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災害遺構の事例 地震災害 奥尻町の被害

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災害遺構の事例 地震災害 奥尻町の被害
地震災害
災害遺構の事例
93.北海道南西沖地震
(遺構なし)
(一社)減災・復興支援機構
木村 拓郎
奥尻町の被害
高台の団地
青苗地区の
復興
人工地盤
防災集団移転先
防潮堤
青苗岬:公園化
旧市街地:土盛り、180区画整理
■死者・行方不明者
198名
慰霊碑
■住家被害 1,410棟(奧尻全体の約80%)
奥尻島津波館
奥尻島津波館~教訓を後世に伝える~
外観
北海道南西沖地震の記憶と教訓、全国
から寄せられた復興支援への感謝
これらを後世に伝えるために建てられた。
平成12年11月完成。(完成まで2年)
平成13年5月1日オープン。
総工費:11億5千万円
(義援金6億円とコミュニティアイランド推
進事業の補助金を活用)
【運営体制】
奥尻町教育委員会の管轄。
館内のガイドとして臨時職員を3名雇用し
ている。本人の震災の経験をお話しした
り、当時の様子等を語り継ぐ。
雇用期間は4月中旬~11月末。
入館料:大人500円、小人170円
平成25年度の年間入館者数は約1万2千
人。
館内
1
奥尻島津波館・年度別入館者数の推移
※データ:奥尻町教育委員会提供
・入館者は主に団体ツアーの客。他には視察来島者、修学旅行生。
・ピークは平成15
・ピークは平成15年の
15年の29,942
年の29,942人。
29,942人。
・観光客入込数とほぼ同様の推移を描いている。
・入館者数の減少に伴い運営状況も厳しいものとなってきている。
教育旅行誘致~防災教育プログラム~
2010年から奥尻町と観光協会の協働で実施。
2010年から奥尻町と観光協会の協働で実施。
防災ロールプレイを中心としたプログラム。
震災の教訓を後世に伝えるため。
島内の防災意識向上も図っている。
地震災害
95.阪神・淡路大震災
「神戸港震災メモリアルパーク」
野島断層保存館
被災岸壁60メートルを保存
(淡路市)
淡路市)
これは、ジオ?
HPより
HPより
料金700円
2
「神戸の壁」
神戸市長田区で残った防火壁を
北淡震災記念公園に移設
地震災害
04.新潟県中越地震
「メモリアルハウス」
断層の近くの住宅。被害は軽微
HPより
HPより
山古志
(木籠地区)
中越震災の象徴的な場所
天然ダムにより住宅13戸が水没
河道閉塞近くの
河道閉塞近くの物産直
くの物産直
売所「
売所「郷見庵」
郷見庵」
河道閉塞も今や観光の名所
に。管理はできない。
存置型保存
090519撮影
撮影
住民がボランティアで、震災当時の話をしてく
れる。2階が資料館、1階では物産
れる。2階が資料館、1階では物産の販売も。
物産の販売も。
(復興基金事業)
3
11年
11年10月
10月23日に祈念公園として
23日に祈念公園として
オープン
長岡市妙見の救出劇の現場
被災直後
復旧後
震度7を記録した
小千谷市
川口町では
十二平地区
集団移転の跡地(基礎群)
今や震央も観光の名所に
・各敷地に桜と屋号が書かれた
石碑(裏には家族名前が刻まれ
ている)。これは基金事業
直後
3時間後
3日後
3ヶ月後
3年後
4
火山災害
91.雲仙・普賢岳噴火災害
00.有珠山噴火災害
00.三宅島噴火災害
復興をアーカイブする
雲仙・普賢岳
噴火災害
198年ぶりの噴火
雲仙・災害遺構
A.遺構関係
①旧大野木場小学校(現、南島原市)
②土砂埋没住宅群(みずなし本陣「土石流被災家屋保存公園」)
③かさ上げ記録地点
④北上木場農業研修所跡地(消防団被災箇所)
⑤「われん川(湧水)」と石塀(住民が管理)
B.記念館の施設
1993.5の土石流後
1
3
①雲仙岳災害記念館(公益
①雲仙岳災害記念館(公益財団法人
公益財団法人 雲仙岳災害記念財団
雲仙岳災害記念財団)
財団)
②大野木場砂防みらい館(国土交通省)
③平成新山
平成新山ネ
新山ネイチャー
チャーセンター(環境
ー(環境省)
環境省)
C.石碑など
2
4
2007.2
1.国内唯一
1.国内唯一、火
唯一、火砕
、火砕流
で焼失した大野木場
焼失した大野木場
小学校
火砕流で
変形した
変形した窓枠
した窓枠
存置型保存
・慰霊碑(
慰霊碑(犠牲者全員
碑(犠牲者全員、消防団な
犠牲者全員、消防団など
、消防団など)
・火砕
・火砕流最長到達地点
到達地点
・工事竣工碑
竣工碑、6/
、6/3定点など多数
大野木場小学校の保存状況
1.被害:1991.9.15火砕流で焼失(人的犠牲なし
1.被害:1991.9.15火砕流で焼失(人的犠牲なし)
:1991.9.15火砕流で焼失(人的犠牲なし)
*火砕流で焼失した国内で唯一の学校
2.土地;被災後、国の砂防事業区域の指定を受け買収される
2.土地;被災後、国の砂防事業区域の指定を受け買収される
3.保存計画;住民からの要望を受け旧深江町が2年をかけ計画作成(委員会を設置)
3.保存計画;住民からの要望を受け旧深江町が2年をかけ計画作成(委員会を設置)
*コンクリート躯体調査など実施
4.保存事業費;4500万円(地方特定河川等環境整備事業(起債事業)
4.保存事業費;4500万円(地方特定河川等環境整備事業(起債事業)
5.保存工事;屋上防水、バルコニー防水、鉄部防錆など、主に耐久性を保つための
5.保存工事;屋上防水、バルコニー防水、鉄部防錆など、主に耐久性を保つための雨水
防水、バルコニー防水、鉄部防錆など、主に耐久性を保つための雨水
対策が中心(広島の原爆ドームを参考にしている)
対策が中心(広島の原爆ドームを参考にしている)
・建物の周囲にはフェンス(建物内に見学者は入れない)
6.維持管理費(オープン後)
6.維持管理費(オープン後)
・2011年に保存対策工事(1500万円)
*鉄部防錆、コンクリート保護、下地補修、防鳥ネット設置など
・除草:20万円/年、対策追跡調査:20万円/隔年
7.事業の実施主体・管理
7.事業の実施主体・管理主体;南島原市
の実施主体・管理主体;南島原市(旧深江町)
主体;南島原市(旧深江町)
8.オープン;1998年9月
8.オープン;1998年9月
9.見学料金;無料
10.オープン後の見
10.オープン後の見学者数;約
の見学者数;約60万人(年間約5万人)
学者数;約60万人(年間約5万人)
11.地元住民を対象に
11.地元住民を対象にしたアンケート調査(
地元住民を対象にしたアンケート調査(10
したアンケート調査(10年国土交通省調査
10年国土交通省調査)
年国土交通省調査)
「今後も保存すべきが8割」
5
2.道の駅
「みずなし本陣」
展示物になった
展示物になった
土石流で埋没した住宅
(屋内に3棟
(屋内に3棟、屋外
、屋外8棟)
保全型保存
土石流被災家屋保存公園
1.敷地面積:約
1.敷地面積:約6
面積:約6,000㎡
000㎡(テント構造部分:
(テント構造部分:1
構造部分:1,200㎡
200㎡)
*道の駅
道の駅「みずなし本陣ふ
「みずなし本陣ふかえ」と併
かえ」と併設
2.保存家屋:
2.保存家屋:11棟
11棟(うち3
うち3棟がテント内)
3.総
3.総事業費:4億
事業費:4億8
費:4億8千万円
千万円
(地方債:4億
(地方債:4億3
方債:4億3千万円、
千万円、一般
円、一般財
一般財源:5
源:5千万円)
千万円)
4.維持管理
維持管理費
管理費(オープン後)
・年間約
・年間約300
間約300万
300万円(うち約
円(うち約70
うち約70万
70万円がシ
円がシロアリ対策費
ロアリ対策費)
対策費)
*全額、
*全額、県負担(
県負担(一般財
一般財源)
5.指定
5.指定管理
指定管理者:
管理者:南島原市(
者:南島原市(企画振
南島原市(企画振興
企画振興部商工観光
部商工観光課
観光課)
6.オープン:
6.オープン:1999年4
1999年4月
7.見学料金:無
7.見学料金:無料
:無料
8.見学者数
8.見学者数(
2012年):4
789人(道の駅来場
者数)
者数(2012年)
年):488
:488,
88,789人(道の駅来
駅来場者数)
*オープン時:
オープン時:65万
65万人
3.12人の消防団員
3.12人の消防団員が犠牲に
犠牲に
なった農業研修所跡
(基礎を保存)
火砕流で焼失
流で焼失した消防
焼失した消防車
した消防車
*普段は
*普段は入れない
有珠山
噴火災害
5.唯一残る石塀、石
唯一残る石塀、石畳
残る石塀、石畳、
われん川(砂防施
われん川(砂防施設内)
4.かさ上げの場所がわか
る地点(約
る地点(約9Mの擁壁)
噴石が幼稚
噴石が幼稚園を直
幼稚園を直撃
園を直撃(00年)
00年)
存置型保存
6
三宅島
噴火災害
熔岩で埋没したままの中学校(
熔岩で埋没したままの中学校(8
で埋没したままの中学校(83年)
存置型保存
存置型保存
保存された公営
保存された公営住宅と公営浴
住宅と公営浴場(
営浴場(00
場(00年)
00年)
熔岩の上に火
熔岩の上に火山体験遊歩
の上に火山体験遊歩道
山体験遊歩道
が整備された
整備された
海外事例
土石流で埋没した
ままの鳥居
ままの鳥居(
鳥居(00年)
00年)
04.インド洋大津波
10.チリ地震津波
インド洋大津波
(バンダ・アチェ)
市街地に漂着
地に漂着した
漂着した発電船
した発電船
発電船ゲート
発電船ゲート付
ート付近には土産店
近には土産店も
住宅の上に漂着
住宅の上に漂着した
漂着した漁船
した漁船
買い物袋
い物袋にもマ
にもマーク
来場証明書も
証明書も発行
書も発行
7
チリ地震津波
横転した大型
転した大型のタグボート
(タルカウアノ
ウアノ市)
津波の
津波の高さが分
さが分かるよう
かるように展示された
展示された自動車
された自動車の
自動車の瓦礫
チリ地震津波
被爆遺構
広島・長崎
焼失跡の
焼失跡のあ
跡のある税関事
税関事務所
(タルカウアノ
ウアノ市)
大破した住宅(トメ市)
広島・原爆ド
島・原爆ドーム
爆ドーム
経過
本格化するきっかけは1歳の時に被爆し、16歳で
亡くなった楮山(かじやま)ヒロ子さんが残した日
記。「あの痛々しい産業奨励館(さんぎょうしょう
れいかん)だけが、いつまでも、恐るべき原爆の
ことを後世に訴えかけてくれるだろう」
1964年、11の平和団体が保存を市に要請
1966年、広島市議会、保存を決議。募金運動を
開始。
1967年、保存工事実施
8
長崎・被爆遺構
旧長崎刑務
旧長崎刑務所は、
崎刑務所は、爆
所は、爆心地にもっとも近
い公共
い公共の建物。刑務
物。刑務所内にいた
刑務所内にいた職員
所内にいた職員
18名、
名、官舎
名、官舎住
官舎住居者35名、
居者 名、受刑者及び
名、受刑者及び
刑事被告
名、計
名全員が
事被告人81名、
名、計134名
全員が即死。
即死。
現在は建物の土台
物の土台が残っている。
平和公園
基礎が残る刑務
基礎が残る刑務所跡地
刑務所跡地
鉄筋が
鉄筋が露出している
城山小学校
1923年,
1923年 九州初の
九州初のコンクリート3階建
ンクリート3階建て校舎
て校舎
を持つ城山尋常小学校としてス
持つ城山尋常小学校としてスタ
小学校としてスタート。
194
1945年8月9日の原子爆弾
5年8月9日の原子爆弾により
子爆弾により爆
により爆心地か
らわずか500m
mの距離に
らわずか
距離にあった学校で地域
った学校で地域に
いた1400余
余名の児童
名の教職員
名
いた
名の児童,
児童 31名の教
名の教職員,
職員 105名
の学徒報
の学徒報国
隊員等が亡くなった。
徒報国隊員等が
児童の
児童の発案により原
発案により原爆投下
により原爆投下から5
爆投下から54
から54年後の9
9年2月に改装
万円)され「城山
9年2月に改装(
改装(工事費5000万
円)され「城山
小平和
小平和祈念館」として生
祈念館」として生まれ変
まれ変わった。
毎年, 多くの修学旅行生
くの修学旅行生や
旅行生や一般市民が
一般市民が訪
市民が訪れ,
平和学習の拠点になっている(11年の
点になっている( 年の来
年の来館者
4万人)。
4万人)。
管理は、「城山
管理は、「城山小学校被
城山小学校被爆
小学校被爆校舎平和発信協
議会」。
議会」。
事例まとめ
○震災関係で残された遺構は多くない。
・阪神・淡路大震災は、ほとんど遺構なし
・阪神・淡路大震災は、ほとんど遺構なし。
大震災は、ほとんど遺構なし。
・地震津波で大きな被害を出した北海道
・地震津波で大きな被害を出した北海道奥尻島
津波で大きな被害を出した北海道奥尻島に
奥尻島にも
遺構なし
遺構なし。
なし。
・新潟県中越地震では多くの遺構が残された。
○火山災害関係は多くの遺構が残っている。
(雲仙・普賢岳、有珠山、三宅島雄山)
○公的に保存されているのは、島原の住宅遺構のみ。
他は存置型保存
児童の手書き解説、英語版も
おわり
次世代の子供たちに何を残せばいいのか?
9
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