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(57)【要約】 本発明は、アンドロゲン調節性遺伝子 PMEPA1ならびにこの

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(57)【要約】 本発明は、アンドロゲン調節性遺伝子 PMEPA1ならびにこの
JP 2006-508031 A 2006.3.9
(57)【 要 約 】
本 発 明 は 、 ア ン ド ロ ゲ ン 調 節 性 遺 伝 子 PMEPA1な ら び に こ の 遺 伝 子 に よ り コ ー ド さ れ る タ ン
パク質(その変異体および類似体を含む)に関する。癌細胞増殖を抑制し、アンドロゲン
受容体発現を低下させ、アンドロゲン受容体により転写制御される遺伝子の発現を調節し
、 前 立 腺 癌 を 診 断 お よ び /ま た は 予 後 判 定 す る 方 法 も ま た 提 供 さ れ る 。
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JP 2006-508031 A 2006.3.9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前立腺癌細胞におけるアンドロゲン受容体の発現を低下させるのに有効な量で、前立腺
癌細胞に配列番号2を含んでなるポリペプチドを投与することを含む、前立腺癌細胞にお
けるアンドロゲン受容体の発現を低下させる方法。
【請求項2】
前立腺癌細胞の増殖を抑制するのに有効な量で、前立腺癌細胞に配列番号2を含んでな
るポリペプチドを投与することを含む、前立腺癌細胞の増殖を抑制する方法。
【請求項3】
転写がアンドロゲン受容体によって制御される遺伝子の前立腺癌細胞における発現を調
10
節するのに有効な量で、前立腺癌細胞に配列番号2を含んでなるポリペプチドを投与する
ことを含む、前立腺癌細胞における前記遺伝子の発現を調節する方法。
【請求項4】
配列番号2の配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクター
を 用 い て 、 前 記 ポ リ ペ プ チ ド が 投 与 さ れ る 、 請 求 項 1 ∼ 3 の い ず れ か 1項 に 記 載 の 方 法 。
【請求項5】
前記ポリヌクレオチドが配列番号1を含んでなる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前 記 遺 伝 子 が 前 立 腺 特 異 的 抗 原 遺 伝 子 、 PSMA遺 伝 子 、 ま た は PCGEM1遺 伝 子 で あ る 、 請 求
項3に記載の方法。
20
【請求項7】
配 列 番 号 2 に 対 し て 少 な く と も 95% 同 一 の ア ミ ノ 酸 配 列 を 含 ん で な り 、 コ ロ ニ ー 形 成 ア
ッ セ イ に お い て LNCaP細 胞 の 増 殖 を 抑 制 す る ポ リ ペ プ チ ド 。
【請求項8】
配 列 番 号 2 の 少 な く と も 1 つ の PYモ チ ー フ に 少 な く と も 1 つ の 突 然 変 異 お よ び /ま た は
欠失を含む、配列番号2のポリペプチド変異体。
【請求項9】
前立腺癌を診断または予後判定する方法であって、
a) 患 者 由 来 の 生 体 サ ン プ ル 中 の ポ リ ヌ ク レ オ チ ド の 発 現 レ ベ ル を 検 出 す る こ と 、 た
だし、前記ポリヌクレオチドは配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコード
30
するものであること、および、
b) 前 立 腺 癌 の 発 生 ま た は 進 行 の 可 能 性 を 判 定 す る こ と 、 た だ し 、 生 体 サ ン プ ル 中 の
前記ポリヌクレオチドの発現の低下が癌の発生または進行の可能性の増加と相関すること
、
を含む方法。
【請求項10】
前記ポリヌクレオチドが配列番号1を含んでなる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
配列番号2を含んでなるポリペプチドに特異的に結合する化合物をスクリーニングする
方法であって、前記ポリペプチドに試験化合物を接触させること、前記ポリペプチドと前
40
記化合物との結合を測定すること、および、前記ポリペプチドに特異的に結合する化合物
を同定すること、を含む方法。
【請求項12】
前記化合物が調節化合物である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前立腺癌の診断または予後判定方法であって、
a) 生 体 サ ン プ ル に お け る 請 求 項 7 に 記 載 の ポ リ ペ プ チ ド の 発 現 レ ベ ル を 検 出 す る こ と
、および、
b) 前 立 腺 癌 の 発 生 ま た は 進 行 の 可 能 性 を 判 定 す る こ と 、 た だ し 、 生 体 サ ン プ ル 中 の
前記ポリペプチドの発現の低下が癌の発生または進行の可能性の増加と相関すること、
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を含む方法。
【請求項14】
前記ポリペプチドがそのポリペプチドに特異的に結合する抗体により検出される、請求
項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリペプチドの発現が対照サンプルと比較して低下している、請求項13に記載の
方法。
【請求項16】
前記ポリヌクレオチドの発現が対照サンプルと比較して低下している、請求項9に記載
の方法。
10
【請求項17】
生体サンプルが前立腺癌治療を受けた患者から得られる、請求項9または13に記載の
方法。
【請求項18】
前記治療が前立腺外科手術である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前立腺癌患者において治療の効果を評価する方法であって、
a) 配 列 番 号 2 を 含 ん で な る ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド す る ポ リ ヌ ク レ オ チ ド の 発 現 レ ベ
ル、または配列番号2のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドの発現レベルを検出する
こと、および、
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b) 治 療 の 効 果 を 判 定 す る こ と 、 そ の 際 、 生 体 サ ン プ ル 中 の 前 記 ポ リ ヌ ク レ オ チ ド も
しくは前記ポリペプチドの発現の低下が治療後の癌進行の可能性の増加を示すこと、
を含む方法。
【請求項20】
前記治療が前立腺外科手術である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前立腺癌細胞におけるアンドロゲン受容体の発現を低下させるのに有効な量で、前立腺
癌細胞に請求項7に記載のポリペプチドを投与することを含む、前立腺癌細胞におけるア
ンドロゲン受容体の発現を低下させる方法。
【請求項22】
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癌細胞の増殖を抑制するのに有効な量で、癌細胞に請求項7に記載のポリペプチドを投
与することを含む、癌細胞の増殖を抑制する方法。
【請求項23】
転写がアンドロゲン受容体によって制御される遺伝子の前立腺癌細胞における発現を調
節するのに有効な量で、前立腺癌細胞に請求項7に記載のポリペプチドを投与することを
含む、前立腺癌細胞における前記遺伝子の発現の調節方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本 発 明 は 、 腫 瘍 抑 制 遺 伝 子 、 特 に PMEPA1遺 伝 子 、 な ら び に 、 そ の 変 異 体 お よ び /ま た は
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類似体を含むこれらの遺伝子によってコードされるタンパク質に関する。特に、本発明は
、 一 部 に は 、 PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド が 癌 細 胞 増 殖 を 抑 制 す る と い う 発 見 に 基 づ く 。 癌 細 胞 の
増殖を抑制する方法が提供される。本発明はまた、アンドロゲン受容体およびアンドロゲ
ン調節性遺伝子の発現を調節する方法に関する。前立腺癌を診断または予後判定する方法
もまた提供される。
【背景技術】
【0002】
前 立 腺 癌 ( CaP) は 米 国 男 性 に お い て 最 も 一 般 的 な 悪 性 腫 瘍 で あ り 、 癌 に よ る 死 亡 原 因
の 第 2 位 で あ る ( Jemalら 、 Cancer statistics, 2002. CA Cancer J Clin. 52:23-47, 20
02) 。 継 続 的 な 研 究 に も 関 わ ら ず 、 CaPの 発 生 ・ 進 行 に 関 連 す る 特 異 的 な 遺 伝 子 変 化 に つ
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い て は 多 く が 未 知 の ま ま で あ る ( Augustusら 、 The molecular phenotype of the maligna
nt prostate. In S. Srivastava, D. E. Henson, お よ び A. Gazden( 編 ) , Molecular pa
thology of early cancer, pp 321-340. IOS press, Amsterdam, 1999; Moulら 、 1994. M
olecular biology of CaP. Oncogenes and tumor suppressor genes. Current Clinical
Oncology: CaP.( Dawson, N.A.お よ び Vogelzang, N.J. 編 ) , Wiley-Liss Publications,
19-46; Lalaniら 、 Cancer and Mets. Rev., 16:29-66, 1997; Shiら 、 World J. Urol.;
14, 318-328, 1996; Heidenbergら 、 Urology, 48:971-979, 1996; Bovaら 、 World J. Uro
l., 14:338-346, 1996; な ら び に Issacsら 、 Prostate Cancer: The Genetic Basis of Hu
man Cancer. Vogelstein B, お よ び Kinzler KW, McGraw-Hill Companies, Inc., pp. 653
-660, 1998) 。 従 っ て 、 前 立 腺 癌 の 発 生 お よ び 進 行 に 関 連 す る 遺 伝 子 変 化 の 同 定 な ら び に
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解析は、本疾患の生物学的および臨床的経過の理解に有益である。
【0003】
腫瘍抑制遺伝子および腫瘍遺伝子の変化が前立腺の腫瘍形成において重要であると同時
に、ホルモン機構もまた同様に前立腺癌の発達に重要な役割を果たす。このようなホルモ
ンの1つであるアンドロゲンは、前立腺の成長および発達の過程に関与する。アンドロゲ
ンは前立腺細胞の細胞表面上のアンドロゲン受容体に結合する。アンドロゲンの結合は、
ア ン ド ロ ゲ ン 調 節 性 遺 伝 子 ( androgen-regulated gene: ARG) と 呼 ば れ る 特 異 的 な 標 的 遺
伝 子 の 活 性 化 ま た は 転 写 を 誘 導 す る 細 胞 内 シ グ ナ ル 伝 達 の カ ス ケ ー ド を 開 始 さ せ る ( Augu
stusら 、 The molecular phenotype of the malignant prostate. In S. Srivastava, D.
E. Henson, お よ び A. Gazden( 編 ) , Molecular pathology of early cancer, pp 321-34
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0. IOS press, Amsterdam, 1999; Gelman E, J. Clin. Oncol., 20:3001-3015, 2002; Gr
ossmannら 、 J. Natl. Cancer Inst., 93:1687-1697, 2001) 。 こ れ ら の ARGは 細 胞 増 殖 お
よび分化に影響を及ぼす様々な機能を有するタンパク質をコードする。アンドロゲンは前
立腺細胞の増殖および分化を誘導することが示されている。更に、前立腺細胞からのアン
ドロゲンの除去は細胞死を誘導することが示されている。従って、特異的な標的遺伝子の
アンドロゲン調節は、正常な前立腺の成長および前立腺癌の発達の両方において、ある役
割を果たすと思われる。
【0004】
こ れ ら の 研 究 を 踏 ま え て 、 ARGお よ び そ れ ら の 生 物 学 的 機 能 の 系 統 的 且 つ 包 括 的 な 解 析
は、遺伝子変化が前立腺癌の発生および進行にどのように寄与するか、ならびに、前立腺
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癌 を よ り 良 く 診 断 お よ び 治 療 す る た め の こ れ ら の ARGの 使 用 方 法 の 、 更 な る 理 解 を 提 供 す
るはずである。
【発明の開示】
【0005】
発明の概要
以前、本発明者らは前立腺組織において豊富な発現を示す新規アンドロゲン調節性遺伝
子 の 同 定 を 記 載 し た 。 ( 2001年 1月 26日 に 出 願 さ れ た 米 国 出 願 S.N.09/769,482、 そ の 内 容
は 参 照 に よ り 本 明 細 書 に 組 み 入 れ ら れ る 。 ) 新 規 遺 伝 子 は PMEPA1と 命 名 さ れ た 。
【0006】
本 明 細 書 に お い て 本 発 明 者 ら は 更 に PMEPA1の 生 物 学 的 機 能 の 評 価 を 報 告 す る 。 本 発 明 は
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、 一 部 に は 、 PMEPA1が 癌 細 胞 増 殖 を 抑 制 す る と い う 発 見 に 基 づ く 。 従 っ て 、 あ る 実 施 形 態
では、本発明は癌細胞の増殖を抑制する方法を提供し、それは癌細胞の増殖を抑制するの
に有効な量で配列番号2を含んでなるポリペプチドを癌細胞に投与することを含む。ある
実施形態では、癌細胞は前立腺癌細胞である。ポリペプチドは直接細胞に投与されてもよ
く、または間接的に配列番号2を含んでなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
配列を含むベクターを用いてもよい。これらの方法には癌、特に前立腺癌を治療する方法
が含まれる。
【0007】
本発明の更なる実施形態は、アンドロゲン受容体の発現を低下させる方法、または、前
立 腺 特 異 的 抗 原 ( PSA) 遺 伝 子 、 PSMA遺 伝 子 お よ び PCGEM1遺 伝 子 を 含 む が こ れ ら に 限 定 さ
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れない、転写がアンドロゲン受容体によって制御される遺伝子の発現を調節する方法を提
供する。従って、ある態様では、本発明は癌細胞でのアンドロゲン受容体の発現を低下さ
せる方法、または、転写がアンドロゲン受容体によって制御される遺伝子の発現を調節す
る(すなわち、増加もしくは低下させる)方法を提供し、それは、癌細胞においてアンド
ロゲン受容体を減少させるのに有効な量、もしくは、前記遺伝子の発現を調節するのに有
効な量で、配列番号2を含んでなるポリペプチドを癌細胞に投与することを含む。ある実
施形態では、その癌細胞は前立腺癌細胞である。ポリペプチドは直接細胞に投与されても
よく、または間接的に配列番号2を含んでなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ド配列を含むベクターを用いてもよい。
【0008】
10
別の態様において、本発明は以下の能力、すなわち、癌細胞増殖を抑制する能力、アン
ドロゲン受容体の発現を低下させる能力、またはアンドロゲン受容体によって転写が制御
さ れ る 遺 伝 子 の 発 現 を 調 節 す る 能 力 、 の う ち 少 な く と も 1 つ を 保 持 す る PMEPA1ポ リ ペ プ チ
ドの変異体を提供する。ある実施形態では、これらの変異体は配列番号2に対して少なく
と も 95% 同 一 で あ り 、 例 え ば コ ロ ニ ー 形 成 ア ッ セ イ で 測 定 し た と き 前 立 腺 癌 細 胞 ( 例 え ば
LNCaP細 胞 ) の 増 殖 を 抑 制 す る 。
【0009】
更 に 別 の 態 様 で は 、 本 発 明 は 、 以 下 で さ ら に 詳 し く 述 べ る よ う に 、 PMEPA1の 少 な く と も
1 つ の PYモ チ ー フ に 少 な く と も 1 つ の 突 然 変 異 お よ び /ま た は 欠 失 を 持 つ PMEPA1ポ リ ペ プ
チ ド の 変 異 体 を 提 供 す る 。 こ の よ う な 突 然 変 異 は PMEPA1の 細 胞 増 殖 抑 制 効 果 を 減 少 さ せ る
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。 こ れ ら の PMEPA1変 異 体 は 、 例 え ば 、 PMEPA1が 細 胞 増 殖 抑 制 機 能 を 媒 介 す る た め に 直 接 ま
たは間接的に相互作用する細胞タンパク質を定義するために使用され得る。
【0010】
更 な る 実 施 形 態 で は 、 本 発 明 は 、 PMEPA1変 異 体 を コ ー ド す る ポ リ ヌ ク レ オ チ ド 、 な ら び
に 、 例 え ば 、 前 立 腺 癌 を 含 む 癌 細 胞 増 殖 を 抑 制 す る た め に 、 お よ び /ま た は ア ン ド ロ ゲ ン
受 容 体 の 発 現 を 低 下 さ せ る た め に 、 お よ び /ま た は ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 に よ っ て 転 写 が 制
御される遺伝子の発現を調節するために、これらの変異体を使用する方法(配列番号2を
含んでなるポリペプチドに関して上述した方法)を提供する。
【0011】
別 の 実 施 形 態 で は 、 本 発 明 は PMEPA1発 現 の レ ベ ル を 測 定 す る こ と に よ り 前 立 腺 癌 を 診 断
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または予後判定する方法を提供する。従って、本発明の方法は、患者由来の生体サンプル
中 の ポ リ ヌ ク レ オ チ ド ( 該 ポ リ ヌ ク レ オ チ ド が PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド す る ) の 発 現
レベルを検出し、前立腺癌の発生または進行の可能性を判定することを含み、その際、生
体サンプル中の該ポリヌクレオチドの発現低下が癌の発生または進行の可能性の増加と相
関 す る 。 例 え ば 、 前 立 腺 癌 の 予 後 判 定 方 法 に お い て 、 PMEPA1の 発 現 低 下 は 臓 器 非 限 局 性 腫
瘍 の よ う な 進 行 し た 段 階 の 前 立 腺 癌 と 相 関 す る 。 発 現 の 低 下 は 対 照 サ ン プ ル と の PMEPA1発
現 レ ベ ル の 比 較 に よ っ て 測 定 さ れ う る 。 代 替 方 法 と し て 、 PMEPA1発 現 の 閾 値 を 選 定 す る こ
と も で き る 。 こ の 場 合 、 PMEPA1発 現 レ ベ ル が 閾 値 未 満 で あ れ ば 、 発 現 低 下 と 見 な さ れ る 。
閾 値 は 公 知 の 方 法 を 用 い て 決 定 で き る 。 例 え ば 、 そ の 値 は PMEPA1 mRNAの コ ピ ー 数 ま た は
そ の サ イ ク ル 閾 値 ( cT) か ら 決 定 で き る 。 あ る 実 施 形 態 で は 、 生 体 サ ン プ ル は 前 立 腺 外 科
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手 術 な ど の 治 療 を 受 け た 前 立 腺 癌 患 者 か ら 得 ら れ る 。 こ の よ う に 、 PMEPA1は 癌 の 進 行 を 予
測 す る 、 お よ び /ま た は 治 療 効 果 を 測 定 す る た め の 生 体 マ ー カ ー と し て 機 能 す る 。 別 の 実
施形態では、ポリヌクレオチドが配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコー
ド す る 。 他 の 実 施 形 態 で は 、 ポ リ ヌ ク レ オ チ ド は 、 配 列 番 号 2 に 対 し て 少 な く と も 95% 同
一であり、かつ前立腺癌細胞の増殖を抑制するポリペプチドを含めて、配列番号2の変異
体をコードする。
【0012】
別 の 実 施 形 態 で は 、 前 立 腺 癌 を 診 断 ま た は 予 後 判 定 す る 方 法 は 、 生 体 サ ン プ ル 中 の PMEP
A1ポ リ ペ プ チ ド の 発 現 レ ベ ル を 検 出 し 、 前 立 腺 癌 の 発 生 ま た は 進 行 の 可 能 性 を 判 定 す る こ
とを含み、その際、生体サンプル中の前記ポリペプチドの発現低下が癌の発生または進行
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の 可 能 性 の 増 加 と 相 関 す る 。 上 述 し た よ う に 、 発 現 の 低 下 は 対 照 サ ン プ ル お よ び /ま た は
あ ら か じ め 定 め ら れ た 閾 値 と の PMEPA1発 現 の 比 較 に よ っ て 測 定 さ れ う る 。 あ る 実 施 形 態 で
は、生体サンプルは前立腺外科手術などの治療を受けた前立腺癌患者から得られる。別の
実施形態では、ポリペプチドが配列番号2のアミノ酸配列を有する。他の実施形態では、
ポ リ ペ プ チ ド は 配 列 番 号 2 に 対 し て 少 な く と も 95% 同 一 で あ り 、 前 立 腺 癌 細 胞 の 増 殖 を 抑
制 す る 。 PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド は 、 例 え ば PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド に 特 異 的 に 結 合 す る 抗 体 を 用
いて検出できる。
【0013】
本発明の別の実施形態は、配列番号2を含んでなるポリペプチドに特異的に結合する化
合物を検出するためのスクリーニング方法である。この方法は、試験化合物と該ポリペプ
10
チドとを接触させ、該ポリペプチドおよび化合物間の結合を測定し、該ポリペプチドに特
異的に結合する化合物を同定することを含む。別の実施形態では、この方法は、細胞、特
に 前 立 腺 癌 細 胞 な ど の 癌 細 胞 に お け る PMEPA1の 発 現 を 増 加 さ せ る 化 合 物 を 同 定 す る こ と を
含む。
【0014】
本発明の更なる態様は、一部が以下の説明に記載され、一部が下記の説明から理解され
ると考えられ、また、本発明の実施により習得されうる。
【0015】
発明の詳細な説明
PMEPA1は 、 ア ン ド ロ ゲ ン に よ っ て 最 も 誘 導 さ れ る 前 立 腺 癌 細 胞 の 遺 伝 子 と し て 、 Serial
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Analysis of Gene Expression( SAGE) に よ り 本 発 明 者 ら の 研 究 室 で 発 見 さ れ た ( Xuら 、
Int. J. Cancer, 92:322-328, 2001; Xuら 、 Genomics, 66:257-263, 2000) 。 PMEPA1の 発
現は用量および時間依存的にアンドロゲンによって調節され、他の器官と比較して前立腺
で よ り 強 く 発 現 し て い る ( 米 国 出 願 S.N.09/769,482参 照 ) 。
【0016】
以下に要約され、それに続く実施例において更に詳細に説明されるように、本発明者ら
の PMEPA1の 評 価 は 、 そ れ が 細 胞 増 殖 制 御 お よ び 腫 瘍 形 成 に お け る 役 割 を 有 す る 、 前 立 腺 に
豊 富 な ア ン ド ロ ゲ ン 調 節 性 遺 伝 子 で あ る こ と を 示 し て い る 。 前 立 腺 癌 に お け る PMEPA1発 現
の消失または低下は、特に主要な治療法としての外科手術後の、前立腺腫瘍形成もしくは
進行(例えば、腫瘍が前立腺を越えて拡大する臓器非限局性の癌のような進行した段階の
30
前 立 腺 癌 ) の 高 い 危 険 性 ま た は 可 能 性 と 相 関 す る 。 従 っ て 、 PMEPA1お よ び /ま た は そ の コ
ードするポリペプチドのレベル、発現、ならびに活性の変化は、前立腺癌の臨床的挙動に
つ い て の 有 用 な 情 報 を 提 供 す る 。 本 発 明 者 ら の 評 価 の 一 部 は 、 近 年 報 告 さ れ た 遺 伝 子 、 N4
WBP4に 対 し て 83% の 同 一 性 を 示 す PMEPA1タ ン パ ク 質 配 列 の 相 同 性 検 索 を 含 ん で い た ( 実 施
例 3 ) 。 N4WBP4は マ ウ ス の 胚 で 発 現 す る 2 つ の PYモ チ ー フ を 有 す る NEDD4 WWド メ イ ン 結 合
タ ン パ ク 質 を コ ー ド す る ( Jolliffeら 、 Biochem. J., 351:557-565, 2000) 。 PYモ チ ー フ
は 、 WWド メ イ ン を 有 す る タ ン パ ク 質 と 結 合 で き る PPXYコ ン セ ン サ ス 配 列 ( Xは 任 意 の ア ミ
ノ 酸 で あ り 得 る ) を 持 つ プ ロ リ ン に 富 む ペ プ チ ド 配 列 で あ る ( Jolliffeら 、 Biochem. J.,
351:557-565, 2000; Harvey Kら 、 Trends Cell Biol., 9:166-169, 1999; Hicke L, Cel
l, 106:527-530, 2001; Kumarら 、 Biochem. Biophys. Res. Commun., 185:1155-1161, 19
40
92; Kumarら 、 Genomics, 40:435-443, 1997; Sudol M, Trends Biochem. Sci., 21:161-1
63, 1996; Harveyら 、 J. Biol. Chem., 277:9307-9317, 2002; お よ び Brunschwigら 、 Can
cer Res., 63:1568-1575, 2003) 。 NEDD4は 当 初 マ ウ ス に お い て 発 生 的 に 調 節 さ れ る 遺 伝
子として同定されたものであり、ユビキチン依存性プロテアソーム介在タンパク質分解経
路 に 関 与 す る ユ ビ キ チ ン タ ン パ ク 質 リ ガ ー ゼ ( E3) で あ る 。 更 な る 研 究 は 、 NEDD4が 膜 チ
ャンネルおよびパーミアーゼの調節、エンドサイトーシス、ウイルスの出芽、細胞周期、
転 写 な ら び に タ ン パ ク 質 輸 送 な ど の 多 様 な 細 胞 機 能 に 関 与 す る こ と を 明 ら か に し た ( Harv
eyら 、 Trends Cell Biol., 9:166-169, 1999; Hicke L, Cell, 106:527-530, 2001) 。 NE
DD4タ ン パ ク 質 に 存 在 す る WWド メ イ ン は 、 PYモ チ ー フ を 含 む い く つ か の 標 的 タ ン パ ク 質 に
結合する、2個の高度に保存されたトリプトファンを有するモジュールである。
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【0017】
実 施 例 4 に お い て 説 明 さ れ る よ う に 、 本 発 明 者 ら は PMEPA1が NEDD4結 合 タ ン パ ク 質 で あ
り 、 PMEPA1の NEDD4へ の 結 合 が PMEPA1の PYモ チ ー フ に よ っ て 媒 介 さ れ る こ と を 発 見 し た 。 P
Yモ チ ー フ の 突 然 変 異 は PMEPA1の NEDD4へ の 結 合 を 著 し く 減 少 さ せ る 。 加 え て 、 PMEPA1の NE
DD4結 合 タ ン パ ク 質 と の 相 同 性 は 、 PMEPA1も ま た 細 胞 に お い て ユ ビ キ チ ン 化 お よ び プ ロ テ
アソーム経路を介したタンパク質の代謝回転を調節する可能性があることを示唆する。こ
れ は 更 に 、 PMEPA1が ゴ ル ジ 装 置 に 局 在 す る と い う 本 発 明 者 ら の 観 察 に よ っ て 支 持 さ れ る (
実施例6)。
【0018】
更 に 、 本 発 明 者 ら は 最 近 、 LNCaP細 胞 で の PMEPA1発 現 が ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 タ ン パ ク 質
10
をダウンレギュレートし、アンドロゲン受容体によって転写的に制御される遺伝子の発現
を 調 節 す る こ と を 見 い だ し た ( 実 施 例 5 ) 。 こ れ は 、 PMEPA1が ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 の 調 節
において機能することを示す。
【0019】
本 発 明 者 ら の デ ー タ は ま た 、 PMEPA1が 前 立 腺 癌 細 胞 の 増 殖 を 抑 制 す る こ と を 示 す ( 実 施
例 7 ) 。 よ り 具 体 的 に は 、 PMEPA1の コ ー ド 領 域 を 発 現 ベ ク タ ー に 挿 入 し 、 293細 胞 ( 腎 臓
) お よ び LNCaP細 胞 ( 前 立 腺 癌 ) に ト ラ ン ス フ ェ ク ト し た 。 細 胞 増 殖 お よ び 細 胞 周 期 解 析
は 、 PMEPA1を 過 剰 発 現 し た 293細 胞 と 対 照 ベ ク タ ー を ト ラ ン ス フ ェ ク ト し た 293細 胞 と の 間
に 差 異 が な い こ と を 示 し た 。 し か し 、 PMEPA1を 過 剰 発 現 し て い る LNCaP細 胞 は 顕 著 な 細 胞
増殖抑制を示した。同様の増殖抑制は他の前立腺癌細胞株においても観察された。
20
【0020】
更 に 、 原 発 性 前 立 腺 癌 で の PMEPA1発 現 の 定 量 的 評 価 に お い て 、 本 発 明 者 ら は 62の う ち 40
( 64.5%) の 合 致 す る 前 立 腺 標 本 が 腫 瘍 組 織 に お け る PMEPA1の 発 現 低 下 を 示 す こ と を 見 出
し 、 PMEPA1発 現 の 低 下 と 前 立 腺 腫 瘍 形 成 と の 間 の 相 関 を 示 し た ( 実 施 例 8 ) 。 こ れ ら の 発
現パターンを器官限局性および器官非限局性腫瘍によって階層化した場合、器官限局性腫
瘍 ( 44%) に 対 し て 器 官 非 限 局 性 腫 瘍 ( 68%) で 、 よ り 高 い 割 合 の 患 者 が PMEPA1の 発 現 低 下
を 示 し 、 こ の こ と は PMEPA1発 現 の 低 下 が 進 行 し た 前 立 腺 癌 の 可 能 性 の 増 加 と 相 関 す る こ と
を示している。
【0021】
定義
30
「 PMEPA1遺 伝 子 」 と い う 用 語 は 、 PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド の 定 義 に 示 さ れ る よ う な 機 能 お よ
び 構 造 上 の 特 性 を 有 す る PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド し て い る ポ リ ヌ ク レ オ チ ド 配 列 を 指
す。
【0022】
「 PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド 」 、 「 PMEPAタ ン パ ク 質 」 、 ま た は 文 脈 が 許 す 場 合 は 略 し て 「 PME
PA1」 と い う 用 語 は 、 配 列 番 号 2 と 実 質 的 に 同 一 の ポ リ ペ プ チ ド を 指 す 。 そ の 定 義 は 更 に
、 PMEPA1変 異 体 、 例 え ば オ ー ソ ロ グ お よ び ホ モ ロ グ な ど の 類 似 体 、 同 様 に 、 癌 細 胞 で の そ
の 発 現 が 細 胞 増 殖 を 抑 制 す る PMEPA1、 変 異 体 お よ び 類 似 体 の 機 能 的 に 同 等 な 断 片 を 包 含 す
る 。 以 下 に 述 べ る 実 施 例 7 は 、 一 例 と し て 、 PMEPA1発 現 が 腫 瘍 増 殖 を 抑 制 す る か ど う か を
判定するアッセイを提供する。当技術分野において公知の他の標準的な方法もまた使用さ
40
れうる。
【0023】
「ポリペプチド」という用語は、「ペプチド」および「タンパク質」という用語と互換
的に用いられ、長さまたは翻訳後修飾(例えばグリコシル化もしくはリン酸化)、あるい
は起源(例えば種)に関わらず、任意のアミノ酸鎖を指す。
【0024】
「実質的に同一の」、または、「実質的に示された」という語句は、関連配列が所定配
列 に 対 し て 少 な く と も 70%、 75%、 80%、 85%、 90%、 95%、 97%、 98%、 ま た は 99%同 一 で あ る
ことを意味する。一例として、このような配列は対立遺伝子多型、様々な種に由来する配
列であるかもしれず、または、それらはトランケーション、欠失、アミノ酸置換および/
50
(8)
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または付加により所定配列から派生するかもしれない。ポリペプチドでは、比較配列の長
さ は 通 常 少 な く と も 20、 30、 50、 100ま た は そ れ 以 上 の ア ミ ノ 酸 で あ ろ う 。 核 酸 で は 、 比
較 配 列 の 長 さ は 通 常 少 な く と も 50、 100、 150、 300、 ま た は そ れ 以 上 の ヌ ク レ オ チ ド で あ
ろ う 。 2 つ の 配 列 間 の 同 一 性 パ ー セ ン ト は 、 例 え ば 、 Altschulら (1990) J. Mol. Biol.,
215: 403-410に 記 載 さ れ る Basic Local Alignment Tool( BLAST) 、 Needlemanら (1970) J
. Mol. Biol., 48: 444-453の ア ル ゴ リ ズ ム 、 ま た は 、 Meyersら (1988) Comput. Appl. Bi
osci., 4: 11-17の ア ル ゴ リ ズ ム の よ う な 標 準 的 な ア ラ イ メ ン ト ア ル ゴ リ ズ ム に よ っ て 決
定される。
【0025】
「アンドロゲン受容体」という用語は、男性ホルモンテストステロンに結合するタンパ
10
ク質を指す。
【0026】
「診断する」という用語は、疾患もしくは状態を検出、同定、観察、または識別するこ
とを意味する。
【0027】
「予後判定する」という用語は、疾患の進行の危険性を規定することを意味する。
【0028】
「 相 関 す る 」 と い う 用 語 は 、 2つ の 要 素 、 例 え ば 、 PMEPA1発 現 と 疾 患 の 発 生 も し く は 進
行との間に、因果関係のある、相補的な、平行した、または相互的な関係を有するか、あ
る い は 、 質 的 お よ び /ま た は 量 的 な 対 応 を 有 す る も の と し て 確 立 ま た は 実 証 す る こ と を 意
20
味する。
【0029】
「 癌 細 胞 の 増 殖 を 抑 制 す る 」 と い う 語 句 は 、 PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド の 非 存 在 下 で の 細 胞 増
殖 と 比 較 し た 、 PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド の 存 在 下 で の 細 胞 増 殖 の 減 少 を 指 す 。 あ る い は 、 細 胞
が 基 底 レ ベ ル の PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド 発 現 を 持 つ 場 合 、 「 癌 細 胞 の 増 殖 を 抑 制 す る 」 と い う
語 句 は 、 基 底 レ ベ ル の PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド の 存 在 下 で の 細 胞 増 殖 と 比 較 し て 、 増 加 し た レ
ベ ル の PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド の 存 在 下 で の 細 胞 増 殖 の 減 少 を 指 す 。 細 胞 増 殖 は 、 実 施 例 に 記
載されるコロニー形成アッセイなどの従来のアッセイを用いて測定できる。
【0030】
「 ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 の 発 現 を 低 下 さ せ る 」 と い う 語 句 は 、 PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド の 非 存
30
在 下 で の 発 現 と 比 較 し て 、 PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド の 存 在 下 で の ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 タ ン パ ク
質 ま た は 核 酸 の 発 現 の 減 少 を 指 す 。 あ る い は 、 細 胞 が 基 底 レ ベ ル の PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド 発
現を持つ場合、「アンドロゲン受容体の発現を低下させる」という語句は、基底レベルの
PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド の 存 在 下 で の ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 の 発 現 と 比 較 し て 、 増 加 し た レ ベ ル
の PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド の 存 在 下 で の ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 タ ン パ ク 質 ま た は 核 酸 の 発 現 の 減
少を指す。
【0031】
「 特 異 的 な 相 互 作 用 」 、 「 特 異 的 な 結 合 」 な ど の 用 語 は 、 2つ の 分 子 が 生 理 的 条 件 下 で
比較的安定した複合体を形成することを意味する。本用語はまた、例えば、抗原結合ドメ
インをもつ特異的な結合メンバーがそのエピトープをもつ様々な抗原に結合できる場合、
40
抗原結合ドメインが、多くの抗原がもつ特定のエピトープに特異的である状況にも当ては
まる。特異的な結合は、高い親和性および低から中程度の受容能力によって特徴付けられ
る。非特異的な結合は、通常、中程度から高度の受容能力を伴う低い親和性を有する。一
6
般 的 に 、 親 和 定 数 Ka が 10 M
- 1
- 1
7
よ り 高 い 時 、 結 合 は 特 異 的 で あ る と 考 え ら れ る が 、 Ka は 10 M
8
よ り 高 く て も よ く 、 別 の 実 施 形 態 で は 10 M
- 1
より高いかもしれない。必要であれば、結
合条件を変化させることにより特異的な結合に実質的な影響を及ぼさずに、非特異性結合
を減少させることができる。このような条件は当技術分野において公知であり、当業者は
通常の技術を用いて適切な条件を選択できる。条件は通常、分子の濃度、溶液のイオン強
度、温度、結合時間、非関連分子(例えば血清アルブミン、ミルクカゼイン)の濃度等に
関して規定される。
50
(9)
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【0032】
「検出可能に標識された」という用語は、例えばオリゴヌクレオチドプローブもしくは
プ ラ イ マ ー 、 遺 伝 子 も し く は そ の 断 片 、 ま た は cDNA分 子 な ど の 分 子 に 印 付 け し 、 そ の 存 在
を同定する任意の手段を指す。分子を標識する方法は、当技術分野において周知であり、
(例えば
3 2
P、
3 5
S、 ま た は
1 2 5
I等 の 同 位 元 素 に よ る ) 放 射 性 標 識 お よ び 非 放 射 性 標 識 ( 例
えば化学発光標識)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0033】
「調節する」という用語は、特定の反応または活性のアゴニストまたはアンタゴニスト
のいずれかとして作用する化合物の能力について述べる。従って、調節するという用語は
「活性化する」および「抑制する」という用語を包含する。
10
【0034】
「 調 節 化 合 物 」 と い う 用 語 は 、 転 写 、 翻 訳 、 も し く は 翻 訳 後 レ ベ ル の い ず れ か で PMEPA1
発 現 を 「 調 節 す る 」 、 ま た は 、 PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド の 生 物 学 的 活 性 を 調 節 す る こ と が で き
る任意の化合物を意味する。「活性化する」という用語は、例えば、調節化合物の存在下
で 、 同 化 合 物 の 非 存 在 下 で の 遺 伝 子 ま た は ポ リ ペ プ チ ド の 活 性 と 比 較 し て 、 PMEPA1の よ う
な遺伝子の発現またはポリペプチドの活性が増加することを指す。発現レベルまたは活性
の 増 加 は 、 好 ま し く は 少 な く と も 約 10%、 20%、 30%、 40%、 50%、 60%、 70%、 80%、 90%、 ま
たはそれ以上である。同様に、「抑制する」という用語は、調節化合物の存在下で、同化
合 物 の 非 存 在 下 で の 遺 伝 子 ま た は ポ リ ペ プ チ ド の 活 性 と 比 較 し て 、 PMEPA1の よ う な 遺 伝 子
の発現またはポリペプチドの活性が減少することを指す。発現レベルまたは活性の減少は
20
、 好 ま し く は 少 な く と も 約 10%、 20%、 30%、 40%、 50%、 60%、 70%、 80%、 90%、 ま た は そ れ
以上である。遺伝子の発現レベルもしくはポリペプチドの活性は、本明細書に記載される
ように、または、当技術分野で一般に公知の技術によって測定され得る。
【0035】
「治療」という用語は本明細書では「治療法」という用語と互換的に用いられ、治療お
よ び 予 防 /防 止 措 置 の 両 方 を 指 す 。 「 治 療 」 ま た は 「 治 療 す る 」 と い う 用 語 は 、 疾 患 、 疾
患の症状、もしくは疾患の素因の回復、治癒軽減、緩和、変更、矯正、改善、好転、また
は影響を目的として、疾患、疾患の症状もしくは疾患の素因に悩む被検者または被検者か
ら単離した組織もしくは細胞への治療薬の適用あるいは投与を含む。治療を必要とする者
は、既に特定の医学的疾患を有する個体、ならびに最終的に疾患をもつ可能性のある個体
30
を含みうる。薬剤の投与は予防的に、望ましくない疾患または障害の症状の発現に先だっ
て行うことができ、その結果、疾患または障害を予防し、あるいはその進行を遅延させる
ことができる。本発明の予防または防止法は、用量および治療計画は異なるかもしれない
が、本明細書に記載される他の治療法と同様の方法で実施することができる。
【0036】
「単離された」という用語は、実質的にその天然の環境から解放された分子を指す。任
意の操作、例えば過剰発現、部分精製等によって天然に生じるレベル以上に上昇した任意
の量のその分子は、この定義に含まれる。部分精製された組成物のみに関して、本用語は
、 単 離 さ れ た 化 合 物 が 少 な く と も 50∼ 70% 、 70∼ 90% 、 90∼ 95%( w/w) ま た は よ り 高 い 純
度であることを指す。
40
【0037】
「有効な用量」または「有効な量」という用語は、結果的に患者の症状を改善する、ま
たは、例えば細胞増殖の抑制などの望ましい生物学的効果を生じる化合物の量を指す。有
効な量は以後のセクションに記載するように決定することができる。
【0038】
「 ポ リ ヌ ク レ オ チ ド 」 、 「 オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド 」 、 「 核 酸 」 お よ び 「 DNA」 と い う 用 語
は 本 明 細 書 に お い て 互 換 的 に 用 い ら れ 、 デ オ キ シ リ ボ 核 酸 ( DNA) 、 お よ び 適 切 な 場 合 に
は 、 リ ボ 核 酸 ( RNA) 、 あ る い は そ れ ら の キ メ ラ 混 合 物 ま た は 変 異 体 も し く は 改 変 体 を 指
す。本用語はまたヌクレオチド類似体および一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドをも含
む こ と を 理 解 す べ き で あ る 。 ポ リ ヌ ク レ オ チ ド の 例 は プ ラ ス ミ ド DNAま た は そ の 断 片 、 ウ
50
(10)
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イ ル ス DNAま た は RNA、 ア ン チ セ ン ス RNA等 を 含 む が 、 そ れ ら に 限 定 さ れ な い 。 「 プ ラ ス ミ
ド DNA」 と い う 用 語 は 環 状 の 二 本 鎖 DNAを 指 す 。
【0039】
「トランスジーン」という用語は、細胞内に導入した際、例えば治療上有用なタンパク
質の発現などの細胞に有益な特性をもたらすために、適切な状況下で転写され得るポリヌ
クレオチドを指す。遺伝子治療のために、トランスジーンは望ましい治療効果に基づいて
選択される。適切な場合には、「トランスジーン」という用語はコード配列およびポリア
デニル化シグナル、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー等の任意選択の非コード
調節配列の組合せを含むことを理解すべきである。
【0040】
10
「トランスフェクション」という用語は「遺伝子導入」、「形質転換」、および「形質
導入」という用語と互換的に用いられ、ポリヌクレオチドの細胞内導入を意味する。「ト
ランスフェクション効率」は、トランスフェクションを受けた細胞によって取り込まれる
トランスジーンの相対量を表す。実際には、トランスフェクション効率はトランスフェク
ション処置の後に発現したリポーター遺伝子産物の量により評価される。
【0041】
「ベクター」という用語は「トランスジーン送達ベクター」、「発現ベクター」、「発
現モジュール」、「発現カセット」、「発現構築物」、および適切な場合には、「核酸」
と互換的に用いられ、その配列のすべてまたは一部を転写するために「宿主細胞」と呼ば
れる細胞内にトランスフェクトされ得る、ウイルス性または非ウイルス性、原核生物また
20
は 真 核 生 物 の 、 DNAま た は RNA配 列 を 指 す 。 そ の 転 写 産 物 が 発 現 さ れ る 必 要 は な い 。 ま た ベ
クターがコード配列を有するトランスジーンを含む必要はない。ベクターはしばしば異な
るウイルス、細菌、または哺乳類の遺伝子に由来するエレメントの合成物として組み立て
られる。ベクターは、選択マーカーをコードする配列、細菌内でのそれらの増殖を促進す
る配列、または特定の細胞型のみで発現する1つ以上の転写単位のような、様々なコード
配列および非コード配列を有する。例えば、哺乳類の発現ベクターはしばしば、細菌内で
のベクターの増殖を促進する原核生物の配列と真核細胞のみで発現する1つ以上の真核生
物の転写単位との両方を有する。発現ベクターの設計が形質転換される宿主細胞の選択、
望ましいタンパク質の発現レベル等の要因に依存し得ることは、当業者によって認識され
るであろう。
30
【0042】
ベクターに挿入されたトランスジーンのコード配列の転写を開始するために十分なベク
ターの最小配列は、「プロモーター」と呼ばれる。プロモーターは構成的または誘導性で
あってよく、適切な細胞内調節因子と結合した際、プロモーター依存性の転写を促進(「
エ ン ハ ン サ ー 」 ) も し く は 抑 制 ( 「 リ プ レ ッ サ ー 」 ) す る 他 の 調 節 配 列 /エ レ メ ン ト と 連
結されうる。このようなエレメントがトランスジーン転写速度もしくは効率を制御し、ま
たは影響を及ぼす場合、プロモーター、エンハンサー、あるいはリプレッサーはトランス
ジーンに「機能しうる形で連結される」と言われる。例えば、トランスジーンコード配列
の 5'末 端 に 隣 接 し て 位 置 す る プ ロ モ ー タ ー 配 列 は 、 通 常 ト ラ ン ス ジ ー ン に 機 能 し う る 形 で
連結されている。本明細書で用いられる場合、「調節エレメント」は「調節配列」と互換
40
的に用いられ、プロモーター、エンハンサー、および他の発現制御エレメント、またはこ
のようなエレメントの任意の組合せを指す。
【0043】
「 ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン 試 薬 」 と い う 用 語 は 、 細 胞 壁 お よ び /ま た は 細 胞 膜 を 横 切 る ポ
リヌクレオチドの導入を促進しうる物質を指す。一般的に、このような化合物は細胞表面
お よ び ポ リ ヌ ク レ オ チ ド 自 体 の 静 電 荷 を 減 少 さ せ る か 、 あ る い は 細 胞 壁 お よ び /ま た は 細
胞膜の透過性を増加させる。
【0044】
本明細書で用いる場合、「規定した条件下でのハイブリダイゼーション」という用語は
、互いに対して顕著に同一または相同であるヌクレオチド配列が互いに結合し続けるハイ
50
(11)
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ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン お よ び 洗 浄 の 条 件 を 表 す 。 そ の 条 件 は 、 少 な く と も 50、 100、 150、 30
0、 ま た は そ れ 以 上 の ヌ ク レ オ チ ド 長 、 お よ び 少 な く と も 約 70% 、 80% 、 85% 、 90% 、 ま
た は 95% 同 一 で あ る 配 列 が 互 い に 結 合 し 続 け る も の で あ る 。 同 一 性 パ ー セ ン ト は 、 Altsch
ulら (1997) Nucleic Acids Res., 25: 3389-3402に 記 載 さ れ る よ う に 決 定 す る こ と が で き
る。低ストリンジェンシーおよび高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件の
非限定的な例を、本出願において以後に示す。
【0045】
遺伝子の単離
ゲ ノ ム DNAは 、 例 え ば 、 プ ロ ー ブ と し て 配 列 番 号 1 の DNAも し く は そ の 適 切 な 断 片 を 用 い
ることにより、または実施例に記載したように、従来の技術によって単離されうる。
10
【0046】
本 発 明 は 配 列 番 号 1 の PMEPA1 cDNA、 例 え ば 、 配 列 番 号 2 に 示 さ れ た ポ リ ペ プ チ ド を コ
ードするヌクレオチド配列、にハイブリダイズする核酸を提供する。
【0047】
ある実施形態では、選択の前に望ましい配列を増幅するため、ポリメラーゼ連鎖反応(
PCR) が 用 い ら れ る 。 既 知 の PMEPA1配 列 に 相 当 す る オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド プ ラ イ マ ー が プ ラ
イ マ ー と し て 使 用 で き る 。 例 え ば 、 少 な く と も 約 17、 30、 ま た は 60個 連 続 し た ヌ ク レ オ チ
ドを含む配列番号1の断片は通常、プライマーとして使用できる。増幅される配列は、任
意 の 真 核 生 物 種 由 来 の mRNA、 ま た は cDNA、 ま た は ゲ ノ ム DNAを 含 み 得 る 。 既 知 の PMEPA1ヌ
クレオチド配列と単離される核酸ホモログとの間のヌクレオチド配列類似性の程度の差が
20
許 容 さ れ る よ う に 、 い く つ か の 異 な る 縮 重 プ ラ イ マ ー の 合 成 、 お よ び PCR反 応 の 開 始 に お
けるハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーの変更を選択することができる。
異種間のハイブリダイゼーションには低ストリンジェンシー条件が推奨され、一方、同種
間 の ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン に は 中 程 度 の ス ト リ ン ジ ェ ン シ ー 条 件 が 推 奨 さ れ る 。 PMEPA1
配列ホモログの断片の増幅が成功した後、その断片は分子クローニングされ、配列決定さ
れ て 、 完 全 な cDNAま た は ゲ ノ ム ク ロ ー ン を 単 離 す る た め プ ロ ー ブ と し て 利 用 さ れ る 。 こ れ
は遺伝子の完全ヌクレオチド配列の決定を可能にする。このようにして、必要以上の実験
を せ ず に PMEPA1タ ン パ ク 質 を コ ー ド す る 更 な る 遺 伝 子 が 同 定 さ れ う る 。 手 順 の 詳 細 は 、 Sa
mbrookら の Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第 3版 、 Cold Spring Harbor Labo
ratory Press, Cold Spring Harbor, NY (www.molecularcloning.com); お よ び DNA Cloni
30
ng: A Practical Approach, Glover, 編 、 MRL Press, Ltd., Oxford, UK, 1985に 記 載 さ
れる。
【0048】
ひ と た び PMEPA1配 列 の 全 部 ま た は 一 部 を 含 む ポ リ ヌ ク レ オ チ ド が 生 成 さ れ る と 、 所 望 の
遺 伝 子 を 含 む 特 異 的 な DNA断 片 の 同 定 は い く つ か の 方 法 で 達 成 す る こ と が で き る 。 例 え ば
、 あ る 量 の ( 任 意 の 種 の ) PMEPA1遺 伝 子 も し く は そ の 特 異 的 な RNAの 一 部 、 つ ま り そ の 断
片 が 入 手 可 能 で 、 精 製 お よ び 標 識 で き る 場 合 、 生 成 さ れ た DNA断 片 は 標 識 プ ロ ー ブ に 対 す
る 核 酸 ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン に よ り ス ク リ ー ニ ン グ さ れ う る ( Bentonら 、 (1977) Scien
ce, 196:180; Grunsteinら 、 (1975) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 72:3961) 。 プ ロ
ー ブ に 対 し て 実 質 的 な 相 同 性 を 有 す る DNA断 片 が ハ イ ブ リ ダ イ ズ す る で あ ろ う 。 制 限 酵 素
40
消化および既知の制限地図に従って予測されるものとの断片サイズの比較によって、適切
な断片を同定することも可能である。遺伝子の特性に基づいて更なる選択を行ってもよい
。あるいはまた、遺伝子の存在を、その発現産物の物理的、化学的、または免疫学的特性
に 基 づ く ア ッ セ イ に よ っ て 検 出 し て も よ い 。 例 え ば 、 cDNAク ロ ー ン は そ れ ら が 産 生 す る タ
ン パ ク 質 の 特 性 、 例 え ば PMEPA1の 電 気 泳 動 移 動 度 、 等 電 点 電 気 泳 動 で の 挙 動 、 タ ン パ ク 質
分解地図、細胞増殖の抑制、アンドロゲン受容体発現の抑制等との類似性または同一性に
基 づ い て 選 択 さ れ 得 る 。 PMEPA1に 対 す る 抗 体 が 利 用 で き る 場 合 、 PMEPA1タ ン パ ク 質 は 、 EL
ISA( 酵 素 免 疫 測 定 法 ) 型 の 方 法 で 、 検 出 可 能 に 標 識 さ れ た 抗 体 の 推 定 上 の PMEPA1へ の 結
合によって同定することができる。
【0049】
50
(12)
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PMEPA1遺 伝 子 は ま た 、 核 酸 ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン と そ れ に 続 く in vitro翻 訳 を 用 い た
mRNA選 択 に よ っ て も 同 定 、 単 離 さ れ 得 る 。 こ の 方 法 で は 、 ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン に よ っ
て 相 補 的 な mRNAを 単 離 す る た め に 断 片 が 用 い ら れ る 。 こ の よ う な DNA断 片 は 入 手 可 能 な 別
の 種 ( 例 え ば シ ョ ウ ジ ョ ウ バ エ 、 マ ウ ス 、 ヒ ト 等 ) の 精 製 PMEPA1 DNAに 相 当 す る も の で も
よ い 。 単 離 し た 生 成 物 の in vitro翻 訳 産 物 の 免 疫 沈 降 解 析 ま た は 機 能 ア ッ セ イ ( 例 え ば 癌
細 胞 増 殖 の 抑 制 、 ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 発 現 の 抑 制 等 ) は 、 mRNAを 同 定 し 、 従 っ て 、 望 ま し
い 配 列 を 含 む 相 補 的 DNA断 片 を 同 定 す る 。 加 え て 、 特 異 的 な mRNAは 、 PMEPA1タ ン パ ク 質 に
対する特異的な固定化抗体への細胞から単離されたポリソームの吸着によって選択されう
る 。 鋳 型 と し て ( 吸 着 し た ポ リ ソ ー ム 由 来 の ) 選 択 さ れ た mRNAを 用 い て 、 検 出 可 能 に 標 識
さ れ た PMEPA1 cDNAを 合 成 で き る 。 mRNAま た は cDNAは そ の 後 、 他 の ゲ ノ ム DNA断 片 か ら PMEP
10
A1 DNA断 片 を 同 定 す る た め プ ロ ー ブ と し て 使 用 さ れ う る 。
【0050】
PMEPA1ゲ ノ ム DNAを 単 離 す る 代 替 方 法 に は 、 限 定 す る も の で は な い が 、 既 知 の 配 列 か ら
の 遺 伝 子 配 列 自 体 の 化 学 合 成 、 ま た は PMEPA1タ ン パ ク 質 を コ ー ド す る mRNAに 対 す る cDNAの
作 製 が 含 ま れ る 。 例 え ば 、 PMEPA1遺 伝 子 の cDNAク ロ ー ニ ン グ の た め の RNAは PMEPA1を 発 現
する細胞から単離できる。他の方法も可能であり、本発明の範囲内である。
【0051】
同定、単離した遺伝子は、その後、以下のセクションで記載されるように後続のクロー
ニングおよび発現のために適切なクローニングベクターに挿入することができる。
【0052】
20
PMEPA1遺 伝 子 に 相 当 す る ク ロ ー ニ ン グ さ れ た DNAま た は cDNAは 、 サ ザ ン ハ イ ブ リ ダ イ ゼ
ー シ ョ ン ( Southern (1975) J. Mol. Biol., 98:503-517) 、 ノ ー ザ ン ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー
シ ョ ン ( 例 え ば 、 Freemanら (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 80:4094-4098参 照
) 、 制 限 酵 素 マ ッ ピ ン グ ( Maniatis (1982) Molecular Cloning: A Laboratory Manual,
第 3 版 . Cold Spring Harbor, NY (www.molecularcloning.com)) お よ び DNA配 列 解 析 を 含
むがそれらに限定されない方法によって解析され得る。ポリメラーゼ連鎖反応(米国特許
第 4,683,202号 ; 第 4,683,195号 ; お よ び 第 4,889,818号 ; Gyllensteinら (1988) Proc. Nat
l. Acad. Sci. U.S.A., 85:7652-7656; Ochmanら (1988) Genetics, 120:621-623; Lohら (
1989) Science, 243:217-220) と そ れ に 続 く PMEPA1特 異 的 プ ロ ー ブ を 用 い た サ ザ ン ハ イ ブ
リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン は 、 様 々 な 細 胞 型 由 来 の DNAで の PMEPA1遺 伝 子 の 検 出 を 可 能 に す る 。 PCR
30
以 外 の 増 幅 方 法 が 一 般 に 知 ら れ て お り 、 そ れ ら も ま た 使 用 で き る 。 あ る 実 施 形 態 で は 、 PM
EPA1の 遺 伝 子 連 鎖 を 決 定 す る た め に サ ザ ン ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン が 使 用 さ れ る 。 ノ ー ザ
ン ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン 解 析 は PMEPA1遺 伝 子 の 発 現 を 測 定 す る た め に 使 用 で き る 。 PMEP
A1発 現 に つ い て 、 様 々 な 発 達 ま た は 活 性 状 態 の 様 々 な 細 胞 型 を 検 査 す る こ と が で き る 。 使
用 す る 特 異 的 PMEPA1プ ロ ー ブ に 対 し て 望 ま し い 類 似 度 を 有 す る 核 酸 の 検 出 を 確 実 に す る た
めに、サザンおよびノーザンハイブリダイゼーションの両方に対するハイブリダイゼーシ
ョン条件のストリンジェンシーを操作することができる。これらの方法の改変および当技
術分野において周知の他の方法を使用してもよい。
【0053】
制 限 酵 素 マ ッ ピ ン グ を 用 い て PMEPA1遺 伝 子 の 遺 伝 子 構 造 を お お む ね 決 定 す る こ と が で き
40
る 。 制 限 酵 素 切 断 に よ っ て 得 ら れ た 制 限 地 図 は 、 そ の 後 DNA配 列 解 析 に よ っ て 確 認 で き る
。
【0054】
DNA配 列 解 析 は 、 マ キ サ ム ・ ギ ル バ ー ト 法 ( 1980, Meth. Enzymol. 65:499-560) 、 サ ン
ガ ー の ジ デ オ キ シ 法 ( Sangerら (1977) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 74:5463) 、 T7
DNAポ リ メ ラ ー ゼ の 使 用 ( 米 国 特 許 第 4,795,699号 ) 、 ま た は 自 動 DNAシ ー ク エ ネ ー タ ー の
使 用 ( 例 え ば Applied Biosystems, Foster City, CA) を 含 む が そ れ ら に 限 定 さ れ な い 、
当技術分野において公知の技術によって行うことができる。
【0055】
核酸
50
(13)
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1,141塩 基 対 の PMEPA1 cDNA配 列 の 解 析 は 、 以 下 の 配 列 を 有 す る 759ヌ ク レ オ チ ド の オ ー
プンリーディングフレームを示した:
ATGGCGGAGC TGGAGTTTGT TCAGATCATC ATCATCGTGG TGGTGATGAT 50
GGTGATGGTG GTGGTGATCA CGTGCCTGCT GAGCCACTAC AAGCTGTCTG 100
CACGGTCCTT CATCAGCCGG CACAGCCAGG GGCGGAGGAG AGAAGATGCC 150
CTGTCCTCAG AAGGATGCCT GTGGCCCTCG GAGAGCACAG TGTCAGGCAA 200
CGGAATCCCA GAGCCGCAGG TCTACGCCCC GCCTCGGCCC ACCGACCGCC 250
TGGCCGTGCC GCCCTTCGCC CAGCGGGAGC GCTTCCACCG CTTCCAGCCC 300
ACCTATCCGT ACCTGCAGCA CGAGATCGAC CTGCCACCCA CCATCTCGCT 350
GTCAGACGGG GAGGAGCCCC CACCCTACCA GGGCCCCTGC ACCCTCCAGC 400
10
TTCGGGACCC CGAGCAGCAG CTGGAACTGA ACCGGGAGTC GGTGCGCGCA 450
CCCCCAAACA GAACCATCTT CGACAGTGAC CTGATGGATA GTGCCAGGCT 500
GGGCGGCCCC TGCCCCCCCA GCAGTAACTC GGGCATCAGC GCCACGTGCT 550
ACGGCAGCGG CGGGCGCATG GAGGGGCCGC CGCCCACCTA CAGCGAGGTC 600
ATCGGCCACT ACCCGGGGTC CTCCTTCCAG CACCAGCAGA GCAGTGGGCC 650
GCCCTCCTTG CTGGAGGGGA CCCGGCTCCA CCACACACAC ATCGCGCCCC 700
TAGAGAGCGC AGCCATCTGG AGCAAAGAGA AGGATAAACA GAAAGGACAC 750
CCTCTCTAG( 配 列 番 号 1 ) 759
【0056】
遺 伝 暗 号 の 縮 重 ( す な わ ち 2 以 上 の コ ド ン が 同 一 ア ミ ノ 酸 を コ ー ド で き る ) に よ り 、 PM
20
EPA1 DNA配 列 は 配 列 番 号 1 に 示 さ れ た も の か ら 変 化 し て も な お 配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 配 列
を 有 す る ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド す る こ と が で き る 。 こ の よ う な 変 異 型 DNA配 列 は 対 立 遺 伝
子 多 型 ま た は ( 例 え ば PCR増 幅 の 際 に 生 じ る ) 「 サ イ レ ン ト 」 変 異 で あ り 得 、 ま た は 天 然
の配列の突然変異誘発によって意図的に導入できる。
【0057】
PMEPA1核 酸 は 、 ( a) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 配 列 を 含 ん で な る 核 酸 ; ( b) 配 列 番 号
2 の ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド す る 核 酸 ; ( c) 定 義 さ れ た 条 件 下 で ( a) ま た は ( b) の 核 酸
と ハ イ ブ リ ダ イ ズ す る こ と が で き 、 LNCaP細 胞 で の 該 核 酸 の 発 現 が コ ロ ニ ー 形 成 ア ッ セ イ
に お い て 形 成 さ れ る コ ロ ニ ー 数 を 減 少 さ せ る 核 酸 ; お よ び ( d) 上 記 ( c) の 核 酸 に よ っ て
コードされるポリペプチドをコードする核酸;から選択される単離された核酸配列を含む
30
。 ( a) 、 ( b) 、 ( c) 、 お よ び ( d) の 核 酸 に よ っ て コ ー ド さ れ る ポ リ ペ プ チ ド は 本 発 明
に含まれる。ある実施形態では、定義された条件は低ストリンジェンシー条件である。別
の実施形態では、定義された条件は中程度のストリンジェンシー条件である。更に別の実
施形態では、定義された条件は高ストリンジェンシー条件である。
【0058】
適 切 な ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン 条 件 は 、 Ausubelら 、 Current Protocols in Molecular
Biology, John Wiley & Sons, 2003 (www.wiley.com/cp)に 例 示 さ れ る よ う に 最 小 限 の 実
験 に よ っ て 当 業 者 に よ り 選 択 さ れ 得 る 。 あ る い は 、 ス ト リ ン ジ ェ ン ト 条 件 は Sambrookら Mo
lecular Cloning: A Laboratory Manual, 第 3 版 、 Cold Spring Harbor Press, (www.mol
ecularcloning.com)に 記 載 さ れ て い る 。 定 義 さ れ た 低 ス ト リ ン ジ ェ ン シ ー 条 件 の 非 限 定 的
40
な 例 は 下 記 の と お り で あ る 。 DNAを 含 む フ ィ ル タ ー を 、 35% ホ ル ム ア ミ ド 、 5x SSC、 50 mM
Tris-HCl (pH 7.5)、 5 mM EDTA、 0.1% PVP、 0.1% フ ィ コ ー ル 、 1% BSA、 お よ び 500μ g
/ml変 性 サ ケ 精 子 DNAを 含 有 す る 溶 液 中 で 6時 間 40℃ に て 前 処 理 す る 。 ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ
ョ ン は 以 下 の 改 変 を 伴 う 同 一 の 溶 液 中 で 行 わ れ る 。 す な わ ち 、 0.02% PVP、 0.02% フ ィ コ
ー ル 、 0.2% BSA、 100μ g/mlサ ケ 精 子 DNA、 10% (wt/vol) 硫 酸 デ キ ス ト ラ ン 、 お よ び 5∼
20x10
6
3 2
P標 識 プ ロ ー ブ が 用 い ら れ る 。 フ ィ ル タ ー を ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン 混 合 液 中 で
18∼ 20時 間 40℃ に て 保 温 し 、 そ の 後 2x SSC、 25 mM Tris-HCl (pH 7.4)、 5 mM EDTA、 お よ
び 0.1% SDSを 含 有 す る 溶 液 中 で 1.5時 間 55℃ で 洗 浄 す る 。 洗 浄 液 を 新 し い 溶 液 に 交 換 し 、
更 に 1.5時 間 60℃ で 保 温 す る 。 フ ィ ル タ ー を 吸 取 り 紙 で 乾 燥 さ せ 、 オ ー ト ラ ジ オ グ ラ フ ィ
ーに露光する。(例えば異種間ハイブリダイゼーションに用いられるような)当技術分野
50
(14)
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において周知の他の低ストリンジェンシー条件を使用してもよい。
【0059】
定 義 さ れ た 高 ス ト リ ン ジ ェ ン シ ー 条 件 の 非 限 定 的 な 例 は 下 記 の と お り で あ る 。 6x SSC、
50 mM Tris-HCl (pH 7.5)、 1 mM EDTA、 0.02% PVP、 0.02% フ ィ コ ー ル 、 0.02% BSA、 お
よ び 500μ g/ml変 性 サ ケ 精 子 DNAか ら 成 る バ ッ フ ァ ー 中 で 8時 間 か ら 一 晩 65℃ で 、 DNAを 含 む
フ ィ ル タ ー の プ レ ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン を 行 う 。 100μ g/ml変 性 サ ケ 精 子 DNAお よ び 5∼ 2
0x10
6
cpmの
3 2
P標 識 プ ロ ー ブ を 含 有 す る プ レ ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン 混 合 液 中 で 48時 間 65
℃ に て フ ィ ル タ ー を ハ イ ブ リ ダ イ ズ さ せ る 。 フ ィ ル タ ー の 洗 浄 は 2x SSC、 0.01% PVP、 0.
01% フ ィ コ ー ル 、 お よ び 0.01% BSAを 含 む 溶 液 中 で 1時 間 37℃ に て 行 う 。 こ れ に 続 い て 0.1
x SSC中 で 45分 間 50℃ に て 洗 浄 を 行 う 。
10
【0060】
別の実施形態では、本発明の核酸は実質的に配列番号1に示された配列を含む。ある実
施 形 態 で は 、 核 酸 は 、 配 列 番 号 1 に 対 し て 少 な く と も 85% 、 少 な く と も 90% 、 ま た は 少 な
く と も 95% 同 一 で あ り 、 例 え ば 、 実 施 例 7 に 記 載 し た よ う な コ ロ ニ ー 形 成 ア ッ セ イ で 実 証
されるように、前立腺癌細胞の増殖を抑制するタンパク質をコードする。異種間で保存さ
れ た 領 域 を 含 む PMEPA1核 酸 も ま た 提 供 さ れ る 。
【0061】
更 に 別 の 実 施 形 態 で は 、 核 酸 は 、 配 列 番 号 1 の 少 な く と も 50、 100、 250、 500、 ま た は 7
50個 連 続 し た ヌ ク レ オ チ ド の 連 続 ス ト レ ッ チ を 含 む 。 こ の よ う な 配 列 番 号 1 の 連 続 し た 断
片 は 、 少 な く と も 1つ の 突 然 変 異 を 含 み う る が 、 か か る 突 然 変 異 型 の 配 列 は も と の 配 列 の
20
機能を保持しかつ低または高ストリンジェンシー条件下で配列番号1とハイブリダイズす
る能力を保持する必要がある。
【0062】
PMEPA1タ ン パ ク 質 の 変 異 体 を コ ー ド す る 核 酸 が 提 供 さ れ る 。
【0063】
特 定 の 実 施 形 態 で は 、 こ こ に 開 示 し た 核 酸 は 、 更 に 、 融 合 パ ー ト ナ ー と 呼 ば れ る PMEPA1
以外のタンパク質をコードする配列を含む。
【0064】
本 発 明 は ま た 、 上 記 の よ う な 本 発 明 の 少 な く と も 1つ の 核 酸 を 含 む ベ ク タ ー 、 転 写 ま た
は発現カセットの形をとる構築物を提供する。必要であれば、このようなベクターは更に
30
、機能しうる形で連結された発現制御エレメントまたは調節エレメント、制限酵素切断部
位等のような、任意選択のエレメントを含みうる。
【0065】
PMEPA1ア ン チ セ ン ス 核 酸 も ま た 提 供 さ れ る 。 特 定 の 実 施 形 態 で は 、 オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド
は 、 配 列 番 号 1 を は じ め と す る 本 明 細 書 に 記 載 さ れ た 本 発 明 の PMEPA1核 酸 に 対 し て ア ン チ
セ ン ス 方 向 の 、 少 な く と も 10、 15、 100、 200、 500、 600、 700、 ま た は 750個 連 続 し た ヌ ク
レ オ チ ド で あ る 。 あ る 実 施 形 態 で は 、 PMEPA1ア ン チ セ ン ス オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド は 一 本 鎖 DN
Aで あ る 。
【0066】
ポリペプチド
40
本 発 明 は 、 一 部 に は 、 PMEPA1が 腫 瘍 の 増 殖 を 抑 制 す る と い う 知 見 に 基 づ く も の で あ る 。
例 え ば 、 実 施 例 7 に お い て 実 証 さ れ る よ う に 、 組 換 え PMEPA1の 発 現 は 、 コ ロ ニ ー 形 成 ア ッ
セ イ に お い て 前 立 腺 癌 細 胞 株 LNCaP、 PC3、 DU145な ら び に LNCaP亜 細 胞 株 C4、 C4-2、 お よ び
C4-2Bの 増 殖 を 抑 制 す る 。 こ の 証 拠 は 、 PMEPA1が 腫 瘍 抑 制 作 用 を 有 す る こ と を 実 証 す る 。
【0067】
PMEPA1オ ー プ ン リ ー デ ィ ン グ フ レ ー ム は 、 以 下 の 配 列 を 有 す る 予 測 分 子 量 27.8 kDaの 25
2ア ミ ノ 酸 タ ン パ ク 質 ( 配 列 番 号 2 ) を コ ー ド す る :
MAELEFVQII IIVVVMMVMV VVITCLLSHY KLSARSFISR HSQGRRREDA 50
LSSEGCLWPS ESTVSGNGIP EPQVYAPPRP TDRLAVPPFA QRERFHRFQP 100
TYPYLQHEID LPPTISLSDG EEPPPYQGPC TLQLRDPEQQ LELNRESVRA 150
50
(15)
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PPNRTIFDSD LMDSARLGGP CPPSSNSGIS ATCYGSGGRM EGPPPTYSEV 200
IGHYPGSSFQ HQQSSGPPSL LEGTRLHHTH IAPLESAAIW SKEKDKQKGH 250
PL*( 配 列 番 号 2 ) 252
【0068】
実 施 例 3で 述 べ る よ う に 、 配 列 番 号 2 は NEDD4 WW結 合 タ ン パ ク 質 に 対 し て 83% の 同 一 性
を 共 有 し 、 2つ の PYモ チ ー フ 、 す な わ ち 、 PPPY( 配 列 番 号 15) ( 「 PY1」 ) お よ び PPTY( 配
列 番 号 16) ( 「 PY2」 ) を 含 む 。 Xが 任 意 の ア ミ ノ 酸 で あ り 得 る PPXYモ チ ー フ は 、 WWド メ イ
ン含有タンパク質との結合を促進することが示されている。本発明者らは実施例において
PMEPA1が WWド メ イ ン を 含 有 す る NEDD4タ ン パ ク 質 に 結 合 す る こ と を 実 証 す る 。 NEDD4は 、 ユ
ビキチン依存性のプロテアソームを介したタンパク質分解経路に関与するユビキチンタン
10
パ ク 質 リ ガ ー ゼ ( E3) で あ る 。
【0069】
PMEPA1な ど の ポ リ ペ プ チ ド が WWド メ イ ン を 有 す る 他 の タ ン パ ク 質 に 結 合 す る か ど う か を
決定するためのアッセイとしては、当技術分野において周知であり、コンビナトリアルペ
プチドライブラリー、アフィニティークロマトグラフィー、発現ライブラリースクリーニ
ン グ お よ び 酵 母 ツ ー ハ イ ブ リ ッ ド ス ク リ ー ニ ン グ な ど の 方 法 が あ る ( Kayら ( 2000) FEBS
Lett., 480:55-62; Frederickら ( 1999) Mol. Cell. Biol., 19:2330-2337; Daiお よ び Pe
ndergast( 1995) Genes Dev., 9:2569-2582; Kitamuraら ( 1996) Biochem. Biophys. Res
. Commun., 219:509-514; Richardら ( 1995) Mol. Cell. Biol. 15:186-197;な ら び に Sud
ol( 1994) Oncogene 9:2145-2152) 。
20
【0070】
実 施 例 に 示 し た 実 験 デ ー タ は 、 PMEPA1が 癌 細 胞 増 殖 を 下 方 制 御 す る こ と を 示 す 。 こ の よ
う な 機 能 の 低 下 は 、 腫 瘍 形 成 ま た は 既 存 の 疾 患 の 進 行 に 有 利 に 働 く 。 従 っ て 、 PMEPA1は 、
WWド メ イ ン 含 有 分 子 と の 相 互 作 用 に よ り 、 腫 瘍 形 成 ま た は 癌 進 行 を 抑 制 す る 可 能 性 が あ る
。 NEDD4結 合 タ ン パ ク 質 に 対 す る PMEPA1の 相 同 性 お よ び NEDD4と 結 合 す る PMEPA1の 能 力 は 、
PMEPA1が 細 胞 に お い て ユ ビ キ チ ン 化 お よ び プ ロ テ ア ソ ー ム 経 路 を 介 し た タ ン パ ク 質 の 代 謝
回転を調節する可能性があることを示す。この作用機構は、当然のことながら、単なる提
案 に す ぎ な い 。 更 に 、 そ れ は PMEPA1が そ の 機 能 を 発 揮 す る 唯 一 の 作 用 機 構 で は な い 。 本 発
明 は 、 PMEPA1活 性 の 任 意 の 特 定 の 作 用 機 構 に 限 定 さ れ る も の で は な い 。
【0071】
30
ある実施形態では、本発明のポリペプチドは配列番号2に示されたアミノ酸配列を含む
。別の実施形態では、ポリペプチドは実質的に配列番号2に示されたようなアミノ酸配列
を 含 む 。 更 に 別 の 実 施 形 態 で は 、 ポ リ ペ プ チ ド は 配 列 番 号 2 と 少 な く と も 90% 、 95% 、 96
% 、 97% 、 98% 、 ま た は 99% 同 一 の ア ミ ノ 酸 配 列 を 含 む が 、 た だ し 、 前 記 ポ リ ペ プ チ ド は
、例えば、実施例7に記載したようなコロニー形成アッセイで実証されるように、前立腺
癌細胞の増殖を抑制する。下記で更に詳細に記載されるように、これらのポリペプチドは
組 換 え DNA技 術 に よ っ て 生 産 す る こ と が で き る 。
【0072】
別 の 実 施 形 態 で は 、 本 発 明 の ポ リ ペ プ チ ド は 配 列 番 号 2 の 少 な く と も 50、 100、 150、 20
0個 、 ま た は そ れ 以 上 の ア ミ ノ 酸 の 連 続 ス ト レ ッ チ を 含 む 。 こ の よ う な 配 列 番 号 2 の 断 片
40
は 、 そ れ が も と の 配 列 の 機 能 を 保 持 す る 限 り 、 少 な く と も 1つ の 突 然 変 異 を 含 み う る 。 こ
の よ う な 断 片 は 、 例 え ば 、 約 ア ミ ノ 酸 ( aa) 20か ら 約 aa 250、 約 aa 100か ら 約 aa 250、 約
aa 200か ら 約 aa 250、 約 aa 20か ら 約 aa 100、 約 aa 20か ら 約 aa 200、 約 aa 100か ら 約 aa 2
00、 お よ び 約 aa 100か ら 約 aa 250よ り 誘 導 す る こ と が で き る 。
【0073】
PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド ま た は そ れ ら の 断 片 は 、 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ( 例 え ば イ オ ン 交 換 、
(免疫)アフィニティー、およびサイズ分画カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶
解度の差異、もしくはタンパク質精製のための他の標準的な技術を含む標準方法によって
単離、精製されうる。ポリペプチドおよびそれらの断片の機能的特性は、適切なアッセイ
を用いて、例えば、実施例に記載されるような増殖抑制アッセイによって評価することが
50
(16)
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できる。
【0074】
代 替 方 法 と し て 、 PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド は 、 こ こ に 開 示 し た PMEPA1の 配 列 を 用 い て 、 組 換
え DNA技 術 ま た は 化 学 合 成 法 ( 例 え ば Hunkapillerら (1984) Nature, 310:105-111参 照 ) に
よって生産することができる。
【0075】
PMEPA1タ ン パ ク 質 配 列 は 疎 水 性 解 析 に よ っ て 特 徴 付 け ら れ る ( Hoppら (1981) Proc. Nat
l. Acad. Sci. U.S.A., 78:3824) 。 疎 水 性 プ ロ フ ァ イ ル を 使 用 す る こ と に よ り 、 PMEPA1
タンパク質の疎水性および親水性領域、ならびにこのような領域をコードする遺伝子配列
の対応する領域を同定することができる。
10
【0076】
二 次 お よ び 三 次 構 造 解 析 ( Chouら (1974) Biochemistry, 13:222) を 実 施 し て 、 特 異 的
な 三 次 元 構 造 を と る PMEPA1の 領 域 を 同 定 す る こ と が で き る 。 そ の 他 の 構 造 解 析 法 と し て は
、 X線 結 晶 学 ( Engstom (1974) Biochem. Exp. Biol., 11:7-13) お よ び 開 示 し た ポ リ ペ プ
チ ド の 仮 想 表 示 の コ ン ピ ュ ー タ モ デ リ ン グ ( Fletterickら (1986) Computer Graphics and
Molecular Modeling, in Current Communications in Molecular Biology, Cold Spring
Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY) が 含 ま れ る が 、 こ れ ら に 限 定 さ れ な い 。
【0077】
クローニングおよび発現系
本発明は、上述のような1つ以上の核酸を含む宿主細胞、および本発明の核酸を発現さ
20
せ る こ と を 含 む 本 発 明 の PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド の 生 産 方 法 を 提 供 す る 。 発 現 は 、 核 酸 を 含 む
組 換 え 宿 主 細 胞 を 適 切 な 条 件 下 で 培 養 す る こ と に よ り 達 成 さ れ る 。 発 現 に よ る PMEPA1ポ リ
ペ プ チ ド の 産 生 に 続 い て 、 ポ リ ペ プ チ ド は 任 意 の 適 切 な 技 術 を 用 い て 単 離 お よ び /ま た は
精製される。
【0078】
本 発 明 の PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド お よ び コ ー ド し て い る 核 酸 な ら び に ベ ク タ ー は 、 例 え ば 、
そ れ ら の 天 然 の 環 境 か ら 、 実 質 的 に 純 粋 も し く は 均 一 な 形 で 単 離 お よ び /ま た は 精 製 す る
ことができ、また、核酸の場合には、必要とされる機能を有するポリペプチドをコードす
る配列以外の、由来する核酸もしくは遺伝子を含まないか、または実質的に含まない。
【0079】
30
さまざまな異なる宿主細胞におけるポリペプチドのクローニングおよび発現系は周知で
ある。適切な宿主細胞としては、細菌、哺乳類細胞、および酵母、ならびにバキュロウイ
ルス系が挙げられる。異種ポリペプチドの発現のために当技術分野で利用可能な哺乳類細
胞 株 に は 、 チ ャ イ ニ ー ズ ハ ム ス タ ー 卵 巣 細 胞 、 HeLa細 胞 、 新 生 仔 ハ ム ス タ ー 腎 細 胞 、 NS0
マ ウ ス メ ラ ノ ー マ 細 胞 、 ヒ ト 前 立 腺 癌 細 胞 株 PC3お よ び LNCaP、 そ の 他 の 多 く が 含 ま れ る 。
一 般 的 な 細 菌 宿 主 は 大 腸 菌 で あ る 。 他 の 適 切 な 細 胞 株 に つ い て は 、 Fernandezら (1999) Ge
ne Expression Systems, Academic Pressを 参 照 さ れ た い 。 本 発 明 に 適 合 し う る 細 胞 は ど
れもここに開示したポリペプチドの生産に使用することができる。
【0080】
プロモーター配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列を含
40
む適切な調節配列、マーカー遺伝子および必要に応じて他の配列を含有する、適切な発現
ベクターを選択または構築することができる。ベクターは、必要に応じてプラスミドまた
は、例えばファージもしくはファージミドのようなウイルスでありうる。更なる詳細につ
い て は 、 例 え ば Sambrookら 、 Molecular Cloning: a Laboratory Manual: 第 3 版 、 Cold S
pring Harbor Laboratory Press( www.molecularcloning.com) を 参 照 さ れ た い 。 例 え ば
、 核 酸 構 築 物 の 調 製 、 突 然 変 異 誘 発 、 配 列 決 定 、 細 胞 へ の DNA導 入 お よ び 遺 伝 子 発 現 、 な
ら び に タ ン パ ク 質 の 解 析 等 に お け る 核 酸 の 操 作 の た め の 多 数 の 公 知 技 術 お よ び 方 法 は 、 Cu
rrent Protocols in Molecular Biology, Ausubelら 編 、 John Wiley & Sons, 2003 (www.
wiley.com/cp) に 詳 細 に 記 載 さ れ て い る 。 こ の よ う に し て 、 本 発 明 は 発 現 ベ ク タ ー を 含 有
する宿主細胞を提供し、その発現ベクターはプロモーターまたはエンハンサーなどの調節
50
(17)
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配 列 に 機 能 し う る 形 で 連 結 さ れ た 本 発 明 の PMEPA1核 酸 配 列 を 含 む 。 あ る 実 施 形 態 で は 、 宿
主細胞は真核細胞である。別の実施形態では、宿主細胞は原核細胞である。
【0081】
プロモーターは誘導性または構成的であってよく、状況に応じて組織特異的であっても
よい。前立腺細胞のための組織特異的プロモーターとしては、限定するものではないが、
ラ ッ ト プ ロ バ シ ン ( probasin) お よ び 前 立 腺 ス テ ロ イ ド 結 合 タ ン パ ク 質 を コ ー ド す る 遺 伝
子 の 調 節 エ レ メ ン ト ( Allisonら (1989) Mol. Cell Biol., 9:2254-2257; Greenbergら (19
94) Mol. Endocrinol., 8:230-239) 、 な ら び に ヒ ト 前 立 腺 特 異 的 抗 原 、 前 立 腺 酸 性 ホ ス
フ ァ タ ー ゼ 、 DD3お よ び PCGEM1を コ ー ド す る 遺 伝 子 由 来 の 調 節 エ レ メ ン ト ( Schuurら (1996
) J. Biol. Chem., 271:7043-7051; Zelivianskiら (2002) Oncogene, 21:3696-3705; Bus
10
semakersら (1999) Cancer Res., 59:5975-5979; Srikantanら (2000) Proc. Natl. Acad.
Sci.U.S.A, 97:12216-12221) が 含 ま れ る 。 他 の 組 織 特 異 的 プ ロ モ ー タ ー は 当 技 術 分 野 に
おいて周知である。
【0082】
特 定 の 実 施 形 態 で は 、 PMEPA1核 酸 を 含 む ベ ク タ ー は 、 pEGFP-C1ま た は pEGFP-N1プ ラ ス ミ
ドである。
【0083】
従 っ て 、 更 な る 態 様 は 、 宿 主 細 胞 に PMEPA1核 酸 を 導 入 す る こ と を 含 む 方 法 を 提 供 す る 。
導入にはどのような利用可能な技術を使用してもよい。真核細胞の場合、適切な技術とし
て 、 リ ン 酸 カ ル シ ウ ム ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン 、 DEAE-デ キ ス ト ラ ン 、 エ レ ク ト ロ ポ レ ー シ
20
ョン、リポソームを介したトランスフェクション、およびレトロウイルスもしくは他のウ
イルス(例えば、ワクシニア)を用いたまたは昆虫細胞に対してはバキュロウイルスを用
いた形質導入が挙げられる。細菌細胞の場合の適切な技法としては、塩化カルシウム形質
転換、エレクトロポレーションおよびバクテリオファージを用いたトランスフェクション
が含まれる。
【0084】
導入に続いて、例えば、遺伝子発現のための条件下で宿主細胞を培養することによって
、核酸からの発現を誘導または可能にしうる。
【0085】
ポ リ メ ラ ー ゼ 連 鎖 反 応 ( PCR) も ま た 、 例 え ば 、 上 述 の よ う な 本 発 明 の 核 酸 を 単 離 お よ
30
び増幅するために使用することができる。
【0086】
代替方法として、本発明の所望の核酸またはその断片は、ポリヌクレオチド合成の周知
の技術を用いて化学的に合成することも可能である。
【0087】
抗体
PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド は 免 疫 原 と し て 、 こ の よ う な 免 疫 原 と 特 異 的 に 結 合 す る 抗 体 を 作 製
するために使用される。このような抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、
一 本 鎖 お よ び Fabフ ラ グ メ ン ト を 含 む が 、 こ れ ら に 限 定 さ れ な い 。 特 定 の 実 施 形 態 で は 、
ヒ ト PMEPA1タ ン パ ク 質 に 対 す る 抗 体 が 産 生 さ れ る 。 別 の 実 施 形 態 で は 、 PMEPA1タ ン パ ク 質
40
の ド メ イ ン ( 例 え ば PYモ チ ー フ ) に 対 す る 抗 体 が 産 生 さ れ る 。 特 定 の 実 施 形 態 で は 、 親 水
性 と 同 定 さ れ た PMEPA1タ ン パ ク 質 の 断 片 を 、 抗 体 産 生 の た め の 免 疫 原 と し て 使 用 す る 。
【0088】
PMEPA1タ ン パ ク 質 に 対 す る ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 体 の 産 生 の た め に 、 当 技 術 分 野 で 公 知 の 様
々な方法を使用することができる。特定の実施形態では、配列番号2の配列またはその部
分 配 列 に よ っ て コ ー ド さ れ る PMEPA1タ ン パ ク 質 の エ ピ ト ー プ に 対 す る ウ サ ギ ポ リ ク ロ ー ナ
ル 抗 体 を 得 る こ と が で き る 。 抗 体 産 生 の た め に 、 PMEPA1タ ン パ ク 質 の 注 入 に よ っ て 様 々 な
宿主動物(ウサギ、マウス、ラット等を含むがそれに限定されない)を免疫することがで
きる。免疫応答を高めるために、宿主種に応じて様々なアジュバントを使用することが可
能であり、それらはフロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムのような無機
50
(18)
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ゲル、リゾレシチンのような界面活性物質、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペ
プチド、油性エマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、
な ら び に BCG( bacille Calmette-Guerin) お よ び Corynebacterium parvumな ど の 潜 在 的 に
有用なヒトアジュバントを含むが、これらに限定されない。
【0089】
PMEPA1タ ン パ ク 質 に 対 す る モ ノ ク ロ ナ ー ル 抗 体 を 調 製 す る 場 合 は 、 連 続 継 代 培 養 細 胞 株
に よ る 抗 体 分 子 の 産 生 を 提 供 す る 任 意 の 技 術 が 使 用 さ れ る 。 例 え ば 、 Kohlerら ( 1975) Na
ture, 256:495-497に よ っ て 最 初 に 開 発 さ れ た ハ イ ブ リ ド ー マ 技 術 、 な ら び に ト リ オ ー マ
技 術 、 ヒ ト B細 胞 ハ イ ブ リ ド ー マ 技 術 ( Kozborら ( 1983) Immunology Today、 4:72) 、 お
よ び ヒ ト モ ノ ク ロ ナ ー ル 抗 体 を 産 生 す る た め の EBVハ イ ブ リ ド ー マ 技 術 ( Coleら ( 1985) M
10
onoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96) で あ る 。
本 発 明 に よ れ ば 、 ヒ ト 抗 体 を 使 用 す る こ と が で き 、 ヒ ト ハ イ ブ リ ド ー マ の 使 用 に よ り ( Co
teら 、 ( 1983) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A、 80: 2026-2030) 、 ま た は in vitroで EBV
ウ イ ル ス を 用 い て ヒ ト B細 胞 を 形 質 転 換 す る こ と に よ り ( Coleら ( 1985) Monoclonal Anti
bodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96) 取 得 す る こ と が で き る 。
本 発 明 に よ れ ば 、 PMEPA1に 特 異 的 な マ ウ ス 抗 体 分 子 由 来 の 遺 伝 子 を 、 適 切 な 生 物 学 的 活 性
のヒト抗体分子由来の遺伝子とスプライシングすることによる、キメラ抗体の作製のため
に 開 発 さ れ た 技 術 ( Morrisonら ( 1984) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 81:6851-6855;
Neubergerら ( 1984) Nature 312:604-608; Takedaら (1985) Nature 314:452-454) が 使
用でき、このような抗体は本発明の範囲内である。
20
【0090】
一 本 鎖 抗 体 の 作 製 の た め の 記 載 さ れ た 技 術 ( 米 国 特 許 第 4,946,778号 ) を 用 い て 、 PMEPA
1特 異 的 一 本 鎖 抗 体 を 作 製 す る こ と が で き る 。 本 発 明 の 更 な る 実 施 形 態 で は 、 PMEPA1タ ン
パ ク 質 に 対 し て 所 望 の 特 異 性 を 有 す る モ ノ ク ロ ー ナ ル Fabフ ラ グ メ ン ト の 迅 速 か つ 容 易 な
同 定 を 可 能 に す る た め 、 Fab発 現 ラ イ ブ ラ リ ー の 構 築 の た め の 記 載 さ れ た 技 術 ( Huseら (1
989) Science, 246:1275-1281) を 使 用 す る 。
【0091】
抗体分子のイディオタイプを含む抗体フラグメントは公知の技術によって作製できる。
例 え ば 、 こ の よ う な フ ラ グ メ ン ト に は 、 抗 体 分 子 の ペ プ シ ン 消 化 に よ っ て 生 成 さ れ る F(ab
')2 フ ラ グ メ ン ト 、 F(ab')2 フ ラ グ メ ン ト の ジ ス ル フ ィ ド 架 橋 の 還 元 に よ っ て 生 成 さ れ る Fa
30
b'フ ラ グ メ ン ト 、 抗 体 分 子 を パ パ イ ン お よ び 還 元 剤 で 処 理 す る こ と に よ っ て 生 成 さ れ る Fa
bフ ラ グ メ ン ト 、 な ら び に 一 本 鎖 Fv( scFv) フ ラ グ メ ン ト を 含 む Fvフ ラ グ メ ン ト が 含 ま れ
るが、それらに限定されない。
【0092】
抗 体 の 生 産 に お い て 、 所 望 の 抗 体 の ス ク リ ー ニ ン グ は 、 例 え ば ELISAの よ う な 当 技 術 分
野 に お い て 公 知 の 技 術 に よ っ て 達 成 さ れ 得 る 。 例 え ば 、 PMEPA1タ ン パ ク 質 の 特 定 の ド メ イ
ン を 認 識 す る 抗 体 を 選 択 す る た め に 、 こ の よ う な ド メ イ ン を 含 む PMEPA1断 片 と 結 合 す る 産
物について、作製したハイブリドーマをアッセイすることができる。
【0093】
変異体および類似体
40
PMEPA1に 関 連 し た 機 能 的 に 活 性 の あ る 変 異 体 お よ び 類 似 体 の 生 産 お よ び 使 用 は 、 本 発 明
の 範 囲 内 で あ る 。 こ れ ら の 機 能 的 に 活 性 の あ る 変 異 体 ま た は 類 似 体 は 、 完 全 長 の 野 生 型 PM
EPA1タ ン パ ク 質 に 関 連 し た 1 つ 以 上 の 活 性 を 示 す 能 力 が あ る 。 一 例 と し て 、 望 ま し い 免 疫
原性または抗原性を有するこのような変異体または類似体は、例えば、イムノアッセイに
お い て 、 免 疫 感 作 の た め 、 PMEPA1活 性 の 阻 害 の た め 等 に 使 用 さ れ る 。 望 ま し い 対 象 の PMEP
A1特 性 を 保 持 す る か 、 ま た は 、 欠 如 も し く は 阻 害 す る 変 異 体 ま た は 類 似 体 は そ れ ぞ れ 、 こ
のような特性およびその生理的な相関物の誘導因子またはインヒビターとして使用できる
。 こ れ ら の PMEPA1特 性 に は 、 WWド メ イ ン を 有 す る タ ン パ ク 質 ま た は 他 の PMEPA1結 合 パ ー ト
ナーとの結合、癌細胞増殖の抑制、アンドロゲン受容体発現の抑制、およびアンドロゲン
受容体によって転写が制御される遺伝子発現の調節が含まれるが、これらに限定されない
50
(19)
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。 PMEPA1の 変 異 体 ま た は 類 似 体 は 、 実 施 例 に 記 載 さ れ る ア ッ セ イ を 含 む が そ れ に 限 定 さ れ
ない当技術分野において公知の方法により、所望の活性について試験することができる。
【0094】
一 例 と し て 、 機 能 的 に 同 等 な 分 子 を 提 供 す る 置 換 、 付 加 お よ び /ま た は 欠 失 に よ っ て PME
PA1配 列 を 改 変 す る こ と に よ り 、 PMEPA1変 異 体 を 作 製 で き る 。 PMEPA1遺 伝 子 と 実 質 的 に 同
じ ア ミ ノ 酸 配 列 を コ ー ド す る 配 列 番 号 1 以 外 の DNA配 列 を 、 本 発 明 の 実 施 に お い て 使 用 し
てもよい。これらには、配列内の機能的に同等なアミノ酸残基をコードする異なるコドン
の 置 換 に よ っ て 改 変 さ れ 、 そ れ ゆ え 「 サ イ レ ン ト 」 変 化 を 生 じ る 、 PMEPA1遺 伝 子 の 全 部 ま
たは一部を含むヌクレオチド配列が含まれるが、それに限定されない。同様に、本発明の
PMEPA1変 異 体 に は 、 配 列 内 の 残 基 が 機 能 的 に 同 等 な ア ミ ノ 酸 残 基 で 置 換 さ れ て サ イ レ ン ト
10
変化を生じる改変された配列を含む、配列番号2の全部または一部を含有するものが含ま
れるが、それに限定されない。例えば、配列内の1個以上のアミノ酸残基は、機能的同等
物として作用して、結果として「サイレント」変化を生じる類似の極性の別のアミノ酸に
よって置換できる。配列内のアミノ酸の置換は、そのアミノ酸が属するクラスの他のメン
バーから選択することができる。例えば、非極性アミノ酸には、アラニン、ロイシン、イ
ソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニン
が含まれる。極性中性アミノ酸には、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロ
シン、アスパラギン、およびグルタミンが含まれる。正に荷電した(塩基性)アミノ酸に
は、アルギニン、リジンおよびヒスチジンが含まれる。負に荷電した(酸性)アミノ酸と
しては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれる。
20
【0095】
あ る 実 施 形 態 で は 、 PMEPA1変 異 体 は 、 PMEPA1の 少 な く と も 1 つ の PYモ チ ー フ に 少 な く と
も 1つ の 突 然 変 異 お よ び /ま た は 欠 失 を 有 す る 。 こ れ ら の 変 異 体 は 、 例 え ば 、 低 増 殖 性 疾 患
の治療に使用できる。更に、これらの変異体は、抗体を調製するための免疫原として使用
できる。
【0096】
本 発 明 の PMEPA1変 異 体 お よ び 類 似 体 は 、 遺 伝 子 ま た は mRNAレ ベ ル で 行 わ れ る 様 々 な 操 作
に よ っ て 作 製 で き る 。 例 え ば 、 ク ロ ー ニ ン グ さ れ た PMEPA1遺 伝 子 配 列 は 、 当 技 術 分 野 に お
い て 公 知 の 多 数 の 方 法 の い ず れ か に よ っ て 改 変 す る こ と が で き る ( Maniatis( 1990) , Mo
lecular Cloning, A Laboratory Manual, 第 3 版 、 Cold Spring Harbor Laboratory, Col
30
d Spring Harbor, NY (www.molecularcloning.com)) 。 こ の 配 列 を 制 限 酵 素 に よ り 適 切 な
部 位 で 切 断 し 、 続 い て 更 な る 酵 素 的 修 飾 を 行 い 、 必 要 に 応 じ て 、 単 離 し て in vitroで 連 結
す る こ と が で き る 。 PMEPA1の 変 異 体 ま た は 類 似 体 を コ ー ド す る 遺 伝 子 の 作 製 に お い て は 、
改 変 さ れ た 遺 伝 子 が 確 実 に PMEPA1と 同 じ 翻 訳 読 み 枠 内 に 留 ま り 、 そ し て 所 望 の PMEPA1活 性
がコードされている遺伝子領域で、翻訳終止シグナルによって絶対に中断されないように
、注意を払うべきである。
【0097】
更 に 、 PMEPA1核 酸 に in vitroま た は in vivoに お い て 突 然 変 異 を 起 こ さ せ て 、 翻 訳 、 開
始 お よ び /ま た は 終 止 配 列 を 作 製 お よ び /ま た は 破 壊 し た り 、 あ る い は 、 コ ー ド 領 域 に 変 異
を 導 入 し た り 、 か つ /ま た は 新 し い 制 限 酵 素 部 位 を 形 成 し た り も し く は 既 存 の も の を 除 去
40
したりすることができる。当技術分野において公知のどのような突然変異誘発技術を使用
し て も よ く 、 そ れ ら に は 化 学 的 突 然 変 異 誘 発 、 in vitroで の 部 位 特 異 的 突 然 変 異 誘 発 ( Hu
tchinsonら (1978) J. Biol. Chem., 253:6551) 等 が 含 ま れ る が 、 そ れ ら に 限 定 さ れ な い
。
【0098】
ポ リ ヌ ク レ オ チ ド は 、 一 本 鎖 も し く は 二 本 鎖 の 、 DNAま た は RNAま た は キ メ ラ 混 合 物 、 あ
るいはその変異体もしくは改変体であり得る。オリゴヌクレオチドは、塩基部分、糖部分
、またはリン酸骨格において改変され得る。オリゴヌクレオチドは他の付属的なグループ
を 含 ん で い て も よ く 、 例 え ば 、 ペ プ チ ド 、 ま た は 細 胞 膜 ( 例 え ば Letsingerら (1989) Pro
c. Natl. Acad. Sci. U.S.A, 86:6553-6556; Lemaitreら (1987) Proc. Natl. Acad. Sci
50
(20)
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., 84:648-652; PCT公 開 番 号 WO 88/09810参 照 ) も し く は 血 液 脳 関 門 ( 例 え ば PCT公 開 番 号
WO 89/10134参 照 ) を 横 切 っ て の 輸 送 を 促 進 す る 薬 剤 、 ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン 誘 導 性 切
断 剤 ( 例 え ば Krolら 、 (1988) Bio/Techniques, 6:958-976参 照 ) 、 ま た は イ ン タ ー カ レ ー
ト 剤 ( 例 え ば Zon (1988) Pharm. Res., 5:539-549参 照 ) な ど を 含 み う る 。
【0099】
変異体および類似体のその他の特定の具体例については、他のセクションに記載する。
【0100】
治療上の用途
本発明は、治療用化合物(本明細書では「治療薬」という)の投与による様々な疾患お
よび障害の治療または予防を提供する。「治療薬」としては、限定するものではないが、
10
PMEPA1タ ン パ ク 質 、 PMEPA1タ ン パ ク 質 を コ ー ド す る 核 酸 、 PMEPA1ア ン チ セ ン ス 核 酸 、 PMEP
A1抗 体 、 な ら び に PMEPA1発 現 を 増 加 さ せ う る 化 合 物 を 含 む PMEPA1ア ゴ ニ ス ト お よ び ア ン タ
ゴ ニ ス ト が 挙 げ ら れ る 。 PMEPA1療 法 の 治 療 効 果 は 、 疾 患 お よ び /ま た は 癌 の 進 行 を 測 定 す
るために通常使用されているパラメーターを測定することによりモニタリングすることが
で き る 。 例 え ば 、 前 立 腺 癌 に お け る PMEPA1の 治 療 効 果 は 、 特 に 前 立 腺 の 外 科 手 術 後 に 、 前
立 腺 癌 の 進 行 を モ ニ タ リ ン グ す る た め に 通 常 使 用 さ れ る 前 立 腺 特 異 的 抗 原 ( PSA) の よ う
なアンドロゲン調節性遺伝子の血清レベルを測定することによって判定することができる
。
【0101】
過増殖性障害
20
細 胞 の 過 剰 増 殖 を 伴 う 障 害 は 、 PMEPA1機 能 を 促 進 す る ( 活 性 化 す る ) 治 療 薬 の 投 与 に よ
っ て 治 療 ま た は 予 防 さ れ る 。 細 胞 増 殖 が 欠 損 し て い る か ま た は 望 ま れ る 障 害 は 、 PMEPA1機
能に拮抗する(阻害する)治療薬の投与によって治療または予防される。このことを以下
で詳しく説明する。
【0102】
本発明のこの実施形態によれば、障害の治療に有用な治療薬は、細胞の生存または分化
を促進する生物学的活性を試験することによって選択することができる。例えば、前立腺
癌の治療を含めて、癌治療に関する特定の実施形態では、治療薬は腫瘍細胞の増殖を減少
させる。これらの効果は、実施例に記載されるように、または、当技術分野において標準
的な他の方法を用いて測定される。
30
【0103】
PMEPA1機 能 を 促 進 す る ( す な わ ち 、 増 加 ま た は 供 給 す る ) こ の よ う な 治 療 薬 の 例 と し て
、 限 定 す る も の で は な い が 、 PMEPA1タ ン パ ク 質 ( 機 能 的 に 活 性 の あ る 、 特 に 細 胞 増 殖 の 抑
制 に 活 性 が あ る ( 例 え ば 、 in vitroア ッ セ イ ま た は モ デ ル 動 物 に お い て 実 証 さ れ る ) 変 異
体 、 類 似 体 、 ま た は 断 片 を 含 む ) 、 お よ び PMEPA1タ ン パ ク 質 を コ ー ド す る 核 酸 ( 例 え ば 、
遺 伝 子 治 療 に 使 用 さ れ る ) が 挙 げ ら れ る 。 使 用 可 能 な 他 の 治 療 薬 、 例 え ば PMEPA1ア ゴ ニ ス
ト は 、 in vitroア ッ セ イ ま た は モ デ ル 動 物 を 用 い て 同 定 す る こ と が で き 、 そ れ ら の 例 を 後
述する。
【0104】
特 定 の 実 施 形 態 で は 、 PMEPA1機 能 を 促 進 す る 治 療 薬 は 、 以 下 の 疾 患 ま た は 障 害 に 治 療 上
40
( 予 防 を 含 む ) 投 与 さ れ る 。 す な わ ち 、 ( 1) PMEPA1タ ン パ ク 質 の レ ベ ル ま た は 機 能 の 欠
如 ま た は ( 正 常 も し く は 所 望 の レ ベ ル に 対 し て ) 低 下 を 伴 う 疾 患 ま た は 障 害 、 例 え ば 、 PM
EPA1タ ン パ ク 質 が 欠 乏 し て い る 、 遺 伝 的 欠 陥 が あ る 、 生 物 学 的 に 不 活 性 も し く は 低 活 性 で
あ る 、 ま た は 過 少 発 現 で あ る 疾 患 ま た は 障 害 、 あ る い は ( 2) in vitroま た は in vivoア ッ
セ イ が PMEPA1ア ゴ ニ ス ト 投 与 の 有 用 性 を 示 す 疾 患 ま た は 障 害 で あ る 。 PMEPA1タ ン パ ク 質 の
レベルまたは機能の欠如または低下は、例えば、患者から生体サンプル、例えば組織サン
プ ル ( 例 え ば 生 検 組 織 由 来 ) 、 血 液 サ ン プ ル 、 も し く は 尿 サ ン プ ル を 採 取 し 、 in vitroに
お い て 発 現 さ れ た PMEPA1 mRNAも し く は タ ン パ ク 質 の mRNAま た は タ ン パ ク 質 レ ベ ル 、 構 造
お よ び /ま た は 活 性 に つ い て サ ン プ ル を ア ッ セ イ す る こ と に よ っ て 、 容 易 に 検 出 す る こ と
ができる。当技術分野で標準的な多数の方法を使用することができ、それらには、キナー
50
(21)
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ゼ ア ッ セ イ 、 PMEPA1タ ン パ ク 質 を 検 出 お よ び /ま た は 可 視 化 す る イ ム ノ ア ッ セ イ ( 例 え ば
ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト 、 免 疫 沈 降 と そ れ に 続 く SDS-PAGE、 免 疫 細 胞 化 学 等 ) 、 お よ び /ま た
は 、 PMEPA1 mRNAの 検 出 お よ び /ま た は 可 視 化 に よ っ て PMEPA1発 現 を 検 出 す る ハ イ ブ リ ダ イ
ゼ ー シ ョ ン ア ッ セ イ ( 例 え ば ノ ー ザ ン ア ッ セ イ 、 ド ッ ト ブ ロ ッ ト 、 in situハ イ ブ リ ダ イ
ゼ ー シ ョ ン 、 RT-PCR等 ) が 含 ま れ る が 、 こ れ ら に 限 定 さ れ な い 。
【0105】
治療または予防可能な過剰増殖を伴う疾患および障害としては、限定するものではない
が、悪性疾患、前悪性状態(例えば過形成、異形成、形成異常)、良性腫瘍、過増殖性障
害 、 良 性 異 常 増 殖 障 害 等 が 挙 げ ら れ る 。 PMEPA1機 能 を 促 進 す る 治 療 薬 の 投 与 に よ り 治 療 ま
たは予防が可能な悪性疾患および関連障害には、白血病(急性白血病、急性リンパ性白血
10
病、急性骨髄性白血病、骨髄芽球性、前骨髄性、骨髄単球性、単球性、赤白血病、慢性白
血病、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ性白血病)、真性赤血球増加症、リン
パ腫(ホジキン病を含む)、多発性骨髄腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症、
充実性腫瘍(肉腫および上皮癌、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊
索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ肉腫、リンパ内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング
腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、大腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮細
胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気
管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛膜癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルム腫瘍、子宮
頸癌、子宮癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、
髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫
20
、黒色腫、神経芽腫、および網膜芽腫が含まれるが、これらに限定されない。このような
障 害 の 総 説 に つ い て は 、 Fishmanら (1985) Medicine, 第 2 版 、 J. B. Lippincott Co., PA
を参照されたい。
【0106】
特定の実施形態においては、悪性疾患もしくは異常増殖性変化(異形成および形成異常
など)、または過増殖性障害が前立腺において治療または予防される。
【0107】
PMEPA1活 性 を 促 進 す る 本 発 明 の 治 療 薬 は ま た 、 前 悪 性 状 態 を 治 療 す る た め 、 ま た 、 新 生
物形成もしくは悪性状態(本明細書に記載した障害を含むが、それらに限定されない)へ
の進行を予防するために投与され得る。腫瘍または癌への進行に先行することが知られる
30
または疑われる状態、特に過形成、異形成、とりわけ形成異常から成る非腫瘍性細胞増殖
が起こっている状態において、このような予防または治療上の使用が必要とされる(この
よ う な 異 常 な 増 殖 状 態 の 総 説 に つ い て は 、 Robbinsら (1976) Basic Pathology, 第 2 版 、 W
.B. Saunders Co., PA, pp. 68-79を 参 照 さ れ た い ) 。 過 形 成 は 、 構 造 も し く は 機 能 の 著
しい変化なしに、組織または器官での細胞数の増加を伴う制御された細胞増殖の形である
。例えば、子宮内膜の過形成はしばしば子宮内膜癌に先立って起こる。異形成は、あるタ
イプの成熟または完全に分化した細胞が別のタイプの成熟細胞に置き換わる制御された細
胞増殖の形である。異形成は上皮または結合組織細胞において起こり得る。非定型的な異
形成はやや無秩序に異形成性の上皮を伴う。形成異常はしばしば癌の前兆であり、主に上
皮において見いだされる。それは非腫瘍性細胞増殖の最も無秩序な形であり、個々の細胞
40
の均一性および細胞の構造的配向性の喪失を伴う。形成異常細胞はしばしば異常に大きく
、濃く染色される核を持ち、多形態性を示す。形成異常は慢性的な刺激または炎症が存在
する場所に特徴的に生じ、頚部、気道、口腔、および胆嚢に見られることが多い。
【0108】
過形成、異形成、もしくは形成異常として特徴づけられる異常な細胞増殖の存在の代わ
り に 、 ま た は そ れ に 加 え て 、 患 者 由 来 の 細 胞 サ ン プ ル に よ っ て in vivoも し く は in vitro
で 示 さ れ る 、 変 化 し た 表 現 型 ま た は 悪 性 の 表 現 型 の 1 以 上 の 特 徴 の 存 在 は 、 PMEPA1機 能 を
促 進 す る 治 療 薬 の 予 防 /治 療 上 の 投 与 が 望 ま し い こ と を 示 す 。 こ の よ う な 変 化 し た 表 現 型
の特徴には、形態変化、より緩い基底への接着、接触阻害の喪失、足場依存性の喪失、プ
ロテアーゼ放出、糖輸送の増加、血清要求性の減少、胎児性抗原の発現等が含まれる。
50
(22)
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【0109】
特定の実施形態では、白斑症、上皮の良性の過形成性もしくは形成異常性病変、または
ボーエン病は、予防的介入が望ましいことを示す前腫瘍性病変である。
【0110】
別の実施形態において、線維嚢胞性疾患(嚢胞性過形成、乳腺異形成、特に腺症(良性
上皮過形成))は予防的介入が望ましいことを示す。
【0111】
他の実施形態では、以下の悪性疾患の素因の1つ以上を示す患者が、有効な量の治療薬
の投与によって治療される。すなわち、悪性家族性ポリポーシスまたはガードナー症候群
(大腸癌の可能性のある徴候)に関連する染色体転座、良性単クローン性免疫グロブリン
10
血症(多発性骨髄腫の可能性のある徴候)、および(遺伝子の)メンデル型遺伝形式を示
す癌または前癌性疾患(例えば、家族性大腸ポリポーシス、ガードナー症候群、遺伝性外
骨腫、多腺性内分泌腺腫症、アミロイド産生および褐色細胞腫を伴う甲状腺髄様癌、ポイ
ツ・ジェガース症候群、フォン・レックリングハウゼン神経線維腫症、網膜芽細胞腫、頚
動脈球腫瘍、皮膚悪性黒色腫、眼内悪性黒色腫、色素性乾皮症、毛細血管拡張性運動失調
症、チェディアック・東症候群、白子症、ファンコーニ再生不良性貧血、ならびにブルー
ム 症 候 群 ; Robbinsら (1976) Basic Pathology,第 2 版 、 W.B. Saunders Co., PA, pp. 112
-113等 を 参 照 ) を 持 つ 者 と の 一 親 等 の 親 族 で あ る 。 別 の 特 定 の 実 施 形 態 で は 、 本 発 明 の 治
療薬は、乳癌、大腸癌、肺癌、膵臓癌もしくは子宮癌、または黒色腫もしくは肉腫の進行
を防止するため、ヒト患者に投与される。
20
【0112】
低増殖性障害
細胞増殖の欠陥を伴う疾患および障害、または治療もしくは予防のために細胞増殖が必
要 と さ れ る 疾 患 お よ び 障 害 は 、 PMEPA1機 能 ( 特 に PMEPA1を 介 し た 細 胞 増 殖 の 抑 制 ) に 拮 抗
する(阻害する)治療薬の投与によって、治療または予防される。使用可能な治療薬とし
て は 、 抗 PMEPA1抗 体 ( な ら び に そ の 結 合 領 域 を 含 む フ ラ グ メ ン ト お よ び そ の 変 異 体 ) 、 PM
EPA1に 拮 抗 す る PMEPA1変 異 体 ま た は 類 似 体 ( 少 な く と も 1 つ の PMEPA1 PYモ チ ー フ に 少 な
く と も 1 つ の 突 然 変 異 お よ び /ま た は 欠 失 を 持 つ 変 異 体 を 含 む ) 、 PMEPA1ア ン チ セ ン ス 核
酸 、 な ら び に 、 相 同 組 換 え に よ っ て 内 在 性 の PMEPA1機 能 を ノ ッ ク ア ウ ト す る た め に 使 用 さ
れ る 、 正 常 に 機 能 し な い ( 例 え ば PMEPA1コ ー ド 配 列 内 へ の 異 種 ( 非 PMEPA1配 列 ) 挿 入 に よ
30
る ) PMEPA1核 酸 ( 例 え ば Capecchi (1989) Science, 244:1288-1292参 照 ) が 含 ま れ る が 、
これらに限定されない。
【0113】
特 定 の 実 施 形 態 で は 、 PMEPA1遺 伝 子 の 一 部 を 含 む 核 酸 ( PMEPA1配 列 が 異 な る 遺 伝 子 と 隣
接 す る ) は 、 相 同 組 換 え に よ る PMEPA1不 活 性 化 を 促 進 す る PMEPA1ア ン タ ゴ ニ ス ト と し て 使
用 さ れ る ( Kollerら (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 86:8932-8935; Zijlstraら
(1989) Nature, 342:435-438も 参 照 ) 。 PMEPA1機 能 を 阻 害 す る 他 の 治 療 薬 は 、 例 え ば 、 PM
EPA1の 別 の タ ン パ ク 質 ( 例 え ば WWド メ イ ン を 有 す る タ ン パ ク 質 ) へ の 結 合 を 阻 害 す る 能 力
、 ま た は 、 in vitroで ア ッ セ イ さ れ る よ う な 既 知 の PMEPA1機 能 を 阻 害 す る 能 力 に 基 づ い た
、 公 知 の 簡 便 な in vitroア ッ セ イ の 使 用 に よ っ て 同 定 す る こ と が で き る が 、 ( 例 え ば シ ョ
40
ウ ジ ョ ウ バ エ に お け る ) 遺 伝 学 的 ア ッ セ イ を 使 用 し て も よ い 。 適 切 な in vitroま た は in v
ivoア ッ セ イ を 利 用 し て 、 特 定 の 治 療 薬 の 効 果 お よ び そ の 投 与 が 罹 患 し た 組 織 の 治 療 に 必
要とされるかどうかを決定することができる。
【0114】
特 定 の 実 施 形 態 で は 、 PMEPA1機 能 を 阻 害 す る 治 療 薬 は 、 以 下 の 疾 患 ま た は 障 害 に 治 療 上
( 予 防 を 含 む ) 投 与 さ れ る 。 す な わ ち 、 ( 1) PMEPA1タ ン パ ク 質 ま た は 機 能 の レ ベ ル の 増
加 を 伴 う 疾 患 ま た は 障 害 、 例 え ば 、 PMEPA1タ ン パ ク 質 が 過 剰 活 性 で あ る か ま た は 過 剰 発 現
さ れ る よ う な 疾 患 ま た は 障 害 、 あ る い は ( 2) in vitroま た は in vivoア ッ セ イ が PMEPA1ア
ン タ ゴ ニ ス ト 投 与 の 有 用 性 を 示 す 疾 患 ま た は 障 害 で あ る 。 PMEPA1タ ン パ ク 質 ま た は 機 能 の
レ ベ ル の 増 加 は 、 例 え ば 、 タ ン パ ク 質 お よ び /ま た は mRNAを 定 量 す る こ と に よ っ て 、 患 者
50
(23)
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の 組 織 サ ン プ ル ( 例 え ば 生 検 組 織 由 来 ) を 採 取 し て 、 in vitroに お い て 発 現 さ れ た PMEPA1
mRNAも し く は タ ン パ ク 質 の mRNAま た は タ ン パ ク 質 レ ベ ル 、 構 造 お よ び /ま た は 活 性 に つ い
て該サンプルをアッセイすることによって、容易に検出できる。当技術分野において標準
的 な 多 数 の 方 法 を 使 用 す る こ と が で き 、 そ れ ら に は 、 キ ナ ー ゼ ア ッ セ イ 、 PMEPA1タ ン パ ク
質 を 検 出 お よ び /ま た は 可 視 化 す る イ ム ノ ア ッ セ イ ( 例 え ば ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト 、 免 疫 沈
降 と そ れ に 続 く SDS-PAGE、 免 疫 細 胞 化 学 等 ) 、 お よ び /ま た は 、 PMEPA1 mRNAの 検 出 お よ び
/ま た は 可 視 化 に よ っ て PMEPA1発 現 を 検 出 す る ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン ア ッ セ イ ( 例 え ば
ノ ー ザ ン ア ッ セ イ 、 ド ッ ト ブ ロ ッ ト 、 in situハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン 等 ) が 含 ま れ る が
、これらに限定されない。
【0115】
10
細胞増殖の欠損を伴う疾患および障害、または治療もしくは予防のために細胞増殖が望
ま し く 、 PMEPA1機 能 の 阻 害 に よ っ て 治 療 も し く は 予 防 さ れ 得 る 疾 患 お よ び 障 害 と し て は 、
変性疾患、発育不全、低増殖性障害、身体外傷、病変、創傷が挙げられるが、これらに限
定 さ れ な い 。 例 え ば 、 PMEPA1拮 抗 作 用 を 利 用 し て 、 創 傷 治 癒 ま た は 病 変 も し く 損 傷 等 の 再
生を促進することができる。
【0116】
本発明に従って治療される病変には、以下の病変が含まれるが、これらに限定されない
。 す な わ ち 、 ( i) 身 体 的 損 傷 に 起 因 す る ま た は 外 科 手 術 に 関 連 し た 病 変 を 含 む 外 傷 性 病
変 、 ( ii) 酸 素 不 足 が 細 胞 の 損 傷 ま た は 死 を 引 き 起 こ す 、 例 え ば 、 心 筋 も し く は 脳 の 梗 塞
ま た は 虚 血 、 あ る い は 脊 髄 の 梗 塞 ま た は 虚 血 の よ う な 、 虚 血 性 の 病 変 、 ( iii) 細 胞 が 悪
20
性 組 織 に よ っ て 破 壊 ま た は 傷 害 さ れ る 、 悪 性 病 変 、 ( iv) 感 染 の 結 果 と し て 、 例 え ば 、 膿
瘍によって、あるいはヒト免疫不全ウイルス、帯状疱疹ウイルス、もしくは単純ヘルペス
ウイルスによる感染に関連して、またはライム病、結核もしくは梅毒に関連して、組織が
破 壊 ま た は 傷 害 さ れ る 、 感 染 性 の 病 変 、 ( v) パ ー キ ン ソ ン 病 、 ア ル ツ ハ イ マ ー 病 、 ハ ン
チントン舞踏病または筋萎縮性側索硬化症に関連した神経系の変性を含むがそれに限定さ
れ な い 、 変 性 過 程 の 結 果 と し て 組 織 が 破 壊 ま た は 傷 害 さ れ る 、 変 性 病 変 、 ( vi) ビ タ ミ ン
B12欠 乏 、 葉 酸 欠 乏 、 ウ ェ ル ニ ッ ケ 病 、 タ バ コ ・ ア ル コ ー ル 性 弱 視 、 マ ー キ ア フ ァ ー バ ・
ビグナミ病(脳梁の一次変性)およびアルコール依存性小脳変性を含むがこれらに限定さ
れない、栄養障害もしくは代謝障害により組織が破壊または傷害される、栄養上の疾患ま
た は 障 害 に 関 連 し た 病 変 、 ( vii) 糖 尿 病 ま た は 全 身 性 エ リ テ マ ト ー デ ス を 含 む が こ れ ら
30
に 限 定 さ れ な い 、 全 身 性 疾 患 に 関 連 し た 病 変 、 ( viii) ア ル コ ー ル 、 鉛 、 ま た は 他 の 毒 素
を 含 む 有 毒 物 質 に 起 因 す る 病 変 、 な ら び に ( ix) 多 発 性 硬 化 症 、 ヒ ト 免 疫 不 全 ウ イ ル ス 関
連脊髄症、横断性脊髄症、進行性多病巣性白質脳障害、および橋中央ミエリン溶解を含む
がこれらに限定されない脱髄疾患により神経系の一部が破壊または傷害される、神経系の
脱髄病変である。
【0117】
あ る 実 施 形 態 で は 、 PMEPA1ア ン チ セ ン ス 核 酸 の 使 用 に よ っ て PMEPA1機 能 が 阻 害 さ れ る 。
本 発 明 は 、 本 明 細 書 に 記 載 さ れ た 任 意 の PMEPA1ヌ ク レ オ チ ド に 対 し て ア ン チ セ ン ス の 、 少
な く と も 約 10、 15、 100、 200、 500、 600、 700、 ま た は 750個 連 続 し た ヌ ク レ オ チ ド か ら な
る 核 酸 の 治 療 上 ま た は 予 防 上 の 使 用 を 提 供 す る 。 特 定 の 実 施 形 態 で は 、 PMEPA1ア ン チ セ ン
40
ス 核 酸 は 、 配 列 番 号 1 に 対 し て ア ン チ セ ン ス 方 向 の 、 少 な く と も 約 10、 15、 100、 200、 50
0、 600、 700、 ま た は 750個 連 続 し た ヌ ク レ オ チ ド を 含 む 。 本 明 細 書 に お い て 用 い る 場 合 、
PMEPA1「 ア ン チ セ ン ス 」 核 酸 と は 、 い く ら か の 配 列 相 補 性 に よ っ て PMEPA1 RNA( 好 ま し く
は mRNA) の 一 部 に ハ イ ブ リ ダ イ ス で き る 核 酸 を 指 す 。 ア ン チ セ ン ス 核 酸 は PMEPA1 mRNAの
コ ー ド 領 域 お よ び /ま た は 非 コ ー ド 領 域 に 相 補 的 で あ り う る 。 こ の よ う な ア ン チ セ ン ス 核
酸 は PMEPA1機 能 を 阻 害 す る 治 療 薬 と し て の 有 用 性 を 持 ち 、 本 明 細 書 に 記 載 さ れ る よ う な 障
害の治療または予防に使用できる。
【0118】
本 発 明 の ア ン チ セ ン ス 核 酸 は 、 一 本 鎖 も し く は 二 本 鎖 の RNAま た は DNA、 あ る い は そ の 改
変体または変異体であるオリゴヌクレオチドであってよく、これらは細胞に直接投与する
50
(24)
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こともできるし、体外から導入されたコード配列の転写によって細胞内で産生させること
もできる。
【0119】
遺伝子治療
特 定 の 実 施 形 態 で は 、 PMEPA1タ ン パ ク 質 を コ ー ド す る 配 列 を 含 む 核 酸 は 、 遺 伝 子 治 療 に
よ っ て PMEPA1機 能 を 促 進 す る た め に 投 与 さ れ る 。 遺 伝 子 治 療 は 、 被 験 者 へ の 核 酸 の 投 与 に
よって行われる治療を指す。本発明のこの実施形態では、核酸はそれがコードするタンパ
ク 質 を 産 生 し 、 該 タ ン パ ク 質 が PMEPA1機 能 を 促 進 さ せ る こ と に よ っ て 治 療 効 果 を 媒 介 す る
。
【0120】
10
当技術分野において利用可能な遺伝子治療法はどれも、本発明に従って使用され得る。
典型的な方法を以下に記載する。
【0121】
特 定 の プ ロ ト コ ル に つ い て は 、 Morgan (2001) Gene Therapy Protocols, 第 2 版 、 Huma
na Pressを 参 照 さ れ た い 。 遺 伝 子 治 療 法 の 一 般 的 な 総 説 に つ い て は 、 Goldspielら (1993)
Clinical Pharmacy, 12:488-505; Wuら (1991) Biotherapy, 3:87-95; Tolstoshev (1993)
Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol., 32:573-596; Mulligan (1993) Science, 260:926-932
;お よ び Morganら (1993) Ann. Rev. Biochem., 62:191-217; May (1993) TIBTECH, 11(5):
155-215) を 参 照 さ れ た い 。 当 技 術 分 野 に お い て 一 般 的 に 知 ら れ て い る 使 用 可 能 な 組 換 え D
NA技 法 は 、 Current Protocols in Molecular Biology, Ausubelら 編 、 John Wiley & Sons
20
2003 (www.wiley.com/cp), NY;お よ び Kriegler (1990) Gene Transfer and Expression,
A Laboratory Manual, Stockton Press, NYに 記 載 さ れ る 。
【0122】
あ る 実 施 形 態 で は 、 治 療 薬 は PMEPA1核 酸 を 含 み 、 こ の 核 酸 は 適 切 な 宿 主 に お い て PMEPA1
タンパク質、またはその断片もしくはキメラタンパク質を発現する発現ベクターの一部で
あ る 。 特 に 、 こ の よ う な 核 酸 は 、 PMEPA1コ ー ド 領 域 に 機 能 し う る 形 で 連 結 さ れ た プ ロ モ ー
ターなどの調節配列を持ち、該プロモーターは誘導性または構成的、状況に応じては組織
特 異 的 で あ る 。 別 の 特 定 の 実 施 形 態 で は 、 PMEPA1コ ー ド 配 列 お よ び 他 の 任 意 の 望 ま し い 配
列が、ゲノム内の望ましい部位での相同組換えを促進する領域によって挟まれており、こ
れ に よ り 、 PMEPA1核 酸 の 染 色 体 内 発 現 を も た ら す 核 酸 分 子 が 用 い ら れ る ( Kollerら (1989)
30
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 86:8932-8935; Zijlstraら (1989) Nature, 342:435-4
38) 。
【0123】
特定の実施形態では、遺伝子治療のために導入される核酸は、核酸の発現が適切な転写
の誘導因子によって制御可能となるように、コード領域に機能しうる形で連結された誘導
性プロモーターを含む。
【0124】
患者への核酸の送達は、直接的であってよく(その場合は、患者を直接核酸もしくは核
酸 担 持 ベ ク タ ー に 曝 露 す る ) 、 ま た は 間 接 的 で あ っ て も よ い ( そ の 場 合 は 、 ま ず in vitro
で 細 胞 を 核 酸 に よ り 形 質 転 換 し 、 そ の 後 細 胞 を 患 者 に 移 す ) 。 こ れ ら の 2つ の ア プ ロ ー チ
40
は 、 そ れ ぞ れ 、 in vivoま た は ex vivo遺 伝 子 治 療 と し て 知 ら れ て い る 。
【0125】
特 定 の 実 施 形 態 で は 、 核 酸 が in vivoで 直 接 投 与 さ れ 、 そ こ で 発 現 さ れ て コ ー ド す る 産
物を産生する。これは、当技術分野において公知の以下のような多数の方法によって行う
ことができる。例えば、核酸を適切な核酸発現ベクターの一部として構築し、それが細胞
内に入るようにそれを投与する。例えば、欠損もしくは弱毒化レトロウイルスまたは他ウ
イ ル ス の ベ ク タ ー を 用 い た 感 染 に よ り ( 米 国 特 許 第 4,980,286号 参 照 ) 、 ま た は 裸 の DNAの
直 接 注 入 に よ り 、 ま た は 微 粒 子 衝 撃 ( 例 え ば 遺 伝 子 銃 ; Biolistic, DuPont) 、 ま た は 脂
質または細胞表面受容体またはトランスフェクション剤による被覆、リポソーム、微粒子
、もしくはマイクロカプセル内への封入の使用により、または核に入ることが知られてい
50
(25)
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るペプチドに連結してそれを投与することにより、受容体を介したエンドサイトーシスを
受 け る リ ガ ン ド に 連 結 し て に そ れ を 投 与 す る こ と に よ り ( 例 え ば Wuら (1987) J. Biol. Ch
em., 262:4429-4432参 照 ) 達 成 さ れ 得 る 。 別 の 実 施 形 態 で は 、 リ ガ ン ド が エ ン ド ソ ー ム を
妨害する細胞融合誘導性ウイルスペプチドを含み、核酸がリソソーム分解を回避すること
を 可 能 す る 、 核 酸 -リ ガ ン ド 複 合 体 を 形 成 す る こ と が で き る 。 更 に 別 の 実 施 形 態 で は 、 核
酸は、特定の受容体を標的とすることによって、細胞特異的な取込みおよび発現のために
in vivoで タ ー ゲ ッ テ ィ ン グ さ れ 得 る ( 例 え ば PCT公 開 WO 92/06180; WO 92/22635; WO92/2
0316; WO93/14188; WO 93/20221参 照 ) 。 代 替 方 法 と し て 、 核 酸 を 細 胞 内 に 導 入 し て 、 相
同 組 換 え に よ り 発 現 の た め に 宿 主 細 胞 DNA内 に 組 み 込 む こ と が で き る ( Kollerら ( 1989) P
roc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 86:8932-8935; Zijlstraら ( 1989) Nature, 342:435-43
10
8) 。
【0126】
特 定 の 実 施 形 態 で は 、 PMEPA1核 酸 を 含 む ウ イ ル ス ベ ク タ ー が 使 用 さ れ る 。 例 え ば 、 レ ト
ロ ウ イ ル ス ベ ク タ ー を 使 用 で き る ( Millerら (1993) Meth. Enzymol., 217:581-599参 照 )
。このレトロウイルスベクターは改変され、ウイルスゲノムのパッケージングおよび宿主
細 胞 DNAへ の 組 込 み の た め に 必 要 で な い レ ト ロ ウ イ ル ス 配 列 が 欠 失 さ れ て い る 。 遺 伝 子 治
療 に 使 用 さ れ る PMEPA1核 酸 は 、 患 者 へ の 遺 伝 子 の 送 達 を 促 進 す る ベ ク タ ー に ク ロ ー ニ ン グ
さ れ る 。 レ ト ロ ウ イ ル ス ベ ク タ ー に つ い て の よ り 詳 細 な 記 述 は 、 Boesenら (1994) Biother
apy, 6:291-302に 見 い だ す こ と が で き 、 そ れ は 造 血 幹 細 胞 の 化 学 療 法 に 対 す る 耐 性 を よ り
高 め る た め に 、 MDRL遺 伝 子 を 造 血 幹 細 胞 に 送 達 す る た め の レ ト ロ ウ イ ル ス ベ ク タ ー の 使 用
20
を記載している。遺伝子治療におけるレトロウイルスベクターの使用を説明する他の参照
文 献 は 、 Clowesら (1994) J. Clin. Invest., 93:644-651; Kiemら (1994) Blood, 83:1467
-1473; Salmonsら (1993) Hum. Gene Ther., 4:129-141; お よ び Grossmanら (1993) Curr.
Opin. Gen. Devel., 3:110-114で あ る 。
【0127】
アデノウイルスは遺伝子治療に使用され得る他のウイルスベクターである。アデノウイ
ルスは、遺伝子を呼吸上皮に送達するために特に魅力的な運搬体である。アデノウイルス
は、天然で呼吸上皮に感染し、そこでそれらは軽い疾患を引き起こす。アデノウイルスに
基づく送達システムの他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮細胞および筋肉である。アデ
ノ ウ イ ル ス は 非 分 裂 細 胞 に 感 染 す る 能 力 が あ る と い う 利 点 を 有 す る 。 Kozarskyら ( 1993,
30
Curr. Opin. Gen. Devel., 3:499-503) は 、 ア デ ノ ウ イ ル ス に 基 づ く 遺 伝 子 治 療 の 総 説 を
提 示 し て い る 。 Boutら ( 1994, Hum. Gene Ther., 5:3-10) は 、 ア カ ゲ ザ ル の 呼 吸 上 皮 に
遺伝子を導入するためのアデノウイルスベクターの使用を実証した。遺伝子治療における
ア デ ノ ウ イ ル ス の 使 用 の 他 の 事 例 は 、 Rosenfeldら (1991) Science, 252:431-434; Rosenf
eldら (1992) Cell, 68:143-155お よ び Mastrangeliら (1993) J. Clin. Invest., 91:225-2
34に 見 い だ す こ と が で き る 。
【0128】
ア デ ノ 随 伴 ウ イ ル ス ( AAV) も ま た 、 遺 伝 子 治 療 に お け る 使 用 の た め に 提 案 さ れ て い る
( Walshら (1993) Proc. Soc. Exp. Biol. Med., 204:289-300) 。
【0129】
40
遺伝子治療に対する別のアプローチは、エレクトロポレーション、リポフェクション、
リン酸カルシウムを介したトランスフェクション、またはウイルス感染などの方法による
組織培養細胞への遺伝子の導入を含む。通常、導入方法は、細胞への選択マーカーの導入
を含む。細胞はその後選択条件下に置かれ、導入された遺伝子を取り込んで発現している
細胞を単離する。それらの細胞はその後患者に送達される。
【0130】
こ の 実 施 形 態 で は 、 核 酸 を 細 胞 内 に 導 入 し て か ら 、 得 ら れ た 組 換 え 細 胞 を in vivo投 与
する。このような導入は、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロイ
ンジェクション、核酸配列を含むウイルスまたはバクテリオファージベクターによる感染
、細胞融合、染色体を介した遺伝子導入、マイクロセルを介した遺伝子導入、スフェロプ
50
(26)
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ラスト融合等を含むがこれらに限定されない当技術分野において公知の方法によって実施
することができる。細胞への外来遺伝子の導入のために、多数の技術が当技術分野におい
て 知 ら れ て お り ( 例 え ば Loefflerら (1993) Meth. Enzymol., 217:599-618; Cohenら (199
3) Meth. Enzymol., 217:618-644; Cline (1985) Pharmac. Ther., 29:69-92参 照 ) 、 受
容細胞の必要な発生および生理的機能が妨げられないかぎり、本発明に従って使用されう
る。核酸が細胞によって発現可能であり、好ましくはその細胞の子孫によって遺伝され且
つ発現されるように、その技術は細胞への核酸の安定した導入を提供すべきである。
【0131】
得られた組換え細胞は、当技術分野において公知の様々な方法によって、患者に送達す
ることができる。ある好ましい実施形態では、上皮細胞は例えば皮下に注入される。別の
10
実施形態では、組換え皮膚細胞は、患者への皮膚移植片として適用される。組換え血液細
胞(例えば造血幹細胞または前駆細胞)は静脈内に投与される。使用のために想定される
細胞の量は、所望の効果、患者の状態等に左右され、当業者によって決定され得る。
【0132】
遺伝子治療のために核酸が導入される細胞は、どのような所望の、利用可能な細胞型で
あ っ て も よ く 、 上 皮 細 胞 、 内 皮 細 胞 、 角 化 細 胞 、 線 維 芽 細 胞 、 筋 細 胞 、 肝 細 胞 、 Tリ ン パ
球 、 Bリ ン パ 球 、 単 球 、 マ ク ロ フ ァ ー ジ 、 好 中 球 、 好 酸 球 、 巨 核 球 、 顆 粒 球 ; 様 々 な 幹 細
胞または前駆細胞、特に、例えば骨髄、臍帯血、末梢血、胎児の肝臓等から得られるよう
な造血幹細胞もしくは前駆細胞を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、
遺伝子治療に使用される細胞は、患者の自己由来細胞である。
20
【0133】
あ る 実 施 形 態 で は 、 PMEPA1核 酸 が 細 胞 ま た は そ れ ら の 子 孫 に よ っ て 発 現 可 能 と な る よ う
に 細 胞 に 導 入 さ れ 、 そ の 後 組 換 え 細 胞 が 治 療 効 果 の た め に in vivo投 与 さ れ る 。 特 定 の 実
施 形 態 で は 、 幹 細 胞 ま た は 前 駆 細 胞 が 使 用 さ れ る 。 単 離 で き 、 且 つ in vitroで 維 持 で き る
幹 細 胞 お よ び /ま た は 前 駆 細 胞 は ど れ も 、 本 発 明 の こ の 実 施 形 態 に 従 っ て 使 用 で き る 可 能
性 が あ る 。 こ の よ う な 幹 細 胞 に は 、 造 血 幹 細 胞 ( HSC) 、 皮 膚 お よ び 消 化 管 の 内 層 な ど の
上 皮 組 織 の 幹 細 胞 、 胚 性 心 筋 細 胞 、 肝 幹 細 胞 ( PCT公 開 WO 94/08598) お よ び 神 経 幹 細 胞 (
Stempleら (1992) Cell, 71:973-985) が 含 ま れ る が 、 こ れ ら に 限 定 さ れ な い 。
【0134】
上 皮 幹 細 胞 ( ESC) ま た は 角 化 細 胞 は 、 公 知 の 方 法 に よ っ て 、 皮 膚 お よ び 消 化 管 の 内 層
30
な ど の 組 織 か ら 得 ら れ る ( Rheinwald (1980) Meth. Cell Bio., 21A:229) 。 皮 膚 の よ う
な層状の上皮組織では、更新は、基底膜に最も近い層である胚層内での幹細胞の有糸分裂
によって起こる。消化管の内層中の幹細胞は、この組織の迅速な更新速度をもたらす。患
者 も し く は ド ナ ー の 皮 膚 ま た は 消 化 管 の 内 層 か ら 得 ら れ る ESCま た は 角 化 細 胞 を 組 織 培 養
で 増 殖 さ せ る こ と が で き る ( Rheinwald (1980) Meth. Cell Bio., 21A:229; Pittelkowら
(1986) Mayo Clinic. Proc., 61:771) 。 ESCが ド ナ ー に よ っ て 提 供 さ れ る 場 合 は 、 宿 主 対
移植片反応性を抑制する方法(例えば、適度な免疫抑制を促進するための照射、薬剤また
は抗体の投与)も使用され得る。
【0135】
造 血 幹 細 胞 ( HSC) に 関 し て 、 HSCの 単 離 、 増 殖 お よ び in vitroで の 維 持 を 提 供 す る あ ら
40
ゆる技術を、本発明のこの実施形態において使用することができる。これを達成しうる技
術 は 、 ( a) 将 来 の 宿 主 も し く は ド ナ ー か ら 分 離 し た 骨 髄 細 胞 由 来 の HSC培 養 物 の 単 離 お よ
び 樹 立 、 ま た は 、 ( b) 同 種 も し く は 異 種 で あ り う る 、 以 前 に 樹 立 さ れ た 長 期 HSC培 養 物 の
使 用 を 含 む 。 非 自 己 由 来 HSCは 、 将 来 の 宿 主 /患 者 の 移 植 免 疫 反 応 を 抑 制 す る 方 法 と 共 に 使
用しうる。特定の実施形態では、ヒト骨髄細胞を、針吸引によって後腸骨稜から採取でき
る ( 例 え ば Kodoら (1984) J. Clin. Invest., 73:1377-1384参 照 ) 。 あ る 実 施 形 態 で は 、 H
SCを 高 度 に 富 化 し 、 単 離 し 、 ま た は 実 質 的 に 純 粋 な 形 に し て も よ い 。 こ の 富 化 は 、 長 期 培
養の前、間、または後に、当技術分野において公知の技術により行うことができる。骨髄
細 胞 の 長 期 培 養 物 は 、 例 え ば 、 改 変 し た Dexter細 胞 培 養 法 ( Dexterら (1977) J. Cell Phy
siol., 91:335) ま た は Witlock-Witte培 養 法 ( Witlockら (1982) Proc. Natl. Acad. Sci.
50
(27)
JP 2006-508031 A 2006.3.9
U.S.A., 79:3608-3612) を 用 い て 樹 立 し 、 維 持 す る こ と が で き る 。
【0136】
医薬組成物および投与
本 発 明 は 更 に 、 下 記 の よ う に 、 製 薬 上 許 容 さ れ る 担 体 中 に 有 効 な 量 の PMEPA1治 療 薬 ( 本
発 明 の PMEPA1核 酸 ま た は PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド を 含 む ) を 含 有 す る 医 薬 組 成 物 を 提 供 す る 。
【0137】
本明細書においては、製薬上許容される希釈剤、担体、または賦形剤などの他の成分と
組み合わせた、有効な量の本発明のポリペプチドを含む組成物が提供される。ポリペプチ
ドは製薬上有用な組成物を調製するために用いられる公知の方法に従って製剤化すること
ができる。それらは、単一の活性物質として、または、特定の適応症に適した他の公知の
10
活 性 物 質 と 共 に 、 製 薬 上 許 容 さ れ る 希 釈 剤 ( 例 え ば 、 生 理 食 塩 水 、 Tris-HCl、 酢 酸 緩 衝 液
およびリン酸緩衝液)、防腐剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン
) 、 乳 化 剤 、 可 溶 化 剤 、 ア ジ ュ バ ン ト お よ び /ま た は 担 体 と 混 合 し て 組 み 合 わ さ れ る 。 医
薬 組 成 物 に 適 す る 製 剤 に は 、 Remington's Pharmaceutical Sciences, 第 16版 、 Mack Publ
ishing Company, Easton, PA, 1980に 記 載 さ れ る も の が 含 ま れ る 。
【0138】
更 に 、 こ の よ う な 組 成 物 は 、 ポ リ エ チ レ ン グ リ コ ー ル ( PEG) 、 金 属 イ オ ン と 複 合 体 化
したり、ポリ酢酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲル、デキストラン等のような高分子化合
物に組み込んだり、リポソーム、マイクロエマルジョン、ミセル、単層リポソームもしく
は多重膜リポソーム、赤血球ゴースト、またはスフェロブラストに組み込んだりすること
20
が で き る 。 こ の よ う な 組 成 物 は 、 物 理 的 状 態 、 溶 解 度 、 安 定 性 、 in vivoで の 放 出 速 度 、
お よ び in vivoで の ク リ ア ラ ン ス 速 度 に 影 響 を 与 え 、 従 っ て 、 意 図 し た 用 途 に 応 じ て 選 択
される。
【0139】
本発明の組成物は、任意の適切な方法、例えば、注入またはボーラス注射によって、上
皮または皮膚粘膜層(例えば口腔粘膜、直腸および腸粘膜等)からの吸収によって投与す
ることができ、また、他の生物学的活性薬剤と共に投与してもよい。導入方法としては、
皮内、筋内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外および経口経路が挙げられるが、こ
れらに限定されない。投与は全身的または局所的であり得る。更に、本発明の医薬組成物
を、脳室内およびくも膜下内への注入を含む適切な経路により、中枢神経系に導入するこ
30
と が 望 ま し い こ と が あ り 、 脳 室 内 注 入 は 、 例 え ば 、 Ommayaリ ザ ー バ ー の よ う な リ ザ ー バ ー
に取り付けた脳室内カテーテルにより円滑に行われる。また、肺投与も、例えば、吸入器
または噴霧器の使用およびエアロゾル化剤を用いた製剤化により、採用することができる
。
【0140】
特定の実施形態では、本発明の医薬組成物を治療の必要な部位に局所的に投与すること
が望ましい場合があり、これは、例えば、手術中の局所注入、局所塗布(例えば手術後の
創傷包帯と併用)によって、注射によって、カテーテル、座薬、インプラント(ここで該
インプラントは、シラスティック膜などの膜または繊維を含めて、多孔性、非多孔性、ま
たはゼラチン様の材料のものである)を用いて、達成されうる。ある実施形態では、投与
40
は、悪性腫瘍または新生物または前新生物組織の部位(または前の部位)への直接注入に
より行ってもよい。また、インプラントからの持続放出も考えられる。
当業者であれば、適切な用量が、治療すべき障害の性質、患者の体重、年齢および全身
状態などの要因、ならびに投与経路に応じて変化することを認識するであろう。予備用量
を動物実験によって決定でき、ヒトへの投与量の見積りは当業界の慣例に従って行われる
。
【0141】
生理的に許容される製剤中に本発明の核酸を含む組成物(例えば、遺伝子治療に使用す
るためのもの)もまた考えられる。
【0142】
50
(28)
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様々な送達システムが当技術分野で知られており、本発明の治療薬を投与するために使
用することができる。例として、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル内への封入、治
療 薬 を 発 現 す る こ と が で き る 組 換 え 細 胞 、 受 容 体 を 介 し た エ ン ド サ イ ト ー シ ス ( 例 え ば Wu
ら (1987) J. Biol. Chem., 262:4429-4432参 照 ) 、 お よ び 、 レ ト ロ ウ イ ル ス ま た は 他 の ベ
クターの一部としての治療用核酸の構築が含まれるが、これらに限定されない。
【0143】
別の実施形態では、治療薬は制御放出システムで送達することができる。ある実施形態
で は 、 ポ ン プ が 使 用 さ れ る ( Langer、 上 述 ; Sefton (1987) CRC Crit. Ref. Biomed. Eng
., 14:201; Buchwaldら (1980) Surgery, 88:507; Saudekら (1989) New Engl. J. Med., 3
21:574参 照 ) 。 別 の 実 施 形 態 で は 、 高 分 子 材 料 が 使 用 さ れ る ( Medical Applications of
10
Controlled Release, Langerら 編 、 CRC Pres., Boca Raton, FL, 1974; Controlled Drug
Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolenら 編 、 Wiley, New Yo
rk, 1984; Rangerら (1983) J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem., 23:61を 参 照 、 ま
た 、 Levyら (1985) Science, 228:190; Duringら (1989) Ann. Neurol., 25:351; Howardら
(1989) J. Neurosurg., 71:105を 参 照 ) 。 更 に 別 の 実 施 形 態 で は 、 制 御 放 出 シ ス テ ム を 脳
な ど の 治 療 標 的 の 近 傍 に 設 置 で き 、 従 っ て 、 全 身 用 量 の 一 部 の み を 必 要 と す る ( 例 え ば Me
dical Applications of Controlled Release, 上 述 、 第 2 巻 pp. 115-138の Goodson (1984
)を 参 照 ) 。 他 の 制 御 放 出 シ ス テ ム は Langer( 1990, Science, 249:1527-1533) に よ る 総
説で議論される。
【0144】
20
診断
PMEPA1タ ン パ ク 質 お よ び PMEPA1核 酸 ( な ら び に そ れ ら の 相 補 お よ び 相 同 配 列 ) な ら び に
そ れ に 対 す る 抗 体 ( 抗 PMEPA1抗 体 を 含 む ) は 、 診 断 に 利 用 さ れ る 。 こ の よ う な 分 子 は 、 PM
EPA1発 現 に 影 響 を 及 ぼ す 様 々 な 状 態 、 疾 患 お よ び 障 害 を 検 出 、 予 知 、 診 断 も し く は モ ニ タ
リングするために、または、その治療をモニタリングするために、イムノアッセイなどの
アッセイにおいて使用される。特に、このようなイムノアッセイは、患者由来のサンプル
を 抗 PMEPA1抗 体 と 特 異 的 な 結 合 が 起 こ り 得 る よ う な 条 件 下 で 接 触 さ せ 、 該 抗 体 に よ る 特 異
的結合の量を検出または測定することを含む方法によって行われる。ある実施形態では、
抗 体 の こ の よ う な 結 合 は 、 組 織 切 片 に お い て 、 異 常 な PMEPA1局 在 ま た は 異 常 な ( 例 え ば 、
低 い も し く は 欠 如 し た ) PMEPA1レ ベ ル を 検 出 す る た め に 使 用 で き る 。 特 定 の 実 施 形 態 で は
30
、 PMEPA1に 対 す る 抗 体 を 用 い て 、 患 者 の 組 織 ま た は 血 清 サ ン プ ル で の PMEPA1の 存 在 を ア ッ
セ イ す る こ と が で き 、 こ の 場 合 は 異 常 な PMEPA1レ ベ ル が 病 的 状 態 の 指 標 と な る 。
【0145】
使用可能なイムノアッセイは、いくつかを挙げると、ウエスタンブロット、ラジオイム
ノ ア ッ セ イ 、 ELISA、 免 疫 沈 降 ア ッ セ イ 、 免 疫 拡 散 ア ッ セ イ 、 凝 集 ア ッ セ イ 、 補 体 結 合 ア
ッ セ イ 、 免 疫 放 射 定 量 測 定 法 、 蛍 光 イ ム ノ ア ッ セ イ 、 プ ロ テ イ ン Aイ ム ノ ア ッ セ イ な ど の
技法を用いた競合的および非競合的なアッセイシステムを含むが、これらに限定されない
。
【0146】
PMEPA1遺 伝 子 な ら び に 相 補 配 列 を 含 む 関 連 し た 核 酸 配 列 お よ び 部 分 配 列 は ま た 、 ハ イ ブ
40
リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン ア ッ セ イ に お い て も 使 用 さ れ る 。 PMEPA1核 酸 配 列 、 ま た は 、 少 な く と も
約 8ヌ ク レ オ チ ド を 含 む そ の 部 分 配 列 は 、 ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン プ ロ ー ブ と し て 使 用 で
き る 。 ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン ア ッ セ イ は 、 上 述 の よ う に 、 PMEPA1発 現 お よ び /ま た は 活
性の異常な変化と関連する状態、障害、または病態を検出、予知、診断、あるいはモニタ
リングするために使用できる。特に、このようなハイブリダイゼーションアッセイは、核
酸 を 含 む サ ン プ ル を PMEPA1核 酸 に ハ イ ブ リ ダ イ ズ で き る 核 酸 プ ロ ー ブ と ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー
ションが起こり得るような条件下で接触させ、結果として生じるハイブリダイゼーション
の程度を検出または測定することを含む方法によって行われる。本明細書中で説明するよ
う に 、 PCR/RT-PCRを 用 い て 、 PMEPA1遺 伝 子 の 存 在 お よ び /ま た は そ の mRNAの 発 現 レ ベ ル を
検出することができる。
50
(29)
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【0147】
特 定 の 実 施 形 態 で は 、 細 胞 の 過 剰 増 殖 を 伴 う 疾 患 お よ び 障 害 を 診 断 お よ び /ま た は 予 後
判定し、あるいは、このような障害を発生させる素因を予測することができる。それには
、 PMEPA1タ ン パ ク 質 、 PMEPA1核 酸 、 ま た は PMEPA1の 機 能 活 性 ( 例 え ば 、 癌 細 胞 増 殖 の 抑 制
、 ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 発 現 の 阻 害 等 ) の レ ベ ル の 低 下 を 検 出 す る か 、 あ る い は 、 PMEPA1の
発 現 も し く は 活 性 の 低 下 を 引 き 起 こ す PMEPA1 RNA、 DNAま た は タ ン パ ク 質 に お け る 突 然 変
異 ( 例 え ば 、 PMEPA1核 酸 で の 転 座 、 PMEPA1遺 伝 子 も し く は タ ン パ ク 質 の ト ラ ン ケ ー シ ョ ン
、 野 生 型 PMEPA1と 比 較 し た ヌ ク レ オ チ ド も し く は ア ミ ノ 酸 配 列 の 変 化 ) を 検 出 す る こ と に
よ っ て 行 う 。 一 例 と し て 、 PMEPA1タ ン パ ク 質 の レ ベ ル は イ ム ノ ア ッ セ イ に よ っ て 検 出 で き
、 PMEPA1 mRNAの レ ベ ル は ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン ア ッ セ イ ( 例 え ば ノ ー ザ ン ブ ロ ッ ト 、
10
ド ッ ト ブ ロ ッ ト 、 RT-PCR) に よ っ て 検 出 で き 、 WWド メ イ ン 含 有 タ ン パ ク 質 と の PMEPA1結 合
は 当 技 術 分 野 に お い て 公 知 の 結 合 ア ッ セ イ に よ っ て 行 う こ と が で き 、 PMEPA1核 酸 の 転 座 お
よ び 点 突 然 変 異 は 、 サ ザ ン ブ ロ ッ テ ィ ン グ 、 RFLP解 析 、 PCR、 患 者 か ら 採 取 さ れ た PMEPA1
ゲ ノ ム DNAま た は cDNAの 配 列 決 定 等 に よ っ て 検 出 で き る 。
【0148】
あ る 実 施 形 態 で は 、 被 験 者 サ ン プ ル 中 の PMEPA1 mRNAま た は タ ン パ ク 質 の レ ベ ル を 検 出
または測定し、その際、対応する正常な組織サンプルと比較して低下したレベルは、被験
者が前立腺の悪性疾患または過増殖性障害を有するか、または、それを発症する素因を有
することを示している。別の特定の実施形態では、細胞増殖の欠損を伴うかまたは細胞増
殖が望まれる疾患および障害も同様に診断される。ある実施形態では、癌の診断方法は、
20
被験者から生体サンプル(組織サンプル(例えば、生検組織由来)、血液サンプル、もし
く は 尿 サ ン プ ル を 含 む が 、 こ れ ら に 限 定 さ れ な い ) を 採 取 し 、 サ ン プ ル 中 の PMEPA1遺 伝 子
、 PMEPA1ポ リ ペ プ チ ド 、 お よ び /ま た は PMEPA1活 性 の 発 現 レ ベ ル を 測 定 し 、 該 被 験 者 に お
ける癌(例えば前立腺癌)を診断または予後判定することを含む。更なる実施形態では、
PMEPA1遺 伝 子 お よ び /ま た は PMEPA1活 性 の 発 現 レ ベ ル が 、 サ ザ ン ブ ロ ッ テ ィ ン グ 、 ノ ー ザ
ン ブ ロ ッ テ ィ ン グ 、 ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ テ ィ ン グ 、 ELISA、 RT-PCR、 ま た は 、 本 明 細 書 に 記
載されるもしくは当技術分野において公知の他の技術によって測定される。
【0149】
本 発 明 の 別 の 態 様 は 、 PMEPA1遺 伝 子 の 発 現 プ ロ フ ァ イ ル を 評 価 し 、 こ れ ら の プ ロ フ ァ イ
ルを疾患の臨床的兆候と相関させることにより、「ホルモン療法」への応答をモニタリン
30
グする手段を提供する。
【0150】
診 断 に 使 用 す る キ ッ ト も ま た 提 供 さ れ る 。 キ ッ ト は 抗 PMEPA1抗 体 を 含 む が 、 こ の 抗 体 は
場 合 に よ り 検 出 可 能 に 標 識 さ れ て い て も よ い 。 PMEPA1核 酸 に ハ イ ブ リ ダ イ ズ で き る 核 酸 プ
ロ ー ブ を 含 む キ ッ ト も ま た 提 供 さ れ る 。 特 定 の 実 施 形 態 で は 、 キ ッ ト は 、 例 え ば PCRに よ
っ て 、 PMEPA1遺 伝 子 ま た は そ の 断 片 の 増 幅 を 開 始 さ せ る こ と が で き る 、 少 な く と も 一 対 の
プ ラ イ マ ー ( 例 え ば 、 各 々 約 6∼ 30ヌ ク レ オ チ ド の サ イ ズ 範 囲 の も の ) を 含 む 。 キ ッ ト は
、 例 え ば 標 準 も し く は 対 照 と し て 使 用 す る た め の 、 既 定 量 の 精 製 さ れ た PMEPA1タ ン パ ク 質
または核酸を含んでいてもよい。
【0151】
40
調節化合物のスクリーニング
PMEPA1核 酸 お よ び タ ン パ ク 質 は ま た 、 PMEPA1核 酸 も し く は タ ン パ ク 質 と 特 異 的 に 結 合 す
る 分 子 、 ま た は 、 PMEPA1核 酸 も し く は タ ン パ ク 質 の 発 現 を 調 節 で き 、 従 っ て 、 PMEPA1の ア
ゴニストもしくはアンタゴニストとして使用可能な分子、特に、細胞増殖を調節できる分
子を検出するためのスクリーニングアッセイにおいて使用される。ある実施形態では、こ
のようなアッセイは、抗癌薬として潜在的な有用性を持つ分子、または更なる創薬のため
の リ ー ド 化 合 物 を ス ク リ ー ニ ン グ す る た め に 行 わ れ る 。 例 え ば 、 PMEPA1核 酸 を 発 現 す る 組
換 え 細 胞 を 用 い て 、 PMEPA1タ ン パ ク 質 と 結 合 す る 分 子 を ス ク リ ー ニ ン グ す る た め の PMEPA1
タ ン パ ク 質 を 組 換 え 技 術 に よ っ て 産 生 さ せ る こ と が で き る 。 分 子 ( 例 え ば 、 PMEPA1の 推 定
上 の 結 合 パ ー ト ナ ー ) を 、 結 合 を 促 す 適 切 な 条 件 下 で PMEPA1タ ン パ ク 質 ( ま た は そ の 断 片
50
(30)
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) と 接 触 さ せ 、 そ の 後 、 PMEPA1タ ン パ ク 質 と 特 異 的 に 結 合 す る 分 子 を 同 定 す る 。 同 様 の 方
法 を 用 い て 、 PMEPA1核 酸 に 結 合 す る 分 子 を ス ク リ ー ニ ン グ す る こ と が で き る 。 こ れ ら を 実
施するために使用できる方法は、当技術分野において周知である。
【0152】
一 例 と し て 、 PMEPA1と 特 異 的 に 結 合 す る 分 子 に つ い て 、 ラ ン ダ ム も し く は コ ン ビ ナ ト リ
アルペプチドまたは非ペプチドライブラリーなどの多様性ライブラリーをスクリーニング
することができる。使用され得る多くのライブラリー、例えば、化学合成されたライブラ
リ ー 、 組 換 え ( 例 え ば フ ァ ー ジ デ ィ ス プ レ イ ラ イ ブ ラ リ ー ) お よ び in vitro翻 訳 に 基 づ く
ライブラリーが、当技術分野において知られている。
【0153】
10
化 学 合 成 さ れ た ラ イ ブ ラ リ ー の 例 は 、 Fodorら (1991) Science, 251:767-773; Houghten
ら (1991) Nature, 354:84-86; Lamら (1991) Nature, 354:82-84; Medynski (1994) Bio/T
echnology, 12:709-710; Gallopら (1994) J. Medicinal Chemistry, 37(9):1233-1251; O
hlmeyerら (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 90:10922-10926; Erbら (1994) Proc.
Natl. Acad. Sci. U.S.A., 91:11422-11426; Houghtenら (1992) Biotechniques, 13:412
; Jayawickremeら (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 91:1614-1618; Salmonら (199
3) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 90:11708-11712; PCT公 開 番 号 WO 93/20242;お よ び B
rennerら (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 89:5381-5383に 記 載 さ れ て い る 。
【0154】
フ ァ ー ジ デ ィ ス プ レ イ ラ イ ブ ラ リ ー の 例 は 、 Scottら (1990) Science, 249:386-390; De
20
vlinら (1990) Science, 249:404-406; Christianら (1992) J. Mol. Biol., 227:711-718;
Lenstra (1992) J. Immunol. Meth., 152:149-157; Kayら (1993) Gene, 128:59-65;お よ
び PCT公 開 番 号 WO 94/18318に 記 載 さ れ て い る 。
【0155】
in vitro翻 訳 に 基 づ く ラ イ ブ ラ リ ー は 、 PCT公 開 番 号 WO 91/05058; お よ び Mattheakisら
(1994) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 91:9022-9026に 記 載 さ れ る も の を 含 む が 、 そ れ
に限定されない。
【0156】
非ペプチドライブラリーの例は、使用に合わせることができるベンゾジアゼピンライブ
ラ リ ー ( 例 え ば Buninら (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 91:4708-4712参 照 ) を
30
含 む が 、 そ れ に 限 定 さ れ な い 。 ペ プ ト イ ド ラ イ ブ ラ リ ー ( Simonら (1992) Proc. Natl. Ac
ad. Sci. U.S.A., 89:9367-9371) も ま た 使 用 さ れ る 。 化 学 的 に 変 換 さ れ た コ ン ビ ナ ト リ
アルライブラリーを作製するためにペプチド中のアミド官能基がパーメチル化されている
、 別 の 使 用 可 能 な ラ イ ブ ラ リ ー の 例 は 、 Ostreshら (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A
., 91:11138-11142に よ っ て 記 載 さ れ て い る 。
【0157】
ライブラリーのスクリーニングは、様々な周知の方法によって達成され得る。例えば、
ペ プ チ ド ラ イ ブ ラ リ ー の ス ク リ ー ニ ン グ を 開 示 す る 以 下 の 参 照 文 献 、 す な わ ち Parmleyら (
1989) Adv. Exp. Med. Biol., 251:215-218; Scottら (1990) Science, 249:386-390; Fow
lkesら (1992) BioTechniques, 13:422-427; Oldenburgら (1992) Proc. Natl. Acad. Sci.
40
U.S.A., 89:5393-5397; Yuら (1994) Cell, 76:933-945; Staudtら (1988) Science, 241:
577-580; Bockら (1992) Nature, 355:564-566; Tuerkら (1992) Proc. Natl. Acad. Sci.
U.S.A., 89:6988-6992; Ellingtonら (1992) Nature, 355:850-852; 米 国 特 許 第 5,096,815
号 、 米 国 特 許 第 5,223,409号 、 お よ び 米 国 特 許 第 5,198,346号 、 す べ て Ladnerら ; Rebarら (
1993) Science, 263:671-673; な ら び に PCT公 開 番 号 WO 94/18318を 参 照 さ れ た い 。
【0158】
特 定 の 実 施 形 態 で は 、 ス ク リ ー ニ ン グ は 、 固 相 上 に 固 定 化 し た PMEPA1タ ン パ ク 質 ( ま た
は 核 酸 ) と ラ イ ブ ラ リ ー の メ ン バ ー と を 接 触 さ せ 、 PMEPA1タ ン パ ク 質 ま た は 核 酸 と 結 合 す
るライブラリーのメンバーを回収することによって行われる。「パンニング」法と呼ばれ
る こ の よ う な ス ク リ ー ニ ン グ 法 の 例 は 、 例 え ば Parmleyら (1988) Gene, 73:305-318; Fowl
50
(31)
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kesら (1992) BioTechniques, 13:422-427; PCT公 開 番 号 WO 94/18318; お よ び 本 明 細 書 の
上記引用文献に記載されている。
【0159】
別の実施形態では、酵母において相互作用タンパク質を選択するためのツーハイブリッ
ド シ ス テ ム ( Fieldsら (1989) Nature, 340:245-246; Chienら (1991) Proc. Natl. Acad.
Sci. U.S.A., 88:9578-9582) を 用 い て 、 PMEPA1タ ン パ ク 質 と 特 異 的 に 結 合 す る 分 子 を 同
定することができる。更に別の実施形態では、調節化合物のスクリーニング法は、細胞を
試 験 化 合 物 と 接 触 さ せ 、 PMEPA1遺 伝 子 の 発 現 レ ベ ル ま た は PMEPA1活 性 の 変 化 を 測 定 す る こ
とを含む。
【0160】
10
更 に 、 PMEPA1と 相 互 作 用 す る 遺 伝 子 を 検 出 す る た め の モ デ ル 系 と し て 、 下 記 の よ う な モ
デル動物を使用することができる。
【0161】
モデル動物
本発明はまたモデル動物を提供する。ある実施形態では、細胞の過剰増殖を伴う疾患お
よ び 障 害 の た め の モ デ ル 動 物 が 提 供 さ れ る 。 こ の よ う な 動 物 は 、 初 め に 、 染 色 体 中 の PMEP
A1遺 伝 子 と 、 生 物 学 的 に 不 活 性 に さ れ た ( 好 ま し く は 、 異 種 配 列 、 例 え ば 抗 生 物 質 耐 性 遺
伝 子 の 挿 入 に よ り 不 活 性 に さ れ た ) 外 因 性 PMEPA1遺 伝 子 と 、 の 間 の 相 同 組 換 え を 促 進 す る
こ と に よ っ て 作 製 さ れ る 。 一 般 的 に は 、 Transgenic Mouse Methods and Protocols, Hofk
erら 編 、 Humana Press, 2002を 参 照 さ れ た い 。 好 ま し い 態 様 に お い て 、 こ の 相 同 組 換 え を
20
実 施 す る に は 、 相 同 組 換 え が 起 こ る よ う に 、 挿 入 に よ り 不 活 性 化 さ れ た PMEPA1遺 伝 子 を 含
む ベ ク タ ー を 用 い て 胚 性 幹 ( ES) 細 胞 を 形 質 転 換 し 、 続 い て こ の ES細 胞 を 胚 盤 胞 に 注 入 し
、 胚 盤 胞 を 代 理 母 に 移 植 し 、 そ の 後 PMEPA1遺 伝 子 が 不 活 性 化 さ れ た キ メ ラ 動 物 ( 「 ノ ッ ク
ア ウ ト 動 物 」 ) を 出 生 さ せ る ( Gene Knockout Protocols, Tymmら 編 、 Humana Press, 200
1. Capecchi (1989) Science, 244:1288-1292参 照 ) 。 キ メ ラ 動 物 を 繁 殖 さ せ て 、 更 な る
ノックアウト動物を作出することができる。このような動物はマウス、ハムスター、ヒツ
ジ、ブタ、ウシ等であってよく、好ましくは非ヒト哺乳類である。特定の実施形態では、
ノックアウトマウスが作出される。
【0162】
このようなノックアウト動物は、細胞の過剰増殖を伴う疾患もしくは障害(例えば悪性
30
腫瘍)を発症するか、または、発症する素因を持つと予想される。従って、かかる動物は
、このような疾患および障害のモデル動物として、例えば、過剰増殖(例えば腫瘍形成)
を抑制し、従ってこのような疾患もしくは障害を治療または予防する能力について、分子
(例えば潜在的な抗癌治療薬)をスクリーニングまたは試験するために利用される。
【0163】
異 な る 実 施 形 態 に お い て 、 機 能 的 な PMEPA1遺 伝 子 が 組 み 込 ま れ て い て 、 そ れ を 発 現 す る
トランスジェニック動物は、細胞増殖の欠陥を伴う疾患および障害、または、細胞増殖が
望まれる疾患および障害のモデル動物として利用される。このような動物は、増殖を促進
し、従ってこのような疾患および障害を治療もしくは予防する能力について、分子をスク
リーニングまたは試験するために使用することができる。
40
【0164】
以下の実施例は更に本発明の特定の態様を例示するものである。
【実施例】
【0165】
実施例1
細胞培養およびアンドロゲン刺激
LNCaP細 胞 ( American Type Culture Collection, Rockville, MD) は 、 当 技 術 分 野 に お
い て 承 認 さ れ た ヒ ト 前 立 腺 癌 の モ デ ル で あ る ( Hsiehら 、 Cancer Res., 53: 2852-7, 1993
; Thalmannら 、 Cancer Res., 54: 2577-81, 1994; Wuら 、 Int. J. Cancer, 77: 887-94,
1998) 。 LNCaP細 胞 を 10% ウ シ 胎 児 血 清 ( FBS, Life Technologies, Inc., Gaithersburg,
50
(32)
JP 2006-508031 A 2006.3.9
MD) を 添 加 し た RPMI 1640( Life Technologies, Inc., Gaithersburg, MD) 中 に 維 持 し
、 実 験 を 継 代 数 20∼ 30の 細 胞 で 行 っ た 。
【0166】
ア ン ド ロ ゲ ン 調 節 の 研 究 の た め に 、 チ ャ コ ー ル /デ キ ス ト ラ ン 除 去 し た ア ン ド ロ ゲ ン フ
リ ー の FBS( cFBS, Gemini Bio-Products, Inc., Calabasas, CA) を 使 用 し た 。 LNCaP細 胞
を ま ず 10% cFBSを 含 む RPMI 1640で 5日 間 培 養 し 、 そ の 後 10
- 8
Mの 非 代 謝 性 ア ン ド ロ ゲ ン 類
似 体 R1881( DUPONT, Boston, MA) で 24時 間 刺 激 し た 。 R1881処 理 を 行 わ な か っ た 以 外 は 同
様 に 処 理 し た LNCaP細 胞 を 対 照 と し て 用 い た 。 指 示 さ れ た 時 間 に 細 胞 を 回 収 し 、 Fast Trac
kキ ッ ト ( Invitrogene) を 用 い て ポ リ A+ RNAを 二 重 選 択 し た 。 ポ リ A+の 品 質 を ノ ー ザ ン ハ
イブリダイゼーション解析によって確認した。
10
【0167】
ア ン ド ロ ゲ ン を 含 ま な い LNCaP細 胞 培 養 培 地 の ア ン ド ロ ゲ ン ( R1881) 添 加 に よ り 、 LNCa
P細 胞 に お い て 用 量 お よ び 時 間 依 存 的 な 様 式 で 、 約 2.7塩 基 対 と 約 5.0塩 基 対 の 両 方 の PMEPA
1 RNA種 が 誘 導 さ れ た ( 図 1 ) 。 LNCaP細 胞 の ア ン ド ロ ゲ ン 枯 渇 は 、 PMEPA1の 発 現 低 下 を 引
き起こした。正常な前立腺上皮細胞培養物および通常の培地で培養したアンドロゲン依存
性 LNCaP細 胞 で は 、 基 底 レ ベ ル の PMEPA1発 現 が 検 出 さ れ た 。 ア ン ド ロ ゲ ン 依 存 性 LNCaP細 胞
と 比 較 し て 、 ア ン ド ロ ゲ ン 非 依 存 性 前 立 腺 癌 細 胞 株 DU145お よ び PC3は 、 非 常 に 低 い レ ベ ル
か ら 検 出 不 能 な レ ベ ル の PMEPA1し か 発 現 し な か っ た ( デ ー タ は 示 し て な い ) 。
【0168】
PMEPA1タ ン パ ク 質 コ ー ド 領 域 の 異 な る 領 域 を カ バ ー す る 4対 の プ ラ イ マ ー を 用 い た LNCaP
20
細 胞 由 来 の RNAの RT-PCR解 析 は 、 PCR反 応 か ら 予 想 さ れ る バ ン ド サ イ ズ を 示 し 、 こ の こ と は
、 ノ ー ザ ン ブ ロ ッ ト に お け る 2 つ の mRNA種 が タ ン パ ク 質 コ ー ド 領 域 に お い て 同 一 の 配 列 を
有 し 、 5'お よ び /ま た は 3'非 コ ー ド 領 域 に お い て 差 異 を 示 す 可 能 性 が あ る こ と を 示 唆 し て
いる。
【0169】
実施例2
PMEPA1組 織 発 現 の 解 析
23の ヒ ト 正 常 組 織 を 含 む 複 数 の ノ ー ザ ン ブ ロ ッ ト 解 析 は 、 前 立 腺 組 織 に お い て 最 高 レ ベ
ル で PMEPA1が 発 現 し て い る こ と を 示 し た 。 他 の 組 織 は PMEPA1を 発 現 し た が 、 そ れ ら の 相 対
的 な 発 現 は 前 立 腺 と 比 較 し て 著 し く 低 か っ た ( 図 2 ) 。 前 立 腺 組 織 に お け る PMEPA1発 現 の
30
in situ RNAハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン 解 析 は 、 間 質 細 胞 と 比 較 し て 腺 上 皮 区 画 に お い て 豊
富な発現を示した。しかし、正常細胞および原発性腫瘍組織の組織切片における腫瘍細胞
はどちらも同様の発現レベルを示した。
【0170】
実施例3
PMEPA1遺 伝 子 の 構 造 的 特 徴
1,141塩 基 対 の PMEPA1 cDNA配 列 の 解 析 は 、 252ア ミ ノ 酸 か ら な る タ ン パ ク 質 ( 配 列 番 号
2 ) を コ ー ド す る 759ヌ ク レ オ チ ド の オ ー プ ン リ ー デ ィ ン グ フ レ ー ム ( 配 列 番 号 1 ) を 明
ら か に し た 。 ProfileScan( http://www.ch.embnet.org/cgi-bin/TMPRED) を 用 い た タ ン パ
ク 質 モ チ ー フ 検 索 に よ り 、 PMEPA1配 列 の ア ミ ノ 酸 残 基 9か ら 25の 間 に Ib型 の 膜 貫 通 ド メ イ
40
ン が 存 在 す る こ と が 示 さ れ た 。 更 に 、 モ チ ー フ 検 索 に よ り PMEPA1タ ン パ ク 質 配 列 中 の 2 つ
の PYモ チ ー フ 、 PPPY( 配 列 番 号 15) ( 「 PY1」 ) お よ び PPTY( 配 列 番 号 16) ( 「 PY2」 ) が
明 ら か に さ れ た 。 PYモ チ ー フ は 、 WWド メ イ ン を 有 す る タ ン パ ク 質 に 結 合 で き る PPXYコ ン セ
ン サ ス 配 列 ( Xは 任 意 の ア ミ ノ 酸 を 表 す ) を 含 む プ ロ リ ン リ ッ チ ペ プ チ ド 配 列 で あ る ( Jol
liffeら 、 Biochem. J., 351: 557-565, 2000; Harveyら 、 Trends Cell Biol., 9: 166-16
9, 1999; Hicke, Cell, 106: 527-530, 2001; Kumarら 、 Biochem. Biophys. Res. Commun
., 185: 1155-1161, 1992; Kumarら 、 Genomics, 40: 435-443, 1997; Sudol, Trends Bio
chem. Sci., 21: 161-163, 1996; Harveyら 、 J. Biol. Chem., 277: 9307-9317, 2002;
お よ び Brunschwigら 、 Cancer Res., 63: 1568-1575, 2003) 。
【0171】
50
(33)
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タ ン パ ク 質 配 列 の 相 同 性 検 索 は 、 下 記 の 表 2 に 見 ら れ る よ う に 、 PMEPA1が マ ウ ス NEDD4
WW結 合 タ ン パ ク 質 4( 「 N4WBP4」 、 受 入 番 号 AK008976) ( 4) と 83% の 配 列 同 一 性 を 有 す る
こ と を 示 し た 。 表 2 に お い て 、 + は 保 存 的 置 換 を 意 味 し 、 PYモ チ ー フ に は 下 線 が 引 い て あ
る。
【表2】
10
20
【0172】
NEDD4タ ン パ ク 質 の WWド メ イ ン は 、 NEDD4結 合 タ ン パ ク 質 の PYモ チ ー フ と の 相 互 作 用 を 介
し て そ の 標 的 タ ン パ ク 質 と の 結 合 を 促 進 す る ( Jolliffeら 、 Biochem. J., 351: 557-565,
2000; Sudol M, Trends Biochem. Sci., 21: 161-163, 1996; Harveyら 、 J. Biol. Chem
., 277: 9307-9317, 2002; Maciasら 、 Nature, 382: 646-649, 1996; Chenら 、 Proc. Na
tl. Acad. Sci., U S A., 92: 7819-7823, 1995; お よ び Murillasら 、 J. Biol. Chem., 2
30
77: 2897-2907, 2002) 。 PMEPA1タ ン パ ク 質 配 列 は 2 つ の PYモ チ ー フ 、 す な わ ち 、 PPPY(
配 列 番 号 15) ( 「 PY1」 ) お よ び PPTY( 配 列 番 号 16) ( 「 PY2」 ) を 含 む 。 PY1は PMEPA1タ
ン パ ク 質 の 中 心 領 域 に あ り 、 PY2は PMEPA1タ ン パ ク 質 の カ ル ボ キ シ ル 末 端 に 近 接 し て い る
( 表 2 ) 。 従 っ て 、 N4WBP4と PMEPA1の 高 い タ ン パ ク 質 配 列 同 一 性 お よ び PYモ チ ー フ の 存 在
は 、 PMEPA1が N4WBP4の ヒ ト ホ モ ロ グ で あ り 、 NEDD4タ ン パ ク 質 お よ び 他 の WWド メ イ ン 含 有
タンパク質と結合できることを示している。
【0173】
実施例4
PMEPA1-PYモ チ ー フ は NEDD4の WWド メ イ ン と 相 互 作 用 す る
プラスミド
40
PMEPA1-V5お よ び PMEPA1-GFP融 合 タ ン パ ク 質 を コ ー ド す る 哺 乳 類 発 現 ベ ク タ ー は 、 PMEPA
1オ ー プ ン リ ー デ ィ ン グ フ レ ー ム の PCR増 幅 に よ っ て 作 製 さ れ た 。 PMEPA1-V5-pcDNA3.1ベ ク
ターの場合は、以下のプライマーを使用した:
5'-GCTGCTGGAGAACTGAAGGCG-3'( 配 列 番 号 4 ) お よ び
5'-GTGTCCTTTCTGTTTATCCTTC-3'( 配 列 番 号 5 ) 。
【0174】
PMEPA1-GFP-pEGFPベ ク タ ー の 場 合 は 、 以 下 の プ ラ イ マ ー を 使 用 し た :
5'-AAGCTTGCTGCTGGAGAACTGAAGG CG-3'( 配 列 番 号 6 ) お よ び
5'-GAATTCGGTGTCCTTTCTGTTTATC-3'( 配 列 番 号 7 ) 。
【0175】
50
(34)
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V5タ グ ま た は GFPタ ン パ ク 質 は PMEPA1タ ン パ ク 質 の カ ル ボ キ シ ル 末 端 に 融 合 さ せ た 。 PME
PA1-V5を 作 製 す る た め の PCR産 物 は pcDNA3.1-V5-His発 現 ベ ク タ ー ( Invitrogen, Carlsbad
, CA) に 挿 入 し た 。 PMEPA1-GFPを 作 製 す る た め の PCR産 物 は 、 HindIIIお よ び EcoRIで 消 化
し 、 pEGFPベ ク タ ー ( Clontech, Palo Alto, CA) の 同 部 位 に ク ロ ー ニ ン グ し た 。 チ ロ シ ン
残 基 ( Y) を ア ラ ニ ン 残 基 ( A) で 置 換 し た PMEPA1-PYモ チ ー フ 突 然 変 異 体 は 、 QuikChange
部 位 特 異 的 突 然 変 異 誘 発 キ ッ ト ( Stratagene, La Jolla, CA) を 用 い 、 鋳 型 と し て PMEPA1
-V5-pcDNA3.1ベ ク タ ー を 用 い て 作 製 し た 。 PMEPA1-PYモ チ ー フ 突 然 変 異 体 の プ ラ ス ミ ド は
以 下 の 通 り で あ る 。 す な わ ち 、 第 1PYモ チ ー フ 突 然 変 異 ( Y126A) を 有 す る PMEPA1-PY1m-V5
-pcDNA3.1、 第 2PYモ チ ー フ 突 然 変 異 ( Y197A) を 有 す る PMEPA1-PY2m-V5-pcDNA3.1、 な ら び
に 両 方 の PYモ チ ー フ 突 然 変 異 ( Y126Aお よ び Y197A) を 有 す る PMEPA1-PY1m/PY2m-V5-pcDNA3
10
.1で あ る 。 発 現 ベ ク タ ー 中 の す べ て の 挿 入 配 列 を DNA配 列 決 定 に よ り 確 認 し た 。
【0176】
グ ル タ チ オ ン S-ト ラ ン ス フ ェ ラ ー ゼ に 融 合 さ れ た 4 つ す べ て の WWド メ イ ン ( GST-WW融 合
タ ン パ ク 質 ) を コ ー ド し た ヒ ト NEDD4遺 伝 子 ( 受 入 番 号 XM_046129) の 細 菌 発 現 プ ラ ス ミ ド
( pNEDD4WW-GST-pGEX-2TK) は 、 以 下 の プ ラ イ マ ー を 用 い た 、 4 つ の WWド メ イ ン の コ ー ド
領 域 の PCR増 幅 に よ っ て 作 製 し た :
5'-GCAGGATCCCAACCAGATGCTGCTTGC-3'( 配 列 番 号 8 ) お よ び
5'-GCAGAATTCTTTTGTAATCCCTGGAGTA-3'( 配 列 番 号 9 ) 。 正 常 な 前 立 腺 組 織 由 来 の cDNAを PC
Rの 鋳 型 と し て 用 い 、 増 幅 断 片 を pGEX-2TK( Amersham Biotech, Piscataway, NJ) の BamHI
/EcoRI部 位 に ク ロ ー ニ ン グ し た 。 NEDD4-GFP融 合 タ ン パ ク 質 を コ ー ド す る 哺 乳 類 発 現 ベ ク
20
タ ー ( NEDD4-GFP-pEGFP) は 、 PCRに よ っ て NEDD4遺 伝 子 断 片 を 生 成 す る 以 下 の プ ラ イ マ ー
を用いて作製した:
5'-GCAAAGCTTGTCCGGTTTGCTGGAAGC-3'( 配 列 番 号 10) お よ び
5'-GCAGAATTCCCTTTTTGTTCTTATTGGTGAC-3'( 配 列 番 号 11) 。
【0177】
PMEPA1お よ び NEDD4タ ン パ ク 質 結 合 ア ッ セ イ
PMEPA1お よ び NEDD4の in vitro結 合 は GSTプ ル ダ ウ ン ア ッ セ イ に よ っ て 評 価 さ れ た 。 GSTWW融 合 タ ン パ ク 質 を 調 製 し 、 Amersham Biotechの 使 用 説 明 書 に 従 っ て グ ル タ チ オ ン セ フ ァ
ロ ー ス ビ ー ズ を 用 い て 精 製 し た 。 PMEPA1お よ び そ の 突 然 変 異 体 を 表 す [
3 5
S]メ チ オ ニ ン 標
識 タ ン パ ク 質 は 、 in vitro転 写 /翻 訳 ( TNT T7 quick coupled transcription/translatio
30
n system, Promega, Madison, WI) に よ り 作 製 し た 。 簡 単 に 述 べ る と 、 PMEPA1-V5-pcDNA3
.1ま た は 3 つ の 突 然 変 異 体 ( 2μ g) を 40μ Ciの [
3 5
S]メ チ オ ニ ン を 含 む 40μ lの 網 状 赤 血 球
溶 解 液 中 で 1.5時 間 30℃ に て イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。
【0178】
[
3 5
S]メ チ オ ニ ン の タ ン パ ク 質 へ の 取 り 込 み を 測 定 し 、 cpmに 基 づ い て サ ン プ ル を 均 等 化
し た 。 グ ル タ チ オ ン セ フ ァ ロ ー ス ビ ー ズ に 結 合 し た GST-WW融 合 タ ン パ ク 質 ( 5μ g) を 、 [
5
3
S]メ チ オ ニ ン 標 識 し た 溶 解 液 ( 12μ l) と 共 に 0.4 mlの リ ン 酸 緩 衝 生 理 食 塩 水 ( PBS, pH
7.4) 、 1 mMジ チ オ ス レ イ ト ー ル 、 お よ び プ ロ テ ア ー ゼ 阻 害 剤 中 で イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。
各々の[
3 5
S]メ チ オ ニ ン 標 識 溶 解 液 に つ い て の 陰 性 対 照 は 、 GST-WW融 合 タ ン パ ク 質 を 含 ま
ないグルタチオンセファロースビーズと共にインキュベートした等量の溶解液を含む反応
40
混 合 物 と し た 。 4℃ で 16時 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 後 、 ビ ー ズ を PBSで 6回 洗 浄 し 、 SDS-PAGE
サ ン プ ル バ ッ フ ァ ー に 再 懸 濁 し 、 還 元 条 件 下 に お い て 12% SDS-PAGEゲ ル で 泳 動 し た 。 ゲ ル
を乾燥させ、オートラジオグラフィーを行った。
【0179】
結果
細 胞 で の PMEPA1お よ び NEDD4タ ン パ ク 質 の 相 互 作 用 は 、 共 免 疫 沈 降 ア ッ セ イ に よ っ て 評
価 さ れ た 。 293細 胞 ( ヒ ト 胚 性 腎 細 胞 ) を 、 NEDD4-GFP-pEGFPベ ク タ ー お よ び 野 生 型 PMEPA1
-V5ま た は PMEPA1の PY突 然 変 異 体 の い ず れ か を コ ー ド す る PMEPA1-V5発 現 ベ ク タ ー の 1 つ を
用 い て 共 ト ラ ン ス フ ェ ク ト し た 。 36時 間 後 細 胞 を 回 収 し 、 溶 解 し 、 溶 解 液 を 抗 GFP抗 体 ( C
lontech, Palo Alto, CA) で 製 造 メ ー カ ー の プ ロ ト コ ル に 従 っ て 免 疫 沈 降 さ せ た 。 免 疫 沈
50
(35)
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降 し た タ ン パ ク 質 は 、 抗 V5タ グ 抗 体 ( Invitrogen) に よ る 免 疫 ブ ロ ッ テ ィ ン グ に 供 し た 。
【0180】
2つ の イ ン タ ク ト な PYモ チ ー フ を 有 す る in vitro翻 訳 し た [
3 5
S]メ チ オ ニ ン 標 識 PMEPA1-V
5融 合 タ ン パ ク 質 は 、 GST-WW融 合 タ ン パ ク 質 と の 結 合 を 示 し た ( 図 6 、 レ ー ン 1 ) 。 PY1ま
た は PY2突 然 変 異 を 持 つ PMEPA1は WWド メ イ ン へ の 結 合 の 著 し い 低 下 を 示 し た ( 図 6 、 レ ー
ン 2 お よ び レ ー ン 3 ) 。 更 に 、 293細 胞 で 発 現 さ せ た PMEPA1-V5お よ び NEDD4-GFP融 合 タ ン
パ ク 質 は 強 い 結 合 を 示 し ( 図 7 、 レ ー ン 1 ) 、 PY1も し く は PY2モ チ ー フ の 単 一 突 然 変 異 ま
た は PY1お よ び PY2モ チ ー フ 両 方 の 二 重 突 然 変 異 を 有 す る 突 然 変 異 PMEPA1-V5タ ン パ ク 質 は
、 NEDD4へ の 結 合 の 著 し い 低 下 を 示 し た ( 図 7 、 レ ー ン 2 、 3 お よ び 4 ) 。 従 っ て in vitr
oお よ び 細 胞 培 養 デ ー タ は 、 PMEPA1が NEDD4と 相 互 作 用 し 、 こ の 相 互 作 用 が PMEPA1 PYモ チ
10
ー フ の WWド メ イ ン へ の 結 合 を 伴 う こ と を 示 す 。 PY2モ チ ー フ の 突 然 変 異 は PMEPA1の NEDD4 W
Wへ の 結 合 に 対 し て よ り 大 き な 影 響 を 及 ぼ す よ う で あ っ た 。
【0181】
PMEPA1の N4WBP4と の 高 い タ ン パ ク 質 配 列 同 一 性 は 、 PMEPA1が N4WBP4の ヒ ト ホ モ ロ グ で あ
ることを示唆する。
【0182】
実施例5
PMEPA1は ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 を ダ ウ ン レ ギ ュ レ ー ト し 、 ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 の 転 写 標 的 に
影響を及ぼす
LNCaP細 胞 を PMEPA1-GFP( PMEPA-GFP-LNCaP) お よ び pEGFP対 照 ( pEGFP-LNCaP) 発 現 ベ ク
20
タ ー で 安 定 的 に ト ラ ン ス フ ェ ク ト し た 。 LNCaPト ラ ン ス フ ェ ク タ ン ト で の ア ン ド ロ ゲ ン 受
容 体 に 対 す る 外 因 性 PMEPA1発 現 の 影 響 を 評 価 す る た め に 、 内 在 性 PMEPA1発 現 を ダ ウ ン レ ギ
ュ レ ー ト す る こ と が 知 ら れ て い る ア ン ド ロ ゲ ン 不 含 培 地 中 で 5日 間 、 細 胞 を 維 持 し た 。 ア
ン ド ロ ゲ ン 不 含 培 地 中 で 5日 後 の こ れ ら の 細 胞 に お い て 、 ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 の 発 現 を 評
価 し た ( 0時 間 ) 。 ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 の 発 現 は ま た 、 ア ン ド ロ ゲ ン 除 去 後 異 な る 時 点 ( 1
2時 間 お よ び 24時 間 ) に 0.1 nM R1881を 再 補 給 し た 細 胞 に お い て も 評 価 し た 。 ウ ェ ス タ ン
ブ ロ ッ ト 解 析 は PMEPA-GFP-LNCaP細 胞 に お け る ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 タ ン パ ク 質 の 発 現 低 下
を 示 し た ( 図 4 A) 。 PMEPA1ト ラ ン ス フ ェ ク タ ン ト で の ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 タ ン パ ク 質 レ
ベ ル の 低 下 は PSAタ ン パ ク 質 レ ベ ル の 低 下 と 相 関 し 、 比 較 的 低 い レ ベ ル の ア ン ド ロ ゲ ン 受
容 体 タ ン パ ク 質 に 起 因 す る PSA遺 伝 子 発 現 の 減 衰 の 結 果 と 思 わ れ る 。 ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体
30
の PMEPA1ダ ウ ン レ ギ ュ レ ー シ ョ ン は 更 に 、 そ の 発 現 が 通 常 ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 に よ っ て ダ
ウ ン レ ギ ュ レ ー ト さ れ る PSMAレ ベ ル の 相 対 的 な 増 加 の 結 果 に よ っ て 支 持 さ れ た 。 こ れ ら の
実 験 は 、 PMEPA1が ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 を ダ ウ ン レ ギ ュ レ ー ト し 、 こ れ に 対 応 し て ア ン ド ロ
ゲン受容体の転写標的が影響を受けることを示した。
【0183】
PMEPA1は NEDD4結 合 タ ン パ ク 質 で あ る か ら 、 ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 発 現 に 対 す る そ の 効 果
は ユ ビ キ チ ン -プ ロ テ ア ソ ー ム 経 路 を 必 要 と す る か も し れ な い 。 ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 発 現
に 対 す る PMEPA1の 効 果 が 、 タ ン パ ク 質 分 解 経 路 に お け る ユ ビ キ チ ン タ ン パ ク 質 リ ガ ー ゼ の
一般的または非特異的なアップレギュレーション効果に起因するのではないことを示すた
め に 、 本 発 明 者 ら は 、 ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 お よ び p27タ ン パ ク 質 ( ユ ビ キ チ ン 依 存 性 経 路
40
を 介 し て 分 解 さ れ る こ と が 知 ら れ て い る ) に 対 す る PMEPA1の 効 果 を 評 価 し た 。 本 発 明 者 ら
は 、 安 定 な PMEPA1-GFP-Tet-LNCaPト ラ ン ス フ ェ ク タ ン ト を 作 製 し た が 、 か か る 細 胞 で は PM
EPA1-GFP融 合 タ ン パ ク 質 の 発 現 が テ ト ラ サ イ ク リ ン に よ り 調 節 さ れ る ( Tet-off系 , Clont
ech) 。 図 4 Bに 示 さ れ た よ う に 、 テ ト ラ サ イ ク リ ン を 含 む 培 地 で 培 養 さ れ た 細 胞 は PMEPA1
発 現 を 欠 く ( Tet-off) が 、 テ ト ラ サ イ ク リ ン を 含 ま な い 培 地 で 培 養 し た 場 合 に は 、 PMEPA
1を 過 剰 発 現 し た 。 p27ま た は チ ュ ー ブ リ ン の 相 対 的 な 発 現 と 比 較 し て 、 ア ン ド ロ ゲ ン 受 容
体 の タ ン パ ク 質 レ ベ ル は PMEPA1過 剰 発 現 細 胞 に お い て 激 減 し た ( 図 4 B) 。 総 合 す る と 、
こ れ ら の デ ー タ は ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 が PMEPA1の 特 異 的 な 標 的 で あ る こ と を 示 す 。
【0184】
実施例6
50
(36)
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PMEPA1タ ン パ ク 質 の ゴ ル ジ 結 合
本 発 明 者 ら の 研 究 は ま た 、 PMEPA1が ゴ ル ジ 結 合 タ ン パ ク 質 で あ る こ と を 示 し た 。
【0185】
免疫蛍光アッセイ
実 施 例 4 に お い て 上 述 し た よ う に プ ラ ス ミ ド を 調 製 し た 。 免 疫 蛍 光 ア ッ セ イ は Harveyら
、 J. Biol. Chem., 277: 9307-9317, 2002に よ り 記 載 さ れ た 方 法 に 従 っ て 行 っ た 。 簡 潔 に
述 べ る と 、 PMEPA1-GFP-pEGFPを 有 す る LNCaP細 胞 の 安 定 な ト ラ ン ス フ ェ ク タ ン ト ( LNCaP-P
MEPA1-GFPト ラ ン ス フ ェ ク タ ン ト ) を カ バ ー ス リ ッ プ 上 で 2日 間 増 殖 さ せ 、 2% パ ラ ホ ル ム
ア ル デ ヒ ド 中 で 15分 間 固 定 し 、 0.2% Triton X-100中 で 2分 間 膜 透 過 処 理 し た 。 固 定 お よ び
膜 透 過 処 理 し た 細 胞 を 、 6.25μ g/mlの 抗 GM130( シ ス ゴ ル ジ マ ト リ ッ ク ス タ ン パ ク 質 を 認
10
識 す る ) ま た は 抗 TGN38( ト ラ ン ス ゴ ル ジ 網 TGNに 局 在 す る タ ン パ ク 質 を 認 識 す る ) モ ノ ク
ロ ー ナ ル 抗 体 ( BD Transduction Laboratory, San Diego, CA) と 共 に 、 30分 間 室 温 で イ
ンキュベートした。その後、細胞を洗浄して、過剰のまたは非特異的に結合した一次抗体
を 除 去 し 、 続 い て 1:100希 釈 の TRITCコ ン ジ ュ ゲ ー ト 抗 マ ウ ス 抗 体 ( Sigma, ST. Louis, MO
) と 共 に 、 30分 間 室 温 で イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 切 片 を fluoromount( Southern Associates
, Birmingham, AL) に よ り 標 本 に し 、 Leica蛍 光 顕 微 鏡 お よ び Open-Lab software( Improv
ision, Lexington, MA) を 用 い て 画 像 を 処 理 し た 。
【0186】
結果
PMEPA1-GFP融 合 タ ン パ ク 質 は ゴ ル ジ 様 の 外 観 を 有 す る 核 周 囲 へ の 局 在 を 示 し た 。 シ ス ゴ
20
ル ジ タ ン パ ク 質 GM130の 細 胞 内 局 在 の 画 像 は 、 PMEPA1-GFP融 合 タ ン パ ク 質 と 同 様 の パ タ ー
ン を 示 し た 。 LNCaP-PMEPA1-GFPト ラ ン ス フ ェ ク タ ン ト で の PMEPA1-GFP融 合 タ ン パ ク 質 お よ
び GM130の 画 像 を 重 ね 合 わ せ る と 、 PMEPA1-GFP融 合 タ ン パ ク 質 の シ ス ゴ ル ジ 構 造 へ の 局 在
が 確 認 さ れ た 。 PMEPA1-GFPお よ び TGN-38( TGNに 局 在 す る ) の 共 局 在 は 認 め ら れ な か っ た
。
【0187】
PMEPA1の 細 胞 内 局 在 は 、 他 の 2 つ の 新 た に 同 定 さ れ た NEDD4 WWド メ イ ン 結 合 タ ン パ ク 質
N4WBP5お よ び N4WBP5a( こ れ ら も ゴ ル ジ 複 合 体 に 局 在 す る ) と 似 て い る ( Harveyら 、 J. Bi
ol. Chem., 277: 9307-9317, 2002; Konstasら 、 J. Biol. Chem., 277: 29406-29416, 20
02) 。 N4WBP5aは NEDD4/NEDD4-2の 輸 送 を 封 鎖 し 、 そ の 結 果 NEDD4に よ っ て ダ ウ ン レ ギ ュ レ
30
ー ト さ れ る 既 知 の 標 的 で あ る 上 皮 ナ ト リ ウ ム チ ャ ネ ル ( EnaC) の 活 性 を 増 加 さ せ た ( Kons
tasら 、 J. Biol. Chem., 277: 29406-29416, 2002) 。 高 度 に ア ン ド ロ ゲ ン 調 節 さ れ る 遺
伝 子 お よ び NEDD4結 合 タ ン パ ク 質 と し て 、 PMEPA1の ゴ ル ジ 装 置 へ の 局 在 は 、 PMEPA1が ア ン
ドロゲン受容体標的のタンパク質代謝回転に関与することを示唆する。
【0188】
実施例7
PMEPA1は 前 立 腺 癌 細 胞 の 増 殖 を 抑 制 す る
コロニー形成アッセイ
細 胞 増 殖 の 調 節 に お け る PMEPA1発 現 の 生 物 学 的 効 果 お よ び こ の よ う な 機 能 に 対 す る PYモ
チ ー フ の 関 与 を 調 べ る た め に 、 本 発 明 者 ら は 様 々 な 前 立 腺 癌 細 胞 株 を 野 生 型 PMEPA1( 「 wt
40
-PMEPA1」 ) お よ び PMEPA1-PY突 然 変 異 体 の 発 現 ベ ク タ ー で ト ラ ン ス フ ェ ク ト す る こ と に よ
り、コロニー形成アッセイを行った。
【0189】
前 立 腺 癌 細 胞 株 、 す な わ ち LNCaP、 PC3、 お よ び DU145は ATCC( Rockville, MD) か ら 購 入
し 、 供 給 元 に よ っ て 記 載 さ れ た 細 胞 培 養 培 地 で 培 養 し た 。 LNCaP亜 細 胞 株 C4、 C4-2お よ び C
4-2B( Hsiehら 、 Cancer Res., 53: 2852-7, 1993; Thalmannら 、 Cancer Res., 54: 257781, 1994; お よ び Wuら 、 Int. J. Cancer, 77: 887-94, 1998) は Urocor( Oklahoma, OK)
か ら 購 入 し 、 T培 地 ( 5% FBS、 80% DMEM、 20% F12、 5μ g/mlイ ン ス リ ン 、 13.65pg/mlト リ
ヨ ー ド チ ロ ニ ン 、 5μ g/mlア ポ ト ラ ン ス フ ェ リ ン 、 0.244μ g/mlビ オ チ ン 、 25μ g/mlア デ ニ
ン)で培養した。
50
(37)
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【0190】
3μ gの プ ラ ス ミ ド ( PMEPA1-V5-pcDNA3.1ま た は PMEPA1イ ン サ ー ト を 含 ま な い ベ ク タ ー )
を Lipofectamine( Invitrogen, Carlsbad, CA) を 用 い て 3 回 反 復 実 験 で 60-mmペ ト リ 皿 の
50∼ 70% コ ン フ ル エ ン ト 細 胞 に ト ラ ン ス フ ェ ク ト し た 。 腫 瘍 抑 制 遺 伝 子 p53( wt) お よ び m
t p53( R175Hお よ び G245D) も ま た 対 照 と し て 並 行 し て 使 用 し た 。 約 36時 間 後 、 800μ g/ml
( DU145お よ び PC3) ま た は 400μ g/ml( LNCaPお よ び そ の 亜 細 胞 株 ) の G418を 用 い た 選 択 を
開 始 し た 。 G418含 有 培 地 で 細 胞 を 維 持 し 、 培 地 を 3∼ 4日 毎 に 交 換 し た 。 2∼ 4週 間 の 選 択 後
、 細 胞 を 1x PBSで 洗 浄 し 、 1x PBS中 の 2% ホ ル ム ア ル デ ヒ ド で 15分 間 固 定 し 、 1x PBS中 の 0
.5% ク リ ス タ ル バ イ オ レ ッ ト で 15分 間 染 色 し 、 蒸 留 H2 Oで 1∼ 2回 洗 浄 し た 。 各 皿 に お い て
拡 大 せ ず に 肉 眼 で 見 ら れ る コ ロ ニ ー を Open-Lab softwareで 計 数 し た 。
10
【0191】
PMEPA1の コ ロ ニ ー 形 成 能 に 対 す る PYモ チ ー フ 突 然 変 異 の 影 響 を 評 価 す る た め 、 LNCaPお
よ び PC3細 胞 を PMEPA1突 然 変 異 体 、 す な わ ち PMEPA1-PY1m-pcDNA3.1、 PMEPA1-PY2m-pcDNA3.
1、 ま た は PMEPA1-PY1m/PY2m-pcDNA3.1で ト ラ ン ス フ ェ ク ト し た 。 PMEPA1-V5-pcDNA3.1お よ
びインサートを含まない発現ベクターをそれぞれ陽性および陰性対照として用いた。2つ
の独立したコロニー形成アッセイを上述のように行った。
【0192】
図 3 A-Fに 示 さ れ る よ う に 、 前 立 腺 癌 細 胞 株 DU145、 PC3、 LNCaP、 お よ び LNCaP亜 細 胞 株
の コ ロ ニ ー 形 成 能 は セ ン ス 型 の wt-PMEPA1発 現 ベ ク タ ー の ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン に よ っ て
顕 著 に 抑 制 さ れ た 。 こ れ ら の 条 件 下 で 、 wt-p53は 同 様 の 細 胞 増 殖 抑 制 を 示 し た ( デ ー タ は
20
示してない)。
【0193】
2 つ の 独 立 し た 実 験 に お い て 、 PY1モ チ ー フ の 突 然 変 異 は wt-PMEPA1に よ る コ ロ ニ ー 形 成
の 阻 害 を 打 ち 消 す よ う で あ り 、 PMEPA1と NEDD4の 相 互 作 用 お よ び PMEPA1の 生 物 学 的 機 能 に
お け る PY1モ チ ー フ の 役 割 を 強 調 し て い る ( 図 3 G-H) 。 PMEPA1の 増 殖 抑 制 効 果 は PY1モ チ
ー フ と NEDD4 WWド メ イ ン と の 相 互 作 用 に 関 連 し て い る よ う で あ る 。 こ の 解 釈 は 、 wt-PMEPA
1と 比 較 し て PY1モ チ ー フ 突 然 変 異 体 で 明 確 に よ り 多 く の コ ロ ニ ー を 示 す 顕 著 な 観 察 に 基 づ
いている。
【0194】
細 胞 増 殖 解 析 。 前 立 腺 癌 細 胞 に 対 す る PMEPA1の 増 殖 抑 制 効 果 を 更 に 評 価 す る た め 、 安 定
30
な PMEPA1-GFP-Tet LNCaPト ラ ン ス フ ェ ク タ ン ト を 作 製 し た 。 こ れ ら の 細 胞 に お け る PMEPA1
-GFP融 合 タ ン パ ク 質 の 発 現 は 培 地 ( Clontech) 中 の テ ト ラ サ イ ク リ ン に よ っ て 負 に 調 節 さ
れ た 。 細 胞 増 殖 ア ッ セ イ の た め に 、 培 地 中 に 1μ g/mlの テ ト ラ サ イ ク リ ン を 含 む ま た は 含
ま な い 96ウ ェ ル プ レ ー ト に 3,000個 の PMEPA1-GFP-Tet LNCaP細 胞 を 播 種 し た 。 CellTiter 9
6 Aqueous One Solutionキ ッ ト ( Promega, Madison, WI) を 用 い て 、 製 造 メ ー カ ー の 使 用
説明書に従って細胞増殖を測定した。
【0195】
PMEPA1の 増 殖 抑 制 効 果 は 、 外 因 性 PMEPA1が テ ト ラ サ イ ク リ ン の 非 存 在 下 で ア ッ プ レ ギ ュ
レ ー ト さ れ る 安 定 な PMEPA1-GFP-Tet-LNCaP細 胞 の 細 胞 増 殖 特 性 に よ っ て 更 に 確 認 さ れ た 。
テ ト ラ サ イ ク リ ン 陰 性 培 地 で の PMEPA1-GFP-Tet-LNCaP細 胞 の 増 殖 は 、 テ ト ラ サ イ ク リ ン 陽
40
性 培 地 で の PMEPA1-tet LNCaPト ラ ン ス フ ェ ク タ ン ト の そ れ よ り 著 し く 遅 い ( 図 5 ) 。 PMEP
A1過 剰 発 現 を 伴 う LNCaP細 胞 は ま た RBリ ン 酸 化 の 増 加 を 示 し 、 こ れ に よ り PMEPA1の 細 胞 増
殖抑制効果が更に確認された(データは示してない)。
【0196】
PMEPA1は LNCaPお よ び そ の 亜 細 胞 株 ( C4、 C4-2お よ び C4-2B) を 含 む ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体
陽 性 前 立 腺 癌 細 胞 株 に お い て 発 現 さ れ る 。 LNCaP細 胞 の 増 殖 は ア ン ド ロ ゲ ン 依 存 性 で あ る
。 LNCaP亜 細 胞 株 の 増 殖 は ア ン ド ロ ゲ ン 非 依 存 性 で あ る が 、 ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 は そ れ ら
の 増 殖 に 重 要 で あ る ( Zegarra-Moroら 、 Cancer Res., 62: 1008-1013, 2002) 。 本 発 明 者
ら は 、 LNCaPお よ び そ の 亜 細 胞 株 を PMEPA1発 現 ベ ク タ ー で ト ラ ン ス フ ェ ク ト す る こ と に よ
る PMEPA1の 過 剰 発 現 が 細 胞 増 殖 を 顕 著 に 抑 制 す る こ と を 観 察 し た 。 本 発 明 者 ら の 予 備 的 な
50
(38)
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観 察 は 、 LNCaP細 胞 で の PMEPA1過 剰 発 現 が 結 果 と し て ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 下 流 遺 伝 子 の 発
現 を 変 化 さ せ る こ と を 示 し た の で ( Xuら 、 未 発 表 デ ー タ ) 、 本 発 明 者 ら は 、 LNCaPお よ び
そ の 亜 細 胞 株 で の PMEPA1の 増 殖 抑 制 効 果 は ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 機 能 に 影 響 を 及 ぼ す こ と を
通じて直接的または間接的に媒介されうるという仮説を立てた。アンドロゲン受容体陽性
前 立 腺 癌 細 胞 株 に 対 す る 増 殖 抑 制 効 果 に 関 わ ら ず 、 PMEPA1は ま た ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 陰 性
前 立 腺 腫 瘍 細 胞 DU145お よ び PC3の 増 殖 を 抑 制 す る こ と も 見 い だ さ れ 、 こ の こ と は 、 DU145
お よ び PC3に 対 す る PMEPA1の 増 殖 抑 制 効 果 が 、 例 え ば PMEPA1に よ る 他 の 核 内 ス テ ロ イ ド 受
容 体 の 調 節 の よ う な 代 替 機 構 を 通 じ て 仲 介 さ れ う る こ と を 示 唆 し た 。 と は い え 、 PMEPA1に
よ る 前 立 腺 癌 細 胞 増 殖 の 抑 制 は 、 PMEPA1が 前 立 腺 癌 の 発 生 ・ 進 行 の 制 御 に 関 係 し て い る こ
とを示す。
10
【0197】
実施例8
前 立 腺 腫 瘍 組 織 で の PMEPA1発 現 の 低 下
本 発 明 者 ら は ま た 、 前 立 腺 癌 の 臨 床 病 理 学 的 な 特 性 と PMEPA1発 現 の 変 化 と の 関 係 を 評 価
した。
【0198】
前 立 腺 組 織 標 本 、 レ ー ザ ー キ ャ プ チ ャ ー マ イ ク ロ ダ イ セ ク シ ョ ン ( LCM) お よ び 定 量 RTPCR( QRT-PCR) ア ッ セ イ
一 対 の 前 立 腺 癌 お よ び 正 常 組 織 は 、 ( IRB治 験 審 査 委 員 会 に 認 可 さ れ た 手 続 き の も と で
) Walter Reed Army Medical Centerで 治 療 さ れ た 62人 の CaP患 者 か ら の 前 立 腺 全 摘 出 術 標
20
本 に 由 来 す る も の で あ っ た 。 標 本 採 取 の 手 順 は 以 前 に 記 載 さ れ て い る ( Xuら 、 Cancer Res
. 60: 6568-6572, 2000) 。 10ミ ク ロ ン の 凍 結 切 片 を 調 製 し て 、 -70℃ で 保 存 し た 。 各 患 者
か ら 、 組 織 学 的 に 正 常 な 前 立 腺 上 皮 細 胞 お よ び 前 立 腺 腫 瘍 細 胞 を 、 LCM装 置 を 用 い て 製 造
メ ー カ ー ( Arcturus Engineering, Mountain View, CA) に よ り 提 供 さ れ た プ ロ ト コ ル に
従い採取した。
【0199】
以 前 に 記 載 さ れ た よ う に ( Xuら 、 Cancer Res. 60: 6568-6572, 2000) 、 採 取 し た 正 常
お よ び 腫 瘍 前 立 腺 上 皮 細 胞 か ら 全 RNAを 調 製 し 、 蛍 光 光 度 計 ( Bio-Rad, Hercules, CA) で
定 量 し た 。 対 に な っ た 正 常 お よ び 腫 瘍 細 胞 由 来 の 0.1 ngの 全 RNAを 用 い て QRT-PCRを 行 っ た
。 PMEPA1を 増 幅 す る が STAG1( PMEPA1の 選 択 的 ス プ ラ イ シ ン グ 型 ; Raeら 、 Mol. Carcinog.
30
, 32: 44-53, 2001) は 増 幅 し な い PMEPA1 PCRプ ラ イ マ ー を 慎 重 に 設 計 し た 。 そ の PCRプ ラ
イマーは、
5'-CATGATCCCCGAGCTGCT-3'( 配 列 番 号 12) お よ び
5'-TGATCTGAACAAACTCCAGCTCC-3'( 配 列 番 号 13) で あ り 、
標識プローブは、
5'-AGGCGGACAGTCTCCTGCGAAAC-3'( 配 列 番 号 14) で あ っ た 。
【0200】
内 部 対 照 と し て GAPDH遺 伝 子 発 現 を 検 出 し た ( PE Applied Biosystems, Foster, CA) 。
製 造 メ ー カ ー の 推 奨 す る 一 般 的 な 試 薬 、 PMEPA1ま た は GAPDHの 適 切 な プ ラ イ マ ー お よ び プ
ロ ー ブ を 含 む 50μ l容 量 で 、 7700 sequence detection system( PE Applied Biosystems,
40
Foster, CA) を 用 い て 、 3 回 反 復 実 験 ( 1 回 は RTを 欠 き 、 2 回 は RTを 含 む ) で 対 の サ ン プ
ルを増幅した。
【0201】
結 果 は 、 各 2 回 反 復 サ ン プ ル の 平 均 サ イ ク ル 閾 値 ( cT) か ら GAPDHの 2 回 反 復 平 均 cT値
を 引 い た 値 と し て プ ロ ッ ト し た 。 2exp(cTt u m o r -cTn o r m a l )を 用 い て 対 に な っ た 腫 瘍 ( T)
サ ン プ ル と 正 常 ( N) サ ン プ ル 間 の 差 異 を 計 算 し 、 発 現 の 変 化 倍 率 と し て 表 し た 。 更 に PME
PA1の 発 現 状 態 を 下 記 の い ず れ か に 分 類 し た 。 す な わ ち 、 1) 対 に な っ た 正 常 組 織 と 比 較 し
て 1+( 1.5∼ 3倍 ) 、 2+( 3.1∼ 10倍 ) 、 3+( 10.1∼ 20倍 ) お よ び 4+( >20倍 ) の 発 現 増 加 と
し て 定 義 さ れ る 、 腫 瘍 組 織 で の 過 剰 発 現 ( T>N) ; 2) 対 に な っ た 正 常 組 織 と 比 較 し て 1-(
1.5∼ 3倍 ) 、 2-( 3.1∼ 10倍 ) 、 3-( 10.1∼ 20倍 ) お よ び 4-( >20倍 ) の 発 現 低 下 と し て 定
50
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義 さ れ る 、 腫 瘍 組 織 で の 発 現 低 下 ( T<N) ; ま た は 3) 0( <1.5倍 ) と 定 義 さ れ る 変 化 な し
( T=N) 。 腫 瘍 /正 常 対 の 標 本 の 1 つ に お い て 検 出 可 能 な PMEPA1発 現 は 、 発 現 増 加 に つ い て
4+、 発 現 低 下 に つ い て 4-と し て 記 録 さ れ た も の は な か っ た 。
【0202】
SPSSソ フ ト ウ ェ ア パ ッ ケ ー ジ を 用 い て 統 計 解 析 を 行 っ た 。 PMEPA1発 現 と 臨 床 病 理 学 的 な
特 性 と の 関 連 は カ イ 二 乗 検 定 を 用 い て 解 析 さ れ た 。 PSA再 発 フ リ ー 生 存 デ ー タ を 表 す た め
に カ プ ラ ン ・ マ イ ヤ ー 曲 線 を 適 用 し た 。 0.05未 満 の p値 を 統 計 的 に 有 意 で あ る と 見 な し た
。
【0203】
原 発 性 前 立 腺 癌 の 全 体 的 な PMEPA1発 現 パ タ ー ン は 下 記 の 表 3 に 示 さ れ る 。
10
【表3】
20
【0204】
腫 瘍 細 胞 お よ び 正 常 細 胞 間 の PMEPA1発 現 の 比 較 は 、 64.5% の 腫 瘍 標 本 ( 62の う ち 40) で
腫 瘍 細 胞 に 関 連 し た 発 現 低 下 ( T<N) を 示 し 、 16.1% の 標 本 ( 62の う ち 10) で 発 現 増 加 ( T
>N) 、 19.4% の 標 本 ( 62の う ち 12) で 変 化 な し ( T=N) を 示 し た 。 こ れ ら の 発 現 パ タ ー ン
を 器 官 限 局 性 ( pT2) お よ び 器 官 非 限 局 性 ( pT3) 疾 患 に 階 層 化 し た 場 合 、 pT2( 48% ) に
対 し て pT3( 74% ) に お い て よ り 高 い 割 合 の PMEPA1低 下 が 見 ら れ た 。 T>N群 は 少 数 の 症 例 で
30
あ る の で 、 本 発 明 者 ら は T>N群 と T=N群 を 一 体 化 し た ( T> N群 ) 。 下 記 の 表 4 に 示 す よ う に
、 T<N群 お よ び T> N群 間 で の 臨 床 病 理 学 的 な パ ラ メ ー タ ー の 比 較 は 、 T<N群 が pT3腫 瘍 を 有
す る 患 者 の 有 意 に 高 い 割 合 を 占 め ( p=0.035) 、 こ の 群 の よ り 多 く の 患 者 が よ り 高 い 術 前
血 清 前 立 腺 特 異 的 抗 原 ( PSA) レ ベ ル を 持 つ ( p=0.023) こ と を 示 し た 。
【表4】
40
【0205】
PMEPA1発 現 に つ い て 腫 瘍 を 解 析 し た 62人 の 患 者 の う ち 、 14人 の 患 者 は 、 前 立 腺 切 除 後 0.
2 ng/mlと 同 等 ま た は そ れ よ り 高 い 血 清 PSAレ ベ ル に よ り 定 義 さ れ る 、 前 立 腺 癌 の 再 発 を 示
50
(40)
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し た 。 14人 の 患 者 の う ち 、 11人 は 腫 瘍 に 関 連 し た PMEPA1発 現 の 低 下 を 示 し た ( 78.5% ) 。
統 計 解 析 が た と え 有 意 差 を 示 さ な く と も 、 PMEPA1発 現 の 低 下 は よ り 高 い 再 発 率 お よ び よ り
短い術後再発期間と関連しているようである。有意差がないのは患者数が少ないためであ
る可能性がある。
【0206】
参照により本明細書に組み入れられる本明細書に引用された文献の教示に照らして、本
明細書は最もよく理解される。本明細書中の実施形態は本発明の実施形態の例示を提供す
るものであり、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。当業者であれば、他
の多くの実施形態が本発明に包含されることを容易に認識できるだろう。
【図面の簡単な説明】
10
【0207】
【 図 1 】 PMEPA1の ア ン ド ロ ゲ ン 依 存 性 発 現 を 示 す 。 そ れ は 、 様 々 な 持 続 時 間 で の R1881(
ア ン ド ロ ゲ ン ) 処 理 を 行 っ た ま た は 行 わ な い LNCaP細 胞 に 由 来 す る mRNAを 用 い た 、 PMEPA1
プ ロ ー ブ に よ る ノ ー ザ ン ブ ロ ッ ト 解 析 を 示 す 。 ア ン ド ロ ゲ ン 依 存 性 の LNCaP細 胞 と 比 較 し
て 、 ア ン ド ロ ゲ ン 非 依 存 性 の 前 立 腺 癌 細 胞 株 DU145お よ び PC3は 非 常 に 低 い レ ベ ル か ら 検 出
不 能 な レ ベ ル ま で の PMEPA1し か 発 現 し な か っ た ( 図 示 し て な い ) 。
【 図 2 】 PMEPA1お よ び GAPDHプ ロ ー ブ を 用 い て ハ イ ブ リ ダ イ ズ し た 多 様 な 組 織 の ノ ー ザ ン
ブ ロ ッ ト を 示 し 、 PMEPA1が 前 立 腺 に お い て 高 レ ベ ル で 発 現 す る こ と を 示 す 。 矢 印 は PMEPA1
転 写 産 物 の 2つ の 変 異 型 を 示 す 。 試 験 し た 23の 組 織 の う ち 、 前 立 腺 は 最 も 高 い PMEPA1発 現
を示した。
20
【 図 3 A − B 】 コ ロ ニ ー 形 成 に 対 す る PMEPA1の 効 果 を 示 す 。 前 立 腺 癌 細 胞 株 : C4( 図 3 A
) お よ び C4-2( 図 3 B) を 、 3回 反 復 実 験 で 、 各 々 3μ gの PMEPA1-V5-pcDNA3.1( PMEPA1) お
よ び pcDNA3.1ベ ク タ ー ( ベ ク タ ー ) で ト ラ ン ス フ ェ ク ト し た 。 ト ラ ン ス フ ェ ク ト し た 細 胞
を プ ラ ス ミ ド 含 有 細 胞 に つ い て G418で 3週 間 選 択 し 、 生 存 細 胞 を 固 定 し て 、 ク リ ス タ ル バ
イオレットで染色した。各実験において、培養皿当たりのコロニー数を数え、ヒストグラ
ム と し て 表 し 、 3回 反 復 実 験 の 平 均 コ ロ ニ ー 数 ± SDを 示 し た 。 各 々 の 細 胞 株 に つ い て 、 3μ
gの 各 プ ラ ス ミ ド で 処 理 し た 細 胞 の 1つ の 培 養 皿 の 写 真 も 示 し た 。
【 図 3 C − D 】 コ ロ ニ ー 形 成 に 対 す る PMEPA1の 効 果 を 示 す 。 前 立 腺 癌 細 胞 株 : C4-2B( 図
3 C) お よ び LNCaP( 図 3 D) を 、 3回 反 復 実 験 で 、 各 々 3μ gの PMEPA1-V5-pcDNA3.1( PMEPA1
) お よ び pcDNA3.1ベ ク タ ー ( ベ ク タ ー ) で ト ラ ン ス フ ェ ク ト し た 。 ト ラ ン ス フ ェ ク ト し た
30
細 胞 を プ ラ ス ミ ド 含 有 細 胞 に つ い て G418で 3週 間 選 択 し 、 生 存 細 胞 を 固 定 し て 、 ク リ ス タ
ルバイオレットで染色した。各実験において、培養皿当たりのコロニー数を数え、ヒスト
グ ラ ム と し て 表 し 、 3回 反 復 実 験 の 平 均 コ ロ ニ ー 数 ± SDを 示 し た 。 各 々 の 細 胞 株 に つ い て
、 3μ gの 各 プ ラ ス ミ ド で 処 理 し た 細 胞 の 1つ の 培 養 皿 の 写 真 も 示 し た 。
【 図 3 E − F 】 コ ロ ニ ー 形 成 に 対 す る PMEPA1の 効 果 を 示 す 。 前 立 腺 癌 細 胞 株 : DU145( 図
3 E) お よ び PC3( 図 3 F) を 、 3回 反 復 実 験 で 、 各 々 3μ gの PMEPA1-V5-pcDNA3.1( PMEPA1)
お よ び pcDNA3.1ベ ク タ ー ( ベ ク タ ー ) で ト ラ ン ス フ ェ ク ト し た 。 ト ラ ン ス フ ェ ク ト し た 細
胞 を プ ラ ス ミ ド 含 有 細 胞 に つ い て G418で 3週 間 選 択 し 、 生 存 細 胞 を 固 定 し て 、 ク リ ス タ ル
バイオレットで染色した。各実験において、培養皿当たりのコロニー数を数え、ヒストグ
ラ ム と し て 表 し 、 3回 反 復 実 験 の 平 均 コ ロ ニ ー 数 ± SDを 示 し た 。 各 々 の 細 胞 株 に つ い て 、 3
40
μ gの 各 プ ラ ス ミ ド で 処 理 し た 細 胞 の 1つ の 培 養 皿 の 写 真 も 示 し た 。
【 図 3 G − H 】 コ ロ ニ ー 形 成 に 対 す る PMEPA1の 効 果 を 示 す 。 別 の 実 験 に お い て 、 LNCaP(
図 3 G) お よ び PC3( 図 3 H) 細 胞 を 、 対 照 ベ ク タ ー ま た は wt-PMEPA1も し く は PMEPA1-PY突
然 変 異 体 を コ ー ド し て い る 発 現 ベ ク タ ー 、 す な わ ち 、 1. PMEPA1-V5-pcDNA3.1、 2. PMEPA1
-PY1m-pcDNA3.1、 3. PMEPA1-PY2m-pcDNA3.1、 4. PMEPA1-PY1m/PY2m-pcDNA3.1、 お よ び 5.
pcDNA3.1で ト ラ ン ス フ ェ ク ト し た 。 ト ラ ン ス フ ェ ク ト し た 細 胞 を プ ラ ス ミ ド 含 有 細 胞 に つ
い て G418で 3週 間 選 択 し 、 生 存 細 胞 を 固 定 し て 、 ク リ ス タ ル バ イ オ レ ッ ト で 染 色 し た 。 各
実 験 に お い て 、 培 養 皿 当 た り の コ ロ ニ ー 数 を 数 え 、 ヒ ス ト グ ラ ム と し て 表 し 、 3回 反 復 実
験 の 平 均 コ ロ ニ ー 数 ± SDを 示 し た 。 各 々 の 細 胞 株 に つ い て 、 3μ gの 各 プ ラ ス ミ ド で 処 理 し
た 細 胞 の 1つ の 培 養 皿 の 写 真 も 示 し た 。
50
(41)
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【 図 4 】 図 4 Aは 、 ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 調 節 性 遺 伝 子 に 対 す る ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 お よ び
そ の 機 能 上 の 結 果 の PMEPA1介 在 ダ ウ ン レ ギ ュ レ ー シ ョ ン を 示 す 。 PMEPA1-GFPお よ び pEGFP
( 対 照 ) プ ラ ス ミ ド で 安 定 的 に ト ラ ン ス フ ェ ク ト し た LNCaP細 胞 を 、 cFBSを 含 む 培 地 で 5日
間 培 養 し 、 そ の 後 、 0.1 nMの R1881で 刺 激 し た 。 ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ テ ィ ン グ の た め に ア ン
ド ロ ゲ ン 刺 激 後 0、 12お よ び 24時 間 で 細 胞 を 回 収 し た 。 ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 、 PSA、 PSMAお
よびチューブリンに対する抗体を用いて、ウェスタンブロッティングで対応するタンパク
質 を 検 出 し た 。 図 4 Bは 、 PMEPA1が ユ ビ キ チ ン -プ ロ テ ア ソ ー ム 経 路 に 対 す る 非 特 異 的 な
PMEPA1誘 導 性 の 効 果 を 介 し て ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 発 現 を 減 少 さ せ る の で は な い こ と を 示 す
。 安 定 な PMEPA1-GFP-Tet-LNCaPト ラ ン ス フ ェ ク タ ン ト ( Tet-off系 ) を 、 テ ト ラ サ イ ク リ
ン を 含 む ま た は 含 ま な い 適 切 な 培 地 で 10日 間 培 養 し 、 免 疫 ブ ロ ッ テ ィ ン グ に 用 い た 。 ア ン
10
ド ロ ゲ ン 受 容 体 、 GFP、 p27お よ び チ ュ ー ブ リ ン に 対 す る 抗 体 を 用 い て 、 対 応 す る タ ン パ ク
質を検出した。
【 図 5 】 細 胞 増 殖 に 対 す る PMEPA1の 効 果 を 示 す 。 安 定 な PMEPA1-GFP-Tet-LNCaPト ラ ン ス フ
ェ ク タ ン ト を 、 96ウ ェ ル プ レ ー ト 中 の 1μ g/mlの テ ト ラ サ イ ク リ ン を 含 む ま た は 含 ま な い
培 地 に 播 種 し た 。 細 胞 増 殖 は 表 示 さ れ た 時 間 に CellTiter 96 Aqueous One Solutionキ ッ
ト を 用 い て 測 定 し た 。 Tet+お よ び Tet-は そ れ ぞ れ テ ト ラ サ イ ク リ ン を 含 む ま た は 含 ま な い
細 胞 培 養 培 地 を 表 す 。 細 胞 数 を 反 映 す る OD値 は 1日 目 を 除 い て 2群 間 で 有 意 に 異 な る ( p<0.
01) 。
【 図 6 】 NEDD4タ ン パ ク 質 へ の PMEPA1の 結 合 を 規 定 す る 。 発 現 プ ラ ス ミ ド 、 す な わ ち 、 PME
PA1-V5-pcDNA3.1( レ ー ン 1、 5) 、 PMEPA1-PY1m-pcDNA3.1( レ ー ン 2、 6) 、 PMEPA1-PY2m-p
20
cDNA3.1( レ ー ン 3、 7) お よ び PMEPA1-PY1m/PY2m-pcDNA3.1( レ ー ン 4、 8) に 由 来 す る in v
itro転 写 /翻 訳 産 物 ( [
3 5
S]メ チ オ ニ ン 標 識 溶 解 液 ) を GST-NEDD4-WW-セ フ ァ ロ ー ス ビ ー ズ
( レ ー ン 1∼ 4) ま た は 対 照 GSTビ ー ズ ( レ ー ン 5∼ 8) と 共 に イ ン キ ュ ベ ー ト し 、 GST-NEDD4
-WW-セ フ ァ ロ ー ス ビ ー ズ に 結 合 し た [
3 5
S]メ チ オ ニ ン 標 識 タ ン パ ク 質 を サ ン プ ル バ ッ フ ァ
ー で 可 溶 化 し 、 SDS-PAGEゲ ル に よ っ て 分 離 し た 。 レ ー ン 1∼ 4の サ ン プ ル に 相 当 す る 等 量 の
[
3 5
S]メ チ オ ニ ン 溶 解 液 を GSTプ ル ダ ウ ン せ ず に SDS-PAGEゲ ル で 泳 動 し た ( レ ー ン 9∼ 12)
。
【 図 7 】 免 疫 沈 降 ア ッ セ イ を 示 す 。 293細 胞 を 、 NEDD4-GFPお よ び 以 下 の 融 合 タ ン パ ク 質 の
1 つ 、 す な わ ち 、 PMEPA1-V5( レ ー ン 1) 、 PMEPA1-PY1m-V5( レ ー ン 2) 、 PMEPA1-PY2m-V5
( レ ー ン 3) ま た は PMEPA1-PY1m/PY2m-V5( レ ー ン 4) を コ ー ド す る 発 現 ベ ク タ ー で 共 ト ラ
ン ス フ ェ ク ト し た 。 各 群 の 細 胞 溶 解 液 を 抗 GFP抗 体 で 免 疫 沈 降 し 、 そ の 後 、 免 疫 ブ ロ ッ テ
ィ ン グ に 供 し た ( ブ ロ ッ ト a) 。 免 疫 沈 降 し な い 各 群 の 細 胞 溶 解 液 も ま た 、 対 照 と し て 免
疫 ブ ロ ッ テ ィ ン グ に 供 し た ( ブ ロ ッ ト bお よ び c) 。 ブ ロ ッ ト aお よ び bは 抗 V5抗 体 に よ り 検
出 し 、 ブ ロ ッ ト cは 抗 GFP抗 体 に よ り 検 出 し た 。
【配列表】
30
(42)
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10
20
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(43)
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(44)
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10
20
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(47)
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10
【図1】
【図2】
(48)
【図3A−B】
【図3C−D】
【図3E−F】
【図3G−H】
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(49)
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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(50)
【国際調査報告】
JP 2006-508031 A 2006.3.9
(51)
JP 2006-508031 A 2006.3.9
(52)
JP 2006-508031 A 2006.3.9
フロントページの続き
(51)Int.Cl.
FI
C07K 14/47
C12Q 1/68
G01N 33/15
G01N 33/50
G01N 33/574
C12N 15/09
テーマコード(参考)
(2006.01)
(2006.01)
C07K 14/47
4H045
C12Q
1/68
A
(2006.01)
(2006.01)
G01N 33/15
Z
G01N 33/50
Z
(2006.01)
(2006.01)
G01N 33/574
A
C12N 15/00
A
(81)指定国 AP(GH,GM,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,
BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IT,LU,MC,NL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,
GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,
EC,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,M
W,MX,MZ,NI,NO,NZ,OM,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW
(72)発明者 スリヴァスタヴァ,シヴ
アメリカ合衆国 20814 メリーランド州,ポトマック,メープルクレスト ドライブ 13
216
(72)発明者 モウル,ジャッド,ダブリュ.
アメリカ合衆国 20817 メリーランド州,ベセスダ,ホーリー リーフ レーン 8917
(72)発明者 シュ,リンダ,エル.
アメリカ合衆国 20850 メリーランド州,ロックヴィル,バイレイ ドライブ 13509
Fターム(参考) 2G045 AA26 AA40 DA12 DA36 DA78 FB02 FB03
4B024 AA01 AA11 CA01 CA11 GA11 GA25 HA01 HA11
4B063 QA01 QA19 QQ53 QR08 QR42 QR55 QR62 QS25 QS34 QS36
QX02
4C084 AA02 AA13 BA01 BA02 BA08 BA22 BA23 CA53 CA56 DA27
NA14 ZA812 ZB262
4C087 AA01 AA02 BC83 MA02 NA13 NA14 ZA81 ZB26
4H045 AA30 CA40 EA28 EA50 FA72 FA74
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