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5.20歳代、30歳代からの 生活習慣改善支援の必要性

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5.20歳代、30歳代からの 生活習慣改善支援の必要性
5.20歳代、30歳代からの
生活習慣改善支援の必要性
平成20年度から、新たに各医療保険者に対して、40歳から74歳までの被保険者・
被扶養者を対象とした、メタボリックシンドロームの概念を導入した特定健康診査・特
定保健指導が義務づけられたところであり、40歳未満を中心としたポピュレーション
アプローチとしてのメタボリックシンドローム予防対策が急務となっています。
本県では、県民健康栄養調査結果より、40歳未満である20歳∼30歳代において、
他の年代と比較すると、野菜の摂取量が低く、朝食欠食率が高い、運動習慣者が少ない
等の現状があり、さらに、40歳代∼50歳代と比較して、適正体重に対する認知
や、食生活の改善、運動習慣等に関して意識の低い人が多いこと等がわかりまし
た。
こうしたことから、本県では、20歳代∼30歳代の方をターゲットとしたメタボリ
ックシンドローム予防を推進するため、主に食生活・運動の面からの生活習慣改善支援
を実施することとしました。
不 適切 な 生 活 習 慣
(過栄養、
運動不足など )
ター ゲ ット
2 0 歳 代 から 3 0歳 代 の
若 年 期 層 を対 象 に
食 生 活 ・ 運動 の 面か ら の
生 活 習 慣 改善 支 援
を実施
内 臓脂 肪 型 肥 満
代謝の異常
高血糖
高血圧
脂質異常
放 置すると
生活習慣病 へ
脳卒中、心疾 患(心筋梗塞 等)
糖尿病等へと 進展
- 39 -
6.
20歳代、30歳代への
生活習慣改善支援について
∼見て、気づき、そして行動へ∼
本県の現状や課題を踏まえ、20歳代、30歳代の方が、生涯にわたって健康で生き
生きと過ごすことができるよう、食生活・運動分野において実践してほしい4つの重点
項目を以下に示しました。
【実践してほしい4つの重点項目】
○栄養バランスのよい適量な食事をとろう!
○もっと野菜を食べるようにしよう!
○朝食欠食をなくそう!
○今よりも身体活動量や運動量をふやす工夫をしよう!
これらが実践できるための支援を、下記の手順に沿って実施しましょう!
【支援の手順】
ステップ
1.確認ステップ
(P41∼)
主なポイント
対象者の現在の生活習慣改善に対する関心度(変容ステージ)を
把握しましょう!
変容ステージ別の心理的特徴や支援ポイントを確認しましょう!
2.必修ステップ
(P45∼)
対象者の食生活・運動等に関する意識・知識がどの程度であるか、
把握しましょう!
3.実践ステップ
(P47∼)
対象者の食生活・運動等に関する意識・知識を高め、生活習慣改
善行動・実践へ移せるための支援をしましょう!
- 40 -
LESSON
1
確認ステップ
対象者の現在の生活習慣改善に対する
関心度(変容ステージ)を把握しましょう!
【変容ステージの判定】
人が自発的に望ましい生活習慣を身につけるためには、以下に示す5つの段階(変容
ステージ)があることがプロチャスカらによって提唱されました。生活習慣を変えるた
めに用いる方法は、ある変容ステージにいる人には有効であっても、別の変容ステージ
にいる人には、有効でないばかりか、むしろ害になる場合があります。
支援を始める前に、まず、対象者、対象集団がどの変容ステージにいるか、対象集団
には、どの変容ステージにいる人が多いのかを見極めることが重要です。
いいえ
生活習慣を改善する
ために、毎日決めて
やっていることがある
いいえ
生活習慣を改善する
ために、近いうちに
始めようと思っている いいえ
今は何もしていないが、
ことがある。または、
自分の健康には関心
試しや何度かやった
があり、生活習慣を改
ことがある。
善したいと思っている。
無関心期
(前熟考期)
関心期
(熟考期)
はい
はい
準 備 期
はい
生活習慣改善のため
に決めたことを6か月
以上続けている。
いいえ
はい
- 41 -
実 行 期
維 持 期
各変容ステージの心理的特徴と支援方法
1)無関心期(前熟考期)
段階
・自分の生活習慣に問題があることを否定し、現在の生活習慣を変える意図が
ない段階にあります。
心理的特徴
・周囲の忠告に抵抗し、
「大きなお世話だ」と考えています。
課題
・自分の生活習慣に問題があることを理解し、問題から目をそむけていること
に気づくことが必要です。
支援方法
・無関心期から関心期へ進むためには、問題行動を変えることの良い面に対す
る認識を高めることが有効です。
・そのためには、
「今の生活習慣を続けると将来どうなるのか」
、
「将来、自分は
どうなりたいのか」について一緒に考えてみることが大事です。
・考える材料として、脳卒中や心筋梗塞などの何十年後かに起こる病気と現在
の生活習慣の関係に関する正しい情報を提供することが重要です。
・否定的な動機は長続きしないことから、
「∼したくないから」ではなく「∼し
たいから」というように考えてもらいましょう。
・この段階の人に対して、過剰に介入することは抵抗を生みますが、放置する
ことはその人の行動を容認することにつながる可能性がありますので注意を
要します。
2)関心期(熟考期)
段階
・自分の生活習慣に問題があることに気付いていて、生活習慣を変える方が良
いと考え始め、近い将来(通常 6 か月以内)に生活習慣を変える意図はある
が、実際には、まだ何もしていない段階にあります。
心理的特徴
・自分に問題があることを認め、真剣に解決しようとしています。
・自分がとるべき行動について漠然とした計画(半年以内)を持っていますが、
まだ準備ができていないと考えています。
・しかし、変わりたいと思いながら、失敗するかもしれないという不安、恐怖
があり、無意識に行動変容に抵抗するなど心理的葛藤があります。
・また、早まった行動をとり、行動変容に失敗したことを正当化したり、劇的
な解決方法を探し続けたりします。
・将来のより良い自分より、現在の慣れ親しんだ自分を好む傾向があり、しば
しば、長期間(数年)熟考期にとどまっていることがあります。
課題
・問題行動について意識を高め、行動変容することの価値について個人的に確
信する必要があります。
支援方法
・
「自分はどうしたいか?」
、
「自分はどうなりたいか?」など目標を明確にする
よう支援します。
・自分の行動について、以下のツールを使って正しいデータを収集することを
支援します。
○自己記録表によるモニタリング
問題行動の直前と直後の出来事を思い出して書き出してもらいます。
3)準備期
段階
心理的特徴
課題
・望ましいと考えている生活習慣を 1 ヵ月以内に始めることを計画し、そのた
めの準備を行っている段階にあります。
・意識は高く、行動の後に得られる結果もはっきり予測していますが、関心期
の心理的葛藤は持続しています。
・行動変容への決意と自信を深め、行動の継続を妨げる要因を想定し、それを
解決する方法や心構えをしっかりしておく必要があります。
- 42 -
支援方法
4)実行期
段階
心理的特徴
課題
支援方法
・行動変容を容易にする特効薬などはなく、真の行動変容には痛みが伴い、努
力が必要であることを、本人が覚悟できるように援助します。
・準備期から実行期へ進むためには、行動を起こすことによって生じる悪い面
に対する認識を少なくさせることが有効なので、思考を過去から未来へ向け、
変わることへの決意と自信を深めるよう支援します。
・コミットメント(行動する意欲を持つことに加えて、行動変容する能力があ
ると信じること)により、意欲と信念が意思を強化します。
・行動変容を促進する 5 つのテクニック
①小さな一歩を踏み出す。
(ささやかだが、必要不可欠なステップ)
②行動開始日を設定する。
(一度決めたら延期しない)
③公表する。
(勇気を持つ)
④行動変容することを最優先する。
(周囲の援助)
⑤自分のための行動計画を作る。
(具体的な計画)
・望ましいと考えている生活習慣を開始して 6 か月以内の段階にあります。
・行動変容が達成されたと勘違いすることがあります。
・意欲は高いですが、実行していることについて周りからの励ましがないと、
落胆することがあります。
・意欲を低下させないこと、十分に心身の休養をとること、周りから得られる
支援を最大限に有効利用することが必要です。
・行動だけでなく、意識、セルフイメージ、考え方を、状況に応じて適切なも
のに変える必要があります。
・ステージの進行を抑制する要因には、以下の 5 つがあります。
①準備の軽視
②簡単すぎる行動計画(真の行動変容には努力が必要)
③「特効薬」という神話
④同じことをさらに続けること(同じ苦痛をさらに味わう)
⑤エネルギーの枯渇
・報酬や罰により、良い行動を増やし、悪い行動を減らすことにより自己強化
するように支援します。
・問題のきっかけになる刺激を避け、健康行動をとるきっかけとなる刺激を増
やす刺激統制についてアドバイスします。
・ストレスマネジメントの必要性と方法について支援します。
5)維持期
段階
・望ましいと考えている生活習慣を 6 か月以上継続している段階にあります。
心理的特徴
・問題行動を克服できたという自信過剰が出現します。
・自信過剰は日々の誘惑を生み出し、逆戻りしやすくします。
課題
・実行期とは異なる、新しい状況での課題解決方法を学ぶ必要があります。
支援方法
・これまでの取組を振り返り、困難を乗り越え達成したことを誇りに思うこと
で、決意を新たにできるようにします。
・獲得した健康行動は、今でも簡単にやめる可能性があることを自覚し、自信
過剰にならないように支援します。
- 43 -
ちょっと一息
どの変容ステージの人が多いのでしょうか??
∼企業で働く方及び大学生の生活習慣等に関する質問調査結果より∼
問)最近6か月間に、生活習慣(食事、運動、睡眠)を変えましたか?
□変えようと考えたことはない
□変えたいが何もしていない
□変えようと実践中
□変えた
□変えたが元に戻った
結果)
行動変容ステージ
無関心期(前熟考期)
関心期(熟考期)
準備期
実行期
維持期
質問回答項目
変えようと考えたことはない
変えたいが何もしていない
変えたが元に戻った
変えようと実践中
変えた
企業従事者
31.0%
39.8%
3.1%
16.4%
8.2%
大学生
23.0%
39.2%
3.9%
21.9%
8.0%
企業で働く方及び大学生のどちらも、変えたいが何もしていない関心期(熟考期)の
人が最も多い状況となっています。
無関心期(前熟考期)、関心期(熟考期)を合わせると、企業で働く方では、約7割、
大学生では、約6割の方がこの変容ステージにいるという結果でした。
もしも、これらの人が、自分の健康について関心を持ち、健康意識が高まり、行動変
容のための実践へと移せたら、どんな影響がでるでしょうか??
私たち支援者は、特に無関心期、関心期の方をターゲットに生活習慣改善支援を行う
ことが効果的であるといえます。
- 44 -
LESSON
2
必修ステップ
~実践ステップに入る前に、
必ずこのステップを行いましょう~
対象者の現在の意識や基本的知識等を把握しましょう!
性別
年代
氏名
男性・女性
20歳代・30歳代・40歳代・その他(
【
】
歳代)
最近6か月間に、生活習慣(食生活、運動)を変えましたか。当てはまる番号に○をつ
けてください。
1.変えようと考えたことはない 2.変えたいが何もしていない
3.変えようと実践中
4.変えた
5.変えたが元に戻った
【意識と実践のチェック】
次の生活習慣について、健康に関係があると思いますか。あなたの気持ちに近い番号
の欄1つに○を記入してください。
① 強く思う
② そう思う
③ あまり
④ 思わない
思わない
1.適正な睡眠時間をとる
2.喫煙をしない
3.適正体重を維持する
4.過度の飲酒をしない
5.定期的に運動をする
6.朝食を毎日食べる
7.間食をしない
また、あなたの実際の生活習慣について実践している場合は○を、していない場合は
×を記入してください。
実践の有無
1.適正な睡眠時間をとる
2.喫煙をしない
3.適正体重を維持する
4.過度の飲酒をしない
5.定期的に運動をする
6.朝食を毎日食べる
7.間食をしない
- 45 -
【基本的知識のチェック】
1 「BMI」について
肥満度の判定方法の1つに BMI 体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)がある。
肥満度が普通と判定される BMI は、
(A 12.0∼18.5未満
B 18.5∼25.0未満 C 25.0∼31.5未満)
である。
2 「肥満」について
肥満とは、体内で、(A 糖 分
蓄積した状態のことをいう。
B
コレステロール
C 脂
肪)が過剰に
3 「肥満」の判定について
見た目では判断できない肥満の持ち主のことをかくれ肥満と呼びますが、かくれ肥
満かどうかを判定するときは、
(A 基礎代謝量を測る
B 体脂肪率を測る C 骨密度を測る)
4 「栄養バランスのよい食事」について
「栄養バランスのよい食事」をとるためには、
(A エネルギーをとりすぎないこと
B 間食を食べすぎないこと C 主食、主菜、
副菜を組み合わせること)と各人に合った適切な量をとることが大切である。
5 「体重とエネルギーの関係」について
体脂肪1kg減らすために必要なエネルギー量は、
(A 70kcal B 700kcal C 7,000kcal)
である。
6 「野菜摂取量」について
1日に摂りたい野菜摂取量は、
(A 350g以上 B 250g以上 C 150g以上)で、
私たちの食生活では、(A 十分とれている
B 不足している )と言われている。
7「減量するときの食事」について
減量したいときには、(A 野菜摂取量を増やす
C 主食をぬく)のが効果的である。
B
食事回数を減らす
8「朝食」について
朝食を食べると、体温と体内の(A 脂肪酸値 B 血糖値 C アミノ酸値)が上昇し、
脳の働きが活性化される。
9「生活活動」について
歩行や階段昇降、床そうじ、洗車など、日常生活を営む上で必要な労働や家事に
伴う生活活動は、健康づくりのための身体活動・運動として、(A 効果がある
B 効果はない)。
10「身体活動の量」について
エクササイズとは身体活動・運動量を表す単位であり、エクササイズガイド2006では、
健康づくりのための身体活動・運動量として、週に(A 3エクササイズ
B13エクササイズ
C 23エクササイズ)、そのうちの(A1エクササイズ
B 4エクササイズ
C
8エクササイズ)は、活発な運動をという目標が示されて
いる。
- 46 -
実践ステップ
LESSON
3
支援者は、山口県内の20歳代、30歳代の方が、
①食生活・運動等に関する健康情報を見て、聞いて
↓
②その内容を理解して
↓
③生活習慣改善の必要性に気づいて
↓
④行動・実践行動へとつなげるための支援をしないといけません。
そのために、支援者は、
①食生活・運動等に関係する基本的な知識の普及
②生活習慣改善の必要性を認識させ、行動変容を起こさせるための支援
という主に2つの支援を行うことが求められています。
支援者の主な2つの役割
①食生活・運動等に関する
基本的な知識の普及
②生活習慣改善の必要性に気づかせ、
行動変容を起こさせるための支援
20歳代、30歳代
見て・
聞いて
理解して
気づいて
- 47 -
行動・実践へ
【食生活・運動等に関する基本的な知識の普及について】
必修ステップで確認した対象者の食生活・運動等に関する基本的な意識・知識を高め
る支援を P57からの支援ツールを参考・活用して実施しましょう。
必修ステップ項目
○健康に関する意識・実践状況
○BMI について
○肥満について
○肥満の判定について
○栄養バランスのよい食事について
○体重とエネルギーの関係について
○野菜摂取量について
○減量するときの食事について
○朝食について
○生活活動について
○身体活動の量について
参考支援ツール
○7つの健康習慣と実践数と
平均余命の関係
○BMI の求め方
○かくれ肥満とは?
ページ
○バランスのとれた食事について
○体重とエネルギーの関係を感覚的に把
握する
○1日に350gの野菜を食べましょう
○野菜食べていますか?
○どうしたら、野菜もっと食べられる?
○野菜の摂取量と肥満の関係
○野菜をしっかり食べることの意義は?
○朝食のはたらき
○朝食を欠食する人では、肥満の頻度が
高い
○欠食をしないために
60
66
57
58
59
68
69
71
77
78
79
80
81
○身体活動・運動の効用
82
○歩数計の活用
83
○「エクササイズガイド2006」の基 84
本的な考え方と使用法の解説
○エクササイズの単位と身体活動量につ
いて
- 48 -
【生活習慣改善の必要性に気づかせ、
行動変容を起こさせるための支援について】
意識・知識が高まったことを確認したら、P53∼の自己記録表や目標設定・行動計画シートを活用
して行動変容を起こさせるための支援を実施しましょう!
【目標設定と行動計画】
1.まず、自分はどうなりたいか考える(目標設定)
あなたはどんな自分になりたいですか?
どんな生活がしたいですか?10 年後、20 年後、30 年後、
・・・中長期的に考えてみましょう。
2.理想と現実のギャップを考える(課題の認識)
あなたの生活習慣のどこに課題がありそうですか?
あなたが望ましいと思う生活習慣と現実の生活習慣のギャップを考えてみましょう。
3.課題の解決方法を考える(行動計画)
あなたの課題を解決する方法考えてみましょう。
「朝食を食べない」という課題に対して、
「朝食を食べる」という解決方法は有効な方法ではあ
りません。まず、朝食を食べない理由は何か?→朝時間がない→朝時間がない理由は何か?→
起きるのが遅い→起きるのが遅い理由は何か?→寝るのが遅い→寝るのが遅い理由は何か?
深夜テレビを見る→深夜テレビを見るのはなぜか→・・・というように、原因をたどって、究
極の原因は何かを追及してみましょう。
究極の原因がわかったら、次に、思いつく限りたくさんの具体的な解決策をノートに書き出し
てみましょう。具体的という点が重要です。
次に、それぞれの解決策について、実行可能かどうか、実行の妨げになるものはないか、よく
吟味して、どれが一番良い解決策か選んでみましょう。
どのような解決策があるか支援ツール「欠食をしないために」を参考にしてください。
【行動計画の例】
食生活に関する目標
運動習慣に関する目標
・間食をやめる
・毎日 20 分間のウォーキングをする
・副菜を 1 日 5 皿とる
・1 日の歩数を、現在の歩数より 2,000 歩増や
・油ものは 1 日 1 皿にする
す
・ご飯のおかわりをしない
・ラジオ体操をする
・夕食のおかずを一品減らす
・毎日掃除をする
・毎日 10 分間ダンベル体操をする
・自転車に 30 分間乗る
4.行動計画を実行する準備をする
行動計画の実施に何が必要か、よく考えてしっかり準備しましょう。
継続の妨げになることをできるだけたくさんノートに書きだし、ひとつひとつ解決策を考え
ておきましょう。準備不足で、拙速に実行することは、挫折の原因になります。
生活習慣改善に取り組んだが、もしも途中で挫折したときはどうするかについても考えてお
きましょう。
5.行動計画を実行する
準備が十分できたと思ったら、行動計画を開始する日を決めましょう。
開始する日を決めたら、周りの信頼できる人にそのことを打ち明けて応援してもらいましょ
う。
6.自己記録表で自己管理する
支援ツール「自己記録表の意義と使い方」
(P52)を参考にして、自己管理しましょう。
一回の取り組みで成功することは稀です。失敗しても、何度でもやり直せば何の問題もあり
ません。生活習慣病の予防は 10 年、20 年の単位で考えましょう。
- 49 -
食事と運動の行動計画の立て方
1.どのくらいエネルギーを減らせばよいか?
・1 日に必要なエネルギーは、個人差はありますが、平均的には 2,000∼2,500kcal
くらいです。
・1 日 200∼300kcal の増減が、1 か月で約 1kg の体重の増減につながることから、
体重をコントロールするためには、現在の生活習慣の 80∼90%は維持しながら、10
∼20%を変えればよいことになります。
・たとえば、現在 BMI が 25 以上あって、減量が必要な人の場合、1 日 200∼300kc
ずつ少なくすることにより、1 か月で 1kg、6 か月継続すれば 6kg、1 年間持続すれ
ば 12kg の減量が可能になります。
2.行動計画の具体例
・1 日に 200kcal を減らすことにした場合、これを食事と運動に分けます。
・たとえば、このうち 60kcal を運動で消費するためには、約 20 分のウォーキングで
達成できます。行動計画としては、1 日のうち、どこかの時間帯で「約 20 分間のウ
ォーキング」の時間を作ります。決まった時間を取れない場合は、歩数計を使って「1
日の歩数を現状より 2,000 歩増やす」でも同じ効果が得られます。
・残りの 140kcal は食事か間食を減らすことによって達成します。このとき役に立つの
が、1 日の食事記録です。140kcal と言えば「おにぎり 1 個分」です。何を減らせば
いいかわからないときは、栄養士にアドバイスしてもらいましょう。
行動計画の例
食生活に関する目標
・間食をやめる
・副菜を 1 日 5 皿とる
・油ものは 1 日 1 皿にする
・ご飯のおかわりをしない
・夕食のおかずを一品減らす
運動習慣に関する目標
・毎日 20 分間のウォーキングをする
・1 日の歩数を、現在の歩数より 2,000
歩増やす
・ラジオ体操をする
・毎日、掃除をする
・毎日 10 分間ダンベル体操をする
・自転車に 30 分間乗る
- 50 -
- 51 -
自己記録表の意義と使い方
1.意義
自分は毎日どんな生活を送っているか、自分のことだからよくわかっているとい
うかもしれませんが、実際に何をしたかノートに書きだすことで初めてわかること
がたくさんあります。
何か始めようと思ったときに、思うだけではなく、毎日決めたことをしたかどう
か○×で記録するだけでも、自分について何か新しい発見があるものです。ぜひ、
自己記録表を作成して、使ってみてください。
できれば、自己記録表は壁に貼っておきましょう。やり忘れの防止になります。
また、家族や同僚など人の目につく場所に貼っておけば、決めたことを継続する動
機になります。
こうして記録したものが蓄積されてくると、自信につながります。自分の生活を
自分でコントロール出来ているという気持ちの張りも出てきます。このような気持
ちになることが、生きがいにつながっていくと思われます。
2.使い方
まずは、とにかく毎日書く習慣をつけましょう。成果は二の次で結構です。時々
書き忘れても、気にせず、最初は 1 週間、次は 1 か月というふうに、続けてみまし
ょう。
何を記録するかは、自分で決めましょう。最初は欲張らずに 1 つか 2 つの項目か
ら始めるといいと思います。
たとえば、毎日決まった時間に体重計に乗って、体重を記録するだけでも結構で
す。
記録がたまってきたら、振り返ってみましょう。何か気がつくことはありませんか。
ここで気づくことが大切です。うまくいったことも、うまくいかなかったこと
も、なぜそうなったのか、冷静に考えてみましょう。
自己記録表は、支援ツールを参考にして、記録する項目を工夫してみましょう。
楽しく、見栄えのする、自分だけの自己記録表を作ってみてください。
- 52 -
毎日の自己記録表(例)
・目標を達成するために必要な行動計画(5 つ以内)を立てよう。
・行動計画は、できるだけ具体的で、実行可能なものにしよう。
・行動計画を実行できたかどうか、毎日記録しよう。(○よくできた、△まあまあできた、×できなかった)
行動目標・到達目標
行動計画
月
(
日
)
月
(
日
)
月
(
-53-
出来事
感想
覚書など
- 53 -
日
)
月
(
日
)
月
(
日
)
月
(
日
)
月
(
日
)
週に一度の振り返り(例)
行動計画達成率
・行動計画達成率を%で表現してみよう。
(平成
・行動計画の達成率に変化はあったか?どんな変化があったか?
・変化があった場合、その原因を考えてみよう。
セルフ・エフィカシー
(自己効力感)
-54-
総合評価
・行動計画の項目ごとに、実行する自信が増加したか減少したか振り返ってみよう。
項目 1.
項目 2.
項目 3.
項目 4.
項目 5.
・全体として、生活習慣の改善は進んでいるか自己評価しよう。
・進んでいないとすると、その問題点は何か考えてみよう。
・問題点を解決、あるいは回避する方法を考えてみよう。
行動計画の見直し
・目標達成率、セルフ・エフィカシー、総合評価をもとに、行動計画を実行可能なものに見直そう。
- 54 -
年
月
日)
自己記録表(例)
年
月
日∼
日(月)
月
日(火)
日(
ヶ月目)
日(水)
日(木)
日(金)
日(土 )
日(日)
kg
kg
kg
kg
年
月
日スタート
体重 kg
目標体重
kg
kg
kg
BMI
体脂肪率%
%
ウォーキング
分
%
ウォーキング
分
%
ウォーキング
分
%
ウォーキング
分
%
ウォーキング
分
%
ウォーキング
分
%
ウォーキング
分
自転車(通勤) 自転車(通勤) 自転車(通勤) 自転車(通勤) 自転車(通勤) 自転車(買物等)自転車(買物等)
分
分
分
分
分
分
分
運動
分
分
分
分
分
分
分
分
分
分
分
分
歩数計歩数
歩数計歩数
歩数計歩数
歩
歩数計歩数
歩数計歩数
歩
歩
歩
歩数計歩数
分
分
歩数計歩数
歩
歩
歩
食べたもの
朝
食べたもの
昼
食べたもの
夜
食べたもの
間食
便通の有無
有
・
無
有
・
無
有
・
無
有
・
無
備考
・
日記など
- 55 -
有
・
無
有
・
無
有
・
無
Fly UP