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積雪寒冷地の集合住宅計画に関する基礎的研究

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積雪寒冷地の集合住宅計画に関する基礎的研究
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積雪寒冷地の集合住宅計画に関する基礎的研究
足達, 富士夫; 野口, 孝博; 森下, 満
北海道大學工學部研究報告 = Bulletin of the Faculty of
Engineering, Hokkaido University, 92: 141-155
1979-01-31
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/41541
Right
Type
bulletin (article)
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Information
92_141-156.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
北海道大学工学部研究報告
Burletin of the Faculty of Engineering,
第92号 (日召巧…日54年)
Hokkaido University, No. 92 (1979)
積雪寒冷地の集合住宅計画に関する基礎的研究
足達
富士夫* 野口 孝博*
森下 満*
(昭和53年:7月10El受理)
Study on Apartment House Planning in
Snowy and Cold Region
Fujio ADAcHi, Takahiro NoGucHi and Mitsuru MoRisHiTA
(Received July 10, !978)
Abstract
The naturaほeatures of a region have an important effect on the lifestyle of the region.
Therefore it is inevitable that the lifestyle of snowy and cold regions would be different from
that of warm and mild regions.
The aim of this paper is to study the lifestyle and the spacial organization of collective
housings in a snowy and cold region.
As a resu}t of an investigation into the actual conditions of living in housing, we have
clarified many features of its lifestyle. The main features are :
( D ln winter, the peopie are obliged to live indoors for a long time. Therefore a living
room is necessary, as a space where the inhabitants spend their lives with the exception of their
lives.
( ii ) There are many househo}d installations and facilites they must have, and they must be
kept indoors. Therefore it is necessary to enlarge the storage space, arrange them indoors and
at the same time their function must be classified.
(iii) lt is necessary to increase the utility space.
(iv) There is a life they enjoy outdoors in summer, for example, playing, social life in
neighborhood, etc. ln winter they are obliged to have these indoors. Therefore it is necessary
to arrange facilities and put them to practical use as a common space for daily living.
Lはじめに
この研究は,積雪寒冷地の集合住宅の住戸・上棟計画について,独自の生活様式の検討を通
じて,それに見合った空問構成のあり方をさぐることを目的としている。
市街地をよりコンパクトに集約化することは,わが国のほとんどすべての都市に通用する方
向だが,積雪寒冷という地域条件の中では,エネルギーの有効利用,雪処理の便,環境入口化の
利益などの理由のために,集約化の利益はとくに大きいのである。そしてその場合,集合住宅と
いう住居形式が有効なことはいうまでもない。
また,詳述はさけるが,積雪寒冷条件がつくりだす建物の内と外とを一体化しない住様式と
* 建築工学科 住居地計画学
142
2
足達富士夫・野口孝博・森下 満
住空間は,これを一体化してとらえる温暖地の住宅とちがって,庭からの隔離に対して,温.暖地
ほどつよい異和感を居住者にあたえることはなく,集住化の可能性は高いと考えられる。このこ
とも,一つの有利な点としてあげることができよう。実際に,調査によれば,集合住宅居住者の
約70%が「十分に広くて便利ならば」という条件でだが,集合住宅にすむことを肯定しているの
である(独立住宅居回者は約30%)。つまり,集合住宅は本質的により北方的な住居形式なのであ
る。
こういう特質からして,集合住宅は,積雪寒冷地の住宅とくに都市住宅の主要な形式たりう
る可能性をもっているとわれわれは考えるが,実際には,まだ数がきわめて少ないばかりでなく,
居住者の拒否反応がつよいのが現状である(永住意志をもつものは現状で約15%)。しかし,集合
住宅への拒否反応は,集合住宅自身の欠陥というよりも,立地条件,家賃,規模等の問題のほか
に,地域固有の生活様式に見合ったものが供給されていないということが,一つの大きな理由で
あることはあきらかである。
わが国の集合住宅計画は,一貫して「標準設計」の思想の上に展開してきた。標準設計の考
え方が,戦後わが国の住宅計画にもたらした功績は大きいが,地域の特色を無視した住宅の普及
と定着に力をかしたマイナスは無視することができない。
この研究は,したがって,集合住宅における住様式および空回構成の地域性をあきらかにし
ょうとする一つの試みであるが,紙面の関係で,主として往戸の公私室のあり方を中心に検討す
る。
2.研究方法・対象
本研究では,主として1976年8月,
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1977年2月および同年8月に行なった札
幌市内および近郊の集合住宅(それぞれ
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643戸,641戸,428戸)の調査結果を基礎
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資料とし,1975年8月に行なった札幌市内
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の独立住宅(1116戸)の調査結果も参考に
している。調査対象は,公営住宅,公団住
宅および分譲マンションで,それぞれ住戸
の型,建設年代,立地条件等の指標をもと
に調査対象地区を選定した(図1,表1)。
調査内容および方法は,住宅および住生活
の現状を住まい方,住環境の評価,住居観
等の各側面から捉えるための居住者に対す
るアンケート調査と各地区数戸についての
詳細な面接・記録調査である。
調査対象居住者の性格の概略をのべる
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図1 調査対象地区
ど),年令構成は公営,公団(とくに公団)とも若い家族に集中した,新規開発の賃貸住宅団地に
特有の年令構成となっている。これにたいしてマンションは高年令家族に集中している。いずれ
も,市全体の平均からかなりずれた構成をみせ,それぞれの階層的特色をあらわしている(図2)。
世帯構成は各階層とも〈夫婦+子〉が多く,〈夫婦+子〉とく夫婦〉をあわせた単純家族が全
体で8割以上を占める。老入同居の複合家族は2DK層では1∼2%,3DK層では6∼iO%で,
3
積雪寒冷地の集合住宅計画に関する基礎的研究
143
表1 調1査対象地区および調査状況
供給型
対 象 地 区
住戸タイプ
1976年8月
1977年2月
1977年8月
配布数 回収数 回収率 記録数 配布数 圓収数 画収率 記録数 配布数 回収数 圓収率
1DK
2DK
24
23
48
38
A3,下 野 幌
公営住宅 A4,光 星
2DIくβDK
80
58
2DK
46
37
A、.美 香 保
2DK,3DK
57
54
A6,真 駒 内
2DK
46
37
A7,も み じ 台
21)K
B正.木 の 花 3DK
53
48
90.6
5
20
B2.あけぼの 2LKβDK
59
48
8L4
6
75
B3.豊平市街地
2DK:
24
15
62.5
1
B4,五 輪
B5.北24条市街地
2DKβDK
49
42
85.7
4
123
113
91.9
23
23 100.0
1
25
21
84.0
1
41
40
4
50
46 92.0
3
A1.南 7西14
A,.白石本郷
公団住宅
2DK
B6,平岸市街地 3DK
B7.四 山北町 3DK
B8.大 麻 3DK
Bg.東札幌6条 2DKβDK
B1。,菊水市街地 2DK
2DK
B、、.北13条市街地
B12.北大通市街地
団分譲住宅
95巻
2麺
79.2
4
72.5
8
35
32 91.誕
2戸
80.4
6
50
3
100
94.7
5
29
47 94.0
26 89.7
2
58
80.4
4
20 100.0
69 92.0
1
97.6
21)K
3DK,4亙)K
47
42
89.4
5
3LDK
3LDK
3LDK
3LDK
3LDK
44
29
65.9
1
C6,宮の凄みたか
C7.中島公園ハウス
B13.真 駒 内
CΣ.藻岩マンション
C2.旭ヶ潤みたか
C3.ターミナルハイツ24
民間分譲 C、.大通ハイム
}ンション C,.チェリス札幌
C8.平母・馬クマンション
15
13
86.7
1
36
14
38.9
2
20
19
95.0
1
18
17
94.4
1
3LI)K
15
15 100.0
2
3LDK
3DK
18
12
66.7
1
27
19
70.4
2
790
643
81.4
66
合 計
29
96.7
2
39 97.5
2
50
2
25
46 92.0
22 88.0
35
31
88.6
1
15
13 86.7
1
92
87 94.6
5
92.4
72.0%
90 90.0
56 96.6
152
142
93.4
114
104
91.2
474
428
90.3
6
30
641
36
4
40
694
50
1
36
全体として数は少ない。
世帯主の年令は,マンション層では40代と50代に集中しており,平均年令も46.0才で,一
戸建持家層とほぼ等しい。長子の年令も15才以上が多く,また子供のいない世帯も3割程度あり,
家族数の少ない成長した中高年令層の世帯が多い。公営,公団層では30代を中心に20∼40代目
集中し,平均も約36才と若く,長子の年令が6才未満の若年令層家族が多い。
家族数については,各階層とも4人家族が多い(図3)。平均は公営層で3.5人,公団,マン
ション層で3.3人と家族数は概して少ない。しかし,公営3DKI層では平均3.9人目,戸建持家
層(3.8人)よりも多くなっている。
世帯主の職業は,各階層とも専門的・技術的・事務的職業のいわゆるくホワイトカラー層〉
が多い。とくに公団層ではその割合が高く(40.9%〉,戸建持家層の職業構成と類似している。マ
ンション厨では管理的職業が多く(6L8%),〈ホワイトカラー・エリート暦〉ともいうべき階層
となっている。公営層では技能的・労務的職業もかなり多く,全体として〈ホワイ}・カラー+ブ
ルーカラー層〉となっている。
世帯主の学歴については,マンション層と公団層では大卒が,公営層では高卒が多い。
144
4
足達富士夫・野口孝博・森下 満
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図3 家族数
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円/月以上が4割をこえ,平均でも28.5
万円と戸富豪家出よりも高い。公団層は
10∼30万円に集中し,平均もi7.7万円
で,中高所得層が多く,公営層はほとん
どが10∼!5万円で,10万円未満の低所
玉壷もかなり多い。
〇 10 20
(%]
図2 居住者の年令構成
一ヶ月の家賃は,公営,公団層とも
低家賃層と高家賃層に明確に分かれてお
り,公営層では1.0万円未満と!,5∼2,0
万円,公団層では1.0∼1.5万円と3.0∼4.0万円に集中している。
3.居住者による現住住宅の評価
まず,現在,北海遵に建てられている公営,公団,分譲マンションに対して,居住者がどの
ような評価を下しているかを検討してみよう。それは,現在の集合住宅のもつプラス面マイナス
面を,直接に,また具体的に示しているからである。
3一・1 マイナス評価
図4は,主として住戸の規模,弓取り,設備や室内環境に関する43項目と全体評価について,
居住者の満足および不満の割合を示したものである。公営,公団層では,全体としても部分とし
ても,不満の多いのが目立つが,とくに規模に関することに不満が集中していることが特徴であ
る。家全体についても,居室についても,また収納スペースについてもせまいことへの不満が圧
倒的に強い。居間,DK,寝室および家全体の広さに対する不満率は,公営,公団層とも70%以
上であり,また押入,物置についても半数以上が不満を訴えている。せまいことへの不満は全国
的な傾向だが,北海道では屋内生活の比重が高いことと,そこから生じる独自の生活様式のため
に,狭小によるマイナスがとくに大きいのである。また,とくに市街地の集合住宅で,夏の乾燥
した気候のために問題がないと考えられて,窓のない部屋がしばしばつくられるが,これに対す
る不満の大きいことが注目される。この他にも,:玄関の使いやすさ,押入・物置の使いやすさ,
集合煙突の位置,結露など,北海道でとくに配慮を要する点での不満が多い。
3−2 プラス評価
全体的に不満の多いなかで,冬の暖かさ,採光,N当りについて評価の高いことが注Eされ
る。冬の暖かさについては,暖房方式によって差がみられ,個別暖房にくらべて集中暖房の方が
5
手1一㌔寒冷地の集合住宅計画に関する基礎的研究
145
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14;渦 と若 た人の1羽r,だけを示してある、
IL.,
図4 現住宅の住みごこちに対する}盛名者の言三ii価
各室,家全体ともに評価がi、1い。採光,日当りについては,二棟形式によって多少差があり,階
段室型の方が比較的評価が下,1い。居間やDKなどの公叢が南面していることによるところが大き
く,公室を南面させることはひとつの原則である。いずれにせよ,冬期,長い屋内生活をすごす
ために不可欠の条件である冬の暖かさやBi当りの点で,店住者は概ね福足している。寒冷地にお
ける集合住毛の有効性の…面を示すものといえよう。この利点を生かすためにも,前述した不満
を解消するような規模,平面を考慮した住芦計画が必要とされる。
4.生活 様 式
4−1 生活時問
北海道では,冬期間,屋内での生活時間が極めて長い。図5は,公営,公団住宅居住者につ
いて冬:琢(1月∼2」’」)の任意の一日の生活時問をみたものである。それによると屋内ですごす
時間は,“}z日,世帯:1二で』1均!3、311斜」,主婦では22.6時間にもなる。これは,特に主婦の場合,
買物などで外出するわずかな時聞を除いて,ほとんど終日家の中ですごしていることをホしてい
る。この数字は,大阪千堕ニュータウンの集合住宅居住者の生活時間調査結果(昭和43年2月調
146
足達富士夫・野鑓孝博・森下 満
6
査。世帯主で!2.5時問,主婦で22時間),
1i翫1152il 1月一:!)1、公宮P公陽li二宅i,+ISLSについて調膏
東京都内公営,公団住宅居住者の例(昭和
oO
45年1月調査。世帯主で12時問,主婦で21
時間>2}とくらべて,一日の時間差としては
それほど大きなちがいはないが,北海道で
はこのような期間が長く,また屋外の生活
1L_//∠\\∼と
が可能性としても限られており,温暖地よ
りはるかに屋内生活の比重が高いといえ
一1 一{i 一一呂 一1け 一L2 一一1・1 一一16 −18 一:o −22 −L,・l L・1「時liiP
図5 冬期,世帯主・主婦の家の中にいる時間
る。
屋内空間の中でも居間やDKなどの「公室」にいる時間は,平日,世帯主で平均4.7時間,
主婦で13.3時間であり,睡眠,勉強などの極めて私的な生活を除く日常生活の大部分が公室で営
まれていることがわかる。公室の中でもとりわけ居間においては,多様で活動的な生活が集積し
ている。だんらん,客の応接をはじめ,子供の遊び,裁縫,勉強など多様な生活が行なわれてい
るが,とくに子供の遊びが54.6%も居間で行なわれているのは注墜される。これらの実態は,次
にのべるイス式生活の多いこと,大型家具の多いことと関連して冬期間の住生活の中で公室生活
の占める比重の大きさ,言いかえれば,公室空間の重要性を示すものである。
4−2 起居様式
起居様式としてイス式の多いのが特徴的である。食事では,公団2DK層で88%,公営2D
K層で52%,居間では,〈兼用〉も含めて公団3DK層で62%,公営2DK層で46%とイス式の
生活がほぼ定着している。これは,東京都内団地の例(昭和49年調査)で,前者が公営層(2D
K型が主)で25%,また大阪の例(昭和43年調査)3)で,後者が公団3DK層で21%程度である
のにくらべるとはるかに高い割合である。なお,東京都内団地の例ではくイス+笹野〉の割合が
比較的多く食事の場の移動が多いことを示しているが,北海道ではほとんどない。このようにイ
ス式化が顕著なのは,第1に居間を確保する生活の仕方によるところが大きい。冬期間の長い屋
内生活をすごすために活動的な生活を屋内に取り込む必要があり,こうして居間に持ちこまれた
多様で,活動的な生活にイス坐式が対回していることは確かである。コタツの生活慣習やそれに
ともなう食事の場の移動がないこと,また,温暖地にくらべ暖房が十分なこともイス式化を促し
ている。
イス式の生活が多いのにともなって, 噂撫,卜 ,。テ。オ、 ,帽ド。一一騰
鰐鴛徽鴛密蔵ヨ藷奪__」薩」血野
も52%と半数を。え,姻3DK層では ・D… 」㎜㎜一㎜㎜L㎜㎞L
63%である(図6)。これは,東京都内団地則2眺型 韮
の調査例(昭和49年調査)・・一(・”公営層(2 3、、...㎜㎞珊」㎜』皿L」㎜皿L
D囎が主)の1・%に満たない鮮1・くら・徹孫」㎜』一一」㎜㎞し
べるとはるかに高く調査蜘の差を考え讐。、混;_』皿L_。皿,,. v. ’r、。、
ても・避道におけるイ挫要求の強さが轡1撫・;釜・_㎜L並㎜L
うかがわれる。居間に置かれる家具として, 1、
mu rrml ll:liliil RTTRTfillUIMI
この他サイドボード類やステレオの所有率 〔ii、1=.握翻 s45。4ホ,ノ什カラー一。囑、1憾.1臥編とDK。ラン、二お、,る脚ブー
も高い。公営,公団層ともに50%以上であ /;i/ L, /’絵蝦s51118 r鍛院に甜る「}・蜥艸蹴
る・これは・同じく東京都内団地の例の 図6 応接セ、.ト・ステレオ.サイドボード類の所有
7
147
積雪寒冷地の集合住宅計画に関する基礎的研究
30%程度にくらべて大きな開きがある。このように大型家具の持ち込みが多いのは,やはり,居
間を優先的に確保する生活の仕方と深く結びついている。
以上に見たように北海道では,屋内生活の比重が高く,なかでも公室での生活がきわめて重
要となる独自の生活様式が生み出されている。この生活様式は,屋外生活が相対的に多く,外と
の結び付きが強い温.暖地のものとは,原理的に異なるもので,平面構成においても居間を中心と
する独自の構成原理を必要とすることをうかがわせるものである。
5.住み方の現状と問題
5−1 公室について
5−1−1 公室の領域
前章でのべたように,北海道ではその生活様式からして公室要求がとくに強いが,DK型を
原則とする公営・公団住宅では,この要求にこたえることができず,居住者は,計画意図をはな
れて,公的領域を拡大させながら住んでいる。公営・公団の6畳程度のDKに公的領域を限って
住んでいるものは,全体で24.9%にすぎず,7割以上が何らかの形で隣室まで公室をひろげてい
る。これにたいしてマンションに多いLDK型では,93%がLDKのみに公的領域を限って住ん
でいる。
<’,㌧y.)Uンq紹1>〈イ〈使用〉
こうした公的領域の拡大傾向は,DKの隣室のタタ
ミ室の居間利用となってあらわれる。それはまた,居間
要求と個室要求との対立関係とその結果としての住生活
公 営 2DK型
Jrm−muml
IOOC%)
50
0
3D}く型
の歪みをもたらすことになる。図7は,公営・公団住宅
公 団 2DK型
dill[IUIIrmamllL
におけるDKの隣室の使われ方を示したものである。 l
DK(公営)は,最小限の公私空間の分離形態で,さす
31)K閣
の㍉幽員て7ンシ/1ン
がに心室を居間としているものは少ないが,2DK(公
(3LDK肇がi三}
営)の場合は,畳室の居間〈専用〉,居間と私室にく兼用〉,
束ヌ;諸1;内購地〔iS)
居聞として〈:不使用〉の比がほぼ4:3:3となってい
る。2室しかない私室の1つを居間とし,寝室を1つし
かもたぬものが4割もあるのは注目される。3人以上の
ptmffmm一
(公営2DK型がiヨ_
〈㌦㌧〔 用> liH:1 E,V/fV
〈兼 用〉 屠問と私;i{を雄用
〈不使用〉 居醐として使っていない
〔注}学会論報S5108「公共住宅におけるt=i三生活の動向,」
家族になると,〈兼用〉,〈不使用〉が多くなる。(なお,
図7 DKの隣室(タタミの部屋)
公団2DKでは2LKタイプを含むため,〈不使用〉が多
の居間利用
くなっている。)この数字を,東京都内団地の調査例5)で,公営2DK暦でDKの隣室を屠間専用
としているものがユ6%であるのにくらべると,北海道における居間要求の強さがわかる。3DK
になると,公営,公団とも〈専用〉が7割,〈不使用〉は1割未満で,ほとんどが私室を2室にか
ぎり,1室を公室化している。マンションではLDK型が多いため,成人率数に関係なくく不使
用〉比率が高く,DK室にくらべて公室空聞に余裕があり,また使い方が安定していることを示
している。なお,〈兼用〉の場合は,ほとんどが夫婦寝室と兼用されており(74%。夫婦+子供を
含めると86%),いわば「個室性」の高い子供の部屋に使われている例は少ない。〈不使用〉の場
合も多くは夫婦の寝室となっているが,この場合は公室として優われることが少ないので,子供
部屋としてもかなり使われている。
記録調査の事例からDKの隣室の使われ方の典型をみてみる。 P1は居聞を専用に確保して
いる例である。実際にこのような住まい方が多い。暦聞には応接セット,ステレオ,サイドボー
ド等,DKには食卓,ストーブなどの大型家具が置かれ,その他生活の屋内化にともなうものの
148
8
足達富士夫・野口孝博・森下 満
*,,
1「一
細
届
細
・禰¥竺興壷
f更所
口男、、麟)睡]臥・
.e
.筆面…’。.。ll
蟄蒔
机團[区]1,
P1 専用の居間を確保している典型的な住まい方
P2 寝室と兼用に暦間を確保している例
持ち込みがあり,いろいろのものによってスペースの大部分が占められている。またP2は,公
団2DK型でDKの隣室を居間と夫婦寝室とに兼用している例である。大型家具の持ち込みが多
く,居間を主とした使われ方になってはいるが,スペースに全く余裕がなく,かなり無理をして
居間を確保している。
これらの実態は,DKの隣室の居間利用が専用,兼用いずれの場合でも,居住者は何らかの
形で居間を確保した住まい方をしていることを示している。
5−1−2 DKと隣室との間のふすま
DKと隣のタタミ室との間のふすまの
1 L, 3 一1 5
se,v’,a,
状態は,小回ミ室の居問化の度合いをあら
わす一つの指標と考えられる。その実態は,
取りはずしたままのものが多く,またあっ
ヨう
公1・i2DK型 〔〕
ヨとりはずした
3DK{,1 一 一一一π=□国_一_
2あけ’、ぱなし
てもほとんどが開け放しにしている(図8)。
,,、月、駒」㎜㎜皿__
4昼はあけて,夜はしめる
公営,公団住宅とも,2DK型,3DK型とも70
,D。。...i、離 一
A B C D
A全部はすした
い,DKと一体的に利用している。理由は,1・
品詞I ! ドl
Cカーテンにかえた
せまいからというのがほとんどである。一
y:会論報S5108「公jl:’住宅における住生活の動向」
%以上がこのようにして隣室を居間に使
方,東京都内団地の調1上例6)では,ふすまを
3カ…テン・アコー一丁{±,ン
ド7幽1こカ・えノこ
5その他
B2枚はすした
Dもとグ)ま圭
図8 DKとDKの隣室間のふすま
たてたままが7割以上を占め,その理由と
して,玄関からの目隠しおよび台所の目隠しをあげている。つまり,東京都の例ではプライバシー
の確保を優先させているのに対して,北海道の場合は広い公室空間とその固定化を優先させてい
る。これも生活様式の地域差を示すものである。
5−1−3 広さとその評価
一般に,DK型では公的領域がDKの隣室までひろ 岨嫡〔…一一88−lc}lo−1212−1414糊】tt
繁鵬憲1ξ灘1搬矯窮幣姜_一』賑_㎜』∵1
型では1。一12畳が多いのに対し,、K型では、雛度の、D、■mh
・K・隣室と蛤わせた12綿上が半数を・えてい・.蹴_㎜1㎜翻㎜皿
しかし・・の繊の罐空間を確保しなカこらも・多撫繍」』皿
簿聚筑讐離島華華諜諜晶懲鰭雛_一mu皿
DK型では7割,LDK型では4割が不満をもっている。 図9公室空間の広さ
9
積雪寒冷地の集合住宅計画に関する基礎的研究
149
公室の規模としてはDK型よりもむしろ小さいLDK型において広さに対する不満は少ないが,
これは居間の固定化の程度のちがいによるところが大きいと考えられる。つまり,プランの上で
糊定した居間を持たないDK型では,公私生活の混乱が生じやすいためであり,この点からも暦
聞を確保することの必要性がうかがわれる。なお,一般の独立住宅の公室の規模は,最低で居間
8畳,公社分譲住宅で居間10畳,LDK13畳が平均的な数字である。
5−2 私室について
5−2−1 就寝室の分解状況
DKの隣室の居間化は当然私室に大きな負担をかける。表2は,公営,公団,マンションに
ついて,それぞれ規模,成人数十に就寝室の分解のし方を示したものである。それによると,3
DK型で3寝室まで分解するものは,公営層で2!.6%,公団層で!8.6%にすぎず,2DK型でも
2寝室まで分解するものは,公営層で43.9%,公団層で47.3%である。いずれの型でも居間を優
先して確保していることを示しているが,とくに2DK型で2室に分解するものが半数に満たな
いことが注目される。これは,東京公団C73年調査)7}の2DK型で2室就寝が約70%であるの
袈2 就寝室の分解状況(公営)
成人率就寝室数
II)K
1.0
1釜
L5
1
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
8
3
3
1
1
1
2
1
2〃
2DK
1蓋
1
22
39
32
1
2〃
2
9
8
32
13
3〃
1
1室
3DK
2〃
4.5
5.0∼
TOTAL
17
5
1
95
7
1
3
75
1
1
10
嘆
3
2
4
7
5
1
1
1
3
1
2
1
!
8
81
26
12
4
5
230
3〃
ユ9
4〃
TOTAL
1
3
40
58
(公段D
成人率就寝気轍
1.0
1室
2DK
1.5
2
2.0
2.5
3.0
15
7
5
10
11
2〃
3.5
4.0
2
2
1
1
4.5 5.0∼
TOTAL
29
26
3〃
1鴛三
3DK
2〃
工7
20
7
7
7
43
9
3
5
8
10
19
15
3〃
44
70
3
26
3
195
4.5 5.0∼
TOTAL
4〃
TOTAL
2
39
44
7!
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
21
3
11
15
30
7
2
2
8
8
24
2
(マンション)
LO
成入率就寝室数
!壽:圭
3DK
RL,DK
8
2〃
1.5
3〃
32
4〃
2〃
SLI)K
3〃
2
6
7
1
1
5
1
2
9
32
5
4
165
ユ
}
8
34
48
1
ユ
4〃
TOTAL
2
2
1室
4DK
65
4
20
44
18
15e
10
足達富士夫・野口孝博・森下 満
表3 子供の就寝分離(公営〉
年 齢
A寝者
1ほll 親
3才未満
6∼9
3∼6
4
1
9∼ユ2 12∼15 15才以上
1
1
片 親
1DK
TOTAL
1
7
2
3
組 父 緑、
1
同性の兄弟姉妹
2
1
異性の兄弟姉妹
2
2
1人で就寝
2DK
両 親
33
34
8
1
1
77
片 親
6
6
4
7
3
26
祖 父 母
同性の兄弟姉妹
4
2
11
6
1
24
異性の兄弟姉妹
4
7
6
5
8
30
1入で就寝
6
3
2
8
19
4
3
殉 親
6
TOTAL
16
3
2
片 親
3DK
ユ
ユ
1
補 父 輝
2
同性の兄弟姉妹
3
1
1
2
5
1
8
8
異性の兄弟姉妹
1
4
2
1
1人で就寝
1
2
4
5
1三
23
62
39
43
23
38
251
9∼12 12∼15
15才以上
46
(公団)
年 齢
3∼6
6∼9
両 親
4
8
2
片 親
2
3
1
A寝者
2DK
3DK
TOTAL
3才未満
TOTAし
15
1
6
糧 父 母
2
同性の兄弟姉妹
1
3
異性の兄弟姉妹
1
1八で就寝
4
1
2
1
1
4
2
6
3
11
!
38
ユ.
19
両 親
21
13
3
片 親
3
6
6
3
剛生の兄弟姉妹
6
10
19
6
異性の兄剃轍
6
ユ1
4
1
1人で就寝
6
6
10
11
23
56
53
40
44
22
32
221
祖 父 母
30
3
44
22
(マンション)
年 齢
Aギ緒
両 親
片 親
3才未満
7
3∼6
6∼9
1
1
2
9∼12 12∼15
1
1
2
1
3DK
祖 父 母
RLDK
摺性の兄弟姉妹
2
6
異性の兄弟姉妹
8
11
9
4
1入で就寝
8
嘆
18
18
両 親
片 親
4DK
祖 父 紐
SL王)K
剛生の兄弟姉妹
2
10
4
10
8
4
26
61
109
1
32
3
1
1
1
1
1
7
2
1
10
2
6
9
17
49
38
77
222
4
4
1人で就寝
9
24
TOTA乱
2
1
異性の兄弟姉妹
TOτAL
15才以上
25
1ユ
積需寒冷地の集合住宅計醐に関する基礎的研究
151
にくらべるとかなりの差があり,北海道で過密就寝の傾向の強いことがうかがわれる。このこと
は,成人数との関係でみて,2DK型で3.0人以上でも1室就寝で,また3DK型で3.5∼4.0人
以上でも2室就寝でそれぞれとどまっているものがかなり多いことからも明らかである。一方,
LDK型が多い分譲マンションでは,比較的円滑に寝室分解が行なわれているが,これはDK型
にくらべ,公室空回に余裕があることや全体規模も大きいことによる。公営,公団層では,限ら
れた規模のなかで居間を優先的に確保しようとする住み方が,過密就寝の傾向をさらに強めてい
るのである。
5−2−2 子供の就寝分離
両親あるいは片親と一緒に寝る子供の割合は,分譲マンションの3LDK型で!割に満たない
のに対し,公営,公団腰では2DK型で約5割,3DK型でも約3割とDK型では就寝分離があ
まり進んでいない(表3)。さらに,両親との就寝分離の年令をみると,分譲マンションでは3才
未満が多いが,公団層では3∼6才,公営層では6∼9才と高く,とくに公営2DK型では片親
との就寝が9∼12才まで続いている。公営,公団層で片親との就寝が比較的多いのは,両親との
分離や子供の性別分離,あるいは世帯主の個室要求などに居住者が何らかの形で対癒しようとし
ているためと思われる。
限られた部屋数のなかでの居間要求と個室要求との矛盾は,このような就寝分離の遅れや変
則的な就寝形態としてもあらわれている。
5−2−3 寝蜜の広さと就寝様式
寝釜の広さは,一般に4.5畳ないしは6畳程度である。公
べ・ド ふとん lkfti
r)o
e
て不十分な広さである。実際に,3畳の部屋は家山置場になっ
を5〔〕
_ユ王oo9で,
たりして,個室として使われていないものが多い。広さに対す
一幽一
る不満は,4.5畳以下で80%以上,6畳でも約60%と極めて多
い。このような不満の強さは,①広さそのものが団地サイズで
小さい,②家鼠の持ち込みによる狭小化,③過密就寝の傾向に
よるところが大きい。8畳以上になると,不満はかなり滅少す
一細剥一
る。就寝の実態からみて,居間と十分な収納スペースが確保さ
れれば,8畳の主寝室と6,4.5畳の個室体系はすくなくとも確
丁鵬%
・地面同
営,公団の一部に3畳程度のものがあるが,個室としては極め
ケ興トー
・・シ・ン
保されるべきであろう。
㎜現’試 [コ希望
就寝様式では,公室の場合とちがって公営,公団層ともふ
図10 寝室の起居様式
とんがほとんどで,ベッドの利用は20%に満たない(図10)。
そのほとんどは子供である。ベッドの希望は比較的多いが,現状ではベッドによる完全な個室化
は規模の点で無理がある。やはり,当面はふとんを主に考えて,規模は公室の拡大にまわすべき
であろう。
Ir一・ve{
「r匹璽 “ 嘱耳
5−2−4 窓のない部屋
卜
麗〔鄭
臼rfi
分譲マンションのような市街地の集合
住宅では,廊下型のアクセス型式と間口を
切りつめた細長いプランのために,「窓のな
!i ・g.
誓
い部屋」をもつものが多い。この窓のない
ll li
部屋は,それ自身居住者の不満が強いうえ
iLuan
に,採光,暖房,換気や部屋の使い勝手の
巨宣]國く醐ン
・iブ・
(
節
受勲.
:Tg.善.
lIく素櫓
D魎一…[
芝∠霧δ
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口
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ii
:
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く ド ア
禰”’
P.
二戸/々・・ド
P3 窓のない部屋の使われ方
p}>N
一一
152
足達富士夫・野日孝博・森下 満
12
点で問題がある。P3は,分譲マンションの典型例であるが,この場合,窓のない部屋は夫婦の
寝室にしか使えず,また,実際には窓のある部屋と一体に使われるため,全体の部屋の使い方が
非常に軒下されたものとなる。公営や公団の市街地型にも窓のない部屋をもつ型があり,多くは
子供室になっているが,暗く,独立性を欠き,やはり住まい方が關定されるなど,問題が火きい。
また,廊下側に窓をもつ部屋についても類似の問題がある。このような窓のない(暗い)部屋は,
温暖地ほど夏の通風の必要がない北海道でも,基本的に問題である。それをなくすためにも公営,
公団の市街地型では,住戸の立体化(メゾネット形式)が検討されるべきであろう。
6,結
び
以上,積雪寒冷地(北海遂)の集合住宅について,とくに住戸内空間の中心となる公私室の
実態と住生活上の問題点をあきらかにした。これらのことは,独立住宅にも共通する部分が多い
が,これらの考察に,ここではくわしくふれなかったが収納スペース,バルコニー,ユーティリ
ティ,共用空間等についての検討の結果を加えて,集合住宅の現状に則して計画上考慮すべき要
点をあげると,次の如しである。
6−1 居間型プランの必要
現在の公共集合住宅は,DK型式を原則としているが,この形式はいわゆる食寝型の性格の
強い住空間型で,住宅をねぐらと考える住意識,住生活と結びついている。しかし,冬期,日常
生活の大部分を住宅内ですごす積雪寒冷地では,集りべや一一というより,勉強・睡眠などの純粋
に個入的な生活以外のほとんどの生活をすごす場としての居間が必要不可欠であって,それは単
に生活水準の向上や生活意識の変化によるだけでなく,独自の生活構造と結びついた原理的な必
要に根ざしたものである。DK型の集合住宅がDK室として使われている例は少なく,そしてそ
の居間型化が私室の縮小のために過密就寝を招いている実態,それにイス坐要求の強いこと,大
型家具のもちこみの多いことは,DK型が環境に適していないことのあらわれといえよう。従来
のDK型にたいして,居間型のプランを平面計画の原則とすることが必要であり,またDK型を
採用する場合でも,一般には3DK以上の規模とすることが必要である。
6−2 私室の確保
居間の確保は私室の縮小につながるが,私室数を確保すべきことはいうまでもない。すなわ
ち,公共集合住宅における従来の3DK型にたいして,3LDK型を中心とする盤の体系を確立
すべきである。なお,市街地の集合住:宅に多い「窓のない部屋」は,北海道のような夏の乾燥し
た気候でもさけなければならない。それ自身,居住者の不満が大きい上に,実際の住み方として,
隣室と一室になって使われることが多く,一つの個室となりにくいからである。
6−3 収納空間の規模拡大,屋内化,機能分化
積雪寒冷地では持物の種類も量も多く,その上,冬期間はすべてを屋内にとり込まねばなら
ない。まず規模の拡大とその屋内化が必要である。その場合,収納するものの種類により収納空
間の規模・形式と位置を考慮することが必要である。すなわち,住戸内で押入(ふとん,衣類等),
玄関クローク(コート,靴,スキー,除雪用具等),半冷温庫(食品その他),住戸外・先勝内(1
階ないし地下)で物置(自転箪,除雪用具,石油カン等)が必要である。
6−4 ユーティリティ等の充実
物干しなどを含め,家事作業のすべてが屋内に持ち込まれるので,従来ほとんど考慮を払わ
れなかったユーティリティの充実をはかる必要がある。当面の手段としては,洗面・洗濯スペー
スを広めにとり,かつ乾燥設備を整えることが考えられよう。バルコニーも,リビング・パルコ
13
積雷寒冷地の集合住宅計臨に関する基礎的研究
153
ニー ニしてよりサービス・バルコユーとして考えるべきである。また,バルコニーを屋内化して
洗濯や物干し機能を備えたユーティリティ的なサンルームとすることも有効であろう。玄関につ
いても,更衣・収納などの多様な機能が要求されるため,温.暖地よりは土間,踏込みとも広くと
りクmu・一クを備え付けるなどの配慮が必要である。
6−5 共用空間の活用と充実
住芦・一棟レベルでの住空聞の集合化の意昧を,積雪寒冷地の住宅と「伝統的」なそれでく
らべるとec 11のような模式図を描くことができる。現在の集合住宅は,慨ね「住戸」のみを集合
化したもので,住棟内の共用部分(階段室,廊下等)は,集合化に伴って生じた単なる附随的な
スペースとして扱われ,内と外との中間的な空間として積極的な役割を撞うことはほとんどない。
しかし,積雪寒冷地の集合住宅では,住生活の構造から考えて図左欄のような集合化が必要であ
る。すなわち,夏,外で行なわれていた生活(子供の遊び,近隣との簡単な交流,懲転車の収納
など)を収容するスペースとして,共用空間の積極的な活用をはかるべきである。それは,冬期,
独立住宅では得られない豊かな空間を提供し,集合住宅の特色を生かす手段でもある。
共屠空間には,さまざまの形式,規模のものが考えられるが,当面現実的に考えられるもの
として,共用廊下(中廊下,片廊下)の充実,沽用がある。一般に中層階段室形式は,暦住性が
高いほかに,共用部分の少ないことが長所とされるが,共用廊下が有効に利用されている実態か
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図ll {主生活の領域と空間構成
154
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P5 事例一ブロック・プラン
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共用玄関についても単なる住棟の出入
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P4 事例一住戸プラン
空間および収納空間としての機能が重要で
ある。少なくとも各戸の自転車,除雪用具の置けるスペースは確保すべきである。
6−6 住戸プラン事例
P4, P 5は,上記の住戸計画上の要件を具体的なイメージにまとめたものの一例である。
室構成は3・L・DKを中心とし,規模はL8畳以上,DK6畳以上,LDKの場合は12畳以上,
寝室は6,6,4畳以上を,また住職内物置(玄関近く)1m2程度,住面内物置(1階または地
一ド)6∼8rn 2(L5∼2,0m2/人),押入間1:]3∼4間(0.8∼1.0問/人)を想定している。プラン
は中廊下・メゾネット型式で,すべての住戸のL・DKを南面させること,型の多様化(3・L・
DKと4・L・DK),DKにユーティリティ的機能をもつサンルームを備え付けること,共用空
間(とくに中廊下)を豊かにすることなどを考慮している。住戸専用面積は,3LDKで1階の
物置を入れて85∼87m2,共用部分を含めて105∼107 m2である。ちなみに住宅宅地審議会は,昭
和60年時点での平均居住水準の習標値として,3LDKの専用面積86m2,共用部分共で100
m2 提案している。なお,高層だけでなく中層としても有効である。
註
記
1>
ここで1用いたデータは,ユ976年8月に行なった調査結果をもとにしているが,1977年2月およ
2)
大阪:学会論報S45 Ol「ホワイトカラー一の家族生活・個入生活における生濡時間構造
び同年8月に行なった調査結果の場合も問様のデータが得られたことをことわっておく。
〔だんらんの研究その2)」
東京:大会学術講演梗封瑳集「生活難聞構造に関する研究(都市集合{主宅の場合)その1.i
3)
東京:学会論報S51 08「公共住宅における住生活の動向」
大阪:学会論調S4504「ホワイトカラーの家族生活・偲人生活とDKプランにおける住み方
(だんらんの研究その4一ユ)j
15
積雪寒冷地の集合住宅計醐に関する基礎的研究
4)
前掲書「公共住宅における住生活の動向」
5)
同上
6)
同上
7)
公団委託研究C73年調盗)r住要求の多様化に対応した住戸計繭に関する研究」
155
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