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(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 SR − BIの活性を改変する化合物を

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(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 SR − BIの活性を改変する化合物を
JP 3913274 B2 2007.5.9
(57)【 特 許 請 求 の 範 囲 】
【請求項1】
SR−BIの活性を改変する化合物をスクリーニングする方法であって、
該化合物を、非ヒト動物、単離された細胞または単離された組織に投与する工程、および
高密度リポタンパク質に結合または複合体化したコレステリルエステルもしくは脂質の、
SR−BI媒介結合またはSR−BI媒介輸送を測定する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記化合物が、組織特異的プロモーターおよび組織内でSR−BIの過剰発現を生じるプ
ロモーターからなる群から選択される調節分子の制御下でSR−BIをコードするヌクレ
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オチド分子を導入することにより、非ヒト動物、単離された細胞または単離された組織に
投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非ヒト動物、単離された細胞または単離された組織が、ApoEが欠損している動物
、単離された細胞または単離された組織、LDLレセプターが欠損している動物、単離さ
れた細胞または単離された組織、改変されたレベルのリポタンパク質リパーゼを有する動
物、単離された細胞または単離された組織、改変されたレベルの肝リパーゼを有する動物
、単離された細胞または単離された組織、Apo A1もしくはApo A2が欠損して
いる動物、単離された細胞または単離された組織、LRPの発現が遺伝的に欠損している
動物、単離された細胞または単離された組織、および家族性高コレステロール血症を有す
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る動物、単離された細胞または単離された組織、からなる群から選択される、請求項2に
記載の方法。
【発明の詳細な説明】
発明の背景
本 発 明 は 、 一 般 に 、 SR-BIス カ ベ ン ジ ャ ー レ セ プ タ ー を 介 す る コ レ ス テ ロ ー ル 輸 送 調 整 の
領域に関する。
合 衆 国 政 府 は 、 国 立 衛 生 研 究 所 − 国 立 心 臓 、 肺 お よ び 血 液 研 究 所 か ら の 認 可 HL41484、 HI52212、 お よ び HL20948の 結 果 と し て 、 本 発 明 に 特 定 の 権 利 を 有 し て い る 。
循環系を通じる脂質の細胞内輸送は、これらの疎水性分子の、リポタンパク質と呼ばれる
水溶性キャリア中へのパッケージング、およびレセプター介在経路による適切な組織への
10
これらリポタンパク質の制御された標的化を必要とする。最も良く特徴付けられたリポタ
ン パ ク 質 レ セ プ タ ー は LDLレ セ プ タ ー で あ り 、 こ れ は 、 ア ポ リ ポ タ ン パ ク 質 B-100( apoB-1
00) お よ び E( apoE) に 結 合 し 、 こ れ ら は 、 ヒ ト 血 漿 ( plasma) 中 の 主 要 な コ レ ス テ リ ル エ ス テ ル ト ラ ン ス ポ ー タ ー で あ る 低 密 度 リ ポ タ ン パ ク 質 ( LDL) 、 肝 臓 に よ り 合 成 さ れ る
ト リ グ リ セ リ ド -リ ッ チ な キ ャ リ ア で あ る 極 低 密 度 リ ポ タ ン パ ク 質 ( VLDL) 、 中 間 密 度 リ
ポ タ ン パ ク 質 ( IDL) 、 お よ び 異 化 さ れ た カ イ ロ ミ ク ロ ン ( 食 餌 ト リ グ リ セ リ ド -リ ッ チ キ
ャリア)の構成成分である。
LDLレ セ プ タ ー 遺 伝 子 フ ァ ミ リ ー の す べ て の メ ン バ ー は 、 同 じ 基 礎 構 造 モ チ ー フ か ら な る
。 約 40ア ミ ノ 酸 の リ ガ ン ド 結 合 性 ( 補 体 型 ) シ ス テ イ ン -リ ッ チ 反 復 は 、 2 ∼ 1 1 の 反 復
を 含 む ク ラ ス タ ー ( リ ガ ン ド -結 合 性 ド メ イ ン ) 中 に 配 置 さ れ る 。 リ ガ ン ド 結 合 性 ド メ イ
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ン に は 、 常 に 、 EGF-前 駆 体 相 同 ド メ イ ン が 続 く 。 こ れ ら の ド メ イ ン で は 、 2 つ の EGF様 反
復 が 、 YWTDモ チ ー フ を 含 む ス ペ ー サ ー 領 域 に よ っ て 、 第 3 の EFG-反 復 か ら 分 離 さ れ て い る
。 LRPお よ び gp330で は 、 EGF-前 駆 体 相 同 ド メ イ ン に は 、 別 の リ ガ ン ド 結 合 性 ド メ イ ン ま た
は ス ペ ー サ ー 領 域 の い ず れ か が 続 く 。 EGF-前 駆 体 相 同 ド メ イ ン は 、 原 形 質 膜 に 先 行 し 、 0連 結 糖 ド メ イ ン ( LDLレ セ プ タ ー お よ び VLDLレ セ プ タ ー 中 ) 、 ま た は 1 つ ( C.elegansお よ
び gp330中 ) ま た は 6 つ の EGF-反 復 ( LRP中 ) の い ず れ か に よ り 、 単 一 膜 ス パ ン セ グ メ ン ト
から分離される。細胞質テイルは、被覆されたピット中のレセプターのクラスター化に必
要 な 1 ∼ 3 の 「 NPXY」 イ ン タ ー ナ リ ゼ ー シ ョ ン 信 号 を 含 む 。 分 泌 経 路 の 後 の 画 分 に お い て
、 LRPは 、 第 8 番 目 の EGF-前 駆 体 相 同 ド メ イ ン 内 で 切 断 さ れ る 。 こ の 2 つ の サ ブ ユ ニ ッ ト L
RP-515お よ び LRP-85( 括 弧 内 に 示 さ れ る ) は 、 き つ く か つ 非 共 有 結 合 的 に 結 合 し た ま ま で
30
あ る 。 ビ テ ロ ゲ ニ ン レ セ プ タ ー お よ び gp330の 部 分 ア ミ ノ 酸 配 列 の み が 入 手 可 能 で あ る 。
LDLレ セ プ タ ー 、 お よ び 結 合 そ し て あ る 場 合 に は エ ン ド サ イ ト ー シ ス 、 接 着 、 ま た は シ グ
ナリングを仲介する大部分の他の哺乳類細胞表面レセプターは、2つの共通のリガンド結
合性特徴:高い親和性および狭い特異性を示す。しかし、2つの付加的なリポタンパク質
レセプターが同定され、それらは高い親和性および広い特異性により特徴付けられる:マ
ク ロ フ ァ ー ジ ス カ ベ ン ジ ャ ー レ セ プ タ ー I型 お よ び II型 。
ス カ ベ ン ジ ャ ー レ セ プ タ ー は 、 ア セ チ ル 化 LDL( AcLDL) お よ び 酸 化 LDL( OxLDL) の よ う な
、化学的に改変されたリポタンパク質のエンドサイトーシスを仲介し、そしてアテローム
硬 化 症 の 病 因 に 関 連 し て い る ( kriegerお よ び Herz、 1994 Annu. Rev. Biochem. 63、 601637; Brownお よ び Goldstein、 1983 Annu. Rev. Biochem. 52、 223-261; Steinbergら 、 19
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89 N. Engl. J. Med. 320、 915-924) 。 マ ク ロ フ ァ ー ジ ス カ ベ ン ジ ャ ー レ セ プ タ ー は 、 マ
レ イ ン 酸 化 BSA( M-BSA) お よ び 特 定 の ポ リ ヌ ク レ オ チ ド お よ び ポ リ サ ッ カ ラ イ ド の よ う な
、広範な種類のポリアニオン、ならびに通常でないリガンド交差競合による阻害を含む、
複 雑 な 結 合 特 性 を 示 す ( Freemanら 、 1991 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 88、 4931-493
5、 Kriegerお よ び Herz、 1994) 。 幾 人 か の 研 究 者 は 、 哺 乳 類 マ ク ロ フ ァ ー ジ 上 で 発 現 さ れ
るこのようなレセプターの少なくとも3つの異なるクラスが存在し得ることを示唆してお
り 、 こ れ は AcLDLま た は OxLDLの い ず れ か 、 ま た は こ れ ら リ ガ ン ド の 両 方 を 認 識 す る レ セ プ
タ ー を 含 む ( Sparrowら 、 1989 J. Biol. Chem. 264、 2599-2604; Araiら 、 1989 Biochem.
Biophys. Res. Commun. 159、 1375-1382; Nagelkerkeら 、 1983 J. Biol. Chem. 258、 12
221-12227) 。
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精製されかつクローン化された最初のマクロファージスカベンジャーレセプターは、哺乳
類 I型 お よ び II型 レ セ プ タ ー で あ っ た 。 こ れ ら は 、 そ の 細 胞 外 ド メ イ ン が α -ら せ ん の 超 コ
イ ル ( coiled-coil) 、 コ ラ ー ゲ ン 状 構 造 、 お よ び 球 状 構 造 を 含 む と 予 想 さ れ て い る 三 量
体 統 合 膜 糖 タ ン パ ク 質 で あ る ( Kodamaら 、 1990 Nature 343、 531-535ら 。 1990、 Nature 3
43、 570-572; Kriegerお よ び Herz、 1994) 。 I型 お よ び II型 レ セ プ タ ー に よ り 共 有 さ れ る
コ ラ ー ゲ ン 状 ド メ イ ン は 、 ポ リ ア ニ オ ン 型 リ ガ ン ド の 結 合 を 明 ら か に 仲 介 す る ( Actonら
、 1993 J. Biol. Chem. 268、 3530-3537; Doiら 、 1993 J. Biol. Chem. 268、 126-2133)
。 I型 お よ び II型 分 子 は 、 単 一 遺 伝 子 の 代 替 ス プ ラ イ シ ン グ の 産 物 で あ り 、 以 後 、 ク ラ ス A
ス カ ベ ン ジ ャ ー レ セ プ タ ー ( SR-AIお よ び SR-AII) と 称 す る 。 AcLDLお よ び OxLDLの 両 方 に
結 合 す る ク ラ ス Aレ セ プ タ ー ( Freemanら 、 1991) は 、 宿 主 防 御 お よ び 細 胞 接 着 、 な ら び に
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ア テ ロ ー ム 発 生 に 関 連 す る と 提 案 さ れ て い る ( Freemanら 、 1991; Krieger、 1992 Trends
Biochem. Sci. 17、 141-146; Fraserら 、 1993 Nature 364、 343-346; Kriegerお よ び Herz
、 1994) 。
I型 お よ び II型 マ ク ロ フ ァ ー ジ ス カ ベ ン ジ ャ ー レ セ プ タ ー の 予 想 さ れ た 四 次 構 造 の モ デ ル
に 基 づ け ば 、 両 者 は 、 6 つ の ド メ イ ン を 含 み 、 そ の う ち 最 初 の 5 つ : N -末 端 細 胞 質 領 域
、 膜 貫 通 領 域 、 ス ペ ー サ ー 、 α -ら せ ん コ イ ル 、 お よ び コ ラ ー ゲ ン 様 ド メ イ ン 、 は 同 一 で
あ る 。 I型 レ セ プ タ ー の C -末 端 の 第 6 番 目 の ド メ イ ン は 、 8 残 基 の ス ペ ー サ ー か ら 構 成 さ
れ 、 102ア ミ ノ 酸 の シ ス テ イ ン -リ ッ チ な ド メ イ ン ( SRCR) が 続 き 、 そ の 一 方 II型 レ セ プ タ
ーの第6番目のドメインは、短いオリゴペプチドに過ぎない。
マ ウ ス マ ク ロ フ ァ ー ジ cDNAラ イ ブ ラ リ ー お よ び COS細 胞 発 現 ク ロ ー ニ ン グ 技 術 を 用 い て 、 E
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ndemann、 Stantonお よ び 同 僚 ( Endemannら 、 1993 J. Biol. Chem. 268、 11811-11816; St
antonら 、 J. Biol. Chem. 267, 22446-22451) は 、 OxLDLを 結 合 し 得 る 2 つ の 別 の タ ン パ
ク 質 を コ ー ド す る cDNAの ク ロ ー ニ ン グ を 報 告 し た 。 こ れ ら タ ン パ ク 質 に 対 す る OxLDLの 結
合 は 、 AcLDLに よ り 阻 害 さ れ な か っ た 。 こ れ ら タ ン パ ク 質 は 、 FcgRII-B2( Fcレ セ プ タ ー )
( Stantonら 、 1992) お よ び CD36( Endemannら 、 1993) で あ る 。 ト ラ ン ス フ ェ ク ト さ れ た C
OS細 胞 に お け る OxLDLの FcgRII-B2に 対 す る 結 合 の 意 義 は 明 瞭 で は な い 。 何 故 な ら 、 マ ク ロ
フ ァ ー ジ 中 の FcgRII-B2は 、 明 ら か に 、 OxLDL結 合 に 対 し て 有 意 に 寄 与 し な い か ら で あ る (
Stantonら 、 1992) 。 し か し 、 CD36は 、 マ ク ロ フ ァ ー ジ に よ る OxLDL結 合 に お い て 定 量 的 に
有 意 な 役 割 を 演 じ 得 る ( Endemannら 、 1993) 。 結 合 性 酸 化 LDLに 加 え て 、 CD36は 、 ト ロ ン
ボ ス ポ ン デ ィ ン ( Aschら 、 1987 J. Clin. Invest. 79、 1054-1061) 、 コ ラ ー ゲ ン ( Tando
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nら 、 1989 J. Biol. Chem. 264、 7576-7583) 、 長 鎖 脂 肪 酸 ( Abumradら 、 1993 J. Biol.
Chem. 268、 17665-17668) お よ び Plasmodium falciparum感 染 赤 血 球 ( Oquendoら 、 1989 C
ell 58、 95-101) に 結 合 す る 。 CD36は 、 脂 肪 組 織 を 含 む 種 々 の 組 織 に お い て 、 お よ び マ ク
ロファージ、上皮細胞、単球、内皮細胞、血小板、および広範囲の培養株において発現さ
れ る ( Abumradら 、 1993; お よ び レ ビ ュ ー の た め に Greenwaltら 、 1992 Blood 80、 1105-11
15を 参 照 の こ と ) 。 CD36の 生 理 学 的 機 能 は 知 ら れ て い な い が 、 そ の コ ラ ー ゲ ン 結 合 特 性 に
起 因 し て 接 着 分 子 と し て 供 さ れ 得 る 。 そ れ は ま た 、 長 鎖 脂 肪 酸 ト ラ ン ス ポ ー タ ー ( Abumra
dら 、 1993) お よ び 信 号 伝 達 分 子 ( Ockenhouseら 、 1989 J. Clin. Invest. 84、 468-475;
Huangら 、 1991 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88、 7844-7848) で あ る と 提 案 さ れ て お り 、
そ し て 老 化 好 中 球 に 対 す る マ ク ロ フ ァ ー ジ 上 の レ セ プ タ ー と し て 供 し 得 る ( Savillら 、 19
40
91 Chest 99、 7 ( 補 稿 ) ) 。
改変されたリポタンパク質スカベンジャーレセプター活性もまた、内皮細胞中で観察され
て い る ( Araiら 、 1989; Nagelkerkeら 、 1983; Brownお よ び Goldstein、 1983; Goldstein
ら 、 1979 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 76、 333-337) 。 少 な く と も 内 皮 細 胞 活 性 の い
く つ か は 、 ク ラ ス A ス カ ベ ン ジ ャ ー レ セ プ タ ー に よ り 明 ら か に 仲 介 さ れ な い ( Bickelら 、
1992 J. Clin. Invest. 90、 1450-1457; Araiら 、 1989; Nagelkerkeら 、 1983; Viaら 、 19
92 The Faseb J. 6、 A371) 、 そ れ ら は 、 し ば し ば 、 マ ク ロ フ ァ ー ジ に よ り 発 現 さ れ る ( N
aitoら 、 1991 Am. J. Pathol. 139、 1411-1423; Kriegerお よ び Herz、 1994) 。 イ ン ビ ボ
お よ び イ ン ビ ト ロ 研 究 は 、 ク ラ ス Aス カ ベ ン ジ ャ ー レ セ プ タ ー お よ び CD36の 両 者 と は 異 な
る、内皮細胞およびマクロファージ中で発現されるスカベンジャーレセプター遺伝子が存
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在 し 得 る こ と を 示 唆 す る ( Haberlandら 、 1986 J. Clin. Inves. 77、 681-689; Viaら 、 19
92; Sparrowら 、 1989; Horiuchiら 、 1985 J. Biol. Chem. 259、 53-56; Araiら 、 1989;
お よ び 以 下 を 参 照 の こ と ) 。 Via Dresselお よ び 同 僚 ( Ottnadら 、 1992 Biochem J. 281、
745-751、 お よ び Schnitzerら 、 1992 J. Biol. Chem. 267、 24544-24553、 は 、 15-86 kDの
比較的小さな膜結合タンパク質によるスカベンジャーレセプター様結合を検出した。さら
に 、 LDLレ セ プ タ ー 関 連 タ ン パ ク 質 ( LRP) が 、 リ ポ タ ン パ ク 質 レ ム ナ ン ト 粒 子 お よ び 広 範
な 種 類 の 他 の 高 分 子 を 結 合 す る こ と が 示 さ れ た 。 LRPを コ ー ド す る mRNAお よ び LRPタ ン パ ク
質 の 両 方 が 、 多 く の 組 織 お よ び 細 胞 型 ( Herzら 、 1988 EMBO J. 7: 4119-4127; Moestrup
ら 、 1992 Cell Tissue Res. 269: 375-382) 、 主 に 肝 臓 、 脳 お よ び 胎 盤 で 見 出 さ れ て い る
。 LRPの 予 想 さ れ る タ ン パ ク 質 配 列 は 、 LDLレ セ プ タ ー に お い て も 見 出 さ れ る 一 連 の 別 々 の
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ドメインまたは構造的モチーフからなる。
Kreigerら に よ り 、 PCT/US95/07721「 ク ラ ス BIお よ び CIス カ ベ ン ジ ャ ー レ セ プ タ ー 」 Massa
chusetts Institute of Technology( 「 Kriegerら 」 ) に 記 載 さ れ る よ う に 、 改 変 さ れ た
リポタンパク質およびその他のリガンドに高い親和性を有する2つの異なるスカベンジャ
ー レ セ プ タ ー 型 タ ン パ ク 質 が 、 単 離 、 特 徴 付 け お よ び ク ロ ー ン 化 さ れ て い る 。 I型 お よ び I
I型 マ ク ロ フ ァ ー ジ ス カ ベ ン ジ ャ ー レ セ プ タ ー と は 異 な る 、 SR-BIの ハ ム ス タ ー お よ び マ ウ
ス 相 同 体 で あ る AcLDLお よ び LDL結 合 性 ス カ ベ ン ジ ャ ー レ セ プ タ ー が 、 単 離 お よ び 特 徴 付 け
ら れ て い る 。 さ ら に 、 Var-261と 称 さ れ る 、 チ ャ イ ニ ー ズ ハ ム ス タ ー 卵 巣 細 胞 改 変 体 か ら
ク ロ ー ン 化 さ れ た レ セ プ タ ー を コ ー ド す る DNAが 、 単 離 お よ び ク ロ ー ン 化 さ れ て い る 。 高
い リ ガ ン ド 親 和 性 お よ び 広 い 特 異 性 を 有 す る 非 哺 乳 類 AcLDL結 合 性 ス カ ベ ン ジ ャ ー レ セ プ
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タ ー dSR-CIが 、 Drosophila Melanogasterか ら 単 離 さ れ た 。
Kreigerら に よ り 、 SR-BIレ セ プ タ ー が 、 ス テ ロ イ ド 生 成 組 織 お よ び 肝 臓 で 主 に 発 現 さ れ 、
そ し て HDL-輸 送 お よ び コ レ ス テ ロ ー ル の 取 り 込 み を 仲 介 す る よ う で あ る こ と が 報 告 さ れ た
。 競 合 結 合 研 究 は 、 SR-BIが 、 LDL、 改 変 LDL、 負 に 荷 電 し た リ ン 脂 質 、 お よ び HDLを 結 合 す
る こ と を 示 す 。 直 接 結 合 研 究 は 、 哺 乳 類 細 胞 ( 例 え ば 、 CHO細 胞 の 改 変 体 ) で 発 現 し た SRBIが 、 HDLア ポ タ ン パ ク 質 の 細 胞 性 分 解 な し に HDLを 結 合 し 、 そ し て 脂 質 が レ セ プ タ ー を 発
現 す る 細 胞 内 に 蓄 積 す る こ と を 示 す 。 こ れ ら の 研 究 は 、 SR-BIが 、 HDLを 介 し て 、 末 梢 組 織
から肝臓およびステロイド生成組織中への輸送において重要な役割を演じ得、しかも肝臓
ま た は 他 の 組 織 に お け る 増 加 ま た は 減 少 し た 発 現 が 、 SR-BIを 発 現 す る 細 胞 に よ る コ レ ス
テロールの取り込みを調節し、それによって泡沫細胞におけるレベルおよびアテローム生
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成に関連する部位における沈着を減少することにおいて有用であり得ることを示す。
アテローム硬化症は、西側工業国における主要な死因である。進行するアテローム硬化症
の リ ス ク は 、 LDLコ レ ス テ ロ ー ル の 血 漿 レ ベ ル に 直 接 関 連 し 、 そ し て HDLコ レ ス テ ロ ー ル レ
ベ ル に 逆 に 関 連 す る 。 20年 以 上 前 に 、 LDL代 謝 に お け る LDLレ セ プ タ ー の 主 要 な 役 割 が 、 Go
ldsteinら に よ り 解 明 さ れ た 。 Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease、 S
criverら ( Mcgraw-Hill、 NY 1995) 、 1981-2030頁 。 対 照 的 に 、 HDL代 謝 に 関 連 す る 細 胞 機
構 は な お 良 く 規 定 さ れ て い な い 。 HDLは 、 Pietersら 、 Biochim. Biophys. Acta 1225、 125
( 1994) に よ り 記 載 さ れ る よ う に 、 逆 コ レ ス テ ロ ー ル 輸 送 と し て 知 ら れ る プ ロ セ ス で あ る
、 肝 臓 外 組 織 か ら 肝 臓 へ の コ レ ス テ ロ ー ル 輸 送 に 関 連 し て 、 そ し て Andersonお よ び Dietsc
hy、 J. Biol. Chem. 256、 7326 ( 1981) に 記 載 さ れ る よ う に 、 ホ ル モ ン 合 成 の た め に 、
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ステロイド生成組織へのコレステリルエステルの輸送を仲介することが一般に受け入れら
れ て い る 。 HDLコ レ ス テ ロ ー ル が 標 的 細 胞 に 送 達 さ れ る 機 構 は 、 LDLの そ れ と は 異 な る 。 LD
Lの レ セ プ タ ー 仲 介 代 謝 は 完 全 に 記 載 さ れ 、 そ し て 完 全 粒 子 の 細 胞 性 取 り 込 み お よ び 分 解
を 含 む 。 対 照 的 に 、 レ セ プ タ ー 仲 介 HDL代 謝 は 同 様 に 理 解 さ れ て い な い 。 LDLと は 異 な り 、
HDLの タ ン パ ク 質 成 分 は 、 コ レ ス テ ロ ー ル を 細 胞 に 輸 送 す る プ ロ セ ス で は 分 解 さ れ な い 。
多 く の 研 究 者 に よ る 多 く の 試 み に 拘 わ ら ず 、 HDLか ら 細 胞 へ の コ レ ス テ ロ ー ル の 送 達 に 関
与 す る 細 胞 表 面 タ ン パ ク 質 は 、 SR-BIが 、 HDLレ セ プ タ ー で あ っ た こ と の 発 見 前 は 、 同 定 さ
れていなかった。
本 発 明 の 目 的 は 、 SR-BIに よ り 仲 介 さ れ る 結 合 お よ び 脂 質 の 動 き を 刺 激 ま た は 阻 害 し 、 そ
して細胞による脂質およびコレステロールの取り込みおよび代謝の方向を変え得る薬物を
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設計するための方法および試薬を提供することである。
発明の要旨
コ レ ス テ ロ ー ル 輸 送 の 調 節 方 法 が 記 載 さ れ 、 こ の 方 法 は 、 SR-BI HDLレ セ プ タ ー の 発 現 ま
たは機能の調節に基づく。
実 施 例 は 、 エ ス ト ロ ゲ ン が 、 LDLレ セ プ タ ー の 強 い ア ッ プ レ ギ ュ レ ー シ ョ ン 条 件 下 で 、 SRBIを 劇 的 に ダ ウ ン レ ギ ュ レ ー ト す る こ と を 示 す 。 実 施 例 は ま た 、 エ ス ト ロ ゲ ン で 処 置 さ れ
た 動 物 か ら の ラ ッ ト 副 腎 膜 、 お よ び そ の 他 の 非 胎 盤 ス テ ロ イ ド 生 成 組 織 に お け る SR-BIの
アップレギュレーションを示したが、肺、肝臓および皮膚を含むその他の非胎盤ステロイ
ド 非 生 成 組 織 で は 示 さ な か っ た 。 実 施 例 は ま た 、 組 換 え ア デ ノ ウ イ ル ス 感 染 後 、 肝 SR-BI
を 一 過 性 に 過 剰 発 現 す る マ ウ ス に お け る 、 HDL代 謝 に 対 す る SR-BI発 現 の イ ン ビ ボ 効 果 も 示
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す 。 肝 組 織 中 の SR-BIの 過 剰 発 現 は 、 コ レ ス テ ロ ー ル 血 中 レ ベ ル に お け る 劇 的 な 減 少 を 引
き 起 こ し た 。 こ れ ら の 結 果 は 、 SR-BIレ ベ ル の 調 整 が 、 直 接 的 ま た は 間 接 的 に 、 血 中 コ レ
ステロールのレベルを調整するために用いられ得ることを示す。
【図面の簡単な説明】
図 1A∼ Dは 、 コ ン ト ロ ー ル ( Ad.Δ E1) ( 図 1 Aお よ び 1 C) お よ び ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ
ス ( Ad.SR-BI) ( 図 1 Bお よ び 1 D) の リ ポ タ ン パ ク 質 プ ロ フ ィ ー ル 、 お よ び ゼ ロ か ら 3 日
ま で の ( 図 1 Aお よ び 1 B) 、 お よ び 7 日 か ら 21日 ま で の ( 図 1 Cお よ び 1 D) 経 過 に わ た る
コレステロールレベル(マイクログラム/画分)を示す、血漿の高速圧力液体クロマトグ
ラ フ ィ ー ( FPLC) 分 析 の グ ラ フ で あ る 。
図 2 は 、 非 処 置 の 、 正 常 マ ウ ス ( 黒 塗 り 四 角 ) 、 コ ン ト ロ ー ル ( Ad.Δ E1) ( 白 抜 き 四 角
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) お よ び ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス ( Ad.SR-BI) ( 黒 塗 り 三 角 ) に お け る HDL代 謝 回 転 の
経時変化のグラフである。
発明の詳細な説明
先の研究では、ウェスタンブロッティングを用いて、ラットにおけるエストロゲン処置に
際 し 、 肝 臓 に お け る SR-BIタ ン パ ク 質 の レ ベ ル が 劇 的 に 低 下 し 、 そ し て LDLレ セ プ タ ー レ ベ
ルが増加することを示した。本明細書で用いるステロイド生成組織は、副腎、卵巣および
精巣を含む非胎盤ステロイド生成組織をいう。肝臓および非肝臓ステロイド生成組織は、
先 に 、 HDLか ら の 選 択 的 コ レ ス テ ロ ー ル 取 り 込 み の 部 位 で あ る こ と が 示 さ れ た 。 蛍 光 に よ
り 標 識 さ れ た HDLは 、 脂 質 取 り 込 み の マ ー カ ー と し て 用 い ら れ 、 そ し て エ ス ト ロ ゲ ン お よ
びコントロール処理動物中に注入された。コントロール動物では、肝臓組織に顕著な蛍光
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が存在し、それはエストロゲン処理動物では全く存在しなかった。エストロゲンが、経時
的 に ヒ ト に お い て HDLの レ ベ ル の 増 加 を 引 き 起 こ し 、 そ し て ア テ ロ ー ム 硬 化 症 の リ ス ク を
減 少 す る こ と が 示 さ れ 、 そ し て SR-BIの レ ベ ル に お け る 変 化 が エ ス ト ロ ゲ ン 投 与 に 従 う 証
拠を与えられれば、エストロゲンの投与によって(エストロゲンはまた副作用を有するの
で 、 こ れ は 好 ま し く は な い が ) 、 肝 臓 中 の SR-BI発 現 を 阻 害 し 、 そ れ に よ っ て ア テ ロ ー ム
硬 化 症 の リ ス ク を 減 少 し 得 る 。 阻 害 は 、 よ り 好 ま し く は 、 SR-BIの 発 現 、 SR-BIの 翻 訳 、 SR
-BIの 結 合 、 ま た は SR-BIに よ っ て 仲 介 さ れ る 細 胞 性 プ ロ セ ッ シ ン グ を 阻 害 す る 試 薬 の 使 用
により達成される。阻害は、直接的または間接的、競合的または不可逆的であり得る。
I . コ レ ス テ ロ ー ル の SR-BIに よ る 輸 送 の イ ン ヒ ビ タ ー
直接的インヒビターには、ヌクレオチド分子、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド
40
、 リ ボ ザ イ ム 、 お よ び SR-BI遺 伝 子 ( こ の 遺 伝 子 の タ ン パ ク 質 コ ー ド 領 域 か ま た は こ の 遺
伝 子 の 調 節 領 域 の い ず れ か ) に 結 合 す る 三 重 鎖 形 成 オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド ; SR-BIタ ン パ ク
質 に 結 合 す る 小 さ な 有 機 分 子 ; 可 溶 性 SR-BIタ ン パ ク 質 、 ま た は 細 胞 結 合 SR-BIの 基 質 に 競
合 的 に 結 合 す る そ の フ ラ グ メ ン ト ; な ら び に SR-BIへ の HDLの 結 合 を ブ ロ ッ ク す る 化 合 物 が
含まれる。
好ましい実施態様において、これらの化合物は、まず、アッセイ(例えば、下記のアッセ
イ)を使用してスクリーニングされ、次いで、標準的なトランスジェニック動物技術を使
用 し て 、 SR-BI遺 伝 子 を ノ ッ ク ア ウ ト す る か ま た は 過 剰 発 現 す る よ う に 作 製 さ れ た ト ラ ン
スジェニック動物において試験される。ホモ接合ノックアウトは致死性であり得るので、
ラット、マウスまたはハムスターを用いる胚幹細胞技術のような技術またはレトロウイル
50
(6)
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ス ベ ク タ ー も し く は ア デ ノ ウ イ ル ス ベ ク タ ー の 使 用 は 、 い く つ か の SR-BIを 発 現 す る 動 物
の作製に好まれる。
SR-BIを コ ー ド す る cDNAは ク ロ ー ン 化 さ れ 、 そ し て Kreigerら に お い て 報 告 さ れ て い る 。 SR
-BIを コ ー ド す る cDNAは 、 509ア ミ ノ 酸 の 推 定 タ ン パ ク 質 配 列 を 生 じ る 。 こ れ は 、 以 前 に 同
定 さ れ た CD36フ ァ ミ リ ー の 3 つ の メ ン バ ー の 推 定 タ ン パ ク 質 配 列 と 約 30% 同 一 で あ る 。 ク
ロ ー ン 化 し た ハ ム ス タ ー SR-BI cDNAは 、 約 2.9kb長 で あ る 。 5 ’ 非 翻 訳 領 域 、 コ ー ド 領 域
、および3’非翻訳領域の部分の配列を、配列番号1に示す。その推定タンパク質配列は
、 計 算 分 子 量 が 57kDの 509ア ミ ノ 酸 で あ る ( 配 列 番 号 2 ) 。 マ ウ ス cDNAを 配 列 番 号 3 に 示
し、そしてその推定アミノ酸配列を配列番号4に示す。
本 明 細 書 中 で 使 用 す る 場 合 、 特 に 他 言 し な け れ ば 、 用 語 「 SR-BI」 と は 、 そ れ ぞ れ 配 列 番
10
号1と2および配列番号3と4に示されるヌクレオチドおよびアミノ酸配列、ならびにそ
の縮重改変体および他の種(特に、ヒト)に由来する等価物、ならびに上記の結合活性に
よって特徴付けられるレセプターとしてのタンパク質の機能的な活性を顕著に変化させな
い、ヌクレオチドまたはアミノ酸のいずれかの付加、欠失、および置換を有する機能的に
等価な改変体をいう。
II.SR-BIコ レ ス テ ロ ー ル 輸 送 の 調 節 方 法
SR-BIタ ン パ ク 質 お よ び 関 連 す る SR-Bタ ン パ ク 質 は 、 HDL脂 質 代 謝 お よ び コ レ ス テ ロ ー ル 輸
送 に お い て 重 要 な 役 割 を 演 じ 得 る こ と が 、 現 在 示 さ れ て い る 。 SR-BIは 、 ス テ ロ イ ド 生 成
組 織 お よ び 肝 臓 へ の コ レ ス テ ロ ー ル 送 達 を 担 っ て い る よ う で あ り 、 そ し て HDL粒 子 か ら 肝
臓細胞を通じて毛細胆管(ここで、コレステロールは腸に出ていく)へコレステロールを
20
実 際 に 移 す 。 デ ー タ に よ っ て 、 SR-BIは ま た 腸 粘 膜 に 発 現 さ れ る が 、 そ の 位 置 お よ び 量 は
発生の段階に相関するようであることが示される。コレステロールの取り込みが増加され
得 る 細 胞 に お い て SR-BIの 発 現 を 増 加 さ せ て 、 HDLを 、 貯 蔵 細 胞 ( 例 え ば 、 HDLが ア テ ロ ー
ム発生においてある役割を演じ得る泡沫細胞)からコレステロールを取り除くための手段
として自由に働かせることを有用である。
上 記 の よ う に 、 SR-BIタ ン パ ク 質 お よ び 抗 体 な ら び に そ の DNAは 、 SR-BIの 活 性 お よ び /ま た
は発現を調整する薬物のスクリーニングにおいて使用され得る。これらの薬物は、アテロ
ーム性硬化症、脂肪細胞による脂肪の取り込み、およびいくつかのタイプの内分泌障害の
処置または予防に有用であるはずである。
ヌクレオチド分子
30
下記の配列表に示されるヌクレオチド配列に好ましい使用は、スカベンジャーレセプター
タ ン パ ク 質 に よ る リ ガ ン ド の 結 合 も し く は エ ン ド サ イ ト ー シ ス 、 ま た は SR-BIタ ン パ ク 質
の発現もしくは翻訳を変化させる薬物のスクリーニング用である。
好 ま し い サ イ ズ の ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン プ ロ ー ブ は 、 長 さ が 10ヌ ク レ オ チ ド か ら 100,00
0ヌ ク レ オ チ ド ま で で あ る 。 10ヌ ク レ オ チ ド 未 満 で は 、 ハ イ ブ リ ダ イ ズ し た 系 は 安 定 で な
く 、 そ し て 20℃ を 超 え る と 変 性 し 始 め る 。 100,000ヌ ク レ オ チ ド を 超 え る と 、 ハ イ ブ リ ダ
イ ゼ ー シ ョ ン ( 再 生 ) は 、 テ キ ス ト MOLECULAR GENETICS, Stent, G.S.お よ び R. Calender
, 213∼ 219頁 ( 1971) に よ り 詳 細 に 記 載 さ れ る よ う に 、 よ り ず っ と 緩 徐 で 不 完 全 な プ ロ セ
ス に な る こ と が 見 い 出 さ れ る 。 理 想 的 に は 、 プ ロ ー ブ は 、 20∼ 10,000ヌ ク レ オ チ ド で あ る
べ き で あ る 。 よ り 小 さ な ヌ ク レ オ チ ド 配 列 ( 20∼ 100) は 、 自 動 化 有 機 合 成 技 術 に よ る 生
40
成 に 向 い て い る 。 100∼ 10,000ヌ ク レ オ チ ド の 配 列 は 、 適 切 な 制 限 エ ン ド ヌ ク レ ア ー ゼ 処
理から得られ得る。比較的大きな化学発光部分でのより小さなプローブの標識は、いくつ
かの場合には、ハイブリダイゼーションプロセスに干渉し得る。
レセプター機能または発現の程度を改変するかまたは変化させる薬物についてのスクリー
ニング
レセプタータンパク質は、これらレセプターに対する結合をターンオンまたはターンオフ
するか、さもなければ調節する化合物の標的として有用である。以下に記載されるアッセ
イ は 、 こ れ に よ り 化 合 物 が 特 定 化 合 物 ( 例 え ば 、 放 射 性 標 識 し た 改 変 HDLお よ び LDLま た は
ポリイオン)の結合に対する阻害効果について試験され得る、ルーチンの方法を明らかに
提供する。次いで、レセプターと選択的に結合することを阻害するようにみえる化合物の
50
(7)
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インビトロ研究は、動物試験によって確認される。分子は、進化的に非常に高度に保存さ
れるので、研究動物(例えば、マウス)において研究を行ない、ヒトにおける効果を予測
することが可能である。
結合阻害に基づく研究は、レセプター結合の変化の間接的効果を予言するに役立つ。例え
ば 、 SR-BIレ セ プ タ ー へ の コ レ ス テ ロ ー ル − HDL結 合 の 阻 害 は 、 細 胞 に よ る コ レ ス テ ロ ー ル
取 り 込 み の 減 少 を 導 き 、 し た が っ て SR-BIレ セ プ タ ー を 発 現 す る 細 胞 に よ る コ レ ス テ ロ ー
ル 輸 送 を 阻 害 す る 。 細 胞 へ の コ レ ス テ ロ ー ル − HDL結 合 の 増 加 は 、 血 流 か ら の 脂 質 の 除 去
を増加させ、これによって血流内での脂質沈着を減少させる。刺激物質を使用してマクロ
フ ァ ー ジ の コ レ ス テ ロ ー ル 取 り 込 み を 増 強 し 、 そ し て こ の こ と に よ っ て 、 M-CSF( Schaub
ら 、 1994 Arterioscler. Thromb. 14( 1) , 70-76; Inabaら 、 1993 J.Clin.Invest. 92(
10
2) , 750-757) を 使 用 し て ア テ ロ ー ム 発 生 を 処 置 す る 研 究 が 行 な わ れ て き た 。
以 下 の ア ッ セ イ は 、 SR-BIの 発 現 、 濃 度 、 ま た は コ レ ス テ ロ ー ル の 輸 送 を 変 化 さ せ る た め
の方法において効果的な化合物をスクリーニングするために使用され得る。
SR-BI結 合 ま た は 発 現 の 変 化 に つ い て の ア ッ セ イ
マ ウ ス 組 織 の ノ ー ザ ン ブ ロ ッ ト 分 析 は 、 SR-BIが 、 副 腎 、 卵 巣 、 肝 臓 、 精 巣 、 お よ び 脂 肪
においても最も豊富に発現され、そしていくつかの他の組織においてより低レベルで存在
す る こ と を 示 す 。 SR-BI mRNA発 現 は 、 3T3-L1細 胞 の 脂 肪 細 胞 へ の 分 化 に 際 し て 誘 導 さ れ る
。 SR-BIお よ び CD36の 両 方 は 、 約 5 μ g タ ン パ ク 質 /mlの 範 囲 の 見 か け の 解 離 定 数 を 有 し て
、 ア セ チ ル 化 LDLに 対 す る 高 親 和 性 結 合 を 示 す 。 CD36お よ び SR-BIの リ ガ ン ド 結 合 特 異 性 (
競合アッセイにより測定される)は、類似しているが同一ではない:両者は修飾されたタ
20
ン パ ク 質 ( ア セ チ ル 化 LDL、 マ レ イ ル 化 BSA) を 結 合 す る が 、 ク ラ ス A レ セ プ タ ー の リ ガ ン
ドである広範な一連の他のポリアニオン(例えば、フコイジン、ポリインシン酸、ポリグ
ア ノ シ ン 酸 ) は 結 合 し な い 。 SR-BIは 、 HDLの 細 胞 性 分 解 を 伴 わ な い 、 高 親 和 性 お よ び 飽 和
可 能 な HDLの 結 合 を 示 す 。 HDLは AcLDLの CD36へ の 結 合 を 阻 害 す る 。 こ の こ と は 、 こ れ が SRBIと 同 様 に HDLを 結 合 す る こ と を 示 唆 す る 。 天 然 LDL( こ れ は 、 ア セ チ ル 化 LDLの 、 ク ラ ス
A レ セ プ タ ー ま た は CD36の い ず れ へ の 結 合 に つ い て も 競 合 し な い ) は 、 SR-BIへ の 結 合 に
ついて競合する。
125
I-AcLDL結 合 、 取 り 込 み 、 お よ び 分 解 ア ッ セ イ 。
37℃ に お け る ス カ ベ ン ジ ャ ー レ セ プ タ ー 活 性 を 、 Kreiger, Cell 33, 413-422, 1983; お
よ び Freemanら 、 1991に 記 載 の よ う に 、 リ ガ ン ド 結 合 、 取 り 込 み 、 お よ び 分 解 ア ッ セ イ に
30
より測定する。結合および取り込みについての値は、組み合わされ、そして5時間のイン
キ ュ ベ ー シ ョ ン 後 に 観 察 さ れ る 結 合 + 取 り 込 み と し て 示 さ れ 、 そ し て 1 mg細 胞 タ ン パ ク 質
当たり5時間当たりの
125
I-AcLDLタ ン パ ク 質 の ngと し て 表 さ れ る 。 分 解 活 性 は 、 1 mgの 細
胞タンパク質当たり5時間に分解される
125
I-AcLDLタ ン パ ク 質 の ngと し て 表 さ れ る 。 特 異
的な、高親和性値は、過剰の非標識競合リガンドの存在下(1回の測定)および非存在下
(2連の測定)において得られる結果の間の差を示す。細胞表面4℃結合は、示されるよ
うな方法Aまたは方法Bのいずれかを使用してアッセイされる。方法Aにおいては、細胞
を 、 氷 上 で 15分 間 事 前 に 冷 却 し 、 10%( v/v) ウ シ 胎 児 血 清 を 補 充 し た 氷 冷 培 地 B 中 の
125
I
-AcLDL( 75∼ 200μ g/mlの 非 標 識 M-BSAを 含 む か ま た は 含 ま な い ) を 再 供 給 し 、 そ し て 2 時
間 4 ℃ で 振 と う 機 上 で イ ン キ ュ ベ ー ト す る 。 次 い で 、 細 胞 を 迅 速 に 2mg/ml BSAを 含 有 す る
40
Tris洗 浄 緩 衝 液 ( 50 mM Tris-HCl、 0.15 M NaCl( pH7.4) ) で 3 回 洗 浄 し 、 BSAを 含 ま な
い Tris洗 浄 緩 衝 液 で の 2 回 の 5 分 間 の 洗 浄 お よ び 2 回 の 迅 速 な 洗 浄 を 続 け る 。 細 胞 を 1 ml
の 0.1 N NaOH中 で 20分 間 室 温 で 振 と う 機 上 で 可 溶 化 し 、 30μ lを タ ン パ ク 質 測 定 の た め に
取 り 出 し 、 そ し て 残 り の 中 の 放 射 能 を LKBガ ン マ カ ウ ン タ ー を 使 用 し て 測 定 す る 。 方 法 B
は 方 法 A と は 、 細 胞 を 45分 間 事 前 に 冷 却 し 、 培 地 が ウ シ 胎 児 血 清 で は な く 10 mM HEPESお
よ び 5 % ( v/v) ヒ ト リ ポ タ ン パ ク 質 欠 損 血 清 を 含 有 し 、 そ し て 硫 酸 デ キ ス ト ラ ン で の 処
理 に よ り 遊 離 さ れ る 細 胞 会 合 放 射 能 を Kreiger, 1983; Freemanら 、 1991に 記 載 の よ う に 測
定する点で異なる。
ノーザンブロット分析
異 な る マ ウ ス 組 織 か ら 、 ま た は Baldiniら 、 1992 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89,504
50
(8)
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9-5052に 記 載 の よ う に 、 脂 肪 細 胞 へ の 分 化 の 開 始 の 0 、 2 、 4 、 6 、 ま た は 8 日 後 に 3T3L1細 胞 か ら 調 製 さ れ る 0.5μ gの ポ リ ( A) +RNAを 、 ホ ル ム ア ル デ ヒ ド / ア ガ ロ ー ス ゲ ル ( 1
.0% ) 上 で 分 画 し 、 次 い で Biotrans
を、
32
TM
P標 識 さ れ た プ ロ ー ブ ( 2 × 10
6
ナイロン膜にブロットしそして固定する。ブロット
dpm/ml、 ラ ン ダ ム プ ラ イ ム 標 識 シ ス テ ム ) と ハ イ
ブ リ ダ イ ズ さ せ る 。 ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン お よ び 洗 浄 条 件 ( そ れ ぞ れ 、 42℃ お よ び 50℃
) を 、 Charronら 、 1989 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86, 2535-2539に よ り 記 載 さ れ
る よ う に 実 施 す る 。 SR-BI mRNA分 析 の た め の プ ロ ー ブ は 、 cDNAコ ー ド 領 域 由 来 の 0.6kb Ba
mHIフ ラ グ メ ン ト で あ っ た 。 マ ウ ス 細 胞 質 ゾ ル hsp70遺 伝 子 ( Huntお よ び Calderwood, 1990
Gene 87, 199-204) の コ ー ド 領 域 を 、 等 し い mRNAロ ー ド の た め の コ ン ト ロ ー ル プ ロ ー ブ
として使用する。
10
組 織 中 の SR-BIタ ン パ ク 質 は 、 SR-BIに 対 す る ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 体 を 用 い る ブ ロ ッ テ ィ ン グ
により検出される。
HDL結 合 研 究
SR-BIお よ び CD36へ の HDLお よ び VLDLの 結 合 は 、 LDLお よ び 改 変 LDLに つ い て 記 載 さ れ る よ う
に実施される。
SR-BIへ 結 合 し て い る HDLが 分 解 ま た は リ サ イ ク ル さ れ る か ど う か 、 お よ び HDLに 結 合 し て
いる脂質が細胞中に移されるかどうかを決定するために実施される研究は、トランスフェ
ク ト さ れ た ま た は ト ラ ン ス フ ェ ク ト さ れ て い な い 細 胞 の 培 養 物 に 単 一 の 濃 度 ( 10μ gタ ン
3
パ ク 質 /ml) で 添 加 さ れ る 、 蛍 光 脂 質 標 識 HDL、 Hコ レ ス テ リ ル エ ス テ ル 標 識 HDL、 お よ び
25
1
I-HDLを 使 用 し て 実 施 さ れ る 。 細 胞 に 会 合 し て い る HDLは 経 時 的 に 測 定 さ れ る 。 定 常 状 態
20
3
は 約 30分 か ら 1 時 間 の う ち に 達 成 さ れ る 。 蛍 光 リ ガ ン ド DiI、 ま た は H-コ レ ス テ ロ ー ル エ
ステルが、細胞による脂質(例えば、コレステロールまたはコレステロールエステル)取
り 込 み の マ ー カ ー と し て 使 用 さ れ る 。 漸 増 濃 度 の DiIは 、 脂 質 が HDLか ら レ セ プ タ ー へ 移 さ
れ つ つ あ り 、 次 い で 細 胞 に よ り イ ン タ ー ナ ラ イ ズ さ れ つ つ あ る こ と を 示 す 。 次 い で 、 DiI
枯 渇 HDLは 遊 離 さ れ 、 そ し て 別 の HDL分 子 に よ り 置 換 さ れ る 。
SR-BIへ の HDL結 合
競 合 結 合 研 究 は 、 HDLお よ び VLDL( 400μ g/ml) が
阻害することを実証する。
125
125
I-AcLDLの SR-BIへ の 結 合 を 競 合 的 に
I-HDLの SR-BIを 発 現 す る 細 胞 へ の 直 接 結 合 も ま た 測 定 さ れ
る。
SR-BIの 組 織 分 布
30
SR-BIの 生 理 学 的 機 能 を 調 査 す る た め に 、 マ ウ ス 組 織 に お い て ( コ ン ト ロ ー ル 動 物 お よ び
エ ス ト ロ ゲ ン 処 置 動 物 の 両 方 に お い て ) 、 SR-BIの 組 織 分 布 を 、 下 記 の 実 施 例 に 記 載 の よ
う に 決 定 し た 。 各 々 の レ ー ン に 、 以 下 の 種 々 の マ ウ ス 組 織 か ら 調 製 さ れ る ポ リ ( A) +RNA
0.5μ gを ロ ー ド す る : 腎 臓 、 肝 臓 、 副 腎 、 卵 巣 、 脳 、 精 巣 、 脂 肪 、 横 隔 膜 、 心 臓 、 肺 、 脾
臓 、 ま た は 他 の 組 織 。 ブ ロ ッ ト を 、 SR-BIの コ ー ド 領 域 の 750塩 基 対 フ ラ グ メ ン ト と ハ イ ブ
リ ダ イ ズ さ せ る 。 SR-BI mRNAは 副 腎 、 卵 巣 、 お よ び 肝 臓 に お い て 最 も 豊 富 に 発 現 さ れ 、 供
給源に依存して脂肪において中程度または高度に発現され、そして他の組織においてはよ
り 低 レ ベ ル で 発 現 さ れ る 。 SR-BIの 細 胞 質 領 域 に 対 す る ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 体 を 使 用 す る ブ
ロットは、非常に高いレベルのタンパク質が、マウスおよびラットにおいて肝臓、副腎組
織、および卵巣において存在するが、非常に低いレベルまたは検出不可能なレベルのみが
40
白色脂肪または褐色脂肪のいずれか、筋肉、または種々の他の組織に存在することを実証
す る 。 ラ ッ ト 組 織 に お け る バ ン ド は 、 約 82 kDに お い て 存 在 し た 。 マ ウ ス 組 織 に お い て 、
肝 臓 お よ び ス テ ロ イ ド 生 成 組 織 に お い て 観 察 さ れ る 82 kD形 態 は 、 SR-BIト ラ ン ス フ ェ ク ト
培養細胞において観察されるサイズと同一のサイズである。
有用な活性について化合物を試験するためのアッセイは、レセプタータンパク質(好まし
くは、上記の細胞のようなトランスフェクトされた細胞の表面上で発現される)との相互
作用にのみ基づき得るが、表示がリポタンパク質の結合の阻害または増加である場合、溶
液中のまたは不活性基材上に固定化されたタンパク質もまた利用され得る。
あるいは、アッセイは、レセプタータンパク質をコードする遺伝子配列(好ましくは、レ
セプタータンパク質の発現を指向させる調節配列)との相互作用に基づき得る。例えば、
50
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調節配列、および/またはタンパク質コード配列に結合するアンチセンスは、標準的なオ
リゴヌクレオチド合成化学を使用して合成され得る。アンチセンスは、標準的な方法論(
リポソームまたはマイクロスフェア中の被包;分解に対して耐性である修飾ヌクレオチド
またはエンドヌクレアーゼに対する耐性を増加させる置換基の導入(例えば、ホスホロチ
オデートおよびメチル化))を使用して薬学的使用のために安定化され得、次いで、最初
にレセプターを発現するトランスフェクトされたまたは天然の細胞において、次いでイン
ビボにおいて実験室動物において、レセプター活性の変化についてスクリーニングする。
代表的には、アンチセンスは発現を阻害する。しかし、合成を「オフにする」配列をブロ
ックする配列もまた標的化され得る。
研究のためのレセプタータンパク質は、上記の実施例に記載のように、天然の細胞または
10
レセプターを発現するように遺伝子操作された細胞のいずれかから単離され得る。好まし
い実施態様において、細胞はインタクトな遺伝子を使用して操作された。
レセプターまたはレセプターコード配列結合分子のランダム生成
所 定 の 機 能 ( 触 媒 ま た は リ ガ ン ド 結 合 ) を 有 す る 分 子 は 、 「 イ ン ビ ト ロ 遺 伝 物 質 ( in bit
ro genetics) 」 ( Szostak, TIBS 19:89, 1992) と 呼 ば れ て い る も の に お け る ラ ン ダ ム 分
子の複雑な混合物から選択され得る。当業者は、ランダムかつ規定の配列を保有する分子
の 大 き な プ ー ル を 合 成 し 、 そ し て そ の 複 雑 な 混 合 物 、 例 え ば 、 100μ gの 100ヌ ク レ オ チ ド R
NA中 の 約 10
15
の個々の配列を、いくらかの選択および富化プロセスに供する。例えば、カ
ラ ム 上 の リ ガ ン ド に 結 合 さ れ た 分 子 の ア フ ェ ニ テ ィ ー ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー お よ び PCR増 幅
の 反 復 サ イ ク ル に よ り 、 Ellingtonお よ び Szostak( 1990) は 、 10
10
RNA分 子 中 の 1 つ が 所
20
定のリガンドに結合するように折り畳まれると判断した。このようなリガンド結合挙動を
有 す る DNA分 子 が 単 離 さ れ て い る ( Ellingtonお よ び Szostak、 1992; Bockら 、 1992) 。
コンピューター支援薬物設計
コンピューターモデリング技術は、選択された分子の三次元原子構造の可視化およびその
分子と相互作用する新規化合物の合理的設計を可能にする。三次元構築物は、典型的には
、 選 択 さ れ た 分 子 の X 線 結 晶 解 析 ま た は NMR画 像 か ら の デ ー タ に 依 存 す る 。 分 子 動 力 学 は
、力場データを必要とする。コンピューターグラフィックシステムは、新規化合物が標的
分子にどのように結合するかを予測することを可能にし、そして結合特異性を完全にする
ように化合物および標的分子の構造を試験的に操作することを可能にする。分子−化合物
相互作用が、その一方または両方において小さな変化が生じたときにどのようになるかを
30
予測するためには、分子力学ソフトウェアおよび計算強化コンピューターが必要である。
これらは通常、分子設計プログラムと使用者との間で、使用者に役立つメニュー起動性の
インターフェースに連結されている。
分 子 モ デ リ ン グ シ ス テ ム の 例 は 、 CHARMmお よ び QUANTAプ ロ グ ラ ム ( Polygen Corporation,
Waltham, MA) で あ る 。 CHARMmは 、 エ ネ ル ギ ー 最 小 化 お よ び 分 子 動 力 学 の 機 能 を 実 行 す る
。 QUANTAは 、 分 子 構 造 の 構 築 、 グ ラ フ ィ ッ ク モ デ リ ン グ 、 お よ び 分 析 を 実 行 す る 。 QUANTA
は、互いに対する分子の相互作用的な構築、改変、可視化、およびその挙動の解析を可能
にする。
多くの文献が、特定のタンパク質と相互作用する薬物のコンピューターモデリングを総説
し て い る 。 例 え ば 、 以 下 の 文 献 が 挙 げ ら れ る : Rotivinenら 、 1988 Acta Pharmaceutica F
40
ennica 97, 159-166; Ripka、 New Scientist 54-57( 1988年 6 月 16日 ) ; McKinalyお よ び
Rossmann、 1989 Annu. Rev. Pharmacol. Toxiciol. 29, 111-112; Perryお よ び Davies、
QSAR: Quantitative Structure-Activity Relationships in Drug Design 、 189∼ 193頁 (
Alan R. Liss, Inc. 1989) ; Lewisお よ び Dean,1989 Proc. R. Soc. Lond. 236, 125-140
; お よ び 、 核 酸 成 分 の た め の モ デ ル レ セ プ タ ー に 関 し て 、 Askewら 、 1989 J. Am. Chem. S
oc . 111, 1082-1090。 化 学 物 質 を ス ク リ ー ニ ン グ お よ び グ ラ フ ィ ッ ク 表 示 す る 他 の コ ン ピ
ュ ー タ ー プ ロ グ ラ ム は 、 BioDesign, Inc, Pasadena, CA., Allelix, Inc, Mississauga,
Ontario, Canadaお よ び Hypercube, Inc., Cambridge, Ontario,の よ う な 会 社 か ら 入 手 可
能である。これらは、主に、特定のタンパク質に特異的な薬物への適用のために設計され
る が 、 DNAま た は RNAの 領 域 が 同 定 さ れ れ ば 、 そ の 領 域 に 対 し て 特 異 的 な 薬 物 の 設 計 に 適 合
50
(10)
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され得る。
結合、および従ってコレステロール輸送を変化させ得る化合物の設計および生成に関して
上述しているが、当業者は、インヒビターまたはアクチベーターである化合物について、
既知の化合物(天然産物または合成化学物質を含む)および生物学的活性物質(タンパク
質を含む)のライブラリーもまたスクリーニングし得た。
核酸レギュレーターの生成
レ セ プ タ ー 遺 伝 子 の 5'調 節 配 列 を 含 む 核 酸 分 子 は 、 イ ン ビ ボ に お け る 遺 伝 子 発 現 を 調 節 ま
たは阻害するために用いられ得る。ベクター(プラスミドベクターおよび真核生物ウイル
ス ベ ク タ ー の 両 方 を 含 む ) は 、 当 業 者 の 選 択 お よ び 判 断 に 依 存 し て 、 特 定 の 組 換 え 5'隣 接
領 域 遺 伝 子 構 築 物 を 細 胞 で 発 現 さ せ る た め に 用 い ら れ 得 る ( 例 え ば 、 Sambrookら 、 Chapte
10
r 16を 参 照 の こ と ) 。 さ ら に 、 イ ン ビ ボ に お け る 核 酸 配 列 の 導 入 を 可 能 に す る 多 く の ウ イ
ル ス ベ ク タ ー お よ び 非 ウ イ ル ス ベ ク タ ー が 開 発 中 で あ る ( 例 え ば 、 Mulligan, 1993 Scien
ce , 260, 926-932; 米 国 特 許 第 4,980,286号 ; 米 国 特 許 第 4,868,116号 を 参 照 の こ と ; 本 願
明細書中に参考として援用)。例えば、哺乳動物に静脈内注射され得るカチオン性リポソ
ーム中に核酸がカプセル化された送達系が、成体マウスの多数の組織(内皮および骨髄を
含 む ) の 細 胞 中 に DNAを 導 入 す る た め に 用 い ら れ て い る ( 例 え ば 、 Zhuら 、 1993 Science 2
61, 209-211を 参 照 の こ と ; 本 願 明 細 書 中 に 参 考 と し て 援 用 ) 。
レ セ プ タ ー 遺 伝 子 の 5'隣 接 配 列 も ま た 、 レ セ プ タ ー の 発 現 を 阻 害 す る た め に 用 い ら れ 得 る
。 例 え ば 、 レ セ プ タ ー 遺 伝 子 の 5'隣 接 領 域 の 全 部 ま た は 一 部 の ア ン チ セ ン ス RNAが 、 イ ン
ビボにおいてレセプターの発現を阻害するために用いられ得る。細胞で発現される選択さ
20
れ た DNA配 列 の ア ン チ セ ン ス RNAを 生 成 す る た め に 用 い ら れ 得 る 発 現 ベ ク タ ー ( 例 え ば 、 レ
トロウイルスまたはアデノウイルス発現ベクター)は、既に当該分野において存在する(
例 え ば 、 米 国 特 許 第 4,868,116号 ; 米 国 特 許 第 4,980,286号 を 参 照 の こ と ) 。 従 っ て 、 レ セ
プ タ ー 遺 伝 子 の 5'隣 接 領 域 の 配 列 の 全 部 ま た は 一 部 を 含 む DNAが 適 当 な 発 現 ベ ク タ ー に 挿
入 さ れ 、 こ れ に よ り 、 細 胞 へ の 継 代 の 際 に 、 挿 入 さ れ た DNAの 転 写 は 、 細 胞 に お い て 通 常
見 出 さ れ る レ セ プ タ ー タ ン パ ク 質 遺 伝 子 の mRAN転 写 物 に 相 補 的 で あ る ア ン チ セ ン ス RNAを
生 じ 得 る 。 挿 入 さ れ た DNAの こ の ア ン チ セ ン ス RNA転 写 物 は 、 次 い で 、 細 胞 に お い て 見 出 さ
れ る 正 常 mRNA転 写 物 と 塩 基 対 合 し 、 そ し て そ れ に よ り mRNAが 翻 訳 さ れ る こ と を 妨 げ 得 る 。
む ろ ん 、 ア ン チ セ ン ス RNAが mRNA上 に 存 在 す る 相 補 配 列 を 含 む こ と を 確 実 に す る よ う に 、
レ セ プ タ ー タ ン パ ク 質 遺 伝 子 の 転 写 開 始 部 位 の 下 流 に 存 在 す る 5'隣 接 領 域 の 配 列 を 選 択 す
30
ることが必要である。
ア ン チ セ ン ス RNAは 、 イ ン ビ ト ロ で も ま た 生 成 さ れ 得 、 そ し て 次 い で 細 胞 中 に 挿 入 さ れ 得
る 。 オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド は 、 自 動 合 成 装 置 ( 例 え ば 、 Model 8700自 動 合 成 装 置 ( Milligen
-Biosearch, Burlington, MA) ま た は ABI Model 380B) で 合 成 さ れ 得 る 。 さ ら に 、 ア ン チ
センスデオキシオリゴヌクレオチドが、遺伝子転写およびウイルス複製を阻害するのに有
効 で あ る こ と が 示 さ れ て い る ( 例 え ば 、 Zamecnikら 、 1978 Proc. Natl. Acad. Sci. USA
75, 280-284; Zamecnikら 、 1986 Proc. Natl. Acad. Sci. , 83, 4143-4146; Wickstromら
、 1988 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 1028-1032; Crooke、 1993 FASEB J. 7, 533-53
9を 参 照 の こ と ) 。 さ ら に 、 近 年 の 研 究 に よ り 、 ア ン チ セ ン ス オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド に よ る
遺伝子の発現の改善は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが修飾ヌクレオチドを含む場合
40
可 能 で あ る こ と が 示 さ れ た ( 例 え ば 、 Offenspergerら 、 1993 EMBO J. 12, 1257-1262( ア
ンチセンスホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチドによるアヒルB型肝炎ウイル
ス 複 製 お よ び 遺 伝 子 発 現 の イ ン ビ ボ 阻 害 ) ; Rosenbergら 、 PCT WO 93/01286( ス ル フ ル チ
オ エ ー ト オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド の 合 成 ) ; Agrawalら 、 1988 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8
5, 7079-7083( ヒ ト 免 疫 不 全 1 型 ウ イ ル ス の 複 製 を 阻 害 す る た め の ア ン チ セ ン ス オ リ ゴ ヌ
ク レ オ チ ド ホ ス ホ ル ア ミ デ ー ト お よ び ホ ス ホ ロ チ オ エ ー ト の 合 成 ) ; Sarinら 、 1989 Proc
. Natl. Acad. Sci. USA 85, 7448-7794( ア ン チ セ ン ス メ チ ル ホ ス ホ ネ ー ト オ リ ゴ ヌ ク レ
オ チ ド の 合 成 ) ; Shawら 、 1991 Nucleic Acids Res 19, 747-750( 3'末 端 ホ ス ホ ロ ア ミ デ
ー ト 修 飾 を 含 む 3'エ キ ソ ヌ ク レ ア ー ゼ 耐 性 オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド の 合 成 ) を 参 照 の こ と ; 本
願明細書中に参考として援用)。
50
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レ セ プ タ ー タ ン パ ク 質 遺 伝 子 の 5'隣 接 領 域 の 配 列 は ま た 、 三 重 ら せ ん ( ト リ プ レ ッ ク ス )
遺 伝 子 治 療 に お い て 用 い ら れ 得 る 。 DNAの 鎖 の 一 方 に あ る 遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー 配 列 に 相 補
的なオリゴヌクレオチドは、プロモーターおよび調節配列に結合して、遺伝子の転写をブ
ロ ッ ク す る 局 所 的 な 三 重 核 酸 ら せ ん を 形 成 す る こ と が 示 さ れ て い る ( 例 え ば 、 1989 Maher
ら 、 Science 245, 725-730; Orsonら 、 1991 Nucl. Acids Res. 19, 3435-3441; Postalら
、 1991 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88, 8227-8231; Cooneyら 、 1988 Science 241, 456
-459; Youngら 、 1991 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88, 10023-10026; Duval-Valentinら
、 1992 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 504-508; 1992 Blumeら 、 Nucl. Acids Res. 20
,1777-1784; 1992 Grigorievら 、 J. Biol. Chem. ,267, 3389-3395を 参 照 の こ と ) 。
理論的計算および経験的知見の両方が報告されており、これらは、遺伝子発現を阻害する
10
オリゴヌクレオチド指向三重らせん形成において使用される、オリゴヌクレオチドの設計
に関する指針を提供する。例えば、オリゴヌクレオチドは、標的配列特異性を確実にする
た め に は 、 一 般 に 、 14ヌ ク レ オ チ ド 長 よ り 大 き く す べ き で あ る ( 例 え ば 、 Maherら 、 ( 198
9) ; Grigorievら 、 ( 1992) を 参 照 の こ と ) 。 ま た 、 多 く の 細 胞 は 、 50ヌ ク レ オ チ ド 長 未
満 の オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド を 貪 欲 に 取 り 込 む ( 例 え ば 、 Orsonら 、 ( 1991) ; Holtら 、 1988
Mol. Cell. Biol. 8, 963-973; Wickstromら 、 1988 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 10
28-1032を 参 照 の こ と ) 。 細 胞 内 分 解 に 対 す る 感 受 性 を 低 く す る た め 、 例 え ば 3'エ キ ソ ヌ
クレアーゼにより、遊離アミンが、配列結合特異性を損失させることなく、オリゴヌクレ
オ チ ド の 3'末 端 ヒ ド ロ キ シ ル 基 に 対 し て 導 入 さ れ 得 る ( Orsonら 、 1991) 。 さ ら に 、 オ リ
ゴヌクレオチド中に存在し得る任意のシトシンがメチル化される場合、およびまた挿入剤
20
( 例 え ば 、 ア ク リ ジ ン 誘 導 体 ) が 5'末 端 ホ ス フ ェ ー ト に 共 有 結 合 さ れ る 場 合 ( 例 え ば 、 ペ
ンタメチレン架橋を介して);また配列特異性を損失させることなく、より安定なトリプ
レ ッ ク ス が 形 成 さ れ る ( Maherら 、 ( 1989) ; Grigorievら 、 ( 1992) ) 。
オリゴヌクレオチドを産生または合成する方法は、当該分野で周知である。このような方
法 は 、 標 準 的 な 酵 素 消 化 後 の ヌ ク レ オ チ ド フ ラ グ メ ン ト 単 離 ( 例 え ば 、 Sambrookら 、 Chap
ter 5 お よ び 6 を 参 照 の こ と ) か ら 純 粋 な 合 成 方 法 ( 例 え ば 、 Milligenま た は Beckman Sy
stem 1Plus DNA合 成 装 置 を 用 い る シ ア ノ エ チ ル ホ ス ホ ル ア ミ ダ イ ト 法 ( Ikutaら 、 Ann. Re
v. Biochem. 1984 53, 323-356( ホ ス ホ ト リ エ ス テ ル 法 お よ び ホ ス フ ァ イ ト ト リ エ ス テ ル
法 ) ; Narangら 、 Methods Enzymol. 65, 610-620( 1980) ( ホ ス ホ ト リ エ ス テ ル 法 ) も ま
た参照のこと)までの範囲であり得る。従って、本明細書中に記載のレセプタータンパク
30
質 遺 伝 子 の 5'隣 接 領 域 の DNA配 列 は 、 遺 伝 子 の 発 現 を 阻 害 す る た め に レ セ プ タ ー タ ン パ ク
質 遺 伝 子 の 5'隣 接 領 域 内 で 特 異 的 に 三 重 ら せ ん を 形 成 す る こ と に お い て 用 い ら れ る オ リ ゴ
ヌ ク レ オ チ ド ( 少 な く と も 15の 連 続 し た ヌ ク レ オ チ ド か ら 本 質 的 に な る DNA配 列 を 含 む 。
塩基修飾または挿入剤誘導体を有するかまたは有さない)を設計および構築するために用
いられ得る。
いくつかの場合では、発現操作のための方法および試薬のスクリーニングを容易にするた
めに、エンハンサーまたは多コピーの調節配列を発現系に挿入することが有利であり得る
。
レセプタータンパク質フラグメントの調製
レ セ プ タ ー の コ レ ス テ ロ ー ル -HDLへ の 結 合 を ブ ロ ッ ク す る た め に 有 効 な 化 合 物 は ま た 、 レ
40
セプタータンパク質のフラグメントからなり得、組換え発現されて酵素消化により切断さ
れるか、または全長レセプタータンパク質より短いペプチドをコードする配列から発現さ
れる。これらは、典型的には、可溶性タンパク質、すなわち、膜貫通領域および細胞質領
域を含まないタンパク質である。一方、レセプタータンパク質への結合を阻害するかまた
は結合について競合することが上記アッセイにおいて決定された、より小さな部分もまた
、用いられ得る。適当なレセプタータンパク質フラグメントを作製し、結合について試験
し、そして次いで利用することは日常的なことである。可能性のある免疫応答を最小にす
るために、好ましいフラグメントはヒト起源である。ペプチドは、5∼8アミノ酸長程度
の長さであり得、そして標準的な技術で容易に調製される。それらはまた、インビボにお
ける半減期を増大させるように、アミノ酸の化学的修飾によるか、またはキャリア分子ま
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たは不活性基質への付着により改変され得る。レセプター結合をブロックする他のペプチ
ド フ ラ グ メ ン ト を 用 い た 研 究 に 基 づ く と 、 IC 5 0 ( 結 合 を 50% 阻 害 す る の に 必 要 と さ れ る ペ
プ チ ド の 投 与 量 ) は 、 そ の ペ プ チ ド に 依 存 し て 、 約 50μ M∼ 約 300μ Mの 範 囲 で あ る 。 こ れ
ら の 範 囲 は 、 細 胞 付 着 お よ び 食 作 用 を 変 化 さ せ る た め に イ ン ビ ボ に お い て 用 い ら れ る RGD
含 有 ペ プ チ ド ( 例 え ば 、 Ruoslaghtiら の 米 国 特 許 第 4,792,525号 に 記 載 ) と の 比 較 に 基 づ
くと、インビボにおけるペプチド投与の有効濃度の範囲において十分に範囲内にある。
ペプチドはまた、キャリアタンパク質(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン)に
そ の N 末 端 シ ス テ イ ン に よ り 、 標 準 的 な 手 順 ( 例 え ば 、 市 販 の Imjectキ ッ ト ( Pierce Che
micalsか ら ) ) に よ り 結 合 体 化 さ れ 得 る か 、 ま た は 融 合 タ ン パ ク 質 と し て 発 現 さ れ 得 、 こ
れは、増大した効力を有し得る。上述のように、ペプチドは、レセプタータンパク質のタ
10
ンパク質分解性切断により、または好ましくは合成手段により調製され得る。これらの方
法 は 、 当 業 者 に 公 知 で あ る 。 一 例 は 固 相 合 成 で あ り 、 こ れ は 、 J.Merrifield, 1964 J. Am
. Chem. Soc. 85, 2149に よ り 記 載 さ れ 、 米 国 特 許 第 4,792,525号 に お い て 用 い ら れ 、 そ し
て 米 国 特 許 第 4,244,946号 に お い て 記 載 さ れ て い る 。 こ の 方 法 で は 、 保 護 化 α ア ミ ノ 酸 が
適切な樹脂にカップリングされて、ペプチドのC末端から開始するペプチドの合成を開始
さ せ る 。 他 の 合 成 方 法 は 、 米 国 特 許 第 4,305,872号 お よ び 同 第 4,316,891号 に 記 載 さ れ て い
る。これらの方法が用いられて、本明細書中に記載のレセプタータンパク質に対して同一
の配列を有するペプチド、またはアミノ酸の置換物または付加物を合成し得る。これらは
、上述のようにして活性についてスクリーニングされ得る。
ペプチドはまた、薬学的に受容可能な酸付加塩または塩基付加塩として投与され得、これ
20
らの塩は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸、
およびリン酸)および有機酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビ
ン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、およびフマル酸)との反応によるか
、または無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム)
および有機塩基(モノ−、ジ−、トリアルキルおよびアリールならびに置換エタノールア
ミン)との反応により形成される。
シクロプロピルアミノ酸または同様の様式で誘導体化されたアミノ酸を含有するペプチド
もまた用いられ得る。これらのペプチドは、それらの本来の活性を保持するが、インビボ
において増大した半減期を有する。アミノ酸を修飾することについて知られる方法、およ
び そ れ ら の 使 用 は 、 当 業 者 に 公 知 で あ り 、 例 え ば 、 Stammerの 米 国 特 許 第 4,629,784号 に 記
30
載されている。
ペ プ チ ド は 、 約 1 μ g/ kg体 重 以 上 の 量 で 非 経 口 投 与 さ れ た と き 、 一 般 に 活 性 で あ る 。 ほ
とんどの炎症障害の処置のための他のタンパク質からの推定に基づくと、投薬量範囲は、
0.1∼ 70mg/ kg体 重 の 範 囲 で あ る 。 こ の 投 薬 量 は 、 部 分 的 に は 、 1 つ の ペ プ チ ド が 投 与 さ
れるかまたはそれ以上のペプチドが投与されるかに依存する。
薬学的組成物
レセプタータンパク質結合を変化させる化合物は、薬学的に受容可能なビヒクル中で好ま
しく投与される。適切な薬学的ビヒクルは、当業者に公知である。非経口投与について、
化合物は、通常、滅菌水または生理食塩水中に溶解または懸濁される。経腸投与について
、化合物は、錠剤、液体、またはカプセル形態において、不活性なキャリア中に取り込ま
40
れ る 。 適 切 な キ ャ リ ア は 、 デ ン プ ン ま た は 糖 で あ り 得 、 そ し て 潤 滑 剤 、 香 料 ( flavoring
)、結合剤、および同じ性質の他の物質を包含する。化合物はまた、溶液、クリーム、ゲ
ル 、 ま た は ポ リ マ ー 性 物 質 ( 例 え ば 、 Pluronic
TM
、 BASF) の 局 所 塗 布 に よ り 、 局 所 的 に 投
与され得る。
あるいは、化合物はリポソームまたは微粒子(あるいは、微小粒子)中で投与され得る。
患者への投与のためのリポソームおよび微粒子を調製する方法は、当業者に公知である。
米 国 特 許 第 4,789,734号 に は 、 リ ポ ソ ー ム 中 に 生 物 学 的 物 質 を カ プ セ ル 化 す る 方 法 が 記 載
されている。基本的に、物質は水溶液中に溶解され、適切なリン脂質および脂質が(必要
であれば界面活性剤とともに)添加され、そして物質は、必要な場合には、透析または超
音 波 処 理 さ れ る 。 公 知 の 方 法 の 1 つ の 総 説 は 、 G. Gregoriadisに よ る 、 第 14章 、 「 リ ポ ソ
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(13)
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ー ム 」 、 Drug Carriers in Biology and Medicin e、 287-341頁 ( Academic Press、 1979)
である。ポリマーまたはタンパク質で形成された微粒子は、当業者に公知であり、そして
胃腸管を介して直接血流に通過するように改変され得る。あるいは、化合物は、微粒子ま
たは微粒子の複合物に取り込まれ得る。この微粒子または微粒子の複合物は、日∼月の範
囲 の 期 間 に わ た る 遅 延 放 出 の た め に 移 植 さ れ る 。 例 え ば 、 米 国 特 許 第 4,906,474号 、 同 第 4
,925,673号 お よ び 同 第 3,625,214号 を 参 照 の こ と 。
スクリーニングのためのトランスジェニック動物の作製
SR-BIの 発 現 、 翻 訳 、 ま た は 機 能 を 所 望 の 様 式 で 変 化 さ せ 得 る 化 合 物 を 試 験 す る た め に 、 S
R-BIを コ ー ド す る cDNAお よ び そ の 発 現 を 調 節 す る 調 節 配 列 の 知 見 を 用 い て 、 ト ラ ン ス ジ ェ
ニック動物(特に、齧歯動物)を作製することが可能である。アデノウイルスベクターで
10
の感染後の動物における一過性の過剰発現についてのこの手順は、以下の実施例に記載す
る。
有 用 な 動 物 と し て 、 基 本 的 に 2 つ の 型 が あ る : 一 方 は 、 機 能 的 な SR-BIを 発 現 し な い 動 物
で あ り 、 こ れ は SR-BIの イ ン ヒ ビ タ ー と の 組 み 合 わ せ に お い て 、 脂 質 、 コ レ ス テ ロ ー ル 、
リポタンパク質またはその成分のレベルを制御するためにより良好に作用し得る薬物を試
験 す る た め に 有 用 で あ る 。 そ し て 他 方 は 、 SRBIを す で に 発 現 し て い る 組 織 ま た は 低 い レ ベ
ル の み が 天 然 で 発 現 さ れ る 組 織 の い ず れ か に お い て 、 SR-BIを 過 剰 発 現 す る 動 物 で あ る 。
第 1 の 群 の 動 物 は 、 SR-BI遺 伝 子 の 「 ノ ッ ク ア ウ ト 」 を 生 じ る 技 術 を 用 い て 、 好 ま し く は
作製されるが、この好ましい場合において、ノックアウトは不完全であり、特定の組織に
おいてのみであるかまたは減少された量になるかのいずれかである。これらの動物は、好
20
ま し く は 、 SR-BI遺 伝 子 に 対 す る 相 補 的 な ヌ ク レ オ チ 配 列 を 含 む が 、 機 能 的 な SR-BIは コ ー
ドしない構築物を用いて、および最も好ましくは胚幹細胞とともに用いてキメラを作製し
て 、 作 製 さ れ る 。 欠 損 遺 伝 子 に つ い て ヘ テ ロ 接 合 体 で あ る 動 物 は ま た 、 SR-BIの 産 生 を 欠
損する動物と正常なホモ接合体とを交配することにより得ることができる。
第2の群の動物は、好ましくは、組織特異的プロモーター(これらの多くは、利用可能で
あり、および文献に記載されている)、または非調節プロモーターもしくは天然のプロモ
ーターと比較して発現が増加するように改変されるプロモーターを含む構築物を用いて作
製 さ れ 得 る 。 SR-BI遺 伝 子 の 調 節 配 列 は 、 SR-BIを コ ー ド す る cDNAを 用 い る 適 切 な ラ イ ブ ラ
リーのスクリーニングに基づく標準的な技術を用いて得ることができる。これらの動物は
、最も好ましくは標準的なマイクロインジェクション技術を用いて作製される。
30
これらの操作は、以下に記載のように、マイクロインジェクションまたは当業者に公知の
他 の 技 術 ( 例 え ば 、 エ レ ク ト ロ ポ レ ー シ ョ ン ) を 用 い る 、 cDNAま た は ゲ ノ ム DNAの 胚 へ の
挿 入 に よ り 行 わ れ る 。 DNAは 、 SR-BIを コ ー ド す る 遺 伝 子 を 不 活 性 化 す る こ と 、 ま た は SR-B
Iを コ ー ド す る 遺 伝 子 を 異 な る 組 織 に お い て 過 剰 発 現 も し く は 発 現 す る こ と を 意 図 す る 目
的に基づいて選択される。
SR-BIコ ー ド 遺 伝 子 は 欠 損 SR-BIの DNA( 例 え ば 、 抗 生 物 質 マ ー カ ー を コ ー ド 配 列 内 に 含 む
配列)との相同組換えにより改変され得、次いでこれは選択目的のために使用され得る。
動物供給源
トランスジェニック実験に適切な動物は、標準的な市販の供給源から得ることができる。
これらは、マウスおよびラットのような遺伝子操作手順の試験のための動物、ならびにブ
40
タ、ウシ、ヒツジ、ヤギのようなより大きい動物、および当業者に公知の技術を用いて遺
伝子操作された他の動物を包含する。これらの技術は、マウスおよびラットの操作に主に
基づいて以下に簡単に要約する。
マイクロインジェクション手順
胚 を 操 作 す る た め の 手 順 お よ び DNAの マ イ ク ロ イ ン ジ ェ ク シ ョ ン に つ い て の 手 順 は 、 Hogan
ら 、 Manipulating the mouse embryo、 Cold Sprong Harbor Laboratory、 Cold Spring Ha
rbor, NY( 1986) に 詳 細 に 記 載 さ れ て お り 、 そ の 教 示 は 、 本 明 細 書 中 に 援 用 さ れ る 。 こ れ
らの技術は、他の動物胚に容易に適用可能であり、そして成功率は低いが、当業者に日常
的な実施であると考えられている。
トランスジェニック動物
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雌性動物を、マウスを用いる標準的な技術から適合された方法論を用いて、すなわち、妊
娠 中 雄 性 血 清 性 腺 刺 激 ホ ル モ ン ( PMSG; Sigma) 注 射 の 48時 間 後 、 ヒ ト 絨 毛 性 性 腺 刺 激 ホ
ル モ ン ( hCG; Sigma) を 注 射 す る こ と に よ っ て 過 排 卵 を 誘 導 す る 。 hCG注 射 後 直 ぐ に 雌 を
雄 と と も に 置 く 。 hCGの 約 1 日 後 、 交 尾 さ れ た 雌 を 屠 殺 し 、 そ し て 胚 を 切 除 し た 卵 管 か ら
取 り 出 し 、 そ し て 0.5%ウ シ 血 清 ア ル ブ ミ ン ( BSA; Sigma) を 有 す る Dulbeccoの リ ン 酸 緩 衝
化 生 理 食 塩 水 中 に 置 く 。 周 囲 の 卵 丘 細 胞 を ヒ ア ル ロ ニ ダ ー ゼ ( 1 mg/ml) を 用 い て 取 り 出
す 。 次 い で 、 前 核 胚 を 洗 浄 し 、 注 射 の 時 ま で 、 5 % CO 2 、 95%空 気 に て 、 加 湿 雰 囲 気 を 有 す
る 37.5℃ イ ン キ ュ ベ ー タ ー に お い て 、 0.5%BSAを 含 有 す る Earleの 平 衡 化 塩 溶 液 ( EBSS) 中
に置く。
ドナー雌と同時にランダムに循環した成体雌を精管切除した雄と交尾させて、擬妊娠を誘
10
導する。胚を移す時に、レシピエント雌を麻酔し、そして体壁を通して直接卵管の上を切
開することにより、卵管を曝露する。卵巣嚢を開き、そして移される胚を卵管漏斗に挿入
する。移した後、切開を縫合針により閉じる。
胚 幹 ( ES) 細 胞 法
ES細 胞 へ の cDNAの 導 入
ES細 胞 を 培 養 す る 方 法 、 続 い て ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク 動 物 を 産 生 す る 方 法
種 々 の 方 法 ( 例 え ば 、 エ レ ク ト ロ ポ レ ー シ ョ ン 、 リ ン 酸 カ ル シ ウ ム / DNA沈 降 、 お よ び 直
接 注 入 ) に よ り 、 DNAを ES細 胞 に 導 入 す る 方 法 は 、 Teratocarcinomas and embryonic stem
cells, a practical approach 、 E.J. Robertson編 ( IRL Press 1987) 詳 細 に 記 載 さ れ て
お り 、 そ の 教 示 は 本 明 細 書 中 に 援 用 さ れ る 。 ト ラ ン ス ジ ー ン 含 有 ES細 胞 の 所 望 の ク ロ ー ン
20
の選択は、いくつかの手段の1つにより達成される。配列特異的遺伝子組み込みを包含す
る 場 合 、 SR-BI遺 伝 子 と の 組 換 え の た め の 核 酸 配 列 ま た は そ の 発 現 を 制 御 す る 配 列 は 、 ネ
オマイシン耐性のようなマーカーをコードする遺伝子と同時沈殿される。トランスフェク
シ ョ ン は 、 Lovell-Badge、 Teratocarcinomas and embryonic stem cells, a practical a
pproach 、 E.J. Robertson編 ( IRL Press 1987) ま た は Potterら 、 Proc. Natl. Acad. Sci
. USA 81, 7161( 1984) に 詳 細 に 記 載 さ れ る い く つ か の 方 法 の 1 つ に よ り 行 わ れ る 。
リ ン 酸 カ ル シ ウ ム /DNA沈 降 、 直 接 注 入 、 お よ び エ レ ク ト ロ ポ レ ー シ ョ ン は 、 好 ま し い 方 法
6
で あ る 。 こ れ ら の 手 順 に お い て 、 多 く の ES細 胞 ( 例 え ば 、 0.5× 10 ) が 組 織 培 養 デ ィ シ ュ
に 播 種 さ れ 、 そ し て 線 状 化 核 酸 配 列 の 混 合 物 お よ び 最 終 容 量 100μ l中 で 50mgリ ポ フ ェ ク チ
ン の 存 在 下 に て 沈 殿 さ れ た 1 mgの pSV2neo DNA( Southern and Berg、 J.Mol.Appl.Gen. 1:
30
327-341( 1982) ) を 用 い て ト ラ ン ス フ ェ ク ト さ れ る 。 細 胞 を 、 G418の よ う な 抗 生 物 質 ( 2
00μ g/mlと 500μ g/mlと の 間 ) を 補 充 し た DMEM中 に 10%胎 児 ウ シ 血 清 を 含 有 す る 選 択 培 地 を
用 い て 、 培 養 す る 。 G418に 耐 性 な 細 胞 の コ ロ ニ ー を ク ロ ー ニ ン グ リ ン グ を 用 い て 単 離 し 、
そ し て 拡 張 す る 。 薬 物 耐 性 コ ロ ニ ー か ら DNAを 抽 出 し 、 そ し て プ ロ ー ブ と し て 核 酸 配 列 を
用いるサザンブロッティング実験を使用して所望の核酸配列を保持するクローンを同定す
る 。 い く つ か の 実 験 に お い て 、 PCR法 が 、 目 的 の ク ロ ー ン を 同 定 す る た め に 使 用 さ れ る 。
ES細 胞 に 導 入 さ れ る DNA分 子 は ま た 、 Capecchi( 1989) に 記 載 さ れ る よ う に 、 相 同 組 換 え
のプロセスを介して染色体中に組み込まれ得る。直接注入により高効率の組み込みが生じ
る 。 所 望 の ク ロ ー ン は 、 注 入 さ れ た ES細 胞 の プ ー ル か ら 調 製 さ れ た DNAの PCRに よ り 同 定 さ
れ る 。 プ ー ル 内 の ポ ジ テ ィ ブ 細 胞 は 、 細 胞 ク ロ ー ニ ン グ に 続 い て PCRに よ り 同 定 さ れ る ( Z
40
immerお よ び Gruss、 Nature 、 338、 150-153( 1989) ) 。 エ レ ク ト ロ ポ レ ー シ ョ ン に よ る DN
A導 入 は 、 あ ま り 効 率 的 で は な く 、 そ し て 選 択 工 程 を 必 要 と す る 。 組 換 え 事 象 の ポ ジ テ ィ
ブ 選 択 ( す な わ ち 、 neo耐 性 ) お よ び 二 重 ポ ジ テ ィ ブ -ネ ガ テ ィ ブ 選 択 ( す な わ ち 、 neo耐
性 お よ び ガ ン シ ク ロ ビ ル 耐 性 ) の た め の 方 法 は 、 お よ び そ の 後 の PCRに よ る 所 望 の ク ロ ー
ン の 同 定 は 、 Joynerら 、 Nature 、 338、 153-156( 1989) お よ び Capecchi( 1989) に 記 載 さ
れており、その教示は本明細書中に援用される。
胚 の 回 収 お よ び ES細 胞 注 入
雄 と 交 配 さ せ た 、 自 然 な 周 期 の 雌 ま た は 過 排 卵 の 雌 を 使 用 し て 、 ES細 胞 の 注 入 の た め の 胚
を採集した。適切齢の胚を交配成功後に回収する。胚を、交配させた雌の子宮角からフラ
ッ シ ュ し 、 そ し て ES細 胞 を 注 入 す る た め に 、 10% ウ シ 血 清 を 含 む ダ ル ベ ッ コ 改 変 必 須 培 地
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に 置 く 。 約 10∼ 20個 の ES細 胞 を 、 内 径 が 約 20μ mの ガ ラ ス マ イ ク ロ ニ ー ド ル を 使 用 し て 胚
盤胞中に注入する。
偽妊娠雌への胚の移入
ラ ン ダ ム な 周 期 の 成 体 雌 を 精 管 切 除 し た 雄 と ペ ア リ ン グ さ せ る 。 ES細 胞 を 含 む 胚 盤 胞 の 移
植 に 必 要 と す る と き に 、 交 配 後 2.5∼ 3.5日 ( マ ウ ス に つ い て ; よ り 大 き な 動 物 に つ い て は
より後)となるように、レシピエント雌を交配させる。胚の移入時、レシピエント雌と麻
酔する。卵管および卵巣の真上の体壁を切開することによって卵巣を露出させ、そして子
宮を引き出す。子宮角にニードルで穴を開け、これを通して胚盤胞を移入する。移入後、
卵巣および子宮を体内に押し戻し、そして切開部を縫合により閉塞する。さらに移入すべ
き場合は、この手順を反対側で繰り返す。
10
トランスジェニック動物の同定
サ ン プ ル ( 1 ∼ 2 cmの マ ウ ス 尾 ) を 若 齢 動 物 か ら 採 取 す る 。 よ り 大 き な 動 物 で は 、 血 液 ま
たは他の組織を使用し得る。相同組換え実験においてキメラについて試験するため、すな
わ ち 、 標 的 付 け ら れ た ES細 胞 の 動 物 に 対 す る 寄 与 を 調 べ る た め に 、 マ ウ ス に お い て は 、 毛
色 が 使 用 さ れ て い る が 、 よ り 大 き な 動 物 で は 、 血 液 が 検 査 さ れ 得 る 。 DNAを 調 製 し 、 サ ザ
ン ブ ロ ッ ト お よ び PCRの 両 方 で 分 析 し て 、 ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク 創 始 ( F 0 ) 動 物 お よ び そ れ
ら の 子 孫 ( F1 お よ び F2 ) を 検 出 す る 。
一旦、トランスジェニック動物が同定されると、系統が、従来の繁殖法によって確立され
、そしてヒトへの移植のために標準的な技術を用いて組織の採取用および移植用ドナーと
して使用される。
20
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照することによって、さらに理解される。
実 施 例 1 : SR-BIに よ り 媒 介 さ れ る HDL脂 質 の 取 り 込 み
mSR-BIと の 相 互 作 用 の 後 の HDLの 脂 質 お よ び ア ポ タ ン パ ク 質 成 分 の 運 命 を 、 標 識 HDL( こ こ
で、タンパク質(
125
3
I) 、 ま た は 脂 質 ( [ H]コ レ ス テ リ ル オ レ エ ー ト も し く は DiI( 蛍 光
脂質))のいずれかが標識された)の細胞会合の時間経過を調べることにより比較した。
SR-BIに よ る 標 識 HDLの 取 り 込 み
方法
0 日 目 に 、 ldlA細 胞 お よ び ldlA[mSR-BI]細 胞 を 、 0.25mg/ml G418の 存 在 ま た は 非 存 在 下 の
そ れ ぞ れ で 、 5 % ウ シ 胎 児 血 清 ( A-FBS) を 補 充 し た 100単 位 /mlペ ニ シ リ ン 、 100μ g/mlス
ト レ プ ト マ イ シ ン 、 お よ び 2mMグ ル タ ミ ン ( 培 地 A) を 含 む Ham F-12培 地 を 含 む 、 6 ウ ェ ル
30
デ ィ ッ シ ュ ( 250,000細 胞 /ウ ェ ル ) に プ レ ー テ ィ ン グ し た 。 ア ッ セ イ を 、 2 日 目 に 行 っ た
。
HDLお よ び LDLを 、 帯 状 ( zonal) 遠 心 分 離 に よ り ヒ ト 血 漿 か ら 調 製 し た ( Chungら 、 Method
s of Enzymology, J.P.Segrestお よ び J.J.Alberts編 ( Academic Press, Inc. Orlando,FL
1986) 、 第 128巻 、 181-209頁 ) 。 SDS-PAGEは 、 HDLに お け る 唯 一 の 主 要 な タ ン パ ク 質 が 、
apoAIお よ び apoAIIで あ る こ と を 示 し た ( AI: AIIの 質 量 比 は 少 な く と も 3 : 1 で あ っ た )
。 apoEは 、 検 出 可 能 で な い か 、 ま た は 微 量 で 存 在 す る か の い ず れ か で あ っ た 。 い く つ か の
実 験 に つ い て は 、 「 Lipoprotein Analysis: A Practical Approach」 、 C.A.Converseお よ
び E.R.Skinner編 ( Oxford University Press, 1992) に 本 質 的 に 記 載 さ れ る HiTrapヘ パ リ
ン カ ラ ム ( Pharmacia) を 用 い て 、 apoEを 取 り 除 い た 。 HDLに お け る コ レ ス テ ロ ー ル : タ ン
40
パ ク 質 の 質 量 比 を 、 1 : 4 で あ る と 推 定 し た 。 HDLを 、 以 下 の よ う に ヨ ー ド ビ ー ズ ( iodob
ead) 法 ( Pierce) に よ り ヨ ウ 素 化 し た : 2 mgの HDLを 含 む 0.2mlリ ン 酸 緩 衝 化 生 理 食 塩 水
( Ca
2+
、 Mg
2+
を 含 ま な い ) を 、 2 つ の ヨ ー ド ビ ー ズ お よ び 1 mCi
125
I-NaIを 含 む 0.25mlの
0.3Mリ ン 酸 ナ ト リ ウ ム 緩 衝 液 ( pH7.4) に 添 加 し た 。 室 温 で 5 分 後 、 反 応 物 を 25μ lの 飽 和
L-チ ロ シ ン ( 水 中 ) で ク エ ン チ ン グ し 、 そ し て 0.15M NaCl、 0.3mM EDTA、 pH7.4に 対 し て
大 量 に 透 析 し た 。 比 放 射 能 ( Specific activity) は 、 60∼ 360cpm/ngタ ン パ ク 質 の 範 囲 で
3
あ っ た 。 [ H]コ レ ス テ リ ル エ ス テ ル 標 識 HDLは 、 Alan Tall( Columbia University, Jamme
tお よ び Tall, J.Biol.Chem. 260, 6687,( 1985) ) か ら 提 供 さ れ た 。
DiI( D-282, 1,1'-ジ オ ク タ デ シ ル -3,3,3',3'-テ ト ラ メ チ ル イ ン ド カ ル ボ シ ア ニ ン ペ ル ク
ロ レ ー ト ) を 、 molecular Probes( Eugene, OR) か ら 入 手 し た 。 DiI-HDLを 、 Pitasら 、 Ar
50
(16)
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terioclerosis 1, 177( 1981) に よ り Dil-LDLに つ い て 既 に 記 載 さ れ た よ う に 本 質 的 に 調
製 し た 。 リ ポ タ ン パ ク 質 お よ び 細 胞 の タ ン パ ク 質 含 量 を 、 Lowry J.Biol.Chem. 193, 265
( 1951) の 方 法 に よ り 決 定 し た 。
125
I-HDL細 胞 会 合 の 濃 度 依 存 ( ng会 合 し た
125
I-HDLタ ン パ ク 質 /1.5時 間 /mg細 胞 タ ン パ ク
質 ) を 決 定 す る た め に 、 非 標 識 HDL( 40倍 過 剰 ) の 存 在 ま た は 非 存 在 下 で 、 0.5%( w/v) の
脂 肪 酸 を 含 ま な い ウ シ 血 清 ア ル ブ ミ ン ( FAF-BSA) ( 培 地 B ) を 含 む 培 地 A 中 の
125
I-HDL
( 250cpm/ngタ ン パ ク 質 ) を 、 細 胞 に 再 度 与 え ( refed) 、 そ し て 5 % CO 2 加 湿 イ ン キ ュ ベ
ー タ ー 中 で 37℃ で 1.5時 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 次 い で 、 細 胞 を 冷 や し 、 2 mg/ml BSAを 含
む 氷 冷 Tris洗 浄 緩 衝 液 ( 50mM Tris-HCl、 0.15M NaCl、 pH7.4) 2 mlで 2 回 、 BSAを 含 ま な
い Tris洗 浄 緩 衝 液 で 1 回 迅 速 に 洗 浄 し 、 そ し て 放 射 能 お よ び タ ン パ ク 質 を 測 定 し た 。 比 値
10
( specific value) を 、 過 剰 な 非 標 識 HDLの 存 在 下 ( 単 一 の 測 定 、 非 比 放 射 能 ( nonspecif
ic activity) ) お よ び 非 存 在 下 ( 2 連 の 測 定 、 総 放 射 能 ) で 得 ら れ た 結 果 の 間 の 差 異 に
基づいて算出された。
ク 質 /mlの
125
125
I-HDLの 細 胞 会 合 の 時 間 経 過 。 細 胞 を 、 測 定 さ れ る 20μ gタ ン パ
I-HDL( 220cpm/ngタ ン パ ク 質 ) と 共 に 37℃ で イ ン キ ュ ベ ー ト し 、 そ し て 比 細
胞 会 合 ( ng ト ラ フ ト ( draft) 会 合 し た
のように測定した。次いで、
ク 質 /mlの
125
125
125
I-HDLタ ン パ ク 質 /mg細 胞 タ ン パ ク 質 ) を 上 記
I-HDL分 解 の 時 間 経 過 を 測 定 し た 。 細 胞 を 、 10μ gタ ン パ
I-HDL( 64cpm/ngタ ン パ ク 質 ) と 共 に イ ン キ ュ ベ ー ト し 、 そ し て 酸 可 溶 性 産
物 に 対 す る 比 細 胞 内 分 解 ( 細 胞 タ ン パ ク 質 mg当 た り の 分 解
125
I-HDLの ng) を 測 定 し た 。
mSR-BIに よ る HDL脂 質 の 選 択 的 取 り 込 み の キ ネ テ ィ ク ス を 決 定 す る た め に 、 本 発 明 者 ら は
、 0 日 目 に ト ラ ン ス フ ェ ク ト さ れ て い な い 細 胞 お よ び SR-BI発 現 細 胞 を プ レ ー テ ィ ン グ し
、そして2日目に、それらを、
125
20
I-HDL( 10μ gタ ン パ ク 質 /ml、 64cpm/ngタ ン パ ク 質 ) 、
3
[ H]-コ レ ス テ リ ル オ レ エ ー ト 標 識 HDL( 約 8.8μ gタ ン パ ク 質 /ml、 15cpm/ngコ レ ス テ リ ル
エ ス テ ル ) 、 ま た は DiI標 識 HDL( 10μ gタ ン パ ク 質 /ml) と 共 に 37℃ で イ ン キ ュ ベ ー ト し 、
3
そ し て 細 胞 会 合 標 識 を 定 量 し た 。 [ H]-コ レ ス テ リ ル オ レ エ ー ト を 、 室 温 で 30分 間 イ ソ プ
ロ ピ ル ア ル コ ー ル で 抽 出 し 、 そ し て 放 射 能 を 、 Scintiverse II( Fisher) シ ン チ レ ー シ ョ
ン 混 合 物 に お い て 測 定 し た 。 DiIを 、 細 胞 を DMSOに
★
溶 解 し 、 そ し て Hitachiモ デ ル F-4500
蛍 光 分 光 度 計 に お い て 、 550nm励 起 、 565nm発 光 で 蛍 光 を 測 定 し 、 そ し て DMSOに 溶 解 し た Di
I-HDLの 調 製 標 準 に 対 し て 比 較 す る こ と に よ り 抽 出 し た 。
3
標 識 HDLか ら の SR-BI媒 介 輸 送 [ H]コ レ ス テ リ ル エ ス テ ル が 、 交 換 よ り む し ろ こ の 脂 質 の 正
味 輸 送 を 示 す か ど う か 決 定 す る た め に 、 非 標 識 HDL( 20μ gタ ン パ ク 質 /ml、 5 時 間 ) の 存
30
在または非存在下のインキュベーション後の細胞のコレステロール含量を比較した。プレ
ー テ ィ ン グ 後 の 2 日 目 に 、 細 胞 を 、 非 標 識 HDL( 20μ gタ ン パ ク 質 /ml) の 存 在 ま た は 非 存
在 下 で 培 地 B に お い て 37℃ で 5 時 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し 、 上 記 の よ う に 洗 浄 し 、 そ し て 脂 質
を 、 ヘ キ サ ン /イ ソ プ ロ パ ノ ー ル ( 3 : 2 、 3 ml、 30分 ) で 2 回 抽 出 し た 。 抽 出 物 を プ ー
ル し 、 1 mlの 水 で 逆 に 抽 出 し ( backextract) 、 そ し て ロ ー タ リ ー エ バ ポ レ ー シ ョ ン に よ
り乾燥した。総(遊離およびエステル化)コレステロール質量(6連の平均)を、酵素ア
ッ セ イ ( Sigma Diagnostics, St.Louis, MO.) を 用 い て 決 定 し た 。 サ ン プ ル の タ ン パ ク 質
含 量 を 、 複 製 培 養 物 の 分 析 に よ り 評 価 し た 。 HDLの 非 存 在 下 で イ ン キ ュ ベ ー ト し た 細 胞 の
総 コ レ ス テ ロ ー ル の 値 ( μ g/ml細 胞 タ ン パ ク 質 + SEM) は 、 20.5+ 0.3( ldlA) お よ び 23.0
+ 0.4( ldlA[mSR-BI]) で あ っ た 。
40
結果
125
I-HDLは 、 高 い 親 和 性 ( kD約 30μ gの タ ン パ ク 質 /ml) お よ び 飽 和 性 で SR-BI発 現 細 胞 と
特異的に会合した。コントロール細胞は、実質的にほとんど
125
I-HDL会 合 を 示 さ な か っ た
。会合は非常に迅速であり、1時間未満で定常状態に達した。この高い親和性および飽和
結 合 に も か か わ ら ず 、 HDLの
125
I-標 識 タ ン パ ク 質 成 分 は 、 SR-BI発 現 細 胞 と の 相 互 作 用 後
に分解されなかった。
HDLの タ ン パ ク 質 成 分 の 会 合 の キ ネ テ ィ ッ ク ス は 、 脂 質 の も の と 非 常 に 異 な る 。
125
I-HDL
の 総 標 識 の 小 さ な 画 分 ( 0.5% 未 満 ) の み が 、 5 時 間 で ト ラ ン ス フ ェ ク ト 細 胞 に 結 合 し た
。細胞会合
125
I-HDLは 、 1 時 間 未 満 で 定 常 状 態 に 達 し た ( 10μ g HDLタ ン パ ク 質 /mlで 約 20
3
0ngタ ン パ ク 質 /mg細 胞 タ ン パ ク 質 ) 。 対 照 的 に 、 HDLの 脂 質 標 識 成 分 ( [ H]コ レ ス テ リ ル
50
(17)
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オ レ エ ー ト ま た は DiI) の 細 胞 会 合 は 、 イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン を 通 し て 連 続 的 に 増 加 し た 。
3
細 胞 へ の [ H]コ レ ス テ ロ ー ル エ ス テ ル お よ び DiI輸 送 の キ ネ テ ィ ッ ク ス は 類 似 し て い た 。
イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン 培 地 に 添 加 さ れ た HDLに お け る 総 標 識 脂 質 の 約 18% は 、 5 時 間 の イ ン
キュベーションの終わりにはトランスフェクト細胞と特異的に会合した。非トランスフェ
ク ト 細 胞 は 、 脂 質 ま た は タ ン パ ク 質 の 会 合 を と ほ ん ど 示 さ な か っ た 。 従 っ て 、 mSR-BI発 現
細 胞 へ の HDL成 分 で あ る 、 脂 質 の 選 択 的 な 輸 送 は 存 在 し た が 、 タ ン パ ク 質 で は 存 在 し な か
った。
3
標 識 HDLか ら の [ H]コ レ ス テ リ ル エ ス テ ル の 輸 送 が 、 交 換 よ り む し ろ こ の 脂 質 の 正 味 輸 送
を 示 し た が 否 か 決 定 す る た め に 、 非 標 識 HDLの 存 在 ま た は 非 存 在 下 で の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ
ン ( 20μ gタ ン パ ク 質 /ml、 5 時 間 ) 後 、 細 胞 の コ レ ス テ ロ ー ル 成 分 を 比 較 し た 。 ト ラ ン ス
10
フ ェ ク ト 細 胞 に お い て 、 HDLと の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン は 、 総 細 胞 コ レ ス テ ロ ー ル ( 遊 離 お
よ び エ ス テ ル 化 ) に お い て 20% の 増 加 ( 4.6μ gコ レ ス テ ロ ー ル /mg細 胞 タ ン パ ク 質 ) を も
た ら し た 。 こ の 増 加 は 、 イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン 培 地 に 添 加 さ れ た HDL-コ レ ス テ ロ ー ル の 約 21
3
% の 輸 送 に 対 応 し 、 そ し て [ H]コ レ ス テ リ ル オ レ エ ー ト -HDlま た は DiI-HDLの い ず れ か か
ら輸送された標識脂質の量に匹敵する。対照的に、非トランスフェクト細胞のコレステロ
ー ル 含 量 に お い て 統 計 学 的 に 有 意 な HDL-依 存 増 加 は 存 在 し な か っ た ( 0.2μ g未 満 の コ レ ス
テ ロ ー ル /mg細 胞 タ ン パ ク 質 ) 。 こ れ ら の 結 果 は 、 1 ) mSR-BIが HDLコ レ ス テ リ ル エ ス テ ル
の 正 味 量 輸 送 を 媒 介 し た 、 2 ) こ の 輸 送 は 、 マ ウ ス 副 腎 細 胞 株 ( Y1-BS1) に つ い て 依 然 に
報 告 さ れ た も の と 量 的 に 類 似 し た 、 お よ び 3 ) こ れ ら の 条 件 下 で 、 HDLに お け る 蛍 光 ま た
は放射標識脂質は、総コレステロール輸送についての適切なレポーターとして作用するこ
20
とを示唆する。
蛍光標識脂質の取り込み
mSR-BIに よ り 媒 介 さ れ る 選 択 的 な 脂 質 送 達 の 細 胞 経 路 を 調 べ 始 め る た め に 、 古 典 的 な LDL
レ セ プ タ ー 経 路 を 介 し て 送 達 さ れ る 蛍 光 脂 質 ( DiI) の 最 初 の 分 布 を 、 mSR-BI経 路 の 分 布
と比較した。
方法
0 日 目 に 、 LDLレ セ プ タ ー ポ ジ テ ィ ブ 野 生 型 CHO、 mSR-BIト ラ ン ス フ ェ ク ト ldlA[mSR-BI]、
お よ び レ セ プ タ ー ネ ガ テ ィ ブ ldlA細 胞 を 、 製 造 者 の 説 明 書 通 り に ポ リ -D-リ ジ ン ( MW300,0
00を 超 え る 、 Sigma) で コ ー テ ィ ン グ さ れ た カ バ ー ガ ラ ス 上 の 5 % FBSを 含 む 培 地 A に プ レ
ー テ ィ ン グ し た 。 Actonら 、 J.Biol.Chem. 269, 21003( 1994) に よ り 記 載 さ れ た ( こ の 教
30
示 は 本 明 細 書 中 に 援 用 さ れ る ) 、 ハ ム ス タ ー SR-BI cDNA由 来 の 600bpプ ロ ー ブ を 、 マ ウ ス 3
T3-L1脂 肪 細 胞 cDNAラ イ ブ ラ リ ー を ス ク リ ー ニ ン グ す る た め に 使 用 し た 。 完 全 な コ ー デ ィ
ング領域を含むクローンを単離し、そしてこの領域を両鎖に対して配列決定した;この配
列 は 、 ハ ム ス タ ー 配 列 に 対 し て 89% 推 定 ア ミ ノ 酸 同 一 性 お よ び 96% 推 定 ア ミ ノ 酸 類 似 性 、
な ら び に ヒ ト 配 列 で あ る CLA1に 対 し て 97% 推 定 ア ミ ノ 酸 同 一 性 お よ び 91% 推 定 ア ミ ノ 酸 類
似 性 を 有 し て い た ( Calvoお よ び Vega, J.Biol.Chem. 268,18929( 1993) ( こ の 教 示 は 本
明 細 書 中 に 援 用 さ れ る ) 。 発 現 ベ ク タ ー pmSR-BI-77を 、 こ の ク ロ ー ン か ら 作 製 し 、 そ し て
以 前 に 記 載 さ れ た 方 法 を 用 い て 、 LDLレ セ プ タ ー ネ ガ テ ィ ブ 変 異 体 CHO細 胞 株 で あ る ldlAに
トランスフェクトして、安定なレセプターポジティブトランスフェクタントを作製した。
DiI標 識 ア セ チ ル 化 LDLと の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン 後 の フ ロ ー サ イ ト メ ト リ ー を 用 い て 、 本 明
40
細 書 中 で 使 用 す る 細 胞 の サ ブ 集 団 で あ る ldlA[mSR-BI]( コ ロ ニ ー 15) を 単 離 し た 。
1日目に、この単層に、5%新生ウシリポフェクチン欠乏血清を含む培地Aを再び与えた
。 3 日 目 に 、 サ ブ コ ン フ ル エ ン ト 細 胞 に 、 10μ gタ ン パ ク 質 /ml DiI-LDL( A) ま た は 1 μ g
タ ン パ ク 質 /mlの DiI-HDL( Bお よ び C) の い ず れ か を 含 む 同 様 の 培 地 を 再 び 与 え 、 そ し て 37
℃で1時間インキュベートした。次いで、カバーガラスを、リン酸緩衝化生理食塩水で1
回 洗 浄 し 、 そ し て DiIの 分 布 を 、 ロ ー ダ ミ ン フ ィ ル タ ー パ ッ ケ ー ジ を 有 す る Nikon蛍 光 顕 微
鏡を用いて写真を用いてすぐに記録した。
結果
LDLレ セ プ タ ー -ポ ジ テ ィ ブ 野 生 型 CHO細 胞 を 、 37℃ で 1 時 間 、 DiI-LDL( 10μ gタ ン パ ク 質 /
ml) と の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン し た 後 、 古 典 的 な LDLレ セ プ タ ー を 介 す る 取 り 込 み は 、 標 識
50
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の点状パターンをもたらした。これは、被覆ピットからのレセプター媒介エンドサイトー
シ ス お よ び エ ン ド ソ ー ム お よ び リ ソ ソ ー ム へ の ビ ヒ ク ル に 典 型 的 で あ っ た 。 LDLレ セ プ タ
ー ネ ガ テ ィ ブ ldlA細 胞 の DiI-LDLに よ る 標 識 は 本 質 的 に は 存 在 し な か っ た 。 ldlA[mSR-BI]
細 胞 の DiI-HDL( 1 μ gタ ン パ ク 質 /ml) 標 識 は 、 点 状 蛍 光 よ り む し ろ 劇 的 に 異 な り 、 ト ラ
ンスフェクト細胞の全表面であると思われるものにわたって拡散性の染色が存在し、特に
細 胞 -細 胞 界 面 で 蛍 光 が 見 ら れ た 。 さ ら に 、 核 に 近 接 し た 領 域 で 明 る い 、 明 ら か に 内 部 の
蛍 光 の 集 中 が し ば し ば 存 在 し た 。 イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン 24時 間 後 で さ え 、 mSR-BIト ラ ン ス フ
ェ ク タ ン ト に お け る DiI蛍 光 パ タ ー ン は 、 LDLレ セ プ タ ー 経 路 に 見 ら れ る 点 状 パ タ ー ン に 似
ていなかったが、このパターンは異なり、そして原形質膜から離れた色素の後の再分布を
潜 在 的 に 示 し た 。 非 ト ラ ン ス フ ェ ク ト ldlA細 胞 は 、 DiI-HDLか ら 著 し い レ ベ ル の 色 素 を 蓄
10
積 し な か っ た 。 最 初 の 分 布 ( 1 時 間 未 満 ま た は そ れ に 等 し い ) な ら び に DiI( 正 に 荷 電 し
た脂質)の後の蓄積部位は、コレステリルエステル(中性脂質)のものとは異なり得るこ
と に 留 意 す る こ と は 重 要 で あ る 。 確 か に 、 非 標 識 HDLと の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン の 48時 間 後
に 、 ト ラ ン ス フ ェ ク ト 細 胞 に 輸 送 さ れ た 中 性 脂 質 は 、 オ イ ル レ ッ ド 0で 染 色 し た 、 小 さ な
良 好 に 規 定 さ れ た 細 胞 質 粒 子 に 明 ら か に 蓄 積 す る こ と が 観 察 さ れ た 。 同 様 に 、 Reavenら 、
J.Lipid Res. 36, 1602( 1995) は 、 細 胞 の 標 識 HDlと の 9 時 間 の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン の 後
、卵巣顆粒細胞における細胞質脂肪滴への、蛍光コレステリルエステル誘導体の蓄積を報
告 し て い る 。 ひ と ま と め に し て 考 え る と 、 こ れ ら の 結 果 は 、 mSR-BIが HDLか ら の 脂 質 輸 送
を 媒 介 す る 経 路 は 、 古 典 的 な LDLレ セ プ タ ー 媒 介 エ ン ド サ イ ト ー シ ス 経 路 と は 異 な る こ と
を 示 し 、 そ し て HDL脂 質 は 、 最 初 に 、 リ ポ タ ン パ ク 質 か ら 原 形 質 膜 へ 直 接 輸 送 さ れ 得 る こ
20
とを示唆している。
実 施 例 2 : SR-BIの 組 織 分 布
イ ン ビ ボ 代 謝 研 究 は 、 肝 臓 お よ び ス テ ロ イ ド 産 生 組 織 ( 副 腎 お よ び 卵 巣 ) が 、 HDL-コ レ ス
テ リ ル エ ス テ ル の 選 択 的 な 取 り 込 み に 関 連 す る 主 要 な 組 織 で あ る こ と を 確 立 し て い る 。 Gl
assら 、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80, 5435( 1983) , J.Biol.Chem. 260, 744( 1985
) 、 khooら 、 J.Lipid Res. 36, 593( 1995) 、 Steinら 、 Biochim.Biophys.Acta 752, 98
( 1983) 、 Nestlerら 、 Endocrinology 117, 502( 1985) 。 こ れ ら の 組 織 の 多 く の リ ガ ン
ド ブ ロ ッ テ ィ ン グ 研 究 は 、 58kD∼ 140kDの 大 き さ の 範 囲 の 種 々 の HDL結 合 タ ン パ ク 質 を 明 ら
かにし、これらのいずれもが、選択的な脂質取り込みを媒介することを直接示さなかった
。
30
方法
mSR-BIの 大 き さ お よ び そ の 組 織 分 布 を 決 定 す る た め に 、 ウ サ ギ 抗 mSR-BIポ リ ク ロ ー ナ ル 抗
体 を 、 キ ー ホ ー ル リ ン ペ ッ ト ヘ モ シ ア ニ ン に 結 合 し た 16ア ミ ノ 酸 ペ プ チ ド ( 付 加 的 N 末 端
シ ス テ イ ン を 加 え た mSR-BIの 推 定 タ ン パ ク 質 由 来 の 残 基 495∼ 509) の 免 疫 化 に よ り 調 製 し
た 。 こ れ を 、 抗 mSR-BI
495
抗血清と呼ぶ。抗血清を、培養細胞およびマウス組織のイムノ
ブロット分析に使用した。
ldlAお よ び ldlA[mSR-BI]細 胞 由 来 の 後 核 ( post-nuclear) 細 胞 抽 出 物 、 な ら び に マ ウ ス 組
織 由 来 の 膜 ( 後 核 100,000× gペ レ ッ ト ) 単 離 し 、 減 少 さ せ 、 そ し て 6.5% SDSポ リ ア ク リ ル
ア ミ ド ゲ ル 電 気 泳 動 ( 50μ gタ ン パ ク 質 /レ ー ン ) に よ り 分 離 し 、 ニ ト ロ セ ル ロ ー ス に 移 行
さ せ 、 そ し て 一 次 抗 -mSR-BI
495
抗 ペ プ チ ド 抗 体 ( ウ サ ギ IgG画 分 、 1:5000希 釈 ) で プ ロ ー
40
ブ し 、 そ し て 西 洋 ワ サ ビ ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ 標 識 二 次 抗 体 お よ び ECLキ ッ ト ( 5 分 曝 露 、 Ame
rsham) を 用 い て 発 色 さ せ た 。 Ponceau S染 色 は 、 ゲ ル ロ ー デ ィ ン グ お よ び 移 行 に つ い て の
コントロールとして使用した。
結果
抗 体 は 、 ト ラ ン ス フ ェ ク ト 細 胞 に お い て ( ldlA[mSR-BI]約 82kDタ ン パ ク 質 を 認 識 し 、 こ れ
は 非 ト ラ ン ス フ ェ ク ト 細 胞 ( ldlA) に お い て 存 在 し な か っ た 。 mSR-BIポ リ ペ プ チ ド の 予 想
質 量 は 57kDで あ り 、 こ れ は mSR-BIが 、 著 し い 翻 訳 同 時 お よ び /ま た は 翻 訳 後 修 飾 を う け た
ことを示唆している。
mSR-BIは 、 3 つ の 組 織 ( 肝 臓 な ら び に ス テ ロ イ ド 産 生 性 の 卵 巣 お よ び 副 腎 ) に お い て 最 も
高 度 に 発 現 し て い た 。 mSR-BIタ ン パ ク 質 は 、 精 巣 、 心 臓 、 お よ び 乳 腺 に お い て 著 し く 少 な
50
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く検出され、そして他の組織(脳、腎臓、脾臓、筋肉、子宮、腸、精巣上体脂肪、肺、お
よび胎盤を含む)において、発現は本質的に観察されなかった。従って、選択的なコレス
テ リ ル エ ス テ ル 輸 送 を イ ン ビ ボ で 示 す 正 確 に そ れ ら の 組 織 に お い て 、 SR-BIは 非 常 に 大 量
に発現している。
マ ウ ス 脂 肪 組 織 お よ び 培 養 脂 肪 細 胞 に お け る 実 質 的 な 徴 候 は 、 ハ ム ス タ ー SR-BI cDNAプ ロ
ーブを用いた以前のノザンブロッティング研究において観察されている。ここで報告され
たイムノブロット結果とのこの相関関係の欠如は、翻訳調節またはタンパク質安定性にお
け る 組 織 特 異 的 な 差 異 、 ま た は ハ ム ス タ ー cDNAプ ロ ー ブ と 、 脂 肪 に お い て 高 度 に 発 現 す る
、 関 連 す る が 異 な る 遺 伝 子 の mRNAと の ク ロ ス ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン に よ る も の で あ り 得
る。
10
実 施 例 3 : SR-BIの 発 現 に つ い て の エ ス ト ロ ゲ ン 処 理 ラ ッ ト 組 織 の 分 析
方法
エ ス ト ロ ゲ ン 処 理 ラ ッ ト の 組 織 を 、 17-α -エ チ レ ニ ル エ ス ト ラ ジ オ ー ル ( エ ス ト ロ ゲ ン )
で の ラ ッ ト の 処 理 の 後 、 上 記 の よ う に SR-BIの 発 現 に つ い て ス ク リ ー ニ ン グ し た 。 ラ ッ ト
を 、 ポ リ エ チ レ ン グ リ コ ー ル 中 の 5 mg/kgの 17-α -エ チ レ ニ ン エ ス ト ラ ジ オ ー ル の 皮 下 注
射、またはポリエチレングリコール単独(擬似注射)で、連続5日間処理した。
結果
エ ス ト ロ ゲ ン 処 理 動 物 ま た は 擬 似 処 理 動 物 の ラ ッ ト 組 織 に お け る SR-BIの 発 現 を 比 較 す る
イムノブロットは、コントロールと比較して、エストロゲンで処理した動物由来の副腎膜
に お い て SR-BIの ア ッ プ レ ギ ュ レ ー シ ョ ン を 示 す 。 微 量 シ グ ナ ル を 示 す 組 織 ( 肺 な ら び に
20
精 巣 お よ び 皮 膚 を 含 む ) に お い て SR-BIレ ベ ル は 変 化 し な い 。 エ ス ト ロ ゲ ン 処 置 動 物 お よ
び擬似処理動物由来の肝臓組織、ならびにエストロゲン処理動物よび擬似処理動物由来の
副 腎 組 織 を 用 い た 、 SR-BIポ ジ テ ィ ブ コ ン ト ロ ー ル お よ び ネ ガ テ ィ ブ コ ン ト ロ ー ル を 比 較
するより長い曝露は同様の結果を示す。
SR-BIお よ び LDLレ セ プ タ ー の 発 現 を 比 較 す る イ ム ノ ブ ロ ッ ト は 、 SR-BI発 現 は 、 LDLレ セ プ
ターの強力なアップレギュレーションの条件下で劇的にダウンレギュレートされた。
実施例4:エストロゲン処理動物における脂質取り込みの分析
方法
イ ン ビ ボ で の HDL脂 肪 取 り 込 み の 分 析 の た め に 、 ラ ッ ト を 、 左 頸 静 脈 に DiI-HDL( 800μ gタ
ン パ ク 質 /kg) の 注 射 の 前 に ネ ン ブ タ ー ル ま た は メ タ フ ァ ン で 麻 酔 し た 。 1 時 間 よ り 後 に
30
、 麻 酔 動 物 を 、 酸 素 処 理 HBSSで 灌 流 し た 。 ス ク ロ ー ス 浸 潤 組 織 の 凍 結 切 片 ( 12μ 厚 ) を 調
製 し た 。 組 織 切 片 を 調 べ 、 そ し て 適 切 な フ ィ ル タ ー パ ッ ケ ー ジ を 有 す る Zeiss顕 微 鏡 写 真 I
IIで 写 真 撮 影 し た 。
結果
上 記 の よ う に DIで 蛍 光 標 識 し た HDLを 、 処 理 動 物 お よ び コ ン ト ロ ー ル 動 物 に 注 射 し た 場 合
、 明 ら か な HDLレ セ プ タ ー を 有 す る 擬 似 注 射 ラ ッ ト は 、 そ れ ら の 肝 細 胞 へ の HDL脂 質 の 可 視
的な取り込みを有したが、エストロゲン処理動物は、肝細胞において類似の取り込みを有
さなかった。脂質の副腎組織への取り込みはまた、エストロゲン処理動物において劇的に
増大した。
実 施 例 5 : SR-BIを 一 過 性 に 過 剰 発 現 す る 動 物 に お け る 血 中 コ レ ス テ ロ ー ル レ ベ ル の 減 少
40
HDLお よ び 胆 汁 コ レ ス テ ロ ー ル 代 謝 に 対 す る マ ウ ス SR-BI( mSR-BI) の イ ン ビ ボ 効 果 を 、 静
脈 内 注 入 に よ る 組 換 え 複 製 欠 損 ア デ ノ ウ イ ル ス ( Ad.mSR-BI) 感 染 の た め に 肝 臓 mSR-BIを
一 過 性 に 過 剰 発 現 す る C57BL/6マ ウ ス に お い て 研 究 し た 。 Ad.mSR-BIウ イ ル ス に お い て 、 mS
R-BI cDNAは 、 サ イ ト メ ガ ロ ウ イ ル ス ( CMV) 即 時 型 エ ン ハ ン サ ー /プ ロ モ ー タ ー の 制 御 下
に あ る 。 コ ン ト ロ ー ル は 、 cDNAト ラ ン ス ジ ー ン を 欠 く 複 製 欠 損 ア デ ノ ウ イ ル ス に 感 染 し た
マ ウ ス を 含 ん で い た ( Ad.Δ E1は 、 免 疫 蛍 光 顕 微 鏡 観 察 お よ び イ ム ノ ブ ロ ッ ト に よ っ て 決
定 さ れ る よ う に 、 適 度 な レ ベ ル の SR-BI発 現 を 示 し た ) 。 感 染 の 3 日 後 、 mSR-BI発 現 は 、 A
d.mSR-BI処 置 動 物 の 肝 臓 に お い て 、 劇 的 に 増 加 し た 。 mSR-BIタ ン パ ク 質 の 量 は 、 感 染 後 の
時 間 と と も に 減 少 し た が 、 感 染 の 21日 後 、 コ ン ト ロ ー ル の mSR-BIタ ン パ ク 質 の 量 を 実 質 的
に 超 え る レ ベ ル が 、 決 ま っ て 観 察 さ れ た 。 mSR-BI発 現 の 増 加 の ほ と ん ど は 、 肝 細 胞 の 頂 端
50
(20)
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面に局在するようである。特に強い限局性強度により、毛細胆管における高発現が示唆さ
れた。洞様毛細血管の染色もまた観察された。
血 漿 コ レ ス テ ロ ー ル レ ベ ル に 対 す る 肝 臓 SR-BI過 剰 発 現 の 効 果 を 表 1 に 示 す 。 コ ン ト ロ ー
ルアデノウイルスの注入は、総コレステロールに対してほとんどまたはまったく効果を有
さ な か っ た 。 対 照 的 に 、 Ad.SR-BIの 注 入 は 、 3 日 目 ま で に 、 コ ン ト ロ ー ル レ ベ ル の 約 14%
までの血漿コレステロールの劇的な減少を生じた。7日目までに、コレステロールレベル
は 、 注 入 前 レ ベ ル を 超 え て 増 加 し 、 そ し て 21日 目 ま で に ベ ー ス ラ イ ン に 戻 っ た 。 apoAI( H
DLの 主 要 な タ ン パ ク 質 成 分 ) の 血 漿 レ ベ ル は 、 3 日 目 に 観 察 さ れ た 初 期 の 減 少 に お い て 、
総 コ レ ス テ ロ ー ル レ ベ ル を 反 映 し た ( 表 1 ) ; 対 照 的 に 、 よ り 後 の 時 点 で 、 apoAIレ ベ ル
は 増 加 し た が 、 21日 目 ま で 注 入 前 レ ベ ル に 回 復 し な か っ た 。
10
20
血 漿 の 高 速 圧 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ( FPLC) 分 析 を 行 い 、 異 な る ク ラ ス の リ ポ タ ン パ ク
質 に 対 す る 肝 臓 SR-BI過 剰 発 現 の 効 果 を 詳 細 に 測 定 し た 。 図 1Aお よ び 1B( 処 置 前 ) は 、 正
常 C57BL/6マ ウ ス の リ ポ タ ン パ ク 質 プ ロ フ ィ ー ル ( ほ と ん ど の コ レ ス テ ロ ー ル は HDL画 分 に
含 ま れ て お り 、 そ し て VLDL画 分 お よ び IDL/LDL画 分 は 低 い か ま た は 検 出 不 可 能 で あ っ た )
を 示 す 。 コ ン ト ロ ー ル Ad.Δ E1ウ イ ル ス の 注 入 は 、 血 漿 総 コ レ ス テ ロ ー ル レ ベ ル お よ び apo
30
AIレ ベ ル の 変 化 が な い ( 表 1 ) こ と と 一 致 し て 、 早 い 時 点 ( 図 1A、 処 理 前 ∼ 3 日 目 ) ま た
は 遅 い 時 点 ( 図 1C、 7 日 目 ∼ 21日 目 ) の リ ポ タ ン パ ク 質 プ ロ フ ィ ー ル に 対 し て 実 質 的 に ま
っ た く 効 果 を 有 さ な か っ た 。 SR-BI注 入 マ ウ ス の 血 漿 リ ポ タ ン パ ク 質 は 、 注 入 前 に は コ ン
ト ロ ー ル マ ウ ス と 同 じ で あ っ た が 、 3 日 目 に HDLコ レ ス テ ロ ー ル の 大 き な 減 少 を 示 し た 。
( 図 1B) 。 こ の こ と は 、 肝 臓 に お け る SR-BI過 剰 発 現 が 、 血 漿 HDLコ レ ス テ ロ ー ル の 取 り 込
み の 増 加 を 引 き 起 こ し 、 し た が っ て 循 環 し て い る HDLレ ベ ル を 低 下 さ せ る こ と を 示 唆 す る
。このことは、3日目の低い血漿総コレステロールレベル(表1)と一致する。遅い時点
で 、 SR-BIレ ベ ル は 徐 々 に 減 少 し 、 そ し て HDLコ レ ス テ ロ ー ル は 徐 々 に 増 加 し た ( 図 1D) 。
並 行 し て 、 7 日 目 お よ び 10日 目 に 、 VLDLお よ び IDL/LDLコ レ ス テ ロ ー ル の 両 方 の 増 加 が 観
察 さ れ た 。 こ の こ と は 、 肝 臓 に よ る VLDL分 泌 の 増 加 ま た は LDLレ セ プ タ ー の ダ ウ ン レ ギ ュ
40
レ ー シ ョ ン の い ず れ か を 示 唆 す る 。 こ れ ら の 変 化 は 、 SR-BIに よ り 取 り 込 ま れ る HDL由 来 の
コレステロールを通じての、肝臓によるコレステロール取り込み増加の結果として生じ得
る 。 VLDLお よ び IDL/LDLレ ベ ル は 、 21日 目 ま で に ベ ー ス ラ イ ン レ ベ ル に 減 少 し た が 、 HDLコ
レ ス テ ロ ー ル は ベ ー ス ラ イ ン 未 満 の ま ま で あ っ た 。 こ の こ と は 、 SR-BIが 、 な お 活 性 で あ
り得ることを示唆する。
HDL粒 子 の 運 命 を 検 査 す る た め に 、 HDLク リ ア ラ ン ス 研 究 を 行 っ た 。 マ ウ ス に コ ン ト ロ ー ル
ウ イ ル ス Ad.Δ E1ま た は Ad.SR-BIの い ず れ か を 注 入 し た 。 ウ イ ル ス 注 入 の 5 日 後 ( こ の 時
、トランスジーン発現レベルは最大である)、マウスに
125
I 標 識 HDL( タ ン パ ク 質 部 分 (
主 と し て apoAI) が 標 識 さ れ る ) を 注 入 し た 。 血 漿 サ ン プ ル を 種 々 の 時 点 で 入 手 し 、 そ し
て血漿中に残っている
125
I の 量 を 測 定 し た 。 図 2 は 、 SR-BIを 過 剰 発 現 す る マ ウ ス ( 三 角
50
(21)
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)が、非注入マウス(黒塗り四角)またはコントロールウイルス注入マウス(白抜き四角
) の い ず れ も よ り 速 い HDL代 謝 回 転 速 度 を 有 し た こ と を 示 す 。 こ の こ と は 、 HDL粒 子 自 体 が
、 HDL由 来 コ レ ス テ ロ ー ル の SR-BI媒 介 性 取 り 込 み の 後 に 分 解 さ れ 得 る こ と を 示 唆 す る 。
LDLコ レ ス テ ロ ー ル と は 異 な り 、 HDL由 来 コ レ ス テ ロ ー ル は 、 胆 汁 中 に 優 先 的 に 排 出 さ れ る
と 考 え ら れ る 。 し た が っ て 、 SR-BI過 剰 発 現 マ ウ ス か ら 排 出 さ れ た 胆 汁 を 、 コ レ ス テ ロ ー
ル 、 胆 汁 酸 塩 、 お よ び リ ン 脂 質 の 含 有 量 に つ い て 分 析 し た 。 コ ン ト ロ ー ル ウ イ ル ス ( Ad.
Δ E1) ま た は Ad.SR-BIの 注 入 の 4 日 後 、 マ ウ ス を 麻 酔 し 、 胆 管 に カ ニ ュ ー レ を 挿 入 し 、 そ
し て 約 1 時 間 胆 汁 を 回 収 し て 少 な く と も 0.1mlの 胆 汁 を 入 手 し た 。 表 2 は 、 SR-BIマ ウ ス か
らの胆汁は、コントロールマウスのより約2倍多い遊離コレステロールを含んでいたが、
胆 汁 酸 塩 お よ び リ ン 脂 質 に は 変 化 が な か っ た こ と を 示 す 。 こ の こ と は 、 HDLコ レ ス テ ロ ー
10
ルの肝臓取り込み増加の1つの結果が、胆汁中へのコレステロール排出の増加であること
を証明する。
20
肝 細 胞 へ の HDL− コ レ ス テ ロ ー ル 移 入 の 間 接 マ ー カ ー と し て 、 マ ウ ス に DiI-HDL( こ れ は 、
蛍 光 性 脂 質 ( DiI) で 標 識 さ れ て い る ) を 注 入 し た 。 こ れ ら の 粒 子 は 、 細 胞 培 養 に お い て
、 コ レ ス テ ロ ー ル エ ス テ ル の 移 入 速 度 に 匹 敵 す る 速 度 で DiIを 移 入 す る こ と が 以 前 に 示 さ
れ て い る 。 ウ イ ル ス 注 入 の 5 日 後 、 マ ウ ス に 40μ gの DiI-HDLを 注 射 し た 。 2 時 間 後 、 マ ウ
ス を 麻 酔 し 、 灌 流 し 、 そ し て 肝 臓 組 織 を 摘 出 し た 。 SR-BI過 剰 発 現 マ ウ ス 由 来 の 肝 臓 の 新
30
鮮 な 凍 結 切 片 は 、 抗 SR-BI抗 体 で 強 く 染 色 さ れ 、 そ し て 蛍 光 顕 微 鏡 下 で 精 査 す る と 、 高 い D
iI含 有 量 で あ っ た 。 対 照 的 に 、 コ ン ト ロ ー ル マ ウ ス は 低 い DiI含 有 量 で あ っ た 。 さ ら に 、
数 匹 の マ ウ ス に お い て 、 胆 汁 へ の DiIの 移 入 を 測 定 し た 。 コ ン ト ロ ー ル マ ウ ス ( n =7) 由
来 の 胆 汁 は 、 0.11か ら 0.19( 相 対 単 位 ) ま で の 範 囲 の 蛍 光 強 度 を 有 し た 。 対 照 的 に 、 こ の
実 験 に お い て 2 匹 の SR-BI過 剰 発 現 マ ウ ス 由 来 の 胆 汁 は 、 1.13お よ び 0.93の 蛍 光 強 度 を 有
した。
ま と め る と 、 こ れ ら の デ ー タ は 、 肝 臓 SR-BI過 剰 発 現 は 、 肝 臓 へ の HDL由 来 の 脂 質 の 取 り 込
みを増加させること、および次いでいくつかのコレステロールが胆汁中に排出され得るこ
と を 示 す 。 こ れ ら の デ ー タ は 、 さ ら に 、 SR-BIの 阻 害 が 、 HDLコ レ ス テ ロ ー ル の 血 中 濃 度 を
増加させるはずであることを示唆する。このことは、胆嚢へのコレステロール分泌を減少
40
させ、したがって胆石形成を阻害する機構を提供すると期待される。
本明細書中に記載される方法および材料の改変および変形は、当業者に明らかであり、そ
して以下の請求の範囲によって包含されると意図される。本明細書中に引用される参考文
献の教示は、本明細書中に具体的に援用される。
配列表
( 1) 一 般 的 情 報 :
( i) 出 願 人 : マ サ チ ュ ー セ ッ ツ イ ン ス テ ィ チ ュ ー ト オ ブ テ ク ノ ロ ジ ー , ザ ト ラ
スティーズ オブ ザ ユニバーシティー オブ ペンシルバニア,およびボード オブ
リージェンツ,ザ ユニバーシティー オブ テキサス システム
( ii) 発 明 の 名 称 : コ レ ス テ ロ ー ル 輸 送 の 調 整 方 法
50
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( iii) 配 列 の 数 : 4
( iv) 連 絡 住 所 :
( A) 名 称 : パ ト レ ア エ ル . パ ブ ス ト , ア ー ナ ル ゴ ー ル デ ン ア ン ド グ レ ゴ リ ー
( B) 番 地 : ワ ン ア ト ラ ン テ ィ ッ ク セ ン タ ー 2 8 0 0 ウ エ ス ト ピ ー チ ツ リ ー ストリート 1201
( C) 市 : ア ト ラ ン タ
( D) 州 : ジ ョ ー ジ ア
( E) 国 : ア メ リ カ 合 衆 国
( F) 郵 便 番 号 : 30309-3450
( v) コ ン ピ ュ ー タ ー 読 み 出 し 形 態 :
10
( A) 媒 体 型 : フ ロ ッ ピ ー デ ィ ス ク
( B) コ ン ピ ュ ー タ ー : IBM PC 互 換 用
( C) OS: PC-DOS/MS-DOS
( D) ソ フ ト ウ ェ ア : パ テ ン ト イ ン リ リ ー ス #1.0, バ ー ジ ョ ン #1.25
( vi) 現 在 の 出 願 デ ー タ :
( A) 出 願 番 号 :
( B) 出 願 日 :
( C) 分 類 :
( viii) 代 理 人 / 事 務 所 情 報 :
( A) 氏 名 : パ ブ ス ト , パ ト レ ア エ ル .
20
( B) 登 録 番 号 : 31,284
( C) 照 会 / 記 録 番 号 : MIT7150CIP
( ix) 電 話 回 線 情 報 :
( A) 電 話 : ( 404) 873-8794
( B) テ レ フ ァ ッ ク ス : ( 404) 873-8795
( 2) 配 列 番 号 1 の 情 報 :
( i) 配 列 の 特 色 :
( A) 長 さ : 1 7 8 8 塩 基 対
( B) 型 : 核 酸
( C) 鎖 の 数 : 二 本 鎖
30
( D) ト ポ ロ ジ ー : 直 鎖 状
( ii) 配 列 の 種 類 : cDNA
( iii) ハ イ ポ セ テ ィ カ ル 配 列 : NO
( iv) ア ン チ セ ン ス : NO
( ix) 配 列 の 特 徴
( A) 特 徴 を 表 す 記 号 : misc feature
( B) 存 在 位 置 : 156..1683
( D) 他 の 情 報 :/機 能 = 「 ヌ ク レ オ チ ド 156か ら 1683は 、 ハ ム ス タ ー ス カ ベ ン ジ ャ ー レ セ プ
タ ー ク ラ ス B-Iの ア ミ ノ 酸 配 列 を コ ー ド す る 」
( xi) 配 列 : 配 列 番 号 1 :
40
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10
20
30
40
( 2) 配 列 番 号 2 の 情 報 :
( i) 配 列 の 特 色 :
( A) 長 さ : 5 0 9 ア ミ ノ 酸
( B) 型 : ア ミ ノ 酸
( D) ト ポ ロ ジ ー : 直 鎖 状
( ii) 配 列 の 種 類 : タ ン パ ク 質
( iii) ハ イ ポ セ テ ィ カ ル 配 列 : NO
(v)フラグメント型:中間部フラグメント
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(24)
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( ix) 配 列 の 特 徴
( A) 特 徴 を 表 す 記 号 : misc feature
( B) 存 在 位 置 : 1..509
( D) 他 の 情 報 :/機 能 = 「 ハ ム ス タ ー ス カ ベ ン ジ ャ ー レ セ プ タ ー ク ラ ス B-Iの ア ミ ノ 酸 配 列
」
( ix) 配 列 の 特 徴
( A) 特 徴 を 表 す 記 号 : Domain
( B) 存 在 位 置 : 9..32
( D) 他 の 情 報 :/注 = 「 推 定 膜 貫 通 ド メ イ ン 」
( ix) 配 列 の 特 徴
10
( A) 特 徴 を 表 す 記 号 : Domain
( B) 存 在 位 置 : 440..464
( D) 他 の 情 報 :/注 = 「 推 定 膜 貫 通 ド メ イ ン 」
( ix) 配 列 の 特 徴
( A) 特 徴 を 表 す 記 号 : Modified-site
( B) 存 在 位 置 : 1..385
( D) 他 の 情 報 :/注 = 「 102-104位 、 108-110位 、 173-175位 、 212-214位 、 227-229位 、 255257位 、 310-312位 、 330-332位 お よ び 383-385位 、 潜 在 的 な N 結 合 グ リ コ シ ル 化 部 位 を 示 す
。」
( ix) 配 列 の 特 徴
( A) 特 徴 を 表 す 記 号 : Modified-site
( B) 存 在 位 置 : 21..470
( D) 他 の 情 報 :/注 = 「 21位 、 251位 、 280位 、 321位 、 323位 、 334位 、 384位 お よ び 470位 の
システインは、潜在的なジスルフィド結合を示す。」
( xi) 配 列 : 配 列 番 号 2 :
20
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20
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10
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( 2) 配 列 番 号 3 の 情 報 :
( i) 配 列 の 特 色 :
( A) 長 さ : 1 7 8 5 塩 基 対
( B) 型 : 核 酸
30
( C) 鎖 の 数 : 二 本 鎖
( D) ト ポ ロ ジ ー : 直 鎖 状
( ii) 配 列 の 種 類 : DNA( genomic)
( iii) ハ イ ポ セ テ ィ カ ル 配 列 : NO
( iv) ア ン チ セ ン ス : NO
( ix) 配 列 の 特 徴
( A) 特 徴 を 表 す 記 号 : CDS
( B) 存 在 位 置 : 51..1577
( D) 他 の 情 報 :/注 = 「 ヌ ク レ オ チ ド 51か ら 1577は 、 マ ウ ス ス カ ベ ン ジ ャ ー レ セ プ タ ー ク
ラ ス BIの ア ミ ノ 酸 配 列 を コ ー ド す る 」
( xi) 配 列 : 配 列 番 号 3 :
40
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(28)
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10
20
30
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( 2) 配 列 番 号 4 の 情 報 :
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(29)
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( i) 配 列 の 特 色 :
( A) 長 さ : 5 0 9 ア ミ ノ 酸
( B) 型 : ア ミ ノ 酸
( D) ト ポ ロ ジ ー : 直 鎖 状
( ii) 配 列 の 種 類 : タ ン パ ク 質
( ix) 配 列 の 特 徴
( A) 特 徴 を 表 す 記 号 : misc feature
( B) 存 在 位 置 : 1..509
( D) 他 の 情 報 :/機 能 = 「 マ ウ ス ス カ ベ ン ジ ャ ー レ セ プ タ ー ク ラ ス B-Iの ア ミ ノ 酸 配 列
( xi) 配 列 : 配 列 番 号 4 :
10
20
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10
20
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【図1a】
【図1c】
【図1b】
【図1d】
【図2】
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(32)
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フロントページの続き
(73)特許権者 591217403
ボード オブ リージェンツ, ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYS
TEM
アメリカ合衆国 78701 テキサス オースティン ダブリュー. セブンス ストリート 201
(74)代理人 100078282
弁理士 山本 秀策
(74)代理人 100062409
弁理士 安村 高明
(74)代理人 100113413
弁理士 森下 夏樹
(72)発明者 クリジャー,モンティー
アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02194,ニードハム,ウッドバイン サークル 33
(72)発明者 アクトン,スーザン エル.
アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02130,ジャマイカ プレイン,バイナー ストリート
90,アパートメント 7
(72)発明者 ホッブス,ヘレン エイチ.
アメリカ合衆国 テキサス 75229,ダラス,パロマー 5117
(72)発明者 リゴッティ,アティリオ
アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02174,マルデン,ケネディー ドライブ 192,ア
パートメント 204
(72)発明者 ランドシュルズ,キャサリン トールマン
アメリカ合衆国 テキサス 75248,ダラス,ラスティック バリー ドライブ 7321
(72)発明者 コザースキー,カレン
アメリカ合衆国 ペンシルバニア 19130,フィラデルフィア,パリッシュ ストリート 2
809
審査官 田中 晴絵
(56)参考文献 特表平10−505486(JP,A)
J. Biol. Chem., 1995年 7月,Vol.270, No.27, p.16221-16224
J. Biol. Chem., 1994年,Vol.269, No.33, p. 2100-21009
(58)調査した分野(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/02
C12N 15/00 - 15/90
C07K 14/705
BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN)
CA(STN)
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