンス、線経、静電容量、導体抵抗、標準減
衰量等が規定されている。線の太いものほど大きな電流が流せることからパワーアンプからアンテナへのケ
ーブルなどに太いものが用いられる。同軸線の減衰は、距離が長いほど、周波数が高いほど大きくなるため、
高い周波数での測定では線種の選定が重要である。表2にケーブルによる減衰量の比較を示す。
表2
品名
二重編組同軸ケーブルの減衰量(メーカーカタ ログによる)
減
静電容量
特性インピ
pF/m
ーダンス Ω 1MHz
衰
量
ー3
10
dB/m
10
30
200
4GHz
内部導体
外径
直径mm
mm
3D-2W
100
50
13
44
77
220
1,400
5D-2W
100
50
7.3
26
46
125
760
8D-2W
100
50
4.8
17
30
85
600
RG-55A/U
104
50
11
37
66
178
700
0.89
5.4
RG-223/U
104
50
11
41
66
178
700
0.89
5.3
RG-5A/U
94
50
7.9
27
47
125
500
1.31
8.3
RG-9B/U
98
50
6
21
38
105
450
RG-217/U
100
50
4
14
25
75
340
2.69
13.8
RG-177/U
98
50
7.9
15
49
250
4.95
22.7
2.3
7/0.32
1.4
7/0.8
7/0.724
6.4
8.1
12.4
8.3
これらの信号ケーブルは、測定器に確実に接続する必要がある。接続が不確実であるとこの部分からノイ
ズを拾ったり、動作が不安定になる場合がある。
2)コネクタ
ケーブルを機器等に接続するコネクタには、N型、SMA、BNC、APC-7、APC-3.5、2.4mm等があ
る。
スペクトラムアナライザにはN型やSMAが標準装備されていることが多く、5D-2WにN型コネクタを接続
して用いることが一般的であ る。コネクタとケーブルとの接続は、ケーブルの径により適合するものが異な
るため注意が必要である。各種コネクタの姿を図4に示す。これらのコネクタにはN型−BNC、N型−
4
SMA、N型−APC-3.5mm等の変換用コネクタが各種出回っている。
コネクタとケーブルの適合例を以下に示す。
BNC(コネクタ)
−
3D-2W(ケーブル)
BNC(コネクタ)
−
RG-55A/U(ケーブル)
N型(コネクタ)
−
5D-2W(ケーブル)
N型(コネクタ)
−
RG-9B/U(ケーブル)
SMA(コネクタ)
−
UT-141(ケーブル)
図4
各種コネクタ
一般的に、BNCコネクタは数10MHz以下の比較的低い周波数に用いられることが多く、N型コネクタ
は2∼3GHz程度以下の周波数で用いられる。また、SMAは10数GHz程度の高い周波数まで用いられる。
それ以上の周波数ではAPC等が用いられる。図5に変換コネクタの例を示す。
N(P)−BNC(J) N(P)−BNC(P) BNC(P)−N(J) N(J)−N(J) N(P)−SMA(J) N(P)−SMA(P ) N(P)−APC3.5(J)
図5
変換コネクタの例
3)フェライトコア
信号ケーブルを動かした場合に、測定結果が変動することがある。これは、ケーブルに放射ノイズが乗っ
たり、逆にケーブルから信号が放射することによる。対策としては、フェライトコアを機器との接続部の近
くに装着することにより防止できる。信号ケーブルを動かすことによる測定値の変動がほとんど無くなるま
でフェライトコアの数を増す必要がある。
4)ケーブルの余長処理
アンテナから測定器までの信号ケーブルは、ケーブルによる
信号の減衰、放射ノイズをケーブルが拾う、インダクタンスL
が大きくなる等のことを考慮して、必要最小限の長さとする必
要がある。しかし、測定の手順上長いままで用いる場合には、
以下に示す余長の処理方法とする。
Lを小さくする余長処理としては8の字型にケーブルを巻く
方法がある。左右で磁界がある程度相殺してインダクタンスが
小さくなる。8の字の左右のループは同じ巻き数とすることが
望ましい。海底ケーブルの布設船の船底へのケーブル積込はこ
のようにしてL最小として行われている。
1.3
「Lを小さくする余長処理」関 康雄”
電磁波シールドQ&A”より
その他
三脚
アンテナを設置する場合の位置を固定するために、一般に三脚が用いられる。この三脚が金属性であれば、
電磁波を反射したりアンテナ自身の指向特性を変化させる恐れがある。樹脂製や木製のものを用いることが
望ましい。
5
2.測定方法例
一般的に、ノイズの発信源が明確な場合と不明確な場合によって測定方法は多少異なる。以下にその一例
を示す。
1)発信源が不明確な場合
建設予定地での施設建設に伴う測定や、電磁環境の現状把握という目的に対し行われる測定で、発信源を
特定せず全般的なノイズを測定する。このため、周波数、偏波、到来方向に関わらず最大値を見つける作業
となる。
このような場合の測定例を以下に示す。
①ループアンテナ、ロッドアンテナ、ログペリオディックアンテナ、バイコニカルアンテナの4種を選択。
②ループ及びロッドアンテナは垂直偏波、バイコニカル及びログペリオディックアンテナは水平偏波で測
定。
③アンテナ高さを地上1.5mに設定。
④スペクトラムアナライザを最大値ホールドに設定。
⑤手動にてアンテナを360゜水平回転。
⑥アンテナ及び周波数帯域毎に最大値を記録。
⑦解析時にアンテナファクター、ケーブルロスを補正し絶対値を算出。
測定機器の設置状況を以下に示す。
2)発信源が明確な場合
電波塔から3km地点の都市部での放送波の伝搬状況と他のノイズの状況の時間変化を把握する目的で測
定を行う。
①バイコニカルアンテナを使用。
②アンテナを周囲の建物の影響がなさそうな場所の地上5mに設置。
③アンテナ方向を電波塔に向け水平偏波の測定を実施。
④スペクトラムアナライザを最大値ホールドに設定し10分間毎に最大値をパーソナルコンピュータに取
り込む
とともに10分間毎に瞬時値も取り込む。
⑤3日間連続測定を実施。
測定機器の設置状況を以下に示す。
6
測定装置の構成
装
No.
装置設置予定地点に広帯域アンテナを設置
②
アンテナからのケーブルをスペクトラムアナライザに接続
③
スペクトラムアナライザを Max Hold にセットし数分間観測
④
アンテナからのケーブルを電界強度測定器に接続
⑤
スペクトラムアナライザでノイズの周波数を確認
⑥
⑤の周波数の電界強度を電界強度測定器にてQP検波で計測
7
名
称
①
バイコニカルアンテナ
②
スペクトラムアナライザ
③
パーソナルコンピュータ
④
ハードディクス
⑤
プロッタ
3)QP検波で測定する場合(設置予定装置に対する環境電磁ノイズの計測例)
①
置
Fly UP