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こちら - 構造化評価システム sSOFAS

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こちら - 構造化評価システム sSOFAS
構造化評価システム
The Structured Scorering System of
Social and Occupational Functioning Assessment Scale
評価のためのトレーニング・シート
The Training Sheets for assessment
各領域の評価のためのケース
この章では各領域のみの評価を行う。例えば、社会的活動の節では
社会的活動のみを評価し、非営利活動など他の領域の評価を行わない。
この練習題を行うことによって、sSOFAS の評価に際して必要となる
ルールの習得ができるようになっており、以後の sSOFAS の評価が容
易、かつ正確にできるようになる。
ケース・ビネット
この章では仮想の症例を評価する。sSOFAS で評価を行う 4 領
域の情報が各症例には含まれており、各領域の評価に必要な情報
を症例から読み取り、SOFAS の算出を行う。
社構造化評価システム sSOFAS
評価のためのトレーニング・シート Ver.1.10
各領域の評価のためのケース
1a 社会的活動-学生
ケース 1a.1 不登校の小学生
A さんは公立小学校に通っているが、不登校で1週間 5 日の登校日のうち平均して3
日登校をしている(このケースでは登校日の遅刻・早退は考慮せず評価する)。学業成績は
下位 10%に位置しているである。
ケース 1a.2 五月雨型不登校の中学生
A さんは公立中学に通う学生である。今年に入り不登校気味になってきた。A さんの最
近1カ月の出席カレンダーが下記である。この学校は1限 50 分授業である。直近の期末
テストでの学業成績は下位 30%であった。
日
月
火
水
木
金
土
(休日)
(5 限)
(6 限)
(6 限)
(5 限)
(6 限)
(休日)
1
2
3
4
5
6
遅刻 1 限
遅刻 10 分
遅刻 20 分
9
10
11
12
遅刻 2 限
祝日
16
17
18
早退 2 限
遅刻 10 分
24
欠席
7
14
8
15
欠席
21
22
23
祝日
早退 1 限
欠席
19
20
25
26
27
欠席
遅刻 10 分
28
月曜 5 限 × 4 日 = 20 限
火曜 6 限 × 4 日 = 24 限
水曜 6 限 × 4 日 = 24 限
木曜 5 限 × 4 日 = 20 限
金曜 6 限 × 4 日 = 24 限
計 112 限
月曜欠課
限
分
火曜欠課
限
分
水曜欠課
限
分
木曜欠課
限
分
金曜欠課
限
分
13
計
sSOFAS-TSA-1
限
欠席率
社構造化評価システム sSOFAS
評価のためのトレーニング・シート Ver.1.10
ケース 1.1 不登校の小学生
計測はルール通りに行うべきである。ただ、必要な情報を完全に得ることなく評価
が可能な時もある。評価には正確性が最も重要であるが、迅速性も求められる。この
ケースでは、5 日のうち 3 日休んでいるため 60%の欠席率で D 判定ある。また、下位
20%未満であるため C 判定である。sSOFAS の判定の原則は、複数の評価があった場
合には、重症度の高い方を洗濯するため、このケースは D 判定である。
また、欠席・欠課の数が正確に把握できないこともありうる。その場合には評価を
投げ出さず得られるデータで最善の結果を尽くすべきである。
ケース 1.2 五月雨型不登校の中学生
sSOFAS では欠課(時限数)を数える。それにはまず出席日が何日あったかを確かめる
必要がある。(巻末に書き込み用紙を利用する)
1. 最終週のところに今日の曜日と日を書く。(大型連休や夏休み中でないことを確認)
2. 28 日さかのぼってこの1カ月のカレンダーを書く。
3. 聞き取り
4. 欠課・欠席・遅刻(10 分以下は切り捨て)を計算。
1.2 のケースだと以下のようになる。
欠課は合計 27 限で 10 分を超える遅刻・早退は 5 日の 20 分遅刻のみ、欠課は
27.4 時限となる。授業時限数は 10 日 22 日の休日を引くと全体で 101 時限とな
り、欠席率は 27.13%である。以上から、D と判定される。
学業成績が下位 30%であるため、この判定は B である。複数の判定があるときは重
症度の高い方を選択するため、欠課による判定である D である。
ケース 1a.3 私立文系の大学生
C さんは大学生で、私立の法学部の3年生である。真面目に大学に通う学生というより
も、最低限の単位をとって、サークル活動に邁進するタイプである。この1カ月のあい
だに大学には行ったものの授業に出なかった日が4日ある。いずれも進級には関係がな
い単位の授業の日であった。
この学生は 20 日のうち 4 日休んでいるため 20%を休んでいることになるが,いずれ
も進級には関係のない授業であるため A と判定される。このような学校では人づきあ
いをせず勉強ばかりしている学生よりも、授業とは関係がないサークルで人間関係を
作る人の方が SOFAS 点数は上昇する
sSOFAS-TSA-2
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評価のためのトレーニング・シート Ver.1.10
ケース 1a.4 フリースクールに通う子ども
D さんは 14 歳で中学校になってから全く学校には行っていない。その代わりにフリー
スクールに毎週 3 日通っている。
フリースクールであるので、3 日/5日で出席率は 60%、欠席率は 40%である(D 判
定)。さらに1カウント低くとるためE判定である。
1b 社会的活動-学生以外
ケース 1b.1 就労者
A さんは会社員の男性 35 歳。独身で一人暮らしである。月曜から金曜まで仕事があり
8 時間の就労時間に加えて、毎日 2 時間程度の残業をしている。今週は土曜日も仕事に行
っており、8 時間働いた。平日の家事は、食事もほとんど外食であり、一人ぐらしのため
ほとんどしないが 30 分くらいは片づけや掃除をしている。休日は平日に溜まった洗濯を
1時間程度かけて行っている。
月曜日から金曜日までの 5 日間、8 時間の就労に加え毎日 2 時間程度の残業をしてい
るため平日の就労時間は 5×(8+2)=50 時間となり、これに土曜日の出勤 8 時間を加え
58 時間となる。さらに毎日の 30 分の片づけや掃除 7×0.5=3.5 時間および休日の洗濯
2×1=2 時間が加えられ合計 63.5 時間となる。以上から A と判定される。
ケース 1b.2 Return to Work
B さんは 45 歳男性。結婚しており、妻と子ども 1 人 3 人暮らしである。2 年前に過労
と対人関係のストレスからうつ病になった。1 年半会社を休職し、半年前から会社に復帰
した。しかし、すぐに前の仕事をするほどの回復がみられなかったため、会社のリワー
ク・プログラムに参加することにした。月曜から金曜まで朝 10 時から 5 時間作業をして
いる。時間に余裕ある生活のため、洗濯や皿洗いなど家事を分担していて、平日は 2 時
間程度家事を行っている。休日は家事を 3 時間程度行っている。
月曜日から金曜日までの 5 日間、1 日に 5 時間の作業をしているため 5×5=25 時間
作業している。しかしこれがリワーク・プログラムのため 25×0.6=15 となり 1 週間で
15 時間就労している評価となる。さらに平日の家事 5×2=10 時間に加え休日の家事 3
×2=6 時間を併せて 16 時間が加算されるため労働合計 31 時間となる。以上から C と
判定される。
ケース 1b.3 パートタイマー
C さんは 40 歳女性である。2 人の子どもがおり、それぞれ中学校と小学校に通ってい
る。スーパーでパートタイムの職についている。夫が就労しているため、F さんは収入を
103 万ぎりぎりに抑える働き方をしており、毎月 86,000 円程度の収入である。就労して
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評価のためのトレーニング・シート Ver.1.10
いるのは月曜から金曜で、時間は 6 時間、週に 30 時間となる。平日は家事と子育てに 3
時間、休日は 5 時間程度費やしている。介護はしていない。
就労時間は週に 30 時間で、平日の家事子育てが 5×3=15 時間、休日の家事子育てが
2×5=10 時間、合計で 55 時間となる。以上からAと判定される。
ケース 1b.4 ひきこもりだった男性
G さんは 28 歳男性。半年前までひきこもりであった。現在は若者サポートステーショ
ンとその団体が運営している団体のサービスを受けている。また、この団体とは別に精
神科のクリニックにも通っている。就労はしていない。両親と同居して暮らしているが、
自分の部屋を掃除する程度である。
社会的活動は 7 時間以下である。ただし、若者サポートステーションと精神科に通
っているため、E と判定される。
2a コミュニケーション
ケース 2a.1 なるべく人付き合いを避けている会社員
A さんは 30 歳男性、独身の会社員である。仕事に目立った問題はなく、平日は毎日出勤
している。しかし、仕事の仲間と仕事を終わった後に飲みに行くなどの付き合いは基本的に
はない。ただ、忘年会や送迎会などは参加している。大学時代の友人と半年に1回程度のみ
に行くが、この1カ月は行っていない。普段会う友人はいない。
仕事以外での付き合いは存在せず、友人はいない。しかし仕事に目立った問題はな
く人間関係上の不和も存在しないことから仕事上のコミュニケーションは行っている
ものと判断され、毎日出勤していることから D と判定される。
ケース 2a.2 学校では孤立していない中学生
学校では孤立していない中学生 B さんは 14 歳女性。県内の公立中学校に通っている。学校で
は授業をする一環でクラスメイトと話をすることもあり、休み時間中にプライベートなことも話
合う。しかし、放課後や休みの時に遊ぶことはない。登校状況には問題がない。
重要な他者との会話はあるが、交流はないという状態である。会話は平日毎日ある
と考えられるので、B 判定である。
ケース 2a.3 子育てに忙しい主婦
D さんは専業主婦であり、夫と子ども2人の子育てに毎日励んでいる。子どもを保育
園に送迎する際には保育士や他の保護者との立ち話はするが、特に親しいというわけで
はない。友人はいるが、子育てが忙しくなってから遊びに行くことは減ってしまい、接
点は月に 1 回程度である。人間関係上の不和はない。夫の帰りは毎日 21 時を越える。平
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評価のためのトレーニング・シート Ver.1.10
日の帰りが遅いときは話をしないこともあるが2日程度である。ケンカをしても痴話げ
んか程度で仲がいい。
友人との交流は月に 1 回程度であるため C 判定。保育士や他の保護者との会話が平
日毎日あると考えられるので、B 判定。コミュニケーションは高い評価のものを採用す
るため、B 判定である。
ケース 2a.4 ネットゲームに没頭
E さんは大学を休学中である。一人暮らしで親から仕送りをしてもらっている。大学には
行かず、普段は自宅の自室にいることが多く、1 日のほとんどをオンライン・ゲーム内で過ご
している。そのゲームはパーティを作りモンスターを倒すというものである。また、チャット
機能がゲームにはついていて日常的に 100 人以上の人たちと交流がある。ゲーム上で知り合っ
た友人の中には、自身の境遇や悩み事について語りあうこともあり、互いのことを良く知って
いる人も数人いる。しかし、その人たちの顔を直接見たことはない。ウェブ以外のコミュニケ
ーションは乏しく、コンビニに買い物に行く程度である。
ウェブ上のつながり友人は 100 人以上存在しており交流も密である。一般的な感覚
からは意外な評価かもしれないが、sSOFAS におけるコミュニケーションはA判定であ
る。しかし、社会的活動をしていないため、SOFAS 得点は 40 点程度になる。
sSOFAS は評価のために必要となる専門性が低い代わりに機械的な評価を下す時が
ある。その場合でも、他の領域でスコアが妥当な範囲になるように調整されている。
2b 不和
ケース 2b.1 会社内の不和
Aさんは 25 歳女性。派遣社員であり、職種は事務職である。現在の派遣先にやってき
て、半年経ち、現在の環境にも慣れてきた。ただ、ある同僚と人間関係がうまくいかず、
互いに嫌っている。最低限の業務をするだけのコミュニケーションだけで済まし、会社
の忘年会などでも席が離れるようにしている。ただし、表立ったケンカや嫌がらせなど
は互いにしていない。
同僚との不和があるが行動に移されたものではないため B 判定である。よって B 判定
となる。
ケース 2b.2 いじめ
B さんは 17 歳女性の高校生。学校でいじめに遭っている。いじめの中心には 3 人の女
子がいて、無視をする、靴箱にごみが入れられるなど毎日何か嫌がらせをされる。
いじめが存在している。頻度は毎日であるため、E判定となる。
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ケース 2b.3 暴言
F さんは 52 歳男性。部下をしかりつけることが多く、成績の悪い部下に対して「生きてる
価値がない、死んで来い」など暴言を吐く。
週1回以上の暴言で E 判定である。
ケース 2b.4 暴力的な男の子
10 歳男児。ADHD と DMDD の診断がある。物を壊したり、気に入らないことがあると人
を叩く。物を使って殴ることはなく素手である。腕力がそれほど強くないため、大人はケガ
をしないが、子どもが相手だと怪我を負う子どもがいる。頻度は月に2~3回程度である。
対人暴力が月1~週 3 回あり、被害者の怪我は 1 週間以内に治癒するものであるため、G
判定である。
3 家族関係
ケース 3.1 一人暮らし
A さんは 24 歳男性。
大学を出て就職をして現在一人暮らしである。実家は遠方にあり、
家族と会うのは年に 1 回あるかないかである。
一人暮らしは B と評価。
ケース 3.2 食物をめぐる言い争い
B さんは 16 歳女性。高校 1 年生で父親、母親、2 つ上の兄と同居している。精神科ク
リニックに通院しており、摂食障害と診断されている。ダイエットと本人は言っている
が、食事を制限しており、食物のことに関して、両親と言い争いを毎日行っている。た
だし、大学に通っている兄は大学とバイトで忙しくほとんど家に居ないため、ケンカは
ないが、ほとんどコミュニケーションがない。
毎日言い争いがあるため 75%以上の基準を超える。兄は「家にほとんどいない、接
触機会ほとんどない者」に相当するため、家族全員との対立となり評価は E となる。
ケース 3.3 ステップファミリー
C さんは 8 歳の小学生の女の子である。両親は離婚しており、母親の下で暮らしてい
る。その母親には籍の入れていないが同棲をしている男性がいる。その男性と母親、C さ
んの 3 人暮らしである。C さんと男性の仲は決して良くなく、ほとんど話をしない状態
が続いている。母親は男性のことを愛しているために、娘である C さんにつらく当たる
ことが多い。C さんは母親に反抗しており、口をきかない日、ケンカをする日はないくら
いである。
同居家族は母親と血縁関係のない男性であり、両者と対立している。その頻度は全
体の 75%を超えるため E と判定される。
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評価のためのトレーニング・シート Ver.1.10
4 余暇活動
ケース 4.1 野球を楽しむ会社員
A さんは 42 歳男性。会社員である。もともと高校球児であった。月に1回元野球部の
友人たちと球場を借りて野球を楽しんでいる。10 時ごろに集合し、17 時頃に終了し、そ
の流れで飲み会になることが多くいつも参加している。また、ある宗教の信者であり、
月に2回、週末になると宗教施設に通っている。時間は毎回 6 時間程度である。
元野球部の友人と野球と宗教活動が非営利活動に相当する。また、その行為を通し
て友人や知人との交流もある。野球は月に 7 時間であるので週に 1.75 時間、宗教活動
は月に 12 時間、週に 3 時間である。両活動の活動時間を足して、4.75 時間。よって B
に相当する。
ケース 4.2 マラソン完走に向けて
B さんは 35 歳女性。趣味はランニングである。3 カ月後に開催される市民マラソンに
参加するため、毎日朝 5 時に起きて 90 分かけて 10km ランニングしている。他に趣味は
なく、非営利活動に該当する活動は行っていない。
毎朝のランニングはあり、趣味活動は盛んだが、その活動を通して他の誰かと交流
がない。よって E と評価される。
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評価のためのトレーニング・シート Ver.1.10
ケース・ビネット
A さん 社交場面を回避する女性
A さんは、二級建築士として建築事務所に勤めている 35 歳女性。独身。父親はすい臓
がんで2年前に他界。現在、母親と共に暮らしている。妹が結婚して家を出ており、妹
がうつ病と診断されている。母親は些細なこと不安を感じ、そのたびにその不安を口に
だすため、Aさんは母親と暮らすことにはうんざりしており、ほとんど口を利かない状
態になっている。
子供のころ宿題に時間をかけすぎ、あまりに時間をかけるあまり提出物が遅れるとい
うことが常にあった。現在までその傾向は続いている。建築事務所での仕事も丁寧であ
るが慎重である。あまり進度が遅く、たびたび残業を行っている。勤務時間の 9 時間に
毎週の残業は 12 時間程度である。そのような問題はあるものの、フルタイムで仕事を行
い、11 年あまり同じ職場で働いている。
対人関係上の不和は見られない。
Aさんの友人関係は希薄である。学生時代から友人が少なく、働き始めてからは定期
的に会っている知り合いはいない。友人と呼べる人がいない状態である。仕事の同僚と
終業後にご飯を食べに行ったり、飲みに行くということはなく、会社で行う新入社員の
歓迎会なども欠席する。昼食は、自分でつくった弁当を持参するが、会社の同僚の目線
が気になり、一人で外に行って食べている。また、一人で食べ物屋に入ってご飯を食べ
ることができず、家族以外の人と食事をすることも非常に苦手だと述べている。
趣味は手芸であり、休日になると部屋にこもって作品を仕上げている。手芸を通して
の人とのつながりはなく、なるべく一人で過ごしたいと言っている。
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評価のためのトレーニング・シート Ver.1.10
A さん 社交場面を回避する女性
SOFAS: 66
社会的活動 A
A さんは 1 日 9 時間、週に 5 日、合計 45 時間の勤務をしている。残業は 12 時間で
あり、労働時間は 45+12=57 時間となる。
コミュニケーション D
友人がいないが、会社で業務上の会話はあると考えられるためD判定。
不和・暴力 A
なし。
家族関係 C
同居は母のみであり、その母と交流がないため C 判定である。
余暇活動 E
趣味の手芸は他者との交流がないため E 判定である。
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評価のためのトレーニング・シート Ver.1.10
Bさん 就労支援機関に通所
B さんは就労支援機関である若者サポートステーションに通う男性 26 歳である。父親
55 歳、母親 57 歳と同居をしている。兄弟は姉がおり、結婚をして家を出ている。普段は、
支援施設に週 2 回通っているが、現在は就労体験プログラムを利用しており、機械の組
み立てを行っている協力企業に週 3 回、1 日4時間程度就労体験に通っている。機械の組
み立てには技術が必要なため、就労体験といっても社内の片づけなどの作業や掃除など
を行っている。プログラムはサポートステーションの職員が管理し、最初の数回は付き
添いなどもあった。勤務態度はまじめで遅刻もないと協力企業側は評価している。しか
し、B さん他人と話すと緊張し、ストレスがたまると述べ、今以上に就労体験の時間数を
増やすのは難しいようだ。
B さんは高校を卒業後、介護の専門学校に入学。専門学校は卒業したが、就職をしなか
った。専門学校卒業後に介護福祉士の資格を得ている。資格保持者であることから就職
活動をすると採用はされるようだ。今までに 4 度介護系の仕事に就いている。しかし、
いずれも続かず、長く続いて3カ月であった。
B さんは、小さいころから家族以外の人と話すことが苦手で、友人も少なかった。また、
エスカレーターに乗ることがなかなかできなかった、ジャングルジムに登るのが怖がっ
ていたと母親は B さんの小さいころのことを述べている。専門学校卒業後、体調も悪く
寝込みがちであったことから、精神科を受診し、うつ病と診断され SSRI を処方されてい
る。投薬は現在も続いている。職に就かず自責の念に駆られて自殺を 2 度行っている。1
度目は処方された薬を含めて家にある薬を手当たり次第に飲んだが、母親が早く気づい
て病院に搬送された。2 度目は首つりを試みたが、ロープが切れ地面に頭を打ち付けて失
神しているところを母親に発見された。現在は、死にたいと思いにとらわれることがあ
るものの、この 2 年ほどは自殺の計画を立てることもなく落ち着いている。
就労支援機関には本やマンガ、ゲームなどがおいてあるフリースペースがあり、そこ
で知り合う人と話すこと、就労支援の受け入れ企業で会社の人たちと話をしている。最
近は、就労支援プログラムの参加日以外の日に週1回だけフリースペースを利用してい
る。対人関係上の不和はない。
趣味は図書館で借りた本を読むことである。地域の活動に参加することはなく、近所
の人に会うことを非常に嫌がっている。母親とは毎日話をしている。父親とはあまり話
をしないものの、父親の帰りが早い時には一緒に夕飯を食べている。親子の仲は良いほ
うだ。自宅の家事は母親が行っているが、風呂掃除をするなど毎日だいたい 30 分程度は
家事をしている。
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社構造化評価システム sSOFAS
評価のためのトレーニング・シート Ver.1.10
Bさん 就労支援機関に通所
SOFAS=60
社会的活動 E
Bさんは週に 3 回 1 日 4 時間の就労体験に通っていることから 3×4 時間=12 時間
の労働となるが、就労体験であることから 0.6 をかけ 12×0.6=7.2 時間となる。そこ
に 1 日 30 分の家事をしていることから 0.5×7=3.5 時間を加え、合計 10.7 時間とな
る。以上から D と判定される。
コミュニケーション B
フリースペースで週1回の会話があるため B 判定である。
不和 A
なし。
家族関係 A
交流があり、対立もない。
余暇活動 E
対人交流を含む非営利活動が見られないため E と判定される。
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Cさん うつ病で退職しアルバイト勤めの男性
C さんは、3年前にフルタイムの仕事を失い、現在は実家で暮らしている 28 歳男性で
ある。独身。父、母と共に暮らしていており兄がいる。兄は同居していない。
大学卒業後、印刷会社に就職し営業職に就く。残業時間が 60 時間(月)と長く、体に無
理をさせて働いていたが、就職後 3 年で、体中が痛くなる、咳が止まらないなどの身体
症状が現れ、何かにつけて怒ることが多くなり部署内での人間関係に問題が現れたこと
から休職した。最初は内科に通院していたが、医師の勧めで精神科を受診。うつ病と診
断が出て、現在も引き続き通院・投薬をしている。会社は1年休職したものの体調が戻
らず退職をすることとなった。その後、一人暮らしをしていた住まいを引き払い、実家
に戻り暮らしている。
C さんは、現在、
抑うつ気分は感じられないものの、日々の行動などをするのが億劫で、
新しい行動をとることになかなか積極的になれていない。睡眠にも問題がある。眠りに
くく、途中で起きてもう一度、寝られないという。医師からは睡眠薬が処方され、眠り
にくさはある程度なくなったが、睡眠の中途で起きてしまうことは依然としてあるよう
だ。会社に勤めているころより 10kg ほど体重が低下したが、現在は体重の増減はない。
1年ほど前からコンビニのアルバイトを週4日程度行っている。シフトは毎回 8 時間
である。疲れやすく、週4日以上の勤務は難しいという。月に 1 度ほどは欠勤があるが、
数日前に同僚に代わりを頼むなどしている。家事はすべて親に任している。
小学生のころからサッカーを習っており、大学時代や就職後もサークルでサッカーを
続けてきたが、現在は「体力がない」「やる気が起きない」という。アルバイト勤務をし
ている以外の時間は、自室でサッカーの試合をテレビで見ていることが多い。地域の活
動などは特に行っておらず、近所の人と会っても会釈をする程度である。
C さんに友人はいる。ただ、体力的につらいため、会うのは月1回よりは少ない。アル
バイト先のコンビニの同僚と休憩中などに話をしている。勤務外で同僚や友人と出かけ
ることはない。飲みに誘われることはあるが、やはり体力的につらいため出かけること
はない。対人関係で問題になるような不和はなく、休職する前には些細なことで怒るこ
とがあったが、現在ではそういったことはない。また、家族関係は悪いわけではなく、
夕ご飯を一緒に食べている。
sSOFAS-TSA-12
社構造化評価システム sSOFAS
評価のためのトレーニング・シート Ver.1.10
Cさん うつ病で退職しアルバイト勤めの男性
SOFAS=77
社会的活動 C
週に 4 日 8 時間の 4×8=32 時間のアルバイト生活をしている。家事はすべて親がし
ているため、家事労働の加算はない。C と判定される。
コミュニケーション B
職場の友人との会話がある、しかし飲みに出かけたりはしないため B 判定となる。
不和 A
なし。
家族関係 A
家族関係の不和は観察されず、仲が悪くないということからAと判定される.
余暇活動 E
地域の活動などには参加しておらず、小学校から続けていたサッカーも現在は辞
めてしまったことから、対象となる活動がない。よって E と判定される。
sSOFAS-TSA-13
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