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インドの産業力と特許法 - 外国産業財産権侵害対策等支援事業

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インドの産業力と特許法 - 外国産業財産権侵害対策等支援事業
インドにおける知財戦略:知的財産権制度の活用
中小・ベンチャー企業のための外国産業財産権制度セミナー
主催:特許庁 実施: 発明協会/発明協会大阪支部
2010年1月14日(東京)・1月15日(大阪)
インドの産業力と特許法
政策研究大学院大学
山根裕子
1
本日のテーマ
I. 技術立国インドへ
II.インド特許法の特徴的ないくつかの側面
III.特許法を用いた産業政策の例:医薬品
IV. バイオ技術・研究開発の現実
V. インドの模倣品
VI. インド市場の将来像と日印関係
2
1
I.
技術立国インドへ
‐奨励策・規制緩和・研究開発-
3
国家研究所・大学と民間企業との産学連携
• 科学産業研究委員会(Council of Scientific and Industrial
Research, CSIR, 1942) 39の 研究所 50試験施設。宇宙と
防衛以外のあらゆる分野。18000人就業うち4500人科学者
(Ph.D.3200名)インドの全特許出願の4分の1
• インド工科大学(Indian Institutes of Technology/IIT−JEE,
1952)工学・科学技術系15の国立高等教育機関の総称
全国に7校
• 農業研究委員会 (Indian Council of Agricultural Research,
ICAR,1929 ) 全国90の ICAR 研究所及び 45農業大学 を統
括。世界最大の農業研究機構。引用論文トップ機関
その他
インド理科大学院(Indian Institute of Science/IISc,1909)
インド医療評議会 ( Indian Council of Medical Research (ICMR)
インドの公的機関日本語名については以下を参照・リンクあり
http://www.indiainfo.jp/en/links.html
4
2
グローバルな技術環境への対応
• 新ミレニアム科学技術リーダーシップ・イニシアティブ
(Technology Networking & Business Development
Division(CSIR))、米国の大学等
• 各種経営コンサルタント企業
• 契約製造機関(contract manufacturing organisation)
• 契約研究機関(contract research organization: CRO)臨床
試験のアウトソース(2010年には400億円を超える市場。牽
引力は大手多国籍製薬企業(開発コストを約30%削減でき
るとの期待)クインタイルズやコバンス等の国際的CROのイ
ンド子会社、インドの製薬会社あるいはCROとの合弁等、
100社程)
• インド版バイドール法案2008
(特許に限らず著作権や商標も含む)
• 安価なR&D・製造コストの比較優位
5
• しかしインフラが問題 R&Dインフラも
IT
• 1984 「新コンピュータ政策」
1985年バンガロールに
Texas Instrumentが進出ハイデラバード(Hightech City)には、近郊にマ
イクロソフト、オラクル、モトローラ、GEキャピタルなどの企業群が集中
• インド情報技術大学(Indian Institute of Information
Technology)1998年以来7校
• ソフトウェア技術パーク(STPI、全土に40拠点)輸出関税
なし、高速ブロードバンド等のインフラ整備
• 情報技術法2000 (Information Technology Act)
電子商取
引、電子政府、セキュリティシステム導入の奨励
• 応用分野の開拓
ビジネスプロセス・アウトソーシング(BPO)
分野(臨床・バイオ等)のソフト開発
6
3
分野別R&D費用内訳 2004-05
公共セクター (全R&D費用の約20%)
防衛産業
41.9%
燃料・電気機器 22.1%
エレクトロニクス 14.2%
民間セクター
医薬品 28.7%
輸送機器 21.3%
化学(肥料を除く) 7.6%
研究機関単位では
化学(肥料を除く) がトップで13.9%
エレクトロニクスがそれに次ぐ12.6%
Research and Development Statistics 2004-05, Government of India
http://www.nstmis-dst.org/ContentsPage.htm
7
インドの研究開発投資規模と研究者数2004-05
R&D費用GDP比平均0.8%
1990年代以来GDP0.7-0.9%(うち公的機関75%)
先進国ではGDPの2.3% (日本3.11%、米国2.67%)
中国1.23%
一人あたり R&D費用 年間(2000−2002)US$ 3.55
中国US$12.15
日本 US$976.58、米国 USUS$962.15
研究者総数11万5936人
米国128万9910人
日本 64万5795人
中国 80万5176人
百万人あたりの研究者数110人
フィンランド 7431人
スウェーデン5171人
日本5085人
Research and Development Statistics 2004-05, Government of India
http://www.nstmis-dst.org/ContentsPage.htm
8
4
インドの変貌しかし歴史と保守の重み
「マッチから水爆まで」低価格生産・経済封鎖・自給自足の時代
から入超へ
(出典)インド準備銀行発行、『RBI Bulletin 2009年6月号』
在印日本国大使館作成
9
サービス貿易の拡大
輸出額
世界シェア
輸入額
世界シェア
物
0.91%
1.25%
サービス
2.32%
2.22%
出典:WTO, 2006年9月
10
5
IT 競争力について
• 国際収支統計分類「コンピュータ・情報サービス」インドは世界
最大の輸出国(2006年22.5%、日本0.7%) 出典: 椎野
幸平「インド経済の基礎知識」JETRO 2009 P.79
• 「IT競争力」の定義は困難、流動的
eg. Economist Intelligence Unit indicators(IT competitiveness
study 2009)
http://global.bsa.org/2009eiu/study/2009_eiu_global.pdf
①総合的なビジネス環境、②ITインフラ、③人材、④法整備、
⑤R&D環境、⑥IT産業発展への支援を加重
総合評価2008年→2009年 インド48位→44位
米国1位→1位
日本12位→12位
中国50位→39位
インドは①について2008年、2009年とも50位
• インドのIT産業 上流下流がない、経常収支上の貢献
• ‘customarized software’
11
外国直接投資分野と総額
1
2
3
4
5
6
7
セクター/年 度
2005
2006
2007
2008
サ ー ビ ス (金 融 ・非 金 融 )
コ ン ヒ ゚ュ ー タ ・ ソ フ ト ウ ェ ア / ハ ー ト ゙ウ ェ ア
通信
住 宅 ・不 動 産
建設
自動 車産業
電力
543
1 ,3 7 5
624
38
151
143
87
4 ,6 6 4
2 ,6 1 4
478
467
985
276
157
6 ,6 1 5
1 ,4 1 0
1 ,2 6 1
2 ,1 7 9
1 ,7 4 3
675
967
6 ,1 1 6
1 ,6 7 7
2 ,5 5 8
2 ,8 0 1
2 ,0 2 8
1 ,1 5 2
985
累計額
( 2 0 0 0 .4 2 0 0 9 .3 )
1 9 ,1 7 4
8 ,9 5 4
6 ,3 4 0
5 ,5 1 2
5 ,1 9 1
3 ,3 8 8
3 ,1 9 0
FDI
構成 比
(% )
23
11
8
6
6
4
4
800
(億ドル)
600
400
200
0
-200
01
02
03
04
05
06
07(P)
08(P)
(年度)
直接投資
間接投資
合計
12
在印日本国大使館作成
6
輸出品目(2007年度、%)はかなりローテク
一次産品
農 産 物 ・農 業 関 連 品
鉱物
17.0
11.4
5.7
製造品
63.6
化 学 品 ・化 学 関 連 製 品
12.9
工業品
23.1
繊 維 ・繊 維 製 品
12.0
宝石
12.4
石油製品
15.6
(出典)印商工省資料より在印日本国大使館作成
13
主な輸入品目の構成比 (2007年度,%)
原材料輸入
原 油 ・石 油 製 品
製品輸入
資本財
47.0
33.2
53.0
24.4
電 気 機 械 (電 子 機 器 を除 く)
8.2
電子機器
8.5
輸出関連輸入品
8.7
貴 石 ・半 貴 石
3.3
有 機 ・無 機 化 学 品
4.1
その他
金
(出典)印商工省資料より在印日本国大使館作成
20.0
7.0
14
7
インドの資本財(機械・電子機器類)輸入相手国
(2008年4月-12月)
機械類輸入相手国
シェア
(%)
1 中国 20.7%
2 ドイツ 15.0%
3 日本 11.0%
4 米国
9.0%
5.0%
(参考)韓国
順位 相手国
電子機器類輸入相手国
順位 相手国
1 中国
2 韓国
3 ドイツ
4 米国
(参考)日本
シェア
(%)
39.5%
7.2%
6.6%
6.1%
3.9%
(出典)印商工省資料より在印日本国大使館作成
15
知財保護の重視へ
‘Seeing is believing…’
インド特許庁 – BEFORE AND AFTER’
前インド商工省次官補・産業政策・推進副部長
T.C. James,WIPOプレゼン2007.7.2
過去
現在
16
8
Server Room
JC James
ibid.
17
知財法関連国際協定とインド
文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約
1928年4月1日
TRIPS協定
1995年1月1日
工業所有権の保護に関するパリ条約
1998年12月7日
(cf.ブラジルはパリ条約の原加盟国-1883年)
特許協力(PCT)条約 1998年12月7日
18
9
主な現行知財法
•
•
•
•
•
•
著作権法 1957年
特許法 1970年(1999,2002,2005年改正)
商標法 1999年
意匠法 2000年
地理的表示法 1999年
半導体レイアウトデザイン法 2000年
その他関連法
• 植物品種及び農民権利保護法 2001年
• 生物多様性法 2002年
19
インド機関企業特許出願2003-2004
全出願数 12613件うち 3218件がインド人(機関・企業
による)うち 50% 以上が Maharashtra、 Delhi州
次が Tamil Nadu (10.3% ) Andhra Pradesh
(6.9%)
外国人による出願 68%うち米国企業33.3%、独日英
仏が57.5 %
外国人の有効特許数
(1976-1977) 19,780
(2003-2004)
4,331
科学・技術分野における世界での引用文献数
(1994 – 2003) 2.16%
農学研究においては、世界の7.4%
20
10
特許付与数
7359
4320
2469
1381
2000-01
1591
2001-02
1911
1379
2002-03
2003-04
2004-05
2005-06
2006-07
出願数は、 1999-2000に 5000件。2007-08 には35,000に。
TC James Ibid. p. 24
21
商標登録
200000
180000
160000
140000
120000
100000
80000
60000
40000
20000
0
174,200
109000
45015
8010
1999-2000
11190
2002-03
39762
2003-04
2004-05
2005-06
2006-07
過去50年間より多い33万8000件の商標がこの3年間に登録された。
TC James,Ibid.
22
11
インド・外国企業の特許出願
7000
6000
5000
Indians
Others
Total
4000
3000
2000
1000
0
2000-01
2001-02
2002-03
2003-04
2004-05
加藤浩 「アジア地域において知的財産制度が経済に与える影響」『特技懇』 no.248 p.43
23
専門分野別特許審査官数
電気工学
機械工学
電子及びテレコム工学
土木系工学
繊維工学
バイオ技術
コンピュータ・サイエンス
化学
金属加工機械工学
物理
微生物学
バイオ・インフォーマティクス
薬学
生産工学
分子細胞生理学
農学
高分子化学・工学
12
16
12
5
3
11
5
31
2
3
11
1
1
2
8
1
2
計
126 (日本は約1500名)
(出典:IPO年報2007-2008, p.87)
http://ipindia.gov.in/cgpdtm/AnnualReport_English_2007-2008.pdf
24
12
公正さとバランス中心の特許政策
(DIPPによるWIPO,FICCIでの説明)
→何を意味するのか?
-
国際条約との整合性
権利者の権利保護と「公共の利益」
知財行政の近代化
知財教育
25
TRIPS協定とインド特許法
• ウルグアイ・ラウンド交渉初期、インドは、知財の実
体法上の国際的な規律を設けることに反対
• TRIPS協定7条(目的)・8条(原則)による知財によ
る独占を公共利益・公衆衛生政策により緩和する
ことを主張
• 現在は、「TRIPS柔軟性」に整合的とされる国内法
規定により、国内の公共・産業政策を遂行(公共利
益とは?)
→インド特許制度は技術革新のインセンティブ
としてどの程度の正統性をもつのか?
機能のしかたは?法的予見性・安定性は?
26
13
II. インド特許法の
特徴的ないくつかの側面
27
1970年特許法
• 1911年 英国法(多国籍企業の苦い経験)
Tec Chand 委員会(1950)
Ayyangar 報告書(1959)
「…特許保護下の発明の範囲が広ければ、恩
恵を受けるのは、高度に発展した工業国の発
明家と、特許保護のない国においてその発明
を使用する者で、インドの産業は特許料とい
う名の税金を払わなければならなくなる」p.22
• 1970年インド特許法(1972年発効)
28
14
「発明」の定義とその変遷
1970年法(1972年発効)
2条(定義及び解釈)
2(1)(j)条 発明とは 「技術(art)、製造の過程、方法、様式,機械、装置その
他の機器、あるいは製造された物質新規であり(new)、有用(useful)なも
の」
2002年法(2003年5月発効)
2条(1)(j)「発明とは進歩性を含み、かつ産業上利用可能な新規の製品ま
たは方法をいう。」
(ja)「進歩性」とは、当該技術分野で当該技術の熟練者にとって、当該発明
を自明でなくするものをいう既存の技術でないものをいう
2005年法(2005年1月1日遡及発効)
(ja)進歩性とは現存の知識と比較して技術的進歩を含みもしくは経済的意
義を有するかまたは両者を有する発明の特徴であって、当該発明を当該
技術の熟練者にとって自明でなくするものをいう。
(ta) 「医薬物質」とは1又は2以上の進歩性を含む何らかの新規実在物をい
う。 http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/fips/pdf/india/tokkyo.pdf
cf. 日本特許法第2条 「この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のう
ち高度のものをいう。」
メキシコ法15条‘any human creation that allows matter or energy existing in nature to 29
be transformed for utilisation by man for the satisfaction of his specific needs…’
発明でないもの・不特許の発明
第II章 特許されない発明
3条 発明でないもの
1970年法
(c) 科学的原理の単なる発見、又は抽象的理論の形成
(d) 既知の物質の新規特性若しくは新用途の単なる発見、既
知の方法、機械、若しくは装置の単なる用途の単なる発見。
ただしかかる既知の方法が新規な製品を作りだすことになる
か、又は少なくとも1の新規な反応物を使用する場合は、こ
の限りでない。
(e) 物質の成分の諸性質についての集合という結果となるに
過ぎない場合によって得られる物質、又は当該物質を製造
する方法。
30
15
2002年改正(2003年5月発効)
3条(c)「、又は生物(living thing)もしくは天然
に存在する非生物物質(non-substance
occurring in nature)の発見(discovery)」の
追加→なぜこの時点で?
生物多様性条約(CBD)しかしCBDは「生物素
材」、「遺伝資源」の概念を用い、定義する。
インド特許法には「発見」「生物」「天然に存在す
る非生物物質」の定義がない。ウィルスは?
botulinum toxin (Bot Tox)は? 生ワクチン
は? プラスミドは? 細胞は?
31
Dimminaco AG v Controller of Patents and
Designs (2002), Kolkata High Court
Dimminaco AG (American Home Products のスイス(バイオ技術)子会社)
「鶏伝染性ファブリキウス囊病 (ガンボロ病)ワクチンの製造方法」
IPO:1998年拒絶査定。2(1)(j)条の発明の定義にもとづき、「製造」は非生
物を意味するとの理由。
裁判所:技術を加えることにより天然に存在するものとは異なる物質を生み
出したので発明であると判断。米国 Chakravarty判決及び EU バイオ技
術指令同様の基準といわれた。しかし伝統的に権利を与えようとするか
否かの相違があるともいえる。
その後もIPOはワクチン、遺伝子発明の特許について「生物」の範囲を広く
解釈する傾向? Michigan State University v The Assistant Controller
of Patents, CM (Main) 171 2002, The Intellectual Property Appellate
Board (IPAB) Chennai, 19 March 2008 (細胞工学のための遺伝子パッ
ケージ-「細胞を遺伝的に操作されたものにする、ゲノム中に挿入された
一連の遺伝子(発現カセット)」)
欧米で特許される発明を保護しないことで競争力をつける?
32
16
生物素材(biological material)を用いた発明
「明細書の内容」に関する10条 - (4)(ii)
-ブダペスト条約(微生物)にもとづく義務
-生物多様性条約(CBD)にもとづく(と
される)義務
素材が公衆にとり入手不能の場合は国際寄託当局に
当該素材を寄託し、明細書において、生物素材の
出所を明示する義務。生物素材の出所の不表示・
虚偽表示がある場合には、異議申立(25条(j)(k)
あるいは特許取消の根拠になりうる(64条(p))。
(生物多様性法3条:インド市民・居住者でない者によ
るインド生物資源・それに関する知識の研究・調査・
使用のための商業的な利用については、国家生物
多様性庁の事前承認を得る義務;4条譲渡の場合)
33
生物素材を用いた発明の条件10(4)(ii)条
(A) 当該素材の寄託をインドにおける特許出願日以前に行い,
かつ,それについての言及を所定の期間内に明細書におい
て行うこと
(B) 当該素材を正確に特定し又は表示するのに必要とされる全
ての利用可能な特性が明細書に含まれ,それには寄託機関
の名称及び住所,並びに当該機関への当該素材寄託の日
付及び番号を含むこと
(C) 当該素材の分譲を受けることが,インドにおける特許の出
願日後又は優先権主張の場合は優先日後に限り,寄託機
関において可能であること
(D) 発明に使用されているときは,明細書において生物学的素
材の出所及び地理的原産地を開示していること
34
17
微生物、生物素材の範囲
「微生物」「生物」に何が含まれるかについては各国で見解の
相違。技術レベルにもよる。
従来のインド特許庁審査基準
バクテリア、藻類、生ワクチン、プラスミド等の不特許
現在、ウィルスなどは構造(アミノ酸配列、遺伝子配列
等)の「特定」、自然界からの分離・抽出等を判断の根拠と
するといわれる。
ブダペスト条約の実施:日本特許法36条4項1号(実施可能要
件)にもとづく施行規則27条の2。審査基準ガイド:酵母、カ
ビ、きのこ、ウィルス、原生動物を含む。ライフサイエンス分
野のイノベーション促進に適した判断基準の重視。
マシェルカー報告書2006.12
TRIPS協定27条3項(b)との整合性
35
3(j)条:微生物以外の動・植物
動・植物の「全部又はそれらの一部」は発明で
ない。IPOはEPC同様と説明するが、欧州で
は動・植物の細胞等(any part thereof)、動・
植物品種を特定しない技術であれば、特許
の対象となる点が異なる。
cf TRIPS協定27条3(b)
「微生物以外の動植物並びに非生物学的方法
及び微生物学的方法以外の動植物の生産
のための本質的に生物学的な方法。 」
36
18
3(b)条も
「その主たる用途若しくはその意図された用途又は商
業的実施が、公序良俗に反し、又は、人、動物、植
物の生命若しくは健康、又は環境に深刻な害悪を
引き起こす発明」
Cf。TRIPS協定27条(2) 「加盟国は,公の秩序又は善
良の風俗を守ること(人,動物若しくは植物の生命若
しくは健康を保護し又は環境に対する重大な損害を
回避することを含む。)を目的として,商業的な実施
を自国の領域内において防止する必要があるよう
な発明を特許の対象から除外することができる。…
」
37
3(k)条:ソフトウェア per se
3(k)条「数学的若しくは営業の方法,又はコンピュー
タ・プログラムそれ自体若しくはアルゴリズム」
2004年の改正令では「ハードウエアと組み合わさ
れた」ソフトウエアは特許可能」と明記されていた
が、2005年改正法においては削除。中小IT企業
「多国籍企業による独占をもたらす」→3(k)条が
残る
しかし運用上の変更はなく、従前通り「ハードウェア
と組み合わされた」ソフトウェアは、特許の対象と
なる
38
19
1970年特許法5条
「食品あるいは医薬品として使われるか、使わ
れうる発明の場合、又は化学的な過程によっ
て生産される物質(合金、半導体等を含む)
には、方法特許のみが与えられる。」*
この規定は、2005年改正により廃止された。
TRIPS協定27条1項上の義務にもとづき→物
質特許の導入
*特許証捺印から5年あるいは特許付与から7年のいずれか
短い期間(他は14年間)
39
2005年特許法改正
•
•
1970年特許法5条削除
特許付与前異議申立の存続
(2005年1月1日から2009年11月30日までの間
に、395件の特許付与前意義申立申請)
cf. 日本の場合(平成8年出願公告制度廃止)
平成5年 公告数 88920件 異議申立件数6620件(出願単位)(総申立10768件)
平成6年 公告数 106040件 異議申立件数7419件(出願単位)(総申立10692件)
平成7年 公告数 123360件 異議申立件数8549件(出願単位)(総申立12931件)
(特許庁資料)
日本の場合、競合他社がとりあえず文句を。医薬品特許出願について患
者団体の異議申立は、医療保険制度が確立している限りあまりない。
インドの場合はこれが顕著。
40
20
多岐にわたる強制実施権設定事由と政府使用
第XIV章 強制実施権 (84-94条)
• 国家緊急事態
• 国内不実施の場合*(特許付与後3年の経過後。強制実施権発動2年後
には特許取消の根拠にもなる)「実施」の意味は不明瞭(輸入は含まれ
るか)。
• 価格・市場の需要:公衆の適切な需要の充足(84条(7)(a)(iii)によれば「
(7)(a)(iii)によれば 「インドにおいて製造された特許物品の輸出市場が
,現に供給を受けておらず又は開発されていない場合」も含む)、特許
発明の合理的な価格で入手可能性が満たされない場合(84条(1)(b))
。「合理的な価格」の意味不明
• 実施許諾用意(licence of right)の行方
• 利用発明の場合
• 公益上必要な場合
• 独占行為(不公正取引)の是正
• 2003年8月30日合意による医薬品製造能力のない国向け輸出のため
の例外的強制実施権(92A条)
ただしこれまで強制的にライセンスされた特許は4件のみ。
第XVII章 政府使用 (99条-103条)、47条
41
発明の商業的実施報告
• 特許法 146条 定期的陳述書の提出義務(特許規
則2003、規則131)毎年3月31日
不実施の場合の正当化理由
• インド特許法は「実施」を定義せず。輸入は実施か(
日本特許法83条→裁定実施権の運営要領によれ
ば「TRIPS協定を遵守してこれを行う」)
• 不実施の場合の強制実施権(特許付与日から3年
経過後)
• TRIPS協定27条1項「…物が輸入されたものである
か国内で生産されたものであるかについて差別す
ることなく,特許が与えられ,及び特許権が享受さ
れる」の解釈
21
最近の裁定請求例
抗がん剤(タルセバ、スーテント)に関する強制実施権の裁定請求
Natco Pharmaが、ロッシュ社のタルセバとファイザー
社のスーテントのジェネリック輸出(ネパール)のた
めインド特許法92A条にもとづく強制実施権の裁
定請求(生産能力のない国への輸出しかしパラ六
要件すべてを満たしていない)Pfizerは異議申立
DIPP (Department of Industrial Policy and Promotion)は
慎重な態度(“We are not in favour of CL unless there
is an extraordinary problem. There is no point in
going in for CL unless there is an epidemic which
impacts a large chunk of the population, and needs
immediate solution”)
43
その他、2005年改正により、並行輸入が認められる
要件が緩む等の動き
107A条 侵害とみなされない一定の行為
(a)「何らかの製品の製造,組立,使用,販売又は輸入を規制する法律であ
ってインド又はインド以外の国において現に有効なものに基づいて必要
とされる開発及び情報の提出に適切に関係する使用のためのみに特許
発明を製造,組立,使用,販売又は輸入する行為」(ボーラー条項)
(b) 「当該製品を製造及び販売又は頒布することを、法律に基づいて「適
法」に許可された者からの何人かによる特許製品の輸入については特
許権の侵害とはみなされない。」(改正前は、「特許権者の」許可)つまり
適法に製造又は販売されたものであることのみを、並行輸入が認められ
る要件とし、他国で強制実施権の許諾によって合法的に製造を認められ
た者、又は対応特許の存在しない国の製造業者からの輸入に対し、権
利者は差止できないと考えられている。Cf。同様な場合に関し、EC裁判
所の判断。Merck v Stephar, Case 187/80, 14 July 1981, and for a
product under compulsory licence, Merck v Primecrown, Case C267, 268/95, 5 December 1996; Pharmon BV v Hoechst, Case
19/84, 9 July 1985.
44
22
2005年改正後の3(d)条
• 「既知の物質について何らかの新規な形態の単なる発見で
あって当該物質の既知の効能の増大にならないもの、又は
既知の物質の新規特性若しくは新用途の単なる発見、既知
の方法、機械、若しくは装置の単なる用途の単なる発見。た
だしかかる既知の方法が新規な製品を作りだすことになるか
、又は少なくとも1の新規な反応物を使用する場合は、この
限りでない。 [説明] 「塩、エステル、エーテル、結晶多形、
代謝生成物、光学異性体、異性体の混合物、合成物、化合
物および既知の物質のその他の誘導体は、効用面で著しく
特性が異なる場合を除き、同一物質とみなされる」
• 既知化合物の新用途の発明は不特許。
• 既知化合物の誘導体の場合は、効用面での著しい特性が
存在することが要件。しかし「効用面」の意味不明瞭。
45
新薬企業に対する後発企業の特許戦略の政策化
• 新薬企業の後発企業に対する特許戦略
権利範囲の広い特許、製品保護のための物質特
許と種々の特許(誘導体、製剤、併用特許など)、
保護期間の最大化
• 後発医薬品参入促進策:反エバグリーン制度
• 日米では、塩が異なれば別の新薬と看做され、後発
承認は不可。EUでは生物学的同等性が証明されれ
ば、‘The different salts, esters, ethers, isomers, mixtures of isomers,
complexes or derivatives of an active substance shall be considered to be
the same active substance, unless they differ significantly in properties with
regard to safety and/or efficacy.…’が後発品として承認され得
る(Directive 2004/27/EC 10.2(b) 条)インド特許法
3(d)条の説明にある誘導体に酷似。
46
23
問題点(1)二番手三番手の薬のほうが良い
(副作用が少ないなど)場合が少なくない
将来発生するかもしれない副作用等のリスクを減らす
ため、1番手の薬の誘導体の研究・開発が自社・競合
他社問わず通常行われる。別の製品であるゆえその
開発には1番手の薬と同等の臨床試験等を必要とす
る。
eg AZT→ スタブジン(d4t)
類似物でも臨床試験してみなければ効能・副作
用等の予見はできない
47
問題点(2)化学物質の構造と進歩性とに直接の
関連性はあるのか
 代謝物の例:ターフェナジンterfenadine
Merrell Dow Pharmaceuticals Inc v HN Norton & Co Ltd, House of
Lords,19-22, 26-28 June and 26 October 1995
東京高判平成17年2月10日,16(行ケ)233,「肝臓が損われた患者での抗ヒ
スタミン剤としてのターフェナジン誘導体の用途」,拒絶審決取消請求事
件(特),請求棄却,12911.
 インド審査ガイドライン案で代謝物は不特許とされている(4.5.7(v))
しかしメバロチン(プラバスタチン・ナトリウム)のような発明も。
化学的構造による判断は無理。進歩性の問題として捉えられるべきでは
ないか。
 マシェルカー修正報告書 2009年3月 –新規化合物のみを
特許可とすることは、一つの技術分野を排除することになりTRIPS協定
27条整合的とはいえない。しかし医薬品アクセスは確保されるべき。イン
ド特許庁は、 何が瑣末な発明かを判断し、エバグリーングを阻止するた
めに、イノベーションを判定する高い基準を設けガイドラインを採択すべ
き。
48
24
技術分野別特許出願数
7000
6000
5000
化学
4000
医薬
食品
3000
電機
機械
2000
コンピュータ・エレクトロニック
biotechnology
1000
0
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
出典:WIPO
49
技術分野別特許付与数
分野により、出願・付与比率に大差あり
(‘seeing is believing’)
4500
4000
3500
3000
化学
2500
医薬
食品
2000
電機
1500
機械
コンピュータ・エレクトロニック
1000
biotechnology
500
0
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
特許出願から審査・登録されるまで案件ごとに異なるタイムラグ
出願人がどの程度の割合で審査請求するかにもよる
(審査請求制度は2002年改正により導入される)
50
25
III.特許法を用いた産業政策の例:医薬品
51
国内産業の生い立ち
• 知的財産権保護しないことによる産業育成
• 安価な医薬品の供給目的
• 物質特許は植民地主義・多国籍企業・独占への反感
と重なり易い。
• 1970 年の特許法5条
• 外為、ライセンス、ローカルコンテント規制
• 産学連携
• CSIR主導のリバースエンジニアリング(製法特許も)
• しかしインドの化学合成技術とノウハウがあったから
こそ育成に成功
52
26
インド・ジェネリックの比較優位
• 従来、特許切れ・先進国の販売許可を待つ必要な
し。緩い医薬品規制。先進国の医薬品情報を用い
た生産・販売。
• 研究開発コスト8分の1
• 生産設備の低費用、低賃金、医薬原料(バルク)の
低生産費用
• TRIPS協定への対応と行動の変化2006年
• FDA認可の製薬工場数
インド 75
中国 27
台湾 10
53
輸入代替・自給自足・輸出志向
(全産業分野でインドは低価格・低品質の国製品を
生産・農業鉱業を除く)
• 現在、インド系製薬企業は国内需要の75%
を供給
• 15000以上の小規模医薬品ビジネス
• 直接的には500万人、間接的には2400万人
の雇用
• 輸出志向(国内市場小規模)
54
27
インドの医薬品貿易
(単位: 100万ドル、 %)
2000年 2007年
輸出額
883
3864
構成比 米国
5.2
22.4
アフリカ
22.4
21.7
EU27
15.4
15.5
中南米
5.8
6.5
中東
6.9
4.6
アジア大洋州(ASEAN+6)
4.9
2.6
世界の輸出額に占める構成比
0.9
1.1
輸入額
145
696
貿易収支
739
出典: 椎野幸平「インド経済の基礎知識」JETRO
2009 P.99
3167
55
インド製薬産業の将来
Indian Pharmaceuticals Industry: Vision 2015より
56
28
臨床試験中の新薬候補化合物:インド企業によるインドにおける開発
企業名
フェーズⅠ
Dr. Reddy’s
フェーズ Ⅱ
フェーズ Ⅲ
1
(癌)
1
(Rhescienceパートナー, 糖尿)
Glenmark
2
(神経痛,リューマチ)
3
(骨関節炎, 糖尿,喘息) *
Ranbaxy
1
(スターチン)
1
(抗マラリア)
3
(脂質異常症、肥満・糖尿)
2
(鎮痛、糖尿、脂質異常症)
Cadila Healthcare
Dabur
1
(癌)
Wockhart
1
(MRSA耐性黄色ブドウ球菌感染)
1
(呼吸器感染)
Sun Pharma
1
(アレルギー症)
Nicholas Piramal
Lupin
3
(癌、糖尿2)
1
(癌)
1
(結核)
2
(乾癬)
Biocon
1
(頭痛)
2
(経口インスリン、炎症性癌)
Suven
1
(神経性疾患)
Orchid
1
(糖尿)
Torrent
1**
*うち喘息薬候補はForest Labsにライセンス、現在フェーズIII
** 2004年7月AGE(advanced glycosylation endproducts)ブレーカー Novartisにライセンス (→開発停止?)
57
出典:company annual reports, S. Chaudhri, Indian Institute of Management, Kolkata
インドによるA61K特許出願公開数
1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
ARIPO
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
1
1
BR
0
0
0
0
0
5
8
14
19
30
39
21
18
21
CN
0
1
0
0
3
4
9
8
16
25
47
48
36
51
IN
56
61
148
78
144
149
127
132
239
121
0
0
0
0
MX
0
0
0
0
0
0
0
4
13
35
30
14
28
17
ZA
1
2
3
0
4
2
3
8
17
30
18
26
21
25
US
0
0
4
10
17
24
44
62
68
104
101
129
181
171
EP
1
1
2
0
3
11
13
33
44
49
89
93
99
165
JP
0
1
2
8
8
1
1
16
16
35
37
35
25
62
WO
0
0
0
1
6
32
43
68
112
180
198
254
297
290
植物由来の医薬、誘導体などの製造方法の発明が多い。1999年以前は、
CSIRによるものが比較的多いが、その後、ジェネリック・ バイオテク社民間企業によるものが増加。山根『知
的財産権のグローバル化』230-231頁。国際特許分類はA61K医療用、歯科用または化粧用製剤、有機活性
成分を含有する医薬品製剤、炭水化物及びその誘導体を含み、当該発明が、多少とも医薬に関連する場合
は主分類あるいは副分類として付与される。
58
29
米国特許を取得したインドの上位製薬企業
First-Named Assignee
1999
2000
2001
2002
2003
Total
COUNCIL OF SCIENTIFIC AND INDUSTRIAL RESEARCH
36
37
58
120
133
38
~Individually Owned Patent
16
12
18
12
14
72
RANBAXY LABORATORIES LIMITED
4
4
8
7
8
31
DR. REDDY'S RESEARCH FOUNDATION
7
7
3
7
1
25
DABUR RESEARCH FOUNDATION
1
3
5
5
6
20
PANACEA BIOTEC LIMITED
4
2
3
2
1
12
NATIONAL INSTITUTE OF IMMUNOLOGY
3
1
3
2
0
9
TORRENT PHARMACEUTICALS LTD.
0
1
3
1
3
8
DR. REDDY'S LABORATORIES LTD.
0
0
0
0
7
7
ORCHID CHEMICALS & PHARMACEUTICALS LTD.
0
0
0
2
5
7
BIOCON INDIA LIMITED
0
0
1
0
4
5
Source: USPTO, www.uspto.gov
59
国際化と進路の選択
•
•
•
•
•
•
•
2010年特許切れへの期待
米国での訴訟
R&DからCROへ
時間枠の問題
収益
ライセンス
特許政策
60
30
医薬品特許に関するインドの最近の動向
1. 特許法3(d)に関する司法的判断
Chennai高裁2007年8月6日判決→恣意性憲法14条に
違反しない。TRIPS協定27
条違反か否かはWTO紛争処理の管轄
特許控訴委員会(IPAB)はグリベック拒絶査定に関
し「既知の効能の増大」とは「治療上」の特性を意
味すると判示。現在最高裁審議
2. タルセバの侵害事件で裁判所は差止を認めず。
Roche社は、効能(抗癌活性)について
Tarceva>イレッサ>メチル誘導体
であることを主張。
3.特許付与前異議申立
Combivir, Tenofovir(→IPAB)等
61
タルセバ(Roche v Cipla)
•
No.642/2008
裁判官は以下に言及し、 2008年3月19日差止請求を却下。
‐rule of caution (eBay 547 US 388(2006)4つの要件)
‐price difference (3倍)
‐16万9000人の患者の存在。
‐life-saving drugsの場合は憲法21条も関連。
‘In this background the court cannot be unmindful of the right of the general
public to access life saving drugs which are available and for which such
access would be denied if the injunction were granted… if the injunction
in the case of a life saving drug were to be granted, the Court would in
effect be stifling Article 21 so far as those would have or could have
access to erloticip are concerned.’
• No. 188/2008 デリー高裁大法廷 差止請求却下2009年4月24日
Cipla社は、B型結晶について記載の無い物質特許は医薬品として実
施できるよう記載されておらず、 記載の無い物質特許でB型結晶で実施
されているCipla社のジェネリック品に権利行使できないと主張。裁判所
は価格の問題に言及し,上記判決を支持。 また、特許の有効性、権利行
使可能性に疑いがある以上、公共の利益を考慮して、差止はできないと
した。
• 特許の有効性については未決定。
62
31
III. バイオ技術の研究開発の現実
63
バイオ技術
国家バイオテクノロジー発展戦略(2007年11月13日採択)ITに次ぐインドの
先端技術分野としての期待
バイオテクノロジー局(DBT)CSIR,DST,ICAR,ICMR,MHRD下の
奨励資金I(PPP, Agrifood, HealthScience Biotech clusters) GMO/LMO試験施設、ゲ
ノムバンク、化学ライブラリー
現在15,000人の科学者がバイオテクノロジー分野で雇用(米国
の研究所へのアクセスゆえ効率的。
多数省庁の関与→National Biotech Regulatory Authorities Bill 2008
生物資源・遺伝資源に対する規制と意識
Biogenericsが中心
IT政策のような効果はみられていない、ライフサイエンス先端
分野の遅れ
64
32
ゲノムバレー
• バンガロール、ハイデラバード、プーネの20社程度
の企業
• 民間R&D
• 実際はバイオ・ジェネリック
• 臨床とその分析(ソフトウェアの応用)
• 結局は製造受託(contract research
manufacturing, CRAMs)に?
• 技術革新が必要
• 遺伝子工学・バイオ特許に関する一般的な誤解や
混同が多い(CBDとの関係など)
65
インドのバイオテク・プロフィール例
特許/出願状況
Bharat Biotech
International
Biocon(public)
Nicholas Piramal
India
Shantha
Biotechnics
Wockhardt(public)
Panacea Biotec
(public)
主な製品
国際標準
売上
(百万ドル)
R&D投資
(%売上)
雇用
(括弧内はR&D
雇用)
20
B型肝炎膜
タンパク製
造方法等
韓国FDA
WHO GMP
10
20
300(50)
300(US15)
経口インシ
ュリン等
ISO9001,
USFDAGM
P,
CAP
180
12
2000(750)
36
(173出願中)
250ブランド
輸出
USFDA、UK CA,
TGA(オーストラ
リア)EMEA, カナ
ダ
300
4
6175 (390)
モノクロー
ナル抗体
16
N/A
25
500(70−80)
300
N/A
(350)
多種ワクチ
ン
WHOGMP
(ワクチン)
120
5
2300(280)
1US
150 出願中
7US,4カナダ
出典:Nature Biotechnology, Vol.25, No.4, April 2007
66
33
インドによるC12N特許公開数
1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
ARIPO
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
BR
0
0
0
1
0
0
3
1
0
4
0
3
2
2
CN
0
0
0
2
0
0
0
0
2
2
2
4
7
7
IN
7
5
21
10
12
17
10
14
46
25
0
0
0
0
MX
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
3
0
1
3
ZA
0
1
0
0
0
0
0
0
0
3
2
1
6
0
US
0
0
0
1
2
3
6
9
10
7
14
8
20
20
EP
0
0
0
0
0
2
2
6
0
5
5
11
12
32
JP
0
0
1
2
1
1
0
1
0
4
5
3
9
8
WO
0
0
0
0
1
1
8
5
8
7
21
19
38
33
C12Nは遺伝子工学発明の代表的な国際特許分類。微生物に関わる発明も含む。
67
バイオ技術製品の輸出入状況と予測 PK Ghosh, Asian
Biotechnology and Development Review,vol.11,2008, p.43.
Total
Sub Section of Biotech Piodburts
(Bs. In billion)
Product
Health
Agricul
Indus
Other
Billion
Billion
Avallabillty
Care
ture
trial
Biotech
Rs.
US$
Mode
Products
Local Production
53.85
40.6
38.5
2.7
135.65
3.16
Imports
12.65
1.00
4.10
1.15
18.90
0.44
20.45
0.48
Products Products
2007
Exports
15.95
1.10
2.10
1.30
Imports is % of
Local consumption
25%
2.5%
10%
45%
Local Production
120.5
69.3
55.2
5.2
253.2
5.89
Imports
10.9
2
5
1.3
19.3
0.45
57.2
1.33
2012 (Estimate)
Exports
47
4
3.5
2.7
Imports is % of
Local consumption
12.90%
3%
8.80%
19.10%
68
34
V. 模倣品の状況は?
69
中国とは異なる模倣形態と製品分野
http://www.kpmg.de/docs/Combating_Counterfeiting_and_Grey_Market_-_
A_Challenge_for_Indian_corporates.pdf
産業分野別模倣品市場シェア
しかしインド産は少ない
製薬品
7
繊維
12.5
工作機械
12.5
4
皮革製品
宝石貴金属
2
消費財
20
電気電子製品
化学製品
12.5
2
自動車部品
0
松島大輔
30
5
10
15
20
25
JETRO インド進出のための知財戦略アプローチ2009年9月 p.6
30
70
35
海賊版ソフトによる損失額推定
(単位百万ドル)
ほとんどが中国産
アメリカ
$9,143
中国
$6,677
ロシア
$4,125
インド
$2,768
フランス
$2,760
出典:BSA-IDC 2008 Global Piracy Study Whitepaper, May 2009
71
インドの模倣品は今後増加するか
•
•
•
•
•
諸説あり。商品・技術・ノウハウにもよる。
模倣品対策の法制度は整備されている
法執行・裁判所-時間がかかる
専門的な行政官が必要
専門的な情報と技術が必要
72
36
インドの偽薬対策
• 2008年薬事法改正:終身刑導入、保釈不可
• 2001年製薬の品質向上のための製造基準
• Schedule M(Good Manufacturing Practices
)を更新
• インド政府は同時に、偽薬(spurrious drug),
counterfeit (主として商標権違反)とジェネリックの
概念につきWHOでジェネリック擁護戦略を展開。
• 通過貨物(トランジット)取締についてEUと対立
73
V. インド市場の将来像
と日印関係
74
37
中・高所得層の拡大(1985-2001年度)
Source: USPTO, www.uspto.gov
(出典)NCAER, Indian Market Demographics Report 2002,
do., The Great Indian Middle Class, 2004
在印日本国大使館作成
75
直接投資規制のさらなる緩和
2006年プレス・ノート シングルブランド小売、
エネルギー・鉱業資源等(出資率100%可)
http://siadipp.nic.in/policy/changes/pn4_200
6.pdf
http://siadipp.nic.in/policy/policy/policy.htm
• 競争の激化
• 複雑な税制、インフラ整備の遅れ、市場が
マッチしない等の困難
• 適切な交渉ルートの選択、理論武装必要
76
38
日本の対印直接投資の推移
(1997-2008年、暦年)
6,000
5,000
億円
4,000
3,000
2,000
1,000
0
1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
年
(出典)日本財務省資料、在印日本国大使館作成
77
日印貿易の内訳(2008年度、%)
日本からインドへの
主な輸出品目
その他, 14.3%
その他の化学製品, 1.6%
精密機器類, 2.1%
一般機械, 33.5%
プ ラ スチック, 2.5%
元素及び化合物, 4.1%
石油及び同製品, 6.5%
輸送用機器, 6.8%
鉄鋼, 11.8%
(出典)日本財務省資料・在印日本国大使館作成
電気機器, 16.7%
78
39
日印貿易の内訳(2008年度、%)
インドから日本への主な輸出品目
石油及び同製品, 16.7%
その他, 17.8%
電気機器, 2.8%
一般機械, 3.4%
金属鉱及びくず, 16.2%
織物用糸及び繊維製品, 3.5%
衣類及び同付属品, 4.2%
元素及び化合物, 5.8%
飼料, 9.1%
魚介類及び同調整品, 6.2%
非金属鉱物製品(ダイ ヤモン ド
鉄鋼, 7.8%
等), 6.5%
(出典)日本財務省資料・在印日本国大使館作成
79
今後の課題
•
•
•
•
信頼構築には何が必要か
ユーザーに対する情報サービス
インドの特許保護制度には、国内のイノベー
ション奨励制度としての正統性と大胆な改革
が必要
知財保護制度を積極的に技術革新に役立て
るよう協力が必要
法的予見性と安定性の確保
80
40
यार, ताकत, साहस और
स मान
ध यवाद
ご清聴ありがとうございました
81
41
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