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スライド 1 - 日本機械工業連合会

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スライド 1 - 日本機械工業連合会
スライド 1
最近の機械安全国際規格の紹介
ISO14121-1 機械類の安全性
リスクアセスメント 第1部:原則
ISO/TR14121-2 第2部 実践ガイド及び方法の例
ソニーファシリティマネジメント(株)
セーフティエンジニアリングセンター 安全防災ソリューション部
内藤 博光
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 2
国際安全規格の階層におけるISO14121の位置付け
適用範囲
この国際規格は、機械類の耐用期間中の全段階おけるリスク低減目標を達成
することを目的として、リスクアセスメントを実施するために要求される情報に関
するガイドラインとなっています。
こちらの位置付けに
なります
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 3
ISO14121-1とISO/TR14121-2の内容と目次
内容
(概要)
目次
文書間
の関係
ISO 14121-1:2007
ISO TR14121-2:2007
Safety of machinery - Risk assessment –
Part1:Principles
Safety of machinery - Risk assessment – Part2:
Practical guidance and examples of methods
リスクアセスメントの一般原則を定めた規格
であり、リスクアセスメントに関する用語の定
義、リスクアセスメントフロー(危険源の同定,
リスク見積もり,リスク評価の手順)等を示す。
ISO14121-1に基づき、機械類のリスクアセスメントを実
施するための実践的ガイドを示すととも,リスクアセス
メントの各プロセスにおいて使用可能な様々な手法及
びツールについて説明する。
序文
1 適用範囲
2 引用規格
3 用語及び定義
4 一般原則
5 機械類の制限の決定
6 危険源の同定
7 リスク見積もり
8 リスクの評価
9 文書化
附属書A(参考) 危険源,危険状態及び危
険事象の例
序文
これら項目を説明します
1 適用範囲
2 引用規格
3 用語及び定義
4 リスクアセスメントの準備
5 リスクアセスメントプロセス
6 リスク低減
7 リスクアセスメントの反復
8 文書化
附属書A(参考) リスクアセスメントプロセスの各段階
における手法の例
附属書B(参考) リスクアセスメント及びリスク低減プ
ロセスの適用例
ISO14121-1の要求事項を具体的に展開するためのガイドがISO/TR14121-2
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スライド 4
ISO14121 の構成について
ISO14121は、以下の9項目から構成されています
リスクアセスメント
付属書A 危険源、危険状態および危険事象
D社
の例
付属書B 危険解析およびリスク推定の方法
付属書C 参考資料
E社
×
産業界における
リスクアセスメント手法の
全体最適化を目指す
各社で実施されてはいるが、そのやり方は
序文
デザインレビュー
設計者に任され、各企業まちまちであった
セーフティレビュー
適用範囲
個別最適
全体最適
引用規格
定義
ツール リスク
アセスメント
一般原則
各企業
手法
機械の制限の決定
A社
危険源の同定
リスク見積もり
B社
リスクの評価
文書化
C社
このままでいいのか
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 5
1.適用範囲
規格要求
この一般原則は,リスクアセスメントとして知られるものであり,リスクア
セスメントは,機械の寿命の全局面でリスクを査定するために・・・
設備の購入起案から出荷までの一般的なフローにおいて
と記載されています
これらステップで危険源を同定し、リスクを見積もり、評価するのは当然だが・・・
検収
装置引渡し
移設搬入
出荷搬入
立会検査
社内検 査
装置製造
安全設計検証
安全方策確認
発注・
受注
仕様打合せ
装置引合い
購入計画起案
このような側面も 設備の用力を切り離し、移設する時
考慮する
移設搬出
A 工場
必要があります
B 工場
設備の部分改造や使用する危険有害性物質が変更となり、リスクレベルが変化する時
洗浄設備で
A
純水から→
薬液へ変更した
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スライド 6
1.適用範囲
規格要求
この国際規格は,リスクアセスメントを実施するために要求される情報
に関するガイダンスを与える。危険源を同定し(Hazard identification),
リスクを見積もり,評価する手順を示す。
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 7
1.適用範囲
規格要求
・耐用期間の各段階に対する要求事項
この国際規格は,リスクアセスメントを実施するために要求される情報
・機械の正しい使用と操作
に関するガイダンスを与える。危険源を同定し(Hazard
identification),
リスクを見積もり,評価する手順を示す。
予測される誤使用
・使用者の性別、身体能力の限界
・使用者の熟練度、能力
・人間が危険にさらされる頻度、期間
機械的危険源
押しつぶし、せん断
電気的
充電部との接触、静電気
熱的・振動・騒音・放射線
火災、聴力低下、低周波・赤外線
材料及び物質
毒性、刺激性
機械設計における人間
・工学原則の無視
リスクアセスメント
不自然な姿勢、精神的な負担
risk assessment
すべり、つまづき及び・墜落
床表面、接近手段の無視
危険源の組み合わせ 些細な危険の組み合わせ
機械が使用される環境
温度、風、雪、落雷
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スライド 8
3.用語 及び 定義
規格では
危険源
規格から抜粋して説明します
注記1 “危険源”という用語は,その発生源(例えば,機械的危険源,
電気的危険源)を明確にし,又は潜在的な危害(例えば,感電の危険
源,切断の危険源,毒性による危険源,火災による危険源)の性質を明
確にするために適切である。
機械的危険源
固体 または、液体の機械的作用
に起因して生ずる危険。
たとえば、押しすぶし、切断、裂傷
巻き込みなどの危険性
熱的危険源
電気的危険源
高温、低温の機械類に接触すること
など。火災または爆発を引き起こす
高温の危険性
感電、電気アーク、絶縁破壊、
漏洩電流、静電気などの危険性
有害磁場,光線危険源
騒音の危険源
材料及び物質による危険源
レーザー、マイクロ波、X線、電離及び
非電離放射線などの危険性
聴覚への支障や耳鳴りなど
有害な化学薬品などの吸入、摂取または
接触。それらが使用が起因する、火災・
爆発の危険性
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スライド 9
3.用語 及び 定義
危険源 国内法から見たリスクアセスメント
「機械の包括的な指針」を順守し、リスクを低減すべき危険源
設備に内包する
これら危険源は・・・
高電圧
巻き込まれ
レーザー等有害磁場
高温加熱部
可動部
可燃性化学物質
腐食性ガス
危険有害性物質については・・・
改正労働安全衛生法 第28条の2 2006年4月1日改正
要旨
機械設備、原材料などの作業行動に伴う危険性・有害性などの
爆発性ガス
調査・評価を行い、その結果に基づき必要な処置をすることと
腐食性薬液
求められています。
平成12年3月公示「化学物質管理指針」を順守し、
有害性の特定とリスクアセスメントを実施すべき危険源
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スライド 10
3.用語 及び 定義
規格では
危険区域
危険区域(hazard zone/danger zone)
人が危険源に暴露されるような機械類の内部及び/又は機械類周辺
の空間。
災害の発生 = 人と機械の危険源が接触
危険区域(曝露域)
危険源ハザード
安全域
人の行動範囲(作業空間)
リスクが発生
危険状態
機械の作動空間(機械とその周辺)
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スライド 11
3.用語 及び 定義
感電等の電気的危険源
・高電圧部への接触し感電する
・発煙、発火(電気火災)
危険事象・危険状態
危険状態(hazardous situation)
人が少なくとも一つの危険源に暴露される状況。
表面、端部、角等による危険源
危険事象(hazardous event)
危害を起こし得る事象
・筐体表面、コーナー部への接触
し裂傷する
熱的危険源
・危険状態例:
極端な温度の物体又は
材料の近くにおける作業
・高温加熱部(ヒーター、
油圧装置等)
への接触する
その他の危険源
騒音による危険源
・危険状態例:
騒音の危険源に作業者
が暴露される
・排気音、ワーク加工音
により聴覚障害となる
振動による危険源
・回転部等からの発生
・機械相互間の連動の不備に
よる危険
・墜落による危険
・重量物の搬送による危険
・滑り、つまずきによる危険
・安定性の欠如による危険
・材料の破壊、破損による危険
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スライド 12
3.用語 及び 定義
規格では
機械類/機械
機械類とは:連結された部品又は構成品の組合せで,そのうちの少なく
とも一つは適切な機械アクチュエ-タ,制御及び動力回路を備えて動く
ものであって,特に材料の加工,処理,移動及び梱包といった特定の用
途に合うように結合されたもの
人力のみによって動かされるものは、
回転刃は左から右へ動く
機械には該当しません。
手回しスライサの例:
回転刃
手回しハンドル
手回しハンドルを回すと
回転刃が左から右へ
動き、肉をスライスする。
肉の送りは手動でセット
する。
写真出典:
日食工50年のあゆみ,p
118,南常鉄工㈱,
(社)日本食品機械工業会
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スライド 13
3.用語 及び 定義
規格では
保護方策
― 設計者による方策(本質的安全設計方策,安全防護及び付加保護
方策,使用上の情報)及び
― 使用者による方策(組織(安全作業手順,監督,作業許可システム),
追加安全防護物の準備及び使用,保護具の使用,訓練)
設計者による方策とは
設計、製造、改造等を行なう時リスクアセスメントを実施し、危険性を漏れなく予測し、予防策
(安全方策)を織り込むこと。
教示の手順が必要だな。
+-
-
使用者による方策とは
運転状態表示灯を見やすい所に
設置しなければ。
+
-
+
- +
リスクを摘む目
ユーザーさんには、設置の際安全柵
を付けてもらわないといけないな。
メーカーでは予見出来ない、設置して初めて発生するリスクもある。
ユーザーの視点でのリスクアセスメントに基づく安全方策が重要。
安全柵を設置したから、安全プラグとサーボ電源
の連動インターロックを確認しよう。
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スライド 14
3.用語 及び 定義
リスク分析・リスクアセスメント・リスク見積り・リスクの評価
機械の制限に関する仕様,危険源の同定
及びリスク見積りの組合せ
リスク分析及びリスクの評価を含む
全てのプロセス。
起こり得る危害のひどさとその発生確率を明確にすること。
リスク分析に基づき,リスク低減目標を達成したかどうかを判断すること。
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スライド 15
4.一般原則
規格では
4.1 基本概念
リスクアセスメントは,機械類に関連するリスク分析及びその評価を
系統的方法で実施可能にするための一連の手順である。
この手順を繰り返すとき,保護方策を実施することによって,できる限
り現実的に危険源を除去すること,またリスクを低減することに関して
は,反復的プロセスとなる。
適切にリスク低減するための反復的プロセス
ここが重要です
以下のようなことを想定
してください
例として、実施した安全方策が、新たな危険源に
なっていないかなどを確認する必要があります。
危険警告のためのシグナル
タワーが、取り付け位置が
低いために頭をぶつける
危険性を発生させてしまった
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スライド 16
4.2 リスクアセスメントに関する情報
規格では
使用者の仕様
リスクアセスメントに関する情報は,次を含むのが望ましい。
a) 機械類の詳細に関連する事項
1) 使用者の仕様
使用者の仕様とは・・・
シュレッダー幼児指切断事故
を思い出してください
■性別,年齢,利き手の使用,又は身体能力の限界
誤使用例:
シュレッダーによる幼児の指切断
例えば,視覚又は聴覚の減退,体型,体力
などにより特定される人の機械類使用(例えば,産業,非産業及び家庭?)
■次のような使用者の訓練,経験又は能力の想定レベル
オペレータ
保全要員又は技術者
見習い及び初心者
一般大衆
私は技術者
私は保全要員
私は監督者
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スライド 17
4.2 リスクアセスメントに関する情報
規格では
想定される機械の仕様
次を含む,想定される機械の仕様
i)
機械類の全寿命のさまざまな局面の記述
ii)
設計図面又は機械類の性質を示す他の手段
iii)
要求される動力源及び接続方法
全寿命とは・・・
使 用
顧客 引渡し
出荷搬入
検 査
製 造
設 計
が寿命となり、廃棄したい
ローターリーポンプ
ここで重要なのは、廃棄作業時におけるリスク
をも、想定することです
動力源及び接続方法
とは・・・
電源入力部
ガス配管継手部
薬液供給配管 接続部
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スライド 18
4.2 リスクアセスメントに関する情報
法規制、規格及び他の適用可能な文書に関連する事項
規格では
法規制,規格及び他の適用可能な文書に関連する事項
1) 適用可能な法規制
2) 関連する規格
3) 関連する技術仕様
4) 安全データシート
リスクアセスメント規格
ISO14121 を使用する際は
これら規格を参考とすることです
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スライド 19
4.2 リスクアセスメントに関する情報
規格では
使用経験に関する事項
実際の又は類似の機械類の災害,事故又は機能不良履歴
電磁波の漏洩事故が発生しました
Safety notice
設備事故災害発生情報
設備事故災害の発生
情報を共有して
半導体製造設備より電磁波漏洩が発生!!
マッチングBOXの電磁波シールドが
不足していたため、大量の電磁波漏洩
が発生しました。
同様の設備を設備を設計する際は、
類似事故再発防止の為の方策を確実
に実施してください。
自社内からの情報
や産業界からの情報を得て
設計検討会議を開き・・・
販売している設備は問題無いかな?
同等の危険性は無いかな?
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スライド 20
4.2 リスクアセスメントに関する情報
規格では
使用経験に関する事項
放射(騒音,振動,埃,噴霧など),機械類によって使用される化学物質,
処理される材料から生じる健康障害履歴
化学物質を使用する設備も考慮して、有害化学物質のばく露から
労働者を保護する方策の取り組みも要求されます。
必要とされる方策や使用者への情報
薬液の使用が起因する
様々な危険有害性・・・
酸化性
薬液雰囲気の局所排気
急性毒性
薬液漏洩の早期検知
保護具の選定と着用方法
皮膚腐食性
化学物質取り扱い情報
眼・皮膚刺激性
皮膚感作性
薬液使用設備
生殖毒性
呼吸器感作性
標的臓器毒性
緊急時の処置方法
作業環境測定に関する情報
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スライド 21
4.2 リスクアセスメントに関する情報
規格では
備考
災害履歴がない,災害件数が少ない,又は発生した災害のひどさが
低いということで,自動的にリスクが低いとしてはならない。
備考ですが、重要なことが記載されています。
以下のような考え方は、間違った考え方ですよ。
これまで事故がなかったから大丈夫
安全は人間が注意をして確保すべきもの
安全よりコスト優先は、企業として当然
安全装置を付けたから大丈夫
事故が起きたら、その時に対応すればよい
何も報告がないから安全だ
事故情報、クレーム情報は責任問題になるので
上には報告をしない
誤魔化す、隠す、無視する、責任転嫁する
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スライド 22
5.機械類の制限の決定
規格では
リスクアセスメントは,機械類の制限の仕様を決定することから始める。
その中で・・・
空間上の制限。例えば,次の面を考慮する。
1) 可動範囲
2) 機械の設置及び保全のための空間要求
3) 人の相互作用。例えば,“オペレータ―機械”間インターフェイス
4) “機械―動力供給”インターフェイス
緊急事態表示として、非常停止動作時に赤の
顧客と設備設置の仕様打合せ
回転灯を動作させる
の中で保全エリアがパーテッション
で仕切られることになったこと
を想定してください
可搬式の非常停止スイッチ
を設置するなどの検討
パーテッション
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スライド 23
6.危険源の同定
規格では
機械類のリスクアセスメントにおいて本質的なステップは,機械の寿命
の全局面の間,危険源,危険状態及び危険事象を系統的に同定する
ことである。例えば,
a) 機械の製作
b) 運搬,組立及び設置
c) 立上げ(commissioning検収)
d) 使用
e) 使用停止,分解及び安全上問題がある場合には廃棄処分
同定するとは、危険源を
漏れなく特定することです。
以下のような、さまざまなタスクに関連するすべて
の合理的に予見可能な危険源,危険状態又は
危険事象を同定しなければならない。
設定(段取り等)
試験
ティ-チング/プログラミング
工具/工程の切替え
起動
すべての運転モード
機械供給
機械から製品を取り出す
正常停止
非常停止
ジャミングからの回復
計画外停止後の再起動
不具合(障害)の発見/トラブルシューティング(オペレータの介入)
清掃及び大掃除
計画保全及び修理
計画外保全及び修理
タスク(task)
機械の寿命の間,機械に対して
又は機械の周辺で実施される
特定の活動。
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スライド 24
それでは、ISO/TR14121-2 第2部 実践ガイド及び方法の例 に進みます
ISO 14121-1
では、この範囲を説明
しました
ISO 14121-2
では、この範囲を説明
します
こちらを説明します
1.適用範囲
5.リスクアセスメントプロセス
2.引用規格
5.1一般要求事項
3.用語及び定義
5.2機械類の制限の決定
4.リスクアセスメントの準備
5.3危険源の同定
5.4リスク見積もり
5.5リスク評価
6.リスク低減
7.リスクアセスメントの反復
リスク低減するための反復的プロセス フロー
8.文書化
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 25
5.機械類の制限の決定 5.4.1 一般要求事項
二つの主なリスク要素は危害のひどさとその発生確率である。
リスク見積もりの目的は、各危険状態又は事故のシナリオから生じる
最も高いリスクを決定することである。
規格では
考慮下の
危険源に
考慮下の
危険源から生
は
関連する
じる
リスク
危害のひどさ
危害の発生確率
と
の関数
危険源への人の暴露
危険事象の発生
危害を回避又は制限
する可能性
危害のひどさ
災害が起こるとしたときの災害(傷害)の程度
危害の発生確率
想定した災害の起こりやすさ。以下の3点を考慮して決定する。
危険源への人の暴露
危険区域に人が侵入し危険源と接する状態
危害事象の発生
危険源への人の暴露により、危険状態から実際の危害に到ってしまう状況
危害を回避または制限する可能性
危険源に暴露した人の経験や反射神経などに基づく危険回避の可能性
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 26
5.機械類の制限の決定 5.4.1 一般要求事項
感電事故
インターロック不足で巻き込まれた
人の存在
人
危険区域
危険状態
危険事象
(技術的又は
人が起源)
繰り返し作業などの人間工学的な
側面やアスベストの使用など・・・
危害発生の条件
危険源
人の存在
人
危険区域
暴露
危険源
時間
危害の回避又は制限(技術的又は人の要因)
危害
(怪我)
危害
(健康への害)
急性プロセス
時間プロセス
慢性暴露的な
生体への影響など
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スライド 27
5.機械類の制限の決定 5.4.2 危害のひどさ
規格では
代表的なひどさの範囲のリスクを見積もり、最も高いリスクを示すもの
を使用することが有益である。
一般的に危険源のエネルギーが低ければ低いほど、関連する潜在的
危害のひどさも低くなる。潜在的危害のひどさは、暴露される身体部
位に関連する可能性がある。例えば、押しつぶしの怪我を生じ得る危
険源は、全身又は頭が暴露される場合、一般的に致命的である。
エネルギーの大小と「危害のひどさ」の相関事例
<レーザーの場合>
同じレーザーでも、炭酸ガスレーザー
出力250Wのエネルギーでは金属
加工が可能であり、人的危害のひどさ
も「重傷」が想定される。
250W→眼障害・皮膚障害
1mw→安全
レーザーポインターは出力が1mW
程度であり、人体に対して安全な設計
になっているため、危害のひどさは
ほぼゼロに等しい。
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スライド 28
5.機械類の制限の決定 5.4.3 危害発生の確率
規格では
リスク見積もりの全てのアプローチは、次を考慮し危害の発生確率を
見積もらねばならない。
a) 危険源に暴露される人
●オペレーター・保全要員・メーカー担当者・・・・・
●熟練者、有資格者、未経験者、新入社員・・・・・
b) 危険事象の発生確率
●信頼性及び他の統計データ
●災害履歴
●健康障害履歴・・・・・
c) 危害を回避又は制限する技術的及び人的可能性
●危険状態が危害に到る速度
●人的可能性(反射的動作、敏捷性、脱出の可能性)
●実際の経験、知識の度合い・・・
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スライド 29
5.機械類の制限の決定 5.4.4 リスク見積もりツール
規格では
リスク見積もりプロセスでは次に示すいずれかの「リスク見積もり
ツール」を選択し、使用することができる
1. リスクマトリクス
2. リスクグラフ
3. スコアリング
~
5. ハイブリッドツール
~
見積もりツールは上記のような5つのツールがあります。
それでは順にツールコンセプトを説明しましょう
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 30
5.機械類の制限の決定 5.4.4 リスク見積もりツール
規格では
リスク見積もりプロセスでは次に示すいずれかの「リスク見積もり
ツール」を選択し、使用することができる
1. リスクマトリクス
2. リスクグラフ
3. スコアリング
~
5. ハイブリッドツール
~
はじめに「リスクマトリクス」について解説します。
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 31
5.機械類の制限の決定 5.4.4.2 リスクマトリクス
規格では
危害のひどさのクラスと危害の発生確率のクラスを組み合わせた
多次元テーブルである。
それぞれ選択されるクラスの欄と列の交差に一致するセルの内容
は同定される危険状態に対して見積もったリスクを示す。
<リスクマトリクスの特徴>
◆危険源に対するリスクレベルを導き出す為の容易で迅速な手法である。
◆習得するにも使用するにも簡単で早い。
◆手法の性質が主観的であるがゆえに正確性又は再現性に欠ける。
◆機械・設備に精通した人が使用する必要がある。
機械に精通していない
と正しく評価できません
よ
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 32
5.機械類の制限の決定 5.4.4.2 リスクマトリクス 事例
危害のひどさ( Severity )及び可能性(Class)は各々4つのクラスに分類されている。
交点のセル内のリスク見積もりは「無視可能」~「高」までの4つに分類されている。
ANSI B11 TR3:2000によるリスク見積もりマトリクス
危害のひどさ
危害の発生確率
Catastrophic
Serious
Moderate
Minor
死亡又は恒久的な不可
逆性傷害又は疾病
深刻な傷害又は疾病
応急処置以上を必要と
する重大な傷害又は疾
病
応急処置以上のことを
必要としない傷害又は
軽微な傷害
Medium
Very likely
High
High
High
発生が確実に近い
高
高
高
中
Likely
High
High
Medium
Low
起こりえる
高
高
中
低
Unlikely
Medium
Medium
Low
Negligible
無視可能
起こりえない
中
中
低
Remote
Low
Low
Negligible
Negligible
ゼロに近く起こりえ
ない
低
低
無視可能
無視可能
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スライド 33
リスクマトリックス手法・フォーマット使用例 (木材加工工場、研削作業)
使用者/
タスク
最初のリスクアセスメント
危険源
ひどさ/
確率
リスク低減
方法
リスク
レベル
残留リスクの査定
ひどさ/
確率
状態
リスク
レベル
リスク低減策として「固定エンクロージャ/バリア」を実施
機械的:材木の
Minor/very
グローブ
中
無視可能
完了
破片
likely
最初のリスクアセスメント結果はCatastrophicと
リスク低減後の残留リスクはCatastrophicと
作業者/入 人間工学:反復
Moderate/likely
中
低
作業中
力側コンベ
動作
Likelyの交わる「高」のリスクとなります。
Remoteの交わる「低」となります。
Minor/unlikely
ヤからの板
を選択
作業者/木
目の切断
作業者/出
力側コンベ
ヤに板を置
く
作業ローテーション,
計画的休息間隔,
標準手順
人間工学:持ち
上げ/曲げ(身
体)/ひねり(身
体)
到達を最小にする
ための作業場の高
さ及び位置、作業
ローテーション
Moderate/likely
中
この評価事例で解説します。
機械的:回転す
るのこ刃による
切断/切り裂き
Catastrophic/
likely
機械的:材木の
破片
Minor/very
likely
機械的:飛散す
る屑
Moderate/likely
人間工学:反復
動作
Moderate/likely
中
High
中
発生が確実に近い
高
Likely
Serious/very
likely 起こりえる
高
機械的:材木の
破片
Minor/very
Unlikely
likely
中
High
起こりえない
中
Remote
Low
Minor/unlikely
無視可能
ゼロに近く起こりえない
低
完了
Catastrophic/
remote
低
完了
聴覚保護
完了
Moderate
応急処置以上を必要
Minor
応急処置以上のこと
は疾病
又は軽微な傷害
High
High
Medium
Medium
高
Low
中
中
Minor/unlikelyLow
作業中
低
無視可能Negligible
低
無視可能
Negligible
Negligible
Minor/unlikely
完了
作業中
中
Medium
Serious/unlikely
中
補助棒による最小
Low
限の持ち上げ。作
業者のみが板をス
低
ライドさせる
低
Minor/unlikely
高
グローブ
無視可能
Minor/unlikely
Moderate/remote
とする重大な傷害又
を必要としない傷害
無視可能
作業ローテーション,
High
計画的休息間隔,
高
標準手順
高
Medium
中
Serious
深刻な傷害又は疾病
安全めがね
可逆性傷害又は疾病
中
Very likely
Moderate/likely
危害のひどさ
グローブ
Catastrophic
死亡又は恒久的な不
危害の発生確率
騒音:騒音/音
レベル>85dBA
人間工学:負荷
の押し引き
固定式エンク
ロージャ/バリア
高
Minor/unlikely
無視可能
無視可能
完了
完了
無視可能
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 34
5.機械類の制限の決定 5.4.4 リスク見積もりツール
規格では
リスク見積もりプロセスでは次に示すいずれかの「リスク見積もり
ツール」を選択し、使用することができる
1. リスクマトリクス
2. リスクグラフ
3. スコアリング
~
5. ハイブリッドツール
~
次にリスクグラフについて解説します。
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 35
5.機械類の制限の決定 5.4.4.3 リスクグラフ
規格では
危害のひどさ及び危害の可能性に関するパラメーターについて
そのクラスをツリー状に階層化させてリスクレベルまたはリスク
インデクスを導きだす手法
<リスクグラフの特徴>
◆保護方策によるリスク低減量を示すのに有益である。
◆ひとつのパラメーターに対する分岐(クラス)が二つ以上ある場合は
非常に厄介で散漫なものになる。
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 36
5.機械類の制限の決定 5.4.4.3 リスクグラフ 事例
パラメーター4項目に対して2~3のクラス(分岐)が設定されている。
最終のリスク見積もり(インデクス)は6段階に設定されている。
ひどさ
(Severity)
S1,軽微
暴露
(Frequency)
F1,F2
危険事象の発生確率
(Occurrence)
O1,O2
O3,高
O1,非常に低
開始
F1,滅多にない
回避の可能性
(Avoidance)
A1,A2
O3,高
S2,深刻
A2,不可能
A1,可能
A2,不可能
O1,非常に低
F2,頻繁
O2,低
O3,高
1
A1,A2
A1,可能
O2,低
リスク
インデクス
A1,可能
A2,不可能
A1,可能
A2,不可能
2
3
4
5
6
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 37
リスクグラフ・フォーマット使用例
最初のリスク分析
Activity
危害のひどさが②
解決策
リスク見積もり
リスクインデクスの計算
危険な条件
Activity
危険源
想定
頻度
/暴
露
(F1/
F2)
2
1
2
1
回避
可能
性
(A1/A
2)
リスクイ
ンデク
ス
(1から
6)
3
2
4
2
2
3
発生確
率
危険事象
(O1/O2/
こちらの評価事例で解説します。
危害
O3)
危険状態
頻度が①
作業者により始動信号を出
発生確率が③
したナイフの軌道に作業者
作業者の手
の手がある。
ナイフの垂直
紙切断
回避可能性が②
が紙スタッカ
動作
の近くにある。 制御回路の障害により始動
信号を出したナイフの軌道
―
以上の結果よりリスクインデクス④
に作業者の手がある。
3
S1,軽微
ひど
さ
(S1/
S2)
F1,F2
上肢の
重要な
切断
O1,O2
A1,A2
O3,高
O1,非常に低
開始
F1,滅多にない
A1,A2
A1,可能
A2,不可能
O2,低
O3,高
A1,可能
A2,不可能
S2,深刻
O1,非常に低
A1,可能
O2,低
F2,頻繁
O3,高
A2,不可能
A1,可能
A2,不可能
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 38
5.機械類の制限の決定 5.4.4 リスク見積もりツール
規格では
リスク見積もりプロセスでは次に示すいずれかの「リスク見積もり
ツール」を選択し、使用することができる
1. リスクマトリクス
2. リスクグラフ
3. スコアリング
~
5. ハイブリッドツール
~
次にスコアリングについて解説します。
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 39
5.機械類の制限の決定 5.4.4.4 リスクスコア
規格では
危害のひどさ及び危害の可能性に関するパラメーターについて分割され
たクラス内にてさらに詳細なスコア(点数)付けがなされ、その組み合わせ
(合算)によってリスクスコアが見積もられる。
<リスクスコアの特徴>
◆パラメータが簡単に、はっきりと重み付けされる。
◆各リスク要素に対する数字の割り当てが非常に客観性を有している、
◆組み合わされたリスクレベルの総点数についての意味づけは難しいが
「高」「中」「低」という定性的分類にグループ化するとわかり易い。
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 40
5.機械類の制限の決定 5.4.4.4 リスクスコア 事例
パラメーターは「危害のひどさ」SSと「確率」PSのふたつで、各々4つのクラスに分類される。
リスクスコアは各パラメーターのスコアの合算となる。
確率 (PS) Probability Score
ひどさ (SS) Severity Score
CATASTOROPHIC(SS≧100)
VERY LIKELY(PS≧100)
死亡又は恒久的な不可逆性傷害又は疾病
起こりそう又は起こることが確実
SERIOUS(99≧SS≧90)
LIKELY(99≧PS≧70)
深刻な傷害又は疾病
起こりえる(しかし確実ではない)
MODERATE(89≧SS≧30)
UNLIKELY(69≧PS≧30)
応急処置以上を必要とする重大な傷害又は疾病
起こりそうもない
MINOR(29≧SS≧0)
REMOTE(29≧PS≧0)
応急処置以上のことを必要としない傷害又は軽微な傷害
本質的にゼロに近いくらいの発生
SS+PS=RS
RS:Risk Score
―
高
≧160
159≧
中
≧120
119≧
低
≧90
89≧
無視可能
≧0
リスクスコアも「高」~「無視可能」の4段階に分類される。
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 41
5.4.4.4 リスクスコアフォーマット使用例
確率 (PS) Probability Score
ひどさ (SS) Severity Score
CATASTOROPHIC(SS≧100)
例:ベーグルスライサのリスクアセスメント
死亡又は恒久的な不可逆性傷害又は疾病
VERY LIKELY(PS≧100)
起こりそう又は起こることが確実
SERIOUS(99≧SS≧90)
LIKELY(99≧PS≧70)
ベーグルやバンズを所定の厚みで分割する機械。
深刻な傷害又は疾病
起こりえる(しかし確実ではない)
上部からベーグルを投入。
MODERATE(89≧SS≧30)
UNLIKELY(69≧PS≧30)
内部のブレードにて裁断されて下部に排出される。
応急処置以上を必要とする重大な傷害又は疾病
起こりそうもない
MINOR(29≧SS≧0)
REMOTE(29≧PS≧0)
最初の
最終
本質的にゼロに近いくらいの発生
タスク―危険源
アセスメント
リスク低減手法
アセスメント
こちらの評価事例で解説します。
スコア
SSとPS
SSとPS
リスク
応急処置以上のことを必要としない傷害又は軽微な傷害
ベーグルを通過させるため
の頂点部分に到達しない
ようにする指示の無視
30(moderate)
70(likely)
100
(low)
調整式エンクロージャ/バ
リア,警告ラベル,標準手
順,指示マニュアル
30(moderate)
30(unlikely)
順,指示マニュアル
30(unlikely)
スコアリング・フォーマット使用例
調整式エンクロージャ/バ
リスクスコア(RS)は
30(moderate)
30(moderate)
ひどさ(SS)が30点
100 リア,警告ラベル,標準手
ブレードの危険源の深刻さ
の誤解―ベーグルを通過
させるための頂点部分へ
の到達
70(likely)
(low)
30(moderate)
70(likely)
100
確率(PS)が70点
ベーグルを出すための下
部分に到達しないように
する指示の無視
ブレードが惰性で動く及び ―30(moderate)
到達することを忘れる。 159≧
70(likely)
30点+70点=100点
30(moderate)
(low)
100
(low)
リスク
スコア
60
(negligible)
60
(negligible)
調整式エンクロージャ/バ
リア,警告ラベル,標準手
順,指示マニュアル
30(unlikely)
(negligible)
調整式エンクロージャ/バ
高
リア,警告ラベル,標準手
中
順,指示マニュアル
≧160
30(moderate)
30(unlikely)
≧120
(negligible)
119≧
低
≧90
89≧
無視可能
≧0
60
60
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 42
5.機械類の制限の決定 5.4.4 リスク見積もりツール
規格では
リスク見積もりプロセスでは次に示すいずれかの「リスク見積もり
ツール」を選択し、使用することができる
1. リスクマトリクス
2. リスクグラフ
3. スコアリング
~
5. ハイブリッドツール
~
次にハイブリッドツールについて解説します。
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 43
5.機械類の制限の決定 5.4.4.5 ハイブリッドツール
規格では
このリスクアセスメントは,定性的パラメータを定量化するものであり、
スコアリングとマトリクスを組み合わせた手法である。
<ハイブリッドツールの特徴>
◆スコアリングとマトリクスの特徴を兼ね備える
◆スコアリングで評価するパラメーターについては重み付けがはっきりする
◆マトリクス部の選択には経験や知識を要する
◆マトリクスよりは客観性があり、再現性が得られやすい
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 44
5.機械類の制限の決定 5.4.4.5 ハイブリッドツール 事例
危害のひどさ(Se)は4つのクラスに分類される。
可能性(CI)は「頻度」「確率」「回避」のスコアの合計とし、合計点数によって5つの
クラスに分類される。「ひどさ」と「可能性」のマトリクスからリスクを見積もる。
クラスCI(Fr+Pr+Av)
結果
ひどさ
Se
34
5-7
810
1113
1415
頻度
Fr
確率
Pr
回避
Av
死亡,目又は腕の喪失
4
h≦1H
5
Very high
5
恒久的傷害,指の喪失
3
1H<h≦24H
5
Likely
4
可逆性傷害,医療上の注意
2
24H<
h≦2W
4
Possible
3
Impossible
5
可逆性傷害,応急処置
1
2W<h≦1y
3
Rarely
2
Possible
3
1y<h
2
Negligible
1
Likely
1
黒部分は、無条件で安全方策が要求される
灰色部分は、安全方策が推奨される。
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 45
5.4.4.5 ハイブリッドツールフォーマット使用例(包装機械)
文書番号
684
文書パート
672
リスクアセスメント及び保護方策
製品:
振動ドライブ装置
□
事前リスクアセスメント
発行者:
<名前>
黒部分
=安全方策が要求される
■
中間リスクアセスメント
日付:
2007-09-17
灰部分
=安全方策が推奨される
□
フォローアップリスクアセスメント
こちらの事例で解説します。
Se
Fr
Pr
Av
CI
指の押しつぶし
3
4
2
3
9
インタロックガード
可動ピンとフレーム間の指
2
3
2
3
8
インタロックガード
No
危険源
1
2
充電部からの電撃
2
1
1
3
危険源
危害のひどさSeが③
結果
適切な安全性
Yes
頻度が④確率が②回避が③
ひどさ
Se
保護方策
CI=Fr+Pr+Av=9
SeとCIの交点(黒)は安全方策が必要
クラスCI(Fr+Pr+Av)
3-4
5-7
810
1113
1415
頻度
Fr
確率
Pr
Very high
回避
Av
死亡,目又は腕の喪失
4
h≦1H
5
恒久的傷害,指の喪失
3
1H<h≦24H
5
Likely
4
可逆性傷害,医療上の注意
2
24H<h≦2W
4
Possible
3
5
Impossible
可逆性傷害,応急処置
1
2W<h≦1y
3
Rarely
2
Possible
3
1y<h
2
Negligible
1
Likely
1
5
黒部分:無条件で安全方策が要求される
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 46
5.5リスクの評価
規格では
もしあるならば、危険状態がさらなるリスク低減を要求しているかどうかを決定する
こと
要求のリスク低減が更なる危険源を発生させること無しに、又は他のリスクを増加
することなしに達成されているかどうかを決定すること
現状の管理で良いか、更なるリスク低減が必要
かを分類ごとに明確にすることが重要です。
ひどさ
暴露 危険事象の発生確率 回避の可能性
リスク
イン
デク
ス
判断
基準
実施すべき保護方策
11
些細なリス
ク
保護方策要、従来の安全管理継続
22
軽微なリス
ク
「本質的安全設計」、「安全防護」、「付加保護方
策」、「使用上の情報の作成」の優先順位で方策
の適用を検討する。
33
中程度の
リスク
44
重大な
リスク
55
6
6
但し、リスクレベルが高いものには、例え同じ「本
質的安全設計方策」を採用するにしても、より安
全確保性能の高い(確実な)方策を立案すること。
極めて
重大なリス
ク
極めて重大
なリスク
回避の可能性なし
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 47
6.リスクの低減 6,1 一般要求事項
規格では
リスク低減は,リスクアセスメントの段階で展開された推奨事項を組み
込み,JIS B 9700にしたがって保護方策を実施することにより達成される。
ISO12100規格に定義されている3ステップメソッド
設計者によって講じられる保護方策
Step 1
形状・エネルギー・制御面での配慮
本質安全設計方策
操作方法・人間工学面での配慮
ガードによる危険源からの隔離
Step 2
安 全 防 護
保護装置による危険源の停止
付加保護方策
非常停止機能の付加
蓄積/残留エネルギーの除去
Step 3
使用上の情報の提供
機械を安全に使うための通知・警告
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 48
6.リスクの低減 6.2 設計による危険源の除去
規格では
リスク低減プロセスにおける1番目のステップは,設計による危険源の
除去である。設計による危険源の除去は,リスクを低減するための最も
効果的な方法である。
Step 1
設計者によって講じられる保護方策
Step 1
本質安全設計方策
Step 2
設計手法により危険源そのものをなくす
(低減する)
機構的に危険な部位をなくす
エネルギーを小さくする
構造計算、材料など一般設計技術・知識の活用
安 全 防 護
本質的に安全な技術や動力源の使用
付加保護方策
ヒューマンファクターを考慮した設計
制御システムの本質設計
Step 3
使用上の情報の提供
圧力機器の危険防止
作業者が危険区域に入る必然性をなくす
(低減する)
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 49
6.リスク低減 6.3 設計によるリスクの低減
危害のひどさを低減するリスク低減方法 動力電源
P LC
制御電源
・エネルギを低減する
OUT
IN
例えば、より低い力、低い液圧/空圧を使用する
非安全関連部
・危険源を防止/低減するための技術的安全装置の利用
モータ
コントローラ
ON側異常
安全関連部
危険源への暴露を低減するリスク低減方法
・危険状態にいる必要性の低減
安全回路
例えば、搬入/搬出の機械化又は自動化を採用する
OFF
(判断機能)
危険源の遮断
・危害の源を再配置する
危険事象の発生を低減するリスク低減方法
危険源停止
・機械のコンポーネントの信頼性の向上
・2重回路
・異常チェック
機械的、電気/電子、液圧/空圧コンポーネント
・再起動防止
・安全設計方策を制御システムの安全関連部に適用する
安全制御部と非安全制御部の冗長性による制御系の本質安全設計
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 50
6.リスク低減 6.4 安全防護策
規格では
危険源を設計方策により適切に除去できない,又はリスクを低減できない
場合,危険源への暴露を制限する,危険事象の発生確率を低減する,
又は危害回避若しくは制限を向上させるために安全防護策(ガード及び
保護方策)を適用しなければならない。
リスクアセスメント後の改良箇所
前面エリアセンサーのみの設置
前面:ライトカーテン
侵入可能領域:固定ガードによる隔離
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 51
6.リスク低減 6.5 付加保護方策
機械及びその重量のある構成要素
の簡単で安全な取り扱いのための準備
捕捉された人の脱出及び救助のための方策
■停止した機構部分(挟まれている、巻き込まれて
いる)を、手で動かす手段
■機構部の動作を逆転できる構造
保全用メンテナンス台車
万一、閉じ込められた場合、
保全担当者が内側の
ハンドルを回すとロックが
解除され、脱出が可能。
非常停止
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 52
6.リスクの低減 6.6 使用上の情報
規格では
6.6.2
機械自体に付けられる情報
a) 警告標識(ピクトグラム)
b) 安全な使用のためのマーキング及びラベル
c) 聴覚又は視覚信号(例えば、ホーン,ベル,ホイッスル,ライト)
d) 他の警告装置(例えば,注意喚起バリア,振動)
緊急事態表示として、非常停止動作時に
赤の回転灯を動作させる
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 53
6.リスク低減
規格では
6.7 訓練
供給者は,人が機械を正確に使用し,保護方策の適用の仕方を知ること
を確実にするために必要とされる訓練について,指示書に詳細を記述し
なければならない。
保護方策が人の行為に基づく場合,訓練及び能力はもっとも重要である。
訓練には,次を含むがこれに限定はしない。
― 機械と共に提供される使用上の情報
― 使用者により作成される使用上の情報
― 供給者により提供される特別な訓練,もしあるならば
― 使用者により提供される特別な訓練
設備の何処に危険性が
あるのか、使用前に確認
しましょう。
潜在的な危険性、安全対策の正しい使い方、
安全作業などはマニュアルで、ユーザーに
伝達されなければならない。
本質安全対策をやらずして、使用上の情報警告で対策の不備を
補ってはいけない。
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 54
6.リスク低減
規格では
point
6.7 訓練
供給者は,人が機械を正確に使用し,保護方策の適用の仕方を知ること
を確実にするために必要とされる訓練について,指示書に詳細を記述し
なければならない。
保護方策が人の行為に基づく場合,訓練及び能力はもっとも重要である。
訓練には,次を含むがこれに限定はしない。
― 機械と共に提供される使用上の情報
― 使用者により作成される使用上の情報
― 供給者により提供される特別な訓練,もしあるならば
― 使用者により提供される特別な訓練
出荷搬入後の安全教育段階では、実施してきた全ての安全方策の
正しい使い方を顧客に的確に伝授すること。
警告標識、安全方策を説明しましょう
緊急時の回避方法は・・・
保護具は・・・
安全マニュアルには
安全情報が記載されて
います
設備搬入後に、安全作業
マニュアルなどをもとに
定常・非定常安全作業手順
書を作成して顧客へ教育
訓練を行う
設備が設置された作業
環境においても、必要と
される安全方策を見出す
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 55
6.リスク低減 6.8 保護具
規格では
供給者は,残留リスクに関連する危険源から人を保護するために使用
される保護具について指示書にその詳細を示さなければならない。
― 聴覚保護具
― 安全めがね/ゴーグル
― フェースシールド
― 呼吸器
― グローブ
― 保護服(例えば、熱耐性,化学物質の飛散,切断)
― ヘルメット
レーザー用保護眼鏡着用例
防毒マスク(例)
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スライド 56
6.リスク低減 6.8 保護具
規格では
保護具の信頼性及び保全性は,その長期間にわたる効率を確実にする
ために重要である。正しく使用するための訓練及び強制は必須である
1.吸収缶をマスク本体より外し、使用時間を記録に残す。
2.ライフ(吸収缶の有効時間)が残っている場合は、
吸湿して能力が減退しない様
ジッパー付きポリエチレン袋に入れ、外気と遮断すること。
ふたが付いているものは、上下に蓋をし、保管すること。
3.マスク本体を、石鹸を含んだお湯を使用し、きれいに洗浄する。
4.マスク本体は、乾燥後、消毒剤で、消毒する。
5.保管ボックスに、収納する。
呼吸用保護具の正しい保管方法と間違った保管方法
保護手袋の正しい保管方法と間違った保管方法
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 57
6.リスク低減 6.9 標準作業手順
規格では
供給者は,使用者が機械を運転する又は保全するために採用する標準
作業手順(SOP)について指示書に詳細を示さなければならない。
― 作業計画及び組織
― タスクの分類/整合化,authority及び責任
― 監視
― ロックアウトの手順
― 安全運転方法及び手順
設備内作業中に、第三者が電源投入出来ない様にすること。
実施する付加保護方策
主電源ブレーカーが上がらないような鍵を付ける
ここの穴に
タグアウトして・・・
タグにキーを入れて
誤起動を防止する
それぞれ違う鍵
ロータリースイッチ
A さんの鍵
B さんの鍵
Cさんの鍵
Dさんの鍵
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 58
7.リスクアセスメントの反復
規格では
繰り返し確認は
ここを
意味しています
リスクを低減するために保護方策が組み込まれたら,リスクアセスメント
のすべての段階で次のことを繰り返し確認しなければならない。
― 機械類の制限に対して変更があるか
― 新たな危険源又は危険状態が生じたか
― 危険状態からのリスクは増加したか
― 保護方策は十分にリスクを低減するか
― リスク低減目標は達成したか
•
付加保護方策によって新たな危険が
発生していないかを確認する必要が
ある。
新たな危険性を想定して →
付加保護を施す
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 59
7.リスクアセスメントの反復
規格では
リスクを低減するために保護方策が組み込まれたら,リスクアセスメント
のすべての段階で次のことを繰り返し確認しなければならない。
― 機械類の制限に対して変更があるか
― 新たな危険源又は危険状態が生じたか
― 危険状態からのリスクは増加したか
― 保護方策は十分にリスクを低減するか
― リスク低減目標は達成したか
point 設備が形となり、電源が投入されて
いない段階では、初めて設備が形として存在
するので、実機から顕在危険源(機械的)を
特定する
point
主電源が投入される段階では、制御シ
ステムの設計に誤りが無いか、潜在危
険源(制御安全)の特定を目的として信
頼性確認を行う
図面で特定した危険源以外
危ない箇所はないかな?
保全の作業性は良いか?
日本機械工業連合会 最近の機械安全国際規格の紹介 2009.2.12
スライド 60
8.文書化
規格では
リスクアセスメントの記録文書を作成し,所持していなければならない。
リスクアセスメント文書は,使用上の情報を作成する際の有益な参照
文書となり得る。
プロセスを正確に文書化することは,重要である。なぜならば,リスク
アセスメントに直接関与しなかった人により,後でその決定を検証する
ことができるからである
他の規格、ガイドラインでも
同様のことが求められています
警告標識、安全方策を説明しましょう
緊急時の回避方法は・・・
保護具は・・・
SEMI S2-0200 半導体装置の環境、
健康、安全に関するガイドライン
9.ユーザに提出する文書
9.2.1 不適合の容認の根拠としてS10に
基づいたリスクアセスメント結果の提示
新機械指令 付属書Ⅶ, A,機械に関する技術構造ファイル1,(a)
以下の項目を含んだリスクアセスメントの書類:
(i) 機械が健康と安全の要求事項に適合していることを証明
するリスト
(ⅱ) 機械の呈する危険を排除又は低減するために採用した方法と残留リスクへの指示
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スライド 61
最近の機械安全国際規格の紹介を終了します
ISO14121-1 機械類の安全性
リスクアセスメント 第1部:原則
ISO/TR14121-2 第2部 実践ガイド及び方法の例
本発表にあたり、以下の方々に多大なる御協力を、頂きました。
この場を、お借りして感謝の意を表します。
(順不同)
株式会社 シンクロン
様
オムロン 株式会社
様
株式会社 キーエンス
様
SUNX株式会社
様
シュメアザール日本支社 様
明治大学 理工学部 情報科学科
中央労働災害防止協会・技術支援部
日本機械工業連合会・標準化推進部
様
様
様
ご静聴、誠に有難うございました
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