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緑と港が調和した臨海部エリア(PDF形式, 1.87MB)
第3章 緑の基本計画 ⑤ 緑と港が調和した臨海部エリア (地球環境都市に向けて新たな緑のインフラを創出し、事業者との連携を図りながら 市街地と海とのつながりを形成していく) [エリアの特徴] ・ 本エリアは、産業道路から海側の臨海部で、京浜工業地帯の一翼を担う地区として重化学 工業等の事業所が多く集積しています。 ・ 全体的には、工業系土地利用が大半を占め、住宅系や商業系の土地利用は少ないが、一部、 産業道路沿道や JR 南武支線沿線、多摩川沿い等に住工並存市街地が分布しています。 ・ 浮島町公園や東扇島西公園等の公園緑地や港湾緑地、街路樹が整備され、事業所による緑 化も進められていますが、緑は依然として少ない状況になっています。 ・ 近年、大規模な工場跡地等の土地利用転換や、浮島 1 期地区における土地の暫定利用が検 討されており、新たな緑地空間の創出が期待されています。 ・ 多摩川河口の汽水域は、多様な生物の生息生育空間となっています。 ・ 運河は、事業所の活動を支える重要な空間ですが、海の冷涼な空気はヒートアイランド現 象の緩和に期待されるとともに生物の生息、生育空間、臨海部の景観形成などにおいても 大切な自然的環境資源となっています。 92 浮島町公園 事業所における緑化 多摩川河口干潟 ちどり公園 第 3 章 緑の基本計画 [緑の保全・創出・育成の考え方] 本エリアは、東京湾軸と重なっており、「みどり軸」の多摩川軸先における河口干潟、「み どり拠点」の浮島町公園、港湾緑地であるちどり公園や東扇島西公園等(緑の拠点)、川崎殿 町・大師河原地区や浜川崎駅周辺地区の緑化推進重点地区候補地(緑の都市拠点)などが存 在します。こうした軸及び拠点となる自然的環境資源を基点とし、それらのつながりを更に 充実させていくため、地域レベルで核となる近隣公園、街路樹等を緑と水のネットワーク形 成のための大切な緑のストックとして捉えます。また、その周辺地域における地域緑化の促 進を地域住民や事業者の理解と協力、参画をとおして促進し、緑と水のネットワーク形成の 充実を図ります。 また、臨海部には多くの事業所が集積し、京浜工業地帯の中枢を担い、日本経済を牽引し てきましたが、その反面、地域環境への負荷を課してきたことも否めません。2006(平成 18)年度末現在、工場立地法に基づく緑地の創出により、約 155ha の緑地が確保されてい ますが、地球温暖化対策に対する企業の社会的責任など期待感が高まっている中で、今後も 引き続き、工場立地法による地域準則により、事業所敷地に対する 15 %の緑地の創出の取 り組みが期待されています。こうした取り組みを促進するために、事業所と連携し、緑の創 出と維持について、それぞれの立場を尊重しながら臨海部の環境向上に努めていくことが、 本エリアの大切な取り組みとなっています。 ኣᕖἑཾᖱ₪ ⥫᥆㐅㔔Ⅴᆀ༇ುᆀ ᕖᓧẂ⏣࣬ኬᖅἑཋᆀ༇㸞 㢴ࡡ㐠 ዊፉᣂ↰ Ꮉፒ⽻‛ 㢴ࡡ㐠 හዚ㐘ἑ࿔㎮ᆀᇡ 㢴ࡡ㐠 ᾃᓞ㸦ᆀ༇ ᾃᓞ㸦ᆀ ༇ 㸝᩺ࡒ⥫ᆀ㸞 㢴ࡡ㐠 㢴ࡡ㐠 㢴ࡡ㐠 ᵿᎹፒ ࡔࡽපᅧ ⥫᥆㐅㔔Ⅴᆀ༇ುᆀ 㸝ὶᕖᓧ㥈࿔㎮ᆀ༇㸞 㢴ࡡ㐠 㢴ࡡ㏳ࡽ㐠 ᤘ ỀỜ⏣පᅧ ᱞ⬿⊕⍹ ᚸ↸ 凡 例 ᮶ᡢᓞ⥫㐠 㢴ࡡ㐠 ཱིࡽ⤄ࡳ⥫ࡡࣤࣆࣚᩒങ ⾔ᨳἪࡷโᗐࢅὩ⏕ࡊ࡙ ኬᕖ ⥫ᆀ ᮶ᡢᓞ᮶පᅧ 㢴ࡡ㐠 㢴ࡡ㏳ࡽ㐠 ᄢᎹ 㢴ࡡ㏳ࡽ㐠 ᕖᓧ࣏࢙ࣛࣤ 㢴ࡡ㏳ࡽ㐠 㢴ࡡ㐠 ⌟Ἓ ゛⏤䟺ುᆀ䟻 䛰᪃➿ පᅧ⥫ᆀ➴ࡡᩒങ 䝿㒌ᕰපᅧ䟺䛻䜒䛈䛊䛴䜘ྱ䜆䟻 䝿⥫ᆀ ⥫ᆀࡡಕධ 䝿≁ื⥫ᆀಕධᆀ༇ 䝿⥫䛴ಕධᆀᇡ 䡗ಕᏭᯐ 䡗⥫ᆀಕධ༝ᏽ ㎨ᆀ➴ࡡಕධ ⾜㊨ᶖࡡᩒങ ᆀᇡ⥫ࡡ᥆㐅 ᕰẰ࣬ᴏᡜమⓏ࡞ཱིࡽ⤄ࡳ ᮶ᡢᓞけපᅧ ⥫᥆㐅㔔Ⅴᆀ༇ ⥫ࡡᣈⅤࢅ୯ᚨ࡛ࡊ ࡒᆀᇡ⥫ࡡಀ㐅 ࡲࡽ㍀࡞࠽ࡄࡾ ᆀᇡ⥫ࡡಀ㐅 ⥫ᆀᇡࡡ᳠ゞྱࡳ ᖷ⥲㐠㊨➴࡞Ἒࡖࡒ ᆀᇡ⥫ࡡಀ㐅 1 ἑᕖ࡞Ἒࡖࡒᆀᇡ ⥫ࡡಀ㐅 ᴏᡜࢅ୯ᚨ࡛ࡊࡒ ⥫ࡡ᥆㐅 0 0.25 0.5 1 1.5 2 km 図 3−28 緑と港が調和した臨海部エリアの方針 䜅䛯䜐㍀䛴⠂ᅑ ᶖᮄࡡ㞗ᅆ 䈓㎾㝼පᅧ䛱䛪䛊䛬䛵䚮පᅧ䜘 㻃㻃㻃㻃୯ᚨ䛱⥫䜘᥆㐅䛟䜑䚯 ἑᕖ➴ 93 第 3 章 緑の基本計画 かわさき臨海の森づくり かわさき臨海の森づく り・地球環境創造プロジェクト かわさき臨海の森づくり・地球環境創造プロジェクト [施策の方向性] ●「かわさき臨海の森づくり」の促進 臨海部の緑をより効果的に創出するためには、事業者との連携による将来的な緑化ビジョ ンを示すことが大切です。 そのために、事業者との協働により、地域緑化へのモチベーションを更に高めていくこと を目的として、「(仮称)かわさき臨海の森づくり」の共同宣言を行うことを目指します。 また、宣言を具体化させるために事業者との連携による地区別緑化計画の策定を行います。 地区別緑化計画は、事業所緑化の誘導、工場立地法による工業集合地特例の活用、生物多様 性の保全の観点から鳥などが訪れるビオトープの確保、緑のストックの再編として街路樹の 再編、緑地等の環境整備などの方向性を示します。 更に、市民に開かれた臨海部を形成するために、多摩川、運河、港湾緑地、臨海部に残さ れている産業遺産、工場見学に取り組んでいる事業所などの地域資源を活かした緑と港の ネットワーク形成に努めます。 [基本施策] ○川崎ふるさとの小径(遊歩道)の設定 ○多様な手法による緑化推進 ○緑化助成制度の普及と充実 ○事業所緑化の促進 ○「(仮称)かわさき臨海の森づくり」の促進 ○臨海部における緑のストックの活用 (→ P (→ P (→ P (→ P (→ P (→ P 116) 121) 122) 123) 133) 134) ●内奥運河周辺地域における緑の質の向上 住工混在地区については、これまで蓄積されてきた緑のストックである街路樹、公園緑地 の適切な管理を充実させるとともに、公園利用の実態を踏まえ、地域住民の合意を得ながら 公園施設の活性化を検討します。 また、運河沿いの桜堀緑地、主要地方道第 6 号東京大師横浜線(産業道路)沿いの浅野町 緑道・緑地などは、臨海部と市街地を結ぶウエルカムゲートであることから、その環境整備 に取り組みます。 [基本施策] 94 ○街路樹の適正な管理の推進 ○公共公益施設の緑化推進 ○多様な手法による公園緑地の整備推進 ○公園緑地の維持管理の充実 ○公園緑地の活性化の推進 (→ P (→ P (→ P (→ P (→ P 119) 120) 127) 128) 129) 第 3 章 緑の基本計画 コラム 屋上や事業所の緑化について、紹介するぞ。 【屋上緑化等助成】 2003(平成15)年度に建築物の屋上及び壁 面を花と緑にふれあえる場として創出し、地域 コミュニティーの場を形成するなど、市街地に おける新たな緑の確保の手法として屋上緑化 等に取り組む市民や事業者に対してその経費 の一部を助成する制度を創設しました。 助成につきましては、財団法人「川崎市公園 緑地協会」から交付しており、2007(平成19) 年3月末までに、64件の申請があり、屋上に約3,724m2、壁面に45mの緑が創出されました。 【事業所緑化】 市街地の中に事業所の敷地の占める割合が大きい川崎市にとって、事業所の緑は地域緑化の推 進に大きな役割を果たしています。 1972(昭和47)年以降、市内事業所と緑化の推進に関する協定を締結し、緑豊かなまちづくり を進めています。また、事業所敷地内の緑化率向上のために川崎市みどりの事業所推進協議会を 設置し、情報交換や施設見学会、講演会を開催する等、会員事業所には緑化を推進するための 様々な支援を実施しています。 協議会に参加している事業所では、積極的に様々な樹種を植栽するなど緑化に貢献しており、 当初、緑化面積38.35ha、緑化率3.6%でスタートしたものが、2006(平成18)年度末には緑化 率10.2%、約152haの緑を創出に及んでいます。 95