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報告書資料編(PDF形式:502kb)

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報告書資料編(PDF形式:502kb)
 資 料 編
36
(資料 1)資金調達方法に関する企業の意識
一般的に、企業の資金調達は、メインバンクを中心とした間接金融から市場型の直接金融へ移行してい
るといわれている。しかし、
(図表 1-1)によれば、メインバンクからの資金調達の今後の方向性について、
「③現行通り」とした企業が 6 割強を占め、「①強化する」とした企業とあわせると 8 割近くに達しており、
個社の意識として、メインバンクとの関係は従来と大きく変化していないことがわかる。また、その理由
は、(図表 1-3)によれば、「①不測の資金需要への対応」や「②付帯的サービス・取引や情報等の供給源」
となっている。一方、
(図表 1-4)によれば、株式市場を活用しにくい理由として、
「③市場における吸収能
力が不十分」と回答している企業が多い。
(図表 1-1)今後におけるメインバンクからの資金調達の方向性
株式の持ち合いを解消し、企業の資金調達が多様化する中、引き続きメインバンクとの関係を継続していく傾向がある。
メインバンクとの関係は引き続き継続の方向
④6.89%
①12.70%
①強化する方向
②16.43%
②弱める方向
③現行通り
④その他
③63.98%
(図表 1-2)今後、メインバンク以外で予定するファイナンス方法
金融機関を含めて調達
うち、すべて金融機関から調達
すべてマーケットから調達
内部金融でまかなっている
その他
サンプル数※
50.69%
14.93%
36.83%
1.39%
11.09%
1,219社
(図表 1-3)メインバンクとの関係を今後も継続する理由
③
資本金
100億円以上
①
42%
⑥
2% ④
②
30%
⑤
13%
10∼100億円未満
30%
1%
11%
47%
0%
10%
20%
21%
30%
40%
50%
60%
3%
13%
4%
10億円未満
3%
9%
1%
40%
⑦
1%
3%
6%
70%
17%
80%
90%
2%
100%
①不測の資金需要への対応
②付帯的サービス・取引や情報等の供給源
③敵対的買収対策
④ラストリゾート機能
⑤ファイナンスコストの廉価な資金供給源
⑥人材の供給源
⑦その他
(図表 1-4)株式市場が活用しにくい理由
【
株式市場】
③
②
①
資本金 100 億円以上
10∼100 億円未満
3%
23%
19%
37%
8%
38%
④
⑤
14%
17%
11%
21%
⑥
4%
2%
4%
10 億円未満
0%
22%
18%
20%
38%
40%
60%
7%
80%
①市場の参入障壁が高い
③市場における吸収能力が不十分
②情報提供に係るコストが高い
④上場の際のコストが高い
⑤株主構成もバランスまで考慮しなければいけない
⑥その他
11%
100%
(図表1-1)から(図表1-4)まで(出所:
財務省財務総合政策研究所「フィナンシャル・レビュー」January-2001、※上場全企業+
店頭登録企業(発行済400万株以上、設立後3年以上経過、総資産10億円以上、直近経常利益1億円以上の総資産上位200
社)を対象)
37
(資料 2)低調な資金需要
直接金融への転換が進んでいない理由として、そもそも資金需要が薄いという実態があるものと考えられ
る。景気低迷が長引く中、企業は設備投資より負債返済を優先させる傾向が強くなっている。(図表 2-1,2-2)
このように、資金需要が低く、企業にとって株式市場で資金調達を行うインセンティブが働いていないこと
が、メインバンクとの関係が続いている要因の一つとして考えられる。
(図表 2-1)民間非金融法人の主な資金調達源(金融機関借入と株式・社債調達フロー・ベース/年度)
三洋証券、山一證券、北海道拓殖銀行破綻など、金融危機の発生した 97年以降、借入はマイナス(
借入を返済)
傾向が続いており、さらに借入の減少幅も増加傾向。
(兆円)
50
借入
40
株式
事業債
30
20
10
0
-10
-20
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
2000
(
年度)
(出所)日本銀行「資金循環統計」
(図表 2-2)設備投資判断 D.I.
設備投資マインドも低迷
(過剰−不足)
20
15
10
5
設備過剰感
設備投資に消極的
0
-5
設備不足感
設備投資に積極的
-10
-15
91
92
93
94
95
96
97
98
(
注)営業用設備が「過剰である」との回答から「不足している」との回答を差し引いた。
(
出所)
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」
38
99
2000
2001
(資料3)株式持合の解消と株主構成の変化及び資金調達の株式・債券へのシフト
(図表 3-1)により、株式の持ち合い解消が確実に進んでいることがわかる。また、(図表 3-2)より、
株主構成も、98 年度以降、長銀・都銀・地銀の保有比率の低下が著しくなる一方、外国人の保有比率が大
幅に増加していることがわかる。
(図表3-1)国内株式市場における安定保有比率
株式の持合解消売りは一層進んでいる
(%)
50
45
40
金額
ベース
35
単位株
ベース
30
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
2000
(出所)ニッセイ基礎研究所「株式持合い状況調査(
2000年度版)」
(図表 3-2)投資部門別株式保有比率の推移
銀行と事業法人は株式保有を減らす傾向(持合解消)が進んでいる様子が鮮明
外国人による株式保有比率は、6年連続して過去最高を更新
(%)
35
30
25
20
15
10
5
0
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
2000
政府・地方公共団体
長銀・都銀・地銀
信託銀行
投資信託
年金信託
生命保険
損害保険
その他金融機関
事業法人等
証券会社
個人
外国人
(
注1)信託銀行は、年金信託を除いたベース。外国人は法人+個人
(
出所)
全国証券取引所協議会「
平成12年度株式分布状況調査」
39
(資料4)資金調達手段の推移(各国比較)
下図表は、日米欧の企業の資金調達手段を表している。日本の借入金など間接金融への依存度は、諸外
国、特に米国と比べて、高いことがわかる。諸外国の例を考えると、我が国企業の資金調達手段の借入か
ら株式・債券へのシフトも、なお一層進むのではないかと考えられる。
(図表 4-1)日米欧企業の資金調達手段の推移
我が国企業の資金調達は、諸外国に比べ、借入金の割合が高い
日本
借入金
株式以外の証券
95
43.0%
9.7%
96
43.6%
25.5%
21.8%
株式・出資金
その他
10.5%
24.2%
97
45.5%
10.8%
98
45.7%
10.5%
38.8%
99
0%
10%
22.2%
30%
40%
20.2%
33.8%
50%
60%
借入金による資金調達が
大半を占める
21.5%
23.6%
9.3%
20%
21.7%
18.1%
70%
80%
90%
100%
米国
100%
借入金
95
14.7%
9.3%
57.3%
18.7%
14.0%
9.0%
58.9%
18.1%
株式以外の証券
株式・出資金
その他
96
97
98
13.3%
8.6%
62.1%
13.0%
8.7%
63.7%
12.1%
99
0%
8.2%
10%
14.6%
66.6%
20%
30%
40%
50%
株式・出資金による資
金調達が主流
16.0%
13.1%
60%
70%
80%
90%
100%
英国
借入金
株式以外の証券
95
23.0%
6.3%
62.4%
8.3%
22.7%
6.1%
63.7%
7.5%
株式・出資金
その他
96
97
98
99
0%
21.5%
6.2%
65.6%
6.7%
21.0%
6.2%
66.8%
6.0%
18.6%
6.4%
10%
20%
70.0%
30%
40%
50%
米国と比較すると、借入
金、株式・出資金による
調達が大きい一方、株
式以外の証券による調
達が少ない
5.0%
60%
70%
80%
90%
100%
ドイツ
借入金
42.5%
95
2.9%
41.3%
13.3%
44.2%
12.7%
株式以外の証券
株式・出資金
その他
40.7%
96
38.7%
97
2.0%
36.6%
98
10%
20%
47.0%
1.7%
33.3%
99
0%
2.4%
49.8%
1.3%
30%
11.9%
54.3%
40%
50%
60%
日本に次いで借入金によ
る調達比率は高いが、99
年において株式・出資金
による調達が半分以上を
占めている
12.3%
11.1%
70%
80%
40
90%
100%
(
注)非金融法人企業
(出所)日本銀行 「国際比較統計」
(資料 5)財務報告に問題が生じていると考えられる事例
近年、倒産した企業のうち、
「粉飾決算又は会計や監査に疑問が呈された主な事例」及び「違法あるいは
不適切な企業行動により財務報告に多大な影響を与えた事例」は下記のとおりである。
(図表 5-1)粉飾決算又は会計や監査に疑問が呈された主な事例
会社名
倒産年月
負債総額
(
事実上の倒
産を含む)
(
単位:
億円)
破綻の背景
97/9
約1,600
関連会社から受け取る経営指導料を水増し計上し、事実上の利益
操作を行っていた
山一證券
97/11
約5,000
バブル崩壊後の株式市場の低迷に加え、過去の「飛ばし」で発生
した多額の簿外債務2,648億円を処理できず自主廃業
三田工業
98/8
約2,000
1986年頃から「二重帳簿」を作り、赤字を黒字に見せかける粉飾
決算を続けていた、利益操作した額は、判明分だけで86年以降、
総額370億9800万円にものぼる。粉飾決算をもとに、三田順啓前
社長ら創業者一族を中心とする株主に配当を続けていた
約37,000
1998年3月期決算で本来は約5,846億円の当期未処理損失があった
が、回収不能債権約3,130億円について必要な償却や引き当てを
せず、損失を約2,716億円に圧縮した虚偽の内容の有価証券報告
書を大蔵省に提出した。また、損失を正しく計上すれば配当可能
利益はないにもかかわらず、約71億円を配当した
ヤオハン・ジャパン
日本長期信用銀行
98/10
(
99年9月期におけ
る債務超過額)
日本債券信用銀行
98/12
約32,000
(99年9月期におけ
る債務超過額)
前会長らは98年3月期決算で、回収不能の不良債権を甘く査定し
て貸倒引当金を約1,592億円少なく計上し、損失を圧縮した有価
証券報告書を大蔵省関東財務局長に提出した
なお、同期間に倒産した東海興業(97年7月破綻。負債総額約5,100億円)や三洋証券(97年11月破綻。負債総額約3,700億円)
のケース等では、監査報告書にも特記事項が付され、会計監査により事前警鐘がなされた例もある
(図表 5-2)違法あるいは不適切な企業行動により財務報告に多大な影響を与えた事例
事例
大和銀行の米国債取引
事件の内容
事例の特色
NY支店の米国債のトレーダーが、巨額の損失を隠し、利益を計上してい
ると報告し続け、トレーダーが自白するまで経営陣は事実を知らなかった
発生の理由は内部
統制の欠陥
住友商事の銅取引
1985年頃から、元非鉄金属部長が、ロンドン金属取引所(LME)で不正な
銅の先物取引を繰り返し、巨額の損害を与えた
同 上
プリンストン債事件
市場のレートとは桁違いの高利率をうたい文句にした私募債のプリンスト
ン債の詐欺的な売り出しに対して、75社を超える日本企業が元本保証の
確定金利商品と信じて購入し、多額の損失を計上するに至った
同 上
ヤクルトのデリバティブ
損失事件
会長、副社長によるデリバティブ取引による運用の失敗。他の経営陣は
財テク失敗の事実は知らなかったと発言
発生の理由は、副社
長の暴走と内部統
制の欠陥
なお、雪印の衛生管理体制や三菱自動車のリコール隠し等の事例も、財務報告とは関係ないものの企業の社内管理体制の不備を
示す例として挙げられる
41
(資料 6)不良債権問題等
1.我が国の金融機関の不良債権に対する内外の見方の差
Ø
日本の公表不良債権額は32.5兆円(リスク管理債権)、33.6兆円(金融再生法開示債権)(平成13年3月末
全国銀行)
(注)銀行による自己査定に基づく分類債権65.7兆円(平成13年3月末 全国銀行)は、ディスクロージャーを目的とし
たものではなく、不良債権が実質的に回収可能かどうかという視点から担保・引当がどれだけなされているかとい
う基準で分類された額
Ø
一方、IMFによる日本経済に対するレポートでは、民間アナリストの見方を引用し以下の記述
「日本の不良債権は75兆円に上り、引当金は20∼25兆円不足し、20兆円規模の公的資金投入が必要」
(2001.8 “IMF Country Report” より)
2.米連邦準備制度(FRS;Federal Reserve System)の下での邦銀への立入検査の際の指摘等
Ø
邦銀の在米拠点を監督するFRBは、年一回実施する邦銀の在米拠点における立入検査において、検査
官が日系企業の決算データの質や量への懸念や邦銀の自己査定の甘さを指摘。また、信用リスク管理
について、是正措置の発動等の事例が発生
3.バーゼル銀行監督委員会(Bank for International Settlements ; BIS)から公表された各種報告書
Ø
BISは、大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件を契機にリスク管理小委員会を立ち上げ。各国当局
による銀行監督の指針としてのガイドラインを発出
1998年 「銀行の透明性の向上について」
1998年 「銀行組織における内部管理体制のフレームワーク」
1999年 「銀行組織にとってのコーポレート・ガバナンスの強化」
2001年 「銀行の内部監査及び監督当局と監査人との関係」
42
(資料 7)会計ビッグバンの概要
連結財務諸表
導 入 時 期
・1998 年度より任意適用可
・1999 年度より強制適用
主 な 内 容
・単主連従→連主単従へ
・連結範囲を実質支配力基準へ
研究開発費
・1999 年度より強制適用
・研究開発費の範囲の明確化
・研究開発費は全て発生時に費用処理
・ソフトウェア制作費に関する会計処理の整備
キャッシュ・フロー計算書
・1999 年度より強制適用
・連結決算において、キャッシュ・フロー計算書の作
成・開示を義務付け
税効果会計
・1998 年度より任意適用可
・1999 年度より強制適用
・連結決算に加え、単体決算における税効果会計の適
用を明示
退職給付会計
・2000 年度より導入
・2001 年 度 よ り 強 制 適 用
(年金債務、資産の総額
開示等(注記)について
は 2000 年度より強制適
用)
・2000 年 度 よ り 強 制 適 用
(うち、持ち合い株式に
ついては 2001 年度より
強制適用)
・退職金・企業年金に係る開示ルールを統一・明確化
・年金債務・年金資産の差額を B/S に反映(移行に
伴う影響額は最大 15 年で償却)
・注記において制度の説明、債務等の内訳を開示
金融商品会計
43
・市場性のある金融商品(有価証券、特金、ファンド・
トラスト、ヘッジ目的以外のデリバティブ等)につ
いて時価評価を採用
・原則として、デリバティブ及び売買目的で保有する
有価証券については、含み損益を費用・収益認識
・持ち合い株式については、含み損益を利益に反映さ
せず資本の部に直接計上
(資料8)国際会計基準の統一化への動き
Ø
1995年、証券監督者国際機構(IOSCO)が、国際的資金調達のための情報公開の基準として、国際
会計基準委員会(注1)(International Accounting Standards Committee: IASC)の定める国際会計
基準を用いる方向を明確化
(注1)世界中で通用する会計基準を作るとの趣旨で設置された、各国の会計士で構成される民間組織。日本
からは、日本公認会計士協会が加盟。
Ø
これを受けて、国際会計基準(IAS)として、コア・スタンダード(注2)を含む約40の基準案の整備が
進展
(注2)会計上の主要項目についての基準となる考え方。
Ø
IASCが改組し、IASB(国際会計基準審議会)が2001年1月に発足
IASは、2000年5月に、コア・スタンダードのIOSCOによる包括承認を得て、多国籍企業のクロスボ
ーダー資金調達の統一基準となった。これを受け、2001年1月に完了したIASCの改組により、IASと
各国基準の統一化(コンバージョン)が加速化する見込み
Ø
EUは2002年3月、欧州の全上場企業の連結財務諸表に対して、2005年以降、IFRS(2001年4月以降、
IASの名称をIFRSに変更)を強制適用することを決定
Ø
SECがIFRSの米国市場への受け入れについて検討中
44
(資料 9)今後の対日投資環境改善に有効な施策
Ø
平成13年「通商白書」によれば、対日投資は世界の対内直接投資全体の2%程度に留まっていること
がわかる。
(図表9-1)世界の「対内直接投資」に占める対日直接投資の割合
(図表9-2)世界の「M&A総額」に占める対日M&Aの割合
対日本
2%
その他世界
18%
対米国
32%
その他世界
31%
対日本
2%
対EU15カ国
35%
対米国
32%
対EU15カ国
48%
出所:UNCTAD(2000)
平成13年通商白書
Ø
また、合併・買収・資本提携等の交渉を円滑に進める(対日投資を促進する)ための課題として、企業
の財務状況や事業活動を正しく迅速に把握できる信頼性の高い会計制度に対する期待は高い。
(図表 9-2)今後の対日投資環境改善に有効な施策
(在日外資系企業に対して実施したアンケート結果)
国際会計基準に沿った
企業情報開示の義務づけ
71. 4
連結納税制度の導入
45.8
対日投資関連の総合的な
情報提供体制の確立
45. 6
地方自治体による外資系
企業誘致政策の拡充
21. 6
確定拠出型年金制度の導入
21. 4
19. 5
外国人居住環境の整備
e -mailによる株主総会招集通知
及び株主の議決権行使の実施
18.3
紹介予定派遣の解禁
15.8
非公開会社法制の整備
15.5
額面株式の廃止等の資金調達を
容易にする株式制度の整備
11.1
0
20
40
60
80
(
%)
(備考)複数回答可
2001b)
2001b
(資料)日本貿易振興会(
より作成
平成13年通商白書
45
(資料 10)財務報告スケジュール
(図表 10-1)は、東京証券取引所上場企業(3 月期決算)の連結決算短信発表までの所要日数を示したも
のであるが、5 月の第 4 週時点で、決算発表を終えている企業は 85.3%であることがわかる。
一方、(図表 10-2)は、財務報告スケジュールについて、米国企業の例と比較したものであるが、監査及
び決算発表については、我が国企業より早く決算日後 1 カ月以内に行われている一方、株主総会は決算日後
約 5 カ月と我が国企業より遅く開催されていることがわかる。
(図表 10-1)決算短信(連結)発表状況
(会社数)
5月第4週
85.3%
300
250
平均所要日数
平均所要日数
5
50
0.
.3
3日
日
200
5月第3週
36.8%
150
累積ベース発表状況
100
4月第4週
6.6%
5月第2週
12.5%
5 月第1週
6.9%
5月第5週
97.4 %
6月1日
6月2日∼
5月31日
5 月30日
5月2 9日
5月2 8日
5月2 5日
5月2 4日
5月2 3日
5月2 2日
5月2 1日
5月1 8日
5月1 7日
5月1 6日
5月1 5日
5月1 4日
5月1 1日
5月9 日
5月1 0日
5月8 日
5月7 日
5月4 日
5月3 日
5月2 日
5月1 日
4月3 0日
4月2 7日
4月2 6日
4月2 5日
4月2 4日
4月2 3日
0
∼4月22日
50
(出典:東京証券取引所「決算短信(連結)集計結果」(平成 13 年 3 月)よりグラフ作成)
(図表 10-2)財務報告スケジュールの日米企業比較
日本企業の財務報告スケジュール(法定)
米国企業の財務報告スケジュール(例)
3/31 決算日 12/31
計算書類の
提出(4/26)
株主総会の
8週間前迄に
取締役より
計算書類を提出
会計監査人署名
(5/22)
監査役署名(5/26)
株主総会の
2週間前迄に
通知発送
提出より
4週間以内に
会計監査人から
監査報告書を
を提出
監査報告書の
監査役への提出より
1週間以内に
取締役に提出
株主総会招集
通知送付(6/14)
決算発表(1/17)
5/ 1 1ヶ月後 2/ 1
監査人署名(2/8)
6/ 1 2ヶ月後 3/ 1
6/14
株主総会招集
通知送付(3/9)
Form10K提出(3/23)
株主総会(6/28)
有報提出(6/29)
7/ 1 3ヶ月後 4/ 1
株主総会(4/25)
46
(資料 11)個別財務諸表への持分法導入
1.持分法とは
「投資会社が被投資会社の純資産及び損益のうち投資会社に帰属する部分の変動に応じて、その投資の
額を連結決算日ごとに修正する方法をいう。」(連結財務諸表原則注解17・1)
2.子会社株式及び関連会社株式の評価
「子会社株式及び関連会社は、取得原価をもって貸借対照表価額とする。」
(企業会計審議会「金融商品に
係る会計基準」第三、二、3)
子会社株式については、事業投資と同じく時価の変動を財務活動の成果とは捉えないという考え方に基
づき、取得原価をもって貸借対照表価額とすることとされている。
関連会社株式については、個別財務諸表において、従来、子会社株式以外の株式と同じく原価法又は低
価法が評価基準として採用されてきた。しかし、関連会社株式は、他企業への影響力の行使を目的として
保有する株式であることから、子会社株式の場合と同じく事実上の事業投資と同様の会計処理を行うこと
が適当であり、取得原価をもって貸借対照表価額とすることとされている。
(企業会計審議会「金融商品に
係る会計基準の設定に関する意見書」)
3.連結子会社がない会社の個別財務諸表における関連会社の持分法適用損益の注記
「連結財務諸表を作成していない会社にあっては、関連会社に対する投資の金額並びに当該投資に対し
て持分法を適用した場合の投資の金額及び投資利益又は投資損失の金額を注記しなければならない。」
(財
務諸表等規則第8条の9)
連結子会社がない会社においては、連結財務諸表が作成されないため、関連会社に多額の損益が生じて
いる場合であっても、その情報がディスクローズされない。このため、連結財務諸表を作成していない会
社については、個別財務諸表において、関連会社に持分法を適用した場合の投資損益等を注記するよう措
置を講ずることが適当である。(企業会計審議会「金融商品に係る会計基準の設定に関する意見書」)
個 別 財 務 諸 表 へ の 持 分 法 導 入
現行商法による単独決算
親会社 P
営業利益
証取法による連結決算
+
70
100%子会社 S
+
連結修正
▲ 30
=
持分法導入後の単独決算
連結決算 P+S
親会社 P
40
営業利益
70
持分法損益 ▲ 30
P/L
▲ 40
−
▲ 40
税後利益
30
▲ 30
0
営業資産
200
100
300
税金
税金
(=0+▲30)
▲ 40
税後利益
0
営業資産
200
一致
子会社投資
B/S
50
▲ 50
総資産
250
100
負債
150
70
資本金
90
50
利益剰余金
10
▲ 20
250
100
負債・資本
▲ 50
子会社投資
300
220
▲ 50
負債
90
資本金
▲ 10
▲ 50
300
30
(=50+▲20)
230
150
90
利益剰余金 ▲ 10
一致
負債・資本
(=10+▲20)
230
●持分法を導入すると、 単独・連結の「当期利益」
と「利益剰余金」が一致する。
47
(資料12)財務報告プロセスに係る開示の各国比較
米 国
英 国
日 本
経営者による財務諸表作成責任の開示
・1987 年に公表されたトレッドウェイ委員 ・1998 年に公表された統合規程に なし
会報告書において、以下の事項につい
おいて取締役は財務諸表に対す
て年次報告書に記載することを求めて
る責任について説明すべきとして
いる。現在、自主的な取組みではある
おり、年次報告書に以下の事項
が、公開会社のうち約 7 割の企業で開
が開示されている。同規程は、ロ
示されている
ンドン証券取引所上場規則に引
用され、同規程の遵守状況と遵
①財務諸表に対する経営者の責任
守していない事項がある場合に
はその理由を年次報告書に開示
②財務諸表の信頼性等に合理的な保証を提供
することを目的とした内部統制の確立・維持
することが求められている
に係る経営者の責任
③内部統制の固有の限界
④公認会計士に提供した資料及び陳述の有効
性と正確性
⑤内部監査人の業務
⑥行為綱領の諸規定 等
内部統制の
構築状況の開示
・1992 年トレッドウェイ委員会組織委員会 ・1998 年統合規程を採用した上場
報告書(COSO レポート)でフレームワ
規則に基づき、年次報告書に開
ークが示され、その構築状況について、
示される
経営者の財務諸表作成責任とともに、
年次報告書に、自主的に開示される(実
施率は約7割)
ガバナンスに関する
取組み状況の開示
①真実かつ公正な概観を与える財務諸
表の作成責任、
②適切な会計記録の保持・資産の保全
その他不法行為を防止及び摘発する
責任
③継続的に合理的な判断・見積りに基
づいて適切な会計方針が採用された
という確認、
④適用すべき会計基準が適用されたと
いう確認 等
・証券取引法により株主総会招集通知書 ・1998 年統合規程を採用した上場 ・東京証券取引所では、理
事長要請により、コーポ
(Proxy Statement )において、「取締
規則に基づき、取締役会会長、
レート・ガバナンスに関す
役、執行役員の状況」として、取締役、
最高業務執行取締役、非業務執
る取組み状況や今後の
各種委員会(監 査 、指名、報酬)の 体
行取締役、各種委員会の構成員
計画等について開示を促
制、業務、位置づけ、年間開催回数等
(監査、指名、報酬)等について
している
について開示を義務付けている
年次報告書に開示される
・銀行については、銀行法
に基づき、リスク管理体
制及び法令遵守体制を
業務報告書に開示しなけ
ればならない
外部監査の独立性に関する開示
・証券取引法に基づき、監査人の辞任、 ・特段の開示は行われていない なし
が、欧州では、EC委員会が
再任の拒否又は解任があった場合、5
2000 年 12 月に、法定監査人の
日以内に監査人との意見の不一致の有
独立性に係る協議用ペーパーに
無等についての記載とその記載に係る
おいて、各国の法の下、監査報
監査人の見解を Form8-K(臨時報告
酬と非監査業務報酬を分けて開
書)として、SEC に提出。以後2年間は
示することを提言している
Form10-K(年次報告書)に開示するこ
とが義務付けられている
・SEC 規則により、2000 年 11 月に監査
人の独立性のルールを改訂し、株主総
会招集通知に以下の事項について開示
することを義務付け
①監査人に支払われた監査及び非監査業務へ
のそれぞれの報酬額
②非監査業務により監査人の独立が害されて
いないかどうか監査委員会の意見
③監査事務所の正規監査スタッフ以外が行った
監査時間比率
48
(資料 13)日本における不正な財務報告事案
ヤ
オ
ハ
ン
粉
飾
決
算
事
件
大
和
銀
行
N
Y
支
店
巨
額
損
失
事
件
事件概要
同社元代表取締役社長が、ヤオハンジ
ャパンの決算に当たり、経営指導料名
目の架空の利益を計上するなどの方法
により、利益を水増しさせ、違法配当を
行い、虚偽の記載をした有価証券報告
書を提出した事件
判決内容等
裁判所は、代表取締役社長に対し、
① 配当可能利益がないにも関わらず、架空の利益計上をした損益計算書、貸
借対照表、利益処分案を作成して株主総会に提出して承認可決させて違法配当
をした事実
② 架空の利益を計上するなどにより虚偽の記載をした貸借対照表、損益計算
書及び利益金処分計算書を掲載した有価証券報告書を作成して大蔵大臣に提
出した事実
を認定。
商法 489 条 3 号、証券取引法 197 条等の罪が成立するとして、情状を酌量し
た上で、懲役三年、執行猶予五年の判決を言い渡し。
甲事件:大和銀行ニューヨーク支店の
行員が 11 年間にわたり米国財務省証
券などの不正取引を行い、約 11 億ドル
の損失を出した事件
乙事件:大和銀行がこの損失について
虚偽の報告をアメリカ連邦準備理事会
に報告したことなどにより、米国当局に
対して 3 億 4,000 万ドルもの罰金を支
払った事件
この罪に関して、
・グループ代表である兄の積極的拡大主義の経営戦略を無批判に受け入れ、自
己保身もあって、経営上の問題の抜本的解決を先送りし、会社を私物のように
扱い、粉飾決算に至ったという動機に関しては、経営者倫理にもとる自己中心的
で身勝手な企業経営である、
・粉飾は、計画的に、極めて巧妙複雑な手段を用いて、継続的かつ大掛かりに
敢行され、その後の隠蔽工作も周到に行われ、大部分は、被告人の積極的主導
の下、部下や取引先関係者多数を巻き込んだ、
と指摘。
(静岡地裁平成 11 年 3 月 31 日判決文より)
争点は、内部統制システムの構築に関する任務懈怠行為の有無(甲事件、乙事
件の一部)。
内部統制システム(リスク管理体制及び法令遵守体制)決定については取締役
会、具体的内容の決定については業務担当取締役との形で明確化。
リスク管理体制の不備として、原告は、具体的に以下の点につき、指摘。
① 証券売買部門と資金決済、事務管理部門との分離
② 財務省証券の残高確認の方法
③ 検査部の臨店検査を事前予告方式とした点
④ 郵便物の管理
⑤ 強制休暇制度の採用等
判決では、不備がない、たとえ実行されていても本件行員の行為を防止できたと
はいえない等の理由で、②のみ認定。
(大阪地裁平成 12 年 9 月 20 日判決文より)
住 住友商事社員が違法な銅地銀取引に 取締役らが社員の行為を見逃したという善管注意義務を怠った可能性がある
友 より会社に 2,167 億円もの損害を与え が、コンプライアンス(法令、倫理遵守)
違反の事実の確認まで至らなかったた
商 た事件
め、取締役の「
過失」をどうみるかが争点になった。
事
※当時、会社は、アメリカ、イギリス等外国での損害賠償請求の裁判の当事者と
銅
なっていたため、取締役の責任が肯定された場合には、会社に二次損害が生じ
地
る可能性があったため、和解に至った。
銀
取
・和解についての弁護団の公表文
引
(本裁判の今後への期待)
巨
「法的責任ではなく、従業員の違法行為でかつ会社のトップが直接関与していな
額
いケースでも経営上の責任を認め、相当額の金額を返還したことは今後の先例
損
になろう。このような損害が会社に発生することはあり得ることであると自戒し、
失
それを阻止するための万全の対策を取締役は措置する責任が存在することにな
事
るからである。」
件
・住友商事の会社公表文
「被告の元取締役が元当社職員浜中泰男による銅地金の簿外不正取引によっ
て、会社が多額の損害を被ったことに遺憾の意を表し、この回復にあてるため、
法的責任を認めることなく、連帯して和解金 4 億 3,000万円を会社に対して支払
うというものであります。」
(大阪地裁平成 13 年 3 月 15 日和解条項等より)
49
(資料 14)米国・英国における不正な財務報告に係る取組み
1977
米 国
「海外不正支払防止法(FCPA)」制定(1934 年証券取引
所法に挿入)
・SEC 登録会社に対し、有効な内部会計統制を維持することを
英 国
法的に義務付け
1978
米国公認会計士協会(AICPA) 内部会計統制特別諮問
委員会(ミナハン委員会)「内部会計統制」を公表
・内部会計統制の確立・評価の指針等を公表
AICPA 監査人の責任委員会(コーエン委員会)「財務諸
表監査の基本的枠組み」を公表
・内部統制の調査と評定を重要な監査職能と位置づけ(情報監
査から実態監査への拡充を提言)
1987
1988
不正な財務報告全米委員会(トレッドウェイ委員会)
「不正な財務報告」を公表
・内部統制に関する統合的な指針の設定を勧告
AICPA 監査基準審議会が監査基準書第 55 号「財務諸
表監査における内部統制機構の検討」を公表
FCPA の改正
・内部会計統制の維持に関する条項遵守違反には、罰金刑及び
懲役刑
1991
「連邦預金保険公社改革法(FDICIA)」を制定
・内部統制に関する報告と監査人の関与義務付け
法人等に対する刑事罰に関する「量刑基準」の制定
・違法行為の防止及び発見を行う効果的なプログラムを整備して
いる企業に対する罰金額の軽減
1992
トレッドウェイ委員会組織委員会(
COSO)「内部統制の統
合的枠組み」(4部作)を公表
・一般に認められた内部統制の文献として位置づけられている
キャドベリー委員会「コーポレート・ガバナンスの財
務的側面」及び「最善の実務の規程」を公表
・1993 年ロンドン証券取引所上場規則として当該規程の
遵守に関する記載を強制
1993
公共監視機関(POB)「公共の利益」を公表
・SEC が、経営者と監査人に対し、内部統制の有効性について
SEC に報告させるよう要求すべきと勧告
1994
1995
AICPA・監査基準審議会が監査基準書第 78 号「財務諸
表監査における内部統制の検討」(1988 年公表の基準書
第 55 号の改訂版)を公表
・AICPA・監査基準書において、正式に「COSO 報告書」の内部
キャドベリー委員会作業グループ「内部統制と財務
報告;英国上場企業の取締役のためのガイダンス」
を公表
グリーンベリー・スタディ・グループ「取締役の報酬」
を公表
統制概念を採用
1996
トレッドウェイ委員会組織委員会(
COSO)「デリバティブの
利用における内部統制問題」を公表
会計検査院(
GAO)「会計プロフェッションー主要な問題:
経緯と問題点」を公表
・FDCIA における内部統制報告書の公表とそれに対する監査
人の関与を評価
1998
ハンペル委員会「コーポレート・ガバナンス検討委
員会報告書」「統合規程」を公表
・2000 年 ロンドン証券取引所上場規則において当該規
程の遵守に関する記載を義務付け
1999
トレッドウェイ委員会組織委員会(
COSO)「不正な財務報
告:1987-1997 合衆国の公開企業の分析」を公表
イングランド・ウェールズ勅許会計士協会
(ICAEW)ターンバル委員会「内部統制;統合規程
に関する取締役のためのガイダンス」を公表
・2000 年 ロンドン証券取引所上場規則において当該規
程の遵守に関する記載を義務付け
(出所:八田進二「内部統制問題に関する各国の動向」より)
50
(資料 15)COSO レポートについて
1.COSO レポートの誕生の背景
1980 年代の米国 前半に粉飾決算が多発、会計監査人に対する不信感が増す。後半に金融危機
1985 年 6 月 会計五団体※が「不正な財務報告に関する全国委員会(通称トレッドウェイ委員会)」
を組織
※ 米国公認会計士協会、米国会計学協会、内部監査人協会、管理会計士協会、財務担当経営者協会
1987 年 10 月 報告書を公表 「トップマネジメントは、不正な財務報告を防止又は摘発すること
の重要性を認識し、財務報告に関する総合的な統制環境を確立すること」を指摘
1992 年 トレッドウェイ委員会組織委員会 (Committee of Sponsoring Organizations of the
Treadway Commission)が「内部統制の包括的フレームワーク(Internal Control Integrated Framework)」(COSO レポート)を公表
2.COSO レポートの意義
Ø
COSO レポートの公表以前は、財務報告に関する内部統制のみに焦点をあてた SAS(米国監査
基準)55 号しかなかったが、COSO レポートは対象を組織のあらゆる業務に拡大した内部統
制のガイドラインとして登場
Ø
COSO レポートは、あらゆる組織体に適用できる内部統制の一般的な基準として作成され、内
部統制を説明するためのフレームワークを確立
51
(資料16)COSOレポートの導入事例
Ø
米国金融機関への導入
・1980 年代後半に発生した金融危機において、破綻した金融機関によるずさんな財務報告が、公的資金の
投入額を莫大なものにしたとの反省から、 1991 年預金保険公社改革法 (Federal Deposit Insurance
Corporation Improvement Act ; FDICIA)が成立。金融機関経営者により年一回行われる内部管理体制の
妥当性の確認と、かかる確認プロセスを外部監査人が監査する制度を導入。COSO レポート公表後は、
一定規模以上の金融機関で、COSO レポートの考え方を採択
Ø
バーゼル銀行監督委員会(BIS)による内部管理体制フレームワークへの導入
・1995 年に大和銀行事件が発覚。これを契機に、米国銀行当局が、COSO レポートを BIS の協議の場に持
ち込み、銀行に適用する内部管理体制のフレームワーク作りに着手。1997 年に「銀行組織における内部
管理体制のフレームワーク」を策定
Ø
国内金融機関への導入
・金融監督庁(現金融庁)は、BIS の COSO レポートの考え方が導入された内部管理体制のフレームワー
クに基づき、より実務的なチェック項目を盛り込んだ「金融検査マニュアル」を 1999 年に策定。さらに、
2001 年に改訂され、内部監査及び外部監査との連携の重要性が強調された
・これに基づき策定された「金融機関の内部管理体制に対する外部監査等に関する実務指針」にも COSO
レポートの考え方を採用
Ø
米国監査基準への導入
・1995年、米国公認会計士協会は、監査基準(Statements of Auditing Standards ; SAS)55号を廃止し、
全面的にCOSOレポートの考え方を取り入れたSAS78号を新たに公表。以後、米国の監査の基準・指針は、
全てCOSOレポートの考え方を採用
Ø
国内監査基準への導入
・2002 年 1 月に公表された改訂監査基準において、COSO レポートの考え方を採用
Ø
英国の内部統制フレームワークにおける参照
・1999 年ターンバル報告書においてCOSO レポートのフレームワークを踏まえた内部統制システムを策定
Ø
カナダの内部統制フレームワークにおける参照
・1995 年、COSO レポートのフレームワークを踏まえ、CoCo レポートを策定
52
(資料 17)外部監査の実効性確保のための取組み
昨年 10 月から金融審議会公認会計士制度部会において、監査制度や試験制度に関する議論が行われている
ところ
(参考)
監査制度を巡る問題点と改革の方向 (平成 12 年 6 月 29 日 公認会計士審査会監査制度小委員会)
Ⅰ 適正・公正な監査の確保に向けて
1.独立性確保のあり方
2.同一監査人の継続的監査及び公認会計士単独による監査に係る問題について
3.監査証明業務に対する内部管理・審査及び外部審査体制のあり方
4.監査報告書の署名のあり方
5.行政による公認会計士及び監査法人の処分のあり方
6.適正な監査日数等の確保と監査報酬のあり方
7.自主規制機関としての公認会計士協会のあり方
Ⅱ 公認会計士の質の向上に向けて
1.継続的専門研修制度のあり方
2.公認会計士の登録制度のあり方
3.公認会計士協会への強制入会制度のあり方
Ⅲ 環境の変化に適合した監査法人制度及び業務範囲等のあり方
1.監査法人制度のあり方
2.業務範囲のあり方
3.広告規制のあり方
4.公認会計士法の目的規定等の要否等
53
(資料18)公認会計士試験制度のあり方に関する論点整理
(平成12年6月29日 公認会計士審査会 試験制度に関する検討小グループ)
1.基本的な考え方
(1)公認会計士数の増加の必要性及びその具体数について
・公認会計士約13,000人(会計士補約3,500人)
・監査対象法人等の量的増加、監査対象項目増加への対応
・監査以外の業務に対するニーズの拡大・多様化への対応
・ストックとしての資格取得者を現在の4倍以上必要であるとの認識のもと5年間で6,000人程度増加
(2)質の充実を図りながら、数を増加させるための方策
・試験制度の見直し
・社会人等の多様な人材が資格取得しやすい制度に
(3)質の充実について
・試験制度の見直
・受験者増加のための積極的な広告活動
・継続的専門教育
2.公認会計士試験制度のあり方
(1)第一次試験についての検討
・廃止の是非
(2)第二次試験についての検討
・試験科目等の見直し
・科目合格制の導入、短答式試験の免除措置の導入
(3)インターン制度(実務補修、業務補助又は実務従事)について
・実務従事の対象となる業務の範囲の拡大
・インターンとしての期間やカリキュラムの検討
(4)第三次試験について
・口述試験の実効性を高める
・試験科目等の検討
3.試験実施のあり方
(1)試験問題の出題内容及び範囲について
・出題範囲の明確化や試験問題の標準化
(2)答案の採点について
・答案採点の精度の維持向上
(3)合格判定基準・配点・模範解答等の公表について
・公表の方法等の十分な検討
・短答式試験の免除措置の導入
54
(資料 19)最近の SEC による財務情報のディスクロージャーに関する声明
SEC は、エンロン破綻等をはじめとした財務報告に係る不信感を解消するため、多くの施策を発表している。
2001.12.4 プロフォーマと米国会計基準に準拠しない財務情報の公表について注意喚起
Ø
SEC は、プロフォーマ(ある仮定や前提に基づく追加の情報)や修正数値等を用いて、US GAAP に
準拠しない営業成績を開示している(特に、US GAAP による数値よりよい営業成績を開示している)
事例について、かかる情報は誤解を招き易いと、投資家に対し注意を促した。
Ø
その際、プロフォーマや修正された利益を開示する場合は、最低限以下のガイダンスに沿わなければな
らないとした。
① 修正された業績は、米国会計基準による業績よりも突出したものとなってはならない
② 米国会計基準による業績をあいまいにしたり、投資家に誤解や混乱を招くような修正を用いてはならない
等
Ø
2002.1.16 には、上記を受け、SEC は、トランプ・ホテル&リゾートに対し、業績発表で誤解を招く説
明をしたことで、業務停止措置と民事の制裁金を課した。
2001.2.13 企業のディスクロージャーに関する規則の改正を発表
Ø
①
SEC は以下の事項に係る改正案を発表。係る改正は最低 6 ヶ月を要するとしている。
企業と管理職や取締役との間の取引を含む、経営陣と取締役による会社の有価証券に関する重要な取引
に関する報告
②
四半期や年次報告書などの提出期限の短縮。年次報告書の提出期限については期末日以後 60 日以内(現
行ルールでは 90 日以内)、四半期報告書については 30 日以内(現行ルールでは 45 日以内)
③
Form 8-K の提出期限の短縮(2 日間以内)。Form 8-K で開示を求める重要な事象の範囲の拡大(以下の
項目を含む)
・格付けの変更
・執行役員や取締役との会社の有価証券の取引
・債務返済の早期化や偶発債務を発生させる事象
・経営陣の退職
・重要な契約の確定
・重要な償却
・再構築又は資産価値の減損
・重要な会計方針や評価の変更 等
④
SEC へ提出した報告書の、企業自身の WEB サイトにおける同時公表
55
アンケート調査編
企業会計制度に関する国内企業調査(公開会社約 3,500 社へのアンケート調査)
1.調査の概要
国内公開会社約 3,500 社の企業会計制度及びコーポレート・ガバナンスに対する意識について調査を行っ
たもの。
2.調査対象
・国内証券取引所に上場、あるいは店頭市場に株式を公開している企業 3,523 社
・回収数(回収率) 1,026 通(29.1%)
・発送日 平成 13 年 9 月 19 日 回収〆切日 10 月 5 日
ここでは、本アンケート調査から関連する項目について取り上げる。
なお、図表における表題中の記号の意味は右のとおり MA:複数回答可 SA:単数回答
56
アンケート調査(1) 会計基準の国際化の動向について
・ 我が国の会計基準の設定・改訂に係る今後の方向性について、国際的に「統一」すべきか「調
和」すべきかをたずねたところ、60.1%の企業が、会計基準の「国際的調和」を、21.2%の企
業が「国際的統一」を支持した。
・一方、「調和も統合も必要ない」とするのは 14.3%にとどまる。
・ これに関し、自由回答欄には、
「欧米流の会計基準を無批判に受け入れるのでなく、日本企業
の実態を踏まえた会計基準の設定が必要」「国際会計基準の設定に、日本の考えをより反映す
ることが必要」といった意見が多くあった。
質問 資金調達のグローバル化、地球規模での資本市場の統合、国際的に投資機会を求めている投資家の
対応等により、会計基準の国際的な統一(完全に同一の基準にすること)又は調和(国際的な基準
に準拠するが、基準の詳細は各国の状況を考慮し修正すること)の必要性が高まっているといわれ
ていますが、貴社ではこのような会計基準の国際化の動向について、どのようにお考えですか(最
も当てはまるもの1つに○)。(N=1,026)
1.どちらかというと会計基準を国際的に統一すべきである
21.2%
2.どちらかというと会計基準を国際的に調和すべきである
60.1%
3.会計基準の国際的な統合や調和の必要性は感じていない
4.その他(具体的に: )
14.3%
1.0%
図表 会計基準の国際化の動向について(SA)
1.0
n=1,026
21.2
0%
10%
60.1
20%
30%
40%
50%
14.3
60%
70%
80%
どちらかというと会計基準を国際的に統一すべきである
どちらかというと会計基準を国際的に調和すべきである
会計基準の国際的な統合や調和の必要性は感じていない
その他
無回答
57
90%
3.3
100%
アンケート調査(2) 会計基準の設定・改訂の動向について
・ 「会計ビッグバン」といわれる一連の会計基準の設定 ・改訂についてたずねたところ(複数
回答あり)
、54.5%の企業が「適正な財務情報開示に資するものである」とした。一方で、
「改
正のペースが速い」
(38.8%)、
「企業の事業活動の実態に合わない改正が多い」
(21.1%)
とす
る意見もみられた。
・ 「その他」
(7.5%)では、改正内容や方法に対する批判がある一方、国際会計基準や米国会計
基準に早期に近づける必要性を感じているという意見もみられた。
質問 日本の現行の会計基準については様々な議論・検討がなされ、改正も順次進められており
ます。貴社では現行の会計基準の改正について、どのようにお考えになりますか (該当
するもの全てに○)
。
(N=1,026)
1.適正な財務情報開示に資するものである 54.5%
2.企業の事業活動の実態に合わない改正が多い 21.1%
3.改正のペースが速い 38.8%
4.その他(具体的に: )
7.5%
図表 会計基準の改正について(MA)
n=1,026
適正な財務情報開示に資する
ものである 54.5
企業の事業活動の実態に合わ
ない改正が多い 21.1
38.8
改正のペースが速い
7.5
その他
無回答
2.2
0%
10%
20%
58
30%
40%
50%
60%
アンケート調査(3) 商法開示と証券取引法開示の一元化について
・ 商法開示と証券取引法開示の一元化の方向性についてたずねたところ、38.3%の企業が「有価
証券報告書の提出の際には、計算書類を添付あるいは転記する」とし、32.7%の企業が「株主
への計算書類の送付の際には、有価証券報告書の送付をもって替える」とする等、基本的に
一元化を望む声が多い。
・ 一方で、16.3%の企業が「一元化する必要ない」とした。
・ 「その他」を選択した企業(2.8%)に対して、その内容についてたずねたところ、
「開示の一
元化は望ましいが、商法作成スケジュールの制約の改善が必要」という意見があった。
質問 「会計のトライアングル体制」に関連して、
「計算書類」と「証券取引法に基づく有価証
券報告書」との一元化を図る という議論がありますが、貴社ではこれに関して、どのよう
にお考えますか(最も当てはまるもの 1 つに○)
。
(N=1,026)
1. 計算書類と有価証券報告書の記載内容は異なるので、一元化する必要はない 16.3%
2. 類似する書類を二度作成することになるので、有価証券報告書の提出の際には、商法に基づく計算
書類との重複事項を省略した上で、計算書類を添付あるいは転記する 38.3%
3. 類似する書類を二度作成することになるので、株主への計算書類の送付の際には、有価証券報告書
の送付をもって替える 32.7%
4. わからない 7.1%
5. その他(具体的に: )
2.8%
図表 「計算書類」と「有価証券報告書」の一元化について (SA)
2.8
n=1,026
16.3
0%
10%
38.3
20%
30%
32.7
40%
50%
60%
70%
7.1
80%
90%
2.7
100%
計算書類と有価証券報告書の記載内容は異なるので、一元化する必要はない
類似する書類を二度作成することになるので、有価証券報告書の提出の際には、商法に
基づく計算書類との重複事項を省略した上で、計算書類を添付あるいは転記する 類似する書類を二度作成することになるので、株主への計算書類の送付の際には、有価
証券報告書の送付をもって替える
わからない
その他
無回答
59
・ 今通常国会提出の商法改正案において、連結計算書類の導入が示されていることに関し、今
後、営業報告書等について、連結情報と個別情報のどちらを主体とすべきかの質問に対して
は、49.8%の企業が 「従来通り個別情報を中心」とすべきとした一方、 39.8%の企業は「連
結情報中心に再編」すべきとした。
質問 「会計のトライアングル体制」に関連して、本年 4 月に公表された「商法等の一部を改
正する法律案要綱中間試案」(以下、
「中間試案」という)では、株主に送付している計算
書類に、連結貸借対照表、連結損益計算書(以下、
「連結貸借対照表等」という)の導入が
提案されています。これに関して、貴社ではこれらの連結貸借対照表等を導入した場合の、
現在の計算書類の構成をどのようにすべきだとお考えですか(最も当てはまるもの 1 つに
○)
。
(N=1,026)
1.計算書類は従来どおり個別情報を中心とし、計算書類を構成する営業報告書の一部である
「企業結合の状況」の欄に連結の概況及び連結貸借対照表等を記載する 49.8%
2.計算書類を連結情報中心に再編し、営業報告書には連結情報を中心に記載し、連結貸借対
照表等を計算書類の構成要素として位置づける
39.8%
3.その他(具体的に: )
5.5%
図表 連結貸借対照表等を導入した場合の計算書類の構成(SA)
n=1,026
49.8
0%
10%
20%
39.8
30%
40%
50%
60%
70%
5.5
80%
90%
5.0
100%
計算書類は従来どおり個別情報を中心とし、計算書類を構成する営業報告書の一部で
ある「企業結合の状況」の欄に、連結の概況及び連結貸借対照表等を記載する 計算書類を連結情報中心に再編し、営業報告書には連結情報を中心に記載し、連結貸
借対照表等を 計算書類の構成要素として位置付ける その他
無回答
60
アンケート調査(4) 確定決算主義について
・ 確定決算主義について適正な財務情報の開示の観点からの弊害について質問したところ、
30.9%の企業が「弊害がある」と回答する一方、61.1%の企業が「弊害なし」と回答。
・ 「弊害がある」とした企業( 317 社)に、その内容についてたずねたところ、税法による逆
基準性の問題や事務手続きの煩雑さを指摘する意見がみられた。
質問 我が国固有の事象として、いわゆる「会計のトライアングル体制」があります。これは、
我が国の商法、法人税法、証券取引法が影響し合い、企業の会計監査をする上で様々な
影響を及ぼしている状況を指します。この 「会計のトライアングル体制」を構築するも
のとして、確定決算主義があるといわれておりますが、 これに関し財務情報の適正開示
という観点からの弊害はありますか(最も当てはまるもの 1 つに○)
。
(N=1,026)
1.弊害がある
30.9%
2.弊害はない
61.1%
3.その他(具体的に: ) 2.2%
図表 確定決算主義に関し財務情報の適正開示という観点からの弊害(SA)
2.2
n=1,026
30.9
0%
10%
61.1
20%
3
40%
弊害がある
50%
弊害はない
61
60%
その他
5.8
70%
無回答
80%
90%
100%
・ 確 定 決 算 主 義 に 関 す る 今 後 の 方 向 性 に つ い て た ず ね た と こ ろ 、「 現 状 の ま ま で よ い 」
(43.6%)が最も多く、次いで 「証券取引法適用会社については、確定決算主義を維持する
ものの、損金経理要件を廃止し、その項目については申告調整できるものとする」
(24.7%)
、
「証券取引法適用会社については、確定決算主義を放棄し、商法会計と税務会計を切り離す」
(21.0%)の順となった。
質問 貴社では、確定決算主義に関する今後の方向性として、下記のいずれが望ましいとお考え
ですか(最も当てはまるもの 1 つに○)
。
(N=1,026)
1. 現状のままでよい 43.6%
2. 証券取引法適用会社については、確定決算主義を放棄し商法会計と税務会計
を切り離す 21.0%
3. 証券取引法適用会社については、確定決算主義を維持するものの、損金経理
要件を廃止し、その項目については申告調整できるものとする 24.7%
4.その他(具体的に: ) 3.7%
図表 確定決算主義に関する今後の方向性(SA)
n=1,026
43.6
0%
10%
20%
21.0
30%
40%
50%
24.7
60%
70%
80%
3.7
90%
7.1
100%
現状のままでよい
証券取引法適用会社については、確定決算主義を放棄し、商法会計と税務会計を切り
離す
証券取引法適用会社については、確定決算主義を維持するものの、損金経理要件を廃
止し、その項目については申告調整できるものとする
その他
無回答
62
アンケート調査(5) 今後採用したい会計基準について
・ 日本の資本市場で、今後自由に会計基準を選択できるとした場合、今後採用したい会計基準
をたずねたところ、55.9%の企業が「日本基準のままでよい」とし、5.6% の企業が「米国基
準」
、30.9%の企業が「国際会計基準」の採用を希望すると回答。
・ 特に、資本金が 1,001 億円以上の大企業については、28.8%の企業が「米国基準」、30.8%の
企業が「国際会計基準」の採用を希望すると回答。
質問 貴社が今後、日本の資本市場において、連結財務諸表に関して、自由に会計基準を選択で
きるとすれば、他のどの会計基準を選択したいとお考えですか(最も当てはまるもの1つ
に○)
。
(N=1,026)
1.米国の会計基準
2.国際会計基準
3.現状のままでよい
4.その他(具体的に: )
5.6%
30.9%
55.9%
2.3%
図表 今後、採用を希望する会計基準について(SA)
2.3
n=1,026
5.6
0%
30.9
10%
55.9
20%
30%
米国の会計基準
40%
50%
国際会計基準
60%
5.3
70%
現状のままでよい
80%
90%
100%
その他
無回答
図表 今後、採用を希望する会計基準について(資本金規模別)
0%
1∼20億円
n=345
21∼40億円
n=167
10%
20%
4.1
1.8
30%
40%
34.8
50%
60%
70%
80%
90%
51.3
32.9
100%
2.6 7.2
2.4
58.1
4.8
1.4
41∼60億円
n=72
6.9
61∼80億円
n=63
1.6
81∼100億円
n=49
2.0
30.6
58.3
28.6
2.8
1.6
68.3
22.4
71.4
4.1
0.8
101∼200億円
201∼400億円
n=123
4.9
n=85 5.9
401∼1,000億円 n=65
29.3
58.5
27.1
60.0
10.8
21.5
6.5
3.5
55.4
4.6
3.5
7.7
1.9
1,001億円以上
n=52
28.8
米国の会計基準
30.8
国際会計基準
63
1.9
36.5
現状のままでよい
その他
無回答
アンケート調査(6) 内部統制への関心度について
・ 内部統制に対する関心度についてたずねたところ、回答企業の 58.2%が「多少関心を持って
いる」と回答しており、
「大いに関心を持っている」の 23.0%とあわせると、実に 8 割の企業
が関心を持っている。
・ 一方で、「あまり関心を持っていない」が 13.9%、
「関心を持っていない」が 1.8%と、16%
の企業が内部統制に対して関心を持っていないと回答。
・ 企業規模別にみると、資本金 1,001 億円以上の企業で、内部統制に「大いに関心を持ってい
る」が 67.3%に上り、資本金 1,000 億円以下の企業に比べて著しく高くなっている。
質問 最近の内部統制を巡る議論に対する貴社の関心度 は、下記のいずれに該当しますか(最も
当てはまるもの1つに○)
。
(N=1,026)
1.大いに関心を持っている
3.あまり関心を持っていない
5.その他(具体的に:
)
23.0%
13.9%
0.3%
2.多少関心を持っている
4.関心がない
58.2%
1.8%
図表 内部統制への関心度(SA)
0.3
23.0
n=1,026
0%
10%
58.2
20%
30%
大いに関心を持っている
関心がない
40%
13.9
50%
60%
70%
多少関心を持っている
わからない
80%
1.8
90%
2.8
100%
あまり関心を持っていない
無回答
図表 内部統制への関心度(資本金規模別)
0%
1∼20億円
n=345
10%
20%
30%
40%
16.2
50%
60%
70%
58.6
80%
90%
18.6
100%
3.8
2.9
0.6 1.2
21∼40億円
n=167
41∼60億円
n=72
61∼80億円
n=63
15.6
59.3
19.4
19.2
61.1
17.5
4.2
18.1
68.3
1.4
9.5
4.8
2.0
81∼100億円
n=49
26.5
59.2
12.2
101∼200億円
n=123
24.4
62.6
9.8
0.8
2.4
1.21.2
201∼400億円
n=85
401∼1,000億円 n=65
30.6
58.8
38.5
5.9
55.4
2.4
4.6
1.5
1.9
1,001億円以上
n=52
大いに関心を持っている
関心がない
67.3
多少関心を持っている
わからない
64
28.8
あまり関心を持っていない
無回答
1.9
アンケート調査(7) 内部監査部門等の現状について
・ 内部統制制度の整備・運用状況を監査するための組織(以下、
「内部監査部門等」
)について
は、
回答企業の約 7 割が設置しており、
企業組織上は、
「社長等の経営者直轄の組織」
(45.0%)
あるいは「独立した監査専門の組織(部・課・室等)
」
(44.1%)として位置付けられている。
質問 貴社では、内部統制制度の整備・運用状況を監査するための組織(以下、「内部監査部門
等」
)がございますか(最も当てはまるもの1つに○)
。
(N=1,026 )
69.6%
28.6%
1.ある
2.ない 図表Ⅱ−3−31 内部監査部門の有無(SA)
n=1,026
69.6
0%
10%
20%
30%
28.6
40%
ある
50%
60%
ない
無回答
70%
80%
1.9
90%
100%
質問 【内部監査部門等が「ある」を選んだ方のみお答え下さい】貴社において内部監査部門等
は、企業組織上どのような位置付け にございますか(最も当てはまるもの1つに○)。
(N=714)
1.社長等の経営者直轄の組織
45.0%
2.監査役の下部組織
6.2%
3.独立した監査専門の組織(部・課・室等)
44.1%
4.法的に独立した監査専門の子会社
0.0%
5.その他(具体的に: ) 3.4%
図表Ⅱ−3−32 内部監査部門の企業組織上の位置付け(SA)
n=714
45.0
0%
10%
20%
6.2
30%
40%
44.1
50%
社長等の経営者直轄の組織
独立した監査専門の組織(部・課・室等)
その他
65
60%
70%
3.4
80%
監査役の下部組織
法的に独立した監査専門の子会社
無回答
90%
1.4
100%
・ 人員構成については、回答企業 714 社の平均で、専任が 3.3 人、兼任が 0.7 人となっている。
質問 【内部監査部門等が「ある」を選んだ方のみお答え下さい】貴社における内部監査部門等
の体制について、お教え下さい。
(N=714)
平均 3.7 )人 兼任( 専任(
平均 0.8 )人
図表Ⅱ−3−33 内部監査部門の人員(専任)
(FA)
2.7 2.0 1.7 0.6 1.3 0.3
平均 3.3
n=714
13.7
0%
31.7
10%
0人
7人
20%
1人
8人
14.1
30%
40%
2人
9人
50%
3人
10人
7.8
5.0
60%
70%
4人
11∼50人
2.8
6.3
80%
5人
51∼100人
10.1
90%
100%
6人
無回答
図表Ⅱ−3−34 内部監査部門の人員(兼任)
(FA)
2.4 2.0 0.8 1.3 0.4 0.3
平均 0.7
n=714
63.0
0%
10%
0人
1人
20%
2人
30%
3人
40%
4人
5人
50%
6∼10人
66
60%
14.4
5.3
70%
80%
11∼25人
26∼50人
10.1
90%
無回答
100%
アンケート調査(8) COSO レポートの認知度について
・ COSO レポートの認知状況について質問したところ、全体では 64.8%の企業が「聞いたこと
がない」とし、「聞いたことがあり、読んだことがある」と回答した企業は 4.1%に過ぎなか
った。ただし、読んだことのあるもののみを対象とした質問において、78.6%の企業が「日本
版 COSO レポートが必要である」と回答。
質問 1992 年に米国で公表された、内部統制の統合的な枠組みを示したトレッドウェイ委員会
組織委員会の報告書(いわゆる COSO レポート)を御存知ですか(最も当てはまるもの
1つに○)
。
(N=1,026)
4.1%
28.7%
64.8%
1.聞いたことがあり、読んだことがある
2.聞いたことはあるが、読んだことはない 3.聞いたことがない 図表 COSO レポートの認知度(SA)
n=1,026 4.1
0%
28.7
10%
20%
64.8
30%
40%
50%
聞いたことがあり、読んだことがある
聞いたことがない
60%
2.4
70%
80%
90%
100%
聞いたことはあるが、読んだことはない
無回答
質問 【前問で「1.」を選んだ方のみお答えください】我が国でも内部統制の統合的な枠組み
を示す日本版 COSO レポートが必要だと思いますか(最も当てはまるもの1つに○)。
(N=42)
1.必要だと思う
78.6%
2.必要ないと思う
19.0%
3.その他(具体的: )
0.0%
図表 日本版 COSO レポートの必要性(SA)
n=42
78.6
0%
10%
20%
30%
必要だと思う
40%
19.0
50%
必要ないと思う
67
60%
70%
その他
80%
無回答
90%
2.4
100%
企業経営と財務報告に関する研究会 委員名簿
(座 長) 伊藤 邦雄 一橋大学商学部 教授
(座長代理) 八田 進二 青山学院大学経営学部 教授
(委 員) 井上 巖 花王株式会社 取締役会計財務部門統括
大和田 等 株式会社アドバンテスト 常務取締役
斉藤 隆文 住友電気工業株式会社 経理部長
西條 嘉洋 フィデリティ投信株式会社 機関投資家営業部次長
関 孝哉 株式会社日本投資環境研究所 首席研究員
杉本 文秀 長島・大野・常松法律事務所 弁護士
黒沼 悦郎 神戸大学法学部 教授
徳住 祥蔵 新日本製鐵株式会社 顧問
別府 正之助 伊藤忠商事株式会社 常勤監査役 米国公認会計士
公認内部監査人
野村 嘉浩 野村證券金融研究所 企業調査部 アナリスト
弥永 真生 筑波大学ビジネス科学研究科企業科学専攻 教授
山田 治彦 朝日監査法人社員 公認会計士 日本公認会計士協会理事
横山 明 横山会計事務所 公認会計士 税理士
頼廣 圭祐 KPMG LLP パートナー 公認会計士 米国公認会計士
渡辺 茂 野村総合研究所 上席研究員
(オブザーバ)下村 昌作 東京証券取引所 上場部上場会社サポート室 課長
白畑 尚志 中央青山監査法人社員 公認会計士
中原 裕彦 法務省民事局参事官室 局付
藤沼 亜起 新日本監査法人代表社員 国際会計士連盟会長 公認会計士
町田 祥弘 東京経済大学経営学部 助教授
(幹 事) 加賀谷 哲之 一橋大学商学部 専任講師
(敬称略、五十音順)
(事
務
局)伊藤 元 経済産業省経済産業政策局企業行動課長
持永 哲志 経済産業省経済産業政策局参事官
戸井 朗人 経済産業省経済産業政策局企業行動課企画官
和久 友子 経済産業省経済産業政策局企業行動課長補佐
永井 岳彦 経済産業省経済産業政策局企業行動課企画係長
因 志津子 経済産業省経済産業政策局産業人材政策室付
70
議事概要編
72
第1回 企業経営と財務報告に関する研究会 議事概要
日 時 : 平成 13 年 10 月 25 日(木)17 時∼19 時
場 所 : 経済産業省国際会議室
<議事次第>
1.桑田経済産業政策局審議官挨拶
2.研究会趣旨説明
3.委員及びオブザーバー紹介
4.第1回検討資料説明
5.欧米の財務報告に対する取組み紹介
八田委員によるプレゼンテーション「財務報告等の改善をめぐる主要国の動向−
内部統制(コーポレート・ガバナンス)問題を中心に−」
関委員によるプレゼンテーション「英国コーポレート・ガバナンスの展開」
6.討議
−以下、概要−
・我が国は、欧米に比べ、公認会計士の独立性を担保する制度的枠組みが弱すぎるのでは
ないか。仮に我が国の監査制度に信頼が置かれていないとすれば、これが1つの要因で
はないか。
・我が国の経営及び財務報告を取り巻く構造的な問題に対し、産業界、学会、会計士も含
めた専門職業としての実務界が、三位一体となって取り組んでいかなければならないの
ではないか。
・諸外国では、連結決算、単独決算で当期純利益、利益剰余金の数字が1つしかないが、
我が国では、単独決算で関連会社に対し持分法を適用していないため2つの数字があり、
また、税の逆基準性の問題も存在し、それが容認されている。こういう制度的な問題点
が解消されないままで、経営者の会計に対する理解が足りないといえるのか。
・日本における一般に公正妥当と認められる会計基準は、トライアングル体制により、複
数の会計基準を選択できる余地があり、日本の会計基準を複雑なものとしている、ある
いは、会計処理に裁量を与える結果となり、財務報告の信頼性に疑念を生じさせている
のではないか。
・投資家にとって有用な情報であるプロフォーマ情報の開示を認められないのはおかしい
のではないか。
(以 上)
74
第2回 企業経営と財務報告に関する研究会 議事概要
日 時:平成 13 年 11 月 13 日(火)10 時∼12 時
場 所:経済産業省本館7階西1共用会議室
<議事次第>
1.第2回検討資料説明
2.討議
−以下、概要−
○財務報告の作成のタイミングについて
・速報性を持つ決算短信と詳細を記載する有価証券報告書の間にある株主総会招集通知添
付書類(計算書類)は、作成事務量の観点から有報との一元化が望ましいが、日程的に
有報と同様の内容のものを作成するのは困難。
・監査の観点からみると商法と有報で別々の監査をしているわけではないので、一元化は
望ましい方向。
・作成スケジュールの点では、海外連結子会社をタイムリーに連結するのは難しく、また
決算期のズレの調整も難しい。また、有報に開示事項を一元化するのであれば、子会社
や関連会社の定義も一致させなければいけない。
・商法上に、開示の観点から支配力基準を入れることについては問題ない。これを商法上
の開示以外の部分に適用することとは別問題と考えるべき。
○記載内容について
・利用者からみると、財務報告の充実は、株主価値の向上にはつながらないものの適正価
値の評価には重要。現在の計算書類は、株主総会との関係もあり、あまり踏み込んで書
かれていないところもある。
・計算書類には、受託者責任の解除の観点から経営者の立てた目標に対する業績等、経営
者の定性的評価が入るべき。
・現在の財務報告に足りないのは「どのように株主価値を上げようとするのかという経営
者のポリシー」であり、その部分には免責条項等を入れ、法定化するのが望ましいので
はないか。
・株主からの受託責任の解除という観点から、配当の決定等のプロセスが明確にされてい
れば、必ずしも開示が全てではないとも考えられる。
○計算書類の記載方法に自由度を持たせることについて
・ライバルが国内のみの企業と、海外メーカーをライバルとする企業では求められている
ものが違う。少なくとも財務報告の早期化や記載内容の充実をしようとしている企業に
法律でブレーキをかけることは避けるべき。
75
・あまり自由度を持たせると投資家からは良い会社、悪い会社と色眼鏡でみられるという
弊害も考慮すべき。
・近年は、情報開示においても競争が始まり、悪い会社には市場からペナルティーがかか
るようになってきた。十分な情報開示をしている会社の方が株価の乱高下は少ない。
・有報の記載は自由度がない。例えば、四半期情報は書かないように指導されたり、研究
開発費の項目を詳しく書いたところ、有報は「宣伝の場」ではないといわれたことがあ
る。
・「配当方針」は、当初は、決算短信に任意で記載させていたが、有報記載事項になった。
しかし、法定開示事項となったとたん、記載が定型的になってしまった。このような法
律化の弊害も理解すべき。
○附属明細書について
・機関投資家としては、必要なことは直接聞いてしまうので、附属明細書はあまり使って
いないのが現状ではあるが、ポリシーの見える部分は必要。
・関係会社との取引や取締役等との内部取引等投資家と利害関係人との間に利益相反が生
じる取引は重要であり、附属明細書を廃止するというなら、必要な部分は営業報告書に
載せるべき。
○その他
・昭和 51 年時点で米国基準で連結書類を作成した企業は、特例として米国基準で連結書類
を作成し、有報に掲載できることになっている。一方、その後 NYSE に上場した企業は、
米国基準と日本基準の両方を作成しなければならず手間であるとともに、海外投資家も
混乱させてしまう。米国基準で作っている企業もこの特例を認められないものか。
・米国では、Form6-K により、日本で公表した書類は、全てサマリーを作成し SEC に提出
する制度となっている。しかも、Form6-K 改訂の公開草案では、サマリーではなく、全
文の英訳を要求するという内容となっている。その場合には、SEC に US 基準と日本基
準の2種類の書類が提出されることになり、作成者側に過大な事務コストがかかるのみ
ならず、利用者側にも混乱を与えることとなる。
(以 上)
76
第3回 企業経営と財務報告に関する研究会 議事概要
日 時:平成 13 年 12 月 13 日(木)10 時∼12 時
場 所:経済産業省本館 2 階西 8 共用会議室
<議事次第>
1.第2回議事概要の確認
2.第3回資料説明
3.頼広委員によるプレゼンテーション「財務諸表以外の手段により経営及び財務状況
に関して報告される財務情報の検討」
4.大和田委員によるプレゼンテーション「NYSE 上場の際の体験談」
5.討議
6.タワーズペリン東京支店長 阿部直彦氏によるプレゼンテーション「欧米における
経営者報酬開示の動向」
−以下、概要−
○商法開示と証券取引法開示の一元化について
・退職給付や税効果の注記作成の作業が大変で、スケジュール的に厳しい。
・一元化という以上、表示の簡略化はすべきではない。
・利用者の立場に立てば、2期比較や構成比は必要。
・今のような経済状況が良くない時期には、借入金明細書(メインバンク情報)は残して
おく方がいいのではないか。
・支配株主や取締役等と取引の開示は、議決権行使や受託責任解除の観点のみならず、そ
れを開示することにより会社の健全性を確保する観点からも記載が必要。
・米英では、財務報告について基準に従っただけでは十分ではなく、「真実かつ公正な概
観」を与えなければならないという規定がある一方、日本では、株主総会での説明義務
の範囲は、裁判の際に認められるかは別として、附属明細書までとする考えもあり、附
属明細書を残し、広く網をかけておくことが必要。
○株主総会の開催時期について
・必要な情報を株主に提供した上で株主総会を開くには、3 か月以内の総会開催を見直すこ
とも考えられるのではないか。
・商法上、株主総会で権利行使をする株主を決定する基準日は、必ずしも期末にする必要
がなく、3 か月以内に総会を開くかどうかは企業側の運用の問題ではないか。
・税の申告が決算日以降原則2か月、延長して 3 か月であり、総会の開催にも影響してい
ると考えられ、ここにもトライアングル関係の弊害が出ているのではないか。
77
○財務報告のグランドデザインについて
・商法、証券取引法について、会計基準、監査も事実上一元化の方向に向かっており、開
示についても、証券取引法適用会社について、そもそも何を開示すべきかを決めた上で、
その他の会社については、必要に応じ省略できることとすべきではないか。
・商法開示を主とし、株主に必要な開示をした上で、証券取引法ではそのエグゼクティブ・
サマリーを提出することにし、さらに情報を得たい投資家は、備置の書類をみに行くと
いう考えはないか。
・議決権行使に必要な情報は、かなり狭い範囲であり、有報並の情報は必ずしも必要でな
く、株主への報告について、短信+議決権に必要な事項で十分ではないか。
・年次で詳細な情報を出すことも必要であるが、タイムリーな情報提供も考慮すべきでは
ないか。
・英国では、作成責任が取締役であることが明示されているが、日本は実務上作成責任者
が明確ではないのではないか。
○MD&A、リスク開示、報酬開示等
・これらの事項は、グローバル・スタンダードであり、マーケットの要請としても必要。
・役員の個別報酬開示は、ガバナンスを働かせる上で重要。範囲を考えるとき、福利厚生
等どこまでを対象とするかも論点となる。
・MD&Aの記載については、法令の問題ではない。①オーナーシップの持分が高く、②
資金需要が高いところほど IR には熱心であり、現在は銀行の貸し渋り等の問題もあり、
ボトム・アップが図られてきていると思う。
・一層の開示を進めるには、企業別の上位何名までの報酬を開示しているかや、社外取締
役を何人採用しているかの情報を WEB 等で開示し、それが業績と連動しているかの分析
が出てくるようになれば、インセンティブが働くのではないか。
・リスク情報については、注記では一般の人にはわかりにくい。
・日本で証券を専門する弁護士は20名程度しかいないが、社会のニーズがあれば、増え
ていくのではないか。
・企業は、発行時の開示には力をいれる一方、継続開示を軽視する傾向があるのではない
か。
(以 上)
78
第4回 企業経営と財務報告に関する研究会 議事概要
日 時:平成 14 年 1 月 24 日(木)10 時∼12 時
場 所:経済産業省本館 2 階西 8 共用会議室
<議事次第>
1.在日米国商工会議所 スナイダー弁護士によるプレゼンテーション「財務報告の信
頼性について:課題 ①監督機関の設置、②経営者の責任、③外部監査人の責任、
④数値情報以外の情報の開示、⑤会計基準の運用の厳格化」
2.第4回資料説明「記述情報に関する方向性について」
3.討議
4.第4回資料説明「財務報告の信頼性を向上させるためには何をすべきか」
5.斉藤委員によるプレゼンテーション「レジェンド・クローズへの対応について」
−以下、概要−
○記述情報(MD&A、リスク情報、役員の個別報酬開示)の充実について
<総論>
・日本においても、決算後のアナリスト等への説明会での資料は、分かりやすく充実して
いると思うが、その情報の中には、公にはオープンにされていないものもある。米国で
もかつては日本と同様であったが、レギュレーション FD により、アナリスト等への不公
平な情報提供が禁止されるようになったことから、企業は、決算説明会での個人投資家
の電話による参加を呼びかけたり、HP 上で公開する等、公平な扱いをするようになった。
重要なのは一般投資家が情報にアクセスできるかどうか。
・開示の自主的取組みを促進するには、公的強制力(米国 SEC のような監督機関の設置)
と私的強制力(民事的制裁)が必要。後者については、米国ではクラス・アクションが
あるが、米国でも賛否両論があり、日本への導入は、監督機関の設置より難しいのでは
ないか。
・アナリストや東京証券取引所では、IR の優秀な企業の表彰をやっているが、こういうも
のを企業のトップは大変気にする。情報開示については、もはや単なる IR から経営問題
に変わりつつある。
・開示を充実させるという視点では、日米における投資家の成熟度の違いは大きいのでは
ないか。いくら良いものを出しても評価される環境がまだない。しかし、マイカル債や
エンロン破綻による MMF の原価割れにより、個人投資家の意識も変わりつつある。
・個人投資家の育成には、税制等経済的インセンティブがないと進まない。
・機関投資家にとっては、企業の開示の不透明な部分(短期での見通しの修正、引当金不
足等)は、投資機会でもある。
79
<役員個別報酬開示>
・前回の研究会では、開示すべきとの意見があったが、反対である。現状のサラリーマン
重役の報酬では、米国と比べあまりに安すぎるので公開するのは躊躇するし、また、そ
れについての開示が、現在求められているかというとそうでもないと思う。このような
我が国の状況で開示を義務付けすることには疑問。
○財務報告の信頼性向上への取組みについて
<レジェンド問題>
・レジェンドが付されたことによる経済的デメリットはなかった。機関投資家は既に客観
的に評価し、織り込んでいたのではないか。しかし、レジェンドの削除の過程で、米国
式リスク・アプローチでの監査を受けたことにより、従業員のリスクに係る意識は高ま
った。
・我が国でも10年前から監査はリスク・アプローチになっている。我が国でレジェンド
がついた理由は、ゴーイング・コンサーンに関する基準がなかったため、企業が突然倒
産するなど、訴訟リスクがあったこと。レジェンドはビッグ 5 の訴訟リスク回避のため
であり、米国式の監査の導入でレジェンドが削除されたということは、そのリスクが回
避されたということ。今回の監査基準の改訂は、ゴーイング・コンサーンの採用が目玉
になっている。
・IPO に携わっていると、同じ基準で同じ監査をやっていても、英文の監査報告書では、
和文の監査報告書で付かないような notes が付いているケースがあるが、これは日本と
米国の監査の水準が違うということではないか。
・日米では負っているリスクが違う、米国ではリスクを高めている、その結果、例えば、
経営者側では、内部統制や外部監査や開示にお金をかけるということになるし、監査法
人側では、訴訟リスクを避けるため、監査報告書も異なる記載となるのではないか。
・日本の企業がアニュアル・レポートの財務諸表を作成する際、日本基準に米国基準との
差異を記載するだけでなく、米国基準で作成されていれば、海外のライバル企業と容易
に比較することができ、投資対象としての評価が上がると思う。
・現在、特例が認められている 20 数社のみ、連結財務諸表を米国基準で作成することが認
められている。これを他の企業にも認めて欲しい。
<内部統制>
・内部統制を構築すると犯罪が減るかのようにいわれているが、米国の例をみても、実際
は犯罪がなくなるわけではない。米国企業の内部統制に対する意識が高いのは、内部統
制を整備することで経営者が免責を主張したいということが大きいのではないか。
・我が国では、内部統制の意識が低い企業がある。例えば、大手企業にも独立した内部監
査部門がない場合がある。彼らは部門を置かなくても統制環境を維持できる仕組みを構
80
築しているというが、外からみた場合の印象では、その信頼性に疑問がある。
・投資の観点からみると、内部統制に対する意識が高い企業の方が魅力的である。
・内部監査部門については、上場基準で新規上場の際には設置が要求されるにも関わらず、
途中で、コストの関係か廃止してしまう企業や、もともと要求されていない老舗企業が
容認されている。上場基準で要求しているのなら、それを守れなくなった場合には上場
廃止させるべき。それができないのであれば、せめて、自主規制機関が継続的にその状
況を把握し、公表すべきではないか。
・内部統制のベスト・プラクティスを作るのは意味があると思うが、具体的にそれをどう
構築するかは企業の自主性に任せるべきで、画一的に義務付けることは疑問。
○その他
・不良債権と資産の減損会計等、基準の運用に裁量があると思われる。
(以 上)
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第5回 企業経営と財務報告に関する研究会 議事概要
日 時:平成 14 年 2 月 21 日(木)17 時∼19 時
場 所:経済産業省本館 17 階第 1 共用会議室
<議事次第>
1.報告書骨子(案)について
2.財務報告の信頼性を向上させるための取組みについて
3.白畑オブザーバーによるプレゼンテーション「COSO フレームワーク」
−以下、概要−
○財務報告の信頼性を高めるための取組みについて
<内部統制構築のインセンティブ>
・経営者がリスクを計量的に把握し、それをきちんと説明できるかは、投資判断の際の大
きな要素。米国では、SEC 等によるパブリック・エンフォースメントとともに、大手の
投資家による投資の際の調査等、水面下のやり取りが内部統制の構築を促した側面があ
る。さらには、開示されているという緊張感が企業のガバナンスを向上させる。
・米国では、経営者が不祥事を起こした際の免責要件として内部統制の整備が進んできた。
マネジメント・レポートは誰でも書ける。問題は経営者が本気でやろうとしているかど
うかであり、やらないと経営者の責任になることを明確にしないと進まないのではない
か。
・これまでの日本の経営においては、終身雇用制度であり、従業員が会社に不利益を与え
ることは自らにとってもデメリットとなるため、統制が不要であった。また、株式の持
合により、株価を意識することなく経営をしてきたので、経営者が経営に無理をしてこ
なかったという側面もある。一方、最近はこのモデルが壊れ、内部告発も増えてきてい
る。
・内部監査部門がない企業だからといって内部統制への意識が低いというわけではない。
最初は内部監査部門があった。途中で内部監査部門がなくなったのは、これまでの経営
環境ではコストとベネフィットの関係から必要ないと判断したからである。今後雇用環
境の変化等により、これを見直していく必要があるのだろう。
・日本では量刑ガイドラインがなく、内部統制の構築のインセンティブが働かないため、
その状況の開示の義務付けも必要と考える。
<内部統制の開示等>
・経営者に財務諸表の作成責任を認識してもらうには、「経営者確認書」の開示が必要。一
方、ナスダック上場企業等の新興企業では、発展段階であり、利益が出てからでないと
お金がかかる内部統制の構築は難しい。内部統制といっても企業の大きさを考慮した制
度にしないと、経済活性化を阻害するなどかえって弊害になる可能性がある。
82
・米国では、内部統制の構築状況に関する開示の慣行ができるまで 20 年かかった。当初、
開示の義務付けに関しては、内部統制の構築がなされていないような状況で、それをそ
のまま書くと、海外不正支払防止法違反であることを宣言するのと同じになってしまう
というような議論があった。それが、量刑ガイドラインが整備され、責任の範囲も会計
や法令遵守等でおさえられるところに限定したことで、このような仕組みができた。こ
こまでしないと実務的に無理。
・「経営者確認書」を開示することは意味がない。これは、平成3年の導入時に企業と監査
人とのやり取りを文書化しようとした際の妥協の産物であり、また先般行われた監査基
準の改訂の際に「経営者報告書」という考え方はなくなり、明確に監査手続きとして位
置づけられた。
・企業間比較という意味で、内部統制構築にいくらお金をかけているかを開示させてはど
うか。
<内部統制のフレームワークの醸成と経営者の意識>
・内部統制は、経営の効率性にも関わる問題であり、これを法律に書くことはできない。
法律で規定できるのは、財務報告の信頼性確保、法令遵守の部分のみである。
・内部統制に関する理解を浸透させるには、経営者に理解してもらうことが重要。そのた
めは、以下のような質問をするとよい。①財務諸表の作成責任は経営者にあるか、②内
部監査部門はあるか、③財務報告の適正性を社内で評価する人はいるか、と。
・内部統制の認識に関して世代によりギャップがある。最近の世代では、内部統制は、経
営者も含まれているということが理解されているのに対し、上の世代では、内部統制は
ミドルかロアのものという意識しかない。
・経営者が内部統制の必要性を感じないのは、終身雇用で 30 年来のつき合いである周りの
人間を信頼しすぎているからである。
・内部統制の有効性や構築といっても、答えはなく、目に見えない。失敗したときに初め
て脆弱だったことがわかる。経営者へのメッセージとしては、過去の失敗事例を示し、
構築していない場合の経営者の責任を示し、内部統制について淡々と説明することが必
要。
・環境報告書は誰にいわれることなく、企業が自主的に作成している。これは同業他社に
追従しているためとも考えられる。経営者の横並び意識は高い。
・経営者を厳しい立場に立たせることは重要。経営者に署名を求めると、興味をもって説
明を求める。署名することの意味はある。
<外部監査について>
・エンロン問題等があり、今後欧米から日本の監査制度についても注目されるであろう。
これに応えるためには、監査人の選任、解任等の際に監査人の独立性を保持する法的措
置を行う必要があるのではないか。
83
・経営者がしっかりすれば全てが解決するわけではない。経営者の作成責任も重要だが、
監査人の監査責任も同様に重要である。合理的な保証といっても、プロとして最善の判
断をした結果が合理的な保証でしかないだけである。
(以 上)
84
第6回 企業経営と財務報告に関する研究会 議事概要
日 時:平成 14 年 3 月 6 日(水)10 時∼12 時
場 所:経済産業省本館 17 階第 2 特別会議室
<議事次第>
1.藤沼オブザーバーによるプレゼンテーション「IFAC の組織及び活動 他」
2.別府委員によるプレゼンテーション「提言:個別財務諸表への持分法導入」
3.徳住委員によるプレゼンテーション「会計上の減価償却制度の問題点について」
−以下、概要−
○財務報告の信頼性を高めるための取組みについて
<内部統制の構築状況に係る開示>
・内部統制の大枠すらない中で、財務報告の信頼性に係る部分に開示対象を限定したり、
さらにそれを監査対象にすることは実務上難しい。一方、利用者もこの開示によって粉
飾はなくなると誤解するおそれもある。まずは内部統制について啓蒙活動が必要ではな
いか。
・単に開示義務づけするだけでは、企業は横並びに走り雛形通りの開示になるだけ。内部
統制という漠然とした表現は使わず、経営者による財務諸表等の作成責任の宣誓ととも
に具体的な財務諸表の信頼性確保に対する取組み(内部監査機関の設置等)を書かせる
べき。
・企業文化の醸成が重要であり、従業員の教育までセットにならなければ、経営者は怖く
て開示できないはず。
・事件を起こした会社は、その後内部告発制度等立派な制度を作るが、一般の日本の会社
にそこまで求める必要があるか。制度化については、時間軸を置いて考えるべきであり、
まずは、ベスト・プラクティスとして、日本の経営環境にあったフレームワークを作る
べき。
<開示を義務化すべき範囲>
・内部統制の構築状況の開示について、委員会等設置会社へ移行する会社は多いとは思え
ないため、対象会社を委員会等設置会社に限るべきではない。
・商法改正要綱案に、委員会等設置会社に対し内部統制の構築義務が定められたことから、
その範囲で開示を義務づけするという考えは理解できる。
・内部統制の構築義務とその開示義務は分けて考えることも可能なので、内部統制の構築
義務がかかっていない企業に対しても、開示を義務付けるすることも可能ではないか。
・内部統制の構築義務がないままで開示させても、実効性はあがらない。
・投資家としては、全社横並びで比較したい。委員会制を選ぶような進んだ会社に義務付
けてもその他多くの会社の底上げをする牽引力とはなれない。
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・海外からみるとやはり日本の財務報告は不透明であり、悠長に構える問題ではない。開
示ができる会社から取り組むべき。そういう意味で、委員会等設置会社から義務づけと
いうのは不十分ではないか。
○個別財務諸表への持分法導入について
・実務の面からいえば、個別決算を締め、それを連結し、連結会社間取引を相殺した後で、
改めて個別財務諸表に持分法を導入するというのはかなりの手間となるのは事実。
・一方、日本企業は会計ビッグバンにより難しい税効果会計などを導入してきたことから
も明らかであるように、必要とあれば対応できるはず。
・そもそも個別財務諸表の開示は不要とすることは考えられないか。公開会社では連結財
務諸表があれば十分。配当規制のためだけであれば、個別のB/S、P/Lまでは不要
ではないか。
・配当を連結で決められるのは、米国でも一部の州だけ。欧州でも会社法で個別財務諸表
の作成を義務付けており、連邦会社法のない米国はむしろ例外的である。個別財務諸表
は、配当規制のためだけでなく情報価値もあると思う。
・商法の観点からも、情報提供の開示として持分法を導入すべきと考えている。一方、配
当政策についても、子会社にツケをまわし親会社が配当してしまうのは問題である。
・米国は、「選択と集中」ができており、子会社も 100%所有が殆どであり、連結財務諸表
による配当は理解できる。一方、日本は、株式持ち合いにより責任を分担してきた背景
もあり、20%の持分を持っているからといって、そこの計上した利益が業績になるとい
われても、そういう心構えもなく株を持っている場合もあり、実感に合わない。現在、
子会社や関連会社の整理を進めているところであるが、このような資本政策等、日本企
業の経営の実態を考慮して制度の在り方を考えて欲しい。
(以 上)
86
第7回 企業経営と財務報告に関する研究会 議事概要
日 時:平成 14 年 3 月 26 日(火)10 時∼12 時
場 所:経済産業省本館 17 階国際会議室
<議事次第>
1.報告書(案)について
−以下、概要−
○報告書の全体について
・開示と書くと進んだような気がするが、書くことによる効果があるとは思いにくい。ア
カウンタビリティは単に説明すればよいということではなく、その内容を適切に実行す
るということが明確になることであり、それを担保する裏付けなり制度が必要。
・性善説、性悪説のどちらに立つのかで開示に対する捉え方が異なってくる。性悪説に立
てば、何を開示しようと意味がない。今回の報告書は、不正を行っていない企業の財務
報告の不信感を払拭することが目的であり、このような考え方からすれば、開示を主と
する論調でよいのではないか。
・開示のみでは押しが弱いのではないか。粉飾する企業には表彰制度のインセンティブと
いっても関係がない。市場監視機能の強化や投資家がもっと容易に訴訟等が起こせるよ
うな公的支援機関等を創設するなどの措置が必要。
○個別財務諸表の持分法導入
・個別財務諸表への持分法導入について、将来的な会計基準の国際化を念頭に置くのであ
れば、国際会計基準でも持分法を導入すべきことになっている以上、この観点からも導
入すべきといえるのではないか。現在の報告書の書きぶりは、両論併記とはいえ、脚注
に米国基準の例のみしか書かれておらず、これとあわせて読むと全体として消極意見に
とれてしまう。
・トライアングル体制における問題は、商法、証券取引法、税法とそれぞれ制度がバラバ
ラであることが問題なのではなく、証券取引法と商法の会計基準をあわせようとしたり、
税法基準を引用したりすることから生じる問題。そもそも、それぞれの法の目的が違う
のであれば基準を分けるべき。そのような観点からは、持分法を商法の個別開示に導入
する必要はない。
・さらに、個別財務諸表の存在意義は、今や配当可能利益算定目的しかないと考えている
ので、情報開示という観点からは、連結財務諸表のみでよいのではないか。また、実務
上、子会社整理損が計上される場合に、親会社が子会社の保証をしていなくても、社会
的道義上子会社の債務も負担するケースが多く、そのような観点からも、連結財務諸表
87
があればよく、個別財務諸表は不要ではないか。
・商法での個別計算書類は、債権者の保護のために必要であり、財産を執行する上でも連
結財務諸表の数字だけでは意味がない。債権者にとっては、親会社に財産がどれだけあ
るかが重要。法的には、親会社の債権者にとっては、子会社が借金をしていようが財産
をもっていようが関係ないし、親が子の保証をしていなければ、子会社株の簿価の範囲
までしか責任を負わない。現行商法の有限責任を前提にすると、個別財務諸表で会社の
財産の範囲はいくらかを明らかにする必要があり、これを省略していいということには
決してならない。
○作成責任の宣誓
・財務諸表の作成について必ずしも経営者の関与が低いとは限らないし、財務諸表を会計
士が作っていると誤解している経営者が多いとも思えない。作成責任の宣誓の理由とし
ては、財務諸表利用者に対し、財務諸表の作成責任の所在を明確化するためということ
でよいのではないか。
・作成責任の宣誓者が「経営者」では、「取締役」を指すのか「執行の長」を指すのかがわ
からず、英訳しても顔が見えない。経営者とは誰かを明確にすべき。英国では作成責任
を宣誓する人は「directors」である。
○その他
・会計監査人のクライアントは株主であるという視点が抜けている。監査人は法定された
株主からの代理人であり、「第三者の判定人」という表現は無責任に思える。
・エンロン問題に絡み、米国ではいろいろな論点が出ている。我が国においてもこのよう
な動向を参考に、反映できるところは反映していくべきではないか。
(以 上)
88
平成 14 年 4 月
企業経営と財務報告に関する研究会 報告書
(事務局)
経済産業省 経済産業政策局 企業行動課
〒100-8901 東京都千代田区霞が関 1-3-1
Tel:03-3501-1675(直通)
90
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