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現場で活かせるスーパービジョン

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現場で活かせるスーパービジョン
現場で活かせるスーパービジョン
スーパービジョンの必要性と方法について
(事例検討型・振り返り参加型・課題焦点型)
沖縄大学
島村 聡
平成27年5月
講義の内容
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
講義の内容
1 スーパービジョンの意義
2 スーパービジョンの実情
3 場面と類型から考える
スーパービジョンの方法
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
1 スーパービジョンの意義
① なぜスーパービジョンなのか
② スーパービジョン関係
③ スーパービジョンのプロセス
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
なぜスーパービジョンなのか
対人援助を内容としたSW活動は利用者の
課題を環境も含めた全体としてとらえ、また、
その解決方法も本人だけでなく幅広い環境
への働きかけを通して見出すことになる。
しかし、それはとても困難なことであり、援助
がうまく行かないときに個々の力だけで打開
策を見出すことは益々難しい。
そこで、自分の援助をスーパーバイザーの力を
借りて客観的に捉え直し、知識や技術面およ
び感情面の課題に気付きを得る必要がある。
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
スーパービジョン関係
スーパー
バイザー
1 支持的機能
S.Shimamaura NAHA city office 2006
援助者
(スーパー
バイジー)
2 教育的機能
当事者
3 管理的機能
スーパービジョンのプロセス
相談支援のプロセスと同じ
躓いている点をSVEの話から想定する
問題の発見
catch
SVEと話し合い、SVが
支援していく方法や範
囲を決める
協議
見守り
conference
monitoring
介入
intervention
SVEの状態を見て必要に応じた助言や
同行を行う
S.Shimamaura NAHA city office 2009
SVEに支援の経過など
報告を求める
2 スーパービジョンの実態
① 塩村らによる調査(2000年)
② 野中が示した合意点(2009年)
③ 社会福祉士会による調査(2012年)
④ 「支援」には「課題」が不可避
⑤ 業務の一環としてのスーパービジョン
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
スーパービジョンと似た要素をもつ活動
「従来文献等で紹介されてきたようなスーパ
ービジョンは社会福祉現場では実践されて
いないし、理解度も低いが、随時指導、職場
内研修、ケース検討会などスーパービジョン
と似た要素をもつ活動は行われているという
ことであった。」
塩村公子『ソーシャルワーク・スーパービジョンの諸相』中央法規(2000,p20)
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
スーパーバイザーが持つべき3つの要素
① 組織化する技術(スーパーバイザーとス
ーパーバイジー間の契約、目標定義の共
有など)
② 個人の性格(柔軟性、オープンさ、専門
性への明確なアイデンティティ、支持的態
度など)
③ 知識(様々な技法、スーパービジョンや
カウンセリング理論についての知識など)
塩村(2000,p 116)に紹介されているHellman による定義
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
スーパービジョンをめぐる合意点
1.スーパービジョンという概念は、
多様な領域の多様な専門職がかなり恣意的に用いている。
2.医療保健福祉領域では、管理よりも教育機能として使用。
成果は対象者の専門職としての成長。
3.教育責任の所在は、組織か機関かバイザーかはいろいろ。
4.形態と方法は、職種や領域によって異なり、
当然に、その領域の固有の視点や方法を重視する。
5.一部の領域では、標準化して、認定方式を採用している。
6.しかし、バイザー個々の方法や技術は、かなり個別的である。
7.その職種、その領域は、
自らが教育システムを発展させる責任があろう。
8.いずれにせよ、バイジー中心主義、コミュニケーション方法、
実務と並行する作業などの特徴がある。
(野中猛、2009)
スーパービジョンは半数が受けた経験あり
あり
なし
実施頻度は、1ヶ月に1回が約4割であった。
以下のスライドは下記報告書から抜粋した内容である
「社会福祉士の専門的な実践力の向上と活動領域の拡充に関する調査
研究事業報告書」社団法人 日本社会福祉士会 社会福祉推進事業スー
パービジョン委員会、2012 年3月
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
スーパービジョンの効果は期待できる
あり
プラスになったことは?
①新たな視点、気づきが得られた
②自信が持てた、不安が解消された
③視野が広がった、考え方の幅が広がった、客観
的に見られるようになった、
④専門職としての意識や技術の向上につながった
⑤ふりかえり、自己覚知ができた
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
スーパービジョンの課題はスーパーバイザー
あり
マイナスになったことは?
①スーパーバイザーとの関係悪化
②現場と乖離したアドバイス、的はずれ(相談支援
知識があるとは限らないため)
③批判的指摘、知識の押しつけ
職場外でのスーパービジョンにおいてはマイナス
になったという回答はなかった。
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
スーパービジョンは職場環境に左右される
スーパービジョンを
受けられない理由
なし
①上司や職場の理解がない、SV が何か分かっ
ていない
②バイザーがいない、職場に受ける環境がない
、機会やきっかけがない、受け方が分からない
③忙しい、時間がない
④意欲がない、必要でない、他の手段で足りる
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
スーパーバイザー経験者は約3割
あり
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
なし
スーパーバイザーは教育的改善に充実感
あり
スーパービジョンを行って
プラスになったこと
①スーパーバイジーの専門職としての意識や技術の向
上につながった
②職場の業務における様子や職場環境が改善された
③スーパーバイジーの課題の整理、気づきの促し、自
信などにつながった
④スーパーバイザー個人の資質の向上、課題の明確
化につながった
⑤ケースの方向性が決まった、問題解決につながった
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
反面、スーパーバイザーは大きな不安
あり
スーパービジョンを行って
マイナスになったこと
①力量不足でスーパーバイジーの理解が得られない
②理解されず職場内がギスギスになった
③相手がスーパービジョンを求めていない
④効果が実感できない
⑤スーパーバイジーが頑固で意見を聞かない
⑥価値についての一致が図れず徒労感が残った
⑦スーパーバイジーの業務に変化なし
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
支援には課題が不可避である
知識
相互に作用
技術
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
倫理
スーパービジョンを業務の一環とするために
① 職人芸的な高い技術
⇒職場内で可能なレベルで
② 長時間を要する
⇒取れる時間内で
③ 繰り返し行う必要性
⇒負担のない頻度で
ともかく実施することが大切
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
3 場面と類型から考える
スーパービジョンの方法
① スーパービジョンの場面と類型
② スーパービジョンの3つの方式例
場面と類型から、それぞれの良さを
引き出せば、単機能だが取り組みや
すいスーパービジョンが可能となる
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
スーパービジョンの場面
ロールプレイ
グループで実際の登場人物になって利用
者や関係者の立場を確認する
面接による再現
SVがワーカー役となり、SVEが利用者
や関係者となることで振り返りをする
ケースカンファレンス
グループで本事例について多面的な視
点から検討を行いアプローチ方法を探る
グループワーク
グループで事例を持ち寄り検討を行う中
でお互いの気づきを共有していく
S.Shimamaura NAHA city office 2009
スーパービジョンの類型
個人
グループ
ライブ
ピア
セルフ
S.Shimamaura NAHA city office 2006
○ケースの掘り下げがしやすい
×専門的なSVの確保が難しい
○グループでの共感が生まれる
×個人的感情が出しにくい
○具体的な助言が得られる
×SVの力量が問われる
○親しみやすく入りやすい
×単なる友人関係になりやすい
○すぐに取組め振り返り効果が高い
×継続していく動機付けが必要
3つの方式例
方式
特徴
事例検 大人数でも可能
討会型 1時間半~2時間半
困難事例の解決
振り返り 10人以下が適当
参加型 1時間程度
技術と理念の向上
課題焦 3人で実施
一人20~30分
点型
支持と視野の拡大
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
バイザー
専門性に
より左右
バイジー
他職も参加可能
事例提供者が鍵
専門性は
ほどほど
同じ職場が適当
過去事例に限る
専門性は
不要
普段の仲間
事例は使わない
ケア会議(事例検討)の構造
見立てのプロセス
手立てのプロセス
①事例の概要把握
⑤支援計画の策定
役割分担
事例の輪郭を掴む
②全体像把握
「質問」と「答え」の循環
④支援目標の設定
生活情報を多面的に把握
アイデアの具体化
類似情報の分類・整理
アイデアの連鎖
情報の要約・洗練・統合
アイデアの提示
実行可能な支援
事例理解の深まり
目標の順序設定
③評価
「現状の査定」と「背景の理解」
「主要主題の把握」
事例情報の共有化
野中猛 2012
「事例検討会」型とは
② SV (バイザー)がホワイトボードに事例を展開する
① SVE(バイジー)が事例
を説明する
③ 参加者がSVEに意義ある質問をする
④ 参加者の質問に答える
⑤ 参加者の質問やSVEの回答
に対してSVから助言する
⑦ SVEの感想で気づきの共有
⑥ 参加者全員で解決策の提示
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
事例検討の時間配分(グループ討議の場合)
1
2
3
4
5
6
7
8
合計 2時間半
演習の進め方説明 10分
自己紹介と役割決定 5分
事例の紹介 15分
グループ内で質問の出し合い 15分
疑問点を全員が発言し記録者がまとめる
質問と回答 30分
各グループ発表者から質問し全体共有する
講師による質問のポイントまとめ 15分
どのような観点で質問をするべきか
グループ討議 30分
どのような対応をすべきかを検討する
各グループから発表 30分
発表者から結果とその理由を発表
S.Shimamaura NAHA city office 2009
事例検討の意義
1 事例を深める
2 実践を追体験する
3 援助を向上させる
4 援助の原則を引き出す
5 実践を評価する
6 連携のための援助観や援助方針を形成する
7 援助者を育てる
8 組織を育てる
S.Shimamaura NAHA city office 2009
岩間伸之「援助を深める事例研究の方法(第2版)」2005
困難事例となる要因は
利用者
援助者
障害特性、疾患、性格、体格、性別、年齢
環境
知識、技術、情緒(経験)
利用者の家族、親族、友人、地域住民、学校、職場、サービス機関、行政機関
S.Shimamaura NAHA city office 2009
援助者が困難事例にしてしまう?
生活課題は
自分が解決す
る
どんな問題でも
すべて解決する
利用者は
このままでは
よくない
ケアマネとして
理想を目指す
この事案は
苦手だ
この利用者は
多分こんな感じ
S.Shimamaura NAHA city office 2009
ホワイトボード(左)
事例の課題
ジェノグラム・エコマップ
頼りにしていた父の死後、統合失調症
となり、離婚や自営業の廃業を経験。
金銭を管理し自立しようとする母と対
立しているが理解を得られない
相談支援
専門員
基本情報
民生
委員
保健師
デイケア
47歳男性
統合失調症でA病院入院し現在外来
中(精神保健福祉手帳2級)
精神科
医A
70
自治会
役員
利用中のサービス
43
A病院デイケア
48
相談支援専門員の訪問
住まいの間取り
デイケア
仲間
友人
44
45
地域の状況
1800mm
S.Shimamaura NAHA city office 2010
比較的静かな住宅街でかつては農村であった。そのため旧来から
の居住者間では付き合いが盛んだが、新しく居住してきた者との交
流は全くない。この世帯は商売をしていたので近所とのつながりは
ある。しかし父の死後はめっきり人が立ち寄らなくなった。
ホワイトボード(中)
生育歴
1日の生活サイクル
10
12
15
16
17
19
20
23 24
24
30
34
38
39
42
43
45
スーパー閉店
再入院
離婚(
妻は韓国へ)
発病 入・院
父死亡 母入院
退職し父のスー
パーを継ぐ
結婚(
子供なし)
旭食品就職(
営業)
S.Shimamaura NAHA city office 2010
23
1年間の放浪旅行
自営業をしてきたので本人の金銭管理能力はあ
ると考えられる。症状が悪くなると金遣いが荒くな
ることから、服薬の安定が鍵である。幸い信頼で
きる医師とのキャッチボールは順調である。また、
対立していた弟とその妻が父の死後に本人へ電
話をするなど関わりを持つようになり、キーマンと
して期待ができる。
大学卒業
就寝
入浴(
毎日)
読書(
TV見ない)
夕食
散歩(
週3回)
デイケア終了
実習終了
昼食
就労移行実習(
火木)
デイケア(
月水金)
起床
想いや希望・強さ(本人・環境)・可能性
22
現在
9
出生
8
本人・周囲の課題
本人は年金管理を自分で行えば自立できると考え
ているが母がそれを拒否した。母を説得するだけの
覇気はみられない。母は最近亡くなった夫の言葉通
り本人の面倒をみようと決めているので周囲の意見
を聞かない。
ホワイトボード(右)
本人
急ぐ
急がない
まわり
S.Shimamaura NAHA city office 2010
質問のポイントのまとめ
1 基本的な事項の確認
住所、氏名、生年月日、性別、要介護度、障害の内容、
経済状況、家族状況
2 関係者と関わりの内容の整理
相談経路と繋がれ方、現在受けているサービスとケアの内容、
関わっている機関と関わりの内容、支援の経過
3 本人・家族の生活ぶりの確認
本人と家族の生活の流れ、態度、周辺との関係
4 事例の特徴
本人と家族の想い、周囲の想い、周囲の関わりの多さ
5 社会資源の確認
使える資源と機能、キーマンの存在と可能な役割
6 相談員の見立て
支援していてどう感じますか?を返す
S.Shimamaura NAHA city office 2010
聞き方のまとめ
1 具体化させる
何時間?距離は何キロ?頻度は週何回?量は何本?
2 イメージさせる
身長、体重、服装、食事の好み、好きな場所、趣味嗜好
3 事実を確認する
未確認情報?他者からの伝達?診断内容?
4 理由を明らかにする
なぜ?何のために?どんな気持ちで?生育歴と関係?
5 埋もれた記憶を呼び覚ます
本当にそうでしたか?誰も関わっていませんか?
6 ポイントとなりそうな点を掘り下げる
本人はどんな気持ち?なぜそう感じる?
S.Shimamaura NAHA city office 2010
具体策の検討方法まとめ
1 現状に捉われない
出来ないと決め付けず可能性を検討する
2 見方を変えてみる
リフレーミング 「神経質は細やか」、「大雑把はおおらか」
3 複数の目線を盛り込む
パーキングエリア 反対の意見も無視せず折り合いを付ける
4 ない資源は創り出す
地域の空き家、相対売りのお店、宅配業者
5 ネットワークはどんどん活用・改善
同級生、同郷、会議のメンバー修正、情報共有の確認
S.Shimamaura NAHA city office 2011
行き詰った事例でも
1 顔を合わせて話し合えば状況が変わる
「これだけ多くの人が前向きに考えている」
2 時間が経てば考え方が変わる
「もうそろそろいいのではないか」
3 万策尽きれば開き直りが出てくる
「今以上に悪くなることはない」
4 意図しない新たな支援の道が出ることも
協力的でないと考えていた親族からの申し出
5 本人の僅かな変化に注目する
特定の人には暴力を振わなくなった
S.Shimamaura NAHA city office 2009
「振り返り参加」型とは
② SV (バイザー)がホワイトボードにメモをとり
参加者に自分ならどう
対応したか尋ねる
① SVE(バイジー)が過去事例
を簡単に説明し、当時の自分の
対応でポイントになった点を話す
③ 尋ねられた数名の参加者が
自分の「対応」を答える
④ 参加者の意見を聴き、SVE
が自己の対応の意図を説明する
⑥ SVは、参加者の意見が出た背
景とは何かを参加者に投げ返し、
一定の意見を得てから別のポイント
に話題を移す
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
⑦ SVEの感想で気づきの共有
「振り返り参加」型のスーパービジョン
① SVE(バイジー)が過去事例を簡単に説明し、当時の自分の対
応でポイントになった点をいくつか話す 5分
② SV (バイザー)はホワイトボードにメモをとり、参加者に一つ目
のポイントについて自分ならどう対応したか尋ねる 5分
③ 尋ねられた数名の参加者が自分の「対応」を答える 5分
④ SVEはその意見を聴き、自己の対応の意図を説明する 5分
⑤ SVは、SVEの説明の意図を支持しつつ、参加者の意見が出
た背景とは何かを参加者に投げ返し、一定の意見を得てから別
のポイントに話題を移す 10分
⑥ SVEの感想で気づきの共有 5分
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
「振り返り参加」型のスーパービジョン進行例①
S
V
E
この事例は、うつ傾向にある50代男性の就労支援を行った時に
当初考えていた男性の希望に沿った支援と最終的な方向性が
全く異なったことから取り上げて頂いた。ポイントは最初の情報
の取り方と、中間点での男性へのアプローチの方法にあったと考
えています。
S
V
参加者AさんとBさん、最初の情報の取り方について、ご自身な
らどうされたでしょうか?
A
私なら、もっと他の職種からの情報を得ていたかもしれません。
例えば、通っていたクリニックのスタッフから。
B
私は、もう少し本人と時間を掛けて向き合ってみたと思います。
S
V
SVEさんは、その時、AさんBさんのような対応を考えましたか?
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
「振り返り参加」型のスーパービジョン進行例②
S
V
E
はい。ただ、クリニックからの情報は本人が拒否して得にくいと感
じていました。本人との話し合いが足りなかったかもしれませんが、
当時の自分の中ではそれでいっぱいいっぱいでしたね。
S
V
どのようにすれば本人ともっと向き合えたのか?について、Aさん、
Bさんからご意見をお願いします。
A
SVEさんは就労支援担当の立場なので、本人も就労に関するこ
としか話す気持ちになれなかったのではないですか?
B
50代ということから、若いSVEさんに自分を開示することをため
らっていたとも考えられます。
S
V
SVEさんは、その時どのような声がけや態度をとっていました
か?
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
「振り返り参加」型のスーパービジョン進行例③
S
V
E
最初は希望される職種や就業条件の話から入り、必要な資格や
技術のこと、そしてうつ病の程度を聴く形になっていました。自分
の中にも年長の人との対話に苦手意識がありますね。
S
V
どのようにすれば良かったと思いますか?
S
V
E
仕事の話の前に不安なことや希望していることからお聴きすれば
良かったですし、同年代の班長に同席を求めても良かったですね。
S
V
結果的にどうなったかも教えて頂けますか?
S
V
E
本人の負担感が同居している母親の介護問題にあることが終盤
になって分かり、介護保険の手続きなどをケアマネを通してお願
いしたところ、デイサービスの利用が決まりました。現在は農場で
の軽作業をしておられ、安定雇用につながっています。
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
「振り返り参加」型のスーパービジョン
特徴まとめ
①複数のポイントを挙げても大抵はポイントは一つ
この事例でも中間点での本人との向き合いは最初の向き合いに集約される
②SVEの振り返り課題は他のメンバーにも相通じる
苦手意識や不得手なところ、ありがちな見落としなど
③SVEに緊張感を与えないで済む
過去事例なので、SVEはどうすべきだったか薄々分かり、答えが出しやすい
④職場内の関係者向き
同職場など、ある程度の関係性のあるメンバーの方が言い合いがしやすい
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
課題焦点型のスーパービジョンとは
・SVEが悩みと感じていることを出してもらい
・SVEの課題や強みを具体的にしていき
・観察者の感想で気づきの共有することで
・技術的問題か、知識不足か、情緒面かを
SVE自身が整理する方法である
S.Shimamaura NAHA city office 2011
課題焦点型のスーパービジョン
SV
観察者
SVE
SVEの課題に着目して5W1Hを使い具体化する
(20分)その際にSVE自身の課題を黒色で、 SVE
の気持ちを赤色で、Ctの転機となったことを青色
のキーワードとしてホワイトボードに記していく
発言はせず、SVの聴き方やSVEの答え方を観
察し、終了後に気づいた点を伝える(8分)
SVに自分の抱える課題を端的に説明する(2分)
SVからの質問に具体的な場面が伝わるようにかつ
端的に答える。
S.Shimamaura NAHA city office 2009
狙いは SVEの「癖」を掴む
その相談支援者自身が持つ傾向がある
例えば
1. 支援会議が苦手なので避ける傾向
2. 医療知識がなく医療チームの言われたまま
3. 知識の豊富な分野の問題だけ突っ込む
4. 強烈なCtに迎合したり避ける傾向
5. 面倒なので地域の資源を遮断してしまう
S.Shimamaura NAHA city office 2011
課題焦点型のスーパービジョン 留意点
・クライアントと向き合う時の自分の課題を
話すこと!事例検討にならないこと!!
・事例は特に使わなくてよい。
・もし思い浮かべるのなら、過去の事例や
煮詰まったものがいい
・ファシリテーターは事例検討の流れになり
かけた時点ですぐにSV役に流れを戻すよ
う指示すること
S.Shimamaura NAHA city office 2012
課題焦点型のスーパービジョン 進め方
1 Sveは3行で自分の課題(事例の課題ではない)を
話し、SvはそれらをWBに黒色で書く。計2分
2 Svは事例の内容に囚われず、 Sve自身が課題と感
じている点に関するCtとのやり取りの場面を再現さ
せ、ポイントなる点を赤色で書く。
3 SveはCtや事業者との会話や場面を正確に伝え、
SvはCt の転機となるSveの意図的な取り組みを青
色で書く。
4 Svはその時の本人や家族、周囲の事業者など
がどう感じていたかをSveに尋ねる。
5 観察者からコメントをもらう。
6 最後にSveから何に気づいたか話してもらう。
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
「課題焦点」型のスーパービジョン進行例①
S
V
E
私は、利用者にどうやって相談支援専門員を理解してもらえるか
いつも不安です。特に初回訪問が重荷ですね。
S
V
それは、どのような利用者でも同じですか?
S
V
E
いえ、敢えて言えば年上の高圧的な感じの人ですね。
S
V
Aさんは30歳くらいですから、40代以上の方ですね。
S
V
E
もう少し上かもしれません。特に男性です。
S
V
トラウマがあるとか?
S
V
E
自分の中では特に思い当たらないのですが・・・・
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
「課題焦点」型のスーパービジョン進行例②
S
V
最近の不安を感じた場面を思い出して見てください。利用者の
言葉や態度で印象に残っていることはありませんか?
S
V
E
50歳くらいの男性で私の顔を見るなり、お前のような金持ちに俺
の気持ちが分かるか?と一蹴されました。
S
V
なぜ、男性はそう言ったと思いますか?
S
V
E
うーん。多分、私が若くてチャラチャラしたように見えたから?
S
V
Aさんはその時どんな態度をとっていましたか?
S
V
E
ただ、言われたまま下を向いていました。
S
V
辛かったでしょうね。どんな態度をとるべきだったでしょうか?
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
「課題焦点」型のスーパービジョン進行例③
S
V
E
もしかしたら、自分の気持ちを伝えても良かったんでしょうか?
「ちょっと辛いなあって」
S
V
そうかもしれませんね。寂しい気持ちの裏返しが彼の拒否的態度
につながっていたとしたら。
S
V
E
気持ちをうまく返してあげることが出来ていなかったということで
すね。なんだかスッキリしました。ありがとうございました。
S
V
はい。おそらく、相手がどんな利用者でも言えることかもしれませ
んね。それでは観察者の方から、見ていての感想を頂きたいと思
います。
観
察
者
・・・・・・
S.Shimamura Okinawa univ. 2015
さらに、 技術的問題か、知識不足か、情緒面か
A) 何となく避けてきたこと、苦手なこと、面倒なこと
B) 「だろう」で済ませたこと、意外な展開だったこと
概ねだが、
A)のような場合・・・知識、技術面での学習
B)のような場合・・・倫理面(初心に帰る)
S.Shimamaura NAHA city office 2011
SVEの感想で気づきの共有
SVを受けてみて自分の変化
これまで本人を中心に支援を組み立てようとするあまりに母親の気持ちや弟とその妻の変化に気づかず、そ
れら家族を一体としてみることが出来ていなかった。母親への言葉掛けと兄弟との話し合いの中で本人が言
葉を発する機会を増やし、もっと本人の強さを周囲に感じてもらうことにしたい。さらに、母親が地域の住民と
の関係作りを進められるように自治会行事に引き込んでもらうよう役員にお願いしたい。母親の鬱的な症状
については専門家のアドバイスを受けられるようにしたい。
改善してみたいこと
技術
面接力(本人や家族の想いをさらに引き出すアクセントのあるやりとり)
家族全体を見通す力(ジェノグラムやエコマップを描き関係を掴んで方針を立てる)
知識
鬱に関する知識(認知症の知識はあるが精神症状全般の知識不足で判断ミスがある)
家族支援の方法論(家族のダイナミズムとは?様々な支援の実例を知りたい)
情緒
本人の感情だけに引き摺られずに家族各々の立場に立って考える姿勢
S.Shimamaura NAHA city office 2010
最後に振り返りをしてみよう
1 スーパービジョンを行ってみてどうだったか 5W1H、質問の仕方等
2 スーパービジョンを受けてみてどうだったか 気づき、やる気等
3 双方を通じて感じたことは何か 今後の取り組み、職場での展開
S.Shimamaura NAHA city office 2011
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